JP2016029481A - 表示装置 - Google Patents

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JP2016029481A JP2015167557A JP2015167557A JP2016029481A JP 2016029481 A JP2016029481 A JP 2016029481A JP 2015167557 A JP2015167557 A JP 2015167557A JP 2015167557 A JP2015167557 A JP 2015167557A JP 2016029481 A JP2016029481 A JP 2016029481A
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平澤 拓
Hiroshi Hirasawa
拓 平澤
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【課題】より柔軟な運用が可能な表示装置を提供する。【解決手段】ある実施形態における表示装置は、空気中の波長がλ1aの第1の光を発する第1フォトルミネッセンス層を有する第1発光素子、および、第2フォトルミネッセンス層を有する第2発光素子の配列を含む表示面を有する。第1発光素子は、さらに、第1フォトルミネッセンス層に近接して配置された第1透光層と、第1フォトルミネッセンス層および第1透光層の少なくとも一方の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第1表面構造とを有する。第1表面構造は、第1の光の指向角を制限する。【選択図】図36

Description

本開示は、表示装置に関し、特に、フォトルミネッセンス層を有する発光素子が用いられた表示装置に関する。
照明器具、ディスプレイ、プロジェクターといった光学デバイスでは、多くの用途において、必要な方向に光を出射することが求められる。蛍光灯、白色LEDなどで使用されるフォトルミネッセンス材料は等方的に発光する。よって、特定の方向に光を出射させることが求められる用途においては、このような材料は、リフレクターやレンズなどの光学部品とともに用いられる。例えば、特許文献1は、配光板および補助反射板を用いて指向性を確保した照明システムを開示している。
特開2010−231941号公報
光学デバイスにおいて、特定の方向に光を出射するためにリフレクターやレンズなどの光学部品を配置すると、そのスペースを確保するために、光学デバイス自身のサイズを大きくする必要がある。これらの光学部品を無くすか、少しでも小型化できると有益である。
本開示は、より柔軟な運用が可能な表示装置を提供する。
本開示のある実施形態の表示装置は、空気中の波長がλ1aの第1の光を発する第1フォトルミネッセンス層を有する第1発光素子、および、第2フォトルミネッセンス層を有する第2発光素子の配列を含む表示面を備える。前記第1発光素子は、さらに、前記第1フォトルミネッセンス層に近接して配置された第1透光層と、前記第1フォトルミネッセンス層および前記第1透光層の少なくとも一方の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第1表面構造とを有する。前記第1表面構造は、前記第1の光の指向角を制限する。
上記の包括的または具体的な態様は、素子、装置、システム、方法、またはこれらの任意の組み合わせで実現されてもよい。
本開示のある実施形態によれば、より柔軟な運用が可能な表示装置を提供することができる。
ある実施形態による発光素子の構成を示す斜視図である。 図1Aに示す発光素子の部分断面図である。 他の実施形態による発光素子の構成を示す斜視図である。 図1Cに示す発光素子の部分断面図である。 発光波長および周期構造の高さをそれぞれ変えて、正面方向に出射する光の増強度を計算した結果を示す図である。 式(10)におけるm=1およびm=3の条件を図示したグラフである。 発光波長およびフォトルミネッセンス層の厚さtを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。 厚さt=238nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を示す図である。 厚さt=539nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を示す図である。 厚さt=300nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を示す図である。 図2の計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードである場合について光の増強度を計算した結果を示す図である。 2次元の周期構造の例を示す平面図である。 2次元周期構造に関して図2と同様の計算を行った結果を示す図である。 発光波長および周期構造の屈折率を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。 図8と同様の条件でフォトルミネッセンス層の膜厚を1000nmにした場合の結果を示す図である。 発光波長および周期構造の高さを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。 図10と同様の条件で、周期構造の屈折率をnp=2.0とした場合の計算結果を示す図である。 光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードであるものとして図9に示す計算と同様の計算を行った結果を示す図である。 図9に示す計算と同様の条件で、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavを1.5に変更した場合の結果を示す図である。 屈折率が1.5の透明基板の上に、図2に示す計算と同じ条件のフォトルミネッセンス層および周期構造を設けた場合の計算結果を示す図である。 式(15)の条件を図示したグラフである。 図1A、1Bに示す発光素子100と、励起光をフォトルミネッセンス層110に入射させる光源180とを備える発光装置200の構成例を示す図である。 x方向の周期pxを有する1次元周期構造を示す図である。 x方向の周期px、y方向の周期pyを有する2次元周期構造を示す図である。 図17Aの構成における光の吸収率の波長依存性を示す図である。 図17Bの構成における光の吸収率の波長依存性を示す図である。 2次元周期構造の一例を示す図である。 2次元周期構造の他の例を示す図である。 透明基板上に周期構造を形成した変形例を示す図である。 透明基板上に周期構造を形成した他の変形例を示す図である。 図19Aの構成において、発光波長および周期構造の周期を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。 複数の粉末状の発光素子を混ぜた構成を示す図である。 フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の周期構造を2次元に配列した例を示す平面図である。 表面に凹凸構造が形成された複数のフォトルミネッセンス層110が積層された構造を有する発光素子の一例を示す図である。 フォトルミネッセンス層110と周期構造120との間に保護層150を設けた構成例を示す断面図である。 フォトルミネッセンス層110の一部のみを加工することによって周期構造120を形成した例を示す図である。 周期構造を有するガラス基板上に形成されたフォトルミネッセンス層の断面TEM像を示す図である。 試作した発光素子の出射光の正面方向のスペクトルを測定した結果を示すグラフである。 TMモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させている状況を示す図である。 試作した発光素子を図27Aに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。 試作した発光素子を図27Aに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を計算した結果を示すグラフである。 TEモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させている状況を示す図である。 試作した発光素子を図27Dに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。 試作した発光素子を図27Dに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を計算した結果を示すグラフである。 TEモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向に垂直な軸を回転軸として回転させている状況を示す図である。 試作した発光素子を図28Aに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。 試作した発光素子を図28Aに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を計算した結果を示すグラフである。 TMモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させている状況を示す図である。 試作した発光素子を図28Dに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。 試作した発光素子を図28Dに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を計算した結果を示すグラフである。 試作した発光素子の出射光(波長610nm)の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。 スラブ型導波路の一例を模式的に示す斜視図である。 フォトルミネッセンス層110上に周期構造120を有する発光素子における発光増強効果を受ける光の波長および出射方向との関係を説明するための模式図である。 発光増強効果を示す波長が異なる複数の周期構造を配列した構成の例を示す模式的な平面図である。 1次元周期構造の凸部が延びる方位が異なる複数の周期構造を配列した構成の例を示す模式的な平面図である。 複数の2次元周期構造を配列した構成の例を示す模式的な平面図である。 マイクロレンズを備える発光素子の模式的な断面図である。 発光波長が異なる複数のフォトルミネッセンス層を有する発光素子の模式的な断面図である。 発光波長が異なる複数のフォトルミネッセンス層を有する他の発光素子の模式的な断面図である。 本開示の実施形態に係る例示的な表示装置を示す模式的な平面図である。 図35に示すA−A’線に沿って表示装置300を切断したときの模式的な断面図である。 本開示の他の実施形態に係る例示的な表示装置を示す模式的な平面図である。 図37に示すB−B’線に沿って表示装置310を切断したときの模式的な断面図である。 表示装置310における発光素子の配列の一例を示す模式的な平面図である。 図39に示すC−C’線に沿って表示装置310を切断したときの模式的な断面図である。 所望の画素を選択的に発光させる構成の第1の例を示す模式図である。 所望の画素を選択的に発光させる構成の第2の例を示す模式的な断面図である。 所望の画素を選択的に発光させる構成の第3の例を示す模式的な断面図である。 多言語表示システムの一例を示す図である。 交通情報表示システムの一例を示す図である。 交通情報表示システム420における表示装置310を、空港、駅などの通路の壁面に設置した例を示す図である。 多視点表示システムの一例を示す図である。 多視点表示システムの一例を示す図である。 多画面表示システムの一例を示す図である。 複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を有する表面構造の一例を示す模式的な断面図である。
[1.本開示の実施形態の概要]
本開示は、以下の項目に記載の表示装置を含む。
[項目1]
空気中の波長がλ1aの第1の光を発する第1フォトルミネッセンス層を有する第1発光素子、および、第2フォトルミネッセンス層を有する第2発光素子の配列を含む表示面を備え、
第1発光素子は、さらに、
第1フォトルミネッセンス層に近接して配置された第1透光層と、
第1フォトルミネッセンス層および第1透光層の少なくとも一方の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第1表面構造と、を有し、
第1表面構造は、第1の光の指向角を制限する、表示装置。
[項目2]
空気中の波長がλ1aの第1の光を発する第1フォトルミネッセンス層を有する第1発光素子、および、第2フォトルミネッセンス層を有する第2発光素子の配列を含む表示面を備え、
第1発光素子は、さらに、
第1透光層と、
第1透光層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第1表面構造と、を有し、
第1フォトルミネッセンス層は、第1表面構造に近接して配置されており、
第1表面構造は、第1の光の指向角を制限する、表示装置。
[項目3]
空気中の波長がλ1aの第1の光を発する第1フォトルミネッセンス層を有する第1発光素子、および、第2フォトルミネッセンス層を有する第2発光素子の配列を含む表示面を備え、
第1発光素子は、さらに、
第1フォトルミネッセンス層よりも高い屈折率を有する第1透光層と、
第1透光層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第1表面構造と、を有し、
第1表面構造は、第1の光の指向角を制限する、表示装置。
[項目4]
第1フォトルミネッセンス層と第1透光層とが互いに接している、項目1から3のいずれかに記載の表示装置。
[項目5]
空気中の波長がλ1aの第1の光を発する第1フォトルミネッセンス層を有する第1発光素子、および、第2フォトルミネッセンス層を有する第2発光素子の配列を含む表示面を備え、
第1発光素子は、さらに、
第1フォトルミネッセンス層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第1表面構造を有し、
第1表面構造は、第1の光の指向角を制限する、表示装置。
[項目6]
第1表面構造は、第1の光の指向角を、15°未満に制限する、項目1から5のいずれかに記載の表示装置。
[項目7]
第2フォトルミネッセンス層は、空気中の波長がλ1aの第2の光を含む光を発し、
第1の光の指向角は、第2の光の指向角よりも小さい、項目1から6のいずれかに記載の表示装置。
[項目8]
第2フォトルミネッセンス層は、波長λ1aとは異なる、空気中の波長がλ2aの第2の光を発し、
第1の光の指向角は、第2の光の指向角よりも小さい、項目1から6のいずれかに記載の表示装置。
[項目9]
第1表面構造は、第1の光の強度を、第1表面構造によって予め決められた第1の方向において最大にし、
第2発光素子は、さらに、
第2フォトルミネッセンス層に近接して配置された第2透光層と、
第2フォトルミネッセンス層および第2透光層の少なくとも一方の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第2表面構造と、を有し、
第2表面構造は、第2の光の指向角を制限し、かつ、第2の光の強度を、第2表面構造によって予め決められた、第1の方向とは異なる第2の方向において最大にする、項目7または8に記載の表示装置。
[項目10]
第1表面構造は、第1の光の強度を、第1表面構造によって予め決められた第1の方向において最大にし、
第2発光素子は、さらに、
第2透光層と、
第2透光層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第2表面構造と、を有し、
第2フォトルミネッセンス層は、第2表面構造に近接して配置されており、
第2表面構造は、第2の光の指向角を制限し、かつ、第2の光の強度を、第2表面構造によって予め決められた、第1の方向とは異なる第2の方向において最大にする、項目7または8に記載の表示装置。
[項目11]
第1表面構造は、第1の光の強度を、第1表面構造によって予め決められた第1の方向において最大にし、
第2発光素子は、さらに、
第2フォトルミネッセンス層よりも高い屈折率を有する第2透光層と、
第2透光層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第2表面構造と、を有し、
第2表面構造は、第2の光の指向角を制限し、かつ、第2の光の強度を、第2表面構造によって予め決められた、第1の方向とは異なる第2の方向において最大にする、項目7または8に記載の表示装置。
[項目12]
第2フォトルミネッセンス層と第2透光層とが互いに接している、項目9から11のいずれかに記載の表示装置。
[項目13]
第1表面構造は、第1の光の強度を、第1表面構造によって予め決められた第1の方向において最大にし、
第2発光素子は、さらに、
第2フォトルミネッセンス層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第2表面構造と、を有し、
第2表面構造は、第2の光の指向角を制限し、かつ、第2の光の強度を、第2表面構造によって予め決められた、第1の方向とは異なる第2の方向において最大にする、項目7または8に記載の表示装置。
[項目14]
第2表面構造は、第2の光の指向角を、15°未満に制限する、項目9から13のいずれかに記載の表示装置。
[項目15]
第2の光の第2の方向を基準としたときの指向角は、15°未満である、項目13に記載の表示装置。
[項目16]
第1の光の第1の方向を基準としたときの指向角は、15°未満である、項目13に記載の表示装置。
[項目17]
第2表面構造は、第2の光の強度を、第2表面構造によって予め決められた第2の方向において最大にする擬似導波モードを、第2フォトルミネッセンス層の内部に形成する、項目9から16のいずれかに記載の表示装置。
[項目18]
第2表面構造における隣接する2つの凸部間または隣接する2つの凹部間の距離をD2intとし、第2の光に対する第2フォトルミネッセンス層の屈折率をn2wavとすると、λ1a/n2wav<D2int<λ1aまたはλ2a/n2wav<D2int<λ2aの関係が成り立つ、項目9から17のいずれかに記載の表示装置。
[項目19]
第2表面構造は、少なくとも1つの周期構造を有し、
第2表面構造における少なくとも1つの周期構造の周期をp2とし、第2の光に対する第2フォトルミネッセンス層の屈折率をn2wavとすると、λ1a/n2wav<p2<λ1aまたはλ2a/n2wav<p2<λ2aの関係が成り立つ、項目9から18のいずれかに記載の表示装置。
[項目20]
第2の光の光路上に配置された光学シャッタを有する、項目7から19のいずれかに記載の表示装置。
[項目21]
第1の光の少なくとも一部または第2の光の少なくとも一部を反射するミラーを有する、項目9から20のいずれかに記載の表示装置。
[項目22]
