JP2016073218A - 判定装置、判定方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

判定装置、判定方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】試験片画像データに対する画像処理に基づき判定する場合に判定結果の精度を向上させることが可能な判定装置、判定方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】複数の検出体が固定されている試験片を撮像した画像データを取得し、取得した画像データに基づく画像から、前記複数の検出体における反応の有無を判定する判定装置において、該判定装置は、前記画像中の画素毎の画素値に基づき輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値に対する判定基準値を算定し、前記画像中の前記複数の検出体が夫々撮像されている領域として特定されてある検出体領域毎の階調値を、前記判定基準値を用いて相対値へ変換し、前記検出体領域毎に予め定められてある閾値と前記相対値とを比較し、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記複数の検出体毎に反応の有無を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のプローブが固定された試験片に対する検査対象物質の反応の有無を判定する方法に関し、特に、判定結果の精度を向上させることが可能な判定装置、判定方法及びコンピュータプログラムに関する。
検査対象の物質との間で特有の反応を起こした場合に変色するプローブと呼ばれる物質を複数種類固定した試験片に検体由来の液体を浸透させ、各プローブにおける反応の有無を発色によって判断し、複数のプローブにおける発色パターンによって検体を同定する検査が広く行なわれている。例えば、医療分野では尿検査、血液検査及び遺伝子検査、他の分野では水質検査等があり、試験片を用いた検査の対象は多岐にわたる。
なかでも医療分野においては、遺伝子の変異型を同定するための試験片を用いた遺伝子検査が行なわれており(特許文献1等)、特に結核菌群の薬剤感受性試験のための試験キットの活用により、高精度な検査の迅速化が期待されている(特許文献2等)。これらの遺伝子検査で用いられる試験片には多様な変異型遺伝子を識別するために多数のプローブが固定されており、発色パターンの種類も多数である。
試験片の各プローブに対する反応は化学的な変化である。検査環境の温度や検査手順等検査条件の細微な相違により、プローブの発色具合が変化し得る。また複数のプローブの特性は夫々、条件の相違によって発色が過剰に鮮明になるもの又は不鮮明となって判別が困難になるもの等、様々である。検査環境及び手順の細微な相違によっては、同時に発色させた他の試験片における同プローブの発色との比較によって、反応の有無を判断することが必要な場合もある。試験片の各プローブに対する発色の有無はこれまで、観察者の目視に基づいて判断するものとされてきた。しかしながら、目視による人為的な判断では、上述したような条件により変化し得る発色具合、並びにプローブ毎に異なる発色特性を考慮して多数のプローブの発色パターンを高精度に特定することが困難である。
そこで、検査手順を経た試験片を撮像して得られる試験片画像のデータに対し、コンピュータが画像処理を行なうことによって各プローブの発色の有無を画一的に判定する方法が提案されている(特許文献3、4等)。特許文献3には、複数の試験片を順次撮像して発色の有無を支障なく判定することが可能な特有の搬送装置を備える測定装置が開示されている。特許文献4には、特許文献3に開示されているような特有の測定装置を用いることなしに、広く普及している撮像部付きの携帯型の端末装置を用いて試験片を撮像し、撮像画像データを端末装置からサーバ装置へ送信し、サーバ装置は撮像画像データに基づき分析を行ない、サーバ装置が分析結果を端末装置へ返信するシステムが開示されている。
特開2007−064927号公報 特開2011−087465号公報 特開2007−212262号公報 特開2012−202989号公報
試験片を撮像して得られる試験片画像のデータにおける処理を行なうことによって判定する場合、目視による人為的な判断を行なう場合に比して正確性が高い。しかしながらその正確性の高さは、撮像片画像データが、均一な撮像条件下で得られたものであるという前提でのみ維持される。特許文献3で開示されているような特有の測定装置を用いる場合には撮像条件の均一性は満たされるが、特許文献4で開示されているような特有の測定装置を不要とするシステムでは、端末装置による撮像環境の照度又は照明の色温度、又は撮像素子の特性等の撮像条件の相違により、同一の物体を撮像した撮像片画像データであっても、撮像条件によって色の強弱、色バランス又は輝度等が異なり、誤判定を招く可能性がある。
本発明は斯かる事情に基づいてなされたものであり、試験片測定用の専用装置を用いることなしに、試験片画像データに対する画像処理に基づき判定する場合に判定結果の精度を向上させることが可能な判定装置、判定方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る判定装置は、検査対象の物質との反応の有無に応じて発色する複数の検出体が固定されている試験片を撮像した画像データを取得し、取得した画像データに基づく複数の画素からなる画像により前記複数の検出体における反応の有無を判定する判定装置において、前記画像中の画素毎の画素値に基づき、輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値に対する判定基準値を算定する基準値算定手段と、前記画像中の前記複数の検出体が夫々撮像されている領域として特定されてある検出体領域毎に、各検出体領域内の画素値に対応する輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値を、前記判定基準値を用いて相対値へ変換する変換手段と、前記検出体領域毎に、前記複数の検出体別に予め定められてある閾値と前記相対値とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記複数の検出体毎に反応の有無を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る判定装置の前記変換手段は、前記階調値の前記判定基準値に対する割合を算出するようにしてあることを特徴とする。
