JP2016063318A - 音場制御システム、音場制御方法および同定用信号発生装置 - Google Patents

音場制御システム、音場制御方法および同定用信号発生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】屋外環境における音場制御に適用する音場制御システム、音場制御方法及び同定用信号発生装置の提供。【解決手段】第1及び第2の出力部から出力された各音響信号により第1及び第2のスピーカから放射された音が共通して到来するエリアでの気象情報を取得する。第1及び第2のスピーカ1301、1302からエリアまでの第1及び第2の空間伝達特性をそれぞれ同定するための同定用信号を、気象情報に基づいて生成する。同定用信号に従い第1および第2のスピーカ1301、1302から放射された各音による第1および第2の音響信号401、402をそれぞれ取得する。第1および第2の音響信号401、402に基づきそれぞれ同定した第1および第2の空間伝達特性に基づいて、入力音響信号をフィルタ処理してそれぞれ第1および第2の出力部に供給する第1および第2の制御フィルタ1111、1112のパラメータのうち少なくとも一方を生成する。【選択図】図14

Description

本発明は、音場制御システム、音場制御方法および同定用信号発生装置に関する。
防災行政無線放送を屋外に設置された拡声器(スピーカ)から出力することが行われている。この場合の実運用において、スピーカ1個がカバーするエリアは広く、スピーカから300m程度の範囲が想定されていることが多い。このように、遠方へ音波を伝えるために、スピーカによる再生出力は、大きくなる。そのため、スピーカの近傍では音が大きくなり過ぎて煩いとの苦情を受けることが多々ある。このような場合、一般的には、スピーカから出力される音の音量を下げる、スピーカの向きを変えるなどの方法により対処しており、エリア全体での音量バランス調整が困難であった。
したがって、任意のエリア毎に適正な音量を伝達させるような制御技術が望まれている。このような制御に適用可能な技術として、例えば、複数のスピーカから出力される音波の振幅および位相を制御フィルタのパラメータを調整して重ね合わせることで、空間場の任意の方向(またはエリア)で以て音圧の増音領域と維持領域、または維持領域と減音領域などを形成する技術が知られている。
特開2014−30159号公報 特開2012−156865号公報 特開2009−111920号公報 特開2007−121439号公報
しかしながら、上述した技術は、室内向けに開発されたものであり、風などの気象条件や環境騒音が大きく作用する屋外条件に対してそのまま適用することが困難であるという問題点があった。
すなわち、複数スピーカから出力される音により任意の方向またはエリアの音圧制御を行う場合、任意の方向またはエリア内に設定した制御点(受音点)までの空間伝達特性を同定する必要がある。屋内環境においては、音波の到来時間は、屋内のスピーカ、マイクロフォン、部屋の形状や配置される器具のみにより固定的に決定される。
一方、屋外環境においては、気象条件の影響を考慮する必要がある。例えば、屋外環境においては、風(風速、風向き)の影響により見かけの音速が変化することで、音波の到来時刻が変わってしまう。そのため、例えば複数回の同定結果を比較すると、音波の到来時刻が一致しないために何れも異なる結果になってしまう場合がある。この場合、制御フィルタのパラメータが安定せず、制御フィルタの構築が困難となってしまう。
本発明が解決しようとする課題は、屋外環境における音場制御に適用可能な音場制御システム、音場制御方法および同定用信号発生装置を提供することにある。
実施形態の音場制御システムは、第1および第2の出力部から出力された各音響信号により第1および第2のスピーカから放射された音が共通して到来するエリアでの気象情報を取得する。第1および第2のスピーカからエリアまでの第1および第2の空間伝達特性をそれぞれ同定するための同定用信号を、気象情報に基づいて生成する。同定用信号に従い第1および第2のスピーカから放射された各音による第1および第2の音響信号をそれぞれ取得する。第1および第2の音響信号に基づきそれぞれ同定した第1および第2の空間伝達特性に基づいて、入力音響信号をフィルタ処理してそれぞれ第1および第2の出力部に供給する第1および第2のフィルタに対する第1および第2のフィルタパラメータのうち少なくとも一方を生成する。
図1は、音場制御方式の第1の例による音場制御システムの一例の構成を示すブロック図である。 図2は、各スピーカおよびマイクロフォンの配置の例を示す図である。 図3は、音場制御方式の第1の例により求めたフィルタの特性の例を示す図である。 図4は、音場制御方式の第1の例により求めたフィルタの特性の例を時間領域で表した図である。 図5は、音場制御方式の第1の例による効果を説明するための図である。 図6は、音場制御方式の第2の例による音場制御システムの一例の構成を示すブロック図である。 図7は、各スピーカおよびマイクロフォンの配置の例を示す図である。 図8は、音場制御方式の第2の例により求めたフィルタの特性の例を示す図である。 図9は、音場制御方式の第2の例により求めたフィルタの特性の例を時間領域で表した図である。 図10は、音場制御方式の第2の例による効果を説明するための図である。 図11は、屋外環境における空間伝達特性の測定について説明するための図である。 図12は、屋外環境における空間伝達特性の測定について説明するための図である。 図13は、屋外環境における空間伝達特性の測定について説明するための図である。 図14は、実施形態に係る音場制御システムの一例の構成を示すブロック図である。 図15は、実施形態に係る同定用信号生成部が生成する第1および第2の同定用信号の例を示す図である。 図16は、実施形態に係る同定用信号生成部の構成例を示すブロック図である。 図17は、インパルス応答の算出方法を説明するための図である。 図18は、実施形態に係るインパルス応答の算出方法を説明するための図である。 図19は、実施形態に係るインパルス応答の算出方法を説明するための図である。 図20は、実施形態に係るインパルス応答の算出方法を説明するための図である。 図21は、実施形態に係るインパルス応答の算出方法を説明するための図である。 図22は、実施形態に係るインパルス応答の算出方法を説明するための図である。 図23は、実施形態に係る方法で求めた各フィルタパラメータを第1および第2制御フィルタに適用した場合の、実験結果の例を示す図である。 図24は、実施形態による処理手順の例を示すフローチャートである。 図25は、実施形態に適用可能な音響制御装置のハードウェア構成の例を示すブロック図である。 図26は、実施形態の変形例に係る音場制御システムの一例の構成を示すブロック図である。 図27は、他の実施形態に係る音場制御システムについて概略的に説明するための図である。 図28は、他の実施形態に係る音場制御システムの一例の構成を示すブロック図である。 図29は、他の実施形態の変形例に係る音場制御システムについて概略的に説明するための図である。 図30は、他の実施形態の変形例に係る音場制御システムの一例の構成を示すブロック図である。
以下、実施形態に係る音場制御システム、音場制御装置および音場制御方法について説明する。先ず、実施形態に適用可能な音場制御方式の第1の例および第2の例について説明する。これら第1の例および第2の例は、2個以上のスピーカから放射される音波の振幅、位相、時間遅延量を調整することにより、任意の地点の音圧を変化させることを可能としたものである。
(音場制御方式の第1の例)
第1の例は、1つの制御点または制御エリアの音圧を、2個のスピーカからの音波で消音させる場合の例である。図1は、第1の例による音場制御システム100の一例の構成を示す。音場制御システム100は、フィルタ部110と、音量調整部120と、スピーカ1301および1302と、マイクロフォン150とを含む。フィルタ部110は、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112を含む。また、音量調整部120は、第1音量調整部1211および第2音量調整部1212を含む。
第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112は、入力音響信号50に対して、後述するようにして算出されたフィルタパラメータに従いそれぞれフィルタ処理を施す。第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112で入力音響信号がフィルタ処理された各音響信号は、それぞれ第1音量調整部1211および第2音量調整部1212に入力される。
