JP2016071012A - 投影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回折縞とスペックルを低減する新規な機構を備えた投影装置を提供する。【解決手段】投影装置は、光ビームを射出する光源12と、光源12から射出された光ビームをほぼ均一な強度分布の光ビームに変換するマイクロレンズアレイ14と、マイクロレンズアレイ14を通過した光ビームを集光する集光レンズ16と、光ビームに画像情報を与える画像表示素子18を備えている。投影装置はさらに、光源12とマイクロレンズアレイ14の間に、回折縞やスペックルなどのノイズを低減するノイズ低減機構20を備えている。ノイズ低減機構20は、光源12から射出された光ビームを透過する光学素子22と、光学素子22に固定された二つの誘電エラストマ24A,24Bと、誘電エラストマ24A,24Bの第一の面に設けられた第一の電極26A,26Bと、誘電エラストマ24A,24Bの第二の面に設けられた第二の電極28A,28Bを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、投影装置に関する。
投影装置のひとつに、半導体レーザーを光源に用いたプロジェクターがある。このようなプロジェクターにおいて、レーザー光をそのまま投影すると、そのコヒーレントな特性のために、回折現象による回折縞が発生したり、投影面上の微細凹凸により反射されるために干渉をおこしてスペックルが発生したりする。このような回折縞やスペックルは、投影画像の画質を著しく低下させる。
回折縞やスペックルを低減する手法としては、特許文献1に示されるように、拡散板を回転させることによって、あるいは特許文献2に示されるように、拡散板を振動させることによって、レーザー光をインコヒーレントな光に変換する手法が知られている。
特開平6−208089号公報 特許第4682528号
しかしながら、特許文献1のように、回転拡散板をレーザーの光路上に設置した場合には、拡散板の一部のみが使用されるだけで、そのほかの部分は使用されることが無く、無駄な実装体積を占有することになる。また特許文献1,2のように、拡散板を駆動するアクチュエータが、電磁力を用いたものである場合、電流駆動のために消費電力が増加するという問題がある。
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、回折縞とスペックルを低減する新規な機構を備えた投影装置を提供することである。
本発明による投影装置は、光ビームを射出する光源と、前記光ビームに画像情報を与える画像表示素子と、前記光源と前記画像表示素子の間に配置されたノイズ低減機構を備えている。前記ノイズ低減機構は、前記光源から射出された光ビームを透過する光学素子と、前記光学素子に固定された誘電エラストマと、前記誘電エラストマの第一および第二の面にそれぞれ設けられた第一および第二の電極を備えている。前記誘電エラストマは、前記第一および第二の電極の間に対する電圧の印加に応じて変形して前記光学素子を動かす。
本発明によれば、回折縞とスペックルを低減する新規な機構を備えた投影装置が提供される。
図1は、本実施形態による投影装置を概略的に示している。 図2は、図1に示されたノイズ低減機構を拡大して示している。 図3は、単体のデバイスとして構成された第一実施形態によるノイズ低減機構を示している。 図4は、第一実施形態によるノイズ低減機構の動作を示している。 図5は、第一実施形態によるノイズ低減機構の投影装置内における動作を示している。 図6は、図5に示されたマイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットを示している。 図7は、第二実施形態によるノイズ低減機構の動作を示している。 図8は、第二実施形態によるノイズ低減機構の投影装置内における動作を示している。 図9は、図8に示されたマイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットを示している。 図10は、第三実施形態によるノイズ低減機構を示している。 図11は、第三実施形態においてマイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットを示している。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
〈第一実施形態〉
