JP2016054449A - 切替装置、受信装置及びアンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回路切り替えにおける信号の損失および雑音指数を改善することができる切替装置、受信装置及びアンテナ装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の切替装置は、第1の共振器と、第2の共振器と、第3の共振器と、第4の共振器とを持つ。前記第1の共振器は、第1の端子に接続された共振器である。前記第2の共振器は、第2の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能な共振器である。前記第3の共振器は、第3の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された共振器である。前記第4の共振器は、前記第2の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された共振器である。
【選択図】図3
【解決手段】実施形態の切替装置は、第1の共振器と、第2の共振器と、第3の共振器と、第4の共振器とを持つ。前記第1の共振器は、第1の端子に接続された共振器である。前記第2の共振器は、第2の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能な共振器である。前記第3の共振器は、第3の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された共振器である。前記第4の共振器は、前記第2の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された共振器である。
【選択図】図3
Description
本発明の実施形態は、切替装置、受信装置及びアンテナ装置に関する。
近年、通信機器に備えられるフィルタ装置として、フィルタパターンを形成する導体に超伝導体を用いて形成された超伝導フィルタが用いられている。超伝導フィルタは、その低損失な特性を生かすことで急峻なカットオフ特性を有し、目的の周波数範囲外の電波の漏れを少なくすることができる。しかし、超伝導フィルタを機能させるためには、超伝導体が超伝導状態になるまで超伝導フィルタを十分冷却する必要がある。一方、超伝導体が超伝導状態になるまで冷却されていない場合、導体の抵抗が非常に高くなるため、超伝導状態になるまで回路として動作しない問題がある。そこで、超伝導フィルタの他に常温で機能する誘電体フィルタを設け、超伝導フィルタと誘電体フィルタとをスイッチで切り替える方法が提案されている。
しかしながら、このようなスイッチを設けた場合、スイッチで損失が発生し、信号強度の減衰や、受信機として用いる場合には雑音指数が悪化する問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、回路切り替えにおける信号の損失および雑音指数を改善することができる切替装置、受信装置及びアンテナ装置を提供することである。
実施形態の切替装置は、第1の共振器と、第2の共振器と、第3の共振器と、第4の共振器とを持つ。前記第1の共振器は、第1の端子に接続された共振器である。前記第2の共振器は、第2の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能な共振器である。前記第3の共振器は、第3の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された共振器である。前記第4の共振器は、前記第2の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された共振器である。
以下、実施形態の切替装置、受信装置及びアンテナ装置を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のフェーズドアレイアンテナの構成図である。ここでは、一例として、n個のアンテナ素子を有するフェーズドアレイアンテナ(アンテナ装置)を示している。
図1は、第1の実施形態のフェーズドアレイアンテナの構成図である。ここでは、一例として、n個のアンテナ素子を有するフェーズドアレイアンテナ(アンテナ装置)を示している。
フェーズドアレイアンテナは、複数のアンテナ素子100−1〜100−nと、複数の送受信切替装置110−1〜110−nと、複数の帯域通過フィルタ:BPF(Band-Pass Filter)120−1〜120−nと、複数の電力増幅器:PA(Power Amplifier)130−1〜130−nと、複数の移相器140−1〜140−nと、複数の受信装置200−1〜200−nと、複数の低雑音増幅器:LNA(Low Noise Amplifier)150−1〜150−nと、複数の移相器160−1〜160−nと、分配器170と、合成器180とを備える。
アンテナ素子100−1〜100−nを用いて信号が送信される場合、分配器170は送信信号を移相器140−1〜140−nに分配する。移相器140−1〜140−nは、分配されたそれぞれの送信信号の位相を調整し、PA130−1〜130−nに出力する。PA130−1〜130−nは、移相器140−1〜140−nにより位相を調整された信号をそれぞれ増幅し、BPF120−1〜120−nに出力する。BPF120−1〜120−nは、所定の送信周波数の成分の信号を抽出して、送受信切替装置110−1〜110−nに出力する。
アンテナ素子100−1〜100−nを用いて信号が送信される場合、外部の制御部(不図示)から送受信切替装置110−1〜110−nに送信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、送受信切替装置110−1〜110−nは、BPF120−1〜120−nから入力された信号をアンテナ素子100−1〜100−nに送信するよう内部の信号伝達ルートを切り替える。これによって、BPF120−1〜120−nから入力された信号は、アンテナ素子100−1〜100−nを介して外部へと信号が出力される。
一方、アンテナ素子100−1〜100−nを用いて信号が受信される場合、外部の制御部(不図示)から送受信切替装置110−1〜110−nに受信モードへ切り替えるための切替信号が入力される。この信号が入力されたことに応じて、送受信切替装置110−1〜110−nは、アンテナ素子100−1〜100−nからの信号を受信装置200−1〜200−nに送信するよう内部の信号伝達ルートを切り替える。
また、詳細は後述するが、受信装置200−1〜200−nは、アンテナ素子100−1〜100−nから入力された信号から所定の受信周波数の成分の信号を抽出するフィルタ機能を有する。受信装置200−1〜200−nは、抽出した受信周波数の成分の信号をLNA150−1〜150−nへと出力する。
LNA150−1〜150−nは、ノイズの発生が少ない増幅器である。LNA150−1〜150−nは、受信装置200−1〜200−nから入力された信号を増幅し、移相器160−1〜160−nに出力する。移相器160−1〜160−nは、LNA150−1〜150−nから入力されたそれぞれの信号の位相を調整し、合成器180に出力する。
