JP2016082931A - 飛翔昆虫検出装置および飛翔昆虫検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】空間中を飛行する飛翔昆虫を高精度に検出することができる飛翔昆虫検出装置および飛翔昆虫検出方法を提供する。
【解決手段】飛翔昆虫検出装置100は、光学検出器101、支持体110および制御装置120をそれぞれ備えている。光学検出器101は、赤外線IRを照射するIR照射光源103と、赤外線IRを受光して検出信号を出力するIR受光器104とを備えている。この光学検出器101は、飛翔昆虫FBの検出対象となる検出対象空間DEの下方に設置されて検出対象空間DEに対して下方から赤外線IRを照射するとともに飛翔昆虫FBの下面によって反射された赤外線IRを受光する。支持体110は、IR照射光源103から照射された赤外線IRをIR受光器103とは異なる方向に反射させるIR反射体106を支持する。制御装置120は、IR受光器103からの検出信号を用いて飛翔昆虫FBを検出する。
【選択図】 図1
【解決手段】飛翔昆虫検出装置100は、光学検出器101、支持体110および制御装置120をそれぞれ備えている。光学検出器101は、赤外線IRを照射するIR照射光源103と、赤外線IRを受光して検出信号を出力するIR受光器104とを備えている。この光学検出器101は、飛翔昆虫FBの検出対象となる検出対象空間DEの下方に設置されて検出対象空間DEに対して下方から赤外線IRを照射するとともに飛翔昆虫FBの下面によって反射された赤外線IRを受光する。支持体110は、IR照射光源103から照射された赤外線IRをIR受光器103とは異なる方向に反射させるIR反射体106を支持する。制御装置120は、IR受光器103からの検出信号を用いて飛翔昆虫FBを検出する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、屋内や屋外の空間中を飛ぶ昆虫を検出する飛翔昆虫検出装置および飛翔昆虫検出方法に関する。
従来から、家屋、店舗、工場、農産物栽培ハウス、畜舎、農園または果樹園において空間中を飛ぶ飛翔昆虫を検出する飛翔昆虫検出装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、飛翔昆虫を誘引するフェロモントラップを収容した三角筒体内に反射型赤外線センサを設けて飛翔昆虫を検出するトラップ装置(飛翔昆虫検出装置)が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載された飛翔昆虫検出装置においては、飛翔昆虫を検出する反射型赤外線センサが飛翔昆虫の進入口に対向して設けられているため、反射型赤外線センサから照射される赤外線が飛翔昆虫の正面または側面に照射されて反射光が得難く飛翔昆虫の検出精度が低いという問題があった。
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、空間中を飛行する飛翔昆虫を高精度に検出することができる飛翔昆虫検出装置および飛翔昆虫検出方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、飛翔昆虫の検出対象となる検出対象空間に向けて赤外線を照射するIR照射光源と、IR照射光源から照射された赤外線の反射光を受光して検出信号を出力するIR受光器とを備え、IR照射光源は、検出対象空間における下方から上方に向けて赤外線を照射する向きで設置されており、IR受光器は、検出対象空間における上方から導かれる赤外線を受光する向きで設置されることにある。
ここで、飛翔昆虫とは、空間中を飛行して移動することができる昆虫であり、ハエ類(例えば、イエバエ、ヒメイエバ、ニクバエ、キンバエ、ショウジョウバエ、チョウバエ、ノミバエ、ニセケバエまたはハヤトビバエなど)、チャタテムシ、シバンムシ、カツオブシムシ、蛾、蚊、羽蟻、カメムシ、ガガンボ、ユスリカまたは蜂などである。また、IR照射光源が照射する赤外線は、波長が700nm〜1mmの範囲の電磁波を用いることができるが、発光のピーク波長が930nm以上970nm以下の範囲が好適で、さらには発光のピーク波長が940nm以上かつ960nm以下の範囲がより好適である。