第1表面構造は、第1の光の強度を、第1表面構造によって予め決められた第1の方向において最大にする擬似導波モードを、第1フォトルミネッセンス層の内部に形成する、項目1から21のいずれかに記載の表示装置。
[項目23]
第1表面構造における隣接する2つの凸部間または隣接する2つの凹部間の距離をD1intとし、第1の光に対する第1フォトルミネッセンス層の屈折率をn1wavとすると、λ1a/n1wav<D1int<λ1aの関係が成り立つ、項目1から22のいずれかに記載の表示装置。
[項目24]
第1表面構造は、少なくとも1つの周期構造を有し、
第1表面構造における少なくとも1つの周期構造の周期をp1とし、第1の光に対する第1フォトルミネッセンス層の屈折率をn1wavとすると、λ1a/n1wav<p1<λ1aの関係が成り立つ、項目1から23のいずれかに記載の表示装置。
[項目25]
第1の光の光路上に配置された光学シャッタを有する、項目1から24のいずれかに記載の表示装置。
[項目26]
第1発光素子および第2発光素子の少なくとも一方に励起光を入射させる少なくとも1つの励起光源を有する、項目1から25のいずれかに記載の表示装置。
[項目27]
少なくとも1つの励起光源は、
第1発光素子に励起光を入射させる第1励起光源と、
第2発光素子に励起光を入射させる第2励起光源と、を含む、項目1から26のいずれかに記載の表示装置。
本開示の実施形態による表示装置は、少なくとも、第1フォトルミネッセンス層を有する第1発光素子および第2フォトルミネッセンス層を有する第2発光素子が配列された表示面を有する。第1フォトルミネッセンス層および第2フォトルミネッセンス層は、励起光によって光を発する。第1発光素子における第1フォトルミネッセンス層は、励起光を受けて空気中の波長がλ1aの光を発する。以下では、第1フォトルミネッセンス層および第2フォトルミネッセンス層を区別せずに単に「フォトルミネッセンス層」と呼ぶことがある。
ある態様において、第1発光素子は、第1フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、第1フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造とを有する。表面構造は、第1フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλ1aの光の指向角を制限する。波長λ1aは、例えば、可視光の波長範囲内(例えば、380nm以上780nm以下)にある。赤外線を利用する用途では、波長λ1aは、780nmを超える場合もあり得る。一方、紫外線を利用する用途では、波長λ1aは、380nm未満の場合もあり得る。本開示では、赤外線および紫外線を含めた電磁波全般を、便宜上「光」と表現する。
ある態様において、第2発光素子は、第1発光素子と同様に、第2フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、第2フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造とを有し得る。以下では、第1発光素子における透光層および第2発光素子における透光層を区別せずに単に「透光層」と呼ぶことがある。
第2フォトルミネッセンス層は、励起光を受けることによって発光する。このときに出射される光は、空気中の波長がλ1aの光を含む。あるいは、第2フォトルミネッセンス層は、励起光を受けて、波長λ1aとは異なる、空気中の波長がλ2aの光を発する。波長λ2aの範囲は、波長λ1aの範囲と同様であり得る。第2発光素子における表面構造は、第2フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλ1aの光の指向角、または、空気中の波長がλ2aの光の指向角を制限する。
フォトルミネッセンス層は、フォトルミネッセンス材料を含む。フォトルミネッセンス材料は、励起光を受けて発光する材料を意味する。フォトルミネッセンス材料は、狭義の蛍光材料および燐光材料を包含し、無機材料だけなく、有機材料(例えば色素)を包含し、さらには、量子ドット(即ち、半導体微粒子)を包含する。フォトルミネッセンス層は、フォトルミネッセンス材料に加えて、マトリクス材料(即ち、ホスト材料)を含んでもよい。マトリクス材料は、例えば、ガラスや酸化物などの無機材料や樹脂である。
フォトルミネッセンス層に近接して配置される透光層は、フォトルミネッセンス層が発する光に対して透過率が高い材料、例えば、無機材料や樹脂で形成される。透光層は、例えば誘電体(特に、光の吸収が少ない絶縁体)で形成され得る。透光層は、例えば、第1フォトルミネッセンス層および/または第2フォトルミネッセンス層を支持する基板であってよい。フォトルミネッセンス層の空気側の表面がサブミクロン構造を有する場合、空気層が透光層となり得る。
第1発光素子および第2発光素子のうち、少なくとも、第1発光素子の第1フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方の表面には、表面構造が形成される。この表面構造は、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む。ある態様では、第2発光素子の第2フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方の表面にも表面構造が形成される。ここで「表面」とは、他の物質と接している部分(即ち界面)を意味する。透光層が空気等の気体の層である場合は、その気体の層と他の物質(例えばフォトルミネッセンス層)との間の界面が、透光層の表面である。この表面構造は、「凹凸構造」と称することもできる。表面構造は、典型的には、複数の凸部または複数の凹部が一次元または二次元に周期的に配列された部分を含む。そのような表面構造は、「周期構造」と称することができる。複数の凸部および複数の凹部は、互いに接する2つの屈折率の異なる部材(または媒質)の境界に形成される。したがって、「周期構造」は、ある方向に屈折率が周期的に変動する部分を含む構造といえる。ここで「周期的」とは、厳密に周期的である態様に限定されず、近似的に周期的であるといえる態様を含む。本明細書において、連続する複数の凸部または凹部のうち、隣接する2つの中心間の距離(以下、「中心間隔」と称することがある。)が、いずれの2つの隣接する凸部または凹部についても、ある値pの±15%以内の範囲に収まっているとき、その部分は、周期pを有する周期構造であると考える。
本明細書において「凸部」は、基準の高さの部分に対して盛り上がった部分を意味する。「凹部」は、基準の高さの部分に対して窪んだ部分を意味する。凸部および凹部の形状、サイズ、分布によっては、いずれが凸部でいずれが凹部かが容易に判断できない場合があり得る。例えば、図50に示す断面図では、部材610が凹部を有し、部材620が凸部を有していると解釈することもできれば、その逆の解釈も可能である。どのように解釈したとしても、部材610および部材620の各々が、複数の凸部および凹部の少なくとも一方を有するといえることには変わりはない。
表面構造における隣接する2つの凸部または隣接する2つの凹部の中心間の距離(周期構造においては周期p)は、典型的にはフォトルミネッセンス層が発する光の空気中における波長λ1aまたはλ2aよりも短い。フォトルミネッセンス層から発せられる光が可視光、短波長の近赤外線、または紫外線の場合、その距離はマイクロメートルのオーダー(即ちミクロンオーダー)よりも短い。よって、そのような表面構造を、「サブミクロン構造」と称することがある。「サブミクロン構造」が一部に1マイクロメートル(μm)を超える中心間隔または周期を有する部分を含んでいてもよい。以下の説明では、可視光を発するフォトルミネッセンス層を主に想定し、表面構造を意味する用語として「サブミクロン構造」の用語を主に用いる。しかし、サブミクロンオーダーを超える微細構造(例えば、赤外線を利用する用途で使用されるミクロンオーダーの微細構造)を有する表面構造についても、以下の議論は全く同様に成立する。
本開示の実施形態による表示装置においては、後に計算結果および実験結果を参照して詳述するように、フォトルミネッセンス層および透光層の内部に、ユニークな電場分布を形成する。これは、導波光がサブミクロン構造(即ち表面構造)と相互作用して形成される。このような電場分布を形成する光のモードを「擬似導波モード」と表現することができる。この擬似導波モードを活用することで、以下で説明するように、フォトルミネッセンスの発光効率の増大、指向性の向上、偏光の選択性の効果を得ることができる。なお、以下の説明において、擬似導波モードという用語を使って、本発明者が見出した、新規な構成および/または新規なメカニズムを説明することがある。その説明は、1つの例示的な説明に過ぎず、本開示をいかなる意味においても限定するものではない。
サブミクロン構造は、例えば複数の凸部を含み、隣接する凸部間の中心間距離をDintとすると、λ1a/nwav<Dint<λ1aの関係を満足し得る。あるいは、サブミクロン構造は、λ2a/nwav<Dint<波長λ2aの関係を満足し得る。サブミクロン構造は、複数の凸部に代えて複数の凹部を含んでもよい。以下では、簡単のために、サブミクロン構造が複数の凸部を有するものとして説明する。λは光の波長を表し、λ1aおよび波長λ2aにおける下付きのaは、空気中での光の波長であることを表現する。nwavは、フォトルミネッセンス層の屈折率である。フォトルミネッセンス層が複数の材料を混合した媒質である場合、各材料の屈折率をそれぞれの体積比率で重み付けした平均屈折率をnwavとする。一般に屈折率nは波長に依存するので、例えばλ1aの光に対する屈折率であることをnwav-1aなどと明示することが望ましいが、簡単のためにnwavと表記することがある。nwavは基本的にフォトルミネッセンス層の屈折率であるが、フォトルミネッセンス層に隣接する層の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率よりも大きい場合、当該屈折率が大きい層の屈折率およびフォトルミネッセンス層の屈折率をそれぞれの体積比率で重み付けした平均屈折率をnwavとする。この場合は、光学的には、フォトルミネッセンス層が複数の異なる材料の層で構成されている場合と等価であるからである。
擬似導波モードの光に対する媒質の有効屈折率をneffとすると、na<neff<nwavを満たす。ここで、naは空気の屈折率である。擬似導波モードの光を、フォトルミネッセンス層の内部を入射角θで全反射しながら伝搬する光であると考えると、有効屈折率neffは、neff=nwavsinθと書ける。また、有効屈折率neffは、擬似導波モードの電場が分布する領域に存在する媒質の屈折率によって決まるので、例えば、サブミクロン構造が透光層に形成されている場合、フォトルミネッセンス層の屈折率だけでなく、透光層の屈折率にも依存する。また、擬似導波モードの偏光方向(TEモードとTMモード)により、電場の分布は異なるので、TEモードとTMモードとでは有効屈折率neffは異なり得る。
サブミクロン構造は、フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方に形成される。フォトルミネッセンス層と透光層とが互いに接するとき、フォトルミネッセンス層と透光層との界面にサブミクロン構造が形成されてもよい。このとき、フォトルミネッセンス層および透光層がサブミクロン構造を有する。フォトルミネッセンス層はサブミクロン構造を有さなくてもよい。このとき、サブミクロン構造を有する透光層がフォトルミネッセンス層に近接して配置される。ここで、透光層(またはそのサブミクロン構造)がフォトルミネッセンス層に近接するとは、典型的には、これらの間の距離が、波長λ1aまたはλ2aの半分以下であることをいう。これにより、導波モードの電場がサブミクロン構造に到達し、擬似導波モードが形成される。ただし、透光層の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率よりも大きいときには上記の関係を満足しなくても透光層まで光が到達するため、透光層のサブミクロン構造とフォトルミネッセンス層との間の距離は、波長λ1aの半分超または波長λ2aの半分超であってもよい。本明細書では、フォトルミネッセンス層と透光層とが、導波モードの電場がサブミクロン構造に到達し、擬似導波モードが形成されるような配置関係にあるとき、両者が互いに関連付けられていると表現することがある。
サブミクロン構造が、上記のように、λ1a/nwav<Dint<λ1aまたはλ2a/nwav<Dint<λ2aの関係を満足するとき、可視光を利用する用途では、サブミクロンオーダーの大きさで特徴づけられる。サブミクロン構造は、例えば、以下に詳細に説明する実施形態の発光素子におけるように、少なくとも1つの周期構造を含み得る。少なくとも1つの周期構造は、周期をpとすると、λ1a/nwav<p<λ1aまたはλ1a/nwav<p<λ2aの関係が成り立つ。すなわち、サブミクロン構造は、隣接する凸部間の距離Dintがpaで一定の周期構造を含み得る。サブミクロン構造がこのような周期構造を含むと、擬似導波モードの光は、伝搬しながら周期構造と相互作用を繰り返すことにより、サブミクロン構造によって回折される。これは、自由空間を伝播する光が周期構造により回折する現象とは異なり、光が導波しながら(即ち、全反射を繰り返しながら)周期構造と作用する現象である。したがって、周期構造による位相シフトが小さくても(即ち、周期構造の高さが小さくても)効率よく光の回折を起こすことができる。
以上のようなメカニズムを利用すれば、擬似導波モードにより電場が増強される効果によって、フォトルミネッセンスの発光効率が増大するとともに、発生した光が擬似導波モードに結合する。擬似導波モードの光は、周期構造で規定される回折角度だけ進行角度が曲げられる。これを利用することによって、特定の波長の光を特定の方向に出射することができる。すなわち、周期構造が存在しない場合と比較して、指向性が顕著に向上する。さらに、TEモードとTMモードとで有効屈折率neff(=nwavsinθ)が異なるので、高い偏光の選択性を同時に得ることもできる。例えば、後に実験例を示すように、特定の波長(例えば610nm)の直線偏光(例えばTMモード)を正面方向に強く出射する発光素子を得ることができる。このとき、正面方向に出射する光の指向角は例えば15°未満である。ここで「指向角」とは、出射する特定の波長の直線偏光について、強度が最大である方向と、強度が最大強度の50%になる方向との間の角度と定義される。すなわち、指向角は強度が最大である方向を0°とした場合の片側の角度である。このように、本開示の実施形態における周期構造(即ち表面構造)は、特定の波長(例えばλ1aまたはλ2a)の光の指向角を制限する。言い換えれば、当該波長の光の配光を、周期構造がない場合と比較して狭角にする。このような、周期構造が存在しない場合と比較して指向角が低減された配光を、「狭角配光」と称することがある。本開示の実施形態における周期構造は、波長λ1aの光または波長λ2aの光の指向角を制限する。ただし、例えば波長λ1aの光の指向角が制限される場合において、周期構造は、波長λ1aの光の全てを狭角に出射するのではない。例えば後述する図29に示す例では、強度が最大になる方向から離れた角度(例えば20°〜70°)の方向にも波長λ1aの光が僅かに出射する。しかし、全体的には、波長λ1aの出射光が0°〜20°の範囲に集中しており、指向角が制限されている。波長λ2aの光についても同様のことがいえる。波長λ2aの光の指向角が制限される場合、波長λ2aの光は、強度が最大になる方向から離れた角度の方向にも僅かに出射し得る。
なお、本開示の典型的な実施形態における周期構造は、一般的な回折格子とは異なり、指向角の制限を受ける光の波長(ここではλ1aまたはλ2a)よりも短い周期を有する。一般的な回折格子は、光の波長(例えばλ1aおよびλ2a)よりも十分に長い周期を有し、その結果、特定の波長の光を0次光(即ち透過光)、±1次回折光などの複数の回折光に分けて出射させる。そのような回折格子は、高次の回折光が0次光の両側に発生する。回折格子における、0次光の両側に発生する高次の回折光は、狭角配光の実現を困難にする。言い換えれば、従来の回折格子は、光の指向角を所定の角度(例えば15°程度)に制限するという本開示の実施形態における発光素子に特有の効果を奏しない。この点で、本開示の実施形態における周期構造は、従来の回折格子とは顕著に異なる性質を有する。
サブミクロン構造の周期性が低くなると、指向性、発光効率、偏光度および波長選択性が弱くなる。必要に応じて、サブミクロン構造の周期性を調整すればよい。周期構造は、偏光の選択性が高い1次元周期構造であってもよいし、偏光度を小さくできる2次元周期構造であってもよい。
サブミクロン構造は、複数の周期構造を含み得る。複数の周期構造は、例えば、周期(ピッチ)が互いに異なる。あるいは、複数の周期構造は、例えば、周期性を有する方向(軸)が互いに異なる。複数の周期構造は、同一面内に形成されてもよいし、積層されてもよい。もちろん、発光素子は、複数のフォトルミネッセンス層と複数の透光層とを有し、これらが複数のサブミクロン構造を有してもよい。
サブミクロン構造は、フォトルミネッセンス層が発する光を制御するためだけでなく、励起光を効率よくフォトルミネッセンス層に導くためにも用いることができる。すなわち、励起光がサブミクロン構造により回折されフォトルミネッセンス層および透光層を導波する擬似導波モードに結合することで、効率よくフォトルミネッセンス層を励起することができる。フォトルミネッセンス材料を励起する光の空気中における波長をλexとし、この励起光に対するフォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-exとすると、λex/nwav-ex<Dint<λexの関係が成り立つサブミクロン構造を用いればよい。nwav-exはフォトルミネッセンス材料の励起波長における屈折率である。周期をpexとすると、λex/nwav-ex<pex<λexの関係が成り立つ周期構造を有するサブミクロン構造を用いてもよい。励起光の波長λexは、例えば、450nmであるが、可視光よりも短波長であってもよい。励起光の波長が可視光の範囲内にある場合、フォトルミネッセンス層が発する光とともに、励起光を出射するようにしてもよい。
[2.本開示の基礎となった知見]
本開示の具体的な実施形態を説明する前に、まず、本開示の基礎となった知見を説明し、続けて、表示装置の例示的な構成を説明する。上述のように、蛍光灯、白色LEDなどで使われるフォトルミネッセンス材料は等方的に発光する。特定の方向を光で照らすためには、リフレクターやレンズなどの光学部品が必要である。しかしながら、もしフォトルミネッセンス層自身が指向性をもって発光すれば、上記のような光学部品は不要になる(若しくは小さくできる)。これにより、光学デバイスや器具の大きさを大幅に小さくすることができる。本発明者は、このような着想に基づき、指向性発光を得るために、フォトルミネッセンス層の構成を詳細に検討した。
本発明者は、まず、フォトルミネッセンス層からの光が特定の方向に偏るようにするため、発光自体に特定の方向性をもたせることを考えた。発光を特徴付ける指標である発光レートΓは、フェルミの黄金則により、以下の式(1)で表される。
Figure 2016029481

