JP2016059369A - 細胞培養基材、細胞培養基材の製造方法、細胞培養方法、及び細胞培養装置 - Google Patents

細胞培養基材、細胞培養基材の製造方法、細胞培養方法、及び細胞培養装置 Download PDF

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Abstract

【課題】免疫細胞等の細胞を培養可能な細胞培養基材、上記細胞培養基材の製造方法、上記細胞培養基材を用いた細胞培養方法、及び細胞培養装置を提供する。
【解決手段】1)少なくとも表面に、イノシトールリン酸4、又はその塩が結合された金属化合物2を有する細胞培養基材1。2)金属化合物に、イノシトールリン酸又はその塩を含有する溶液を接触させる前記細胞培養基材の製造方法。3)前記細胞培養基材に細胞を接触させて、前記細胞を培養する細胞培養方法。4)前記細胞培養基材と、前記細胞培養基材を収容するための培養槽とを備えた細胞培養装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、細胞培養基材、細胞培養基材の製造方法、細胞培養方法、及び細胞培養装置に関する。
現在、日本人の死亡原因の第一位は悪性新生物 (がん) である。がんの治療法としては外科的療法、化学療法、放射線療法といった三大療法が主に用いられているが、これらの療法には人体への悪影響や副作用が報告されており、患者の生活の質 (Quality of Life; QOL) の低下が懸念されている。そこで、QOL 向上が期待されるがんの治療法として、現在「免疫療法」が注目されている。この療法は人体への副作用が少ないことやがんの部位を選ばないことなどで新規のがん治療法として期待されている。
考案されている免疫療法としては、大きく2種類の免疫療法に分類されている。1つは、「能動免疫療法」と呼ばれ、患者の体にサイトカインや免疫賦活剤を取り入れることで免疫細胞を活性化させ、がんを治療する方法である。
もう一方の免疫療法は、「養子免疫療法」と呼ばれ、患者自身の免疫細胞を体外で培養、増殖、又は活性化し、患者にその免疫細胞を戻すことで、体内の免疫細胞を活性化させがんを治療する方法である。養子免疫療法には、高額なサイトカインを利用することなく、患者の回復力を増強させて病気を治癒させることが可能であるという利点がある。そのため、免疫細胞を体外で培養可能であり、免疫賦活作用を備えた細胞培養基材の登場が求められている。
イノシトールリン酸は、イノシトールの水酸基がリン酸化されたものである。イノシトールリン酸としては、リン酸エステル化された水酸基の数により、イノシトール一リン酸(IP)、イノシトール二リン酸(IP)、イノシトール三リン酸(IP)、イノシトール五リン酸(IP)、イノシトール六リン酸(IP)(フィチン酸とも呼ばれる)が知られている。イノシトール六リン酸 (inositol hexaphosphate; IP6)は、抗がん作用や免疫細胞を活性化させる機能を有するということが報告されている(非特許文献1)。
A.M. Shamsuddin, I. Vucenik, K. E. Cole, Life Science, 61, 343-354 (1997).
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、免疫細胞等の細胞を培養可能な細胞培養基材、上記細胞培養基材の製造方法、上記細胞培養基材を用いた細胞培養方法、及び細胞培養装置の提供を課題とする。
本発明は、下記の特徴を有する細胞培養基材、上記細胞培養基材の製造方法、上記細胞培養基材を用いた細胞培養方法、及び細胞培養装置を提供するものである。
(1)少なくとも表面に、イノシトールリン酸又はその塩が結合された金属化合物を有する細胞培養基材。
(2)前記金属化合物が第2族元素を含むセラミックスである前記(1)に記載の細胞培養基材。
(3)前記金属化合物がリン酸カルシウム系化合物である前記(1)又は(2)に記載の細胞培養基材。
(4)前記イノシトールリン酸がイノシトール六リン酸である前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の細胞培養基材。
(5)金属化合物に、イノシトールリン酸又はその塩を含有する溶液を接触させる前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の細胞培養基材の製造方法。
(6)前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の細胞培養基材に細胞を接触させて、前記細胞を培養する細胞培養方法。
(7)前記細胞が免疫細胞である前記(6)に記載の細胞培養方法。
(8)前記免疫細胞がT細胞である前記(7)に記載の細胞培養方法。
(9)前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の細胞培養基材と、前記細胞培養基材を収容するための培養槽とを備えた細胞培養装置。
