JP2016077176A - 環境汚染物質分解性微生物を包含する環境浄化用カプセル - Google Patents

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真由加 吉田
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Abstract

【課題】本発明は、バイオレメディエーションに使用できる環境汚染物質分解性微生物を包含するカプセルを提供することを目的とする。【解決手段】本発明によって、環境汚染物質を分解する微生物を包含する環境浄化用シームレスカプセル、および環境汚染物質を分解する微生物を包含するシームレスカプセルを汚染環境に供することを特徴とする環境浄化方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、環境汚染物質分解性微生物を包含する環境浄化用カプセルおよび該カプセルを用いることを特徴とする環境浄化方法に関する。
近年、工場排煙、工場排水、残留農薬、化学肥料、生活排水等あるいは災害、事故等による大気汚染、水質汚染、土壌汚染等の環境汚染が世界的な問題となっており、その対策が求められている。
環境浄化方法の一つとして、微生物の機能を利用して汚染物質を分解させるバイオレメディエーションが知られている。バイオレメディエーションには、大別して、土着の微生物を活性化させて利用する方法(バイオスティミュレーション)と、汚染物質を分解する微生物を外部から投入する方法(バイオオーグメンテーション)とがあるが、前者は浄化能力が弱く、また、後者は外来微生物をばらまくことへの懸念や、土着微生物との競合により外来微生物が十分に生存できないなどの問題がある。
バイオレメディエーションの方法としては、ポリビニルアルコールなどのゲル材料やウレタンフォーム、活性炭などの担体に目的の微生物を表面固定法や包括法によって固定化して得られる微生物固定化担体を用いる方法(例えば、特許文献1および特許文献2)や、目的の微生物を充填した水溶性の合成樹脂製カプセルを用いる方法(例えば、特許文献3)などが開発されている。しかしながら、従来法では、表面固定法によって固定化された微生物は、環境に投入後に担体から固定化微生物が遊離することがあり、また、包括法によって固定化された微生物やカプセルに封入された微生物は、担体またはカプセルが崩壊(分解)することによって微生物を環境中に与えるものなので、環境中に外来微生物を拡散してしまうという懸念がある。また、拡散した微生物を回収することは困難である。さらに、担体に固定化またはカプセルに封入された微生物が一旦環境中に投入されると、ある程度生育した後、栄養分が不足して生育が止まり、浄化作用を発揮しなくなるという問題がある。このような場合は、外部から栄養分を与える作業が必要となる。また、環境中に投入された微生物はしばしば、優勢な土着菌の存在により、その生育が阻害されてしまい、望むような浄化効果が得られないという問題がある。このように、従来法では、その浄化効果、効果の持続性、取り扱いなどの観点から、いまだ十分に満足できるものではなく、さらなる開発が望まれている。
特開2003−238号公報 特開2002−18480号公報 特開平7−241585号公報
本発明は、バイオレメディエーションに使用できる環境汚染物質分解性微生物を包含するカプセルを提供することを目的とする。
発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、環境汚染物質分解性微生物をシームレスカプセルに封入することにより、バイオレメディエーションに有用なカプセルが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]環境汚染物質を分解する微生物を包含する環境浄化用シームレスカプセル、
[2]環境汚染物質を分解する微生物がシュードモナス属、スフィンゴビウム属、スフィンゴモナス属、またはパルビバクラム属の微生物である、[1]記載のシームレスカプセル、
[3]ニトロベンゼン、安息香酸、クロロフェノール、γヘキサクロロシクロヘキサン(以下、γHCHともいう)、直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩(以下、LASともいう)、およびナフタレンから選択される1以上の環境汚染物質を分解する微生物を含む、[1]または[2]記載のシームレスカプセル、
[4]環境汚染物質を分解する微生物がPseudomonas pseudoalcaligenes、Pseudomonas putida、Sphingobium chlorophenolicum、Sphingomonas pautimobilis、またはParvibaculum lavamentivoransである、[2]または[3]記載のシームレスカプセル、
[5]ニトロベンゼン、安息香酸、クロロフェノール、γHCH、LAS、およびナフタレンから選択される1以上の環境汚染物質を分解するための、[1]〜[4]のいずれか1項記載のシームレスカプセル、
[6]環境汚染物質を分解する微生物がPseudomonas pseudoalcaligenesであり、環境汚染物質がニトロベンゼンである、[5]記載のシームレスカプセル、
[7]環境汚染物質を分解する微生物がPseudomonas putidaであり、環境汚染物質が安息香酸およびナフタレンから選択される1以上である、[5]記載のシームレスカプセル、
[8]環境汚染物質を分解する微生物がSphingobium chlorophenolicumであり、環境汚染物質が塩素数1〜5個のクロロフェノールである、[5]記載のシームレスカプセル、
[9]環境汚染物質を分解する微生物がSphingomonas pautimobilisであり、環境汚染物質がγHCHである、[5]記載のシームレスカプセル、
[10]環境汚染物質を分解する微生物がParvibaculum lavamentivoransであり、環境汚染物質がLASである、[5]記載のシームレスカプセル、
[11]環境汚染物質を分解する微生物を包含するシームレスカプセルを汚染環境に供することを特徴とする、環境浄化方法、および
[12]汚染環境が海、河川、湖、沼、池、井戸、地下水または土壌である、[11]記載の環境浄化方法を提供する。
本発明において、環境汚染物質分解性微生物はカプセル中に封入されているので、本発明のカプセルを用いれば、汚染環境への有用微生物の提供および回収が容易に実施できる。また、本発明のカプセルにおいて、環境汚染物質分解性微生物はカプセル中に安定に維持されるので、長期にわたって浄化効果を持続させることもできる。
上記のごとく、本発明は、環境汚染物質を分解する微生物を包含する環境浄化用シームレスカプセルに関するものである。ここで、環境浄化とは、環境中の汚染物質を低減あるいは除去することにより、汚染が軽減された環境あるいは汚染のない環境を取り戻すことを意味する。また、環境汚染物質とは、大気、水、土壌、生体等の環境中に存在する化学物質であって、人間の生存に直接的または間接的に悪影響を与える濃度で存在するものをいう。
本発明のカプセルは、シームレスカプセルである。シームレスカプセルとは、液体の界面張力を利用して製造される継ぎ目のないソフトカプセルであり、製造条件によって、カプセルの大きさ、皮膜の厚さ、硬度、溶解性などの性質を幅広く設定することが可能である。本発明のカプセルは、外皮膜(最外層)と内容物(最内層)とからなる2層構造のカプセル、外皮膜(最外層)、中間層、および内容物(最内層)とからなる3層構造のカプセル、または外皮膜(最外層)、2以上の中間層、および内容物(最内層)とからなる4層以上の多層構造のカプセルのいずれであってもよい。
