JP2016060795A - 結晶模様を発現する凹凸被膜形成の塗工組成物、および塗工物 - Google Patents

結晶模様を発現する凹凸被膜形成の塗工組成物、および塗工物 Download PDF

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Keiichiro Hirata
敬一郎 平田
正典 岩橋
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正典 岩橋
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Abstract

【課題】本発明の課題は、結晶模様を発現する凹凸被膜形成の塗工組成物、及びそれを塗布した意匠性に秀でる鋼板や金属容器、プラスチックフィルム、プラスチック成型物、加工紙等を提供することにある。【解決手段】本発明の解決手段は、不飽和結合を有する特定の樹脂と、桐油を必須成分とする、即ち不飽和結合を有する樹脂(A)、および桐油(B)を含有することを特徴とする結晶模様による凹凸被膜形成の塗工組成物、及びそれを塗布した意匠性に秀でる塗工物である。【選択図】なし

Description

本発明は、結晶模様による凹凸被膜形成の塗工組成物及びそれを塗布した意匠性に秀でる、鋼板や金属容器、プラスチックフィルム、プラスチック成型物、加工紙に関する。
塗料・塗装業界、コンバーテック業界においては、塗装表面の仕上がりに何らかの意匠性を付与することにより更なる高付加価値化を目指しているところも多い。中でも、結晶模様やリンクル調の凹凸模様は、例えば自動車用塗料や意匠性鋼板、意匠性金属容器、意匠性建築シート材などで種々検討されている。
一例として上げれば、プレコートメタル向けに水酸基を有するポリエステル樹脂−メチル化メラミン樹脂とトリエチルアミンの成分から成るちぢみ塗料が提案されている(例えば特許文献1)。
また、コイルコーティング用に適した水酸基含有樹脂−ブチルエーテル化メラミン樹脂とスルホン酸化合物から成る組成物も提案されている(例えば特許文献2)。
また、意匠金属容器向けに水酸基を有するオイルフリーポリエステル樹脂−メチル化メラミン樹脂と桐油とスルホン酸系触媒の成分から成るちぢみ塗料が提案されている(例えば特許文献3)。
しかしながら、これら従来技術においては、ちぢみ模様が弱くて塗工物外観の不良が起きるトラブルも見受けられた。また、模様パターンの制御が難しく要求される意匠性に合わせられないという問題点もあった。
特開昭62−177073 特開平11−172163 特許5188072
従って、本発明の目的は、かかる特定の組成物でもって、結晶模様といった凹凸被膜形成の塗工組成物及びそれを塗布した意匠性に秀でる鋼板や金属容器、プラスチックフィルム、プラスチック成型物、加工紙を提供することにある。
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意検討の結果、不飽和結合を有する特定の樹脂と、桐油とを必須成分として含有する塗工組成物が、結晶模様といった凹凸被膜形成に有用であることを見出し、発明を完成させた。
すなわち、本発明は、不飽和結合を有する樹脂(A)、桐油(B)を含有することを特徴とする結晶模様による凹凸被膜形成の塗工組成物及びそれを塗布した意匠性に秀でる塗工物を提供する。
また、本発明は、不飽和結合を有する樹脂(A)が、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和脂肪酸からなるアルキド樹脂、不飽和脂肪酸からなるエポキシエステル樹脂、UV硬化型樹脂からなる群から選ばれる1種以上である結晶模様による凹凸被膜形成の塗工組成物を提供する。
また、本発明は、桐油(B)が、組成物全量の0.1〜5重量%である結晶模様といった凹凸被膜形成の塗工組成物を提供する。
また、本発明は、ベンゾグアナミン樹脂および/またはメラミン樹脂(C)および酸性硬化触媒(D)を含むことを特徴とする結晶模様といった凹凸被膜形成の塗工組成物を提供する。
更に、本発明は、結晶模様による凹凸被膜形成の塗工組成物と、それを塗布した意匠性に秀でる塗工物をも提供する。
本発明による塗工組成物は、結晶模様による凹凸被膜形成の塗工組成物を提供でき、それを塗布した、鋼板や金属容器、プラスチックフィルム、プラスチック成型物、加工紙は意匠性に秀でる。
本発明の結晶模様といった凹凸被膜形成の塗工組成物は、不飽和結合を有する樹脂(A)、桐油(B)を含有することを必須とする。
本発明の結晶模様といった凹凸被膜形成の塗工組成物では、乾燥造膜過程において、被膜の表面および内部の乾燥速度のズレを生ずるような配合で、内部乾燥硬化時に収縮が生じることにより被膜表面がミクロな皺模様になる現象を応用することから、より結晶模様といった凹凸模様が顕著に発現することができる。
前記不飽和結合を有する樹脂(A)としては、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和脂肪酸からなるアルキド樹脂、不飽和脂肪酸からなるエポキシエステル樹脂、UV硬化型樹脂等を用いることができ、これらは単独でも、複数組み合わせて用いてもよい。
前記、不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、α,β−不飽和ジカルボン酸を含む酸成分とアルコールとを反応させて得られる不飽和ポリエステルが挙げられる。