本発明によれば、免疫細胞等の細胞を培養可能な細胞培養基材、上記細胞培養基材の製造方法、上記細胞培養基材を用いた細胞培養方法、及び上記細胞培養基材を備えた細胞培養装置を提供できる。
本発明に係る細胞培養基材の一実施形態を示す模式図である。 本発明に係る細胞培養基材の一実施形態を示す模式図である。 本発明の細胞培養方法と別法の細胞培養の様子の一例を示す模式図である。 本発明の細胞培養装置の一実施形態を示す構成図である。 実施例において、水酸アパタイト(HAp)セラミックスの表面粗さ及び相対密度を測定した結果を示すグラフである。 実施例において、IPを表面修飾したHApセラミックス(IP−HApセラミックス)のX線回折(XRD)の分析を行った結果を示すグラフである。 実施例において、IP−HApセラミックスのX線光電子分光法(XPS)の分析を行った結果を示すグラフである。 実施例において、IP−HApセラミックスのX線光電子分光法(XPS)の分析を行い、ナロースペクトルを比較した結果を示すグラフである。 実施例において、IP−HApセラミックスのX線光電子分光法(XPS)の分析を行い、ナロースペクトルを比較し、さらにピーク分離を行った結果を示すグラフである。 実施例において細胞培養を行った際の、ヘルパーT細胞の増減率の結果を示すグラフである。 実施例において細胞培養を行った際の、キラーT細胞の増減率の結果を示すグラフである。
≪細胞培養基材≫
本実施形態の細胞培養基材は、少なくとも表面に、イノシトールリン酸又はその塩が結合された金属化合物を有するものである。
イノシトールリン酸は、イノシトール(1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサオール)の6つの水酸基の少なくとも1つがリン酸エステル化されたものである。本実施形態では、水酸基の3つ以上がリン酸エステル化されたイノシトールリン酸が好ましく、水酸基の4つ以上がリン酸エステル化されたイノシトールリン酸がより好ましく、イノシトールの水酸基全部がリン酸エステル化されたフィチン酸(イノシトール六リン酸、IP)が最も好ましい。イノシトールリン酸を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
また、免疫賦活作用を有するものであれば、イノシトールリン酸の塩であっても、イノシトールリン酸と同様に本実施形態の細胞培養基材の構成要素としてもよい。
イノシトールリン酸の塩としては、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましく、ナトリム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等が挙げられ、より好ましくはナトリム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩である。これらの中でも、特に好ましくはイノシトール六リン酸ナトリウム塩、イノシトール六リン酸カリウム塩である。なお、イノシトール六リン酸ナトリウム塩には、結晶水含有量の異なる水和物が知られているが、いずれも好ましく用いることができる。また、イノシトールリン酸の塩を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
上記金属化合物は、金属元素を含む化合物であり、有機金属化合物であっても、無機金属化合物であってもよく、好ましくは無機金属化合物である。イノシトールリン酸は、強いキレート作用を有する。イノシトール六リン酸は、様々な金属イオンと、キレート結合を形成することが知られている。イノシトール六リン酸と、キレート結合を形成することが知られている金属イオンとして、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン、銀イオン、鉄イオン、亜鉛イオン等がある。したがって、金属化合物とイノシトールリン酸とはキレート結合により結合し得る。
上記金属化合物に含まれる金属元素は、第2族元素であることが好ましい。第2族元素とは、周期表の第2族に分類される元素であり、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、カルシウムが好ましい。
また、上記金属化合物は、セラミックスであることが好ましい。セラミックスは安定な材料であり、滅菌操作が容易である。滅菌操作により微生物等のコンタミネーションの恐れを低減できることは、細胞培養基材として大変に有用である。
したがって、前記金属化合物としては、第2族元素を含むセラミックスであることがより好ましい。
