JP2016063032A - 基板冷却部材、基板処理装置及び基板冷却方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構造で基板を効果的に冷却することができる基板冷却部材を提供する。【解決手段】ロードロック室13の内部の天井部にはガス噴射部材25がウエハWに対向して配置され、ガス噴射部材25はウエハWに対向する対向面29と、対向面29に配置されてウエハWに向けてガスを噴射する複数のガス孔31と、対向面29からウエハWへ向けて突出する複数の円板状の渦流発生部材32とを備え、各渦流発生部材32は側方32aから先端32bにかけて絞り込まれるように成形される。【選択図】図2

Description

本発明は、基板冷却部材、基板処理装置及び基板冷却方法に関する。
半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)から半導体デバイスを製造するために、複数の真空処理室と、真空搬送室と、ロードロック室と、ローダーモジュールと、ロードポートとを備える基板処理装置が用いられている。
基板処理装置では、各真空処理室で真空処理、例えば、プラズマエッチング処理が施されたウエハが真空搬送室、ロードロック室及びローダーモジュールを経由してロードポートに接続された容器、例えば、フープ(FOUP)に格納される。ところで、プラズマエッチング処理が施されたウエハの温度は高く、そのままではフープに格納することができないため、ロードロック室においてウエハが冷却される。
従来、ロードロック室はウエハを載置するステージに内蔵される冷却通路によってウエハを冷却していたが、近年、構造の簡素化を目的としてステージに冷却通路を設けること無く、大気開放のためのパージガスを用いてウエハを空冷することが本出願人によって提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
図16に示すように、特許文献1では、ロードロック室においてウエハに対向するように円板状のガス噴射部材170を配置し、該ガス噴射部材170におけるウエハと対向する主面171に多数のガス噴射ノズル172を配置する。各ガス噴射ノズル172はウエハに向けて開口する円柱状の空間部である渦流生成室173と、該渦流生成室173の底面において開口するノズル孔174とを有し、渦流生成室173の内部においてノズル孔174から噴射されるパージガスから渦流を生じさせ、該渦流によってウエハを冷却する。
特開2014−112638号公報
しかしながら、特許文献1のガス噴射部材170でウエハを冷却する際、各渦流生成室173の内部で生じる渦流にウエハを接触させる必要があるため、ウエハをガス噴射部材170へ近づけてガス噴射部材170及びウエハの間の距離を5mm以下にする必要があり、ウエハを載置するステージをガス噴射部材170へ向けて移動させる移動機構、例えば、アクチュエータが必要となる。その結果、ロードロック室の構造が複雑となるという問題がある。
本発明の目的は、簡素な構造で基板を効果的に冷却することができる基板冷却部材、基板処理装置及び基板冷却方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の基板冷却部材は、基板に対向して配置される基板冷却部材であって、前記基板に対向する対向面と、前記対向面に配置されて前記基板に向けてガスを噴射するガス噴射機構と、前記対向面から前記基板へ向けて突出する凸部とを備え、前記凸部は側方から先端にかけて絞り込まれるように成形されることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の基板処理装置は、真空雰囲気に保持され、内部に収容された基板に対して基板温度の上昇を伴う所定の処理を行う基板処理室と、大気圧雰囲気に保持され、外部から前記基板処理室で処理する基板が搬入される基板搬入室と、前記基板処理室及び前記基板搬入室の間で前記基板を搬送するために内部が選択的に前記大気圧雰囲気又は前記真空雰囲気に切り替え可能に構成される中間搬送室とを備える基板処理装置であって、前記中間搬送室は、前記基板を支持する支持部材と、前記基板に対向して配置される基板冷却部材とを有し、前記基板冷却部材は、前記基板に対向する対向面と、前記対向面に配置されて前記基板に向けてガスを噴射するガス噴射機構と、前記対向面から前記基板へ向けて突出する凸部とを備え、前記凸部は側方から先端にかけて絞り込まれるように成形されることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の基板冷却方法は、基板に対向する対向面と、該対向面に配置されてガスを噴射するガス噴射機構と、前記対向面から前記基板へ向けて突出する凸部とを備え、前記凸部は側方から先端にかけて絞り込まれるように成形される基板冷却部材を前記基板に対向するように配置し、前記ガス噴射機構から前記基板に向けて前記ガスを噴出することを特徴とする。
