本発明は、携帯電話やノートパソコンやデジタルカメラ等に使用されるコネクタに関するもので、特にフレキシブルプリント基板(以下「FPC」という)やフレキシブルフラットケーブル(以下「FFC」という)にコンタクトを押し付ける機構に関するものである。
携帯電話やCCDカメラ等に使用されるコネクタは、狭ピッチで極薄(所謂軽薄短小)であり、主にハウジングとコンタクトとスライダーとから構成され、ハウジングとスライダーとでFPC又はFFCを挟持する構造である。ハウジングとスライダーとでFPC又はFFCを保持する方法には、色々考えられるが、中でもハウジングにFPC又はFFCを挿入した後にスライダーを挿入しFPC又はFFCをコンタクトに押しつける構造のものが多い。
ハウジングには、コンタクトが挿入される所要数の挿入孔が設けられるとともにFPC又はFFCが挿入される嵌合口が設けられている。
コンタクト64は図8のように略コ字形状をしており、主にFPC40又はFFCと接触する接触部22と基板等に接続する接続部24とハウジング62に固定される固定部42とから構成されている。このコンタクト64は、圧入等によってハウジング62に固定されている。
例えば、スライダー66は、図8のように略楔形状をしており、所要数のコンタクト64が配置されたハウジング62に、FPC40又はFFCを挿入した後に、前記スライダー66を挿入する。このようなスライダー66は、主にハウジング62に装着される装着部74とFPC40又はFFCをコンタクト64の接触部22に押圧する押圧部68とを備えている。FPC40又はFFCが挿入される以前は、スライダー66はハウジング62に仮装着された状態になっており、FPC40又はFFCが挿入された後にスライダー66を挿入すると、図8(B)のようにFPC40又はFFCと平行に前記スライダー66の押圧部68が挿入され、コンタクト64の接触部22にFPC40又はFFCが押圧されるようになる。
近年、この種のコネクタ60には、より低背位化の要求が強くなってきているが、上述した構造のコネクタ60では、図8(B)のように6層(ハウジング62の厚み方向両側の壁・コンタクト64の接触部22と受け部70の厚さ・スライダー66の押圧部68の厚さ・FPC40又はFFCの厚さ)構造になっている。低背位化を考えると、コンタクト64の受け部70を省略し、5層(ハウジング62の厚み方向両側の壁・コンタクト64の接触部22の厚さ・スライダー66の押圧部68の厚さ・FPC40又はFFCの厚さ)構造にすることはできるが、各部位の強度や仕様等からこれ以上低背位化が出来ないといった解決すべき課題があった。
また、上述のような構造のコネクタ60では、ハウジング62の嵌合口18側のみで、FPC40又はFFCの挿入とコンタクト64の接触部22をFPC40又はFFCに押しつける動作を行っているので、コネクタが小型化すればするほど作業性が悪いと言った問題点もある。
さらにまた、コネクタ60のピッチの狭小化が要求された場合、従来の構造のようにコンタクト64を一方向から挿入したのでは、コネクタの狭小化にも限界があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、各部位の強度や仕様等を損なうことなく、スライダー16でFPC40又はFFCを確実にコンタクト14の接触部22に押圧することができ、作業性がよく、ピッチの狭小化や低背位化が可能なコネクタを提供せんとするものである。
上記目的の低背位化は、FPC40又はFFCと着脱自在に嵌合するコネクタ10であって、該FPC40又は前記FFCと接触する接触部22を有する所要数のコンタクト14と、このコンタクト14が保持・固定されるとともに前記FPC40又は前記FFCが挿入される嵌合口18を有するハウジング12と、前記FPC40又は前記FFCを前記コンタクト14に押圧するスライダー16とを備えるコネクタ10において、前記コンタクト14の接触部22と接続部24との間に弾性部34と支点部32とを設けるとともに前記接触部22と前記弾性部34と前記支点部32と前記接続部24とを略クランク形状に配置し、かつ、前記接続部24と対向する位置に前記弾性部34から延設された押受部20を設け、前記スライダー16に長手方向に連設した押圧部36を設け、該押圧部36が前記コンタクト14の接続部22と押受部20との間で回動自在に前記スライダー16を前記ハウジング12に装着することにより達成できる。
上記目的の低背位化とピッチの狭小化は、FPC40又はFFCと着脱自在に嵌合するコネクタ101であって、該FPC40又は前記FFCと接触する接触部22を有する所要数のコンタクト14、142と、このコンタクト14、142が保持・固定されるとともに前記FPC又は前記FFCが挿入される嵌合口18を有するハウジング121と、前記FPC40又は前記FFCを前記コンタクト14、142に押圧するスライダー161とを備えるコネクタ101において、2種類のコンタクト14、142を千鳥に配置し、一方のコンタクト14には、接触部22と接続部24との間に弾性部34と支点部32とを設けるとともに前記接触部22と前記弾性部34と前記支点部32と前記接続部24とを略クランク形状に配置し、かつ、前記接続部24と対向する位置に前記弾性部34から延設された押受部20を設け、もう一方のコンタクト142には、接触部22と接続部24との間に弾性部34と支点部32とを設けるとともに前記接触部22と前記弾性部34と前記支点部32と前記接続部24とを略コ字状に配置し、かつ、前記弾性部34から接触部22と反対方向に延設された押受部20を設け、前記スライダー161に長手方向に連設した押圧部36を設け、該押圧部36が一方のコンタクト14の接続部24と押受部20との間及びもう一方のコンタクト142の押受部20と前記ハウジング121との間で回動自在に前記スライダー161を前記ハウジング121に装着することにより達成できる。
一方若しくはもう一方の前記コンタクト14、142の押受部20の先端に突出部26を設け、前記スライダー161の押圧部36が一方の前記コンタクト14の接続部24方向へ移動しないようにすることが望ましい。このように突出部26を設けることで、スライダー161の押圧部36をコンタクト14の押受部20と接続部24との間で回動させるときスライダー161の回動に対する反発力が強い為に、スライダー161の中央部が図6(B)の矢印「ハ」方向に膨れてしまうことを防ぐことが出来る。