また、上記金属化合物は、リン酸カルシウム系化合物であることが好ましい。代表的なリン酸カルシウム系化合物として、水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2;HAp)、α―リン酸三カルシウム、β―リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ニ水素カルシウム、非結晶リン酸カルシウム、フルオロアパタイトが挙げられ、好ましくは水酸アパタイト、α―リン酸三カルシウム、β―リン酸三カルシウムであり、より好ましくは水酸アパタイトである。なお、アパタイトとはリン酸塩の無機質結晶物質であり、生体適合性に優れる。
本実施形態の細胞培養基材が有する前記金属化合物としては、カルシウムを構成元素とするリン酸カルシウム系化合物のセラミックスであることがより好ましい。前記金属化合物を、カルシウムを構成元素とするリン酸カルシウム系化合物のセラミックスとすることにより、滅菌容易性、免疫細胞培養性能、及びイノシトールリン酸結合性能に優れる細胞培養基材とすることができる。更には、高い生体適合性を有することから、水酸アパタイトのセラミックスであることがさらに好ましい。
細胞培養基材の形状は特に制限されず、粒状、微粒子状、シート状、板状、円板状、棒状、円柱状、多角柱状などいずれの形状であってもよい。少なくとも表面にイノシトールリン酸、又はその塩が結合された金属化合物を有するものであれば、例えば、細胞培養基材全体が該金属化合物で構成され、その表面にイノシトールリン酸、又はその塩が結合されたものでもよく、基材表面層が該金属化合物で構成され、基材内部は該金属化合物以外のもので構成されていてもよい。
細胞培養基材は緻密体であっても、多孔質であってもよい。多孔質である場合、少なくとも表面にイノシトールリン酸、又はその塩が結合された金属化合物を有するものであれば、孔内部にイノシトールリン酸が配置されていてもよい。
図1は、本発明に係る細胞培養基材の一実施形態を示す模式図である。細胞培養基材1は、円板状の金属化合物2に、イノシトールリン酸4が結合した構造になっている。
図2は、本発明に係る細胞培養基材の一実施形態を示す模式図である。細胞培養基材11は、中心層13の表面に水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)層12が形成されており、水酸アパタイト層12に、イノシトールリン酸4が結合した構造になっている。
上記図1及び上記図2に示されるように、本発明に係る細胞培養基材は、少なくとも表面にイノシトールリン酸が結合された金属化合物を有するので、細胞培養を行うために該細胞培養基材と細胞とを接触させると、細胞はイノシトールリン酸と接触し、効率的に細胞が活性化され、免疫が賦活化され得る。
≪細胞培養基材の製造方法≫
本発明の細胞培養基材の製造方法は、金属化合物に、イノシトールリン酸又はその塩を含有する溶液を接触させるものである。
イノシトールリン酸を含有する溶液は、水、各種緩衝液等の液とイノシトールリン酸とを混合することにより得られる。イノシトールリン酸を含有する溶液のpHは、pH6〜8程度とすればよい。
イノシトールリン酸を含有する溶液中のイノシトールリン酸の濃度は、500ppm(w/v)以上であることが好ましく、2500ppm(w/v)以上であることがより好ましい。溶液中のイノシトールリン酸の濃度の上限は特に制限されず、飽和濃度とすればよい。ただし、後述する実施例において、金属化合物を3000ppm(w/v)以上のイノシトールリン酸を含有する溶液に浸漬させたとき、金属化合物へのイノシトールリン酸の結合量が飽和していると考えられる傾向がみられたことから、イノシトールリン酸を含有する溶液中のイノシトールリン酸の濃度は、500ppm(w/v)以上6000ppm(w/v)以下であることが好ましく、2500ppm(w/v)以上6000ppm以下であることがより好ましく、2500ppm(w/v)以上4000ppm(w/v)以下であることがさらに好ましい。
金属化合物に、イノシトールリン酸を含有する溶液を接触させる方法は、特に制限されず、金属化合物にイノシトールリン酸を含有する溶液を塗布する、金属化合物にイノシトールリン酸を含有する溶液を噴霧する、イノシトールリン酸を含有する溶液に金属化合物を浸漬する等の方法が挙げられる。
上記に挙げた方法のなかでは、イノシトールリン酸を含有する溶液に金属化合物を浸漬することが好ましい。この場合、イノシトールリン酸を含有する溶液に金属化合物を浸漬する時間は、0.1時間〜100時間が好ましく、1時間〜75時間がより好ましく、10時間〜50時間がさらに好ましい。イノシトールリン酸を含有する溶液の温度は、10℃〜60℃が好ましく、より好ましくは20℃〜50℃であり、特に好ましくは30℃〜40℃である。
イノシトールリン酸を含有する溶液中に金属化合物を浸漬する方法は特に制限されず、例えば、水中に金属化合物を浸漬した後に該水中にイノシトールリン酸を添加する方法、水にイノシトールリン酸を添加した後に該水中に金属化合物を浸漬させる方法等が例示できる。
上記浸漬の状態は特に制限されず、例えば、該溶液中で金属化合物を静置すること、該溶液中で金属化合物を撹拌すること、該溶液中で静置された金属化合物に対して溶液を撹拌すること等の方法により行うことが挙げられる。