本発明によれば、対向面から基板へ向けて突出する凸部は側方から先端にかけて絞り込まれるように成形されるので、ガス噴射機構から噴射されたガスが凸部の側方を流れる際、コアンダ効果によって凸部の側方から先端に沿うように流れる。これにより、基板へ向けてガスの流れが斜めに入射するため、反射したガスの流れが入射するガスの流れと別方向に反射し、さらに反射したガスの流れは、同様に反射した他のガスの流れと協働して渦流を形成する。その結果、基板を基板冷却部材に近づけることなく、渦流を基板に接触させることができ、もって、基板を移動させる移動機構を設ける必要をなくすことができ、簡素な構造で基板を効果的に冷却することができる。
本発明の実施の形態に係る基板処理装置としてのプラズマ処理装置の構成を概略的に示す平面図である。 図1におけるロードロック室の構成を概略的に示す断面図である。 図2におけるガス噴射部材を対向面から眺めた場合の平面図である。 図2における渦流発生部材及びガス孔の近傍の構成を示す拡大断面図である。 図4におけるガス孔から噴出したパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す断面図である。 図4におけるガス孔から噴出したパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す斜視図である。 渦流発生部材を除去した場合のパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す斜視図である。 渦流発生部材の先端から載置ウエハまでの距離が30mmに変更された場合のパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す斜視図である。 渦流発生部材の先端から載置ウエハまでの距離が40mmに変更された場合のパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す斜視図である。 ガス孔が渦流発生部材から離間して開口する変形例の構成を示す拡大断面図である。 対向面における複数の渦流発生部材の分布の変形例としてのガス噴射部材を対向面から眺めた場合を示す平面図である。 対向面において各渦流発生部材の曲面の曲率半径が変化する変形例としてのロードロック室の構成を概略的に示す断面図である。 側方から先端へかけて斜面が形成される渦流発生部材の変形例を示す拡大断面図である。 回りにスリットが開口する渦流発生部材の変形例を示す拡大斜視部分断面図である。 図14におけるスリットから噴出したパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す斜視図である。 従来のガス噴射部材を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置としてのプラズマ処理装置の構成を概略的に示す平面図である。
図1において、プラズマ処理装置10は、例えば、直径がφ300mmのウエハWを所定枚数収容した不図示のキャリアであるフープを載置するために設けられた3つのロードポート16を備える。
このプラズマ処理装置10には、ロードポート16に隣接し、フープに対してウエハWの搬入出を行うためのローダーモジュール14(基板搬入室)が配置され、ローダーモジュール14には、ウエハWの位置合わせを行う位置合わせ機構17が隣接して配置されている。また、ローダーモジュール14を挟んでロードポート16の反対側には、2つのロードロック室13が配置されている。ローダーモジュール14の内部は常に大気圧雰囲気にあり、ローダーモジュール14内にはウエハ搬送装置18が配置されている。ウエハ搬送装置18は、ロードポート16に載置されたフープ、位置合わせ機構17及びロードロック室13の間でウエハWを搬送する。
