JP2016050949A - ズームレンズおよび撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】防振レンズ群の敏感度が高く、かつ、手ぶれ補正時の収差変動を小さく抑えるとともに、高い光学性能を有するズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供する。
【解決手段】物体側から順に、変倍時固定の正の第1レンズ群G1、変倍時移動の負の第2レンズ群G2、変倍時移動の正の第mpレンズ群を含む1つもしくは2つの中間レンズ群、変倍時固定の正の最終レンズ群から実質的になり、隣接するレンズ群の間隔を全て変化させることによって変倍を行う、4群または5群のズームレンズであって、最終レンズ群は、物体側から順に、正の前群、負の中群、正の後群からなり、前群、中群、後群の空気間隔は変倍の際も合焦の際も一定であり、前群は、少なくとも2枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを有し、中群のみを光軸方向に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正が行われ、所定の条件式を満足するものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、特にデジタルカメラやレンズ交換式デジタルカメラ等に好適なズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置に関するものである。
変倍比が2.5〜3.0程度で、ズーム全域での開放F値がF2.8、もしくは、F4程度で一定である、いわゆるF値通しのズームレンズが知られている。
このようなズームレンズは、例えば、物体側から順に、正の屈折力を有し変倍時に固定された第1レンズ群、負の屈折力を有し強い変倍作用を有する第2レンズ群、それに加え、正の屈折力を有するレンズ群を含む1または2程度の変倍群、変倍時に固定された最終レンズ群の、4群もしくは5群で構成されている。
近年、デジタルスチルカメラ用、一眼レフカメラ用、ミラーレスカメラ用等において、多くのレンズに手ぶれ補正機構が搭載されており、上記のようなズームレンズにおいても、特許文献1〜特許文献3に示されるように手ぶれ補正機構を備えたものが知られている。
特開2011−99964号公報 特開2011−158599号公報 特開2012−118097号公報
手ぶれ補正機能を搭載する際の重要な課題は、防振レンズユニットの小型・軽量化および、防振レンズ群の移動量の低減による、駆動系への負担軽減である。そのような課題に対し、特許文献1〜特許文献3では、最終レンズ群を、正の屈折力を有する前群、負の屈折力を有する中群、正の屈折力を有する後群とで構成し、負の屈折力を有する中群を防振レンズ群としている。
このように、防振レンズ群の前に正の屈折力のレンズ群を配置することで、防振レンズ群への光線入射高を小さく抑えて、防振レンズ群を小型化している。また、防振レンズ群の前後の群と、防振レンズ群の屈折力を逆符号とすることにより、防振レンズ群の屈折力を高め、防振レンズ群の移動による像移動の敏感度を高めている。
上記のように、防振レンズ群の小型・軽量化、および、移動量の低減を図った上で、さらに、防振レンズ群がシフトしたときの色収差の変動や、偏芯コマを抑えることが求められる。防振レンズ群の屈折力を強くすることで敏感度が高くなるため、レンズの移動量を減らすことはできるが、その場合、偏芯コマを抑えることが難しくなったり、組立誤差に対する敏感度が増したりしてしまうという問題があるため、適度なパワーに最適化することが重要である。また、防振レンズ群の屈折力(敏感度)および、レンズシフト時の収差変動に影響を与える、その前後のレンズ群の構成の最適化も重要な課題である。
上記のスペックのレンズは、従来、一眼レフカメラ用交換レンズとして開発されたものが多く、いわゆるミラーレスカメラ用交換レンズに最適化されたレンズはほとんどみられない。特許文献1〜特許文献3に記載のズームレンズは、一眼レフカメラ用交換レンズとして最適化されたものであり、ミラーレスカメラ用交換レンズの場合には、一眼レフカメラ用交換レンズほどの長いバックフォーカスを必要としないため、その場合に最適な最終レンズ群の構成は、当然、従来のものとは変わってくる。
特許文献1においては、最終レンズ群の前群が2枚の正レンズのみで構成されている。最終レンズ群の前群は、防振レンズ群への光線入射高を小さくするためや、防振レンズ群の屈折力を強くするためや、レンズ全長の小型化のためには、屈折力を強くする必要があるが、このような構成の場合、球面収差やコマ収差、色収差を抑えることが難しくなる。逆に、それを避けるために、前群の屈折力を弱くすると、防振レンズ群のパワーを十分に確保できなくなったり、最終レンズ群全体のパワーが弱くなってしまい、光学全長が長くなったりしてしまうという問題がある。このような問題は、特許文献2においても同様である。
また、特許文献2および特許文献3においては、防振レンズ群の屈折力も強くはなく、防振レンズ群の敏感度は高くない。よって、防振時の移動量が大きくなるか、大きな手ぶれ補正効果を見込めない。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、防振レンズ群の敏感度が高く、かつ、手ぶれ補正時の収差変動を小さく抑えるとともに、高い光学性能を有するズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
本発明の第1のズームレンズは、全体として4つもしくは5つのレンズ群から実質的になり、物体側から順に、正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている第1レンズ群、負の屈折力を有し変倍の際に移動する第2レンズ群、正の屈折力を有し変倍の際に移動する第mpレンズ群を含む1つもしくは2つの中間レンズ群、全系の最も像側に配置され正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている最終レンズ群から実質的になり、隣接するレンズ群の間隔を全て変化させることによって変倍を行うズームレンズであって、最終レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する前群、負の屈折力を有する中群、正の屈折力を有する後群から実質的になり、前群、中群、後群の空気間隔は変倍の際も合焦の際も一定であり、前群は、少なくとも2枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを有し、中群のみを光軸方向に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正が行われ、下記条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする。