式(1)において、rは位置を表すベクトル、λは光の波長、dは双極子ベクトル、Eは電場ベクトル、ρは状態密度である。一部の結晶性物質を除く多くの物質では、双極子ベクトルdはランダムな方向性を有している。また、フォトルミネッセンス層のサイズと厚さが光の波長よりも十分に大きい場合、電場Eの大きさも向きに依らずほとんど一定である。よって、ほとんどの場合、<(d・E(r))>2の値は方向に依らない。即ち、発光レートΓは方向に依らず一定である。このため、ほとんどの場合においてフォトルミネッセンス層は等方的に発光する。
一方、式(1)から、異方的な発光を得るためには、双極子ベクトルdを特定の方向に揃えるか、電場ベクトルの特定方向の成分を増強するかのいずれかの工夫が必要である。これらのいずれかの工夫を行うことで、指向性発光を実現できる。本開示の実施形態では、フォトルミネッセンス層へ光を閉じ込める効果により、特定方向の電場成分が増強された擬似導波モードを利用する。そのための構成について検討し、詳細に分析した結果を以下に説明する。
[3.特定の方向の電場のみを強くする構成]
本願発明者は、電場が強い導波モードを用いて、発光の制御を行うことを考えた。導波構造自体がフォトルミネッセンス材料を含む構成とすることで、発生した光を導波モードに結合させることができる。しかし、ただ単にフォトルミネッセンス材料を用いて導波構造を形成しただけでは、発せられた光が導波モードとなるため、正面方向へはほとんど光は出てこない。そこで、本願発明者は、フォトルミネッセンス材料を含む導波路と周期構造とを組み合わせることを考えた。導波路に周期構造が近接し、光の電場が周期構造と重なりながら導波する場合、周期構造の作用により擬似導波モードが存在する。つまり、この擬似導波モードは、周期構造により制限された導波モードであり、電場振幅の腹が周期構造の周期と同じ周期で発生することを特徴とする。このモードは、光が導波構造に閉じ込められることにより特定方向への電場が強められたモードである。さらに、このモードは周期構造と相互作用することで、回折効果により特定方向の伝播光へと変換されるため、導波路外部へと光を出射することができる。さらに、擬似導波モード以外の光は導波路内に閉じ込められる効果が小さいため、電場は増強されない。よって、発光のほとんどは大きな電場成分を有する擬似導波モードへと結合することになる。
つまり、本願発明者は、周期構造が近接して設けられた導波路を、フォトルミネッセンス材料を含むフォトルミネッセンス層(あるいはフォトルミネッセンス層を有する導波層)によって構成することで、発生した光を、特定方向の伝播光に変換される擬似導波モードに結合させ、指向性のある光源を実現することを考えた。
導波構造の簡便な構成として、スラブ型導波路に着目した。スラブ型導波路とは、光の導波部分が平板構造を有する導波路のことである。図30は、スラブ型導波路110Sの一例を模式的に示す斜視図である。導波路110Sの屈折率が導波路110Sを支持する透明基板140の屈折率よりも高いとき、導波路110S内を伝播する光のモードが存在する。このようなスラブ型導波路をフォトルミネッセンス層を含む構成とすることで、発光点から生じた光の電場が導波モードの電場と大きく重なるので、フォトルミネッセンス層で生じた光の大部分を導波モードに結合させることができる。さらに、フォトルミネッセンス層の厚さを光の波長程度とすることにより、電場振幅の大きい導波モードのみが存在する状況を作り出すことができる。
さらに、フォトルミネッセンス層に周期構造が近接する場合には、導波モードの電場が周期構造と相互作用することで擬似導波モードが形成される。フォトルミネッセンス層が複数の層で構成されている場合でも、導波モードの電場が周期構造に達していれば、擬似導波モードが形成されることになる。フォトルミネッセンス層の全てがフォトルミネッセンス材料である必要はなく、その少なくとも一部の領域が発光する機能を有していればよい。
周期構造を金属で形成した場合には、導波モードとプラズモン共鳴の効果によるモードが形成される。このモードは、上で述べた擬似導波モードとは異なる性質を有する。また、このモードは金属による吸収が大きいためロスが大きくなり、発光増強の効果は小さくなる。したがって、周期構造としては、吸収の少ない誘電体を用いるのが望ましい。
本発明者は、まずこのような導波路の表面に、周期構造を形成することで、特定の角度方向の伝播光として出射することのできる擬似導波モードに、発生した光を結合させることを検討した。図1Aは、そのような導波路(例えば、フォトルミネッセンス層)110と周期構造(例えば、透光層の一部)120とを有する発光素子100の一例を模式的に示す斜視図である。以下、透光層が周期構造を有している場合(即ち、透光層に周期的なサブミクロン構造が形成されている場合)、周期構造120を透光層120ということがある。この例では、周期構造120は、各々がy方向に延びるストライプ状の複数の凸部がx方向に等間隔に並んだ1次元周期構造である。図1Bは、この発光素子100をxz面に平行な平面で切断したときの断面図である。導波路110に接するように周期pの周期構造120を設けると、面内方向の波数kwavをもつ擬似導波モードは、導波路外の伝播光へと変換され、その波数koutは以下の式(2)で表すことができる。
Figure 2016029481

式(2)におけるmは整数であり、回折の次数を表す。
ここで、簡単のため、近似的に導波路内を導波する光を角度θwavで伝播する光線であると考え、以下の式(3)および(4)が成立するとする。
Figure 2016029481



Figure 2016029481

これらの式において、λ0は光の空気中の波長、nwavは導波路の屈折率、noutは出射側の媒質の屈折率、θoutは光が導波路外の基板または空気に出射するときの出射角度である。式(2)〜(4)から、出射角度θoutは、以下の式(5)で表すことができる。
Figure 2016029481

式(5)より、nwavsinθwav=mλ0/pが成立するとき、θout=0となり、導波路の面に垂直な方向(即ち、正面)に光を出射させることができることがわかる。
以上のような原理に基づけば、発生した光を特定の擬似導波モードに結合させ、さらに周期構造を利用して特定の出射角度の光に変換することにより、その方向に強い光を出射させることができると考えられる。
上記のような状況を実現するためには、いくつかの制約条件がある。まず、擬似導波モードが存在するためには、導波路内で伝播する光が全反射することが必要である。このための条件は、以下の式(6)で表される。
Figure 2016029481

この擬似導波モードを周期構造によって回折させて導波路外に光を出射させるためには、式(5)において−1<sinθout<1である必要がある。よって、以下の式(7)を満足する必要がある。
Figure 2016029481

これに対し、式(6)を考慮すると、以下の式(8)が成立すればよいことがわかる。
Figure 2016029481

さらに、導波路110から出射される光の方向を正面方向(θout=0)にするためには、式(5)から、以下の式(9)が必要であることがわかる。
Figure 2016029481

式(9)および式(6)から、必要な条件は、以下の式(10)であることがわかる。
Figure 2016029481

なお、図1Aおよび図1Bに示すような周期構造を設けた場合には、mが2以上の高次の回折効率は低いため、m=1である1次の回折光を主眼に設計すると良い。このため、本開示の実施形態における周期構造の典型例では、m=1として、式(10)を変形した以下の式(11)を満足するように周期pが決定される。
Figure 2016029481

図1Aおよび図1Bに示すように、導波路(フォトルミネッセンス層)110が透明基板に接していない場合には、noutは空気の屈折率(約1.0)となるため、以下の式(12)を満足するように周期pを決定すればよい。
Figure 2016029481