金属化合物にイノシトールリン酸又はその塩を含有する溶液を接触させると、イノシトールリン酸が金属化合物に含まれる金属元素とキレート結合を形成し、金属化合物表面にイノシトールリン酸が結合される。
本発明の細胞培養基材の製造方法は、金属化合物にイノシトールリン酸又はその塩を含有する溶液を接触させて得られた基材から、金属化合物と結合していないイノシトールリン酸又はその塩を取り除くための洗浄工程を有していてもよい。当該製造方法において、当該洗浄工程を有している方法が、金属化合物と結合していない、高濃度のイノシトールリン酸による細胞の活性化の阻害を防止する観点から好ましい。
洗浄工程としては、例えば、金属化合物にイノシトールリン酸又はその塩を含有する溶液を接触させて得られた基材に、イノシトールリン酸を含まない液、又は金属化合物に接触させた上記溶液よりも低いイノシトールリン酸濃度の溶液に浸漬させることが挙げられ、イノシトールリン酸を含まない液としては、水、各種緩衝液等を例示できる。
上記イノシトールリン酸に係る説明は、上記イノシトールリン酸の塩についても同様である。
≪細胞培養方法≫
本発明の細胞培養方法は、本発明の細胞培養基材に細胞を接触させて、前記細胞を培養するものである。本発明の細胞培養基材に細胞を接触させることで、細胞培養基材の金属化合物に結合された前記イノシトールリン酸又はその塩に細胞が接触することとなる。
図3は、本発明の細胞培養方法と別法とにおける、細胞培養の様子の一例を模式的に示した図である。図3(a)は、イノシトールリン酸を含有する液体培地中で、細胞培養を行う場合を示す。図3(b)は、本発明の細胞培養方法の一例であり、イノシトールリン酸が結合された金属化合物を有する細胞培養基材上で、細胞培養を行う場合を示している。
発明者らは、後述する参考例3〜12において示されるように、図3(a)に示すような培養系を用いて、イノシトールリン酸を含有する液体培地中で細胞を培養したとき、本発明の細胞培養方法に比べて細胞培養系(細胞培養液)に存在するイノシトールリン酸の濃度が高くなければ、良好な細胞の培養が達成されないことを見出した。また細胞培養系(細胞培養液)に存在するイノシトールリン酸の濃度が高すぎることで、むしろ細胞の良好な培養が妨げられる場合があることを、本願で初めて明らかにした。
これに対して、発明者らは、図3(b)に一例として示す本発明の細胞培養方法では、イノシトールリン酸が結合されている基材上で細胞を培養することで、図3(a)に示すような培養系と比べて、基材に結合された少量のイノシトールリン酸によって良好な細胞の培養が達成されることを見出した。また、少量のイノシトールリン酸の使用であっても良好な細胞の培養が達成されることから、細胞の培養が妨げられるおそれもない。図3(b)に示すような培養系における細胞培養基材の表面に結合されたイノシトールリン酸の量は、HAp粉体に対するIPの飽和吸着量0.427mg・m−2を用いて計算すると、直径15mm、厚さ 1 mmのセラミックスを利用した場合、約95ngとなる。
上記の細胞培養における、細胞とイノシトールリン酸との関係を考察する。
図3(a)に示すような培養系では、培養液中にイノシトールリン酸が溶解している。このとき細胞は、培養液中に溶解するイノシトールリン酸と、次々に接触すると考えられる。細胞がイノシトールリン酸との反応により細胞が活性化される一方で、高濃度のイノシトールリン酸との反応により細胞の活性化が阻害されると考えられる。そして、このことが細胞培養液に存在するイノシトールリン酸の濃度が高くなければ、良好な細胞の培養が達成されないこと、及び、イノシトールリン酸の濃度が高すぎることで、細胞の良好な培養が妨げられることが生じるものと考えられる。
これに対して、図3(b)に示すような培養系では、イノシトールリン酸が表面に結合されている基材を用いている。このとき細胞は、基材表面のイノシトールリン酸と接触するので、細胞は培養系に適量のイノシトールリン酸が存在しているものと感知することができ、更にはイノシトールリン酸との反応による細胞の活性化についても良好な結果を生むものと考えられる。
本発明の細胞培養方法としては、培養対象の細胞及び本発明の細胞培養基材を液体培地中で培養することが挙げられる。培養対象の細胞及び本発明の細胞培養基材を同じ培養液中に共存させることで、細胞が細胞培養基材に接触する。
本発明の細胞培養方法で培養される対象の細胞は特に制限されないが、前記細胞は免疫細胞であることが好ましく、T細胞であることがより好ましい。
免疫細胞としては、白血球、リンパ球、T細胞、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、顆粒球、好中球、好酸球、好塩基球、マクロファージ、樹状細胞、及びそれらに分化可能な前駆細胞若しくは幹細胞等が挙げられる。
上記イノシトールリン酸に係る説明は、上記イノシトールリン酸の塩についても同様である。
