本発明における樹脂粒子(A)は、樹脂(a)を含有してなる。(a)としては、水性分散液を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良いが、例えばビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂(a)としては、上記樹脂の2種以上を併用しても差し支えない。このうち、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点からビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
ビニル樹脂は、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーである。ビニル系モノマーとしては、下記(1)〜(10)が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素:(1−1)脂肪族ビニル系炭化水素:アルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等が挙げられる。
(1−2)脂環式ビニル系炭化水素:モノ−もしくはジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等が挙げられる。
(1−3)芳香族ビニル系炭化水素:スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;及びビニルナフタレン等が挙げられる。
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩:炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー等が挙げられる。
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル等が挙げられる。
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩:(メタ)アクリロイルオキシアルキル(C1〜C24)燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸
なお、上記(2)〜(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩もしくは4級アンモニウム塩等が挙げられる。
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、ショ糖アリルエーテル等が挙げられる。
(6)含窒素ビニル系モノマー:(6−1)アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等(6−2)アミド基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等(6−3)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等(6−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)(6−5)ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等が挙げられる。
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー:グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等
(8)ハロゲン元素含有ビニル系モノマー:塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等が挙げられる。
(9)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類:(9−1)ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等;(9−2)ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン、(9−3)ビニルケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン;ビニルスルホン、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等が挙げられる。
(10)その他のビニル系モノマー:イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
ビニル系モノマーの共重合体としては、上記(1)〜(10)の任意のモノマー同士を、2元又はそれ以上の個数で、任意の割合で共重合したポリマーが挙げられるが、例えばスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸、ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
樹脂(a)は、水性分散体中で樹脂粒子(A)形成することが必要であることから、少なくとも水性分散体(X1)を形成する条件下で水に完全に溶解していないことが必要である。そのため、ビニル系樹脂が共重合体である場合には、ビニル系樹脂を構成する疎水性モノマーと親水性モノマーの比率は、選ばれるモノマーの種類によるが、一般に疎水性モノマーが10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。疎水性モノマーの比率が、10%以下になるとビニル系樹脂が水溶性になり、(C)の粒径均一性が損なわれる。ここで、親水性モノマーとは水に任意の割合で溶解するモノマーをいい、疎水性モノマーとは、それ以外のモノマー(基本的に水に混和しないモノマー)をいう。
ポリエステル樹脂としては、ポリオールと、ポリカルボン酸又はその酸無水物又はその低級アルキルエステルとの重縮合物等が挙げられる。ポリオールとしてはジオール(11)及び3価以上のポリオール(12)が、ポリカルボン酸又はその酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、ジカルボン酸(13)及び3価以上のポリカルボン酸(14)及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
ジオール(11)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;その他、ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオール等)、ポリブタジエンジオール等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(12)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上記トリスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等]
これらのうち好ましいものは、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物である。
ジカルボン酸(13)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);炭素数8以上の分岐アルキレンジカルボン酸[ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等)、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(14)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお、ジカルボン酸(13)又は3価以上のポリカルボン酸(14)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(15)と活性水素基含有化合物(D){水、ポリオール[前記ジオール(11)及び3価以上のポリオール(12)]、ジカルボン酸(13)、3価以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物等が挙げられる。
ポリイソシアネート(15)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20重量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び/又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等が挙げられる。具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI等のポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。これらのうちで好ましいものは6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、及び炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIである。
