JP2016049512A - 嫌気性アンモニア酸化処理方法、嫌気性アンモニア酸化処理装置及び有機性廃水の脱窒処理方法 - Google Patents

嫌気性アンモニア酸化処理方法、嫌気性アンモニア酸化処理装置及び有機性廃水の脱窒処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】槽内に一定量以上の微生物を安定的に保持することができ、膜汚染を抑制しながら長期間安定した処理を行うことが可能な嫌気性アンモニア酸化処理方法、嫌気性アンモニア酸化処理装置及びこれを用いた有機性廃水の脱窒処理方法を提供する。
【解決手段】アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含む被処理液6を嫌気性条件下で嫌気性アンモニア酸化菌に接触させることにより窒素ガスを発生させる嫌気性アンモニア酸化処理工程を含み、その工程が、嫌気性アンモニア酸化菌と嫌気性アンモニア酸化菌を付着させるための担体とを含有した被処理液6を収容した嫌気性アンモニア酸化槽7から処理水8を分離して抽出するための分離膜モジュール9を被処理液6中に浸漬して処理水8を分離抽出するとともに、嫌気性アンモニア酸化槽7で発生した窒素ガスを抜き出して、抜き出した窒素ガスを嫌気性アンモニア酸化槽7内に循環させることにより嫌気性アンモニア酸化槽内に気液混合流を発生させることを含む嫌気性アンモニア酸化処理方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、嫌気性アンモニア酸化処理方法、嫌気性アンモニア酸化処理装置及びこれを用いた有機性廃水の脱窒処理方法に関する。
近年、従来の従属脱窒反応より省エネである嫌気性アンモニア酸化法が注目されている。嫌気性アンモニア酸化法は、アンモニア性窒素(NH4−N)を電子供与体とし、嫌気状態において亜硝酸性窒素(NO2−N)を電子受容体とする独立栄養性微生物を利用してNH4−NとNO2−Nとを直接反応させて窒素ガスに変換する。そのため、外部からメタノール等の有機物添加が不要であり、薬品コストを大きく低減できる利点を有する。独立栄養性微生物を利用することにより、汚泥発生量が極めて少ないという利点もある。
このような嫌気性アンモニア酸化法としては、例えば特許文献1(特開2012−24707号公報)に示すように、嫌気性アンモニア酸化槽に高分子担体を添加し、担体の表面に嫌気性アンモニア酸化菌を付着固定して、嫌気性アンモニア酸化槽内の菌濃度を高く保持する方法が知られている。
特許文献2(特開2014−104416号公報)には、担体方式を用いた他の嫌気性アンモニア酸化処理法が開示されている。特許文献2では、例えば図1に示すように、嫌気性アンモニア酸化を行う脱窒槽に、脱窒菌を固定した包括固定担体を添加し、インペラーで攪拌しながら反応を進行させる技術が記載されている。
特許文献3(特開2011−189261号公報)では、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含む処理対象物を、嫌気性アンモニア酸化菌を含むグラニュールに嫌気性条件下で接触させることにより、ガスを発生させ、発生したガスをガス透過性の分離膜によって処理対象物から分離させる技術が記載されている。
特開2012−24707号公報 特開2014−104416号公報 特開2011−189261号公報
嫌気性アンモニア酸化を効率良く行わせるためには、基質と微生物とを効率良く接触させる必要があり、そのためには適切な撹拌が必要である。現在は、特許文献1及び2に記載されるようなインペラー等の撹拌機を用いた機械撹拌が実施されるのが一般的である。
しかしながら、本発明者らの検討の結果、処理槽内に担体と嫌気性アンモニア酸化菌を添加して特許文献1及び2に記載されるインペラーのような機械攪拌方式を用いて担体を流動させると、担体表面への嫌気性アンモニア酸化菌の付着量が、攪拌強度、インペラー材質、形状、担体添加量等に大きく影響されることがわかった。即ち、攪拌強度が強すぎてインペラー材質が硬すぎる場合等には、担体表面に付着した嫌気性アンモニア酸化菌が、機械摩擦により剥離し、剥離したアンモニア酸化菌が浮上して処理槽外へと流出する現象が発生する。その結果、処理槽内に一定量以上の微生物を常に保持させることが難しくなり、安定した処理を行うことが困難になる場合がある。
特許文献3に記載されるような分離膜を処理槽内に挿入した場合、最も問題となるのが膜汚染である。特に、嫌気性アンモニア酸化処理では、処理槽内に設置する分離膜の菌付着による膜汚染の抑制が大きな課題となる。処理によって分離膜に嫌気性アンモニア酸化菌が付着することにより、膜汚染が徐々に進行するため、膜洗浄を施す必要が生じる。しかしながら、処理槽が嫌気状態であることや、菌活性保持や処理性能維持の観点等から、薬品等による膜洗浄や槽外での浸漬洗浄は困難で膜汚染を抑制することが難しい。