本実施形態による投影装置を概略的に図1に示す。投影装置は、光ビームを射出する光源12と、光源12から射出された光ビームをほぼ均一な強度分布の光ビームに変換するマイクロレンズアレイ14と、マイクロレンズアレイ14を通過した光ビームを集光する集光レンズ16と、光ビームに画像情報を与える画像表示素子18と、を備えている。
光源12は、レーザー光源、例えば半導体レーザーで構成される。画像表示素子18は、例えばデジタルマイクロミラーデバイス(登録商標)で構成される。画像表示素子18は、矩形の反射領域を有しており、マイクロレンズアレイ14は、その反射領域に合わせて光ビームを成形する機能を有している。
画像表示素子18は、マトリックス状に配列された多数の偏向可能な反射素子を有しており、各反射素子は、入射ビームを投影方向に沿って反射するオン状態と、入射ビームを投影方向から反らして反射するオフ状態との間で切り換え可能である。画像表示素子18の反射素子は、供給される画像信号に従ってオン状態とオフ状態の間で切り換えられることにより、表示画像の二値情報を反射光ビームに与える。さらには、1フレーム内において多数回切り換えられることにより、表示画像の階調情報を反射光ビームに与える。
このような投影装置において、光源12から射出された光ビームは、マイクロレンズアレイ14によってほぼ均一な強度分布をもつ光ビームになり、集光レンズ16によって集光され、画像表示素子18に入射する。画像表示素子18に入射した光ビームは、画像情報が与えられるとともに反射され、投影される。
投影装置はさらに、光源12とマイクロレンズアレイ14の間に、回折縞やスペックルなどのノイズを低減するノイズ低減機構20を備えている。図1に示されたノイズ低減機構20を図2に拡大して示す。
ノイズ低減機構20は、光源12から射出された光ビームを透過する光学素子22と、光学素子22に固定された、電場により大きな歪を生成する二つの誘電エラストマ24A,24Bと、誘電エラストマ24A,24Bの第一の面に設けられた第一の電極26A,26Bと、誘電エラストマ24A,24Bの第二の面に設けられた第二の電極28A,28Bと、を備えている。
誘電エラストマ24A,24Bは、第一の電極26A,26B、及び第二の電極28A,28Bに挟まれた領域と、これらの電極に挟まれておらずに光学素子22側に凸出した領域と、で構成が異なる。
誘電エラストマ24A,24Bのうち、第一の電極26A,26B、及び第二の電極28A,28Bに挟まれた領域は、絶縁ゴム層の両面に、シリコーンゴム等にカーボン等の導電性粉体が混合された導電ゴム層が、積層された構造となっている。そして、誘電エラストマ24A,24Bのうち、第一の電極26A,26B、及び第二の電極28A,28Bに挟まれておらずに光学素子22側に突出した領域は、絶縁ゴム層のみで構成されている。光学素子22には、絶縁ゴム層が接着している。
光学素子22は、レンズ、拡散板、ガラス平板などであってよい。誘電エラストマ24A,24Bは、例えば、架橋点の動く高分子化合物で構成され得る。そのような高分子化合物は、例えば、ポリロタキサンであってよい。誘電エラストマ24A,24Bは、例えば、互いに対向する一対の平行な平面を有している板状であってよい。誘電エラストマ24A,24Bは、一方の平行な平面が光学素子22の面に接して光学素子22の縁部に固定されており、光学素子22の外部に突出して延びている。第一の電極26A,26Bおよび第二の電極28A,28Bが設けられている誘電エラストマ24A,24Bの第一の面および第二の面は、それぞれ、誘電エラストマ24A,24Bの一対の平行な平面であってよい。
二つの誘電エラストマ24A,24Bは、光学素子22に対して対称性良く、例えば、光学素子22の光学中心に対して対称的に配置されている。光学素子22の他方の面の一端側と他端側に、それぞれ誘電エラストマ24A,24Bが、両面テープ等で接着されていてもよい。
例えば、第一の電極26A,26BはGND電極として使用され、第二の電極28A,28Bはプラス電極として使用されてよい。各誘電エラストマ24A,24Bは、第一の電極26A,26Bと第二の電極28A,28Bの間に対する電圧の印加に応じて、変形する特性、より詳しくは、厚さ方向に縮むとともに厚さ方向に直交する面方向に伸びる特性を有している。
ノイズ低減機構20は、投影装置の筐体等に直に取り付けられてもよいが、独立した単体のデバイスとして構成されてもよい。単体のデバイスとして構成された本実施形態によるノイズ低減機構20を図3に示す。この構成例においては、ノイズ低減機構20は、第一の電極26A,26Bと第二の電極28A,28Bをそれぞれ保持している第一のフレーム30と第二のフレーム32を有している。第一および第二のフレーム30,32は、第一の電極26A,26Bと第二の電極28A,28Bと直接接触するため、樹脂などの絶縁体で構成されてよい。あるいは、第一および第二のフレーム30,32は、第一の電極26A,26Bと第二の電極28A,28Bと接触する表面に絶縁被膜が形成された金属で構成されてもよい。