また、前記スライダー16、161の押圧部36の形状を細長形状にすることが望ましい。例えば、楕円形にすると良い。このように細長形状にすることで、前記スライダー16、161を回動した際に、確実に前記コンタクト14、141、142の押受部20を上方に押し上げ、接触部22をFPC40又はFFCに容易に接触させることができる。
前記スライダー16、161には、所要数の前記コンタクト14、141、142の突出部26と係合する係止孔30を設け、該係止孔30を別個独立にした方がよい。このように前記係止孔30を別個独立にすることで、前記スライダー16、161を強固で、確実に回動することができる。
また、一方の前記コンタクト142の支点部32から延設した方向にも前記FPC40又はFFCと接触する接触部22を設ける。このように前記FPC40又はFFCの挿入方向に対して、直角方向両側に接触部22を設けることで、前記FPC40又はFFCを接触部22、22で挟持することになり、確実に前記FPC40又はFFCと接触できるようになる。
さらにまた、もう一方の前記コンタクト142の支点部32と接続部24との間にも前記FPC40又はFFCと接触する接触部22を設ける。このように前記FPC40又はFFCの挿入方向に対して、直角方向両側に接触部22を設けることで、前記FPC40又はFFCを接触部22、22で挟持することになり、確実に前記FPC40又はFFCと接触できるようになる。
前記もう一方のコンタクト142の前記支点部32から接続部24と反対方向に延設された延設部44を設け、前記スライダー161の押圧部36が延設部44と押受部20との間で回動自在に前記スライダー161を前記ハウジング121に装着する。このように延設部44を設け、この延設部44と前記押受部20との間でスライダー161を回動させることで、回動させた際により確実にもう一方のコンタクト142の接触部22を前記FPC40又はFFCに押圧することができる。
前記FPC40又はFFCが前記ハウジング12、121の嵌合口18内に挿入された後に、前記スライダー16、161の押圧部36が一方の前記コンタクト14の接続部24と押受部36及びもう一方の前記コンタクト142の押受部20と延設部44との間で回動すると、前記押受部20が押圧部36によって押し上げられることで両方の前記コンタクト14、142の支点部32を支点にし、両方の前記コンタクト14、142の弾性部34が前記接触部24側に傾くことによって、前記接触部22が前記FPC40又はFFC側に押圧される。
(A) スライダーが開いた状態の嵌合口側からみた本発明のコネクタの斜視図である。(B) スライダーが開いた状態の接続部側からみた本発明のコネクタの斜視図である。
(A) スライダーが開いた状態のあるコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図である。(B) FPCが挿入されスライダーが閉じた状態のあるコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図である。
スライダーの斜視図である。
(A) 2つの接触部を持ったコンタクトの斜視図である。(B) 1つの接触部を持った別のコンタクトの斜視図である。
別のコネクタの斜視図である。
(A) スライダーが開いた状態のもう一方のコンタクト部分で切断した本発明の別のコネクタの斜視図である。(B) FPCが挿入されスライダーが閉じた状態のもう一方のコンタクト部分で切断した本発明の別のコネクタの斜視図である。
スライダーが挿入される前の嵌合口側からみた従来のコネクタの斜視図である。
(A) スライダーが挿入される前のあるコンタクト部分で切断した従来のコネクタの斜視図である。(B) FPCが挿入されスライダーが挿入された状態のあるコンタクト部分で切断した従来のコネクタの斜視図である。
図1から図4に基づいて、本発明のコネクタの一実施例について説明する。
図1(A)はスライダーが開いた状態の嵌合口側からみた本発明のコネクタの斜視図であり、(B)はスライダーが開いた状態の接続部側からみた本発明のコネクタの斜視図である。図2(A)はスライダーが開いた状態のあるコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図であり、(B)はFPCが挿入されスライダーが閉じた状態のあるコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図である。図3はスライダーの斜視図である。図4(A)は1つの接触部を持ったコンタクトの斜視図であり、(B)は2つの接触部を持った別のコンタクトの斜視図である。
本発明のコネクタは、主にハウジングとスライダーとコンタクトとを備えている。
図に基づいて本発明のコネクタの構成部品について説明する。
まず、本発明のポイントであるコンタクトについて説明する。このコンタクトは金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記コンタクトの材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。
前記コンタクト14は、図4(A)のように略逆H字形状をしており、主にFPC40又はFFCと接触する接触部22と基板に接続する接続部24とハウジング12に固定する固定部42と前記接触部22と前記接続部24との間に設けられた弾性部34及び支点部32と前記接続部24と対向する位置に前記弾性部34から延設された押受部20と支点部32から延設した方向にも前記FPC40又はFFCと接触するもう一つの接触部22とを備えている。上方側の前記接触部22(図2(A)の図面の上側)と前記弾性部34と前記支点部32と前記接続部24とは、略クランク形状に配置されている。前記接触部22は、FPC40又はFFCと接触し易いように凸部形状にしており、前記接続部24は本実施例では図1のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。即ち、2つの接触部22、22を設けて、前記FPC40又はFFCを挟持するようにする。前記FPC40又はFFCの挿入方向に対して、直角方向両側に接触部22を設けることで、前記FPC40又はFFCを2つの接触部22、22で挟持することになり、確実に前記FPC40又はFFCと接触できるようになる。