本発明に係る判定装置の前記基準値算定手段は、前記検出体領域毎の前記階調値を特定する手段と、前記複数の検出体夫々の検出体領域から一部を抽出する抽出手段と、抽出された一部の検出体領域に対し特定された階調値を用いて前記判定基準値を算定する手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る判定装置の前記抽出手段は、所定値以上の階調値が特定された検出体領域を抽出するようにしてあることを特徴とする。
本発明に係る判定装置の前記基準値算定手段は、前記複数の検出体を複数のグループに分別し、分別したグループ毎に前記判定基準値を算定するようにしてあることを特徴とする。
本発明に係る判定装置は、前記検出対象の物質は遺伝子検体であり、前記複数の検出体は前記遺伝子検体とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含むプローブであることを特徴とする。
本発明に係る判定装置は、前記検出対象の物質は結核菌であり、前記複数の検出体は前記結核菌とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含むプローブであることを特徴とする。
本発明に係る判定方法は、撮像装置から情報を取得することが可能なコンピュータが、検査対象の物質との反応の有無に応じて発色する複数の検出体が固定されている試験片の画像データを前記撮像装置から取得し、取得した画像データに基づく複数の画素からなる画像により前記複数の検出体における反応の有無を判定する判定方法において、前記画像中の画素毎の画素値に基づき、輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値に対する判定基準値を試験片毎に算定し、前記画像中の前記複数の検出体が夫々撮像されている領域として特定されてある検出体領域毎に、各検出体領域内の画素値に対応する輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値を、前記判定基準値を用いて相対値へ変換し、前記検出体領域毎に、前記複数の検出体別に予め定められてある閾値と前記相対値とを比較し、比較結果に基づき、前記複数の検出体毎に反応の有無を判定することを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、撮像装置から情報を取得することが可能なコンピュータに、検査対象の物質との反応の有無に応じて発色する複数の検出体が固定されている試験片の画像データを前記撮像装置から取得させ、取得された画像データに基づく複数の画素からなる画像により前記複数の検出体における反応の有無を判定させるコンピュータプログラムにおいて、前記画像中の画素毎の画素値に基づき、輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値に対する判定基準値を試験片毎に算定するステップ、前記画像中の前記複数の検出体が夫々撮像されている領域として特定されてある検出体領域毎に、各検出体領域内の画素値に対応する輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値を、前記判定基準値を用いて相対値へ変換するステップ、及び、前記検出体領域毎に、前記複数の検出体別に予め定められてある閾値と前記相対値とを比較するステップを実行させることを特徴とする。
本発明では、試験片を撮像して得られる撮像画像データに基づく画像中の画素値から、画像全体の明るさ、色バランス等の個々の画像データの撮像条件に応じた判定基準値が算定され、検出体領域夫々における画素値に基づく階調値を判定基準値に基づく相対値に変換してから閾値との比較が行なわれる。これにより、固定の閾値に基づいて判定するに際し、撮像素子又は撮像環境等が異なる個々の撮像装置の撮像条件による誤差の影響を低減して判定精度を向上させることができる。また本発明では、判定基準値によって変換された相対値に対し、1つの閾値ではなく検出体毎に定められた閾値と比較がされる。これにより、化学的な反応を起こす検出体夫々の特性に応じた個別の判定が可能となり、判定精度を向上させることができる。
変換により得られる相対値は、判定基準値に対する割合でよい。なお、割合のみに限られず、算定された判定基準値に対する加減などであってもよい。
本発明では、明らかに発色している検出体の検出体領域が抽出され、発色していると断定できる検出体の検出体領域における階調値に基づいて判定基準値が算定され、算定された判定基準値に基づいて各検出体における反応の有無が判定される。これにより、明らかに発色していない検出体の検出体領域における階調値の判定基準値への影響を低減し、判定精度を向上させることができる。
明らかに発色しているか否かは、輝度の高低又は特定の色の濃淡を示す階調値が所定値以上であるか否か、即ち輝度が所定の輝度よりも高いか否か、又は特定の色が所定の濃さよりも濃いか否かで判断される。所定値は、どのような撮像条件であっても発色している場合には必ず上回る値として最低限の値が、予め経験的に定められてある。なお、所定値未満であるか否かで判断されてもよいし、輝度が所定の範囲内であるか否か、又は特定の色が所定の濃さの範囲内であるか否かで判断されるようにしてもよい。
本発明では、判定基準値はグループ毎に算定される。特性が類似する検出体の検出体領域毎に判定基準値を算定することができる。これにより、発色の特性が全く異なる他の検出体の検出体領域における輝度又は色に相互に影響されることを低減し、判定精度を向上させることができる。
本発明では、複数の検出体中に、特定の検出体(特殊な検出体)が設けられ、特定の検出体における反応の有無が判定される。これにより、多種類の判定結果を出力することができ、判定精度を向上させることができる。
本発明では、試験片は結核菌検査に使用される場合に、より優れた効果を発揮する。結核菌検査に使用される試験片は、その変異体の多さに応じて多数の検出体(プローブ)を有するものがあるために区別しなければならない発色パターンが多く、検査実施者が目視により判定する場合に誤判定を招きやすいものであった。撮像画像データに基づいて撮像条件によらない精度の良い判定が行なわれることにより、検査実施者が使用する既存の撮像装置を用いても正確な判定結果が得られる。