ロードロック室13は、その内部が選択的に真空雰囲気又は大気圧雰囲気に切り換え可能に構成され、ロードロック室13の内部は、ローダーモジュール14と連通する際には大気圧雰囲気とされ、後述の真空搬送室11と連通する際には真空雰囲気とされる。なお、ロードロック室13の詳細な構造については後述する。
ロードロック室13を挟んで、ローダーモジュール14の反対側には、例えば、平面視八角形を呈する真空搬送室11が配置され、真空搬送室11の周りには、放射状に配置されて真空搬送室11に接続される5つの真空処理室12(基板処理室)が配置されている。真空搬送室11の内部は常に所定の真空度に保たれ、ウエハWを搬送するスカラロボット15が配置されている。また、真空処理室12の内部も所定の真空度に真空に保たれ、ウエハWを内部に収容して、ウエハWに所定のプラズマ処理、例えば、プラズマエッチング処理を施す。
なお、図1には図示しないが、各ユニット(真空搬送室11、真空処理室12、ロードロック室13、ローダーモジュール14、ロードポート16及び位置合わせ機構17)の間にはゲートバルブが配置され、ゲートバルブは必要に応じて開閉動作を行う。また、プラズマ処理装置10では、ロードロック室13が、ローダーモジュール14と真空搬送室11との間でウエハWを搬送するための中間搬送室としての役割と、真空処理室12で処理されたウエハWを冷却するための基板冷却室としての役割を担う。
プラズマ処理装置10では、概略、以下の順序で、ウエハWにプラズマ処理が施される。なお、プラズマ処理装置10では、複数のウエハWが同時に処理されるが、ここでは1枚のウエハWの処理について、時系列に従って説明する。
先ず、フープがロードポート16に載置されると、ロードポート16に設けられたゲートバルブがフープの蓋を保持して開き、ウエハ搬送装置18がフープからウエハWを取り出し、該ウエハWを位置合わせ機構17に搬入する。位置合わせ機構17にて位置合わせされたウエハWは、ウエハ搬送装置18によって大気圧雰囲気に保持されたロードロック室13に搬入される。このとき、ロードロック室13の真空搬送室11側のゲートバルブは閉じられている。ロードロック室13のローダーモジュール14側のゲートバルブを閉じた後、ロードロック室13は所定の真空度に減圧される。
ロードロック室13の内部が所定の真空度に到達すると、真空搬送室11側のゲートバルブが開き、スカラロボット15がロードロック室13からウエハWを搬出して、保持したウエハWを真空処理室12に搬入し、真空処理室12においてウエハWに所定のプラズマ処理が施される。このとき、所定のプラズマ処理が施されたウエハWの温度が上昇する。
その後、所定のプラズマ処理が施されて温度が上昇したウエハWは、スカラロボット15によって真空処理室12から搬出され、ロードロック室13に搬入される。次いで、ロードロック室13の真空搬送室11側のゲートバルブが閉じ、ロードロック室13を大気圧雰囲気にするために、ロードロック室13に窒素ガス等のパージガスが導入される。本実施の形態では、このパージガスをウエハWの冷却に用いる。その詳細については後述する。
ロードロック室13の内部が大気圧雰囲気となり、且つ、ウエハWが所定温度まで下げられると、ロードロック室13のローダーモジュール14側のゲートバルブが開いて、ウエハ搬送装置18がロードロック室13からウエハWを取り出し、フープの所定位置へ搬入する。
次に、ロードロック室13の構造について説明する。図2は、図1におけるロードロック室の構成を概略的に示す断面図である。
図2において、ロードロック室13の真空搬送室11側にはゲートバルブ21が配置され、ロードロック室13のローダーモジュール14側にはゲートバルブ22が配置されている。ロードロック室13の底壁には排気管24が接続され、排気管24には真空ポンプ等の排気装置(図示しない)が接続され、排気装置を駆動することにより、排気管24を通してロードロック室13の内部を所定の真空度に減圧する。
ロードロック室13の底部には円板状部材と支柱からなるステージ23(支持部材)が配置され、該ステージ23はウエハWを載置する。ステージ23は冷却通路27(冷却機構)を円板状部材に内蔵し、該冷却通路27に冷媒、例えば、水を流すことにより、ウエハWを冷却する。なお、ステージ23は冷却通路27の代わりに冷却機構としてペルチェ素子を内蔵してもよい。
