JP2016035654A - 視線検出装置および視線入力システム - Google Patents

視線検出装置および視線入力システム Download PDF

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Koji Hashimoto
晃司 橋本
浩章 古本
Hiroaki Furumoto
浩章 古本
孝文 後藤
Takafumi Goto
孝文 後藤
至宏 門藤
Yoshihiro Mondo
至宏 門藤
澄雄 打田
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澄雄 打田
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Abstract

【課題】キャリブレーションを必要とせずに対象者の左眼または右眼の片眼の画像のみを解析して対象者の視線方向を検出する。
【解決手段】対象者(200)に対して所定の相対位置から近赤外線(300)が照射された該対象者の左眼または右眼の撮像画像を解析して該対象者の視線(400)方向を検出する視線検出装置(40)は、撮像画像から、近赤外線が照射された眼の瞳孔中心を検出する瞳孔中心検出部(43)と、撮像画像から、近赤外線が照射された眼の角膜表面での近赤外線の反射像であるプルキニエ像を検出するプルキニエ像検出部(44)と、眼の左右方向における瞳孔中心およびプルキニエ像の相対的な位置関係に基づいて、対象者(200)の左右方向の視線(400)を算出する視線算出部(45)とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、対象者の視線方向を検出する視線検出装置、およびそのような視線検出装置を応用した視線入力システムに関する。
従前より対象者の眼をカメラで撮影した画像を解析することにより光源の角膜反射像(第1プルキニエ像、以下、プルキニエ像と略する)および瞳孔中心を検出し、プルキニエ像と瞳孔中心の位置に基づいて対象者の視線方向を検出する視線検出装置が開発されている。このような視線検出装置は、視線方向をコンピュータの画面上のポインタに重畳してアイコンを操作するポインティングデバイスとして応用されている。
一般に、視線検出装置では、対象者の眼の角膜曲率による視線座標のずれを補正するために、眼、光源、カメラ、および表示装置間の各位置関係をパラメータ設定ソフトに入力する必要がある。また、カメラから得た画像座標系による視線の位置座標を表示画面上の世界座標系に変換し、さらに世界座標系を画面サイズと整合させるために画面の4隅や中心点を注視して位置座標をパラメータ設定ソフトに入力する必要がある。このように、視線検出装置ではキャリブレーション(校正)が使用時に毎回必要である。しかし、こうしたキャリブレーションの煩雑さが、視線検出装置を車載や福祉用途といった幅広い分野で活用するための妨げとなっている。
そこで、キャリブレーションを行わない視線検出装置が提案されている。例えば、対象者の両眼に光を照射し、一の眼球および他の一の眼球それぞれの光軸と視軸との間のずれ候補を違う時刻で算出し、算出したずれ候補から一の眼球および他の一の眼球それぞれの光軸と視軸との間の最適なずれを決定し、この光軸と視軸との間のずれに基づいて画面上における対象者の注視点を算出することで、キャリブレーションを不要にしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−297323号公報
特許文献1の技術では、対象者の両眼に光を照射して両眼を撮影するために複数の光源および複数のカメラ(ステレオカメラ)が必要である。このため、装置の部品点数が増えてコスト面において不利である。また、両眼の画像が取得できなければ視線検出ができなくなるおそれがある。したがって、視線検出は片眼の画像のみで行うことが望ましい。
上記問題に鑑み、本発明は、キャリブレーションを必要とせずに対象者の左眼または右眼の片眼の画像のみを解析して対象者の視線方向を検出することができる視線検出装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、そのような視線検出装置を応用した視線入力システムを提供することを目的とする。