勿論、試験片は結核菌検査に使用されるものに限られず、HPV(ヒトパピローマ)検査、HLA(ヒト白血球型抗原)検査、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)検出、Staphylococcus(黄色ブドウ球菌)群検出、Helicobacter Pylori (ヘリコバクター・ピロリ)検出、Clostridium difficile (クロストリジウム属菌)検出、E.coli(大腸菌)検出等の遺伝子検査における検出体の発色で反応の有無を判定する種々のものであってよい。また、遺伝子検査に使用されるものに限られず、抗原抗体反応における検出体の発色で反応の有無を判定する種々のものであってもよい。例えばHIV(ヒト免疫不全ウィルス)検査、HCV(C型肝炎ウィルス)検査等が挙げられる。
本発明による場合、撮像条件による誤差の影響を低減し、更に、検出体夫々の特性に応じた個別の判定が可能となるので、撮像条件が異なる撮像装置により得られた撮像画像データを用いたとしても、撮像条件によらない高精度な判定結果が得られる。
本発明の概要を説明するための説明図である。 実施の形態1における情報処理装置の構成を示すブロック図である。 情報処理装置の制御部により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。 各プローブの陰性/陽性を判定する処理手順の一例を示すフローチャートである。 判定基準値の算定例の1つを説明する説明図である。 相対値の算出例の1つを説明する説明図である。 変形例1における各プローブの陰性/陽性を判定する処理手順の一例を示すフローチャートである。 変形例2における各プローブの陰性/陽性を判定する処理手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態2における判定システムの構成を示すブロック図である。 中央装置の制御部により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである
図1は、本発明の概要を説明するための説明図である。図1中、符号1は情報処理装置である。情報処理装置1は、撮像部、表示部13及び操作部14を備える所謂スマートフォンであり、本発明に係る判定装置としての機能の他に多様な機能を有した汎用的な装置である。
図1中、符号2は試験片の一例である。試験片2は、短冊状の基体20にプローブ21,22と呼ばれる検査対象の物質との間で特有の反応を起こす物質がライン状に物理的又は化学的に固定されて作製されたものである。各プローブ21,22は反応が起こった場合に所定の色に発色するようにしてあり、発色によって陰性/陽性の判定が可能である。例えば試験片2は、ポリエチレンテレフタレートを材料とした基体20に、夫々性質が異なる複数のオリゴヌクレオチドをプローブ21として固定したものであり、結核菌の多様な変異型遺伝子を識別する試験片である。試験片2は他に、紙製の基体20に夫々異なる検査対象の試験紙をプローブ21として貼付したものであって、尿検査に用いられるものであってもよい。試験片2は他に、血液検査又は水質検査等の種々の検査用のものであってよい。なお試験片2には、試験が適切に行なわれている場合に発色する特定のプローブ22が固定されている。また試験片2には、各プローブ21,22以外に、検査対象の物質を識別するためのマーカーが形成されている。該マーカーは例えば、複数のプローブ21,22間に所定の間隔で、プローブ21,22と同様のライン状に塗料を塗布して形成されてある。
検査実施者は、必要に応じて検査対象の物質に対して試験に適した処置を行ない、該検査対象の物質由来の液体(又は気体)を作製し、該液体を試験片2上のプローブ21,22と接触させる。検査実施者は、情報処理装置1を用いて検査対象物質との接触後の試験片2を図1に示す如く撮像する操作を行なう。情報処理装置1にて撮像画像データに対して、接触後の試験片2上の各プローブ21,22における反応の有無(陰性/陽性)を判定する判定処理が実行され、該判定結果に基づく検査結果が表示部13に表示される。検査実施者は、特定の測定装置を用いることなく既存の情報処理装置1を用いて高精度な判定結果を得ることが可能となる。以下、高精度な判定結果を得ることを可能とするための情報処理装置1の構成について、詳細に説明する。
(実施の形態1)
図2は、実施の形態1における情報処理装置の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、上述したように例えばスマートフォンを用いるが、タブレット型PC(Personal Computer )であってもよい。情報処理装置1は制御部10、記憶部11、一時記憶部12、表示部13、操作部14、撮像部15、及び通信部16を備える。
制御部10はCPU(Central Processing Unit )を用いる。制御部10は、記憶部11に記憶されている判定アプリプログラム1Pを読み出して実行することにより、情報処理装置1を本発明に係る判定装置として機能させる。
記憶部11は、フラッシュメモリを用いる。記憶部11には、制御部10が読み出す判定アプリプログラム1Pを含む種々のコンピュータプログラムが書き換え可能に記憶されている。判定アプリプログラム1Pは、制御部10が通信部16を介して外部装置(例えばサーバ装置)から受信して記憶部11に記憶したものか、又は有線接続された外部装置から通信により制御部10が取得して記憶したものである。記憶部11には、撮影画像データが記憶される。なお記憶部11は、フラッシュメモリ以外の記憶装置を用いてもよいことは勿論である。
記憶部11には、判定アプリプログラム1Pと共に、制御部10が判定アプリプログラム1Pに基づく処理を実行するに際して参照する情報が記憶されている。例えば、判定の基準とする設定値などの各種数値情報、あるいは試験片2の種類を特定するためのマーカーのパターンの情報、試験片2上の各プローブ21,22を識別するための試験片2毎の識別情報などである。なお、制御部10が判定アプリプログラム1Pに基づく処理を実行するに際して参照する情報は、通信部16を介して外部装置(例えばサーバ装置)から取得されるものであってもよい。