0.20<FGr3/FGr<0.45 …(1)
1.75<FGr1/FGr3<3.00 …(2)
ただし、FGr3:最終レンズ群に配置された後群の焦点距離、FGr:最終レンズ群の焦点距離、FGr1:最終レンズ群に配置された前群の焦点距離とする。
本発明の第2のズームレンズは、全体として4つもしくは5つのレンズ群から実質的になり、物体側から順に、正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている第1レンズ群、負の屈折力を有し変倍の際に移動する第2レンズ群、正の屈折力を有し変倍の際に移動する第mpレンズ群を含む1つもしくは2つの中間レンズ群、全系の最も像側に配置され正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている最終レンズ群から実質的になり、隣接するレンズ群の間隔を全て変化させることによって変倍を行うズームレンズであって、最終レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する前群、負の屈折力を有する中群、正の屈折力を有する後群から実質的になり、前群、中群、後群の空気間隔は変倍の際も合焦の際も一定であり、前群は、少なくとも2枚の正レンズを有し、中群のみを光軸方向に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正が行われ、後群は、最も像側に負レンズを有し、下記条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする。
0.20<FGr3/FGr<0.45 …(1)
1.75<FGr1/FGr3<3.00 …(2)
ただし、FGr3:最終レンズ群に配置された後群の焦点距離、FGr:最終レンズ群の焦点距離、FGr1:最終レンズ群に配置された前群の焦点距離とする。
なお、第mpレンズ群は、レンズ群の一部(サブレンズ群)ではなく、1つの独立したレンズ群である。ここで、独立したレンズ群とは、変倍の際に隣り合うレンズ群の間隔が変化するレンズ群のことである。また、中間レンズ群が2つのレンズ群からなり、かつ、2つとも正の屈折力を有する場合には、どちらのレンズ群を第mpレンズ群としてもよい。
本発明のズームレンズにおいて、後群は、最も像側に、物体側に凹面を向けた負のメニスカス形状の単レンズが配置されていることが好ましい。
また、後群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズが接合された接合レンズを有することが好ましい。
また、前群は、3枚の正レンズと1枚の負レンズから実質的になることが好ましい。
また、中群は、2枚の負レンズと1枚の正レンズから実質的になることが好ましい。
また、後群は、最も物体側のレンズ面が凸面であり、最も像側に負レンズが配置され、この負レンズより物体側に接合レンズが配置されていることが好ましい。
この場合、後群は、物体側から順に、正の単レンズ、1枚の正レンズと1枚の負レンズが接合された接合レンズ、物体側に凹面を向けた負のメニスカス形状の単レンズから実質的になることが好ましい。
また、第1レンズ群は、物体側から順に、負レンズ、正レンズ、正レンズ、正レンズから実質的になることが好ましい。
また、第mpレンズ群全体のみ、もしくは、第mpレンズ群を構成する一部のレンズのみを光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体から最至近物体への合焦が行われることが好ましい。
また、下記条件式(3)を満足することが好ましい。
0.5<FGr1/FGr<1.3 …(3)
ただし、FGr1:最終レンズ群に配置された前群の焦点距離、FGr:最終レンズ群の焦点距離とする。
また、下記条件式(4)を満足することが好ましい。
0.25<FGr1/Ft<0.60 …(4)
ただし、FGr1:最終レンズ群に配置された前群の焦点距離、Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離とする。
また、下記条件式(5)を満足することが好ましい。
0.12<FGr3/Ft<0.27 …(5)
ただし、FGr3:最終レンズ群に配置された後群の焦点距離、Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離とする。
また、下記条件式(6)を満足することが好ましい。
0.12<BF/Ft<0.28 …(6)
ただし、BF:最終レンズ群から像面までの空気換算長、Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離とする。
また、下記条件式(7)を満足することが好ましい。
1.1<TL/Ft<1.6 …(7)
ただし、TL:光学全長、Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離とする。ここで光学全長とは、ズームレンズの最も物体側のレンズの物体側面から像面までの距離であり、ズームレンズの最も像側のレンズの像側面から像面までの距離は空気換算長としたものである。
また、物体側から順に、第1レンズ群、第2レンズ群、第mpレンズ群、最終レンズ群の4つのレンズ群から実質的になることが好ましい。
本発明の撮像装置は、上記記載の本発明のズームレンズを備えたものである。
なお、上記「〜から実質的になる」とは、構成要素として挙げたもの以外に、実質的にパワーを有さないレンズ、絞りやマスクやカバーガラスやフィルタ等のレンズ以外の光学要素、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、手ぶれ補正機構等の機構部分、等を含んでもよいことを意図するものである。
また、上記のレンズの面形状や屈折力の符号は、非球面が含まれている場合は近軸領域で考えるものとする。