前記支点部32と前記弾性部34と前記押受部20とは、前記FPC40又はFFCが挿入された際に、次のような作用を果たすための部分である。前記FPC40又はFFCが前記ハウジング12の嵌合口18内に挿入された後に、前記スライダー16の押圧部36が前記コンタクト14の接続部24と押受部20との間で回動すると、前記押受部20が押圧部36によって押し上げられることで前記コンタクト14の支点部32を支点にし、前記コンタクト14の弾性部34が前記接触部22側に傾くことによって、前記接触部22が前記FPC40又はFFC側に押圧される。前記支点部32と前記弾性部34と前記押受部20の大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。
また、前記コンタクト14の押受部20の先端に突出部26を設け、スライダー16の押圧部36をコンタクト14の押受部20と接続部24との間で回動させるときスライダー16の回動に対する反発力が強い為に、スライダー16の中央部が図1(B)の矢印「ロ」方向に膨れてしまうことを防ぐようにすることが望ましい。前記突出部26の大きさは、このような役割を果たすことが出来れば如何なる大きさでもよく、スライダー16の押圧部36が引っ掛かる程度に適宜設計する。
図4(B)に基づいて、別のコンタクトについて説明する。ここでは、上述したコンタクト14との相違部分についてのみ説明する。コンタクト141の支点部32から延設した方向に設けたFPC40又はFFCとの接触部22を削除したものであり、形状を略逆h字形状にした。
次に、本発明のもう一つのポイントであるスライダーについて説明する。このスライダーは電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。該スライダー16は主にハウジング12に回動可能に装着される軸28部分と前記コンタクト14の押受部20を押圧する押圧部36と前記コンタクト14の突出部26が係合する係止孔30とを備えている。前記軸28は、スライダー16を回動するための支点であり、ハウジング12の長手方向両側にスライダー16が回動可能に適宜装着されている。また、長手方向両側には、前記コンタクト14の押受部20を押圧した際にスライダー16が高さ(図面の上)方向に持ち上がらないようにするためにハウジング12と係合するロック部が設けられている。ロック部の形状や大きさ等は、ハウジング12に係合できれば如何なるものでもよく、上述の役割やコネクタの大きさや強度等を考慮して適宜設計する。
前記押圧部36は、コンタクト14の押受部20に押し付ける部分であり、その形状としては細長形状にすることが望ましく、本実施例では楕円形状をしている。このように楕円形状にすることによって、図2(A)のようにスライダー16を矢印「イ」方向に回動させ、コンタクト14の押受部20と接続部24との間で回転させることで、押圧部36の大きさの変化によりコンタクト14の押受部20が持ち上げられ、FPC40又はFFCをコンタクト14の接触部22側に押し付けている。押圧部36の形状としては、コンタクト14の押受部20と接続部24との間で回転でき、長軸と短軸といった大きさの違いによりコンタクト14の押受部20を押し上げられれば、如何なるものでもよい。
また、前記スライダー16を回動した際に、スライダー16の回動に対する反発力が強く、スライダー16の中央部が図1(B)の矢印「ロ」方向に膨れてしまうことを防ぐようにする為に、前記コンタクト14の突出部26が係合する係止孔30が別個独立に設けられている。前記係止孔30を別個独立に設けることで、スライダー16の強度アップや回動時の変形を防止している。
最後に、ハウジングについて説明する。このハウジングは電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記ハウジング12には、所要数のコンタクト14、141が装着される挿入溝38が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。また、長手方向両側には、前記スライダー16の軸28が回動可能に装着される軸受部が設けられている。この軸受部の形状や大きさは、スライダー16の軸28が回動できるように装着されていれば如何なるものでもよく、この役割やハウジング12の強度や大きさ等を考慮して適宜設計する。なお、長手方向両側には、前記スライダー16のロック部に対応した位置に係止部が設けられている。
図5から図6に基づいて、本発明の別の実施例について説明する。主な構成部品は上述したものと同様で、ハウジングとコンタクトとスライダーとを備えている。本実施例の特徴は、2種類のコンタクト14、142をハウジング121への挿入方向を変えて千鳥に配列している点にあり、挿入方向を変えて千鳥に配列することによってピッチの狭小化と低背位化に対応させたものである。前記ハウジング121と前記スライダー161は上述したものと同様であり、また、一方の前記コンタクト14も上述した図4のものと同様であり、説明を省略する。図5は別のコネクタの斜視図であり、図6(A)はスライダーが開いた状態のもう一方のコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図であり、(B)はFPCが挿入されスライダーが閉じた状態のもう一方のコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図である。
もう一方の前記コンタクト142も金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。材質は、一方のコンタクト14と同様である。
もう一方の前記コンタクト142も一方の前記コンタクト14と同様に略逆h字形状と略H字形状の2つのタイプがあり、略逆h字形状のものは、主にFPC40又はFFCと接触する接触部22と基板に接続する接続部24とハウジング121に固定する固定部42と前記接触部22と前記接続部24との間に設けられた弾性部34及び支点部32と前記弾性部34から延設された押受部20を備えている。前記接触部22と前記弾性部34と前記支点部32と前記接続部24とは、略コ字形状に配置されている。略H字形状のものは、前記支点部32からも接続部24と反対方向に延設された延設部44が設けられている。前記接触部22は、FPC40又はFFCと接触し易いように凸部形状にしており、前記接続部24は本実施例では図5のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。