一時記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のRAMを用いる。一時記憶部12は、制御部10の処理によって生成される情報を一時的に記憶する。
表示部13は、タッチパネル内蔵型ディスプレイを用いる。表示部13は、制御部10の制御処理に基づき、テキスト及びアイコン等のオブジェクトを含む各種操作画面を表示させる。なお表示部13は、タッチパネル内蔵型でなくともよい。
操作部14は、表示部13のディスプレイに内蔵されるタッチパネル及び情報処理装置1の筐体に設けられるボタン群を用いる。操作部14は、タッチパネルにてユーザによる接触及び接触箇所の位置情報を制御部10へ通知する。また操作部14は、ボタンの押下及び押下時間等の情報を制御部10へ通知する。
撮像部15は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )イメージセンサを用いる。撮像部15はカラーの撮像画像データを制御部10へ出力する。撮影画像データは一時記憶部12又は記憶部11に記憶され、制御部10の制御により表示部13に表示される。撮像部15は、情報処理装置1の表示部13と反対側の広面の一端部に設けられている。なお撮像部15は、CMOSイメージセンサのみならず、CCD(Charge Coupled Device )イメージセンサを用いてもよい。
通信部16は、電話通信及び無線通信を実現する通信部を各有して構成される。制御部10は通信部15により、電話通信の基地局又は無線通信のアクセスポイントと通信が可能である。
このように構成される情報処理装置1では、検査実施者の操作に従い制御部10が判定アプリプログラム1Pを記憶部11から読み出して起動し、図1に示したように判定アプリ操作画面30を表示部13に表示させる。判定アプリ操作画面30には、モニタ画面31及び撮像アイコン32が含まれており、モニタ画面31には撮像部15で撮像されているリアルタイム画像が順次表示されている。検査実施者は、モニタ画面31でリアルタイム画像を確認しながら撮像アイコン32をタップする操作が可能である。撮像アイコン32が検査実施者によりタップされた場合、制御部10は操作部14によりタップを検知し、撮像部15から出力される撮像画像データを取得し、以下に説明する処理を実行する。
図3は、情報処理装置1の制御部10により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。以下に示す処理手順は上述したように、判定アプリプログラム1Pが起動している情報処理装置1において、表示部13に表示されている判定アプリ操作画面30内の撮像アイコン32のタップを操作部13により検知した場合に、制御部10が実行する。
制御部10は、撮像部15から撮像画像データを取得する(ステップS1)。制御部10は、取得した撮像画像データに基づく画像の内、試験片2が写っている試験片領域を抽出する(ステップS2)。ステップS2において制御部10は例えば、試験片2が載置されている台など背景に相当する領域を除外するトリミングを自動的に行なってもよい。
次に制御部10は、抽出した試験片領域に含まれる各画素の画素値(RGB値)に基づき、試験片2の種類を特定する(ステップS3)。ステップS3において制御部10は例えば、試験片2に対応する範囲の画素値に対し、上述したマーカーのパターンの情報等を参照し、マッチしたパターンに対応付けて記憶されている試験片2の種類を示す識別情報、及び該種類の試験片2に含まれる各プローブ21,22の種類を特定する情報を記憶部11から読み出す。
制御部10は、特定した種類毎に試験片2の各プローブ21,22における陰性/陽性を各判定する処理を実行し(ステップS4)、各プローブ21,22における陰性/陽性のパターンに基づいて検査結果を特定する(ステップS5)。制御部10は、特定した検査結果を示す画像又は文字情報を表示部13に表示させ(ステップS6)、取得した撮像画像データと共に検査結果を記憶部11に記憶し(ステップS7)、処理を終了する。
ステップS4における判定処理について詳細を説明する。図4は、各プローブ21,22の陰性/陽性を判定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
制御部10は、画像中の試験片領域から、試験片2上のプローブ21,22に各対応するプローブ領域を夫々、各プローブ21,22を識別する情報と対応付けて抽出する(ステップS401)。ステップS401において制御部10は例えば、各プローブ21,22に対応するプローブ領域の画素群のRGB値を、試験片2の種類から特定される各プローブ21,22の識別情報と対応付けて一時記憶部12に記憶する。
制御部10は、抽出したプローブ領域から、プローブ21,22毎の輝度(Luminance )の階調値を特定する(ステップS402)。ステップ402において制御部10は例えば、各プローブ21,22に対応するプローブ領域内の画素群におけるRGB値の平均値を各算出し、算出したR値の平均値、G値の平均値、B値の平均値を所定の変換式に適用して輝度の階調値を求め、該階調値を各プローブ21,22の識別情報に対応付けて一時記憶部12に記憶する。このとき、輝度の階調値は輝度が高いほど大きい数値である。なお制御部10はステップS402において、明度(Brightness)の階調値を特定するようにしてもよい。その他制御部10は、特定の色の発色を判断するために該特定色の彩度(Saturation)の階調値を特定してもよい。他の表現系による階調値など、異なる指標値による複数の階調値を各特定して用いてもよい。平均値に限らず、中央値、最頻値等の値であってもよい。
制御部10は、ステップS402で特定した階調値の内、特定のプローブ22に対応する階調値が、所定値以上であるか否かを判断する(ステップS403)。特定のプローブ22は、試験が適切に行なわれている場合に所定の色に発色する。したがって、ステップS403では、制御部10は階調値が所定の色に発色していると判断できる値であるか否かを判断すればよく、所定の範囲以内であるか否か、又は所定値未満であるか否か等によって判断するようにしてもよい。
ステップS403において、階調値が所定値未満であると判断された場合(S403:NO)、制御部10は、特定のプローブ22は陰性であると判定し(ステップS404)、即ち、試験が適切に行われていないとして判定処理を終了し、図3のフローチャートにおけるステップS5へ処理を戻す。