本発明の第1のズームレンズは、全体として4つもしくは5つのレンズ群から実質的になり、物体側から順に、正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている第1レンズ群、負の屈折力を有し変倍の際に移動する第2レンズ群、正の屈折力を有し変倍の際に移動する第mpレンズ群を含む1つもしくは2つの中間レンズ群、全系の最も像側に配置され正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている最終レンズ群から実質的になり、隣接するレンズ群の間隔を全て変化させることによって変倍を行うズームレンズであって、最終レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する前群、負の屈折力を有する中群、正の屈折力を有する後群から実質的になり、前群、中群、後群の空気間隔は変倍の際も合焦の際も一定であり、前群は、少なくとも2枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを有し、中群のみを光軸方向に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正が行われ、下記条件式(1)および(2)を満足するものとしたので、防振レンズ群の敏感度が高く、かつ、手ぶれ補正時の収差変動を小さく抑えるとともに、高い光学性能を有するズームレンズとすることができる。
0.20<FGr3/FGr<0.45 …(1)
1.75<FGr1/FGr3<3.00 …(2)
また、本発明の第2のズームレンズは、全体として4つもしくは5つのレンズ群から実質的になり、物体側から順に、正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている第1レンズ群、負の屈折力を有し変倍の際に移動する第2レンズ群、正の屈折力を有し変倍の際に移動する第mpレンズ群を含む1つもしくは2つの中間レンズ群、全系の最も像側に配置され正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている最終レンズ群から実質的になり、隣接するレンズ群の間隔を全て変化させることによって変倍を行うズームレンズであって、最終レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する前群、負の屈折力を有する中群、正の屈折力を有する後群から実質的になり、前群、中群、後群の空気間隔は変倍の際も合焦の際も一定であり、前群は、少なくとも2枚の正レンズを有し、中群のみを光軸方向に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正が行われ、後群は、最も像側に負レンズを有し、下記条件式(1)および(2)を満足するものとしたので、防振レンズ群の敏感度が高く、かつ、手ぶれ補正時の収差変動を小さく抑えるとともに、高い光学性能を有するズームレンズとすることができる。
0.20<FGr3/FGr<0.45 …(1)
1.75<FGr1/FGr3<3.00 …(2)
また、本発明の撮像装置は、本発明のズームレンズを備えているため、手ぶれ補正効果を高くすることができるとともに、高画質の画像を取得することができる。
本発明の一実施形態にかかるズームレンズ(実施例1と共通)のレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例2のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例3のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例4のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例5のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例6のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例7のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例8のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例9のズームレンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例1のズームレンズの各収差図 本発明の実施例2のズームレンズの各収差図 本発明の実施例3のズームレンズの各収差図 本発明の実施例4のズームレンズの各収差図 本発明の実施例5のズームレンズの各収差図 本発明の実施例6のズームレンズの各収差図 本発明の実施例7のズームレンズの各収差図 本発明の実施例8のズームレンズの各収差図 本発明の実施例9のズームレンズの各収差図 本発明の実施例1のズームレンズの各横収差図 本発明の実施例1のズームレンズの各横収差図(防振時) 本発明の実施例2のズームレンズの各横収差図 本発明の実施例2のズームレンズの各横収差図(防振時) 本発明の実施例3のズームレンズの各横収差図 本発明の実施例3のズームレンズの各横収差図(防振時) 本発明の実施例4のズームレンズの各横収差図 本発明の実施例4のズームレンズの各横収差図(防振時) 本発明の実施例5のズームレンズの各横収差図 本発明の実施例5のズームレンズの各横収差図(防振時) 本発明の実施例6のズームレンズの各横収差図 本発明の実施例6のズームレンズの各横収差図(防振時) 本発明の実施例7のズームレンズの各横収差図 本発明の実施例7のズームレンズの各横収差図(防振時) 本発明の実施例8のズームレンズの各横収差図 本発明の実施例8のズームレンズの各横収差図(防振時) 本発明の実施例9のズームレンズの各横収差図 本発明の実施例9のズームレンズの各横収差図(防振時) 本発明の一実施形態による撮像装置の前面側を示す斜視図 図37の撮像装置の背面側を示す斜視図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態にかかるズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。図1に示す構成例は、後述の実施例1のズームレンズの構成と共通である。図1においては、左側が物体側、右側が像側であり、図示されている絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。また、図中のFocusは合焦を行うためのフォーカスレンズ群を示しており、Oisは手振れ補正を行うための防振レンズ群を示している。
図1に示すように、このズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有し変倍時に像面Simに対して固定されている第1レンズ群G1、負の屈折力を有し変倍時に移動する第2レンズ群G2、正の屈折力を有し変倍時に移動する第3レンズ群G3(本発明における第mpレンズ群に相当)、正の屈折力を有し変倍時に像面Simに対して固定されている第4レンズ群G4(最終レンズ群)からなり、隣接するレンズ群の間隔を全て変化させることによって変倍を行うものである。