合成器180は、移相器160−1〜160−nから入力された信号を合成し、合成波を出力する。各移相器160−1〜160−nがそれぞれの信号の位相を調整し、合成器180が位相を調整されたそれぞれの信号を合成することで、特定方向からの信号を高感度に受信することができる。
図2は、第1の実施形態の受信装置200の構成図である。以下、各装置の符号について、いずれの系列の装置であるかを示す「−」以下の符号を省略して説明する。受信装置200は、送受信切替装置110に接続されたリミッタ201と、リミッタ201及びLNA150に接続された切替装置220と、切替装置220に接続されたBPF(Band-Pass Filter)202と、BPF202に接続されたLNA(Low Noise Amplifier)203とを備える。
また、受信装置200は、リミッタ201と切替装置220とを接続するための第1の端子211と、LNA150と切替装置220とを接続するための第2の端子212と、BPF202と切替装置220とを接続するための第3の端子213とを備える。
リミッタ201は、切替装置220に大電流が流れて切替装置220が故障することを防止するために、送受信切替装置110から入力された受信信号の電力を制限する。BPF202は、所定の受信周波数の成分の信号を抽出して、LNA203に出力する。LNA203は、ノイズの発生が少ない増幅器である。LNA203は、BPF202から入力された信号を増幅し、LNA150に出力する。
図3は、第1の実施形態の切替装置220の構成図である。切替装置220は、常伝導共振器221と、常伝導共振器222と、超伝導共振器223と、超伝導共振器224とを備える。第1の端子211は、常伝導共振器221に接続されている。第2の端子212は、常伝導共振器222に接続されている。第3の端子213は、超伝導共振器223に接続されている。常伝導共振器221、常伝導共振器222、超伝導共振器223及び超伝導共振器224は、共振周波数がf0に設定されている。
常伝導共振器221、常伝導共振器222、超伝導共振器223及び超伝導共振器224は、基板上に形成されたマイクロストリップラインのパターンを有する構造である。また、常伝導共振器221及び222が設けられた基板と超伝導共振器223及び224が設けられた基板との間隔は、常伝導共振器221と超伝導共振器223との間で電磁界結合が成立し、常伝導共振器222と超伝導共振器224との間で電磁界結合が成立する距離となるように設定されている。ここで、電磁界結合とは、電磁波による無線結合を意味する。
また、基板上における常伝導共振器221と常伝導共振器222との間の距離も、電磁界結合が成立する距離となるように設定されている。ここで、各共振器間の距離を調整するために結合を補助する線路などを別途配置しても良い。
なお、共振周波数f0の常伝導共振器221と常伝導共振器222が結合し共振器間で信号の受け渡しが行われると信号の位相が180度変化し反転するため、逆相となる。また、共振周波数f0の常伝導共振器221と超伝導共振器223との間及び常伝導共振器222と超伝導共振器224との間においても同様に、共振器間結合により信号の受け渡しが行われると信号の位相が反転するため、逆相となる。本実施形態では、共振周波数f0は3.0[GHz]に設定されている。
次に、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されている場合の、切替装置220の動作について説明する。アンテナ素子100により受信された信号は、送受信切替装置110及びリミッタ201を通過し、第1の端子211に入力される。常伝導共振器221の共振周波数はf0に設定されているため、常伝導共振器221は第1の端子211から入力された信号から周波数f0の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。また、超伝導共振器223の共振周波数もf0であるため、常伝導共振器221と超伝導共振器223との間に電磁界結合が成立する。
常伝導共振器221と超伝導共振器223との間に電磁界結合が成立すると、超伝導共振器223は、常伝導共振器221から出力された周波数f0の信号を受信し、受信した信号を第3の端子213へと出力することができる。
超伝導共振器223及び224は、冷却板225上に設けられている。冷却板225は、冷却部226によって冷却される。冷却板225には熱伝導率の高い材料を用いることが好ましく、例えば銅等の金属を用いるとよい。また、制御部229は、超伝導共振器223及び224が、超伝導状態となる臨界温度Tc以下となるまで冷却されるように、冷却部226を制御する。
超伝導共振器223及び224は、超伝導状態となる臨界温度Tc以下まで冷却されると、電気抵抗が大きく低下する。このため、臨界温度Tc以下まで十分冷却された超伝導共振器223及び224を用いることで、信号の損失および雑音指数を改善することができる。一例として、超伝導共振器223及び224は、酸化マグネシウム基板上にイットリウム系超伝導体のマイクロストリップラインを設けた構造とすればよい。また、超伝導材料には、ニオブまたはニオブすずといった超伝導体、およびY系銅酸化物高温超伝導を用いても良い。また、超伝導体と銅、金、銀といった金属が複合されても良い。超伝導共振器223及び224が配置される基板は、酸化マグネシウム、サファイアまたはアルミン酸ランタンといった、多様の適した材料を用いても良い。
また、超伝導共振器223及び224は常伝導共振器221及び222に比べて高いQ値を実現できるため、急峻なカットオフ特性を有する。従って、切替装置220に超伝導共振器223を用いることで、目的の周波数範囲の信号を効率よく抽出することができる。
また、超伝導共振器223、超伝導共振器224、冷却板225及び冷却部226は、チャンバー227の内部に収容されている。ポンプ228は、制御部229によって制御され、チャンバー227の内部の空気を吸い出すことで、チャンバー227の内部を真空に近い状態にする。これによって、高い断熱効果が得られ、冷却部226の冷却効率を高めることができる。
なお、図2に示されるBPF202とLNA203を、超伝導共振器223及び224と同様にチャンバー227内で冷却してもよい。これによって、BPF202における損失を低減でき、更にLNA203で付加される熱雑音を下げることができる。
一方、常伝導共振器221の共振周波数と常伝導共振器222の共振周波数は共にf0であるため、常伝導共振器221と常伝導共振器222との間に電磁界結合が成立する。常伝導共振器221と常伝導共振器222との間に電磁界結合が成立すると、常伝導共振器222は、常伝導共振器221から出力された周波数f0の信号を受信し、受信した信号を出力する。
ここで、常伝導共振器222の共振周波数(f0)と超伝導共振器224の共振周波数(f0)とは等しいため、常伝導共振器222と超伝導共振器224との間に電磁界結合が成立する。常伝導共振器222と超伝導共振器224との間に電磁界結合が成立すると、超伝導共振器224は、常伝導共振器222から出力された周波数f0の信号を受信し、受信した信号を出力する。
また、常伝導共振器222と超伝導共振器224との間に電磁界結合が成立しているため、超伝導共振器224から出力された周波数f0の信号は、常伝導共振器222により受信される。つまり、常伝導共振器222から出力された信号は、超伝導共振器224で反射して常伝導共振器222に戻ってくる。