本実施形態によるノイズ低減機構20の動作を図4に示す。第一の電極26A,26Bと第二の電極28A,28Bとの間には、それぞれ、電源34A,34Bとスイッチ36A,36Bとが直列に電気的に接続されている。別の言い方をすれば、ノイズ低減機構20はまた、誘電エラストマ24A,24Bに対して電圧を適宜印加する通電回路38A,38Bを有している。
図4(a)に示された状態では、スイッチ36A,36Bは開かれており、言い換えれば、通電回路38A,38Bはオフ状態にあり、誘電エラストマ24A,24Bには電圧が印加されていない。以下では、この状態を初期状態と呼ぶことにする。図4(b)に示されるように、スイッチ36A,36Bが閉じられると、誘電エラストマ24A,24Bに電圧が印加されるため、誘電エラストマ24A,24Bが平面方向に伸長し、その結果、初期状態に比べて、光学素子22が光軸に沿って移動される。以下では、この状態を変位状態と呼ぶことにする。
本実施形態によるノイズ低減機構20の投影装置内における動作を図5に示す。また、マイクロレンズアレイ14上に形成されるビームスポットを図6に示す。図5では、光学素子22は、光学パワーを有する光学素子、例えば、正の光学パワーを有する光学素子、例えば平凸レンズとして表現されている。また、動作の理解を助けるために、光学素子22の位置変化に伴うビーム径の変化は誇張して描かれている。
図5(a)と図6(a)に示されるように、誘電エラストマ24A,24Bに電圧が印加されていない初期状態では、光学素子22を通過した光ビームは、マイクロレンズアレイ14上にビームスポットB1を形成する。これに対して、図5(b)と図6(b)に示されるように、誘電エラストマ24A,24Bに電圧が印加された状態では、光学素子22が光軸に沿ってマイクロレンズアレイ14の方に移動されるため、光学素子22を通過した光ビームは、マイクロレンズアレイ14上に、ビームスポットB1よりも小さいビームスポットB2を形成する。
このように、スイッチ36A,36Bの開閉を同時に切り換えることによって、通電回路38A,38Bが同時に、誘電エラストマ24A,24Bに対する電圧印加のオンオフを切り換えることによって、光学素子22が運動、例えば並進運動され、投影光ビームが通過するマイクロレンズアレイ14の領域、言い換えれば、投影光ビームが通過するマイクロレンズ14aの個数が変化する。
スイッチ36A,36Bの開閉の同時の切り換えが繰り返しおこなわれることによって、言い換えれば、通電回路38A,38Bが同時に、誘電エラストマ24A,24Bに対する電圧印加のオンオフを繰り返し切り換えることによって、初期状態と変位状態が交互に繰り返され、投影光ビームが通過するマイクロレンズアレイ14の領域が拡大縮小されるため、回折縞やスペックルが均一化されて、目視による認識が低減される。すなわち、回折縞やスペックルなどのノイズが低減される。スイッチ36A,36Bの開閉の切り換えの周期は、好ましくは、60ヘルツ以上であるとよい。
〈第二実施形態〉
第二実施形態は、投影装置の構成は第一実施形態と同じであるが、ノイズ低減機構20の動作が第一実施形態と相違している。本実施形態では、誘電エラストマ24A,24Bが固定されている光学素子22の面が相違しており、また、通電回路38A,38Bの動作が相違している。本実施形態におけるノイズ低減機構20の動作を図7に示す。
図7(a)に示された状態では、スイッチ36A,36Bは開かれており、言い換えれば、通電回路38A,38Bはオフ状態にあり、誘電エラストマ24A,24Bには電圧が印加されていない。以下では、この状態を初期状態と呼ぶことにする。
初期状態から、図7(b)に示されるように、スイッチ36Aだけが閉じられると、誘電エラストマ24Aだけに電圧が印加される。このため、誘電エラストマ24Bはそのままだが、誘電エラストマ24Aが平面方向に伸長する結果、初期状態に比べて、光学素子22が断面から見て左回りに例えば3°程度傾斜される。以下では、この状態を正傾斜状態と呼ぶことにする。
反対に、初期状態から、図7(c)に示されるように、スイッチ36Bだけが閉じられると、誘電エラストマ24Bだけに電圧が印加される。このため、誘電エラストマ24Aはそのままだが、誘電エラストマ24Bが平面方向に伸長する結果、初期状態に比べて、光学素子22が断面から見て右回りに例えば3°程度傾斜される。以下では、この状態を負傾斜状態と呼ぶことにする。