ステップS403において、階調値が所定値以上であると判断された場合(S403:YES)、制御部10は、特定のプローブ22は陽性であると判定する(ステップS405)。制御部10はつまり、試験が適切に行なわれているとして、複数のプローブ21全てについて夫々、対応付けられている輝度の階調値を参照し、記憶部11に記憶されてある設定値以上である階調値を抽出する(ステップS406)。ステップS406において詳細には、制御部10は、一時記憶部12に記憶してある複数のプローブ21夫々の識別情報から1つずつ選択し、対応する輝度の階調値に対し、設定値以上であるか否かを判断し、設定値以上であると判断された階調値のみ記憶する。
制御部10は、設定値以上である階調値が少なくとも1つ存在するか否かを判断する(ステップS407)。ステップS407にて、設定値以上である階調値が1つも存在しないと判断された場合(S407:NO)、制御部10は複数のプローブ21全てについて陰性であると判定し(ステップS408)、図3のフローチャートにおけるステップS5へ処理を戻す。
ステップS406にて、設定値以上である階調値が1つでも存在すると判断された場合(S407:YES)、制御部10は、設定値以上の階調値に基づき判定基準値を算定する(ステップS409)。ステップS409において詳細には、設定値以上の階調値の平均値を算出し、該平均値を判定基準値と決定する。なお判定基準値の算定方法は、単に平均値を算出して決定する方法に限られず、外れ値を除外するなどの統計的処理を行なってから決定する方法であってもよいし、中央値、最頻値などを算出して決定する方法であってもよい。
次に制御部10は、複数のプローブ21全てについて、前記判定基準値を基準として階調値を相対値へ変換する(ステップS410)。ステップS410において詳細には、制御部10は、対応するプローブ領域について特定された階調値の前記判定基準値に対する割合(階調値/判定基準値)を算出する。その他制御部10はステップS410において、対応する階調値の前記判定基準値からの加減(階調値−判定基準値)を算出してもよい。
制御部10は、複数のプローブ21の内の1つを選択し(ステップS411)、選択したプローブ21に対応する相対値と、該選択したプローブ21の識別情報に予め記憶してある相対値に対する閾値とを比較し(ステップS412)、比較結果に基づき陰性/陽性を各判定する(ステップS413)。ステップS413にて詳細には、制御部10は例えば、選択したプローブ21の相対値が、予め記憶してある閾値以上であるか否かを判断する。閾値以上であると判断された場合、制御部10は選択中のプローブ21は陽性であると判定し、閾値未満であると判断された場合、制御部10は選択中のプローブ21は陰性であると判定する。
次に制御部10は、全てのプローブ21について陰性/陽性を判定したか否かを判断する(ステップS414)。ステップS414にて全てのプローブについて判定していないと判断された場合(S414:NO)、制御部10は処理をステップS411へ戻し、残りのプローブ21についての処理を行なう。
ステップS414にて全てのプローブ21について陰性/陽性を判定したと判断された場合(S414:YES)、制御部10は、各プローブ21の陰性/陽性を判定する処理を終了し、図3のフローチャートにおけるステップS5へ処理を戻す。
次に、上述の判定処理で用いられた判定基準値、設定値、相対値及び閾値について詳細に説明する。図5は、判定基準値の算定例の1つを説明する説明図である。図5は、各プローブ21の階調値の例を数値及び棒グラフで示している。図5中の破線は、階調値に対する設定値の大きさを示している。図5中の棒グラフの内、ハッチングで示す棒グラフは設定値以上の階調値に対応する。図5の例では、「A」〜「E」の5つのプローブ21について特定された階調値が夫々、「100」、「200」、「150」、「50」、「10」である。図5に示した設定値の例は「60」である。上述のステップS409の詳細な説明では、制御部10は設定値以上の階調値の平均値を算出し、該平均値を判定基準値と決定するとした。図5に示す具体例の場合、制御部10は、「60」以上である「A」「B」「C」の3つのプローブ21の階調値「100」、「200」、「150」を抽出し、平均値「150」を算出して判定基準値として決定する。このような判定基準値の算定は、複数のプローブ21から、明らかに何らかの反応を起こして発色したプローブ21を抽出し、抽出したプローブのプローブ領域における階調値を用いることにより、明らかに陰性で発色していないプローブ21のプローブ領域における階調値の影響を低減するために行なう。例えば、検査対象の物質の種類によっては、多数のプローブ21が発色しないことが正しい場合がある。この場合、発色していないプローブ21の数が多いため、明らかに発色しているプローブ21を抽出することなしに、全体で平均値を算出して判定基準値と決定したときには、判定基準値が小さくなって誤判定を招く可能性がある。図5に示したように、設定値以上の階調値が特定されるプローブ21、即ち明らかに発色しているプローブ21を抽出し、抽出したプローブ21に対応する階調値から判定基準値を算定することにより、試験片2毎に異なる撮像条件に応じた判定が可能となる。
図6は、相対値の算出例の1つを説明する説明図である。図6は、各プローブ21の階調値に基づき求められた相対値の例を棒グラフで示し、各相対値の下に、プローブ21毎に予め記憶してある閾値と判定結果の例とを示している。図6の例は、図5に示した各プローブ21の階調値に対応する。算定された判定基準値「150」に対し、図5に示した「A」〜「E」の5つのプローブ21の階調値「100」、「200」、「150」、「50」、「10」の割合(百分率)が、相対値として得られる。図6に示すように、「A」〜「E」の5つのプローブ21の相対値は夫々「67」、「133」、「100」、「33」、「6.7」であり、「A」〜「E」の5つのプローブ21夫々について、予め記憶してある閾値以上であるか否かにより、陰性/陽性が判定される。例えば「D」のプローブ21では、特定された階調値「50」は図5で示した設定値「60」よりも小さいが、相対値は閾値以上であって陽性(+)と判定されている。「D」のプローブ21は、少しでも発色している場合には陽性と判定されるべき特性を有しているからである。
