JP2016049081A - 大気中の常在菌を活用し無肥料および無農薬で野菜を栽培する畑の造成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
たとえば、一般的な園芸ガイドには、植物を育てるうえで最も大切な要件として「NPK」が紹介されている。それぞれ、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)の元素記号を現したもので、肥料の三大要素ともいわれている。このうち、窒素分は土壌中にほとんどなく、植物を大きく成長させるために、窒素肥料がとくに重要であると考えられている。
また、植物は根から養分を吸収しているわけであるが、従来の考え方によると、無機物の形態でしか吸収できないとされている。窒素栄養であれば、硝酸態窒素(NO3 -)もしくはアンモニア態窒素(NH3 +-N)という形態である。この考え方により、無機物の窒素栄養を柱とする化学肥料が広く世界中で利用されることとなった。
一方、1980年代から、一部の研究者により、植物が有機物であるアミノ酸の形態で窒素栄養を吸収している可能性について、実証研究が盛んに行われ、さまざまな実証データが公開されるようになった。
また、植物の根の働きは、水分や養分を吸収し、かつ地上部を支えていることが一般的に知られている。しかし、根から養分を放出していることは、ほとんど知られていない。以下は非特許文献4、p88からの引用である。
このように根からはいろいろな形で有機物が放出されている。その放出量は無菌状態のときよりも有菌状態のときのほうが多い。有菌状態では作物が光合成で同化した炭素の12〜40%が根から放出されるという。土壌の飢えた微生物にとって、これは絶好のエサであり、当然根の周囲に群がる。また、根の防御機能を破れる菌にとっては、根の内部はもっとエサのある空間である。
こうして、養分欠乏と微生物の生活空間の両面から根圏という考えが生まれた。根圏とは、根そのものと、根の影響のおよぶ根周囲の土壌(根圏土壌)とからなる。
*光合成で同化した炭素とはブドウ糖などの糖類を指す
微生物には、空気中の窒素を材料にしてアミノ酸を合成する種類が存在する。窒素固定菌と呼ばれ、植物への窒素栄養の供給に重要な役割を果たしている。以下は、非特許文献8、p19からの引用である。
窒素養分は植物にとって必須であり、 植物が生育する上では最も欠乏しやすい元素である。特に農業において窒素養分は、収量や品質に大きな影響を及ぼすため、農業者による肥培管理の中心となっている。
自然界では窒素施肥は行われていないが、植物は土壌等から窒素養分を吸収し、生育しており、その給源のほとんどは窒素固定であると考えられる。窒素固定は、微生物がATPを用いて大気中のN2ガスをアンモニアまで還元して体内で同化するものである。植物は微生物が同化した窒素を吸収したり、共生関係にある場合はアミノ酸やウレイドなどの形態で直接、微生物から供給されていることが明らかにされている。
*ウレイドとは尿素態窒素のことである
植物が海から陸上に進出したのは、約4億年前のデボン紀だと考えられている。当時、地表に植物の養分となる物質はほとんど存在していなかった。そこで、植物は多様な働きをもつ微生物との共生によって繁殖可能となり、長い年月をかけて地表に広大な森林を形成していった。とくに、土壌に含まれるリンやカリウムを植物が吸収できる形に変える真菌類との共生関係があったことは、古代植物の化石調査などから判明している。
植物と微生物の関係は、今に始まったことではない。この地球上に最初に生物が発生したのは35億年前のこと、その後細菌のような核のない生物、原核生物の時代がつづいた。それからさらに20〜25億年たって、原生動物や藻類、菌類などの核のある生物、真核生物が現れたとされている。シダやトクサなどの陸上植物の祖先が出現したのは、わずか4億年前のことで、当時の水辺はすでに微生物におおわれていたはずである。いわば、陸上植物は、生まれたその瞬間から微生物にとりかこまれており、微生物のスープのなかで育ったともいえよう。
