JP2016055773A - 航空機 - Google Patents
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Abstract
Description
ベリーフェアリング(以下、フェアリング)は、空力面を形成するパネルと、パネルを裏側から補強するスチフナとを備えている。
このフェアリングは、胴体の下部や主翼の下面に複数の支持用部材(サポート)を介して支持されている。
フェアリングの主翼への支持に関し、フェアリングの左右方向で最も外舷側に位置する最外舷支持用部材は、例えば特許文献1に示すように、フェアリングの左右方向の端縁よりも内舷側に位置し、主翼の中央翼と外翼とを接合する構造に固定されている。
飛行中、フェアリングの左右方向の両端側は、周囲の大気に対して主翼の下面側と同程度に負圧となる。そのため、フェアリング1の片持ち範囲1Bが、フェアリング1の内外の圧力差により内側から外側へと向かう荷重Fを受けて撓み(一点鎖線参照)、フェアリング1の端縁1Aが主翼2の下面2Aから離れると、端縁1Aと下面2Aとの間に隙間があいてしまう。そうすると端縁1Aの付近の気流が阻害されて空気抵抗が増加し、空気抵抗による騒音発生にも繋がる。
また、本発明は、航空機の重量増加を避けながら、フェアリングの端縁が主翼の下面に近接した状態を維持するようにフェアリングを主翼に支持させることを第2の目的とする。
主翼は、中央部に位置する中央翼と、中央翼の左右両側にそれぞれ接合される外翼と、を備えている。
フェアリングの左右方向における両方の端縁と、外翼の下面との間にはシールが介装されている。
本発明は、フェアリングにおける左右方向の複数の箇所にそれぞれ設けられるフィッティングのうち、最も外舷側に位置する最外舷フィッティングと、外翼に設けられる外翼フィッティングとが、前後方向に沿ったピンを介してピン結合され、外翼フィッティングが、端縁よりも内舷側で、かつ、中央翼と外翼とを接合する接合構造の位置以外で外翼と結合していることを特徴とする。
また、航空機の機首側を「前」、尾翼側を「後」というものとする。
さらに、胴体の左側を「左」、胴体の右側を「右」といい、胴体の左右のそれぞれにおいて、左右方向の胴体側を「内舷側」、その反対側を「外舷側」というものとする。
そうすると、最外舷フィッティングは、接合構造よりも外舷側に位置するピンを介して外翼フィッティングに結合される。当該ピンの位置が、フェアリングの最外舷の支持位置となるので、フェアリングの最外舷の支持位置からフェアリングの端縁にかけての片持ち範囲の長さが、接合構造の位置あるいはそれよりも内舷側にフェアリングの最外舷の支持位置が存在していた従来例と比べて短い。このため、フェアリングの内外の圧力差に起因する空力荷重によってもフェアリングが撓み難いので、フェアリングの端縁が外翼の下面に近接した状態を保つことができる。そうすると、フェアリングの端縁と外翼の下面との間がシールにより塞がれた状態を保つことができるので、隙間に起因する空気抵抗の増加や、空気抵抗による騒音発生を避けることができる。
そうすると、リンクを介さないで最外舷フィッティングと外翼フィッティングとが直接ピン結合されている場合と比べて、主翼およびフェアリングのピンに直交する面内における位置の自由度が増すので、主翼の変形に対してフェアリングをより十分に追従させることができる。
そうすると、外翼フィッティングおよび最外舷フィッティングが左右方向の同じ位置で上下に並んでいる場合に比べ、外翼フィッティングおよび最外舷フィッティングを上下方向に省スペースで配置することができるので、フェアリングと外翼との間の空間が狭い場合でも、その空間内に各フィッティングとリンクとを収めることができる。
したがって、本発明は、空気抵抗を低減するために薄く作られたフェアリングにも、好ましく適用することができる。
また、本発明によれば、スチフナを増やすことなどによってフェアリングの剛性を高めることなく、フェアリングの片持ち範囲の変形量を抑えることができるので、航空機の重量増加を避けながら、フェアリングの端縁が主翼の下面に近接した状態を維持することができる。
それに加えて、最外舷フィッティングと外翼フィッティングとのピン結合により、主翼の変形にフェアリングを追従させることができるので、主翼およびフェアリングに過大な応力が作用することを避けることができる。
図1に示す航空機10は、胴体11と、胴体11の下側に設けられる主翼12と、主翼12の下面12Aおよび胴体11の下部11Aに亘り設けられるベリーフェアリング20とを備えている。
図2に、リブ12R、上側スキン12U、下側スキン12L、および後側スパー12Spが示されている。また、図4にはリブ12R、下側スキン12L、およびストリンガー12Stが示されている。
スプライスプレート16は、飛行時に主翼12に加えられる大きな荷重を伝達する一次構造部材であり、荷重を分散して伝達するために、図6に示すように前端側16Aおよび後端側16Bが中央部16Cに比べて広がった形状をしている。
外翼14,14には所定の上反角θが与えられている(図4)。
ベリーフェアリング20には、主脚を出し入れする開口121および主脚の車輪を収容するケース122(図3)や、ベリーフェアリング20の内側に配置された装備品を整備するために着脱される図示しないアクセスパネル等が設けられている。