本実施形態によるノイズ低減機構20の投影装置内における動作を図8に示す。また、マイクロレンズアレイ14上に形成されるビームスポットを図9に示す。図8では、光学素子22は、正のパワーを有する光学素子、例えば平凸レンズとして表現されている。また、動作の理解を助けるために、光学素子22の傾斜変化に伴うビームの方向の変化は誇張して描かれている。
図8(a)と図9(a)に示されるように、誘電エラストマ24A,24Bに電圧が印加されていない初期状態では、光学素子22を通過した光ビームは、マイクロレンズアレイ14のほぼ中央にビームスポットBを形成する。
図8(b)と図9(b)に示されるように、誘電エラストマ24Aに電圧が印加された正傾斜状態では、光学素子22が左回りに傾斜されるため、光学素子22を通過した光ビームは、初期状態と比較して、マイクロレンズアレイ14の下方位置にビームスポットBを形成する。
また、図8(c)と図9(c)に示されるように、誘電エラストマ24Bに電圧が印加された負傾斜状態では、光学素子22が右回りに傾斜されるため、光学素子22を通過した光ビームは、初期状態に比べて、マイクロレンズアレイ14の上方位置にビームスポットBを形成する。
このように、スイッチ36A,36Bの一方が閉じられることによって、対応する一方の誘電エラストマ24A,24Bに電圧が印加され、光学素子22が運動、例えば傾斜運動され、投影光ビームが通過するマイクロレンズアレイ14の位置、言い換えれば、投影光ビームが通過するマイクロレンズ14aが変化する。
スイッチ36A,36Bが交互に繰り返し閉じられることによって、言い換えれば、通電回路38A,38Bが交互に、誘電エラストマ24A,24Bに電圧を間欠的に繰り返し印加することによって、光学素子22が左回りに傾斜される正傾斜状態と光学素子22が右回りに傾斜される負傾斜状態が繰り返し現れ、光軸に対して光学素子22が上下方向にあおられる。これにより、マイクロレンズアレイ14上において、ビームスポットBが上下方向に走査される。その結果、投影光ビームが通過するマイクロレンズアレイ14の位置が連続的に変化するため、回折縞やスペックルが均一化されて、目視による認識が低減される。すなわち、回折縞やスペックルなどのノイズが低減される。
本実施形態では、第一実施形態に比べて、投影光ビームが通過するマイクロレンズ14aの変化が大きく、回折縞やスペックルなどのノイズ低減のより高い効果が得られやすい。
ここでは、光学素子22は、平凸レンズであるとして説明されたが、光学パワーをもたない光学素子、例えば透明な平行な平板であっても同様の効果が得られる。
また、通電回路38A,38Bが交互に、誘電エラストマ24A,24Bに対する電圧印加のオンオフを切り換える動作例が説明されたが、通電回路38A,38Bの一方だけが、対応する一方の誘電エラストマ24A,24Bに対する電圧印加のオンオフを切り換える構成であってもよく、この場合にも同様のノイズ低減効果を得ることができる。言い換えれば、ノイズ低減機構20は、必ずしも二組の誘電エラストマ24A,24Bと第一の電極26A,26Bと第二の電極28A,28Bを備えている必要はなく、二組の誘電エラストマ24A,24Bと第一の電極26A,26Bと第二の電極28A,28Bの少なくとも一方を備えていればよい。つまり、ノイズ低減機構20は、二組の誘電エラストマ24A,24Bと第一の電極26A,26Bと第二の電極28A,28Bの一方が、光学素子22を弾性的に支持する樹脂等の支持体に置き換えられた構成であってもよい。
〈第三実施形態〉
第三実施形態は、図1に示されたノイズ低減機構に代替可能な別のノイズ低減機構に関する。第三実施形態によるノイズ低減機構20を図10に示す。
本実施形態によるノイズ低減機構20は、光学素子22と、光学素子22に固定された四つの誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dと、誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dの一方の面に設けられた第一の電極26A,26B,26C,26Dと、誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dの他方の面に設けられた第二の電極28A,28B,28C,28Dを備えている。
誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dは、例えば、光学素子22の光学中心に対して対称性良く配置されている。例えば、誘電エラストマ24A,24Bと誘電エラストマ24D,24Cは光学素子22の中心に対して線対称に配置され、また、誘電エラストマ24A,24Dと誘電エラストマ24B,24Cは光学素子22の中心に対して線対称に配置されている。第一の電極26A,26B,26C,26DはGND電極として使用され、第二の電極28A,28B,28C,28Dはプラス電極として使用されてよい。各誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dは、第一の電極26A,26B,26C,26Dと第二の電極28A,28B,28C,28Dとの間に対する電圧の印加に応じて、変形する特性、より詳しくは、厚さ方向に縮むとともに厚さ方向に直交する面方向に伸びる特性を有している。
第一の電極26A,26B,26C,26Dと第二の電極28A,28B,28C,28Dには、それぞれ、第一実施形態で説明されものと同様な通電回路38A,38B,38C,38Dが接続されていてよい。すなわち、ノイズ低減機構20は、四つの誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dにそれぞれ電圧を適宜印加する四つの通電回路38A,38B,38C,38Dを有していてよい。
本実施形態においてマイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットを図11に示す。
誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dのいずれにも電圧が印加されていない状態では、光学素子22を通過した投影光ビームは、図11(a)に示されるように、マイクロレンズアレイ14のほぼ中央にビームスポットBを形成する。
一例では、誘電エラストマ24A,24Cに交互に電圧が印加されてよい。この場合、光軸に対して光学素子22が図10において右下がり斜め方向にあおられる。このため、図11(b)に示されるように、マイクロレンズアレイ14上において、ビームスポットBが右下がり斜め方向に直線的に往復走査される。
別の例では、誘電エラストマ24B,24Dに交互に電圧が印加されてよい。光軸に対して光学素子22が図10において右上がり斜め方向にあおられる。このため、図11(c)に示されるように、マイクロレンズアレイ14上において、ビームスポットBが右上がり斜め方向に直線的に往復走査される。
いずれの場合も、投影光ビームが通過するマイクロレンズアレイ14の位置が連続的に変化するため、回折縞やスペックルが均一化されて、目視による認識が低減される。すなわち、回折縞やスペックルなどのノイズが低減される。
また、誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dに順番に電圧が印加されてよい。
例えば、同一の電圧信号が誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dに等しい時間間隔で印加されてよい。つまり、誘電エラストマ24Aに対して、誘電エラストマ24Bには90度遅れた位相で、誘電エラストマ24Cには180度遅れた位相で、誘電エラストマ24Dには270度遅れた位相で、同一の電圧信号が印加されてよい。この場合、
図11(d)に示されるように、マイクロレンズアレイ14上において、ビームスポットBが閉曲線、例えば円周に沿って走査される。
その結果、投影光ビームが通過するマイクロレンズアレイ14の位置が連続的に変化するため、回折縞やスペックルが均一化されて、目視による認識が低減される。すなわち、回折縞やスペックルなどのノイズが低減される。さらに、直線的な往復走査のようにビームスポットBの移動が一時的に停止するようなことはなく、ビームスポットBは移動され続けるので、回折縞やスペックルなどのノイズ低減の効果が向上される。
ここでは、ノイズ低減機構20は、光学素子22に固定された四つの誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dを有し、これらの誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dに電圧を順番に印加することによって、ビームスポットBの連続的な移動を達成する例を述べたが、ノイズ低減機構は、光学素子に固定された三つ以上の誘電エラストマと、これらの誘電エラストマにそれぞれ電圧を印加する通電回路を有し、これらの誘電エラストマに電圧を順番に印加する構成であってもよく、この場合にも同様に、一時的に停止することのないビームスポットの閉曲線に沿った走査を達成することができる。このように、円を描くようにビームスポットBを移動させると、より回折縞やスペックルなどのノイズ低減の効果が向上される。