第1音量調整部1211および第2音量調整部1212は、それぞれ入力された音響信号に対して増幅処理、音量調整処理を施して出力する出力部である。第1音量調整部1211および第2音量調整部1212から出力された各音響信号は、スピーカ1301および1302により音として放射される。
スピーカ1301から放射された音は、経路140を介してマイクロフォン150により収音され、音響信号に変換されて出力される。同様に、スピーカ1302から放射された音は、経路141を介してマイクロフォン150により収音され、音響信号に変換されて出力される。マイクロフォン150から出力された音響信号は、それぞれ図示されない音取得部に取得されてフィルタ算出部に供給される。
なお、上述の構成において、スピーカ1301を基準音源とし、スピーカ1302を制御音源とする。マイクロフォン150は、音を制御したい(この場合、消音したい)、任意の制御エリア160に設置される。
基準音源(スピーカ1301)単体からマイクロフォン150まで到来する音の音圧レベルPは、次式(1)にて表される。ここで、基準音源からマイクロフォン150までの空間伝達特性をFPとし、音場制御システム100に入力される入力音響信号50が振幅qであるものとする。
Figure 2016063318
次に、基準音源はそのままスルー再生、すなわち第1制御フィルタ1111によるフィルタ処理を行わない状態で、制御音源(スピーカ1302)を用いることで、制御エリア160に設置されたマイクロフォン150に対する音圧を消音させる場合について考える。
ここで、第1制御フィルタ1111の特性を、スルー特性W1(=1)とする。すなわち、第1制御フィルタ1111から出力された音響信号は、スピーカ1301から基準音源として放射されるため、特性は変化させない。
制御音源(スピーカ1302)からマイクロフォン150までの空間伝達特性をFS、第2制御フィルタ1112の特性をW2とする。2つの音源(基準音源および制御音源)それぞれから放射された音の音圧を合成した合成音圧P’が消音されることは、合成音圧P’=0となることを意味する。そのため、下記の式(2)が成り立つ。
Figure 2016063318
したがって、制御音源用の第2制御フィルタ1112の特性W2は下記の式(3)のように表現される。
Figure 2016063318
ここで、一例として、各スピーカ1301および1302と、マイクロフォン150とが、図2に示されるように配置されるものとする。すなわち、図2の例では、スピーカ1301および1302は、それぞれ高さ3.4mに、中心部の間隔が0.5mに近接して、正面の面を一致させて配置される。また、マイクロフォン150は、スピーカ1301および1302の正面の面から垂直方向に20m、水平方向(この例ではスピーカ1301の方向)に8.5mの位置に配置される。
このような条件において、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112をそれぞれスルー特性とし、入力音響信号50として所定の同定用信号を入力し、第1音量調整部1211と第2音量調整部1212とで音量を揃えた上で、各スピーカ1301および1302から音を放射させる。この各スピーカ1301および1302から放射された音をそれぞれマイクロフォン150で収音し、集音した音による音響信号に基づき、経路140における空間伝達特性FPと、経路141における空間伝達特性FSとを求める。
図3は、このようにして求めた空間伝達特性FPおよびFSに基づく第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112の特性W1およびW2を周波数領域で表した、振幅特性および位相特性の例を示す。図3(a)は、振幅特性の例を示す。図3(a)において、特性線200が特性W1を示し、特性線201が特性W2を示す。また、図3(b)は、位相特性の例を示す。図3(b)において、特性線202が特性W1を示し、特性線203が特性W2を示す。
図4(a)および図4(b)は、それぞれ、上述の特性W1およびW2を逆フーリエ変換し、時間領域で表した例である。これら図4(a)および図4(b)に示される特性W1およびW2に対応するパラメータが、それぞれ第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112のフィルタパラメータとして用いられる。これにより、図5に例示されるように、制御エリア160における消音効果が得られるようになる。
図5において、特性線204は、第1制御フィルタ111および第2制御フィルタ1112が非制御時、すなわち、それぞれスルー特性の場合の制御エリア160における音圧の周波数特性の例を示す。また、特性線205は、第1制御フィルタ111および第2制御フィルタ1112が制御時、すなわち、それぞれ特性W1およびW2を適用した場合の、制御エリア160における音圧の周波数特性の例を示す。第1制御フィルタ111および第2制御フィルタ1112の制御により、各周波数において音圧が抑制されているのが分かる。
(音場制御方式の第2の例)
第2の例は、図6に例示されるように、2個のスピーカから放射される音により2方向の制御エリア(方向)を同時に制御し、第1の制御エリア161(エリア内の制御点)の音圧を維持したまま、第2の制御エリア162(エリア内の制御点)の音圧を増大させる例である。
図6は、第2の例による音場制御システム101の一例の構成を示す。なお、図6において、上述した図1と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。上述した図1に示した音場制御システム100が1つのマイクロフォン150を含むのに対し、図6に示される音場制御システム101は、2以上のマイクロフォン151iおよび152jを含む。この第2の例による音場制御方式は、1つの制御エリア内に1個または複数個の制御点を設定し、その音響エネルギーの総和を最小化させることで実現する。
第1の制御エリア161にM個、第2の制御エリア162にN個の制御点をそれぞれ配置した場合における、2個のスピーカ音源(スピーカ1301および1302)により増音制御を行う制御フィルタの導出方法について説明する。
なお、第1の制御エリア161内の1つの制御点に設置されたマイクロフォン151iとスピーカ1301および1302との間の経路143および145における空間伝達特性をそれぞれ空間伝達特性ZPjおよびZSjとする。また、第2の制御エリア162内の1つの制御点に設置されたマイクロフォン152jとスピーカ1301および1302との間の経路142および144における空間伝達特性をそれぞれ空間伝達特性FPiおよびFSiとする。
音場制御後の各エリアの音圧を下記の式(4)および式(5)にて決定する。第1の制御エリア161内のi番目の制御点(例えばマイクロフォン151iの位置)の音圧(合成音圧)Piは、式(4)にて与えられる。また、第2の制御エリア162内のj番目の制御点(例えばマイクロフォン152jの位置)の音圧(合成音圧)Qjは、式(5)にて与えられる。
Figure 2016063318
Figure 2016063318
式(4)および式(5)から、第1の制御エリア161の音圧Piは、非制御時の第1スピーカ音源(P)例えばスピーカ1301からの音圧のna倍、第2の制御エリア162の音圧Qjは、非制御時の第1スピーカ音源(P)からの音圧のnb倍とする。
先ず、第1の制御エリア161に注目する。式(4)を変形すると下記の式(6)となり、式(7)に示す、この音響エネルギーの総和Umが最小となるようにする。なお、式(6)において、値qpは複素振幅であることから、式(8)にて表される。
Figure 2016063318
Figure 2016063318
Figure 2016063318
音響エネルギーの総和Umを最小となるようにするためには、下記の式(9)を満たす解を求めればよい。
Figure 2016063318
第2の制御エリア162でも同様の手順で、下記の式(10)〜式(12)を導出する。
Figure 2016063318
Figure 2016063318
Figure 2016063318
そして、音響エネルギーの総和Unが最小となるように、式(13)を満たす解を求める。
Figure 2016063318
上述した式(9)および式(13)を解くことにより得られた解は、下記の式(14)および式(15)となる。
Figure 2016063318
Figure 2016063318
ここで、式(14)および式(15)中の値α、βiおよびγiは、下記の式(16)〜式(18)で表される。
Figure 2016063318
Figure 2016063318
Figure 2016063318