一方、図1Cおよび図1Dに例示するような透明基板140上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120を形成した構造を採用してもよい。この場合には、透明基板140の屈折率nsが空気の屈折率よりも大きいことから、式(11)においてnout=nsとした次式(13)を満足するように周期pを決定すればよい。
Figure 2016029481

なお、式(12)、(13)では、式(10)においてm=1の場合を想定したが、m≧2であってもよい。すなわち、図1Aおよび図1Bに示すように発光素子100の両面が空気層に接している場合には、mを1以上の整数として、以下の式(14)を満足するように周期pが設定されていればよい。
Figure 2016029481

同様に、図1Cおよび図1Dに示す発光素子100aのようにフォトルミネッセンス層110が透明基板140上に形成されている場合には、以下の式(15)を満足するように周期pが設定されていればよい。
Figure 2016029481

以上の不等式を満足するように周期構造の周期pを決定することにより、フォトルミネッセンス層110から発生した光を正面方向に出射させることができるため、指向性を有する発光素子を実現できる。
[4.計算による検証]
[4−1.周期、波長依存性]
本発明者は、以上のような特定方向への光の出射が実際に可能であるかを光学解析によって検証した。光学解析は、サイバネット社のDiffractMODを用いた計算によって行った。これらの計算では、発光素子に対して外部から垂直に光を入射したときに、フォトルミネッセンス層における光の吸収の増減を計算することで、外部へ垂直に出射する光の増強度を求めた。外部から入射した光が擬似導波モードに結合しフォトルミネッセンス層で吸収されるという過程は、フォトルミネッセンス層における発光が擬似導波モードへと結合し、外部へ垂直に出射する伝播光へと変換される過程と逆の過程を計算していることに対応する。また、擬似導波モードの電場分布の計算においても、同様に外部から光を入射した場合における電場を計算した。
フォトルミネッセンス層の膜厚を1μm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造の高さを50nm、周期構造の屈折率を1.5とし、発光波長および周期構造の周期をそれぞれ変えて、正面方向に出射する光の増強度を計算した結果を図2に示す。計算モデルは、図1Aに示すように、y方向には均一な1次元周期構造とし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるとして計算を行った。図2の結果から、増強度のピークが、ある特定の波長と周期との組み合わせにおいて存在することがわかる。なお、図2において、増強度の大きさは色の濃淡で表されており、濃い(即ち黒い)方が増強度が大きく、淡い(即ち白い)方が増強度が小さい。
上記の計算において、周期構造の断面は、図1Bに示すような矩形であるものとしている。式(10)におけるm=1およびm=3の条件を図示したグラフを図3に示す。図2と図3とを比較すると、図2におけるピーク位置はm=1とm=3に対応するところに存在することがわかる。m=1の方が強度が強いのは、3次以上の高次の回折光よりも1次の回折光の回折効率の方が高いからである。m=2のピークが存在しないのは、周期構造における回折効率が低いためである。
図3で示したm=1およびm=3のそれぞれに対応する領域内において、図2では複数のラインが存在することが確認できる。これは、擬似導波モードが複数存在するからであると考えられる。
[4−2.厚さ依存性]
図4は、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造の周期を400nm、高さを50nm、屈折率を1.5とし、発光波長およびフォトルミネッセンス層の厚さtを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。フォトルミネッセンス層の厚さtが特定の値であるときに光の増強度がピークに達することがわかる。
図4においてピークが存在する波長600nm、厚さt=238nm、539nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を図5Aおよび図5Bにそれぞれ示す。比較のため、ピークが存在しないt=300nmの場合について同様の計算を行った結果を図5Cに示す。計算モデルは、上記と同様、y方向に均一な1次元周期構造であるとした。各図において、黒い領域ほど電場強度が高く、白い領域ほど電場強度が低いことを表している。t=238nm、539nmの場合には高い電場強度の分布があるのに対して、t=300nmでは全体的に電場強度が低い。これは、t=238nm、539nmの場合には、導波モードが存在し、光が強く閉じ込められているからである。さらに、凸部または凸部の直下に電場が最も強い部分(腹)が必ず存在しており、周期構造120と相関のある電場が発生している特徴が見て取れる。つまり、周期構造120の配置に従って、導波するモードが得られていることがわかる。また、t=238nmの場合とt=539nmの場合とを比較すると、z方向の電場の節(白い部分)の数が1つだけ異なるモードであることが分かる。
[4−3.偏光依存性]
次に偏光依存性を確認するために、図2の計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードである場合について光の増強度の計算を行った。本計算の結果を図6に示す。TMモードのとき(図2)に比べ、ピーク位置は多少変化しているものの、図3で示した領域内にピーク位置が納まっている。よって、導波路に近接して周期構造を設ける構成は、TMモード、TEモードのいずれの偏光についても有効であることが確認できた。
[4−4.2次元周期構造]
さらに、2次元の周期構造による効果の検討を行った。図7Aは、x方向およびy方向の両方向に凹部および凸部が配列された2次元の周期構造120’の一部を示す平面図である。図中の黒い領域が凸部、白い領域が凹部を示している。このような2次元周期構造では、x方向とy方向の両方の回折を考慮する必要がある。x方向のみ、あるいはy方向のみの回折に関しては1次元の場合と同様であるが、x、y両方の成分を有する方向(例えば、斜め45°方向)の回折も存在するため、1次元の場合とは異なる結果が得られることが期待できる。このような2次元周期構造に関して光の増強度を計算した結果を図7Bに示す。周期構造以外の計算条件は図2の条件と同じである。図7Bに示すように、図2に示すTMモードのピーク位置に加えて、図6に示すTEモードにおけるピーク位置と一致するピーク位置も観測された。この結果は、2次元周期構造により、TEモードも、回折により変換されて出力されていることを示している。また、2次元周期構造については、x方向およびy方向の両方について、同時に1次の回折条件を満足する回折も考慮する必要がある。このような回折光は、周期pの√2倍(即ち、21/2倍)の周期に対応する角度の方向に出射する。よって、1次元周期構造の場合のピークに加えて、周期pの√2倍の周期についてもピークが発生すると考えられる。図7Bでは、このようなピークも確認できる。
2次元周期構造としては、図7Aに示すようなx方向およびy方向の周期が等しい正方格子の構造に限らず、図18Aおよび図18Bのような六角形や三角形を並べた格子構造であってもよい。また、方位方向によって(例えば、正方格子の場合x方向およびy方向)の周期が異なる構造であってもよい。
以上のように、周期構造とフォトルミネッセンス層とによって形成される特徴的な擬似導波モードの光を、周期構造による回折現象を利用して、正面方向にのみ選択的に出射できることが確認できた。このような構成で、フォトルミネッセンス層を紫外線や青色光などの励起光で励起させることにより、指向性を有する発光が得られる。
[5.周期構造およびフォトルミネッセンス層の構成の検討]
次に、周期構造およびフォトルミネッセンス層の構成や屈折率などの各種条件を変えたときの効果について説明する。
[5−1.周期構造の屈折率]
まず、周期構造の屈折率に関して検討を行った。フォトルミネッセンス層の膜厚を200nm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造は図1Aに示すようなy方向に均一な1次元周期構造とし、高さを50nm、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとして計算を行った。発光波長および周期構造の屈折率を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を図8に示す。また、同様の条件でフォトルミネッセンス層の膜厚を1000nmにした場合の結果を図9に示す。
まず、フォトルミネッセンス層の膜厚に着目すると、膜厚が200nmの場合(図8)に比べ、膜厚が1000nmの場合(図9)のほうが、周期構造の屈折率の変化に対する光強度がピークとなる波長(ピーク波長と称する。)のシフトが小さいことがわかる。これは、フォトルミネッセンス層の膜厚が小さいほど、擬似導波モードが周期構造の屈折率の影響を受けやすいからである。即ち、周期構造の屈折率が高いほど、有効屈折率が大きくなり、その分ピーク波長が長波長側にシフトするが、この影響は、膜厚が小さいほど顕著になる。なお、有効屈折率は、擬似導波モードの電場が分布する領域に存在する媒質の屈折率によって決まる。
次に、周期構造の屈折率の変化に対するピークの変化に着目すると、屈折率が高いほどピークが広がり強度が下がっていることがわかる。これは、周期構造の屈折率が高いほど擬似導波モードの光を外部に放出するレートが高いため、光を閉じ込める効果が減少する、すなわちQ値が低くなることが原因である。ピーク強度を高く保つためには、光を閉じ込める効果が高い(即ちQ値が高い)擬似導波モードを利用して、適度に光を外部に放出する構成にすればよい。これを実現するためには、屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率に比べて大き過ぎる材料を周期構造に用いるのは望ましくないことがわかる。したがって、ピーク強度およびQ値をある程度高くするためには、周期構造を構成する誘電体(即ち、透光層)の屈折率を、フォトルミネッセンス層の屈折率と同等以下にすればよい。フォトルミネッセンス層がフォトルミネッセンス材料以外の材料を含むときも同様である。
[5−2.周期構造の高さ]
次に、周期構造の高さに関して検討を行った。フォトルミネッセンス層の膜厚を1000nm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造は図1Aに示すようなy方向に均一な1次元周期構造で屈折率をnp=1.5、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとして計算を行った。発光波長および周期構造の高さを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を図10に示す。同様の条件で、周期構造の屈折率をnp=2.0とした場合の計算結果を図11に示す。図10に示す結果では、ある程度以上の高さではピーク強度やQ値(即ち、ピークの線幅)が変化していないのに対して、図11に示す結果では、周期構造の高さが大きいほどピーク強度およびQ値が低下していることがわかる。これは、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも高い場合(図10)には、光が全反射するので、擬似導波モードの電場の染み出し(エバネッセント)部分のみが周期構造と相互作用することに起因する。電場のエバネッセント部分と周期構造との相互作用の影響は、周期構造の高さが十分大きい場合には、それ以上高さが変化しても一定である。一方、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも低い場合(図11)は、全反射せずに周期構造の表面にまで光が到達するので、周期構造の高さが大きいほどその影響を受ける。図11を見る限り、高さは100nm程度あれば十分であり、150nmを超える領域ではピーク強度およびQ値が低下していることがわかる。したがって、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも低い場合に、ピーク強度およびQ値をある程度高くするためには、周期構造の高さを150nm以下に設定すればよい。
[5−3.偏光方向]
次に、偏光方向に関して検討を行った。図9に示す計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードであるものとして計算した結果を図12に示す。TEモードでは、擬似導波モードの電場の染み出しがTMモードに比べて大きいため、周期構造による影響を受けやすい。よって、周期構造の屈折率npがフォトルミネッセンス層の屈折率nwavよりも大きい領域では、ピーク強度およびQ値の低下がTMモードよりも著しい。
[5−4.フォトルミネッセンス層の屈折率]
次に、フォトルミネッセンス層の屈折率に関して検討を行った。図9に示す計算と同様の条件で、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavを1.5に変更した場合の結果を図13に示す。フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが1.5の場合においても概ね図9と同様の効果が得られていることがわかる。ただし、波長が600nm以上の光は正面方向に出射していないことがわかる。これは、式(10)より、λ0<nwav×p/m=1.5×400nm/1=600nmとなるからである。
以上の分析から、周期構造の屈折率はフォトルミネッセンス層の屈折率と同等以下にするか、周期構造の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率以上の場合には、高さを150nm以下にすれば、ピーク強度およびQ値を高くできることがわかる。
[6.変形例]
以下、発光素子の変形例を説明する。
[6−1.基板を有する構成]
上述のように、発光素子は、図1Cおよび図1Dに示すように、透明基板140の上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120が形成された構造を有していてもよい。このような発光素子100aを作製するには、まず、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110を構成するフォトルミネッセンス材料(必要に応じて、マトリクス材料を含む、以下同じ。)で薄膜を形成し、その上に周期構造120を形成する方法が考えられる。このような構成において、フォトルミネッセンス層110と周期構造120とにより、光を特定の方向に出射する機能をもたせるためには、透明基板140の屈折率nsはフォトルミネッセンス層の屈折率nwav以下にする必要がある。透明基板140をフォトルミネッセンス層110に接するように設けた場合、式(10)における出射媒質の屈折率noutをnsとした式(15)を満足するように周期pを設定する必要がある。
このことを確認するために、屈折率が1.5の透明基板140の上に、図2に示す計算と同じ条件のフォトルミネッセンス層110および周期構造120を設けた場合の計算を行った。本計算の結果を図14に示す。図2の結果と同様、波長ごとに特定の周期において光強度のピークが現れることが確認できるが、ピークが現れる周期の範囲が図2の結果とは異なることがわかる。これに対して、式(10)の条件をnout=nsとした式(15)の条件を図15に示す。図14において、図15に示される範囲に対応する領域内に、光強度のピークが現れていることがわかる。
したがって、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110と周期構造120とを設けた発光素子100aでは、式(15)を満足する周期pの範囲において効果が得られ、式(13)を満足する周期pの範囲において特に顕著な効果が得られる。
[6−2.励起光源を有する発光装置]
図16は、図1A、1Bに示す発光素子100と、励起光をフォトルミネッセンス層110に入射させる光源180とを備える発光装置200の構成例を示す図である。上述のように、本開示の構成では、フォトルミネッセンス層を紫外線や青色光などの励起光で励起させることにより、指向性をもつ発光が得られる。そのような励起光を出射するように構成された光源180を設けることにより、指向性をもつ発光装置200を実現できる。光源180から出射される励起光の波長は、典型的には紫外または青色領域の波長であるが、これらに限らず、フォトルミネッセンス層110を構成するフォトルミネッセンス材料に応じて適宜決定される。なお、図16では、光源180がフォトルミネッセンス層110の下面から励起光を入射させるように配置されているが、このような例に限定されず、例えば、フォトルミネッセンス層110の上面から励起光を入射させてもよい。励起光は、フォトルミネッセンス層110の主面(即ち、上面または下面)に垂直な方向に対して傾斜した方向から(即ち、斜めに)入射させてもよい。励起光を、フォトルミネッセンス層110内で全反射が生じる角度で斜めに入射させることにより、より効率的に発光させることができる。なお、本明細書において、「上面」および「下面」の用語は、層状の構造物の2つの主面を区別するために用いられており、発光素子の使用時における姿勢を限定することを意図していない。
励起光を擬似導波モードに結合させることで、効率よく光を出射させる方法もある。図17Aから図17Dは、そのような方法を説明するための図である。この例では、図1C、1Dに示す構成と同様、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120が形成されている。まず、図17Aに示すように、発光増強のためにx方向の周期pxを決定し、続いて、図17Bに示すように、励起光を擬似導波モードに結合させるためにy方向の周期pyを決定する。周期pxは、式(10)においてpをpxに置き換えた条件を満足するように決定される。一方、周期pyは、mを1以上の整数、励起光の波長をλex、フォトルミネッセンス層110に接する媒質のうち、周期構造120を除く最も屈折率の高い媒質の屈折率をnoutとして、以下の式(16)を満足するように決定される。
Figure 2016029481

