JP2016057123A - 妨害波伝達特性測定システムおよび測定方法 - Google Patents

妨害波伝達特性測定システムおよび測定方法 Download PDF

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【課題】通信装置の電源線から混入し、通信装置の内部を通過して、通信線へ伝達される妨害波の伝達特性を再現性よく、安定的に評価する。【解決手段】通信装置における測定用の物理的ポートとして、電源線側の電源ポートおよび通信線側の通信ポートとを定義すること、ディファレンシャルモード、1次コモンモード、2次コモンモードからなる妨害波の伝搬モードごとに、伝達特性を分離して測定するためのミクスドモードポートを定義すること、および物理的ポートに対応するSパラメータをミクスドモードポートに対応するSパラメータに変換して、伝搬モードごとの伝達特性を測定する。【選択図】図9

Description

本発明は、妨害波伝達特性測定システムおよび測定方法に関し、より詳細には、電気・電子機器が非意図的に発する電磁妨害波の伝達特性を評価するための測定システムおよび測定方法に関する。
従来から、電気・電子機器が非意図的に発する電磁妨害波(以下、妨害波)が通信装置、放送装置等に侵入し、通信障害、電波障害等を発生することが知られている。これらの障害を防ぐことを目的として、電気・電子機器の発する妨害波の評価方法が国際無線障害特別委員会(CISPR)の規格等で規定されている。CISPR32(非特許文献1)では、通信・放送装置の電源ポート、通信ポートに侵入する伝導性の妨害波を、電源線と大地との間、通信線と大地との間にそれぞれ発生するコモンモード成分が支配的な伝搬モードの妨害波と規定している。そのため、電源線と大地との間、通信線と大地との間にコモンモードフィルタを使用することにより、妨害波対策が施されてきた。
一方、通信装置、放送装置等に影響を与える妨害波の発生源の状況も変化してきている。例えば、スマートフォン、無線LAN等の高速広帯域の無線システム、ZigBee等の無線センサネットワークが発生する電波が、通信装置、放送装置等にとって妨害波となる場合がある。このような無線システムが通信装置、放送装置等の非常に近くで使用される機会が多くなり、通信装置、放送装置等に通信障害、電波障害等を発生させる場合がある。また、太陽光発電システム、プラグインハイブリッドカーの普及に代表されるように、高効率の電源系システムが様々な場所に設置されるようになった。これらの電源系システムに内蔵されるインバータ、コンバータから発生する非意図的な妨害波も増加している。特に、電源系システムの発する妨害波は、高出力化され、通信装置、放送装置等の非常に近くで発生する可能性があるため、多様な侵入経路を介して通信装置、放送装置等に侵入する可能性がある。
従来の妨害波評価方法では、電源線と大地との間、通信線と大地との間にそれぞれ発生するコモンモード成分が支配的な伝搬モードの妨害波として評価してきた。しかし、通信と放送の融合、通信ネットワークの高速化、多様化により、通信機能を具備する装置の通信ポートが多様化してきた。例えば、LAN接続されるEthernet(登録商標)ポート、様々な付属機器が接続されるUSBポート、映像機器が接続されるHDMI(登録商標)/同軸ポート等が知られている。このような通信ポートには、従来のPOTS(Plain Old Telephone Service)ポートのように1対(2線)の通信ケーブルが接続されるわけではなく、多様な形状の多対ケーブルが接続される。
多対ケーブルの中の1対のケーブルを同相で伝搬するコモンモードの妨害波の帰路は、大きく分けて、大地と近傍の他線(導体)との2つとなる。ここで、近傍の他線を帰路とするコモンモードを1次のコモンモード、大地を帰路とするコモンモードを2次のコモンモードと呼ぶことにする。妨害波が伝搬しうるモードは、1次コモンモード(Primary common-mode)、2次コモンモード(Secondary common-mode)、および差動で伝搬するディファレンシャルモード(Differential-mode)の3種類となる。このうち、どの伝搬モードが妨害波の成分として支配的か、また、どの伝搬モードの妨害波が通信障害、電波障害等と相関が高いかは、明確ではない。そのため、このような多様な伝搬モードで侵入する妨害波に対する新たな評価技術が必要となってきている。
図1に、妨害波の侵入経路を示す。通信装置、放送装置等に伝導性の妨害波が混入する経路は複数ある。例えば、Ethernet(登録商標)ケーブルなどの多対通信線によって接続された他の通信装置からの混入を考える。図1に示すように、通信装置、放送装置等の被妨害装置1に妨害を与える妨害波は、妨害波源となるインバータ/コンバータ4が発し、分電盤3を介して、被妨害装置1に接続される通信装置2の電源系から侵入する。この妨害波は、通信装置2内部の電磁結合を介して、通信装置2の通信ポートへ伝達し、多対通信線6を介して被妨害装置1の通信ポートへ伝達する。
このとき、妨害波源となるインバータ/コンバータ4から電源線5に発せられた時点の妨害波は、コモンモードが支配的と考えられる。しかし、通信装置2内部には様々な導体が存在するため、通信装置2内部の電磁結合により、伝搬モードが変換される可能性がある。また、多対通信線6を伝達する際の伝搬モードも多様化するため、被妨害装置1に影響を与える妨害波の支配的な伝搬モード、伝達特性が複雑かつ不明確となる。従って、通信障害、電波障害等の発生メカニズムの解明、どのモードの妨害波に対する対策を重点的に行うかの判断など、妨害波対策の決定が難しくなるという課題があった。