本発明のカプセルの外皮膜は、半透膜性である。本発明のカプセルの外皮膜材料としては、従来からカプセル製造に用いられるいずれの半透膜性材料を用いてもよい。例えば、本発明のカプセルの外皮膜材料として、光硬化性成分、熱硬化性成分、または熱可塑性樹脂を含む外皮膜形成組成物を用いることができる。好ましくは、本発明のカプセルの外皮膜材料として、水性(親水性)の外皮膜形成組成物が用いられる。また、好ましくは、本発明のカプセルの外皮膜材料として、光硬化性成分を含む外皮膜形成組成物が用いられる。
本発明で使用することができる光硬化性成分としては、光照射により重合する成分であれば特に限定されない。本発明においては、好ましくは、光硬化性成分として、水性(親水性)の光硬化性成分が用いられる。水性(親水性)の光硬化性成分を用いてカプセル外皮膜を形成することにより、得られるカプセルの表面の水親和性が向上するので、該カプセルを汚染環境(特に水系汚染環境)に供した場合に、優れた浄化能力を発揮する。光硬化性成分としては、例えば、光重合性オリゴマーおよびその付加重合物などが挙げられる。本発明においては、1種の光硬化性成分を用いてもよく、または2種以上の光硬化性成分を組み合わせて用いてもよい。
光重合性オリゴマーとしては、例えば、限定するものではないが、アクリレート系オリゴマー、不飽和ポリエステル系オリゴマー、ポリエン・チオール系オリゴマー、ケイ皮酸系オリゴマー、エポキシ系オリゴマー、ビニルエーテル系オリゴマー、不飽和ポリアミド系オリゴマーなどが挙げられる。好ましくは、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合および親水性基を有するアクリレート系オリゴマー、高酸価不飽和ポリエステル系オリゴマー、高酸価不飽和エポキシ系オリゴマー、アニオン性不飽和アクリルオリゴマー、不飽和ポリアミド系オリゴマーなどが用いられる。なかでも、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合および親水性基を有するアクリレート系オリゴマーが好ましく用いられる。
1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合および親水性基を有するアクリレート系オリゴマーとしては、例えば、限定するものではないが、ポリアルキレングリコールの両末端に光重合可能なエチレン性不飽和基を有するオリゴマーが挙げられる。このようなアクリレート系オリゴマーとしては、例えば、限定するものではないが、
(1)分子量400〜6000のポリエチレングリコールの両末端水酸基を、(メタ)アクリル酸2モルでエステル化したポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;
(2)分子量200〜4000のポリプロピレングリコールの両末端水酸基を、(メタ)アクリル酸2モルでエステル化したポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類;
(3)分子量400〜6000のポリエチレングリコール1モルの両末端水酸基を、ジイソシアネート化合物(例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど)2モルでウレタン化し、さらに不飽和モノヒドロキシ化合物[例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなど]2モルを付加した不飽和ポリエチレングリコールウレタン化物;および
(4)分子量200〜4000のポリプロピレングリコール1モルの両末端水酸基を、ジイソシアネート化合物(例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど)2モルでウレタン化し、さらに不飽和モノヒドロキシ化合物[例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなど]2モルを付加した不飽和ポリプロピレングリコールウレタン化物などが挙げられる。
アクリレート系オリゴマーとしては、市販品を用いてもよい。例えば、限定するものではないが、サンユレック株式会社からRM−6572、RM−6560、RM−6550、RM−6551、RL−6527などの商品名で販売されているアクリレート系オリゴマー、関西ペイント株式会社からENT−1000、ENT−2000、ENT−3400、ENT−4000、ENTG−2000、ENTG−3800などの商品名で販売されているアクリレート系オリゴマー、および新中村化学工業株式会社からUA−7100、UA−7000、UA−W2Aなどの商品名で販売されているアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
高酸価不飽和ポリエステル系オリゴマーとしては、例えば、限定するものではないが、不飽和結合を有する多価カルボン酸と、多価アルコールとのエステル化により得られる、酸価が40〜200の不飽和ポリエステルの塩類などが挙げられる。
高酸価不飽和エポキシ系オリゴマーとしては、例えば、限定するものではないが、酸価が40〜200の不飽和エポキシオリゴマーなどが挙げられる。このようなオリゴマーは、例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボキシル化合物[例えば、(メタ)アクリル酸など]との付加反応物を調製し、この付加反応物に残存するヒドロキシル基に、酸無水物を付加することによって得られる。
アニオン性不飽和アクリルオリゴマーとしては、例えば、限定するものではないが、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルのうち少なくとも2種の(メタ)アクリル系モノマー由来であって、かつ、カルボキシル基、リン酸基および/またはスルホン酸基を有する共重合体に、光重合可能なエチレン性不飽和基を導入したオリゴマーなどが挙げられる。
不飽和ポリアミド系オリゴマーは、例えば、ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなど)とエチレン性不飽和ヒドロキシ化合物(例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)との付加物を、水溶性ポリアミド(例えば、ゼラチンなど)に付加することにより得られる。
本発明において使用される光重合性オリゴマーとしては、数平均分子量300〜30,000を有する光重合性オリゴマーが好ましく、数平均分子量500〜20,000を有する光重合性オリゴマーがより好ましい。なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。
上記光硬化性成分のなかでも、ポリアルキレングリコールの両末端に光重合可能なエチレン性不飽和基を有するオリゴマーが特に好ましい。
上記光硬化性成分は、外皮膜形成組成物中に、固形分として、例えば、10〜99質量%、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜90質量%含有される。
本発明のカプセルの外皮膜材料として、熱硬化性成分を含む外皮膜形成組成物を用いる場合、熱硬化性成分としては、当該分野において一般的に用いられる熱硬化性成分を用いることができる。かかる熱硬化性成分としては、例えば、限定するものではないが、上記において光重合性オリゴマーとして例示した、アクリレート系オリゴマー、不飽和ポリエステル系オリゴマー、ポリエン・チオール系オリゴマー、ケイ皮酸系オリゴマー、エポキシ系オリゴマー、ビニルエーテル系オリゴマー、不飽和ポリアミド系オリゴマーなどが挙げられる。上記熱硬化性成分は、外皮膜形成組成物中に、固形分として、例えば、10〜99質量%、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜90質量%含有される。