α,β−不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、テトラヒドロフタル酸、ジヒドロムコン酸等及びこれらの酸無水物等の誘導体等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じてα,β−不飽和ジカルボン酸以外の酸成分として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族二塩基酸類及びこれらの酸無水物;トリメリット酸、ピロメリット酸等の三官能以上の芳香族多塩基酸類及びこれらの酸無水物;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、ドデカン二酸等の脂肪族二塩基酸類及びこれらの酸無水物;ヘキサヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環式飽和ジカルボン酸及びこれらの酸無水物等の誘導体が挙げられ、これらをα,β−不飽和ジカルボン酸と併用してもよい。
前記アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、4,5−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の脂肪族グリコール、シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等、1〜100モル)付加物、水素化ビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等、1〜100モル)付加物、ビスフェノールFのアルキレンオキシド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等、1〜100モル)付加物、水素化ビスフェノールFのアルキレンオキシド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等、1〜100モル)付加物、キシレングリコール等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
また、不飽和ポリエステルの末端封鎖のために、ベンジルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ステアリルアルコール等の一価アルコールまたはそれらの誘導体も使用することができる。
カルボン酸成分と多価アルコール成分の反応は、種々の方法で主に縮合反応を進めることにより行われ、両成分が反応する際に生ずる水等の低分子を系外へ脱離して進行させる。カルボン酸成分と多価アルコール成分との反応割合は特に制限はない。
不飽和ポリエステル樹脂の市販品としては、例えば、“アクアライト(登録商標)”(DHM(株)製)、“アクリメート(登録商標)”(DHM(株)製)“レイドーマ(登録商標)”(DHM(株)製)等が挙げられる。
前記、不飽和のアルキッド樹脂としては、多塩基酸成分、多価アルコール成分、及び不飽和脂肪酸からなる油脂ないしは不飽和脂肪酸、を主たる原料成分とするエステル系樹脂が挙げられる。
上記多塩基酸成分としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の、段落〔0019〕に掲げたα,β−不飽和ジカルボン酸以外の酸成分;スルホフタル酸、スルホイソフタル酸及びこれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩や低級アルキルエステル化物等を使用することができる。また、酸成分として、安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸等の一塩基酸を分子量調整等の目的で併用することができる。
前記多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の、段落〔0020〕に掲げた多価アルコール;ポリオキシエチレン基を有する多価アルコール等を併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、前記酸成分、アルコール成分の一部をジメチロールプロピオン酸、オキシピバリン酸、パラオキシ安息香酸等;これらの酸の低級アルキルエステル;ε−カプロラクトン等のラクトン類等のオキシ酸成分に置き換えることもできる。
前記油脂としては、例えば、亜麻仁油、あさみ油、えの油、サフラワー油、大豆油、なたね油、桐油、米ぬか油、綿実油、パーム油、やし油、魚油、水添魚油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油の熱重合油類等が挙げられる。特に、あまに油やきり油等のいわゆる乾性油、大豆油等の半乾性油が望ましい。
前記脂肪酸としては、例えば、やし油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、ぬか油脂肪酸、綿実油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸(しなきり油脂肪酸)等の不飽和脂肪酸成分を含むものを挙げることができる。
アルキッド樹脂の油長は5〜80質量%、特に20〜70質量%の範囲内であることが、得られる塗膜の硬化性、強靭性、意匠性等の面から好適である。
