[第1の実施形態]
以下に本発明の実施の形態を遊技機たるスロットマシンを例に図面を参照しつつ説明する。なお、図1はスロットマシンの分解斜視図、図2は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの分解斜視図、図3はスロットマシンの斜視図、図4は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの縦断面図、図5は図4のZ1部拡大図、図6はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図4のZ1部拡大図、図7は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの横断面図、図8(a)は図7のZ2部拡大図、図8(b)はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図7のZ2部拡大図、図9は図8(a)の要部を示す拡大図、図10は背板側を示すスロットマシン要部の横断面図、図11はケース部材の分解斜視図、図12はケース部材を後ろから見た斜視図、図13(a),(b)はコネクタホルダーの仮止め状態を説明するケース部材の要部の斜視図、図14は配線中継部材の分解斜視図、図15は配線中継部材のカバー体を省略した正面図、図16,図17はコネクタホルダーの分解斜視図、図18はケース部材を止めるストッパーの斜視図、図19は他の形態を示すストッパーの斜視図、図20,図21はケース部材のガイド構造を示す要部の断面図、図22は把手の他の形態を示す図柄変動表示装置の部分斜視図、図23はケース部材と外本体側のストッパーとの関係を示す要部の斜視図、図24は配線窓と図柄変動表示装置のリールとの関係を示す要部の断面図、図25はスロットマシン上部の縦断面図、図26はメダル放出装置を省略してスロットマシンの下半部を示す斜視図、図27は図26の分解斜視図、図28はスロットマシンの裏側から放熱口を見た背面図、図29は電源装置を示すスロットマシンの一部断面部分正面図、図30は電源装置を下から見上げた状態を示す斜視図、図31は他の形態を示すもので外本体の側板と電源装置の要部断面図、図32は他の形態を示す照明装置の概略断面図、図33は透明板と発光ユニットを分解して示す扉形前面部材の斜視図、図34は透明板を分解して示す扉形前面部材の斜視図、図35は透明板を装着した扉形前面部材の図33A−A線相当断面図、図36はヒンジ金具の分解・組み立て斜視図、図37はヒンジ金具の連鎖を示す線図、図38は扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図39は開く途中の扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図40は扉形前面部材の上半部を示す裏側から見た斜視図、図41は連結具を縦方向に切断した断面斜視図、図42は他のヒンジ金具の例を示す扉形前面部材の要部横断平面図、図43は図42の扉形前面部材の開く途中を示す要部の横断平面図、図44は機種ユニットにおいて前面開閉部材を開いた状態を示す斜視図、図45は連結具を連結したまま扉形前面部材を開いた状態を示す斜視図である。
[1.スロットマシン]
本発明のスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口する箱形の外本体100と、該外本体100の前面に回転軸100aをもって横開きの扉状に回動可能に取り付けた扉形前面部材200と、複数の図柄を駆動手段で変動させる図柄変動表示装置300と、前記外本体100に対し着脱自在であって前面に開口部401を有するケース部材400と、任意の画像を表示する画像表示体500と、を有する。
[2.外本体]
外本体100は、図1〜図4に示したように底板101の左右に側板102,102を取着すると共に該側板102,102の頂部に天板103を設置して正面視縦長「口」字形の枠状となし、その枠の背に背板104を固着して前面のみ開口する箱形に形成してなる。前記左右の側板102,102は前縁が後傾状態に僅かに傾斜する台形になっており、従って外本体100の開口は後傾状態の傾きを有する。また、前記天板103には、遊技機設置島(図示せず)に設置した状態で該遊技機設置島の上桟600(図25想像線参照)と対向する領域内に複数(実施形態では4個)の貫通孔132,132…が穿設されている。
[2−1.外本体−仕切板]
外本体100内には高さのほぼ中央に棚板状の仕切板105が設けられている。該仕切板105は金属製であって、図1,図2に示したように中央に突段部106を有する正面視略凸形であり、両端に形成した垂直な取付片107を外本体100の側板102,102内面に固着し、また、後端に形成した垂直な取付片108を外本体100の背板104内面に固着して取り付けられる。なお、仕切板105の後端の取付片108にはバーリング加工(下孔の孔径をポンチで広げながら短筒状の突起を立ち上げる金属加工)による筒状突起(図示せず)が形成されており、該筒状突起を外本体100の背板104にプレ加工した小孔(図示せず)に打ち込んで位置決めされる。また、仕切板105の両横の最奥部には外本体100の背板104との間に配線用の開口109が形成されている。
[2−1−1.外本体−仕切板−下スペース]
外本体100内の前記仕切板105より下のスペースには、遊技媒体たるメダルを前記扉形前面部材200の前面下部にあるメダル用受皿201に放出するメダル放出装置110と、メダル放出装置110からオーバーフローするメダルを貯めるメダル用補助収納箱111と、電源装置112等が設けられている。
[2−1−1−1.外本体−仕切板−下スペース−メダル放出装置]
前記メダル放出装置110は、駆動手段を内蔵した装置本体110aにメダル貯留用のホッパ110bを取り付けたものであり、装置本体110aの前面にメダルの放出口110cが設けられていて、ホッパ110b内にあるメダルが前記駆動手段の作動により放出口110cに向けて1枚ずつ送り出される。また、ホッパ110bには溢れたメダルを排出させるオーバーフロー樋110dが設けてあり、そのオーバーフロー樋110dの突端下方に前記したメダル用補助収納箱111が臨む。なお、メダル放出装置110のメダル放出機構は、現在公知のどのようなものを採用してもよく、よって詳細な説明を省略する。
[2−1−1−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置]
前記電源装置112は、図26〜図30に示したように、外本体100の底板101と、正面向かって左側の側板102と、背板104の三部材が直交する内側コーナー部分に取り付けられている。電源装置112は、前記メダル放出装置110等の電気部品に電気を供給するためのものであって発熱しやすい部品であり、従って外本体100の背板104には電源装置112の取付部位に放熱口104aが開設されている。
電源装置112の装置ケース112aは、透明な合成樹脂で形成されている。こうすることにより装置ケース112aの内部が見えるから、電源装置112の基板112s(図30参照)等に対する不正工作の発見が容易になる。装置ケース112aは、上面をカバーする上面板112bと、外本体100の背板104に対向する後面板112cと、該後面板112cの反対側をカバーする正面板112dと、スロットマシン1の内部に向かう側をカバーする側面板112eと、上面板112bと側面板112eの境界部分を面取り形態にカバーする斜面板112fと、底部をカバーする底面板112r(図30参照)で形成されている。一方、装置ケース112aの、外本体100の側板102に対向する側の面はカバーされておらず開放状態にあるが、この開放面は外本体100に取り付けた状態で外本体100の側板102によって塞がれる。
なお、外本体100の側板102には図26,図27に示したように凸面部102aを設けて段状のガード部102bを形成し、該ガード部102bの下に装置ケース112aの上面板112bの一側を潜り込ませる仕様になっている。これにより装置ケース112aの一面をカバーしなくてもガード部102bによって装置ケース112aと側板102の継ぎ目が塞がれるから異物の差込みが行えない。図31は前記ガード部102bを溝状にした他の実施形態を示すものであり、この例では装置ケース112aの上面板112bの縁を側板102側に若干突出させてその先をガード部102bの溝に嵌め込むようになっている。
このように電源装置112の装置ケース112aにおいて、外本体100の側板102に当接する側の面をカバー無しの開放構造にして使用時に前記側板102で塞がるようにした場合は、装置ケース112a内への基板112s等の組み込みが開放面を使って行い易く、また、装置ケース112aに基板112s等を組み込んだ後の開放面へのカバー付けが不要であるから作業性が向上する。
前記装置ケース112aの上面板112b、側面板112e、斜面板112f、後面板112c、底面板112rには多数の通気孔112g,112g…が形成されていて内部に熱がこもらないようになっている。装置ケース112aは、底部に設けた脚部112h,112h…によって高床式に持ち上げられており、装置ケース112aの底面板112rと外本体100の底板101の間に通気空間112iが形成されている。従って、通気空間112iから底面板112rの通気孔112g,112g…を通って低層の比較的冷たい空気が装置ケース112a内に導入できる。実施形態の通気空間112iは、外本体100の前記放熱口104aに連通するようになっているため、機裏の冷たい空気を通気空間112iに導入することができる。なお、装置ケース112aの後面板112cと底面板112rの境界部に前記通気空間112iを嵩上げする逆L字形の段部112j(図30参照)を形成すれば、脚部112hの高さと放熱口104aの高さにズレがあっても通気空間112iを放熱口104aに連通させることができる。
[2−1−1−2−1.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−固定]
電源装置112は、装置ケース112aの正面板112dの一側辺に対して直角である取付片112kと、装置ケース112aの後面板112cから外本体100の背板104に向けて突設した突部112mと、外本体100の背板104に開設した放熱口104aと、の組合せにより外本体100に固定される。
すなわち、放熱口104aの輪郭は装置ケース112aの後面板112cの輪郭より小さく形成されており、従って電源装置112は外本体100の背板104に当たって放熱口104aを通らない。また、装置ケース112aの後面板112cに突設した突部112mは、前記放熱口104aに内接する位置にあり、電源装置112の浮き上がり動作に抗すべく放熱口104aの上辺に内接する水平な突片112m−1と、電源装置112の横転動作に抗すべく放熱口104aの縦辺に内接する垂直な突片112m−2で構成される。従って、電源装置112を外本体100の側板102の内面に沿わせて押し込み、放熱口104aに突部112mを差し込むだけで、装置ケース112aの後面(奥側)の上方向(浮き上がり)と図26において右方向(横転)への固定が完了する。もちろん電源装置112は、下方向に対しては外本体100の底板101によって、また、図26において左方向に対しては外本体100の側板102によってその動きが規制されるため、放熱口104aに突部112mを嵌め込むだけの単純な操作で、手前に引っ張る方向以外について電源装置112の動きが完全に規制できる。
一方、正面板112dに突設した取付片112kにはビス用の透孔112pが複数穿設されており、該透孔112pの少なくとも1個に木ねじ112qを通して外本体100の側板102に固定する。これにより手前に引っ張る方向についても電源装置112の動きが規制されるため、1本の木ねじ112qで外本体100への電源装置112の確実な固定が可能である。
[2−1−1−2−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−電源コード]
電源装置112には外部から電気の供給を受けるための電源コード(図示せず)が接続されている。そして、従来は前記放熱口104aの横に膨出部を設けてそこから前記電源コードを引き出すようにしていたが、この位置では電源コードを束ねても地面にすれる危険性が高い。スロットマシン1は、製造途中で電源を投入する場合があり、そのときに備えて外本体100の外に電源コードを出しておかなければならないから、製造ライン上での移動の際やライン間での移動の際に電源コードが地面にすれたり、スロットマシン1の底板101の下に入って挟まるおそれがある。
これに対し実施形態の放熱口104aは、その上辺から上に向けてコード引出口104bを拡張し、そこから電源コードを引き出すようにしている。これにより束ねた電源コードを宙づり状態にぶら下げるに十分な高さが確保できる。よってスロットマシン1を製造する工程で誤って電源コードを傷めてしまうトラブルが激減する。
以上のように本発明のスロットマシン1は、電源装置112を外本体100の内側コーナー部分にセットして1本の木ねじ112qをねじ込むだけで取り付けが完了するため、従来に比べて電源装置112の取付作業の大幅な省力化が可能である。また、本発明では、1つの面に対してネジ止めすれば固定が完了するので、特に、固定する部位を電源装置112の前方(手前)に持ってきた場合は視認しやすく、確実に固定できる。ちなみに、従来は電源装置112の複数の面或は部材に対してネジ止めする必要があり、特に、背板104に固定するネジは視認しにくいため忘れる可能性があった。
また、放熱口104aは、電源装置112の冷却手段として必要なものであるから、この放熱口104aを電源装置112の固定に利用しても余分な工程やコストは殆ど発生しない。却って、固定のために放熱口104aの位置と電源装置112の位置を一致させることになるから冷却効率が向上する。加えて、装置ケース112aを実施形態のごとく合成樹脂製にした場合には、取付用の突部112mも一体成形できるため殆どコストが掛からない。よって電源装置112の取り付けに要するトータルのコストも従来に比べて削減できる。
さらにまた、装置ケース112aを合成樹脂製にした場合には、電源装置112の発熱対策として有用な装置ケース112aの脚部112hや段部112jも殆どコストをかけずに実施できるメリットがある。
[2−1−2.外本体−仕切板−上スペース]
一方、外本体100内の仕切板105より上のスペースには前記ケース部材400が納められ、また、外本体100の背板104の内面には後述する配線手段の中核となる配線中継部材113が取り付けられ(図1,図2参照)、さらに背板104には配線中継部材113より上方に放熱用の通気口133が形成されている。
[3.扉形前面部材]
図3に扉形前面部材200の表側が、また、図1に扉形前面部材200の裏側が示されている。扉形前面部材200は、表側の下方にメダル用受皿201を有し、また、表側のほぼ中央に操作部202が設けられている。この操作部202には、メダル投入用の投入口203と、後述するメイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルから1枚のみの投入(引き落と)を指示する1枚投入ボタン205と、同じく1回のゲームで使用可能な最高枚数(例えば3枚)の投入を指示するMAX投入ボタン206と、後述するメダルセレクタ207の中に詰まったメダルをメダル用受皿201に戻すためのメダル返却ボタン208と、メイン基板409のメモリーにデータとして蓄えられているメダルの貯留解除命令(精算による放出命令)を入力するための貯留解除スイッチ209と、前記図柄変動表示装置300を作動させる始動レバー210と、図柄変動表示装置300の各リール301a,301b,301cを停止させる3個のリール停止ボタン211a,211b,211c等が設けられている。もちろんここに示した操作部202の構成は1つの例示であり、これらに限定されるものではない。
また、前記投入口203の裏側にはメダルセレクタ207が設けられており、そのメダルセレクタ207の横にメダル樋212が、また、下に返却樋213が接続している。メダルセレクタ207は内蔵したソレノイド(図示せず)をON・OFFさせることによって流路を切り替える公知のものであり、遊技者からのメダルの投入を待つ遊技状態のときには流路をメダル樋212側に、また、規定枚数を超えたメダルの投入など、メダルの投入を拒否する遊技状態のときには流路を返却樋213側に設定する。前記メダル樋212は、扉形前面部材200が外本体100の前面に被さる閉じ位置にあるときその突端がメダル放出装置110のホッパ110b内に臨むようになっており、投入口203からメダルセレクタ207を通ってメダル樋212に流れたメダルはホッパ110bに行き着く。一方、前記返却樋213は表側のメダル用受皿201に繋がっており、投入口203からメダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。
[3−1.扉形前面部材−透視窓]
扉形前面部材200は、外本体100の前面全体をカバーする大きさであって、その上半部は、図33,図34に示したように、透明板214aで覆ったゲーム用の透視窓214になっている。実施形態の透視窓214並びに透明板214aは、前記画像表示体500と図柄変動表示装置300が上下に並んで見えるよう通常より大きくなっており、扉形前面部材200と一体の額フレーム216によって画像表示体500と図柄変動表示装置300の領域が視覚上、上下に区画されている。このように一枚の透明板214aを、画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする大きさに設定しておけば、画像表示体500と図柄変動表示装置300の配置が上下入れ替わっても、そのまま使用することができる。
[3−1−1.扉形前面部材−透視窓−透明板]
透明板214aは、透明な合成樹脂(例えば耐衝撃性、耐擦傷性、光学特性に優れたゴム入りのメタクリル樹脂、実施形態では三菱レイヨン株式会社製「アクリペット(登録商標)IR D30」を使用)をほぼ逆さ台形にした上広がりの形態であって、底辺を除く三辺(左右側辺と上辺)の周縁に、遊技者と向かい合う側を前面としてその前面側に膨出する縁部材214b,214b,214bを、樹脂成型用型枠を用いての樹脂成型時に一体成型してなる。このように平らな板状の透明板214aの周縁に縁部材214bを一体に成型した場合には、縁部材214bが補強バーになって透明板214a全体の強度を高めるため、透明板214aが上記のように画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする程度に大きくても撓みや歪みが生じにくい。
前記縁部材214bは、図35に示したように、後面側に開口する殻構造(中実でなく、内部に空間がある殻のような構造であり、各部の肉厚は任意である。)になっており、その内部空間に発光ユニット217と、必要に応じて例えば表面に模様や文字を施した装飾部材(図示せず)が組み込まれる。
なお、図34では、発光ユニット217が扉形前面部材200に取り付けられているように描かれているが、実際の発光ユニット217は、図35に示したように縁部材214bの中に嵌め込まれている。従って、透明板214aと発光ユニット217は、一体の部品として取り扱われる。
縁部材214bの形状は図示したものに限定されず、発光ユニット217や装飾部材のデザインに合わせて任意に変更可能である。また、縁部材214bを設ける部位も実施形態のように透明板214aの周縁の三辺に限定されず、最低限、何れかの一辺に設けるだけでもよい。
その他、図33,図34において符号218は、透明板214aの上の左右コーナー部分に設けた固定部材であって、透明板214aの裏側から透孔214c(図33拡大図参照)に通したビス(図示せず)により、縁部材214bと縁部材214bの間に嵌った図34の状態で止められている。該固定部材218は、外見上コーナー飾りとしての役割を果たす一方、扉形前面部材200と透明板214aの夫々の上のコーナー部分に設けた通孔200a,214d(図33拡大図参照)に対し扉形前面部材200の裏側から通したビス(図示せず)に螺合し、もって透明板214aを扉形前面部材200に固定するナット的な役割を果たす。
また、図33〜図35において、符号217aは発光ユニット217の発光体、217bは発光体217aを支持する反射部材である。左右に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、図35に示したように、棒状の発光体217aの光をスロットマシン1の周囲に向けて多く反射するように角度が設定されている。なお、透明板214aの縁部材214bの内部に発光ユニット217を組み込んだ形態は、発光体217aをスロットマシン1の、より手前側に配置することができるから、あたかも岬の突端にある灯台のごとく、光を周囲に向けて放射させる場合に有利である。また、上に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、発光体217a(光源217a−1と導光板217a−2の組合せ)の光をスロットマシン1の上方に向けて多く反射するように設定されている。
以上の構成である発光ユニット217は、遊技中、特に大当たりが出た場合などに点灯して大当たりの発生を周囲にアピールする演出を行うことができる。このように周囲に対しアピール度の高い演出を行うことによって、大当りを得た遊技者に注目させることができ、多くの者の視線が遊技者に優越感を抱かせるから、遊技がさらに盛り上がる。また、大当たりが出ていることを周囲にアピールすることにより、その機種の人気が高まり、稼働率が向上することも期待される。
実施形態の透明板214aは以上のような構成であって、扉形前面部材200の裏側に設けた凹溝219(図34拡大図参照)に対し、板状の底辺を扉形前面部材200の前面から斜めに差し入れて建具式に嵌め込み、その状態で透明板214aを直立させて扉形前面部材200の前面に全ての縁部材214b,214b,214bを当接させ、さらに扉形前面部材200の裏から通したビス603(図1参照)によって固定する。図35は、このときの扉形前面部材200の要部を切断したものであり、この図35から明らかなように、もし仮に、遊技者が扉形前面部材200と縁部材214bの境から異物を無理矢理差し込んだとしても、その異物の先が縁部材214bの内部を横断して透明板214aの裏側に到達する余地は殆どない。従って、優れた防犯効果を発揮する。
[3−2.扉形前面部材−錠装置]
扉形前面部材200の自由端側の一側には専用キー(図示せず)を使って開閉操作する錠装置215が設けてある。
[4.図柄変動表示装置]
図柄変動表示装置300はリール回転式表示装置であって、モータ等の駆動手段303で個別に回転可能な例えば3個のリール301a,301b,301cと、該リール301a,301b,301cを組込み・収容する装置ケース302とを有し、リール301a,301b,301cの周面に描いた複数の図柄(図示せず)の組合せで遊技を行う周知のものである。
前記装置ケース302は、あたかも横倒しにした八角柱から正面(遊技者)に向かう3面を除いた変形六角柱形態であって、底部板304と、天板部305と、図11において向かって右側の右側板306と、同じく左側の左側板307と、後面を覆う垂直な後部板308と、天板部305と後部板308の間に設けた上斜板309と、底部板304と後部板308の間に設けた下斜板310で囲った箱形であり、前記リール301a,301b,301cの円弧の一部が装置ケース302の正面からはみ出す状態になっている。
また、装置ケース302の天板部305には指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能な把手311が設けられており、該把手311に指を掛けて持ち運ぶようになっている。
このように装置ケース302の天板部305に上記のごとく変化可能な把手311を設ける構成は、ケース部材400の強度アップ策と密接に関連する。すなわち、実施形態では後述するようにケース部材400の開口部401に補強桟402を設け、もってケース部材400の開口部401に画像表示体500を片持ちさせるに十分な強度を付与しているが、そのような補強桟402は開口部401を横切るから装置ケース302のケース部材400への出し入れに対し、明らかに障害となる。これに対し実施形態のように把手311を変化可能にして天板部305に伏させておけば、把手311の出っ張りがなくなるから、装置ケース302が補強桟402の下を難なく通過できるのである。従って、装置ケース302の天板部305に上記のように変化可能な把手311を設けてこそ、ケース部材400の開口部401に該開口部401を横切る向きの補強桟402を設けることが可能になる。ちなみに、従来の装置ケースは、天部板から把手が出っ張っていてそれが障害になるため、ケース部材の開口部に補強桟を設ける余地がない。
なお、実施形態の把手311は、立てた使用状態と伏した不使用状態とに揺動して変化させる構造としたが、把手311を使用状態と不使用状態とに変化させ得る構造は、実施形態に限定されない。例えば図22に示したように、天板部305に2つのベルト通し314,314を切り起こし、該ベルト通し314,314に例えば合成樹脂や革製であって両端に抜け止め部315,315を設けてなる帯状の把手311を挿通し、図22の伏した不使用状態から中央を引き上げて指掛可能な使用状態に変化させる構造にするなど、指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能であれば、どのような構造であってもよい。
また、実施形態の装置ケース302の底部板304には図4,図11に示したようにフランジ状の下把手316が突設されており、該下把手316をつかんで装置ケース302を押し込み又は引っ張ることにより、ケース部材400への出し入れが行い易くなっている。
[5.ケース部材]
ケース部材400は、前記外本体100の仕切板105から上のスペースにほぼ合致する大きさであって、底板403と、該底板403の左右両横に立設した側板404,404と、底板403の後縁に立設した後面板405と、該後面板405と前記側板404,404の上面を覆う天板406とからなり、前面に開口部401を有する箱形である。
該ケース部材400は、底板403が金属製で、側板404,404、後面板405、天板406が合成樹脂製であり、側板404,404と天板406の開口部401内面に金属製の補強部材407,407,407が設けられ、さらに側板404,404の補強部材407,407の間に開口部401を横切る金属製の補強桟402が掛け渡されている。そして、この補強桟402を境にそれより下が前記図柄変動表示装置300の設置領域として、また、補強桟402より上の開口部401が前記画像表示体500の設置領域として、さらにまた、画像表示体500より後方のケース部材400で囲われた領域が配線作業空間408として割り当てられ、その配線作業空間408の後面板405の内壁面に、主たる制御基板であるメイン基板409が装着され、さらにメイン基板409以外の制御基板等(例えば演出制御基板510(図44参照))も配線作業空間408内に装着されている。
ケース部材400の天板406には、図1に示したように天窓部443,443が形成されている。この天窓部443,443は、天板406の強度を保つための補強帯444を挟んで2つに分けられており、その夫々が前記外本体100の貫通孔132,132…を通る軸線との交点を含む領域にあり、該貫通孔132,132…より十分に広く開口している。もっとも天窓部443の前側の周縁は前側に位置する貫通孔132の近くに寄せられている。そうすることにより天窓部443の周縁を基準として手探りで貫通孔132が見つけ出せるから、たとえ天窓部443の中を作業者が覗き込めなくとも貫通孔132の位置が素早く簡単に割り出せる。ここで、天窓部443が本発明の開口部としても機能している。つまり、ケース部材400の上面に開口部として複数の天窓部443を備えることにより、軽量化を図ることができ、輸送時や交換時における作業者の負担を一層軽減することが可能になる。
ケース部材400の後面板405の外面には図2,図5,図6,図12に示したように複数のボス410,410が突設されており、該ボス410を外本体100の背板104にプレ加工したボス孔114,114に嵌めて位置決めされる。なお、このボス410,410は、図2,図5に示したように後述する配線窓411近くに設けられており、一方、外本体100側のボス孔114,114は前記配線中継部材113近くに設けられており、これによりケース部材400の配線窓411と背板104の配線中継部材113の位置決めが正確になる。
一方、ケース部材400の底板403の底面には、図2に示したように凹段部412が形成されており、該凹段部412が前記仕切板105の突段部106に嵌まり合う。凹段部412の後面板405側の端部には後方に向かって拡大する向きのテーパ部413が設けてあり、該テーパ部413に案内され仕切板105の突段部106とケース部材400の凹段部412との嵌め合わせが円滑に行える。このようにケース部材400の凹段部412と仕切板105の突段部106の嵌め合いによってケース部材400が仕切板105の奥に真っ直ぐに案内されるが、例えば図20に示したように仕切板105に凹溝形態のレール部材115を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の底板403に車輪414を設置し、該車輪414をレール部材115の溝内で転がらせるようにしてもよい。或は、図21に示したように仕切板105に凸形態のレール部材116を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の前記車輪414の両端に鍔415,415を形成し、該車輪414の鍔415,415でレール部材116を挟ませるようにしてもよい。
また、ケース部材400は、仕切板105上の所定の位置にセットした状態で、図1,図2,図18,図23に示した揺動レバー形態のストッパー117で止められている。このストッパー117は、図1,図2に示したように仕切板105の前端部と、天板103に垂設した2つの取付具118,118とに軸着されており、図18実線のようにケース部材400の一部に係合する作動姿勢と、図18想像線のようにケース部材400に係合しない非作動姿勢とを手動で切り替えてケース部材400の仕切板105上における前方向の動きを規制する。なお、ストッパー117を図19に示したように鍵形にしてケース部材400に設けた引掛部416に係合させるようにすれば、ケース部材400の仕切板105上における上方向の動きも規制することができる。
また、天板103の取付具118に軸着したストッパー117は、図23に示したようにケース部材400の側板404と天板406のコーナー部に貫設した係止孔442に臨む位置にあり、ケース部材400を所定の位置に押し込んだ状態でケース部材400の内側から作動姿勢と非作動姿勢の切り替えが行えるようになっている。
また、ケース部材400の後面板405には外本体100の背板104側に貫通する長孔形態の配線窓411が開設されている。該配線窓411は、図4,図5,図24に示したようにケース部材400に設置した図柄変動表示装置300の装置ケース302の上斜板309に対応し且つ前記メイン基板409の下側の位置にあり、上斜板309の上にある横長の空きスペース417(或は上斜板309とメイン基板409の間に形成される横長の三角スペース417と観念してもよい。)と背板104を結ぶ開口として機能する。
また、ケース部材400には図5,図12に示したように空きスペース417の高さのほぼ中間位置に棚板状の仮止め部材418(以下「仮止め棚」ともいう。)が設けられており、また、後面板405の外側であって配線窓411の両横にケース部材400の左右側面に抜ける配線通路たる凹み419,419が形成されている。
なお、前記配線窓411の配置を、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cを基準に特定するならば、配線窓411は、図24に示したように図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面HLと、リール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面HHとの間の範囲を下限とする状態、つまりその範囲内に下辺を置く高さに配置したものである、と言い換えることもできる。
[6.画像表示体]
画像表示体500は、例えば、少なくとも液晶ディスプレイ(他にもプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等でもよい。)で構成される画像表示可能なパネル形のユニットであり、ケース部材400の前面開口を開閉可能に閉鎖する前面開閉部材90(図44参照)としても機能している。なお、画像表示体500は、図11においてケース部材400の左側の側板404に設けた補強部材407にヒンジ金具420を取り付けて(取付位置は図11斜線部参照)、該ヒンジ金具420により回動自在に支持されている。
また、図44に示すように、画像表示体500の裏面側には、演出制御基板510が組付けられている。このため、液晶ディスプレイ等の画像表示体500と演出制御基板510とを一体的に構成することが可能になり、取扱いが容易になるとともに、両者を繋ぐ配線が省略でき、ケース部材400内における配線作業空間408の煩雑さを抑制できる。また、画像表示体500が開かれると、演出制御基板510がケース部材400内から飛び出すように出現するため、演出制御基板510に対する作業性を著しく向上させることができる。
[6−1.画像表示体−ヒンジ金具]
図36は、ヒンジ金具420の分解・組み立て斜視図である。なお、ヒンジ金具420は、上下が対称な構造であるため、主として上部について説明する。ヒンジ金具420は、前記ケース部材400の補強部材407に取り付く固定部材420aと、画像表示体500の裏側(図36の破線領域500s参照)に取り付く回動部材420bと、該回動部材420bと固定部材420aを連結する短リンク420c及び長リンク420dで構成される。
ヒンジ金具420の固定部材420aは、棚板形態である横向きの固定片420eを有し、該固定片420eの上面に長リンク420dの一端をピンP1で、また、固定片420eの下面に短リンク420cの一端をピンP2で回動自在に軸着する。一方、ヒンジ金具420の回動部材420bは、棚板形態である横向きの軸承片420fを有し、該軸承片420fの上面に長リンク420dの一端をピンP3で、また、軸承片420fの下面に短リンク420cの一端をピンP4で回動自在に軸着する。
こうして固定片420eと軸承片420fと長リンク420dと短リンク420c及びピンP1〜P4は、図37の線図に示したように四節回転連鎖を構成し、その連鎖の中でも特に、最短リンクである軸承片420fに向かい合う固定片420eを固定リンクとする、いわゆる両てこ機構を構成する。この両てこ機構は、図37(a)〜(c)に示したように、画像表示体500の回動軌道を、扉形前面部材200の回転軸100aを中心とする回動軌道に近似させるべく、それぞれのピン位置が設定されている。つまり、ヒンジ金具420が回転中心移動機構として機能しており、扉形前面部材200の回動位置が変化しても、扉形前面部材200の回動外縁側と画像表示体500の回動外縁側との距離が略一定になるようにしている。
なお、長リンク420dと短リンク420cは、画像表示体500がほぼ90度回動した(開いた)状態で上下に重なり合うように重合領域420g,420hが設定されており(例えば長リンク420dの重合領域420gを三角形に膨出させて短リンク420cの重合領域420hに重なるようにする。)、その重合領域420g,420hの夫々にピン孔420i,420jが形成されている。このピン孔420i,420jは、両者を同軸上に揃えて棒状の止めピン(図示せず)を差し込むことにより長リンク420dと短リンク420cを連結し、もって両てこ機構をロックして画像表示体500を開いた位置に固定するためのものである。
[6−2.画像表示体−ロック片]
図11,図12に示したように、ケース部材400の縦の補強部材407のうち前記ヒンジ金具420を設けた補強部材407の反対側の補強部材407(図11において向かって右側)にはロック片421が軸着されており、該ロック片421を図11の状態から時計回りに回動させるとその先端が画像表示体500の裏側に突設した受部508に係合し、この状態で画像表示体500がケース部材400の開口部401の上部を閉じた位置にロックされる。一方、前記ロック片421をロック状態から逆向きに回動させると画像表示体500のロックが解除され、ヒンジ金具420を中心に回動自在になる。通常、ケース部材400を外本体100に装着する前の状態では画像表示体500を閉じ位置にロックして無用な回動を防止し、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では画像表示体500のロックを解除して回動自在とする。
[6−3.画像表示体−連結具]
ところで、外本体100の扉形前面部材200とは別に、ケース部材400に開閉可能な画像表示体500が設けられることから、ケース部材400内を視認したりケース部材400内で作業したりする場合には、まず手前側の扉形前面部材200を開放し、その後さらに奥側の画像表示体500を開放しなければならず、これにより作業性を低下させたり煩わしさを与えることが懸念される。
そこで、本例のスロットマシン1では、画像表示体500の回動方向を扉形前面部材200の回動方向と同方向にするとともに、扉形前面部材200と画像表示体500を適宜な連結具700で連結し、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500も一緒に開閉させるようにしてある。これによれば、扉形前面部材200を開放させると、連結具700を介して画像表示体500も同方向に回動し、ケース部材400の前面が開放される。つまり、画像表示体500が扉形前面部材200に連れ回ることとなり、一回の横開き操作によって外本体100内は勿論、ケース部材400の内部までも視認させることが可能になる。
ここで、前記のように実施形態の扉形前面部材200と画像表示体500とは、ヒンジ金具420の両てこ機構によって、画像表示体500の回動軌跡が扉形前面部材200の回転軸100aを回転中心とする回動軌跡に近似するようになっているものの、それでもなお両者の動きには相対的なずれが生じる。そこで、実施形態の連結具700は、図40及び図41に示したように、画像表示体500の自由端側の裏面に固定鞘部材701を形成し、該固定鞘部材701の内部に摺動自在な状態にロッド702を納め、そのロッド702の先端を扉形前面部材200の裏面(具体的には錠装置215のベース部材215a)に対し、止め軸703で回転可能な状態に連結してある。こうすることにより、図39のように、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500が扉形前面部材200の付属部品であるかのごとく一緒に開閉し、その際生じる両者の動きの相対的なずれを連結具700のロッド702が固定鞘部材701に出入りして吸収する。
なお、ロッド702が画像表示体500の回動外縁(自由端)から最も突出したときの最大突出長さは、画像表示体500が開放位置である場合(例えば90°開放された場合)の、扉形前面部材200の回動外縁(止め軸703の位置)と画像表示体500の回動外縁との距離に基づいて設定されている。このため、ロッド702の長さを必要最小限の長さとすることができ、連結具の大型化を抑制することが可能になる。
また、前記止め軸703は、錠装置215のベース部材215aの一部を曲げて形成した支持片215b,215b,215bに対し、上下動自在に装着されており、スプリング703aにより常時下向きに付勢されている。よって、この止め軸703は、スプリング703aの付勢に抗して上動させることが可能であり、上動させて下端を浮かせることによって前記連結具700のロッド702の着脱が可能である。すなわち、ロッド702の先端部分に形成された軸孔部702aに対し上方から止め軸703を挿入させ、スプリング703aの付勢力によって保持することが可能になっている。
また、図40において、符号704は連結具700の固定鞘部材701の上面に設けた弾性的な片持ち梁式のストッパであって、前記止め軸703から外したロッド702を固定鞘部材701の内部に納めて保持するためのものであり、ロッド702の上面に形成した溝705の端部の引掛壁702bに係合してロッド702の盲動を防止する。ロッド702には、その側面に摺動方向と直交する方向に摘み片706が突設されており、該摘み片706を摘んでロッド702を強制的に移動させることにより前記ストッパ704のロックが外れるようになっている。また、固定鞘部材701の先端側底面には、抜止め防止片701aが垂下され、ロッド702の溝705内に挿入されている。この抜止め防止片701aは、ロッド702が最も突出した際に引掛壁702bと当接し、ロッド702が固定鞘部材701から抜け出ることを阻止するものである。
また、図40において、連結具700の近傍にある符号509は、画像表示体500の回動外縁側の裏面に突設した係合部である。該係合部509は、ケース部材400の開口部401を横切る補強桟402に係合して、閉じ位置にある画像表示体500の自由端側の荷重を支えるものである。なお、図11に示したように、補強桟402には、前記係合部509を補強桟402の上面に円滑に導くべく、画像表示体500に向かって下り傾斜する滑り台式の案内部402aが設けてある。また、画像表示体500の係合部509は、画像表示体500とは別の潤滑性に優れた合成樹脂で形成されており、画像表示体500に対し着脱自在(交換自在)に装着されている。
ところで、扉形前面部材200と画像表示体500の回動軌跡の相違に起因する動きの相対的なずれは、上記のような伸縮自在なロッド形式の連結具700の他、柔軟なワイヤーにしても吸収することができる。但し、連結具が柔軟なワイヤー等であると、扉形前面部材200を閉じる段階で扉形前面部材200が開いたまま停止している画像表示体500にぶつかることになって、円滑さを損なうおそれがある。これに対し、例えば画像表示体500に巻バネなどの付勢手段を設けて常時閉じ方向に付勢するようにすればよい。そうすることにより扉形前面部材200の閉じ動作に際し、画像表示体500が上記付勢力の作用で連結具を引っ張りつつ自力で閉じるから、扉形前面部材200と画像表示体500がぶつからない。もちろん扉形前面部材200と画像表示体500の連れ回りのための手段は上記に限定されない。例えば、上記において連れ回りのための一要素たるヒンジ金具420は、上記のような両てこ機構の構造に限定されず、図41,図42に示したような、単独のピン420kを中心にして画像表示体500を回動させる単純なものであってもよい。
ケース部材400に対する画像表示体500の取着手段をヒンジ構造にして該画像表示体500を扉状に回動させ得る構成に、上記のように画像表示体500を閉じ位置にロックするロック手段(上記のロック片421)を付加した場合には、ケース部材400を外本体100に装着した状態で原則ロックを継続させ、配線作業空間408内のチェック等、必要な時にのみロックを解除する、という取り扱いを選択することも可能であり、その場合には画像表示体500によって配線作業空間408内の重要部品(例えばメイン基板409や演出制御基板510)がブロックできるから、防犯性能の向上に効果がある。