上記課題を鑑み、本発明は、槽内に一定量以上の微生物を安定的に保持することができ、膜汚染を抑制しながら長期間安定した処理を行うことが可能な嫌気性アンモニア酸化処理方法、嫌気性アンモニア酸化処理装置及びこれを用いた有機性廃水の脱窒処理方法を提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、嫌気性アンモニア酸化によって発生したガスを内部循環により処理槽内へ吹き込み、処理槽内で気液混合流を発生させて槽内の担体を流動させることで、嫌気性アンモニア酸化菌の担体からの剥離を抑制して槽外への流出を防ぐことができ、且つ、分離膜表面の膜汚染を効果的に抑制できることを見いだした。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含む被処理液を嫌気性条件下で嫌気性アンモニア酸化菌に接触させることにより窒素ガスを発生させる嫌気性アンモニア酸化処理工程を含み、上記工程が、嫌気性アンモニア酸化菌と嫌気性アンモニア酸化菌を付着させるための担体とを含有した被処理液を収容した嫌気性アンモニア酸化槽から処理水を分離して抽出するための分離膜モジュールを被処理液中に浸漬して処理水を分離抽出するとともに、嫌気性アンモニア酸化槽で発生した窒素ガスを抜き出して抜き出した窒素ガスを嫌気性アンモニア酸化槽内に循環させることにより嫌気性アンモニア酸化槽内に気液混合流を発生させることを含む嫌気性アンモニア酸化処理方法が提供される。
本発明に係る嫌気性アンモニア酸化処理方法は一実施態様において、嫌気性アンモニア酸化槽から抜き出した窒素ガスを、嫌気性アンモニア酸化槽の底部に配置された散気手段を介して分離膜モジュールの下部へ供給することを含む。
本発明に係る嫌気性アンモニア酸化処理方法は別の一実施態様において、嫌気性アンモニア酸化槽の底部に水平な方向の分離膜モジュールの単位設置断面積あたりの窒素ガスの供給流量が10〜1000L/m2・分となるように窒素ガスを供給する。
本発明に係る嫌気性アンモニア酸化処理方法は更に別の一実施態様において、分離膜モジュールが、担体よりも嫌気性アンモニア酸化菌を付着させない材料で形成されている。
本発明に係る嫌気性アンモニア酸化処理方法は更に別の一実施態様において、分離膜モジュールの透過フラックスを0.1〜0.8m/日として処理水を分離抽出することを含む。
本発明は別の一側面において、アンモニア性窒素を含む有機性廃水中のアンモニア性窒素の一部を亜硝酸化菌の作用により亜硝酸性窒素に部分亜硝酸化して、アンモニア性窒素と亜硝酸窒素とを含む被処理液を得る亜硝酸化処理工程と、上記アンモニア酸化処理工程とを含む有機性廃水の脱窒処理方法が提供される。
本発明に係る有機性廃水の脱窒処理方法は一実施形態において、亜硝酸化処理工程の前に、窒素及び有機物を含む有機性廃水を、従属栄養性細菌を用いて嫌気的に脱窒処理し、アンモニア性窒素を含む有機性廃水を得る脱窒工程を更に含む。
本発明は更に別の一側面において、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含む被処理液と、嫌気性アンモニア酸化菌と嫌気性アンモニア酸化菌を付着させるための担体とを収容し、嫌気性条件下で嫌気性アンモニア酸化菌と被処理液とを接触させることにより窒素ガスを発生させる嫌気性アンモニア酸化槽と、被処理液中に浸漬され、嫌気性アンモニア酸化槽内から処理水を分離して抽出するための分離膜モジュールと、嫌気性アンモニア酸化槽で発生した窒素ガスを抜き出して、抜き出した窒素ガスを嫌気性アンモニア酸化槽内に循環させることにより嫌気性アンモニア酸化槽内に気液混合流を発生させる循環手段とを備える嫌気性アンモニア酸化処理装置が提供される。
本発明によれば、槽内に一定量以上の微生物を安定的に保持することができ、膜汚染を抑制しながら長期間安定した処理を行うことが可能な嫌気性アンモニア酸化処理方法、嫌気性アンモニア酸化処理装置及びこれを用いた有機性廃水の脱窒処理方法が提供できる。
本発明の実施の形態に係る嫌気性アンモニア酸化処理装置の一例を表す概略図である。 実施の形態に係る有機性廃水の脱窒処理方法(1)を表すフロー図である。 実施の形態に係る有機性廃水の脱窒処理方法(2)を表すフロー図である。 実施の形態に係る有機性廃水の脱窒処理方法(3)を表すフロー図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであってこの発明の技術的思想は構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
(嫌気性アンモニア酸化処理装置)
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る嫌気性アンモニア酸化処理装置は、嫌気性アンモニア酸化菌を担持した微生物触媒10と被処理液6とを収容し、嫌気性条件下で、嫌気性アンモニア酸化菌と被処理液6とを接触させることにより窒素ガスを発生させる嫌気性アンモニア酸化槽7と、嫌気性アンモニア酸化槽7内で被処理液6中に浸漬され、嫌気性アンモニア酸化槽7から吸引ろ過により処理水8を分離して抽出するための分離膜モジュール9と、嫌気性アンモニア酸化槽7で発生した窒素ガスを抜き出して、抜き出した窒素ガスを嫌気性アンモニア酸化槽7内に循環させることにより、嫌気性アンモニア酸化槽7内に気液混合流を発生させる循環手段13とを備える。