本発明の目的は、通信装置の電源線から混入し、通信装置の内部を通過して、通信線へ伝達される妨害波の伝達特性を再現性よく、安定的に評価するための妨害波伝達特性測定システムおよび測定方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、電源供給を受けるための電源線と、他の装置との通信のための通信線とが接続された通信装置において、前記電源線から混入し、前記通信装置の内部を通過して、前記通信線へ伝達される妨害波の伝達特性を評価するための妨害波伝達特性測定方法であって、前記通信装置における測定用の物理的ポートとして、前記電源線側の電源ポートおよび前記通信線側の通信ポートとを定義すること、ディファレンシャルモード、1次コモンモード、2次コモンモードからなる妨害波の伝搬モードごとに、伝達特性を分離して測定するためのミクスドモードポートを定義すること、および前記物理的ポートに対応するSパラメータを前記ミクスドモードポートに対応するSパラメータに変換して、伝搬モードごとの伝達特性を測定することを備えたことを特徴とする。
また、妨害波伝達特性測定システムの一実施態様は、前記通信装置の前記電源線に接続される第1のポートと、前記通信線に接続される第2および3のポートとを備えたベクトルネットワークアナライザと、前記電源線および前記第1のポートを接続する同軸ケーブルに挿入された吸収クランプと、前記通信線および前記第2のポート、前記通信線および前記第3のポートのそれぞれを接続する同軸ケーブルのシールドとシステムグラウンドとを低インピーダンスで接続する接地手段とを備えたことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、通信装置の電源線から混入し、通信装置の内部を通過して、通信線へ伝達される妨害波の伝達特性を再現性よく、安定的に評価することができる。特に、妨害波伝達特性測定方法によれば、各ポートの伝搬モードごとの評価が可能となるため、どのポートのどの伝搬モードの妨害波に対する対策を重点的に行うかの判断が容易になる。
また、妨害波伝達特性測定システムによれば、電源線側の同軸ケーブルの2次コモンモードを低減し、通信線側の同軸ケーブルの2次コモンモードの終端条件を短絡状態にすることにより、2次コモンモード電流の共振を抑制して、伝達特性を再現性よく、安定的に測定することができる。
妨害波の侵入経路を示す図である。 システムグラウンドを基準とする物理ポートを示す図である。 伝搬モードごとのミクスドモードポートを示す図である。 電源ポートの終端条件を示す図である。 通信ポートの終端条件を示す図である。 ディファレンシャルモードのモード電圧・電流を示す図である。 コモンモードのモード電圧・電流を示す図である。 各モードの特性インピーダンスと高さhの関係を示す図である。 本発明の一実施形態における妨害波伝達特性測定システムを示す図である。 3種類のスイッチングハブの伝達特性|SCS|の測定結果を示す図である。 3種類のスイッチングハブの伝達特性|SDS|の測定結果を示す図である。 スイッチングハブDUT1の伝達特性|SCS|および|SDS|の測定結果を示す図である。 スイッチングハブDUT2の伝達特性|SCS|および|SDS|の測定結果を示す図である。 スイッチングハブDUT3の伝達特性|SCS|および|SDS|の測定結果を示す図である。 CISPR16−2−1で規定されている測定系を構成した妨害波伝達特性測定システムを示す図である。 CISPR16−2−1によるスイッチングハブDUT1の伝達特性|SCS|および|SDS|の測定結果を示す図である。 CDNEの設置条件を変えたときのスイッチングハブDUT1の伝達特性|SCS|および|SDS|の測定結果を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。上述したように、被妨害装置に侵入する妨害波の経路によっては、妨害波の伝搬モードを含む伝達特性が複雑、かつ不明確となる。以下、被妨害装置に多対通信線で接続された通信装置を例にとり、伝導性妨害波の伝達特性を明確化するための評価手法について説明する。
通信機器は一般家庭、一般的なオフィスビル等において、基準電位となる大地面からある程度離れた距離に設置されることが多い。このとき、通信装置は、基準電位となるシステムグラウンドの上に一定の距離で置かれ、その筐体はシステムグラウンドと直接的な接続を持たないと考えることができる。また、通信装置には、電源供給を受けるための、2線または3線の交流(AC)電源線が接続され、被妨害装置との通信のためのEthernet(登録商標)ケーブル等の通信線が接続されている。ここでは、通信線をシールド付き撚り対線(STP:Shielded Twisted Pair)のEthernet(登録商標)ケーブルとし、AC電源線および通信線は、特に断りがない限り、システムグラウンドから一定の距離で直線上に配置されている場合を考える。
このとき、AC電源線から電源系に混入した妨害波がEthernet(登録商標)ケーブル等の通信線へ伝達する特性を評価するため、AC電源線側および通信線側のそれぞれに測定ポートを定義する必要がある。ここでは、次に示すように、測定用の物理的ポート(AC電源ポート、通信ポート)と、伝搬モードごとに分離するためのミクスドモードポート(ディファレンシャルモード、1次コモンモード、2次コモンモード)とを定義する。