本発明の一局面に従った視線検出装置は、対象者に対して所定の相対位置から近赤外線が照射された該対象者の左眼または右眼の撮像画像を解析して該対象者の視線方向を検出する視線検出装置であって、前記撮像画像から、前記近赤外線が照射された眼の瞳孔中心を検出する瞳孔中心検出部と、前記撮像画像から、前記近赤外線が照射された眼の角膜表面での前記近赤外線の反射像であるプルキニエ像を検出するプルキニエ像検出部と、眼の左右方向における前記瞳孔中心および前記プルキニエ像の相対的な位置関係に基づいて、前記対象者の左右方向の視線を算出する視線算出部とを備えている。
これによると、対象者に対して所定の相対位置から対象者の左眼または右眼に近赤外線が照射されることで対象者の左眼または右眼において所定の位置にプルキニエ像が形成され、近赤外線が照射された眼の瞳孔中心とプルキニエ像との左右方向の相対的な位置関係に基づいて対象者の左右方向の視線が算出される。このように視線検出を眼の左右方向に限定することで、特にキャリブレーションを行うことなく片眼の画像から精度よく対象者の視線方向を検出することができる。
前記視線算出部は、前記プルキニエ像を基点として、当該基点に対する眼の左右方向への前記瞳孔中心の移動量に応じて、視線が眼の左右方向における複数の視線領域のいずれに属するかを判定してもよい。
これによると、眼の左右方向に複数の視線領域を設定して視線検出精度を向上させることができる。
また、本発明の別の一局面に従った視線入力システムは、対象者の視線によって入力を行う視線入力システムであって、前記対象者が視線によって入力を行うための操作画面を表示する表示装置と、前記対象者に対して所定の相対位置に配置され、前記対象者が前記操作画面を注視している状態において前記対象者の左眼または右眼に向けて近赤外線を照射する発光装置と、前記近赤外線が照射されている前記対象者の左眼または右眼を撮像する撮像装置と、前記撮像装置から撮像画像を受け、当該撮像画像を解析して前記対象者の視線方向を検出する上記の視線検出装置と、前記視線検出装置による視線検出出力を受けて、前記表示装置の画面表示を制御する表示制御装置と、を備え、前記表示制御装置は、複数の操作ボタンが左右方向に並べて配置された操作画面を表示させて前記対象者の左右方向への視線の動きに連動して操作ボタンのハイライト状態を変化させ、ある操作ボタンが選択されたとき、当該選択された操作ボタンに対応するアクションを実行する、または、別の操作画面に遷移させる。
これによると、上記の視線検出装置を利用することにより、キャリブレーションを行うことなくすぐに視線による入力が可能となる。また、操作画面を別の操作画面に遷移させることができるため、視線検出が左右方向に限定されていても視線によって複雑な入力操作を行うことが可能となる。
なお、本明細書において「ハイライト状態」とは、ある操作ボタンが他の操作ボタンと区別されて表示された状態をいう。例えば、ある操作ボタンを他の操作ボタンよりも明るくまたは暗く表示したり、ある操作ボタンを他の操作ボタンよりも大きくまたは小さく表示したり、ある操作ボタンを他の操作ボタンと異なる色で表示したり、ある操作ボタンの輪郭を太線で囲んで表示したりすることなどが「ハイライト状態」に含まれる。
前記別の操作画面は、前記選択された操作ボタンに関連する下位階層の操作画面であってもよい。
これによると、操作画面が階層的に表示されるため、視線検出が左右方向に限定されていても視線によって複雑な入力操作を行うことが可能となる。
前記表示制御装置は、下位階層の操作画面を表示させている場合において前記対象者の視線が該操作画面の右または左に大きく外れたとき、上位階層の操作画面に遷移させてもよい。
これによると、視線検出が眼の左右方向に限定されていても、階層的な操作画面において上位階層の画面へ戻る操作を行うことができる。
前記操作画面において複数の操作ボタンが上下方向に多段に配置されていてもよく、前記表示制御装置は、前記対象者の視線が前記操作画面の右または左に大きく外れたとき、操作ボタンの段間を移動してハイライト状態を変化させてもよい。
これによると、視線検出が眼の左右方向に限定されていても、上下方向に多段表示された操作ボタンを使用して視線による入力を行うことができる。
前記表示制御装置は、ハイライト状態の操作ボタンが所定時間以上注視されたとき、当該操作ボタンが選択されたと判定してもよい。