前述したように、常伝導共振器222から超伝導共振器224への信号の受け渡し、反射してきた信号は、信号の位相が180度反転する。このため、常伝導共振器222に戻ってきた信号の位相が元の信号の位相に対して180度ずれることとなる。従って、常伝導共振器222において、元の信号に対して逆位相の信号が重畳されることとなり、2つの信号は互いに打ち消し合い、第2の端子212からは信号が殆ど出力されない。
このように、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されている場合は、第2の端子212からは受信信号が殆ど出力されず、第3の端子213から周波数f0の受信信号が出力される。第3の端子213から出力された周波数f0の受信信号は、BPF202及びLNA203を通過して、LNA150へと出力される。
次に、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されていない場合の、切替装置220の動作について説明する。アンテナ素子100により受信された信号は、送受信切替装置110及びリミッタ201を通過し、第1の端子211に入力される。常伝導共振器221の共振周波数はf0に設定されているため、常伝導共振器221は第1の端子211から入力された信号から周波数f0の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。
冷却部226による冷却開始直後や冷却部226が故障した場合には、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されない。この場合、超伝導共振器223は抵抗体となり、共振器として十分機能しなくなる。従って、常伝導共振器221と超伝導共振器223との間に電磁界結合は成立せず、第3の端子213から信号が出力されない。
一方、常伝導共振器221の共振周波数と常伝導共振器222の共振周波数は共にf0であるため、常伝導共振器221と常伝導共振器222との間に電磁界結合が成立する。常伝導共振器221と常伝導共振器222との間に電磁界結合が成立すると、常伝導共振器222は、常伝導共振器221から出力された周波数f0の信号を受信する。
ここで、超伝導共振器224は臨界温度Tc以下まで十分冷却されていないことから、超伝導共振器224は抵抗体となり、共振器として十分機能しない。このため、常伝導共振器222と超伝導共振器224との間に電磁界結合は成立せず、超伝導共振器224から逆位相の信号が反射してこなくなる。従って、常伝導共振器221から受信した信号は打ち消されることなく、第2の端子212から出力される。
このように、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されていない場合は、第3の端子213からは受信信号が殆ど出力されず、第2の端子212から周波数f0の受信信号が出力される。第2の端子212から出力された周波数f0の受信信号は、LNA150へと出力される。
本実施形態によれば、超伝導共振器223及び224が超伝導状態か非超伝導状態かに応じて、自動的に信号伝達ルートが切り替わる。このため、本実施形態は、超伝導共振器223及び224の温度を測定するための温度計や、温度計の測定結果に応じて信号伝達ルートを切り替える制御部が不要であり、製造コストの増加を抑制することができる。
図4は、第1の実施形態における非超伝導状態時の回路の周波数特性を示す図である。ここで、「非超伝導状態」とは、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されておらず、超伝導状態となっていない状態を意味する。図4において、縦軸は減衰率[dB]を表し、横軸は周波数[GHz]を表す。
第1の特性S11は、第1の端子211から入力され、切替装置220内で反射して第1の端子211に戻ってくる信号の周波数特性を示す。また、第2の特性S21は、第1の端子211から入力され、第2の端子212から出力される信号の周波数特性を示す。また、第3の特性S31は、第1の端子211から入力され、第3の端子213から出力される信号の周波数特性を示す。
図4に示されるように、各共振器の共振周波数f0(3.0[GHz])において、第1の特性S11は約−20[dB]、第2の特性S21は約−2[dB]、第3の特性S31は約−32[dB]となっている。このため、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されていない場合、第1の端子211から入力された信号は第2の端子212から出力されるが、第3の端子213からは殆ど出力されないことが理解できる。
図5は、第1の実施形態における超伝導状態時の回路の周波数特性を示す図である。ここで、「超伝導状態」とは、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されることにより、超伝導状態となっている状態を意味する。図5において、縦軸は減衰率[dB]を表し、横軸は周波数[GHz]を表す。
図5に示されるように、各共振器の共振周波数f0(3.0[GHz])において、第1の特性S11は約−21[dB]、第2の特性S21は約−50[dB]、第3の特性S31は約0[dB]となっている。このため、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されている場合、第1の端子211から入力された信号は第3の端子213から出力されるが、第2の端子212からは殆ど出力されないことが理解できる。また、S31の特性より、3.0[GHz]付近の特定の周波数は通過するが、その他の周波数帯では信号が通過しないようになっており、フィルタ特性を有していることがわかる。
以上説明した本実施形態によれば、第1の端子211に接続された常伝導共振器221と、第2の端子212に接続され、常伝導共振器221と電磁界結合可能な常伝導共振器222と、第3の端子213に接続され、常伝導共振器221と電磁界結合可能な超伝導共振器223と、常伝導共振器221と電磁界結合可能な超伝導共振器224とを備えることにより、信号の損失および雑音指数を改善するとともに、フィルタ特性も付加でき、製造コストの増加を抑制することができる。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態の切替装置220の構成図である。第2の実施形態は、超伝導共振器223が超伝導共振器224と電磁界結合可能であり、超伝導共振器224に第3の端子213が接続されている点で第1の実施形態と異なる。以下、係る相違点を中心に説明する。
図6は、第2の実施形態の切替装置220の構成図である。第2の実施形態は、超伝導共振器223が超伝導共振器224と電磁界結合可能であり、超伝導共振器224に第3の端子213が接続されている点で第1の実施形態と異なる。以下、係る相違点を中心に説明する。
図6において、切替装置220は、第1の端子211に接続された常伝導共振器221と、第2の端子212に接続された常伝導共振器222と、いずれの端子とも接続されていない超伝導共振器223と、第3の端子213に接続された超伝導共振器224とを備える。常伝導共振器221、常伝導共振器222、超伝導共振器223及び超伝導共振器224は、共振周波数がf0に設定されている。