[測定用の物理的ポートとミクスドモードポートの定義]
A)AC電源ポート
A1)3線電源ケーブル(L(Live)線、N(Neutral)線、PE(Protection Earth)線)の場合
図2に、システムグラウンドを基準とする物理ポートを示す。評価対象である通信装置11の接地が不完全な場合を考えると、AC電源線12のPE線がシステムグラウンド14と同電位とは考えにくい。そのため、これら3線をシステムグラウンド14に対して対等に扱うと、図2に示すように、物理的ポート(#p1〜#p3)がAC電源線12の各線とシステムグラウンド14との間で定義される。ただし、電源系から混入する妨害波を考える場合は、すべての線が同相となるコモンモードの妨害波の混入を考えるため、物理的ポートからミクスドモードポートへの変換を考える。
図3に、伝搬モードごとのミクスドモードポートを示す。通信装置に接続される電源線が伝送線路と見なせるとき、3つの伝搬モードに分離できるので、それに対応するミクスドモードポートを定義する。AC電源線12の各線のシステムグラウンドに対する電圧をV(L)、V(N)、V(PE)、電流をI(L)、I(N)、I(PE)とすると、伝送線路の伝搬モードは次のように記述できる。
A11)ディファレンシャルモード
PE線を除く2線(L線、N線)に対して、同一振幅で逆相の電圧が印加され、同一振幅で逆相の電流が生じる時、キルヒホッフの電流則から、PE線およびシステムグラウンドには電流は流れない。すなわち、ディファレンシャルモード電圧Vおよびディファレンシャルモード電流Iは、次式のように各電圧および電流によって記述することができる。
A12)1次コモンモード
PE線を除く2線(L線、N線)に対して、同一振幅で同相の電圧が印加され、同一振幅で同相の電流が生じ、かつPE線が電流の帰路として働く時、キルヒホッフの電流則よりシステムグラウンドには電流が流れない。すなわち、1次コモンモード電圧VCPおよび1次コモンモード電流ICPは、次式のように記述することができる。
A13)2次コモンモード
3線全てに、同一振幅で同相の電圧が印加され、同じく同一振幅で同相の電流が流れるとき、この電流の帰路はシステムグラウンドとなる。したがって、2次コモンモード電圧VCSおよび2次コモンモード電流ICSは、次式のように記述される。
A2)2線電源ケーブル(L(Live)線、N(Neutral)線の場合
通信装置の電源端子にはPE線が具備されていない場合、2線の電源ケーブルに対する伝搬モードを定義する。この場合、物理的ポートは3線電源ケーブルの場合と同じくシステムグラウンドを基準とした2つのポートとなる。しかし、ミクスドモードポートは2つの伝搬モードしか定義できないため、以下で説明するように、ディファレンシャルモードとコモンモードのみが定義できる。同様に、各線の電圧をV(L)、V(N)、電流をI(L)、I(N)とすると、伝送線路の伝搬モードは次のように記述できる。
A21)ディファレンシャルモード
3線の場合と同様に、L線とN線に同一振幅で逆相の電圧が印加され、同一振幅で逆相の電流が流れる時、キルヒホッフの電流則から、システムグラウンドには電流は流れない。すなわち、ディファレンシャルモード電圧Vおよびディファレンシャルモード電流Iは、次式のように各電圧および電流によって記述できる。
A22)2次コモンモード
2線に、同一振幅で同相の電圧が印加され、同じく同一振幅で同相の電流が流れる時、この電流の帰路はシステムグラウンドとなる。したがって、2次コモンモード電圧Vおよび2次コモンモード電流Iは、次式のように記述される。
B)通信ポート
通信線が4対のペア線とシールドからなるSTPケーブルである場合、通信線13の物理的ポートは、各通信線とシールド線をそれぞれ物理的ポート(#c1〜#c8)として8つの通信ポート16で定義される(図2および3参照)。ここで、シールド線はシステムグラウンドまたは測定系のグラウンドと低インピーダンスで接続されているとする。実際の通信においては、2本ずつのペア線間で通信信号が伝送されることを考えると、それに対応したミクスドモードポートを設定すべきである。そこで、2本のペア線とシールド線のみを考慮して、伝搬モードに対応するポートを定義する。
ここで、STPケーブルを用いるメリットとしては、1次コモンモードの帰路電流のほとんどがSTPケーブルのシールド線を流れるため、シールド線と通信線との間の終端インピーダンスを固定することが容易となり、モードの定義も容易になるためである。一方、シールドの無い撚り対線(UTP:Unshielded Twisted Pair)ケーブルの場合は、1次コモンモードの帰路電流が他の6線に流れるので、終端を考えた場合、2線と6線の間に終端インピーダンスを定義しなければ、伝達特性を評価することができないという課題が残る。
また、基本的な概念は、3線電源ケーブルのモード分離と同じであるが、ほぼ対称な構造の3線電源ケーブルに対し、シールド線のみが通信線に比べて十分太い構造を持っている点に差異がある。なお、各線の電圧をV(通信線1)、V(通信線2)、V(シールド)、電流をI(通信線1)、I(通信線2)、I(シールド)とする。
B1)ディファレンシャルモード