したがって、式(14)および式(15)を逆フーリエ変換し、得られる時間領域の制御フィルタが、図6の構成例における第1の制御フィルタ1111および第2の制御フィルタ1112の特性となる。
すなわち、非制御時の第1の制御フィルタ1111の特性Wp|OFFは、次式(19)で表される。ここで、複素振幅qは、基準振幅より、式(19)は、スルー特性フィルタとなる。
Figure 2016063318
また、制御時の第1の制御フィルタ1111の特性Wp|ONは式(20)で表され、制御時の第2の制御フィルタ1112の特性Wsは、式(21)で表される。
Figure 2016063318
Figure 2016063318
ここで、一例として、各スピーカ1301および1302と、マイクロフォン151iおよび152jとが、図7のように配置されるものとする。図7の例では、各スピーカ1301および1302と、マイクロフォン152jの配置は、図2を用いて説明した各スピーカ1301および1302と、マイクロフォン150の配置と同一としている。図7では、さらに、各スピーカ1301および1302の正面の面から垂直方向に20mの位置に、マイクロフォン151iが配置されている。
このような条件において、第1の制御エリア161に到達する音圧を振幅の2倍の6dB(デシベル)増大させ、第2の制御エリア162は制御前後の音圧を維持している状態を考える。図8は、この場合における、式(14)から式(18)に基づく第1の制御フィルタ1111および第2の制御フィルタ1112それぞれの特性を周波数領域で表した、振幅特性および位相特性の例を示す。
図8(a)は、振幅特性の例を示し、図8(b)が位相特性の例を示す。図8(a)および図8(b)において、第1の制御フィルタ1111について、特性線206および209が制御をオフとした非制御時の特性Wqを示し、特性線207および210が制御をオンとした制御時の特性Wqpを示す。また、図8(a)において、第2の制御フィルタ1112について、特性線208および211が制御時の特性Wqsを示す。
図9(a)、図9(b)および図9(c)は、それぞれ、上述の特性Wq、WqpおよびWsを逆フーリエ変換し、時間領域で表した例である。これら図9(a)および図9(b)に示される特性WqLおよびWqpLに対応するパラメータが、第1の制御フィルタ1111のフィルタパラメータとして用いられる。また、図9(c)に示される特性WqsLに対応するパラメータが、第2の制御フィルタ1112フィルタパラメータとして用いられる。
すなわち、第1の制御フィルタ1111に対し、非制御時には図9(a)に特性qLで示されるスルー特性のフィルタパラメータが適用され、制御時には図9(b)に特性WqpLで示されるフィルタパラメータが適用される。また、第2の制御フィルタ1112に対して、制御時には図9(c)に特性WqsLで示されるフィルタパラメータが適用される。第2の制御フィルタ1112は、非制御時は無音とされる。
図10は、上述した各フィルタパラメータによる制御の結果の例を、音圧レベルの周波数特性で示す。図10(a)は、第1の制御エリア161内の制御点Miにおける制御結果の例を示す。特性線212は、非制御時、すなわち、第1制御フィルタ1111がスルー特性、第2制御フィルタ1112が無音の場合の特性を示す。特性線213は、制御時、すなわち、第1制御フィルタ1111が特性WqpL、第2制御フィルタ1112が特性WqsLの場合の特性を示す。制御時には、非制御時に対して音圧レベルが略6dB増大していることが分かる。
図10(b)は、第2の制御エリア162内の制御点Njにおける制御結果の例を示す。特性線214は、非制御時の特性を示し、特性線215は、制御時の特性を示す。制御時においても非制御時の音圧レベルが維持されていることが分かる。
(実施形態)
次に、実施形態について説明する。上述した音場制御方式の第1の例および第2の例では、屋外環境における気象、特に風による影響を考慮していない。そのため、第1の例および第2の例を屋外環境に適用した場合、スピーカから任意の地点までの空間伝達特性の同定処理が風の影響を受け、正しく行われないおそれがある。
一例として、図11に例示されるような、屋外環境においてスピーカ132およびマイクロフォン153が距離Lの間隔で配置されている場合について考える。スピーカ132から放射された音をマイクロフォン153で収音して音声信号に変換し、スピーカ132から出力された音波の測定を行う。この測定結果に基づき、スピーカ132からマイクロフォン153までの空間伝達特性を同定する。
屋外環境では、風が吹いていることが多く、また、風の風速や風向きが瞬間的に変化する。このような風の影響により、スピーカ132から放射された音が制御点すなわちマイクロフォン153の位置まで到達する時間が変動する。そのため、マイクロフォン153による音波の測定毎に、空間伝達特性を表す指標の1つであるインパルス応答の励起時刻が変動してしまう。
図12は、屋外グラウンドにてスピーカ132からマイク153までの距離Lが20m離れた場合の、インパルス応答の同定結果の例を示す。図12において、縦軸は振幅、横軸はタップナンバすなわち時間を示し、特性線216および217は、それぞれ1回目および2回目の測定結果に基づく各同定結果を示す。このように、測定1回目と2回目とでは、同一の測定系でありながら、インパルス応答の励起タイミング(時刻)が大きくずれている。これは、同定時の瞬時的な風速変動によりスピーカから受音点までに音波が到達する時間が変化しているためである。
インパルスが励起される励起タイミング(タップナンバ)Sは、下記の式(22)により求めることができる。なお、式(22)において、Lは、図11の距離Lであり、スピーカ132から音圧検出部(マイクロフォン153)までの距離を示す。また、cは音速(m/s)、ffは風速(m/s)、Fsはサンプリング周波数(Hz)をそれぞれ示す。
Figure 2016063318
音速cは、規定値であり、気温15度の場合は、340m/sである。また、サンプリング周波数Fsおよび距離Lは、設定値であり、既知の値である。したがって、式(22)から、励起タイミングSは、風速ffに依存することが分かる。
屋内環境においては、複数のスピーカによる空間伝達特性の同定は、各スピーカおよびマイクロフォンの配置に従い、幾何学的に決定できる。図13は、マイクロフォンと複数スピーカとの配置の例を示す。図13において、互いに正面の面が一致して距離Dの間隔で配置されたスピーカ1331および1332に対し、スピーカ1331の正面に、スピーカ1331から距離Lの間隔でマイクロフォン154が配置されている。この場合、スピーカ1331とスピーカ1332とでは、マイクロフォン154までの距離に、距離Dに応じた距離差dsが存在することになる。
風の影響を受けない屋内環境においては、スピーカ1331からマイクロフォン154までの空間伝達特性Fpと、スピーカ1332からマイクロフォン154までの空間伝達特性Fsを、この距離差dsを用いて厳密に求めることが可能である。一方、屋外環境においては、風の影響により、空間伝達特性Fpと空間伝達特性Fsとの差分が、この距離差dsによるものだけではなくなってしまう。そのため、複数個のスピーカから制御点の位相干渉調整を、距離差dsを利用して厳密に行わなければならない音場制御システムにおいては、制御則が成り立たず、所望の効果が得られないおそれがある。
この解決策としては、屋外環境では風影響を無くすことは困難であるため、複数スピーカでの空間伝達特性の同定においては、複数スピーカから放射される音について、風影響が均一となるようにすればよい。
そこで、実施形態では、各スピーカからある1点の制御点までの空間伝達特性(空間パス)の同定作業において、複数スピーカから、短時間のテスト音を巡回的に放射して、制御点において各スピーカから放射された音を集音する。これにより、複数のスピーカから放射される音に対する風影響を略均一に受けた状態で、各スピーカに係る各空間伝達特性を同定できる。
図14は、実施形態に係る音場制御システムの一例の構成を示す。なお、図14において、上述した図1および図6と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図14において、音場制御システム10aは、音場制御部11aと、制御フィルタ算出部23と、振幅調整部26と、2以上のマイクロフォン241および242と、当該マイクロフォン241および242にそれぞれ対応する2以上の気象情報取得部211および212と、スピーカ1301および1302とを含む。
なお、図14に示される音場制御システム10aは、上述した音場制御方式の第2の例に対応しているものとする。音場制御方式の第1の例に対応するシステムでは、マイクロフォンおよび気象情報取得装置は、それぞれ1つずつあればよい。