ポリアミン(16)の例としては、脂肪族ポリアミン類(C2〜C18):脂肪族ポリアミン{C2〜C6アルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(C2〜C6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等〕};これらのアルキル(C1〜C4)又はヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等〕;脂環又は複素環含有脂肪族ポリアミン〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等〕;芳香環含有脂肪族アミン類(C8〜C15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等)、脂環式ポリアミン(C4〜C15):1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等、複素環式ポリアミン(C4〜C15):ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等、芳香族ポリアミン類(C6〜C20):非置換芳香族ポリアミン〔1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4´−及び4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等;核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−及びi−プロピル、ブチル等のC1〜C4アルキル基)を有する芳香族ポリアミン、たとえば2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3´,5,5´−テトライソプロピルベンジジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラブチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン,3,5−ジイソプロピル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルスルホン等〕、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物;核置換電子吸引基(Cl,Br,I,F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基等)を有する芳香族ポリアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチル−5,5´−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3´−ジクロロベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4´−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等〕;2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン〔上記の芳香族ポリアミンの−NH2 の一部又は全部が−NH−R´(R´はアルキル基たとえばメチル,エチル等の低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等〕、ポリアミドポリアミン:ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等、ポリエーテルポリアミン:ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等が挙げられる。
ポリチオール(17)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシド(18)の開環重合物、ポリエポキシド(18)と活性水素基含有化合物(D){水、ポリオール[前記ジオール(11)及び3価以上のポリオール(12)]、ジカルボン酸(13)、3価以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等}との重付加物、又はポリエポキシド(18)とジカルボン酸(13)又は3価以上のポリカルボン酸(14)の酸無水物との硬化物等が挙げられる。
本発明のポリエポキシド(18)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。ポリエポキシド(18)として好ましいものは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキシド(18)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、通常65〜1000であり、好ましいのは90〜500である。エポキシ当量が1000を超えると、架橋構造がルーズになり硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が悪くなり、一方、エポキシ当量が65未満のものを合成するのは困難である。
ポリエポキシド(18)の例としては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物あるいは脂肪族系ポリエポキシ化合物が挙げられる。芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体及びグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、並びに、アミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tret−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、又はホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、及びレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。さらに、本発明において前記芳香族系として、P−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー及びビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシド又はプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテル体も含む。複素環系ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる;脂環族系ポリエポキシ化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。また、脂環族系としては、前記芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む;脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、及びグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びポリグリセロールンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート等が挙げられる。グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。また、本発明において脂肪族系としては、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。これらのうち、好ましいのは、脂肪族系ポリエポキシ化合物及び芳香族系ポリエポキシ化合物である。本発明のポリエポキシドは、2種以上併用しても差し支えない。
樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)は、樹脂粒子(C)の粒径の均一性、粉体流動性、保存時の耐熱性、耐ストレス性の観点から、好ましくは0℃〜300℃であり、さらに好ましくは20℃〜250℃であり、特に好ましくは50℃〜200℃である。なお、本発明におけるTgは、DSC測定から求められる値である。