通信線2線に対して、同一振幅で逆相の電圧が印加され、同一振幅で逆相の電流が流れる時、キルヒホッフの電流則から、シールドおよびシステムグラウンドには電流は流れない。すなわち、ディファレンシャルモード電圧Vおよびディファレンシャルモード電流Iは、次式のように各電圧および電流によって記述される。
B2)1次コモンモード
通信線2線に対して、同一振幅で同相の電圧が印加され、同じく同一振幅同相の電流が流れる。また、この電流の帰路はシールドとなる。したがって、キルヒホッフの電流則よりシステムグラウンドには電流が流れない。すなわち、1次コモンモード電圧VCPおよび1次コモンモード電流ICPは、次式のように記述される。
B3)2次コモンモード
シールドを含む全ての線に、同一振幅で同相の電圧が印加され、同じく同一振幅で同相の電流が流れるとき、この電流の帰路はシステムグラウンドとなる。ここで、STPケーブルの場合はシールド線が8線を覆っているため、全ての電流はシールド線を流れる。したがって、2次コモンモード電圧VCSおよび2次コモンモード電流ICSは、次式のように記述される。
[各ポートの終端条件の決定]
次に、再現性の高い評価系を構築するためには、上述した各ポートの終端条件も定める必要がある。以降では、電源線は2線とし、物理的ポート(AC電源ポート、通信ポート)に対するミクスドモードポート(ディファレンシャルモード、1次コモンモード、2次コモンモード)の終端条件を決定する方法について説明する。
A)AC電源ポート
CISPR16−1−2(非特許文献2)では、30MHz以下の発信源を持つEUT(Equipment Under Test)が発する30〜300MHzの伝導妨害波測定を行うための妨害波印加回路(CDNE:Coupling/Decoupling Network for Emission Measurement)の特性が規定されている。
図4に、電源ポートの終端条件を示す。ここでは、通信装置11の電源側にCDNE17を用いて、終端条件を決定する方法を示す。ここで、AC電源線12は、アウトレット18を介して、分電盤からの電源線に接続されており、評価するAC電源線12は、物理的ポート(#1)となる。
A1)ディファレンシャルモード
CDNEを用いる場合、ディファレンシャルモードポートの終端条件は、高インピーダンスと規定されており、商用電源側の影響を除外できる。
A2)コモンモード
CDNEにより、コモンモードの終端インピーダンスは、30〜300MHzの周波数範囲において150Ωとすることが規定されている。
B)通信ポート
図5に、通信ポートの終端条件を示す。ベクトルネットワークアナライザ(VNA)等の一般的な測定機器のほとんどは、最大4ポートであり、同時に測定できるポート数が限られている。通信線だけでも8ポートある系では、測定回数が増加し、現実的ではない。そこで、STPケーブルの対称性を利用し、通信線のうちの任意の2線のみを評価し、残りの6線は50Ωで終端する。ここで、評価する2線は、それぞれシールド線と通信線に対応する物理的ポート(#2および#3)である。
B1)ディファレンシャルモード
図5(a)に示すように、ディファレンシャルモードの場合は、2線をループにして電流が流れるため、各線の終端抵抗(R=50Ω)が直列に挿入されることから、終端インピーダンスは100Ωとなる。
B2)1次コモンモード
図5(b)に示すように、1次コモンモードの場合は、2線のそれぞれからシステムグラウンド14に向けて同じ電流が流れるため、各線の終端抵抗(R=50Ω)が並列に挿入されることから、終端インピーダンスは25Ωとなる。
B3)2次コモンモード
2次コモンモードの終端インピーダンスは、STPケーブルのシールドが測定系のグラウンドに寄生結合を介して接続されているため安定化しない。この場合、ベクトルネットワークアナライザ等の測定機器に接続された同軸ケーブルの外皮をシステムグラウンドに低インピーダンスで接続することにより、終端条件を短絡とすることができる。
以上、説明したように、AC電源線から電源系に混入した妨害波がEthernet(登録商標)ケーブル等の多対通信線へ伝達する特性を評価するため、測定用の物理的ポート(AC電源ポート、通信ポート)および伝搬モードごとに分離するためのミクスドモードポート(ディファレンシャルモード、1次コモンモード、2次コモンモード)を定義し、その終端条件を定めた。
[ケーブルにおける伝搬モードの定義]
次に、ポートの定義に対応するケーブルの伝搬モードについて説明する。2線のケーブルが、システムグラウンドから一定の距離で直線上に配線された系を考えると、それらの伝搬モードをディファレンシャルモードおよびコモンモードとして定義することができる。ケーブルが十分に長く、対称性を保ちながらシステムグラウンドから一定の距離で、真直ぐに配線されている場合には、伝送経路におけるモード変換は発生しない。従って、ケーブル両端のアウトレット端子、通信装置との接続コネクタ等においてのみモード変換を考えればよい。
図6に、ディファレンシャルモードのモード電圧・電流を示す。ディファレンシャルモード電流は、2線を同一振幅、かつ、互いに逆相で流れる。図6に示すように、系は対称であるので、それぞれの線のシステムグラウンドからの電圧も同一振幅、かつ、逆相となる。ここで、ディファレンシャルモード電圧は線間電圧で表現でき、図6中のVで示される。また、Iはディファレンシャルモード電流を示す。
図7に、コモンモードのモード電圧・電流を示す。コモンモードは、各線の電圧が等しい伝搬モードであるため、系が対称の場合は、各線を同一振幅、かつ、同相の電流が流れる。図7中のVはコモンモード電圧を示し、Iはコモンモード電流を表す。