このように構成した本発明の特徴によれば、飛翔昆虫検出装置は、飛翔昆虫の検出対象となる検出対象空間に向けて赤外線を照射するIR照射光源が検出対象空間内における下方から上方に向けて赤外線を照射するように設置されているため、飛行する飛翔昆虫の下面に赤外線を照射する。この場合、飛翔昆虫においては、一般に、腹部が全体的に丸みを帯びて形成されているが、腹部の下面(腹面)は上面(羽側)に比べて平らに形成されていることが多い。また、飛翔昆虫のうちのハエ類は、体の上面や側面が黒色や茶色の濃色系であっても、腹部の下面(腹面)は白色、肌色または黄色などの淡色系であることが多く反射率が高い。このため、飛翔昆虫の下面に照射された赤外線は、飛翔昆虫の正面や側面に赤外線が照射された場合に比べて反射され易く反射光量が増加する。これにより、飛翔昆虫検出装置は、IR受光器に入射する反射光の光量が増加するため、空間中を飛行する飛翔昆虫を高精度に検出することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記飛翔昆虫検出装置において、IR照射光源とIR受光器とを同一平面内に有して一体的に構成した光学検出器を備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、飛翔昆虫検出装置は、IR照射光源とIR受光器とを同一平面内に有して一体的に構成した光学検出器を備えているため、装置構成を簡単化およびコンパクト化することができ取り扱いを容易にすることができる。なお、IR照射光源とIR受光器とを同一平面内に有するとは、IR照射光源における赤外線の発光部とIR受光器における反射光の受光部とを同一平面内に配置することであるが、必ずしも厳密に同一平面内に配置することではなく、実質的に同一の平面内(例えば、筐体における同一の面)に配置されていればよく、両者間に多少の高低差があってもよいことは当然である。
また、本発明の他の特徴は、前記飛翔昆虫検出装置において、IR照射光源は、IR受光器の周囲に複数配置されて赤外線を放射状に照射することにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、飛翔昆虫検出装置は、IR照射光源がIR受光器の周囲に複数配置されているため、装置構成の大型化や反射光の検出精度の低下を抑えながら飛翔昆虫の検出可能領域を広げることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記飛翔昆虫検出装置において、さらに、IR照射光源の上方に配置されて同IR照射光源から照射された赤外線をIR受光器とは異なる方向に反射するIR反射体を備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、飛翔昆虫検出装置は、赤外線をIR受光器とは異なる方向に反射するIR反射体を備えているため、飛翔昆虫に照射されなかった赤外線がIR受光器に戻ることが防止されるため、飛翔昆虫の検出精度を向上させることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記飛翔昆虫検出装置において、さらに、IR反射体が赤外線を反射する光路上に配置されて同IR反射体が反射した赤外線を拡散反射または吸収するIR減衰体を備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、飛翔昆虫検出装置は、IR反射体が赤外線を反射する光路上に赤外線を拡散反射または吸収するIR減衰体が設けられているため、IR反射体が反射した赤外線が他の物体によって反射されて再びIR反射体を介してIR受光器に戻ることが防止されるため、飛翔昆虫の検出精度を向上させることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記飛翔昆虫検出装置において、IR受光器からの検出信号を用いて飛翔昆虫の有無を検出する制御装置を備え、IR受光器は、飛翔昆虫からの反射光を二次元平面で受光する受光部を有しており、制御装置は、受光部で受光した反射光の大きさと複数種類の飛翔昆虫とを対応させた昆虫特定テーブルを記憶しており、IR受光器から出力される検出信号によって表された反射光の大きさに応じて昆虫特定テーブルを用いて飛翔昆虫の種類を特定することにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、飛翔昆虫検出装置は、制御装置がIR受光器から反射光の受光面積に応じた検出信号を入力するとともにこの受光面積に対応する飛翔昆虫を記憶した昆虫特定テーブルを備えているため、飛翔昆虫の有無に加えて飛翔昆虫の種類も特定することができる。
また、本願発明は、飛翔昆虫検出装置の発明として実施できるばかりでなく、空間内を飛行する飛翔昆虫検出方法の発明としても実施できるものである。
具体的には、飛翔昆虫検出方法は、飛翔昆虫の検出対象となる検出対象空間に向けて赤外線を照射するIR照射光源と、IR照射光源から照射された赤外線の反射光を受光して検出信号を出力するIR受光器と、IR受光器からの検出信号を用いて飛翔昆虫を検出する制御装置とをそれぞれ用意して、IR照射光源を検出対象空間における下方から上方に向けて赤外線を照射する向きで設置するIR照射光源設置工程と、IR受光器を検出対象空間における上方から導かれる赤外線を受光する向きで設置するIR受光器設置工程と、制御装置がIR受光器からの検出信号を用いて飛翔昆虫の有無を検出する飛翔昆虫検出工程とを含むようする。これによれば、飛翔昆虫検出方法は、上記飛翔昆虫検出装置と同様の作用効果を期待できる。