新しく生まれた植物は、必ず微生物の洗礼をうける。あるものはおそわれて死滅し、あるものは防御手段を獲得して生き残ったことだろう。植物は環境の変化に適応するだけでなく、他の生物の攻撃にも耐えて、次第に抵抗力を強め、微生物の中から毒性の弱いものを選んでとり込み、共生する方向へと進化した。微生物の中にも相手を殺して奪うだけでなく、植物と共生して栄養をとる方向へと進化したグループが現れた。
植物と微生物の共生関係をみると、共生現象が成り立つというのは、双方の争いが終末に到達したことを意味しているように思える。植物の生活法とその進化からみて、植物にとって共生という生活法はしごく当たり前のことであり、少なくとも自然状態にあるかぎり、植物は本質的に共生生物なのである。
酵母を除く真菌の特徴は、糸状菌とも呼ばれ、菌糸を伸ばし、成長とともに胞子を飛ばして繁殖することである。また真菌のほとんどが好気性菌である。好気性菌とは、酸素を消費して生命活動を営む微生物をいう。植物との共生においては、おもに土壌中のミネラルを体内に取り込み、植物が吸収できる形態に変えたうえで植物に提供している。
とくに細菌のなかには、空気中の窒素を固定し、アミノ酸を合成する窒素固定菌が存在し、痩せた土壌において植物と共生し、無肥料で農産物を栽培するための重要な働きを担っている。窒素固定菌のなかには、根粒菌と呼ばれ、植物の根に直接侵入して共生するリゾビウム属が知られている。とくに植物と微生物の共生については、ダイズの根粒菌が例示されることが多い。
一方、植物の根には接触せず、根圏に生息し、窒素固定をするアゾトバクター属がある。非接触型の窒素固定菌は、アゾトバクター属以外にも多数存在すると推測されており、これらの窒素固定菌群が、多様な植物との共生関係に深くかかわっていると考えられる。
検索語:アゾトバクター
解説:土壌中、水中に広く分布し、自然界の有機物を消費して窒素固定を行う好気性細菌。非共生的窒素固定菌であるアゾトバクターによる窒素固定の効率は、1gの炭水化物消費量について5〜20mgの窒素であって、共生的窒素固定細菌である根粒菌の1/10以下である。近年、植物根圏および葉圏において、アゾトバクターなどの窒素固定菌が分布していることがわかり、これらの細菌は植物の分泌する有機物を消費して窒素固定を行い、固定された窒素はいずれ植物に吸収利用され、一種の緩い共生関係にあるものと考えられている。
以上
*ここでいう「非共生的窒素固定菌」とあるのは、植物の根の中に侵入する根粒菌との対比で使われており、非接触型窒素固定菌と同じ意味である。
これら特許文献1〜4は、いずれも特定の微生物を培養または誘導し利用するものであり、さらに培養または誘導するため、特定の資材を必要としている。
特許文献5は、無肥料栽培の収穫物について、収穫量が激減してしまうので、収益性が悪化してしまい農業経営が成り立たなくなる欠点が生じてしまうと指摘している。
また、無肥料栽培は収穫量が激減し、収益性が悪化するとされる。
(態様1)
高さ35〜70cm、幅(上面)60〜200cmの畝を成形し無肥料および無農薬の野菜栽培に適した畑の造成方法。
(態様2)
高さ35〜50cm、幅(上面)100〜130cmの畝の形状を特徴とする態様1に記載の造成方法。
(態様3)
畝の成形後、更に、自然に生えてくる雑草類の根を残して、地上部を刈り取る作業を含む態様1または2のいずれか1項に記載の造成方法。
(態様4)
更に、マメ科植物を繁殖させることを含む態様1〜3のいずれか1項に記載の造成方法。
(態様5)
マメ科植物としてアルファルファ(和名:ムラサキウマゴヤシ)を繁殖させることを含む態様4に記載の造成方法。
(態様6)
更に、アブラナ科植物を繁殖させることを含む態様1〜5のいずれか1項に記載の造成方法。
(態様7)
アブラナ科植物としてミズナを繁殖させることを含む態様6に記載の造成方法。
(態様8)
態様1〜7のいずれか1項に記載の方法で造成した畑において野菜を栽培する方法。
(態様9)
野菜としてスイカまたは、メロンまたは、カボチャをつくる態様8に記載の栽培方法。
(態様10)
肥料を使用しない態様8または9のいずれか1項に記載の栽培方法。
(態様11)
農薬を使用しない態様8〜10のいずれか1項に記載の栽培方法。
(態様12)
灌水をしない態様8〜11のいずれか1項に記載の栽培方法。
(態様13)
同一作物を連作する態様8〜12のいずれか1項に記載の栽培方法。