ケース部材400の開口部401上縁と閉じた画像表示体500の上縁との前後間には隙間10が設けられており、該隙間10に通した指で天板406の前記補強部材407が掴めるようになっている。また、ケース部材400の天板406の前方中央部分(天窓部443,443の間の補強帯444)には把手口422が形成されており、該把手口422に通した指で天板406の補強部材407が掴めるようになっている。従ってケース部材400は、取り扱う場所や姿勢に応じて該把手口422と前記隙間10との適宜な使い分けが可能である。例えば、ケース部材400を外本体100に組み込む前の搬送時には把手口422を使って鞄形態に持ち運ぶ方がバランスがよく、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では、図4に示したように把手口422が外本体100の奥に隠れて指が入らないため、前記隙間10から補強部材407に指を掛けてケース部材400を引っ張り出す、という具合である。なお、ケース部材400の底板403の正面中央には前記した装置ケース302の下把手316(図4,図11参照)が突出しており、該下把手316を持って押し込み又は引っ張ることで外本体100へのケース部材400の出し入れが容易に行える。この場合の下把手316は、装置ケース302がケース部材400にビスで固着されていることよりケース部材400と一体であり、従ってケース部材400の底板403の正面に下把手316が突設されているに等しい。
[6−4.画像表示体−枠部材]
画像表示体500は、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から上の領域のほぼ全部を覆う大きさである。また、画像表示体500の下側には、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から下の領域、つまり図柄変動表示装置300の前方領域を額縁状に囲う枠部材501が一体に垂設されており、該枠部材501により前記図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cが縁取られる。この枠部材501の表面は装飾面になっており、適宜な模様等が描かれている。なお、図示しないが、枠部材501にはLED等の発光源と、その発光源を制御する発光制御基板と、発光源の前方に配置され光を透過可能な装飾部材とから構成された電飾部が設けられている。ここで、画像表示体500と枠部材501とを組合せたものを、以下、前面開閉部材90(図44参照)として説明する。
[6−4−1.画像表示体−枠部材−照明装置]
前記枠部材501の裏側上下には照明装置502が設けられており、該照明装置502によって図柄変動表示装置300の図柄が明るく照らされる。枠部材501は画像表示体500の下に垂設されていて図柄変動表示装置300に近いから、そのような枠部材501に照明装置502を組み込むことで光源を図柄変動表示装置300に近づけることができる。従って枠部材501に照明装置502を組み込む手段は、従来の照明装置に比べて低光量でも十分な明るさが確保できる、という特徴がある。
実施形態として例示した照明装置502は、図4に示したように、図の紙面と直交する方向(スロットマシン1の幅方向であってリール301a…の回転軸と同方向)に細長い帯状の基板503に多数の発光ダイオード(以下LEDという。)504を並べたものであり、下側の照明装置502は、上面を例えば乳白色の透光性蓋板505で塞いだチューブ枠506の中にLED504を上向きにして配置し、一方、上側の照明装置502は、断面上向きコ字状の例えば乳白色である透光性カバー507内にLED504を下向きにして配置してなる。
なお、上側の照明装置502は、照明方向を図4に示したように真下より遊技者側、すなわち透明板214a側に向かう斜め下向きに設置してある。実施形態では比較的強い指向性を持ったLED504の主たる照射領域の中心線L(図4拡大図参照)を透明板214aに対し斜めに向かわせるべく、基板503のLED取付面の向きが、前記透明板214a側に向けて斜め下向きに傾けられている。
また、もし照明装置502の光源として蛍光灯のような棒状発光体を採用した場合には、図4の基板503を板状又は光源を包むような凹面状の反射部材に変更し、直射光と反射光の総和により方向付けられる主たる照射領域の中心線が、透明板214a側の裏面に斜めに当たるように設定すればよい。以上のように照明装置502の照射照準を透明板214aに設定すれば、漏れた一部の光がリール301a,301b,301cの外周面を照らしても殆ど影響はない。
実験によれば、照明装置502の照明方向をリール301a,301b,301cの周面側に向けた場合には、湾曲するリール301a,301b,301cの特定部分が強く反射して見辛くなるのに対し、上記のように主たる照射領域の中心線Lを透明板214aに対し斜めに向かわせた場合には、透明板214aを介してリール外周面が照らされることにより、リール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見え易くなることが確認できた。その理由として、照明装置502から照射した光が扉形前面部材200の透視窓214に嵌めた透明板214aに当たって反射し全体に拡散するか、或は透明板214aが明るく照らされることでリール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見えるか、或はそれらの相乗作用によるものと推測される。
以上のような上側の照明装置502の構造は、下側の照明装置502にも採用することができ、もちろん図32に示したように下側の照明装置502にのみ採用することもできる。なお、図32は図4の上側の照明装置502を下側に配置し、下側の照明装置502を上側に配置したものであるため、上記照明装置502の説明の「上」を「下」に読み替え、「下」を「上」に読み替えればよい。
ところで照明装置502の光源として実施形態のようにLEDを採用した場合には、(a)低電圧で駆動するため約200Vの高電圧で駆動する従来の冷陰極管より安全性が高い、(b)冷陰極管より寿命が長い、(c)ガラス管である冷陰極管より丈夫である、(d)多色発光が可能であるため演出の幅を広げることができる、(e)インバータと組合せて使用する冷陰極管より軽く、従って画像表示体500を支えるヒンジ金具420の負担が少ない、というメリットがある。
[7.配線手段]
前記外本体100に取り付けられている例えばメダル放出装置110や電源装置112及び扉形前面部材200の操作部202にある例えば各投入ボタン205,206や始動レバー210(以下、これらの総称として単に「本体側電気部品」という場合もある。)と、ケース部材400にある例えばメイン基板409等(ケース部材側の電気部品の総称として単に「ケース部材側電気部品」という場合もある。)とは電気的に接続されている。そして、実施形態のスロットマシン1は、前面開閉部材90とケース部材400とからなる機種ユニット50(図44及び図45参照)が外本体100に対し着脱自在であるため、機種ユニット50の交換等に際して本体側電気部品(筐体側電気部品)とケース部材側電気部品とを簡単に接続又は切り離すための合理的な配線手段が設けられている。
[7−1.配線手段−配線中継部材]
前記のように外本体100の背板104の内面上部には、図14に示した配線中継部材113が取り付けられている。該配線中継部材113は図4,図5に示したように、前記ケース部材400の配線窓411に対応する位置にあって該配線窓411からケース部材400の空きスペース417に臨むようになっている。配線中継部材113は、前記本体側電気部品につながる本体側配線類119と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継するものであって、外本体100の背板104にビス止めされる取付板120と、該取付板120の前面に被さるカバー体121と、該カバー体121と前記取付板120の間に納められる複数(実施形態では大小2枚)のコネクタ基板(以下「コネクタ接続用端子基板」という場合もある。)122,123とからなる。
前記2枚のコネクタ基板122,123のうち、図14,図15において左側に位置する大きい方のコネクタ基板122は取付板120に対して固定的に取り付けられており、前記メイン基板409につながっているハーネス424の先端のコネクタ425と対をなすコネクタ124が設けられている。
一方、図14,図15において右側に位置する小さい方のコネクタ基板123は、取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的な遊動可能状態に取り付けられており、従って図15拡大図に示したように上下方向に移動可能であり、また、左右方向にも移動し得る。この小さいコネクタ基板123には、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先端のコネクタ427と対をなすコネクタ125が設けられている。なお、該コネクタ125と前記コネクタ124は、プリント基板にハンダ付け等の固着手段で固着する基板固着型であり、安価なDIN規格のものが使われている。
また、取付板120の前面に被さるカバー体121は、前記コネクタ124,125が通る大小2つの開口126,127と、該開口126,127と横並びの位置に突設した支持筒128と、下半部前方に張り出すトンネル状の配線ダクト129と、を有する。
配線中継部材113に接続する本体側配線類119は、前記配線ダクト129の内部を通るか、または配線中継部材113の取付板120の下側前面に突設したフック形状の配線止め130に束ねられた状態で、図1一点鎖線Lに示したように外本体100の側板102,102側に振り分けられ、該側板102,102と背板104のコーナー付近でほぼ垂直に向きを変え、その多くは仕切板105の奥に設けた配線用の開口109を通って本体側電気部品に夫々接続される。もちろん仕切板105より上の領域に本体側電気部品(例えば図1において側板102の内面に設けた外部中継端子板131)がある場合には、仕切板105の配線用の開口109とは無関係にそのまま接続される。
ここまでで説明した配線手段から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)ケース部材400の後面板405に、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面とリール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面との間に自己の下辺が位置する高さにして配線窓411を形成する。
(b)外本体100の背板104に、本体側電気部品につながる本体側配線類119と、ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継する配線中継部材113を設置する。
(c)外本体100の側板102,102の内面沿いに配線を通す上下方向の配線経路を形成する。
(d)配線中継部材113につながる本体側配線類119をケース部材400の側方に導き、そこから前記配線経路を通って本体側電気部品に接続する。
以上(a)〜(d)の構成要素を備えた遊技機は、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの後ろを本体側配線類119が通らず、外本体100の側板102,102沿い(背板104とのコーナーを含む(図10参照)。)に設けた配線経路を迂回するため、リール301a,301b,301cを外本体100の背板104近くにまで寄せることが可能になり、従来の構成、すなわち、本体側配線類119が背板104のほぼ中央を下ってリール301a,301b,301cの後ろを通っていた従来の構成に比べて、リール301a,301b,301cの径を大きくすることができる。なお、リール301a,301b,301cの径は大きい方が、回転時の迫力が増す。
[7−2.配線手段−コネクタ425,427]
上記のように配線中継部材113に設けられている2つのコネクタ124,125には、ケース部材400のメイン基板409につながっているハーネス424の先のコネクタ425と、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先のコネクタ427がそれぞれ接続されている。
この2つのコネクタ425,427は、図16に示したように1つのコネクタホルダー428に一体に取り付けられている。該コネクタホルダー428は、コネクタ425,427がビス止めされるホルダー主体429と、ほぼ中央に透孔430を有し前記ホルダー主体429の両横に突設した板状の取着片431と、該取着片431の透孔430に装着した周知のボタン形パネルファスナー432(商品名「ナイラッチ」:登録商標)と、からなり、図5,図8(a)に示したように配線中継部材113の前記支持筒128の先に取着片431を当て、該取着片431のボタン形パネルファスナー432を支持筒128に差し込んでロックしてある。従ってコネクタホルダー428が固定手段たる支持筒128に固定され、ひいては配線中継部材113に固定されるため、コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合が外れない。
[7−2−1.配線中継基板−コネクタ425,427−仮止め棚]
上記のようにコネクタ425,427は配線中継部材113のコネクタ124,125に接続されているが、ケース部材400が外本体100に組み込まれる前、つまり工場出荷から設置完了までの間、コネクタ425,427は、ケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされている。
前記仮止め棚418は、図5,図6,図12,図13に示したようにケース部材400の内側から前記配線窓411に向かわせた棚板状の部材であり、図6に示したようにコネクタホルダー428を載置するほぼ水平なベンチ部433と、そのベンチ部433の両端に立設したベンチ側板434と、各ベンチ側板434に突設した3本の内向き爪片435,435,435とを有する。この内向き爪片435,435,435の中央の1本と他の上下の2本との間にはコネクタホルダー428の取着片431が嵌まり得る間隔が設けてある。なお、一方のベンチ側板434は、先端に指掛部436を延設した薄板構造であって、指掛部436に指を掛け図8(b)矢示X方向に力を加えることにより一端支持の板バネのごとく外向きに反らせ得るようになっており、その反らせた状態で内向き爪片435,435,435からコネクタホルダー428の取着片431が簡単に外れるようになっている。図8(a)の想像線は指掛部436の先を鍵形に折り曲げた例を示したものであり、こうすることにより矢示Yのようにボタンを押す感覚でコネクタホルダー428の取外しが楽に行える。
しかして、図6に示したように前記仮止め棚418のベンチ部433にコネクタホルダー428を載置し、該コネクタホルダー428の取着片431をベンチ側板434の内向き爪片435,435,435の間に嵌めることによってコネクタホルダー428が仮止め棚418に仮止めされる。もちろん仮止めと言っても、ケース部材400の輸送中にコネクタホルダー428が仮止め棚418から外れない強度を有する設定になっており、従ってケース部材400が外本体100に組み込まれる前までは、コネクタホルダー428と一体のコネクタ425,427はケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされて動かない。よってケース部材400を輸送したり、ケース部材400を外本体100に組み込む作業の最中に、ハーネス424,426の先にあるコネクタ425,427が、ケース部材400内の部品に当たってその部品はもちろん、自らも損傷する、というようなおそれがない。
そして、図8(b)→図8(a)に示したように、ケース部材400を外本体100に固定した後の配線工程で、上記のように一方のベンチ側板434を外向きに反らせてコネクタホルダー428を仮止め棚418から外し、そのコネクタホルダー428を自己の取着片431が配線中継部材113の支持筒128に当たる位置まで移動させれば、コネクタ425,427が配線中継部材113のコネクタ124,125に嵌まるから(その詳細は後述する。)、その状態で取着片431のボタン形パネルファスナー432を押し込んで取着片431を支持筒128にロックする。なお、このとき図5,図6に二点鎖線で示したように、ベンチ部433にガイド用の案内レール440を設けておけば、コネクタホルダー428を奥に押し込むだけでよいため、作業性が向上する。
以上のようにして配線中継部材113に取り付けたコネクタホルダー428は、外本体100の背板104を支持基盤として安定し、ケース部材から離間していて接触しないため、輸送時の振動等で外本体100と機種ユニット50が相対的に動いても無理な負荷が加わらない。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、
(b)前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、
(c)前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、
(d)前記ケース側配線類の先端に取り付けたコネクタと、
(e)該コネクタに取り付けたコネクタホルダーと、
(f)該コネクタホルダーを仮止めするためケース部材に設けた仮止め部材と、
(g)前記コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、を有し、(h)機種ユニットを外本体に装着する前の状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材に仮止めし、機種ユニットを外本体に装着した状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材から固定手段に付け替えてコネクタホルダーのコネクタを配線中継部材に接続するようにしたことを特徴とする
(i)遊技機。
上記の遊技機は、機種ユニット50の外本体100への装着とコネクタ同士の結合とを別々に行うようにしたものであるが、これとは対照的に、例えば機種ユニット50に直接コネクタを取り付け、機種ユニット50を外本体100に押し込む動作で自動的にコネクタ同士を結合させる、という方式が考えられる。しかしこの方式は、質量の大きな機種ユニット50が輸送中などに外本体100の内部で振動した場合、大きな負担がコネクタ結合部に掛かるため信頼性に不安があり、その対策にコストが掛かる課題がある。
また、本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であるが、これとは対照的に、扉形前面部材を上下2段に分割し、上部の扉形前面部材を機種ユニット50側の部品とする遊技機も考えられる。しかし、このような遊技機では、遊技中に興奮した遊技者が上部の扉形前面部材を叩いた場合にコネクタ結合部に直接衝撃が加わるためコネクタの結合が不安定になるおそれがあり、さらに上下の扉形前面部材同士の継ぎ目に対し新たな防犯構造を要する課題がある。
これに対し本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であり、さらに、コネクタホルダー428を配線中継部材113に接続した後、該コネクタホルダー428は、図5に示したように外本体100に固定した部品(配線中継部材113)と結合し機種ユニット50から離間した独立構造になっているため、プリント基板にハンダ付けして用いる低コストで一般的なコネクタを使用した場合でも、輸送中においても、遊技中においても信頼性・耐久性に不安がない。また、機種ユニット50のみが機種変更時の交換対象であり、扉形前面部材200は交換対象とならないため、機種変更のための遊技場の負担も軽くなる。
[7−2−2.コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合]
前記のようにコネクタ425とコネクタ427は、1つのコネクタホルダー428に取り付けられている。こうすることによりコネクタホルダー428を配線中継部材113の所定の位置にセットする1回の動作で2つのコネクタ425,427の接続が完了する。しかし現実の問題として、2つのコネクタ425,427とコネクタホルダー428という独立した要素を寄せ集めて一体にする構造では、コネクタ425,427とコネクタ124,125の「正確な位置決め」という困難な問題に直面する。すなわち2つのコネクタ425,427と配線中継部材113側のコネクタ124,125の4要素の位置決めが全て正確でなければ、コネクタ425,124とコネクタ427,125の一括結合は不可能であるのに、そのような位置決めの精度を量産品レベルのコストで達成するのは困難だからである。そのような問題を解決する1つの手段として、プリント基板にハンダ付けすることなく結合時の融通性を高める機構を施したいわゆるドロワーコネクタを使用する方法が考えられるが、ドロワーコネクタ自体が高価であるため、まだコスト面の負担が大きい。
これに対し実施形態の配線手段では、基板支持部材たる配線中継部材113のコネクタ基板122,123を分割してそれぞれにコネクタ124,125を装着し、そのコネクタ基板122,123の少なくとも一方を、配線中継部材113の取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的に納めてコネクタ427とコネクタ125の結合方向と直交する方向(ここでの「直交」は、厳密な90度にこだわらず、社会通念上のほぼ90度という程度の意味である。)に遊動可能状態にする手段を講じている。かかる構成においてコネクタホルダー428の結合照準をコネクタ425とコネクタ124に定めた場合、もう一方のコネクタ427とコネクタ125の相対位置に若干の狂いがあっても、コネクタ基板123が遊動してその狂いを矯正すべく移動するから、コネクタ427とコネクタ125の結合も可能になる。これにより基板固着型で安価なDIN規格のコネクタで十分に対応できる。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(1)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループをコネクタ基板に装着し、さらにそのコネクタ基板をコネクタ毎に分割してその1つを基板支持部材に固定すると共に他のコネクタ基板を基板支持部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(2)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、該コネクタ接続用端子基板をコネクタ毎に分割してその1つを前記配線中継部材に固定すると共に他のコネクタ接続用端子基板を配線中継部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(3)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループをコネクタ基板を介して基板支持部材に固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに装着し、さらにそのコネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(4)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、前記コネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
以上の遊技機は、固定したコネクタ接続用端子基板のコネクタに照準を合わせてコネクタホルダーを操作するようにすれば、他のコネクタ同士の相対位置に製造誤差等で若干の狂いがあっても、非固定のコネクタ接続用端子基板がコネクタごと遊動してその狂いを矯正すべく移動し誤差を吸収するから、結合照準でないコネクタ同士の結合も可能になる。従って1つのコネクタホルダーを用いて複数系統のコネクタの一括接続が可能である。しかも使用しているコネクタは、プリント基板にハンダ付けして用いるような汎用的で安価な例えばDIN規格のものであり、コストも安い。
また、コネクタホルダーは、ナイラッチ(登録商標)等の固定手段で配線中継部材、ひいては該配線中継部材を介して外本体の背板に確実に固定される。一方、コネクタホルダーと機種ユニットの間では、フレキシブルなハーネスを介してつながっているのみであり、機種ユニットが動いたとしても、その動きはフレキシブルなハーネスが吸収するので、コネクタホルダーに動きは伝わらない。このため、たとえ輸送中の振動により外本体と機種ユニットの間に相対的な動きが生じても、コネクタホルダーは、外本体のみと一緒に動き、機種ユニットの干渉を受けないから、コネクタの結合部には全く負荷が掛からない。よってコネクタ結合の信頼性が非常に高い。
なお、実施形態のように、小さいコネクタ125に対応する小さいコネクタ基板123を遊動可能とし、大きいコネクタ425,コネクタ124同士を結合の基準に定める構成は、その逆の構成に比べてコネクタ425,124,427,125の結合が楽に行える。小さいコネクタ基板123の方が軽い力で扱えるため、狂いの自動矯正が容易だからである。また、実施形態では、図9のようにコネクタ425,124の方がもう一方のコネクタ427,125より先に結合するようになっており、そうすることにより結合照準のコネクタ同士が合わせやすい。
また、図9に拡大して示したように凸形のコネクタ425,427の凸部先端の周縁角部及び/又は凹形のコネクタ124,125の差込口の周縁角部に面取り部C(直線的な面取り、曲線的な面取りのいずれも可)を形成しておけば、面取り部Cのテーパに沿った誘導作用が、コネクタ同士の結合性をより良好にする。
また、実施形態のように、配線中継部材113のコネクタ基板122,123を遊動可能にする構成の他、コネクタホルダー428側のコネクタ425,427の何れか一方を遊動可能にすることも可能であり、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。なお、かかるコネクタホルダー428の具体例を図17に示した。この例では、コネクタホルダー428のホルダー主体429に雌ねじ付きの受筒429aを突設し、一方、コネクタ427の両横に遊孔427aを有する耳片427bを形成し、コネクタホルダー428の受筒429aにコネクタ427の遊孔427aを遊嵌させ、座金付きのビス427cをもって耳片427bの抜け止めとしている。そうすることによりコネクタ427は、コネクタホルダー428に対し、遊孔427aと受筒429aの径の差の範囲で自由に遊動し得る。この場合のコネクタ基板122,123は、一体にして取付板120に固定すればよい。また、実施形態では2つのコネクタを1つのコネクタグループとして取り扱ったが、1つのコネクタグループのコネクタ数は2以上でもよい。
また、実施形態では図4,図12に示したように、ケース部材400の後面板405の裏側であって、前記図柄変動表示装置300の装置ケース302の下斜板310に向けて凹ませたケーブル溝437が形成され、該ケーブル溝437の両端近傍にケース部材400の側板404(又は後面板405)を貫く配線口438,438が開設されている。この配線口438,438とケーブル溝437は、図柄変動表示装置300とメイン基板409等とを接続するためのものであり、図11において図柄変動表示装置300の装置ケース302の向かって右側面(扉形前面部材200の非ヒンジ側の側面)に設けたリール基板312のケーブル313(図12参照)を1つの配線口438からケース部材400の外に引き出し、そのケーブル313を図12のようにケーブル溝437に納め、さらにそのケーブル313の先を他の配線口438からケース部材400の中に戻してメイン基板409等につなぐようにしてある。なお、ケーブル溝437には所定の間隔でケーブル止め439が設けられていて、ケーブル溝437からケーブル313が脱落しないようになっている。
しかしてメイン基板409等とリール基板312は、共にケース部材400の中にあるケース部材側電気部品であり、本来、ケース部材400の外にケーブル313を引き出す要はない。それを敢えてケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにした理由は次のとおりである。
リール基板312の設置場所は、限られたスペースの中でコネクタを抜き差しする配線の作業性を考慮すると、図柄変動表示装置300(装置ケース302)の側面のうち扉形前面部材200の非ヒンジ側に相当する側が好ましい。もし逆に、扉形前面部材200のヒンジ側に相当する装置ケース302の側面にリール基板312を設けると、開ききった扉形前面部材200(図1参照。)とリール基板312が近接位置で向かい合うため、コネクタの抜き差しに必要な広い作業空間が確保できないからである。
しかし一方、リール基板312の接続対象たる基板類(メイン基板409,演出制御基板510,画像表示体500等)の接続部がケース部材400の扉形前面部材200のヒンジ側に相当する側にあると、ケーブル313がケース部材400の内部を横切る格好になる。そうすると前記装置ケース302をケース部材400に装着する際にケーブル313を噛み込んだり、逆に装置ケース302を引き出す際にケーブル313を引っ掛けるおそれがある。
これに対し実施形態のように、ケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにすれば、上記したようなケーブル313のトラブルは生じない。また、配線作業は、装置ケース302を所定の位置から若干引き出した状態で行う方が作業性がよく、それに伴って配線口438からリール基板312までのケーブル313の長さは、配線代とでも言うべき余裕が設けられている。従って装置ケース302を所定の位置にセットした状態でケーブル313に弛みが生じ、引き出し量によってはケーブル313の弛みが大きくなる。そのようなケーブル313の弛みが大きい場合には、配線口438と横並びの位置にある、装置ケース302の下斜板310とケース部材400の奥のコーナー部分との間に出来る三角スペースにケーブル313の弛んだ部分を逃がすことができる。
また、実施形態のようにケーブル溝437を装置ケース302の下斜板310に向かわせて膨らませるようにした場合には、ケース部材400の奥と装置ケース302の下斜板310との間にできるデッドスペースの有効活用に役立つ。なお、配線口438,438とケーブル溝437を使った配線は、リール基板312のケーブル313に限定する必要はなく、ケース部材400の内部を横切るケーブル全てに適用できる。
その他、図11中、符号441は機能分離中継端子板である。
以上のように構成されるスロットマシン1は、ケース部材400を外本体100に装着し、必要な配線を完了した完成品の状態で工場から出荷される。そして、その完成品のまま遊技場の遊技機設置島に取り付けられるが、このとき図25想像線のように、外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを木ねじ等の固定部材601で止める場合は、扉形前面部材200と画像表示体500を開放し、外本体100の貫通孔132に対しケース部材400の内側から天窓部443越しに固定部材601を挿通させ、さらにドライバー等の工具602で天窓部443越しに固定部材601を締め付けて外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを固定的に連結する。なお、貫通孔132は複数設けられているため、必要に応じてその中から任意に選択して使用することができる。例えば、上桟600の位置やサイズにばらつきがあってもその上桟600に対応する貫通孔132を選択することができる。また、遊技機をまるごと入れ替える場合に、使用する貫通孔132を変更すれば、上桟600の同じ位置に固定部材601の穴が開く弊害(いわゆる、ばか穴化)が防止できる。
ところで、図25に示したように外本体100とケース部材400の間には隙間Sが形成されており、画像表示体500等から発生した熱が画像表示体500の冷却ファン(図示せず)で煽られ、ケース部材400の天窓部443から前記隙間Sを通って背板104の通気口133に至り、そこから遊技機設置島の内部に抜ける。このとき背板104とケース部材400の間に配線中継部材113がありこれが障壁のごとく作用して前記隙間Sを広範囲に塞ぐから、隙間Sを流れる熱気がこの部分で遮られ、配線中継部材113より上方にある背板104の通気口133から積極的に外部に放出される。従って放熱効果が高い。
[8.各リールの図柄、図柄列]
各リール301a,301b,301cには、図46に示すように、複数種類の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(図柄番号1番から21番までで示した合計21個の図柄)が表記されたリール帯(図柄帯)が付されている。図46では、各リール301a,301b,301cに付されたそれぞれのリール帯321a,321b,321cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。なお、図柄列中に配置された図柄を識別するために上記図柄番号を便宜的に記している。また、図46では、リール帯321aが付されるリール301aを第1リール、リール帯321bが付されるリール301bを第2リール、リール帯321cが付されるリール301cを第3リールと表記しており、以下の説明においても、第1〜第3リールの表記を用いることがある。
そして、各リール301a,301b,301cは、各々の図柄列中に配置された図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が開口部401(図柄表示窓ともいう、以下では図柄表示窓401として統一する)を介して視認可能となるように配置されている(次に説明する図47参照)。
また、図柄の種類は、図46に示すように、「赤で塗りつぶされている「7」図柄(以下「赤7図柄」という)」、「青で塗りつぶされている「7」図柄(以下「青7図柄」という)」、「BAR図柄」、「チェリーの図柄が施された「チェリー図柄」」、「スイカの図柄が施された「スイカ図柄」」、「リプレイ図柄」、「ベルの図柄が施された「ベル図柄」」、「「義」と記載された図柄(以下では「義図柄」という)」、「「正」と記載された図柄(以下では「正図柄」という)」がある。なお、詳細は後述するが、「ベル図柄」には、赤色で着色された「赤ベル図柄」と青色で着色された「青ベル図柄」と緑色で着色された「緑ベル図柄」とがある。
図46において、「赤7図柄」は、第1リールにおいては図柄番号15番,18番の2つ、第2リールにおいては図柄番号9番の1つ、第3リールにおいては図柄番号11番の1つが相当する。「青7図柄」は、第1リールにおいては図柄番号5番の1つ、第2リールにおいては図柄番号18番の1つ、第3リールにおいては図柄番号6番の1つが相当する。「BAR図柄」は、第1リールにおいては図柄番号10番の1つ、第2リールにおいては図柄番号12番,15番の2つ、第3リールにおいては図柄番号19番の1つが相当する。「チェリー図柄」は、第1リールにおいては図柄番号11番の1つ、第2リールにおいては図柄番号4番,7番,20番の3つ、第3リールにおいては図柄番号7番,14番の2つが相当する。「スイカ図柄」は、第1リールにおいては図柄番号2番,7番,12番の3つ、第2リールにおいては図柄番号8番,17番の2つ、第3リールにおいては図柄番号10番,18番の2つが相当する。「リプレイ図柄」は、第1リールにおいては図柄番号4番,9番,14番,17番,20番の5つ、第2リールにおいては図柄番号5番,10番,13番,16番,21番の5つ、第3リールにおいては図柄番号4番,8番,13番,16番,20番の5つが相当する。「ベル図柄」のうち「赤ベル図柄」は、1個の星が描かれたベルの図柄であり、第1リールにおいては図柄番号3番,6番,8番の3つ、第2リールにおいては図柄番号3番,6番の2つ、第3リールにおいては図柄番号5番の1つが相当する。「ベル図柄」のうち「青ベル図柄」は、2個の星が描かれたベルの図柄であり、第1リールにおいては図柄番号13番,16番の2つ、第2リールにおいては図柄番号11番,14番の2つ、第3リールにおいては図柄番号9番,12番の2つが相当する。「ベル図柄」のうち「緑ベル図柄」は、3個の星が描かれたベルの図柄であり、第1リールにおいては図柄番号19番の1つ、第2リールにおいては図柄番号19番の1つ、第3リールにおいては図柄番号17番,21番の2つが相当する。「義図柄」は、第1リールにおいては図柄番号1番の1つ、第2リールにおいては図柄番号2番の1つ、第3リールにおいては図柄番号3番の1つが相当する。「正図柄」は、第1リールにおいては図柄番号21番の1つ、第2リールにおいては図柄番号1番の1つ、第3リールにおいては図柄番号2番の1つが相当する。なお、図柄の種類は一例であって、これらの種類に限られるものではないが、各ベル図柄(赤ベル図柄、青ベル図柄、緑ベル図柄)はベル図柄という同一種別内での部分的な柄違いという意味上、共通部分を有した図柄であることが好ましく、このような各ベル図柄を用意することによって、遊技者に、一見してベル図柄であると認識させることができる。
[9.枠部材]
図47は、図柄表示窓401を含む枠部材501の部分を拡大したところを示している。図柄表示窓401からは、各リール301a,301b,301cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位置を上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール301aの「ベル1図柄」が表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール301bの「リプレイ図柄」が表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール301cの「ベル1図柄」が表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓401内では、「段数×リールの数」個の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓401内には最大で9個の図柄を表示させることができる。
枠部材501(表示パネルともいう、以下では表示パネル501として統一する)の左側端(図柄表示窓401から見て左側には、各種のランプが備えられており、そのうち、「BET1」,「BET2」,「BET3」と記されているのがBETランプ(ベットランプ)614である。BETランプの数字(上記の「BET1」,「BET2」,「BET3」の1,2,3の数字)はそれぞれベット数(掛け数のこと、掛けたメダルの枚数に応じた数のこと)に対応している。すなわち、「1」は1ベット(掛けたメダルの枚数は1枚)、「2」は2ベット(掛けたメダルの枚数は2枚)、「3」は3ベット(MAXベットともいう、掛けたメダルの枚数は3枚)に対応しているということである。
ベット数に応じて有効となる並びが決められている。この「有効となる並び」は有効ラインとも呼ばれる。以下では有効ラインと統一して称する。後述する所定の当選役に対応する図柄の組合せは、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて当該当選役に対応する図柄の組合せ態様として表示されたと判断されるものである。すなわち、所定の当選役に対応する図柄を構成する各図柄が図柄表示窓401内に個々に表示されたとしても、それぞれの図柄がいずれかの有効ライン上に並んでいなければ(すなわち所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいなければ)、所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様が表示されたとは判断されないことになる。なお、このように、所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいない場合は、バラバラな図柄の組合せ態様(すなわちハズレの図柄の組合せ)が表示されたと判断される。
次に、ベット数及び有効ラインについて具体的に説明する。本実施形態のスロットマシン1では、一例として、通常の遊技状態及びSB状態では3枚掛けによる遊技が規定又は推奨される(規定数3枚)。但し、後述するように、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態(例えばBB状態)における特定の遊技状態では、1枚掛けや2枚掛けによる遊技が行われる(規定数1枚、2枚)。また、本実施形態のスロットマシン1における有効ラインは、中段の直線型の並び(中段1ライン)とする。具体的には、図47の図柄表示窓401内で「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の並びが示された1ライン(中段ライン623a)に相当する。
なお、ベット数及び有効ラインは、上記例に限られるものではない。例えば、有効ラインは図柄表示窓401内で遊技者から視認可能なラインであればよく、他の例として中段以外の複数段の直線型の並び、斜め直線並び、又は、山型やV字型の並び等にしてもよい。また、有効ラインの数も1本に限られるものではなく、複数本の有効ラインを設定してもよい。さらに、遊技におけるメダルのベット数に応じて有効ライン数が変化するようにしてもよい。
図47の図柄表示窓401内に表示されている有効ライン上の図柄組合せは、中段ライン623aに表示されている「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」であり、この図柄組合せは、リプレイ役(再遊技役)に対応する図柄組合せであるから、次ゲームにおいて、メダルを投入することなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行することが可能となる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、各役に対応する図柄組合せとして、有効ライン上にはいずれの役の図柄組合せが表示されたのか一見して把握し難い図柄組合せを表示するようにしてもよい。具体的には例えば、ベル役(後述するベル11)の当選時には、有効ラインである中段ライン623a上に「スイカ−チェリー−スイカ」や「リプレイ−BAR−青7」といった図柄組合せが表示される場合がある。このような場合、有効ラインだけを見れば、ベル役が入賞したことを遊技者が把握することは難しいが、図柄表示窓401全体で見れば、例えば上段ラインにベル図柄が直線型に並ぶように表示することで、ベル役の入賞を遊技者に容易に把握させることが可能となる。