被処理液6としては、アンモニア性窒素(NH4−N)及び亜硝酸性窒素(NO2−N)を含む有機性廃水が利用可能である。有機性廃水としては、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素以外に、有機物、炭酸塩、その他物質等を含んでいてもよい。嫌気性アンモニア酸化槽7内では、アンモニア性窒素を電子供与体とし亜硝酸性窒素を電子受容体とする独立栄養性微生物(嫌気性アンモニア酸化菌)を利用し、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素を嫌気性状態において反応させて窒素ガスに変換する嫌気性アンモニア酸化が行われる。なお安定的に生物処理を進めるためには、被処理液6のアンモニア性窒素及び亜硝酸窒素の含有比率を、嫌気性アンモニア酸化法による処理に好適な含有比率に調整しておくことが好ましい。
嫌気性アンモニア酸化槽7内に供給された被処理液6中には、嫌気性アンモニア酸化菌と嫌気性アンモニア酸化菌を付着させるための担体とが添加される。嫌気性アンモニア酸化槽7に投入される担体の材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリルアミド、光硬化性樹脂等の合成高分子、カラギーナン、アルギン酸ソーダ等の高分子を用いたゲル担体、ポリエチレンやポリウレタン、ポリポロピレン等からなる樹脂担体、或いは粒状活性炭等が挙げられる。
担体の形状としては、球形、四角形、円筒形の何れも使用可能であり、その有効径は後述する分離膜モジュール9或いは嫌気性アンモニア酸化槽7の出口に設けられるスクリーン(図示省略)によって、安定して被処理液6から分離できる1〜20mmが好ましい。担体の表面性状としては、表面に微細孔径を多く有するもの、表面に無数の凹凸を有するものが、嫌気性アンモニア酸化菌の付着固定が速いために、短期間で高い脱窒性能が得られ、且つ長期間、嫌気性アンモニア酸化菌を槽内で高濃度に維持できる。
担体の比表面積は200〜30000m2/m3、より好ましくは200〜20000m2/m3、更に好ましくは200〜10000m2/m3あるものが好ましい。担体比重は嫌気状態において槽7内で均一に流動できる1.01〜1.15、より好ましくは、1.01〜1.10、更に好ましくは1.01〜1.05であるものが好ましい。担体充填量は嫌気性アンモニア酸化槽7内において均一に混合流動可能となる5〜30V%であるのが好ましく、より好ましくは10〜30V%、更に好ましくは10〜20V%である。
嫌気性アンモニア酸化槽7内で流動する微生物触媒10としては、結合固定化担体であることが好ましい。「結合固定化担体」とは、主として担体の外表面上に微生物を付着又は成長させる結合固定化法によって微生物を固定化した微生物担体を意味する。嫌気性アンモニア酸化処理において結合固定化担体を用いることで、基質の微生物への輸送効率が上昇し、反応速度の向上をもたらす。担体の該表面上に微生物を付着させることにより、反応で発生した窒素ガスを液中に放出し易くなる効果も得られる。
特に、本実施形態では、実際に処理を連続的に行う嫌気性アンモニア酸化槽7内に担体を投入し、嫌気性アンモニア酸化槽7内に供給される被処理液6を用いて、被処理液6の処理に適した微生物膜を担体の外表面上に徐々に堆積させた微生物触媒10を使用することが好ましい。これにより、被処理液6の処理に適した嫌気性アンモニア酸化処理がより安定的に行える。
しかしながら、嫌気性アンモニア酸化菌等のような自己造粒型の嫌気性微生物は不定形に自己造粒する微生物であるため、このような微生物に対して、結合固定化法によって微生物触媒10を作製すると、担体の外表面に付着した微生物膜表面は、大小の凹凸を含む不規則な凹凸が形成される。
このような不規則な凹凸を有する微生物触媒10を使用する場合、従来の機械撹拌による撹拌では、嫌気性アンモニア酸化菌を担持した微生物触媒10が撹拌羽根と衝突し、微生物触媒10の該表面を覆う微生物膜の一部分が引き剥がされることが問題となる。撹拌羽根との直接的な接触のみでなくとも、撹拌羽根付近で発生する強い乱流によって、微生物触媒10の一部が剥離を引き起こす場合もある。剥離が生じた嫌気性アンモニア酸化菌は、大きさが小さく軽いため、槽7内の対流によって徐々に浮上する結果、槽外への流出が生じやすくなる。
一方、現在、嫌気性アンモニア酸化技術で一般的に用いられる自己造粒型の嫌気性微生物の利用に関しては、微生物を光固定化樹脂などで包括し、樹脂の内部に取り込み固定化する「包括固定化法」によって固定化した担体を利用する手法が取られている場合もある。
この包括固定化法によって固定された担体を、本実施形態に係る処理に用いることも勿論可能であるが、包括固定化法によって固定された担体を流動させる手法は、微生物が樹脂で包括されているために、樹脂が直接撹拌羽根と衝突する機会が無く、機械撹拌による微生物膜剥離の問題はあまり生じない。また、別の利用方法である、自己造粒化した微生物集塊そのものを微生物触媒として用いる方法(グラニュール法)では、担体に微生物を付着させているわけではないので、微生物膜の剥離と言う問題自体が存在しない。