第1の実施形態と同様に、共振周波数f0の常伝導共振器221と常伝導共振器222との間で結合することで信号の受け渡しが行われると、信号の位相が180度反転する。また、常伝導共振器221と超伝導共振器223との間、常伝導共振器222と超伝導共振器224との間、超伝導共振器223と超伝導共振器224との間においても同様に、信号の受け渡しが行われると、信号の位相が180度反転する。本実施形態では、共振周波数f0は3.0[GHz]に設定されている。
次に、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されている場合の、切替装置220の動作について説明する。なお、本実施形態における、超伝導共振器223及び224を冷却するための構成(冷却板225、冷却部226、チャンバー227、ポンプ228等)は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
まず、第3の端子213から出力される信号について説明する。アンテナ素子100により受信された信号は、送受信切替装置110及びリミッタ201を通過し、第1の端子211に入力される。常伝導共振器221の共振周波数はf0に設定されているため、常伝導共振器221は第1の端子211から入力された信号から周波数f0の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。また、超伝導共振器223の共振周波数もf0であるため、常伝導共振器221と超伝導共振器223との間に電磁界結合が成立する。
常伝導共振器221と超伝導共振器223との間に電磁界結合が成立すると、超伝導共振器223は、常伝導共振器221から出力された周波数f0の信号を受信し、受信した信号を出力する。また、超伝導共振器224の共振周波数もf0であるため、超伝導共振器223と超伝導共振器224との間に電磁界結合が成立する。
超伝導共振器223と超伝導共振器224との間に電磁界結合が成立すると、超伝導共振器224は、超伝導共振器223から出力された周波数f0の信号を受信する。このように、第1の端子211に入力された受信信号は、常伝導共振器221及び超伝導共振器223を経て、超伝導共振器224へと到達する(第1のルート)。
一方、常伝導共振器221の共振周波数と常伝導共振器222の共振周波数はf0で等しいため、常伝導共振器221と常伝導共振器222との間に電磁界結合が成立する。
常伝導共振器221と常伝導共振器222との間に電磁界結合が成立すると、常伝導共振器222は、常伝導共振器221から出力された周波数f0の信号を受信し、受信した信号を出力する。また、超伝導共振器224の共振周波数もf0であるため、常伝導共振器222と超伝導共振器224との間に電磁界結合が成立する。
常伝導共振器222と超伝導共振器224との間に電磁界結合が成立すると、超伝導共振器224は、常伝導共振器222から出力された周波数f0の信号を受信する。このように、第1の端子211に入力された受信信号は、常伝導共振器221及び常伝導共振器222を経て、超伝導共振器224へと到達する(第2のルート)。
本実施形態においては、第1のルート(常伝導共振器221→超伝導共振器223→超伝導共振器224)を通過した信号の位相はトータル180度進む。一方、第2のルート(常伝導共振器221→常伝導共振器222→超伝導共振器224)を通過した信号の位相もトータル180度進む。従って、第1のルートを通過した信号の位相と、第2のルートを通過した信号の位相は等しくなる。このため、第1のルートを経由した信号と、第2のルートを経由した信号とは、同相となり合成されて第3の端子213から出力される。
次に、第2の端子212から出力される信号について説明する。前述したように、第1の端子211に入力された受信信号は、常伝導共振器221及び超伝導共振器223を経て、超伝導共振器224へと到達する(第1のルート)。超伝導共振器224は、超伝導共振器223から出力された周波数f0の信号を受信し、受信した信号を出力する。また、常伝導共振器222の共振周波数もf0であるため、超伝導共振器224と常伝導共振器222との間に電磁界結合が成立する。
超伝導共振器224と常伝導共振器222との間に電磁界結合が成立すると、常伝導共振器222は、超伝導共振器224から出力された周波数f0の信号を受信する。このように、第1の端子211に入力された受信信号は、常伝導共振器221、超伝導共振器223及び超伝導共振器224を経て、常伝導共振器222へと到達する(第3のルート)。
また、第1の端子211に入力された受信信号は、常伝導共振器221を経て、常伝導共振器222へと到達する(第4のルート)。
本実施形態においては、共振周波数もf0において第3のルート(常伝導共振器221→超伝導共振器223→超伝導共振器224→常伝導共振器222)を通過した信号の位相は360度進む。一方、第4のルート(常伝導共振器221→常伝導共振器222)を通過した信号の位相は180度進む。このため、常伝導共振器222において、第3のルートを経由した信号に対して、第4のルートを経由した逆位相の信号が重畳されることとなり、2つの信号は互いに打ち消し合うこととなる。従って、第2の端子212からは信号が殆ど出力されない。
このように、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されている場合は、第2の端子212からは受信信号が殆ど出力されず、第3の端子213から周波数f0の受信信号が出力される。第3の端子213から出力された周波数f0の受信信号は、BPF202及びLNA203を通過して、LNA150へと出力される。
次に、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されていない場合の、切替装置220の動作について説明する。アンテナ素子100により受信された信号は、送受信切替装置110及びリミッタ201を通過し、第1の端子211に入力される。常伝導共振器221の共振周波数はf0に設定されているため、常伝導共振器221は第1の端子211から入力された信号から周波数f0の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。
冷却部226による冷却開始直後や冷却部226が故障した場合には、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されない。この場合、超伝導共振器223は抵抗体となり、共振器として十分機能しなくなる。従って、常伝導共振器221と超伝導共振器223との間に電磁界結合は成立しない。
一方、常伝導共振器221の共振周波数と常伝導共振器222の共振周波数は共にf0であるため、常伝導共振器221と常伝導共振器222との間に電磁界結合が成立する。常伝導共振器221と常伝導共振器222との間に電磁界結合が成立すると、常伝導共振器222は、常伝導共振器221から出力された周波数f0の信号を受信する。