本発明のカプセルの外皮膜材料として、熱可塑性樹脂を含む外皮膜形成組成物を用いる場合、当該分野において一般的に用いられる熱可塑性樹脂を用いることができる。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、限定するものではないが、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、(メタ)アクリル酸メチル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂などが挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、外皮膜形成組成物中に、固形分として、例えば、10〜99質量%、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜90質量%含有される。
外皮膜形成組成物は、必要に応じて、重合開始剤、光増感剤、着色剤、水溶性モノマー、外皮膜透過助剤、電荷調整剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤の含有量は、固形分として、例えば、外皮膜形成組成物の30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
重合開始剤としては、使用する光硬化性成分または熱硬化性成分に応じた従来公知の重合開始剤を用いることができ、特に限定されない。例えば、重合開始剤として、光重合開始剤を使用することができる。光重合開始剤とは、光照射によって重合開始種を発生し、重合反応または架橋反応を促進させることができる化合物を意味する。光重合開始剤としては、例えば、限定するものではないが、ベンゾイン、アセトイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジルミヒラーズケトン、キサントン、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ナフトール、アントラキノン、ヒドロキシアントラセン、アセトフェノンジエチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパン、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリフルオロカーボンスルホニウム塩などが挙げられる。本発明では、上記光硬化性成分と重合開始剤、特に光重合開始剤とを適宜組み合わせて使用することが好ましい。
熱硬化性成分を含む外皮膜形成組成物は、好ましくは、熱重合開始剤を含有する。熱重合開始剤としては、当該分野において一般的に用いられる熱重合開始剤を用いることができる。かかる熱重合開始剤としては、例えば、限定するものではないが、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチルなどのアゾ化合物、過酸化ジベンゾイル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどの過酸化化合物などが挙げられる。
本発明においては、1種の重合開始剤を用いてもよく、または2種以上の重合開始剤を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤は、固形分として、外皮膜形成組成物中に、例えば0.001〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%含まれる。外皮膜形成組成物中の重合開始剤の含有量が0.001質量%未満であると、重合反応が完全に進まず十分な被膜強度を得ることができない恐れがあり、20質量%を超えると開始反応が過剰に進み、重合反応が進まず皮膜強度の減少につながる恐れがある。
可視光領域で光硬化性成分を硬化させて外皮膜を形成する場合、外皮膜形成組成物に光増感剤を配合することが望ましい。光増感剤としては、例えば、限定するものではないが、ルテニウム錯体、ポルフィリン系化合物などが挙げられる。光増感剤の含有量は、固形分として、例えば、外皮膜形成組成物の0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。
外皮膜形成組成物は、必要に応じて、80℃以下で水性溶媒に溶解する不飽和結合を有する水溶性モノマー(例えば、イタコン酸、N,N’−メチレンビスアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミドなど)を1種または2種以上組み合わせて含んでいてもよい。水溶性モノマーを用いることによって、重合反応に悪影響を及ぼす反応を抑制することができ、外皮膜の強度をさらに高めることができる。水溶性モノマーの含有量は、固形分として、例えば、外皮膜形成組成物の0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜25質量%である。
外皮膜形成組成物は、好ましくは、外皮膜透過助剤を含む。外皮膜透過助剤を含むことにより、得られる外皮膜に対する環境汚染物質の膜透過性が高くなる。外皮膜透過助剤としては、例えば、限定するものではないが、アルギン酸、ポリビニルアルコール、寒天、カラギーナン、ジェランガム、ペクチン、デンプン、デンプン誘導体(例えば、アルキル化デンプン、エーテル化デンプンなど)、デキストリン、セルロース、タンパク質などが挙げられる。外皮膜透過助剤は、固形分として、外皮膜形成組成物中に、例えば0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜30質量%含まれる。
外皮膜形成組成物中に外皮膜透過助剤が含まれる場合は、外皮膜形成組成物を硬化した後、酵素処理、アルカリ処理または酸処理などの処理を行うことによって、外皮膜を形成する高分子の一部を切断、分解または溶解することができ、これにより外皮膜の透過性を向上させることができる。
本発明のカプセルの外皮膜材料は、耐久性、耐熱性、不溶性、水溶性、生物分解性などの所望の性質に応じて、適宜選択することができる。また、本発明のカプセルの外皮膜材料として、浄化対象となる環境や汚染物質に応じて、適当な孔径を有する皮膜材料を選択することができる。
本発明のカプセルの最内層には、カプセル内容物として、環境汚染物質分解性微生物を封入する。本発明において、環境汚染物質分解性微生物とは、環境汚染物質を部分的あるいは完全に分解し、無害な物質に変換する機能を有する微生物をいう。本発明のカプセルの最内層に封入される環境汚染物質分解性微生物は、浄化対象となる汚染物質によって適宜選択すればよく、特に制限されない。環境汚染物質分解性微生物の例としては、限定するものではないが、シュードモナス属、スフィンゴビウム属、スフィンゴモナス属、パルビバクラム属、コマモナス属、バルクホルデリア族、アルスロバクター属、キサントモナス属、ロドコッカス属の微生物が挙げられ、具体的には、限定するものではないが、Pseudomonas pseudoalcaligenes(例えば、Pseudomonas pseudoalcaligenes ATCC 700437など)、Pseudomonas putida(例えば、Pseudomonas putida G7など)、Sphingobium chlorophenolicum(例えば、Sphingobium chlorophenolicum ATCC 53874など)、Sphingomonas pautimobilis(例えば、Sphingomonas pautimobilis UT26など)、Parvibaculum lavamentivorans(例えば、Parvibaculum lavamentivorans NCIMB 13966など)、Comamonas testosteroni JH5、Bulkholderia xenovorans LB400、Arthrobacter chlorophenolicus A6、Rhodococcus erythropolis DSM 44556が挙げられる。本発明において、1つのカプセル内には、1種または2種以上の環境汚染物質分解性微生物が封入されている。