マイクロフォン241および242は、制御対象の第1の制御エリアおよび第2の制御エリアにそれぞれ設置され、スピーカ1301および1302から放出された音を収音して音響信号に変換して出力する。
気象情報取得部211および212は、それぞれマイクロフォン241および242の近傍に設置され、周囲の気象に関する情報を取得して、それぞれ気象情報データ401および402として出力する。気象情報取得部211および212は、気象情報として少なくとも風の情報を取得する。ここでいう風の情報は、風速および風向を含む。気象情報取得部211および212は、気温、湿度、気圧など、他の気象情報をさらに取得してもよい。
音場制御部11aは、同定用信号生成部20と、フィルタ部110と、音量調整部120とを含む。フィルタ部110および音量調整部120は、図1および図6で説明したフィルタ部110および音量調整部120と同様である。すなわち、フィルタ部110は、上述と同様に、それぞれ外部から設定されるフィルタパラメータにより特性が決定される第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112を含む。音量調整部120は、それぞれ第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112から出力された音響信号の音量を調整して各スピーカ1301および1302に出力する出力部の機能を有する。
同定用信号生成部20は、気象情報取得部211および212から出力される気象情報データ401および402と、例えば外部から入力される設定データとに基づき、実施形態に係る同定用信号を生成する。詳細は後述するが、同定用信号生成部20は、1つの同定用信号を所定の時間毎に繰り返し第1の同定用信号および第2の同定用信号に振り分けて出力する。第1の同定用信号および第2の同定用信号は、それぞれ同定用信号生成部20の出力信号421および422として第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112を介して第1音量調整部1211および第2音量調整部1212に供給される。
同定用信号生成部20が振り分ける元の同定用信号としては、ホワイトノイズやTSP(Time Stretched Pulse)信号といった、同定処理に一般的に用いられる信号を適用することができる。同定用信号生成部20は、この元の同定用信号を内部的に発生させてもよいし、入力音響信号として供給されてもよい。
図15は、実施形態に係る同定用信号生成部20が生成する第1および第2の同定用信号の例を示す。同定用信号生成部20は、元の同定用信号を、所定の再生時間幅毎に繰り返して第1の同定用信号300と、第2の同定用信号301とに振り分ける。
例えば、同定用信号生成部20は、元の同定用信号を第1の同定用信号3001として再生時間幅だけ出力した後、当該元の同定用信号を第2の同定用信号3011として出力する。次に、同定用信号生成部20は、当該元の同定用信号を第1の同定用信号3002として出力した後、当該ことの同定用信号を第2の同定用信号3012として出力する。同定用信号生成部20は、この動作を繰り返し行い、第1の同定用信号3003、第2の同定用信号3013、第1の同定用信号3004、第2の同定用信号3014、…というように、第1の同定用信号300と第2の同定用信号301とを、所定の再生時間幅で以って巡回的に出力する。
なお、所定の再生時間幅毎の第1の同定用信号300および第2の同定用信号301は、振り分け時にインターバルが開かないように、連続して出力されることが望ましい。
また、再生時間幅は、可能な限り短い方が、風の瞬間的な変化に対応でき望ましい。再生時間幅の最低値である最低時間幅Tは、後述する制御フィルタ算出部23がフィルタパラメータを算出する際に用いるインパルス応答(空間伝達特性)の所望フィルタ長TAPと、当該インパルス応答の励起タイミングSとに基づき、下記の式(23)により決定できる。なお、式(23)において、Nは、後述する制御フィルタ算出部23がインパルス応答を求める際の平均回数を表し、Fsはサンプリング周波数を表す。
Figure 2016063318
ここで、式(23)において、フィルタ長TAP、平均回数Nおよびサンプリング周波数Fsは、固定値と考えることができ、例えば入力データ41として外部から入力されて同定用信号生成部20に設定される。これに限らず、これらフィルタ長TAP、平均回数Nおよびサンプリング周波数Fsを制御フィルタ算出部23などから取得してもよい。フィルタ長TAPは、換言すれば、高速フーリエ変換を行う際の、入力信号の切り出し幅(ウィンドウ幅)である。入力信号の切り出し回数が平均回数Nとなる。
一方、式(23)において、励起タイミングSは、上述した式(22)に従い、風速ffに依存する値である。したがって、最低時間幅Tは、風速ffに依存する値となる。
図16は、実施形態に係る同定用信号生成部20の構成例を示す。図16(a)は、元の同定用信号を外部からの入力音響信号50として供給する場合の構成例、図16(b)は、同定用信号を生成する音源生成部を内蔵する同定用信号生成部20’の構成例である。
図16(a)において、同定用信号生成部20は、演算部2000と、セレクタ2001と、スイッチ(SW)部2002とを有する。セレクタ2001は、気象情報取得部211および212から出力された気象情報データ401および402のうち何れのデータを用いるかを選択する。演算部2000は、気象情報データ401および402のうちセレクタ2001で選択されたデータと、入力データ41として入力されたフィルタ長TAP、平均回数Nおよびサンプリング周波数Fs、ならびに、距離Lとに基づき、最低時間幅Tを算出する。最低時間幅Tは、上述した式(22)および式(23)を用いて算出することができる。
SW部2002は、演算部2000から出力された制御信号44に従い、入力音響信号50と、出力421および422との接続を制御する。
例えば、演算部2000は、入力音響信号50として元の同定用信号が入力され、同定用信号生成部20が、出力421および422として第1の同定用信号300および第2の同定用信号301を出力する場合には、算出した最低時間幅T毎に出力421および422を切り替えるような制御信号44を出力する。これにより、入力音響信号50として入力された元の同定用信号が、最低時間幅T毎に繰り返し第1の同定用信号300および第2の同定用信号301に振り分けられて、出力421および422として出力される。
また、演算部2000は、同定用信号生成部20が第1の同定用信号300および第2の同定用信号301を出力しない場合には、例えば入力音響信号50を出力421および422に共通して出力するような制御信号44を出力する。これにより、入力音響信号50は、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112でそれぞれフィルタ処理を施されて第1音量調整部1211および1212に供給され、スピーカ1301および1302から音として放射される。
図16(b)において、同定用信号生成部20’は、演算部2000’と、セレクタ2001と、SW部2002’と、テスト音源生成部2003とを有する。テスト音源生成部2003は、演算部2000’の制御に従い、図15を用いて説明した、所定の時間毎に交互に繰り返される第1の同定用信号300および第2の同定用信号301を生成する。テスト音源生成部2003で生成された第1の同定用信号300および第2の同定用信号301は、それぞれSW部2002’に入力される。SW部2002’は、演算部2000’から供給される制御信号44に従い、テスト音源生成部2003から入力された第1の同定用信号300および第2の同定用信号301と、外部から供給される入力音響信号50とから、出力421および422として出力する信号を選択する。
マイクロフォン241および242から出力された音響信号は、振幅調整部26で振幅を調整されて、制御フィルタ算出部23に供給される。また、制御フィルタ算出部23には、同定用信号生成部20から、同定用信号を第1の同定用信号300および第2の同定用信号301に振り分ける処理を示す振り分け情報が供給される。振り分け情報は、例えば、同定用信号を第1の同定用信号300および第2の同定用信号301に振り分けるタイミングを示す情報を用いることができる。