更に、水はけの悪い粘土質の畑であったり、あるいは痩せた耕作放棄地であったりしても、畑の状態に応じて、雑草または、マメ科植物または、アブラナ科植物を繁殖させることにより、共生微生物を効果的に繁殖させ、農作物を無肥料および無農薬で栽培することができる。
第1群:有機物を分解する微生物群
第2群:植物と共生する微生物群
地上の生態系は、4億年という長い時間をかけて拡大し、現在の地表は多様な動植物に満ちあふれている。そのため、動植物の遺体を素早く分解し、生態系の環をスムーズに回していくため、第1群の働きが大変重要である。現代において微生物とは、特別な条件がない限り、第1群を指している。
一方、第2群の微生物群は、地表に生命が存在しない4億年前に植物と共生し、以来、地表に広大な森林をもたらす重要な役割を担っていた。しかし現在、地表は多くの植物で覆われており、かつてほどの必要性はなくなっている。そのため、常在菌のうち共生微生物の割合は極めて小さいものと推測される。
一般の耕作地では、通水性、通気性を高めるための高畝は、通常は高さ15〜20cmで、最大で高さ30cmまでとされている。たとえば、ヤンマーやクボタなどの農業機械メーカーのサイトには、高畝の成形機について紹介されているが、いずれも畝の高さは最大で30cmに設定されている。
そのため、肥料を使うことが前提になっている従来の栽培方法では、高さが30cmを超える畝の成形は想定されていない。
しかし、肥料を一切使用しない本発明においては、好気性の共生微生物の繁殖を最優先としており、肥料栽培ほどの水分を必要としない。むしろ従来の耕作地よりも通気性を重視しているため、想定外の高畝の成形が重要となる。
第一に、35〜70cm、幅(上面)60〜200cmの畝を成形する。
第二に、その畝に自然に生える雑草類を成長させる。次に草刈機もしくは鎌を使い、刈り取って、畝と畝の間の溝に落とす(図3)。草を刈るタイミングとしては、花が咲く前後が効果的である。雑草類の根は引き抜かず、そのまま残す。
第三に、畝にマメ科植物の種を播き、畝全体に繁殖させる。畝全体に繁殖するまで、根を残し、地上部を刈り取って溝に落とす作業を繰り返す。マメ科植物が畝全体に繁殖すると、土壌中に共生微生物群が一定量繁殖しているとみなされる。
第四に、アブラナ科植物の種を播き、畝全体に繁殖させる。十分に繁殖するまで、根を残し、地上部を刈り取って溝に落とす作業を繰り返す。アブラナ科植物が畝全体に繁殖すると、共生微生物群が十分に繁殖しているとみなされ、他のさまざまな野菜類の栽培が可能となる。このことにより、肥料や農薬を一切使うことなく、豊富な農産物を確保することが可能となる。
ただし、畑の水はけの状態に応じて、前記手順の第二〜第四を同時か、もしくはいずれかを実施してもよい。
そのため、雨水が抜けやすく、かつ乾燥し過ぎない幅にすることが望ましい。目安としては、畝幅が100cm以下の場合、急激に乾燥するために植物が育ちにくい傾向が認められる。逆に130cm以上の場合、雨水が抜けにくい傾向が認められる。よって、通水性、通気性、さらには保水性を確保するためには、畝幅100〜130cmがより効果的であると考えられる。
根粒をつけた植物が育つと、根粒菌の働きで次第に土の中の窒素量がふえ、菌根菌が増殖すると、リンなどのミネラルが可溶化して菌体に集まる。植物が葉や枝を落とすと微生物や小動物が集まって、増殖し、次第に地表に有機物がふえる。分解が始まると土が柔らかくなり、養分もふえ、生物も多くなり、植物も育つようになる。いったん、この物質循環の流れの環が動き出すと、自動的に環が大きくなり、生態系が育ち始める。この環を回すきっかけをつくっているのが根粒菌や菌根菌のような共生微生物であり、その役割は極めて大きい。
さらに、土壌中に有機物があり、分解型の微生物群が繁殖している場合、窒素固定菌などの共生微生物は働かないことが知られている。
窒素固定は、土壌中の窒素濃度が高い時には行われない。これは窒素固定の主体であるニトロゲナーゼ酵素の活性阻害レベルやニトロゲナーゼ遺伝子の発現レベルなど、各段階において制御されているためである。つまり土壌中の硝酸態窒素やアンモニア態窒素濃度が高いと微生物は窒素固定を無理に行わず、土壌中の無機態イオンを吸収するのである。
さらに無機態窒素濃度が高い時には、窒素固定菌であっても脱窒を行い土壌中の無機態窒素濃度レベルを下げるものまで存在する。