前記支点部32と前記弾性部34と前記押受部20とは、一方のコンタクト14と同様に、前記FPC40又はFFCが挿入された際に、前記スライダー161の押圧部36が前記コンタクト142の押受部20と前記ハウジング121との間若しくは押受部20と延設部44との間で回動すると、前記押受部20が押圧部36によって押し上げられることで前記コンタクト142の支点部32を支点にし、前記コンタクト142の弾性部34が前記接触部22側に傾くことによって、前記接触部22が前記FPC40又はFFC側に押圧される。前記支点部32と前記弾性部34と前記押受部20の大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。
また、前記コンタクト142の押受部20の先端に突出部26を設け、スライダー161の押圧部36を回動させるときスライダー161の回動に対する反発力が強い為に、スライダー161の中央部が図6(B)の矢印「ハ」方向に膨れてしまうことを防ぐようにすることが望ましいが、ピッチの狭小化による前記スライダーの強度を考慮すると、2種類あるコンタクトの内、一方のコンタクト14に設けておけば、十分である。前記突出部26の大きさは、このような役割を果たすことが出来れば如何なる大きさでもよく、スライダー161の押圧部36が引っ掛かる程度に適宜設計する。
以上の説明から明らかなように、本発明のコネクタによると、次のような優れた効果が得られる。
(1)スライダー16、161をハウジング12、121のコンタクト接続部24側で回動させることで、コンタクト14、141、142の接触部22をFPC40又はFFCに接触させる構造にしているので、ハウジング12、121の嵌合口18にスライダー16、161を挿入することがなく、スライダー16、161の厚み分だけコネクタ10、101の低背位化が可能になった。
(2)2種類のコンタクト14、142を準備し、一方のコンタクト14を接続部24側から挿入し、もう一方のコンタクト142を嵌合口18側から挿入し、前記スライダー161を接続部24側で回動させることで、容易に狭小化と低背位化が可能になる。
(3)前記FPC40又はFFCが前記ハウジング121の嵌合口18内に挿入された後に、前記スライダー161の押圧部36が一方の前記コンタクト14の接続部24と押受部20との間で回動すると、前記押受部20が押圧部36によって押し上げられることで前記コンタクト14、142の支点部32を支点にし、前記コンタクト14、142の弾性部34が前記接触部22側に傾くことによって、前記接触部22が前記FPC40又はFFC側に押圧されるので、確実にコンタクト14、142の接触部22とFPC40又はFFCとを接続することができる。
(4)前記FPC40又はFFCが前記ハウジング121の嵌合口18内に挿入された後に、前記スライダー161の押圧部36がもう一方の前記コンタクト142の押受部20と前記ハウジング121との間若しくは押受部20と延設部44との間で回動すると、前記押受部20が押圧部36によって押し上げられることで前記コンタクト14、142の支点部32を支点にし、前記コンタクト14、142の弾性部34が前記接触部22側に傾くことによって、前記接触部22が前記FPC40又はFFC側に押圧されるので、確実にコンタクト14、142の接触部22とFPC40又はFFCとを接続することができる。
(5)一方の前記コンタクト14若しくは両方14、142の押受部29の先端に突出部26を設けているので、スライダー161の押圧部36をコンタクト14の押受部20と接続部24との間で回動させるときスライダー161の回動に対する反発力が強くても、スライダー161の中央部が矢印「ロ」方向に膨れてしまうことを防ぐことが出来る。
(6)前記スライダー16、161の押圧部36の形状を細長形状(長軸と短軸がある)にしているので、前記スライダー16、161を回動した際に、確実に前記コンタクト14、141、142の押受部20を上方に押し上げ、接触部22をFPC40又はFFCに容易に接触させることができる。
(7)前記スライダー16、161には所要数の前記コンタクト14、141の突出部26と係合する係止孔30を設け、該係止孔30を別個独立にしているので、前記スライダー16、161を強固で、確実に回動することができ、かつ、変形を生じない。
(8)一方の前記コンタクト14の支点部32から延設した方向にも前記FPC40又はFFCと接触する接触部22を設けると、前記FPC40又はFFCの挿入方向に対して、直角方向両側に接触部22を設けることになり、前記FPC40又はFFCを接触部22、22で挟持することになるので、確実に前記FPC40又はFFCと接触できるようになる。
(9)もう一方の前記コンタクト142の支点部32と接続部24との間のもFPC40又はFFCと接触する接触部22を設けると、前記FPC40又はFFCの挿入方向に対して、直角方向両側に接触部22を設けることになり、前記FPC40又はFFCを接触部22、22で挟持することになるので、確実に前記FPC40又はFFCと接触できるようになる。
(10)FPC40又はFFCを挿入する側はハウジング12、121の嵌合口18で、コンタクト14、141、142の接触部22をFPC40又はFFCに押しつける動作はコンタクト14、141、142の接続部24側で行っているので、コネクタ10、101が小型化しても作業性に影響がなく、容易に作業を行うことができる。
10、101、60 コネクタ
12、121、62 ハウジング
14、141、142、64 コンタクト
16、161、66 スライダー
18 嵌合口
20 押受部
22 接触部
24 接続部
26 突出部
28 軸
30 係止孔
32 支点部
34 弾性部
36、68 押圧部
38 挿入溝
40 FPC
42 固定部
44 延設部
70 受け部
72 スリット
74 装着部
76 固定具
本発明は、携帯電話やノートパソコンやデジタルカメラ等に使用されるコネクタに関するもので、特にフレキシブルプリント基板(以下「FPC」という)やフレキシブルフラットケーブル(以下「FFC」という)にコンタクトを押しつける機構に関するものである。
携帯電話やCCDカメラ等に使用されるコネクタは、狭ピッチで極薄(所謂軽薄短小)であり、主にハウジングとコンタクトとスライダーとから構成され、ハウジングとスライダーとでFPC又はFFCを挟持する構造である。ハウジングとスライダーとでFPC又はFFCを保持する方法には、色々考えられるが、中でもハウジングにFPC又はFFCを挿入した後にスライダーを挿入しFPC又はFFCをコンタクトに押しつける構造のものが多い。