各モードの特性インピーダンスは、各線とシステムグラウンドとの間の容量c11,c22および線間容量c12、各線の自己インダクタンスL11,L22および相互インダクタンスL12を用いて次式のように表現できる。
ここで、系が対称の場合には、c11とc22およびL11とL22はそれぞれ等しい。また、これらの線路1次定数は、伝送線路の断面形状をもとに静電界解析により求めることができる。
図8に、各モードの特性インピーダンスと、ケーブルのシステムグラウンドからの高さhとの関係を示す。ディファレンシャルモード特性インピーダンスは、高さhに対してほとんど変化がなく、コモンモードの特性インピーダンスは大きく変化していることがわかる。特に、高さhが低い場合には変化の割合が大きく、ケーブルの高さに応じて伝送特性が大きく変動することを示唆している。そのため、本実施形態では、ケーブルの高さを固定することにより、伝達特性の再現性を向上させる。
[妨害波伝達特性測定システム]
図9に、本発明の一実施形態における妨害波伝達特性測定システムを示す。妨害波伝達特性測定システムは、ベクトルネットワークアナライザ31を用いて、通信装置21のAC電源ポートから通信ポートへの妨害波の伝達特性を評価する。ベクトルネットワークアナライザ31の1つのポートは、CDNE27を介して、評価対象である通信装置21のAC電源ポート(図4の物理的ポート#1)に接続され、コモンモードの信号(妨害波等)を電源線に注入することができる。このとき、ポートに接続された同軸ケーブルの外皮に伝わる2次コモンモードを低減するために、吸収クランプ32を設置する。
ベクトルネットワークアナライザ31の他の2つのポートは、銅板33に設けられた同軸ケーブル用コネクタ34と、RJ45−SMA変換ボード35とを介して、通信装置21の多対通信線23に接続されている。例えば、SMAコネクタである2個の同軸ケーブル用コネクタ34が、導電性の高い銅板33上に設置され、接地手段を構成する。すなわち、ベクトルネットワークアナライザ31の他の2つのポートと多対通信線23とを接続する同軸ケーブルのシールドが、システムグラウンド24と低インピーダンスで接続される。これにより、評価対象である通信装置21の通信ポート側の2次コモンモードの終端条件を短絡状態にすることができる。
ここで、銅板33を用いることの利点は、ベクトルネットワークアナライザ31方向に2次コモンモードの電磁波を伝搬させないこと、および、測定システム全体、特に、ベクトルネットワークアナライザ31に接続される同軸ケーブル等を流れる2次コモンモード電流の共振を抑制できることである。
RJ45−SMA変換ボード35は、銅板33に設けられた同軸ケーブル用コネクタ34との間の同軸ケーブルと、評価対象である通信装置21との間の多対通信線23(例えば、STPのEthernet(登録商標)ケーブル)とを接続する。ここでは、Ethernet(登録商標)ケーブルに合わせたRJ45コネクタと、同軸ケーブルに合わせたSMAコネクタとを備えているが、使用するケーブルに合わせたコネクタを使用することができる。RJ45−SMA変換ボード35は、ベクトルネットワークアナライザ31の他の2つのポートを、通信装置21の2つの通信ポート(図4の物理的ポート#2,#3)に、それぞれ接続する。通信装置21の使用しない6つの通信ポートについては50Ωで終端する。
評価対象である通信装置21のAC電源ポートに接続される電源線22は、伝送特性を安定化させるために、システムグラウンド24から一定の高さで直線状に配置される。ここでは、通信装置21およびCDNE27を金属箱36の上に載置して、電源線22が一定の高さh=100mmとなるように配置する。また、通信装置21の通信ポートに接続される多対通信線23も、システムグラウンド24から一定の高さで直線状に配置される。ここでは、RJ45−SMA変換ボード35を所定の高さに配置して、多対通信線23が一定の高さとなるようにする。
[妨害波伝達特性測定方法]
次に、図9に示した妨害波伝達特性測定システムを使用して、評価対象である通信装置のAC電源ポートから混入し、通信装置内部を通過して、通信ポートに伝達される妨害波の伝達特性の測定法および妨害波の評価法について説明する。上記の測定システムによれば、通信装置21のAC電源ポートと通信ポートの散乱行列(Sパラメータ)が測定できる。しかしながら、その測定結果は、物理的ポートに対応するSパラメータであるため、それらをミクスドモードポートに対応させたSパラメータに変換する必要がある。
電源系から混入する妨害波はコモンモードが支配的であるとされているため、評価対象である通信装置21のAC電源側には、コモンモードの妨害波の印加のみと考える。測定用の物理的ポートと、伝搬モードごとに分離するためのミクスドモードポートとが対応するが、ここでは、通信装置21の2つの通信ポート(図4の物理的ポート#2,#3)と、ミクスドモードポート(ディファレンシャルモードポートとコモンモードポート)との関係を明らかにする変換プロセスが必要となる。この関係を示す3ポートのミクスドモードSパラメータは、次式で表される。
この式において、シングルエンドポートである、通信装置21の電源側のコモンモードポート(AC電源ポート)から印加された妨害波が、通信側のディファレンシャルモードポートおよびコモンモードポート(通信ポート)に伝達する割合は、SDSおよびSCSで示される。
