JP2016028048A - 組織因子経路インヒビター(tfpi)に対するモノクローナル抗体 - Google Patents

組織因子経路インヒビター(tfpi)に対するモノクローナル抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】出血症状又は凝固処置或いは予防に関連したヒト組織因子経路インヒビター(TFPI)に結合するモノクローナル抗体の提供。【解決手段】TFPIのKunitzドメイン1及びKunitzドメイン2を含む結合部位に特異的に結合するヒトモノクローナルIgG抗体を含む治療組成物であって、該ヒトモノクローナルIgGがTFPI活性の50%以上の阻害を示す抗体、及び、該抗体の製造法。更に該モノクローナル抗体を含む医薬組成物、並びに該抗体の投与による血液凝固欠乏若しくは欠損の処置法。【選択図】なし

Description

配列表の提出
本願と関連する配列表は、EFS−Webにより電子形式で出願されており、その全体を引用により本明細書の一部とする。配列表を含むテキストファイルの名称は、MSB7329PCT_Sequence_Listing_ST25である。
実施態様の分野
ヒト組織因子経路インヒビター(TFPI)に結合する単離されたモノクローナル抗体およびその断片ならびに関連する発明を提供する。
背景技術
血液凝固は、血液が出血を止める安定した血栓を形成する過程である。該過程は、血中を循環している多くのプロ酵素(proenzymes)およびプロ補因子(procofactors)(または「凝固因子」)を含む。それらのプロ酵素およびプロ補因子は、いくつかの経路を介して相互作用し、その間にそれらは、連続してもしくは同時に活性化型に変換される。最終的に、該過程は、第Va因子、イオン化カルシウムおよび血小板の存在下で活性化第X因子(FXa)により、プロトロンビンのトロンビンへの活性化を生じる。活性化されたトロンビンは、順に、血小板凝集を誘導し、フィブリノーゲンをフィブリンに変換し、その後、活性化第XIII因子(FXIIIa)により架橋されて血栓を形成する。
第X因子の活性化を生じる過程は、下記の2個の異なる経路により行われ得る:接触活性化経路(以前は内因性経路と呼ばれていた)および組織因子経路(以前は外因性経路と呼ばれていた)。以前、凝固カスケードは、共通の経路に加えられる等しく重要な2個の経路からなると考えられていた。現在では、血液凝固の開始についての主要な経路は、組織因子経路であることが知られている。
第X因子は、活性化第VII因子(FVIIa)と組み合わせて組織因子(TF)により活性化され得る。FVIIaとその重要な補因子であるTFの複合体は、血液凝固カスケードの有力なイニシエーターである。
血液凝固の組織因子経路は、組織因子経路インヒビター(「TFPI」)により負に制御される。TFPIは、FVIIa/TF複合体の天然のFXa依存性フィードバックインヒビターである。TFPIは、多価Kunitz型セリンプロテアーゼインヒビターのメンバーである。生理学的には、TFPIは、活性化第X因子(FXa)に結合してヘテロダイマー複合体を形成し、次いで、FVIIa/TF複合体と相互作用してその活性を阻害し、その結果、血液凝固の組織因子経路を阻害する。原理上は、TFPI活性の妨害は、FXaおよびFVIIa/TF活性を回復させ、その結果、組織因子経路の作用の持続を延長させ、血友病AおよびBにおいて共通して欠損しているFXaの産生を増幅し得る。
確かに、いくつかの予備実験による証拠は、TFPIに対する抗体によるTFPI活性の阻害が、遅延した血液凝固時間を標準化するか、もしくは出血時間を短縮することを示している。例えば、Nordfang et al.は、血友病血漿の延長した希釈プロトロンビン時間(dilute prothrombin time)が、TFPIに対する抗体で血漿を処理した後に標準化されることを示した(Thromb. Haemost., 1991, 66(4):464−467)。同様に、Erhardtsen et al.は、血友病Aウサギモデルにおける出血時間が抗TFPI抗体により顕著に短縮することを示した(Blood Coagulation and Fibrinolysis, 1995, 6:388−394)。これらの研究は、抗TFPI抗体によるTFPIの阻害が血友病AもしくはBの処置において有用であり得ることを示す。ポリクローナル抗TFPI抗体のみがこれらの研究において用いられた。
ハイブリドーマ技術を用いて、組み換えヒトTFPI(rhTFPI)に対するモノクローナル抗体が作製され、同定された。Yang et al., Chin. Med. J., 1998, 111(8):718−721を参照のこと。希釈プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)についてのモノクローナル抗体の効果が試験された。実験は、抗TFPIモノクローナル抗体が第IX因子を欠損した血漿の希釈トロンボプラスチン血液凝固時間を短縮することを示した。組織因子経路が、生理学的な血液凝固においてだけでなく、血友病の出血においても重要な役割を果たしていることが示される(Yang et al., Hunan Yi Ke Da Xue Xue Bao, 1997, 22(4):297−300)。