硬さの規格であるショアD硬度において、樹脂粒子(A)の硬さは好ましくは30以上であり、さらに好ましくは45〜100の範囲である。また、水中、溶剤中に一定時間浸漬した場合における硬度も上記範囲にあるのが好ましい。
樹脂粒子(A)が水や分散時に用いる溶剤に対して、溶解したり、膨潤したりするのを低減する観点から、樹脂(a)の分子量、SP値(SP値の計算方法はPolymer Engineering and Science,Feburuary,1974,Vol.14,No.2 P.147〜154による)、結晶性及び架橋点間分子量等を適宜調整するのが好ましい。
樹脂(a)の数平均分子量(以下Mnと略記)は、好ましくは200〜500万であり、さらに好ましくは2,000〜500,000である。
本発明における樹脂のMn、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定することができる。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSK GEL GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分をグラスフィルターでろ別したもの)
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、
18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、
1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
SP値は、好ましくは7〜18(cal/cm3)1/2であり、さらに好ましくは8〜14(cal/cm3)1/2である。
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算することができる。
樹脂(a)の融点(DSCにて測定)は、好ましくは50℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上である。
水性分散液(D)中の樹脂粒子(A)の体積平均粒子径は、好ましくは0.01〜30μmであり、かつ、アニオン性界面活性剤(X)及び/又は水溶性ポリマー(P)の存在下における水性分散液(D)中の樹脂粒子(B)の体積平均粒子径は、好ましくは0.1〜300μmである。
樹脂粒子(A)の粒径は、通常、樹脂粒子(B)の粒径よりも小さくなり、粒径均一性の観点から、粒径比[樹脂粒子(A)の体積平均粒径]/[樹脂粒子(B)の体積平均粒径]が0.001〜0.3の範囲であるのが好ましい。かかる粒径比が、0.3より大きいと(A)が(B)の表面に効率よく吸着しないため、得られる(C)の粒度分布が広くなる傾向がある。
樹脂粒子(A)の体積平均粒径は、所望の粒径の樹脂粒子(C)を得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。例えば、体積平均粒子径1μmの樹脂粒子(C)を得たい場合には、好ましくは0.0005〜0.3μm、特に好ましくは0.001〜0.2μmの範囲であり、10μmの樹脂粒子(C)を得た場合には、好ましくは0.005〜3μmであり、特に好ましくは0.05〜2μm、100μmの粒子(C)を得たい場合には、好ましくは0.05〜30μmであり、特に好ましくは0.1〜20μmである。なお、体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)やマルチタイザーIII(コールター社製)で測定できる。
粒径の均一性の観点から、樹脂粒子(A)の体積平均粒径/個数平均粒径の値は、好ましくは1.0〜1.4であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。尚、本発明において、体積平均粒径及び個数平均粒径は、マルチサイザーIII(ベックマン・コールター(株)製)で同時に測定することができる。
樹脂粒子(C)の重量に基づく樹脂粒子(A)の含有率が、粒子の均一性の観点から、好ましくは0.1〜50重量%であり、樹脂粒子(B)の含有率が、50〜99.9重量%である。
本発明における水性分散液(D)は、樹脂粒子(A)及び樹脂粒子(B)が水性媒体中に分散されてなる。
水性媒体としては、水を必須構成成分とする液体であれば制限なく使用でき、水に界面活性剤を含有させた水溶液等が挙げられる。
樹脂(a)を樹脂粒子(A)の水性分散液(D)にする方法は、特に限定されないが、以下の(1)〜(8)が挙げられる。
(1)ビニル系樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法又は分散重合法等の重合反応により、直接、樹脂粒子(A)の水性分散液を製造する方法
(2)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂粒子(A)の水性分散体を製造する方法
(3)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化しても良い)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
(4)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い)により作成した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分球することによって樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(5)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い)により作成した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(6)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い)により作成した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、又はあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(7)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い)により作成した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱又は減圧等によって溶剤を除去する方法
(8)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い)により作成した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法等が挙げられる。
本発明における樹脂粒子(A)の水性分散液(D1)及び(D2)の下記数式1における体積平均粒径の差が10〜200nmである。
ここで、水性分散液(D1)とは、水性分散液(D)中にアニオン性界面活性剤及び/又は水溶性ポリマーを含有しない樹脂粒子(A)の水性分散液であり、水性分散液(D2)とは、(D1)にアニオン性界面活性剤及び/又は水溶性ポリマーを添加した後の水性分散液である。
粒子の均一性の観点から、体積平均粒径の差が好ましくは20〜180nmであり、さらに好ましくは体積平均粒径の差が30〜150nmである。下記数式1における体積平均粒径の差が10nm未満又は200nmより大きい場合、分散後の経時での粒径変化が大きくなる。
上記(1)〜(8)の方法において、アニオン性界面活性剤(X)と必要に応じて水溶性ポリマーを併用し、水性分散体の粒子径を以下の通りコントロールすることにより、樹脂(b)を分散させて樹脂粒子(B)を得る際に、分散後の経時での粒径変化が小さく、均一な粒径の樹脂粒子を得ることができる。
体積平均粒径の差の調整方法としては、
(1)体積平均粒径の差を10〜200nmとするためには、アニオン性界面活性剤(X)と水溶性ポリマー(P)を併用すること等が挙げられる。
(2)体積平均粒径の差を大きくする時はアニオン性界面活性剤(X)及び水溶性ポリマー(P)を併用する方法及びアニオン性界面活性剤(X)と水溶性ポリマー(P)の使用量を増やす方法等が挙げられる。
(3)体積平均粒径の差を小さくする時はアニオン性界面活性剤(X)又は水溶性ポリマー(P)のどちらか一方を使用する方法及びアニオン性界面活性剤(X)と水溶性ポリマー(P)の使用量を減らす方法等が挙げられる。
<水性分散体の体積平均粒径の測定方法>
動的光散乱色粒径分布測定装置「SZ−100」((株)堀場製作所製)を用いて測定し、体積平均粒径の差(Dv2−Dv1)nmを求めた。
アニオン界面活性剤(X)の樹脂粒子(B)に対する比率は、粒子の均一性および樹脂粒子(C)への界面活性剤の残留性の観点から、重量比で(X)/(B)が0.2〜5.0であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜4.0であり、特に好ましくは1.0〜3.0である。