これによると、身体的負担を伴わずに視線のみで操作ボタンを選択することができる。
本発明によれば、キャリブレーションを行うことなく対象者の片眼の画像のみを解析して対象者の視線方向を検出することができる。また、視線検出に必要な光源およびカメラはそれぞれ1個で済むため、視線入力システムの低コスト化および小型化が可能となる。
本発明の一実施形態に係る視線入力システムの機能ブロック図である。 視線入力システムの使用例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る視線入力システムにおける視線検出の原理を示す図である。 本発明の一実施形態に係る視線入力システムを車載した例を示す図である。 上下方向の視線検出と左右方向の視線検出を比較した図である。 階層的GUIの画面遷移を説明する図である。 表示中の操作ボタンを左右にスクロールさせて別の操作ボタンを表示させる画面遷移を説明する図である。 操作ボタンを多段配置したGUIの操作例を示す図である。 操作ボタンを多段配置したGUIにおいて操作ボタンを左右にスクロールさせて別の操作ボタンを表示させる画面遷移を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る視線入力システムの動作を示すフローチャートである。 視線入力システムを使用中に対象者がシステムに対して前後移動したときの例を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図はあくまで説明用の便宜的なものであって、図示した各部材の寸法および配置位置は実際のものとは異なることがある。
図1は、本発明の一実施形態に係る視線入力システムの機能ブロック図である。また、図2は、視線入力システムの使用例を示す図である。本実施形態に係る視線入力システムは100、表示装置10、発光装置20、撮像装置30、視線検出装置40、および表示制御装置50を備えて構成されている。図2の例では、表示装置10、視線検出装置40、および表示制御装置50はタブレットPCなどの本体機器に統合され、発光装置20および撮像装置30は周辺機器に統合されている。これ以外にも、視線入力システム100全体を一つのコンピュータ装置に統合することも可能である。
表示装置10は、対象者200が視線400によって入力を行うための操作画面(GUI:Graphical User Interface)を表示する装置である。後述するように、GUIには複数の操作ボタン(アイコン)が表示される。対象者200は、表示装置10に表示されるGUIを注視して視線400によって所望の操作ボタンを選択することで、視線入力システムを操作することができる。
発光装置20は、対象者200の正面に配置され、対象者200が表示装置10のGUIを注視している状態において対象者200の左眼または右眼に向けて近赤外線300を照射する装置である。発光装置20から出力された近赤外線300は対象者200の眼の角膜表面で反射してプルキニエ像が形成される。なお、発光装置20は、例えば、LED(Light Emitting Diode)光源で構成することができる。
撮像装置30は、近赤外線300が照射されている対象者200の左眼または右眼を撮像する装置である。より詳細には、撮像装置30は、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどの可視光領域から赤外線領域に亘って撮影可能な近赤外線カメラ31、可視光を反射させて近赤外線を透過させる長波長透過型の可視光カットフィルタ32、および可視光カットフィルタ32を介して近赤外線カメラ31で撮像された片眼画像を、視線検出装置40へ出力するための画像出力部33を備えて構成されている。
なお、発光装置20および撮像装置30は、本体機器から電源供給を受けて動作することできる。あるいは、発光装置20および撮像装置30は、本体機器以外の外部環境から電源供給を受けて動作することも可能である。
また、発光装置20は、必ずしも対象者200の正面に配置する必要はなく、例えば、対象者200の右斜め前または左斜め前などに配置してもよい。要は、対象者200が視線入力システム100を使用する際に、対象者200と発光装置20との相対的な位置関係が決まっていればよい。同様に、撮像装置30も必ずしも対象者200の正面に配置する必要はなく、例えば、右斜め前または左斜め前などから対象者200の左眼または右眼を撮像してもよい。