その他、表示パネル501には、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプ及びLED類が設けられている。これらのランプ類は図の上から、「ERR」という文字の描かれたエラーランプ604、上記BETランプ614のすぐ下に位置する、「REP」という文字の描かれたリプレイランプ606、「STR」という文字の描かれたスタートランプ608、「INS」という文字の描かれたメダルINランプ610、及び2つの横並びの7セグメントLEDを備えた払出枚数表示LED612がそれぞれ備えられている。なお、これらの他に後述するボーナスゲームの当選を告知するボーナス告知ランプや、ボーナスゲームなどでのメダルの累計払い出し枚数を表示したり、ボーナスゲームをカウントしたりする7セグメントLED等を別途設けてもよい。
エラーランプ604は、スロットマシン1の遊技中に何かトラブル、故障等が生じた場合に点灯(あるいは点滅)を開始し、現在トラブル等が生じていることを遊技者等(ホールの係員なども含む)に知らせる役割を持っている。
リプレイランプ606は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技(新たにメダルを掛けずにもう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持っている。
スタートランプ608は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー210の操作(始動操作)を促す役割を持っている。
メダルINランプ610は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持っている。
払出枚数表示LED612は、ゲーム結果に伴うメダルの払い出しがある場合に、その払い出し数(払出されるメダルの枚数)を表示することにより、遊技者にメダルの払出枚数を知らせる役割を持っている。
[10.スロットマシンの内部構成]
図48は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン基板409を有しており、このメイン基板409にはCPU1110をはじめROM1112、RAM1114、入出力インタフェース1116等が実装されている。
前述した1枚投入ボタン205,206や始動レバー210、リール停止ボタン211a,211b,211c、貯留解除スイッチ209等はいずれもメイン基板409に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン基板409に出力することができる。具体的には、始動レバー210が操作されると前述した図柄変動表示装置300を始動させる(リール301a,301b,301cの回転を開始させる)操作信号がメイン基板409に出力され、リール停止ボタン211a,211b,211cが操作されると、リール301a,301b,301cをそれぞれ停止させる操作信号がメイン基板409に出力される。
なお、以下では必要に応じて、リール301a,301b,301cをそれぞれ左リール301a,中リール301b,右リール301cと呼ぶ。そして、これに対応するそれぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cを左リール停止ボタン211a,中リール停止ボタン211b,右リール停止ボタン211cと呼ぶ。
またスロットマシン1にはメイン基板409とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン基板409に各種の信号が入力されている。機器類には、図柄変動表示装置300のほか、メダル放出装置110等がある。
図柄変動表示装置300はリール301a,301b,301cをそれぞれ回転させるためのリール駆動モータ341a,341b,341cを備えている(左リール駆動モータ341a、中リール駆動モータ341b、右リール駆動モータ341c)。このリール駆動モータはステッピングモータからなり、それぞれのリール301a,301b,301cは独立して回転、停止することができ、その回転時には図柄表示窓401にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。
また各リール301a,301b,301cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ331a,331b,331cを有しており、各リール301a,301b,301cにはそれぞれ位置センサ331a,331b,331cがリール内に対応して設けられている(左リール位置センサ331a、中リール位置センサ331b、右リール位置センサ331c)。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン基板409に入力されることで、メイン基板409では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダルセレクタ207内には、前述したソレノイド207aや投入センサ207bが設置されている。投入センサ207bは、メダル投入口203から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン基板409に出力する。ソレノイド207aがOFFの状態のとき、投入されたメダルは投入センサ207bで検出される。逆にソレノイド207aがONの状態のときは、メダルセレクタ207内で投入センサ207bに到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、メダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。このとき合わせて投入センサ207bの機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはメダルの貯留のいずれも行われなくなる。
メダル放出装置110は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ110eを放出口110c内に有しており、この払出センサ110eからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン基板409に入力されている。また、遊技メダル用補助収納箱111にはメダル満タンセンサ111aが設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン基板409に出力する。このとき画像表示体500、エラーランプ604等によりメダル貯留の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に異常が発生したことが報知される。
一方、メイン基板409からは、図柄変動表示装置300やメダル放出装置110に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール駆動モータ341a,341b,341cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン基板409から出力される。またメダル放出装置110には、有効ライン上に停止した図柄の組合せの種類に応じてメイン基板409から駆動信号が入力され、これを受けてメダル放出装置110はメダルの払い出し動作を行う。このときメダル放出装置110内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ110eによる枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ110eより払い出しメダルの異常信号がメイン基板409へ出力され、これを受けてメイン基板409は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラーランプ604や画像表示体500等に表示させて遊技者やホール従業員等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン基板409の他に演出制御基板510を備えており、この演出制御基板510にはCPU1118やROM1120、RAM1122、入出力インタフェース1130、VDP(Video Display Processor)1124、AMP(オーディオアンプ)1126、音源IC1128等が実装されている。演出制御基板510はメイン基板409から各種の指令信号を受け、画像表示体500の表示や照明装置502等の発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ512の作動を制御している。
さらに、メイン基板409に外部中継端子板131を設けた場合には、スロットマシン1はこの外部中継端子板131を介して遊技場のホールコンピュータ1200に接続される。外部中継端子板131はメイン基板409から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ1200に中継する役割を担っている。
その他、電源装置112には、設定キースイッチ112tやリセットスイッチ112u、電源スイッチ112v等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、扉形前面部材200を開けることではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ112vは、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ112tはスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ112uはスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ112tとともに設定を変更する際にも操作される。
以上がスロットマシン1の内部構成例である。スロットマシン1によるゲームは、遊技者がメダルの掛け数を決定した状態で始動レバー210を操作すると各リール301a,301b,301cが回転し、この後、遊技者がリール停止ボタン211a,211b,211cを操作すると、対応する各リール301a,301b,301cが停止制御され、そして、全てのリール301a,301b,301cが停止すると、有効ライン上での図柄の組合せ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数のメダルが付与される。
前述したとおり、各リール301a,301b,301cには、それぞれリール帯321a,321b,321cが付されている(図46参照)。そして、全てのリール301a,301b,301cを停止させた際に図柄表示窓401内に表示される表示内容(有効ライン上に表示された図柄の組合せ態様)から所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様(図柄組合せ)が表示されたか否かが判断される。具体的には、図柄表示窓401内で前述の有効ライン(中段ライン623a)に所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様が表示されているか否かが判断される。
なお、本例では有効ラインは1本として説明しているが、仮にスロットマシン1が複数の有効ラインを有するとしたときには、当該複数の有効ラインの夫々で当選役に対応する図柄組合せが表示されているか否かが判断される。その結果、複数の当選役の図柄組合せが表示されていると判断された場合は、表示された各当選役に対応する払出数を合算した数量のメダルの払出が行われる。なお、スロットマシン1では、1回あたりのメダルの払出数の上限値として所定枚数(例えば15枚)を規定することができる。このような場合に、複数の有効ライン上に表示された各当選役に対応する払出数の合算が当該上限値を超えるときは、上限値の所定枚数のメダルが払い出され、上限値の超過分は切り捨てられる。また、上限値の超過分を次回以降のゲームに分割して払い出す等もしない。
以下では、所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様がいずれか一つの有効ライン上に表示された場合のことを、(所定の)当選役に対応する図柄(これを当選役図柄という)の組合せが揃う、あるいは当選役図柄が揃った、という。
スロットマシン1の図柄には、「赤7図柄」、「青7図柄」、「BAR図柄」、「チェリー図柄」、「スイカ図柄」、「リプレイ図柄」、「赤ベル図柄」、「青ベル図柄」、「緑ベル図柄」、「義図柄」及び「正図柄」があることは既に述べたとおりであるが、このうち、「赤7図柄」、「青7図柄」及び「BAR図柄」は他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールの停止した状態を含めて遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。これらの図柄はリールの回転中もその色彩や図柄の大きさから、遊技者が停止操作する際に、これらの図柄が図柄表示窓401内に停止されるように狙って停止操作することが容易となっている(すなわち目押しすることが容易である)。さらに「義図柄」及び「正図柄」についても、図46を見ても分かるように、「義図柄」と「正図柄」との2つの図柄で円状を形成するかたちで「正義」と読めるように互いに上下に隣接して配置されているとともに、各リール301a,301b,301cにおいて1つしか配置されていないので、目押しすることが容易である。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄(図柄1つだけでは当選役に対応しない)に過ぎないものであるが、所定の組合せとなることにより当選役に対応する図柄の組合せとなるものである。すなわち、所定の遊技特典が付与される。以下に、図49に示された各当選役に対応して許容される図柄の組合せ態様について説明する。
[10−1.当選役と図柄の組合せ]
ここで、スロットマシン1の当選役(入賞役と呼ばれるものを含む)と、これに対応する図柄の組合せについて、図49、図50及び図51〜52を用いて説明する。図49は、当選役の抽選に用いられる抽選テーブルの一例である。図49に示す抽選テーブル(当たり値判定テーブルともいう)は、予めROM1112等に格納されている。詳細は後述するが、スロットマシン1ではメイン基板409のCPU1110が当選役の抽選を行い、このような抽選は「内部抽選」とも呼ばれる。図50は、各当選役と、これら各当選役に対応して成立する条件装置を示す図であり、予めROM1112等に格納されているものである。図50において、表中の「0」は、対応する条件装置番号が付された条件装置が非作動(OFF)であることを意味し、表中の「1」は、対応する条件装置番号が付された条件装置が作動する(ON)ことを意味する。図51〜52は、各条件装置に対応する図柄の組合せ及びメダルの払出数を示す図であり、これについても予めROM1112等に格納されているものである。
図49に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、遊技状態の一例として、一般状態、BB内部状態(BB1内部状態、BB2内部状態)、BB状態(BB1一般状態、BB1RB状態、BB1RB内部状態、BB2一般状態、BB2RB状態、BB2RB内部状態)、及びSB状態が用意されている。ここで、一般状態は通常時の遊技状態である。BB内部状態は、内部抽選によってBB(BB1,BB2)に当選し、かつBB状態に移行せずにBBの当選成立状態が持ち越されている遊技状態である。BB状態は、内部抽選によってBB(BB1,BB2)に当選し、当該BBに対応する図柄組合せが表示されたことに基づいて移行するボーナス状態である。さらに、BB状態は、内部的な状態によって、ボーナス状態の一般的な状態(BB1一般状態、BB2一般状態)と、ボーナス状態でRBの当選成立状態が持ち越されている状態(BB1RB内部状態、BB2RB内部状態)と、ボーナス状態でRBに対応する図柄組合せが表示されたことに基づいて移行する遊技状態(BB1RB状態、BB2RB状態)とに区分される。また、SB状態は、内部抽選によってSBに当選し、SBに対応する図柄組合せが表示されたことに基づいて移行するシングルボーナス状態である。
図49に示すように、本実施形態によるスロットマシン1では、遊技状態ごとに各当選役についての当選確率(又は置数)が定められており、遊技状態に応じた抽選テーブル(図49に示す抽選テーブル1〜10)を用いて内部抽選が行われる。そして、スロットマシン1では、内部抽選の結果として何らかの役に当選すると、当選役に応じた条件装置が作動し、作動した条件装置に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。そして、有効ライン上に表示された図柄組合せによって何らかの入賞役が示された場合は、当該入賞役に基づいたメダルの払出が行われる。なお、図49や後述の図51,52等において、払出数として2種類の値が記載されている項目は、遊技状態や遊技の掛けメダル数(規定数)に応じてメダルの払出数が異なるように設定されていることを示す。本例では一例として、左側の値を規定数3枚のときの払出数とし、左側の値を規定数3枚以外(すなわち、1枚掛け又は2枚掛け)のときの払出数とする。
本実施形態のスロットマシン1では、一の条件装置とリール制御のパターンとが1対1で対応しているので、一の当選役に対して複数のリール制御パターンを用意したい場合には、一の当選役に対して複数の条件が成立する場合もある。こうすることで、一の当選役に対して、複数パターンの停止出目(有効ライン上に表示される図柄の組合せ)を用意することが可能となる。ここで、有効ライン上に表示される図柄組合せについて、図49に示した各当選役の場合で具体的に説明する。
まず、図49に示された「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」は、「ベル1」〜「ベル9」の何れかと「ベル11」という2種類のベル役に同時当選(同時成立)することを示している(以下、これらの役を「複合ベル役」ともいう)。各ベル役の違い等については、後段の小役の説明で詳述するが、ここでは、「ベル1+ベル11」を例にとって説明する。
「ベル1+ベル11」は、ベル役の当選形態の1つであり、ベル1に対応する条件装置とベル11に対応する条件装置とが同時に作動する。ベル1〜ベル9は、適正なタイミング(押し位置)でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合にのみベル役が入賞する役で(押し位置小役)あって、当該入賞時には中段ライン623aにベル図柄(赤ベル図柄/青ベル図柄/緑ベル図柄の何れか)が並んだ図柄組合せが表示され、6枚のメダルが払い出される(BB1RB状態、又はBB2RB状態のときは15枚の払出)。また、ベル11は、リール停止ボタン211a〜211cの押し位置に拘わらずベル役が入賞する役(押し位置不問小役)であって、当該入賞時には上段ラインにベル図柄(赤ベル図柄/青ベル図柄/緑ベル図柄の何れか)が並んだ図柄組合せが表示され、6枚のメダルが払い出される(BB1RB状態、又はBB2RB状態のときは15枚の払出)。
このような「ベル1」と「ベル11」について、「ベル1+ベル11」に当選した場合、「ベル1」及び「ベル11」の両方に対応する条件装置が作動し、これらに対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されることが許容され、このような許容条件に基づいて、後述する図53のステップS5のリール停止処理が行われる。具体的には、「ベル1」に対応する条件装置とは、図50を参照すると条件装置番号1,14,27に対応する条件装置であり、さらに図51を参照すると、小物1,14,27の条件装置であることが分かる。同様に、「ベル11」に対応する条件装置とは、条件装置番号28に対応する条件装置であり、小物28の条件装置(図51によれば、12種類の条件装置が含まれる)である。したがって、「ベル1+ベル11」に当選した場合には、これらの小物に対応付けられた図柄組合せの何れかが有効ライン上に表示されることが許容される。そして、「ベル1」に対応する図柄の組合せ又は「ベル11」に対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されると、ベル役の賞として6枚のメダルが払い出される(前述したように、BB1RB状態又はBB2RB状態では15枚の払出)。
但し、前述したように、「ベル1」〜「ベル9」は、適正なタイミング(押し位置)でリール停止ボタン211a〜211cが操作された場合にのみ、対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されてベル役が入賞する。したがって、「ベル1+ベル11」に当選し、「ベル11」に基づいた図柄組合せ(図51における12種類の図柄組合せ)よりも「ベル1」に基づいた図柄組合せを優先的に有効位置(有効ライン)に引き込んだ場合、上記の適正な押し位置での操作が行われなければ、有効ライン上に「ベル1」に対応する図柄組合せは停止できず、ハズレの図柄組合せ(本実施形態では「ベルこぼ目」と称する)が表示され、ベル役が入賞しないことから、メダルの払出は行われない(所謂、取りこぼし)。
ここで、当選役の同時当選について補足説明する。同時当選は、1回の抽選機会において複数の当選役が同時に選び出されることを意味し、上述した「ベル1+ベル11」のように複数種類の同じ小役(例えばベル役)が同時に選び出される場合と、本例では採用していないがボーナス役と小役とが同時に選び出される場合とがある。
まず、複数種類の同じ小役が同時当選した場合は、当該ゲーム(当選ゲーム)で当選したそれぞれの役に対応する条件装置が同時に作動し、予め定められた優先順位(例えば、『再遊技>小役>ボーナス』や、『再遊技>ボーナス>小役』のような優先順位)に従って当選役の図柄組合せの表示が許容されるなかでリール停止処理が行われ、入賞した役に応じた特典の払い出しが行われる。本例では、ベル1とベル11とが同時に入賞する(有効ライン上に図柄組合せが表示される)ことはないが、遊技機の仕様や小役の組合せ、又は有効ラインの設定方法等によっては、同時当選役を共に入賞させるような制御が行われるようにしてもよく、同時入賞が発生した場合には夫々の入賞した役に応じた特典の払い出しが行われる。何れにしても、小役は、当選ゲームでのみ入賞し得る「非持ち越し役」であり、当選ゲームで入賞できなかった当選役の当選成立状態は、次ゲーム以降に持ち越されないことから、小役の同時当選が選ばれたとしても、当選ゲームで入賞できなかった小役に対しては、当該小役に応じたメダルの払い出しは行われない。
次に、ボーナス役と小役とが同時当選した場合について、このような組合せで選ばれる役は重複役ともいう。ボーナス役と小役とが同時当選した場合も、小役同士の同時当選の場合と同様に、夫々の当選役に対応する条件装置が同時に作動し、予め定められた優先順位(例えば、『再遊技>小役>ボーナス』や、『再遊技>ボーナス>小役』のような優先順位)に従って当選役の図柄組合せの表示が許容されるなかでリール停止処理が行われ、入賞した役に応じた特典の払出が行われる。但し、ボーナス役については、当選ゲームで対応する図柄組合せが表示されなかったとしても、次ゲーム以降に当該ボーナス役の図柄組合せが表示されるまで当該ボーナス役の当選成立状態が持ち越される「持ち越し役」とすることができる。具体的には、BB1,BB2は「持ち越し役」であり、SBは「非持ち越し役」である。また、前述したように小役は「非持ち越し役」である。このように重複役の当選によって「持ち越し役」と「非持ち越し役」とが同時当選したときも、何れの図柄組合せの表示を許容するかは、リール停止処理によって制御される。そして、当選ゲームで「持ち越し役」に対応する図柄組合せが表示されなかった場合は、「持ち越し役」の当選成立状態は次ゲーム以降に持ち越される。但し、このような「次ゲーム」において、別の小役に当選したときは、「持ち越し役」と「別の小役」との両方が当選成立している状態となるが、この場合は、互いに別の抽選機会(ゲーム)において選び出されているから、重複役には相当しない。また、同時当選役(重複役)とは逆に、1回の抽選機会において一つの役のみが選び出される当選役を単独役と呼ぶ。
なお、同時当選の場合に何れの当選役に対応する図柄の組合せが優先して有効ライン上に表示されるようになるかは、リール停止処理における優先順位の設定に基づいて決定されるが、これらの処理の詳細については、リール停止処理の説明で後述する。
次に、図49に示された「チェリー」は、チェリーの単独当選役である。このとき、チェリーに対応する条件装置として条件装置番号30の条件装置(すなわち小物30)が作動し、有効ライン上にはチェリーに対応する図柄の組合せ(小物30の図柄組合せ)が表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、チェリーに対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されると、賞として例えば1枚のメダルが払い出される(BB1RB状態又はBB2RB状態では15枚の払出)。
図49に示された「スイカ」は、スイカの単独当選役である。このとき、スイカに対応する条件装置として条件装置番号29の条件装置(すなわち小物29)が作動し、有効ライン上にはスイカに対応する図柄の組合せ(小物29の図柄組合せ)が表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。そして、スイカに対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されると、賞として例えば5枚のメダルが払い出される(BB1RB状態又はBB2RB状態では15枚の払出)。
図49に示された「ベル10」は、ベルの単独当選役であるが、図50を参照してベル10に対応して作動する条件装置を確認すると、条件装置番号1〜27(すなわち、小物1〜27)であることから、実質的には「ベル1」〜「ベル9」による同時当選に相当する。「ベル1」〜「ベル9」は、それぞれの適正なタイミング(押し位置)でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなければベル役が入賞しないものであったが、「ベル10」の当選時には、「ベル1」〜「ベル9」を全て含む条件装置が同時に作動し、リール停止操作ボタン211a〜211cが操作される順番やタイミング(押し位置)に拘わらず「ベル10」に対応する図柄組合せ(小物1〜27)の何れかが必ず有効ライン上に表示されることが許容されることによって、必ずベル役が入賞し、賞として6枚のメダルが払い出される(BB1RB状態又はBB2RB状態では15枚の払出)。
図49に示された「ベル11」は、ベルの単独当選役である。「ベル1+ベル11」で前述したように、「ベル11」は押し位置不問ベルであり、「ベル11」が単独で選ばれた場合には、リール停止操作ボタン211a〜211cが操作される順番やタイミング(押し位置)に拘わらず「ベル11」に対応する図柄組合せ(小物28)の何れかが必ず有効ライン上に表示されることが許容されることによって、必ずベル役が入賞し、賞として6枚のメダルが払い出される(BB1RB状態又はBB2RB状態では15枚の払出)。
図49に示された「リプレイ」は、リプレイ(再遊技役)の単独当選役である。このとき、条件装置番号31の条件装置(リプレイの条件装置)が作動し、有効ライン上にはリプレイに対応する図柄の組合せ(「リプレイ図柄」の並び)が表示されることが許容され、これに基づいて、後述するステップS5のリール停止処理が行われる。スロットマシン1では、リプレイの当選時には、リプレイ役の図柄組合せが必ず有効ライン上に表示されるように制御され、その結果、リプレイ役の特典として、次ゲームにおいて、メダルを投入することなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行することが可能となる。
図49に示された「SB」は、シングルボーナスと呼ばれる単独役であり、一般状態又はSB状態のいずれかの遊技状態に限って抽選対象とされる。そして、抽選によって「SB」に当選すると、「SB」に対応して条件装置番号32の条件装置(SBの条件装置)が作動し、有効ライン上にSBの図柄の組合せ(図52参照)が表示されることが許容され、これに基づいてリール停止処理が行われる。図52に示したSBの図柄組合せと図46のリール配列を参照すると、SBの図柄組合せを構成する各リールの図柄(第1リールでは「赤ベル」、「青ベル」、「緑ベル」。第2リールでは「チェリー」、「BAR」。第3リールでは「スイカ」、「チェリー」、「青7」)は、如何なるタイミングでリールの停止操作が行われても、何れかを有効ラインに引き込み可能に配列されている。したがって、SB役に当選してSBの条件装置が作動しているときは、リールの停止操作に基づいてSBの図柄組合せが必ず有効ラインに表示され、その結果、シングルボーナスの特典(SBゲーム)が付与される。本例では、このようにSB役当選時に必ずSBの図柄組合せが表示されるようにすることで、遊技者の技量に依ることなく、シングルボーナスの特典を付与し、後述する期待値について差異を生じさせないようにできる。シングルボーナスについては、後段のボーナス役に関する説明で詳述する。
図49に示された「BB1」や「BB2」は、ボーナス役である。ボーナス役が当選役として選ばれたときも、前述の他の当選役の場合と同様に、対応する条件装置が作動し、リール停止処理が行われ、表示された図柄組合せに基づいて特典が付与される。なお、前述したように、「BB1」及び「BB2」は「持ち越し役」であり、当選ゲームで対応する図柄組合せが表示されなかった(揃えられなかった)としても、次ゲーム以降に当選成立状態が持ち越される。「BB1」及び「BB2」については、後段のボーナス役に関する説明で詳述する。
図49に示された「BB中RB」は、特殊役であって、「BB1」又は「BB2」の図柄組合せが揃えられたことを契機として制御されるボーナス状態(具体的には、BB1一般状態又はBB2一般状態)でのみ抽選対象とされる。このようなボーナス状態の抽選で「BB中RB」が当選役として選ばれた場合は、条件装置番号35の条件装置(BB中RBの条件装置)が作動し、有効ライン上にRBの図柄の組合せ(図52を参照すれば「BAR」図柄の揃い)が表示されることが許容され、これに基づいて、リール停止処理が行われる。「BB中RB」については、後段のボーナス役に関する説明で詳述する。
図49に示された「はずれ」は、何れの当選役にも当選しなかったことを意味する。したがって、「はずれ」が選ばれたときには何れの条件装置も作動せず(図50参照)、リール停止ボタン211a〜211cへの操作に基づいてリール203a〜203cが停止した際、有効ライン上には当選役に対応する図柄の組合せが表示されない。
なお、抽選の結果、「はずれ」ではなく、いずれかの役に当選したとしても、当該当選役に対応する図柄の組合せは、後述する引き込み制御を実行可能な範囲で図柄表示窓401内(すなわち有効ライン上)に停止されるように狙って適正なタイミング(押し位置)で停止操作(リール停止ボタン211a〜211cを押す操作)が行われないと、有効ライン上に当選役に対応する図柄の組合せを表示させることができない。したがって、抽選の結果、いずれかの役に当選したにもかかわらず、この当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されなければ、「はずれ」が選ばれたときと同様に、後述するステップS6においてゲーム結果がハズレである旨が判定される。
次に、ボーナス役(BB1,BB2,SB)、リプレイ役(再遊技役とも呼ばれる)、小役(ベル役(ベル1〜ベル11)、チェリー役、スイカ役)、特殊役(BB中RB)について詳しく説明する。なお、一般的に、役に対応する図柄組合せが表示されたときに賞としてメダルの払出が行われる役を入賞役と呼ぶ。本例では、上記の各小役が入賞役に相当する。
[10−1−1.ボーナス役]
本実施形態のスロットマシン1では、BB1又はBB2といったボーナス役に当選し、これらの当選役に対応する図柄の組合せ(BB1は「赤7」揃い、BB2は「青7」揃い)が有効ライン上に表示されると、BB1ゲーム又はBB2ゲームといったボーナスゲームが実行される。このBB1やBB2への当選を契機とするボーナスゲームは、複数ゲームに亘って遊技者がメダルを集中して獲得できる機会が設けられるゲームである。例えば、BB1のボーナスゲームは、合計465枚を超えるメダルの払出が行われるまで継続して実行され、BB2のボーナスゲームは、合計105枚を超えるメダルの払出が行われるまで継続して実行されるとする。
ボーナスゲームの実行に伴う遊技状態の遷移について、詳細は図55〜58を参照しながら後述するが、ここではBB1ゲームを例にとって簡単に流れを説明する。
まず、一般状態又はSB状態における内部抽選でBB1が当選役として選ばれると、BB1の条件装置が作動し、BB1の図柄組合せ(「赤7」揃い)を有効ライン上に表示することが許容されるなかでリール停止処理が行われる。ここで、BB1の図柄組合せが表示されれば、BB1一般状態に移行してBB1ゲームが開始されるし、リール操作のタイミングが適正でなくBB1の図柄組合せが表示されなかった場合には、当該図柄組合せが表示されるまで次ゲーム以降の遊技状態がBB1内部状態に制御され、BB1の当選成立状態が持ち越される。
BB1ゲームが開始されると、抽選テーブル5を用いて内部抽選が行われるが、ここでBB中RBが当選役として選ばれると、RB役の図柄組合せ(図52の例では「BAR」揃い)の表示が許容されるようになる。RB役の図柄組合せが有効ライン上に表示された場合は、BB1RB状態に移行して(JACKIN)、所定の期間RBゲームが実行される。リール操作のタイミングが適正でなくRB役の図柄組合せが表示されなかった場合には、当該図柄組合せが表示されるまで次ゲーム以降の遊技状態がBB1RB内部状態に制御され、RBの当選成立状態が持ち越される。
本例におけるRB役は特殊役であり、ボーナスゲーム(BB1ゲーム,BB2ゲーム)中にRB役の図柄組合せが表示された場合には、RB状態に移行し(JACKIN)、当該ボーナスゲーム内での特別なゲームとしてRBゲームが実行される。このRBゲームは1枚掛けの遊技で規定されるとする。すなわち、BB1RB状態ではメダル1枚を掛けた遊技で抽選テーブル6を用いた内部抽選が行われる。その後、RBゲームの終了条件(詳細は図57参照)が成立すると、遊技状態が再びBB1一般状態に制御され、3枚掛けでBB1ゲームが進行される。そして、BB1ゲームの終了条件である「合計465枚を超えるメダルの払出」が行われた段階で、遊技状態はBB状態からその他の状態(例えば一般状態)に遷移し、BB1ゲームが終了する。なお、スロットマシン1では、通常状態(一般状態)における1回のゲームで払い出されるメダルの最大枚数(例えば、15枚)が予め決められており、ボーナスゲームにおいても、1回のゲーム結果として払い出されるメダルの枚数はこの最大枚数を超えないものとされる。本例では、BB1RB状態又はBB2RB状態においてベル役、チェリー役、又はスイカ役が入賞した場合に、15枚のメダルが払い出される。
また、本実施形態のスロットマシン1には、BB1,BB2とは別のボーナス役として、上述したとおり、SBというシングルボーナス役が用意されている。SB役に当選し、SB役に基づいた図柄組合せ(SB役の図柄組合せ)が有効ラインに表示されると、次ゲームに限って遊技状態が図49に示される「SB状態」に制御されてSBゲームが実行される。SBゲームでは、SB状態用の抽選テーブル4を用いて当選役の抽選(内部抽選)が行われる。なお、SBゲームの期間(SB状態に制御される期間)は、SB役に当選し、SB役に基づいた図柄組合せが有効ラインに表示された次ゲームに限られるが、SB状態でSB役に当選し、SB役に基づいた図柄組合せが有効ラインに表示された場合は、当該当選に基づいて、次ゲームでもSBゲームが実行されることになる。
また、一般的な遊技機に搭載されるSBでは、SBゲームによって遊技者に多量のメダルが付与されることが多いが、本実施形態のスロットマシン1に搭載されるSBでは、SBゲームに制御されている遊技期間において、遊技者がメダルを集中して獲得することに期待できないばかりか、所持メダルが減る可能性まである、という特徴を有している。詳細は後述する。
[10−1−2.リプレイ役]
本実施形態のスロットマシン1には、リプレイ役(再遊技役ともいう)が用意されている。このリプレイ役に対応する図柄の組合せ態様は、図52に示した通りである。そして、リプレイ役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されると、リプレイの図柄組合せが揃ったと判定される。
リプレイの図柄組合せが有効ライン上に表示されると、リプレイゲーム(再遊技)という遊技特典が付与される。このリプレイゲームでは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、リプレイの図柄組合せが表示されたゲームと同じゲームを、再遊技として実行できる。なお、リプレイの図柄組合せが有効ライン上に表示されたとしても、賞としてのメダルは払い出されない。
このリプレイゲームの遊技特典の特徴は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する(新たにメダルを掛ける)必要がないことである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるため、例えばその当選確率を高くすることにより、当選頻度が高くなったとしてもホールにとっての不利益は少ない。従って、スロットマシン1では、通常状態(一般状態)において、概ね6〜7回に1回程度は当選する確率としている(図49の場合、8978/65536≒1/7.299)。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイという当選役にゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができるということになる。
また、各リール301a,301b,301cにリプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成する図柄をそれぞれ満遍なく配置する(例えば、リプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成する図柄と、同じくリプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成する図柄との間に配置される他の図柄(リプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成しない図柄)を1個から最大でも4個までにする)ことにより、リプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を目押しの必要なく揃えることのできるものとすることができる。
なお、通常のリプレイ役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示された場合には、再遊技の特典を付与できるだけであるが、スロットマシン1がARTやRTを備える仕様とするときには、特別なリプレイ役(例えばARTリプレイ)を設定することによって、ARTリプレイに対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示された場合には、チャンスRT等のような遊技状態に移行する契機として機能させることもできる。
[10−1−3.ベル役]
本実施形態のスロットマシン1には、ベル役として、「ベル1」〜「ベル11」が用意されている。これらのベル役は、各ベル役に対応する図柄組合せを構成する図柄のリール配置に基づいて、操作受付が有効なリール停止ボタン211a〜211cをどのようなタイミング(押し位置)で操作しても有効ライン上に入賞を示す図柄組合せを表示可能な「押し位置不問ベル」と、適正な操作が行われた場合のみ有効ライン上に入賞を示す図柄組合せを表示可能な「押し位置ベル」とに区分される。具体的には、「ベル1」〜「ベル9」の夫々は「押し位置ベル」であり、「ベル10」は「ベル1」〜「ベル9」が作動したときに作動する条件装置の全てが作動することによって結果的に押し位置不問となる押し位置ベルであり、「ベル11」は「押し位置不問ベル」である。別の言い方をすれば、「ベル10」及び「ベル11」は目押し不要で入賞する役であり、「ベル1」〜「ベル9」は、当選役が告知される等しても入賞させるために目押しが必要な役である。
「ベル1」〜「ベル9」の各ベル役に対応して作動する条件装置及びその図柄組合せは、図50〜52に示されている。例えば、「ベル1」には小物1,14,27の条件装置が対応しており、当該条件装置に対応する図柄組合せは、「赤ベル−赤ベル−赤ベル」、「青ベル−青ベル−青ベル」、「緑ベル−緑ベル−緑ベル」といったように同色のベル図柄による組合せとなっている。同様にして、「ベル2」〜「ベル9」についても、対応する条件装置及び図柄組合せが示されている。これらの「ベル1」〜「ベル9」に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されるとき、中段ライン623aにはベル図柄の並び(色違いを含む)が表示され、賞として6枚のメダルが払い出される。但し、「ベル1」〜「ベル9」の夫々の図柄組合せを構成する図柄は、常に引き込み可能な配置をされているわけではないため(図46参照)、これらの図柄を有効ライン上に揃えるためには、適正なタイミングでリール停止ボタン211a〜211cが操作されることが必要となる。「ベル1」を例にとって、第1リールから順に停止させるとすれば、第1リールは、赤ベル、青ベル、緑ベルの何れであってもよい(小物1,14,27の何れかに対応可能)が、第1リールで赤ベルが有効ライン上に停止された後は、ベル1として実現可能な図柄組合せは「赤ベル−赤ベル−赤ベル」しかないため、第2リール及び第3リールでは、赤ベルを有効ライン上に停止可能なタイミング(位置)でリール停止ボタン211b,211cを操作する必要がある。そして、このような適正なタイミングによる操作が行われなかった場合には、有効ライン上にベル1の図柄組合せが表示されず、さらに他の役の図柄組合せも表示されないときには「はずれ」の図柄組合せとして「ベルこぼ目」が表示されることになり、賞としての6枚のメダル払出が行われない。他のベル役(ベル2〜ベル9)についても同様である。
このように「ベル1」〜「ベル9」は、適正な押し位置(タイミング)による操作を必要とする小役であり、しかもこの適正なタイミングは、当選役の告知等がない限り、通常は遊技者が知ることはできず、勘や偶然によって入賞する可能性がある小役である。本例の「ベル1」〜「ベル9」では、それぞれ27択式の小物1〜27が1つのベル役に対して3つ作動し、かつ、作動した3つの小物(より具体的には、各小物に対応する図柄組合せ)のそれぞれが互いの引き込み範囲内にないため、入賞の実質的な確率は1/9となる。