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。ここにいう様々な変形や変更は、上述した実施形態を適当に組み合わせた実施も含む。
上述した実施形態の説明において、特に明言していないが、誘電エラストマに印加される電圧の大きさは適宜変更されてよい。また、誘電エラストマに電圧が印加されるタイミングも適宜変更されてよい。例えば、誘電エラストマに印加される電圧の大きさと時間間隔がランダムに変更されてよい。このように印加電圧の大きさと時間間隔をランダムに変更することにより、マイクロレンズアレイ14上におけるビームスポットの走査の規則性が低減され、回折縞やスペックルなどのノイズ低減の効果の向上が期待される。
更に、第一実施形態においては、光学素子22は上下均等に光軸方向に移動するとしたため、光学素子22の平面側が誘電エラストマ24A,24Bに接着されている構成としたが、これに限らず、第二実施形態及び第三実施形態における光学素子22のように、曲面側が誘電エラストマ24A,24Bに接着されている構成としても良い。
同様に、第二実施形態においては、誘電エラストマ24A、24Bは上下別々に動く構成とし、第三実施形態においては、誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dは上下左右別々に動く構成としたため、光学素子22の曲面側が誘電エラストマ24A,24Bに接着されている構成としたが、これに限らず、第一実施形態における光学素子22のように、平面側が誘電エラストマ24A,24Bに接着されている構成としても良い。
更に、光学素子22の代わりに拡散板を用いても良い。
また、上記実施形態においては、誘電エラストマ24A,24B,24C,24Dが、2つ及び4つの場合について説明したが、これに限らず、一つ、三つ、或いは五つ以上設けられていても良い。
〈付記〉
本願の明細書および図面に開示されている発明の一部を以下に列記する。
[1]
光ビームを射出する光源と、
前記光ビームに画像情報を与える画像表示素子と、
前記光源と前記画像表示素子の間に配置されたノイズ低減機構を備えており、
前記ノイズ低減機構は、
前記光源から射出された光ビームを透過する光学素子と、
前記光学素子に固定された誘電エラストマと、
前記誘電エラストマの第一および第二の面にそれぞれ設けられた第一および第二の電極を備えており、
前記誘電エラストマは、前記第一および第二の電極の間に対する電圧の印加に応じて変形して前記光学素子を動かす、ことを特徴とする投影装置。
[2]
前記光源は、レーザー光源を含み、
さらに、前記ノイズ低減機構と前記画像表示素子の間に配置された、前記光ビームをほぼ均一な強度分布の光ビームに変換するマイクロレンズアレイを有している、ことを特徴とする[1]に記載の投影装置。
[3]
前記ノイズ低減機構は、前記光学素子に固定された一つの誘電エラストマと、前記一つの誘電エラストマに電圧を印加する通電回路を有しており、
前記通電回路は、前記一つの誘電エラストマに対する電圧印加のオンオフを繰り返し切り換えることにより、前記マイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットが走査される、ことを特徴とする[2]に記載の投影装置。
[4]
前記ノイズ低減機構は、前記光学素子に固定された二つの誘電エラストマと、前記二つの誘電エラストマにそれぞれ電圧を印加する二つの通電回路を有しており、
前記二つの誘電エラストマは、前記光学素子に対して対称性良く配置されており、
前記二つの通電回路は同時に、前記二つの誘電エラストマに対する電圧印加のオンオフを繰り返し切り換えることにより、前記光学素子は、光軸に沿って繰り返し並進運動され、前記マイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットが拡大縮小される、ことを特徴とする[2]に記載の投影装置。
[5]
前記ノイズ低減機構は、前記光学素子に固定された二つの誘電エラストマと、前記二つの誘電エラストマにそれぞれ電圧を印加する二つの通電回路を有しており、
前記二つの通電回路は交互に、前記二つの誘電エラストマに対する電圧印加のオンオフを繰り返し切り換えることにより、前記光学素子は、光軸に対して繰り返し傾斜運動され、前記マイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットが走査される、ことを特徴とする[2]に記載の投影装置。