ここで、超伝導共振器224は臨界温度Tc以下まで十分冷却されていないことから、超伝導共振器224は抵抗体となり、共振器として十分機能しない。このため、常伝導共振器222と超伝導共振器224との間に電磁界結合は成立しない。従って、常伝導共振器221から受信した信号は、第2の端子212から出力される一方、第3の端子213からは出力されない。
このように、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されていない場合は、第3の端子213からは受信信号が殆ど出力されず、第2の端子212から周波数f0の受信信号が出力される。第2の端子212から出力された周波数f0の受信信号は、LNA150へと出力される。
本実施形態によれば、超伝導共振器223及び224が超伝導状態か非超伝導状態かに応じて、自動的に信号伝達ルートが切り替わる。このため、本実施形態は、超伝導共振器223及び224の温度を測定するための温度計や、温度計の測定結果に応じて信号伝達経路を切り替える制御部が不要であり、製造コストの増加を抑制することができる。
図7は、第2の実施形態における非超伝導状態時の回路の周波数特性を示す図である。図7において、縦軸は減衰率[dB]を表し、横軸は周波数[GHz]を表す。
第1の特性S11は、第1の端子211から入力され、切替装置220内で反射して第1の端子211に戻ってくる信号の周波数特性を示す。また、第2の特性S21は、第1の端子211から入力され、第2の端子212から出力される信号の周波数特性を示す。また、第3の特性S31は、第1の端子211から入力され、第3の端子213から出力される信号の周波数特性を示す。
図7に示されるように、各共振器の共振周波数f0(3.0[GHz])において、第1の特性S11は約−10[dB]、第2の特性S21は約−1[dB]、第3の特性S31は約−33[dB]となっている。このため、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されていない場合、第1の端子211から入力された信号は第2の端子212から出力されるが、第3の端子213からは殆ど出力されないことが理解できる。
図8は、第2の実施形態における超伝導状態時の回路の周波数特性を示す図である。図8において、縦軸は減衰率[dB]を表し、横軸は周波数[GHz]を表す。
図8に示されるように、各共振器の共振周波数f0(3.0[GHz])において、第1の特性S11は約−17[dB]、第2の特性S21は約−50[dB]、第3の特性S31は約0[dB]となっている。このため、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されている場合、第1の端子211から入力された信号は第3の端子213から出力されるが、第2の端子212からは殆ど出力されないことが理解できる。
図9は、第2の実施形態における、超伝導状態時に第1のルート(常伝導共振器221→超伝導共振器223→超伝導共振器224)を通過した信号の振幅と位相を示す図である。また、図10は、第2の実施形態における、超伝導状態時に第2のルート(常伝導共振器221→常伝導共振器222→超伝導共振器224)を通過した信号の振幅と位相を示す図である。図9及び図10において、左縦軸は減衰率[dB]を表し、右縦軸は位相[度]を表し、横軸は周波数[GHz]を表す。
図9に示されるように、各共振器の共振周波数f0(3.0[GHz])において、第1のルートを通過した信号の振幅は約0[dB]であり、ほぼ減衰されない。一方、第1のルートを通過した信号の位相は180度(−180度)である。つまり、第1のルートを通過した信号の位相は、第1の端子211から入力された信号の位相に対して逆相となり半波長ずれていることとなる。
これに対し、図10に示されるように、各共振器の共振周波数f0(3.0[GHz])において、第2のルートを通過した信号の振幅は約0[dB]であり、ほぼ減衰されない。一方、第2のルートを通過した信号の位相は180度(−180度)である。つまり、第2のルートを通過した信号の位相は、第1の端子211から入力された信号の位相に対して逆相となり半波長ずれていることとなる。
このように、第1のルートを通過した信号の位相及び第2のルートを通過した信号の位相は、いずれも第1の端子211から入力された信号の位相に対して半波長ずれていることとなる。このため、第1のルートを通過した信号と第2のルートを通過した信号とは同位相となる。従って、第3の端子213からは、第1のルートを通過した信号と第2のルートを通過した信号とが合成されて出力される。
図11は、第2の実施形態における、超伝導状態時に第3のルート(常伝導共振器221→超伝導共振器223→超伝導共振器224→常伝導共振器222)を通過した信号の振幅と位相を示す図である。また、図12は、第2の実施形態における、超伝導状態時に第4のルート(常伝導共振器221→常伝導共振器222)を通過した信号の振幅と位相を示す図である。図11及び図12において、左縦軸は減衰率[dB]を表し、右縦軸は位相[度]を表し、横軸は周波数[GHz]を表す。
図11に示されるように、各共振器の共振周波数f0(3.0[GHz])において、第3のルートを通過した信号の振幅は約0[dB]であり、ほぼ減衰されない。一方、第3のルートを通過した信号の位相は約90度である。
これに対し、図12に示されるように、各共振器の共振周波数f0(3.0[GHz])において、第4のルートを通過した信号の振幅は約0[dB]でありほぼ減衰されない。一方、第4のルートを通過した信号の位相は約−90度である。
このように、第3のルートを通過した信号の位相と、第4のルートを通過した信号の位相との差は、180度(半波長)となる。このため、第3のルートを通過した信号と第4のルートを通過した信号とは逆位相となる。従って、これらの信号は打ち消し合い、第3の端子213からは、殆ど信号が出力されない。
以上説明した本実施形態によれば、第1の端子211に接続された常伝導共振器221と、第2の端子212に接続され、常伝導共振器221と電磁界結合可能な常伝導共振器222と、常伝導共振器221と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された超伝導共振器223と、第3の端子213に接続され、常伝導共振器222及び超伝導共振器223と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された超伝導共振器224とを備えることにより、信号の損失および雑音指数を改善するとともに、製造コストの増加を抑制することができる。
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態の切替装置220の構成図である。第3の実施形態は、複数の超伝導共振器223−1〜223−nが設けられている点で第1の実施形態と異なる。以下、係る相違点を中心に説明する。
図13は、第3の実施形態の切替装置220の構成図である。第3の実施形態は、複数の超伝導共振器223−1〜223−nが設けられている点で第1の実施形態と異なる。以下、係る相違点を中心に説明する。
まず、超伝導共振器223−1〜223−n及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されている場合の、切替装置220の動作について説明する。なお、本実施形態は、超伝導共振器223−1〜223−n以外の構成については、第1の実施形態と同様である。また、他の実施形態と同様に、本実施形態における全ての共振器は共振周波数がf0(3.0[GHz])に設定されている。