以上で説明したように、本実施形態によれば、通信装置のAC電源ポートから混入し、通信装置の内部を通過して、通信ポートに伝達される妨害波の伝達特性の測定、および妨害波の評価が可能となる。そのため、被妨害装置に侵入する妨害波の伝搬モード、伝達特性が複雑、かつ不明確となる場合であっても、本実施形態によれば、伝搬モード、伝達特性を容易に特定することができ、通信障害、電波障害の発生メカニズムの解明、どのモードの妨害波に対する対策を重点的に行うかの判断が容易になる。
[第1の実施形態]
市販のスイッチングハブに対する評価例を説明する。スイッチングハブの多くは、PE線がない2線電源ケーブルが主流である。また、筐体は、金属筐体またはプラスチック筐体である。筐体が金属筐体であっても、UTPケーブルで接続した場合、筐体がSTPケーブルのシールドと接続されていない場合には、システムグラウンドに接続されていない。このようなことから、妨害波の伝達特性が、どのような影響を与えるかは不明である。
複数種のスイッチングハブを、図9に示した妨害波伝達特性測定システムの評価対象である通信装置21とし、電源線がシステムグラウンドから高さh=100mmの位置に水平になるように、金属箱36に設置する。一例として、3種類のスイッチングハブ(DUT1〜DUT3)を設置して伝達特性を評価した。
図10に、伝達特性|SCS|の測定結果を示す。SパラメータのSCSは、電源側のコモンモードポートから通信側の1次コモンモードポートへの伝達量を表している。測定結果から、スイッチングハブDUT1〜DUT3の3つに共通して、約100MHzの周波数においてSCSが最大となっており、80MHz付近で約−40dBであることがわかる。これは、コモンモードで電源側から侵入する妨害波が、80MHzの周波数成分を持つとすると、1/100程度の成分がコモンモードで通信側に伝達されることを意味する。
ここで、CISPR24(非特許文献3)で規定される通信ポートのイミュニティ試験レベルは、3Vと規定されている。従って、80MHzの周波数成分を持ち、かつ300V程度の振幅を持つ妨害波が、電源側から侵入した場合には、通信ポートの誤作動が想定できると評価される。また、種類の異なるスイッチングハブであっても、近似した伝達特性を有していることがわかる。
図11に、伝達特性|SDS|の測定結果を示す。SパラメータのSDSは、電源側のコモンモードポートから通信側のディファレンシャルポートへの伝達量を表している。図10の1次コモンモードへの伝達量|SCS|と比較して、100MHz近傍の特性が大きく異なっている。特に、スイッチングハブDUT2およびDUT3のディファレンシャルモードへの伝達量|SDS|が1次コモンモードへの伝達量|SCS|と同様に大きくなっているのに対して、スイッチングハブDUT1では、1次コモンモードへの伝達量|SCS|が最大になっている点において、ディファレンシャルモードへの伝達量|SDS|が最小となっている。通常、通信ポートでは差動伝送が行われるので、コモンモードの妨害波よりもディファレンシャルモードの妨害波の影響のほうがはるかに大きくなる。このことを考慮すると、DUT2およびDUT3を通過するときに、100MHzの妨害波は、ディファレンシャルモードに変換される変換量が大きく、DUT1を通過した場合に比べて通信ポートに対する影響が大きくなると評価できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、同じ機能を有する通信装置(スイッチングハブ)であっても、種類が異なれば、妨害波の伝達特性も異なることがわかる。また、それぞれの通信装置の通信ポートを他の装置と接続した場合に、他の装置の通信ポートへの影響が異なることを定量的に評価することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、スイッチングハブ(DUT1〜DUT3)を用いて、図9に示した妨害波伝達特性測定システムにおける電源線の高さhの違いが妨害波の伝達特性に与える影響を評価する。スイッチンハブの通信ポート(RJ45コネクタ)および電源端子は、スイッチングハブの底面から15mm程度の高さにあるため、第1の実施形態においては、スイッチングハブがシステムグラウンドから85mmの高さとなるように設置されている。
図12に、スイッチングハブDUT1の伝達特性|SCS|および|SDS|の測定結果を示す。スイッチングハブDUT1の電源線のシステムグラウンドからの高さh=0,100,200mmを変えたときの伝達特性|SCS|を図12(a)に、伝達特性|SDS|を図12(b)に示す。同様にして、図13に、スイッチングハブDUT2の伝達特性|SCS|および|SDS|の測定結果を示し、図14に、スイッチングハブDUT3の伝達特性|SCS|および|SDS|の測定結果を示す。
スイッチングハブDUT1およびDUT3は金属筐体を有しており、図12および14を参照すると、電源線の高さh=0、すなわちスイッチングハブもシステムグラウンド上に設置されている場合は、電源線を他の高さh=100,200mmに設置した場合と比べて、特性が大きく異なっている。これは、システムグラウンドとスイッチングハブの金属筐体との間の寄生容量が増加したためである。
一方、スイッチングハブDUT2はプラスチック筐体を有しており、図13を参照すると、高さhが変化しても、伝達特性に大きな変化はない。しかしながら、高さh=0mmの測定結果は、高さh=100,200mmの測定結果とは、多少なりとも差が生じていると言える。