視線検出装置40は、近赤外線300が照射された対象者200の左眼または右眼の撮像画像(片眼画像)を解析して対象者200の視線方向を検出する装置である。より詳細には、視線検出装置40は、撮像装置30の画像出力部33から片眼画像を取得する画像取得部41、取得した片眼画像について前処理を行う画像処理部42、瞳孔中心検出部43、プルキニエ像検出部44、および視線算出部45を備えて構成されている。
画像取得部41は、撮像装置30の画像出力部33から出力された片眼画像を取得して、画像処理部42へ片眼画像を送る。
画像処理部42は、画像取得部41から送られた片眼画像に対してノイズ除去を施して輝度値正規化を行った後に、瞳孔中心検出部43およびプルキニエ像検出部44へ処理後の片眼画像を送る。
瞳孔中心検出部43は、画像処理部42で前処理した撮像画像から、近赤外線が照射された眼の瞳孔中心を検出する。より詳細には、瞳孔中心検出部43は、画像処理部42で前処理した片眼画像から短時間で瞳孔中心の座標を得るために、縮小した片眼画像から瞳孔の大まかな位置を算出した後、正確な位置を再計算する。
例えば、瞳孔中心検出部43は、上記の前処理した画像に対して、処理時間低減のためにまずVGAサイズ(640×480ピクセル)からQQVGAサイズ(160×120ピクセル)へ縮小化し、瞳孔が際立つように画像の輝度値を調整する。次に、瞳孔中心検出部43は、瞳孔領域の絞り込みを行う。赤外線画像において瞳孔は周辺に比べて輝度値が低く写るという特徴があるため、瞳孔中心検出部43は、多値ラベリングによって近似値同士のセグメント化を行い、これらのセグメントを瞳孔領域候補とする。続いて瞳孔中心検出部43は、セグメント領域を輝度値の低い順に並べて、面積および位置や周辺との輝度差によって瞳孔領域を決定することで、大まかな座標を算出する。
さらに、瞳孔中心検出部43は、上記で算出した座標を基にVGAサイズの原画像から瞳孔周辺を切り出し、瞳孔と虹彩の境界を輝度値の差によって検出するため、画像中心から放射状に32方向へ向かって隣接画素探索を行い、瞳孔輪郭の座標を求める。この場合の瞳孔輪郭の座標は最大32点であるが、中には誤識別により瞳孔輪郭ではない座標が含まれている可能性がある。そこで、瞳孔中心検出部43は、各座標のマハラノビス距離の平均値からある閾値以上離れている座標は瞳孔輪郭点ではないとして除去し、残った瞳孔輪郭点から最小二乗法により楕円中心を算出して瞳孔中心検出を完了することができる。
プルキニエ像検出部44は、プルキニエ像が必ず瞳孔周辺に写ることから、画像処理部42から送られた前処理されたVGAサイズの片眼画像から前記の瞳孔中心座標を基にして眼の部分の画像を切り出す。プルキニエ像は周辺の画素よりも高輝度であるため、プルキニエ像検出部44は、輝度値「200」程度を閾値とした二値化処理を施すことで、プルキニエ像の候補とする。候補が複数であった場合は、プルキニエ像検出部44は、ラベリングを施し、面積や瞳孔中心から最も近い点という条件で絞り込みを行い、プルキニエ像の抽出を完了する。
視線算出部45は、瞳孔中心検出部43で得た瞳孔中心およびプルキニエ像検出部44で得たプルキニエ像を受け、対象者200の眼の左右方向における瞳孔中心およびプルキニエ像の相対的な位置関係に基づいて、対象者200の左右方向の視線400を算出する。
図3は、視線入力システム100における視線検出の原理を示す図である。以下、図3を参照して、視線算出部45による視線算出方法について詳細に説明する。
表示装置10の表示画面は、例えば、横方向に4つのブロックA’〜D’の範囲に分割されている。視線算出部45は、プルキニエ像検出部44で得たプルキニエ像をY軸(眼の上下方向軸)上の基点とした際の瞳孔中心のX座標(眼の左右方向軸の座標)を視線移動量として検出し、前記の視線移動量について表示装置10の表示画面を分割した複数のブロックA’〜D’の範囲に合わせて座標範囲を割り当てることで、対象者200の視線400がどのブロックの範囲にあるかを算出する。
