JP2016032433A - 植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法、カロテノイド含有量増加剤、および植物の作製方法 - Google Patents

植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法、カロテノイド含有量増加剤、および植物の作製方法 Download PDF

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善靖 川瀬
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Abstract

【課題】安全且つ簡便に、植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法を提供する。【解決手段】植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法であって、スギ、ヒノキ、マツおよびオオバコを加熱して得られた抽出物を用いて対象植物を処理する。また、カロテノイドはα−カロテンおよびβ−カロテンのうちの少なくとも1つである。【選択図】なし

Description

本発明は、植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法、カロテノイド含有量増加剤、およびカロテノイドの含有量が増加した植物の作製方法に関する。
近年、消費者の健康への関心が高まっている。例えば、抗酸化作用を有するカロテノイド類は、生活習慣病等の疾患の予防に効果があるとされている(特許文献1および2参照)。このようなカロテノイド類等の健康増強成分を、普段の食事において野菜等の作物を介して、より効率的に摂取することができれば、消費者にとって簡便であり、好ましい。また、そのような作物があれば、当該作物から健康増強成分を抽出したサプリメント等を製造することも可能である。このため、健康増強成分の含有量が通常に比べて増加した作物が注目されており、作物における健康増強成分の蓄積を増加させる技術が求められている。
植物において特定の成分の蓄積を増加させる技術としては、例えば、品種改良による方法が知られている。特許文献1には、カロテン及びリコピンの含有量が多いニンジン品種が開示されている。また、特許文献2には、ゼアキサンチン等のカロテノイドの含有量が多いトウガラシ品種が開示されている。
また、他の技術としては、例えば、遺伝子組み換えによる方法が知られている。特許文献3には、植物および植物細胞における長鎖多不飽和脂肪酸(PUFA)およびPUFAの生合成に関与する酵素の製造方法が開示されている。特許文献3に記載の技術では、PUFAの生合成に関与する酵素のポリペプチドをコードするDNA配列を含むベクターを用いて植物を形質転換することにより、PUFAの産生を増加させる。
さらに他の技術としては、過酸化水素水を用いた方法が知られている。特許文献4には、植物栽培施設において、過酸化水素水を植物体に直接吸収させることにより、植物体内の抗酸化物質含有量を増加させ、かつ/又は植物体の生育を促進する方法が開示されている。
特開2007−14205号公報(2007年1月25日公開) 特表2008−532492号公報(2008年8月21日公表) 特表2001−527395号公報(2001年12月25日公表) 特開2014−45664号公報(2014年3月17日公開)
しかしながら、上述のような従来技術は、植物中のカロテノイドの含有量を増加させるという観点からは十分ではなかった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、安全且つ簡便に、植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の原料から特定の製造工程によって得られる抽出物を有効成分として用いて、植物を処理することにより、安全且つ簡便に、植物中のカロテノイドの含有量を増加できることを見出した。
すなわち、上記の課題を解決するために、本発明に係る方法は、植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法であって、スギ、ヒノキ、マツおよびオオバコを加熱して得られた抽出物を用いて対象植物を処理する工程を含むことを特徴としている。
本発明に係る方法では、上記カロテノイドはα−カロテンおよびβ−カロテンのうちの少なくとも1つであってもよい。
本発明に係る方法では、上記抽出物を用いた処理は対象植物の苗に1〜2週間に1回の頻度で行われてもよい。
本発明に係るカロテノイド含有量増加剤は、スギ、ヒノキ、マツおよびオオバコを加熱して得られた抽出物を有効成分として含有することを特徴としている。
本発明に係るカロテノイド含有量増加剤では、上記カロテノイドはα−カロテンおよびβ−カロテンのうちの少なくとも1つであってもよい。
本発明に係るカロテノイドの含有量が増加した植物の作製方法は、カロテノイド含有量増加剤を用いて対象植物を処理する工程を含むことを特徴としている。