なお、本例では、内部抽選において「ベル1」〜「ベル9」が単独で選ばれることはなく、ベル11(押し位置不問ベル)と同時に選ばれることになるが、有効ライン上に表示が許容される図柄組合せは、後述のリール停止処理によって制御される。したがってこのとき、「ベル11」の図柄組合せの表示が優先して許容される場合には、押し位置不問ベルであることから、常にベル役が入賞して6枚のメダルが払い出されるが、「ベル1」〜「ベル9」の図柄組合せの表示が優先して許容される場合には、適正な押し位置の操作が行われた場合のみベル役が入賞してメダルの払い出しが実行される。本例では、一般状態で「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」に当選した場合は、常に「ベル11」以外の押し位置小役(ベル1〜ベル9)に対応する図柄組合せの表示が優先されるため、このとき適正な押し位置による操作が行われなければ、ベル役は入賞できない。このように「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」は、ベル11以外に対応する図柄組合せの表示が優先して許容される制御が行われる場合は、同時当選役であっても実質的には押し位置小役となる。
「ベル10」は、前述したように「ベル1」〜「ベル9」が作動したときに作動する条件装置の全てが作動するベル役に相当し、図50には、条件装置番号1〜27番(小物1〜27)が同時に作動する役であることが示されている。「ベル10」が当選役として選ばれた場合には小物1〜27が同時に作動することによって、リール停止ボタン211a〜211cがいかなるタイミングや押し順で操作されたかに拘わらず、何れかの押し位置ベル(「ベル1」〜「ベル9」)の図柄組合せが有効ライン上に表示される。すなわち、「ベル10」に対応する図柄組合せとして、中段ライン623aにベル図柄の並び(色違いを含む)が表示されることで、賞として6枚のメダルが払い出される。
「ベル11」は、押し位置不問ベルである。「ベル11」に対応する図柄の組合せ態様は、図51に示された小物28の12通りの図柄組合せであり、図46のリール配列を参照すれば、リール停止ボタン211a〜211cがいかなるタイミング(押し位置)で操作されたとしても、何れかの図柄組合せを有効ライン上に引き込み可能であることが分かる。したがって、「ベル11」が当選役として選ばれた場合には、その押し位置に拘わらず、小物28の何れかの図柄組合せが中段ライン623aに表示され、賞として6枚のメダルが払い出される。またこのとき、上段ラインにはベル図柄の並び(色違いを含む)が表示されることで、ベル役の入賞を遊技者が容易に把握できるようにしている。
なお、上記例の説明では、入賞に伴う特典の付与として6枚のメダル払出が行われるとしているが、図49の「払出数」で説明したように、掛けメダル数(規定数)が3枚ではない場合には、異なるメダルの払出数が設定されている。具体的には、BB1RB状態又はBB2RB状態では、掛けメダル数(規定数)が1枚であることから、このような遊技状態で「ベル1」〜「ベル11」の何れかに対応する図柄組合せが表示された場合には、賞として15枚のメダルが払い出される。
また、上記例では、リール帯321a〜321cのそれぞれに21個の図柄が付されたリール301a〜301c(所謂「21コマリール」)を用いて(図46参照)、押し位置小役である「ベル1+11」〜「ベル9+ベル11」について説明した。詳しくは、ベル図柄が「赤ベル」、「青ベル」、「緑ベル」の3種類に分割され、何れの押し位置でリール停止操作が行われても3種類のベル図柄の何れかが引き込み可能に配列され(すなわち、リール全域が何れかのベル図柄の引き込み範囲に3分割され)、これらのベル図柄を組み合わせた27択式の小物1〜27を用意することで、実質的な入賞確率が1/9の押し位置ベルを実現することができる。しかし、これは一例であって、本実施形態のスロットマシン1はこのようなリール構成に限定されるものではない。他の一例として、1つのリールに20個の図柄が付された「20コマリール」の場合、例えば、ベル図柄を4種類(上記の3種に「黄ベル」を追加)に分割し、何れの押し位置でリール停止操作が行われても4種類のベル図柄の何れかが引き込み可能に配列され、これらのベル図柄を組み合わせて押し位置ベルの小物を複数用意する。より具体的には、4種類のベル図柄を組み合わせることで64択式(4×4×4=64)の小物を用意し、何れかの押し位置ベルに当選したときに、それぞれが引き込み範囲内にない4つの小物が作動するようにすれば、実質的な入賞確率が1/16の押し位置ベルを実現することができる。
[10−1−3−1.ベルこぼ目]
ここで、本実施形態における「ベルこぼ目」について詳しく説明する。[10−1−3]で上述したように、押し位置ベルに対応する図柄組合せの表示が優先して許容される制御が行われる場合に、適正なタイミングによる停止操作が行われなかったときには、ベル役の入賞を否定するはずれの図柄組合せとして「ベルこぼ目」が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、このような「ベルこぼ目」の表示態様について、ベル役の入賞が抑制されたことを遊技者に認識させ得る表示態様とすることができる。そして、このような「ベルこぼ目」の図柄組合せが表示されたときには、当該ゲームにおいて、ベル役に当選したにも拘わらず、当選したベル役に対応する適正な停止操作が行われずにベル役の入賞に失敗したことを遊技者は容易に認識することができる。
図65は、取りこぼし目の図柄組合せの一例を説明するための図である。図65の第1停止〜第3停止とは、リール301a〜301cに対応するリール停止ボタン211a〜211cの何れかに対して遊技者がリールの停止操作を行った順を示すものであり、当該停止操作が適正な押し位置で行われたか否かを「位置」欄に記載し、当該停止操作によって有効ライン上に停止される図柄を「図柄」欄に記載している。
以下では、「ベル1+ベル11」の同時当選役に当選して「ベル1」が優先制御されるときを一例として、停止操作の様々なパターンに応じて表示される図柄組合せを図65を参照しながら説明する。リールの停止順序は、左、中、右の順で行われるとし、第1停止のとき(左リール301aの停止時)に、赤ベル図柄を引き込み可能な位置で停止操作が行われたとする。ここで、ベル1が優先制御されるときには、条件装置番号1(「赤ベル−赤ベル−赤ベル」),14(「青ベル−青ベル−青ベル」),27(「緑ベル−緑ベル−緑ベル」)の条件装置が優先制御される(図50参照)ため、第1停止では赤ベル図柄が有効ラインに停止し、「位置」は「○」となる。なお、図50の「補足」欄にR(赤ベル)、B(青ベル)、G(緑ベル)として色ベル図柄の組合せを示したように、本例の押し位置ベルは、第1停止の際に何れの色ベル図柄が引き込まれても、ベル役が入賞する可能性が残されるように設定されている。具体的には、「ベル1」が優先制御される場合に、第1停止で赤ベル図柄が有効ラインに停止したときには「RRR」の条件装置が作動しているので、残りの第2停止及び第3停止で赤ベル図柄を引き込み可能な位置で停止操作が行われれば、ベル役の図柄組合せが表示される。
次に、図65において、第2停止で赤ベル図柄を引き込み可能な位置(「○」)で停止操作が行われた場合、パターン1,2に示したように、有効ラインに赤ベル図柄が停止される。一方、第2停止で赤ベル図柄を引き込めない位置(「×」)で停止操作が行われた場合、パターン3,4に示したように、有効ラインにはベル図柄(青ベル図柄や緑ベル図柄を含む)以外の所定の図柄が停止される。ここでは、リプレイ図柄が停止するとしている。パターン3,4の場合は、この時点でベル役の入賞可能性はなくなり、ベルこぼ目の図柄組合せが表示される流れとなる。
次に、第3停止の際の停止図柄を説明する。まず、パターン1では、赤ベル図柄を引き込み可能な位置(「○」)で停止操作が行われるため、第3停止リールの有効ラインに赤ベル図柄が停止される。この結果、全リールの有効ライン(本例では中段ライン)に跨って形成される図柄組合せは「赤ベル−赤ベル−赤ベル」となってベル役が入賞するため、一般状態では6枚のメダルが払い出される。
パターン2は、赤ベル図柄を引き込めない位置(「×」)で停止操作が行われた場合なので、第3停止リールの有効ラインに、ベル図柄(青ベル図柄や緑ベル図柄を含む)以外の所定の図柄として、例えばリプレイ図柄が停止される。このとき、他のベル役の条件装置に対応する図柄組合せ(具体的には条件装置番号2,3番)が成立することを回避するために、青ベル図柄や緑ベル図柄が停止されることはない。この結果、全リールの有効ラインに跨って形成される図柄組合せは、「赤ベル−赤ベル−リプレイ」となり、何れの入賞役とも異なる図柄組合せであるため、メダルの払出は行われない。パターン2で示される「ベルこぼ目」の図柄組合せは、ベル図柄を2個含む態様とされることで、ベル図柄揃い(ベル役入賞)の可能性があったことを遊技者に視覚的に感じさせることができる表示態様といえる。以降では、ベル図柄を2個含む表示態様を「ベル図柄のテンパイ形」と表現することがある。
パターン3は、第2停止の段階でベル役の入賞可能性がなくなったものの、第3停止で赤ベル図柄を引き込み可能な位置(「○」)で停止操作が行われた場合であり、第3停止リールの有効ラインには赤ベル図柄が停止される。この結果、全リールの有効ラインに跨って形成される図柄組合せは、「赤ベル−リプレイ−赤ベル」となり、何れの入賞役とも異なる図柄組合せであるため、メダルの払出は行われない。パターン3で示される「ベルこぼ目」の図柄組合せも、パターン2の「ベルこぼ目」と同様に、ベル図柄のテンパイ形を形成する表示態様であり、ベル図柄揃い(ベル役入賞)の可能性があったことを遊技者に視覚的に感じさせることができる。
パターン4は、パターン3と同様に第2停止の段階でベル役の入賞可能性はなく、さらに第3停止で赤ベル図柄を引き込めない位置(「×」)で停止操作が行われた場合であり、このとき、第3停止リールの有効ラインには、赤ベル図柄以外のベル図柄(具体的には、青ベル又は緑ベル)が停止される。なお、パターン4の第3停止は、第2停止に続いて2回目の「×」位置の停止操作となるが、このときに第3停止リールの有効ラインに停止される図柄は、第2停止の場合と同じくリプレイ図柄であってもよい。但し、後述するように「ベルこぼ目」としての図柄組合せの認識性を高めるためには(つまり、ベル図柄によるテンパイ状態が示される図柄組合せとするためには)、リプレイ図柄ではなく赤ベル図柄以外のベル図柄が停止されることが好ましい。この結果、全リールの有効ラインに跨って形成される図柄組合せは、「赤ベル−リプレイ−青ベル(緑ベル)」となり、何れの入賞役とも異なる図柄組合せであるため、メダルの払出は行われない。パターン4で示される「ベルこぼ目」の図柄組合せは、パターン2,3の「ベルこぼ目」と同様に、ベル図柄のテンパイ形を形成する表示態様であり、ベル図柄揃い(ベル役入賞)の可能性があったことを遊技者に視覚的に感じさせることができる。
なお、図65では、パターン2,3を「ベルこぼ目A」、パターン4を「ベルこぼ目B」としているが、この種別の差異は、適正位置での停止操作に基づくベル図柄の停止個数(具体的には赤ベル図柄の停止個数)によるもので、内部的には分類可能であるが、遊技者視点からは、どの複合ベル役に当選したか知ることができないため、「ベルこぼ目A」と「ベルこぼ目B」とを見分けることはできない。
図65のパターン1〜4に示したような図柄組合せの停止制御の方法についてまとめると、例えば、適正な押し位置で停止操作が行われている間は、優先制御される図柄組合せを構成する図柄(赤ベル図柄)を有効ラインに停止させるようにし、1回目に不適正な押し位置で停止操作が行われた場合は、各色のベル図柄以外の所定の図柄(リプレイ図柄)を有効ラインに停止させるようにし、2回目に不適正な押し位置で停止操作が行われた場合は、優先制御される図柄組合せを構成する図柄とは異なる同一種別の図柄(青ベル図柄や緑ベル図柄)を有効ラインに停止させるようにしている。なお、本例では、押し位置ベル役の当選時に作動する条件装置が工夫されることで、第1停止の時点ではベル役の入賞可能性が消えないようにされているが、例えば、第1停止の時点で不適正な押し位置での停止操作が発生し得るような場合は、上記した停止制御の方法に加え、3回目に不適正な押し位置で停止操作が行われた場合も、2回目に不適正な押し位置で停止操作が行われた場合と同様の図柄(青ベル図柄や緑ベル図柄)を有効ラインに停止させるようにすればよい。このようにすれば、全てのリール停止で不適正な押し位置で停止操作が行われた場合に「リプレイ−青ベル−青ベル」のような図柄組合せを「ベルこぼ目」として表示することができるため、ベル図柄のテンパイ形を形成する表示態様とすることができる。
このように、本実施形態のスロットマシン1では、押し位置ベルに対応する図柄組合せの表示が優先して許容される制御が行われる場合に、適正なタイミングによる停止操作が行われなかったときには、ベル役の入賞を否定するはずれの図柄組合せとして「ベルこぼ目」が表示されるが、その表示態様を、ベル役に入賞する可能性があったことを遊技者に教示可能な表示態様とする(例えば、ベル図柄のテンパイ形が形成される)ことができる。すなわち、本実施形態のスロットマシン1によれば、図65に示すように「ベルこぼ目」の図柄組合せを表示させることで、ベル役の入賞機会を遊技者に示すことができる。
また、ベルこぼ目が表示される場合の遊技媒体の払出については、ベルこぼ目に相当する図柄組合せを条件装置として持ち、ベル役(例えばベル1)の図柄組合せを引き込めない場合には当該ベルこぼ目に相当する条件装置に基づいた図柄組合せを引き込む制御を実行することで、少量のメダルを払い出すようにすることも可能ではあるが、本例では、出玉の全体的なバランス(払出率やベースとも言う)を維持することを考慮した際に、ベルこぼ目の成立時に少量でもメダルの払出が行われるとベースが過剰に高くなってしまうおそれがあるため、払出は行わない(0枚)ようにすることが好ましい。
また、図65に示した例では、不適正な押し位置で停止操作が行われた場合に有効ラインに停止させるベル図柄以外の所定の図柄としてリプレイ図柄を選択したが、これに限定されるものではなく、他の条件装置に対応する図柄組合せに干渉するものでなければ、例えばボーナス図柄(「7」図柄)等であってもよい。ボーナス図柄を停止させることによって、図柄表示窓401内にボーナス図柄が引き込まれる頻度が高まるため、ボーナスを意識しやすい停止出目(図柄組合せ)が表示される機会が高まり、遊技者の興趣を高める効果が期待できる。
[10−1−4.チェリー役]
スロットマシン1には、チェリー役として「チェリー」が用意されている。このチェリー役に対応する図柄の組合せ態様は「チェリー図柄」の並びである(図52参照)。そして、チェリー役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されると、チェリー役に入賞したと判定され、賞として1枚のメダル(規定数が3枚以外のときは15枚)が払い出される。
[10−1−5.スイカ役]
スロットマシン1には、スイカ役として「スイカ」が用意されている。このスイカ役に対応する図柄の組合せ態様は「スイカ図柄」の並びである(図52参照)。そして、スイカ役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されると、スイカ役に入賞したと判定され、賞として5枚のメダル(規定数が3枚以外のときは15枚)が払い出される。
[10−1−6.はずれ]
有効ライン上に表示された図柄組合せが、図51〜52に示された図柄組合せの何れにも該当しない場合は、「はずれ」となる。「はずれ」となった当該ゲームでは、何の役も入賞していないと判定されるため、メダルの付与は行われない。なお、基本的には「はずれ」は、遊技者に対して当該ゲーム及び次回以降のゲームにおいて遊技特典が付与されない役であるが、「はずれ」となったことに基づいて、スロットマシン1における遊技状態の移行判定を行う等しても構わない。例えば、スロットマシン1が複数のRT(リプレイタイム)状態を有するような場合に、「はずれ」が選ばれたことを契機として、一般状態からRT状態への移行判定やRT状態での上位状態への移行判定を行う等することができる。このような場合の「はずれ」役は、どの当選役も選ばれない「はずれ」でありながら、遊技状態の移行判定契機となることで、遊技者にとって有利な遊技特典を付与する役といえる。なお、「はずれ」には、上述の「押し位置小役」を取りこぼしたときに表示される所謂「取りこぼし目」を含んでよい。
以上がスロットマシン1におけるそれぞれの当選役と、それぞれの当選役に対応する図柄の組合せ態様である。
なお、これらの図柄は上記で説明した図柄や図柄の組合せ態様に限定されるものではない。また、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。さらに、上記で述べた当選役は全てを必ず設けることに限定されるものではなく、適宜必要な種類の当選役を選ぶこととしてもよい。
例えば、ボーナス役と小役(又はリプレイ役)との重複当選が設定されてもよい。このような重複役の当選時にどの役の図柄組合せが優先して有効ライン上に表示されるかは、リール停止処理によって制御される。
[10−1−7.押し順小役]
また例えば、上記例で説明した以外の役として、スロットマシン1では、例えば「押し順小役」を備えるようにしてもよい。「押し順小役」とは、リール停止ボタン211a〜211cを押す順番(押し順)が適正であるか否かによって、複数の入賞役に関する条件装置を同時に作動させ、押されたリール停止ボタン211a〜211cによって優先的に引き込む入賞役が決定されているリール停止処理の制御が行われる小役である。このような押し順小役は、AT(アシストタイム)ゲームを採用する場合に備えられることが多く、以下では、AT役として「AT1」〜「AT10」が用意されている場合について説明する。「AT1」〜「AT10」に対応する図柄の組合せ態様は、それぞれ異なる図柄組合せが用意され、適正な押し順(例えば、順押し、中押し、逆押し等)が対応づけられる。そして、内部抽選の結果が「AT1」〜「AT10」のうちのいずれかであるとき、適正な押し順用の図柄組合せを表示可能な条件装置と、非適正な押し順用の図柄組合せを表示可能な条件装置とが作動する。ここで、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されると、作動した適正な押し順用の条件装置に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示され、賞としてメダルが払い出される。一方、適正な押し順でリール停止ボタン211a〜211cが操作されなかった場合は、作動した非適正な押し順用の条件装置に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示される。非適正な押し順用の図柄組合せに少量の払出数が設定されている場合には、当該図柄組合せの表示に応じて少量のメダルが払い出され、単なるハズレの図柄組合せが表示される場合には、メダルの払出は行われない。
なお、押し順小役が用いられるとき、非適正な押し順による停止操作が行われた場合に表示されるはずれの図柄組合せについても、押し位置小役に関して[10−1−3−1]で「ベルこぼ目」について説明した図柄の停止処理を応用して、押し順小役(例えばベル役)に入賞する可能性があったことを遊技者に教示可能な表示態様(例えば、ベル図柄のテンパイ形が形成される)とすることができる。
スロットマシン1では、このような「押し順小役」を備える場合、AT状態(ATゲームが行われる遊技状態)では、押し順の教示又は告知を行うことによって、遊技者に適正な押し順でのリール停止操作を促すことができ、適正な押し順によってメダルを獲得させることができるとともに、非AT状態ではこのような教示又は告知を行わないことで、適正な押し順でのメダル獲得を非確実なものにさせることができ、遊技状態ごとにメダルの期待獲得枚数やメダルの消費ペースに差異をもたらすことができる。
[10−1−8.ボーナスゲーム専用役]
また、図49では、一般状態等でも抽選対象となっているベル役やチェリー役等について、ボーナスゲーム中は異なる当選確率で内部抽選を行うとともに、その入賞に伴う払出数を変更する(BB1RB状態、BB2RB状態では15枚)ようにしたが、他の設定役の一例として、スロットマシン1は、ボーナスゲーム(BB1ゲーム,BB2ゲーム)中だけで抽選対象とされるボーナスゲーム専用役を備えるようにしてもよい。
[11.ゲーム処理]
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図53は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずステップS1では、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
次のステップS2では、投入口203から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAX投入ボタン206(あるいは1枚投入ボタン205)の押下操作により掛け数が決定され、始動レバー210の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの掛け数が決定され、始動レバー210の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。なお、本実施形態のスロットマシン1を、3枚のメダルを投入することによってゲームの実行が可能となる3枚掛け専用機とする場合には、1枚投入ボタン205が備えられなくてもよい。
ステップS3では、ステップS2において操作待ちの状態となった始動レバー210の操作によりゲームをスタートさせるとともに、いずれかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、次のステップS4にて回転を開始する全てのリール301a,301b,301cが停止状態(遊技者の停止操作により停止状態となること)となる前の段階において、いずれかの当選役を当該ゲームの抽選結果とするかを決定するために実行されるものである。すなわち、この抽選の抽選結果がいずれかの当選役に該当する場合に限り、リール301a,301b,301cの停止操作が行われたときに、該当する当選役に対応する図柄組合せが有効ライン上に停止することが許容されるのである。
次にステップS4では、ステップS3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始された時点でリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作を有効とし、リール停止ボタン211a,211b,211cが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリール回転処理が実行されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプは各リール停止ボタン211a,211b,211cにそれぞれ内蔵されるランプである。
ステップS5では、遊技者によるリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられて、その受け付け順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール301a,301b,301cの回転を停止させるリール停止処理を実行する。
次のステップS6では、ステップS5において中段ライン623aを有効ラインとして全てのリール301a,301b,301cが停止状態になったと判定した時点で、有効ライン上に表示された表示内容(図柄の組合せ態様)と、上記のステップS3において決定された内部抽選の結果として許容されているものを照合して当選役の判定を行う判定処理を実行する。
ステップS7では、ステップ6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理を実行する。また当選役がBB1、BB2、RB、SB、リプレイの場合には、それぞれ遊技状態の変更(図49に示される遊技状態間の遷移)や再遊技等の各種遊技特典を付与する。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。ここで、ステップS2(BET処理)、ステップS3(内部抽選処理)、ステップS4(リール回転処理)は、遊技者によって行われる一連の外部操作を契機として内部処理が行われるものである。従って、これらの処理(ステップS2、ステップS3、ステップS4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
[11−1.始動処理]
図54は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。
始動処理では、まずステップS101にてメダルの投入または1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が待ち受けられる。MAXベット操作またはメダル投入があると、ステップS101の判定が満たされ、ステップS102に移る。なお、この判定はMAXベットに相当するメダルの投入(つまり、3枚以上のメダルの投入)やMAXベットとなる1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が有った場合にのみ満たされるものとしている。
次のステップS102では、受付処理として、ベット数(この例ではMAXベットのみ)を決定するとともに、ベット数に応じた有効ラインランプを点灯させる。本実施形態のスロットマシン1では、例えば規定数3枚のとき3枚のメダルが投入されると、中段ライン623aが有効ラインとなり、これを示す有効ラインランプを点灯させる。
ステップS103では、始動レバー210の操作を有効化する。始動レバー210の操作が有効化されると、この始動レバー210の操作が受け付けられるまで操作待ちの状態となり、次のステップS104に移る。
次のステップS104では、始動レバー210の操作が有効化されているか、またその場合は始動レバー210の操作が受け付けられたかを判定する。先のステップS103にて始動レバー210の操作が有効化されている場合、遊技者による始動レバー210の操作が受け付けられると、この判定が満たされ、次のステップS105へ移る。
また、上記のステップS101にて遊技者がベット操作またはメダル投入をしない、あるいはMAXベットに至らないうちはステップS101の判定が満たされず、ステップS104に移る。このときはステップS104の判定も満たされず、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、リプレイゲームでは、新たにメダルのベットを必要としない。これは、後述するリプレイゲーム処理にてMAXベットコマンドがRAM1114に格納されている場合、自動的にMAXベット状態にする。これにより、ステップS101の判定が満たされることになる。
ステップS105では、ステップS104での始動レバー210の操作を受けて、始動レバー210の操作を無効化する。
次にステップS106では、始動レバー210の操作があると、リール301a,301b,301cの回転が開始されるとともに、この始動レバー210の操作に基づいて乱数の抽出を行う。乱数の抽出を行った後、次のステップS107に移る。なお、このときの乱数を抽出するタイミングについては、始動レバー210の操作後直ぐに行ってもよいし、他にも例えば、所定時間(例えば0.5秒後など)後に行うなど、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
ステップS107では、抽出された乱数値(以下では、抽出乱数値という)からいずれの当選役に該当するかの当たり判定(乱数値の照合)を行う。この当たり判定では、後述する当たり値判定テーブルにて抽出乱数値を照合する。ここで行われる乱数値の照合とは、予め決められた当選役の乱数値に、抽出乱数値が該当(合致、一致)するか否かを判定することである。このとき抽出乱数値がいずれかの当選役に該当すると判定された場合、該当する当選役に対応する条件装置をON(=1)にする(図50を参照)。なお、抽出された乱数値と当たり判定テーブルとを照合して行われる当たり判定における各当選役についての当選確率は、図49に示されるとおりである。
そして、フラグ処理では、当該ゲームにて抽出乱数値の照合を行う際に、判定の基準となる当たり値判定テーブルを決定する場合、後述するBBゲーム中フラグなどのゲーム状態フラグを参照して当該ゲームにおける当たり値判定テーブル(抽選テーブル)を決定する。すなわち、当該ゲームにてON(=1)状態となっているゲーム状態フラグ(遊技状態フラグ)に対応する抽選テーブルをセットして抽出乱数値の照合を行う。遊技状態フラグと抽選テーブルの具体的な関係については、[11−3]で詳述する。
一方、ステップS107にて、抽出乱数値がいずれの当選役にも該当しないと判定された場合、いずれの当選役にも該当しない「ハズレ」となり、いずれの条件装置も作動させない(図50を参照)。ここで、いずれかの条件装置がONになっているとき(成立しているとき)には、その成立している条件装置に対応する図柄組合せを揃えることが可能となる。各条件装置に対応する図柄組合せは、図51〜52に示されるとおりである。従って、いずれの条件装置も成立していないハズレである場合は、いずれの当選役に対応する図柄組合せも、有効ライン上に揃えることができないことになる。上記のステップS106及びステップS107はスロットマシン1の内部にて乱数抽選を行ってものであり、以下ではこれらのステップのことを、まとめて内部抽選、あるいは内部抽選を行う等という。なお、この乱数の抽出からフラグ処理までは内部抽選(前述の図53のステップS3)に相当する。
次のステップS108では、前回の始動処理(具体的には当該ゲームの1回前のゲーム)にてスタートさせたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かを判定する。なお、このウェイトタイマと呼ばれるタイマは、当該ゲームにおいてリールの回転が開始されたときから次回のゲームでリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)の経過を計測するものである。ここで、ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合にはこの判定が満たされ、次のステップS109に移る。また、この判定はウェイトタイマがタイムアップするまでループする。
ステップS109では、全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させる。そして全てのリール301a,301b,301cの回転の速さが一定となると、それぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cの操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者はリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が有効になったことを知ることとなる。
なお、スロットマシン1では、回転を開始したリールは遊技者による停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)が受け付けられるまで上記の一定の速さで回転を維持し続けるものである。
次にステップS110では、ウェイトタイマをリセットするとともに、次回の始動処理までウェイトタイマをスタートさせ始動処理は終了となる。
[11−2.内部抽選確率]
上記のとおり、スロットマシン1では、内部抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで該当する当選役(以下では、該当当選役をいう)として許容される。ここで該当当選役が許容されると、該当当選役に対応する条件装置を作動させて、この作動した条件装置の情報は、内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
スロットマシン1では、乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを抽出範囲という)を予め決めておくものである。この抽出範囲は、例えば、0から16383までの整数値(つまり、2の14乗=16384個の乱数)と決めることができる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、抽出範囲の乱数値を、便宜上、0から65535までとするが、これに限られないことはいうまでもない。この乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
上記の抽出範囲内においては、さらにそれぞれの当選役に対応する乱数値が予め割り当てられている。例えば、抽出範囲(本実施形態のスロットマシン1では0から65535)内の乱数値のうち、BB1に対応する乱数値を「1」とすれば、抽出乱数値が「1」となった場合に、内部抽選の結果は「BB1に当選した」ということになり、BB1の条件装置が当該ゲームでの情報コマンドとして処理されることになる。また、これを利用すると、抽出範囲及びBB1に対応する乱数値から、BB1の当選確率(BB1が内部抽選の結果として選び出される確率、抽選確率)を算出することができる。図49の例では、一般状態におけるBB1の当選確率は、〔BB1に対応する乱数値の総個数/抽出範囲内の乱数値の総個数〕が219/65536となり、BB1の当選確率は約1/300となる。
このように全ての当選役にはそれぞれ対応する乱数値が決められており、これらの乱数値は、それぞれの当選役に対応する当たり値と呼ばれる。上記の例(BB1)では、抽出範囲内の乱数値「1」がBB1に対応する当たり値ということになる。また、当たり値が複数存在する場合、例えば、所定役の当たり値を抽出範囲内の連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とすれば、この所定役の当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までのいずれかに該当すると判定される(照合される)と、内部抽選の結果として「所定役に当選した」ということになる。なお、本実施形態のスロットマシン1では、図49に示すように、一の当選役のみに当選する単独役(例えばBB1、スイカ、ベル11等)を用意できるが、これ以外にも、複数の当選役が同時に当選する同時当選役(例えば「RB1+スイカ」、「BB1+ベル2」等)を用意してもよい。このような同時当選役(ボーナス役+小役が同時当選する「重複役」を含む)の当たり値についても、上記の当たり値に含まれる。
このことから全ての当選役はその当たり値の範囲が決められ、内部抽選で抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判定されることになる。このとき、抽出乱数値がいずれの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレ、となる。すなわち、ハズレの当たり値の範囲は、全ての当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
ところで、単独役とは、1つの抽出乱数値に対して1つの当選役が対応するものであり、同時当選役とは、1つの抽出乱数値に対して、複数(この場合2つ)の当選役が対応するものである。つまり、抽出された乱数値が同時当選役の当たり値に該当する場合、複数の当選役のいずれにも当選したということになる。例えば、抽出された乱数値が図49に示された「ベル1+ベル11」に該当する当たり値に該当する場合、前述したフラグ処理(図54のステップS107参照)にて、図50に示されるように、ベル1に対応する条件装置(条件装置番号1,14,27)及びベル11に対応する条件装置(条件装置番号28)を同時に成立させるということである。
また、図49によれば、BB1ゲーム又はBB2ゲームによるボーナスゲーム中は、RB内部状態以外では常に何らかの当選役に当選する(はずれがない)ように設定されており、多量のメダル(例えば15枚)の払出が期待できる当選役(ベル、スイカ、チェリー)の当り値が抽出範囲の大半を占めている。従って、このボーナスゲームが実行されると、ボーナスゲームの実行期間内に多量のメダルが払い出されることとなる。
[11−3.遊技状態の遷移]
図55〜58を参照しながら、本実施形態のスロットマシン1における遊技状態の遷移に関する処理(遊技状態移行制御処理)について説明する。
遊技状態移行制御処理は、メイン基板409に搭載されたCPU1110によって実行される。この処理は、前述した始動処理に含まれる内部抽選処理(図53のステップS3)から開始される。そして、その後、始動処理でリール回転処理(ステップS4)が行われたあと、リール301a〜301cに対する遊技者の停止操作が行われたことに基づいて行われるリール停止処理(ステップS5)、さらにその後の判定処理(ステップS6)及び払出処理(ステップS7)までに掛けて行われる。なお、リール停止処理については、[11−4]で改めて詳述する。
まず、始動処理に関して前述したように、本実施形態のスロットマシン1では、フラグ処理で抽出乱数値の照合を行う際に、ゲーム状態フラグ(遊技状態フラグ)を参照して、現在の遊技状態に対応する当り値判定テーブル(抽選テーブル)を判定の基準に用いる。このような抽選テーブルを決定するために必要なゲーム状態フラグ(遊技状態フラグ)の実現方法の一例として、本例のスロットマシン1では、メイン基板409に搭載されたRAM1114に専用のバッファ(遊技状態バッファ)の格納領域が確保されるとし、当該バッファに設定された値(バッファ値)によって遊技状態フラグが管理されるとする。そして、メイン基板409のCPU1110は、RAM1114の当該バッファに設定(セット)されたバッファ値を参照することによって、当該時点におけるスロットマシン1の遊技状態を認識できるとともに、遊技状態の変化に応じて当該バッファに適切なバッファ値を設定(セット)できる。なお、遊技状態の管理に関してバッファ値を用いることは一例であって、これに限定されるものではなく、何らかの変更及び保持可能な情報によって遊技状態が管理されればよい。
図55は、遊技状態に対応して設定されるバッファ値の一例を示す図である。図55に示す遊技状態は図49の遊技状態に対応しており、各遊技状態は1対1の関係でバッファ値「0」〜「9」に対応付けられる。なお、以下の説明では記載の簡略のために、CPU1110がRAM1114の遊技状態バッファを参照して当該バッファに設定されたバッファ値を参照又は取得することを「バッファを確認する」等と表現し、当該バッファに設定された値が所定値であることを「バッファが所定値である」等と表現し、遊技状態バッファに所定値のバッファ値を設定することを「バッファに所定値をセットする」等と表現する。
図56〜58は、遊技状態移行制御処理の処理手順を示すフローチャート(その1〜3)であり、各処理はメイン基板409のCPU1110によって行われる。一連の遊技状態移行制御処理の概要は以下のようになる。まず、遊技状態の判定が行われ、次に遊技状態に応じた抽選テーブルを用いた役抽選が行われる。これらの処理は、図53のステップS3の処理に相当し、その後リール回転処理(ステップS4)が開始される。そして、リール停止ボタン211a〜211cに対する遊技者の停止操作が行われると、リール301a〜301cの停止処理が役抽選の結果に基づいて行われ(リール停止処理)、有効ライン上に表示された図柄組合せの判定が行われ(停止出目判定処理)、停止出目の判定結果に基づいて、メダルの払出や遊技状態の設定等が行われる。特に、ボーナスゲーム中の場合は、当該ボーナスゲームの終了条件が成立しているか否かの判定が行われ、当該判定結果に応じて遊技状態の再設定が行われる。このようなリール停止処理は、図53のステップS5の処理に相当し、停止出目判定処理は、図53のステップS6の処理に相当し、メダルの払出処理は、図53のステップS7の処理に相当する。
図56において、まず、遊技状態の判定として、バッファが0であるか否かを判定する(ステップS1101)。ステップS1101においてバッファが0の場合、遊技状態が一般状態であることが示されるので、ステップS1102の処理を行う。ステップS1101においてバッファが0ではない場合は、バッファが1であるか否かを判定する(ステップS1103)。
ステップS1103においてバッファが1の場合、遊技状態がBB1内部状態であることが示されるので、ステップS1104の処理を行う。ステップS1103においてバッファが1ではない場合は、バッファが2であるか否かを判定する(ステップS1105)。
ステップS1105においてバッファが2の場合、遊技状態がBB2内部状態であることが示されるので、ステップS1106の処理を行う。ステップS1105においてバッファが2ではない場合は、バッファが3であるか否かを判定する(ステップS1107)。
ステップS1107においてバッファが3の場合、遊技状態がSB状態であることが示されるので、ステップS1108の処理を行う。ステップS1107においてバッファが3ではない場合は、図57の『A1』以降の処理を行う。
遊技状態の判定においてバッファが0と判定されたとき、ステップS1102では、一般状態における役抽選として、抽選テーブル1を用いた内部抽選を行う。一般状態は、ボーナス役の成立状態又はボーナスゲーム中ではない、通常の遊技が行われる遊技状態である。一般状態では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために掛けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、一般状態は、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
また、役抽選の詳細な内容は、図54のステップS106〜S107で説明した通りであり、乱数抽出で抽出された抽出乱数値を抽選テーブル(当り値判定テーブル)を用いて照合することにより、当該抽出乱数値が何れの当選役に該当するかの当り判定(乱数値の照合)を行うものである。ステップS1102では、当たり値判定テーブルとして図49に示す抽選テーブル1を用いて乱数値の照合を行い、何れかの当選役の乱数値に抽出乱数値が該当(合致、一致)すると判定された場合は、該当する当選役に対応する条件装置を作動(ON)させる。各当選役に対応して作動する条件装置は、図50に例示した通りである。このような役抽選は、遊技状態に対応する抽選テーブルを用いて行われるため以降の説明でも出てくるが、これらは用いられる抽選テーブル(当り値判定テーブル)が異なるだけで、処理内容としては同様であるため、繰り返しの記載は省略する。