水溶性ポリマー(P)を併用する場合の樹脂粒子(B)に対する比率は、粒子の均一性の観点および樹脂粒子(C)への残留性の観点から、重量比で0.05〜2.0であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.5であり、特に好ましくは0.2〜1.0である。
アニオン性界面活性剤(X)としては、カルボン酸又はその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩、スルホコハク酸塩及びリン酸エステル塩等が挙げられる。
カルボン酸又はその塩としては、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸又はその塩等が挙げられ、具体的にはカプリン酸,ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,アラキジン酸,ベヘン酸,オレイン酸,リノール酸,リシノール酸及びヤシ油,パーム核油,米ぬか油,及び牛脂等をケン化して得られる高級脂肪酸の混合物が挙げられる。塩としてはそれらのナトリウム,カリウム,アンモニウム及びアルカノールアミン等の塩が挙げられる。
硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド1〜10モル付加物の硫酸エステル塩)、硫酸化油(天然の不飽和油脂又は不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)及び硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩,カリウム塩,アンモニウム塩,アルカノールアミン塩等が挙げられる。高級アルコール硫酸エステル塩の具体例としては、オクチルアルコール硫酸エステル塩,デシルアルコール硫酸エステル塩,ラウリルアルコール硫酸エステル塩,ステアリルアルコール硫酸エステル塩,チーグラー触媒を用いて合成されたアルコール(例えば、ALFOL 1214:CONDEA社製)の硫酸エステル塩,オキソ法で合成されたアルコール(たとえばドバノール23,25,45:三菱油化製,トリデカノール:協和発酵製,オキソコール1213,1215,1415:日産化学製,ダイヤドール115−L,115H,135:三菱化成製)の硫酸エステル塩;高級アルキルエーテル硫酸エステル塩の具体例としては、ラウリルアルコールエチレンオキサイド2モル付加物硫酸エステル塩,オクチルアルコールエチレンオキサイド3モル付加物硫酸エステル塩;硫酸化油の具体例としては、ヒマシ油,落花生油,オリーブ油,ナタネ油,牛脂,羊脂等の硫酸化物のナトリウム,カリウム,アンモニウム,アルカノールアミン塩硫酸化脂肪酸エステルの具体例としては、オレイン酸ブチル,リシノレイン酸ブチル等の硫酸化物のナトリウム,カリウム,アンモニウム,アルカノールアミン塩;硫酸化オレフィンの具体例としては、ティーポール(シェル社製)が挙げられる。
カルボキシメチル化物の塩としては、炭素数8〜16の脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩及び炭素数8〜16の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩が挙げられる。脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩の具体例としては、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩,デシルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩,ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩,ドバノール23カルボキシメチル化ナトリウム塩,トリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩,;脂肪族アルコールのエチレンオキサイド1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩の具体例としては、オクチルアルコールエチレンオキサイド3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩,ラウリルアルコールエチレンオキサイド4モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩,ドバノール23エチレンオキサイド3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩,トリデカノールエチレンオキサイド5モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩が挙げられる。
スルホン酸塩としては、(d1)アルキルベンゼンスルホン酸塩,(d2)アルキルナフタレンスルホン酸塩,(d3)アルカンスルホン酸塩,(d4)α−オレフィンスルホン酸塩,(d5)イゲポンT型、(d6)その他芳香環含有化合物のスルホン酸塩が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩の具体例としては、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、ジブチルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩としては、炭素数8〜18のアルカンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。芳香環含有化合物のスルホン酸塩としては、アルキル化ジフェニルエーテルのモノ又はジスルホン酸ナトリウム塩、スチレン化フェノールスルホン酸ナトリウム塩が挙げられる。
スルホコハク酸塩としては、ジエステル型及びモノエステル型等が挙げられ、ジエステル型の具体例としては、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩が挙げられる。モノエステル型としては、スルホコハク酸モノドデシルエステルナトリウム塩、スルホコハク酸モノポリオキシエチレンドデシルステルナトリウム塩等が挙げられる。
リン酸エステル塩としては、(e1)高級アルコールリン酸エステル塩及び(e2)高級アルコールエチレンオキサイド付加物リン酸エステル塩が挙げられる。高級アルコールリン酸エステル塩の具体例としては、ラウリルアルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩,ラウリルアルコールリン酸ジエステルナトリウム塩;高級アルコールエチレンオキサイド付加物リン酸エステル塩の具体例としては、オレイルアルコールエチレンオキサイド5モル付加物リン酸モノエステルジナトリウム塩等が挙げられる。
このうち、アニオン界面活性剤としては、乳化性及び残存界面活性剤率の観点から、硫酸エステル塩、スルホン酸塩及びスルホコハク酸塩が好ましい。
本発明において、水系媒体は、数平均分子量が3,000〜50,000の水溶性ポリマー(P)を含有することが好ましい。
水溶性ポリマー(P)としては、セルロース化合物(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらのケン化物等)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物及びアクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物及びジイソブチレン−無水マレイン共重合物の水酸化ナトリウム(部分)中和物等が挙げられる。
このうち、粒径の均一性の観点から、アクリル酸(塩)含有ポリマー、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物及びジイソブチレン−無水マレイン共重合物の水酸化ナトリウム(部分)中和物が好ましい。
本発明の水系媒体は、アニオン性界面活性剤(X)及び水溶性ポリマー(P)以外に、必要により更にノニオン性界面活性剤(N)、両性界面活性剤(Y)及び可塑剤(V)を含有してもよい。
このうち、ノニオン性界面活性剤(N)及び両性界面活性剤(Y)を含有することが好ましい。