Kjalke et al.による米国特許第7,015,194号は、FVIIa、ならびにポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、またはその断片を含むTFPIインヒビターを含む、出血症状または凝固処置の処置または予防用組成物を開示している。そのような組成物の使用は、正常な哺乳類血漿における凝固時間を短縮することがまた開示されている。さらに、第VIII因子またはその変異型が、FVIIaおよびTFPIインヒビターの開示された組成物中に含まれ得ることが示されている。FVIIIまたは第IX因子とTFPIモノクローナル抗体の組み合わせについては、示されていない。
血友病の処置に加えて、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体を含むTFPIインヒビターは、癌処置のために使用され得ることがまた示されている(Hungによる米国特許第5,902,582号を参照のこと)。
したがって、TFPIに特異的な抗体は、血液疾患および癌を処置するために必要とされる。
一般に、ヒト疾患についての治療抗体は、マウス、キメラ、ヒト化もしくは完全ヒト抗体を作製するために、遺伝学的改変により作製されている。マウスモノクローナル抗体は、短い血清半減期、ヒトエフェクター機能誘導不能、およびヒト抗マウス抗体の産生のために、治療剤として限定的な使用を有することが示されていた。Brekke and Sandlie, “Therapeutic Antibodies for Human Diseases at the Dawn of the Twenty−first Century,” Nature 2, 53, 52−62(Jan. 2003)を参照のこと。キメラ抗体は、ヒト抗キメラ抗体応答を生じることが示されていた。ヒト化抗体はさらに、抗体のマウス構成要素を最小化する。しかしながら、完全ヒト抗体は、マウス構成要素に関連する免疫原性を完全に回避する。したがって、遺伝学的に改変されたモノクローナル抗体の他の形態に関連する免疫原性を回避する完全ヒト抗体を開発する必要性が存在する。特に、抗TFPIモノクローナル抗体を用いた血友病処置のために必要とされるような慢性的な予防処置は、マウス構成要素またはマウス起源が、所要の頻回投与および治療の長期持続のために必要とされる場合、該治療に対して免疫応答を発症する高いリスクを有する。例えば、血友病Aについての抗体治療は、患者の生涯にわたって週1回の投与を必要とし得る。これは、免疫系に対する継続したチャレンジであり得る。したがって、血友病Aおよび関連する先天的および後天的な血液凝固欠乏もしくは欠損の抗体治療のための完全ヒト抗体について、必要性が存在する。
治療抗体は、Koehler and Milsteinにより“Continuous Cultures of Fused Cells Secreting Antibody of Predefined Specificity,” Nature 256, 495−497(1975)に記載されたハイブリドーマ技術を用いて作製され得る。完全ヒト抗体はまた、原核生物および真核生物において組み換え的に産生され得る。宿主細胞における抗体の組み換え的産生は、ハイブリドーマ産生よりも治療抗体のために好ましい。組み換え的産生は、より高い産物の一貫性、より高い産生レベル、および動物由来タンパク質の存在を最小化するか、もしくは除去する制御された製造の利点を有する。これらの理由により、組み換え的に産生される抗TFPI抗体を有することが望ましい。
要約
ヒト組織因子経路インヒビター(TFPI)に対するモノクローナル抗体が提供される。さらに、該抗体をコードする単離された核酸分子が提供される。抗TFPIモノクローナル抗体を含む医薬組成物ならびに血友病AおよびBのような先天的および後天的な血液凝固欠乏もしくは欠損の処置法がまた提供される。抗TFPIモノクローナル抗体をそれを必要とする患者に投与することにより出血時間を短縮するための方法がまた提供される。本発明により、ヒトTFPIに結合するモノクローナル抗体を製造する方法がまた提供される。