一方で、これら従来の包括固定化法又はグラニュール法を利用した微生物担体は、微生物を多く保持させすぎると、担体内部に保持された微生物から発生する窒素ガスで担体或いは微生物集塊が内部から崩壊する可能性がある。そのため、結合固定化担体を使用した場合に比べて、長期間安定して嫌気性アンモニア処理を行うことが難しい場合もある。この点において、反応でガスを発生する微生物処理の場合は、結合固定化担体がより有効である。
分離膜モジュール9は、嫌気性アンモニア酸化槽7内に1個又は複数個配置することができる。分離膜モジュール9の配置態様及び形状は特に制限されない。例えば、水槽長さ×水槽幅×水槽高さで定義される立方体(箱)型の嫌気性アンモニア酸化槽7を用いた場合、水槽長方向又は幅方向に沿って複数の分離膜が互いに平行に離間させて並んだ分離膜モジュール9を配置することができる(例えば、図1の紙面奥方向に分離膜を複数個並べた分離膜モジュール9を配置することができる)。或いは、水槽高さ方向に分離膜を並べた分離膜モジュール9を並べることもできる。筒型の嫌気性アンモニア酸化槽7を用いた場合、筒の中心部から径方向に向けて放射状に配置された膜を有する分離膜モジュール9を配置してもよいし、槽の形状に合わせて大きさの異なる膜を有する分離膜モジュール9を1又は複数並べることもできる。
分離膜モジュール9としては、透水性の中空糸膜、平膜などが利用可能であり、平面型の透水性精密ろ過(MF)膜が特に好適に利用できる。膜素材は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン等の高分子有機膜、セラミック又は金属からなる無機膜のいずれでも好ましい。但し、嫌気性アンモニア酸化槽7内に投入される担体よりも、嫌気性アンモニア酸化菌を付着されない材料で形成されていることが好ましい。これにより、嫌気性アンモニア酸化菌の担体への付着割合を高めることができるとともに、分離膜モジュール9への菌の付着を抑制して長期間安定的な処理を行うことができる。
更に、本実施形態では、嫌気性アンモニア酸化処理における、分離膜モジュール9の透過フラックス(吸引ろ過フラックス)を0.1〜0.8m3/m2/日(=m/日)、好ましくは0.1〜0.6m/日、更に好ましくは0.2〜0.4m/日として処理水を吸引ろ過することが好ましい。透過フラックスが0.1m/日よりも低い場合には安定した水量を確保できない場合がある。透過フラックスが0.8m/日よりも高い場合には膜抵抗が短時間に上昇する場合がある。
分離膜モジュール9には、吸引ろ過ポンプ15が接続されており、吸引ろ過ポンプ15を介して、嫌気性アンモニア酸化槽7内から処理水8が引き出される。吸引ろ過ポンプ15の代わりに水頭圧を利用した重力ろ過装置などを用いても構わない。安定的な処理を行う場合、ろ過時の分離膜間圧力差(ろ過抵抗)は0.04MPa以下、より好ましくは0.03MPa以下、更に好ましくは0.02MPa以下とすることが好ましい。
連続処理において、ろ過時の圧力が上記値を超えた場合は、分離膜モジュール9に膜汚染が生じている場合が考えられる。その場合は、分離膜モジュール9及び吸引ろ過ポンプ15を介した処理水8の抽出作業を一次的に停止させ、後述する循環手段13によって、窒素ガスの槽内循環を行い、微生物触媒10を流動させて微生物触媒10及び窒素ガスの分離膜モジュール9への接触を促すことが好ましい。これにより、処理を完全に終了させずに膜表面に付着した汚泥やスライムなどの汚染物を剥離させる洗浄作業を実施できる。この洗浄作用によっても圧力差が小さくならない場合には、処理水8を逆流させることによる膜洗浄を行うこと、或いは、処理を完全に終了させて薬液を逆流させることによって膜洗浄を行うこともできる。
嫌気性アンモニア酸化槽7には、嫌気性アンモニア酸化槽7で発生した窒素ガスを抜き出して、抜き出した窒素ガスを嫌気性アンモニア酸化槽7内に循環させることにより、嫌気性アンモニア酸化槽7内に気液混合流を発生させる循環手段13が設けられている。窒素ガスの一部は排気ガス14として外部へ排出させてもよい。
循環手段13は、嫌気性アンモニア酸化槽7の上部に接続された配管等の循環ライン13aと、循環ライン13aに接続された水トラップ13bと、水トラップ13bに接続された循環ライン13cと、循環ライン13c上に接続されたブロワー13dを有する。ブロワー13dには、嫌気性アンモニア酸化槽7の底部に配置された散気手段12が接続されている。
散気手段12としては、散気管、ディフューザ、スパージャ、散気板、メンブレン等があげられる。散気手段12は、嫌気性アンモニア酸化槽7から抜き出した窒素ガスを、循環ライン13a、水トラップ13b、循環ライン13c及び曝気ブロワー13dを経由して分離膜モジュール9の下部へ供給する。散気手段12を通じた窒素ガスの供給により、嫌気性アンモニア酸化槽7内には気液混合流が発生し、この気液混合流に乗って微生物触媒10が槽7内を流動する。また、この散気手段12からの窒素ガスの供給により槽内を流動する微生物触媒10が分離膜モジュール9と接触すること、或いは気液混合流(又は窒素ガス)が分離膜モジュール9と接触することによって、分離膜モジュール9の膜汚染が抑制される。