ノニオン性界面活性剤(N)としては、上述のアニオン性界面活性剤(X)の製造工程におけるアニオン化する前の中間体の他に、脂肪族系アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)及びジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール及びモノラウリン酸ソルビタン等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8,重合度=1〜100)多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノラウリン酸ポリオキシエチレン(重合度=10)ソルビタン及びポリオキシエチレン(重合度=50)ジオレイン酸メチルグルコシド等]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及び1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノアルキル(炭素数2〜8)エーテル並びにアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
両性界面活性剤(Y)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]並びにアミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]等が挙げられる。
可塑剤(V)は、分散の際に必要に応じて水系媒体中に加えても、被分散体中[樹脂(a)を含む油相中]に加えても良い。可塑剤(V)としては、何ら限定されず、例えばフタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル及びフタル酸ジイソデシル等)、脂肪族2塩基酸エステル(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル及びセバシン酸−2−エチルヘキシル等)、トリメリット酸エステル(トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル及びトリメリット酸トリオクチル等)、燐酸エステル(リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル及びリン酸トリクレジール等)、脂肪酸エステル(オレイン酸ブチル等)並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤(N)及び両性界面活性剤(Y)を使用する場合、全界面活性剤の重量に基づく(X)+(N)+(Y)の割合は、好ましくは30重量%以下であり、さらに好ましくは20重量%以下である。
樹脂又は樹脂前駆体を分散させる際の、水系媒体の使用量は、樹脂又は樹脂前駆体若しくはそれらの溶剤溶液重量に基づいて、50〜2000重量%であることが好ましく、更に好ましくは100〜1000重量%である。水系媒体の使用量が、50重量%以上であると、分散が良好であり、2000重量%以下であると樹脂粒子に残存する界面活性剤が多くなることがなく樹脂特性に悪影響を及ぼすこともない。
本発明において、樹脂(a)若しくはその溶剤溶液又は樹脂(a)の前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液を水系媒体に分散させる場合には、分散装置を用いることができる。本発明で使用する分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)及びTKオートホモミキサー(プライミクス(株)製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(プライミクス(株)製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)及びファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)及びAPVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。これらの内、粒径の均一化の観点で好ましいものは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス及びTKパイプラインホモミキサーである。
分散時の温度は、好ましくは、0〜150℃(加圧下)であり、さらに好ましくは5〜98℃である。又、分散させる時間は、好ましくは1分〜2時間であり、さらに好ましくは5分〜1時間である。
樹脂又は樹脂前駆体を分散させる際の、水系媒体の使用量は、樹脂又は樹脂前駆体若しくはそれらの溶剤溶液重量に基づいて、50〜2000重量%であることが好ましく、更に好ましくは100〜1000重量%である。水系媒体の使用量が、50重量%以上であると、分散が良好であり、2000重量%以下であると樹脂粒子に残存する界面活性剤が多くなることがなく樹脂特性に悪影響を及ぼすこともない。
水系分散体(D1)から水系媒体及び必要により溶剤を除去することにより、樹脂粒子(A)を得ることができる。水系分散体(D1)から水系媒体及び必要により溶剤を除去する方法としては、下記(1)〜(3)の方法等が挙げられるが、樹脂粒子の電気特性の観点から好ましくは、下記(2)の方法である。
(1):水系分散体(D1)を減圧下又は常圧下で乾燥する方法。
(2):水系分散体(D1)を遠心分離器、スパクラフィルター及びフィルタープレス等により固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法。
(3):水系分散体(D1)を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)。
上記(1)、(2)において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機及び循風乾燥機等公知の設備を用いて行うことができる。また、必要に応じ、風力分級器等を用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
上記(2)の方法における固液分離時には、pHが中性からアルカリ性の水を使用することで、樹脂粒子に付着したアニオン性界面活性剤(X)を除去することが可能となる。
本発明においては、樹脂(a)を含有してなる樹脂粒子(A)の水性分散液(D)中に、樹脂(b)若しくはその溶剤溶液又は樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその溶剤溶液を分散させて、必要により前駆体(b0)の反応を行い、樹脂粒子(B)が形成される際に、樹脂粒子(A)を樹脂粒子(B)の表面に吸着させることで、樹脂粒子(B)同士あるいは樹脂粒子(C)同士が合一するのを防ぎ、また、高剪断条件下で樹脂粒子(C)が分裂され難くする。これにより、樹脂粒子(C)の粒径を一定の値に収斂させ、粒径の均一性を高める効果を発揮する。そのため、樹脂粒子(A)は、分散する際の温度において、剪断により破壊されない程度の強度を有すること、水に溶解したり、膨潤したりしにくいこと、樹脂(b)若しくはその溶剤溶液又は樹脂(b)の前駆体(b0)若しくはその溶剤溶液に溶解したり、膨潤したりしにくいことが好ましい特性としてあげられる。
本発明における樹脂粒子(B)は、樹脂(b)を含有してなる。(b)としては、樹脂(a)として例示したものと同様のものが挙げられる。(b)のうち好ましいのは、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂であり、更に好ましいのは、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用である。
樹脂(b)のMn、Tm、Tg、SP値は、用途によって好ましい範囲に適宜調整することができる。
例えば、樹脂粒子(C)をスラッシュ成形用樹脂、粉体塗料として用いる場合、(b)のMnは、好ましくは2,000〜50万であり、更に好ましくは4,000〜20万である。(b)のTmは、好ましくは0〜200℃であり、更に好ましくは35〜150℃である。(b)のTgは、好ましくは−60〜100℃であり、更に好ましくは−30〜60℃である。(b)のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm3)1/2であり、更に好ましくは8〜14(cal/cm3)1/2である。
(C)を電子写真、静電記録、静電印刷等に使用されるトナーとして用いる場合、(b)のMnは、好ましくは1,000〜500万であり、更に好ましくは2,000〜50万である。(b)のTmは、好ましくは20〜300℃であり、更に好ましくは80〜250℃である。(b)のTgは、好ましくは20〜200℃であり、更に好ましくは40〜200℃である。(b)のSP値は、好ましくは8〜16(cal/cm3)1/2であり、更に好ましくは9〜14(cal/cm3)1/2である。
樹脂(b)の前駆体(b0)としては、化学反応により樹脂(b)になり得るものであれば特に限定されず、(b)が、ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂である場合、(b0)としては、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせが挙げられる。
(b)がビニル樹脂である場合、(b0)としては、前記の単量体(1)〜(9)が挙げられる。