このように、第1レンズ群G1と第4レンズ群G4(最終レンズ群)を変倍時に固定とすることで、いわゆるF値一定のズームレンズを構成するのに有利になる。また、第1レンズ群G1を固定とすることで、防塵、防滴構造を採用しやすくなる。
このズームレンズを撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、光学系と像面Simの間にカバーガラス、プリズム、赤外線カットフィルタやローパスフィルタなどの各種フィルタを配置することが好ましいため、図1では、これらを想定した平行平面板状の光学部材PPをレンズ系と像面Simとの間に配置した例を示している。
第4レンズ群G4(最終レンズ群)は、物体側から順に、正の屈折力を有する前群(レンズL41〜L44)、負の屈折力を有する中群(レンズL45〜L47、図1中Ois表示)、正の屈折力を有する後群(レンズL48〜L51)からなり、前群、中群、後群の空気間隔は変倍の際も合焦の際も一定となるように構成されている。
前群は少なくとも2枚の正レンズを有し、中群のみを光軸方向に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正が行われ、後群は最も像側に負レンズを有する。
前群に少なくとも2枚の正レンズを持たせることで、前群や防振レンズ群である中群に強いパワーを持たせても、球面収差やコマ収差を良好に補正することができる。それに加えて、さらに少なくとも1枚の負レンズを持たせることで、色収差を良好に補正することができる。
また、後群の最も像側に負レンズを配置することで、周辺光線の跳ね上げ(射出光線角度)を大きくし、レンズ全長の短縮化を図っている。特に、いわゆるミラーレスカメラ用交換レンズなど、一眼レフカメラ用交換レンズほどのバックフォーカスが必要ない場合に適している。
第4レンズ群G4(最終レンズ群)においては、正の屈折力を有する前群で光線高を下げ、防振レンズ群である中群の小型化、軽量化を図るとともに、前群と中群の屈折力を逆符号とすることによって、防振レンズ群の屈折力を大きくし、像移動の敏感度を上げている。これにより、小さな移動量で大きな手ぶれ補正効果を得ることができる。
また、下記条件式(1)および(2)を満足するように構成されている。
0.20<FGr3/FGr<0.45 …(1)
0.23<FGr3/FGr<0.45 …(1−1)
1.75<FGr1/FGr3<3.00 …(2)
1.80<FGr1/FGr3<2.80 …(2−1)
ただし、FGr3:最終レンズ群に配置された後群の焦点距離、FGr:最終レンズ群の焦点距離、FGr1:最終レンズ群に配置された前群の焦点距離とする。
条件式(1)は、第4レンズ群G4(最終レンズ群)内での後群のパワーの比率を示している。条件式(1)の下限以下とならないようにすることで、後群の屈折力が強くなりすぎるのを抑えることができるため、コマ収差と歪曲収差の補正に有利となる。もしくは、必要なバックフォーカスを得ることが容易となる。条件式(1)の上限以上とならないようにすることで、第4レンズ群G4(最終レンズ群)の屈折力が弱くなりすぎるのを抑えることができるため、非点収差の補正に有利となる。また、レンズ全長の短縮にも有利となる。
条件式(2)は、第4レンズ群G4(最終レンズ群)における前群と後群のパワーの比率を示している。条件式(2)の下限以下とならないようにすることで、前群の屈折力が強くなりすぎるのを抑えることができるため、球面収差やコマ収差の補正に有利となる。条件式(2)の上限以上とならないようにすることで、後群の屈折力が強くなりすぎるのを抑えることができるため、コマ収差や歪曲収差の補正に有利となる。もしくは、前群の屈折力が弱くなりすぎるのを抑えることができるため、防振レンズ群である中群への光線入射高を低く保てたり、中群の屈折力を強くすることができるため、防振レンズユニットの小型化に有利となる。すなわち、条件式(2)を満足することで、レンズを大型化させることなく、諸収差の補正、防振群の小型化を実現できる。
なお、条件式(1−1)、(2−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
本実施形態のズームレンズにおいて、後群は、最も像側に、物体側に凹面を向けた負のメニスカス形状の単レンズが配置されていることが好ましい。後群の最も像側に負レンズを配置することで、周辺光線の跳ね上げ(射出光線角度)を大きくすることができるため、レンズ全長の短縮化を図ることができる。特に、いわゆるミラーレスカメラ用交換レンズなど、一眼レフカメラ用交換レンズほどのバックフォーカスが必要ない場合に適している。また、物体側に凹面を向けた負のメニスカス形状とすることで、像面湾曲と歪曲収差の補正に有利となる。
また、後群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズが接合された接合レンズを有することが好ましい。後群にこのような接合レンズを配置することで、倍率色収差を良好に補正することができる。
また、前群は、3枚の正レンズと1枚の負レンズからなることが好ましい。このような構成とすることにより、防振レンズ群への光線入射高を下げるためや、光学全長を小さくするために前群に強い屈折力を与えても、球面収差および色収差を良好に補正することができる。
また、中群は、2枚の負レンズと1枚の正レンズからなることが好ましい。このような構成とすることにより、手ぶれ補正時の収差変動を小さく抑えることができる。
また、後群は、最も物体側のレンズ面が凸面であり、最も像側に負レンズが配置され、この負レンズより物体側に接合レンズが配置されていることが好ましい。防振レンズ群である中群の敏感度を上げるには、中群の負の屈折力を強くする必要がある。中群より射出された周辺光線の角度を後群の最も物体側の凸面で一度小さくし、次いで接合レンズを配置することにより、色収差をはじめとする諸収差を良好に補正することができる。さらに、最も像側の負レンズで周辺光線の跳ね上げ(射出光線角度)を大きくすることができるため、レンズ全長の短縮化を図ることができる。
この場合、後群は、物体側から順に、正の単レンズ、1枚の正レンズと1枚の負レンズが接合された接合レンズ、物体側に凹面を向けた負のメニスカス形状の単レンズからなることが好ましい。このような構成とすることにより、最小限のレンズ枚数で高い光学性能を有する後群を実現できるため、レンズ全長の短縮化や低コスト化を図ることができる。