以下、本発明に係る飛翔昆虫検出装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る飛翔昆虫検出装置100の構成の概略を模式的に示した一部破断正面図である。また、図2は、図1に示す飛翔昆虫検出装置100の作動を制御するための制御システムのブロック図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表していることがあるため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この飛翔昆虫検出装置100は、家屋、店舗、工場、農産物栽培ハウスまたは畜舎など主として室内の空間を検出対象空間としてこの検出対象空間DE中を飛ぶ飛翔昆虫FBを検出してカウントする。
(飛翔昆虫検出装置100の構成)
飛翔昆虫検出装置100は、光学検出器101を備えている。光学検出器101は、図3に示すように、飛翔昆虫FBの検出対象となる検出対象空間DE内に赤外線IRを照射するとともにこの赤外線IRが飛翔昆虫FBによって反射された反射光を検出するための装置であり、主として、ハウジング102、IR照射光源103およびIR受光器104をそれぞれ備えている。ハウジング102は、IR照射光源103およびIR受光器104をそれぞれ内蔵して光学検出器101の外筐を構成する部品であり、金属板を直方体状に形成して構成されている。
飛翔昆虫検出装置100は、光学検出器101を備えている。光学検出器101は、図3に示すように、飛翔昆虫FBの検出対象となる検出対象空間DE内に赤外線IRを照射するとともにこの赤外線IRが飛翔昆虫FBによって反射された反射光を検出するための装置であり、主として、ハウジング102、IR照射光源103およびIR受光器104をそれぞれ備えている。ハウジング102は、IR照射光源103およびIR受光器104をそれぞれ内蔵して光学検出器101の外筐を構成する部品であり、金属板を直方体状に形成して構成されている。
IR照射光源103は、検出対象空間DE内に向けて赤外線IR(波長が700nm〜1mm)を放射状に照射する光学部品である。本実施形態においては、IR照射光源103は、950nmの波長が発光ピークとなるLED発光素子(Light Emitting Diode:発光ダイオード)によって構成されている。この場合、950nmの波長の赤外線IRは、太陽光や蛍光灯の発光スペクトルにおいて含有割合が比較的少ない光であり、飛翔昆虫FBの検出感度の観点から好適である。
このIR照射光源103は、光学検出器101を設置した場合におけるハウジング102の上面102a上に赤外線IRを出射する発光部が設けられた状態でハウジング102内に保持されている。この場合、本実施形態においては、IR照射光源103は、IR受光器104の周囲に均等に4つ配置されている。そして、これらの各IR照射光源103は、後述する制御装置120によってそれぞれ作動が制御される。なお、図1においては、IR照射光源103から照射された赤外線IRを破線で示している。
IR受光器104は、IR照射光源103から照射された赤外線IRのうち、飛翔昆虫FBによって反射された反射光を受光して受光量に応じた検出信号を出力する光学部品である。本実施形態においては、IR受光器104は、赤外線を検出可能なInGaAsPINフォトダイオード(以下、単に「フォトダイオード」という)によって構成されている。そして、IR受光器104は、複数のフォトダイオードを二次元平面に並べて配置したフォトダイオードアレイで構成されている。本実施形態においては、IR受光器104は、複数のフォトダイオードが平面視で方形状に二次元配列されたフォトダイオードアレイで構成されている。したがって、IR受光器104は、赤外線IRを受光した面積に対応する検出信号を出力する。なお、IR受光器104は、赤外線を検出可能であれば他の受光素子、例えば、PbSフォトダイオード、PbSeフォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトIC,CCDまたはCMOSなどで構成されていてもよいことは当然である。
このIR受光器104は、4つのIR照射光源103がそれぞれ設けられたハウジング102における上面102a上の中央部に赤外線IRを受光する受光部が設けられた状態でハウジング102内に保持されている。この場合、IR受光器104は、受光部上に赤外線IR以外の波長の光を減衰する光学カットフィルタ105が配置された状態でハウジング102内に保持される。そして、このIR受光器104は、制御装置120によって作動が制御される。なお、図3においては、光学カットフィルタ105の一部を破断して示している。