(b0)のうち、生産性の観点から好ましいのは、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせである。
前駆体(b0)として、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせを用いる場合の、(α)が有する「反応性基」とは、硬化剤(β)と反応可能な基のことをいう。この場合、前駆体(b0)を反応させて(b)を形成する方法としては、(α)及び(β)を後述する水性分散液(W)中に分散して、加熱により(α)と(β)を反応させて(b)を形成させる方法等が挙げられる。
反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、以下の〔1〕及び〔2〕等が挙げられる。
〔1〕(α)が有する反応性基が、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)であり、(β)が活性水素基含有化合物(β1)である組み合わせ。
〔2〕(α)が有する反応性基が活性水素含有基(α2)であり、(β)が活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)である組み合わせ。
前記組合せ〔1〕において、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)としては、イソシアネート基(α1a)、ブロック化イソシアネート基(α1b)、エポキシ基(α1c)、酸無水物基(α1d)及び酸ハライド基(α1e)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(α1a)、(α1b)及び(α1c)であり、更に好ましいのは(α1a)及び(α1b)である。
ブロック化イソシアネート基(α1b)は、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。
前記ブロック化剤としては、オキシム類(アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム及びメチルエチルケトオキシム等);ラクタム類(γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム及びγ−バレロラクタム等);炭素数1〜20の脂肪族アルコール類(エタノール、メタノール及びオクタノール等);フェノール類(フェノール、m−クレゾール、キシレノール及びノニルフェノール等);活性メチレン化合物(アセチルアセトン、マロン酸エチル及びアセト酢酸エチル等);塩基性窒素含有化合物(N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド及び2−メルカプトピリジン等);及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいのはオキシム類であり、更に好ましいのはメチルエチルケトオキシムである。
反応性基含有プレポリマー(α)の構成単位としては、ポリエーテル(αw)、ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)及びポリウレタン(αz)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(αx)、(αy)及び(αz)であり、更に好ましいのは(αx)及び(αz)である。
ポリエーテル(αw)としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド及びポリテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。
ポリエステル(αx)としては、ジオール(1)とジカルボン酸(2)の重縮合物、ポリラクトン(ε−カプロラクトンの開環重合物)等が挙げられる。
エポキシ樹脂(αy)としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物等が挙げられる。
ポリウレタン(αz)としては、ジオール(1)とジイソシアネート(4)の重付加物及びポリエステル(αx)とジイソシアネート(4)の重付加物等が挙げられる。
ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)及びポリウレタン(αz)等に反応性基を含有させる方法としては、
〔1〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法。
〔2〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、更に残存した前記官能基と反応可能な官能基及び反応性基を含有する化合物を反応させる方法。
等が挙げられる。
前記〔1〕の方法では、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、酸ハライド基含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有エポキシ樹脂プレポリマー、エポキシ基含有エポキシ樹脂プレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー及びイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマー等が得られる。
構成成分の比率は、例えば水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1であり、更に好ましくは1.5/1〜1/1、特に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の骨格、末端基のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
前記〔2〕の方法では、前記方法〔1〕で得られたプレプリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ブロック化ポリイソシアネートを反応させることでブロック化イソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ポリエポキシドを反応させることでエポキシ基含有プレポリマーが得られ、ポリ酸無水物を反応させることで酸無水物基含有プレポリマーが得られる。
官能基及び反応性基を含有する化合物の使用量は、例えば、水酸基含有ポリエステルにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、好ましくは5/1〜1/1であり、更に好ましくは4/1〜1.2/1、特に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の骨格、末端基を有するプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
反応性基含有プレポリマー(α)中の1分子当たりに含有する反応性基は、好ましくは1個以上であり、更に好ましくは平均1.5〜3個、特に好ましくは平均1.8〜2.5個である。前記範囲にすることで、硬化剤(β)と反応させて得られる硬化物の分子量が高くなる。
反応性基含有プレポリマー(α)のMnは、好ましくは500〜30,000であり、更に好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,000〜10,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)のMwは、好ましくは1,000〜50,000であり、更に好ましくは2,000〜40,000、特に好ましくは4,000〜20,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)の粘度は、100℃において、好ましくは200Pa・s以下であり、更に好ましくは100Pa・s以下である。200Pa・s以下にすることで、粒度分布の狭い樹脂粒子(X)が得られる点で好ましい。
活性水素基含有化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいジアミン(β1a)、ジオール(β1b)、ジメルカプタン(β1c)及び水等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(β1a)、(β1b)及び水であり、更に好ましいのは(β1a)及び水であり、特に好ましいのは、ブロック化されたポリアミン類及び水である。
(β1a)としては、前記ポリアミン(15)のうち、ジアミンとして例示されたものと同様のものが挙げられる。(β1a)として好ましいのは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びこれらの混合物である。