制御フィルタ算出部23は、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112に設定するフィルタパラメータを算出するフィルタ算出部として機能する。また、制御フィルタ算出部23は、振幅調整部26で振幅を調整された音響信号が供給される。換言すれば、制御フィルタ算出部23は、振幅調整部26から出力された音響信号を取得する、音取得部としても機能する。このとき、制御フィルタ算出部23は、同定用信号生成部20から供給された振り分け情報に基づき、振幅調整部26から取得した音響信号から、第1の同定用信号3001、3002、…に対応する部分と、第2の同定用信号3011、3012、…に対応する部分とをそれぞれ抽出し、抽出された部分毎にインパルス応答を求める。
制御フィルタ算出部23は、基本的には、図17に例示されるように、所定のタップ幅のウィンドウを一定のシフト量でシフトさせながらウィンドウ内のデータに対してフーリエ変換を行い、各ウィンドウで求めた値をタップナンバ毎に所定回数分で平均してインパルス応答すなわち空間伝達特性を求める。
同定用信号生成部20から出力された、第1の同定用信号3001、3002、…、および、第2の同定用信号3011、3012、…に基づく音がスピーカ1301および1302で再生され、放射される。制御フィルタ算出部23は、この第1の同定用信号3001、3002、…、および、第2の同定用信号3011、3012、…の再生音をマイクロフォン241および242で収音して得られた音響信号に基づき、各スピーカ1301および1302から各マイクロフォン241および242(第1の制御エリアおよび第2の制御エリア)までの空間伝達特性を求める。そして、制御フィルタ算出部23は、求めた空間伝達特性に基づき、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112に対する各フィルタパラメータを算出し、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112に設定する。
なお、制御フィルタ算出部23は、空間伝達特性の同定処理中は、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112に対し、スルー特性のフィルタパラメータを設定する。若しくは、制御フィルタ算出部23は、空間伝達特性の同定処理中は、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112をバイパスさせる。
図18〜図22を用いて、実施形態に係る、第1の同定用信号300および第2の同定用信号301に対するインパルス応答の算出方法について説明する。図18は、実施形態に係る各同定用信号を用いてインパルス応答を算出する方法の例を示す。第1の同定用信号300を例として、第1の同定用信号3001、3002、…は、最低時間幅T毎に振り分けられているためデータの時間幅が短く、インパルス応答すなわち空間伝達特性を算出する際の時間シフト量(平均回数)が少なくなり、良い精度が得られないおそれがある。
そのため、制御フィルタ算出部23は、以下の2つのステップにより第1の同定用信号300のインパルス応答を算出する。第1のステップでは、制御フィルタ算出部23は、1つの例えば第1の同定用信号3001に対してタップ幅のウィンドウをウィンドウ3031、3032、…としてシフトしてそれぞれ空間伝達特性を算出する。制御フィルタ算出部23は、算出したインパルス応答を第1の同定用信号3001内でタップナンバ毎に平均して、その第1の同定用信号3001におけるインパルス応答を求める。制御フィルタ算出部23は、この処理を、第1の同定用信号3002、3003、…というように、複数回実行する。
第2のステップでは、制御フィルタ算出部23は、この複数回のインパルス応答算出処理で得られた各インパルス応答を、全体でさらに平均する。そして、制御フィルタ算出部23は、平均して得たインパルス応答を、第1の同定用信号300全体でのインパルス応答すなわち空間伝達特性として求める。このように、各第1の同定用信号3001、3002、…でそれぞれ求めたインパルス応答の各平均をさらに平均することで、S/Nが向上されることが期待できる。
図19および図20は、実施形態に係る、インパルス応答の選択方法の例を示す。制御フィルタ算出部23は、さらに、図19に例示されるように、連続的に再生されるそれぞれ1つの第1の同定用信号300n(nは1、2、…、X)と第2の同定用信号301nとからなる組を1つのループLoop#nとする。そして、制御フィルタ算出部23は、各ループLoop#n毎に、第1の同定用信号300nと第2の同定用信号301nとを比較し、第1の同定用信号300nと第2の同定用信号301nのインパルス励起時間の時間差dsnを求める。
図19の例では、第1の同定用信号3001と、当該第1の同定用信号3001の直後に再生される第2の同定用信号3011とが1組のループLoop#1とされる。第2の同定用信号3011の直後に再生される第1の同定用信号3002と、当該第1の同定用信号3002の直後に再生される第2の同定用信号3012とが1組のループLoop#2とされる。
このように、第1の同定用信号300nと、当該第1の同定用信号300nの直後に再生される第2の同定用信号301nとからなる、X組のループLoop#nについて、それぞれインパルス励起時間の時間差dsnを求める。
図20は、各ループLoop#1、#2および#3について、第1の同定用信号300nと第2の同定用信号301nとのインパルス励起の時間差ds1、ds2およびds3をそれぞれ求めた例を示す。図20(a)は、ループLoop#1の第1の同定用信号3001および第2の同定用信号3011それぞれの再生音による各インパルス応答(特性線2221および特性線2231)を示す。図20(b)は、ループLoop#2の第1の同定用信号3002および第2の同定用信号3012それぞれの再生音による各インパルス応答(特性線2222および特性線2232)を示す。図20(c)は、ループLoop#3の第1の同定用信号3003および第2の同定用信号3013それぞれの再生音による各インパルス応答(特性線2223および特性線2233)を示す。
制御フィルタ算出部23は、このようにして求めたX組分の時間差ds1、ds2、…、dsXをそれぞれ比較し、これら時間差ds1、ds2、…、dsXが略一定値となっているか否かを判定する。例えば、制御フィルタ算出部23は、これら時間差ds1、ds2、…、dsXから1つを選択し、選択された時間差と他の時間差との差分を計算する。制御フィルタ算出部23は、この差分が予め定められた範囲から外れる時間差dsm(mは1、2、…、X)を、一定値から外れる時間差と判定する。そして、制御フィルタ算出部23は、一定値から外れると判定された時間差dsmに対応する第1の同定用信号300mおよび第2の同定用信号301mそれぞれの再生音による各インパルス応答を除外して、上述したようにして、インパルス応答の平均を求める。
すなわち、この一定値から外れる時間差dsnに対応する第1の同定用信号300nおよび第2の同定用信号301nの再生音は、例えば瞬間的な風の影響を受けていると考えることができる。
なお、このように、各時間差dsnの差分を計算する必要があるため、上述したループLoop#Xの繰り返し回数X、すなわち、各第1の同定用信号300nおよび第2の同定用信号301nそれぞれの出力回数は、少なくとも2回とされる。
図21および図22は、例えば第1の同定用信号300について、上述のようにして一定値を外れる時間差dsmに対応する第1の同定用信号300mの再生音によるインパルス応答を除外して、各第1の同定用信号3001、3002、…、300nの平均を求める例を示す。ここでは、第1の同定用信号3001、3002および3003を例として説明する。
図21において、特性線218、219および220は、第1の同定用信号3001、第1の同定用信号3002および第1の同定用信号3003それぞれの再生音による各インパルス応答の例を示す。このように、各インパルス応答は、差分が所定の範囲内に収まっていることが分かる。図22は、これら第1の同定用信号3002および第1の同定用信号3003それぞれの再生音による各インパルス応答の平均を計算した結果の例を示す(特性線221)。特性線221は、図21の特性線218〜220と極めて類似した形状を示していることが分かる。
制御フィルタ算出部23は、上述のようにして各第1の同定用信号3001、3002、…、300Xからインパルス応答(空間伝達特性)を求め、求めたインパルス応答に基づき、上述した式(4)〜式(21)(または、式(1)〜式(3))に従い第1制御フィルタ1111に適用するフィルタパラメータを算出する。また、制御フィルタ算出部23は、同様にして各第2の同定用信号3011、3012、…、301Xからインパルス応答(空間伝達特性)を求め、求めたインパルス応答に基づき第2制御フィルタ1112に適用するフィルタパラメータを算出する。