ハウジングには、コンタクトが挿入される所要数の挿入孔が設けられるとともにFPC又はFFCが挿入される嵌合口が設けられている。
コンタクト64は、図8のように略コ字形状をしており、主にFPC40又はFFCと接触する接触部22と基板等に接続する接続部24とハウジング62に固定される固定部42とから構成されている。このコンタクト64は、圧入等によってハウジング62に固定されている。
例えば、スライダー66は、図8のように略楔形状をしており、所要数のコンタクト64が配置されたハウジング62に、FPC40又はFFCを挿入した後に、前記スライダー66を挿入する。このようなスライダー66は、主にハウジング62に装着される装着部74とFPC40又はFFCをコンタクト64の接触部22に押圧する押圧部68とを備えている。FPC40又はFFCが挿入される以前は、スライダー66はハウジング62に仮装着された状態になっており、FPC40又はFFCが挿入された後にスライダー66を挿入すると、図8(B)のようにFPC40又はFFCと平行に前記スライダー66の押圧部68が挿入され、コンタクト64の接触部22にFPC40又はFFCが押圧されるようになる。
近年、この種のコネクタ60には、より低背位化の要求が強くなってきているが、上述した構造のコネクタ60では、図8(B)のように6層(ハウジング62の厚み方向両側の壁・コンタクト64の接触部22と受け部70の厚さ・スライダー66の押圧部68の厚さ・FPC40又はFFCの厚さ)構造になっている。低背位化を考えると、コンタクト64の受け部70を省略し、5層(ハウジング62の厚み方向両側の壁・コンタクト64の接触部22の厚さ・スライダー66の押圧部68の厚さ・FPC40又はFFCの厚さ)構造にすることはできるが、各部位の強度や仕様等からこれ以上低背位化が出来ないといった解決すべき課題があった。
また、上述のような構造のコネクタ60では、ハウジング62の嵌合口18側のみで、FPC40又はFFCの挿入とコンタクト64の接触部22をFPC40又はFFCに押しつける動作を行っているので、コネクタが小型化すればするほど作業性が悪いと言った問題点もある。
さらにまた、コネクタ60のピッチの狭小化が要求された場合、従来の構造のようにコンタクト64を一方向から挿入したのでは、コネクタの狭小化にも限界があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、各部位の強度や仕様等を損なうことなく、スライダーの軸周りの回転に伴い、2つの接触部が、前記FPC又は前記FFCの両面に挟持接触して安定した電気接続を得ることができ、作業性がよく、ピッチの狭小化や低背位化が可能なコネクタを提供せんとするものである。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1) フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)と着脱自在に嵌合するコネクタであって、前記FPC又は前記FFCの両面と接触する2つの接触部、及び基板に接続する接続部を有する所要数のコンタクトと、該コンタクトが保持されるとともに前記FPC又は前記FFCが挿入される嵌合口を有するハウジングと、前記嵌合口の反対側に、前記FPC又は前記FFCに前記コンタクトを押圧するスライダーとを備えるコネクタにおいて、前記コンタクトは、前記FPC又は前記FFCの上面側に位置しかつ前記2つの接触部のうちの一の接触部である第1接触部と、前記接続部である第1接続部との間に第1連結部を設けるとともに、前記第1接触部と前記第1連結部と前記第1接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、前記第1接続部と対向する位置に前記第1連結部の一端から延設された第1押受部と、前記第1連結部の他端から前記第1接触部と同じ方向に延設され、前記FPC又は前記FFCの下面側に位置しかつ前記2つの接触部のうちの他の接触部である第3接触部を有する第1延設部とを設けてなる第1コンタクトを含み、前記ハウジングには、前記スライダーが装着される側から嵌合口側に向かう方向に延びる第1挿入溝が設けられ、前記第1コンタクトは前記第1挿入溝に挿入され、前記第1挿入溝は、前記ハウジングを貫通しており、前記スライダーは、長手方向両端に回転軸を有し、該回転軸周りに回転するように構成され、所要数の前記第1コンタクトの前記第1押受部の先端と係合するように係止孔を形成して、隣接するコンタクト間に仕切り壁を有し、長手方向に連設し、前記第1押受部と前記第1接続部との間に、断面が細長形状をもつ押圧部を有し、前記押圧部は、少なくとも長軸の両端面の、前記スライダーの回転可動範囲で前記第1押受部及び前記第1接続部に接触する部分が、連続した曲率をもち、前記スライダーの軸周りの回転に伴い、前記押圧部が前記第1コンタクトの前記第1押受部及び前記第1接続部に作用して、前記第1押受部が前記押圧部の前記細長形状を利用して押し上げられると同時に、前記押圧部が前記FPC又は前記FFCを直に押圧することなく、前記第1及び第3接触部が、前記FPC又は前記FFCの両面に挟持接触して安定した電気接続を得ることを特徴とするコネクタ。
(2)前記コンタクトは、2種類の異なるコンタクトである第1及び第2コンタクトを備え、これら第1及び第2コンタクトは、ハウジングへの挿入方向を互い違いに変えて千鳥に配置され、前記ハウジングには、前記スライダーが装着される側から嵌合口側に向かう方向に延びる第1挿入溝と、嵌合口側から前記スライダーが装着される側に向かう方向に延びる第2挿入溝が設けられ、前記第1コンタクトは前記第1挿入溝に挿入され、前記第2コンタクトは前記第2挿入溝に挿入され、前記第1挿入溝は、前記ハウジングを貫通しており、前記第1コンタクトには、前記FPC又は前記FFCの上面側に位置しかつ前記2つの接触部のうちの一の接触部である第1接触部と、前記接続部である第1接続部との間に第1連結部を設けるとともに、前記第1接触部と前記第1連結部と前記第1接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、前記第1接続部と対向する位置に前記第1連結部の一端から延設された第1押受部と、前記第1連結部の他端から前記第1接触部と同じ方向に延設され、前記FPC又は前記FFCの下面側に位置しかつ前記2つの接触部のうちの他の接触部である第3接触部を有する第1延設部とを設け、前記第2コンタクトには、前記FPC又は前記FFCの上面側に位置しかつ前記2つの接触部のうちの一の接触部である