光学検出器101の上方には、IR反射体106が設けられている。IR反射体106は、IR照射光源103から照射された赤外線IRのうち飛翔昆虫FBに当たらなかった赤外線IRが飛翔昆虫FB以外の物体によって反射してIR受光器104に入射することを防止するための部品である。より具体的には、IR反射体106は、赤外線IRの一部を吸収するとともに他の一部を反射する黒色の板状体で構成されている。本実施形態においては、IR反射体106は、長方形状に形成された黒色の塩ビ板(ポリ塩化ビニル製の板)で構成されている。
この場合、IR反射体106は、IR照射光源103から照射される赤外線IRの照射範囲に相当する大きさに形成されることが望ましいが、赤外線IRの照射範囲よりも小さい大きさに形成されていてもよい。本発明者の実験によれば、IR反射体106は、IR受光器104の受光面積の500倍以上、好ましく500倍以上かつ3000倍以下、より好ましくは500倍以上かつ2000倍以下で形成するとよい。このIR反射体106は、光学検出器101の上方において光学検出器101との間に検出対象空間DEを介した位置にIR照射光源103から照射された赤外線IRをIR受光器104以外の方向に反射させる向きで支持体110によって支持されている。なお、図1においては、IR照射光源103から照射されて飛翔昆虫FBおよびIR反射体106によってそれぞれ反射された各赤外線IRを破線で示している。
支持体110は、IR反射体106を光学検出器101の上方において検出対象空間DEを介した位置に所定の角度で支持する器具であり、主として、把持体111、支柱112およびベース113によって構成されている。把持体111は、IR反射体106を着脱自在に把持する部品であり、支柱112に取り付けられている。この場合、把持体111は、支柱112に対して軸方向の取り付け位置が変更可能に取り付けられている。また、把持体111は、IR反射体106のIR受光器104に対する向きを変更するための調節ノブ111aを備えている。
支柱112は、IR反射体106を把持する把持体111を支持するための部品であり、棒状に延びて形成されている。この場合、支柱112は、支柱112に照射された赤外線IRのIR受光器104側への反射を抑制するため、黒色の丸棒状に形成されている。また、ベース113は、支柱112を安定的に支持するための部品であり、重量物である金属材を直方体状に形成して構成されている。
制御装置120は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、キーボードおよびマウスからなる入力装置121および液晶ディスプレイからなる表示装置122をそれぞれ備えるパーソナルコンピュータ(所謂パソコン)である。この制御装置120は、図示しない飛翔昆虫検出仕様設定プログラムおよび飛翔昆虫検出プログラムを実行することにより、光学検出器101におけるIR照射光源103およびIR受光器104の各作動を制御して検出対象空間DE内での飛翔昆虫FBの有無を検出する。
この場合、飛翔昆虫検出仕様設定プログラムおよび飛翔昆虫検出プログラムは、後述する使用者により予め制御装置120におけるハードディスクに記憶されている。なお、制御装置120は、光学検出器101におけるIR照射光源103およびIR受光器104の作動をそれぞれ制御することができれば、どのような形式のコンピュータ装置であってもよい。例えば、光学検出器101におけるハウジング102内に制御装置120を内蔵するように構成することもできる。なお、図1においては、制御装置120、入力装置121および表示装置122の図示を省略しているが、これらの制御装置120、入力装置121および表示装置122は光学検出器101に電気的に接続されて光学検出器101の近傍や光学検出器101の設置されている部屋とは異なる部屋に設置される。
(飛翔昆虫検出装置100の作動)
次に、このように構成された飛翔昆虫検出装置100の作動について説明する。まず、飛翔昆虫検出装置100を使用する使用者は、飛翔昆虫FBを検出する室内に光学検出器101およびIR反射体106をそれぞれ設置する。具体的には、使用者は、光学検出器101、IR反射体106および支持体110をそれぞれ用意する。次いで、使用者は、飛翔昆虫FBの検出対象となる検出対象空間DEの下方の床面G上に光学検出器101を配置する。この場合、使用者は、IR照射光源103の発光部およびIR受光器104の受光部が設けられた上面102aを上方の検出対象空間DEに向けた状態で光学検出器101を配置する。なお、使用者は、光学検出器101を床面G上に置かれた台や机の上に配置してもよいことは当然である。