ヒトTFPI(「h−TFPI」)およびマウスTFPI(「m−TFPI」)に対するパニングおよびスクリーニングから選択されるFabの代表例の結合活性。エストラジオール−BSA(「EsB」)に対するコントロールFabおよびTFPIのパニングから選択される12個のFab(1−4および6−13)を試験した。Y軸は、ELISA結果の蛍光ユニットを示す。 短縮化dPTにより示されるとおり、ヒト抗体ライブラリーのパニングおよびスクリーニングから取得された4個の代表的な抗TFPI抗体(4B7:TP−4B7、2A8:TP−2A8、2G6:TP−2G6、2G7:TP−2G7)の用量依存的インビトロ機能活性。実験は、TFPI欠損血漿にスパイクした0.5 ug/mLのmTFPIを含んでいた。 ROTEMアッセイにおいて試験された抗TFPI Fab、Fab−2A8(TP−2A8由来)のインビトロ機能活性。 IgGへの変換後のクローンTP−2G6(「2G6」)のヒトTFPIおよびマウスTFPIの結合活性。Δ:マウスTFPIへのIgG−2G6結合;□:ヒトTFPIへのIgG−2G6;▲:マウスTFPIへのコントロールIgG結合;■:ヒトIgGへのコントロールIgG結合。 抗TFPI抗体TP−2A8(「2A8」)、TP−3G1(「3G1」)、およびTP−3C2(「3C2」)は、ROTEMアッセイにおいて試験されたとおり、血友病Aマウスにおける全血液凝固時間を短縮させた。各点は、一匹の個々の血友病Aマウスを示す。 抗TFPIモノクローナル抗体TP−2A10(配列番号18)、TP−2B1(配列番号22)、TP−2A2(配列番号2)、TP−2G2(配列番号66)、TP−2A5.1(配列番号6)、TP−3A3(配列番号98)、TP−2A8(配列番号14)、TP−2B8(配列番号34)、TP−2G7(配列番号82)、TP−4H8(配列番号170)、TP−2G4(配列番号70)、TP−3F2(配列番号134)、TP−2A6(配列番号10)、TP−3A2(配列番号94)、TP−2C1(配列番号42)、TP−3E1(配列番号126)、TP−3F1(配列番号130)、TP−3D3(配列番号122)、TP−4A7(配列番号150)、TP−4G8(配列番号166)、TP−2B3(配列番号26)、TP−2F9(配列番号62)、TP−2G5(配列番号74)、TP−2G6(配列番号78)、TP−2H10(配列番号90)、TP−2B9(配列番号38)、TP−2C7(配列番号46)、TP−3G3(配列番号142)、TP−3C2(配列番号114)、TP−3B4(配列番号110)、TP−2E5(配列番号58)、TP−3C3(配列番号118)、TP−3G1(配列番号138)、TP−2D7(配列番号50)、TP−4B7(配列番号158)、TP−2E3(配列番号54)、TP−2G9(配列番号86)、TP−3C1(配列番号86)、TP−3A4(配列番号102)、TP−2B4(配列番号30)、TP−3H2(配列番号146)、TP−4A9(配列番号154)、TP−4E8(配列番号162)、およびTP−3B3(配列番号106)の可変軽鎖間のアミノ酸配列アライメント。 抗TFPIモノクローナル抗体TP−2A10(配列番号20)、TP−3B3(配列番号108)、TP−2G4(配列番号72)、TP−2A5.1(配列番号8)、TP−4A9(配列番号156)、TP−2A8(配列番号16)、TP−2B3(配列番号28)、TP−2B9(配列番号40)、TP−2H10(配列番号92)、TP−3B4(配列番号112)、TP−2C7(配列番号48)、TP−2E3(配列番号56)、TP−3C3(配列番号120)、TP−2G5(配列番号76)、TP−4B7(配列番号160)、TP−2G6(配列番号80)、TP−3C2(配列番号116)、TP−2D7(配列番号52)、TP−3G1(配列番号140)、TP−2E5(配列番号60)、TP−2B8(配列番号36)、TP−3F1(配列番号132)、TP−3A3(配列番号100)、TP−4E8(配列番号164)、TP−4A7(配列番号152)、TP−4H8(配列番号172)、TP−2A6(配列番号12)、TP−2C1(配列番号44)、TP−3G3(配列番号144)、TP−2B1(配列番号24)、TP−2G7(配列番号84)、TP−3H2(配列番号148)、TP−2A2(配列番号4)、TP−3E1(配列番号128)、TP−2G2(配列番号68)、TP−3D3(配列番号124)、TP−2G9(配列番号88)、TP−2B4(配列番号32)、TP−3A2(配列番号96)、TP−2F9(配列番号64)、TP−3A4(配列番号104)、TP−3C1(配列番号136)、TP−3F2(配列番号136)、およびTP−4G8(配列番号168)の可変重鎖間のアミノ酸配列アライメント。 (1)抗TFPI抗体TP−2A8(「2A8」)、(2)2A8および組み換え第VIII因子、(3)マウスIgG、ならびに(4)組み換え第VIII因子で処理されたマウスについて、尾静脈切断後24時間にわたる生存率を示す図式。 抗TFPI抗体TP−2A8(「2A8」)、第VIIa因子、および2A8と第VIIa因子の組み合わせで処理されたマウスについて、血液凝固時間および血栓形成時間アッセイを示す図式。 FVIIIインヒビター単独の場合と比較して、FVIIIインヒビターと抗TFPI抗体TP−2A8(「2A8」)および抗TFPI抗体TP−4B7(「4B7」)で処理された正常なヒト血液についての血液凝固時間を示す図式。