第2接触部と、前記接続部である第2接続部との間に第2連結部を設けるとともに、前記第2接触部と前記第2連結部と前記第2接続部とを略コ字状に配置し、かつ、前記第2連結部の一端から前記第2接触部と反対方向に延設された第2押受部を設けるとともに、前記第2連結部と前記第2接続部との間の、前記FPC又は前記FFCの下面側に位置しかつ前記2つの接触部のうちの他の接触部である前記FPC又は前記FFCと接触する第4接触部を設け、前記スライダーは、長手方向両端に回転軸を有し、該回転軸周りに回転するように構成され、所要数の前記第1及び第2コンタクトの前記第1及び第2押受部の先端と係合するように係止孔を形成して、隣接するコンタクト間に仕切り壁を有し、長手方向に連設し、前記第1押受部と前記第1接続部との間および前記第2押受部の直下位置に、断面が細長形状をもつ押圧部を有し、前記押圧部は、少なくとも長軸の両端面の、前記スライダーの回転可動範囲で前記第1及び第2押受部並びに前記第1接続部に少なくとも接触する部分が、連続した曲率をもち、前記スライダーの軸周りの回転に伴い、前記押圧部が前記第1コンタクトの前記第1及び第2押受部並びに前記第1接続部に少なくとも作用して、前記第1及び第2押受部が前記押圧部の前記細長形状を利用して押し上げられると同時に、前記押圧部が前記FPC又は前記FFCを直に押圧することなく、前記第1及び第3接触部並びに前記第2及び第4接触部が、前記FPC又は前記FFCの両面に挟持接触して安定した電気接続を得る上記(1)に記載のコネクタ。
(3)前記スライダーの押圧部が少なくとも接触移動する、前記第2コンタクトの第2押受部の下面部分及び前記第2押受部に対向する前記ハウジングの上面部分を、フラットに形成してなる上記(2)に記載のコネクタ。
(4)前記第2コンタクトは、前記第2連結部の他端から前記第2接続部と反対方向に延設される第2延設部を有し、前記スライダーの押圧部が少なくとも接触移動する、前記第2コンタクトの第2押受部の下面部分及び前記第2延設部の上面部分を、フラットに形成してなる上記(2)に記載のコネクタ。
(5)前記第2挿入溝は、前記ハウジングを貫通している上記(2)、(3)または(4)に記載のコネクタ。
(6)前記コンタクトの押受部の少なくとも先端が、スライダーの回転可動範囲にわたって、前記スライダーの係止孔内に位置する上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のコネクタ。
(7)前記第1コンタクトは、前記第1延設部の少なくとも先端部と、前記第1接触部との間の空間領域にハウジングの部分が存在せず、前記第1延設部が前記嵌合口側から視認できるように、前記第1挿入溝に挿入される上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のコネクタ。
(8)前記スライダーの押圧部が少なくとも接触移動する、前記第1コンタクトの第1押受部の下面部分及び前記第1接続部の上面部分を、ともにフラットに形成する上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のコネクタ。
(9)前記第1コンタクトの第1押受部の先端に突出部を設け、前記スライダーの押圧部が前記第1コンタクトの第1押受部の先端に向かう方向へ移動しないようにした上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のコネクタ。
(10)前記第2コンタクトの第2押受部の先端に突出部を設け、前記スライダーの押圧部が前記第2コンタクトの第2押受部の先端に向かう方向へ移動しないようにした上記(2)〜(9)のいずれか1項に記載のコネクタ。
(11)前記ハウジングは、前記スライダーの押圧部によって、前記コンタクトの押受部が押し上げられて上方変位する際、前記押受部の上方変位を妨げることのないよう、全てのコンタクトに対応する、前記ハウジングを切り欠いた一つの切欠部を有する上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載のコネクタ。
本発明は、前記FPC又はFFCが前記ハウジングの嵌合口内に挿入された後に、前記スライダーの軸周りの回転に伴い、押圧部が前記押受部に作用して、前記押受部が押圧部によって押し上げられることで、前記接触部が前記FPC又は前記FFCを押圧し、これによって、次のような優れた効果が得られる。
(1)前記スライダーを前記ハウジングの前記コンタクトの前記接続部側で回転させることで、前記コンタクトの前記接触部を前記FPC又は前記FFCに接触させる構造にしているので、前記ハウジングの嵌合口に前記スライダーを挿入することがなく、前記スライダーの厚み分だけ前記コネクタの低背位化が可能になった。
(2)2種類の前記第1及び第2コンタクトを準備し、前記第1のコンタクトを第1接続部側から挿入し、前記第2コンタクトを前記ハウジングの嵌合口側から挿入し、前記スライダーを前記第1コンタクトの第1押受部と第1接続部が位置する側及び前記第2コンタクトの第2押受部が位置する側で回転させることで、容易に狭小化と低背位化が可能になる。
(3)前記第1コンタクトの第1連結部の他端から前記第1接触部と同じ向きに延設した第1延設部を設け、該第1延設部に前記FPC又は前記FFCと接触する第3接触部をさらに設けると、前記FPC又は前記FFCの挿入方向に対して、直角方向両側に第1及び第3接触部を設けることになり、前記FPC又は前記FFCが前記ハウジングの嵌合口内に挿入された後に、前記スライダーの軸周りの回転に伴い、前記第1押受部が前記押圧部によって押し上げられることで、前記第1接触部が前記FPC又は前記FFC側に押圧されるので、確実に前記第1コンタクトの前記第1および第3接触部が、前記FPC又は前記FFCの両面に挟持接触して安定した電気接続を得ることができる。
(4)前記第2コンタクトの前記第2連結部の他端と第2接続部との間にも、前記FPC又は前記FFCと接触する第4接触部をさらに設けると、前記FPC又は前記FFCの挿入方向に対して、直角方向両側に第2及び第4接触部を設けることになり、前記FPC又は前記FFCが前記ハウジングの嵌合口内に挿入された後に、前記スライダーの軸周りの回転に伴い、前記第2押受部が前記押圧部によって押し上げられることで、前記第2接触部が前記FPC又は前記FFC側に押圧されるので、確実に前記第2コンタクトの前記第2および第4接触部が、前記FPC又は前記FFCの両面に挟持接触して安定した電気接続を得ることができる。