ロードロック室13の内部の天井部には、ガス噴射部材25(基板冷却部材)が配置されている。ガス噴射部材25にはガス供給源(不図示)から窒素ガス等のパージガスがガス供給管26を通じて供給される。
ガス噴射部材25は円板状の本体28からなり、本体28は、ステージ23に載置されたウエハ(以下、「載置ウエハ」という。)Wに対向する対向面29と、内部に形成されたバッファ空間30と、対向面29において開口し、バッファ空間30及びロードロック室13の内部を連通する複数のガス孔31(ガス噴射機構)と、対向面29において載置ウエハWへ向けて突出する凸状部材からなる複数の渦流発生部材32(凸部)とを有する。ガス供給管26はバッファ空間30と連通し、パージガスがガス供給管26を通じてバッファ空間30へ供給されると、供給されたパージガスは各ガス孔31から載置ウエハWへ向けて噴出される。
図3は、図2におけるガス噴射部材を対向面から眺めた場合の平面図である。
図3に示すように、複数の渦流発生部材32は対向面29において均等に分布するように配置され、各渦流発生部材32の間において各ガス孔31が開口する。また、一の渦流発生部材32の回りにおいて複数、例えば、6つのガス孔31が円周上に沿って均等、且つ当該渦流発生部材32に隣接して開口する。
図2に戻り、ロードロック室13では、真空処理室12で処理されたウエハWがロードロック室13に搬入されてステージ23に載置され、ゲートバルブ21が閉じられると、ガス噴射部材25がウエハWに向けてパージガスを噴射する。これにより、パージガスとウエハWとの間で熱交換が行われて、ウエハWが所定温度に冷却されると同時に、ロードロック室13の内部は真空雰囲気から大気圧雰囲気へと切り替えられる。
図4は、図2における渦流発生部材及びガス孔の近傍の構成を示す拡大断面図である。
図4において、各渦流発生部材32は、各ガス孔31に隣接する側方32aから、載置ウエハWに対向する先端32bへかけて絞り込まれるように成形され、側方32aから先端32bへかけて曲率半径rの曲面が形成される。
渦流発生部材32は概略円板形状を呈し、直径はRで示され、高さ(対向面29から載置ウエハWへ向けての突出量)はhで示される。また、渦流発生部材32の先端32bから載置ウエハWまでの距離はHで示される。
ガス噴射部材25がウエハWに向けてパージガスを噴射する際、各ガス孔31から噴出されたパージガスは粘性を有するため、パージガスは渦流発生部材32の側方32aを流れる際、そのまま載置ウエハWへ向けて図中下方へ直進せず、流体に作用するコアンダ効果によって側方32aから32bに沿うように流れる。これにより、パージガスの流れは、図中矢印で示すように、図中斜め下方へ向けて進み、やがて載置ウエハWの表面へ斜めに入射する。このとき、載置ウエハWの表面においてパージガスの流れは、入射するパージガスの流れとは別方向且つ図中斜め上方へ向けて反射するが、反射したパージガスの流れは、他のガス孔31から噴出された他のパージガスの流れであって、載置ウエハWの表面において斜め上方へ向けて反射した他のパージガスの流れと衝突し、進路を変更されて巻回する。これにより、反射したパージガスの流れは載置ウエハWの上において渦流を形成する。また、ガス孔31から噴出されたパージガスの流れはコアンダ効果によって側方32aから先端32bへかけての曲面に沿って流れるため、巻回するようなベクトル成分を付与される。その結果、パージガスの流れから自然と渦流が発生しやすくなり、もって、載置ウエハWの上において形成される渦流の渦度が大きくなる。
ところで、本発明者は、本発明をなすにあたり、図2のロードロック室13において内部にガス噴射部材25からパージガスを噴射したときのパージガスの流れのシミュレーションを行った。
図5は、図4におけるガス孔から噴出したパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す断面図であり、図6は、図5のシミュレーションにおける渦流発生部材の直径及び渦流発生部材の先端から載置ウエハまでの距離を変更したときのシミュレーションの結果を示す斜視図である。
図5のシミュレーションでは、各渦流発生部材32の直径Rを60mm、高さhを10mmに、側方32aから先端32bへの曲面の曲率半径rを10mmに設定し、渦流発生部材32の先端32bから載置ウエハWまでの距離Hを25mmに設定し、さらに、孔径が1mmの各ガス孔31から流量が0.14l/分、且つ流速が3m/秒で窒素ガスからなるパージガスを噴出した。また、図6のシミュレーションは、図5のシミュレーションにおける各渦流発生部材32の直径Rを80mmに変更し、渦流発生部材32の先端32bから載置ウエハWまでの距離Hを20mmに変更した上で行った。