窒素ガスの供給流量としては、10〜1000L/(m2・分)となるように窒素ガスを供給することが好ましい。この供給流量は、嫌気性アンモニア酸化槽7の底部に水平な方向の分離膜モジュール9の設置単位断面積あたりの窒素ガスの供給流量を意味する。これにより、微生物触媒10の嫌気性アンモニア酸化槽7内での適切な流動及び分離膜モジュール9の汚染が抑制される。なお、処理の安定性を考慮すると、窒素ガスの供給量は、50〜500L/(m2・分)とするのがより好ましく、更に好ましくは、100〜300L/(m2・分)である。
本発明の実施の形態に係る嫌気性アンモニア酸化処理装置によれば、撹拌機などの機械撹拌を用いずに、循環手段13を配置して窒素ガスを分離膜モジュール9の下部から供給して槽内に気液混合流を発生させる。これにより、分離膜モジュール9の膜汚染を抑制しながら、嫌気性アンモニア酸化槽7内を流動する微生物触媒10の表面に形成された微生物膜の剥離を抑制することができ、より安定した水処理を行うことが可能となる。
(嫌気性アンモニア酸化処理方法)
本発明の実施の形態に係る嫌気性アンモニア酸化処理方法は、図1に示す嫌気性アンモニア酸化処理装置を用いて、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含む被処理液を処理する工程を含む。
具体的には、該工程は、嫌気性アンモニア酸化菌と嫌気性アンモニア酸化菌を付着させるための担体とを含有した被処理液6を収容した嫌気性アンモニア酸化槽7内に分離膜モジュール9を浸漬し、吸引ろ過により槽内から処理水8を分離抽出するとともに、嫌気性アンモニア酸化槽7で発生した窒素ガスを抜き出して、抜き出した窒素ガスを嫌気性アンモニア酸化槽内に循環させることを含む。
嫌気性アンモニア酸化槽7で発生した窒素ガスを抜き出して、抜き出した窒素ガスを嫌気性アンモニア酸化槽7内に循環させて気液混合流を発生させることにより、従来使用されてきたインペラー等の機械攪拌を行うことなく、槽内で基質と微生物との適切な撹拌ができるため、長期間にわたりより安定した処理を行うことが可能となる。また、嫌気性アンモニア酸化の場合は、処理で発生する窒素ガス自体が、不活性ガスのため、処理で発生した窒素ガスを循環して利用することによって、より効率の良い処理を行うことができる。
また、図1の吸引ろ過ポンプ15の圧力値(ろ過抵抗)が所定の圧力値よりも高くなった場合、吸引ろ過ポンプ15による処理水8の吸引ろ過を停止した状態、或いは処理水8を逆流させながら、循環手段13による嫌気性アンモニア酸化槽7への窒素ガスの吹き込みを行う。これにより、分離膜モジュール9を嫌気性アンモニア酸化槽7へ浸漬した状態で分離膜モジュール9の洗浄を実施することができるため、分離膜モジュール9を一度、嫌気性アンモニア酸化槽7から取り出して別途洗浄を行う場合に比べて処理効率の向上を図ることができる。
(有機性廃水の脱窒処理(1))
図1に示す嫌気性アンモニア酸化処理装置は、図2に示されるように、アンモニア性窒素を含む有機性廃水1の脱窒処理にも適用することができる。即ち、本実施の形態に係る有機性廃水の脱窒処理装置は、図2に示すように、有機性廃水1中のアンモニア性窒素の一部を亜硝酸化菌の作用により亜硝酸性窒素に部分亜硝酸化して、アンモニア性窒素と亜硝酸窒素を含む被処理液6を得る亜硝酸化槽2と、アンモニア性窒素と亜硝酸窒素を含む被処理液6を処理する嫌気性アンモニア酸化槽7(図1に示す嫌気性アンモニア酸化処理装置)と、嫌気性アンモニア酸化槽7内から分離濃縮された汚泥混合液の一部を亜硝酸化槽2へ返送させる返送ライン5aを備える。
亜硝酸化槽2では、有機性廃水1中に含まれるアンモニア性窒素(NH4−N)の一部を亜硝酸菌の働きにより、亜硝酸性窒素(NO2−N)に変換する部分亜硝酸化処理が行われる。部分亜硝酸化処理では、亜硝酸菌としてのアンモニア酸化菌を安定して亜硝酸化槽2内に維持させることが望ましい。アンモニア酸化菌を安定して維持するための方法としては、亜硝酸化槽2内にアンモニア酸化菌を付着固定できる流動担体を添加すること等が挙げられる。
亜硝酸化槽2に充填する流動担体としては、ポリエチレングリコール(PEG)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミド、光硬化性樹脂等の合成高分子、カラギーナン、アルギン酸ソーダ等の高分子を用いたゲル担体、ポリエチレンやポリウレタン、ポリポロピレン等からなる担体、或いは活性炭からなる担体などが挙げられる。
担体の形状としては球形、四角形、円筒形の何れも使用可能でありその有効径は、亜硝酸化槽2の出口に設けられたスクリーンより安定して分離できる2〜20mmであり、より好ましくは3〜15mm、更に好ましくは3〜10mmが好ましい。担体比重は曝気状態において均一に流動可能となる1.01〜1.15、より好ましくは1.01〜1.10、更に好ましくは1.01〜1.05であるものが好ましい。担体充填量は均一に混合流動可能となる5〜30V%であるのが好ましく、より好ましくは10〜20V%である。