また、アルコール成分の一部としてエポキシ化合物を使用してエポキシ化合物を部分エステル化したエポキシ変性アルキッド樹脂;アルキッド樹脂に無水マレイン酸を導入してなるマレイン化アルキッド樹脂;マレイン化アルキッド樹脂と水酸基含有アルキッド樹脂とを付加してなるグラフト化アルキッド樹脂;アルキッド樹脂にスチレン、(メタ)アクリル酸エステル等のビニルモノマーをグラフト重合させたビニル変性アルキッド樹脂等も使用することができる。
前記、不飽和のエポキシエステル樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を不飽和脂肪酸成分と酸基含有アクリル成分を原料として、これらを反応させることにより得られる樹脂が挙げられる。樹脂原料配合が、原料の合計重量100重量%に対し、エポキシ樹脂30〜50重量%、不飽和脂肪酸成分25〜40重量%及び酸基含有アクリル成分10〜45重量%であると、被膜物性に優れる点から好ましい。そのエポキシ樹脂としては、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、アルキルフェニルグリシジルエーテル等のモノエポキシド樹脂、アルキレングリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールメチルグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のジ−又はポリエポキシド樹脂が挙げられ、エポキシ樹脂中のエポキシ基の一部を、例えば、段落〔0028〕に掲げた油脂肪酸や、安息香酸、アクリル酸又はメタクリル酸等でエステル化させることで得られる。
前記、UV硬化型樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート(二官能、多官能)、アクリル樹脂アクリレート(高分子量、低分子量)、エポキシ樹脂アクリレートが挙げられる。
より詳しくは、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アクリロイルモルフォリン、多官能チオール、メルカプト又は/及びイソチオシアナト又は/及びチオフェン又は/及びスルフィド又は/及びチオグリコール酸エステル等有機硫黄化合物ベース多官能チオール、同多官能ビニル、同多官能アリル、同多官能アクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、テトラブロモビスフェノールA エポキシアクリレート等芳香環やBr、I、CL等のハロゲン化元素、S、N、P等を含む化合物をベースにアクリレートモノマー、多官能アクリレート架橋剤、アクリレートオリゴマー、各種光開始剤等を処方した配合物などが挙げられる。
尚、前記不飽和結合を有する樹脂(A)の含有量は、樹脂固形分全量の30重量%〜100重量%であり、好ましくは50重量%〜100重量%である。
樹脂成分としては、不飽和結合を有する樹脂(A)の他に、エポキシ樹脂、セルロースおよび変性セルロース類等や、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ブロックイソシアネート、フェノール樹脂等も硬化剤として有用であり、これらを含んでもよい。
本発明の結晶模様といった凹凸被膜形成の塗工組成物において、模様制御の目的で、桐油(B)を必須とする。
前記、桐油(B)としては、例えば、日本や中国を産地とする、中国桐油、しなきり油、アブラギリ油、α−エレオステアリン酸等があげられ、これらは単独使用又は2種以上併用することができる。
前記、桐油(B)の添加量の総計は、塗工組成物全量の0.1〜5重量%であり、不飽和結合を有する樹脂(A)固形分100重量部に対しては、1.0〜10.0重量%、より好ましくは3.0〜7.0重量%である。1.0重量%未満では模様が弱くて意匠性に問題があり、10.0重量%より多い場合は、塗工組成物の貯蔵安定性が悪くなるとか、模様パターンの制御が難しく要求される意匠性に合わせられないとか、塗工物被膜の油臭気等が強いという問題が起きる恐れがある。
本発明の結晶模様による凹凸被膜形成の塗工組成物は、ベンゾグアナミン樹脂および/またはメラミン樹脂(C)および酸性硬化触媒(D)を含む。
前記(C)の、ベンゾグアナミン樹脂としては、熱硬化反応により被膜の物性をあげられ、メチル化ベンゾグアナミン樹脂、ノルマルブチル化ベンゾグアナミン樹脂、イソブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化・エチル化ベンゾグアナミン樹脂等の混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂等があげられ、これらは単独使用又は2種以上併用することができる。
また、市販品としては、例えば、スーパーベッカミンTD−126、15−594(DIC(株)製)、サイメル1123(日本サイテックインダストリーズ(株)製)等が挙げられる。
さらに、前記(C)の、メラミン樹脂としては、メチル化メラミン樹脂、ノルマルブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、メチル化・ブチル化メラミン樹脂等の混合エーテル化メラミン樹脂等があげられ、これらは単独使用又は2種以上併用することができる。
また、市販品としては、例えば、スーパーベッカミンL−125−60、S−695、L−109−65、L−125−60(DIC(株)製)等が挙げられる。
ベンゾグアナミン樹脂および/またはメラミン樹脂(C)の添加量の総計は、塗工組成物全量の5重量%〜40重量%であり、好ましくは7重量%〜20重量%である。