次に、このように構成された飛翔昆虫検出装置100の作動について説明する。まず、飛翔昆虫検出装置100を使用する使用者は、飛翔昆虫FBを検出する室内に光学検出器101およびIR反射体106をそれぞれ設置する。具体的には、使用者は、光学検出器101、IR反射体106および支持体110をそれぞれ用意する。次いで、使用者は、飛翔昆虫FBの検出対象となる検出対象空間DEの下方の床面G上に光学検出器101を配置する。この場合、使用者は、IR照射光源103の発光部およびIR受光器104の受光部が設けられた上面102aを上方の検出対象空間DEに向けた状態で光学検出器101を配置する。なお、使用者は、光学検出器101を床面G上に置かれた台や机の上に配置してもよいことは当然である。
次いで、使用者は、光学検出器101の上方に検出対象空間DEを介してIR反射体106を配置する。この場合、使用者は、IR反射体106をIR照射光源103から出射された赤外線IRが照射される位置であって、かつこの赤外線IRをIR受光器104以外の方向に反射させる向きに傾斜させた状態で支持体110に支持させる。また、この場合、検出対象空間DEにおける光学検出器101とIR反射体106の間の距離(高さ)は、室内であれば、1m〜5mの範囲が好適である。この光学検出器101およびIR反射体106をそれぞれ設置する作業が、本発明に係るIR照射光源設置工程およびIR受光器設置工程に相当する。
次に、使用者は、飛翔昆虫検出装置100の作動条件を設定する。具体的には、使用者は、制御装置120、入力装置121および表示装置122をそれぞれ用意するとともに、光学検出器101を制御装置120に接続する。次いで、使用者は、入力装置121を操作することにより図示しない飛翔昆虫検出仕様設定プログラムを制御装置120に実行させることによって飛翔昆虫FBの検出時間TIおよび検出感度などからなる飛翔昆虫検出装置100の作動条件を設定する。この場合、飛翔昆虫FBの検出時間TIとはIR照射光源103が赤外線IRを照射するとともにIR受光器104が飛翔昆虫FBからの反射光を検出し続ける作動時間(例えば、1時間や8時間など)であり、飛翔昆虫FBの検出感度とは飛翔昆虫FBの存在を判定するIR受光器104からの検出信号の大きさ(受光面積の大きさ)の検出閾値THである。
次に、使用者は、飛翔昆虫検出装置100を用いて飛翔昆虫FBの検出を行う。具体的には、入力装置121を操作することにより図示しない飛翔昆虫検出プログラムを制御装置120に実行させることによってIR照射光源103およびIR受光器104の作動をそれぞれ開始させる。これにより、IR照射光源103は赤外線IRを上方に向けて照射
するとともに、IR受光器104は受光した赤外線IRの受光量に応じた検出信号を制御装置120に出力する。一方、制御装置120は、飛翔昆虫FBの検出時間TIのカウントおよびIR受光器104からの検出信号の信号レベルの監視をそれぞれ開始する。
するとともに、IR受光器104は受光した赤外線IRの受光量に応じた検出信号を制御装置120に出力する。一方、制御装置120は、飛翔昆虫FBの検出時間TIのカウントおよびIR受光器104からの検出信号の信号レベルの監視をそれぞれ開始する。
この場合、各IR照射光源103からそれぞれ照射された赤外線IRは、全体として上方に向かって錘状に広がりながら照射される。そして、各IR照射光源103から照射された赤外線IRのうちの一部、より具体的には、中央部分の赤外線IRはIR反射体106に照射され続けながら同IR反射体106によってIR受光器104とは異なる方向に反射される。また、各IR照射光源103から照射された赤外線IRのうちの他の一部、より具体的には、IR反射体106に照射されなかったIR反射体106の外側の赤外線IRは、減衰しながら他の物体(例えば、壁、天井、家具など)に照射されて吸収、散乱または反射して更に減衰していく。
このような状態において赤外線IRの照射領域内に飛翔昆虫FBが進入すると、飛翔昆虫FBの頭部、胸部および腹部の各下面にIR照射光源103からの赤外線IRが照射されるとともに、同各下面によって赤外線IRが下方に向かって反射される。これにより、IR受光器104は、飛翔昆虫FBからの反射光を受光すると、その受光量に応じた検出信号を制御装置120に直ちに出力する。
一方、制御装置120は、図5に示すように、IR受光器104から継続的に出力される検出信号を監視して前記検出閾値TH以上の信号レベルの検出信号を検出した場合には、飛翔昆虫FBが存在するものとして判定して飛翔昆虫FBの検出回数をカウントする。図5に示す検出信号の経時変化グラフにおいては、3つの塊部分で検出信号の信号レベルが検出閾値TH以上に達して飛翔昆虫FBが検出されている。この検出信号を用いて制御装置120が飛翔昆虫FBを検出する工程が、本発明に係る飛翔昆虫検出工程に相当する。