ベリーフェアリング20は、本実施形態の各領域(21〜24)に限らず、適宜に分割することができる。また、各領域(21〜24)をさらに細かい領域に分割することもできる。
これらのフェアリング21〜24は、図3に示す複数の支持用部材30(図2も参照)を介して主翼12の下面12A(中央翼13の下面13Aおよび外翼14の下面14A)あるいは胴体11の下部11A(図1)に吊り下げられる。
センターフェアリング22(以下、フェアリング22)は、図3および図4に示すように、空力面を形成するパネル25と、パネル25を裏側から補強する複数のスチフナ26とを備えている。
パネル25は、図3に示すように、胴体11に設定された機軸A(図1)に対応する中心線Lに対して左右対称に形成されている。
パネル25は、アルミニウム合金等の金属材料、あるいは、炭素繊維やガラス繊維等を含む繊維強化樹脂から、平面視で略矩形状に形成されている。
各スチフナ26は、左右方向の複数箇所で、支持用部材30を介して中央翼13に支持される。
スチフナ26によりパネル25に必要な剛性を与えることができ、かつ、支持用部材30を介してフェアリング22を中央翼13に確実に支持させることができるように、スチフナ26の位置、本数、材料等が定められる。
支持用部材30は、図4に示すように、中央翼13の下側スキン12Lの裏側に設けられたストリンガー12Stに支持される。スチフナ26は、ストリンガー12Stに対応する位置に配置される。
まず、図5および図6を参照し、フェアリング22の左右方向の端縁28の付近の構成について説明した後、最外舷支持用部材30OUTについて説明する。
図5に示すように、最外舷支持用部材30OUTが設けられるスチフナ26の端部26Aは、フェアリング22の端縁28から内舷側に退いている。つまり、フェアリング22の端縁28から内舷側の所定の位置までの範囲にはスチフナ26が設けられておらず、フェアリング22の端縁28はパネル25の左右方向の端縁に相当する。
シール29は、端縁28の裏側に固定される固定部291と、端縁28と下面14Aとの間を塞ぐ封止部292とを有している。封止部292は、断面V字状に形成されている。固定部291と封止部292との間には段差部293が形成されている。固定部291に対して封止部292は揺動変形可能である。
以下では、最外舷支持用部材30OUTが備えるフィッティング27のことを最外舷フィッティング27OUTと言い、最外舷支持用部材30OUTが備える主翼フィッティング17のことを外翼フィッティング17OUTと言うものとする。
最外舷フィッティング27OUTはリンク32に対してピンP1で結合されている。外翼フィッティング17OUTはリンク32に対してピンP2で結合されている。これらのピンP1,P2はいずれも前後方向に沿っている。リンク32を介してピンP1,P2で結合される最外舷フィッティング27OUTと外翼フィッティング17OUTとは、ピンP1,P2の軸周りに相対回転可能である。
最外舷フィッティング27OUTは、スプライスプレート16の下方に位置するスチフナ26の端部26Aからパネル25に沿って外舷側に向けて延出する固定部271と、固定部271の外舷側に連続し、ピンP1が設けられるピン結合部272とを有している。
フェアリング22は、ピン結合部272のピンP1の位置から端縁28にかけて片持ち支持されているとみなすことができる。以下では、ピンP1の位置から端縁28までを片持ち範囲33と称する。
外翼フィッティング17OUTの固定部171は、スプライスプレート16には位置しておらず、スプライスプレート16以外の位置にある。固定部171は、スプライスプレート16の中央部16Cの端縁16Eよりも外舷側で外翼14と結合している。図6に、固定部171の位置を白い丸で示す。
また、本実施形態では、最外舷フィッティング27OUTのピン結合部272に設けられるピンP1が、スプライスプレート16の中央部16Cの端縁16Eよりも外舷側に位置していることが好ましい。ここで、ピンP1の位置は、ピンP1の付近に位置する中央部16Cよりも外舷側であれば足り、スプライスプレート16の前端側16Aおよび後端側16Bよりも外舷側である必要はない。
さらに、本実施形態において、外翼フィッティング17OUTは、最外舷フィッティング27OUTのピン結合部272よりも外舷側に位置していることが好ましい。
上述したように、外翼フィッティング17OUTが外翼14と結合しており、中央翼13および外翼14と接合するスプライスプレート16には結合していない。そのため、フェアリング22を主翼に支持させるにあたり、スプライスプレート16を含んで構成される一次構造の荷重伝達系への影響を軽減することができる。
そうすることにより、フェアリング22がスプライスプレート16の位置やそれよりも内舷側で支持される従来例と比べて片持ち範囲33の長さが短いので、空力荷重を受けた際にフェアリング22が撓み難く、撓んだとしても変形量が小さい。
ここでいう空力荷重は、飛行中、周囲の大気に対して外翼14,14の下面14A側と同程度に負圧となるフェアリング22の左右方向の両端側において、フェアリング22の内外の圧力差に基づいて、フェアリング22の内側から外側へと向かう荷重F1のことをいう。
主翼12は、図7(a)に示すように、主として、外翼14,14に働く揚力F2による空力荷重を受けて、下向きに凸となるように(二点鎖線参照)変形する。このときフェアリング22も主翼12の変位に追従して変形する。その際、図7(b)に示すように、主翼12の下面12A側が外舷側かつ上方に引っ張られる向きに荷重F3が作用する。