本発明において、カプセル内容物は、環境汚染物質分解性微生物を含む液体からなる。かかる液体は、親水性組成物中に環境汚染物質分解性微生物を懸濁させた水性懸濁液であってもよく、または油性組成物中に環境汚染物質分解性微生物を懸濁させた油性懸濁液であってもよい。
カプセル内容物の調製に用いることができる親水性組成物としては、例えば、水、生理食塩水、緩衝液、および液体培地などが挙げられる。使用される液体培地は、微生物の生存に必要な養分を含む液体培地であり、微生物の培養に通常使用されるいずれの培地であってもよい。
カプセル内容物の調製に用いることができる油性組成物としては、例えば、オリーブ油、ホホバ油、コーン油、ナタネ油、豚脂、牛脂、鯨油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、スクワラン、ミンク油、タートル油、炭素数が8〜30の炭化水素類、ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン、流動パラフィン、ワセリン、炭素数が4〜30の脂肪酸、炭素数が4〜30の脂肪酸とショ糖のエステル、炭素数が4〜30の脂肪酸とグリセロールとのエステル、炭素数が4〜30の脂肪族アルコール、炭素数が4〜30の脂肪酸と炭素数が4〜30の脂肪族アルコールとのエステル、およびシリコーンオイルなどが挙げられ、これらの1種のみを用いてもよく、または2種以上を混合して用いてもよい。これらの油性組成物のなかでも、−30℃〜60℃の温度範囲において粘度が200mPa・s以下である液状油脂が好ましい。
カプセル内容物は、必要に応じて、環境汚染物質分解性微生物の状態を良好に保つことができる添加成分を含んでいてもよい。このような添加成分としては、例えば、各種液体培地成分、各種固体培地成分などが挙げられる。
本発明において、環境汚染物質分解性微生物は、生きた状態でカプセル中に封入され、本発明のカプセル内で増殖することができる。したがって、本発明のカプセル内に封入する環境汚染物質分解性微生物の量は、特に限定されず、生存または増殖できる最小限の量またはより高密度な量であってもよく、使用目的に応じて適宜選択することができる。例えば、浄化効果の即効性を求める場合は、より高密度な量の微生物をカプセルに封入することが好ましい。例えば、本発明において、環境汚染物質分解性微生物は、カプセル内容物の100質量部に対して0.01〜30質量部の量で含まれ、好ましくは0.1〜20質量部の量で含まれる。例えば、本発明のカプセルに包含される環境汚染物質分解性微生物の菌数は、限定するものではないが、1カプセルあたり、約1個〜5×1011個、好ましくは約1×10個〜1×1011個である。
本発明において、カプセル内容物として、親水性組成物中に環境汚染物質分解性微生物を懸濁させた水性懸濁液を用いる場合、カプセル製造時に、環境汚染物質分解性微生物を含む水性懸濁液からなる最内層と、外皮膜からなる最外層との間に、油性物質からなる中間層を設ける必要がある。ここで、中間層を構成する油性物質としては、カプセル内容物の調製に用いることができる油性組成物として例示した油性組成物を用いることができ、好ましくは、融点が60℃以下の油脂(例えば、オリーブ油、ホホバ油、コーン油、ナタネ油、豚脂、牛脂、鯨油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、スクワラン、ミンク油、タートル油など)、イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)などが用いられる。該中間層は、カプセル100質量部に対して、例えば5〜50質量部の割合で形成され、好ましくは10〜40質量部の割合で形成される。
本発明のカプセルが3層以上の多層構造を有する場合、中間層には、例えば、微生物の生存に必要な養分、糖などの各種炭素源、アンモニウム塩等の各種窒素源、リン酸塩等の各種リン源、鉄、亜鉛、マンガン等の各種微量金属を入れてもよい。本発明のカプセルが、微生物の生存に必要な養分を含む中間層を有する場合、最内層の微生物に養分が供給されるため、微生物はカプセル内で長期間生存することが可能となり、該カプセルの浄化効果は長期間持続することができる。
本発明のカプセルは、例えば、液中滴下法によって製造することができる。具体的には、上記の外皮膜形成組成物およびカプセル内容物、および必要により、中間層材料を、二重ノズルまたは三重ノズル、または四重もしくはそれ以上の多重ノズルを用いてキャリア流体中に押し出し、次いで、光照射、加熱または冷却して外皮膜形成組成物を硬化することにより、製造することができる。本発明のカプセルは、例えば、国際公開第WO2012/060417号に記載される方法にしたがって製造することができる。
上記の製造方法では、調製時において接しあう成分の極性が互いに相違するものを用いる必要がある。例えば、外皮膜形成組成物が親水性である場合、カプセル内容物として、環境汚染物質分解性微生物を含む油性組成物が用いられる。カプセル内容物として、環境汚染物質分解性微生物を含む親水性組成物を用いる場合は、油性の外皮膜形成組成物を用いるか、または親水性の外皮膜形成組成物を用い、油性の中間層を設ける。
本発明のカプセルの製造において使用されるノズルとしては、例えば、同心二重ノズル、同心三重ノズル、または同心の四重もしくはそれ以上の多重ノズルが用いられ、該ノズルを備えた従来公知のカプセル製造装置を用いることができる。
本発明のカプセルの製造において使用されるキャリア流体は、外皮膜形成組成物の極性とは異なる極性を有していることが望ましい。外皮膜形成組成物が親水性である場合、キャリア流体として油性組成物が好ましく用いられる。該キャリア流体としては、例えば、限定するものではないが、オリーブ油、ホホバ油、コーン油、ナタネ油、豚脂、牛脂、鯨油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、スクワラン、ミンク油、タートル油、炭素数が8〜30の炭化水素類、ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン、流動パラフィン、ワセリン、炭素数が4〜30の脂肪酸、炭素数が4〜30の脂肪酸とショ糖とのエステル、炭素数が4〜30の脂肪酸とグリセロールとのエステル、炭素数が4〜30の脂肪族アルコール、炭素数が4〜30の脂肪酸と炭素数が4〜30の脂肪族アルコールとのエステル、およびシリコーンオイルなどが挙げられ、これらの1種のみを用いてもよく、または2種以上を混合して用いてもよい。これらのキャリア流体のなかでも、0℃〜30℃の温度範囲において粘度が10〜300mPa・sであるものが好ましく、30〜200mPa・sであるものがより好ましい。
2層構造を有する本発明のカプセルを製造する場合、例えば、第1ノズル(内側)および第2ノズル(外側)を有する同心二重ノズルを備えたカプセル製造装置を用いる。内側の第1ノズルから、カプセル内容物である環境汚染物質分解性微生物を含む油性組成物を、外側の第2ノズルから外皮膜形成組成物を同時にキャリア流体中に押し出す。押し出されたカプセル内容物および外皮膜形成組成物は、キャリア流体内で接触し、その際、カプセル内容物の極性と外皮膜形成組成物の極性との差により、2層構造のシームレスカプセルが構築される。より詳しくは、キャリア流体と外皮膜形成組成物との間に作用する界面張力によって、2層構造のジェット流が形成される。ジェット流は、その後、重力の作用によって、2層構造を有する球状の液滴を形成する。このとき、ジェット流に振動を加えることによって、液滴の粒径をより均一にすることができる。ここで、キャリア流体は、ポンプなどの駆動手段によって、望ましくは一定速度で装置内を循環させてもよい。
3層構造を有する本発明のカプセルを製造する場合、例えば、第1ノズル(最内部)、第2ノズル(中間部)および第3ノズル(最外部)を有する同心三重ノズルを備えたカプセル製造装置を用いる。第1ノズルから、カプセル内容物である環境汚染物質分解性微生物を含む親水性組成物を、第2ノズルから油性組成物を、および第3ノズルから外皮膜形成組成物を同時にキャリア流体中に押し出す。押し出されたカプセル内容物、油性組成物および外皮膜形成組成物はキャリア流体内で接触し、上記した2層構造のカプセルと同じ原理で、シームレスカプセルが構築される。4層以上の多層構造を有する本発明のカプセルを製造する場合もまた、同心の四重もしくはそれ以上の多重ノズルを用いること以外は、上記と同様である。