例えば、表示装置10および発光装置20が対象者200の正面に配置されている場合において対象者200が表示装置10の画面中央を注視しているとき、瞳孔中心とプルキニエ像とは同じY軸上に並ぶ。この状態から、対象者200が正面からわずかに左に視線400を移動したとき、視線算出部45は、視線移動量「B」を検出し、対象者200の視線400を表示装置10の表示画面の中央左寄りのブロックB’に割り当てる。対象者200がさらに左に視線400を移動し、視線移動量が閾値を超えて「A」(ただし、A>B)が検出されたとき、視線算出部45は、対象者200の視線400を表示装置10の表示画面の左端のブロックA’に割り当てる。一方、対象者200が正面からわずかに右に視線400を移動したとき、視線算出部45は、視線移動量「C」を検出し、対象者200の視線400を表示装置10の表示画面の中央右寄りのブロックC’に割り当てる。対象者200がさらに右に視線400を移動し、視線移動量が閾値を超えて「D」(ただし、D>C)が検出されたとき、視線算出部45は、対象者200の視線400を表示装置10の表示画面の右端のブロックD’に割り当てる。
なお、発光装置20が対象者200の正面に配置されていない場合には、対象者200が表示装置10の画面中央を注視している状態において瞳孔中心とプルキニエ像とは同じY軸上に並ばずに所定のオフセットを有することがある。したがって、そのような場合には、視線算出部45は、前記のオフセットを考慮して視線移動量を検出するとよい。
また、撮像装置30が対象者200の正面に配置されていない場合には、瞳孔中心が左へ移動する場合と右へ移動する場合とで検出される視線移動量に偏差が生じるおそれがある。したがって、そのような場合には、視線算出部45は、前記の偏差を考慮して視線移動量を検出するとよい。
図1へ戻り、表示制御装置50は、視線検出装置40による視線検出出力を受けて、表示装置10の画面表示を制御する。より詳細には、表示制御部50は、表示装置10の表示画面における前記の各ブロックに、所定のコマンドやアクションに対応付けられた操作ボタン11(図3などを参照)を配置することで視線によるアプリケーションの操作を可能とする。すなわち、表示制御装置50は、表示装置10に複数の操作ボタン11が左右方向に並べて配置されたGUIを表示させて対象者200の左右方向への視線の動きに連動して操作ボタン11のハイライト状態を変化させる。そして、表示制御装置50は、ハイライト状態の操作ボタン11が所定時間(例えば、2〜3秒)以上注視されたとき、当該操作ボタン11が選択されたと判定して、当該操作ボタン11に対応付けられたコマンドやアクションを実行する。あるいは、対象者200が、図示しない決定ボタンを物理的に押下したり、触れたりすることで、ハイライト状態の操作ボタン11が選択されるようにしてもよい。
図4は、視線入力システム100を車載した例を示す図である。視線入力システム100において表示装置10、発光装置20、表示制御装置50、および視線検出装置40は一体化されており、当該一体化された装置群は、対象者200(自動車の運転者)が自動車の運転時に前方を向いた状態で同一視野内で操作できるように、例えばインパネ部分に実装される。そして、視線入力システム100の撮像装置30は、上記の装置群とは切り離して、例えば、ルームミラーに組み込むことができる。この場合、撮像装置30は、撮像した対象者200の片眼画像を有線通信または無線通信で視線検出装置40に供給することができる。
上記のように、視線入力システム100を車載した場合において、対象者200が運転席に座ってインパネ部分を含む前方を見ることで、対象者200、発光装置20、および撮像装置30の相互間の相対位置が決まり、視線入力システム100は、キャリブレーションを行うことなく対象者200の片眼の画像のみを解析して対象者200の視線方向を検出することができる。
なお、視線入力システム100を車載した場合、ハンドルスイッチまたはステアリングスイッチといった、ステアリングホイール(ハンドル)に取り付けられたボタンを手動操作することでハイライト状態の操作ボタン11を選択するようにしてもよい。