≪細胞培養装置≫
本発明の細胞培養装置は、本発明の細胞培養基材と、前記細胞培養基材を収容するための培養槽とを備える。
図4は、本発明の細胞培養装置の一実施形態を示す構成図である。細胞培養装置20は、培養槽25を備え、培養槽の内部に細胞培養基材1が配置されている。細胞培養基材1は、円板状の金属化合物2に、イノシトールリン酸4が結合している。
本実施形態の細胞培養装置20は、前述の少なくとも表面にイノシトールリン酸が結合された金属化合物を有する細胞培養基材1を有するので、培養槽25に細胞を添加し、該培養基材と細胞とを接触させると、細胞はイノシトールリン酸と接触し、効率的に細胞が活性化され、免疫が賦活化される。
以下、本発明を、実施例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1−1. HAp セラミックスの作製
HAp 成形体は既報(Z. Zhuang, T. J. Fujimi, M. Nakamura, T. Konishi, H.Yoshimura and M. Aizawa, Acta Biomaterialia, 9, 6732-6740 (2013).)に従って作製した。HAp−100(太平化学製)1gを秤量し、直径21mmΦ、高さ〜2mm、成形圧50MPaの条件で加圧成形し、HAp成形体を得た。このHAp成形体を、温度1200 ℃、保持時間5時間、昇温速度10 ℃・min−1焼成することでHAp セラミックスを得た。得られたHApセラミックスは、直径15〜16mm、高さ1〜2mmの円板状であった。
HAp セラミックスをエタノール中で超音波洗浄し、その後、耐水研磨紙 (#400, #1000, #2000 の順)で鏡面研磨を行ない、研磨した試料を再度エタノール中で超音波洗浄し、160 ℃で1.5時間乾熱滅菌を行なった。
1−1−2. HApセラミックスのキャラクタリゼーション
上記超音波洗浄、鏡面研磨、超音波洗浄、及び乾熱滅菌の工程を経たHApセラミックスの表面粗さ及び相対密度を測定した。表面粗さは、Ra=約0.1μmであり、測定機(ミツトヨ社製 SURFTEST SV−3100 JISB0601:2001)を用いて行った。相対密度は、製造した上記HApセラミックスのかさ密度を測定し、HApセラミックスのかさ密度の理論値3.16g/cm3を100%として算出した。
結果を図5に示す。鏡面研磨により、HApセラミックスサンプル間での誤差が少ない均一な表面にすることができた。また、HApセラミックスは、相対密度が97.71%の緻密体であることがわかった。
1−2. IP溶液の調製
50重量%IP溶液を、IPの濃度がそれぞれ1000 ppm(w/v),2000 ppm(w/v),3000 ppm(w/v),5000 ppm(w/v)となるように希釈し、NaOH 水溶液で、pHをすべて7.3に調整して、上記各濃度のIP溶液を得た。なお細胞培養実験に用いたIP溶液は0.2μm滅菌フィルターで滅菌を行なった。
1−3. IP−HApセラミックスの作製
(実施例1)
上記1−1で得られたHApセラミックスを、12well plateを用い、上記1−2.項で得られた1000 ppm(w/v)のIP溶液3cmに浸漬させた。
浸漬は37 ℃,5 %CO雰囲気のインキュベーター内で、24 時間行なった。浸漬後は滅菌した超純水により3回洗浄し、乾燥後培養基材とした。作製したIP−HApセラミックスを、浸漬させたIP溶液の濃度に応じて「IP−HAp(1000)」、と表記する。
(実施例2)
上記1−1で得られたHApセラミックスを、1000 ppm(w/v)のIP溶液の代わりに、上記1−2.項で得られた2000 ppm(w/v)のIP溶液3cmに浸漬させた以外は、上記実施例1と同様にして、IP−HApセラミックスを作製した。作製したIP−HApセラミックスを、浸漬させたIP溶液の濃度に応じて「IP−HAp(2000)」と表記する。
(実施例3)
上記1−1で得られたHApセラミックスを、1000 ppm(w/v)のIP溶液の代わりに、上記1−2.項で得られた3000 ppm(w/v)のIP溶液3cmに浸漬させた以外は、上記実施例1と同様にして、IP−HApセラミックスを作製した。作製したIP−HApセラミックスを、浸漬させたIP溶液の濃度に応じて「IP−HAp(3000)」と表記する。
(実施例4)
上記1−1で得られたHApセラミックスを、1000 ppm(w/v)のIP溶液の代わりに、上記1−2.項で得られた5000 ppm(w/v)のIP溶液3cmに浸漬させた以外は、上記実施例1と同様にして、IP−HApセラミックスを作製した。作製したIP−HApセラミックスを、浸漬させたIP溶液の濃度に応じて「IP−HAp(5000)」と表記する。
(参考例1)
上記1−1で得られたHApセラミックスを、1000 ppm(w/v)のIP溶液の代わりに、0 ppm(w/v)のIP溶液として滅菌した超純水3 cmに浸漬させた以外は、上記実施例1と同様にして、IP−HApセラミックスを作製した。作製したIP−HApセラミックスを、「IP−HAp(0)」と表記する。