このとき、図5及び図6に示すように、各ガス孔31から噴出されたパージガスはコアンダ効果によって側方32aから先端32bへの曲面に沿って流れ、パージガスの流れは当該曲面から載置ウエハWへ向けて斜め下方へ進み、載置ウエハWの表面へ斜めに入射した後に反射し、同様に載置ウエハWの表面へ斜めに入射した後に反射した他のパージガスの流れと衝突して渦流を形成することが確認された。
また、本発明者は、図5のシミュレーションにおける距離Hを変更した上で、図2のロードロック室13において内部にガス噴射部材25からパージガスを噴射したときのパージガスの流れの複数のシミュレーションを行った。
図7は、渦流発生部材を除去した場合のパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す斜視図であり、図8は、距離Hが30mmに変更された場合のパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す斜視図であり、図9は、距離Hが40mmに変更された場合のパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す斜視図である。
このとき、図7に示すように、各渦流発生部材32を除去すると、各ガス孔31から噴出されたパージガスはそのまま載置ウエハWへ向けて下方へ直進し、パージガスの流れは載置ウエハWの表面へほぼ垂直に入射されるため、パージガスの流れは斜め上方へ向けて反射することなく、載置ウエハWの表面に沿って分散する。その結果、パージガスの流れは、載置ウエハWの表面上において殆ど渦流を形成しないことが確認された。
一方、図8や図9に示すように、距離Hを変更しても、各ガス孔31から噴出されたパージガスはコアンダ効果によって側方32aから先端32bへの曲面に沿って流れ、パージガスの流れは当該曲面から載置ウエハWへ向けて斜め下方へ進み、載置ウエハWの表面へ斜めに入射した後に反射して渦流を形成することが確認された。
また、図6(距離Hが20mm)、図8(距離Hが30mm)及び図9(距離Hが40mm)のシミュレーション結果を比較したところ、図8の場合が最も渦流の渦度が大きいことが確認された。一方で、図6の場合や図9の場合でも、載置ウエハWの冷却に十分な渦度が得られることが確認された。これらの確認結果から、渦流発生部材32の半径(直径Rの半分)及び距離Hの比率が1対0.5(図6の場合に相当)乃至1対1.33(図9の場合に相当)であることが好ましく、1対1(図8の場合に相当)であることがより好ましいことが分かった。
なお、本発明者は、例えば、図6の場合において、各ガス孔31から噴出するパージガスの流速を変化させてパージガスの流れのシミュレーションを行ったところ、流速が3〜10m/秒であれば、パージガスの流れは載置ウエハWの表面上において載置ウエハWの冷却に効果的な渦流を形成することを確認した。これは、パージガスの流れの流速が低すぎる(3m/秒未満である)とパージガスの運動エネルギーが小さくなるため、ウエハWの表面に入射してもパージガスの流れは反射せずに分散し、パージガスの流れの流速が高すぎる(10m/秒よりも大である)とパージガスの流れの直進成分が強くなりすぎるため、反射した他のパージガスの流れと衝突してもパージガスの流れの進路が大きく変更されないためだと推察された。
本実施の形態に係る基板冷却部材としてのガス噴射部材25によれば、対向面29から載置ウエハWへ向けて突出する渦流発生部材32は側方32aから先端32bにかけて絞り込まれるように成形されるので、ガス孔31から噴射されたパージガスが渦流発生部材32の側方32aを流れる際、コアンダ効果によって渦流発生部材32の側方32aから先端32bに沿うように流れる。これにより、載置ウエハWの表面へ向けてパージガスの流れが斜めに入射するため、反射したパージガスの流れが入射するパージガスの流れと別方向に反射し、さらに反射したパージガスの流れは、同様に反射した他のパージガスの流れと協働して渦流を形成する。その結果、載置ウエハWをガス噴射部材25に近づけることなく、渦流を載置ウエハWに接触させることができ、もって、ステージ23等を移動させる移動機構を設ける必要をなくすことができ、簡素な構造で載置ウエハWを効果的に冷却することができる。