ここで、noutは、図17Bの例では透明基板140のnsであるが、図16のように透明基板140を設けない構成では、空気の屈折率(約1.0)である。
特に、m=1として、次の式(17)を満足するように周期pyを決定すれば、励起光を擬似導波モードに変換する効果をより高くすることができる。
Figure 2016029481

このように、式(16)の条件(特に式(17)の条件)を満足するように周期pyを設定することで、励起光を擬似導波モードに変換することができる。その結果、フォトルミネッセンス層110に効率的に波長λexの励起光を吸収させることができる。
図17Cおよび図17Dは、それぞれ、図17Aおよび図17Bに示す構造に対して光を入射したときに光が吸収される割合を波長ごとに計算した結果を示す図である。この計算では、px=365nm、py=265nmとし、フォトルミネッセンス層110からの発光波長λを約600nm、励起光の波長λexを約450nm、フォトルミネッセンス層110の消衰係数を0.003としている。図17Dに示すように、フォトルミネッセンス層110から生じた光だけでなく、励起光である約450nmの光に対して高い吸収率を示している。これは、入射した光が効果的に擬似導波モードに変換されることで、フォトルミネッセンス層に吸収される割合を増大させることができているためである。また、発光波長である約600nmに対しても吸収率が増大しているが、これは、もし約600nmの波長の光をこの構造に入射した場合には、同様に効果的に擬似導波モードに変換されるということである。このように、図17Bに示す周期構造120は、x方向およびy方向のそれぞれに周期の異なる構造(周期成分と称する。)を有する2次元周期構造である。このように、複数の周期成分を有する2次元周期構造を用いることにより、励起効率を高めつつ、出射強度を高めることが可能になる。なお、図17A、17Bでは励起光を基板140側から入射させているが、周期構造120側から入射させても同じ効果が得られる。
さらに、複数の周期成分を有する2次元周期構造としては、図18Aまたは図18Bに示すような構成を採用してもよい。図18Aに示すように六角形の平面形状を有する複数の凸部または凹部を周期的に並べた構成や、図18Bに示すように三角形の平面形状を有する複数の凸部または凹部を周期的に並べた構成とすることにより、周期とみなすことのできる複数の主軸(図の例では軸1〜3)を定めることができる。このため、それぞれの軸方向について異なる周期を割り当てることができる。これらの周期の各々を、複数の波長の光の指向性を高めるために設定してもよいし、励起光を効率よく吸収させるために設定してもよい。いずれの場合も、式(10)に相当する条件を満足するように各周期が設定される。
[6−3.透明基板上の周期構造]
図19Aおよび図19Bに示すように、透明基板140上に周期構造120aを形成し、その上にフォトルミネッセンス層110を設けてもよい。図19Aの構成例では、基板140上の凹凸からなる周期構造120aに追従するようにフォトルミネッセンス層110が形成されている。その結果、フォトルミネッセンス層110の表面にも同じ周期の周期構造120bが形成されている。一方、図19Bの構成例では、フォトルミネッセンス層110の表面は平坦になるように処理されている。これらの構成例においても、周期構造120aの周期pを式(15)を満足するように設定することにより、指向性発光を実現できる。
この効果を検証するため、図19Aの構成において、発光波長および周期構造の周期を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した。ここで、フォトルミネッセンス層110の膜厚を1000nm、フォトルミネッセンス層110の屈折率をnwav=1.8、周期構造120aはy方向に均一な1次元周期構造で高さを50nm、屈折率をnp=1.5、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとした。本計算の結果を図19Cに示す。本計算においても、式(15)の条件を満足する周期で光強度のピークが観測された。
[6−4.粉体]
以上の実施形態によれば、周期構造の周期や、フォトルミネッセンス層の膜厚を調整することで任意の波長の発光を強調することができる。例えば、広い帯域で発光するフォトルミネッセンス材料を用いて図1A、1Bのような構成にすれば、ある波長の光のみを強調することが可能である。よって、図1A、1Bのような発光素子100の構成を粉末状にして、蛍光材料として利用してもよい。また、図1A、1Bのような発光素子100を樹脂やガラスなどに埋め込んで利用してもよい。
図1A、1Bのような単体の構成では、ある特定の波長しか特定の方向に出射できないため、例えば広い波長域のスペクトルを持つ白色などの発光を実現することは難しい。そこで、図20に示すように周期構造の周期やフォトルミネッセンス層の膜厚などの条件の異なる複数の粉末状の発光素子100を混ぜたものを用いることにより、広い波長域のスペクトルを持つ発光装置を実現できる。この場合、個々の発光素子100の一方向のサイズは、例えば数μm〜数mm程度であり、その中に例えば数周期〜数百周期の1次元または2次元の周期構造を含み得る。
[6−5.周期の異なる構造を配列]
図21は、フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の周期構造を2次元に配列した例を示す平面図である。この例では、3種類の周期構造120a、120b、120cが隙間なく配列されている。周期構造120a、120b、120cは、例えば、赤、緑、青の波長域の光をそれぞれ正面に出射するように周期が設定されている。このように、フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の構造を並べることによっても広い波長域のスペクトルに対し指向性を発揮させることができる。なお、複数の周期構造の構成は、上記のものに限定されず、任意に設定してよい。
[6−6.積層構造]
図22は、表面に凹凸構造が形成された複数のフォトルミネッセンス層110が積層された構造を有する発光素子の一例を示している。複数のフォトルミネッセンス層110の間には、透明基板140が設けられ、各層のフォトルミネッセンス層110の表面に形成された凹凸構造が上記の周期構造またはサブミクロン構造に相当する。図22に示す例では、3層の周期の異なる周期構造が形成されており、それぞれ、赤、青、緑の波長域の光を正面に出射するように周期が設定されている。また、各周期構造の周期に対応する色の光を発するように各層のフォトルミネッセンス層110の材料が選択されている。このように、周期の異なる複数の周期構造を積層することによっても、広い波長域のスペクトルに対し指向性を発揮させることができる。
なお、層数や各層のフォトルミネッセンス層110および周期構造の構成は上記のものに限定されず、任意に設定してよい。例えば2層の構成では、透光性の基板を介して第1のフォトルミネッセンス層と第2のフォトルミネッセンス層とが対向するように形成され、第1および第2のフォトルミネッセンス層の表面に、それぞれ第1および第2の周期構造が形成されることになる。この場合、第1のフォトルミネッセンス層および第1の周期構造の対と、第2のフォトルミネッセンス層および第2の周期構造の対のそれぞれについて、式(15)に相当する条件を満足していればよい。3層以上の構成においても同様に、各層におけるフォトルミネッセンス層および周期構造について、式(15)に相当する条件を満足していればよい。フォトルミネッセンス層と周期構造との位置関係が図22に示すものとは逆転していてもよい。図22に示す例では、各層の周期が異なっているが、これらを全て同じ周期にしてもよい。その場合、スペクトルを広くすることはできないが、発光強度を大きくすることができる。
[6−7.保護層を有する構成]
図23は、フォトルミネッセンス層110と周期構造120との間に保護層150を設けた構成例を示す断面図である。このように、フォトルミネッセンス層110を保護するための保護層150を設けても良い。ただし、保護層150の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い場合は、保護層150の内部に波長の半分程度しか光の電場が染み出さない。よって、保護層150が波長よりも厚い場合には、周期構造120に光が届かない。このため、擬似導波モードが存在せず、光を特定方向に放出する機能を得ることができない。保護層150の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率と同程度あるいはそれ以上の場合には、保護層150の内部にまで光が到達する。よって、保護層150に厚さの制約は無い。ただし、その場合でも、光が導波する部分(以下、この部分を「導波層」と呼ぶ。)の大部分をフォトルミネッセンス材料で形成したほうが大きな光の出力が得られる。よって、この場合でも保護層150は薄いほうが望ましい。なお、保護層150を周期構造(透光層)120と同じ材料を用いて形成してもよい。このとき、周期構造を有する透光層が保護層を兼ねる。透光層120の屈折率はフォトルミネッセンス層110よりも小さいことが望ましい。
[7.材料]
以上のような条件を満たす材料でフォトルミネッセンス層(あるいは導波層)および周期構造を構成すれば、指向性発光を実現できる。周期構造には任意の材料を用いることができる。しかしながら、フォトルミネッセンス層(あるいは導波層)や周期構造を形成する媒質の光吸収性が高いと、光を閉じ込める効果が低下し、ピーク強度およびQ値が低下する。よって、フォトルミネッセンス層(あるいは導波層)および周期構造を形成する媒質として、光吸収性の比較的低いものが用いられ得る。
周期構造の材料としては、例えば、光吸収性の低い誘電体が使用され得る。周期構造の材料の候補としては、例えば、MgF2(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、SiO2(石英)、ガラス、樹脂、MgO(酸化マグネシウム)、ITO(酸化インジウム錫)、TiO2(酸化チタン)、SiN(窒化シリコン)、Ta25(五酸化タンタル)、ZrO2(ジルコニア)、ZnSe(セレン化亜鉛)、ZnS(硫化亜鉛)などが挙げられる。ただし、前述のとおり周期構造の屈折率をフォトルミネッセンス層の屈折率よりも低くする場合、屈折率が1.3〜1.5程度であるMgF2、LiF、CaF2、SiO2、ガラス、樹脂を用いることができる。
フォトルミネッセンス材料は、狭義の蛍光材料および燐光材料を包含し、無機材料だけなく、有機材料(例えば色素)を包含し、さらには、量子ドット(即ち、半導体微粒子)を包含する。一般に、無機材料をホストとする蛍光材料は屈折率が高い傾向にある。青色に発光する蛍光材料としては、例えば、M10(PO46Cl2:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、BaMgAl1017:Eu2+、M3MgSi28:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M5SiO4Cl6:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。緑色に発光する蛍光材料としては、例えば、M2MgSi27:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、SrSi5AlO27:Eu2+、SrSi222:Eu2+、BaAl24:Eu2+、BaZrSi39:Eu2+、M2SiO4:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、BaSi342:Eu2+Ca8Mg(SiO44Cl2:Eu2+、Ca3SiO4Cl2:Eu2+、CaSi12-(m+n)Al(m+n)n16-n:Ce3+、β−SiAlON:Eu2+を用いることができる。赤色に発光する蛍光材料としては、例えば、CaAlSiN3:Eu2+、SrAlSi47:Eu2+、M2Si58:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、MSiN2:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、MSi222:Yb2+(M=SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、Y22S:Eu3+,Sm3+、La22S:Eu3+,Sm3+、CaWO4:Li1+,Eu3+,Sm3+、M2SiS4:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M3SiO5:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。黄色に発光する蛍光材料としては、例えば、Y3Al512:Ce3+、CaSi222:Eu2+、Ca3Sc2Si312:Ce3+、CaSc24:Ce3+、α−SiAlON:Eu2+、MSi222:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M7(SiO36Cl2:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。
量子ドットについては、例えば、CdS、CdSe、コア・シェル型CdSe/ZnS、合金型CdSSe/ZnSなどの材料を用いることができ、材質によって様々な発光波長を得ることができる。量子ドットのマトリクスとしては、例えば、ガラスや樹脂を用いることができる。
図1C、1Dなどに示す透明基板140は、フォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い透光性材料によって構成される。そのような材料として、例えば、MgF2(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、SiO2(石英)、ガラス、樹脂が挙げられる。なお、基板140を介さずにフォトルミネッセンス層110に励起光を入射させるような構成においては、基板140が透明であることは必須ではない。基板140は、例えば、BaF2、SrF2、MgO、MgAl24、サファイア(Al23)、SrTiO3、LaAlO3、TiO2、Gd3Ga512、LaSrAlO4、LaSrGaO4、LaTaO3、SrO、YSZ(ZrO2・Y23)、YAG、Tb3Ga512を用いて形成されてもよい。
[8.発光素子の製造方法]
続いて、発光素子の製造方法の一例を説明する。
図1C、1Dに示す構成を実現する方法として、例えば、透明基板140上に蛍光材料を蒸着、スパッタリング、塗布などの工程によってフォトルミネッセンス層110の薄膜を形成し、その後、誘電体を成膜し、フォトリソグラフィなどの方法によってパターニングすることによって周期構造120を形成する方法がある。上記方法の代わりに、ナノインプリントによって周期構造120を形成してもよい。また、図24に示すように、フォトルミネッセンス層110の一部のみを加工することによって周期構造120を形成してもよい。その場合、周期構造120はフォトルミネッセンス層110と同じ材料で形成されることになる。
図1A、1Bに示す発光素子100は、例えば、図1C、1Dに示す発光素子100aを作製した後、基板140からフォトルミネッセンス層110および周期構造120の部分を剥がす工程を行うことで実現可能である。
図19Aに示す構成は、例えば、透明基板140上に半導体プロセスやナノインプリントなどの方法で周期構造120aを形成した後、その上にフォトルミネッセンス層110を構成する材料を蒸着やスパッタリングなどの方法で形成することによって実現可能である。あるいは、塗布などの方法を用いて周期構造120aの凹部をフォトルミネッセンス層110で埋め込むことによって図19Bに示す構成を実現することもできる。
なお、上記の製造方法は一例であり、本開示の発光素子の製造方法は上記に限定されない。
[9.実験例]
以下に、本開示の実施形態による発光素子を作製した例を説明する。
図19Aと同様の構成を有する発光素子のサンプルを試作し、特性を評価した。発光素子は以下の様にして作製した。
ガラス基板に、周期400nm、高さ40nmの1次元周期構造(ストライプ状の凸部)を設け、その上からフォトルミネッセンス材料であるYAG:Ceを210nm成膜した。この断面図のTEM像を図25に示し、これを450nmのLEDで励起することでYAG:Ceを発光させたときの、正面方向のスペクトルを測定した結果を図26に示す。図26には、周期構造がない場合の測定結果(ref)と、1次元周期構造に対して平行な偏光成分を持つTMモードと、垂直な偏光成分を持つTEモードを測定した結果について示した。周期構造がある場合は、周期構造がない場合に対して、特定の波長の光が著しく増加していることが見て取れる。また、1次元周期構造に対して平行な偏光成分を持つTMモードの方が、光の増強効果が大きいことが分かる。