2. IP−HApセラミックスのキャラクタリゼーション
IP−HApセラミックスの結晶構造を確認するため、X線回折(XRD)を用いて分析を行なった。図6にXRDにて得られたスペクトルを示す。実施例1〜4の全てのセラミックスにおいて、HAp単一相であることが確認された。
IP−HApセラミックス表面のIPの存在を確認するため、X線光電子分光法(XPS)を用いて化学状態分析を行なった。図7にXPSにおけるワイドスペクトルを示す。全てのサンプルにおいて、HApに起因するCa、P及びOのピークが確認された。
さらに、炭素のピークに注目し、各サンプルのナロースペクトルを比較したもの図8に示す。それぞれのスペクトルはC 1sで確認された表面にコンタミネーションするハイドロキシカーボンの値(285.2 eV)を基準値とし、その値でサンプルのチャージアップを補正した。
また、ナロースペクトルはガウス−ローレンツ複合関数を用いてピーク分離を行なった。ピーク分離前後のIP−HAp(5000)のナロースペクトルを図9に示す。不純物およびIPの分子構造中に存在するC−CおよびC−H結合由来であると思われるC 1sの大きなピークの左側に重なった小さなピークが観測された。このピークはC−O結合由来のものであると考えられ、これはIPの分子構造中に存在するC−O結合由来のものであるといえる。したがって、実施例1〜4の全てのIP−HApセラミックスで、IPがHApセラミックス上に存在しているものと推定される。
上記HApセラミックス上に存在するIPの量をHAp粉体に対するIPの飽和吸着量0.427mg・m−2を用いて計算すると、約95ngとなった。
3. マウス由来脾臓細胞のIP−HApセラミックスにおける培養
(実施例5)
1.0×10 cells・cm−3のC57BL/6Nマウス由来脾臓細胞を上記1−3.項で得られたIP−HAp(1000)上に播種し、1日後にフローサイトメーターを用いて、脾臓細胞の割合を調査した。コントロールとして24 wellのポリスチレンプレートを使用した。上記脾臓細胞にLive/Dead細胞染色(life technologies社製)を行い、取り分けた生細胞に対して下記抗体と反応させ、細胞を分別した。
抗体は、T細胞の表面マーカーとして抗CD3抗体(BD製)、成熟T細胞のヘルパーサブセットマーカーとして抗CD4抗体(BECKMAN製)、B細胞の表面マーカーとして抗CD19抗体(BD製)および成熟T細胞の細胞障害性サブセットマーカーとして抗CD8抗体(invitrogen製)を使用した。
(実施例6)
IP−HAp(1000)に代えて、上記IP−HAp(2000)上にC57BL/6Nマウス由来脾臓細胞を播種した以外は、実施例5と同様にして、培養を行った。
(実施例7)
IP−HAp(1000)に代えて、上記IP−HAp(3000)上にC57BL/6Nマウス由来脾臓細胞を播種した以外は、実施例5と同様にして、培養を行った。
(実施例8)
IP−HAp(1000)に代えて、上記IP−HAp(5000)上にC57BL/6Nマウス由来脾臓細胞を播種した以外は、実施例5と同様にして、培養を行った。
(参考例2)
IP−HAp(1000)に代えて、上記IP−HAp(0)上にC57BL/6Nマウス由来脾臓細胞を播種した以外は、実施例5と同様にして、培養を行った。
結果をコントロールにおける細胞の割合に対する増減率として表1に示す。
表1中の細胞の増減率は、上記コントロールの細胞を基準として、以下の式により算出した。
Figure 2016059369
表1に示される結果から、ヘルパーT細胞およびキラーT細胞の増加率がIP−HAp(3000)およびIP−HAp(5000)において顕著に高くなっていることがわかる。
B細胞については、T細胞と逆の傾向を示した。これは、サンプル中に占めるB細胞の割合がコントロールと比較して相対的に減少したことを示すものであり、T細胞の割合増加の結果とも考えられる。
IP−HAp(0)においてヘルパーT細胞およびキラーT細胞の割合が上記コントロールよりも増加しているのは、HApセラミックスの細胞に対する親和性に加えて、HApセラミックスから僅かに溶出されるカルシウムイオンが、細胞の培養効率を高めた結果であると考えられる。
Figure 2016059369
4.IP含有培地におけるマウス由来脾臓細胞の応答性
(参考例3)
実験方法
培地の調製
培地にはRPMI培地を用いた。RPMI培地はRPMI 5.20 g,ペニシリン 0.035 g,ストレプトマイシン 0.070 g, メルカプトエタノール 1.769 μlを 500 cm の超純水に加え撹拌したのち NaHCO 0.8 gを加え、pH を調整しFBS を55 cm 加えたものを用いた。
また、RPMI培地 10 cm 中に 5 vol% 以内でIP 溶液を加え、IP濃度が10ppm(w/v)となるように、IP含有培地を調製した。