上述したように、各プローブ21について特定される階調値を相対値へ変換し、プローブ21毎に設定した閾値との比較によって、化学的な反応を起こすプローブ21毎の特性に応じて個別に陰性/陽性の判定が可能であり、また相対値へ変換するに際し、発色していると判定する基準となる判定基準値を、撮像条件に応じて変更することにより、各プローブ21を異なる情報処理装置1を用いて撮像したとしても撮像条件による誤差の影響を低減して判定精度を向上させることができる。
(変形例1)
試験片2に固定されているプローブ21の特性によっては、1つの試験片2に対して1つの判定基準値で相対値へ変換して判定した場合、判定精度が良好でないときがある。したがって、試験片2上の複数のプローブ21を特性に応じて複数のグループに分別し、グループ毎に判定基準値を算定し、グループ毎に陰性/陽性を判定するようにしてもよい。
変形例1では、試験片2毎に、プローブ21を複数のグループに分別する場合には各プローブ21の識別情報をグループ別に記憶部11に記憶しておく。詳細には、試験片2の種類毎に、グループを識別するグループ識別情報を記憶しておき、更に、試験片2毎のプローブ21の識別情報にグループ識別情報を対応付けて記憶部11に記憶しておく。
図7は、変形例1における各プローブ21,22の陰性/陽性を判定する処理手順の一例を示すフローチャートである。図7のフローチャートに示す処理手順の内、図4のフローチャートと共通する処理には同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
ステップS403において特定のプローブ22の階調値は所定値以上であると判断され(S403:YES)、制御部10が特定のプローブ22は陽性であると判定した場合(S405)、特定されてある試験片2の種類に応じて1つのグループを選択する(ステップS421)。制御部10は、選択したグループに対応付けられているプローブ21の階調値を参照し、設定値以上の階調値を抽出し(S406)、グループ毎に、設定値以上である階調値が少なくとも1つ存在するか否かを判断する(S407)。設定値以上である階調値が1つも存在しないと判断された場合(S407:NO)、制御部10は、選択中のグループに対応する複数のプローブ21全てについて陰性であると判定し(ステップS422)、処理をステップS425へ進める。
ステップS407にて、設定値以上である階調値が1つ以上存在すると判断された場合(S407:YES)、制御部10は、選択中のグループにおける判定基準値を算定する(ステップS423)。ステップS423において制御部10は、選択中のグループに対応付けられているプローブ21の階調値の内、設定値以上の階調値の平均値を算出し、判定基準値として決定する。制御部10は、グループ毎に、相対値への変換(S410)、プローブ21毎の判定(S411〜S413)を行ない、判定後には選択中のグループ全てのプローブ21について判定を行なったか否かを判断する(ステップS424)。
ステップS424にて、選択中のグループ全てのプローブ21について判定を行なっていないと判断された場合(S424:NO)、制御部10は、処理をステップS411へ戻し、選択中のグループの他のプローブ21を選択して判定処理を行なう(S411〜S413)。
ステップS424にて、選択中のグループ全てのプローブ21について判定を行なったと判断された場合(S424:YES)、制御部10は、全てのグループについて判定を行なったか否かを判断する(ステップS425)。
ステップS425にて、全てのグループについて判定を行なっていないと判断された場合(S425:NO)、制御部10は、ステップS421へ処理を戻し、他のグループを選択してグループ毎の判定処理(S406〜S424)を実行する。
ステップS425にて、全てのグループについて判定を行なったと判断された場合(S425:YES)、制御部10は、各プローブ21の陰性/陽性を判定する処理を終了し、図3のフローチャートにおけるステップS5へ処理を戻す。
このように、試験片2上のプローブ21をグループに分別し、グループ毎に異なる判定基準値を算定することにより、プローブ21の特性の分類に応じて陰性/陽性を精度よく判定することが可能となる。
(変形例2)
試験片2が、結核菌の多様な変異型遺伝子を識別する試験片である場合、試験は遺伝子の増幅工程を含み、増幅工程中の異なる段階で検査することが必要なケースがある。この場合、試験片2には、増幅反応が正常に行なわれたか否かを判定するための特殊なプローブが更に固定されている。特殊なプローブの判定結果が陰性である場合、増幅工程に対する阻害要因が存在したことを示すが、検査対象の物質によっては、有効な検査結果が得られるときがあるので、このような試験片2に対しては特殊なプローブの陰性/陽性判定処理が必要となる。変形例2では、このような特殊なプローブを含む試験片2に対する判定処理手順の例を示す。
図8は、変形例2における各プローブ21,22の陰性/陽性を判定する処理手順の一例を示すフローチャートである。図8のフローチャートに示す処理手順の内、図4のフローチャートと共通する処理には同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
変形例2においては、ステップS407にて、設定値以上である階調値が1つも存在しないと判断された場合(S407:NO)、制御部10は上述した特殊なプローブに対して特定されている階調値は所定値以上であるか否かを判断する(ステップS431)。
ステップS431にて、階調値は所定値以上であると判断された場合(S431:YES)、制御部10は特殊なプローブは陽性であると判定し(ステップS432)、各プローブ21の陰性/陽性を判定する処理を終了し、図3のフローチャートにおけるステップS5へ処理を戻す。
ステップS431にて、階調値は所定値未満であると判断された場合(S431:NO)、制御部10は特殊なプローブは陰性であると判定し(ステップS433)、各プローブ21の陰性/陽性を判定する処理を終了し、図3のフローチャートにおけるステップS5へ処理を戻す。
変形例2で示したように、全てのプローブ21が陰性であっても、特殊なプローブの陰性/陽性の判定結果に応じて有効な検査結果が得られる場合がある。特殊なプローブに対する陰性/陽性の判定を別個行なうことにより、誤判定を回避することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、判定処理は判定アプリプログラム1Pに基づいて情報処理装置1にて実行する構成とした。これに対し実施の形態2では、クライアントサーバシステムを用い、端末装置から撮像画像データを中央装置へ送信し、撮像画像データを受信した中央装置が判定プログラムに基づき判定処理を実行し、判定結果を端末装置へ送信し、端末装置にて判定結果が得られるようにしてある。