制御装置120は、検出時間TIが経過する間、IR受光器104から継続的に出力される検出信号を監視して検出信号の信号レベルが検出閾値TH以上に達した回数をカウントする。そして、制御装置120は、検出時間TIが経過した場合には、IR照射光源103からの赤外線IRの照射およびIR受光器104による赤外線IRの受光をそれぞれ中断するとともに、カウントした飛翔昆虫FBの検出回数を表示装置122に表示させて飛翔昆虫検出プログラムの実行を終了する。これにより、使用者は、検出対象空間DE内における飛翔昆虫FBの存在を確認することができる。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、飛翔昆虫検出装置100は、飛翔昆虫FBの検出対象となる検出対象空間DEに向けて赤外線IRを照射するIR照射光源103が検出対象空間DE内における下方から上方に向けて赤外線IRを照射するように設置されているため、飛行する飛翔昆虫FBの下面に赤外線IRを照射する。この場合、飛翔昆虫FBにおいては、一般に、腹部が全体的に丸みを帯びて形成されているが、腹部の下面(腹面)は上面(羽側)に比べて平らに形成されていることが多い。また、飛翔昆虫FBのうちのハエ類は、体の上面や側面が黒色や茶色の濃色系であっても、腹部の下面(腹面)は白色、肌色または黄色などの淡色系であることが多く反射率が高い。このため、飛翔昆虫FBの下面に照射された赤外線IRは、飛翔昆虫FBの正面や側面に赤外線IRが照射された場合に比べて反射され易く反射光量が増加する。これにより、飛翔昆虫検出装置100は、IR受光器104に入射する反射光の光量が増加するため、空間中を飛行する飛翔昆虫FBを高精度に検出することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付して重複する説明は省略する。
例えば、上記実施形態においては、飛翔昆虫検出装置100は、IR照射光源103とIR受光器104とからなる光学検出器101を備えて構成した。しかし、飛翔昆虫検出装置100は、IR照射光源103とIR受光器104とをそれぞれ別体で構成することもできる。これによれば、飛翔昆虫検出装置100は、IR照射光源103とIR受光器104とをそれぞれ別の場所に配置できるため、飛翔昆虫FBの検出に最適な場所にそれぞれを配置することができる。
また、上記実施形態においては、IR照射光源103は、IR受光器104の周囲に4つ配置した。しかし、IR照射光源103は、少なくとも1つ以上で構成されていればよいため、3つ以下であってもよいし5つ以上であってもよい。
また、上記実施形態においては、IR照射光源103は、発光のピーク波長が950nmの赤外線を発光するように構成した。しかし、IR照射光源103は、検出対象空間DE内に向けて波長が700nm〜1mmの範囲の赤外線IRを照射するように構成すれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。この場合、発明者の実験によれば、IR照射光源103が照射する赤外線は、発光のピーク波長が930nm以上970nm以下の範囲が好適であり、さらには発光のピーク波長が940nm以上かつ960nm以下の範囲がより好適である。なお、IR受光器104は、IR照射光源103が発光する赤外線IRに応じて受光感度を有するように構成されることは当然である。
また、上記実施形態においては、IR受光器104は、フォトディテクタを2次元配列して平面状に構成した。しかし、IR受光器104は、赤外線IRを受光して検出信号を出力する少なくとも1つフォトディテクタで構成されていればよい。したがって、IR受光器104は、フォトディテクタを1列に並べた線状に構成してもよい。また、IR受光器104は、検出対象空間DEの下方に複数配置することもできる。
また、上記実施形態においては、飛翔昆虫検出装置100は、IR照射光源102による赤外線IRの照射領域に偶発的に飛来する飛翔昆虫FBを検出するように構成した。しかし、飛翔昆虫検出装置100は、飛翔昆虫FBをIR照射光源102による赤外線IRの照射領域に誘引する誘引手段を備えて構成することもできる。この場合、誘引手段としては、例えば、飛翔昆虫FBが好む光(例えば、紫外線)を発光する照明器具、飛翔昆虫FBが誘引されるフェロモン、または飛翔昆虫FBのエサなどがある。
また、上記実施形態においては、飛翔昆虫検出装置100は、IR反射体106を備えて構成した。しかし、飛翔昆虫検出装置100は、IR照射光源103から照射された赤外線IRが飛翔昆虫FB以外の物体によって反射してIR受光器104の検出信号に悪影響を与えなければ、必ずしもIR反射体1056は必要ではない。したがって、飛翔昆虫検出装置100は、例えば、IR照射光源103から照射された赤外線IRを反射させる飛翔昆虫FB以外の物体がIR受光器104に対して十分に離れている場合、IR照射光源103から照射された赤外線IRを吸収する吸収体が存在している場合、または大型の飛翔昆虫FBを検出する場合のように飛翔昆虫FBからの反射光量が大きい場合などにおいては、IR反射体106を省略して構成することもできる。