亜硝酸化槽2で安定的に処理を進めるために、担体添加と浮遊活性汚泥の共存が望ましい。浮遊活性汚泥の共存により、亜硝酸化槽2に流入する有機性廃水1の水質が変動しても、活性汚泥処理による平均化が可能である。そのため、アンモニア酸化菌付着の微生物担体への影響がほとんど無く、安定した亜硝酸化処理が得られる。
よって、図2に示すように、返送ライン5aを介して嫌気性アンモニア酸化槽7から分離濃縮された汚泥混合液の一部を、有機性廃水1と混合するか、或いは直接亜硝酸化槽2へ返送させることにより、安定した亜硝酸化処理が得られる。
(有機性廃水の脱窒処理(2))
図1に示す嫌気性アンモニア酸化処理装置は、図3に示されるように、亜硝酸化槽2と嫌気性アンモニア酸化槽7との間に、亜硝酸化槽2で処理された亜硝酸化処理液3に含まれる浮遊活性汚泥を沈降分離するための沈殿池(沈降槽)4が更に配置され、沈降分離により得られた汚泥の一部を返送汚泥として、有機性廃水1と混合させる、或いは亜硝酸化槽2へ直接供給するための返送ライン5bを更に備える点が、図2に示す有機性廃水の脱窒処理装置及び方法と異なる。
沈殿池4では、亜硝酸化処理液3中に含まれる浮遊活性汚泥を沈降分離する。沈降分離により得られた上澄み液は、被処理液6として嫌気性アンモニア酸化槽7へ送られる。沈殿池4内で沈降分離された汚泥の一部は、返送汚泥として有機性廃水1と混合して亜硝酸化槽2へ供給することが可能である。沈殿池4内で発生する余剰汚泥の一部は汚泥処理設備へ送られる。
(有機性廃水の脱窒処理(3))
図1に示す嫌気性アンモニア酸化処理装置は、図4に示されるような、窒素及び有機物を含有する有機性廃水100の脱窒処理にも適用することができる。即ち、図4に示す有機性廃水100を濃縮処理及び脱水処理することにより、原水中の浮遊物質(SS)成分を除去する濃縮・脱水装置30と、濃縮・脱水装置30から得られた有機性廃水101を従属栄養性細菌を用いた脱窒反応により嫌気的に脱窒処理して脱窒処理液(アンモニア性窒素を含む有機性廃水1)を得る脱窒槽20と、有機性廃水1中に含まれるアンモニア性窒素の一部を亜硝酸菌の作用により亜硝酸性窒素に硝化して亜硝酸化処理液(アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素を含む被処理液6)を得る亜硝酸化槽2と、被処理液6の一部を脱窒槽20へ循環する循環手段17aと、被処理液6中のアンモニア性窒素を、嫌気性条件下で嫌気性アンモニア酸化菌に接触させることにより窒素ガスを発生させる嫌気性アンモニア酸化槽7と、嫌気性アンモニア酸化槽7から分離濃縮された汚泥混合液の一部を脱窒槽20へ循環させる循環手段17bを含む。
濃縮・脱水装置30としては、種々の装置を用いることができる。例えば原水として、し尿と浄化槽汚泥混合液を利用する場合は、一般的にはし尿と浄化槽汚泥混合液に対する濃縮・脱水処理を別々に行うことが好ましい。予め、汚泥の濃縮処理を行い、濃縮した汚泥に対して脱水処理を行えば、含水率の低い脱水汚泥が得られる。
濃縮方式としては、重力濃縮、機械濃縮の何れも有効な濃縮方式である。高分子凝集剤を添加した濃縮処理を行うと、濃縮汚泥濃度を最大10%程度にすることができる。この濃縮汚泥に対して脱水処理を行えば、含水率70%以下の脱水汚泥が得られて顕著な汚泥減容効果が得られる。この低含水率脱水汚泥のカロリーは高く、焼却処理において補助燃料無しでの自燃が可能であり、省エネ、低コストとなる。
濃縮・脱水装置30で濃縮・脱水が行われた被処理液は、BOD、SS等の有機物濃度が大きく低減されることから、後段の各処理槽の容積をコンパクト化できる。特に、被処理液のBOD/T−N比が3より低い場合、図4に示す有機性廃水の脱窒装置及び方法の適用メリットがより高くなる。
脱窒槽20では、従属栄養性細菌である脱窒菌を用いて、被処理液中の有機物を電子供与体として利用しながら窒素ガスを発生させる従属栄養脱窒反応を進行させる。従属栄養脱窒反応により脱窒できるNOx−N量は、脱窒槽20に流入されるBOD量に依存する。通常は、NOx−Nが1gに対しBODが約3g必要となる。脱窒槽20に流入するBODは、被処理液のBODを測定することにより予め測定できる。このため、後述する亜硝酸化槽2から脱窒槽20へ循環する亜硝酸化処理液に含まれるNOx−N量が、脱窒槽20における脱窒処理により処理される被処理液中のBOD量に対して理論上必要量(例えば約1/3倍)となるように、亜硝酸化処理液の循環流量を調整すれば、脱窒槽20でNOx−Nを確実に除去できる上、被処理液中のBODも同時に消費して、被処理液中のBODを小さくすることができる。
その結果、脱窒槽20から得られる処理液101は、BOD残留が少なく、窒素成分として、主にアンモニア性窒素(NH4−N)を含有することとなる。また、脱窒槽20で処理された処理液101の全窒素濃度(T−N)は、亜硝酸化処理液を循環させない場合に比べて低減されていることから、後述する嫌気性アンモニア酸化槽7のT−N負荷も低減でき、嫌気性アンモニア酸化槽7がコンパクトとなる。図4に示す装置によれば、最終的に得られる処理水中の窒素濃度をより低減することができるとともに、各反応槽における処理を安定して進めることができる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