ステップS1102の役抽選が行われた後は、当該役抽選によって選ばれた当選役にBB1が含まれているか否かを判定し(ステップS1109)、BB1に当選した場合は、バッファに1をセットすることによって遊技状態をBB1内部状態とし(ステップS1110)、ステップS1118の処理に進む。ステップS1109においてBB1に当選していなかった場合は、当該役抽選によって選ばれた当選役にBB2が含まれているか否かを判定し(ステップS1111)、BB2に当選した場合は、バッファに2をセットすることによって遊技状態をBB2内部状態とし(ステップS1112)、ステップS1118の処理に進む。ステップS1111においてBB2にも当選していないかった場合は、バッファを書き換えることなくステップS1118の処理に進む。
遊技状態の判定においてバッファが1と判定されたとき、ステップS1104では、BB1内部状態における役抽選として、抽選テーブル2を用いた内部抽選を行う。ステップS1104におけるBB1内部状態は、先の一般状態のゲームにおける内部抽選の結果、BB1のボーナス役の当選状態が内部的に成立している遊技状態である。前述したように、内部抽選においてボーナス役(BB1,BB2,SB)に当選すると、当該ボーナス役に対応する条件装置が作動するが、SBを除くボーナス役(BB1,BB2)に対応する条件装置は、内部抽選に当選したゲームにおいて当該ボーナス役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されなかったとしても、次ゲーム以降において当該ボーナス役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されるまで継続して作動する(ボーナスフラグの持ち越し)。そして、当該ボーナス役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されたと判断されると、ボーナス状態に移行して、ボーナスゲームが実行される。すなわち、BB1内部状態は、BB1のボーナスフラグが持ち越された遊技状態であり、ステップS1104では、ボーナス役(BB1,BB2,SB)が抽選対象に含まれない抽選テーブル2を用いて役抽選が行われる。
遊技状態の判定においてバッファが2と判定されたとき、ステップS1106では、BB2内部状態における役抽選として、抽選テーブル3を用いた内部抽選を行う。BB2内部状態は、BB2のボーナスフラグが持ち越された遊技状態であり、ステップS1106では、ボーナス役(BB1,BB2,SB)が抽選対象に含まれない抽選テーブル3を用いて役抽選が行われる。
そして、ステップS1104,S1106における役抽選ではボーナス役の抽選が行われないので、当該役抽選の後にボーナス役の当選を確認する必要はなく、ステップS1104,S1106の後はステップS1118の処理に進む。
遊技状態の判定においてバッファが3と判定されたとき、ステップS1108では、SB状態における役抽選として、抽選テーブル4を用いた内部抽選を行う。SB状態は、先のゲームでSB役に当選してSB役が入賞した後の遊技状態であり、1ゲームの間SBゲームが行われる。SBゲームで用いられる抽選テーブル4を一般状態で用いられる抽選テーブル1と比較すると、実質的な押し位置小役である「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」が抽選対象から外れる一方で、押し位置不問小役であるベル10及びベル11が抽選対象に含まれ、さらに、チェリー役及びスイカ役の当選確率が高められる。
ステップS1108の役抽選が行われた後は、当該役抽選によって選ばれた当選役にBB1が含まれているか否かを判定し(ステップS1113)、BB1に当選した場合は、バッファに1をセットすることによって遊技状態をBB1内部状態とし(ステップS1114)、ステップS1118の処理に進む。ステップS1113においてBB1に当選していなかった場合は、当該役抽選によって選ばれた当選役にBB2が含まれているか否かを判定し(ステップS1115)、BB2に当選した場合は、バッファに2をセットすることによって遊技状態をBB2内部状態とし(ステップS1116)、ステップS1118の処理に進む。ステップS1113においてBB2にも当選していないかった場合は、バッファに0をセットすることによって遊技状態を一般状態とし(ステップS1117)、ステップS1118の処理に進む。
スロットマシン1は、図56のステップS1117までの処理が行われた後にリール301a〜301cの回転を開始する(図54のステップS109参照)。ステップS1117までの処理がリール回転処理の前に完了することによって、役抽選の結果に応じてリールのフリーズ制御等を実行にすることもできる。その後、押下操作有効になったリール停止ボタン211a〜211cに対して遊技者の停止操作が行われたことを契機として、ステップS1118以降に示すリール停止処理、停止出目判定処理、及び払出処理等を行う。
リール停止処理では、役抽選の結果に基づいて作動している条件装置のうち、少なくとも何れかの条件装置に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されることを許容するようにリール301a〜301cの停止位置が制御される。そして、本実施形態のスロットマシン1では、リール停止処理は、遊技状態ごとに定められる引き込み制御のもとで行われる。より具体的には、複数の当選役が同時成立している場合に、何れの当選役の図柄組合せの有効ラインへの引き込みを優先させるかという優先基準(優先順位)が、遊技状態に応じた引き込み制御として定められている。このような本実施形態のスロットマシン1におけるリール停止処理については[11−4]で、特に引き込み制御については[11−4−1]で、図59,60を参照しながら詳述する。
停止出目判定処理では、図柄表示窓401内の有効ライン(本例では中段ライン623a)に当選役図柄が揃っているか(当選役に該当する図柄の組合せ態様が表示されているか)否かについて判定を行う。なお、特に全てのリールが停止状態となった場合の停止目のことは出目と呼ばれることがある。
払出処理では、停止出目判定処理によって当選役の入賞が確認された場合に、当該入賞した当選役(入賞役)に応じた規定枚数のメダルを払い出す処理を行う。例えば、停止出目判定処理において有効ライン上に小役図柄が揃っていると判定された場合、払出処理では、メダル放出装置110より当該小役図柄に応じた規定枚数のメダルの払出を実行するとともに、メダルの払出枚数を払出枚数表示LED612に表示する。このような表示が行われることで、遊技者には当該小役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
また、停止出目判定処理において有効ライン上にリプレイ図柄が揃っていると判定された場合は、リプレイゲーム処理が実行される。リプレイゲーム処理はメダルの払出を伴うものではないため、厳密には払出処理ではないが、簡便のために本例では払出処理に含めて説明する。リプレイゲーム処理では、当該ゲームでのベット数と同じベット数(例えば3枚掛け(MAXベット))にて次回のゲームを開始させるために、MAXベットコマンドをRAM1114に一旦記憶させる。このコマンドに基づき、次回のゲームを再遊技として開始させることができる。
ステップS1118以降の処理の流れを具体的に説明する。まず、ステップS1118では、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるとき、バッファが1であるか否かを判定する。
ステップS1118においてバッファが1である場合は、BB1図柄を極力引き込もうとする引き込み制御のもとでリール停止処理を行う(ステップS1119)。次いで、ステップS1120では、ステップS1119のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。さらにこのとき、内部的に当選状態が成立しているBB1の図柄組合せ(「赤7」図柄揃い)が有効ライン上に表示されたか否かを判定し(ステップS1121)、BB1の図柄組合せが表示された場合は、バッファに4をセットすることによって遊技状態をBB1一般状態とし(ステップS1122)、リターンする。ステップS1121でBB1の図柄組合せが表示されなかった場合は、BB1の当選状態(BB1フラグ)が次ゲーム以降に持ち越されるため、バッファを再設定することなく、BB1内部状態を示す「1」をセットしたままリターンする。
一方、ステップS1118においてバッファが1ではなかった場合は、バッファが2であるか否かを判定し(ステップS1123)、バッファが2である場合は、BB2図柄を極力引き込もうとする引き込み制御のもとでリール停止処理を行う(ステップS1124)。次いで、ステップS1125では、ステップS1124のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。さらにこのとき、内部的に当選状態が成立しているBB2の図柄組合せ(「青7」図柄揃い)が有効ライン上に表示されたか否かを判定し(ステップS1126)、BB2の図柄組合せが表示された場合は、バッファに7をセットすることによって遊技状態をBB2一般状態とし(ステップS1127)、リターンする。ステップS1126でBB2の図柄組合せが表示されなかった場合は、BB2の当選状態(BB2フラグ)が次ゲーム以降に持ち越されるため、バッファを再設定することなく、BB2内部状態を示す「2」をセットしたままリターンする。
また、ステップS1123においてバッファが2でもなかった場合は、バッファが0の一般状態であり(ステップS1128)、一般状態用の引き込み制御のもとでリール停止処理を行う(ステップS1129)。次いで、ステップS1130では、ステップS1129のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。さらにこのとき、SBの図柄組合せ(図52に示した条件装置番号32の図柄組合せ)が有効ライン上に表示されたか否かを判定し(ステップS1131)、SBの図柄組合せが表示された場合は、バッファに3をセットすることによって遊技状態をSB状態とし(ステップS1132)、リターンする。ステップS1131でSBの図柄組合せが表示されなかった場合は、バッファを再設定することなく、一般状態を示す「0」をセットしたままリターンする。
次に、図57に示す処理について説明する。図57に示す処理は、図56のステップS1107でバッファ値の確認が行われた結果、遊技状態の判定結果として当該バッファ値が0〜3の何れにも該当しなかった場合に移行する『A1』に続く処理である。
ステップS1201では、図56のステップS1101,S1103,S1105,S1107で行われた遊技状態の判定の続きとして、バッファが4であるか否かを判定する。ステップS1201においてバッファが4の場合、遊技状態がBB1一般状態であることが示されるので、ステップS1202の処理を行う。ステップS1201においてバッファが4ではない場合は、バッファが5であるか否かを判定する(ステップS1203)。
そして、ステップS1203においてバッファが5の場合、遊技状態がBB1RB状態であることが示されるので、ステップS1204の処理を行う。ステップS1203においてバッファが5ではない場合は、バッファが6であるか否かを判定する(ステップS1205)。
そして、ステップS1205においてバッファが6の場合、遊技状態がBB1RB内部状態であることが示されるので、ステップS1206の処理を行う。ステップS1205においてバッファが6ではない場合は、図58の『B1』以降の処理を行う。
遊技状態の判定においてバッファが4と判定されたとき、ステップS1202では、BB1一般状態における役抽選として、抽選テーブル5を用いた内部抽選を行う。BB1一般状態は、BB1ゲームの一般状態(RBが内部的に成立している状態でもなく、RBゲーム状態でもない)であり、ステップS1202では、はずれが抽選対象に含まれない抽選テーブル5を用いて役抽選が行われる。BB1一般状態における役抽選によれば、はずれが選ばれることがなく、リプレイ役に当選した場合は再遊技が行われ、BB中RBに当選した場合にはRBゲームの権利が得られ、その他の当選役(ベル役、チェリー役、スイカ役)に当選した場合には対応する図柄組合せが有効ライン上に停止され得ることでメダルの獲得に期待できる。すなわち、BB1一般状態は、一部の遊技結果(具体的には、押し位置ベルで不適正な押し位置操作を行った場合)を除けば、遊技者にとって不利益が発生しない有利遊技状態である。なお、この他のBB1やBB2に関するボーナスゲームの各状態(BB2一般状態、BB1RB内部状態、BB2RB内部状態、BB1RB状態、BB2RB状態)についても、遊技者にとって利益付与の度合いが大きい有利遊技状態と言える。
ステップS1202の役抽選が行われた後は、当該役抽選によって選ばれた当選役にRBが含まれているか否かを判定する(ステップS1207)。
ステップS1207でRBに当選したと判定した場合は、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、RB図柄を極力引き込もうとする引き込み制御のもとでリール停止処理を行う(ステップS1208)。次いで、ステップS1209では、ステップS1208のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。さらにこのとき、RBの図柄組合せ(「BAR」図柄揃い)が有効ライン上に表示されたか否かを判定し(ステップS1210)、RBの図柄組合せが表示された場合は、バッファに5をセットすることによって遊技状態をBB1RB状態とし(ステップS1211)、ステップS1224の処理に進む。ステップS1210でRBの図柄組合せが表示されなかった場合は、RBの当選状態(RBフラグ)が次ゲーム以降に持ち越されるため、バッファに6をセットすることによって遊技状態をBB1RB内部状態として(ステップS1212)、ステップS1224の処理に進む。
一方、ステップS1207でRBに当選していないと判定した場合は、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、BB1一般状態用の引き込み制御(具体的には、ステップS1202の役抽選による当選役に対応する図柄組合せを引き込み可能な制御)のもとでリール停止処理を行う(ステップS1213)。次いで、ステップS1214では、ステップS1213のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。その後、ステップS1224の処理に進む。
遊技状態の判定においてバッファが5と判定されたとき、ステップS1204では、BB1RB状態における役抽選として、抽選テーブル6を用いた内部抽選を行う。BB1RB状態は、BB1ゲーム中にRB図柄が揃った場合に移行するRBゲーム用の遊技状態である。前述したように、BB1RB状態ではメダルの掛け数(規定数)は1枚となり、BB1RB状態における役抽選によれば、押し位置不問小役であるベル10に必ず当選する。
ステップS1204の役抽選の後、リール301a〜301cは回転状態となり、そして、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、BB1RB状態用の引き込み制御(具体的には、ベル10の当選に基づいて必ず小物1〜27の何れかの図柄組合せを引き込み可能な制御)のもとでリール停止処理を行う(ステップS1215)。次いで、ステップS1216では、ステップS1215のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。ここで、本例における規定数1枚のBB1RB状態(RBゲーム)では、役抽選で必ずベル10に単独当選し、押し位置に関係なく必ずベル役が入賞することから、15枚のメダルが必ず払い出される。
次に、ステップS1217では、RBの終了判定処理が行われる。RBの終了判定処理では、予め定められたRB終了条件が成立したか否かが判定され(ステップS1218)、RB終了条件が成立していた場合は、バッファに4をセットすることによってBB1一般状態とし(ステップS1219)、ステップS1224の処理に進む。また、ステップS1218でRB終了条件が成立していない場合は、バッファを書き換えることなく、BB1RB状態のままステップS1224の処理に進む。
ここで、RB終了条件について説明する。本例におけるRB終了条件は、BB1RB状態及びBB2RB状態で同じ条件とし、具体的には、BB1RB状態(又はBB2RB状態)に制御されたRBゲームにおいて、規定役(ベル役)に8回入賞するか、12回のゲームが行われるかの何れかを満たすこと、とする。図49に例示した抽選テーブル6(又は抽選テーブル9)によれば、RBゲームの役抽選では押し位置不問小役のベル10が必ず当選役として選ばれるため、RBゲームが8ゲーム行われることで上記のRB終了条件が成立することになるが、例えば、抽選テーブルの抽選対象が押し位置不問ベル以外の小役やはずれを含む場合には、12回のRBゲームが行われたことによってRB終了条件が成立することもある。なお、このようなRB終了条件は一例であり、入賞回数や総ゲーム数、さらには対象とする入賞役の設定等は、適度な遊技性を逸脱しない範囲で任意に設定することができる。
遊技状態の判定においてバッファが6と判定されたとき、ステップS1206では、BB1RB内部状態における役抽選として、抽選テーブル7を用いた内部抽選を行う。BB1RB内部状態は、先のゲームにおいてBB1ゲーム中に「BB中RB」に当選してRBゲームに移行する権利が得られたもののRB役が入賞せず、RB役の当選状態(RBフラグ)が内部的に成立したまま持ち越された遊技状態である。前述したように、RB役の図柄組合せは「BAR図柄」の揃いであるが、図46に例示したように、各リールにおける「BAR図柄」は、どの押し位置でも引き込める程度には配置されておらず、適正な押し位置で停止操作を行わなければRB役を入賞しないようにされている。但し、RB役を入賞できなくても、RB役の当選状態はRB役の図柄組合せが有効ラインに表示されるまで継続して維持される。ステップS1206では、「BB中RB」及びボーナス役(BB1,B2,SB)が抽選対象に含まれない抽選テーブル7を用いて役抽選が行われる。
ステップS1206の役抽選の後、リール301a〜301cは回転状態となり、そして、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、BB1RB内部状態用の引き込み制御のもとでリール停止処理を行う(ステップS1220)。次いで、ステップS1221では、ステップS1220のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。さらにこのとき、RBの図柄組合せ(「BAR」図柄揃い)が有効ライン上に表示されたか否かを判定し(ステップS1222)、RBの図柄組合せが表示された場合は、バッファに5をセットすることによって遊技状態をBB1RB状態とし(ステップS1223)、ステップS1224の処理に進む。ステップS1222でRBの図柄組合せが表示されなかった場合は、RBの当選状態(RBフラグ)が次ゲーム以降に持ち越されるため、BB1RB内部状態を維持して(バッファは「6」のまま)、ステップS1224の処理に進む。
そして、ステップS1224では、BB1の終了判定処理が行われる。図57を参照すれば、ステップS1224の処理が行われる場合、バッファの値は「4(BB1一般状態)」、「5(BB1RB状態)」、又は「6(BB1RB内部状態)」の何れかであり、何れもBB1ゲーム中の遊技状態に相当する。このような遊技状態において、予め定められたBB1の終了条件が成立したか否かを判定し(ステップS1225)、当該終了条件が成立した場合には、BB1ゲームは終了となるので、バッファに0をセットすることによって遊技状態を一般状態として(ステップS1226)、リターンする(『A2』はリターンに同義)。また、BB1の終了条件が成立していない場合は、BB1ゲームは継続となるので、バッファを再設定することなくリターンする。
ここで、BB1終了条件について説明する。本例におけるBB1終了条件は、一例として、「BB1ゲームにおけるメダルの払出総数が465枚を超えること」とする。メイン基板409は、一連のBB1ゲームにおけるメダルの払出数の累計をRAM1114に記憶するようにしておき、ステップS1225では、このように記憶されたメダルの払出数の累計(払出総数)が465を超えているか否かを判定することによって、BB1終了条件が成立したか否かを判定する。また、進行中のBB1ゲーム(BB2ゲームやRBゲームでも同様)における払出総数は、払出枚数表示LED612等に表示されるようにしてもよいし、別途、表示用のLED等を設けて表示されるようにしてもよい。なお、このようなBB1終了条件は一例に過ぎず、他にも、BB1ゲームで払い出されたメダルの枚数(OUT枚数)からBB1ゲームで消費されたメダルの枚数(IN枚数)を差し引いた純増枚数を終了条件に設定してもよく、さらに、払出総数や純増枚数の終了条件の規定枚数を、適度な遊技性を逸脱しない範囲で任意に設定する等してもよい。また、BB1ゲーム中にRBゲームに移行する回数に上限を設けて終了条件に追加する等してもよい。また、後述するBB2終了条件についても、BB1終了条件と同様の思想で定義されるものと考えてよいが、本例におけるBB2終了条件は、「BB2ゲームにおけるメダルの払出総数が105枚を超えること」、としており、ボーナスゲームで獲得可能なメダルの枚数はBB1ゲームの方がBB2ゲームよりも多く設定されている。
次に、図58に示す処理について説明する。図58に示す処理は、図57のステップS1205でバッファ値の確認が行われた結果、遊技状態の判定結果として当該バッファ値が0〜6の何れにも該当しなかった場合に移行する『B1』に続く処理である。
ステップS1301では、図56のステップS1101,S1103,S1105,S1107、及び図57のステップS1201,S1203,S1205で行われた遊技状態の判定の続きとして、バッファが7であるか否かを判定する。ステップS1301においてバッファが7の場合、遊技状態がBB2一般状態であることが示されるので、ステップS1302の処理を行う。ステップS1301においてバッファが7ではない場合は、バッファが8であるか否かを判定する(ステップS1303)。
そして、ステップS1303においてバッファが8の場合、遊技状態がBB2RB状態であることが示されるので、ステップS1304の処理を行う。ステップS1303においてバッファが8ではない場合は、バッファが9であるとして(ステップS1305)、ステップS1319以降の処理を行う。
なお、図56〜58では、図55に示したように遊技状態バッファに設定される値が「0」〜「9」の何れかであるという前提で処理を説明しているが、エラー状態を検知するために、ステップS1305においてバッファが9であるか否かを判定し、9であることを確認した場合のみステップS1319以降の処理を行うようにしてもよい。なお、この判定でバッファが9ではなかった場合は、遊技状態バッファに対する異常を検知したとして、所定のエラー処理を行うことが好ましい。具体的なエラー処理としては例えば、現在の遊技状態移行制御処理を強制的に中断し、エラーランプ604の点灯やその他のLEDやスピーカ等を使用してエラー発生を報知する。
遊技状態の判定においてバッファが7と判定されたとき、ステップS1302では、BB2一般状態における役抽選として、抽選テーブル8を用いた内部抽選を行う。BB2一般状態は、BB2ゲームの一般状態(RBが内部的に成立している状態でもなく、RBゲーム状態でもない)であり、ステップS1302では、はずれが抽選対象に含まれない抽選テーブル8を用いて役抽選が行われる。BB2一般状態における役抽選によれば、はずれが選ばれることがなく、リプレイ役に当選した場合は再遊技が行われ、BB中RBに当選した場合にはRBゲームの権利が得られ、その他の当選役(ベル役、チェリー役、スイカ役)に当選した場合には対応する図柄組合せが有効ライン上に停止され得ることでメダルの獲得に期待できる。すなわち、BB2一般状態は、一部の遊技結果(具体的には、押し位置ベルで不適正な押し位置操作を行った場合)を除けば、遊技者にとって不利益が発生しない有利遊技状態である。
ステップS1302の役抽選が行われた後は、当該役抽選によって選ばれた当選役にRBが含まれているか否かを判定する(ステップS1306)。
ステップS1306でRBに当選したと判定した場合は、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、RB図柄を極力引き込もうとする引き込み制御のもとでリール停止処理を行う(ステップS1307)。次いで、ステップS1308では、ステップS1307のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。さらにこのとき、RBの図柄組合せ(「BAR」図柄揃い)が有効ライン上に表示されたか否かを判定し(ステップS1309)、RBの図柄組合せが表示された場合は、バッファに8をセットすることによって遊技状態をBB2RB状態とし(ステップS1310)、ステップS1324の処理に進む。ステップS1309でRBの図柄組合せが表示されなかった場合は、RBの当選状態(RBフラグ)が次ゲーム以降に持ち越されるため、バッファに9をセットすることによって遊技状態をBB2RB内部状態として(ステップS1311)、ステップS1324の処理に進む。
一方、ステップS1306でRBに当選していないと判定した場合は、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、BB2一般状態用の引き込み制御(具体的には、ステップS1302の役抽選による当選役に対応する図柄組合せを引き込み可能な制御)のもとでリール停止処理を行う(ステップS1312)。次いで、ステップS1313では、ステップS1312のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。その後、ステップS1324の処理に進む。
遊技状態の判定においてバッファが8と判定されたとき、ステップS1304では、BB2RB状態における役抽選として、抽選テーブル9を用いた内部抽選を行う。BB2RB状態は、BB2ゲーム中にRB図柄が揃った場合に移行するRBゲーム用の遊技状態である。前述したように、BB2RB状態ではメダルの掛け数(規定数)は1枚となり、BB2RB状態における役抽選によれば、押し位置不問小役であるベル10に必ず当選する。
ステップS1304の役抽選の後、リール301a〜301cは回転状態となり、そして、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、BB2RB状態用の引き込み制御(具体的には、ベル10の当選に基づいて必ず小物1〜27の何れかの図柄組合せを引き込み可能な制御)のもとでリール停止処理を行う(ステップS1314)。次いで、ステップS1315では、ステップS1314のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。ここで、本例における規定数1枚のBB2RB状態(RBゲーム)では、役抽選で必ずベル10に単独当選し、押し位置に関係なく必ずベル役が入賞することから、15枚のメダルが必ず払い出される。
次に、ステップS1316では、RBの終了判定処理が行われる。RBの終了判定処理では、予め定められたRB終了条件が成立したか否かが判定され(ステップS1317)、RB終了条件が成立していた場合は、バッファに7をセットすることによってBB2一般状態とし(ステップS1318)、ステップS1324の処理に進む。また、ステップS1317でRB終了条件が成立していない場合は、バッファを書き換えることなく、BB2RB状態のままステップS1324の処理に進む。なお、RB2ゲームにおけるRBの終了条件については、RB1ゲームにおけるRBの終了条件(図57のステップS1218)で説明した通りである。
遊技状態の判定においてバッファが9と判定されたとき、ステップS1319では、BB2RB内部状態における役抽選として、抽選テーブル10を用いた内部抽選を行う。BB2RB内部状態は、先のゲームにおいてBB2ゲーム中に「BB中RB」に当選してRBゲームに移行する権利が得られたもののRB役が入賞せず、RB役の当選状態(RBフラグ)が内部的に成立したまま持ち越された遊技状態である。前述したように、RB役の図柄組合せは「BAR図柄」の揃いであるが、図46に例示したように、各リールにおける「BAR図柄」は、どの押し位置でも引き込める程度には配置されておらず、適正な押し位置で停止操作を行わなければRB役を入賞しないようにされている。但し、RB役を入賞できなくても、RB役の当選状態はRB役の図柄組合せが有効ラインに表示されるまで継続して維持される。ステップS1319では、「BB中RB」及びボーナス役(BB1,B2,SB)が抽選対象に含まれない抽選テーブル10を用いて役抽選が行われる。
ステップS1319の役抽選の後、リール301a〜301cは回転状態となり、そして、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、BB2RB内部状態用の引き込み制御のもとでリール停止処理を行う(ステップS1320)。次いで、ステップS1321では、ステップS1320のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。さらにこのとき、RBの図柄組合せ(「BAR」図柄揃い)が有効ライン上に表示されたか否かを判定し(ステップS1322)、RBの図柄組合せが表示された場合は、バッファに8をセットすることによって遊技状態をBB2RB状態とし(ステップS1323)、ステップS1324の処理に進む。ステップS1322でRBの図柄組合せが表示されなかった場合は、RBの当選状態(RBフラグ)が次ゲーム以降に持ち越されるため、BB2RB内部状態を維持して(バッファは「9」のまま)、ステップS1324の処理に進む。
そして、ステップS1324では、BB2の終了判定処理が行われる。図57を参照すれば、ステップS1324の処理が行われる場合、バッファの値は「7(BB2一般状態)」、「8(BB2RB状態)」、又は「9(BB2RB内部状態)」の何れかであり、何れもBB2ゲーム中の遊技状態に相当する。このような遊技状態において、予め定められたBB2の終了条件が成立したか否かを判定し(ステップS1325)、当該終了条件が成立した場合には、BB2ゲームは終了となるので、バッファに0をセットすることによって遊技状態を一般状態として(ステップS1326)、リターンする(『B2』はリターンに同義)。また、BB2の終了条件が成立していない場合は、BB2ゲームは継続となるので、バッファを再設定することなくリターンする。なお、BB1終了条件で説明した通り(図57のステップS1225)、本例におけるBB2終了条件は、「BB2ゲームにおけるメダルの払出総数が105枚を超えること」としている。
以上、図56〜58に示した処理を実行することによって、本実施形態のスロットマシン1における遊技状態の移行を制御することができる。なお、スロットマシン1が、例えばRT(リプレイタイム)やART(アシストリプレイタイム)等を備えるとする場合は、上述してきた一般状態、BB1状態、BB2状態、SB状態等の他に、RT状態やチャンスRT状態等を追加で用意する必要があるが、これらの遊技状態の移行制御は、図56〜58に示した処理を流用して、また必要に応じて一般的な状態の移行制御を追加すれば実現可能であり、詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、遊技状態移行制御処理が行われる際に、メイン基板409から内部抽選の結果情報が情報コマンドとして演出制御基板510のCPU1118に向けて出力される。メイン基板409から出力された内部抽選の結果情報を受信した演出制御基板510のCPU1118は、この結果情報に基づいて、例えば画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いた演出を実行する手段を備える。このような内部抽選の結果情報に基づいた演出の実行例としては、例えば、ボーナス役の当選告知がある。また、その他にも例えば、スロットマシン1がATやARTを備えた遊技機とされる場合に、押し位置小役や押し順小役の当選時に、適正な操作方法を教示することもできる。具体的には、押し位置ベルに当選したときに、何色の「ベル図柄」を狙えばよいかを教示したり、押し順ベルに当選したときに、どの順番でリール301a〜301cを停止させればよいかを教示したりできる。画像表示体500又は/及びスピーカ512を用いてこのような教示が行われる場合には、当選役に対応する図柄組合せを有効ライン上に表示させることが遊技者にとって容易となり、入賞に基づくメダルの獲得に期待できることから、遊技者に有利な遊技状態を実現することができる。
また、スロットマシン1には複数の設定値(例えば設定値1から4までの4段階)を設けることができる(それぞれ図示はしない)。そして、それぞれの設定値では内部抽選確率に格差(段階的な差、極端な差など)がつけられている。この設定値は、設定値1<設定値2<設定値3<設定値4、というように設定値が高くなるほどボーナス当選役やその他の特定役の内部抽選確率が優遇されるようにするとよい。例えば、設定値1に比べると設定値4ではBB1の当選確率が高く決められているのでBB1に当選する可能性が高いといったようなことである。このように段階的な設定値を設けることにより、設定値ごとに特徴を持たせて遊技者が設定値の推測する際の手掛かりとしたり、ホール等の経営に合わせた設定値にてスロットマシン1の運用をしたり、といったことが可能となる。なお、上記のような設定値に限られることはない。
[11−4.リール停止処理]
以下では、リール停止処理について詳しく説明する。図54に示した始動処理が終了すると、一定速度で回転を続けているリールを停止させるための操作(停止操作、つまりリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)待ちの状態となる。図59では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。以下では、リール停止制御の処理の流れを説明する。
リール停止処理では、まずステップS201で、当該ゲームでの内部抽選の結果に対応して作動した条件装置にしたがってリール停止制御テーブルを選択する。このリール停止制御テーブルは予め全ての条件装置に1対1で対応するパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に格納されている。
上記のステップS201にて成立している条件装置に基づいてリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS202,S210,S217)。これらの待ち受け状態で、左リール301a、中リール301b、右リール301cの各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかが押下されたかについても判定する。全てのリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまでは、ステップS209の判定が満たされず、ステップS202以降の処理を繰り返す。
ここで、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の受け付けられた順番(停止操作手順)を、それぞれ「順押し」、「逆押し」、「中押し」と呼ばれる停止操作手順(または押し順ともいう)に分ける。
上記の「順押し」の停止操作手順とは、左リール301aを第1番目に停止させる操作手順(つまり、左リール停止ボタン211aを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 左リール→中リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 左リール→右リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「順押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「はさみ押し」とも呼ばれる場合もある。
上記の「逆押し」の停止操作手順とは、「順押し」と反対に右リール301cを第1番目に停止させる操作手順(つまり、右リール停止ボタン211cを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 右リール→中リール→左リール 〕、
あるいは、
〔 右リール→左リール→中リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「逆押し」と呼ぶ。なお、後者の停止操作手順は特に「逆はさみ押し」とも呼ばれる場合もある。
上記の「中押し」の停止操作手順とは、中リール301bを第1番目に停止させる操作手順(つまり、中リール停止ボタン211bを第1番目に押下操作する手順)のことをいい、第2番目以降に停止させるリールの操作順番より、
〔 中リール→左リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 中リール→右リール→左リール 〕となる2つの停止操作手順にさらに分けられる。これら2つをまとめて「中押し」と呼ぶ。
ステップS202では、左リール301aが停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リール停止ボタン211aの押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS201で、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リール停止ボタン211aが押下されたとすると、ステップS202の判定が満たされ、ステップS203に移る。
ステップS203では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。ここでいう「第1リール」とは第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。この例(「順押し」)では、左リール301aの停止操作が第1番目に受け付けられるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。従って、ステップS203の判定は満たされ、次のステップS204に移る。
次のステップS204では、左リール301aについて第1リール停止処理が行われる。この第1リール停止処理では、作動している条件装置に対応するリール停止制御テーブルに基づいて内部抽選フラグに対応する当選役図柄の停止位置の制御を実行する。
ステップS206では、残りの中リール301b、右リール301cのリール停止制御テーブルを決定する。前述のとおり、スロットマシン1の有効ラインは右上がりラインと右下がりラインとの2ラインのみであるため、この時点で残りのリール(中リール301b、右リール301c)の停止制御テーブルは1つに決定することができる。つまり、第1停止リール(この場合は左リール301a)の図柄表示窓401内の図柄(これを停止目と呼ぶ、以下同様)のうち特に上段位置または下段位置の図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール301b、右リール301c)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
ステップS207では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS208に移る。
次いでステップS208では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS209に移る。
そして、ステップS209では、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがONとなっただけであり、中リール301b及び右リール301cはまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS202に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
そして、再びステップS202以降の処理が実行される場合、すでに左リール301aは停止状態となっているのでステップS202の判定は満たされず、ステップS210に移る。
ステップS210では、中リール301bが停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられることとなる。従って、ステップS210の判定が満たされ、次のステップS211に移る。
ステップS211では、上記のステップS203と同様に第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS213に移る。
ステップS213では、中リール停止処理として、作動している条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は上記のステップS206で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール301bは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS212,S214,S215は全て迂回され、ステップS216に移り、中リール停止フラグMFをON(MF=1)としてステップS209に移る。
そして、再度ステップS209では、左リール301a及び中リール301bが停止状態となっただけであり、まだ右リール301cは回転中で停止状態(右リール停止フラグRFがOFFとなっている)となっていないので、この判定が満たされず、ステップS202に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS202以降の処理では、先ずステップS217で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、なおかつ、右リール停止ボタン211cの押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS218,S220等の処理は、上記のステップS210以降の処理(ステップS211,S213)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS223にて、右リール停止フラグRFをON(MF=1)として、ステップS209に移る。
最後にステップS209では、この時点において、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となっていることから、この判定が満たされ、リール停止処理が終了する。
なお、「中押し」の停止操作手順の場合も上記と同様の説明ができるため詳細は省略する。ただし、「逆押し」の停止操作手順の場合は上記の説明と一部異なる点があるため、以下に説明する。