アンテナ素子100により受信された信号は、送受信切替装置110及びリミッタ201を通過し、第1の端子211に入力される。常伝導共振器221の共振周波数はf0に設定されているため、常伝導共振器221は第1の端子211から入力された信号から周波数f0の信号を抽出し、抽出した信号を出力する。また、超伝導共振器223−1の共振周波数もf0であるため、常伝導共振器221と超伝導共振器223−1との間に電磁界結合が成立する。
常伝導共振器221と超伝導共振器223−1との間に電磁界結合が成立すると、超伝導共振器223−1は、常伝導共振器221から出力された周波数f0の信号を受信し、受信した信号を出力する。また、超伝導共振器223−2〜223−nの共振周波数もf0であるため、隣り合う超伝導共振器間で電磁界結合が成立する。
このため、超伝導共振器223−1から出力された信号は超伝導共振器223−nまで到達する。これによって、超伝導共振器223−nは、受信した周波数f0の信号を第3の端子213へと出力することができる。
本実施形態のように、複数の超伝導共振器223−1〜223〜nを設けることで、これらの超伝導共振器を急峻なカットオフ特性を持つフィルタ装置として機能させることができ、目的の周波数範囲外の電波の漏れを少なくすることができる。このため、本実施形態では、BPF202を省略することが可能となり、製造コストの増加を更に抑制することができる。
なお、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されていない場合の切替装置220の動作については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
以上説明した本実施形態によれば、第1の端子211に接続された常伝導共振器221と、第2の端子212に接続され、常伝導共振器221と電磁界結合可能な常伝導共振器222と、第3の端子213に接続され、常伝導共振器221と電磁界結合可能な複数の超伝導共振器223−1〜223〜nと、常伝導共振器221と電磁界結合可能な超伝導共振器224とを備えることにより、信号の損失および雑音指数を改善するとともに、製造コストの増加を抑制することができる。
(第4の実施形態)
図14は、第4の実施形態の切替装置220の構成図である。第4の実施形態は、切替装置220をラットレース回路として使用する点で、他の実施形態と異なる。以下、係る相違点を中心に説明する。
図14は、第4の実施形態の切替装置220の構成図である。第4の実施形態は、切替装置220をラットレース回路として使用する点で、他の実施形態と異なる。以下、係る相違点を中心に説明する。
図14において、切替装置220は、第1の端子211に接続された常伝導共振器221と、第2の端子212に接続された常伝導共振器222と、第3の端子213に接続された超伝導共振器223と、第4の端子214に接続された超伝導共振器224とを備える。常伝導共振器221、常伝導共振器222、超伝導共振器223及び超伝導共振器224は、共振周波数がf0に設定されている。
他の実施形態と同様に、常伝導共振器221と常伝導共振器222との間および常伝導共振器222と超伝導共振器224との間でそれぞれ結合している。また、常伝導共振器221と超伝導共振器223との間及び超伝導共振器223と超伝導共振器224との間でそれぞれ結合している場合において、超伝導共振器223と超伝導共振器224との間での結合の符号を、他の結合と逆符号に設定することで位相を逆位相となる回路を構成する。なお、本実施形態において、共振周波数f0は3.0[GHz]に設定されている。
以下、本実施形態における切替装置220の動作について説明する。本実施形態において、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されている場合、切替装置220はラットレース回路として動作する。なお、本実施形態における、超伝導共振器223及び224を冷却するための構成(冷却板225、冷却部226、チャンバー227、ポンプ228等)は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
まず、超伝導共振器223及び224が超伝導状態時において、第1の端子211から常伝導共振器221に信号が入力される場合について説明する。超伝導共振器224において、第1のルート(常伝導共振器221→超伝導共振器223→超伝導共振器224)を通過した信号の位相のずれは、超伝導共振器223と超伝導共振器224間の結合の符号を逆符号にすることで、第2のルート(常伝導共振器221→常伝導共振器222→超伝導共振器224)を通過した信号の位相と逆相となる。
このため、超伝導共振器224において、第1のルートを経由した信号に対して、第2のルートを経由した逆位相の信号が重畳されることとなり、2つの信号は互いに打ち消し合うこととなる。従って、第4の端子214からは信号が殆ど出力されない。このように、第4の端子214はアイソレーションポートとなる。
また、常伝導共振器222において、第3のルート(常伝導共振器221→超伝導共振器223→超伝導共振器224→常伝導共振器222)を通過した信号の位相は第4のルート(常伝導共振器221→常伝導共振器222)を通過した信号の位相と同相となる。
このため、常伝導共振器222において、第3のルートを経由した信号の位相と、第4のルートを経由した信号の位相となる。従って、第3のルートを経由した信号と、第4のルートを経由した信号とは、合成されて第2の端子212から出力される。
また、超伝導共振器223においては、第5のルート(常伝導共振器221→超伝導共振器223)を通過した信号と、第6のルート(常伝導共振器221→常伝導共振器222→超伝導共振器224→超伝導共振器223)を通過した信号とが重畳される。第5のルートを通過した信号の位相は、第6のルートを通過した信号の位相と同相となる。
このため、超伝導共振器223において、第5のルートを経由した信号の位相と、第6のルートを経由した信号の位相とは等しい。従って、第5のルートを経由した信号と、第6のルートを経由した信号とは、合成されて第3の端子213から出力される。
このように、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されている場合は、第4の端子214からは受信信号が殆ど出力されず、第2の端子212及び第3の端子213から周波数f0の受信信号が等分配で出力される。従って、切替装置220はラットレース回路として動作する。
一方、冷却部226による冷却開始直後や冷却部226が故障した場合には、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されない。この場合、超伝導共振器223及び224が抵抗体となり、共振器として十分機能しなくなる。従って、常伝導共振器221と超伝導共振器223との間に電磁界結合は成立せず、第3の端子213から信号が出力されない。また、常伝導共振器222と超伝導共振器224との間に電磁界結合は成立せず、第4の端子214からも信号が出力されない。これに対し、常伝導共振器221と常伝導共振器222との間の電磁界結合は成立するため、第2の端子212からは周波数f0の受信信号が出力される。