本発明に係る植物の作製方法では、上記カロテノイド含有量増加剤を用いた処理は対象植物の苗に1〜2週間に1回の頻度で行われてもよい。
本発明によれば、安全且つ簡便に、植物中のカロテノイドの含有量を増加させることができるという効果を奏する。
実施例における試験区の配置を示した図である。 実施例における試験区の配置を示した図である。 実施例における試験区の配置を示した図である。
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法〕
本発明に係るカロテノイドの含有量を増加させる方法(以下、単に「本方法」と称する場合もある。)は、植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法であって、特定の原料および製造工程によって得られた抽出物を用いて対象植物を処理する工程を含むことを特徴としている。本方法によれば、上記抽出物を対象植物に与えることにより、簡便に、対象植物におけるカロテノイドの含有量を増加させることができる。また、上記抽出物は植物由来の成分を主成分としており、製造工程において特別な化学物質等を用いていない。従って、本方法によれば、安全に、対象植物におけるカロテノイドの含有量を増加させることができる。
カロテノイドは、化学式C4056の基本構造を持つ化合物の誘導体であればよく、具体的な構造は特に限定されない。好ましいカロテノイドの例としては、α−カロテン、β−カロテン等が挙げられる。
本方法が上述のような効果を示す理由としては様々な理由が考えられる。1つの理由としては、本方法によれば、上記抽出物に含まれる成分が、対象植物におけるカロテノイドの生合成経路等に作用することによって、対象植物中のカロテノイドの含有量を増加させ得ると推測される。
本明細書において、「対象植物」とは、上記抽出物によって処理する対象となる植物であって、カロテノイドの含有量を増加させる対象となる植物である。対象植物の種類は特に限定されず、例えば、以下の植物が挙げられる。
農作物:トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ラッカセイ、ソバ、テンサイ、セイヨウアブラナ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ、ホップ等。
野菜:ナス科野菜(ナス、トマト、ジャガイモ、トウガラシ、ピーマン等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、マクワウリ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、アブラナ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス等)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、マメ科作物(エンドウ、インゲンマメ、アズキ、ソラマメ、ヒヨコマメ等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ、コンニャク、ショウガ、オクラ等。
果樹:仁果類(リンゴ、ナシ、セイヨウナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ、アブラヤシ等。
果樹以外の樹木:チャ、クワ、花木類(サツキ、ツバキ、アジサイ、サザンカ、シキミ、サクラ、ユリノキ、サルスベリ、キンモクセイ等)、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ、ニレ、トチノキ等)、サンゴジュ、イヌマキ、スギ、ヒノキ、クロトン、マサキ、カナメモチ、等。
芝生:シバ類(ノシバ、コウライシバ等)、バミューダグラス類(ギョウギシバ等)、ベントグラス類(コヌカグサ、ハイコヌカグサ、イトコヌカグサ等)、ブルーグラス類(ナガハグサ、オオスズメノカタビラ等)、フェスク類(オニウシノケグサ、イトウシノケグサ、ハイウシノケグサ等)、ライグラス類(ネズミムギ、ホソムギ等)、カモガヤ、オオアワガエリ等。
その他:花卉類(バラ、カーネーション、キク、トルコギキョウ、カスミソウ、ガーベラ、マリーゴールド、サルビア、ペチュニア、バーベナ、チューリップ、アスター、リンドウ、ユリ、パンジー、シクラメン、ラン、スズラン、ラベンダー、ストック、ハボタン、プリムラ、ポインセチア、グラジオラス、カトレア、デージー、シンビジューム、ベゴニア等)、バイオ燃料植物(ヤトロファ、ベニバナ、アマナズナ類、スイッチグラス、ミスカンサス、クサヨシ、ダンチク、ケナフ、キャッサバ、ヤナギ等)、観葉植物等。
<抽出物の製造方法>
本方法において使用される抽出物は、以下に示す特定の原料を用いて特定の製造工程によって得られる。当該抽出物を用いた製品の好ましい一例としては、株式会社フローラ製のHB−101(登録商標)が挙げられる。HB−101(登録商標)は、植物の生長を促進する植物活力液として知られている。しかしながら、当該抽出物を用いて、植物中のカロテノイドの含有量を増加できることは知られておらず、本発明者らが初めて見出したことである。また、単に植物の生長を促進させるにすぎないと考えられていた当該抽出物が、植物中のカロテノイドの含有量を増加するために使用できることは、驚くべきことである。