次いで、キャリア流体中に形成された多層構造を有する球状の液滴を光照射、加熱または冷却して、外皮膜形成組成物を硬化させる。
外皮膜形成組成物が光硬化性成分を含む場合、該液滴に対して、光源を用いて光照射する。光照射は、いずれの段階で行ってもよく、例えば、キャリア流体中であってもよく、あるいはネットなどの分離手段を介して液滴とキャリア流体とを分離した後であってもよい。光源としては、例えば、水銀灯、蛍光灯、ゼノン灯、カーボンアーク灯、メタルハライド灯などの約200nm〜約800nmの波長の光を照射することができる光源であれば特に限定はなく、使用する光硬化性成分に応じて適宜選択することができる。また、外皮膜形成組成物が光増感剤を含有する場合、可視光によって光硬化性成分を硬化させることができる。照射時間は、使用する光硬化性成分にもよるが、例えば0.05秒〜10分間、好ましくは0.1秒〜2分間である。上記照射によって、外皮膜形成組成物が硬化してカプセル外皮膜が形成され、本発明のシームレスカプセルが得られる。
熱硬化性成分を含む外皮膜形成組成物を用いる場合は、光を照射する光源を用いる代わりに、加熱されたキャリア流体を用いることができる。これにより、外皮膜形成組成物が硬化してカプセル外皮膜が形成され、本発明のシームレスカプセルが得られる。
熱可塑性樹脂を含む外皮膜形成組成物を用いる場合は、光を照射する光源を用いる代わりに、冷却されたキャリア流体を用いることができる。これにより、外皮膜形成組成物が硬化してカプセル外皮膜が形成され、本発明のシームレスカプセルが得られる。なお、熱可塑性樹脂を含む外皮膜形成組成物を用いる場合は、カプセル製造装置におけるノズル部などに加熱手段を設けることが好ましい。
かくして得られた本発明のカプセルは、必要に応じて、常圧乾燥法または減圧乾燥法などにより乾燥させてもよい。
本発明のカプセルの粒径は、特に限定されず、浄化対象となる環境、浄化対象となる汚染物質の種類、カプセル中に含まれる環境汚染物質分解性微生物の濃度などに応じて適宜選択することができる。例えば、本発明のカプセルの粒径は、約0.1〜10mm、好ましくは0.1〜5mmであってもよい。
本発明のカプセルの外皮膜の厚さは、カプセルの粒径によっても異なるが、例えば、10μm〜1mm、好ましくは100μm〜500μm程度である。本発明のカプセルの外層、中間層、および最内層の構成比は、カプセルの粒径によっても異なるが、体積比で、例えば10質量%〜50質量%:5質量%〜50質量%:15質量%〜70質量%、好ましくは30質量%〜50質量%:10質量%〜40質量%:30質量%〜50質量%であってもよい。
かくして得られた本発明のカプセルは、汚染環境を浄化するために用いることができる。本発明のカプセルは、外皮膜が半透膜性なので、本発明のカプセルを汚染環境中に置くと、環境中の汚染物質が外皮膜を透過してカプセル内に侵入する。カプセル内に侵入した汚染物質は、次いで、カプセル内で、環境汚染物質分解性微生物を含む最内層の油性組成物または親水性組成物と接触し、該環境汚染物質分解性微生物によって分解される。分解された物質は、外皮膜を透過して環境中に放出される。
なお、本発明のカプセルは、汚染環境中に置いて汚染物質を含む汚染水等が侵入すると、カプセル最内層が油性である場合は、カプセル内部に汚染物質を含む層ができ、またはカプセル最内層が親水性である場合は、中間層の油性部が局在することにより、層構造が変化すると考えられる。したがって、本発明のカプセルに関して、本明細書中では、「製造直後の状態において2層構造を有する」または「製造直後の状態において3層構造を有する」などの表現を用いる場合がある。
本発明のカプセルは、汚染環境中に置く前に、必要に応じて、液体培地中に浸漬して該カプセル中の環境汚染物質分解性微生物を増殖させてもよい。例えば、TSB(Tryptic Soy Broth )などの液体培地中に本発明のカプセルを浸漬し、約pH7にて30℃で6〜72時間培養することによって、該カプセル中の菌数を増やすことができる。
本発明のカプセルによる分解の対象となる環境汚染物質は、カプセル内に封入された微生物が分解できる物質である。該環境汚染物質としては、例えば、ダイオキシン、ポリ塩化ビフェニル、塩素化エチレン、各種農薬などの有機ハロゲン化合物、水銀、スズ、鉛、クロム、マンガンなどを含む有機重金属化合物(例えば、メチル化水銀、トリブチルスズなど)、原油・シェールガス掘削の漏出物質、ナフタレン、安息香酸、ベンゼンなどの石油系化合物、ニトロベンゼン、トリニトロトルエンなどの火薬系物質、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの洗剤成分、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどの溶媒などが挙げられ、特に、限定するものではないが、ニトロベンゼン、安息香酸、塩素数1〜5個のクロロフェノール、γHCH、LAS、ナフタレン、トリクロロエチレン、アトラジン、トルエン、キシレン、フェナントレンなどが挙げられる。LASにおける直鎖状アルキルとしては、例えば、炭素数10〜14個の直鎖状アルキルが挙げられ、アルキル鎖のいずれの位置にスルホフェニル基が結合していてもよく、また、該アルキルは該スルホフェニル基のベンゼン環の2位、3位または4位のいずれの位置に結合していてもよい。本発明において、LASは、アルキル鎖長の異なる同族体、スルホフェニル基の結合位置が異なる異性体、およびベンゼン環における結合位置の異なる異性体の混合物であってもよい。LASの例としては、直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、リチウム、亜鉛等の塩が挙げられる。LASの具体例としては、4−(直鎖状デシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−(直鎖状ウンデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−(直鎖状ドデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−(直鎖状トリデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−(直鎖状テトラデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、およびこれらの混合物が挙げられる。カプセル内に封入された微生物の種類によっては、1種の微生物が2種以上の環境汚染物質を分解することができる場合もある。また、複数種の微生物を1つのカプセル内に封入することによって、2種以上の環境汚染物質を分解することもできる。または、各々が異なる微生物を封入した2種以上の本発明のカプセルを併せて用いることによって、2種以上の環境汚染物質を分解することができる。各々が異なる微生物を封入した2種以上の本発明のカプセルを用いる場合、その混合比を適宜変更することによって、浄化対象となる汚染環境に適するカプセル混合物を得ることができる。