詳細な説明
本明細書で使用される「組織因子経路インヒビター」または「TFPI」なる用語は、天然において細胞で発現するヒトTFPIのすべての変異型、アイソフォームおよび種ホモログを意味する。本発明の好ましい態様において、本発明の抗体のTFPIへの結合は、血液凝固時間を減少させる。
本明細書で使用される「抗体」は、全抗体およびその任意の抗原結合断片(すなわち、「抗原結合部分」)もしくは一本鎖を意味する。該用語は、天然で生じるか、もしくは通常の免疫グロブリン遺伝子断片組み換え工程により形成される全長免疫グロブリン分子(例えば、IgG抗体)、または特定の結合活性を保持する免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、例えば、抗体断片を含む。構造にかかわらず、抗体断片は、全長抗体により認識されるものと同一の抗原と結合する。例えば、抗TFPIモノクローナル抗体断片は、TFPIのエピトープに結合する。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片により行われ得る。抗体の「抗原結合部分」なる用語の範囲内に包含される結合断片の例は、下記を含む:(i)V、V、CおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により結合した2個のFab断片を含む二価断片であるF(ab’)断片;(iii)VおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVおよびVドメインからなるFv断片;(v)VドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544−546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)。さらに、Fv断片の2個のドメインであるVおよびVは、別々の遺伝子によりコードされるが、組み換え法を用いて、それらを単一タンパク質鎖として結合させる合成リンカーによりそれらを結合させることができ、そこでは、VおよびVは、対となって一価分子を形成する(一本鎖Fv(scFv)として既知である;例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423−426;およびHuston et al(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879−5883を参照のこと)。そのような一本鎖抗体はまた、抗体の「抗原結合部分」なる用語の範囲内に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者に既知の慣用的な技術を用いて取得され、該断片は、インタクト抗体と同様の方法で使用のためにスクリーニングされる。
本明細書で使用される「結合を阻害する」および「結合を妨害する」なる用語(例えば、TFPIリガンドのTFPIへの結合の阻害/妨害を参照のこと)は、同義であり、部分的および完全な阻害もしくは妨害の両方を包含する。阻害および妨害はまた、抗TFPI抗体と接触させていないTFPIと比較して、抗TFPI抗体と接触させた場合におけるTFPIと生理学的な基質との結合親和性の任意の測定可能な減少、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%までのTFPIと第Xa因子の相互作用の妨害、またはTFPI−第Xa因子複合体と組織因子、第VIIa因子もしくは組織因子/第VIIa因子の複合体の相互作用の妨害を含むことが意図される。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」なる用語は、単一分子組成物の抗体分子の調製物を意味する。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープについての単一結合特異性および親和性を示す。したがって、「ヒトモノクローナル抗体」なる用語は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する単一結合特異性を示す抗体を意味する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によりコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでの無作為もしくは部位特異的突然変異誘発によるか、またはインビボでの体細胞突然変異により導入された突然変異)を含み得る。