以上の結果から、図9に示した妨害波伝達特性測定システムを用いる場合、評価対象である通信装置の電源線を設置する高さを、システムグラウンドから100mm以上とすることにより、伝達特性が安定的に測定できることがわかる。また、上述したように、通信機器は一般家庭、一般的なオフィスビル等において、基準電位となる大地面からある程度離れた距離に設置されることが多いことから、通信装置の電源線の高さをシステムグラウンドから100mm以上とすることは、現実の設置環境を模擬した評価となっている。さらに、本実施形態の測定システムを用いれば、評価対象である通信装置の電源線の高さhの違いによる、妨害波の伝達特性に与える影響を評価することができる。
[第3の実施形態]
図15に、CISPR16−2−1(非特許文献4)で規定されている測定系を構成した妨害波伝達特性測定システムを示す。本規定においては、評価対象である通信装置21の高さh1は、システムグラウンド24から100mmの高さに配置される。これは、第2の実施形態で述べたように、システムグラウンドと通信装置との間の寄生容量を考慮したものである。電源線22は、システムグラウンド上に配置したCDNE27から、高さh2=30mmで、水平方向に長さl=200mm配線し、そこから垂直方向に配線して、通信装置21に接続される。その他の構成は、図9に示した妨害波伝達特性測定システムに同じである。
通常、伝導性の妨害波を評価する場合、周波数範囲は9kHz〜80MHzまでとすることが多い。しかしながら、妨害波の周波数範囲を高周波側に拡張することを考えた場合、電源線が垂直方向に曲げられていることは、伝達特性の測定結果に影響を与える可能性がある。そこで、第3の実施形態では、CISPR16−2−1に準拠した測定システム(図15)と、本実施形態の測定システム(図9)の測定結果とを比較し、本実施形態の有用性について説明する。
図16に、CISPR16−2−1によるスイッチングハブDUT1の伝達特性|SCS|および|SDS|の測定結果を示す。図16(a)には、図12(a)に示した高さh=100mmのときの伝達特性|SCS|を合わせて示し、図16(b)には、図12(b)に示した高さh=100mmのときの伝達特性|SCS|を合わせて示した。両者を比較すると、スイッチングハブDUT1においては、伝達特性がピークとなる周波数において、3dB程度の差が生じていることがわかる。すなわち、電源線の高さh=100mmで固定した本実施形態の測定システム(図9)の測定結果の方が大きくなっている。
言い換えると、CISPR16−2−1に準拠した測定システム(図15)を用いた場合には、伝達特性が過小評価となってしまう。また、電源線の曲げ部分の形状の違いにより、この差が大きくなることも考えられる。従って、伝導性の妨害波を評価する場合、本実施形態の測定システム(図9)の方が、安全を見越した妨害波対策を講じることができる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、CDNEの筐体をシステムグラウンドと十分低いインピーダンスで接地する。図9に示したように、電源線22をシステムグラウンド24から高さhに直線状に配置するために、CDNE27をシステムグラウンド24から一定の高さに設置する必要がある。このとき、低インピーダンスの接地となるように、導電性の高い金属箱36の上に設置する。このような本実施形態の有用性について、以下に説明する。
図17に、CDNEの設置条件を変えたときのスイッチングハブDUT1の伝達特性|SCS|および|SDS|の測定結果を示す。図17(a)には、図12(a)に示した高さh=100mm(接地あり)のときの伝達特性|SCS|と、金属箱36を発泡スチロール製の箱に変えたとき(接地なし)の伝達特性|SCS|とを示す。同様に、図17(b)には、図12(b)に示した高さh=100mm(接地あり)のときの伝達特性|SCS|と、接地なしの伝達特性|SCS|とを示す。
両者を比較すると、接地なしの場合には、30MHz付近において、伝達特性が不安定となっていることがわかる。これは、システムグラウンドとCDNE筐体との間の寄生容量に起因する。従って、CDNEをシステムグラウンドに対して十分に低インピーダンスで接続する本実施形態の測定システム(図9)の方が、妨害波の伝達特性をより正確に評価することができる。
[まとめ]
本実施形態によれば、通信装置の電源線から混入し、通信装置の内部を通過して、通信線へ伝達される妨害波の伝達特性を再現性よく、安定的に評価することができる。特に、通信装置の物理的ポート(AC電源ポート、通信ポート)および妨害波の伝搬モードごとに分離するためのミクスドモードポート(ディファレンシャルモード、1次コモンモード、2次コモンモード)を定義することにより、各ポートの伝搬モードごとの評価が可能となるため、どのポートのどの伝搬モードの妨害波に対する対策を重点的に行うかの判断が容易になる。
妨害波の伝達特性の評価においては、通信側にSTPケーブルを用いることにより、1次コモンモードの帰路電流のほとんどがSTPケーブルのシールドを流れる。このため、通信ポートの1次コモンモードの定義が容易となるだけでなく、シールドと通信線間の終端インピーダンスの固定(決定)方法も容易となる。仮に、UTPケーブルを用いる場合は、1次コモンモードの帰路電流は、他のペア線に流れるので、評価対象の2線と他のペア線との間の終端条件の定義が新たに必要となり、評価が複雑となる。