図9は、実施の形態2における判定システムの構成を示すブロック図である。システムは、端末装置3、中央装置4、及びネットワーク5で構成される。端末装置3は所謂スマートフォンである。端末装置3は、制御部30、記憶部31、一時記憶部32、表示部33、操作部34、撮像部35、及び通信部36を備える。
制御部30はCPUを用いる。制御部30は、記憶部31に記憶されている判定アプリプログラム(図示せず)を読み出して実行することにより、端末装置3を中央装置4と通信して試験片2に対する判定結果を取得することが可能な装置として機能させる。
記憶部31は、フラッシュメモリを用いる。記憶部31には、制御部30が読み出す種々のコンピュータプログラムが書き換え可能に記憶されている。記憶部31には、撮影画像データが記憶される。なお記憶部31は、フラッシュメモリ以外の記憶装置を用いてもよいことは勿論である。一時記憶部32は、DRAM等のRAMを用いる。一時記憶部32は、制御部30の処理によって生成される情報を一時的に記憶する。
表示部33は、タッチパネル内蔵型ディスプレイを用いる。表示部33は、制御部30の制御処理に基づき、テキスト及びアイコン等のオブジェクトを含む各種操作画面を表示させる。なお表示部33は、タッチパネル内蔵型でなくともよい。
操作部34は、表示部33のディスプレイに内蔵されるタッチパネル及び端末装置3の筐体に設けられるボタン群を用いる。操作部34は、タッチパネルにてユーザによる接触及び接触箇所の位置情報を制御部30へ通知する。また操作部34は、ボタンの押下及び押下時間等の情報を制御部30へ通知する。
撮像部35は、CMOSイメージセンサを用いる。撮像部35はカラーの撮像画像データを制御部30へ出力する。撮影画像データは一時記憶部32又は記憶部31に記憶され、制御部30の制御により表示部33に表示される。なお撮像部15は、CMOSイメージセンサのみならず、CCDイメージセンサを用いてもよい。
通信部36は、電話通信及び無線通信を実現する通信部を各有して構成される。制御部30は通信部35により、ネットワーク5における電話通信の基地局51又は無線通信のアクセスポイント52と接続し、中央装置4と通信することが可能である。
このように構成される端末装置3では、検査実施者の操作に従い判定アプリプログラムが起動する。検査実施者は、端末装置3を操作して撮像部35により試験片2を撮像する操作を行ない、判定を実行させる操作を行なう。判定アプリプログラムに基づく制御部30の制御により、撮像部35から得られた撮像画像データが通信部36を介して中央装置4へ送信され、中央装置4にて後述するように実行される処理によって得られた検査結果が中央装置4から端末装置3へ送信される。端末装置3は、判定アプリプログラムに基づき、撮像画像データを送信し、これに応じて中央装置4から送信された検査結果を所定の形式で表示部33に表示させる。
中央装置4はサーバコンピュータを用いる。中央装置4は、制御部40、記憶部41、一時記憶部42、及び通信部43を備える。
制御部40はCPUを用い、記憶部41に記憶されている判定プログラム4Pを読み出して実行することにより、中央装置1を本発明に係る判定装置として機能させる。
記憶部41は、ハードディスクを用いる。記憶部41には、制御部40が読み出す判定プログラム4Pを含む種々のコンピュータプログラムが記憶されている。判定プログラム4Pは、制御部40が通信部43を介して外部装置から受信して記憶したものか、又は記録媒体から制御部40が読み出して記憶したものである。記憶部41には、撮影画像データが記憶される。なお記憶部41は、ハードディスク以外の記憶装置を用いてもよいことは勿論である。
記憶部41には、判定プログラム4Pと共に、制御部40が判定アプリプログラム1Pに基づく処理を実行するに際して参照する情報が記憶されている。例えば、判定の基準とする設定値などの各種数値情報、あるいは試験片2の種類を特定するためのマーカーのパターンの情報、試験片2上の各プローブ21,22を識別するための試験片2毎の識別情報などである。
一時記憶部42は、DRAM等のRAMを用いる。一時記憶部42は、制御部40の処理によって生成される情報を一時的に記憶する。
通信部43は、電話通信及び無線通信を実現する通信部を各有して構成される。制御部40は通信部43により、ネットワーク5における電話通信の基地局51又は無線通信のアクセスポイント52と接続し、端末装置3と通信することが可能である。
このように構成される中央装置4は、端末装置3との間で通信接続を確立すると、以下に示す処理を実行する。図10は、中央装置4の制御部40により実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
制御部40は、通信部43により端末装置3から送信される撮像画像データを受信する(ステップS101)。制御部40は、受信により取得した撮像画像データに基づく画像の内、試験片2が写っている試験片領域を抽出する(ステップS102)。
制御部40は、抽出した試験片領域に含まれる各画素の画素値(RGB値)に基づき、試験片2の種類を特定する(ステップS103)。ステップS103において制御部40は例えば、試験片2に対応する範囲の画素値に対し、上述したマーカーのパターンの情報等を参照し、マッチしたパターンに対応付けて記憶されている試験片2の種類を示す識別情報、及び該種類の試験片2に含まれる各プローブ21,22の種類を特定する情報を記憶部41から読み出す。
制御部40は、特定した種類毎に試験片2の各プローブ21,22における陰性/陽性を各判定する処理を実行し(ステップS104)、各プローブ21,22における陰性/陽性のパターンに基づいて検査結果を特定する(ステップS105)。ステップS104における判定処理は、実施の形態1にて情報処理装置1の制御部10により実行される判定処理の内容と同一であるから詳細な説明は省略する。ステップS104の処理の詳細な手順は、図4、図7又は図8のフローチャートに示した処理手順のいずれでもよい。