図5は、上下方向の視線検出と左右方向の視線検出を比較した図である。人間の眼球運動特性から、上下方向に視線を動かすよりも左右方向に視線を動かす方が眼球移動幅が広く、眼を動かしやすい。したがって、図5(a)に示した眼の上下方向の視線検出に基づく視線入力よりも、本実施形態のように、図5(b)に示した眼の左右方向の視線検出に基づく視線入力の方が、視線による操作を行いやすい。特に、図4のように視線入力システム100を車載する場合には、運転時の視線入力について、上下方向の視線検出に基づく視線入力よりも左右方向の視線検出に基づく視線入力の方が、前方視界を保ったまま同一視野内で視線入力が行いやすく好ましい。
上記のように、本実施形態に係る視線入力システム100では、対象者200の視線検出を眼の左右方向に限定しているため、操作ボタン11は左右方向に並べて配置する必要がある。このため、表示装置10に多くの操作ボタン11を配置することができないという制約がある。そこで、本実施形態に係る視線入力システム100では、画面が次の操作階層に遷移するような階層的GUIを採用して、少ない個数の操作ボタン11で複雑なアプリケーション操作ができるようにしている。具体的には、表示制御装置50は、対象者200の視線400によってある操作ボタン11が選択されたとき、別の操作画面に遷移させる。
表示制御装置50は、対象者200の視線400によってある操作ボタン11が選択されたとき、当該選択された操作ボタン11に関連する下位階層の操作画面に遷移させることができる。例えば、図6に示すように、最初のGUI(a)における4つの操作ボタン11の中から「♪」(音符のマーク)の操作ボタン11が選択されると、「♪」の下位の操作階層であるGUI(b)へ画面遷移する。GUI(b)では、音楽の各ジャンルが4つの操作ボタン11で表されている。GUI(b)において「J−POP」の操作ボタン11が選択されると、「J−POP」の下位の操作階層であるGUI(c)へ画面遷移する。GUI(c)では、J−POPの各アーティストが4つの操作ボタン11で表されている。GUI(c)において「歌手C」の操作ボタン11が選択されると、「歌手C」の下位の操作階層であるGUI(d)へ画面遷移する。GUI(d)では、歌手Cの曲目が4つの操作ボタン11で表されている。そして、GUI(d)において「楽曲4」の操作ボタンが選択されることで、その曲が再生される。
あるいは、対象者200の視線400によってある操作ボタン11が選択されたとき、そのとき表示中の操作ボタン11を左右にスクロールさせて新たな操作ボタン11を表示させる画面遷移を行うことができる。例えば、図7に示すように、表示装置10の表示画面の右端および左端に、右向き矢印の操作ボタン11および左向き矢印の操作ボタン11をそれぞれ追加配置する。最初のGUI(a)における右向き矢印の操作ボタン11が選択されると、GUI(b)のように、右向き矢印の操作ボタン11および左向き矢印の操作ボタン11の間に挟まれた4つの操作ボタン11が左にスクロールして表示装置10の表示画面に次々と新たな操作ボタン11が現れる。そして、GUI(c)のように目的の「Photo」の操作ボタン11が表示されたところで、その操作ボタン11を注視して選択することで「Photo」を選択することができる。
図6に示したような階層的GUIを採用する場合、操作階層の上位へ戻る仕組みが必要である。このような上位階層への画面遷移を実現するために、視線検出装置40は、対象者200の視線400が表示装置10の表示画面から右または左に大きく外れたことを検出してもよい。そして、表示制御装置50は、下位階層のGUIを表示させている場合において対象者200の視線400が表示装置10の表示画面の右または左に大きく外れたとき、上位階層のGUIへ画面遷移させてもよい。これにより、対象者200の左右方向の視線検出のみで階層的GUIを自在に操作することができる。
また、視線検出装置40が、対象者200の視線400が表示装置10の表示画面から右または左に大きく外れたことが検出可能になることで、操作ボタン11が上下方向に多段に配置されたGUIを採用することが可能となる。図8は、操作ボタン11を多段配置したGUIの操作例を示す図である。この場合、表示制御装置50は、対象者200の視線400が表示装置10の表示画面の右または左に大きく外れたとき、操作ボタン11の段間を移動して操作ボタン11のハイライト状態を変化させてもよい。これにより、複数の操作ボタン11が上下方向に多段に配置されたGUIを、対象者200の左右方向の視線検出のみで自在に操作することができる。