(5)前記第1コンタクトの第1押受部、又は第1及び第2コンタクトの第1及び第2押受部の先端に膨れ防止手段(第1押受部には第1突出部、第2押受部には第2突出部)を設けているので、前記スライダーの軸周りの回転に伴い、前記押圧部を前記第1及び第2コンタクトの第1及び第2押受部に作用させるとき、前記スライダーの回転に対する反発力が強くても、前記スライダーの中央部が矢印「ハ」方向に膨れてしまうことを防ぐことが出来る。
(6)前記スライダーの押圧部の形状を細長形状(長軸と短軸がある)にしているので、前記スライダーを回転した際に、確実に前記第1及び第2コンタクトの第1及び第2押受部を上方に押し上げることで、前記第1及び第3並びに第2及び第4接触部が、前記FPC又は前記FFCの両面に容易に挟持接触することができる。
(7)前記スライダーには所要数の前記第1及び第2コンタクトの第1及び第2突出部と係合する係止孔を設け、該係止孔を別個独立にしているので、前記スライダーを強固で、確実に回転することができ、かつ、変形を生じない。
(A)スライダーが開いた状態の嵌合口側からみた本発明のコネクタの斜視図である。(B)スライダーが開いた状態の第1接続部側からみた図1(A)に示すコネクタの斜視図である。
(A)スライダーが開いた状態の、ある第1コンタクトの部分で長手方向に切断した本発明のコネクタの斜視図である。(B)FPCが挿入されスライダーが閉じた状態の、ある第1コンタクトの部分で長手方向に切断した本発明のコネクタの斜視図である。
スライダーの斜視図である。
第1コンタクトの斜視図である。
本発明の他のコネクタの斜視図である。
(A)スライダーが開いた状態の、ある第2コンタクトの部分で長手方向に切断した本発明のコネクタの斜視図である。(B)FPCが挿入されスライダーが閉じた状態の、ある第2コンタクトの部分で長手方向に切断した本発明のコネクタの斜視図である。
FPCが挿入される前の嵌合口側からみた従来のコネクタの斜視図である。
(A)FPCが挿入される前の、あるコンタクトの部分で長手方向に切断した従来のコネクタの斜視図である。(B)FPCが挿入されスライダーが挿入された状態の、あるコンタクトの部分で長手方向に切断した従来のコネクタの斜視図である。
図1から図4に基づいて、本発明のコネクタの一実施例について説明する。図1(A)、(B)は、本発明のコネクタを示したものであって、図1(A)はスライダーが開いた状態の嵌合口側から見た場合、図1(B)はスライダーが開いた状態の第1コンタクトを構成する第1接続部側からみた場合を示し、また、図2(A)、(B)は、図1(A)に示すコネクタを、ある第1コンタクト部分で長手方向に切断したときの斜視図であって、図2(A)はスライダーが開いた状態、図2(B)はFPCが挿入されスライダーが閉じた状態を示し、さらに、図3はスライダーの斜視図である。図4は第1コンタクトの斜視図である。
本発明のコネクタ10は、主にハウジング12とスライダー16と第1コンタクト14とを備えている。
図に基づいて本発明のコネクタの構成部品について説明する。
まず、本発明のポイントである第1コンタクト14について説明する。この第1コンタクト14は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記第1コンタクト14の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。
前記第1コンタクト14は、図4に示すように略H字形状をしており、主に前記FPC40又は前記FFCと接触する第1接触部22aと、基板に接続する第1接続部24aと、ハウジング12に固定する第1固定部42aと、前記第1接触部22aと前記第1接続部24aとの間に設けられた第1連結部34aと、前記第1接続部24aと対向する位置に前記第1連結部34aの一端から延設された第1押受部20aと、前記第1連結部34aの他端から前記第1接触部22aと同じ向きに延設した第1延設部22eとを備え、更に該第1延設部22eに前記FPC40又は前記FFCと接触する第3接触部22cとを備えている。前記第1接触部22aと前記第1連結部34aと前記第1接続部24aとは、略クランク形状に配置されている。前記第1及び第3接触部22a、22cは、前記FPC40又は前記FFCと接触し易いように凸部形状にしており、前記第1接続部24aは本実施例では図1のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。即ち、2つの前記第1及び第3接触部22a、22cを設けて、前記FPC40又は前記FFCを挟持するようにする。前記FPC40又は前記FFCの挿入方向に対して、直角方向両側に前記第1及び第3接触部22a、22cを設けることで、前記FPC40又は前記FFCを2つの前記第1及び第3接触部22a、22cで挟持することになり、確実に前記FPC40又は前記FFCと接触できるようになる。
第1連結部34aと前記第1押受部20aとは、前記FPC40又は前記FFCが挿入された際に、次のような作用を果たすための部分である。前記FPC40又は前記FFCが前記ハウジング12の嵌合口18内に挿入された後に、前記スライダー16の前述する軸28周りの回転によって、押圧部36が前記第1コンタクト14の第1押受部20aに作用して、前記第1押受部20aが押圧部36によって押し上げられることで、前記第1及び第3接触部22a、22cが、前記FPC40又は前記FFCの両面に挟持接触することができる。第1連結部34aと前記第1押受部20aの大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。
また、前記第1コンタクト14の第1押受部20aの先端に膨れ防止手段を設けることが好ましい。前記スライダー16の前記軸28周りの回転によって、押圧部36を前記第1コンタクト14の第1押受部20aに作用させるとき、前記スライダー16の回転に対する反発力が強い為に、スライダー16の中央部が図6(B)の矢印「ハ」方向に膨れる傾向があるが、前記膨れ防止手段を設けることにより、かかる傾向を防ぐようにすることができるためである。さらに、膨れ防止手段として、前記第1押受部20aの先端に第1突出部26を設けることが好適である。前記第1突出部26の大きさは、上記役割を果たすことが出来れば如何なる大きさでもよく、前記スライダー16の押圧部36が引っ掛かる程度に適宜設計する。