また、上記実施形態においては、飛翔昆虫検出装置100は、IR照射光源103から発せられた赤外線IRの一部がIR反射体106によってIR受光器104とは異なる方向に反射するように構成した。しかし、この場合、IR反射体106が赤外線IRを反射させる光路上にIR反射体106に向かって赤外線IRを反射させる物体(例えば、壁や家具など)が存在すると、IR反射体106が反射した赤外線IRが前記物体によって再びIR反射体106に向かって反射されてIR受光器104に導かれることがある。したがって、飛翔昆虫検出装置100は、例えば、図5に示すように、IR反射体106の光路上に赤外線IRを吸収または散乱させるIR減衰体107を設けて構成することができる。この場合、IR減衰体107としては、例えば、黒色のマット調に塗装した樹脂板、細かな凹凸(例えば、梨地)の樹脂板やゴム板、または木板などで構成することができる。
また、飛翔昆虫検出装置100は、IR反射体106に代えてIR減衰体107を備えて構成することもできる。これによれば、飛翔昆虫検出装置100は、IR照射光源103から発せられた赤外線IRの一部をIR減衰体107によって減衰することができるため、IR反射体106とIR減衰体107とで構成する場合に比べて装置構成を簡単化することができる。
また、上記実施形態においては、飛翔昆虫検出装置100は、制御装置120が飛翔昆虫FBの検出数をカウントして表示装置122に表示するように構成した。しかし、飛翔昆虫検出装置100は、制御装置120が飛翔昆虫FBの検出回数をカウントする以外の処理を行うように構成することもできる。例えば、飛翔昆虫検出装置100は、制御装置120が飛翔昆虫FBを検出した場合には警報を発するようにしてもよいし、インターネット回線を通じて遠隔者に通知するように構成することもできる。また、飛翔昆虫検出装置100は、殺虫剤を噴射する殺虫剤噴射装置を備えて構成しておき、制御装置120が飛翔昆虫FBを検出した際に殺虫剤噴射装置を起動させて飛翔昆虫FBを殺虫するように構成することもできる。また、飛翔昆虫検出装置100は、制御装置120が各種作業機械(例えば、食品製造機)の作動を制御するように構成しておき、制御装置120が飛翔昆虫FBを検出した際に前記各種作業機械の作動を停止させるように構成することもできる。
また、上記実施形態においては、制御装置120は、IR受光部104から入力する検出信号の信号レベル(受光面積)が検出閾値TH以上である場合に飛翔昆虫FBが存在のみを判定するように構成した。しかし、制御装置120は、飛翔昆虫FBのカウントに加えてまたは代えて飛翔昆虫FBの種類を検出することができる。
具体的には、制御装置120は、IR受光器104が出力する検出信号の信号レベル(受光面積に飛翔昆虫FBを対応させた昆虫特定テーブルを予め記憶しておく。この場合、飛翔昆虫においては、飛翔昆虫の種類ごとに大きさが異なるため、赤外線IRの反射光量も異なるため、反射光量によって飛翔昆虫の種類を特定することができる。したがって、制御装置120は、IR受光部104から入力する検出信号の信号レベル(受光面積)に応じて昆虫特定テーブルを参照して飛翔昆虫FBを特定することができる。
また、上記実施形態においては、飛翔昆虫検出装置100は、室内(例えば、居室、事務所、工場、教室、実験室、料理場、食堂、クリーンルーム、栽培室、飼育室または病室など)での使用を想定している。しかし、飛翔昆虫検出装置100は、屋外(例えば、農園、果樹園、駅、駐車場または駐輪場など)においても使用することができるものである。この場合、使用者は、光学検出器101を検出対象空間DEの下方における地面に直接、または台や机などの支持体を介して間接的に配置する。
IR…赤外線、FB…飛翔昆虫、DE…検出対象空間、G…床面、TI…検出時間、TH…検出閾値
100…飛翔昆虫検出装置、
101…光学検出器、102…ハウジング、102a…上面、103…IR照射光源、104…IR受光器、105…光学カットフィルタ、106…IR反射体、107…IR減衰体、
110…支持体、111…把持体、111a…調節ノブ、112…支柱、113…ベース、
120…制御装置、121…入力装置、122…表示装置。
100…飛翔昆虫検出装置、
101…光学検出器、102…ハウジング、102a…上面、103…IR照射光源、104…IR受光器、105…光学カットフィルタ、106…IR反射体、107…IR減衰体、
110…支持体、111…把持体、111a…調節ノブ、112…支柱、113…ベース、