図8のように操作ボタン11を多段配置したGUIにおいても、対象者200の視線400によってある操作ボタン11が選択されたとき、そのとき表示中の操作ボタン11を左右にスクロールさせて新たな操作ボタン11を表示させる画面遷移を行うことができる。例えば、図9に示すように、表示装置10の表示画面の右端および左端に、右向き矢印の操作ボタン11および左向き矢印の操作ボタン11をそれぞれ追加配置する。最初のGUI(a)における右向き矢印の操作ボタン11が選択されると、GUI(b)のように、右向き矢印の操作ボタン11および左向き矢印の操作ボタン11の間に挟まれた2段4列の操作ボタン11が全体的に左にスクロールして表示装置10の表示画面に次々と新たな操作ボタン11が現れる。そして、GUI(c)のように目的の「BGM」の操作ボタン11が表示されたところで、その操作ボタン11を注視することで「BGM」を選択することができる。
次に、本実施形態に係る視線入力システム100の動作について図10のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、対象者200に対して所定の相対位置に配置された発光装置20から対象者200の左眼または右眼に近赤外線300を照射した状態で、撮像装置30が左眼または右眼の撮像を開始する(S1)。そして、視線検出装置40の画像取得部41がステップS1で撮像された片眼画像を撮像装置30から取得し、当該取得した片眼画像について、画像処理部42が、瞳孔中心とプルキニエ像を検出するための前処理を行う(S2)。
次に、視線検出装置40の瞳孔中心検出部43が、ステップS2で前処理された片眼画像から瞳孔中心を検出する(S3)。もし、瞳孔中心検出部43が瞳孔中心を検出できなければ(S3でNO)、ステップS1へ戻り、対象者200の左眼または右眼の撮像および前処理が再び行われる。一方、瞳孔中心検出部43が瞳孔中心を検出できたなら(S3でYES)、視線検出装置40のプルキニエ像検出部44が、ステップS2で前処理された片眼画像からプルキニエ像を検出する(S4)。もし、プルキニエ像検出部43がプルキニエ像を検出できなければ(S4でNO)、ステップS1へ戻り、対象者200の左眼または右眼の撮像および前処理が再び行われる。すなわち、対象者200の片眼画像から瞳孔中心およびプルキニエ像の双方が検出されるまで、対象者200の左眼または右眼の撮像および前処理が繰り返される。
プルキニエ像検出部44がプルキニエ像を検出できたなら(S4でYES)、視線検出装置40の視線算出部45が、プルキニエ像を基点として瞳孔中心のX軸方向の移動量(視線移動量)をピクセル単位に変換して検出し、検出した移動量を表示装置10の表示画面において分割したブロックに割り当てる(S5)。
そして、表示制御部50が、視線検出装置40の視線検出出力に応じて表示装置10に表示する操作ボタン11のハイライト状態を変化させ、対象者200がある操作ボタン11を注視したとき、その操作ボタン11に対応付けられたコマンドやアクションを実行する(S6)。
以上のように、本実施形態によると、対象者200に対して所定の相対位置から近赤外線300が照射された対象者200の左眼または右眼の片眼の撮像画像を解析し、眼の左右方向における瞳孔中心およびプルキニエ像の相対的な位置関係に基づいて対象者200の左右方向の視線400を算出するため、視線検出開始前に対象者200の眼、発光装置20、撮像装置30、および表示装置10間の各位置関係をパラメータ入力したり、対象者200に表示画面の数カ所を注視させたりするキャリブレーションが不要となる。これにより、キャリブレーションを行うことなくすぐに視線による入力が可能となる。例えば、図11に示したように、視線入力システム100を使用中に対象者200がシステムに対して前後移動したときでも、対象者200の左眼または右眼が撮像装置30の焦点範囲内にある限りキャリブレーションは不要である。
また、本実施形態によると、操作画面が階層的に表示されるため、視線検出が左右方向に限定されていても視線によって複雑な入力操作を行うことが可能となる。
また、本実施形態によると、視線検出に必要な発光装置20および撮像装置30はそれぞれ1個で済むため、視線入力システム100の低コスト化および小型化が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、表示装置10の表示画面を4つのブロックA’〜D’に分割するとしたが、閾値を適切に設定することでそれ以外の分割数も可能である。