次に、本発明のもう一つのポイントであるスライダーについて説明する。このスライダーは電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。該スライダー16は、主に前記ハウジング12の嵌合口18とは反対側に回転可能に装着される軸28部分と、前記第1コンタクト14の第1押受部20aを押圧する押圧部36と、前記第1コンタクト14の第1突出部26が係合する係止孔30とを備えている。前記軸28は、前記スライダー16を回転させるための軸であり、前記ハウジング12の長手方向両側に前記スライダー16が回転可能に適宜装着されている。また、長手方向両側には、前記第1コンタクト14の第1押受部20aを押圧した際にスライダー16が高さ(図面の上)方向に持ち上がらないようにするために前記ハウジング12と係合するロック部が設けられている。ロック部の形状や大きさ等は、ハウジング12に係合できれば如何なるものでもよく、上述の役割やコネクタの大きさや強度等を考慮して適宜設計する。
前記押圧部36は、前記第1コンタクト14の第1押受部20aに押し付ける部分であり、その形状としては細長形状にする。前記押圧部36の形状は、本実施例では楕円形状をしている。このように楕円形状にすることによって、図2(A)のように前記スライダー16を矢印「イ」方向に回転させ、前記第1コンタクト14の第1押受部20aに作用して、前記押圧部36の大きさの変化により前記第1コンタクト14の第1押受部20aが持ち上げられると同時に、前記第1コンタクト14の第1接触部22aが、第3接触部22cとともに、前記FPC40又は前記FFCの両面に挟持接触することができる。前記押圧部36の形状としては、前記スライダー16の軸周りの回転に伴い、前記第1コンタクト14の第1押受部20aに作用して、長軸と短軸といった大きさの違いにより前記第1コンタクト14の第1押受部20aを押し上げられれば、如何なるものでもよい。
また、前記スライダー16を回転した際に、前記スライダー16の回転に対する反発力が強く、前記スライダー16の中央部が図6(B)の矢印「ハ」方向に膨れてしまうことを防ぐようにする為に、前記第1コンタクト14の第1突出部26が係合する前記係止孔30が別個独立に設けられている。前記係止孔30を別個独立に設けることで、前記スライダー16の強度アップや回転時の変形を防止している。
最後に、ハウジングについて説明する。このハウジングは電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記ハウジング12には、所要数の前記第1コンタクト14が装着される挿入溝38が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。
また、長手方向両側には、前記スライダー16の軸28が回転可能に装着される軸受部が設けられている。この軸受部の形状や大きさは、前記スライダー16の軸28が回転できるように装着されていれば如何なるものでもよく、この役割や前記ハウジング12の強度や大きさ等を考慮して適宜設計する。なお、長手方向両側には、前記スライダー16のロック部に対応した位置に係止部が設けられている。
また、本発明に従う他のコネクタは図5及び図6に示されている。本発明の第2のコンタクトについて説明する。第2コンタクト142も金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。材質は、第1コンタクト14と同様である。
前記第2コンタクト142は、略逆h字形状と略H字形状の2つのタイプがあり、略逆h字形状のものは、主にFPC40又はFFCと接触する第2接触部22bと、基板に接続する第2接続部24bと、ハウジング121に固定する第2固定部(図示せず)と、前記第2接触部22bと前記第2接続部24bとの間に設けられた第2連結部34bの一端から延設された第2押受部20bとを備えている。前記第2接触部22bと第2連結部34bと前記第2接続部24bとは、略コ字形状に配置されている。略H字形状のものは、さらに、第2連結部34bの他端から前記第2押受部20bと同じ向きに延設した第2延設部44が設けられている。前記第2接触部22bは、FPC40又はFFCと接触し易いように凸部形状にしており、前記第2接続部24bは本実施例では図5のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。
前記第2連結部34bと前記第2押受部20bとは、前記第1コンタクト14と同様に、前記FPC40又は前記FFCが挿入された際に、前記スライダー161の軸周りの回転に伴い、押圧部36が前記第2コンタクト142の第2押受部20bに作用して、前記第2押受部20bが押圧部36によって押し上げられることで、前記第2接触部22bおよび前記第4接触部22dが、前記FPC40又は前記FFCの両面に挟持接触することができる。前記第2連結部34bと前記第2押受部20bの大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。
また、前記第2コンタクト142の第2押受部20bの先端に第2突出部(図示せず)を設けることもできる。前記スライダー161の軸周りの回転に伴い、押圧部36を前記第2コンタクト142の第2押受部20bに作用させるとき、前記スライダー161の回転に対する反発力が強い為に、スライダー161の中央部が図6(B)の矢印「ハ」方向に膨れる傾向があるが、前記第2突出部を設けることにより、かかる傾向を防ぐようにすることができる。前記第2突出部の大きさは、このような役割を果たすことが出来れば如何なる大きさでもよく、前記スライダー161の押圧部36が引っ掛かる程度に適宜設計する。
本発明によれば、各部位の強度や仕様等を損なうことなく、スライダーの軸周りの回転に伴い、前記コンタクトの両接触部が前記FPC又は前記FFCの両面に挟持接触して安定した電気接続を得ることができ、作業性がよく、ピッチの狭小化や低背位化が可能なコネクタを提供することが可能になった。
10、101、60 コネクタ
12、121、62 ハウジング
14 第1コンタクト
142 第2コンタクト
16、161、66 スライダー
18 嵌合口
20a、20b 第1及び第2押受部
22a〜22d 第1〜第4接触部
24a、24b 第1及び第2接続部
26 第1または第2突出部
28 軸
30 係止孔
34a、34b 第1及び第2連結部
36、68 押圧部
38 挿入溝
40 FPC
42、42a 固定部
44 第2延設部
70 受け部
72 スリット
74 装着部
76 固定具