「逆押し」の停止操作手順で、上記の「順押し」あるいは「中押し」の停止操作手順と異なる点は、ステップS221(第1リール停止処理の後に残りのリール停止制御テーブルの決定)についてである。すなわち、「逆押し」の停止操作手順では、右リール301cのみが停止状態となり、なおかつ、右リール301cの停止目のうち、下段位置にいずれかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。従って、ステップS221の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
[11−4−1.リール停止制御]
上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選役図柄(該当当選役図柄)を極力図柄表示窓401内に引き込むリール停止制御を行う(いわゆる、引き込み制御といわれる)。具体的には、遊技者によるリールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に停止させることが可能な範囲(該当当選役図柄を引き込むことが可能な範囲、例えば、図柄4個分)を予め決めておき、その範囲内に該当当選役図柄がある場合、これを図柄表示窓401内に引き込んでリールを停止させる制御を実行する。なお、ここでいう「引き込むことが可能な範囲」とは、リールの停止操作が受け付けられてから当該リールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数のことをいう。例えば、引き込み可能な範囲を最大で図柄4個分とすれば、当該リールの停止操作が受け付けられた場合、その位置を基点にしてさらに図柄4個分までリールの回転移動が可能となる。また、該当当選役図柄とは、当選役に基づいて作動中の条件装置に対応する図柄組合せを構成する図柄に相当する。
従って、このようなリール停止制御によれば、リールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に該当当選役図柄がなかったとしても、該当当選役図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選役図柄を図柄表示窓401内にまで移動させたうえで停止させることが可能となる。また、この引き込み制御を行うことにより、遊技者は該当当選役図柄の目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に当該当選役図柄があれば、その当該当選役図柄を図柄表示窓401内に引き込んで停止させることができる。従って、取りこぼし(当該当選役図柄を揃えることができずに当該当選役に対応する遊技特典を獲得できずにその遊技特典が消滅してしまうこと)が生じることを極力抑えることができる。
内部抽選(役抽選)による当選役が単独役である場合、当該当選役に対応する条件装置が作動し、リールの停止操作が受け付けられた時点で、作動中の条件装置に基づく当選役図柄を有効ライン上に極力引き込むようにリール停止制御が行われる。
例えば、内部抽選でリプレイ役に単独当選したとする場合、リプレイ役に対応する「再遊技」の条件装置が作動する(図49,50参照)。図52では、「再遊技」の条件装置は1つであり、当該条件装置に対応する図柄組合せは「リプレイ図柄」の並びである。ここで、リプレイ図柄は、左リール301a上では、リプレイ図柄からリプレイ図柄までのあいだに他の図柄が最大で4個分配置されている(図46参照)。これにより、左リール301aでは、リールのどの位置で停止操作が受け付けられても、リプレイ役に対応する条件装置が作動している限り、必ずリプレイ図柄を有効ライン上に引き込んで停止させることができる。リプレイ図柄は、中リール301b、右リール301cにおいても左リール301aと同様に、最大の図柄間隔が4個以内に配置されていることから、全リールにおいてリールのどの位置で停止操作が受け付けられてもリプレイ図柄を有効ライン上に引き込んで停止させることができる。したがって、リプレイ役に当選した場合は、遊技者の目押しを必要とせず、リプレイ図柄を必ず有効ライン上に揃えることができ、リプレイゲームの成立条件が満たされることになる。
また、例えば、内部抽選でSB役に単独当選したとする場合、SB役に対応する条件装置番号32の条件装置が作動する。ここで、図52では、条件装置番号32の条件装置は、異なる図柄組合せを有する18通りが存在することから、18個の条件装置が同時に作動する。複数の条件装置が同時に作動しているときのリール停止制御は、有効ラインに引き込み可能な図柄について、当該図柄を含む図柄組合せの条件装置のうち「作動数が多い条件装置を優先する」方法と「払出数が多い条件装置を優先する」方法との2つに大別することができる。ここでは、どちらの方法を採用しても結果に変わりはない。すなわち、これらの条件装置に対応する図柄組合せを構成する図柄について、図46のリール配列を参照すると、中リール301b以外ではリールのどの位置で停止操作が受け付けられても、何れかの図柄組合せを表示できるような(各図柄を引き込み可能な)配置となっているので、SB役に単独当選した場合は、中リール301bについて適正な押し位置(タイミング)で停止操作が行われさえすれば、SB役図柄を有効ライン上に揃えることができ、SBボーナスゲームの開始条件が満たされることになる。なお、SB役の図柄組合せの図柄は、リール停止の押し位置に関係なく(目押し不要で)常に有効ライン上に引き込み可能に配置するようにしてもよい。また、上記の有効ラインに引き込み可能な図柄についての優先制御は、任意の遊技状態及び当選役の状況等に応じて、任意に設定できるとする。
具体的に説明する。SB役の当選時に作動する条件装置の図柄組合せは18通りあり、第1リールの図柄が「ベル図柄」(「赤ベル」、「青ベル」、「緑ベル」の3通り)で、第2リール及び第3リールの図柄の組合せが、「チェリー−スイカ」、「BAR−スイカ」、「チェリー−チェリー」、「BAR−チェリー」、「チェリー−青7」、「BAR−青7」の6通りである。まず第1リール(左リール301a)の停止操作が行われたとすると、引き込み可能な範囲に存在する「ベル図柄」の何れかが中段に停止する。図46を参照すれば、必ず何れかの色のベル図柄を有効ライン上に引き込み可能なことは明白である。ここでは、第1リールの中段に「赤ベル」が停止したとする。次に、第2リール(中リール301b)の停止操作が行われると、SB役の条件装置のうち、第1リールに「赤ベル」を含む条件装置の図柄組合せの図柄を停止させようとするリール停止制御が働く。具体的には「チェリー」又は「BAR」の何れかを停止させようとする。但し、図46で第2リールの図柄配列を参照すれば、図柄番号8〜17の10コマ間に「チェリー」又は「BAR」が存在せず、引き込み可能な範囲を最大で図柄4個分とする場合には、当該範囲では「チェリー」又は「BAR」を引き込むことができない。したがって、SB役の当選時には、第2リールの停止操作を行う際に、図柄番号8〜17以外の場所で停止操作を行うことが好ましい。ここでは、第2リールの中段に「チェリー」が停止したとする。対木に、第3リール(右リール301c)の停止操作が行われると、SB役の条件装置のうち、第1リール及び第2リールに「赤ベル−チェリー」を含む図柄組合せの図柄を停止させようとするリール停止制御が働く。具体的には、「スイカ」、「チェリー」、「青7」の何れかの図柄を停止させようとする。図46で第3リールの図柄配列を参照すれば、これらは、4個以内の図柄間隔で配置されていることから、遊技者による目押しの必要なく何れかの図柄を有効ラインに引き込むことが可能である。このようにして、例えば「赤ベル−チェリー−スイカ」という図柄組合せが有効ライン(中段ライン623a)に表示されると、SBボーナスゲームの開始条件が満たされる。
また、例えば、内部抽選でベル11に単独当選した場合(SB状態ではベル11が単独役として抽選される)は、SB役の場合と同様に、ベル11に対応する複数の条件装置(小物28)が作動する。但し、SB役の場合とは違い、ベル11の条件装置(小物28)に対応する図柄組合せの図柄は、全てのリールにおいて押し位置に拘わらず引き込み可能な範囲に配置されているため、ベル11に対応する条件装置(小物28)が作動する場合は、遊技者の目押しが必要なく、常にベル11の当選役図柄が有効ラインに表示され、ベル11が入賞する。すなわち、ベル11は押し順不問小役である。
このように、内部抽選で単独役が当選役に選ばれた場合は、当該当選役に対応して複数個の条件装置が作動したとしても、有効ラインに引き込み可能な図柄について、当該図柄を含む図柄組合せの条件装置のうち「作動数が多い条件装置を優先する」方法と「払出数が多い条件装置を優先する」方法との何れかに従いながら、何れかの条件装置の図柄組合せ(当選役図柄)を有効ライン上に極力引き込むようにリール停止制御が行われる。
そして、特に、リプレイ役や一部のベル役(ベル11の単独当選)等に対応する条件装置が作動している場合には、遊技者の目押しを必要とせずに必ず該当当選役図柄を揃えることができる(前述の図46参照)。これは、該当役のそれぞれに対応する図柄組合せを構成する図柄については、対応するそれぞれの当選役図柄が最大で4個分の図柄おきに配置されているからである。
一方、内部抽選によって複数の役が同時当選する場合は(重複役を含む)、各当選役に対応する複数の条件装置が同時に作動することになるが、このような場合に、引き込む役の優先順位を定めた所定の優先制御に基づいて、優先される役(優先役)に対応する条件装置の図柄組合せ(当選役図柄)が有効ライン上に引き込まれるようにリール停止制御が行われる。なお、優先役に対応する条件装置が複数作動している場合は、前述したように、有効ラインに引き込み可能な図柄について、当該図柄を含む図柄組合せの条件装置のうち「作動数が多い条件装置を優先する」方法と「払出数が多い条件装置を優先する」方法との何れかに従って実際に引き込まれる図柄が決定される。
本実施形態のスロットマシン1では、このような同時当選時の引き込み役の優先制御について、遊技状態ごとに異なる優先制御を設定することによって、遊技状態ごとに異なるリール停止制御を実現している。さらにいえば、「ベル1+ベル11」のように同一種別の小役が同時成立する場合であっても、遊技状態ごとに異なる優先制御を可能にしてリール停止制御を行う。また、本実施形態のスロットマシン1では、同時当選した役の組合せ(同時に作動する条件装置の組合せ)によって異なる優先制御を設定できる。以下では、内部抽選によって複数の役が同時当選する場合のリール停止制御について詳しく説明する。
まず、重複役当選時のリール停止制御について説明する。図49の例では示されていないが、スロットマシン1における内部抽選の結果、ボーナス役と小役との重複役が選ばれることがあるとすれば(例えば、「BB1+チェリー」)、このとき、ボーナス図柄よりも小役を優先的に引き込むようにリール停止制御が行われるとする。すなわち、BB1とチェリーとのどちらも有効ライン上に引き込み可能な位置でリール停止操作が行われたとしても、チェリーの図柄組合せが優先的に有効ライン上に引き込まれる。このようなリール停止制御を行う理由の1つとしては、ボーナス役と小役との重複役に当選した場合、この当選したゲームにおいては小役に対応する図柄組合せが表示されたとしても、次ゲーム以降においてボーナス役に対応する図柄組合せが表示されるからである。また、ボーナス役、小役、リプレイ役等の何れかによる重複役の組合せは、この他にも複数想定できるが、一般的にはリプレイ役が最優先され、それ以外の役の優先順位は遊技機ごとに規定される。なお、ボーナスフラグの持越しによってボーナス役とその他の役(リプレイ役や小役)が同時に成立するような場合でも、上記の同時当選の際と同様の引き込み役の優先順位に従ってリール停止制御が行われる。
次に、複数の小役に同時当選する場合のリール停止制御について、図49に示された当選役のうち、複合ベル役(「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」)を例にとって詳しく説明する。[10−1]等で前述したが、改めて夫々のベル役について簡単に説明すると、「ベル1」〜「ベル9」は、適正な押し位置でリール停止操作が行われたときにベル役が入賞する一方、適正な押し位置でのリール停止操作が行われなかった場合にはベル役が入賞しない押し順ベルである。ベル1〜ベル9が入賞するときは、有効ライン(中段ライン623a)に所定のベル図柄揃いが停止する。そして、「ベル11」は、遊技者の押し位置に拘わらず(つまり、どのタイミングで停止操作が行われようとも)、ベル役が入賞する押し順不問ベルである。ベル11が入賞するときは、有効ライン(中段ライン)に所定の図柄組合せ(本例ではベル図柄揃いではない)が停止するとともに、上段ラインにベル図柄揃いが表示されることによってベル役の入賞を容易に認識可能にする。
図60は、複合ベル役当選時の引き込みの優先制御を説明するための図である。前述したように、本実施形態のスロットマシン1では、遊技状態ごとに、引き込み役の異なる優先制御が設定されたリール停止制御が行われる。図60には、それぞれの複合ベル役について、遊技状態ごとに優先される役と、優先される役による入賞割合とが一例として示されている。SB状態では、「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」は内部抽選の抽選対象とされないため、優先される役の記載はない。また、図49に示した遊技状態のうちBB1RB状態とBB2RB状態については、ベル1〜ベル9及びベル11が抽選対象とされていないため、図60では記載を省略している。また、図60に記載されたBB2一般RT状態は、後述する第2の実施形態用の遊技状態である。
まず、一般状態の優先制御について説明する。図60に示したように、内部抽選で「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の何れかが選ばれた場合は、押し順ベルであるベル1〜ベル9の引き込みが優先される。また、各リールにおいて有効ラインに引き込み可能な図柄について、「作動数が多い条件装置を優先する」とする。但し、以下に「ベル5+ベル11」で示す例では、引き込み可能な各図柄に対して作動している条件装置の数はいずれも1個で同じになるため、どの条件装置の図柄組合せが優先されてもよくなる。
一般状態の優先制御について、「ベル5+ベル11」に当選したときを例にとってリール停止制御の具体的な流れを説明する。「ベル5+ベル11」に当選すると、ベル5に対応する小物5(赤ベル−青ベル−青ベル)、小物18(青ベル−緑ベル−緑ベル)及び小物19(緑ベル−赤ベル−赤ベル)と、ベル11に対応する小物28(12通りの図柄組合せ)とが作動する。このとき図60に示したようにベル5が引き込み役として優先されるため、1番目のリールの停止操作が行われると、小物5,18,19の何れかの図柄組合せを有効ライン上に引き込むようにリール停止処理が行われる。なお、1番目のリールが停止した時点で、優先役のベル5の当選役図柄(何れかの色のベル図柄)が当該リールの中段に停止することになるが、この時点で、当該リールの上段にはベル図柄が存在できないことから(図46参照)、ベル11に対応する条件装置は以降作動しない。また、当該リールの中段に引き込まれた色以外のベル図柄に対応する条件装置も以降は作動しない。
例えば、1番目のリール停止で左リール301aの中段に赤ベルが停止したとすれば、その時点で作動している条件装置は小物5(赤ベル−青ベル−青ベル)に限られる。このような状態で、その後、中リール301b及び右リール301cのリール停止処理が行われることになるが、中リール301b、右リール301cのそれぞれに青ベルが停止するためには、青ベル図柄を引き込み可能な「適正な押し位置」で各リールの停止操作が行われることが必要であり、適正な押し位置での停止操作が行われなければ、「ベルこぼ目」が有効ライン上に表示されて、メダルの払出は行われない(取りこぼし)。
このようにベル5は押し位置ベルであって、ベル5が優先されるときに適正な押し位置でリールの停止操作が行われてベル役が入賞する確率(入賞割合)は、図60に示したように1/9である。そして、一般状態でのベル役入賞時の払出数は6枚であることを考慮すれば、一般状態で「ベル5+ベル11」に当選した場合の期待払出枚数は、2/3枚(=6×(1/9))となる。ここで、期待払出枚数とは、内部抽選で所定の入賞役に当選し、当該入賞役の図柄組合せが表示された場合に付与される特典の期待値(入賞によるメダル払出数の期待値)を意味する。一般状態における「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の各複合ベル役において、それぞれの期待払出枚数は同じである。かくして、一般状態において複合ベル役に当選した場合、平均的に獲得できるメダルの枚数は1枚に満たず、規定数が3枚であることを考えると、手持ちメダルは減少する。
次に、BB1内部状態の優先制御について説明する。図60に示したように、内部抽選で「ベル1+ベル11」〜「ベル4+ベル11」の何れかが選ばれた場合は、一般状態と同じように押し順ベルであるベル1〜ベル4の引き込みが優先されるが、「ベル5+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の何れかが選ばれた場合は、押し順不問ベルであるベル11の引き込みが優先される。BB1内部状態(後述のBB2内部状態も同様)の優先制御では、複合ベル役という同一種別の小役からなる同時当選役が複数パターンあるなかで、個別に優先順位を設定していることが特徴的である。また、各リールにおいて有効ラインに引き込み可能な図柄については、ベル1〜ベル4が優先される場合は「作動数が多い条件装置を優先する」とし、ベル11が優先される場合は「払出枚数が多い条件装置を優先する」とする。但し、以下に「ベル5+ベル11」で示す例では、引き込み可能な各図柄に対して作動している条件装置の払出枚数は6枚で同じであるため、どの条件装置の図柄組合せが優先されてもよくなる。
BB1内部状態の優先制御について、「ベル5+ベル11」に当選したときを例にとってリール停止制御の具体的な流れを説明する。「ベル5+ベル11」に当選すると、ベル5に対応する小物5(赤ベル−青ベル−青ベル)、小物18(青ベル−緑ベル−緑ベル)及び小物19(緑ベル−赤ベル−赤ベル)と、ベル11に対応する小物28(12通りの図柄組合せ)とが作動する。このとき図60に示したようにベル11が引き込み役として優先されるため、1番目のリールの停止操作が行われると、小物28の何れかの図柄組合せを有効ライン上に引き込むようにリール停止処理が行われる。なお、1番目のリールが停止した時点で、優先役のベル11の当選役図柄が当該リールの中段に停止することになり、上段にはベル図柄が停止するが、この時点で、当該リールの中段にはベル図柄が存在しないことから(図46参照)、ベル5に対応する条件装置(小物5,18,19)は以降作動しない。また、当該リールの中段に引き込まれた図柄以外を含む小物28の条件装置も、以降は作動しない。
例えば、1番目のリール停止で左リール301aの中段に図柄番号4のリプレイが停止したとすれば、その時点で作動している条件装置は、小物28のうち「リプレイ−チェリー−スイカ」、「リプレイ−BAR−スイカ」、「リプレイ−チェリー−チェリー」、「リプレイ−BAR−チェリー」、「リプレイ−チェリー−青7」、「リプレイ−BAR−青7」の図柄組合せに対応する6通りの条件装置に限られる(但し、何れの図柄も上段にベル図柄が配置されている図柄とする)。このような状態で、その後、中リール301b及び右リール301cのリール停止処理が行われることになるが、どの押し位置でリールの停止操作が行われても、何れかの図柄組合せが引き込み範囲内に存在する配置となっているため、遊技者の目押しを必要とせずにベル11の当選役図柄を有効ライン上に停止させることができる。なお、有効ラインに引き込み可能な図柄について「払出枚数が多い条件装置を優先する」とした場合、作動している条件装置の払出枚数は何れも6枚であることから、どの条件装置を停止させてもよい。
例えば、1番目のリール停止で左リール301aの中段に図柄番号4のリプレイが停止したあと、2番目のリール停止で中リール301bの停止操作が行われ、押し位置が中段に図柄番号11の青ベル図柄がある位置であったとすれば、図柄番号7のチェリー図柄が中段に引き込まれて停止する。この時点で、作動する条件装置は「リプレイ−チェリー−スイカ」、「リプレイ−チェリー−チェリー」、「リプレイ−チェリー−青7」の3通りとなる。次に、3番目のリール停止で右リール301cの停止操作が行われ、押し位置が中段に図柄番号8のリプレイ図柄がある位置であったとすれば、図柄番号6の青7図柄が中段に引き込まれて停止する。この結果、有効ラインの中段ライン623aには「リプレイ−チェリー−青7」が表示されるので(上段ラインにはベル図柄揃い)、ベル11の入賞として6枚のメダルが払い出される。
このようにベル11は押し位置不問ベルであって、ベル11が優先されるときに適正な押し位置でリールの停止操作が行われてベル役が入賞する確率(入賞割合)は、図60に示したように1/1である。そして、一般状態でのベル役入賞時の払出数は6枚であることを考慮すれば、一般状態で「ベル5+ベル11」に当選した場合の期待払出枚数は、6枚(=6×(1/1))となる。この期待払出枚数は、一般状態における「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の各複合ベル役で同じである。かくして、一般状態において複合ベル役に当選した場合、平均的に獲得できるメダルの枚数は6枚で、規定数が3枚であることを考えると、手持ちメダルは増加する。
なお、BB1内部状態で「ベル1+ベル11」〜「ベル4+ベル11」に当選したときは、一般状態で「ベル5+ベル11」に当選したときと同じリール停止制御が行われるため、1/9の入賞割合でベル役(ベル1〜4)が入賞する。したがって、この場合は、手持ちメダルは減少する。
複合ベル役全体で考えると、「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」のそれぞれの複合ベル役の当選確率は同じであって、複合ベル役当選の4/9で期待払出枚数が2/3枚、複合ベル役当選の5/9で期待払出枚数が6枚になることから、BB1内部状態における複合ベル役当選時の期待払出枚数は、(2/3)×(4/9)+6×(5/9)≒3.63枚となる。したがって、BB1内部状態の規定数が3枚であることを考慮すると、手持ちメダルは現状維持から微増となる。しかしながら、これはあくまで複合ベル役に当選した場合の説明であり、1遊技(1ゲーム)に対するメダル払出の期待値については、メダルを減少させるようにする(規定数よりも少ない値とする)ことが望ましい。なぜなら、1遊技に対するメダル払出の期待値をメダル増加に繋がる値(規定数よりも多い値)としてしまうと、BBを作動させる図柄組合せを表示させないタイミングで遊技を継続させることで、永久的に手持ちメダル(出玉)が増加してしまい、ホールに被害を与えるおそれがあるためである。
次に、BB2内部状態の優先制御について説明する。BB2内部状態の優先制御は、BB1内部状態の優先制御に類似しているが、図60に示したように、内部抽選で「ベル8+ベル11」又は「ベル9+ベル11」が選ばれたときだけ、押し順不問ベルであるベル11の引き込みが優先される点が異なっている。したがって、BB2内部状態で複合ベル役に当選した場合、「ベル1+ベル11」〜「ベル7+ベル11」では、押し順ベルが優先制御されて1/9の入賞割合でベル役が入賞し、「ベル8+ベル11」又は「ベル9+ベル11」では、押し順不問ベルが優先制御されて必ずベル役が入賞する。
BB1内部状態のときと同様に期待払出枚数について計算すると、複合ベル役当選の7/9で期待払出枚数が2/3枚、複合ベル役当選の2/9で期待払出枚数が6枚になることから、BB2内部状態における複合ベル役当選時の期待払出枚数は、(2/3)×(7/9)+6×(2/9)≒2.52枚となる。したがって、BB2内部状態の規定数が3枚であることを考慮すると、手持ちメダルは現状維持から微減となる。
次に、その他の遊技状態(SB状態を除く)における優先制御について説明する。図60に示したように、これらの遊技状態では、内部抽選で「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の何れかが選ばれた場合は、常に押し順不問ベルであるベル11の引き込みが優先される。ベル11の引き込みが優先されるときの期待払出枚数は6枚であり、規定数は3枚であるから、これらの遊技状態で複合ベル役に当選すると、手持ちメダルは増加する。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
[11−5.演出動作の制御]
以上は、メイン基板409による制御の例であるが、スロットマシン1では、ゲームの進行にあわせて演出制御基板510により各種演出動作の制御を実行する。これはメイン基板409から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて、演出制御基板510(主にCPU1118等)にて実行するものである。前述の通りメイン基板449から出力された各種コマンドは、一旦、RAM1122に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてROM1120内に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下、単発演出態様という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下、連続演出態様という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出、詳細は後述)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、いずれの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがBB1,BB2であった場合、「ボーナス確定!」等、遊技者が当該ゲームでいずれの当選役となったかを明確に知ることのできるものである。この演出は、特にBB(RBを含む)など遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がBB等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。
また、連続演出態様としては、一般状態やボーナス状態等の遊技状態に対応したものがある。これらは、遊技状態がどのようになっているかを明確にするものであり、遊技者はこれらの演出(連続演出)が行われることにより、現在の遊技状態を区別することが容易となる。
また、スロットマシン1にATゲームやARTゲームが搭載される場合、AT(ART)ゲーム中は、開始から終了まで、その旨を遊技者が認識できるよう連続演出を実行させる。例えば、AT(ART)ゲームの回数をカウントする表示や、規定回数に近づくにつれて危機感迫る効果音を発生させることなどである。このようにすると、遊技者はAT(ART)ゲームの残り回数がどれほどあるのか確認しながらゲームを進めていくことができる。
以上の演出態様は、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、画像表示体500、スピーカ512、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、画像表示体500に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
[12.第1の実施形態の特徴及び効果]
本実施形態のスロットマシン1の特徴及びその効果について説明する。
[12−1.入賞役の当選割合及び入賞割合等]
(1)SB状態における入賞
本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選に用いる抽選テーブルを遊技状態ごとに用意し、これらの抽選テーブルにおける当選役の当選割当数(置数)を図49に例示したようにすることで、内部抽選における入賞役(入賞時にメダルの払出がある当選役)の当選割合及び入賞割合を遊技状態によって変えている。ここで、入賞役の当選割合とは、当該入賞役に対応する当選役が内部抽選で選ばれる(当選する)割合を意味し、入賞役の入賞割合とは、内部抽選、遊技状態、及びリール停止操作等に基づいたリール停止制御の結果、当該入賞役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示される(入賞する)割合を意味する。
以下、図49を参照しながら、入賞役の当選割合及び入賞割合について、一般状態とSB状態とを比較しながら具体的に説明する。図49において、入賞役となり得る当選役は、払出数が1以上の当選役なので、中段ラインにベル図柄揃いが表示されるベル役(具体的にはベル1〜9,10に相当し、以降は「中段ベル役」と呼ぶ)、上段ラインにベル図柄揃いが表示されるベル役(具体的にはベル11に相当し、以降は「上段ベル役」と呼ぶ)、チェリー役、及びスイカ役である。
なお、入賞役の当選割合(当選確率)については、内部抽選における抽出対象の総数(抽出分母)に対する対象役の置数(当選割当数)の割合を算出して示すことが正確ではあるが、図49において抽出分母はどの遊技状態も同数(65536個)であるため、記載の簡略のために、対象役の置数の個数で代用して考察してもよい。置数の個数が少なければ入賞割合が低いことを意味し、置数の個数が多ければ入賞割合が高いことを意味する。また、ベル1+ベル11のような同時当選役は、ベル1とベル11両方の当選を意味する。また、ベル10は、ベル1+ベル2+・・・+ベル9(ベル1〜ベル9の同時当選役)と考える。
また、入賞役の入賞割合に関して、ベル1〜ベル9は、既述の通り、基本的には遊技者からは適正な押し位置が分からず、1/9の割合で入賞する押し位置ベルであるのに対して、ベル10は、ベル1〜ベル9が全て同時成立するので、1/1の割合で入賞する押し位置不問ベルとなる。また、ベル11は、既述の通り、1/1の割合で入賞する押し位置不問ベルである。但し、図60に示したように、一般状態での複合ベル役の当選時は、常に押し位置不問ベルが優先して引き込まれるため、ベル11が入賞することはない。また、チェリーやスイカについては、当該役の成立時に当選図柄の図柄組合せを引き込み可能な範囲でリール停止操作を行いさえすれば、確実に当該図柄組合せを停止させることは可能であるため、1/1の割合で入賞するとして説明する。
まず、一般状態における入賞役全体の当選割合は、(2178×9+1280+1280)/65536=22162/65536となる。
次に、一般状態における個々の入賞役の入賞割合について示す。中段ベル役については、「ベル1」〜「ベル9」が、複合ベル役の当選時に常に優先して引き込まれるものの、当選時の1/9でしか入賞しないことを考慮すると、中段ベル役の入賞割合は(2178×(1/9)×9)/65536=2178/65536となる。また、「ベル11」は複合ベル役の当選時に引き込み役として優先されないことから、上段ベルの入賞割合は0/65536となる。また、チェリー及びスイカの入賞割合は、ともに1280/65536となる。
さらに、規定数3枚の一般状態における各入賞役の払出数を考慮して、内部抽選で入賞役に当選し、当該入賞役の図柄組合せが表示された(入賞した)場合に付与される特典の期待値(期待払出枚数)を算出すると、規定役3枚のときのベル役の払出数は6枚、チェリー役の払出数は1枚、スイカ役の払出数は5枚であることから、一般状態における入賞役全体の期待払出枚数は、(2178/65536)×6×9+(1280/65536)×1+(1280/65536)×5=125292/65536≒1.91〔枚〕となる。
一方、SB状態における入賞役全体の当選割合は、(16524+1281+2179+2179)/65536=22163/65536となる。
次に、SB状態における個々の入賞役の入賞割合について示すと、中段ベル役については、SB状態では上記の複合ベル役は抽選されず、当選時に1/1で入賞するベル10(ベル1〜ベル9の同時当選)が抽選対象となることから、中段ベル役の入賞割合は2179/65536となる。また、「ベル11」は単独役として抽選されることから、上段ベルの入賞割合は2179/65536となる。また、チェリーの入賞割合は16524/65536となり、スイカの入賞割合は1281/65536となる。
さらに、上記の算出結果に、規定数3枚のSB状態における各入賞役の払出数を加味して、入賞役全体についての期待払出枚数を算出すると、(2179/65536)×6+(2179/65536)×6+(16524/65536)×1+(1281/65536)×5=49077/65536≒0.75〔枚〕となる。
なお、比較用に、BB1RB状態における入賞役全体についての特典の期待値を同様に算出すると、BB1RB状態では「ベル10」に必ず当選し、規定数が1枚のBB1RB状態における中段ベル役の払出数は15枚であることから、期待払出枚数は、(65536/65536)×15=15〔枚〕となる。したがって、BB1RB状態を含むBB1ゲーム(BB2RB状態を含むBB2ゲームも同様)においては、多量のメダル払出が期待できる。
このような算出結果に基づいて一般状態とSB状態を比較すると、本実施形態のスロットマシン1では、入賞役全体の当選割合は増加する(分子を比較すると22162から22163)。また、個々の入賞役の入賞割合も増加する(分子を比較すると、中段ベル役は2178から2179、上段ベル役は0から2179、チェリー役は1280から16524、スイカ役は1280から1281)。すなわち、入賞役全体の入賞割合も増加する。しかしその一方で、入賞役全体の特典の付与期待値(期待払出枚数)は、1.91枚から0.75枚に減少する。
このような特徴を有するスロットマシン1では、所定の遊技状態において、入賞役全体の当選割合及び個々の入賞役の入賞割合が一般状態よりも高められる、という遊技者にとって有利な抽選設定がなされるにも拘わらず、メダルの付与期待値を一般状態よりも低くすることができる。そして、このようにしてメダルの付与期待値(期待払出枚数)を低下させられることで、遊技者の手持ちメダルを抑制するボーナスゲームを実現することができる。特に、本例では、上記の所定の遊技状態を、複数種類のボーナスゲームのうちの所定のボーナスゲーム(ここではシングルボーナスゲーム(SB状態))としている。一般的な遊技機におけるボーナスゲームでは、比較用に算出したBB1ゲームと同様に、入賞役の入賞による期待払出枚数が高められて遊技者に多量の特典付与(メダル払出)を可能とするものであるところを、本実施形態のスロットマシン1では、メダルの増加を抑制する(厳密にはメダルを減少させる)という全く新しいボーナスゲームを創出することができる。
そして、本実施形態のスロットマシン1によれば、このような手持ちメダルが減少し得る遊技状態(ボーナスゲーム)を備えることによって、特典の付与量に関する全体的なバランスを維持しながらも遊技性の幅を広げ得る遊技機を提供することができる。従来の遊技機では、ボーナスゲームによるメダルの付与期待値を高くし過ぎると、出玉性能が高くなることでホールの売上低下が予想された。また、長期の遊技期間を通じてのメダルの増減率を維持するために、ボーナスゲームによるメダルの付与期待値を高める一方で通常の遊技状態(例えば一般状態)におけるメダルの付与期待値を下げると、通常の遊技状態におけるコイン持ちが低下するなど全体的な遊技バランスが壊れてしまうおそれがあった。また、従来の遊技機において、ボーナスゲームによるメダルの付与期待値を抑制した場合には、手持ちメダルを急激に増加させる機会が減るために遊技展開が平凡になりがちで、遊技性が損なわれるおそれがあった。これに対し、本実施形態のスロットマシン1では、手持ちメダルが減少し得る遊技状態(ボーナスゲーム)を備えることによって、長期の遊技期間を通じてのメダルの増加率の上限値が規定されているような場合であっても、当該遊技状態にメダルを減少させ得ることで長期の遊技期間でのメダルの増加率の上昇を抑制することができる。その結果、長期の遊技期間でのメダルの増加率を規定値以下に維持したまま(全体的なバランスを維持したまま)、その他の有利遊技期間(具体的には、別のボーナスゲームやATゲーム、ARTゲーム等)において、従来以上にメダルの増加率を高める設定が可能となる。そしてこのようなスロットマシンによれば、長期的に見た遊技者の負担を変更することなく遊技上のメリハリを与える遊技機を提供することができ、遊技性の幅を広げ、遊技者の興趣を高めることが期待できる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、上記例で示したように、手持ちメダルを減少させ得る遊技状態をシングルボーナスゲームとしているが、シングルボーナスゲームは、他のボーナスゲーム(BB1ゲームやBB2ゲーム)とは違って、比較的短い所定ゲーム(例えば1ゲーム)に限定して制御されるボーナスゲームであることから、手持ちメダルの減少という遊技者にとっては不利な効果も当該1ゲームしか継続されず、その後は一般状態に復帰することが可能である。したがって、手持ちメダルの減少によって遊技者に与える損失感を最小限に軽減しながらも、上述したような遊技性の向上等に期待できる。さらに、ボーナスゲームとして説明したSBについては、外部中継端子板131からスロットマシン1の外部(例えば、データカウンタやホールコンピュータ1200等)に信号を出力しないようにすることが望ましい。上述したように本実施形態におけるSBとは遊技者にとって不利な遊技状態であるため、あえて遊技者に教示する必要はなく、このようにSBについて外部に信号を出力しないことで、遊技者に不快感を与えないという効果を奏する。
一方、ホール側は、本実施形態のスロットマシン1によって、遊技者の手持ちメダルが減少(増加抑制)する遊技状態が設けられることで、売上の向上に期待できる。さらに、このような売上の向上に繋がる遊技状態がシングルボーナスゲームという比較的短い所定ゲーム(例えば1ゲーム)期間に限定されることで遊技者が損失感を感じることを防止するため、遊技者の遊技意欲の低下の抑制にも期待できる。また、本実施形態のスロットマシン1では、通常の遊技状態(例えば一般状態)とSB状態とで遊技に使用するメダルの掛け枚数(規定数)を同じ3枚にしていることで、規定数1枚や2枚の場合よりも、SB状態に制御されることによるメダルの減少効果を高めることができ、ホールの売上が低下することを抑制できる効果を奏する。さらに、本実施形態のスロットマシン1では、一般状態からSB状態に移行する割合が比較的高い(例えば、図49の抽選テーブル1では、SB役の当選確率は、約38.7%(25377/65536≒1/2.58))であることから、上述したようなメダルの減少効果を備えたSB状態に高頻度で制御されるため、ホールの売上を安定的に確保する効果が期待できる。
また、本実施形態のスロットマシン1によれば、長期間でのメダルの増加率を変えることなく短期間でのメダルの増加率を高めることを可能にする(具体的には例えば、有利遊技期間に抑制される割合を従来機よりも高めたりすることができる)ことで、遊技者の遊技意欲を高める遊技機が提供できるため、ホールの売上確保への貢献が期待できる。
(2)SB状態におけるSB役
また、本実施形態のスロットマシン1では、SB状態に制御されているSBゲーム中に再度SB役が入賞した場合には(SB役の当選時は必ず入賞する)、次のゲームが再びSB状態に制御されることから、SBゲームのために定められた比較的短い所定ゲーム数(例えば1ゲーム)が消化された後も、SBゲームが継続することになる。そして、本実施形態のスロットマシン1では、一般状態及びSB状態において、内部抽選(役抽選)でのSB役の当選確率が比較的高くされていることにより、一般状態からSB状態に移行する割合だけでなく、移行したSB状態が「所定ゲーム数」を超えて継続する割合も比較的高い。具体的には例えば、図49の抽選テーブル1では、一般状態におけるSB役の当選確率及びSB状態におけるSB役の当選確率は、ともに約1/2.58であり、当該確率に基づいたSB状態の平均継続ゲーム数は、SBゲームの所定ゲーム数が1ゲームである場合に、約1.63ゲームとなる。
また、図49に例示したように、本実施形態のスロットマシン1では、SB状態で行われる役抽選において、抽選対象となる全ての役のうち、SB役が最も高い割合で選び出される(図49において、SB状態におけるSB役の置数は「25377」)。さらに言えば、当該抽選対象に「はずれ」を含めて考えた場合でも、SB役が最も高い割合で選び出される(図49において、SB状態における「はずれ」の置数は「8653」)。このようなスロットマシン1によれば、SB状態の役抽選でSB役が最も選び出されやすいため、高い割合で、当該SB役の入賞に基づいて次ゲームもSB状態に制御させる(SBゲームを継続させる)ことが可能となる。
このような本実施形態のスロットマシン1によれば、まず、前述したように、SB状態において、入賞役全体の当選割合及び個々の入賞役の入賞割合が一般状態よりも高められるにも拘わらず、メダルの付与期待値が一般状態よりも低く抑制されることで、遊技者の手持ちメダルが抑制される遊技状態を実現することができ、遊技性の幅を広げる効果が期待できる。そして、このような手持ちメダルが減少し得る遊技状態(SBゲーム)は比較的短い所定ゲーム数(例えば1ゲーム)が消化されると元の遊技状態(一般状態)に戻ることが可能であるため、遊技者に与える損失感を最小限に軽減しながらもホールの売上に貢献し得る。さらに、本実施形態のスロットマシン1によれば、SBゲーム中にSB役が選び出される当選確率が高いことからSB状態が上記の所定ゲーム数よりも長く継続しやすいので(具体例では、平均1.63ゲーム)、ホールの売上により貢献することが期待できる。
すなわち、一般的な従来の遊技機では、メダルの付与期待値が抑制されて手持ちメダルが減るような遊技状態が長く続いた場合に、遊技者の損失感が大きくなり、遊技意欲の衰退に繋がるおそれがあったが、本実施形態のスロットマシン1によれば、手持ちメダルが減るようなSB状態を提供にすることで全体的な出玉バランスを保てるようにしつつ、当該SB状態からの短期間での復帰を可能にすることで遊技者の損失感を軽減する一方、当該SB状態が継続する割合を高めることでホールの売上をより確保し得る効果が期待できる。その結果、本実施形態のスロットマシン1によれば、遊技媒体の増加に期待し難い遊技状態であっても遊技者の損失感を軽減し得る遊技機を提供することができる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、図49の抽選テーブルを用いた場合、SBゲームの所定ゲーム数を1ゲームとするときの平均継続ゲーム数が1.63ゲームであることを前述したが、SB役入賞時の払出枚数が0枚で、かつ、次ゲームでは規定数(例えば3枚)のメダル投入を必要とすることを考えると、SB状態でSB役が入賞してSBゲームの継続数が伸びるほど、差し引き3枚分のメダル消費も追加されていくことになるため、よりホールの売上に貢献することができる。