次に、超伝導共振器223及び224が超伝導状態時において、第2の端子212から常伝導共振器222に信号が入力される場合について説明する。超伝導共振器223において、第7のルート(常伝導共振器222→超伝導共振器224→超伝導共振器223)を通過した信号と、第8のルート(常伝導共振器222→常伝導共振器221→超伝導共振器223)を通過した信号とが重畳される。第7のルートを通過した信号の位相と第8のルートを通過した信号の位相差は180度となる。
このため、超伝導共振器223において、第7のルートを経由した信号に対して、第8のルートを経由した逆位相の信号が重畳されることとなり、2つの信号は互いに打ち消し合うこととなる。従って、第3の端子213からは信号が殆ど出力されない。このように、第3の端子213はアイソレーションポートとなる。
また、常伝導共振器221においては、第9のルート(常伝導共振器222→超伝導共振器224→超伝導共振器223→常伝導共振器221)を通過した信号と、第10のルート(常伝導共振器222→常伝導共振器221)を通過した信号とが重畳される。第9のルートを通過した信号の位相と第10のルートを通過した信号の位相は同相となる。
このため、常伝導共振器221において、第9のルートを経由した信号の位相と、第10のルートを経由した信号の位相とは等しい。従って、第9のルートを経由した信号と、第10のルートを経由した信号とは、合成されて第1の端子211から出力される。
また、超伝導共振器224においては、第11のルート(常伝導共振器222→超伝導共振器224)を通過した信号と、第12のルート(常伝導共振器222→常伝導共振器221→超伝導共振器223→超伝導共振器224)を通過した信号とが重畳される。第11のルートを通過した信号の位相と第12のルートを通過した信号の位相は同相となる。
このため、超伝導共振器224において、第11のルートを経由した信号の位相と、第12のルートを経由した信号の位相とは等しい。従って、第11のルートを経由した信号と、第12のルートを経由した信号とは、合成されて第4の端子214から出力される。
このように、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されている場合は、第3の端子213からは受信信号が殆ど出力されず、第1の端子211及び第4の端子214から周波数f0の受信信号が等分配で出力される。従って、切替装置220はラットレース回路として動作する。
一方、冷却部226による冷却開始直後や冷却部226が故障した場合には、超伝導共振器223及び224が臨界温度Tc以下まで十分冷却されない。この場合、超伝導共振器223及び224が抵抗体となり、共振器として十分機能しなくなる。従って、常伝導共振器222と超伝導共振器224との間に電磁界結合は成立せず、第4の端子214から信号が出力されない。また、常伝導共振器221と超伝導共振器223との間に電磁界結合は成立せず、第3の端子213からも信号が出力されない。これに対し、常伝導共振器221と常伝導共振器222との間の電磁界結合は成立するため、第1の端子211からは周波数f0の受信信号が出力される。
以上説明した実施形態では、冷却部226は超伝導共振器223及び224を冷却するとしたが、常伝導共振器221及び常伝導共振器222についても、チャンバー227内で冷却してもよい。これによって、常伝導共振器221及び常伝導共振器222を経由する信号の損失をより低減することができる。
本実施形態によれば、切替装置220をラットレース回路として使用する場合であっても、超伝導共振器223及び224が超伝導状態か非超伝導状態かに応じて、自動的に信号伝達ルートが切り替わる。このため、本実施形態は、超伝導共振器223及び224の温度を測定するための温度計や、温度計の測定結果に応じて信号伝達経路を切り替える制御部が不要であり、製造コストの増加を抑制することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第1の端子211に接続された常伝導共振器221と、第2の端子212に接続され、常伝導共振器221と電磁界結合可能な常伝導共振器222と、第3の端子213に接続され、常伝導共振器221と電磁界結合可能な超伝導共振器223と、常伝導共振器221と電磁界結合可能な超伝導共振器224とを持つことにより、信号の損失および雑音指数を改善することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
100…アンテナ素子、200…受信装置、201…リミッタ、202…BPF、203…LNA、211…第1の端子、212…第2の端子、213…第3の端子、214…第4の端子、220…切替装置、221…常伝導共振器、222…常伝導共振器、223…超伝導共振器、224…超伝導共振器、226…冷却部
Claims (19)
- 第1の端子に接続された第1の共振器と、
第2の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能な第2の共振器と、
第3の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第3の共振器と、
前記第2の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第4の共振器と、
を備える切替装置。 - 前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第2の共振器の順に通過する信号の位相は、前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第2の共振器、前記第4の共振器、前記第2の共振器の順に通過する信号の位相に対して逆位相である
請求項1記載の切替装置。 - 前記第3の共振器及び前記第4の共振器を冷却する冷却部を更に備える
請求項1記載の切替装置。 - 前記第3の共振器は、超伝導体で形成された複数の共振器により構成される
請求項1記載の切替装置。 - 第1の端子に接続された第1の共振器と、
第2の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能な第2の共振器と、
前記第1の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第3の共振器と、
第3の端子に接続され、前記第2の共振器及び前記第3の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第4の共振器と、
を備える切替装置。 - 前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第2の共振器、前記第4の共振器の順に通過する信号の位相は、前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第3の共振器、前記第4の共振器の順に通過する信号の位相と同相となる