(β1a)が脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合の例としては、前記ポリアミン類と炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、炭素数2〜8のアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド等)から得られるアルジミン化合物、エナミン化合物及びオキサゾリジン化合物等が挙げられる。
ジオール(β1b)としては、前記ジオール(10)と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
ジメルカプタン(β1c)としては、エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
必要により、活性水素基含有化合物(β1)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。反応停止剤を(β1)と一定の比率で併用することにより、(A)を所定の分子量に調整することが可能である。
反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン及びジエタノールアミン等);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物等);モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びフェノール等);モノメルカプタン(ブチルメルカプタン及びラウリルメルカプタン等);モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート及びフェニルイソシアネート等);及びモノエポキシド(ブチルグリシジルエーテル等)等が挙げられる。
前記組合せ〔2〕における反応性基含有プレポリマー(α)が有する活性水素含有基(α2)としては、アミノ基(α2a)、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)(α2b)、メルカプト基(α2c)、カルボキシル基(α2d)及びそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(α2a)、(α2b)及び(α2e)であり、更に好ましいのは(α2b)である。
アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、前記(β1a)の場合と同様のものが挙げられる。
活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)としては、ジイソシアネート(β2a)、ポリエポキシド(β2b)、ポリカルボン酸(β2c)、ポリ酸無水物(β2d)及びポリ酸ハライド(β2e)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは(β2a)及び(β2b)であり、更に好ましいのは(β2a)である。
ジイソシアネート(β2a)としては、前記ポリイソシアネート(14)のうち、ジイソシアネートとして例示されたものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
ジエポキシド(β2b)としては、前記ポリエポキシド(18)のうち、ジエポキシドとして例示されたものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
ジカルボン酸(β2c)としては、前記ジカルボン酸(12)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
硬化剤(β)の比率は、反応性基含有プレポリマー(α)中の反応性基の当量[α]と、硬化剤(β)中の活性水素含有基[β]の当量の比[α]/[β]として、好ましくは1/2〜2/1であり、更に好ましくは1.5/1〜1/1.5、特に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、硬化剤(β)が水である場合は、水は2価の活性水素化合物として取り扱う。
(b)が結晶性ビニル樹脂であり、前記単量体(1)〜(9)を(b0)として用いた場合、(b0)から(b)を生成させる方法としては、例えば、油溶性開始剤及び単量体を含有する油相を、水性分散体(W)中に分散懸濁させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法等が挙げられる。
前記油溶性開始剤としては、油溶性パーオキサイド系重合開始剤(I)、油溶性アゾ系重合開始剤(II)等が挙げられる。また、油溶性パーオキサイド系重合開始剤(I)と還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤(III)を形成してもよい。更には、(I)〜(III)のうちから2種以上を併用してもよい。
油溶性パーオキサイド系重合開始剤(I):
アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド及びクメンパーオキサイド等。
油溶性アゾ系重合開始剤(II):
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等。
非水系レドックス系重合開始剤(III):
ヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル及び過酸化ジアシル等の油溶性過酸化物と、3級アミン、ナフテン酸塩、メルカプタン類、有機金属化合物(トリエチルアルミニウム、トリエチルホウ素及びジエチル亜鉛等)等の油溶性還元剤とを併用したもの。
樹脂粒子(C)の体積平均粒径/個数平均粒径の値は、粒径均一性の観点から、好ましくは1.0〜1.4であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。
樹脂粒子(C)の粒径均一性及び保存安定性等の観点から、樹脂粒子(C)は、樹脂粒子(C)の重量に基づく樹脂粒子(A)の含有率が、好ましくは0.1〜50重量%であり、樹脂粒子(B)の含有率が、好ましくは50〜99.9重量%である
本発明における樹脂(a)及び/又は樹脂(b)中に顔料、充填剤、帯電防止剤、着色剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤及び難燃剤等の添加剤を混合しても差し支えない。樹脂(a)又は(b)中に添加剤を添加する方法としては、水系媒体中で水系分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめ樹脂(a)又は樹脂(b)と添加剤を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、添加剤は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加したり、溶剤及び/又は可塑剤とともに上記添加剤を含有させることもできる。
本発明の製造方法により得られた樹脂粒子は、電子写真用、静電記録用又は静電印刷トナー用の樹脂粒子であることが好ましい。
[実施例]
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
表1に記載した各原料を下記に示す。なお、実施例に用いた各成分は下記の通りである。
ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム(三洋化成工業(株)製「エレミノール MON−7」)
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ(株)製「SLS」)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(テイカ(株)製「テイカパワー LN2450」)
ポリアクリル酸ナトリウム43重量%水溶液(三洋化成工業(株)製「キャリボン L−400」)
ジイソブチレン/マレイン酸共重合物ナトリウム塩25重量%水溶液(三洋化成工業(株)製「サンスパール PS−8」)
スチレン/マレイン酸共重合物のアンモニウム塩38重量%水溶液(川原油化(株)製「SMA 1000H」)
<製造例1>
加熱撹拌・冷却装置の付いた高圧反応容器にイソトリデシルアルコール197重量部(1モル部)及び水酸化カリウム0.1重量部を仕込み、窒素置換後、温度100〜160℃、ゲージ圧0〜0.8MPaの条件下で1,2−プロピレンオキサイド116重量部(2モル部)を投入し、付加重合させ、ポリオキシプロピレン(平均付加モル数 2モル)付加イソトリデシルアルコール313部を得た。生成物の全量を加熱撹拌・冷却装置の付いたガラス製反応装置に仕込み、窒素雰囲気下、無水マレイン酸109重量部(1.11モル部)を仕込み、反応温度50〜60℃で3時間反応させた。この生成物全量を水772重量部に亜硫酸ナトリウム147重量部(1.17モル部)及び水酸化ナトリウム2重量部を溶解させた水溶液に窒素雰囲気下、50〜60℃で投入し、3時間スルホン化反応を行い、ポリオキシプロピレン(平均付加モル数 2モル)付加イソトリデシルアルコールのスルホコハク酸ナトリウム塩(X−1)の40重量%水溶液1343重量部を得た。