例えば、限定するものではないが、カプセル内に封入された微生物がPseudomonas pseudoalcaligenesである場合、環境中のニトロベンゼンを分解することができる。また、限定するものではないが、カプセル内に封入された微生物がPseudomonas putidaである場合、環境中の安息香酸およびナフタレンを分解することができる。また、限定するものではないが、カプセル内に封入された微生物がSphingobium chlorophenolicumである場合、環境中のクロロフェノール、例えば、塩素数が1〜5個のクロロフェノールを分解することができる。また、限定するものではないが、カプセル内に封入された微生物がSphingomonas pautimobilisである場合、環境中のγHCHを分解することができる。また、限定するものではないが、カプセル内に封入された微生物がParvibaculum lavamentivoransである場合、環境中のLAS、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩を分解することができる。
したがって、本発明は、本発明のカプセルを汚染環境に供することを特徴とする環境浄化方法を提供する。浄化対象となる汚染環境としては、例えば、工場排煙、工場排水、生活排水、鉱山排水などによって汚染された環境、具体的には、海、河川、湖、沼、池、土壌、井戸、地下水が挙げられる。本発明の浄化方法は、本発明のカプセルを汚染環境中に置くことによって実施される。汚染環境が水性環境である場合、例えば、本発明のカプセルを水中に浸漬する、または水面に散布することによって実施することができる。汚染環境が土壌である場合、例えば、本発明のカプセルを土壌中に埋める、または土壌表面に散布することによって実施することができる。あるいは、本発明のカプセルをネットなどに入れて汚染環境中に置くことにより、該環境を局所的に浄化することもできる。
本発明のカプセルを汚染環境中に置く態様としては、カプセルを環境中に固定してもよく(例えば、土壌等の場合)、環境中で可動な状態としてもよい(例えば、海、河川、湖、沼、池等の場合)。
かくして、本発明のカプセルを汚染環境中に置いた後、該カプセルを一定期間放置する。かかる期間は、所望の浄化効果を得られる期間であればよく、カプセルの大きさ、カプセル中の微生物の量、環境中に供したカプセルの量などに依存して適宜決定することができる。また、本発明のカプセルを汚染環境中に追加投入してもよく、あるいは、古いカプセルを回収し、新たなカプセルと交換してもよい。
本発明のカプセルの外皮膜が耐久性または不溶性の材料からできている場合、浄化終了後または浄化期間中に、カプセルを回収することが可能である。カプセルの回収方法は、例えば、濾過または篩い分けなどの簡便な操作によって汚染環境から分離することによって行うことができる。本発明のカプセルを網製の袋または容器などに入れて汚染環境中に置くこともでき、この場合、該袋または容器ごとカプセルを回収することができる。また、本発明のカプセルは、回収する必要がないように、環境中に一定期間放置して浄化目的を達成し、かつ、封入した微生物が死滅した後に崩壊するような水溶性または生物分解性の外皮膜材料を選択することもできる。
実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例中、「部」および「%」は、特記しないかぎり、質量基準によるものである。
実施例1 環境汚染物質分解性微生物を包含する2層構造のカプセルの製造
カプセル内容物として環境汚染物質分解性微生物を含む油性組成物を用い、外皮膜材料として、親水性の光硬化性成分を含む外皮膜形成組成物を用いて、製造直後の状態において2層構造を有するカプセルを製造した。
外皮膜形成組成物として、ENTG−3800(関西ペイント株式会社製)40%水溶液 60質量部%、アセトイン0.6質量部、ポバール(ポリビニルアルコール)0.5%水溶液 20質量部を混合した組成物を作成した。
カプセル内容物として、Pseudomonas pseudoalcaligenes ATCC 700437株(American Type Culture Collectionから入手)、Pseudomonas putida G7株(東北大学生命科学研究科遺伝情報動態研究室から入手)、Sphingobium chlorophenolicum ATCC 53874株(American Type Culture Collectionから入手)、Sphingomonas pautimobilis UT26株(東北大学生命科学研究科遺伝情報動態研究室から入手)、またはParvibaculum lavamentivorans NCIMB 13966株(National Collection of Industrial, Food and Marine Bacteria, Ltd.から入手)をヤシ油に懸濁し、カプセル1粒あたり1.2×10細胞となるように濃度調整した懸濁組成物を調製した。
次に、同心二重ノズルを有する装置(森下仁丹株式会社製、シームレスカプセル製造装置)を用いて、二重ノズルの内側ノズルから懸濁組成物を、外側ノズルから外皮膜形成組成物を、流下するキャリア流体中に同時に射出し、キャリア流体中でカプセル粒子を形成させた。キャリア流体として、流動パラフィンを用いた。カプセル粒子形成直後に波長320〜400nmの高圧水銀灯を用いて紫外線を照射し、外皮膜形成組成物の光硬化性成分(ENTG−3800)を重合させて、粒径4mmの2層構造のシームレスカプセルを得た。
実施例2 環境汚染物質分解性微生物を包含する3層構造のカプセルの製造
カプセル内容物として環境汚染物質分解性微生物を含む親水性組成物を用い、外皮膜材料として、親水性の光硬化性成分を含む外皮膜形成組成物を用い、中間層材料として油性物質を用いて、製造直後の状態において3層構造を有するカプセルを製造した。
外皮膜形成組成物として、ENTG−3800(関西ペイント株式会社製)40%水溶液 60質量部%、アセトイン0.6質量部、ポバール0.5%水溶液 20質量部を混合した組成物を作成した。
カプセル内容物として、Pseudomonas pseudoalcaligenes ATCC 700437株(American Type Culture Collectionから入手)、Pseudomonas putida G7株(東北大学生命科学研究科遺伝情報動態研究室から入手)、Sphingobium chlorophenolicum ATCC 53874株(American Type Culture Collectionから入手)、Sphingomonas pautimobilis UT26株(東北大学生命科学研究科遺伝情報動態研究室から入手)、またはParvibaculum lavamentivorans NCIMB 13966株(National Collection of Industrial, Food and Marine Bacteria, Ltd.から入手)を親水性液体培地中に懸濁し、カプセル1粒あたり1.2×10細胞となるように濃度調整した懸濁組成物を調製した。
さらに中間層材料として、イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)とヤシ油を50:50で混合した油性組成物を調製した。
次に、同心三重ノズルを有する装置(森下仁丹株式会社製、シームレスカプセル製造装置)を用いて、三重ノズルの最内側ノズルから懸濁組成物を、その外側ノズルから中間層組成物を、最外側ノズルから外皮膜形成組成物を、流下するキャリア流体中に同時に射出し、キャリア流体中でカプセル粒子を形成させた。キャリア流体として、シリコーンオイルを用いた。カプセル粒子形成直後に波長320〜400nmの高圧水銀灯を用いて紫外線を照射し、外皮膜形成組成物の光硬化性成分(ENTG−3800)を重合させて、粒径4mmの3層構造のシームレスカプセルを得た。
実施例3 環境汚染物質分解試験1
本発明のカプセルによる環境汚染物質分解について試験した。分解のターゲット物質として、安息香酸を用いた。
安息香酸を純水に溶解させて、安息香酸濃度が119ppmおよび1117ppmの溶液を調製した。各安息香酸溶液に、実施例1において製造したPseudomonas putida G7株を包含するカプセル100粒を浸漬した(菌数:2.5×10cfu/カプセル、1.3×10cfu/mL)。浸漬前、浸漬後0.5時間、1時間、2時間、3時間および24時間経過後に、各安息香酸溶液の濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