請求項5記載の切替装置。 - 前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第2の共振器の順に通過する信号の位相は、前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第3の共振器、前記第4の共振器、前記第2の共振器の順に通過する信号の位相に対して逆位相である
請求項5記載の切替装置。 - 前記第3の共振器及び前記第4の共振器を冷却する冷却部を更に備える
請求項5記載の切替装置。 - 前記第3の共振器は、超伝導体で形成された複数の共振器により構成される
請求項5記載の切替装置。 - 第1の端子に接続された第1の共振器と、
第2の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能な第2の共振器と、
第3の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第3の共振器と、
第4の端子に接続され、前記第2の共振器及び前記第3の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第4の共振器と、
を備える切替装置。 - 前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第2の共振器、前記第4の共振器の順に通過する信号の位相は、前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第3の共振器、前記第4の共振器の順に通過する信号に対して逆位相である
請求項10記載の切替装置。 - 前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第2の共振器の順に通過する信号の位相は、前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第3の共振器、前記第4の共振器、前記第2の共振器の順に通過する信号の位相と同相となる
請求項10記載の切替装置。 - 前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第3の共振器の順に通過する信号の位相は、前記第1の端子に入力され、前記第1の共振器、前記第2の共振器、前記第4の共振器、前記第3の共振器の順に通過する信号の位相と同相となる
請求項10記載の切替装置。 - 前記第3の共振器及び前記第4の共振器を冷却する冷却部を更に備える
請求項10記載の切替装置。 - 前記第3の共振器は、超伝導体で形成された複数の共振器により構成される
請求項10記載の切替装置。 - 入力された信号の電力を制限し、第1の端子へと出力するリミッタと、
前記第1の端子に接続された第1の共振器と、
第2の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能な第2の共振器と、
第3の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第3の共振器と、
前記第2の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第4の共振器と、
前記第3の端子から出力された信号から、所定の周波数範囲の信号を抽出するフィルタと、
前記フィルタによって抽出された信号を増幅する増幅器と、
を備える受信装置。 - 入力された信号の電力を制限し、第1の端子へと出力するリミッタと、
前記第1の端子に接続された第1の共振器と、
第2の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能な第2の共振器と、
前記第1の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第3の共振器と、
第3の端子に接続され、前記第2の共振器及び前記第3の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第4の共振器と、
前記第3の端子から出力された信号から、所定の周波数範囲の信号を抽出するフィルタと、
前記フィルタによって抽出された信号を増幅する増幅器と、
を備える受信装置。 - アンテナ素子と、
前記アンテナ素子からの信号の電力を制限し、第1の端子へと出力するリミッタと、
前記第1の端子に接続された第1の共振器と、
第2の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能な第2の共振器と、
第3の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第3の共振器と、
前記第2の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第4の共振器と、
前記第3の端子から出力された信号から、所定の周波数範囲の信号を抽出するフィルタと、
前記フィルタによって抽出された信号を増幅する増幅器と、
を備えるアンテナ装置。 - アンテナ素子と、
前記アンテナ素子からの信号の電力を制限し、第1の端子へと出力するリミッタと、
前記第1の端子に接続された第1の共振器と、
第2の端子に接続され、前記第1の共振器と電磁界結合可能な第2の共振器と、
前記第1の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第3の共振器と、
第3の端子に接続され、前記第2の共振器及び前記第3の共振器と電磁界結合可能であって、超伝導体で形成された第4の共振器と、
前記第3の端子から出力された信号から、所定の周波数範囲の信号を抽出するフィルタと、
前記フィルタによって抽出された信号を増幅する増幅器と、
を備えるアンテナ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014180253A JP2016054449A (ja) | 2014-09-04 | 2014-09-04 | 切替装置、受信装置及びアンテナ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014180253A JP2016054449A (ja) | 2014-09-04 | 2014-09-04 | 切替装置、受信装置及びアンテナ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2016054449A true JP2016054449A (ja) | 2016-04-14 |
Family
ID=55745459
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014180253A Pending JP2016054449A (ja) | 2014-09-04 | 2014-09-04 | 切替装置、受信装置及びアンテナ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2016054449A (ja) |
-
2014
- 2014-09-04 JP JP2014180253A patent/JP2016054449A/ja active Pending
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