また、図1ないし図11を用いて上記実施形態により示した構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成に限定する趣旨ではない。
本発明に係る視線検出装置および視線入力システムは、キャリブレーション不要で片眼による視線方向の検出が可能であるため、車載や福祉用途のシステムとして有用である。
100 視線入力システム
200 対象者
300 近赤外線
400 視線
10 表示装置
11 操作ボタン
20 発光装置
30 撮像装置
40 視線検出装置
43 瞳孔中心検出部
44 プルキニエ像検出部
45 視線算出部
50 表示制御装置

Claims (7)

  1. 対象者に対して所定の相対位置から近赤外線が照射された該対象者の左眼または右眼の撮像画像を解析して該対象者の視線方向を検出する視線検出装置であって、
    前記撮像画像から、前記近赤外線が照射された眼の瞳孔中心を検出する瞳孔中心検出部と、
    前記撮像画像から、前記近赤外線が照射された眼の角膜表面での前記近赤外線の反射像であるプルキニエ像を検出するプルキニエ像検出部と、
    眼の左右方向における前記瞳孔中心および前記プルキニエ像の相対的な位置関係に基づいて、前記対象者の左右方向の視線を算出する視線算出部とを備えている
    ことを特徴とする視線検出装置。
  2. 前記視線算出部は、前記プルキニエ像を基点として、当該基点に対する眼の左右方向への前記瞳孔中心の移動量に応じて、視線が眼の左右方向における複数の視線領域のいずれに属するかを判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の視線検出装置。
  3. 対象者の視線によって入力を行う視線入力システムであって、
    前記対象者が視線によって入力を行うための操作画面を表示する表示装置と、
    前記対象者に対して所定の相対位置に配置され、前記対象者が前記操作画面を注視している状態において前記対象者の左眼または右眼に向けて近赤外線を照射する発光装置と、
    前記近赤外線が照射されている前記対象者の左眼または右眼を撮像する撮像装置と、
    前記撮像装置から撮像画像を受け、当該撮像画像を解析して前記対象者の視線方向を検出する請求項1または請求項2に記載の視線検出装置と、
    前記視線検出装置による視線検出出力を受けて、前記表示装置の画面表示を制御する表示制御装置と、を備え、
    前記表示制御装置は、複数の操作ボタンが左右方向に並べて配置された操作画面を表示させて前記対象者の左右方向への視線の動きに連動して操作ボタンのハイライト状態を変化させ、ある操作ボタンが選択されたとき、当該選択された操作ボタンに対応するアクションを実行する、または、別の操作画面に遷移させる
    ことを特徴とする視線入力システム。
  4. 前記別の操作画面は、前記選択された操作ボタンに関連する下位階層の操作画面である
    ことを特徴とする請求項3に記載の視線入力システム。
  5. 前記表示制御装置は、下位階層の操作画面を表示させている場合において前記対象者の視線が該操作画面の右または左に大きく外れたとき、上位階層の操作画面に遷移させる
    ことを特徴とする請求項4に記載の視線入力システム。
  6. 前記操作画面において複数の操作ボタンが上下方向に多段に配置されており、
    前記表示制御装置は、前記対象者の視線が前記操作画面の右または左に大きく外れたとき、操作ボタンの段間を移動してハイライト状態を変化させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の視線入力システム。
  7. 前記表示制御装置は、ハイライト状態の操作ボタンが所定時間以上注視されたとき、当該操作ボタンが選択されたと判定する
    ことを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の視線入力システム。
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