上述したガス噴射部材25では、渦流発生部材32は側方32aから先端32bにかけて曲面を形成するので、パージガスの流れが巻回しやすくなり、自然と渦流が発生しやすくなる。その結果、載置ウエハWに接触する渦流の渦度を大きくすることができる。
また、上述したガス噴射部材25では、対向面29において複数の渦流発生部材32が均等に分布するように配置されるので、載置ウエハW上において均等に渦流を分布させることができ、もって、載置ウエハWを均等に冷却することができる。
さらに、上述したガス噴射部材25では、ガス孔31は渦流発生部材32に隣接して配置されるので、パージガスを渦流発生部材32の側方32aに沿って確実に流すことができ、もって、パージガスの流れにコアンダ効果を確実に作用させることができる。
上述したロードロック室13では、ガス噴射部材25に対向してウエハWを載置するステージ23は冷却通路27を内蔵するので、冷却通路27における冷媒の循環及びガス噴射部材25からパージガスの噴射による渦流の形成の協働により、載置ウエハWを迅速に冷却することができ、もって、ロードロック室13における処理のスループットを向上することができる。
また、上述したロードロック室13では、渦流の形成に従来から用いられる大気開放用のパージガスを用いるため、新たなガス供給機構を設ける必要が無く、ロードロック室13の構成が複雑化するのを防止することができる。なお、パージガスとしては窒素ガスだけでなく大気も用いることができる。
上述したガス噴射部材25では、図3に示すように、1つの渦流発生部材32の周りに5つ又は6つのガス孔31が円周上において均等に配置されるが、1つの渦流発生部材32の周りに配置されるガス孔31の数はこれらに限られず、少なくとも4つのガス孔31が円周上において均等に配置されればよい。また、各ガス孔31の孔径は1mmに限られず、例えば、噴出されるパージガスの流速が3m/秒を下回らないように設定されていればよい。
上述したガス噴射部材25では、各ガス孔31が渦流発生部材32に隣接して開口するが、図10に示すように、各ガス孔31が渦流発生部材32から離間して開口してもよい。但し、ガス孔31が噴出したパージガスに渦流発生部材32における曲面に起因するコアンダ効果を作用させるため、渦流発生部材32からガス孔31の縁までの距離tはガス孔31の直径以下であることが好ましい。
さらに、上述したガス噴射部材25では、図3に示すように、複数の渦流発生部材32は対向面29において均等に分布するように配置されるが、図11に示すように、載置ウエハWの中心部に対向する複数の渦流発生部材32の配置密度が、載置ウエハWの周縁部に対向する複数の渦流発生部材32の配置密度よりも高くてもよい。これにより、載置ウエハWの中心部に接触する渦流の密度を向上させることができ、もって、中心部の温度が高くなる傾向がある載置ウエハWの温度分布を平準化することができる。また、複数の渦流発生部材32の配置密度を変化させるために、位置に応じて各渦流発生部材32の直径Rを変更してもよい。なお、図11では各ガス孔31の図示を省略している。
上述したガス噴射部材25では、図4に示すように、各渦流発生部材32の側方32aから先端32bへかけて形成される曲面の曲率半径rは同じであるが、図12に示すように、載置ウエハWの中心部に対向する複数の渦流発生部材32の曲面の曲率半径rを、載置ウエハWの周縁部に対向する複数の渦流発生部材32の曲面の曲率半径rよりも大きくしてもよい。これにより、載置ウエハWの中心部に対向する複数の渦流発生部材32の曲面のコアンダ効果によって当該曲面を沿うパージガスの流れは大きく進路を変更され、載置ウエハWの表面へ確実に斜め上方から入射するので、載置ウエハWの表面上に生じて載置ウエハWの中心部に接触する渦流の渦度を大きくすることができ、もって、中心部の温度が高くなる傾向がある載置ウエハWの温度分布を平準化することができる。
また、上述したガス噴射部材25では、各渦流発生部材32において側方32aから先端32bへかけて曲面が形成されたが、図13に示すように、側方32aから先端32bへかけて斜面が形成されてもよい。この場合も、コアンダ効果によってパージガスが渦流発生部材32の側方32aから先端32bに沿うように流れるため、パージガスの流れを載置ウエハWの表面へ向けて確実に斜めに入射することができ、これにより、載置ウエハWの表面上で確実に渦流を生じさせることができる。