<製造例2>
加熱撹拌・冷却装置の付いた高圧反応容器にイソトリデシルアルコール197重量部(1モル部)及び水酸化カリウム0.1重量部を仕込み、窒素置換後、温度100〜160℃、ゲージ圧0〜0.8MPaの条件下で1,2−プロピレンオキサイド348重量部(6モル部)を投入し、付加重合させ、ポリオキシプロピレン(平均付加モル数 6モル)付加イソトリデシルアルコール545重量部を得た。生成物の全量を加熱撹拌・冷却装置の付いたガラス製反応装置に仕込み、窒素雰囲気下、無水マレイン酸109重量部(1.11モル部)を仕込み、反応温度50〜60℃で3時間反応させた。この生成物全量を水1119重量部に亜硫酸ナトリウム147重量部(1.17モル部)及び水酸化ナトリウム2重量部を溶解させた水溶液に窒素雰囲気下、50〜60℃で投入し、3時間スルホン化反応を行い、ポリオキシプロピレン(平均付加モル数 6モル)付加イソトリデシルアルコールのスルホコハク酸ナトリウム塩(X−2)の40重量%水溶液1922重量部を得た。
<製造例3>
撹拌・冷却装置のついたガラス製容器に、製造例1で作成したポリオキシプロピレン(2モル)付加イソトリデシルアルコール316重量部(1モル部)を仕込み、窒素通気してクロルスルホン酸122部(1.05モル部)を5〜40℃で滴下し、反応で生成する塩化水素を留去しながら、3時間反応を行い、ポリオキシプロピレン(平均付加モル数 2モル)付加トリデシルアルコールの硫酸化物を得た。これに30%の水酸化ナトリウム水溶液133重量部(1モル部)及び水974重量部を撹拌下投入し、ポリオキシプロピレン(平均付加モル数 2モル)付加イソトリデシルエーテル硫酸ナトリウム塩(X−3)の30重量%水溶液1516重量部を得た。
製造例4(プレポリマーの製造)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水酸基価が56mgKOH/gのポリカプロラクトンジオール[「プラクセルL220AL」、ダイセル化学工業(株)製]2,000重量部を投入し0.04MPaの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いてIPDIを457重量部投入し、110℃で10時間反応を行い末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。該ウレタンプレポリマーの遊離イソシアネート含量は3.6重量%であった。これをプレポリマー(α−1)とする。
製造例5(硬化剤の製造)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、エチレンジアミン50重量部とメチルイソブチルケトン50重量部を仕込み、50℃で5時間反応を行った。得られた化合物を硬化剤(β−1)とする。
製造例6[樹脂溶液(B−1)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343重量部、イソフタル酸166重量部及びジブチルチンオキサイド2重量部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に0.001〜0.002MPaの減圧で5時間反応した後、110℃まで冷却し、トルエン中にてイソホロンジイソシアネート17重量部を入れて110℃で5時間反応を行い、次いで脱溶剤し、重量平均分子量72,000、遊離イソシアネート含量が0.7重量%のウレタン変性ポリエステル(1)を得た。上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物570重量部、テレフタル酸217重量部を常圧下、230℃で6時間重縮合し、数平均分子量2,400、水酸基価が51mgKOH/g、酸価が5mgKOH/gの変性されていないポリエステル(2)を得た。ウレタン変性ポリエステル(1)200重量部とポリエステル(2)800重量部を酢酸エチル2,000重量部に溶解、混合し、樹脂溶液(A−1)を得た。次に、ビーカーに樹脂溶液(b−1)480重量部、離型剤としてトリメチロールプロパントリベヘネート(融点58℃、溶融粘度24mPa・s)40重量部、着色剤として銅フタロシアニン8重量部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて樹脂溶液(B−1)を得た。
製造例7[樹脂微粒子分散体(D−1)の製造]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン「イオネットT−80V」[三洋化成工業(株)製]47重量部とビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート828、油化シェル社製)232重量部を投入し均一に溶解させた。攪拌下に反応容器に水255重量部を滴下した後、系内温度を70℃まで昇温して、エチレンジアミン20重量部を水446重量部に溶解した液を系内温度を70℃に保ちながら2時間かけて滴下した。滴下後、70℃で5時間、90℃で5時間反応・熟成してアミン硬化エポキシ樹脂の樹脂微粒子(A−1)水系分散体(D−1)を得た。LA−920で測定した樹脂微粒子(A−1)の体積平均粒径は、0.78μmであった。
実施例1〜10及び比較例1〜3
表1に記載の配合処方に基づき、アニオン性界面活性剤(X−1〜6)、水溶性ポリマー(P−1〜3)及び製造例7で得られた水性分散体(D1−1)を容器中で混合・攪拌して、水性分散体(D2―1〜10、D’2−1〜3)を得た。水性分散体(D1−1)の体積平均粒径とアニオン性界面活性剤及び/又は水溶性ポリマーを添加した後の水性分散体(D2)の体積平均粒径の差(Dv2−Dv1)を表1に示す。更にイオン交換水500重量部を入れ均一に混合後、50℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12,000rpmに撹拌しながら、製造例6で作製した樹脂溶液(B−1)300部を投入し10分間撹拌した後、撹拌棒及び温度計付の3つ口フラスコに移し、50℃条件下で酢酸エチルを留去し、更に98℃まで昇温して5時間反応させることで樹脂粒子の水性分散体(D3―1〜10、D’3−1〜3)を得た。この水性分散体(D3―1〜10、D’3−1〜3)を濾別、水洗、乾燥することで実施例1〜10及び比較例1〜3の樹脂粒子(C−1〜10、C’−1〜3)を得た。
実施例1〜10及び比較例1〜3で得た樹脂粒子を水に分散して体積平均粒径及び個数平均粒径をマルチサイザーIIIで測定した。水性分散体(D)の平均体積粒径の差(nm)(Dv2−Dv1)、樹脂粒子(A)の体積平均粒径の値(μm)及び樹脂粒子(B)の体積平均粒径の値(μm)を表1に示す。
[水性分散体の体積平均粒径の測定方法]
上記で作成した水性分散体(D1−1、D2−1〜10及びD’2―1〜3)のキュムラント径を動的光散乱色粒径分布測定装置「SZ−100」((株)堀場製作所製)を用いて測定し、体積平均粒径の差(Dv2−Dv1)nmを求めた。
実施例1〜10及び比較例1〜3で得た樹脂粒子(C)の体積平均粒径Dv、樹脂粒子(C)の体積平均粒径/個数平均粒径の値、樹脂粒子(C)を製造する際の分散後5分後の粒径と15分後の体積平均粒径の変化率、樹脂粒子(A)の含有率、樹脂粒子(B)の含有率を表2に示す。
実施例1〜10及び比較例1〜3で得た樹脂粒子中の残存界面活性剤含有率を表2に示す。
[残存界面活性剤含有率の測定方法]
実施例及び比較例で得た樹脂粒子1gにメタノール50gを加えた液に超音波を10分間照射して界面活性剤分を抽出しした後、抽出液中の界面活性剤含有量を以下の質量分析計を付帯した液体クロマトグラフィー(LC/MS)にて測定した。残存界面活性剤含有率を下記式(1)に従って算出した。
<LC/MS条件>
LC条件
装置:Agilent社製 Agilent1100
カラム:YMC−Pack ODS−AQ,AQ−312 150×6.0mm i.d.
移動相:水/アセトニトリル=10/90(V/V)
流量:1.0mL/min
注入量:1μL
オーブン温度:40℃
検出器:UV210nm
MS条件
装置:HP社製 LC/MS D 1100
イオンソース:ESI
Mode:Negative
測定質量数:m/z 100−1000
Fragment Voltage :75V
Drying gas:窒素、350℃、10L/min
Neblizer Pressure:45psi
Capillary Voltage:3000V
残存界面活性剤含有率(重量%)=界面活性剤含有量/樹脂粒子の重量x100 (1)
実施例の樹脂粒子は何れも粒径が均一で、凝集度が低く粉体流動性が良好であり、かつ樹脂粒子への界面活性剤残存率が低く電気的特性、熱的特性及び化学的安定性が良好であった。