[HPLC条件]
装置:島津 LC20 AD
カラム:ODS−3(サイズ4.6×150mm、ジーエルサイエンス社製)
移動相:アセトニトリル/水 0.1%リン酸=30/70
流速:1.0mL/分
温度:40℃
検出:UV254nm
流入量:20μL
結果を表1に示す。なお、浸漬前の安息香酸溶液を安息香酸残存率100%として、各時点での残存率(%)を算出し、100から残存率を減じた数を分解率(%)として示す。
Figure 2016077176
Figure 2016077176
実施例4 環境汚染物質分解試験2
実施例3と同様に、本発明のカプセルによる環境汚染物質分解について試験した。分解のターゲット物質として、安息香酸、4−(直鎖状ドデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム)、ニトロベンゼン、ペンタクロロフェノール、およびγHCHを用いた。
各ターゲット物質を純水に溶解させて、119ppm濃度の安息香酸溶液、91ppm濃度のLAS溶液、56ppm濃度のニトロベンゼン溶液、52ppm濃度のペンタクロロフェノール溶液、および5ppm濃度のγHCH溶液(飽和溶液)を調製した。安息香酸溶液20mLに、実施例1において製造したPseudomonas putida G7株を包含するカプセル100粒を浸漬し(菌数:2.5×10cfu/カプセル、1.3×10cfu/mL)、96時間経過後に該溶液の濃度を測定した。LAS溶液50mLに、実施例1において製造したParvibaculum lavamentivorans NCIMB 13966株を包含するカプセル100粒を浸漬し(菌数:9.2×10cfu/カプセル、1.8×10cfu/mL)、216時間経過後に該溶液の濃度を測定した。ニトロベンゼン溶液1mLに、実施例1において製造したPseudomonas pseudoalcaligenes ATCC 700437株を包含するカプセル20粒を浸漬し(菌数:1.6×10cfu/カプセル、3.2×10cfu/mL)、24時間経過後に該溶液の濃度を測定した。ペンタクロロフェノール溶液1mLに、実施例1において製造したSphingobium chlorophenolicum ATCC 53874株を包含するカプセル10粒を浸漬し(菌数:2.8×10cfu/カプセル、2.8×10cfu/mL)、24時間経過後に該溶液の濃度を測定した。γHCH溶液50mLに、実施例1において製造したSphingomonas pautimobilis UT26株を包含するカプセル100粒を浸漬し(菌数:9.2×10cfu/カプセル、1.8×10cfu/mL)、24時間経過後に該溶液の濃度を測定した。各溶液の濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはLCMS、ガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。結果を表2に示す。
[HPLC条件]
・安息香酸測定条件
装置:LC20 AD(島津社製)
カラム:ODS−3(サイズ4.6×150mm、ジーエルサイエンス社製)
移動相:アセトニトリル/水 0.1%リン酸=30/70
流速:1.0mL/分
温度:40℃
検出:UV254nm
流入量:20μL

・ニトロベンゼン測定条件
装置:LC20 AD(島津社製)
カラム:ODS−3(サイズ4.6×150mm、ジーエルサイエンス社製)
移動相:アセトニトリル/水 =50/50
流速:1.0mL/分
温度:40℃
検出:UV254nm
流入量:20μL

・ペンタクロロフェノール測定条件
装置:LC20 AD(島津社製)
カラム:ODS−3(サイズ4.6×150mm、ジーエルサイエンス社製)
移動相:アセトニトリル/水 0.1M KH2PO4=70/30
流速:1.0mL/分
温度:40℃
検出:UV254nm
流入量:20μL

[LCMS条件]
・4−(直鎖状ドデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム測定条件
〈HPLC〉
装置:waters e2695 (日本ウォーターズ社製)
カラム:ODS−3(サイズ2.1×100mm、ジーエルサイエンス社製)
移動相:アセトニトリル/水 10mM酢酸アンモニウム=65/35
流速:0.2mL/分
温度:40℃
流入量:5μL
〈MS〉
装置:waters quatro micro API
検出モード:ESI negative
測定質量数:297、311、325、339、353

[GC条件]
・γHCH測定条件
装置:島津 GC-2014
カラム:DB−5(内径:0.32mm、長さ:15m、膜厚:0.1μm、J&W Scientific社製)
流量:15mL/分
昇温:100℃→1min hold→2℃/ min→118℃
流入量:4μL
スプリット比:15.0
Figure 2016077176
表2の結果から明らかなように、本発明のカプセルを浸漬すると、ターゲット物質の濃度が減少した。
実施例5 低濃度環境汚染物質分解試験
実施例3と同様に、本発明のカプセルによる環境汚染物質分解について試験した。但し、分解のターゲット物質として、低濃度の安息香酸、ニトロベンゼン、およびγHCHを用いた。
各ターゲット物質を純水に溶解させて、1ppm濃度の溶液を調製した。安息香酸溶液200mLに、実施例1にしたがって製造したPseudomonas putida G7株を包含するカプセルを浸漬し(菌数:7.4×10cfu/カプセル、3.7×10cfu/mL)、1ヶ月半経過後に該溶液の濃度を測定した。ニトロベンゼン溶液200mLに、実施例1にしたがって製造したPseudomonas pseudoalcaligenes ATCC 700437株を包含するカプセルを浸漬し(菌数:9.8×10cfu/カプセル、7.4×10cfu/mL)、1ヶ月半経過後に該溶液の濃度を測定した。γHCH溶液200mLに、実施例1にしたがって製造したSphingomonas pautimobilis UT26株を包含するカプセルを浸漬し(菌数:1.4×10cfu/カプセル、1.1×10cfu/mL)、1ヶ月半経過後に該溶液の濃度を測定した。各溶液の濃度は、実施例3および4と同様に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。結果を表3に示す。なお、ターゲット物質分解率は、以下の式から求めた。
ターゲット物質分解率(%)=1−[(1ヶ月半後のターゲット物質溶液濃度)/(ターゲット物質溶液の初期濃度)]×100
Figure 2016077176
実施例6 カプセル外皮膜透過性試験1
本発明のカプセルの外皮膜の透過性について試験した。分解のターゲット物質として、ナフタレンを用いた。
実施例1における本発明のカプセルの製造において使用したカプセル外皮膜(491mm、直径25mmの円形)をナフタレン溶液40mLと溶媒40mLとの間に挟み、常温で24時間放置した。溶媒として、水とアセトニトリルとの7:3混合液を用いた。ナフタレン溶液は、DMSOを用いて50mM濃度の溶液を調製した後、溶媒で100倍希釈して約0.50mM濃度の溶液とした。試験開始前、ならびに試験開始後1時間、3時間および24時間の時点で、ナフタレン溶液側のナフタレン濃度および溶媒側のナフタレン濃度をHPLCにより測定した。
[HPLC条件]
装置:Waters 2695(日本ウォーターズ社製)
カラム:Inertsil ODS−3(4.6×150mm、ジーエルサイエンス社製)
移動相:水/アセトニトリル=50/50
流速:1.0mL/分
温度:40℃
検出:UV254nm
流入量:20μL
結果を表4に示す。なお、溶液中のナフタレン質量は、溶液量を40mLとみなして算出した。膜中のナフタレン質量は、試験開始前のナフタレン溶液中の質量を全ナフタレン量とし、全ナフタレン量から、ナフタレン溶液側および溶媒側の両方のナフタレン質量を減じて算出した。