また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、負レンズ、正レンズ、正レンズ、正レンズからなることが好ましい。このように正レンズを3枚用いることにより、特に、望遠側での色収差および球面収差を良好に補正することができる。また、小型化等の目的のため、第1レンズ群G1全体のパワーを強くした場合でも、パワーを分散させることができ、各レンズ面で発生する諸収差を小さくすることができる。
また、第3レンズ群G3(第mpレンズ群)全体のみ、もしくは、第3レンズ群G3(第mpレンズ群)を構成する一部のレンズのみを光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体から最至近物体への合焦が行われることが好ましい。このように、インナーフォーカス方式を採用することで、フォーカスレンズを軽量化することができるため、オートフォーカスの高速化が可能となる。なお、第3レンズ群G3(第mpレンズ群)全体でフォーカスを行うようにすれば、フォーカス時の収差変動を小さく抑えることができる。
また、下記条件式(3)を満足することが好ましい。条件式(3)の下限以下とならないようにすることで、前群の屈折力が弱くなりすぎるのを抑えることができるため、防振レンズ群である中群への光線入射高を低く保てたり、中群の屈折力を強くすることができるため、防振レンズユニットの小型化に有利となる。また、レンズ全長の短縮化にも有利となる。条件式(3)の上限以上とならないようにすることで、前群の屈折力が強くなりすぎるのを抑えることができるため、球面収差やコマ収差の補正に有利となる。なお、下記条件式(3−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0.5<FGr1/FGr<1.3 …(3)
0.58<FGr1/FGr<1.15 …(3−1)
ただし、FGr1:最終レンズ群に配置された前群の焦点距離、FGr:最終レンズ群の焦点距離とする。
また、下記条件式(4)を満足することが好ましい。条件式(4)の下限以下とならないようにすることで、前群の屈折力が弱くなりすぎるのを抑えることができるため、防振レンズ群である中群への光線入射高を低く保てたり、中群の屈折力を強くすることができるため、防振レンズユニットの小型化に有利となる。また、レンズ全長の短縮化にも有利となる。条件式(4)の上限以上とならないようにすることで、前群の屈折力が強くなりすぎるのを抑えることができるため、球面収差やコマ収差の補正に有利となる。なお、下記条件式(4−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0.25<FGr1/Ft<0.60 …(4)
0.29<FGr1/Ft<0.55 …(4−1)
ただし、FGr1:最終レンズ群に配置された前群の焦点距離、Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離とする。
また、下記条件式(5)を満足することが好ましい。条件式(5)の下限以下とならないようにすることで、後群の屈折力が強くなりすぎるのを抑えることができるため、コマ収差や歪曲収差の補正が困難に有利となる。条件式(5)の上限以上とならないようにすることで、後群の屈折力が弱くなりすぎるのを抑えることができるため、レンズ全長の短縮化に有利となる他、防振レンズ群である中群の屈折力を強くすることも容易になる。なお、下記条件式(5−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0.12<FGr3/Ft<0.27 …(5)
0.14<FGr3/Ft<0.25 …(5−1)
ただし、FGr3:最終レンズ群に配置された後群の焦点距離、Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離とする。
また、下記条件式(6)を満足することが好ましい。条件式(6)の下限以下とならないようにすることで、交換レンズカメラに必要なフランジバックの確保が容易になる他、小型化のために各レンズ群の屈折力を強くする必要がなくなるため、諸収差の補正が容易となる。条件式(6)の上限以上とならないようにすることで、レンズ全長の短縮化に有利となる。なお、下記条件式(6−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0.12<BF/Ft<0.28 …(6)
0.14<BF/Ft<0.25 …(6−1)
ただし、BF:最終レンズ群から像面までの空気換算長、Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離とする。
また、下記条件式(7)を満足することが好ましい。条件式(7)の下限以下とならないようにすることで、光学性能の確保が容易になる。条件式(7)の上限以上とならないようにすることで、レンズ系の小型化に有利となる。なお、下記条件式(7−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
1.1<TL/Ft<1.6 …(7)
1.15<TL/Ft<1.55 …(7−1)
ただし、TL:光学全長、Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離とする。
また、物体側から順に、第1レンズ群、第2レンズ群、第mpレンズ群、最終レンズ群の4つのレンズ群からなることが好ましい。このように4群構成のズームレンズとすることで、レンズ群の数を最低限に抑えることにより枠構成を簡略化することができるとともに、偏芯の影響を受けにくくすることができる。
また、本ズームレンズが厳しい環境において使用される場合には、保護用の多層膜コートが施されることが好ましい。さらに、保護用コート以外にも、使用時のゴースト光低減等のための反射防止コートを施すようにしてもよい。
また、図1に示す例では、レンズ系と像面Simとの間に光学部材PPを配置した例を示したが、ローパスフィルタや特定の波長域をカットするような各種フィルタ等をレンズ系と像面Simとの間に配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよく、もしくは、いずれかのレンズのレンズ面に、各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
次に、本発明のズームレンズの数値実施例について説明する。
まず、実施例1のズームレンズについて説明する。実施例1のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図1に示す。なお、図1および後述の実施例2〜9に対応した図2〜9においては、左側が物体側、右側が像側であり、図示されている絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。また、図中のFocusは合焦を行うためのフォーカスレンズ群を示しており、Oisは手振れ補正を行うための防振レンズ群を示している。