[6]
前記ノイズ低減機構は、前記光学素子に固定された三つ以上の誘電エラストマと、前記三つ以上の誘電エラストマにそれぞれ電圧を印加する三つ以上の通電回路を有しており、
前記三つ以上の通電回路は順番に、前記三つ以上の誘電エラストマに対する電圧印加のオンオフを繰り返し切り換えることにより、前記光学素子は、光軸に対して繰り返し傾斜運動され、前記マイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットが閉曲線に沿って走査される、ことを特徴とする[2]に記載の投影装置。
12…光源、14…マイクロレンズアレイ、14a…マイクロレンズ、16…集光レンズ、18…画像表示素子、20…ノイズ低減機構、22…光学素子、24A,24B,24C24D…誘電エラストマ、26A,26B,26C,26D…第一の電極、28A,28B,28C,28D…第二の電極、30…第一のフレーム、32…第二のフレーム、34A,34B…電源、36A,36B…スイッチ、38A,38B,38C,38D…通電回路、B,B1,B2…ビームスポット。

Claims (6)

  1. 光ビームを射出する光源と、
    前記光ビームに画像情報を与える画像表示素子と、
    前記光源と前記画像表示素子の間に配置されたノイズ低減機構を備えており、
    前記ノイズ低減機構は、
    前記光源から射出された光ビームを透過する光学素子と、
    前記光学素子に固定された誘電エラストマと、
    前記誘電エラストマの第一および第二の面にそれぞれ設けられた第一および第二の電極を備えており、
    前記誘電エラストマは、前記第一および第二の電極の間に対する電圧の印加に応じて変形して前記光学素子を動かす、ことを特徴とする投影装置。
  2. 前記光源は、レーザー光源を含み、
    さらに、前記ノイズ低減機構と前記画像表示素子の間に配置された、前記光ビームをほぼ均一な強度分布の光ビームに変換するマイクロレンズアレイを有している、ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
  3. 前記ノイズ低減機構は、前記光学素子に固定された一つの誘電エラストマと、前記一つの誘電エラストマに電圧を印加する通電回路を有しており、
    前記通電回路は、前記一つの誘電エラストマに対する電圧印加のオンオフを繰り返し切り換えることにより、前記マイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットが走査される、ことを特徴とする請求項2に記載の投影装置。
  4. 前記ノイズ低減機構は、前記光学素子に固定された二つの誘電エラストマと、前記二つの誘電エラストマにそれぞれ電圧を印加する二つの通電回路を有しており、
    前記二つの誘電エラストマは、前記光学素子に対して対称性良く配置されており、
    前記二つの通電回路は同時に、前記二つの誘電エラストマに対する電圧印加のオンオフを繰り返し切り換えることにより、前記光学素子は、光軸に沿って繰り返し並進運動され、前記マイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットが拡大縮小される、ことを特徴とする請求項2に記載の投影装置。
  5. 前記ノイズ低減機構は、前記光学素子に固定された二つの誘電エラストマと、前記二つの誘電エラストマにそれぞれ電圧を印加する二つの通電回路を有しており、
    前記二つの通電回路は交互に、前記二つの誘電エラストマに対する電圧印加のオンオフを繰り返し切り換えることにより、前記光学素子は、光軸に対して繰り返し傾斜運動され、前記マイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットが走査される、ことを特徴とする請求項2に記載の投影装置。
  6. 前記ノイズ低減機構は、前記光学素子に固定された三つ以上の誘電エラストマと、前記三つ以上の誘電エラストマにそれぞれ電圧を印加する三つ以上の通電回路を有しており、
    前記三つ以上の通電回路は順番に、前記三つ以上の誘電エラストマに対する電圧印加のオンオフを繰り返し切り換えることにより、前記光学素子は、光軸に対して繰り返し傾斜運動され、前記マイクロレンズアレイ上に形成されるビームスポットが閉曲線に沿って走査される、ことを特徴とする請求項2に記載の投影装置。
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