制御部40は、特定した検査結果を通信部43により端末装置3へ送信し(ステップS106)、取得した撮像画像データと共に検査結果を記憶部41に記憶し(ステップS107)、処理を終了する。
実施の形態2にて示したように、端末装置3で撮像された撮像画像データを中央装置4へ送信し、中央装置4にて判定処理を実行する構成とすることにより、端末装置3における処理負荷を軽減することができ、端末装置3に記憶されるべき判定アプリプログラムのデータ量を削減することができる。また、中央装置4にて処理を一元化することにより、判定精度を共通に向上させることが可能である。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
1 情報処理装置(判定装置)
10 制御部
11 記憶部
12 一時記憶部
15 撮像部
1P 判定アプリプログラム(コンピュータプログラム)
2 試験片
20 基体
21 プローブ
22 特殊プローブ
3 端末装置
4 中央装置(判定装置)
40 制御部
41 記憶部
43 通信部
4P 判定プログラム(コンピュータプログラム)

Claims (9)

  1. 検査対象の物質との反応の有無に応じて発色する複数の検出体が固定されている試験片を撮像した画像データを取得し、取得した画像データに基づく複数の画素からなる画像により前記複数の検出体における反応の有無を判定する判定装置において、
    前記画像中の画素毎の画素値に基づき、輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値に対する判定基準値を算定する基準値算定手段と、
    前記画像中の前記複数の検出体が夫々撮像されている領域として特定されてある検出体領域毎に、各検出体領域内の画素値に対応する輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値を、前記判定基準値を用いて相対値へ変換する変換手段と、
    前記検出体領域毎に、前記複数の検出体別に予め定められてある閾値と前記相対値とを比較する比較手段と、
    前記比較手段による比較結果に基づいて、前記複数の検出体毎に反応の有無を判定する判定手段と
    を備えることを特徴とする判定装置。
  2. 前記変換手段は、前記階調値の前記判定基準値に対する割合を算出するようにしてある
    ことを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
  3. 前記基準値算定手段は、
    前記検出体領域毎の前記階調値を特定する手段と、
    前記複数の検出体夫々の検出体領域から一部を抽出する抽出手段と、
    抽出された一部の検出体領域に対し特定された階調値を用いて前記判定基準値を算定する手段と
    を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の判定装置。
  4. 前記抽出手段は、所定値以上の階調値が特定された検出体領域を抽出するようにしてある
    ことを特徴とする請求項3に記載の判定装置。
  5. 前記基準値算定手段は、
    前記複数の検出体を複数のグループに分別し、分別したグループ毎に前記判定基準値を算定するようにしてある
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の判定装置。
  6. 前記検出対象の物質は遺伝子検体であり、前記複数の検出体は前記遺伝子とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含むプローブである
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の判定装置。
  7. 前記検出対象の物質は結核菌であり、前記複数の検出体は前記結核菌とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含むプローブである
    ことを特徴とする請求項6に記載の判定装置。
  8. 撮像装置から情報を取得することが可能なコンピュータが、検査対象の物質との反応の有無に応じて発色する複数の検出体が固定されている試験片の画像データを前記撮像装置から取得し、取得した画像データに基づく複数の画素からなる画像により前記複数の検出体における反応の有無を判定する判定方法において、
    前記画像中の画素毎の画素値に基づき、輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値に対する判定基準値を試験片毎に算定し、
    前記画像中の前記複数の検出体が夫々撮像されている領域として特定されてある検出体領域毎に、各検出体領域内の画素値に対応する輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値を、前記判定基準値を用いて相対値へ変換し、
    前記検出体領域毎に、前記複数の検出体別に予め定められてある閾値と前記相対値とを比較し、
    比較結果に基づき、前記複数の検出体毎に反応の有無を判定する
    ことを特徴とする判定方法。
  9. 撮像装置から情報を取得することが可能なコンピュータに、検査対象の物質との反応の有無に応じて発色する複数の検出体が固定されている試験片の画像データを前記撮像装置から取得させ、取得された画像データに基づく複数の画素からなる画像により前記複数の検出体における反応の有無を判定させるコンピュータプログラムにおいて、
    前記画像中の画素毎の画素値に基づき、輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値に対する判定基準値を試験片毎に算定するステップ、
    前記画像中の前記複数の検出体が夫々撮像されている領域として特定されてある検出体領域毎に、各検出体領域内の画素値に対応する輝度の高低又は1若しくは複数の色の濃淡を示す階調値を、前記判定基準値を用いて相対値へ変換するステップ、及び、
    前記検出体領域毎に、前記複数の検出体別に予め定められてある閾値と前記相対値とを比較するステップ
    を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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