120…制御装置、121…入力装置、122…表示装置。
Claims (7)
- 飛翔昆虫の検出対象となる検出対象空間に向けて赤外線を照射するIR照射光源と、
前記IR照射光源から照射された前記赤外線の反射光を受光して検出信号を出力するIR受光器とを備え、
前記IR照射光源は、
前記検出対象空間における下方から上方に向けて前記赤外線を照射する向きで設置されており、
前記IR受光器は、
前記検出対象空間における上方から導かれる前記赤外線を受光する向きで設置されることを特徴とする飛翔昆虫検出装置。 - 請求項1に記載した飛翔昆虫検出装置において、
前記IR照射光源と前記IR受光器とを同一平面内に有して一体的に構成した光学検出器を備えることを特徴とする飛翔昆虫検出装置。 - 請求項1または請求項2に記載した飛翔昆虫検出装置において、
前記IR照射光源は、
前記IR受光器の周囲に複数配置されて前記赤外線を放射状に照射することを特徴とする飛翔昆虫検出装置。 - 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した飛翔昆虫検出装置において、さらに、
前記IR照射光源の上方に配置されて同IR照射光源から照射された前記赤外線を前記IR受光器とは異なる方向に反射するIR反射体を備えることを特徴とする飛翔昆虫検出装置。 - 請求項4に記載した飛翔昆虫検出装置において、さらに、
前記IR反射体が前記赤外線を反射する光路上に配置されて同IR反射体が反射した前記赤外線を拡散反射または吸収するIR減衰体を備えることを特徴とする飛翔昆虫検出装置。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載した飛翔昆虫検出装置において、
前記IR受光器からの前記検出信号を用いて前記飛翔昆虫の有無を検出する制御装置を備え、
前記IR受光器は、前記飛翔昆虫からの前記反射光を二次元平面で受光する受光部を有しており、
前記制御装置は、
前記受光部で受光した前記反射光の大きさと複数種類の飛翔昆虫とを対応させた昆虫特定テーブルを記憶しており、
前記IR受光器から出力される前記検出信号によって表された前記反射光の大きさに応じて前記昆虫特定テーブルを用いて前記飛翔昆虫の種類を特定することを特徴とする飛翔昆虫検出装置。 - 飛翔昆虫の検出対象となる検出対象空間に向けて赤外線を照射するIR照射光源と、
前記IR照射光源から照射された前記赤外線の反射光を受光して検出信号を出力するIR受光器と、
前記IR受光器からの検出信号を用いて前記飛翔昆虫を検出する制御装置とをそれぞれ用意して、
前記IR照射光源を前記検出対象空間における下方から上方に向けて前記赤外線を照射する向きで設置するIR照射光源設置工程と、
前記IR受光器を前記検出対象空間における上方から導かれる前記赤外線を受光する向きで設置するIR受光器設置工程と、
前記制御装置が前記IR受光器からの前記検出信号を用いて前記飛翔昆虫の有無を検出する飛翔昆虫検出工程とを含むことを特徴とする飛翔昆虫検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014219054A JP2016082931A (ja) | 2014-10-28 | 2014-10-28 | 飛翔昆虫検出装置および飛翔昆虫検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2014219054A Pending JP2016082931A (ja) | 2014-10-28 | 2014-10-28 | 飛翔昆虫検出装置および飛翔昆虫検出方法 |
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JP (1) | JP2016082931A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108513955A (zh) * | 2018-06-07 | 2018-09-11 | 南京农业大学 | 一种无接触测定飞行昆虫飞行轨迹的测定装置及其测定方法 |
CN114096151A (zh) * | 2019-06-28 | 2022-02-25 | 艾欧缇指示器有限公司 | 用于确定臭虫活动的设备和用于检测臭虫的方法 |
CN115997736A (zh) * | 2023-03-28 | 2023-04-25 | 绵阳师范学院 | 一种用于昆虫的飞行速度测试设备 |
-
2014
- 2014-10-28 JP JP2014219054A patent/JP2016082931A/ja active Pending
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