また、酸性硬化触媒(D)としては、(C)の熱硬化反応を進めて被膜の物性をあげる目的であり、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸系触媒、あるいはこれらのアミン塩等;リン酸、変性リン酸等のリン酸系触媒、あるいはこれらのアミン塩等があげられ、これらは単独使用又は2種以上併用することができる。
また、(D)の市販品としては、例えば、NACURE5225、2500、4167(KING INDUSTRIES社製)、P−198(DIC(株)製)等が挙げられる。
酸性硬化触媒(D)の添加量の総計は、塗工組成物全量の0.05重量%〜1.0重量%であり、好ましくは0.07重量%〜0.5重量%である。
本発明の結晶模様といった凹凸被膜形成の塗工組成物は、必要に応じてその他の添加剤を使用することが可能である。例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナウバ、木ロウ、密ロウ、ラノリン、モンタン、パラフィン、黄色ワセリン、白色ワセリン、マイクロクリスタリン等の天然ワックス、フィッシャートロプス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンビスステアリン酸アマイド等の脂肪酸アミド等の合成系ワックス、および、シリコーン化合物等を例示することができる。
本発明の結晶模様といった凹凸被膜形成の塗工組成物は、模様パターンを強調するために、増粘剤、チキソ剤、つや消し剤等を添加することもできる。例えば、二酸化珪素等のいわゆるマット剤、脂肪酸アマイド、変性ウレア、エチレン酢酸ビニルコポリマー等のレオロジーコントロール剤、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の増粘・ゲル化剤などが挙げられる。
さらに塗工組成物に着色して趣きを加えるのであれば、分散性に問題ない範囲で、無機・有機顔料を添加してもよい。
無機顔料としては、塗工組成物の流動性調整や吸収性基材への浸透防止等の物性改良・機能性付与を目的として幅広く使用できる無機顔料である体質顔料としては、公知公用の着色用有機顔料を挙げることができ、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、マイカ、硫酸バリウム、シリカ及び水酸化アルミニウム、黄鉛、亜鉛黄、紺青、カドミウムレッド、酸化チタン、亜鉛華、アルミナホワイト、群青、カーボンブラック、グラファイト、ベンガラ等が使用可能である。
有機顔料としては、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アリリド系、アセト酢酸アリリド系モノアゾ、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(塩素または臭素化)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系等)、イソインドリノン系、キノフタロン系等の多環式顔料および複素環式顔料等の公知公用の各種顔料が使用可能である。
本発明の結晶模様といった凹凸被膜形成の塗工組成物の製造方法は、従来から通常行われている例えば分散攪拌機、ターボ攪拌機で製造される。着色する場合には、グラビア、フレキソ印刷インキの製造に一般的に使用されている例えばアイガーミル、サンドミル、ガンマミル、アトライター等を用いて製造されるが、これらに限定されるものではない。
本発明の結晶模様といった凹凸被膜形成の塗工組成物は、ロールコート、スプレー、刷毛塗り等公知の手段により、電気メッキ鋼板、クロム処理鋼板、アルミニウム板等の金属板や、プラスチック製のフィルムやシート、成型物や、加工紙等に印刷や塗工することができる。
以下に、実施例、比較例を用いて本発明を具体的に説明する。尚、実施例中の「部」「%」は、特に断りのない限り、重量基準である。
合成例1(不飽和ポリエステル樹脂Iの合成例)
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管、精留管およびデカンターを備えた反応容器に、1,3−ブチレングリコールの404.3部と、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(以下MeTHPAと記す)の604.8部と、無水マレイン酸(以下MAnと記す)の67.2部とを仕込んで、160℃にまで加熱して、内容物を溶融させた。
160℃に達してから、縮合水を系外に除去しながら、3時間をかけて210℃にまで昇温させた。さらに、同温度で、反応を続行せしめ、酸価が6以下となった処で加温をやめ、冷却しながら4フッ化エチレン樹脂板上に流延して100℃以下まで冷却し、酸価が5.0なる、不飽和ポリエステル樹脂の固形物を得た。以下、これを不飽和ポリエステル樹脂Iと略記する。
合成例2(アルキド樹脂IIの合成例)
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管、精留管およびデカンターを備えた反応容器に、大豆油の18部と、大豆油脂肪酸の41部と、グリセリンの18部とを仕込んで、230℃にまで昇温し、内容物が透明になるまで加熱した。一度、冷却した後に、グリセリンの21部と無水フタル酸の63部とキシレンの6部を仕込み、220℃にまで加熱し、溶剤法により縮合水を系外に除去しながら、酸価が10以下になるまで反応を続行させた。酸価が7になったところで、キシレンを系外に除去し、冷却した後に、酢酸エチルで不揮発分が60%になるように希釈して、不揮発分が60.1%、かつ、酸価が6.6なる、不飽和のアルキド樹脂を得た。以下、これをアルキド樹脂IIと略記する。