Figure 2016077176
表4の結果から明らかなように、ナフタレンは、本発明のカプセル外皮膜に吸着せず、膜を透過することが確認された。この結果から、環境汚染物質は、本発明のカプセル外皮膜を透過してカプセル内に侵入できることが分かる。
実施例7 カプセル外皮膜透過性試験2
実施例6と同様に、本発明のカプセルの外皮膜の透過性について試験した。分解のターゲット物質として、安息香酸、4−(直鎖状ドデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ニトロベンゼン、ペンタクロロフェノール、およびγHCHを用いた。
実施例1における本発明のカプセルの製造において使用したカプセル外皮膜(491mm、直径25mmの円形)を各ターゲット物質溶液40mLと溶媒40mLとの間に挟み、両溶液が平衡状態に達するまで常温で放置した。溶媒として、水を用いた。各ターゲット物質溶液は、溶媒を用いて所定の初期濃度で調製した。試験開始前、ならびに試験開始後の各溶液の濃度をHPLCまたはLCMS、GC(ガスクロマトグラフィー)、により測定した。
[HPLC条件]
・安息香酸測定条件
装置:LC20 AD(島津社製)
カラム:ODS−3(サイズ4.6×150mm、ジーエルサイエンス社製)
移動相:アセトニトリル/水 0.1%リン酸=30/70
流速:1.0mL/分
温度:40℃
検出:UV254nm
流入量:20μL

・ニトロベンゼン測定条件
装置:LC20 AD(島津社製)
カラム:ODS−3(サイズ4.6×150mm、ジーエルサイエンス社製)
移動相:アセトニトリル/水 =50/50
流速:1.0mL/分
温度:40℃
検出:UV254nm
流入量:20μL

・ペンタクロロフェノール測定条件
装置:LC20 AD(島津社製)
カラム:ODS−3(サイズ4.6×150mm、ジーエルサイエンス社製)
移動相:アセトニトリル/水 0.1M KH2PO4=70/30
流速:1.0mL/分
温度:40℃
検出:UV254nm
流入量:20μL

[LCMS条件]
・4−(直鎖状ドデシル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム測定条件
〈HPLC〉
装置:waters e2695 (日本ウォーターズ社製)
カラム:ODS−3(サイズ2.1×100mm、ジーエルサイエンス社製)
移動相:アセトニトリル/水 10mM酢酸アンモニウム=65/35
流速:0.2mL/分
温度:40℃
流入量:5μL
〈MS〉
装置:waters quatro micro API
検出モード:ESI negative
測定質量数:297、311、325、339、353

[GC条件]
・γHCH測定条件
装置:島津 GC-2014
カラム:DB−5(内径:0.32mm、長さ:15m、膜厚:0.1μm、J&W Scientific社製)
流量:15mL/分
昇温:100℃→1min hold→2℃/ min→118℃
流入量:4μL
スプリット比:15.0
結果を表5に示す。なお、表中、「IN」はターゲット物質溶液側の濃度を示し、「OUT」は溶媒側の濃度を示す。膜濃度は、以下の式から算出した。
膜濃度(ppm)=試験前のターゲット物質溶液濃度−(試験後のターゲット物質溶液側濃度+試験後の溶媒側濃度)
Figure 2016077176
表5から明らかなように、いずれのターゲット物質も、1〜3日で平衡状態に達し、膜透過が確認された。
実施例8 カプセル内での環境汚染物質分解性微生物生存試験
本発明のカプセル内での環境汚染物質分解性微生物の生存能力について試験した。
実施例1で製造したPseudomonas pseudoalcaligenes ATCC 700437株およびPseudomonas putida G7株を包含するカプセルを、大腸菌HB101株(タカラバイオ株式会社から入手)を含む液体培地[1/3希釈TSB(Tryptic Soy Broth)培地]中に置き、48時間培養した。培養開始前、ならびに培養開始後24時間および48時間での培地中の菌数を測定した。菌数の測定は、下記の方法により行った。
菌数測定方法:
培養液からカプセル5粒を取り出し、生理食塩水1 ml中で破壊し、段階希釈液を調製した。それをアンピシリン50 ppmを含む1/3 TSB agarに播種して、カプセル1粒あたりの生菌数を測定した。
結果を表6に示す。
Figure 2016077176
Figure 2016077176
表6から明らかなように、外環境に他の菌が存在しても、本発明のカプセル中で環境汚染物質分解性微生物が生存または増殖することが分かった。
本発明によれば、環境汚染物質分解性微生物がカプセル中に封入されているので、本発明のカプセルを用いれば、汚染環境への有用微生物の提供および回収が容易に実施できる。また、本発明のカプセルにおいて、環境汚染物質分解性微生物はカプセル中に安定に維持されるので、長期にわたって浄化効果を持続させることもできる。

Claims (12)

  1. 環境汚染物質を分解する微生物を包含する環境浄化用シームレスカプセル。
  2. 環境汚染物質を分解する微生物がシュードモナス属、スフィンゴビウム属、スフィンゴモナス属、またはパルビバクラム属の微生物である、請求項1記載のシームレスカプセル。
  3. ニトロベンゼン、安息香酸、クロロフェノール、γヘキサクロロシクロヘキサン、直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩、およびナフタレンから選択される1以上の環境汚染物質を分解する微生物を含む、請求項1または2記載のシームレスカプセル。
  4. 環境汚染物質を分解する微生物がPseudomonas pseudoalcaligenes、Pseudomonas putida、Sphingobium chlorophenolicum、Sphingomonas pautimobilis、またはParvibaculum lavamentivoransである、請求項2または3記載のシームレスカプセル。
  5. ニトロベンゼン、安息香酸、クロロフェノール、γヘキサクロロシクロヘキサン、直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩、およびナフタレンから選択される1以上の環境汚染物質を分解するための、請求項1〜4のいずれか1項記載のシームレスカプセル。
  6. 環境汚染物質を分解する微生物がPseudomonas pseudoalcaligenesであり、環境汚染物質がニトロベンゼンである、請求項5記載のシームレスカプセル。
  7. 環境汚染物質を分解する微生物がPseudomonas putidaであり、環境汚染物質が安息香酸およびナフタレンから選択される1以上である、請求項5記載のシームレスカプセル。
  8. 環境汚染物質を分解する微生物がSphingobium chlorophenolicumであり、環境汚染物質が塩素数1〜5個のクロロフェノールである、請求項5記載のシームレスカプセル。
  9. 環境汚染物質を分解する微生物がSphingomonas pautimobilisであり、環境汚染物質がγヘキサクロロシクロヘキサンである、請求項4記載のシームレスカプセル。
  10. 環境汚染物質を分解する微生物がParvibaculum lavamentivoransであり、環境汚染物質が直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩である、請求項5記載のシームレスカプセル。
  11. 環境汚染物質を分解する微生物を包含するシームレスカプセルを汚染環境に供することを特徴とする、環境浄化方法。
  12. 汚染環境が海、河川、湖、沼、池、井戸、地下水または土壌である、請求項11記載の環境浄化方法。
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