評価対象である通信装置の通信側で、通信線(1対)と同軸ケーブルとを接続する際、導電性の高い金属板(銅板)に同軸用コネクタを設置することにより、同軸ケーブル等のシールドが低インピーダンスでシステムグラウンドと接続される。これにより、ベクトルネットワークアナライザに接続される同軸ケーブル等への2次コモンモードの伝搬を防ぐことができ、伝達特性を安定的に測定することができる。また、電源側の同軸ケーブル等には吸収クランプを取り付けることにより、同様の効果を得ることができる。このような構成により、それぞれの同軸ケーブル等を流れる2次コモンモードの電流による共振現象の影響を除去することができる。
評価対象である通信装置の電源線の高さhは、基準となるシステムグラウンドから100mm以上とし、通信線も同程度の高さとなるように直線状に配置する。この構成によれば、評価対象である通信装置とシステムグラウンドとの間、電源線および通信線とシステムグラウンドとの間に生じる寄生容量の影響をできる限り、取り除くことができる。また、上述したように、通信機器は一般家庭、一般的なオフィスビル等において、基準電位となる大地面からある程度離れた距離に設置されることが多いことから、現実の設置環境を模擬した評価が可能となる。
妨害波印加回路(CDNE)の筐体についても、システムグラウンドと十分低いインピーダンスで接地することにより、システムグラウンドとCDNE筐体との間の寄生容量に起因する共振現象等を取り除くことができ、妨害波の伝達特性をより正確に評価することができる。
1 被妨害装置
2,11,21 通信装置
3 分電盤
4 インバータ/コンバータ
5 電源線
6,13,23 多対通信線
12,22 AC電源線
14,24 システムグラウンド
15 AC電源ポート
16 通信ポート
17,27 CDNE
18 アウトレット
31 ベクトルネットワークアナライザ
32 吸収クランプ
33 銅板
34 同軸ケーブル用コネクタ
35 RJ45−SMA変換ボード
36,37,38 金属箱

Claims (8)

  1. 電源供給を受けるための電源線と、他の装置との通信のための通信線とが接続された通信装置において、前記電源線から混入し、前記通信装置の内部を通過して、前記通信線へ伝達される妨害波の伝達特性を評価するための妨害波伝達特性測定方法であって、
    前記通信装置における測定用の物理的ポートとして、前記電源線側の電源ポートおよび前記通信線側の通信ポートとを定義すること、
    ディファレンシャルモード、1次コモンモード、2次コモンモードからなる妨害波の伝搬モードごとに、伝達特性を分離して測定するためのミクスドモードポートを定義すること、および
    前記物理的ポートに対応するSパラメータを前記ミクスドモードポートに対応するSパラメータに変換して、伝搬モードごとの伝達特性を測定すること
    を備えたことを特徴とする妨害波伝達特性測定方法。
  2. 前記通信線は、シールド付き撚り対線であり、前記1次コモンモードの帰路電流がシールドを流れると仮定して、前記シールドと前記通信線との間の終端インピーダンスを定義することを特徴とする請求項1に記載の妨害波伝達特性測定方法。
  3. 前記通信線は、シールドの無い撚り対線であり、前記1次コモンモードの帰路電流が他の通信線を流れると仮定して、前記通信線と前記地の通信線との間の終端インピーダンスを定義することを特徴とする請求項1に記載の妨害波伝達特性測定方法。
  4. 電源供給を受けるための電源線と、他の装置との通信のための通信線とが接続された通信装置において、前記電源線から混入し、前記通信装置の内部を通過して、前記通信線へ伝達される妨害波の伝達特性を評価するための妨害波伝達特性測定システムであって、
    前記通信装置の前記電源線に接続される第1のポートと、前記通信線に接続される第2および3のポートとを備えたベクトルネットワークアナライザと、
    前記電源線および前記第1のポートを接続する同軸ケーブルに挿入された吸収クランプと、
    前記通信線および前記第2のポート、前記通信線および前記第3のポートのそれぞれを接続する同軸ケーブルのシールドとシステムグラウンドとを低インピーダンスで接続する接地手段と
    を備えたことを特徴とする妨害波伝達特性測定システム。
  5. 前記電源線と前記第1のポートとを接続する同軸ケーブルとの間に挿入された妨害波印加回路をさらに備え、
    前記妨害波印加回路と前記通信装置との間の前記電源線は、前記システムグラウンドから一定の高さで直線状に配置されることを特徴とする請求項4に記載の妨害波伝達特性測定システム。
  6. 前記妨害波印加回路は、前記システムグラウンドと低インピーダンスで接続されていることを特徴とする請求項5に記載の妨害波伝達特性測定システム。
  7. 前記一定の高さは、100mm以上であることを特徴とする請求項5または6に記載の妨害波伝達特性測定システム。
  8. 前記接続手段は、前記同軸ケーブルが接続されるコネクタが設置された導電性の金属板であって、前記金属板を前記システムグラウンドに接続することにより、前記同軸ケーブルのシールドと前記システムグラウンドとが低インピーダンスで接続されることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の妨害波伝達特性測定システム。
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