(実施例1)
処理対象である有機性廃水(原水)として下水消化汚泥脱水ろ液を使用し、図2に示す処理フロー(処理装置)で水処理を実施した。表1に、原水、亜硝酸化処理水(図2の被処理液6に相当)及び嫌気性アンモニア処理水(図2の処理水8に相当)の水質を示す。表2に亜硝酸化槽及び嫌気性アンモニア酸化槽の処理結果の一例を示す。なお、表2中「返送汚泥量」とは、嫌気性アンモニア酸化槽から亜硝酸化槽へ返送する汚泥混合液の量を表す。
亜硝酸化槽には、平均粒径4.0mm、比重1.02、ポリビニルアルコール主体の担体(PVA担体)を10V%添加し、亜硝酸化菌と活性汚泥を供給して、表2に示す処理で、アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含む被処理液(亜硝酸化処理水)を得た。
嫌気性アンモニア酸化槽では、亜硝酸化槽で得られた被処理液を嫌気性アンモニア酸化槽内へ供給して分離膜モジュールを被処理液中に浸漬させた。分離膜モジュールとしては、孔径0.4μmのPVDF平膜モジュールで、有効膜面積2m2、設置断面積0.1m2のものを嫌気性アンモニア酸化槽内に浸漬設置して、吸引ろ過ポンプで圧力差0.01MPaで吸引して処理水(表1の嫌気性アンモニア酸化処理水)を得た。このときの膜透過フラックスは0.25m/日であった。担体として、平均粒径4.0mm、比重1.02、ポリビニルアルコール主体の担体(PVA担体)を10V%添加し、槽内で発生した窒素ガスを、嫌気性アンモニア酸化槽底部に配置した散気管を通じて、分離膜の下部から供給流量200L/m2/minで循環供給して槽内に気液混合流を発生させた。
このような処理を約6ヶ月行った結果、分離膜の膜透過フラックスが0.2m/日において安定した嫌気性アンモニア酸化処理水の水量が得られた。この間、T−N負荷(即ち、嫌気性アンモニア酸化槽の単位容積(m3)当たり1日に処理するT−N量(kg))は6ヶ月間の平均で4.0kg/m3/日であった。T−N除去率(即ち、処理対象とする液のT−Nに対して処理水T−Nが低減した比率)は、6ヶ月平均で82%であり、MLSSは2500m/Lとなり、分離膜設置及び窒素ガスによる嫌気性アンモニア酸化菌結合固定化担体の槽内流動によって、長期間、安定した嫌気性アンモニア性処理の処理性能が得られた。
(実施例2)
有機性廃水として実施例1と同様の下水消化汚泥脱水ろ液を使用し、図3に示す処理フロー(処理装置)で水処理を実施した。亜硝酸化槽及び嫌気性アンモニア酸化槽内の担体、担体充填率、分離膜の特性は実施例1と同様とした。表3に、有機性廃水、沈殿池上澄み液(図3の被処理液6に相当)及び嫌気性アンモニア酸化処理水(図3の処理水8に相当)の水質の一例を示す。表4に亜硝酸化槽及び嫌気性アンモニア酸化槽の処理結果を示す。表4中「返送汚泥量」とは、沈殿池から亜硝酸化槽へ返送した濃縮汚泥流量を表す。
実施例2では、嫌気性アンモニア酸化槽内のMLSSが2500mg/L、担体充填率10V%、窒素ガスの供給流量200L/m2/min、分離膜の透過フラックスが0.25m/日で、約6カ月安定した処理が得られた。この間、T−N負荷は平均4.0kg/m3/日であり、T−N平均除去率は平均83%であり、安定した嫌気性アンモニア性処理の処理性能が得られた。
(実施例3)
有機性廃水(原水)としてし尿・浄化槽汚泥の脱水分離液を使用し、図4に示す処理フロー(処理装置)で水処理を実施した。即ち、し尿・浄化槽汚泥の脱水分離液を濃縮脱水装置において脱水処理し、脱窒槽において従属栄養性細菌を用いて嫌気的に脱窒処理し、アンモニア性窒素を含む処理水を得た後、これを亜硝酸化槽へ入れ、亜硝酸化菌によるアンモニア性窒素の部分亜硝酸化を行って、嫌気性アンモニア酸化槽へと供給する被処理水を得た。亜硝酸化処理及び嫌気性アンモニア酸化処理における使用担体、膜等はいずれも実施例1及び実施例2と同様である。表5に、有機性廃水(図4の有機性廃水100に相当)、亜硝酸化処理水(図4の被処理液6に相当)及び嫌気性アンモニア酸化処理水(図4の処理水8に相当)の水質を示す。処理結果及び処理条件を表6に示す。なお、実施例3では、亜硝酸化槽で得た亜硝酸化処理液を脱窒槽へ循環させ、嫌気性アンモニア酸化槽の汚泥混合液を脱窒槽へ循環させ、嫌気性アンモニア酸化槽から分離濃縮された汚泥混合液の一部を脱窒槽へ循環させた。
実施例3では、嫌気性アンモニア酸化槽内のMLSSが5000mg/L、担体充填率10V%、窒素ガスの供給流量200L/m2/min、分離膜の透過フラックス0.25m/日で約6カ月安定した処理が得られた。この間、T−N負荷は平均4.0kg/m3/日であり、T−N平均除去率は平均90%であり、安定した嫌気性アンモニア性処理の処理性能が得られた。
(比較例1)
図1の嫌気性アンモニア酸化槽に分離膜モジュールを浸漬させない以外は実施例1と同じ処理フローで処理を行った。その結果、比較例1では、T−N負荷が1.5kg/m3/日しか得られず、実施例1の1/3程度にとどまった。これは膜分離による嫌気性アンモニア酸化菌の保持がなく、嫌気性アンモニア酸化槽内の脱窒菌量が少ないことによる結果と考えられる。特に初期状態では低い脱窒速度しか得られなかった。