さらに、特許文献5では、無肥料栽培は収益性が悪化すると指摘している。肥料栽培から無肥料栽培に転換した場合、共生微生物は繁殖しにくく、収量が一時的に激減する場合がある。しかし、本発明の造成方法により従来の肥料栽培並かそれ以上の収量が得られる。
千葉県柏市において、2011年5月より無肥料および無農薬栽培の実験を開始した。実験地は5か所で合計約15,000m2である。このうち、水はけの良い畑1,954m2(以降圃場Aとする)と、水はけの悪い畑3,123m2(以降圃場Bとする)について経過をたどる。いずれも10年以上の耕作放棄地である。
圃場Aは、それまで定期的に耕起されていたため、5月の時点では畑に何も生えていなかった。そこで、どのような植物が育つか種を播いて様子を観察した。使用した品種はアルファルファ(マメ科)、エンバク(イネ科)、ブロッコリー(アブラナ科)、ケール(アブラナ科)、キャノーラ(アブラナ科)、レッドマスタード(アブラナ科)、ルッコラ(アブラナ科)、ビート(アカザ科)、ホウレンソウ(アカザ科)、レッドオーク(キク科)である。
また、この時点では大気中の常在菌を活用する発想はなく、高畝の成形も一切実施していない。
年明け以降、真冬の間、畑にはほとんど何も生えていなかった。しかし、3月下旬になると、ところどころマメ科のアルファルファが新芽を出すのを確認できた。アルファルファは多年草で、冬に地上部は枯れてしまうが、翌年の春になると新芽を出して成長する特徴を持つ。
すなわち、前年に播いた植物のうち、アルファルファのみがある程度繁殖したということになる。その後、夏にかけて、雑草類は前年に比べて非常に多く繁殖したものの、一方で全体の面積の約1/4にあたる約500m2でアルファルファが繁殖した。春にアブラナ科、アカザ科、キク科の野菜類の種も一部に播いたが、これらは前年と同様に、ほとんど育たなかった。
しかし、ここでは、明らかにミズナだけが順調に成長した。背丈が10cmを超えたころを見計らい、ベビーリーフとして収穫し、約50kgを出荷することができた。ベビーリーフの作付けに関しては、雑草が発芽した場合、野菜と交じってしまうため、収穫が困難とされる。たとえ収穫しても、雑草を選別して取り除くことがほぼ不可能だからである。ところが、圃場Aの場合、ミズナだけが成長したので、問題なく収穫できたのである。
(圃場A、2013年の経過)
ミズナは収穫後にも枯れることなく、3月から葉が再生してきた。また、ミズナを作付していない場所では、アルファルファは前年にも増して勢い良く再生した(図12)。圃場Aは5か所の実験圃場のなかで、唯一水はけが良い畑であるが、一方、水はけの悪い圃場Bを含む他の畑では、試験的に播いた野菜類だけでなく、アルファルファもほとんど育たなかった。それらの事実を考慮し、植物と微生物の共生関係について以下の通り仮説を立てた。
1.野菜と共生する微生物は好気性菌が柱になっている。そのため、畑には通水性と通気性の確保が必要である。
2.共生微生物は大気中に浮遊する常在菌である。
3.アルファルファ(マメ科)が育つ環境には、共生微生物が繁殖し始めている。
4.さらにアブラナ科植物が育つ環境であれば、共生微生物が十分に繁殖している。
5.共生微生物が十分に繁殖していれば、さまざまな野菜が育つようになる。
(図16-a〜b)。また、前年に見られたように、ミズナ、ルッコラの畝では、雑草も発芽したものの、やはり発芽後すぐに成長が止まったのを確認した(図17)。その後もミズナ、ルッコラはよく成長し、とくにミズナは、この年にはさらに勢いがあった(図18)。ミズナは自家採種した種ではなく、購入した種を使用したが、連作による生育の向上が認められた。
水はけの悪い圃場Bは、もともと田んぼにするために粘土質の土を埋め立てた土地であるが、一度も米を作付けしたことがない土地である。2011年5月の時点では、一面葦で覆われていた。そこで、まず葦を刈り取り、全面耕起したうえで、圃場Aと同様に種を播き、生育経過を観察した。
梅雨の時期は、雨が降ると一部は冠水し(図19)、全体が水田のようにぬかるむ状態であった。播いた種は、一部は発芽するものの、冠水するたびに消滅した。夏になると、雑草もあまり生えず、葦が再生してきた。秋に入るころ、葦を刈り取り、再び耕起してミズナ、ケール、レッドマスタード(いずれもアブラナ科)を播いてみた。どれも発芽はしたものの(図20)、背丈が10cm以下のままで、ほとんどが冬を前に枯れた。