さらに、同じサンプルにおいて、出射光強度の角度依存性を測定した結果および計算結果を図27A〜27Fおよび図28A〜28Fに示す。図27Aは、TMモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させている状況を示している。図27Bおよび図27Cは、このように回転させた場合についての測定結果および計算結果をそれぞれ示している。一方、図27Dは、TEモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させている状況を示している。図27Eおよび図27Fは、この場合の測定結果および計算結果をそれぞれ示している。図28Aは、TEモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向に垂直な軸を回転軸として回転させている状況を示している。図28Bおよび図28Cは、この場合の測定結果および計算結果をそれぞれ示している。一方、図28Dは、TMモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と垂直な軸を回転軸として回転させている状況を示している。図28Eおよび図28Fは、この場合の測定結果および計算結果をそれぞれ示している。
図27A〜27Fおよび図28A〜28Fから明らかなように、TMモードの方が増強される効果が高い。また、増強される光の波長は角度によってシフトすることがわかる。例えば、波長610nmの光については、TMモードでかつ正面方向にしか光が存在しないため、指向性が高くかつ偏光発光していることがわかる。また、図27Bと図27C、図27Eと図27F、図28Bと図28C、図28Eと図28Fのそれぞれの測定結果と計算結果とが整合していることから、上述の計算の妥当性が実験によって裏付けられた。
図29は、波長610nmの光について、図28Dに示すように、ライン方向に対して垂直な方向を回転軸として回転させた場合の強度の角度依存性を示している。正面方向に強い発光増強が起きており、そのほかの角度に対しては、ほとんど光が増強されていない様子がみてとれる。正面方向に出射される光の指向角は15°未満であることがわかる。なお、指向角は、前述のように、強度が最大強度の50%となる角度であり、最大強度の方向を中心に片側の角度で表す。図29に示す結果から、指向性発光が実現していることがわかる。さらに、出射される光は全てTMモードの成分であるため、同時に偏光発光も実現していることがわかる。
以上の検証のための実験は、広帯域の波長帯で発光するYAG:Ceを使って行った。狭帯域の光を発するフォトルミネッセンス材料を用いて同様の構成で実験を行ったとしても、その波長の光に対して高い指向性および偏光発光を実現することができる。さらに、そのようなフォトルミネッセンス材料を用いた場合、他の波長の光は発生しないために他の方向や他の偏光状態の光は発生しない光源を実現することができる。
[10.他の変形例]
次に、本開示の発光素子の他の変形例を説明する。
上述したように、本開示の発光素子が有するサブミクロン構造によって、発光増強効果を受ける光の波長および出射方向は、サブミクロン構造の構成に依存する。図31に示す、フォトルミネッセンス層110上に周期構造120を有する発光素子を考える。ここでは、周期構造120はフォトルミネッセンス層110と同じ材料で形成されており、図1Aに示した1次元周期構造120を有する場合を例示する。1次元周期構造120によって発光増強を受ける光は、1次元周期構造120の周期p(nm)、フォトルミネッセンス層110の屈折率nwav、光が出射される外部の媒質の屈折率noutとし、1次元周期構造120への入射角をθwav、1次元周期構造120から外部の媒質への出射角をθoutとすると、p×nwav×sinθwav−p×nout×sinθout=mλの関係を満足する(上記の式(5)参照)。ここで、λは空気中における光の波長であり、mは整数である。
上記式から、θout=arcsin[(nwav×sinθwav−mλ/p)/nout]が得られる。したがって、一般に、波長λが異なると、発光増強を受けた光の出射角θoutが異なる。その結果、図31に模式的に示すように、観察する方向によって、見える光の色が異なる。
この視角依存性を低減させるためには、(nwav×sinθwav−mλ/p)/noutが、波長λによらず一定となるように、nwavおよびnoutを選べばよい。物質の屈折率は、波長分散(波長依存性)を有しているので、(nwav×sinθwav−mλ/p)/noutが波長λに依存しないような、nwavおよびnoutの波長分散性を有する材料を選択すればよい。例えば、外部の媒質が空気の場合、noutは、波長によらずほぼ1.0なので、フォトルミネッセンス層110および1次元周期構造120を形成する材料として、屈折率nwavの波長分散が小さい材料を選択することが望ましい。さらに、屈折率nwavがより短い波長の光に対して屈折率が低くなるような逆分散の材料のほうが望ましい。
また、図32Aに示すように、互いに発光増強効果を示す波長が異なる複数の周期構造を配列することによって、白色光を出射できるようにできる。図32Aに示す例では、赤色光(R)を増強できる周期構造120rと、緑色光(G)を増強できる周期構造120gと、青色光(B)を増強できる周期構造120bとがマトリクス状に配列されている。周期構造120r、120gおよび120bは、例えば、1次元周期構造で、それぞれの凸部は互いに平行に配列されている。したがって、偏光特性は、赤、緑、青の全ての色の光について同じである。周期構造120r、120gおよび120bによって、発光増強を受けた三原色の光が出射され、混色される結果、白色光、かつ、直線偏光が得られる。
マトリクス状に配列された各周期構造120r、120gおよび120bを単位周期構造と呼ぶと、単位周期構造の大きさ(即ち、一辺の長さ)は、例えば、周期の3倍以上である。また、混色の効果を得るためには人間の目で単位周期構造が認識されない方が望ましく、例えば、一辺の長さは1mmよりも小さいことが望ましい。ここでは、各単位周期構造を正方形に描いているが、これに限られず、例えば、互いに隣接する周期構造120r、120gおよび120bが長方形、三角形、六角形などの正方形以外の形状でもよい。
また、周期構造120r、120gおよび120bの下に設けられているフォトルミネッセンス層は、周期構造120r、120gおよび120bに共通であってもよいし、それぞれの色の光に対応して異なるフォトルミネッセンス材料を有するフォトルミネッセンス層を設けてもよい。
図32Bに示すように、1次元周期構造の凸部が延びる方位が異なる複数の周期構造(周期構造120h、120iおよび120jを含む)を配列してもよい。複数の周期構造が発光増強する光の波長は、同じでもよいし、異なっていてもよい。例えば、同じ周期構造を図32Bのように配列すると、偏光していない光を得ることができる。また、図32Aにおける周期構造120r、120gおよび120bのそれぞれについて、図32Bの配列を適用すると、全体として、非偏光の白色光を得ることができる。
もちろん、周期構造は、1次元周期構造に限らず、図32Cに示すように、複数の2次元周期構造(周期構造120k、120mおよび120nを含む)を配列してもよい。このとき、周期構造120k、120mおよび120nの周期や方位は、上述したように、同じでもよいし、異なってもよく、必要に応じて適宜設定され得る。
図33に示すように、例えば、発光素子の光の出射側にマイクロレンズ130のアレイを配置してもよい。マイクロレンズ130のアレイにより、斜め方向に出射される光を法線方向に曲げることによって、混色の効果を得ることができる。
図33に示した発光素子は、図32Aにおける周期構造120r、120gおよび120bをそれぞれ有する領域R1、R2およびR3を有する。領域R1においては、周期構造120rによって、赤色光Rが法線方向に出射され、例えば緑色光Gは斜め方向に出射される。マイクロレンズ130の屈折作用によって、斜め方向に出射された緑色光Gは法線方向に曲げられる。その結果、法線方向においては、赤色光Rと緑色光Gとが混色されて観察される。このように、マイクロレンズ130を設けることによって、出射される光の波長が角度によって異なるという現象が抑制される。ここでは、複数の周期構造に対応する複数のマイクロレンズを一体化したマイクロレンズアレイを例示しているが、これに限られない。もちろん、タイリングする周期構造は上記の例に限られず、同じ周期構造をタイリングした場合にも適用できるし、図32Bまたは図32Cに示した構成にも適用できる。
斜め方向に出射される光を曲げる作用を有する光学素子は、マイクロレンズアレイに代えてレンチキュラーレンズであってもよい。また、レンズだけでなく、プリズムを用いることもできる。プリズムのアレイを用いてもよい。周期構造に対応して個々にプリズムを配置してもよい。プリズムの形状は、特に制限されない。例えば、三角プリズムまたはピラミッド型プリズムを用いることができる。
白色光(あるいは、広いスペクトル幅を有する光)を得る方法は、上述の周期構造によるものの他、例えば、図34Aおよび図34Bに示すように、フォトルミネッセンス層によるものもある。図34Aに示すように、発光波長が異なる複数のフォトルミネッセンス層110b、110g、110rを積層することによって、白色光を得ることができる。積層順は図示の例に限らない。また、図34Bに示すように、青色の光を発するフォトルミネッセンス層110bの上に、黄色の光を発するフォトルミネッセンス層110yを積層してもよい。フォトルミネッセンス層110yは、例えばYAGを用いて形成することができる。
この他、蛍光色素などマトリクス(ホスト)材料に混合して用いられるフォトルミネッセンス材料を用いる場合には、発光波長が異なる複数のフォトルミネッセンス材料をマトリクス材料に混合し、単一のフォトルミネッセンス層で、白色光を発光するようにできる。この様な白色光を発光できるフォトルミネッセンス層は、図32A〜図32Cを参照して説明した、単位周期構造をタイリングした構成に用いることができる。
[11.表示装置]
次に、本開示の実施形態に係る表示装置を説明する。
[11−1.表示装置の実施形態]
図35および図36は、本開示の実施形態に係る例示的な表示装置を示す。図35は、本開示の実施形態に係る表示装置300を表示面の法線方向から見たときの模式的な平面図であり、図36は、図35に示すA−A’線に沿って表示装置300を切断したときの模式的な断面図である。
図35に示す表示装置300は、表示面PSを有する。図示するように、表示面PSは、マトリクス状に配列された複数の発光素子100sを含む。これら発光素子100sの各々は、表示装置300における表示の単位である。以下では、表示面PSを構成する各発光素子を「画素」と呼ぶことがある。
図示するように、表示面PSを構成する複数の発光素子100sは、第1発光素子101および第2発光素子102Aの2種の発光素子の組を含んでいる。図示する例では、第1発光素子101および第2発光素子102Aの組が、表示面PSの行方向および列方向に沿って配列されている。図35に例示する構成において、表示面PSの法線方向から見たときの第1発光素子101および第2発光素子102Aの形状は、矩形である。しかしながら、これはあくまでも一例であり、複数の発光素子100sの形状は、三角形、六角形、八角形などであってもよい。
第1発光素子101の各々には、特定の方向に特定の波長の光を強く出射する発光素子が用いられる。言い換えれば、第1発光素子101の各々は、既に説明した発光素子と同様の構成を有している。この例では、第1発光素子101の各々は、図36に示すように、透明基板140に支持されたフォトルミネッセンス層111と、周期構造121とを有する。すなわち、この例では、第1発光素子101として、図1Cおよび図1Dを参照して説明した発光素子100aが用いられている。図36に示す例では、周期構造121が表示装置300の観察者側(図において左側)に形成されている。発光素子100aに代えて、既に説明した他の構造を有する発光素子を用いてももちろんかまわない。
フォトルミネッセンス層111は、励起光を受けることにより、空気中の波長がλ1aの光を発する。周期構造121は、例えば複数の凸部を有し、空気中の波長がλ1aの光の強度を予め決められた第1の方向において最大にする擬似導波モードをフォトルミネッセンス層111の内部に形成する。周期構造121は、波長λ1aの光の指向角を例えば15°未満に制限する。フォトルミネッセンス層111が発する光は、λ1a以外の他の波長の光を含んでいてもよい。
一方、第2発光素子102Aの各々は、透明基板140に支持されたフォトルミネッセンス層112を有する。フォトルミネッセンス層112は、励起光を受けることによって発光する。このとき、フォトルミネッセンス層112から出射される光は、空気中の波長がλ1aの光を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。フォトルミネッセンス層112が、例えば、励起光を受けて波長λ1aとは異なる他の特定の波長の光(例えば空気中の波長がλ2aの光)を発するフォトルミネッセンス材料から形成されていてもよい。
第1発光素子101の各々が周期構造121を含んでいることに対して、図36に示すように、第2発光素子102Aの各々は、周期構造を含んでいない。したがって、第2発光素子102Aにおける発光は、指向性を示さない。別の言い方をすれば、フォトルミネッセンス層112に励起光が入射することによって第2発光素子102Aから出射される光の指向角は、第1発光素子101から出射される、空気中の波長がλ1aの光の指向角よりも大きい。
上述したように、第1発光素子101における周期構造121は、波長λ1aの光の指向角を制限する。そのため、第1発光素子101から出射された波長λ1aの光は、周期構造121によって予め決められた第1の方向に沿って表示装置300を見たときに認識される。これに対し、第2発光素子102Aから出射された光は、より広い範囲において認識することができる。つまり、表示装置300の表示面PSは、狭角配光を示す複数の第1領域と、等方的な配光を示す複数の第2領域とを有しているといえる。
本開示の実施形態によれば、表示装置300を観察する方向に応じて、異なった画像を提示することが可能である。例えば、第2の方向から観察したときに第2の画像がさらに浮かび上がるような効果を有する表示を実現し得る。あるいは、第2発光素子102Aを発光させた状態で第1発光素子101によって情報を提示することにより、特定の方向以外の方向からの覗き見が困難な表示を実現することも可能である。
なお、本明細書において、「画像」は、静止画および動画を含む。「画像」が提示する内容は、撮像装置によって取得されたデータに限定されず、アニメーションであってもよいし、文書、標識または案内などの各種の表示であってもよい。画像は、例えば、複数の発光素子100sのうちの所望の発光素子を選択的に発光させるか、または、観察者と所望の発光素子とを結ぶ経路を選択的に遮断することによって表示される。所望の発光素子を選択的に発光させる構成、および、観察者と所望の発光素子とを結ぶ経路を選択的に遮断する構成の詳細は、後述する。あるいは、標識および案内のように頻繁に情報を書き換える必要がない場合には、表示面PSの全体ではなく、所望の一部の箇所に第1発光素子101および第2発光素子102Aを配置しておいてもよい。
[11−2.表示装置の他の実施形態]
図37および図38は、本開示の他の実施形態に係る例示的な表示装置を示す。図37は、本開示の他の実施形態に係る表示装置310を表示面の法線方向から見たときの模式的な平面図であり、図38は、図37に示すB−B’線に沿って表示装置310を切断したときの模式的な断面図である。図37および図38に示す表示装置310と、図35および図36を参照して説明した表示装置300との相違点は、表示装置310が、第2発光素子102Aに代えて第2発光素子102Bを有する点である。
図38に示すように、第2発光素子102Bの各々は、フォトルミネッセンス層112を有し、かつ、上述の第1発光素子101と同様に、表示装置310の観察者側に形成された周期構造122をさらに有する。つまり、ここで説明する実施形態では、第1発光素子101だけではなく、第2発光素子102Bの各々にも、特定の方向に特定の波長の光を強く出射する発光素子が用いられている。ここでは、第2発光素子102Bとして、図1Cおよび図1Dを参照して説明した発光素子100aが用いられている。発光素子100aに代えて、既に説明した他の構造を有する発光素子を用いてももちろんかまわない。
フォトルミネッセンス層112は、励起光を受けることにより、例えば、空気中の波長がλ1aの光を発する。周期構造122は、例えば複数の凸部を有し、空気中の波長がλ1aの光の強度を予め決められた第2の方向において最大にする擬似導波モードをフォトルミネッセンス層112の内部に形成する。周期構造122によって予め決められる第2の方向は、上述の第1の方向とは異なる。
あるいは、フォトルミネッセンス層112は、励起光を受けることにより、空気中の波長がλ2aの光を発する。この場合は、周期構造122は、空気中の波長がλ2aの光の強度を予め決められた第2の方向において最大にする擬似導波モードをフォトルミネッセンス層112の内部に形成するように設計される。周期構造122は、フォトルミネッセンス層112が発する波長λ1aの光または波長λ2aの光の指向角を例えば15°未満に制限する。
図37および図38に例示する構成においては、第2発光素子102Bの各々が周期構造122を含んでいるので、第2発光素子102Bは、第1発光素子101と同様に狭角配光を示す。このとき、第2発光素子102Bから出射される、波長がλ1aまたはλ2aの光の強度は、第1発光素子101から出射される波長λ1aの光の強度が最大となる第1の方向とは異なる第2の方向において最大となる。そのため、表示装置310の観察者は、第1の方向から表示装置310を見たときには、第1発光素子101から出射された波長λ1aの光を認識し、第2の方向から表示装置310を見たときには、第2発光素子102Bから出射された波長λ1aの光または波長λ2aの光を認識する。