(比較例2)
図1の嫌気性アンモニア酸化槽に、担体を添加しなかった以外は実施例1と同じ処理フローで処理を行った。比較例2では、嫌気性アンモニア酸化槽への担体添加がなく、分離膜によってアンモニア酸化菌の分離保持が行われるだけであったため、槽内には浮遊した微細なアンモニア酸化菌の汚泥が濃縮された。その結果、分離膜表面にも浮遊した汚泥が付着し、膜汚染が進行して、短時間で膜ろ過抵抗が増加した。実施例1と同様の窒素ガス供給流量及び分離膜の透過フラックス条件で処理を行ったところ、2週間後には、ろ過吸引ポンプによるろ過抵抗が0.04MPa以上となり、処理液を逆流させて洗浄しても効果がなく、次亜塩素酸溶液を用いた薬液洗浄が必要となった。この頻度の高い薬液洗浄により、嫌気性アンモニア酸化菌の活性も低くなり、T−N負荷が平均2.0kg/m3/日と、実施例1の1/2となった。
1、100、101…有機性廃水
2…亜硝酸化槽
3…亜硝酸化処理水(アンモニア性窒素を含む有機性廃水)
4…沈殿池
6…被処理液(アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含む有機性廃水)
7…嫌気性アンモニア酸化槽
8…処理水(嫌気性アンモニア酸化処理水)
9…分離膜モジュール
10…微生物触媒
12…散気手段
13…循環手段
14…排気ガス
15…吸引ろ過ポンプ
20…脱窒槽
30…濃縮・脱水装置

Claims (8)

  1. アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含む被処理液を嫌気性条件下で嫌気性アンモニア酸化菌に接触させることにより窒素ガスを発生させる嫌気性アンモニア酸化処理工程を含み、
    該工程が、前記嫌気性アンモニア酸化菌と前記嫌気性アンモニア酸化菌を付着させるための担体とを含有した前記被処理液を収容した嫌気性アンモニア酸化槽から処理水を分離して抽出するための分離膜モジュールを前記被処理液中に浸漬して該処理水を分離抽出するとともに、前記嫌気性アンモニア酸化槽で発生した窒素ガスを抜き出して、抜き出した窒素ガスを前記嫌気性アンモニア酸化槽内に循環させることにより前記嫌気性アンモニア酸化槽内に気液混合流を発生させることを含む嫌気性アンモニア酸化処理方法。
  2. 前記嫌気性アンモニア酸化槽から抜き出した窒素ガスを、前記嫌気性アンモニア酸化槽の底部に配置された散気手段を介して前記分離膜モジュールの下部へ供給することを含む請求項1に記載の嫌気性アンモニア酸化処理方法。
  3. 前記嫌気性アンモニア酸化槽の底部に水平な方向の前記分離膜モジュールの単位設置断面積あたりの窒素ガスの供給流量が10〜1000L/m2・分となるように窒素ガスを供給する請求項1又は2に記載の嫌気性アンモニア酸化処理方法。
  4. 前記分離膜モジュールが、前記担体よりも前記嫌気性アンモニア酸化菌を付着させない材料で形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の嫌気性アンモニア酸化処理方法。
  5. 前記分離膜モジュールの透過フラックスを0.1〜0.8m/日として処理水を分離抽出することを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の嫌気性アンモニア酸化処理方法。
  6. アンモニア性窒素を含む有機性廃水中のアンモニア性窒素の一部を亜硝酸化菌の作用により亜硝酸性窒素に部分亜硝酸化して、アンモニア性窒素と亜硝酸窒素とを含む被処理液を得る亜硝酸化処理工程と、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の嫌気性アンモニア酸化処理工程と
    を含む有機性廃水の脱窒処理方法。
  7. 前記亜硝酸化処理工程の前に、窒素及び有機物を含む有機性廃水を、従属栄養性細菌を用いて嫌気的に脱窒処理し、前記アンモニア性窒素を含む有機性廃水を得る脱窒工程を更に含む請求項6に記載の有機性廃水の脱窒処理方法。
  8. アンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素を含む被処理液と、嫌気性アンモニア酸化菌と前記嫌気性アンモニア酸化菌を付着させるための担体とを収容し、嫌気性条件下で前記嫌気性アンモニア酸化菌と前記被処理液とを接触させることにより窒素ガスを発生させる嫌気性アンモニア酸化槽と、
    前記被処理液中に浸漬され、前記嫌気性アンモニア酸化槽内から処理水を分離して抽出するための分離膜モジュールと、
    前記嫌気性アンモニア酸化槽で発生した窒素ガスを抜き出して、抜き出した窒素ガスを前記嫌気性アンモニア酸化槽内に循環させることにより前記嫌気性アンモニア酸化槽内に気液混合流を発生させる循環手段と
    を備える嫌気性アンモニア酸化処理装置。
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