本明細書で使用される「単離抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的に存在しない抗体を意味することが意図される(例えば、TFPIに結合する単離抗体は、TFPI以外の抗原に結合する抗体が実質的に存在しない)。しかしながら、ヒトTFPIのエピトープ、アイソフォームもしくは変異型に結合する単離抗体は、例えば他の種に由来する他の関連抗原(例えば、TFPI種ホモログ)との交差反応を有する。さらに、単離抗体は、他の細胞物質および/または化学物質が実質的に存在しないことであり得る。
本明細書で使用される「特異的結合」は、所定の抗原に結合する抗体を意味する。一般に、抗体は、少なくとも約10−1の親和性で結合し、所定の抗原または密接に関連する抗原以外の無関係な抗原(例えば、BSA、カゼイン)に結合する親和性よりも高い親和性、例えば、少なくとも2倍以上の親和性で所定の抗原に結合する。「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」なる用語は、本明細書において「抗原に特異的に結合する抗体」なる用語と同義である。
本明細書で使用されるIgG抗体についての「高親和性」なる用語は、少なくとも約10−1、ある態様において、少なくとも約10−1、ある態様において、少なくとも約10−1、1010−1、1011−1もしくはそれ以上、例えば、1013−1もしくはそれ以上までの結合親和性を意味する。しかしながら、「高親和性」結合は、他の抗体アイソタイプについて変わり得る。例えば、IgMアイソタイプについての「高親和性」結合は、少なくとも約1.0x10−1の結合親和性を意味する。本明細書で使用される「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる抗体クラス(例えば、IgMもしくはIgG1)を意味する。
「相補性決定領域」または「CDR」は、結合する抗原の三次元構造に相補的なN末端抗原結合表面を形成する抗体分子の重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域内の3個の超可変領域のうちの1個を意味する。重鎖または軽鎖のN末端から順に、これらの相補性決定領域は、各々「CDR1」、「CDR2」および「CDR3」として示される。CDRは、抗原−抗体結合に関与し、CDR3は、抗原−抗体結合に特異的な特定の領域を含む。したがって、抗原結合部位は、重鎖および軽鎖V領域の各々からのCDR領域を含む6個のCDRを含み得る。
本明細書で使用される「保存的置換」は、1個またはそれ以上のアミノ酸の、類似の生化学的特性を有するアミノ酸での置換を含み、ポリペプチドの生物学的もしくは生化学的機能の欠損を生じないポリペプチドの修飾を意味する。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β鎖側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。本発明の抗体は、保存的アミノ酸置換を有し得て、なお活性を保持していることが想定される。
核酸およびポリペプチドについて、「実質的な相同性」なる用語は、2個の核酸もしくは2個のポリペプチド、またはその指定された配列が適当なヌクレオチドまたはアミノ酸挿入もしくは欠失を伴って最適に並べられ、比較された場合に、ヌクレオチドまたはアミノ酸の少なくとも約80%において、通常は少なくとも約85%、好ましくは約90%、91%、92%、93%、94%、または95%、より好ましくは少なくとも約96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、または99.5%において同一であることを示す。あるいは、核酸についての実質的な相同性は、断片が選択的ハイブリダイゼーション条件下で鎖の相補体にハイブリダイズする場合に存在する。本発明は、本明細書に記載された特定の核酸配列およびアミノ酸配列と実質的な相同性を有する核酸配列およびポリペプチド配列を含む。
2個の配列間の%同一性は、ギャップの数、および各ギャップの長さを考慮した配列により共有される同一の位置の数の関数であり(すなわち、%同一性=同一の位置の数 / 位置の全数 x 100)、それは、2個の配列の最適アライメントについて導入される必要がある。配列の比較および2個の配列間の%同一性の決定は、数学的アルゴリズム、例えば、VectorNTI(商標)のAlignX(商標)モジュール(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)を用いて達成され得る。AlignX(商標)について、多重アライメントの既定パラメーターは、下記のとおりである:ギャップ開始ペナルティ(gap opening penalty):10;ギャップ伸長ペナルティ(gap extension penalty):0.05;ギャップ分離ペナルティ範囲(gap separation penalty range):8;アライメント遅延(alignment delay)についての%同一性:40.(さらなる詳細は、http://www.invitrogen.com/site/us/en/home/LINNEA−Online−Guides/LINNEA−Communities/Vector−NTI−Community/Sequence−analysis−and−data−management−software−for−PCs/AlignX−Module−for−Vector−NTI−Advance.reg.us.htmlにおいて見出される)。