(原料)
上記抽出物は、スギ、ヒノキ、マツおよびオオバコを原料としている。好ましくは、抽出物は、原料としてスギ、ヒノキ、マツおよびオオバコ以外の材料を含まない。すなわち、好ましくは、抽出物は植物由来の成分のみを含み、特別な化学物質等を含まない。ただし、本願発明の効果を損なわない限度において、他の物質を含むことが許容される。この場合、当該抽出物を用いれば、安全に、植物中のカロテノイドの含有量を増加させることができる。
上記原料として用いられる部位は特に限定されず、葉、茎、根、花、果実、種子等、またはこれらの混合物である。
(細分化工程)
上記抽出物の製造方法は、まず、常温にて、各原料を混合し、細分化する細分化工程を含むことが好ましい。当該工程により、各原料に含まれる成分を抽出しやすくすることができる。本明細書において、「常温」とは例えば5℃〜35℃を意味し、好ましくは20℃を意味する。
例えば、各原料は、得られる混合物を100重量%とした場合、以下に示す割合で用いられる。スギは30〜60重量%用いられることが好ましく、40〜55重量%用いられることがより好ましく、50重量%用いられることが特に好ましい。ヒノキは30〜60重量%用いられることが好ましく、45〜55重量%用いられることがより好ましく、49重量%用いられることが特に好ましい。マツは0.01〜10重量%用いられることが好ましく、0.1〜5重量%用いられることがより好ましく、0.9重量%用いられることが特に好ましい。オオバコは0.01〜5重量%用いられることが好ましく、0.05〜1重量%用いられることがより好ましく、0.1重量%用いられることが特に好ましい。上記割合であれば、より効果的に、植物中のカロテノイドの含有量を増加させることができる。
細分化は、例えば、カッター、電動のこぎり等によって行うことができる。各原料は1〜50cm程度に細分化することが好ましく、5〜20cm程度に細分化することがより好ましい。上記サイズであれば、各原料に含まれる成分を効率的に抽出することができる。
(熱処理工程)
上記抽出物の製造方法は、上記細分化工程によって得られた混合物を好ましくは50℃〜300℃、より好ましくは100℃〜200℃で加熱する熱処理工程を含むものである。当該工程により、各原料に含まれる成分をさらに抽出しやすくすることができる。50℃以上で加熱すれば、各原料に含まれる成分を十分に抽出することができる。100℃以上であればより効果的である。また、300℃以下で加熱すれば、各原料に含まれる成分が必要以上に分解されてしまう等の弊害を防ぐことができる。200℃以下であればより効果的である。
当該熱処理工程は、1日〜1か月間行われることが好ましく、2〜4週間行われることがより好ましく、3週間行われることが特に好ましい。当該熱処理工程が1日以上行われる場合、各原料に含まれる成分を十分に抽出することができる。また、当該熱処理工程が1か月間以下であれば、各原料に含まれる成分が必要以上に分解されてしまう等の弊害を防ぐことができる。
(抽出工程)
上記抽出物の製造方法は、上記熱処理工程の後に、上記混合物を常温まで冷却し、抽出物を得る抽出工程を含むことが好ましい。当該抽出工程においては、各原料に由来する水分および油脂分が溶媒となり、各原料に含まれる成分が抽出されると考えられる。つまり、当該抽出工程では、特別な溶媒を用いて各原料に含まれる成分を抽出するわけではない。この点においても、本方法は、特別な溶媒を用いないために安全である。
当該抽出工程においては、上記混合物を常温まで冷却した後に、抽出物の抽出が1日〜3週間行われることが好ましく、1〜2週間行われることがより好ましく、1週間行われることが特に好ましい。当該抽出が1日以上行われる場合、各原料に含まれる成分を十分に抽出することができる。また、当該抽出が3週間以下であれば、各原料に含まれる成分を効率的に抽出することができる。
(分離工程)
上記抽出物の製造方法は、上記抽出工程によって得られた抽出液を上記混合物から分離する分離工程を含むことが好ましい。これにより、余分な油脂を除去することができる。従って、純度の高い抽出物を得ることができる。
当該分離工程は、上記抽出液を常温にて蒸留することによって行われることが好ましい。例えば当該分離工程は、減圧蒸留によって行われる。これにより、各原料に含まれる成分が高温によって必要以上に分解されてしまう等の弊害を防ぐことができる。
(精製工程)
上記抽出物の製造方法は、上記分離工程によって分離された抽出物を、常温にて再蒸留した後、濾過する精製工程を含むことが好ましい。これにより、さらに純度の高い抽出物を得ることができる。再蒸留は、例えば、上述の分離工程と同じく、減圧蒸留によって行われる。
なお、最終的に得られる抽出物の形態は特に限定されず、液体であってもよいし、固体であってもよい。
以上のように、本発明に係る方法において使用される抽出物は、植物由来の原料を主成分としており、製造工程においても他の添加物は使用されない。よって、本方法によれば、植物中のカロテノイドの含有量を増加させることができる。