実施例1のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3(第mpレンズ群)、正の屈折力を有する第4レンズ群G4(最終レンズ群)が配列されてなる4群構成のズームレンズである。
実施例1のズームレンズの基本レンズデータを表1に、諸元に関するデータを表2に、移動面の間隔に関するデータを表3に示す。以下では、表中の記号の意味について、実施例1のものを例にとり説明するが、実施例2〜9についても基本的に同様である。
表1のレンズデータにおいて、面番号の欄には最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加する面番号を示し、曲率半径の欄には各面の曲率半径を示し、面間隔の欄には各面とその次の面との光軸Z上の間隔を示す。また、ndの欄には各光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdの欄には各光学要素のd線(波長587.6nm)に対するアッベ数を示し、θgfの欄には各光学要素の部分分散比を示す。
なお、部分分散比θgfは下記式で表される。
θgf=(ng−nF)/(nF−nC)
ただし、ng:g線(波長435.8nm)に対する屈折率、nF:F線(波長486.1nm)に対する屈折率、nC:C線(波長656.3nm)に対する屈折率とする。
ここで、曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。基本レンズデータには、絞りSt、光学部材PPも含めて示している。絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号とともに(絞り)という語句を記載している。また、表1のレンズデータにおいて、変倍の際に間隔が変化する面間隔の欄にはそれぞれDD[面番号]と記載している。広角端、中間、望遠端における、このDD[面番号]に対応する数値は表3に示している。
表2の諸元に関するデータに、広角端、中間、望遠端における、ズーム倍率、焦点距離f´、バックフォーカスBf´、F値FNo.、全画角2ωの値を示す。
基本レンズデータ、諸元に関するデータ、および移動面の間隔に関するデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmmを用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。
実施例1のズームレンズの各収差図を図10に示す。なお、図10中の上段左側から順に広角端での球面収差、正弦条件違反量、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示し、中段左側から順に中間位置での球面収差、正弦条件違反量、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示し、下段左側から順に望遠端での球面収差、正弦条件違反量、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す。球面収差、正弦条件違反量、非点収差、歪曲収差を表す各収差図には、d線(波長587.6nm)を基準波長とした収差を示す。球面収差図にはd線(波長587.6nm)、C線(波長656.3nm)、F線(波長486.1nm)、g線(波長435.8nm)についての収差をそれぞれ実線、長破線、短破線、灰色線で示す。非点収差図にはサジタル方向、タンジェンシャル方向の収差をそれぞれ実線と短破線で示す。倍率色収差図にはC線(波長656.3nm)、F線(波長486.1nm) 、g線(波長435.8nm)についての収差をそれぞれ長破線、短破線、灰色線で示す。なお、これらの縦収差は全て無限遠物体合焦時のものである。球面収差および正弦条件違反量の収差図のFNo.はF値、その他の収差図のωは半画角を意味する。
実施例1のズームレンズの手ぶれ補正なしの時の各横収差図を図19に示す。図19上側から順に広角端、中間位置、望遠端の横収差図を示す。各横収差図は左右2列に収差を示しているが、左列のものがタンジェンシャル方向に関する収差、右列のものがサジタル方向に関する収差である。各横収差図は、像面の中心における収差を上段に、像高が+側最大像高の80%となる位置における収差を中段に、そして像高が−側最大像高の80%となる位置における収差を下段に示している。実施例1のズームレンズの手ぶれ補正ありの時の各横収差図を図20に示す。図面の内容は手ぶれ補正なしの場合と同様である。なお図19および図20では、d線(波長587.6nm)、C線(波長656.3nm)、F線(波長486.1nm)、g線(波長435.8nm)についての収差をそれぞれ実線、長破線、短破線、灰色線で示す。なお、これらの横収差は全て無限遠物体合焦時のものである。各収差図中のωは半画角を意味する。
上記の実施例1の説明で述べた各データの記号、意味、記載方法は、特に断りがない限り以下の実施例のものについても同様であるので、以下では重複説明を省略する。
次に、実施例2のズームレンズについて説明する。実施例2のズームレンズは、実施例1のズームレンズと同様のレンズ群構成である。実施例2のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図2に示す。また、実施例2のズームレンズの基本レンズデータを表4に、諸元に関するデータを表5に、移動面の間隔に関するデータを表6に、各収差図を図11に、手ぶれ補正なしの時の各横収差図を図21に、手ぶれ補正ありの時の各横収差図を図22に示す。
次に、実施例3のズームレンズについて説明する。実施例3のズームレンズは、実施例1のズームレンズと同様のレンズ群構成である。実施例3のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図3に示す。また、実施例3のズームレンズの基本レンズデータを表7に、諸元に関するデータを表8に、移動面の間隔に関するデータを表9に、各収差図を図12に、手ぶれ補正なしの時の各横収差図を図23に、手ぶれ補正ありの時の各横収差図を図24に示す。
次に、実施例4のズームレンズについて説明する。実施例4のズームレンズは、実施例1のズームレンズと同様のレンズ群構成である。実施例4のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図4に示す。また、実施例4のズームレンズの基本レンズデータを表10に、諸元に関するデータを表11に、移動面の間隔に関するデータを表12に、各収差図を図13に、手ぶれ補正なしの時の各横収差図を図25に、手ぶれ補正ありの時の各横収差図を図26に示す。