図23は、実施形態に係る、上述のようにして求めた各フィルタパラメータを第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112に適用した場合の、実験結果の例を示す。なお、各スピーカ1301および1302、ならびに、各マイクロフォン241および242の配置は、図7を用いて説明した配置に対し、各スピーカ1301および1302からマイクロフォン151i(マイクロフォン241)までの距離Lが60mであるものとする。また、この例では、第1の制御エリアすなわちマイクロフォン241の位置に到達する音圧を振幅3倍の9.4dB増大させ、第2の制御エリアすなわちマイクロフォン242の位置では制御前後の音圧を維持するものとする。
図23(a)は、正面すなわちマイクロフォン241の位置での実験結果の例を示す。特性線224は、各第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112による制御が非制御時の結果例を示し、特性線225は、制御時の結果例を示す。また、図23(b)は、左8.5mすなわちマイクロフォン242の位置での実験結果の例を示す。特性線224’は、各第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112による制御が非制御時の結果例を示し、特性線225’は、制御時の結果例を示す。
図23(a)および図23(b)に示されるように、2つのスピーカ1301および1302からそれぞれ第1の制御エリアおよび第2の制御エリアの制御点までの風影響による誤差の少ない空間伝達特性を用いることで、屋外環境下においても所望の効果を実現できることが分かる。
図24は、上述した実施形態による処理手順の例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理に先立って、制御フィルタ算出部23は、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112をそれぞれスルー特性またはバイパスに設定する。また、同定信号生成部20は、図16(b)に示した構成であるものとする。
ステップS10で、同定信号生成部20は、気象情報取得部211および212から出力された気象情報データ401および402に基づき、風速情報を取得する。ステップS11で、同定信号生成部20は、同定用信号の出力パラメータを計算する。より具体的には、同定信号生成部20は、ステップS10で取得した風速情報(風速ff)と、予め入力された距離L、音速C、サンプリング周波数Fs、フィルタ長TAPおよび平均回数Nとに基づき、上述した式(22)および式(23)に従い、出力パラメータとして最低時間幅Tを計算する。
次のステップS12で、同定信号生成部20は、ステップS12で計算した最低時間幅Tに従い、第1の同定用信号3001、3002、…と、第2の同定用信号3011、3012、…とを生成して出力する。すなわち、同定信号生成部20は、テスト音源生成部2003に対して元の同定用信号(ホワイトノイズやTSP信号)を生成し、生成した元の同定用信号を、最低時間幅Tで繰り返し第1の同定用信号300nと第2の同定用信号301nとに振り分けて出力するよう制御する。
また、同定用信号生成部20は、SW部2002に対し、入力音響信号50の出力をオフとし、テスト音源生成部2003から出力された第1の同定用信号300nと第2の同定用信号301nとを出力421および422として出力するように制御する。
なお、同定用信号生成部20は、元の同定用信号を第1の同定用信号300nおよび第2の同定用信号301nに振り分ける時間を、最低時間幅Tよりも長い時間としてもよい。
次のステップS13で、制御フィルタ算出部23は、振幅調整部26を介して各マイクロフォン241および242の出力を取得する。ステップS14で、制御フィルタ算出部23は、ステップS13で取得した各マイクロフォン241および242の出力を用いて、上述のようにして各スピーカ1301および1302から、各マイクロフォン241および242までの空間伝達特性(インパルス応答)を算出する。
ステップS15で、制御フィルタ算出部23は、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112に設定するための各フィルタパラメータを、ステップS14で算出した空間伝達特性を用いて計算する。そして、次のステップS16で、制御フィルタ算出部23は、計算した各フィルタパラメータを、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112にそれぞれ設定する。
このとき、同定用信号生成部20は、テスト音源生成部2003から出力された各第1の同定用信号3001および第2の同定用信号3011の出力をオフとし、入力音響信号50を出力421および422として出力するように制御する。入力音響信号50は、第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112を介して第1音量調整部1211および第2音量調整部1212に供給され、スピーカ1301および1302に対して出力される。これにより、第1の制御エリアおよび第2の制御エリアにおいて、それぞれ所望の音圧で入力音響信号50に基づく音が到来する。
なお、第1音量調整部1211および第2音量制御部1212は、略同一の特性を持っていると好ましい。その上で、第1音量調整部1211および第2音量制御部1212は、略同一の音量設定とされていることが望ましい、ここで、同一の音量設定とは、同一の音響信号が入力された場合の互いの出力音響信号の振幅が略同一となる設定をいう。
(実施形態に適用可能なハードウェア構成)
図25は、実施形態に適用可能な音響制御装置のハードウェア構成の例を示す。図25において、音響制御装置1000は、CPU(Central Processing Unit)1002と、ROM(Read Only Memory)1003と、RAM(Random Access Memory)1004と、ユーザ入力部1005と、ディスプレイ1006と、通信インターフェイス(I/F)1007と、データI/F1010と、オーディオI/F1011とを有する。音響制御装置1000は、さらに、テスト音源出力部1012と、同定用信号スイッチング部1013と、切替部1014と、フィルタ10151および10152と、アンプ部10161および10162とを有する。これら各部は、これらがバス1001を介して互いに通信可能に接続される。なお、オーディオI/F1011とバス1001との間の通信経路は、図25においては省略されている。
CPU1002は、例えばROM1003に予め記憶されるプログラムに従い、RAM1004をワークメモリとして用いてこの音響制御装置1000の全体の動作を制御する。例えば、ROM1003は、全体制御のプログラムと共に、上述した同定用信号生成部20における機能と、制御フィルタ算出部23における機能とをCPU1002に実行させるための音響制御プログラムを含む。
ユーザ入力部1005は、ユーザ入力を受け付けるためのスイッチ、ダイヤルといった各種操作子を含む。ユーザ入力部1005は、これに限らず、キーボードであってもよいし、後述するディスプレイ1006と一体的に構成されたタッチパネルであってもよい。ディスプレイ1006は、CPU1002によりプログラムに従い生成された表示制御信号に基づく表示を行う。通信I/F1007は、有線や無線により外部の機器と通信する。
データI/F1010は、外部機器とデータ通信を行うインターフェイスであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)を適用することができる。例えば、気象情報取得部211および212から出力された気象情報データ401および402は、このデータI/F1010から入力され、CPU1002に渡される。
オーディオI/F1011は、外部から供給される音響信号のインターフェイスである。外部から供給される音響信号がアナログ方式の信号である場合には、オーディオI/F1011は、所定のサンプリング周波数に基づき当該アナログ音響信号をA/D変換して、ディジタル方式の音響信号とする。例えば、マイクロフォン241および242から出力された音響信号は、このオーディオI/F1011から入力され、ディジタル方式の音響信号としてCPU1002に渡される。また、実際の再生に用いる入力音響信号50も、このオーディオI/F1011に入力される。