また、本実施形態のスロットマシン1は、図49の例のように一般状態におけるSB役の当選確率とSB状態におけるSB役の当選確率とを同じにする必要は必ずしもなく、異なる当選確率を用意してもよい。但し、SB役の当選確率に差異を設ける際は、遊技状態に応じて規定数(遊技に必要なメダル投入数)を変更する等の設定を合わせて行うことが好ましい。一例をあげると、一般状態での規定数を3枚とし、SB状態での規定数を2枚としたうえで、SB状態におけるSB役の当選確率を一般状態よりも高くすることが考えられる。
このようにして、例えば、SB状態におけるSB役の当選確率を一般状態よりも低くする場合は、SBゲームの平均継続数がSBゲームの所定ゲーム数に近づくため、SBゲームから一般状態に復帰するまでの期間が短くなり、SB状態に制御されることによる遊技者の損失感を軽減する効果が期待できる。但し、このとき、SB状態におけるSB役の当選確率は、一般状態よりも低くするとはいえ、所定の閾値(例えば、25%)を下回らないようにすることが好ましい。
また例えば、SB状態におけるSB役の当選確率を一般状態よりも高くする場合は、SBゲームが継続する割合が高くなり、ホールの売上を高める効果が期待できる。このような場合でも、SBゲーム中にSB役に当選しなければ、比較的短い所定ゲーム数(例えば1ゲーム)で一般状態に復帰可能なことから、遊技者の損失感を軽減する効果は維持される。
なお、以上に説明したSB状態は、SB役の図柄組合せが表示されたことに基づいて制御され、次の1ゲームでSBゲームを行う遊技状態であることから、「所定条件の成立に基づいて、比較的短い所定ゲームの間、他の遊技状態よりも高い当選割合で所定の当選役が抽選される遊技状態」の一例といえる。しかし、本実施形態のスロットマシン1において、当該「遊技状態」はSB状態に限定されるものではなく、同様の特徴を有する他の遊技状態であっても構わない。
[12−2.引き込み役の優先制御の変更]
本実施形態のスロットマシン1は、図60に示したように、内部抽選で同時当選役が選ばれた場合に優先して引き込む優先役の設定を、遊技状態ごとに設定するという特徴を有する。さらに詳細には、同一種別の小役が同時成立する場合にも、各小役の引き込みの優先度を遊技状態ごとに設定するという特徴を有する。
このような引き込み役の優先制御が行われることによって、本実施形態のスロットマシン1は、同時当選したときの特典の付与(メダルの払出)に関する期待値を遊技状態に応じて変更することができる。このような本実施形態の特徴について、図60に関する[11−4−1]の説明を用いて詳しく説明する。
まず、図60によれば、一般状態において、内部抽選でベルの同時当選役(複合ベル役)である「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の何れが選ばれても、一般状態の優先制御によって押し位置小役である「ベル1」〜「ベル9」が優先して引き込まれる。このような一般状態において、複合ベル役の当選時に期待できる払出枚数(期待払出枚数)を算出すると、ベル役入賞時の払出数が6枚で、押し位置ベルの引き込み時にベル役が入賞する確率が約11.1%(1/9)であることから、一般状態における複合ベル役当選時の期待払出枚数は、6×(1/9)=2/3≒0.67枚となる。また、図49を参照すれば、各複合ベル役の当選確率は3.3%(2178/65536)であり、複合ベル役の当選に関する合成確率は29.9%(19602/65536)であることから、一般状態のゲームにおいてベル役が入賞する入賞確率は約3.3%((19602/65536)×(1/9))となる。また上記の算出過程で、一般状態で複合ベルに当選した場合にベル役に入賞できずにベルこぼ目が現出される確率は、ベル役が入賞しない確率であるから、約88.9%(8/9)であることがわかる。
一方、図60によれば、BB1内部状態において、複合ベル役に当選した場合、当選したのが「ベル5+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の何れかである場合は、押し位置不問小役である「ベル11」が優先して引き込まれる。このようなBB1内部状態において、複合ベル役の当選時に期待できる払出枚数(期待払出枚数)を算出する。ベル役入賞時の払出数は何れも6枚ではあるが、9通りの複合ベル役のうち、「ベル1+ベル11」〜「ベル4+ベル11」の4通りの場合は、押し位置ベルが引き込まれるためにベル役が入賞する確率は1/9である一方、「ベル5+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の5通りの場合は、押し位置不問ベルが引き込まれるためにベル役が入賞する確率は1/1であることから、BB1内部状態における複合ベル役当選時の期待払出枚数は、6×(1/9)×(4/9)+6×(1/1)×(5/9)=98/27≒3.63枚となる。そして、BB1内部状態で複合ベルに当選した場合にベル役が入賞する確率は約60.5%(49/81)であり、各複合ベル役の当選確率は3.3%(2178/65536)であり、複合ベル役の当選に関する合成確率は29.9%(19602/65536)であることから、BB1内部状態のゲームにおいてベル役が入賞する入賞確率は約18.1%((19602/65536)×(49/81))となる。また上記の算出過程で、BB1内部状態で複合ベルに当選した場合にベル役に入賞できずにベルこぼ目が現出される確率は、ベル役が入賞しない確率であるから、約39.5%(32/81)であることがわかる(但し、ボーナス図柄が揃えられる場合を除く)。
同様に、BB2内部状態における複合ベル役当選時の期待払出枚数も算出する。BB2内部状態では、9通りの複合ベル役のうち、「ベル1+ベル11」〜「ベル7+ベル11」の7通りの場合は押し位置ベルが引き込まれ、「ベル8+ベル11」,「ベル9+ベル11」の2通りの場合は押し位置不問ベルが引き込まれることから、BB2内部状態における複合ベル役当選時の期待払出枚数は、6×(1/9)×(7/9)+6×(1/1)×(2/9)=50/27≒1.85枚となる。そして、BB2内部状態で複合ベルに当選した場合にベル役が入賞する確率は約30.9%(25/81)であり、各複合ベル役の当選確率は3.3%(2178/65536)であり、複合ベル役の当選に関する合成確率は29.9%(19602/65536)であることから、BB2内部状態のゲームにおいてベル役が入賞する入賞確率は約9.2%((19602/65536)×(25/81))となる。また上記の算出過程で、BB2内部状態で複合ベルに当選した場合にベル役に入賞できずにベルこぼ目が現出される確率は、ベル役が入賞しない確率であるから、約69.1%(56/81)であることがわかる(但し、ボーナス図柄が揃えられる場合を除く)。
以上の算出結果から、同じ複合ベル役に当選した場合でも、一般状態よりはBB2内部状態のほうが、さらにはBB1内部状態のほうが、ベル役が入賞して払い出されるメダルの期待値が高いこと、及び、ベル役の入賞確率が高いことが分かる。このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、遊技状態ごとに異なる引き込み役の優先制御のもとでリール停止処理が行われることによって、遊技状態に応じて所定の図柄組合せの現出割合を可変とし、遊技状態ごとに遊技媒体(メダル)の払出期待値(期待払出枚数)を可変にすることができる。
特に、上記例のように、一般状態よりもBB1内部状態及びBB2内部状態において払出期待値を高めるようにすれば、メダル払出の機会が増えたことを遊技者が感じたときに、ボーナスフラグが成立している状態(BB1内部状態、BB2内部状態)に期待できることから、遊技者の遊技に対する集中力を高める効果を奏する。また、上記の複合ベル役に対する払出期待値の増減は、その値が明確に遊技者に教示されるものではなく、単に押し位置ベルの正解が偏った場合にも払出機会が高まるという側面がある。したがって、遊技者の感覚が、払出機会の増加を感じ取ったとしても、実際にボーナスフラグが成立している状態か否かは即座に判断できず、遊技展開に期待させることができる。
ここで、従来の遊技機では、ボーナス役の当選後、ボーナスフラグが持ち越された内部状態に制御されていても、遊技者がボーナス役の当選に気付かないような状況が少なからずあった。そして、このような内部状態に制御されたゲームが続くと、メダルの減少が見込まれたり、ボーナスゲームの抽選が行われなかったりすることで、遊技者に不利益が生じる可能性があったため、ボーナス役に当選したか否かが分かりにくいと、遊技者の興趣を低下させるおそれがあった。
しかし、本実施形態のスロットマシン1によれば、ボーナス内部状態(BB1内部状態,BB2内部状態)において一般状態よりもメダルの払出期待値が高められることで、メダル払出の機会が増えたことを遊技者が感じたときに、ボーナス役(BB1,BB2)の当選を期待させることができる。具体的には、一般状態においては、複合ベル役の入賞割合は低く、入賞できなかったことを示すベルこぼ目の現出機会が高いが、ボーナス内部状態においては、複合ベル役の入賞割合が高められる結果、ベルこぼ目の現出機会は低くなる、という特徴が現れることから、複合ベルの入賞、及び当該入賞に伴うメダル払出の機会が増加した場合はボーナス内部状態であることに期待できる。かくして、本実施形態のスロットマシン1によれば、ベルこぼ目の現出機会が高い場合には一般状態に制御されていることを遊技者に示唆又は教示できるとともに、ベル役の入賞機会が高くなった場合にはボーナス内部状態に制御されていることを遊技者に示唆又は教示できる。換言すれば、遊技結果として「ベル役の図柄組合せ」が現出される割合(裏返せば、「ベルこぼ目」が現出される割合)を遊技状態によって可変にすることで、本実施形態のスロットマシン1は、遊技者にボーナス役の当選に気付き易くさせることができる。その結果、ボーナス役が当選したか否か分からない遊技者が興趣を低下させてしまうことを抑制する効果が期待できる。
さらに、本実施形態のスロットマシン1では、ベル役に当選する割合は、比較的高頻度で当選されるリプレイ役(再遊技)よりも高い割合としており、さらには図柄組合せが表示されたときに遊技価値が付与される当選役のなかのうちで最も高頻度で当選するようにしているため、ベル役の当選に基づいて表示される図柄組合せ(より具体的には、ベル役の図柄組合せ又はベルこぼ目に相当する図柄組合せ)が高頻度で表示される。したがって、本実施形態のスロットマシン1によれば、このようなベル役の当選に基づいて表示される図柄組合せが高頻度で表示されることによって、ボーナス役に対しての期待を向上させることができる。
また、上記例のようにボーナスフラグが成立している遊技状態(BB1内部状態、BB2内部状態)において払出期待値が高められるとすれば、当該遊技状態におけるメダルの消費速度を抑制することができる。一般にボーナス役に当選したにも拘わらず、ボーナス役図柄を揃えられずにボーナスフラグが持ち越されている場合は、速やかにボーナス役図柄を揃えることが最善とされ、持ち越し状態が続くほど手持ちメダルが減る等して遊技者への不利益が生じる。しかし、上記例のようにボーナスフラグが持ち越されている遊技状態でメダルの消費速度を抑制又は増加させることができれば、遊技者の不利益を低減し、遊技者に優しい遊技機を提供することができる。
また、上記の算出結果では、BB2内部状態における払出期待値(期待払出枚数)よりも、ボーナスゲームでより多くのメダル獲得が期待できるBB1に関するBB1内部状態のほうが払出期待値が高く設定されることが示された。このように、遊技状態ごとに(BB1内部状態とBB2内部状態とで)払出期待値に差異を設定することによって、例えば遊技者が一般状態よりもベルの入賞機会が高いと感じた場合に、どの程度高いと感じるかによって、どのような遊技状態に期待できるか、という楽しみの幅を持たせることができる。具体的には、ベル役の入賞機会が高くなったと感じるほど、BB2よりもBB1の成立に期待できるようになる。
また、このような複数の遊技状態で異なる払出期待値を実現するために、図60では同一種別の小役が同時成立する場合にも、各小役の引き込みの優先度を遊技状態ごとに設定しているが、このような設定を行うことによって、払出期待値の微調整を容易にするとともに、多様な差異の設定を可能にする効果がある。
また、上記の算出結果で示されたように、本実施形態のスロットマシン1では、各ゲームにおいてベル役の図柄組合せが現出される割合(ベル役の入賞確率と同義)は、一般状態では約3.3%という、30ゲームに1回程度しか現出に期待できないのに対して、BB2内部状態では約9.2%に高められて、11ゲームに1回程度の現出を期待できるようになっている。さらに、BB1内部状態では約18.1%にまで高められることで、5ゲームに1回程度の現出を期待することができる。3つの遊技状態間におけるこのようなベル役の現出割合の差異は、遊技者が体感可能な程度と言えるものであり、ベル役の図柄組合せが現出する割合に基づいて、遊技者に現在の遊技状態を示唆又は教示することが可能である。
このように、本実施形態のスロットマシン1は、同時当選役に(例えば複合ベル役)当選した際のリール停止制御に関する引き込みの優先順位を遊技状態に応じて切り替えることによって(図60参照)、同時当選役を「所定の当選役」とする場合に、「所定の当選役」が内部抽選で選び出された場合に、当該当選役に基づいた「所定の図柄組合せ(例えばベル役の図柄組合せ)」を表示する割合を、現在の遊技状態に応じて異ならせることができる。その結果、本実施形態のスロットマシン1は、「所定の図柄組合せ」の現出割合に基づいて、遊技者に現在の遊技状態を示唆又は教示することができる。特に、現在の遊技状態が一般状態か内部状態(BB1内部状態やBB2内部状態)であるかを判断し易くすることで、内部状態が示唆される場合にはボーナス役の図柄組合せを揃えるよう働きかけることに貢献して、ボーナスフラグの成立に気付かない遊技者に対する不利益を抑制する効果が期待できる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、BB1ゲーム及びBB2ゲームのように複数の特別遊技が用意され、BB1内部状態及びBB2内部状態のように各特別遊技に対応する内部遊技状態が用意されているとき、同時当選役に対する引き込みの優先制御について、優先順位の切り替えに伴って変化する所定の図柄組合せの表示度合いを内部遊技状態ごとに異ならせるようにしてもよい。例えば図60を参照すると、9通りの複合ベル役(「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」)のうち、BB1内部状態では5通りの複合ベルの当選時に押し位置不問ベルを優先的に引き込む制御が行われるのに対し、BB2内部状態では2通りの複合ベル役の当選時に押し位置不問ベルを優先的に引き込む制御が行われる。この結果、BB1内部状態では、BB2内部状態に比べて、ベル役の入賞確率が高いことから、ベル役の図柄組合せ(前述の「所定の図柄組合せ」に相当)の表示度合いを高くできる。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、ベル役の図柄組合せの表示度合いの強弱(BB1内部状態のほうがBB2内部状態よりも強い)に基づいて、内部状態の種別をも示唆又は教示することが可能であり、各内部状態に対応する特別遊技についても、ベル役の図柄組合せの表示度合いの強弱に基づいて示唆又は教示することが可能となる。また、所定の図柄組合せ(ベル役の図柄組合せ)の表示度合いの強弱によって示唆される内部状態と、当該内部状態に対応する特別遊技(ボーナスゲーム)の有利度の高低とを関連付けることによって、所定の図柄組合せの表示度合いの強弱に基づいて、権利留保されているボーナスゲームによって付与される特典の期待量の度合いを示すことも可能である。具体的には、BB1ゲームの方がBB2ゲームに比べてボーナスゲームでの遊技媒体の払出規定数が多く、遊技者への有利度が高い特別遊技であるとき、BB1内部状態の方がBB2内部状態よりもベル役の図柄組合せの現出割合を高くすることで、ベル役の図柄組合せの現出割合が高くなるほど、有利度が高い特別遊技(BB1ゲーム)への期待感を示唆することができる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、内部状態に制御されているか否かという遊技状態の示唆又は教示を補助するために、例えば、直近の一定ゲーム期間(例えば20ゲーム)を対象として「所定の図柄組合せ(ベル役の図柄組合せ)」が現出した履歴を表示する等してもよい。このようなスロットマシン1によれば、遊技者は過去の履歴を視覚的に確認できるため、所定の図柄組合せが集中的に現出した履歴が表示された場合には内部状態に制御されている可能性を強く意識することができる。また、有利な履歴(例えば、所定の図柄組合せの連続現出)が表示されることに期待させながら遊技者にゲームを楽しませることができ、興趣を高める効果を奏する。
さらに、前述したようにBB1内部状態では、ベル役の図柄組合せが表示される割合は、5ゲームに1回程度(約18.1%)であることから、本実施形態のスロットマシン1は、ベル役の図柄組合せが表示されてから所定の期間内(例えば、「5ゲーム」など、ベル役の図柄組合せが現出されるために要する平均ゲーム数の整数値を基準にしてよい)に再度ベル役の図柄組合せが現出された場合には、通常とは異なる払出音を出力したり、液晶画面やランプ等を介してチャンスを示唆する演出を実行したりするようにしてもよい。このようなスロットマシン1によれば、ベル揃いが表示された後の所定の期間内に再度ベル揃いが現出されたときに、チャンスであることが示唆され、遊技者の興趣をより高めることができる。
また、本実施形態のスロットマシン1によれば、上記例のように、ボーナスフラグが成立している状態でベル役の払出機会が高められるため、一般状態では揃いにくいベル役(当選時の1/9で入賞)が1回でも入賞すれば、ボーナスフラグの成立に期待させることができる。この結果、ベル役はボーナス役との重複当選の可能性がない小役であるにも拘わらず、その入賞によってボーナス役の当選への期待感を抱かせるという斬新な遊技性を実現することができる。
さらに、本実施形態のスロットマシン1では、図60に例示したように、内部遊技状態(BB1内部状態、BB2内部状態)になったとしても、「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の全てについて押し位置不問小役であるベル11に基づいた図柄組合せを優先的に引き込む制御とはせず、一部については押し位置小役であるベル1〜ベル9の図柄組合せを優先的に引き込む制御としている。具体的には、BB1内部状態での「ベル1+ベル11」〜「ベル4+ベル11」や、BB2内部状態での「ベル1+ベル11」〜「ベル7+ベル11」が相当する。このような優先引き込みの制御にすることによって、内部遊技状態であっても、押し位置小役が優先的に引き込まれる複合ベル役の当選時に適正な押し位置でのリール停止操作が行われなかった場合には、上述した所謂「ベルこぼ目」が表示される(「ベルこぼ目」は「取りこぼし目」に含まれる)。このように、内部遊技状態であっても「ベルこぼ目」が現出される可能性を残す(但し、一般状態よりも現出頻度は低い)ことによって、「ベルこぼ目」が現出された場合においても遊技者にボーナスへの期待感を維持させることができるようにしている。
また、本実施形態のスロットマシン1では、図60の例とは別の一例として、BB1内部状態及びBB2内部状態の何れにおいても、複合ベル役「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の全てについて押し位置不問小役であるベル11に基づいた図柄組合せを優先的に引き込む制御としてもよい。但し、このような引き込み制御を行う場合、BB1内部状態又はBB2内部状態で複合ベル役が当選したときには、必ずベル11によるベル役が入賞することになり、所謂取りこぼし目が現出することはない。したがって、このような別例では、取りこぼし目が現出してもボーナスへの期待感を維持させられると上述した図60の例とは違い、取りこぼし目が現出した場合にボーナス役に当選していないことが判断できてしまうという課題が生じる。このような課題を解決するには、BB内部状態(BB1内部状態、BB2内部状態)の役抽選で何れの当選役にも当選せず(はずれ)、かつ、当該ゲームで当選状態が持ち越されているBB役の入賞が行われなかった(BB役の図柄組合せが有効ラインに揃わなかった)場合に、取りこぼし目(「ベルこぼ目」と同じでもよい)を現出させるようにすることで、取りこぼし目が現出した場合でも遊技者にボーナスへの期待を抱かせることができる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、適正な押し位置が異なる複数種類の押し位置小役を、それぞれ別の当選役として設定し(ベル1〜ベル9)、それぞれに対応する条件装置を用意している。そのうえで、上述したように同時当選役となった場合には、遊技状態に応じた引き込み役の優先制御を予め定めることで、内部抽選を一度行うだけで、遊技状態に基づく規定のリール停止制御を作動させて、複雑なリール停止制御を実現可能にしている。このような制御方法を可能にすることで、従来からあったような、内部抽選で小役が選び出された後に、再度ソフトウェア処理による抽選を行って、当該小役の適正な押し位置を決定するといった、多段階の抽選を行う必要がなくなる。このような従来の抽選方式では、1回目の内部抽選で入賞可能性のある小役に当選したにも拘わらず、2回目の押し位置抽選によって、それまで入賞可能だったはずの小役の図柄組合せが有効ライン上に容易には揃えられなくなる可能性を有するため、遊技者にとって不利益な抽選が行われているおそれがあった。これに対し、本実施形態のスロットマシン1では、上述したように1回の内部抽選の結果、入賞可能性がある小役を変更することなくリール停止制御を実行することができ、遊技者にとって不利益な処理を回避できる。換言すれば、適正な押し位置を必要とする小役が最初の内部抽選の段階で選び出されるため、後になって遊技者にとって不利益を与える抽選が行われることがない。なお、押し位置小役ではなく押し順小役についても同様の効果が得られる。
なお、遊技状態ごとに引き込み役の優先制御を変更する際、変更対象とする遊技状態は図60の例に限定されるものではないが、原則的には、遊技者にとって有利な遊技状態の際に払出期待値が変化するように設定されることが好ましい。具体的には例えば、本実施形態のスロットマシン1では説明を省略したが、複数のRT状態のうち上位のRT状態等が有効な変更対象として考えられる。また、引き込み役の優先制御を設定する同時当選役についても、図60のように複合ベル役だけに限定されるものではなく、複数種類の条件装置が同時に作動するようなその他の同時当選役に適用されてよいし、複数種類の同時当選役に対する優先制御が組み合わされるようにしてもよい。また、図60の例では、BB1内部状態とBB2内部状態とで引き込み役の優先制御を変更することによって入賞に伴うメダルの付与に関する期待値を可変させたが、この期待値を同等とすることで、ボーナス(BB)への期待を抱かせるようにしてもよい。
また、本実施形態では、押し位置小役(ベル1〜ベル9)を採用したスロットマシン1について説明を行ったが、前述したように押し順小役を採用してもよい。そして、入賞させるために適正な押し位置又は押し順によるリール停止操作を必要とするこのような小役に対して、出玉率の調整等を目的として、所定のタイミングで適正なリール停止操作を教示するようなナビ機能(又はナビ演出)が実装されるようにしてもよい。
なお、本実施形態のこれまでの説明では、複合ベル役の当選時に押し位置小役が優先的に選択される割合を遊技状態に応じて変更することで(図60参照)、賞が付されるベル役の図柄組合せが表示される割合(ベル役の入賞割合)を遊技状態に応じて可変にできることを示したが、本実施形態のスロットマシン1で、賞が付される所定の図柄組合せが表示される割合を遊技状態に応じて可変にする実現方法は、上記に限定されるものではなく、他の一例を以下に説明する。
例えば、押し位置小役に当選した場合に適正な停止操作が行われる割合(押し位置小役の正答率)を、遊技状態に応じて変更することが考えられる。具体的には、一般状態では1つのベル役の選択時に27択式の小物(図51の小物1〜27)のうちの3つが作動することで、押し位置ベル役の実質的な入賞確率を1/9とする(9択ベル)のに対し、他の遊技状態(例えばBB1内部状態やBB2内部状態)では1つのベル役の選択時に27択式の小物のうちの9つが作動することで、押し位置ベル役の実質的な入賞確率を1/3とする(3択ベル)ことによって、賞が付されるベル役の図柄組合せが表示される割合を、一般状態の3倍にまで高めることができる。3択ベルの実現方法の一例としては、9択ベルのベル1〜ベル11(図50参照)の他に、「他の遊技状態(BB1内部状態やBB2内部状態)」で抽選対象とされる新たなベル役としてベル12〜ベル14を用意する。そしてこれらのベル役に対応する条件装置として、ベル12の当選時には図51の小物1〜9が、ベル13の当選時には小物10〜18が、ベル14の当選時には小物19〜27が作動するように設定すればよい。このようにした場合、ベル12に対応する条件装置が作動しているときには、第1リールの停止操作で赤ベル図柄を引き込み可能な位置で行われさえすれば、第2リール以降はどの位置で停止操作が行われてもベル役の図柄組合せが表示されることになる。同様に、ベル13の場合は第1リールの停止操作が青ベル図柄を引き込み可能な位置であればよく、ベル14の場合は第1リールの停止操作が緑ベル図柄を引き込み可能な位置であればよい。
このように、遊技状態に応じて正答率の異なる押し位置小役が選び出されるようにすることで、賞が付される所定の図柄組合せが表示される割合を可変にできるため、当該所定の図柄組合せの表示割合に基づいて遊技者が遊技状態を認識又は推定できるようになる。
但し、上述のようなベル12〜ベル14を用意する場合、これらの当選役は、BB1内部状態又はBB2内部状態だけが有する当選役とするのではなく、全遊技状態における内部抽選の当選役に含まれることが好ましい。換言すれば、ベル12〜ベル14の当選に関して作動する条件装置が、BB1内部状態又はBB2内部状態以外の遊技状態でも持たれていることが好ましい。そして、当選役ベル12〜ベル14の具体的な設定としては、BB1内部状態又はBB2内部状態における内部抽選では1以上の所定の抽選値が割り当てられ、その他の遊技状態における内部抽選では0の抽選値が割り当てられる(置数が0とされる)ことが好ましい。
さらに、正答率の異なる押し位置ベル(ベル12〜ベル14)と、前述の同時当選役当選時の引き込みの優先制御とを組み合わせるようにしてもよい。具体的には、ベル12〜ベル14を押し位置不問ベル(ベル11)との同時当選役として(「ベル11+ベル12」、「ベル11+ベル13」、「ベル11+ベル14」の当選役を用意して)、これらの同時当選役が選び出された場合に、押し位置ベルと押し位置不問ベルとの何れを優先して引き込むかの優先制御を、遊技状態に応じて度合いが異なるように設定すればよい。例えば、一般状態では9択ベルの「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」を内部抽選における抽選対象のベル役とする一方で、BB1内部状態及びBB2内部状態では3択ベルの「ベル11+ベル12」〜「ベル11+ベル14」を内部抽選における抽選対象のベル役とし、さらに、BB1内部状態で「ベル11+ベル12」〜「ベル11+ベル14」に当選したときは押し位置不問ベルである「ベル11」が優先して引き込まれるようにし、BB2内部状態で「ベル11+ベル12」〜「ベル11+ベル14」に当選したときは押し位置ベルである「ベル12」〜「ベル14」が優先して引き込まれるようにする。このとき、ベル役の当選時にベル役の図柄組合せが表示される割合は、一般状態では1/9であるのに対して、BB2内部状態では1/3となり、BB1内部状態では1/1となる。
このように、押し位置ベルの種別(正答率)を複数種類用意し、かつ、同時当選役当選時の優先制御の度合いに差異を設ける場合は、賞が付される所定の図柄組合せが表示される割合を、遊技状態に応じてより細やかに設定できるようになるため、ゲーム性の向上に貢献できる。なお、これまでにも述べたように、押し位置小役と押し順小役は、当選しても必ずしも入賞するとは限らない役として同種であり、したがって、押し位置小役を用いることによる本実施形態の効果は、押し順小役を用いた場合も同様に期待できる。
[13.第2の実施形態]
以下では、第2の実施形態におけるスロットマシン1として、第1の実施形態とは異なる抽選テーブルを用いたスロットマシンの制御について説明する。但し、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる箇所についてのみ詳しく説明するとし、同様の構成及び処理等については説明を省略する。例えば、ゲーム処理のうち、遊技状態移行制御処理及びリール停止処理の一部については相違点を後述するが、その他の処理については第1の実施形態と同様とする。また、リールの図柄配列や当選役に対応して作動する条件装置等も、特段の断りがない限り第1の実施形態と同様とする。
[13−1.抽選テーブル及び遊技状態]
まず、第2の実施形態におけるスロットマシン1は、ボーナスゲーム中の遊技状態が第1の実施形態とは異なっている。具体的には、BB1ゲーム中の状態としてはBB1状態だけを有し、BB2ゲーム中の状態としては、BB2一般状態、BB2一般RT状態、及びBB2RB状態を有する。
図61は、第2の実施形態で当選役の抽選に用いられる抽選テーブルの一例である。第2の実施形態では、第1の実施形態を簡易化しつつも、新たな遊技状態が備えられている。図61を図49と比較すると、当選役からチェリー及びスイカが外されている点、各当選役に対する置数が異なる点、遊技状態が一部異なる点がある。但し、リール配列(図46)や有効ライン(図47)、当選役に対応して作動する条件装置(図50)、条件装置の図柄組合せ(図51,52)、複合ベル役当選時の引き込み役の優先制御(図60)等は、第1の実施形態を流用して説明する。
BB1状態は、BB1役の入賞を契機として開始されるBB1ゲームが行われる遊技状態である。BB1状態における内部抽選(役抽選)では、図61に示す抽選テーブル5が用いられるが、この抽選テーブル5は「ベル10」のみが当選役として選ぶ当り値判定テーブルであって、第1の実施形態の抽選テーブル(図49)のように「BB中RB」役に当選することがない。したがって、BB1ゲームでは、BB1ゲームの終了条件(合計465枚を超えるメダルの払出が行われる)が成立するまで、BB1状態の遊技状態に制御される。なお、第2の実施形態では、BB1状態のみ規定数を2枚とし、その他の遊技状態の規定数は3枚とする。
BB2状態は、BB2役の入賞を契機として開始されるBB2ゲームが行われる遊技状態であり、そのうち、BB2一般状態は、BB2ゲームの一般的な状態であり、BB2一般状態で「BB中RB」に入賞したときはBB2RB状態に移行する。なお、BB2一般RT状態は、BB2一般状態で「BB中RB」に当選したがRB役の図柄組合せが有効ラインに表示されず、以降のBB2ゲームでRB役のフラグが持ち越されている状態に相当する。BB2一般RT状態は、遊技状態はRB役の図柄組合せが有効ラインに表示されるまで制御され、リプレイ役(再遊技役)に比較的当選しやすいRT(リプレイタイム)状態となる。BB2ゲームの終了条件は、合計105枚を超えるメダルの払出が行われること、とする。なお、詳細は[13―2]で後述するが、BB2一般RT状態は、BB2一般状態でBB中RBに当選したゲームにおいて、RB役の図柄組合せが有効ラインに引き込まれないような押し位置でリール停止操作が行われる(換言すれば、「RB役の入賞を外す」)ことによって移行する遊技状態である。
[13−2.遊技状態移行制御処理]
図62〜64を参照しながら、第2の実施形態のスロットマシン1における遊技状態の移行に関する処理(遊技状態移行制御処理)について説明する。なお、第1の実施形態における遊技状態移行制御処理と同様の処理手続きについては、説明を省略する。
図62は、第2の実施形態で遊技状態に対応して設定されるバッファ値の一例を示す図である。図62では、第2の実施形態における各遊技状態(図61参照)に対応するバッファ値の設定例が示されている。具体的には、一般状態は「0」、BB1内部状態は「1」、BB2内部状態は「2」、SB状態は「3」、BB1状態は「4」、BB2一般状態は「5」、BB2RB状態は「6」、BB2一般RT状態は「7」となる。これらのバッファ値は、RAM1114に格納領域が確保された遊技状態バッファに値が設定され、メイン基板409のCPU1110によって読み出し(参照)及び書き換え(設定)が行われる。
図63,64は、第2の実施形態における遊技状態移行制御処理の処理手順を示すフローチャート(その1,2)である。各処理はメイン基板409のCPU1110によって行われる。
まず、図63に示す処理は、一般状態、BB1内部状態、BB2内部状態、SB状態における遊技状態の移行制御処理であって、第1の実施形態における処理と同様である。したがって、図63に示したステップS1401〜S1432の処理は、図56に示したステップS1101〜S1132の処理に対応する。但し、図56から図57に繋がる『A1』,『A2』が、図63では図64に繋がる『C1』,『C2』になっている。
次に、図64に示す処理は、図63の『C1』に続く処理であって、BB1ゲーム及びBB2ゲームに関する遊技状態における遊技状態の移行制御処理を示している。第1の実施形態における処理(図57,58)との相違点を中心に説明する。
ステップS1501では、図63のステップS1401,S1403,S1405,S1407で行われた遊技状態の判定の続きとして、バッファが4であるか否かを判定する。ステップS1501においてバッファが4の場合、遊技状態がBB1状態であることが示されるので、ステップS1502の処理を行う。ステップS1501においてバッファが4ではない場合は、バッファが5であるか否かを判定する(ステップS1503)。
そして、ステップS1503においてバッファが5の場合、遊技状態がBB2一般状態であることが示されるので、ステップS1504の処理を行う。ステップS1503においてバッファが5ではない場合は、バッファが6であるか否かを判定する(ステップS1505)。
そして、ステップS1505においてバッファが6の場合、遊技状態がBB2RB状態であることが示されるので、ステップS1506の処理を行う。ステップS1505においてバッファが6ではない場合は、バッファが7であるとして(ステップS1507)ステップS1526以降の処理を行う。
なお、図63〜64では、図62に示したように遊技状態バッファに設定される値が「0」〜「7」の何れかであるという前提で処理を説明しているが、エラー状態を検知するために、ステップS1507においてバッファが7であるか否かを判定し、7であることを確認した場合のみステップS1526以降の処理を行うようにしてもよい。なお、この判定でバッファが7ではなかった場合は、遊技状態バッファに対する異常を検知したとして、所定のエラー処理を行うことが好ましい。具体的なエラー処理としては例えば、現在の遊技状態移行制御処理を強制的に中断し、エラーランプ604の点灯やその他のLEDやスピーカ等を使用してエラー発生を報知する。
遊技状態の判定においてバッファが4と判定されたとき、ステップS1502では、BB1状態における役抽選として、抽選テーブル5を用いた内部抽選を行う。BB1状態は、BB1ゲーム中の遊技状態であり、ステップS1502では、ベル10だけが抽選対象に含まれる抽選テーブル5を用いて役抽選が行われる。このBB1状態における役抽選では必ずベル10に当選する。ベル10は、ベル1〜ベル9の全てが同時当選する役であって、どのような押し位置でリール停止操作が行われても、ベル1〜ベル9の何れかの図柄組合せが有効ライン上に停止するため、確実に15枚のメダルが払い出される。すなわち、BB1状態は、遊技者にとって不利益が発生しない有利遊技状態である。なお、BB2に関するボーナスゲームの状態(具体的にはBB2一般状態、BB2一般RT状態)についても、遊技者にとって利益付与の度合いが大きい有利遊技状態と言える。
ステップS1502の役抽選が行われた後は、リール301a〜301cの回転処理が行われ、その後、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、BB1状態用の引き込み制御(具体的には、ステップS1502の役抽選による当選役に対応する図柄組合せを引き込み可能な制御)のもとでリール停止処理を行う(ステップS1508)。次いで、ステップS1509では、ステップS1508のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。その後、ステップS1510の処理に進む。ステップS1510では、予め定められたBB1の終了条件が成立したか否かを判定し(ステップS1511)、当該終了条件が成立した場合には、BB1ゲームは終了となるので、バッファに0をセットすることによって遊技状態を一般状態として(ステップS1512)、リターンする(『C2』はリターンに同義)。また、BB1の終了条件が成立していない場合は、BB1ゲームは継続となるので、バッファを再設定することなくリターンする。
遊技状態の判定においてバッファが5と判定されたとき、ステップS1504では、BB2一般状態における役抽選として、抽選テーブル6を用いた内部抽選を行う。BB2一般状態は、BB2ゲームの一般状態(RBが内部的に成立している状態でもなく、RBゲーム状態でもない)であり、ステップS1504では、はずれが抽選対象に含まれない抽選テーブル6を用いて役抽選が行われる。BB2一般状態における役抽選によれば、はずれが選ばれることがなく、複合ベル役である「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の何れか、又は「BB中RB」が当選役として選ばれる。複合ベル役に当選した場合は、押し位置不問小役であるベル11が優先して引き込まれることによって(図60参照)、ベル11の図柄組合せが必ず有効ライン上に停止されてベル役の払出が行われ、BB中RBに当選した場合にはRBゲームの権利が得られる。すなわち、BB2一般状態は、遊技者にとって不利益が発生しない有利遊技状態である。
ステップS1504の役抽選が行われた後は、当該役抽選によって選ばれた当選役にRBが含まれているか否かを判定する(ステップS1513)。
ステップS1513でRBに当選したと判定した場合は、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、RB図柄を極力引き込もうとする引き込み制御のもとでリール停止処理を行う(ステップS1514)。次いで、ステップS1515では、ステップS1514のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。さらにこのとき、RBの図柄組合せ(「BAR」図柄揃い)が有効ライン上に表示されたか否かを判定し(ステップS1516)、RBの図柄組合せが表示された場合は、バッファに6をセットすることによって遊技状態をBB2RB状態とし(ステップS1517)、ステップS1531の処理に進む。ステップS1516でRBの図柄組合せが表示されなかった場合は、RBの当選状態(RBフラグ)が次ゲーム以降に持ち越されるとともにRT状態に移行するため、バッファに7をセットすることによって遊技状態をBB2一般RT状態として(ステップS1518)、ステップS1531の処理に進む。
一方、ステップS1513でRBに当選していないと判定した場合は、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、BB2一般状態用の引き込み制御(具体的には、ステップS1504の役抽選による当選役に対応する図柄組合せを引き込み可能な制御)のもとでリール停止処理を行う(ステップS1519)。次いで、ステップS1520では、ステップS1519のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。その後、ステップS1531の処理に進む。
遊技状態の判定においてバッファが6と判定されたとき、ステップS1506では、BB2RB状態における役抽選として、抽選テーブル8を用いた内部抽選を行う。BB2RB状態は、BB2ゲーム中にRB図柄が揃った場合に移行するRBゲーム用の遊技状態である。BB2RB状態ではメダルの掛け数(規定数)は3枚であり、BB2RB状態における役抽選によれば、押し位置不問小役であるベル10かはずれが選ばれる。
ステップS1506の役抽選の後、リール301a〜301cは回転状態となり、そして、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、BB2RB状態用の引き込み制御(具体的には、ベル10の当選時に小物1〜27の何れかの図柄組合せを引き込み可能な制御)のもとでリール停止処理を行う(ステップS1521)。次いで、ステップS1522では、ステップS1521のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。
次に、ステップS1523では、RBの終了判定処理が行われる。RBの終了判定処理では、予め定められたRB終了条件が成立したか否かが判定され(ステップS1524)、RB終了条件が成立していた場合は、バッファに5をセットすることによってBB2一般状態とし(ステップS1525)、ステップS1531の処理に進む。また、ステップS1524でRB終了条件が成立していない場合は、バッファを書き換えることなく、BB2RB状態のままステップS1531の処理に進む。なお、RB2ゲームにおけるRBの終了条件については、前述した通りである。
遊技状態の判定においてバッファが7と判定されたとき、ステップS1526では、BB2一般RT状態における役抽選として、抽選テーブル7を用いた内部抽選を行う。BB2一般RT状態は、先のゲームにおいてBB2ゲーム中に「BB中RB」に当選してRBゲームに移行する権利が得られたもののRB役が入賞せず、RB役の当選状態(RBフラグ)が内部的に成立したまま持ち越されたRT状態である。前述したように、RB役の図柄組合せは「BAR図柄」の揃いであるが、図46に例示したように、各リールにおける「BAR図柄」は、どの押し位置でも引き込める程度には配置されておらず、適正な押し位置で停止操作を行わなければRB役を入賞しないようにされている。但し、RB役を入賞できなくても、RB役の当選状態はRB役の図柄組合せが有効ラインに表示されるまで継続して維持される。ステップS1526では、「BB中RB」及びボーナス役(BB1,B2,SB)が抽選対象に含まれない抽選テーブル7を用いて役抽選が行われる。
ここで、BB2一般RT状態について詳しく説明する。BB2一般RT状態は、前述したようにBB2一般状態において「BB中RB」に当選したものの、RB役が入賞しなかった場合に制御される遊技状態である。そして、RB役の図柄組合せを構成する「BAR図柄」は、有効ラインに常に引き込み可能な配置をされていないため、「BAR図柄」を有効ラインに引き込めない押し位置(より具体的には、押し位置から上方4コマまでの範囲内に「BAR図柄」が存在しない位置)でリール停止操作を行えば、意図的にRB役を入賞させないことが可能となっている。このような操作は、一般的には「外し」とも言われ、「RB役の入賞を外すこと(入賞外し)が可能」と言いかえることができる。したがって、第2の実施形態のスロットマシン1では、BB2一般状態で「BB中RB」に当選したときに、遊技者は、上記のようにしてRB役の入賞を外すことによって、意図的にBB2一般RT状態に移行させることもできるし、「BAR図柄」を狙ってRB役を入賞させてBB2RB状態に移行させる(後述のステップS1530)こともできる。