次に、実施例5のズームレンズについて説明する。実施例5のズームレンズは、実施例1のズームレンズと同様のレンズ群構成である。実施例5のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図5に示す。また、実施例5のズームレンズの基本レンズデータを表13に、諸元に関するデータを表14に、移動面の間隔に関するデータを表15に、各収差図を図14に、手ぶれ補正なしの時の各横収差図を図27に、手ぶれ補正ありの時の各横収差図を図28に示す。
次に、実施例6のズームレンズについて説明する。実施例6のズームレンズは、実施例1のズームレンズと同様のレンズ群構成である。実施例6のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図6に示す。また、実施例6のズームレンズの基本レンズデータを表16に、諸元に関するデータを表17に、移動面の間隔に関するデータを表18に、各収差図を図15に、手ぶれ補正なしの時の各横収差図を図29に、手ぶれ補正ありの時の各横収差図を図30に示す。
次に、実施例7のズームレンズについて説明する。実施例7のズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、負の屈折力を有する第2レンズ群G2、負の屈折力を有する第3レンズ群G3、正の屈折力を有する第4レンズ群G4(第mpレンズ群)、正の屈折力を有する第5レンズ群G5(最終レンズ群)が配列されてなる5群構成のズームレンズである。実施例7のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図7に示す。また、実施例7のズームレンズの基本レンズデータを表19に、諸元に関するデータを表20に、移動面の間隔に関するデータを表21に、各収差図を図16に、手ぶれ補正なしの時の各横収差図を図31に、手ぶれ補正ありの時の各横収差図を図32に示す。
次に、実施例8のズームレンズについて説明する。実施例8のズームレンズは、実施例7のズームレンズと同様のレンズ群構成である。実施例8のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図8に示す。また、実施例8のズームレンズの基本レンズデータを表22に、諸元に関するデータを表23に、移動面の間隔に関するデータを表24に、各収差図を図17に、手ぶれ補正なしの時の各横収差図を図33に、手ぶれ補正ありの時の各横収差図を図34に示す。
次に、実施例9のズームレンズについて説明する。実施例9のズームレンズは、実施例1のズームレンズと同様のレンズ群構成である。実施例9のズームレンズのレンズ構成を示す断面図を図9に示す。また、実施例9のズームレンズの基本レンズデータを表25に、諸元に関するデータを表26に、移動面の間隔に関するデータを表27に、各収差図を図18に、手ぶれ補正なしの時の各横収差図を図35に、手ぶれ補正ありの時の各横収差図を図36に示す。
実施例1〜9のズームレンズの条件式(1)〜(7)に対応する値を表28に示す。なお、全実施例ともd線を基準波長としており、下記の表28に示す値はこの基準波長におけるものである。
以上のデータから、実施例1〜9のズームレンズは全て、条件式(1)〜(7)を満たしており、望遠端での画角が10度〜13度程度、変倍比が2.4〜3.1程度、ズーム全域での開放F値が2.8程度の大口径望遠ズームレンズであり、防振レンズ群の敏感度が高く、かつ、手ぶれ補正時の収差変動を小さく抑えるとともに、高い光学性能を有するズームレンズであることが分かる。
次に、図37および図38を参照して本発明に係る撮像装置の一実施形態について説明する。図37、図38にそれぞれ前面側、背面側の斜視形状を示すカメラ30は、本発明の実施形態によるズームレンズ1を鏡筒内に収納した交換レンズ20が取り外し自在に装着される、ノンレフレックス方式のデジタルカメラである。
このカメラ30はカメラボディ31を備え、その上面にはシャッターボタン32と電源ボタン33とが設けられている。またカメラボディ31の背面には、操作部34、35と表示部36とが設けられている。表示部36は、撮像された画像や、撮像される前の画角内にある画像を表示するためのものである。
カメラボディ31の前面中央部には、撮影対象からの光が入射する撮影開口が設けられ、その撮影開口に対応する位置にマウント37が設けられ、このマウント37を介して交換レンズ20がカメラボディ31に装着されるようになっている。
そしてカメラボディ31内には、交換レンズ20によって形成された被写体像を受け、それに応じた撮像信号を出力するCCD等の撮像素子(不図示)、その撮像素子から出力された撮像信号を処理して画像を生成する信号処理回路、およびその生成された画像を記録するための記録媒体等が設けられている。このカメラ30では、シャッターボタン32を押すことにより静止画または動画の撮影が可能であり、この撮影で得られた画像データが上記記録媒体に記録される。
本実施形態のカメラ30は、本発明のズームレンズ1を備えたものであるから、手ぶれ補正効果を高くすることができるとともに、高画質の画像を取得することができる。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、非球面係数の値は、上記各実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
また、撮像装置の実施形態では、ノンレフレックス(いわゆるミラーレス)方式のデジタルカメラを例に挙げ図を示して説明したが、本発明の撮像装置はこれに限定されるものではなく、例えば、ビデオカメラ、デジタルカメラ、映画撮影用カメラ、放送用カメラ等の撮像装置に本発明を適用することも可能である。
1 ズームレンズ
20 交換レンズ
30 カメラ
31 カメラボディ
32 シャッターボタン
33 電源ボタン
34、35 操作部
36 表示部
37 マウント
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
PP 光学部材
L11〜L61 レンズ
Sim 像面
St 絞り
Z 光軸

Claims (17)