マウス脾臓細胞の培養
12週齢のマウス(C57BL/6NCrSlc)1匹をジエチルエーテルで屠殺し、脾臓を4 ℃に冷却したRPMI 培地 (6 cm シャーレ) に取り出した。滅菌したナイロンメッシュシートにはさみ、潰すことで脾臓細胞を取り出し、15 ml 遠沈管にナイロンメッシュシートを通して移した。培地をシャーレに加え細胞を遠沈管に 2回洗い込んだ。Ack Solutionを加え、5 分間赤血球をバーストさせ、2 倍量のPBSを加え1500 rpm, 5 min, 4 ℃で遠心分離する操作を2回行なうことで赤血球を取り除いた。IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地を加え懸濁液を調製し、懸濁液をトリパンブルーで 10倍希釈し、血球計数盤を用いて細胞数を求めた。
1.0×10cells/mlになるように懸濁液を調製し、24 well plateに播種した。37 ℃, 5% CO雰囲気のインキュベーター内で24時間培養したのち、上記3.項と同様にLive/Dead細胞染色を行い、抗体と反応させ、フローサイトメーターにより解析を行なった。
(参考例4)
IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地に代えて、IPを50ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地中でマウス脾臓細胞を培養した以外は、参考例3と同様にして培養を行った。
(参考例5)
IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地に代えて、IPを100ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地中でマウス脾臓細胞を培養した以外は、参考例3と同様にして培養を行った。
(参考例6)
IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地に代えて、IPを150ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地中でマウス脾臓細胞を培養した以外は、参考例3と同様にして培養を行った。
(参考例7)
IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地に代えて、IPを300ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地中でマウス脾臓細胞を培養した以外は、参考例3と同様にして培養を行った。
(参考例8)
IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地に代えて、IPを500ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地中でマウス脾臓細胞を培養した以外は、参考例3と同様にして培養を行った。
(参考例9)
IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地に代えて、IPを1000ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地中でマウス脾臓細胞を培養した以外は、参考例3と同様にして培養を行った。
(参考例10)
IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地に代えて、IPを2000ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地中でマウス脾臓細胞を培養した以外は、参考例3と同様にして培養を行った。
(参考例11)
IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地に代えて、IPを3000ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地中でマウス脾臓細胞を培養した以外は、参考例3と同様にして培養を行った。
(参考例12)
IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地に代えて、IPを4000ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地中でマウス脾臓細胞を培養した以外は、参考例3と同様にして培養を行った。
(参考例13)
IPを10ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地に代えて、IPを5000ppm(w/v)の濃度で含有するIP含有培地中でマウス脾臓細胞を培養した以外は、参考例3と同様にして培養を行った。