当該抽出物は、例えば、公知の方法で成分分析を行った場合に、当該抽出物からは、カドミウムおよびヒ素が検出されないことが好ましい。カドミウムおよびヒ素が検出されなければ、抽出物を、より安全に使用することができる。
<対象植物を処理する工程>
本方法は、上述の抽出物を用いて対象植物を処理する工程を含むことを特徴としている。本方法においては、上記抽出物を希釈して使用することが好ましい。希釈する割合については対象植物の種類等に応じて適宜決定すればよいが、上記抽出物を1000倍〜1000000倍に希釈することが好ましく、1000倍〜10000倍に希釈することがより好ましく、1000倍〜5000倍に希釈することが特に好ましい。抽出物を1000倍以上に希釈すれば、植物が過剰に生長することがなく、より効果的に植物中のカロテノイドの含有量を増加させることができる。また、抽出物を1000000倍以下にて希釈すれば、十分に植物中のカロテノイドの含有量を増加させることができる。
希釈には、水、液肥、本発明の効果を妨げない他の薬品等を用いることができるが、水によって希釈することがより好ましい。水によって希釈すれば、上記抽出物を、より安全かつ簡便に使用することができる。上記抽出物は、例えば原液の場合、pH3.5〜4を示し、1000倍に希釈した場合、pH約6.5を示す。
上記抽出物による処理を行うタイミングは特に限定されず、当該植物の種々の生育ステージ(播種前、播種時、播種後出芽前後などの発芽期、育苗時、苗移植時、挿し木又は挿し苗時、定植後の生育時などの栄養生長期、開花前、開花中、開花後、出穂直前又は出穂期などの生殖生長期、収穫予定前、成熟予定前、果実の着色開始期などの収穫期)であってよい。上記対象植物は、好ましくは播種後1日〜4週間の苗であり、より好ましくは播種後1〜3週間の苗であり、特に好ましくは播種後2週間の苗である。播種後1日〜4週間の苗を処理すれば、より効果的に対象植物におけるカロテノイドの含有量を増加させることができる。本明細書において、苗としては、実生、挿し木等を含むものとする。
また、好ましくは上記苗を移植し、定植直後に上記抽出物による処理を行う。定植直後に抽出物による処理を行えば、より効果的に対象植物におけるカロテノイドの含有量を増加させることができる。
上記抽出物によって処理する植物の部位は特に限定されないが、植物の全体であってもよく、一部分(茎葉、芽、花、果実、穂、種子、球根、塊茎、根等)であってもよい。具体的には、例えば、茎葉散布等の植物の茎葉、花器又は穂への処理、植物を植えつける前又は植えつけた後の土壌(栽培地)への処理、種子消毒・種子浸漬・種子コート等による種子への処理、苗への処理、種芋等の球根への処理等が挙げられる。本明細書において、球根とは、鱗茎、球茎、根茎、塊根、および担根体を含むものとする。本発明においては、対象植物が植えられている土壌(対象植物の根元)および対象植物の葉を処理することが好ましい。
本方法における植物の茎葉、花器または穂を処理する方法としては、具体的には、例えば、茎葉散布、樹幹散布等の植物の表面に施用する処理方法が挙げられる。また、開花前、開花中、開花後を含む開花時期における花器あるいは植物全体に散布処理する方法が挙げられる。また、穀物等おいては出穂時期の穂あるいは植物全体に散布する方法が挙げられる。
本方法における土壌を処理する方法としては、例えば、土壌への散布、土壌混和、土壌への薬液潅注(薬液潅水、土壌注入、薬液ドリップ)が挙げられる。処理する場所としては例えば、植穴、作条、植穴付近、作条付近、栽培地の全面、植物地際部、株間、樹幹下、主幹畦、培土、育苗箱、育苗トレイ、苗床等が挙げられる。処理時期としては播種前、播種時、播種直後、育苗期、定植前、定植時、及び定植後の生育期等が挙げられる。また、抽出物を潅水液に混合してもよい。例えば、潅水設備(潅水チューブ、潅水パイプ、スプリンクラー等)への注入、条間湛水液への混入、水耕液へ混入等が挙げられる。また、あらかじめ潅水液と抽出物を混合し、例えば、上記潅水方法やそれ以外の散水、湛水等のしかるべき潅水方法を用いて処理することができる。
本方法における種子を処理する方法としては、対象植物の種子、球根等に抽出物を付着または含浸させる方法が挙げられる。具体的には、例えば、抽出物を霧状にして種子表面もしくは球根表面に吹きつける噴霧処理、抽出物に少量の水を加えるか、又はそのままで種子もしくは球根に塗付する塗沫処理、抽出物に一定時間種子を浸漬する浸漬処理、フィルムコート処理、ペレットコート処理が挙げられる。
本方法における苗を処理する方法としては、例えば、抽出物を水で希釈した希釈液を苗全体に散布する散布処理、その希釈液に苗を浸漬する浸漬処理、抽出物を苗全体に付着させる塗布処理が挙げられる。また、苗を植えつける前又は植えつけた後の土壌への処理としては、例えば、抽出物の希釈液を、苗を植えつけた後に苗及び周辺土壌に散布する方法が挙げられる。
また、抽出物を水耕栽培における水耕液に混合して用いてもよく、また組織培養における培地成分の1つとして用いてもよい。この場合、定法に従い、炭素源としての糖類、各種植物ホルモン等を適宜加えることができる。
抽出物の使用量(抽出物を希釈した場合は、希釈液中の抽出物の使用量)としては、対象植物の種類等により適宜決定すればよいが、例えば、0.01〜100mL/mであることが好ましく、0.1〜10mL/mであることがより好ましい。上記使用量であれば、植物が過剰に生長することがなく、また十分に植物中のカロテノイドの含有量を増加させることができる。