年が明け、3月になっても、圃場Aのようにマメ科のアルファルファが再生することもなく、前年に播いた種は全滅したことが確認された。圃場Aと圃場Bの違いは水はけであり、通水性および通気性の確保が重要であることがわかった。
圃場Bは、とくに水はけが悪かったため、通水性および通気性を確保するため、思い切った高畝を成形することにした。基本的な形としては、高さ35〜50cm、畝幅60cmを基準とし(図21)、高さは最大70cm、畝幅は最大200cmまでの範囲で、さまざまな形の畝を成形した(図22)。通常の栽培方法では、高さ30cmまでを高畝と呼び、これ以上の高さに成形することはない。理由は、通気性は良くなる反面、乾燥が激しくなり、作物の成長を阻害するからである。しかし、水はけの悪い状態では、一切の作物が育たないという状況から、従来の枠を超えた思い切った対策が必要であるとの結論に達した。
2012年は、常識を超えた高畝を成形したことによって、土の状態が劇的に変化した。しかし、アルファルファをはじめ、野菜類はほとんど育たなかった。一方、もともと水はけの良い圃場Aでは、アルファルファが繁殖し、続いてミズナが成長した。この結果を受け、2013年は、圃場Bの畝幅(上面)を100〜130cmに統一し、なおかつアルファルファに特化して種まきし、経過を観察した。
(圃場B、2014年の経過)
スイカやメロンなどが収穫できた圃場Aは、2014年春に地主に返却することになったため、栽培実験は、圃場Bを中心に実施することになった。3月の時点で、アルファルファが育った範囲は、約3,000m2のうち約500m2で、決して十分に改良されているとはいえない状態であった。しかし、少なくともアルファルファが伸びている周辺には、共生微生物群がある程度繁殖していると推測されることから、スイカとメロンおよびカボチャに絞って栽培実験を試みた。これらの野菜は、いずれも自家採種した種である。スイカ、メロンは3代目、カボチャは2代目である。
自家採種した種のほうが適応しやすいと判断したもので、まだ土壌改良が十分とはいえず、なおかつ農作物が一度も育ったことのない圃場Bにおいて、可能な限り順調に栽培できることを目指した。
また、前年の圃場Aの経過から、アブラナ科のミズナを作付するほうが望ましいと考えたが、ミズナの種は自家採種していないこと、さらにアブラナ科野菜は秋に作付するほうが時期的に適していることを考慮し、夏野菜であるスイカ、メロン、カボチャに特化することにした。
(図28-a〜e)
Claims (13)
- 高さ35〜70cm、幅(上面)60〜200cmの畝を成形し無肥料および無農薬の野菜栽培に適した畑の造成方法。
- 高さ35〜50cm、幅(上面)100〜130cmの畝の形状を特徴とする請求項1に記載の造成方法。
- 畝の成形後、更に、自然に生えてくる雑草類の根を残して、地上部を刈り取る作業を含む請求項1または2のいずれか1項に記載の造成方法。
- 更に、マメ科植物を繁殖させることを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の造成方法。
- マメ科植物としてアルファルファ(和名:ムラサキウマゴヤシ)を繁殖させることを含む請求項4に記載の造成方法。
- 更に、アブラナ科植物を繁殖させることを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の造成方法。
- アブラナ科植物としてミズナを繁殖させることを含む請求項6に記載の造成方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法で造成した畑において野菜を栽培する方法。
- 野菜としてスイカまたは、メロンまたは、カボチャをつくる請求項8に記載の栽培方法。
- 肥料を使用しない請求項8または9のいずれか1項に記載の栽培方法。
- 農薬を使用しない請求項8〜10のいずれか1項に記載の栽培方法。
- 灌水をしない請求項8〜11のいずれか1項に記載の栽培方法。
- 同一作物を連作する請求項8〜12のいずれか1項に記載の栽培方法。
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