  1. 全体として4つもしくは5つのレンズ群から実質的になり、物体側から順に、正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている第1レンズ群、負の屈折力を有し変倍の際に移動する第2レンズ群、正の屈折力を有し変倍の際に移動する第mpレンズ群を含む1つもしくは2つの中間レンズ群、全系の最も像側に配置され正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている最終レンズ群から実質的になり、隣接するレンズ群の間隔を全て変化させることによって変倍を行うズームレンズであって、
    前記最終レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する前群、負の屈折力を有する中群、正の屈折力を有する後群から実質的になり、
    前記前群、前記中群、前記後群の空気間隔は変倍の際も合焦の際も一定であり、
    前記前群は、少なくとも2枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズを有し、
    前記中群のみを光軸方向に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正が行われ、
    下記条件式(1)および(2)を満足する
    ことを特徴とするズームレンズ。
    0.20<FGr3/FGr<0.45 …(1)
    1.75<FGr1/FGr3<3.00 …(2)
    ただし、
    FGr3:前記最終レンズ群に配置された前記後群の焦点距離
    FGr:前記最終レンズ群の焦点距離
    FGr1:前記最終レンズ群に配置された前記前群の焦点距離
  2. 全体として4つもしくは5つのレンズ群から実質的になり、物体側から順に、正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている第1レンズ群、負の屈折力を有し変倍の際に移動する第2レンズ群、正の屈折力を有し変倍の際に移動する第mpレンズ群を含む1つもしくは2つの中間レンズ群、全系の最も像側に配置され正の屈折力を有し変倍の際に像面に対して固定されている最終レンズ群から実質的になり、隣接するレンズ群の間隔を全て変化させることによって変倍を行うズームレンズであって、
    前記最終レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する前群、負の屈折力を有する中群、正の屈折力を有する後群から実質的になり、
    前記前群、前記中群、前記後群の空気間隔は変倍の際も合焦の際も一定であり、
    前記前群は、少なくとも2枚の正レンズを有し、
    前記中群のみを光軸方向に対して垂直方向に移動させることにより手ぶれ補正が行われ、
    前記後群は、最も像側に負レンズを有し、
    下記条件式(1)および(2)を満足する
    ことを特徴とするズームレンズ。
    0.20<FGr3/FGr<0.45 …(1)
    1.75<FGr1/FGr3<3.00 …(2)
    ただし、
    FGr3:前記最終レンズ群に配置された前記後群の焦点距離
    FGr:前記最終レンズ群の焦点距離
    FGr1:前記最終レンズ群に配置された前記前群の焦点距離
  3. 前記後群は、最も像側に、物体側に凹面を向けた負のメニスカス形状の単レンズが配置されている
    請求項1または2記載のズームレンズ。
  4. 前記後群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズが接合された接合レンズを有する
    請求項1から3のいずれか1項記載のズームレンズ。
  5. 前記前群は、3枚の正レンズと1枚の負レンズから実質的になる
    請求項1から4のいずれか1項記載のズームレンズ。
  6. 前記中群は、2枚の負レンズと1枚の正レンズから実質的になる
    請求項1から5のいずれか1項記載のズームレンズ。
  7. 前記後群は、最も物体側のレンズ面が凸面であり、最も像側に負レンズが配置され、該負レンズより物体側に接合レンズが配置されている
    請求項1から6のいずれか1項記載のズームレンズ。
  8. 前記後群は、物体側から順に、正の単レンズ、1枚の正レンズと1枚の負レンズが接合された接合レンズ、物体側に凹面を向けた負のメニスカス形状の単レンズから実質的になる
    請求項7記載のズームレンズ。
  9. 前記第1レンズ群は、物体側から順に、負レンズ、正レンズ、正レンズ、正レンズから実質的になる
    請求項1から8のいずれか1項記載のズームレンズ。
  10. 前記第mpレンズ群全体のみ、もしくは、前記第mpレンズ群を構成する一部のレンズのみを光軸に沿って移動させることにより、無限遠物体から最至近物体への合焦が行われる
    請求項1から9のいずれか1項記載のズームレンズ。
  11. 下記条件式(3)を満足する
    請求項1から10のいずれか1項記載のズームレンズ。
    0.5<FGr1/FGr<1.3 …(3)
  12. 下記条件式(4)を満足する
    請求項1から11のいずれか1項記載のズームレンズ。
    0.25<FGr1/Ft<0.60 …(4)
    ただし、
    Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離
  13. 下記条件式(5)を満足する
    請求項1から12のいずれか1項記載のズームレンズ。
    0.12<FGr3/Ft<0.27 …(5)
    ただし、
    Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離
  14. 下記条件式(6)を満足する
    請求項1から13のいずれか1項記載のズームレンズ。
    0.12<BF/Ft<0.28 …(6)
    ただし、
    BF:前記最終レンズ群から像面までの空気換算長
    Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離
  15. 下記条件式(7)を満足する
    請求項1から14のいずれか1項記載のズームレンズ。
    1.1<TL/Ft<1.6 …(7)
    ただし、
    TL:光学全長
    Ft:望遠端における無限遠物体への合焦の際の全系の焦点距離
  16. 物体側から順に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記第mpレンズ群、前記最終レンズ群の4つのレンズ群から実質的になる
    請求項1から15のいずれか1項記載のズームレンズ。
  17. 請求項1から16のいずれか1項記載のズームレンズを備えた撮像装置。
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