したがって、ここで説明する実施形態によれば、観察する方向に応じて異なる画像を観察者に認識させることが可能である。換言すれば、観察する方向に応じて異なる画像を表示する表示装置を実現し得る。上述の実施形態によれば、表示面PSを構成する第1発光素子101と第2発光素子102Bとの間で、特定の波長の光の進行する方向が互いに異なるように調整されているので、観察する方向に応じて異なる情報を提示することが可能である。このような構成によれば、表示面PSから出射された光の進行方向を制約するための光学系を設ける必要がないので、画素と観察者との間にパララックスバリアを設ける方式と比較して光の利用効率の低下を抑制し得る。
なお、特定の波長の光が強く出射される方向は、2つに限定されず、3以上であってもよい。例えば、発光素子100sが、第1および第2の方向のいずれとも異なる第3の方向に特定の波長の光を強く出射する発光素子をさらに含んでいてもよい。
[11−3.カラー画像の表示]
図39および図40は、表示装置310における発光素子の配列の一例を示す。図39は、表示面PSの法線方向から見たときの、発光素子の配列を示す模式的な平面図であり、図40は、図39に示すC−C’線に沿って表示装置310を切断したときの模式的な断面図である。
図39および図40に例示する構成において、表示装置310の表示面PSは、発光素子対100pr、100pgおよび100pbの配列を有する。発光素子対100prは、第1発光素子101rおよび第2発光素子102Brを含む。第1発光素子101rおよび第2発光素子102Brは、それぞれ、例えば図32Aを参照して説明した周期構造120rと同様の構成を有する周期構造121rおよび122rを含む。すなわち、発光素子対100prは、特定の方向に向けて赤色光(波長:λra)を強く出射する発光素子の対である。ただし、周期構造121rおよび122rにおける周期は、それぞれ、赤の波長域の光を第1の方向および第2の方向に強く出射するように設定されている。
同様に、発光素子対100pgは、図32Aを参照して説明した周期構造120gと同様の構成の周期構造121gを有する第1発光素子101gと、周期構造120gと同様の構成の周期構造122gを有する第2発光素子102Bgとを含む。第1発光素子101gおよび第2発光素子102Bgは、それぞれ、第1の方向および第2の方向に向けて緑色光(波長:λga)を強く出射する。発光素子対100pbは、上述の周期構造120bと同様の構成の周期構造121bを有する第1発光素子101bと、周期構造120bと同様の構成の周期構造122bを有する第2発光素子102Bbとを含む。第1発光素子101bおよび第2発光素子102Bbは、それぞれ、第1の方向および第2の方向に向けて青色光(波長:λba)を強く出射する。すなわち、この例では、発光素子対100pr、100pgおよび100pbの間で、特定の方向(第1の方向および第2の方向)におけるピーク波長は、互いに異なっている。
この例では、発光増強効果を示す波長が互いに異なる複数の周期構造がタイリングされているといえる。このように、特定の方向におけるピーク波長が互いに異なる複数の発光素子対を表示面PSに配列することにより、カラー画像を表示することが可能になる。このような構成によれば、カラーフィルタが不要であるので、光の利用効率の高い表示装置を実現し得る。さらに、この例のように、赤色、緑色および青色のそれぞれについて、出射される光の強度が最大となる方向が互いに異なる第1発光素子および第2発光素子を配置することにより、観察する方向に応じて異なるカラー画像を単一の表示面上に表示させることが可能である。なお、図39および図40に例示する構成において、各色の間で、フォトルミネッセンス層111およびフォトルミネッセンス層112は、共通である。フォトルミネッセンス層111を構成する材料と、フォトルミネッセンス層112を構成する材料とが共通であってもよい。フォトルミネッセンス層111およびフォトルミネッセンス層112の構成は、この例に限定されず、例えば、それぞれの色の光に対応して異なるフォトルミネッセンス材料が使用されてもよい。また、カラー表示に使用する色の組み合わせも上述の例に限定されず、他の色の組み合わせを適用してもよいし、ピーク波長が互いに異なる、4種以上の発光素子対を用いてもよい。
[11−4.所望の画素を選択的に発光させる構成]
次に、表示面PS中の所望の画素を選択的に発光させる構成の典型例を説明する。所望の画素を選択的に発光させることにより、表示する画像を動的に変化させることができる。
図41は、所望の画素を選択的に発光させる構成の第1の例を示す。ここでは、表示装置310を用いた例を説明する。図示するように、例えば、表示装置310の観察者側に設置した励起光源180Sから、所望の画素に向けて励起光(例えば紫外線)のビームを照射することによって、所望の画素を選択的に発光させることができる。励起光源180Sは、ガルバノスキャナ、ポリゴンミラーなどを含む走査光学系を有していてもよい。励起光の出力を変えながら、ガルバノスキャナ、ポリゴンミラーなどを用いて表示面PS上を励起光でスキャンすることにより、高解像度の表示が可能である。スキャンと同期させて励起光の照射および遮断を切り替えることにより、動画の表示も可能である。なお、各発光素子は、可視光を透過する。そのため、観察者は、表示装置310を介して背景を観察することが可能である。すなわち、画像が空中に浮かんだような効果が得られる。励起光の非照射時に表示装置310を透明な窓として利用することも可能である。
励起光源180Sの出力および走査光学系の動作は、制御回路192を含む制御装置190によって制御され得る。制御回路192は、例えば、メモリおよびCPUと、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)などの画像処理回路とを含む。図示するように、制御装置190が、外部装置(例えばコンピュータ、取り外し可能なメモリなど)と電気信号の授受が可能な構成を有する入出力インタフェース194を含んでいてもよい。入出力インタフェース194は、有線または無線により、外部装置(例えば、ネットワークに接続されたサーバーまたは端末装置など)から画像データ、制御信号などを受け取る。制御回路192は、入出力インタフェース194を介して入力された画像データ(または信号)に基づいて画像信号を生成する。
表示装置310の観察者側とは異なる方向から励起光が照射されてもよい。例えば、表示装置310の背面側(すなわち、観察者側とは反対)から発光素子100sに向けて励起光が照射されてもよい。なお、励起光源180Sとしてレーザーダイオードを用いる場合、あるいは、励起光として紫外線を用いる場合、励起光をカットするフィルターを表示装置310の観察者側に設けると、表示装置310を透過したレーザー光または紫外線が観察者に照射されないようにできるので有益である。レーザー光はコヒーレント光であるので、周期構造と干渉させることによって、より高い励起効率を実現し得る。
あるいは、図示するように、表示装置310の背面に導光シートSを配置し、導光シートSに励起光を照射してもよい。導光シートSに入射した励起光は、導光シートS内を伝搬しながら、表示装置310を背面側から照射するので、発光させたい部分に選択的に発光素子を配置しておくことにより、所望の画像を表示させることが可能である。
図42は、所望の画素を選択的に発光させる構成の第2の例を示す。図42に示す例では、表示装置310の観察者側に光学シャッタ193が配置されている。図示する例では、表示装置310の背面側に導光板195が配置されており、導光板195の側面に励起光源180が配置されている。このような構成では、導光板195を、フォトルミネッセンス層を支持する基板として機能させ得るので、透明基板140を省略し得る。
光学シャッタ193としては、例えば液晶パネルを用いることができる。この場合、液晶パネルには、表示装置310の各画素に対向するように複数の画素が配置される。このような構成によれば、液晶パネルの各画素電極に印加する電圧を制御することにより、液晶パネルの各画素における透過率を個別に調整することができるので、観察者から見た、表示装置310の各画素の輝度を、電気的な信号を用いて制御することができる。すなわち、液晶ディスプレイと同様の原理に基づいて、画像を表示させることができる。なお、表示装置310の各画素からは、周期構造に応じた特定の波長の光が特定の方向に出射されるので、表示面PS上の液晶パネルにカラーフィルタは不要である。
光学シャッタ193として、表示装置310の各画素に対向するように複数のMEMS(Micro Electro Mechanical System)シャッタが配置されたメカニカルシャッタを用いてもよい。各MEMSシャッタは、高速に駆動させることができるので、開放時間を個別に制御することにより、表示装置310の観察者に到達する光量を画素毎に調整することが可能である。各MEMSシャッタの開閉は、電気的に制御可能である。
このように、第1発光素子101と観察者との間、および、第2発光素子102Bと観察者との間に光学シャッタを設けることにより、各画素から観察者に到達する光量を制御し得る。すなわち、所望の画像を表示させることが可能である。光学シャッタ193の動作は、制御装置190(図42において不図示、図41参照)によって制御され得る。表示装置310と制御装置190とが一体とされていてもよいし、制御装置190が表示装置310から離れた場所に配置されていてもよい。単一の制御装置190によって複数の表示装置310における表示が制御されてもよい。
表示装置310に代えて、図35および図36を参照して説明した表示装置300を用いてもよい。この場合、例えば、第1発光素子101上のシャッタ(例えば液晶パネルの画素またはMEMSシャッタ)と、第2発光素子102A上のシャッタとの間でオープンおよびクローズを相補的に動作させることにより、視野角の大きな表示と、視野角の小さな表示とを切り替えることができる。このとき、制御回路192は、第1発光素子101および第2発光素子102Aの一方を選択的に有効化する選択回路として機能するといえる。
図43は、所望の画素を選択的に発光させる構成の第3の例を示す。図43に示す表示装置311は、画素毎に、励起光源180pを有している。励起光源180pとしては、LED、レーザーダイオードなどを用いることができる。
屋外に設置する用途においては、離れた場所から情報を認識できればよいので、表示装置における画素サイズは、比較的大きくても構わない。したがって、用途によっては、図示するように、第1発光素子101の各々および第2発光素子102Bの各々に対向するように励起光源180pを配置してもよい。各励起光源180pの発光を個別に制御することにより、所望の画素を選択的に発光させ得る。各励起光源180pの発光は、制御装置190(図43において不図示)によって制御され得る。
[11−5.表示装置の応用例]
以下、本開示の実施形態に係る表示装置の種々の応用例を説明する。
図44は、多言語表示システムの一例を示す。図44に示す多言語表示システム410は、上述の表示装置310を有し、第1の方向から見たときには第1の言語による情報の提示を行い、第2の方向から見たときには第2の言語による情報の提示を行う。既に説明したように、本開示の実施形態によれば、第1の方向から観察したときと、第1の方向とは異なる第2の方向から観察したときとで、異なる画像が認識されるような表示を行い得る。したがって、この例のように、表示装置310に関して第1の方向にいる観察者500Aに第1の言語による表示を行うと同時に、第2の方向にいる観察者500Bに第2の言語による表示を行うことが可能である。このような構成によれば、観察者500Aおよび500Bの母国語に関わらず、スムースに情報の共有を行い得る。多言語表示システム410は、例えば、電子辞書、各人に応じた翻訳文を表示する通訳システムとして利用できる。あるいは、複数人に対して異なる画像を同時に提示するゲームシステムとしての多言語表示システム410の利用も可能である。
図45は、交通情報表示システムの一例を示す。図45に示す交通情報表示システム420は、高速道路における標識または案内板として表示装置310を利用した例である。交通情報表示システム420は、交通情報表示システム420を見る角度に応じて異なる画像を表示する。したがって、図45中の左側のレーンを走行する車両の運転手、中央のレーンを走行する車両の運転手、および、右側のレーンを走行する車両の運転手に、それぞれ、異なった情報を提示することができる。交通情報表示システム420における表示装置310は、複数のレーンのうちの中央のレーン上に設置されてもよいし、他のレーン上に設置されてもよい。
図46は、交通情報表示システム420における表示装置310を、空港、駅などの通路の壁面に設置した例を示す。表示装置310は、第1の方向から観察したときと、第2の方向から観察したときとで異なる画像を表示可能である。そのため、壁面、柱などに表示装置310を設置することにより、表示装置310に近づいてくる方向に応じて異なった情報を提示することが可能である。例えば、図46中において図の右側から左側に向かって歩く通行人520Aと、図の左側から右側に向かって歩く通行人520Bとに、互いに異なる情報を提示することができる。したがって、例えば、通行人520Aに対しては飛行機の出発時刻を提示し、通行人520Bに対しては空港から最寄りの町に向かうバスの出発時刻を提示するといった運用が可能である。すなわち、通行人の進行方向に応じた情報の提示により、よりスムースな人の流れを実現し得る。また、例えば、駅のプラットホームが島状であれば、プラットホーム中央の上部に表示装置310を設置することにより、プラットホームにおいて右側にいる乗客と、プラットホームにおいて左側にいる乗客とに、電車の目的地に応じた異なる情報を提示することが可能である。
図47および図48は、多視点表示システムの一例を示す。上述の第1の方向および第2の方向は、鉛直面内において互いに異なる方向であってもよい。図47に示す多視点表示システム430における表示装置310は、水平方向と、表示装置310および観察者を結ぶ方向とのなす角ωに応じて複数の画像を提示する。図示するように、表示装置310の近くにいる観察者530Aと、観察者530Aよりも遠くにいる観察者530Bとの間で、上述の角ωの大きさは異なる。したがって、表示装置310からの距離に応じて異なる情報を提示することができる。
なお、図48に示すように、表示装置310からの距離が同じであっても、観察者の視点の高さが異なれば、上述の角ωの大きさは異なる。そのため、観察者の身長に応じて異なる情報を提示する多視点画像表示システムを実現することも可能である。図48に例示する構成において、観察者530Aは、例えば子どもであり、観察者530Bは、例えば大人であり得る。この例では、多視点表示システム430は、子どもと大人の間で異なる情報を同時に表示する。このようなシステムによれば、例えば、子ども向けの番組(学習番組、漫画など)と、大人向けの番組(報道番組など)を同時に提示するディスプレイを実現し得る。また、このようなシステムは、広告にも利用可能である。例えば、多視点表示システム430は、子ども用の広告と、大人用の広告とを同時に表示するデジタルサイネージとして利用可能である。
図44〜図48に示す応用例は、異なる複数の情報を、表示装置を見る角度が互いに異なる複数の人に提示する。しかしながら、本開示の表示装置の応用例は、これらの例に限定されず、同一人に対して複数の画像を提示する表示システムであってもよい。
図49は、多画面表示システムの一例を示す。図49に示す多画面表示システム440は、表示装置310と、ミラー320とを有する。多画面表示システム440は、例えば表示装置310とミラー320とがヒンジを介して接続されることにより、表示装置310およびミラー320の間の角度が変更可能に構成される。ミラー320は、表示装置310の筐体に直接に接続されていてもよいし、表示装置310に取り付けられた保護カバーの一部に固定されていてもよい。
多画面表示システム440は、例えば、表示装置310の表示面PSとミラー320の反射面RSとが対向する第1状態と、表示装置310の表示面PSとミラー320の反射面RSとが予め決められた角度をなす第2状態とを有する。図49は、第2状態にある多画面表示システム440を示している。この例において、第1の方向は、表示装置310と観察者540を結ぶ方向に設定されており、かつ、第2の方向は、ミラー320で反射した光が観察者540に向かうような方向に設定されている。したがって、観察者540は、所定の方向から表示装置310を見たとき、表示装置310の表示面PS上に表示された第1の画像Pc1と、ミラー320の反射面RS上に表示された第2の画像Pc2とを同時に認識することができる。すなわち、ミラー320の反射面RSを第2の表示面として機能させられるので、第2の表示装置を別途設けることなく、表示領域を拡大する効果が得られる。例えばスマートフォン、携帯ゲーム機に多画面表示システム440を適用すれば、第2の表示装置を別途設けることなく、より多彩な表現が可能となる。
本開示の表示装置は、情報端末用のディスプレイ、標識、案内板、および、いわゆるデジタルサイネージなどに特に有用である。
100、100a、101、102A、102B 発光素子
110、111、112 フォトルミネッセンス層(導波層)
120、120’、120a、120b、120c 透光層(周期構造、サブミクロン構造)
140 透明基板
150 保護層
180、180p、180S 光源
193 光学シャッタ
200 発光装置
300、310、311 表示装置
320 ミラー