なお、気象情報取得部211および212から出力された気象情報データ401および402は、データI/F1010から入力されるのに限定されない。例えば、気象情報取得部211および212から出力された気象情報データ401および402を、無線LAN(Local Area Network)など無線通信により送信し、通信I/F1007により受信するようにしてもよい。同様に、マイクロフォン241および242から出力された音響信号は、オーディオI/F1011から入力されるのに限定されず、無線LANなど無線通信により送信し、通信I/F1007により受信するようにできる。
テスト音源出力部1012は、CPU1002の命令に従い、ホワイトノイズやTSP信号を生成し、元の同定用信号として出力する。同定用信号スイッチング部1013は、CPU1002で動作するプログラムにより実現される同定用信号生成部20の機能に従い、例えば最低時間幅Tで元の同定用信号を第1の同定用信号300nと、第2の同定用信号301nとに繰り返し振り分けて出力する。
切替部1014は、同定用信号スイッチング部1013から出力される第1の同定用信号300nおよび第2の同定用信号301nと、オーディオI/F1011から供給される音響信号との出力先を、CPU1002の命令に従い、フィルタ10151および10152と、バス1001との間で切り替える。
フィルタ10151および10152は、上述した第1制御フィルタ1111および第2制御フィルタ1112にそれぞれ対応する。すなわち、フィルタ10151および10152は、CPU1001で動作するプログラムにより実現される制御フィルタ算出部23の機能に従い算出された各フィルタパラメータが設定され、設定されたフィルタパラメータに従い、入力された音響信号に対してフィルタ処理を施す。
アンプ部10161および10162は、上述した第1音量調整部1211および第2音量調整部1212にそれぞれ対応する。すなわち、アンプ部10161および10162は、CPU1002の命令に従い、それぞれ入力された音響信号に対して音量調整(振幅調整)を施す。アンプ部10161および10162から出力された音響信号は、例えばスピーカ1301および1302に供給される。なお、音響信号に対して、スピーカ1301および1302で音として再生させるための電力増幅を行う増幅部は、各アンプ部10161および10162が内蔵していてもよいし、この音響制御装置1000の外部の構成としてもよい。
なお、上述において、テスト音源出力部1012と、同定用信号スイッチング部1013と、切替部1014と、フィルタ10151および10152とがそれぞれ独立したハードウェアで構成されるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、テスト音源出力部1012と、同定用信号スイッチング部1013と、切替部1014と、フィルタ10151および10152とのうち一部または全部を、CPU1002で動作するプログラムにより構成してもよいし、1チップの集積回路を用いて構成してもよい。
なお、上述した音響制御プログラムは、予めROM1003に記憶されて提供される。これに限らず、当該音響制御プログラムを、通信I/F1007やデータI/F1010を介して外部の機器から供給してもよい。
例えば、実施形態に係る音響制御プログラムは、同定用信号生成部20および制御フィルタ算出部23を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、CPU1002が例えばストレージ1003から当該音響制御プログラムを読み出して実行することにより上述の各部がRAM1004上にロードされ、同定用信号生成部20および制御フィルタ算出部23がRAM1004上に生成されるようになっている。
(実施形態の変形例)
上述では、音場制御システム10aが2つの制御エリアの音圧を制御するために、2つの制御エリアにそれぞれ気象情報取得部211および212と、マイクロフォン241および242とを配置していたが、これはこの例に限定されない。すなわち、図26に例示されるように、3以上(Nとする)の制御エリアにそれぞれ気象情報取得部211、212、…、21Nと、マイクロフォン241、242、…、24Nとを配置し、当該N個の制御エリアの音圧を制御することも可能である。
この場合、図26に音場制御システム10bとして例示されるように、音場制御部11bは、N個の制御フィルタを含むフィルタ部110’と、N個の音響調整部を含む音量調整部120’を有する。フィルタ部110’は、第1制御フィルタ1111、第2制御フィルタ1112、…、第N制御フィルタ111Nを含む。また、音量調整部120’は、第1音量調整部1211、第2音量調整部1212、…、第N音量調整部121Nを含む。第1音量調整部1211、第2音量調整部1212、…、第N音量調整部121Nは、N個のスピーカ1301、1302、…、130Nそれぞれに音響信号を出力する。
この場合、例えば、スピーカ1301を基準音源とし、他のスピーカ1302〜130Nを制御音源として、基準音源と、制御音源それぞれとを組として、基準音源および1つの制御音源との組毎に、上述した実施形態による処理を実行する。このとき、同定用信号生成部20’は、各スピーカ1301、1302、…、130Nでそれぞれ再生するための、第1の同定用信号、第2の同定用信号、…、第Nの同定用信号のN本の同定用信号を、最低時間幅T毎に巡回的に振り分けて、出力421、422、…、42Nとして繰り返し出力する。
(他の実施形態)
次に、他の実施形態について説明する。他の実施形態は、制御エリア側から同定用信号による音を放射し、放射したこの音を、基準音源および制御音源側で集音する例である。図27は、他の実施形態に係る音場制御システムについて概略的に説明するための図である。
すなわち、空間伝達特性について相反定理が成立することから、同定用信号による音を放射するスピーカと、当該音を集音するマイクロフォンとの取り付け条件を逆にしても、適正な空間伝達特性を得ることができる。すなわち、図27に例示されるように、制御エリアの位置にスピーカ30を配置し、基準音源のスピーカ1301の近傍と、制御音源のスピーカ1302の近傍とに、それぞれマイクロフォン251および252を配置する。スピーカ30から、ホワイトノイズやTSP信号などの同定用信号による音を放射し、放射された音をマイクロフォン251および252によりそれぞれ収音する。
この構成によれば、スピーカ30から各マイクロフォン251および252までの複数経路の空間伝達関数を同時に測定可能である。これにより、マイクロフォン251および252は、風影響を同一に受けることから、上述した実施形態による同定用信号生成部20での同定用信号の繰り返し出力が必要なくなり、モノラル再生1系統だけでも同定可能となる。
図28は、他の実施形態に係る音場制御システムの一例の構成を示す。図28において、音場制御システム10cは、マイクロフォン251および252から出力された各音響信号が振幅調整部26を介して制御フィルタ算出部23’に供給される。また、スピーカ30は、入力音響信号50として入力される同定用信号が供給される。第1の制御エリアおよび第2の制御エリアの音圧をそれぞれ制御する場合には、これら第1の制御エリアおよび第2の制御エリアそれぞれにスピーカ30を配置し、同定用信号を2つのスピーカ30に対して切り替えて供給する。
制御フィルタ算出部23’は、制御エリアが1つの場合は、上述の式(1)および式(2)に従い、各マイクロフォン251および252から供給される音響信号を用いて、第1制御フィルタ1111および第2の制御フィルタ1112のフィルタパラメータをそれぞれ算出する。また、制御フィルタ算出部23’は、制御エリアが2つの場合は、上述の式(4)〜式(21)に従い、各マイクロフォン251および252から供給される音響信号を用いて、第1制御フィルタ1111および第2の制御フィルタ1112のフィルタパラメータをそれぞれ算出する。
(他の実施形態の変形例)
他の実施形態の変形例について説明する。周知のように、スピーカは、音圧を受けると、逆起電力により音響信号が出力され、マイクロフォンとして使用できる。本他の実施形態の変形例では、このスピーカの逆起電力を利用する。図29は、他の実施形態の変形例に係る音場制御システムについて概略的に説明するための図である。
図29に例示されるように、他の実施形態の変形例では、上述した他の実施形態において用いるマイクロフォン251および252を、基準音源であるスピーカ1301’と制御音源であるスピーカ1302’とで置き換えている。スピーカ1301’および1302’は、音圧を受けることにより、音響信号321および322をそれぞれ出力する。
この構成においても、上述の他の実施形態と同様に、スピーカ30からマイクロフォンとしての各スピーカ1301’および1302’までの複数経路の空間伝達関数を同時に測定可能である。これにより、各スピーカ1301’および1302’は、風影響を同一に受けることから、上述した実施形態による同定用信号生成部20での同定用信号の繰り返し出力が必要なくなり、モノラル再生1系統だけでも同定可能となる。