ここで、第2の実施形態のスロットマシン1では、BB2ゲームの遊技状態のうち、BB2一般状態及びBB2一般RT状態は、遊技者にとって利益付与の度合いが大きい有利遊技状態とされ、BB2RB状態は、遊技者にとって利益付与の度合いが低い不利遊技状態とされる。別の言い方をすれば、前者の遊技状態は手持ちメダルの増加が見込まれる遊技状態であり、後者の遊技状態は手持ちメダルの減少が見込まれる遊技状態とされる。メダルの増減に関する具体的な値については[14−1]で後述する。そこで、BB2ゲームでは、遊技者にとって有利なゲームの進行方法として、できるだけBB2RB状態に制御されることを避けるような遊技手順が推奨され、すなわち、BB2一般状態においてBB中RB状態に当選した際に、RB役を入賞させてBB2RB状態に移行させる(後述のステップS1530)よりは、RB役の入賞を外してBB2一般RT状態に移行させる手順が推奨される。
なお、第2の実施形態のスロットマシン1では、BB2ゲームにおいて、あえてRB図柄を有効ラインに揃えないような操作(「RB役の入賞外し」)に一度でも成功すれば、以降はBB2ゲームの終了条件が成立するまで「RB役の入賞外し」を行わなくてもBB2一般RT状態が維持される。まず、BB中RB役に当選したゲームで「RB役の入賞外し」に成功すると、次のゲームはBB2一般RT状態に制御される。BB2一般RT状態の役抽選で用いられる抽選テーブル7を参照すると、抽選される当選役は複合ベル役(「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」)とリプレイ役だけであり、はずれもない。ここで、BB2一般RT状態での入賞役の優先順位を『再遊技>複合ベル>BBR中RB』とし、複合ベル役の何れに当選した場合でもベル11を優先する制御を実行することで、BB2一般RT状態では、必ず、再遊技役か複合ベル役が入賞することになる。すなわち、RB役の当選状態は維持されるものの、入賞役の優先順位によってRB役が入賞することがなくなるため、一度成功したあとの遊技者は「RB役の入賞外し」を行う必要がなく、BB2ゲームが終了するまで、遊技者に有利なBB2一般RT状態で遊技を続けることが可能となる。
ステップS1526の役抽選の後、リール301a〜301cは回転状態となり、そして、リール停止ボタン211a〜211cに対する停止操作が行われるときに、BB2一般RT状態用の引き込み制御のもとでリール停止処理を行う(ステップS1527)。次いで、ステップS1528では、ステップS1527のリール停止処理によってリール301a〜301cが全て停止した後に、有効ライン(中段ライン623a)上に表示された図柄組合せ(停止出目)の判定処理を行うとともに、何れかの入賞役が入賞していた場合には、当該入賞役に応じたメダルを払い出す払出処理を行う。さらにこのとき、RBの図柄組合せ(「BAR」図柄揃い)が有効ライン上に表示されたか否かを判定し(ステップS1529)、RBの図柄組合せが表示された場合は、バッファに6をセットすることによって遊技状態をBB2RB状態とし(ステップS1530)、ステップS1531の処理に進む。ステップS1529でRBの図柄組合せが表示されなかった場合は、RBの当選状態(RBフラグ)が次ゲーム以降に持ち越されるため、BB2一般RT状態を維持して(バッファは「7」のまま)、ステップS1531の処理に進む。
そして、ステップS1531では、BB2の終了判定処理が行われる。図64を参照すれば、ステップS1531の処理が行われる場合、バッファの値は「5(BB2一般状態)」、「6(BB2RB状態)」、又は「7(BB2一般RT状態)」の何れかであり、何れもBB2ゲーム中の遊技状態に相当する。このような遊技状態において、予め定められたBB2の終了条件が成立したか否かを判定し(ステップS1532)、当該終了条件が成立した場合には、BB2ゲームは終了となるので、バッファに0をセットすることによって遊技状態を一般状態として(ステップS1533)、リターンする(『C2』はリターンに同義)。また、BB2の終了条件が成立していない場合は、BB2ゲームは継続となるので、バッファを再設定することなくリターンする。なお、本例におけるBB2終了条件は、「BB2ゲームにおけるメダルの払出総数が105枚を超えること」としている。
以上、図63〜64に示した処理を実行することによって、第2の実施形態のスロットマシン1における遊技状態の移行を制御することができる。なお、遊技状態移行制御処理が行われる際にメイン基板409から演出制御基板510に向けて情報コマンドが送信される等の点は、第1の実施形態におけるスロットマシン1と同様であるため、記載を省略する。
[14.第2の実施形態の特徴及び効果]
第2の実施形態のスロットマシン1の特徴及びその効果について説明する。
[14−1.入賞役の当選割合及び入賞割合等]
(1)SB状態における入賞
第2の実施形態のスロットマシン1では、第1の実施形態と同様に、内部抽選に用いる抽選テーブルを遊技状態ごとに用意し、これらの抽選テーブルにおける当選役の当選割当数(置数)を図61に例示したようにすることで、内部抽選における入賞役(入賞時にメダルの払出がある当選役)の当選割合及び入賞割合を遊技状態によって変えている。ここで、入賞役の当選割合とは、当該入賞役に対応する当選役が内部抽選で選ばれる(当選する)割合を意味し、入賞役の入賞割合とは、内部抽選、遊技状態、及びリール停止操作等に基づいたリール停止制御の結果、当該入賞役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示される(入賞する)割合を意味する。
以下に、第1の実施形態と同様に、入賞役の当選割合及び入賞割合について、一般状態とSB状態とを比較しながら具体的に説明する。算出過程の詳細な説明は適宜省略する。図61において、入賞役となり得る当選役は、中段ベル役(ベル1〜9,10)及び上段ベル役(ベル11)である。何れも、規定数に拘わらず入賞時の払出数は15枚である。また、リール停止制御において、押し位置小役であるベル1〜ベル9の条件装置が優先して引き込まれる場合に入賞する割合は1/9であり、実質的な押し位置不問小役であるベル10(ベル1+ベル2+・・・+ベル9)、及び押し位置不問小役であるベル11の条件装置が優先して引き込まれる場合に入賞する割合は1/1である。
まず、一般状態における入賞役全体の当選割合は、(1867×9)/65536=16803/65536となる。また、一般状態における入賞役の当選割合を考えると、中段ベル役(ベル1〜ベル9)の当選割合は、(1867×9)/65536=16803/65536となり、上段ベル役(ベル11)の当選割合は、(1867×9)/65536=16803/65536となる。
次に、一般状態における個々の入賞役の入賞割合について、「ベル1」〜「ベル9」が複合ベル役の当選時に常に優先して引き込まれることから、中段ベル役の入賞割合は、(1867×(1/9)×9)/65536=1867/65536となる。また、「ベル11」は複合ベル役の当選時に引き込み役として優先されないことから、上段ベルの入賞割合は0/65536となる。
さらに、一般状態における各入賞役の払出数を考慮して、内部抽選で入賞役に当選し、当該入賞役の図柄組合せが表示された(入賞した)場合に付与される特典の期待値(期待払出枚数)を算出すると、規定役3枚のときのベル役の払出数は15枚であることから、一般状態における入賞役全体の期待払出枚数は、(1867/65536)×15×9=252045/65536≒3.85〔枚〕となる。
一方、SB状態における入賞役全体の当選割合は、(1868+1868)/65536=3736/65536となる。
ここで、個々の入賞役の当選割合についても算出する。抽選テーブル4によれば、SB状態では、「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」の複合ベル役は抽選対象とされず、ベル10(中段ベル役)及びベル11(上段ベル役)が抽選対象に加えられている。なお、ベル10に当選する場合は、ベル1〜ベル9が同時当選すると考える。したがって、SB状態において中段ベル役の当選割合は、1868/65536であり、上段ベル役の当選割合も1868/65536である。
次に、SB状態における個々の入賞役の入賞割合について示すと、中段ベル役については、SB状態では上記の複合ベル役は抽選されず、当選時に1/1で入賞するベル10(ベル1〜ベル9の同時当選)が抽選対象となることから、中段ベル役の入賞割合は1868/65536となる。また、「ベル11」は単独役として抽選されることから、上段ベルの入賞割合は1868/65536となる。
さらに、上記の算出結果に、規定数3枚のSB状態における各入賞役の払出数(ベル15枚)を加味して、入賞役全体についての期待払出枚数を算出すると、(1868/65536)×15+(1868/65536)×15=56040/65536≒0.86〔枚〕となる。
なお、比較用に、BB1状態における入賞役全体についての特典の期待値を同様に算出すると、BB1RB状態では「ベル10」に必ず当選し、規定数が2枚のBB1状態における中段ベル役の払出数は15枚であることから、期待払出枚数は、(65536/65536)×15=15〔枚〕となる。したがって、BB1ゲームにおいては、多量のメダル払出が期待できる。なお、BB2ゲームにおける入賞役全体の特典の期待値については、後述する。
以上のような算出結果に基づいて一般状態とSB状態を比較すると、第2の実施形態のスロットマシン1では、入賞役全体の当選割合は減少し(分子を比較すると16803から3736)、個々の入賞役の当選割合も減少する。また、個々の入賞役の入賞割合は増加する(分子を比較すると、中段ベル役は1867から1868、上段ベル役は0から1868)ため、入賞役全体の入賞割合も増加する。そして、入賞役全体の特典の付与期待値(期待払出枚数)は、3.85枚から0.86枚に減少する。
このような特徴を有するスロットマシン1では、所定の遊技状態において、個々の入賞役の入賞割合が一般状態よりも高められる、という遊技者にとって有利な抽選設定がなされるにも拘わらず、入賞役全体の当選割合及びメダルの付与期待値を一般状態よりも低くすることができる。そしてこのようにしてメダルの付与期待値(期待払出枚数)を低下させられることで、遊技者の手持ちメダルを抑制するボーナスゲームを実現することができる。特に、本例では、上記の所定の遊技状態を、複数種類のボーナスゲームのうちの所定のボーナスゲーム(ここではシングルボーナスゲーム(SB状態))としており、このとき、メダルの増加を抑制する(厳密にはメダルを減少させる)という全く新しいボーナスゲームを創出することができる。
なお、第1の実施形態では、一般状態と比べて、入賞役全体の当選割合及び個々の入賞役の入賞割合を一般状態よりも高くしたボーナスゲーム(SB状態)において、メダルの付与期待値を低下させることを実現したが、第2の実施形態では、個々の入賞役の入賞割合だけを一般状態よりも高くしたボーナスゲーム(SB状態)において、メダルの付与期待値を低下させることを実現している。そして何れの場合も、このようなボーナスゲームは遊技者の手持ちメダルを減少させる斬新なボーナスゲームとなる。
第2の実施形態のスロットマシン1によって、このような所謂「減るボーナスゲーム」が実現されることによれば、長期の遊技期間でのメダルの増加率の上昇を抑制することができ、その結果、長期の遊技期間でのメダルの増加率を規定値以下に維持したまま、その他の有利遊技期間(具体的には、別のボーナスゲームやATゲーム、ARTゲーム等)において、従来以上にメダルの増加率を高める設定が可能となる。このようなスロットマシンによれば、長期的に見た遊技者の負担を変更することなく遊技上のメリハリを与える遊技機を提供することができ、遊技性を向上し、遊技者の興趣を高めることが期待できる。
また、シングルボーナスで実現する場合に、減るボーナスゲームの制御期間を1ゲームという短期間に限定することができ、当該短期間の経過後は、元の遊技状態に復帰可能であることから、一時的に遊技者にとって不利な遊技状態(減るボーナスゲーム)に突入したとしても、遊技者が感じる損失感を低く抑えるとともに、ホールの売上に貢献することができる。
また、第2の実施形態のスロットマシン1では、上述した所定の遊技状態において、入賞役の当選割合は減少する一方で入賞役の入賞割合が増加することから、内部抽選で入賞役に対応する当選役が選ばれた場合に、一般状態よりも安定して当該入賞役を入賞させることができ、賞としての遊技媒体の付与(メダルの払出)を安定的に実現することができる。より具体的に説明すれば、一般状態では、複合ベル役(「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」)が抽選対象とされ、当該複合ベル役の当選時には引き込み役の優先制御によって押し位置ベル(ベル1〜ベル9)の引き込みが行われるため、1/9の割合でしかベル役が入賞できない。これに対し、SB状態では、複合ベル役の代わりに、ベル1〜ベル9が同時当選することで押し位置不問で中段ベルが入賞するベル10、及び、押し位置不問で上段ベルが入賞するベル11が抽選対象とされるため、これらのベル役が当選した際は、押し位置に拘わらず必ずベル役が入賞し、15枚のメダルが払い出される。したがって、これらのベル役の当選時に、遊技者は、押し位置を気にすることなく、確実に安定的にメダルの払出を受けることができる。
ここで、従来の遊技機では、適正なリール停止操作が行われない限りは特典の付与が制限される押し位置小役や押し順小役等のような当選役が用意されているとき、遊技媒体(メダル)の払出機会が抑制されることで遊技者に不満を抱かせ易いという課題があった。この課題を解消しようとして、当該当選役が選ばれたときに遊技媒体が安定的に付与されるようにして遊技者側の利益を高めると、今度は、遊技媒体の払出によってホール側の利益が損なわれてしまうという課題があった。
これに対して、第2の実施形態のスロットマシン1では、上述した「所定の遊技状態」において、入賞役の当選時に安定的な特典の付与に期待できることから、遊技者に安心感を抱かせることができる。一方、ホール側にとっては、入賞役の当選時に不安定な特典の付与が行われる場合と比べて、安定的な特典の付与が永続的に行われてしまえば、確実にメダルの払出が行われる分だけ不利益が生じる可能性はあるが、本実施形態では、このような所定の遊技状態をシングルボーナスゲーム(SB状態)に限定することで、短期間(例えば1ゲーム)の制御期間を経て元の遊技状態に復帰可能としているため、ホール側の営業上の支障とならないようにできる。また、前述したように、この所定の遊技状態は、長期的に見ればメダルが減る遊技状態であるため、ホール側の不利益に働く可能性は低く、売上の貢献に期待できるものである。したがって、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、遊技者に安心感を与えながらもホールの売上を確保し得る遊技機を提供することができる。
(2)一般状態
第2の実施形態のスロットマシン1では、一般状態において、SB状態と比べて入賞役の当選割合が高くなる一方で入賞役の入賞割合は低下する。このような入賞役の増減に最も寄与しているのが複合ベル役であり、第2のスロットマシン1では、一般状態において内部抽選で複合ベル役に当選した場合に、SB状態よりも取りこぼし目(ベルこぼ目)が現出されやすい。また、第2の実施形態のスロットマシン1では、一般状態とSB状態以外の他の遊技状態とを比較しても、一般状態で最もベルこぼ目が現出されやすい。具体的には、SB状態、BB1状態、BB2RB状態では、複合ベル役として押し位置不問ベルのベル10だけが抽選対象となっているので、ベルこぼ目は現出しない(図61参照)。BB1内部状態、BB2内部状態、BB2一般状態、BB2一般RT状態では、複合ベル役として押し位置ベル(「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」)が抽選対象となっているが、引き込みの優先制御が遊技状態に応じて変えられることによって、押し位置不問ベルであるベル11が優先選択される割合が一般状態よりも高くされている(図60,61参照)。
具体的なベルこぼ目の現出割合は、図50〜52,60,61を参照して、ベル役の当選確率、ベル役当選時に押し位置ベルが優先制御される割合、及び当選時の押し位置ベルの入賞はずれ確率に基づいて算出可能である。まず、押し位置ベルが抽選対象にない、又は、ベル役当選時に押し位置不問ベルが優先制御されない場合は、取りこぼしが発生しないことから、ベルこぼ目の現出割合は0%となる。具体的には、SB状態、BB1状態、BB2一般状態、BB2一般RT状態、及びBB2RB状態が相当する。次に、一般状態については、ベル役の当選確率が、16807/65536であり、ベル役当選時に押し位置ベルが優先制御される割合が1/1であり、当選時の押し位置ベルの入賞はずれ確率が8/9であることから、一般状態でベルこぼ目が現出する割合は、約22.8%((16807/65536)×(8/9))となる。同様に、BB1内部状態については、ベル役の当選確率が、16807/65536であり、ベル役当選時に押し位置ベルが優先制御される割合が4/9であり、当選時の押し位置ベルの入賞はずれ確率が8/9であることから、BB1内部状態でベルこぼ目が現出する割合は、約10.1%((16807/65536)×(32/81))となる。同様に、BB2内部状態については、ベル役の当選確率が、16807/65536であり、ベル役当選時に押し位置ベルが優先制御される割合が7/9であり、当選時の押し位置ベルの入賞はずれ確率が8/9であることから、BB2内部状態でベルこぼ目が現出する割合は、約17.7%((16807/65536)×(56/81))となる。したがって、第2の実施形態のスロットマシン1では、他の遊技状態と比べて一般状態でベルこぼ目が現出されやすい。
このように、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、一般状態において取りこぼし目(具体的には「ベルこぼ目」)が現出されやすいことで、ボーナスゲームやSBゲームのような特別な遊技状態でなくても、所定の入賞役(具体的には「ベル役」)の入賞機会が多く存在していることを遊技者に認識させることができる。従来の一般的な遊技機では、演出上の変化が起こりやすく特典の獲得機会も多く感じられるSB状態やボーナスゲーム等の特別状態と比べて、一般状態は特典の獲得機会が少なく、遊技意欲が低下しやすいという傾向が少なからずあった。これに対し、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、上述したように一般状態で入賞役の取りこぼし目が出やすくされることで、当該ゲームでは入賞には至らなかったものの、当該入賞役の入賞機会が増加していること(すなわち、入賞による特典を獲得する機会の増加)を遊技者に体感させることができるため、入賞を狙おうとする遊技意欲を高めさせることに期待できる。かくして、特別な遊技状態でなくても遊技者の遊技意欲を高め得る遊技機を提供することが可能となる。なお、第1の実施形態のスロットマシン1でも、一般状態で取りこぼし目が現出される割合が他の遊技状態に比べて高いことから、同様の効果が期待できる。
特に、第1及び第2の実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で選ばれた所定の当選役(ベル役)が入賞しない場合に表示される取りこぼし目(ベルこぼ目)について、当該当選役の入賞が抑制されたことを遊技者に認識させ得る表示態様で特定の図柄組合せを表示させることができる。具体的には例えば、[10−1−3−1]で詳述したように、「ベル図柄のテンパイ形」を示す表示態様で「ベルこぼ目」の図柄組合せを表示させることで実現可能である。このように、一般状態で取りこぼし目の現出機会が高められ、当選役の入賞が抑制されたことを遊技者に認識させ得る表示態様で当該取りこぼし目の図柄組合せが表示されることによって、入賞機会の増加が遊技者に確実に示唆又は教示される。また、取りこぼし目の図柄組合せが表示される際に、LEDの点灯や液晶画面への画像出力等を用いて取りこぼしの告知を確実にするようにしてもよい。その結果、従来では遊技者に飽きられ易い傾向があった一般状態に制御されている期間でも、押し位置や押し順を当てて入賞を狙おうという遊技意欲を高め、興趣を向上させる効果に期待できる。
(3)SB状態におけるSB役
また、第2の実施形態のスロットマシン1では、第1の実施形態と同様に、SB状態に制御されているSBゲーム中に再度SB役が入賞した場合には(SB役の当選時は必ず入賞する)、次のゲームが再びSB状態に制御されることから、SBゲームのために定められた比較的短い所定ゲーム数(例えば1ゲーム)が消化された後も、SBゲームが継続することになる。そして、第2の実施形態のスロットマシン1では、SB状態におけるSB役の当選確率が1/2を超えることによって、SBゲームとして規定される比較的短い最短の所定ゲーム数(例えば1ゲーム)を超える連続したゲーム期間でSB状態に制御される割合を、当該所定ゲーム数のゲーム期間でSB状態に制御される割合よりも高くしている。換言すれば、SBゲームの所定ゲーム数を1ゲームとするとき、SBゲームが1ゲームで終了して一般状態に戻る割合よりも、2ゲーム以上に連続してSBゲームが行われる割合のほうが高い。
図61の抽選テーブルを参照して具体的な数値を示すと、SB状態で用いられる抽選テーブル4によれば、SB役の置数は「39158」であることから総置数(分母)の「65536」の過半数を超え、SB役の当選確率は約59.8%(39158/65536≒1/1.6736)となっている。なお、既述であるが、スロットマシン1において、SB役の当選時にはSB役の図柄組合せが必ず入賞するので、SB役の当選確率はSB役の入賞確率と同じとなる。また、このとき、SB状態の平均継続ゲーム数は、SBゲームの所定ゲーム数が1ゲームである場合に、約2.48ゲームとなる。
そして、第2の実施形態におけるSB状態では、前述したように、入賞役の当選割合は減少する一方で入賞役の入賞割合が増加することから、内部抽選で入賞役に対応する当選役が選ばれた場合に、一般状態よりも安定して当該入賞役を入賞させることができ、賞としての遊技媒体の付与(メダルの払出)を安定的に実現することができる。
以上の2点、すなわち、SB状態が最短の所定ゲーム数で終わらずにより長い期間で継続し易いことと、SB状態では当選役が選ばれた際の遊技媒体の付与が安定的に行われるとによって、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、遊技媒体の安定的な付与を継続して実行可能にすることができる。例えば従来の遊技機では、押し位置小役や押し順小役のように遊技媒体の払出を得るために適正なリールの停止操作を必要とする当選役があったとして、このような当選役に当選したとしても、適正な停止操作が行われなければ遊技媒体の払出まで確実に行われるわけではないため、遊技者に不安感や損失感を抱かせるおそれが少なからずあった。しかし、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、特殊遊技状態(SB状態に相当)において、所定の当選役の入賞割合を増加させることによって賞としての遊技媒体の付与を安定的に実現することから、このような従来の遊技機の課題を克服し、遊技者に安心感を与え得る遊技機を提供することができる。
また、第2の実施形態のスロットマシン1は、SB状態におけるSB役の当選確率が1/2を超えるだけでなく、一般状態におけるSB役の当選確率も1/2を超える。図61の抽選テーブル1によれば、一般状態の役抽選におけるSB役の置数は「39155」であり、SB役の当選確率は約59.7%(39155/65536≒1/1.6738)となる。このようなスロットマシン1によれば、一般状態に制御された遊技の結果、半数以上の割合でSB状態に移行し、当該移行後のSB状態に制御された遊技の結果、半数以上の継続率でSB状態が維持され(平均継続ゲーム数約2.48ゲーム)、SBゲームの終了後に再び一般状態に制御されるものであり、複数の遊技状態の間を高頻度で遷移させることができる。「高頻度」の具体的な割合を示すと、上記値の場合(BB1,BB2役への当選を除く)、一般状態が2ゲーム連続する確率は16.2%であり、3ゲーム連続する確率は6.5%に過ぎないことから、3ゲーム以内に一般状態から他の遊技状態(SB状態)に遷移する確率は、約93.5%になる。さらに、スロットマシン1では、BB1やBB2に当選してボーナスゲーム(BB1ゲーム,BB2ゲーム)又は内部状態に遷移することもある。このように複数の遊技状態の間を高頻度で遷移可能な遊技機が提供されることによってゲーム性を向上させることができ、一つの遊技状態(特に一般状態)が続いて遊技者が遊技に飽きることを防止する効果が期待できる。
(4)BB2ゲーム
次に、第2の実施形態のスロットマシン1におけるBB2ゲームの特徴について述べる。第1の実施形態とは異なる点として、第2の実施形態では、BB2ゲームの遊技状態の1つとしてBB2一般RT状態を備えている。第2の実施形態のスロットマシン1は、このようなBB2一般RT状態を有することによって、斬新なボーナスゲームを提供することができる。
BB2ゲームにおける各遊技状態での入賞役全体の特典の期待値を算出して示す。BB2ゲームの各遊技状態(BB2一般状態、BB2一般RT状態、BB2RB状態)においては、複合ベル役に当選した場合、押し位置不問小役のベル11が優先して引き込み制御される(図60)。そして、何れのベル役が入賞しても、払出枚数は15枚である。
このようなBB2ゲームのうち、まず、抽選テーブル6が用いられるBB2一般状態では、内部抽選の抽選対象となる入賞役は複合ベル役(「ベル1+ベル11」〜「ベル9+ベル11」)だけであり、BB2一般状態における入賞役全体の期待払出枚数は、(1867/65536)×15×9=252045/65536≒3.85〔枚〕となる。BB2ゲームの規定数が3枚であることを考えると、BB2一般状態でメダルを増やす効果はさほど高くなく、どちらかといえば、48733/65536の確率で「BB中RB」に当選するまでの一時的な遊技状態に位置付けることができる。
次に、抽選テーブル7が用いられるBB2一般RT状態における期待払出枚数を算出する。BB2一般RT状態は、BB2一般状態で「BB中RB」に当選したものの、RB役図柄を有効ラインに揃えなかった場合に移行する遊技状態で、RB役の成立状態が持ち越されている。このようなBB2一般RT状態では、内部抽選の抽選対象は複合ベル役又はリプレイ役だけに限定されており、はずれも抽選されない。図61を参照して具体的な入賞割合を算出すると、複合ベル役の当選確率は、(1867/65536)×9=16803/65536であり、リプレイ役の当選確率は、48733/65536である。BB2一般RT状態における1ゲーム当たりの期待払出枚数を算出すると、複合ベル役の場合は必ずベル11が入賞して(図60参照)15枚のメダルが払い出される。また、リプレイ役の場合はメダルの払出はなく、厳密には入賞役ではないが、次ゲームではメダルを必要としない再遊技が提供されることから、実質的には3枚のメダルが補てんされると同義と考えることができる。このような観点から、BB2一般RT状態における実質的な期待払出枚数を算出すると、(16803/65536)×15+(48733/65536)×3=398244/65536≒6.08〔枚〕となる。
つまり、BB2一般RT状態では、抽選テーブル7を用いて役抽選が行われることによって、15枚のメダルが払い出されるベル役か再遊技が設定されるリプレイ役の何れかが必ず有効ライン上に表示されることになり、メダルが減ることはなく増えることだけが期待できる有利な遊技進行が提供される。なお、実質的な期待払出枚数ではなく、リプレイ役に割り当てられる置数を事前に除外して期待払出枚数を算出すると、はずれがないことから、15枚という算出結果になる。何れにしても、BB2一般RT状態では、メダル増加に期待できることが分かる。
次に、抽選テーブル8が用いられるBB2RB状態についても、同様に期待払出枚数を算出してみる。BB2RB状態は、BB2ゲーム中にRB役を揃えた場合に移行する遊技状態である。図61を参照すれば、BB2RB状態における役抽選では、1868/65536の当選確率でベル10(必ず15枚の払出があるベル役)に当選する一方、63668/65536の割合ではずれが選択される。したがって、BB2RB状態における期待払出枚数は、(1868/65536)×15=28020/65536≒0.43〔枚〕となる。つまり、BB2RB状態では、入賞払出によるメダルの増加にはほとんど期待できず、むしろ、規定数が3枚であることを考慮すると、メダルが減少する遊技状態であることが分かる。
以上のように、第2の実施形態のスロットマシン1では、BB2ゲームにおいて、BB2一般状態はメダルが微増する遊技状態であり、BB2一般RT状態は大幅なメダル増加が見込まれる遊技状態である一方、BB2RB状態はメダルが減少する遊技状態となっている。このようなBB2ゲームでは、BB2一般状態で「BB中RB」に当選したとしても、敢えてRB図柄(「BAR図柄」揃い)を有効ラインに揃えないように、すなわち、「BAR図柄」を引き込み不能な押し位置でリール停止操作を行うことによって、BB2RB状態に移行させずに、BB2一般RT状態を継続させたほうが、多量のメダル払出を狙うことができる。このようなボーナスゲームは、遊技者の目押し技術によって獲得可能なメダル枚数を大きく変化させることができる。第2の実施形態のスロットマシン1は、このような技術介入性を有するBB2ゲームを備えることによって、当該ボーナスゲーム中のリール停止操作の重要性を高め、遊技者を飽きさせないようにすることができる。遊技者にとっても、ボーナスゲーム中にBAR図柄を外すような目押しを実行できればメダルの獲得枚数を増やすことができるため、追加的に特典が付与される感覚を与えて遊技者の興趣を高めることが期待できる。
また、図64を参照しながら上述したように、第2の実施形態のスロットマシン1では、BB2一般状態で「BB中RB」に当選したとしても、あえてRB図柄(「BAR図柄」揃い)を有効ラインに揃えないような操作(「RB役の入賞外し」)を行うことによって、遊技状態をBB2一般RT状態に移行させることができる。さらに、BB2一般RT状態の内部抽選で抽選される当選役を、はずれなしで、有効ラインに必ず引き込み可能な小役(ベル11が優先される複合ベル役)又は再遊技役(リプレイ役)とし、入賞役の優先順位を『複合ベル・再遊技>BBR中RB』とすることによって、「RB役の入賞外し」に一度成功しさえすれば、後は「RB役の入賞外し」を行う必要なく、BB2一般RT状態を継続可能にできるため、「RB役の入賞外し」を行うことによる遊技者の労力を軽減する効果を奏する。
なお、第2の実施形態のスロットマシン1では、BB2一般状態で「BB中RB」に当選したゲーム時のように、「RB役の入賞外し」を行うことが推奨される状況では、表示装置やLED及びスピーカ等の出力装置を用いて、推奨する操作を遊技者に教示するようにしてもよい。
また、第2の実施形態のスロットマシン1においては、BB2一般状態でRB役の図柄組合せを揃えてしまった(RB役に入賞させた)としても、続いて制御されるBB2RB状態は、規定のRB終了条件(例えば、所定回数の入賞回数(8回のベル役入賞)、又は所定の遊技回数(12ゲーム)に到達)が成立した後には、再びBB2一般状態に移行するようにしているので、「RB役の入賞外し」に失敗してBB2RB状態という不利遊技状態に移行してしまったとしても、遊技者の落胆を軽減させることができる。その後BB中RB役に当選した場合には、BB2一般状態への移行を目指して「RB役の入賞外し」に再挑戦できることから、遊技者が楽しめる遊技機会を繰り返し創出することができる。
また、第2の実施形態のスロットマシン1では、BB2一般RT状態における内部抽選で、何れの当選役(入賞役)も抽選されない場合(所謂、はずれ)を設けてもよい。このとき、入賞役や同時成立役に関するリール制御の優先順位を上述してきた形態と同様であるとすれば、BB2一般RT状態において、何らかの入賞役に当選した場合は、当該入賞役がRB役よりも優先されることから「RB役の入賞外し」は必要ないが、抽選結果がはずれであった場合は、RB役が入賞し得る状況になることから「RB役の入賞外し」を行ってBB2一般RT状態の継続を試みるというゲーム性を付与することができる。このような技術介入性を付与することで、入賞外しを楽しませる機会を増やすとともに、成功時に遊技者に満足感を与えることができる。
(5)ボーナスゲーム後の遊技状態
第2の実施形態のスロットマシン1では、図63,64に例示した遊技状態移行制御処理によれば、ボーナスゲーム(BB1ゲーム,BB2ゲーム)の終了後に、バッファに0がセットされることで遊技状態が一般状態に制御される(ステップS1512,S1533)。そして、図61の抽選テーブル1を参照すると、一般状態の内部抽選の抽選対象には「はずれ」が用意されていない。
ここで、第2の実施形態のスロットマシン1において、特別遊技状態で行われるボーナスゲーム(具体的にはBB1ゲーム、BB2ゲーム)は、短期間で多量の遊技媒体の獲得に期待できるのに対し、一般状態やSB状態で行われるゲームは、遊技者の手持ちメダルの減少が想定される。したがって、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、多量の遊技媒体の獲得に期待できる特別遊技状態(ボーナスゲームが行われる遊技状態に相当)の終了後に制御される遊技状態(一般状態)において、内部抽選(役抽選)で必ず何れかの役に当選することができる。
第2の実施形態のスロットマシン1では、上記のように、特別遊技状態が終了した後も、無駄な抽選結果が発生しない(はずれが存在しない)遊技状態に制御されることによって、特別遊技状態終了後の遊技者の遊技意欲の低下を抑制し、遊技への期待感を増幅させる効果を奏する。従来の一般的な遊技機では、ボーナスゲームのような特別遊技状態の間は遊技者の興趣を高められる一方、当該特別遊技状態が終了した後は遊技者に有利な遊技状態ではなくなってしまうために、遊技者の遊技継続に対する意欲が低下する傾向があったが、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、このような課題を克服し、特別遊技状態の後も遊技者の遊技意欲を維持させることに期待できる。
さらに詳しく説明すると、第2の実施形態のスロットマシン1では、一般状態における内部抽選で抽選対象となる役として、小役(例えばベル役)やリプレイ役、BB1役、BB2役、及びSB役がある。小役やリプレイ役は、その当選によって、それぞれの当選役に基づいた図柄組合せの表示が許容される特典役であり、小役が入賞した場合には遊技媒体(メダル)が付与され、リプレイ役が入賞した場合には再遊技の権利が付与される。第2の実施形態のスロットマシン1では、小役やリプレイ役の入賞によって遊技状態は変更されないものの、遊技媒体や再遊技の権利が付与される。また、BB1役やBB2役は、その当選によって、遊技者にとって有利な遊技状態に移行する特定契機に対応する図柄組合せの表示が許容される特典役である。より具体的には、BB1役やBB2役の当選役に基づいた図柄組合せが表示されることによって、BB1状態やBB2状態に遊技状態が移行してBB1ゲームやBB2ゲームが実行されることで、多量の遊技媒体が付与される。なお、SB役の場合は、当選時に必ず入賞することによって遊技状態がSB状態に変わる特典役であり、前述したように、SB状態では内部抽選で当選した当選役に対する安定した入賞に期待することができる。
第2の実施形態のスロットマシン1によれば、このように、「遊技状態は変わらないものの、遊技媒体の付与可能性がある特典役」、「遊技者にとって有利な遊技状態に移行可能な特典役」、並びに「安定した入賞に期待できる遊技状態に移行可能な特典役」といった複数種別の特典役について、特別遊技状態後に制御される遊技状態において、当該複数種別の特典役の何れかに必ず当選させるため、常に何らかの特典付与に期待することができる。このように、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、遊技者に有利な特別遊技状態が終了した後でも、特典(上記した「複数種別の特典」に相当)への期待値が高い遊技状態に移行させることで、連続的な特典獲得の機会が提供されるため、遊技への期待感を増幅させることができる。また、当該遊技状態が続くほど連続的な特典獲得の機会が延長して提供され、遊技への期待感をより増幅させることができる。
また、このようなスロットマシン1によれば、特別遊技状態後に制御される遊技状態の内部抽選において、必ず何れかの当選役が選び出されることから、内部抽選による当たりとはずれとの振り分けの概念が存在しないことになり、抽選結果は上記の特典種別に集約されることになる。このとき遊技者は、内部抽選の抽選結果として何れかの種別の特典を獲得可能な状況下で、最も有利度の高い特典(「遊技者にとって有利な遊技状態に移行可能な特典役」)を目指して期待感を持った遊技を楽しむことができる。
なお、上記では、特別遊技状態の終了後に制御される遊技状態において内部抽選で「必ず」何れかの役に当選することに注目したが、当該内部抽選で「極めて高頻度」で何れかの当選役に当選する場合でも、その実質的な効果は上記「必ず」の場合と大きく変わるものではないため、第2の実施形態のスロットマシン1では、特別遊技状態の終了後に制御される遊技状態で用いられる抽選テーブル(例えば、抽選テーブル1)に若干のはずれの置数を用意することによって、「極めて高頻度」で何れかの当選役に当選するようにしてもよい。
また、このようなスロットマシン1によれば、特別遊技状態後に制御される特殊遊技状態(例えば一般状態)の内部抽選において、「遊技状態は変わらないものの、遊技媒体の付与可能性がある特典役」、「遊技者にとって有利な遊技状態に移行可能な特典役」、並びに「安定した入賞に期待できる遊技状態に移行可能な特典役」といった複数種別の特典役のうちの何れかに、必ずまたは極めて高頻度で当選することから、特殊遊技状態から移行する遊技状態は、「遊技者にとって有利な遊技状態」又は「安定した入賞に期待できる遊技状態」である。すなわち、特殊遊技状態の後に移行される遊技状態もまた、期待値の高い遊技状態ということができるため、遊技者に特典獲得の機会を連続して提供し得る遊技機を実現することができる。
[14−2.引き込み役の優先制御]
第2の実施形態のスロットマシン1は、第1の実施形態と同様の引き込み役の優先制御の設定(図60)を利用しているので、[12−2]で述べたように、内部抽選で同時当選役が選ばれた場合に優先して引き込む優先役の設定を、遊技状態ごとに設定するという特徴を有する。さらに詳細には、同一種別の小役が同時成立する場合にも、各小役の引き込みの優先度を遊技状態ごとに設定するという特徴を有する。
そして、一般状態よりもBB1内部状態及びBB2内部状態において、ベル役の入賞確率が高くなることや、複合ベル役当選時の払出期待値が高くなることについても、第1の実施形態と同様であるから、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、メダル払出の機会が増えたことを遊技者が感じたときに、ボーナスフラグが成立している状態(BB1内部状態、BB2内部状態)に期待させられるという効果や、ベル役の入賞機会が高くなったと感じるほど、BB2よりもBB1の成立に期待できるようになるといった効果を提供することができる。また、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、第1の実施形態と同様に、特別遊技状態への移行が許容された遊技状況にあること(BB1内部状態やBB2内部状態に制御されていること)を示唆又は教示し得る遊技機を提供することができる。
さらに、同一種別の小役が同時成立する場合に各小役の引き込みの優先度を遊技状態ごとに設定することで、払出期待値の微調整を容易にするとともに、多様な差異の設定を可能にすることもできる。[12−2]で述べた他の効果も第2の実施形態に共通するが、これらの記載は重複するため省略する。
なお、本発明に係る遊技機として上述した第1又は第2の実施形態のスロットマシン1は、複数の遊技状態のうちの何れかの遊技状態に制御される遊技機であって、メイン基板409(主にCPU1110)は、遊技者に有利な特典役として、入賞役に基づいた図柄組合せの表示を許容する第1種別の特典役(小役やリプレイ役に相当)、並びに遊技状態を移行する特定契機に対応する図柄組合せの表示を許容する第2種別の特典役(ボーナス役に相当)が少なくとも含まれるなかから役を抽選する抽選手段の一例であり、入賞役に基づいた図柄組合せが表示されたときに賞として遊技媒体を付与する特典付与手段の一例である。また、メイン基板409(主にCPU1110)は、特定契機の図柄組合せ(例えば、BB1役やBB2役の図柄組合せ)が表示されたことに基づいて多量の遊技媒体の獲得に期待できる特別遊技状態(ボーナスゲーム)に制御するとともに、当該特別遊技状態の後は特殊遊技状態に制御する遊技状態制御手段の一例であり、「特殊遊技状態」は、本実施形態においてボーナスゲーム後に制御される一般状態に相当する。また、メイン基板409(主にCPU1110)は、特殊遊技状態において抽選手段に第1種別又は第2種別の特典役の何れかに必ず又は極めて高頻度で当選するような抽選を行わせることで、特別遊技状態の後にも拘わらず特典の獲得機会を継続する連続特典付与手段の一例であり、具体的には、[14−1](5)で述べたように、ボーナスゲームの終了後に制御される一般状態において、内部抽選の抽選対象に「はずれ」が存在しない(又はほぼ存在しない)ことによって、内部抽選の結果、必ず又は極めて高頻度で、何れかの上記特典役に当選することに相当する。また、メイン基板409(主にCPU1110)は、特殊遊技状態が終了したあとでも期待値が高い遊技状態に移行させる複数連続特典付与手段の一例でもあり、具体的には、ボーナスゲームの終了後に制御される特殊遊技状態(例えば一般状態)において、「遊技状態は変わらないものの、遊技媒体の付与可能性がある特典役」、「遊技者にとって有利な遊技状態に移行可能な特典役」、並びに「安定した入賞に期待できる遊技状態に移行可能な特典役」といった複数種別の特典役のうちの何れかに、必ずまたは極めて高頻度で当選することで、特殊遊技状態の後に移行する遊技状態を「遊技者にとって有利な遊技状態」又は「安定した入賞に期待できる遊技状態」という期待値の高い遊技状態にできることに相当する。
以上は、本発明のスロットマシン1の一形態であるが、これに限定されることはない。スロットマシン以外の遊技機、例えば、パチンコ機や、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。