上記抽出物による処理を行う頻度は特に限定されないが、1〜4週間に1回であることが好ましく、1〜2週間に1回であることがより好ましい。なお、上記頻度は、1週間に1回または隔週に1回であってもよい。また、上記抽出物による処理も特に限定されないが、合計3〜6回であることが好ましく、合計5〜6回であることが好ましい。上記頻度および回数であれば、植物が過剰に生長することがなく、また十分に植物中のカロテノイドの含有量を増加させることができる。
〔2.カロテノイド含有量増加剤〕
本発明に係るカロテノイド含有量増加剤(以下、単に「本剤」と称する場合もある。)は、スギ、ヒノキ、マツおよびオオバコを加熱して得られた抽出物を有効成分として含有することを特徴としている。本剤によれば、上記抽出物を含有しているため、簡便に対象植物におけるカロテノイドの含有量を増加させることができる。また、上記抽出物は植物由来の成分を主成分としており、製造工程において特別な化学物質等を用いていない。従って、本剤によれば、安全に、対象植物におけるカロテノイドの含有量を増加させることができる。なお、上述の〔1.植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法〕において説明した事項は、説明を省略する。
本剤は、本発明の効果を妨げない範囲で、上記抽出物以外の物質を含んでいてもよい。本剤は、例えば、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、粒剤等に製剤化されたものであってもよい。本剤における上記抽出物の含有量は、0.1%〜99重量%であってもよく、好ましくは0.2〜90重量%、より好ましくは1〜80重量%の範囲である。
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば、カオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土及び方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられる。液体担体としては、例えばキシレン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、石油系脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル並びに水が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩及びナフタレンスルホネートホルムアルデヒド重縮合物等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマー及びソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、並びにアルキルトリメチルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸及びその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)及びザンサンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミナゾル等の無機物、防腐剤、着色剤並びにPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT等の安定化剤が挙げられる。
〔3.カロテノイドの含有量が増加した植物の作製方法〕
本発明に係るカロテノイドの含有量が増加した植物の作製方法(本明細書において、単に「本植物の作製方法」とも称する)は、上述のカロテノイド含有量増加剤を用いて対象植物を処理する工程を含むことを特徴としている。本植物の作製方法によれば、上記カロテノイド含有量増加剤を用いるため、簡便に、対象植物におけるカロテノイドの含有量を増加させることができる。また、上記カロテノイド含有量増加剤に含有される上述の抽出物は植物由来の成分を主成分としており、製造工程において特別な化学物質等を用いていない。従って、本植物の作製方法によれば、安全に、カロテノイドの含有量が増加した植物を得ることができる。ここで、上述の〔1.植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法〕および〔2.カロテノイド含有量増加剤〕において説明した事項は、説明を省略する。例えば、カロテノイド含有量増加剤を用いて対象植物を処理する工程としては、〔1.植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法〕における<対象植物を処理する工程>の記載を援用することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の実施例では、抽出物を含有するカロテノイド含有量増加剤としてHB−101(登録商標)を用いた。
〔実施例1:キャベツにおける効果〕