図30は、他の実施形態の変形例に係る音場制御システムの一例の構成を示す。図28において、音場制御システム10dは、スピーカ1301’および1302’から出力された各音響信号が振幅調整部26’を介して制御フィルタ算出部23’に供給される。また、スピーカ30は、入力音響信号50として入力される同定用信号が供給される。他の構成は、図28にて説明した他の実施形態による音場制御システム10cと同一なので、詳細な説明を省略する。
なお、本発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
10a,10b,10c,10d,100 音場制御システム
20 同定用信号生成部
23,23’ 制御フィルタ算出部
30,1301,1301’,1302,1302’ スピーカ
50 入力音響信号
211,212,21N 気象情報取得部
241,242,24N,150,151i,152j マイクロフォン
110,110’ フィルタ部
1111 第1制御フィルタ
1112 第2制御フィルタ
111N 第N制御フィルタ
120 音量調整部
1211 第1音量調整部
1212 第2音量調整部
121N 第N音量調整部
160,161,162 制御エリア
300,3001,3002,3003,300n 第1の同定用信号
301,3011,3012,3023,302n 第2の同定用信号

Claims (11)

  1. 音響信号を第1のスピーカに出力する第1の出力部と、
    音響信号を第2のスピーカに出力する第2の出力部と、
    入力音響信号を第1のフィルタパラメータに従いフィルタ処理して前記第1の出力部に供給する第1のフィルタと、
    前記入力音響信号を第2のフィルタパラメータに従いフィルタ処理して前記第2の出力部に供給する第2のフィルタと
    前記第1のスピーカから放射された音と、前記第2のスピーカから放射された音とが共通して到来する第1のエリアでの、少なくとも風情報を含む第1の気象情報を取得する第1の気象情報取得部と、
    前記第1のスピーカから前記第1のエリアまでの第1の空間伝達特性と、前記第2のスピーカから前記第1のエリアまでの第2の空間伝達特性とを同定するための第1の同定用信号を、前記第1の気象情報に基づいて生成する同定用信号生成部と、
    前記第1の同定用信号に従い前記第1のスピーカから放射された音による第1の音響信号と、前記第1の同定用信号に従い前記第2のスピーカから放射された音による第2の音響信号とをそれぞれ取得する音取得部と、
    前記第1の音響信号に基づき同定した前記第1の空間伝達特性と、前記第2の音響信号に基づき同定した前記第2の空間伝達特性とに基づいて、前記第1のフィルタパラメータと前記第2のフィルタパラメータとのうち少なくとも一方を生成するフィルタ算出部と
    を備える音場制御システム。
  2. 前記同定用信号生成部は、
    前記第1の同定用信号を、所定の時間毎に繰り返し第2の同定用信号と第3の同定用信号とに振り分けて、該第2の同定用信号を前記第1の出力部に供給し、該第3の同定用信号を前記第2の出力部に供給する請求項1に記載の音場制御システム。
  3. 前記同定用信号生成部は、
    最短の前記所定の時間を前記第1の気象情報に基づき決定し、前記第1の同定用信号を、決定した該最短の前記所定の時間毎に繰り返し前記第2の同定用信号と前記第3の同定用時間とに振り分ける請求項2に記載の音場制御システム。
  4. 前記フィルタ算出部は、
    それぞれ2以上の前記第2の同定用信号および前記第3の同定用信号による前記第1の音響信号および前記第2の音響信号に基づいて前記第1の空間伝達特性および前記第2の空間伝達特性を同定する請求項2または請求項3に記載の音場制御システム。
  5. 前記フィルタ算出部は、
    それぞれ2以上の、前記第2の同定用信号による前記第1の音響信号のインパルス応答と、前記第3の同定用信号による前記第2の音響信号のインパルス応答との各時間差に基づき、前記第1の空間伝達特性および前記第2の空間伝達特性を同定するために用いる前記第1の音響信号および前記第2の音響信号を選択する請求項4に記載の音場制御システム。
  6. 前記気象情報取得部は、
    前記第1のスピーカから放射された音と、前記第2のスピーカから放射された音とが共通して到来する第2のエリアでの、少なくとも風情報を含む第2の気象情報をさらに取得し、
    前記同定用信号生成部は、
    前記第1のスピーカから前記第2のエリアまでの第3の空間伝達特性と、前記第2のスピーカから前記第2のエリアまでの第4の空間伝達特性とを同定するための第4の同定用信号を、前記第2の気象情報を用いてさらに生成し、
    前記音取得部は、
    前記第4の同定用信号に従い前記第1のスピーカから放射された音による第3の音響信号と、前記第4の同定用信号に従い前記第2のスピーカから放射された音による第4の音響信号とをそれぞれさらに取得し、
    前記フィルタ算出部は、
    前記第1の空間伝達特性と、前記第2の空間伝達特性と、前記第3の音響信号に基づき同定した前記第3の空間伝達特性と、前記第4の音響信号に基づき同定した前記第4の空間伝達特性とに基づいて、前記第1のフィルタパラメータと前記第2のフィルタパラメータとのうち少なくとも一方を生成する請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の音場制御システム。
  7. 第1の出力部から出力された音響信号により第1のスピーカから放射された音と、第2の出力部から出力された音響信号により第2のスピーカから放射された音とが共通して到来するエリアでの、少なくとも風情報を含む気象情報を取得する気象情報取得ステップと、
    前記第1のスピーカから前記エリアまでの第1の空間伝達特性と、前記第2のスピーカから前記エリアまでの第2の空間伝達特性とを同定するための同定用信号を、前記気象情報に基づいて生成する同定用信号生成ステップと、
    前記同定用信号に従い前記第1のスピーカから放射された音による第1の音響信号と、前記同定用信号に従い前記第2のスピーカから放射された音による第2の音響信号とをそれぞれ取得する音取得ステップと、
    前記第1の音響信号に基づき同定した前記第1の空間伝達特性と、前記第2の音響信号に基づき同定した前記第2の空間伝達特性とに基づいて、入力音響信号をフィルタ処理して前記第1の出力部に供給する第1のフィルタに対する第1のフィルタパラメータと、前記入力音響信号をフィルタ処理して前記第2の出力部に供給する第2のフィルタに対する第2のフィルタパラメータとのうち少なくとも一方を生成するフィルタ算出ステップと
    を備える音場制御方法。
  8. 第1の出力部から出力された音響信号により第1のスピーカから放射された音と、第2の出力部から出力された音響信号により第2のスピーカから放射された音とが共通して到来する第1のエリアでの、少なくとも風情報を含む第1の気象情報を取得する気象情報取得部と、
    前記第1のスピーカから前記第1のエリアまでの第1の空間伝達特性と、前記第2のスピーカから前記エリアまでの第2の空間伝達特性とを同定するための同定用信号を、前記気象情報に基づいて生成する同定用信号生成部と
    を備える同定信号発生装置。
  9. 前記同定用信号生成部は、
    前記同定用信号を、所定の時間毎に繰り返し第1の同定用信号と第2の同定用信号とに振り分けて、該第1の同定用信号を前記第1の出力部に供給し、該第2の同定用信号を前記第2の出力部に供給する請求項8に記載の同定用信号発生装置。
  10. 前記同定用信号生成部は、
    最短の前記所定の時間を前記気象情報に基づき決定し、前記同定用信号を、決定した該最短の前記所定の時間毎に繰り返し前記第1の同定用信号と前記第2の同定用信号とに振り分ける請求項9に記載の同定用信号発生装置。
  11. 前記気象情報取得部は、
    前記第1のスピーカから放射された音と、前記第2のスピーカから放射された音とが共通して到来する第2のエリアでの、少なくとも風情報を含む第2の気象情報をさらに取得し、
    前記同定用信号生成部は、
    前記第1のスピーカから前記第2のエリアまでの第3の空間伝達特性と、前記第2のスピーカから前記第2のエリアまでの第4の空間伝達特性とを同定するための第4の同定用信号を、前記第2の気象情報に基づいてさらに生成する
    請求項8乃至請求項10の何れか1項に記載の同定用信号発生装置。
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