結果を図10及び図11に示す。図10のグラフの縦軸は、播種した細胞の培養1日後のコントロールにおけるヘルパーT細胞の割合に対する、IP−HApセラミックス上又はIP含有培地中で培養後のヘルパーT細胞の増減率である。上記3.項の参考例2及び実施例5〜8でのIP−HApセラミックス上で培養されたヘルパーT細胞の増減率の結果を図10(a)に、参考例3〜7及び参考例9〜13でのIP含有培地中で培養されたヘルパーT細胞の増減率の結果を図10(b)に示す。
IP含有培地中で細胞を培養させた場合、IP濃度が3000ppmの条件のとき、細胞の増減率が12%程度であった。IP−HApセラミックス上で細胞を培養させた場合、IP−HAp(3000)を用いたとき、細胞の増減率が約14%であり、培地中とほぼ同程度の値であった。しかし、IP−HAp(3000)は、IP濃度が3000ppmのIP溶液に浸漬させて得られた基材であるので、実際にIP―HAp(3000)に結合しているIPの総量は、3000ppmでIPを含有するIP含有培地中のIPの総量と比較して、極めて少量である。
したがって、IPが結合されたIP−HApセラミックスを用いることで、IP含有培地を使用した場合と比較して、少量のIPの使用で同程度の効果が得られることがわかる。
上記3.項又は上記4.項において培養した脾臓細胞に対して、Live/Dead細胞染色を行った結果を示す。IP含有培地で、IP濃度が、10, 50, 100, 150, 300, 1000, 2000, 3000,4000, 5000 ppmの各条件で培養された細胞全体における生細胞の割合は、平均で49.15%であった。
対して、IP−HAp(0)、IP−HAp(1000)、IP−HAp(2000)、IP−HAp(3000)、IP−HAp(50000)の各条件で培養された細胞全体における生細胞の割合は、平均で73.46%であった。
したがって、IP‐HApセラミックス上では、IP含有培地中よりも、細胞の生存率が高まっており、良好に細胞を培養可能であることが分かる。
図11のグラフの縦軸は、播種した細胞の培養1日後のコントロールにおけるキラーT細胞の割合に対する、IP−HApセラミックス上又はIP含有培地中で培養後のキラーT細胞の増減率である。上記3.項の参考例2及び実施例5〜8でのIP−HApセラミックス上で培養されたキラーT細胞の増減率の結果を図11(a)に、参考例3〜13でのIP含有培地中で培養されたキラーT細胞の増減率の結果を図11(b)に示す。
IP−HApセラミックス上で細胞を培養させた場合、IP―HAp(3000)を用いたときの細胞の増減率が約10%であった。しかし、IP含有培地中で細胞を培養させた場合では、IP濃度が5000ppmの条件のとき、細胞の増減率がマイナス15%程度と著しく低下していた。
この結果から、高すぎるIP濃度は、細胞死を誘発する傾向にあることがわかる。IPがHApに結合されたIP−HApセラミックスでは、実際にIP―HAp(3000)に結合しているIPの総量は、極めて少量であるため、このような細胞死を誘発するリスクが低く、良好に細胞を培養できることが分かる。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
本発明によれば、免疫細胞を培養可能であり、免疫賦活作用を備えた細胞培養基材、上記細胞培養基材の製造方法、上記細胞培養基材を用いた細胞培養方法、及び上記細胞培養基材を備えた細胞培養装置を提供できる。
1,11…細胞培養基材、2…金属化合物、12…水酸アパタイト層、13…中心層、4…イノシトールリン酸、20…細胞培養装置、25…培養槽

Claims (9)

  1. 少なくとも表面に、イノシトールリン酸又はその塩が結合された金属化合物を有する細胞培養基材。
  2. 前記金属化合物が第2族元素を含むセラミックスである請求項1に記載の細胞培養基材。
  3. 前記金属化合物がリン酸カルシウム系化合物である請求項1又は2に記載の細胞培養基材。
  4. 前記イノシトールリン酸がイノシトール六リン酸である請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞培養基材。
  5. 金属化合物に、イノシトールリン酸又はその塩を含有する溶液を接触させる請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞培養基材の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞培養基材に細胞を接触させて、前記細胞を培養する細胞培養方法。
  7. 前記細胞が免疫細胞である請求項6に記載の細胞培養方法。
  8. 前記免疫細胞がT細胞である請求項7に記載の細胞培養方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞培養基材と、前記細胞培養基材を収容するための培養槽とを備えた細胞培養装置。
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