その荷重F3により、外翼フィッティング17OUTが矢印で示すF3方向へ変位すると、これに追従して、外翼フィッティング17OUT、リンク32、および最外舷フィッティング27がピンP1,P2の軸周りに相対回転し、主翼12およびフェアリング22がピンP1,P2に直交する面内において相対変位する。このときリンク32は図中、反時計回りに回転し、フェアリング22と外翼14とが互いに近づく。変位後のピンP1,P2と、パネル25の一部とをそれぞれ二点鎖線で示す。
また、主翼12の変位に追従してフェアリング22と外翼14とが互いに近づくと、シール29の封止部292が外舷側へと揺動し、下面14Aに接触した状態を保つので、封止部292が座屈することなく、フェアリング22の端縁28と主翼12の下面14Aとの間を十分に塞ぐことができる。
しかし、本実施形態のように外翼フィッティング17OUTと最外舷フィッティング27OUTとがリンク32を介してピン結合されていると、主翼12の変形にフェアリング22を十分に追従させることができる。つまり、リンク32を介して外翼フェアリング17OUTと最外舷フィッティング27OUTとがピン結合されていると、特にフェアリング22を薄く形成する上で効果が大きい。
一方、フェアリング22と外翼14との間の空間とフィッティング17OUT,27OUTのサイズによっては、外翼フィッティング17OUTと最外舷フィッティング27OUTを左右方向の同じ位置で上下に並べて配置することもできる。そのとき、リンク32は、外翼14の下面14Aに対してほぼ直交している。その場合、主翼12の変位に伴うリンク32の可動域が上記実施形態におけるリンク32の可動域と比べて大きい。そのため、主翼12のより大きな変位に対しても、フェアリング22を十分に追従させることができる。
さらに、最外舷フィッティング27OUTのピン結合部272が外翼フィッティング17OUTよりも外舷側に位置する構成としてもよい。その場合も、主翼12の変位に伴うリンク32の可動域が上記実施形態におけるリンク32の可動域と比べて大きいので、主翼12のより大きな変位に対しても、フェアリング22を十分に追従させることができる。
本発明は、リンク32を介さずに、外翼フィッティング17OUTと最外舷フィッティング27OUTとを直接、1つのピンP1で結合することも許容する。その場合でも、フィッティング17OUT,27OUTが相対的に回転することで、主翼12の変位にフェアリング22を追従させることができる。
11 胴体
11A 下部
11B 構造部材
12 主翼
12A 下面
12L 下側スキン
12R リブ
12St ストリンガー
12Sp 後側スパー
12U 上側スキン
13 中央翼
13A 下面
14 外翼
14A 下面
16 スプライスプレート(接合構造)
16A 前端側
16B 後端側
16C 中央部
16F ファスナ
17 主翼フィッティング
17OUT 外翼フィッティング
18 コード
20 ベリーフェアリング
20C 中央部
21 前方フェアリング
22 センターフェアリング(フェアリング)
23 主脚フェアリング
24 後方フェアリング
25 パネル
26 スチフナ
26A 端部
27 フィッティング
27OUT 最外舷フィッティング
28 端縁
29 シール
30 支持用部材
30OUT 最外舷支持用部材
32 リンク
33 片持ち範囲
121 開口
122 ケース
171 固定部
172 ピン結合部
271 固定部
272 ピン結合部
291 固定部
292 封止部
293 段差部
A 機軸
B 境界
F1 荷重
F2 揚力
F3 荷重
P1,P2 ピン
Claims (4)
- 胴体と、
前記胴体の下側に設けられる主翼と、
前記主翼の少なくとも中央部の下面を覆うフェアリングと、を備え、
前記主翼は、
前記中央部に位置する中央翼と、
前記中央翼の左右両側にそれぞれ接合される外翼と、を備え、
前記フェアリングの左右方向における両方の端縁と、前記外翼の下面との間にシールが介装され、
前記フェアリングにおける前記左右方向の複数の箇所にそれぞれ設けられるフィッティングのうち、最も外舷側に位置する最外舷フィッティングと、前記外翼に設けられる外翼フィッティングとが、
前後方向に沿ったピンを介してピン結合され、
前記外翼フィッティングが、前記端縁よりも内舷側で、かつ、前記中央翼と前記外翼とを接合する接合構造の位置以外で前記外翼と結合している、
ことを特徴とする航空機。 - 少なくとも前記最外舷フィッティングに設けられる前記ピンが、前記端縁よりも内舷側で、かつ、前記接合構造よりも外舷側に位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載の航空機。 - 前記最外舷フィッティングと前記外翼フィッティングとは、
リンクを介してピン結合されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の航空機。 - 前記外翼フィッティングは、
前記最外舷フィッティングよりも外舷側に位置している、
ことを特徴とする請求項3に記載の航空機。
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