Claims (17)

  1. 空気中の波長がλ1aの第1の光を発する第1フォトルミネッセンス層を有する第1発光素子、および、第2フォトルミネッセンス層を有する第2発光素子の配列を含む表示面を備え、
    前記第1発光素子は、さらに、
    前記第1フォトルミネッセンス層に近接して配置された第1透光層と、
    前記第1フォトルミネッセンス層および前記第1透光層の少なくとも一方の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第1表面構造と、を有し、
    前記第1表面構造は、前記第1の光の指向角を制限する、表示装置。
  2. 前記第1表面構造は、前記第1の光の指向角を、15°未満に制限する、請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記第2フォトルミネッセンス層は、空気中の波長がλ1aの第2の光を含む光を発し、
    前記第1の光の指向角は、前記第2の光の指向角よりも小さい、請求項1または2に記載の表示装置。
  4. 前記第2フォトルミネッセンス層は、波長λ1aとは異なる、空気中の波長がλ2aの第2の光を発し、
    前記第1の光の指向角は、前記第2の光の指向角よりも小さい、請求項1または2に記載の表示装置。
  5. 前記第1表面構造は、前記第1の光の強度を、前記第1表面構造によって予め決められた第1の方向において最大にし、
    前記第2発光素子は、さらに、
    前記第2フォトルミネッセンス層に近接して配置された第2透光層と、
    前記第2フォトルミネッセンス層および前記第2透光層の少なくとも一方の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む第2表面構造と、を有し、
    前記第2表面構造は、前記第2の光の指向角を制限し、かつ、前記第2の光の強度を、前記第2表面構造によって予め決められた、前記第1の方向とは異なる第2の方向において最大にする、請求項3または4に記載の表示装置。
  6. 前記第2表面構造は、前記第2の光の指向角を、15°未満に制限する、請求項5に記載の表示装置。
  7. 前記第2表面構造における隣接する2つの凸部間または隣接する2つの凹部間の距離をD2intとし、前記第2の光に対する前記第2フォトルミネッセンス層の屈折率をn2wavとすると、λ1a/n2wav<D2int<λ1aまたはλ2a/n2wav<D2int<λ2aの関係が成り立つ、請求項5または6に記載の表示装置。
  8. 前記第2表面構造は、少なくとも1つの周期構造を有し、
    前記第2表面構造における前記少なくとも1つの周期構造の周期をp2とし、前記第2の光に対する前記第2フォトルミネッセンス層の屈折率をn2wavとすると、λ1a/n2wav<p2<λ1aまたはλ2a/n2wav<p2<λ2aの関係が成り立つ、請求項5から7のいずれかに記載の表示装置。
  9. 前記第2フォトルミネッセンス層と前記第2透光層とが互いに接している、請求項5から8のいずれかに記載の表示装置。
  10. 前記第2の光の光路上に配置された光学シャッタを有する、請求項3から9のいずれかに記載の表示装置。
  11. 前記第1の光の少なくとも一部または前記第2の光の少なくとも一部を反射するミラーを有する、請求項5から10のいずれかに記載の表示装置。
  12. 前記第1表面構造における隣接する2つの凸部間または隣接する2つの凹部間の距離をD1intとし、前記第1の光に対する前記第1フォトルミネッセンス層の屈折率をn1wavとすると、λ1a/n1wav<D1int<λ1aの関係が成り立つ、請求項1から11のいずれかに記載の表示装置。
  13. 前記第1表面構造は、少なくとも1つの周期構造を有し、
    前記第1表面構造における前記少なくとも1つの周期構造の周期をp1とし、前記第1の光に対する前記第1フォトルミネッセンス層の屈折率をn1wavとすると、λ1a/n1wav<p1<λ1aの関係が成り立つ、請求項1から12のいずれかに記載の表示装置。
  14. 前記第1フォトルミネッセンス層と前記第1透光層とが互いに接している、請求項1から13のいずれかに記載の表示装置。
  15. 前記第1の光の光路上に配置された光学シャッタを有する、請求項1から14のいずれかに記載の表示装置。
  16. 前記第1発光素子および前記第2発光素子の少なくとも一方に励起光を入射させる少なくとも1つの励起光源を有する、請求項1から15のいずれかに記載の表示装置。
  17. 前記少なくとも1つの励起光源は、
    前記第1発光素子に励起光を入射させる第1励起光源と、
    前記第2発光素子に励起光を入射させる第2励起光源と、を含む、請求項1から16のいずれかに記載の表示装置。
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