さらに、上述したガス噴射部材25では、図4に示すように、一の渦流発生部材32の回りにおいて複数のガス孔31が配置されたが、図14に示すように、一の渦流発生部材32の回りにおいて開口し、バッファ空間30及びロードロック室13の内部を連通するスリット33を配置してもよい。
図15は、図14におけるスリットから噴出したパージガスの流れのシミュレーションの結果を示す斜視図である。
図15のシミュレーションの結果に示すように、各スリット31から噴出されたパージガスもコアンダ効果によって側方32aから先端32bへの曲面に沿って流れ、パージガスの流れは当該曲面から載置ウエハWへ向けて斜め下方へ進み、載置ウエハWの表面へ斜めに入射した後に反射し、同様に載置ウエハWの表面へ斜めに入射した後に反射した他のパージガスの流れと衝突して渦流を形成することが確認された。
以上、本発明について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
W ウエハ
10 プラズマ処理装置
12 真空処理室
13 ロードロック室
14 ローダーモジュール
23 ステージ
25 ガス噴射部材
27 冷却通路
29 対向面
31 ガス孔
32 渦流発生部材
32a 側方
32b 先端
33 スリット

Claims (11)

  1. 基板に対向して配置される基板冷却部材であって、
    前記基板に対向する対向面と、
    前記対向面に配置されて前記基板に向けてガスを噴射するガス噴射機構と、
    前記対向面から前記基板へ向けて突出する凸部とを備え、
    前記凸部は側方から先端にかけて絞り込まれるように成形されることを特徴とする基板冷却部材。
  2. 前記凸部は前記側方から前記先端にかけて曲面を形成することを特徴とする請求項1記載の基板冷却部材。
  3. 前記対向面に複数の前記凸部が均等に分布するように配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の基板冷却部材。
  4. 前記凸部は前記側方から前記先端にかけて斜面を形成することを特徴とする請求項1記載の基板冷却部材。
  5. 前記ガス噴射機構は前記対向面において開口するガス孔からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板冷却部材。
  6. 前記ガス孔は前記凸部に隣接して配置されることを特徴とする請求項5記載の基板冷却部材。
  7. 前記ガス孔は前記凸部から離間して配置されることを特徴とする請求項5記載の基板冷却部材。
  8. 前記ガス噴射機構は前記対向面において開口するスリットからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板冷却部材。
  9. 真空雰囲気に保持され、内部に収容された基板に対して基板温度の上昇を伴う所定の処理を行う基板処理室と、大気圧雰囲気に保持され、外部から前記基板処理室で処理する基板が搬入される基板搬入室と、前記基板処理室及び前記基板搬入室の間で前記基板を搬送するために内部が選択的に前記大気圧雰囲気又は前記真空雰囲気に切り替え可能に構成される中間搬送室とを備える基板処理装置であって、
    前記中間搬送室は、前記基板を支持する支持部材と、前記基板に対向して配置される基板冷却部材とを有し、
    前記基板冷却部材は、前記基板に対向する対向面と、前記対向面に配置されて前記基板に向けてガスを噴射するガス噴射機構と、前記対向面から前記基板へ向けて突出する凸部とを備え、前記凸部は側方から先端にかけて絞り込まれるように成形されることを特徴とする基板処理装置。
  10. 前記支持部材は前記基板を載置し、該載置された基板を冷却する冷却機構を有することを特徴とする請求項9記載の基板処理装置。
  11. 基板に対向する対向面と、該対向面に配置されてガスを噴射するガス噴射機構と、前記対向面から前記基板へ向けて突出する凸部とを備え、前記凸部は側方から先端にかけて絞り込まれるように成形される基板冷却部材を前記基板に対向するように配置し、
    前記ガス噴射機構から前記基板に向けて前記ガスを噴出することを特徴とする基板冷却方法。
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