圃場に、対照区および処理区を1つの試験群として、図1に示すように4つの試験群を配置した。各試験群は、隣り合う畝の半分ずつを使用した。4つの試験群で、合計4つの畝を使用した。各畝は、図2に示すように1.3m×32mである。図2(a)は1つの畝を示している。各畝を、中心から2つの試験区に分けた。各試験区の長手方向における長さは14mとした。対照区および処理区には、播種後2週間の苗を移植した。各試験区には、合計70個体の苗を2列に植えた(つまり、1列35個体)。各列の間隔は40cmとした。図2に示すように、畝の長手方向における各個体の間隔は40cmとし、各個体を2列の間で交互に定植した。
各畝の両端から長手方向において、両端から1mの範囲、および、中心から1mの範囲は緩衝域とした。図2(b)は各畝の両端から1mの範囲の緩衝域を示している。緩衝域内の個体はサンプルから除外した。つまり、図2(b)においては緩衝域内の4個体はサンプルから除外した。
対照区には水を与える処理、処理区には1000倍に希釈したHB−101(登録商標)を与える処理を、ジョロまたは噴霧器を用いて行った。各処理は、定植直後に行い、その後、隔週に1回行った。各処理は、合計5〜6回行った。
対照区および処理区それぞれについて、平均的な生重量の9サンプルを抽出し、成分分析を行った。
結果を表1に示す。表1に示すように、処理区においては、対照区に比べて、収穫物に含まれるβ-カロテン含有量の増加が確認された。
Figure 2016032433
〔実施例2:ハクサイにおける効果〕
実施例1と同様の方法によってハクサイを栽培し、β−カロテン含有量を測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、処理区においては、対照区に比べて、収穫物に含まれるβ-カロテン含有量の増加が確認された。
Figure 2016032433
〔実施例3:ホウレンソウにおける効果〕
<育苗>
セルトレーに播種後、15℃〜20℃の室内で育苗した。その後14日間、遮光シートをかけた状態で温室内にて育苗を行った。育苗中は週1回合計3回、水及び規定量の希釈したHB−101(登録商標)を、噴霧器を用いて噴霧した。
<圃場>
農場の一畝(1.3m×32m)を、図3(a)に示すように8区画の試験区に分けた。当該8区画中に、対照区2区、500倍希釈処理区2区、1000倍希釈処理区2区をランダムに配置した。畝の長手方向において、畝の両端から1m離して各区を配置し、各区の間は1.5m離した。図3(b)は1つの試験区を示している。畝の長手方向における各区の長さは2.4mとした。苗は4列に植え、各列の間隔は15cmとした。また、畝の長手方向において、各個体は、6cm間隔で定植した。苗は各区160株ずつ定植した。つまり、各試験区において、1列40個体とした。畝には水避用の支柱およびビニールをかけ、移植後約2週間は遮光シートをかけた。対照区においては水の噴霧処理、処理区においては規定量の希釈したHB−101(登録商標)の噴霧処理を、定植直後に行い、その後は週1回行った。各処理は、合計6回行った。
<収穫、データ取得>
各区それぞれについて4列のうち外側2列はサンプルから除外し、内側2列分80個体を収穫した。各区それぞれ、収穫した80個体の中から、平均的な生重量の20サンプルを選抜し、成分分析を行った。
結果を表3に示す。表3に示すように、処理区においては、対照区に比べて、収穫物に含まれるβ-カロテン含有量の増加が確認された。
Figure 2016032433
本発明によれば、カロテノイドの含有量が増加した植物を提供することができる。よって、本発明は、農業、食品産業等に利用することができる。

Claims (7)

  1. 植物中のカロテノイドの含有量を増加させる方法であって、
    スギ、ヒノキ、マツおよびオオバコを加熱して得られた抽出物を用いて対象植物を処理する工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 上記カロテノイドはα−カロテンおよびβ−カロテンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 上記抽出物を用いた処理は対象植物の苗に1〜2週間に1回の頻度で行われることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. スギ、ヒノキ、マツおよびオオバコを加熱して得られた抽出物を有効成分として含有することを特徴とするカロテノイド含有量増加剤。
  5. 上記カロテノイドはα−カロテンおよびβ−カロテンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載のカロテノイド含有量増加剤。
  6. 請求項4または5に記載のカロテノイド含有量増加剤を用いて対象植物を処理する工程を含むことを特徴とするカロテノイドの含有量が増加した植物の作製方法。
  7. 上記カロテノイド含有量増加剤を用いた処理は対象植物の苗に1〜2週間に1回の頻度で行われることを特徴とする請求項6に記載の植物の作製方法。
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