合成例3(エポキシエステル樹脂IIIの合成例)
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管、精留管およびデカンターを備えた反応容器に、不活性ガスの存在下で、脱水ひまし油脂肪酸216部、キシレンの20部に、エピクロン4050(DIC(株)製のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂)135部を220℃まで昇温し、酸価が46以下になるまで220℃にホールドした。その後、キシレンを溜去し、ソルベッソ100の133部で希釈溶解して、溶液酸価30、不揮発分68.5%のエポキシエステル樹脂を得た。以下、これをエポキシエステル樹脂IIIと略記する。
合成例4(UV硬化性樹脂IVの合成例)
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管、精留管およびデカンターを備えた反応容器に、亜麻仁油脂肪酸70部、エピクロン4050(DIC(株)製のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂)120部、アクリル酸12部を、不活性ガスの存在下、180℃で10時間加熱して固形分酸価23のエポキシエステルを得た。その100部に酢酸ブチル70部を加えた混合物を80℃に保ちながら、アゾビスイソブチロニトリル1部、スチレン70部、メチルメタクリレ−ト20部およびメタクリル酸10部の混合物を徐々に滴下し、滴下終了後3時間同温度に保ってから冷却し、ビニル重合体で変性した乾性油変性エポキシエステル樹脂を得た。以下、これをUV硬化性樹脂IVと略記する。
実施例1(不飽和ポリエステル樹脂の一例)
前記した不飽和ポリエステル樹脂Iの55.0部、ソルベッソ100の6.0部、酢酸エチルの38.0部をよく溶解混合し、次に、中国桐油1.0部を加えて均一になるまで撹拌した。
実施例2〜5
以下、〔表1〕に従って配合し、均一になるまで撹拌混合して、本発明の一例となる塗工組成物を調整した。
比較例1〜2(飽和ポリエステル樹脂)
実施例1において、不飽和のポリエステル樹脂の代わりに飽和のポリエステル樹脂(一例として、ベッコライト(登録商標)46−118、不揮発分60%、DIC(株)製)に置き換え、所定の中国桐油を加えて同様に調整して、評価を行った。
比較例3(桐油なし)
実施例1において、桐油をゼロにし、その量を酢酸エチルに置き換えた以外は同様に調整して、評価を行った。
〔評価方法1:意匠性〕
金属板塗工の一例として、ブリキ板に、バーコーター#9および#11にて塗工し、75℃8分乾燥炉に入れて、さらに160℃8分乾燥炉に入れて乾燥硬化させた2種類の塗工物について、以下の評価に供した。
意匠性:上記の2種類の塗工物表面が、結晶模様といった凹凸模様を発現しているかどうかを目視で判定する。
◎:いずれも意匠性の特徴がよく出ている。
○:いずれも意匠性が確認できる。
△:一部の意匠性が確認できる。
×:すべて意匠性が確認できない。
〔評価方法2:密着性〕
カッターナイフで×印の切れ込みを入れ、セロハンテープで密着剥離して、塗工被膜の剥離程度で判定する。
○:剥離なし。
△:一部剥離あり。
×:全面剥離する。
〔評価方法3:硬度〕
塗工被膜を鉛筆硬度にて測定をする。
◎:H以上で被膜に傷がつく。
○:HB〜Fで被膜に傷がつく。
△:2B〜Bで被膜に傷がつく。
×:3B以下で被膜に傷がつく。
〔評価方法4:保存安定性〕
40℃にて3か月の間貯蔵保管しながら、塗工液の沈殿や分離、再撹拌性の変化を調査した。
○:沈殿や分離等なく、再撹拌性も良好。
△:沈殿や分離等の兆候があるが、再撹拌性はある。
×:沈殿ないしは分離が発生し、再撹拌性がない。
Figure 2016060795
実施例に述べる塗工組成物を施したブリキ板では、結晶模様といった凹凸被膜形成を十分発現しつつ、基材への塗工被膜の密着性、被膜硬度、塗工液自体の保存安定性をも保持することが出来る。

Claims (5)

  1. 不飽和結合を有する樹脂(A)、及び桐油(B)を含有することを特徴とする結晶模様を発現する凹凸被膜形成の塗工組成物。
  2. 前記不飽和結合を有する樹脂(A)が、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和脂肪酸からなるアルキド樹脂、不飽和脂肪酸からなるエポキシエステル樹脂、UV硬化型樹脂からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の結晶摸様を発現する凹凸被膜形成の塗工組成物。
  3. 前記桐油(B)が、組成物全量の0.1〜5重量%である請求項1又は2記載の結晶摸様を発現する凹凸被膜形成の塗工組成物。
  4. 更にベンゾグアナミン樹脂および/またはメラミン樹脂(C)および酸性硬化触媒(D)を含む結晶模様を発現する凹凸被膜形成の塗工組成物
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の結晶模様を発現する塗工組成物を用いた塗工物。
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