クエリー配列(本発明の配列)と対象配列との間の最良の全体一致を決定する他の方法(また、グローバル配列アライメントと呼ばれる)は、CLUSTALWコンピュータープログラム(Thompson et al., Nucleic Acids Research, 1994, 2(22):4673−4680)を用いて決定され得て、それは、Higgins et al.のアルゴリズム(Computer Applications in the Biosciences(CABIOS), 1992, 8(2):189−191)に基づくものである。配列アライメントにおいて、クエリーおよび対象配列の両方は、DNA配列である。該グローバル配列アライメントの結果は、%同一性である。ペアワイズアライメント(pairwise alignments)により%同一性を計算するために、DNA配列のCLUSTALWアライメントにおいて使用される好ましいパラメーターは、下記のとおりである:マトリクス=IUB、k−タプル(k−tuple)=1、Top Diagonalsの数(Number of Top Diagonals)=5、ギャップペナルティ=3、ギャップ開始ペナルティ=10、ギャップ伸長ペナルティ=0.1。多重アライメントについて、下記のCLUSTALWパラメーターが好ましい:ギャップ開始ペナルティ=10,ギャップ伸長パラメーター=0.05;ギャップ分離ペナルティ範囲=8;アライメント遅延についての%同一性=40。
核酸は、全細胞、細胞溶解物、または部分的に精製されるか、もしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。天然の環境において通常関連している他の細胞構成要素から分離された(purified away)場合に、核酸は「単離される」か、または「実質的に純粋に」なる。核酸を単離するために、下記のような標準的な技術が使用され得る:アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動および当分野において既知の他の技術。
モノクローナル抗体
ヒトTFPIに対するヒト抗体ライブラリーのパニングおよびスクリーニングから44個のTFPI結合抗体が同定された。各モノクローナル抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域が塩基配列決定され、それらのCDR領域が同定された。各モノクローナル抗体のこれらの領域に相当する配列識別番号(「配列番号」)を表1に要約する。
表1. 各TFPI結合モノクローナル抗体の重鎖可変領域(「VH」)および軽鎖可変領域(「VL」)の配列識別番号(「配列番号」)の要約。各重鎖および軽鎖のCDR領域(「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」)についての配列識別番号がまた提供される。N.A.:核酸配列;A.A.:アミノ酸配列。
Figure 2016028048
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1つの態様において、ヒト組織因子経路インヒビターに結合する単離モノクローナル抗体であって、配列番号388−430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む、抗体が提供される。これらのCDR3は、パニングおよびスクリーニングの間に同定された抗体の重鎖から同定される。さらなる態様において、この抗体はさらに、(a)配列番号302−344からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1、(b)配列番号345−387からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2、または(c)配列番号302−344からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1および配列番号345−387からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2の両方を含む。
他の態様において、パニングおよびスクリーニングの間に同定される抗体の軽鎖の1つに由来するCDR3を共有する抗体が提供される。したがって、本発明は、ヒト組織因子経路インヒビターに結合する単離モノクローナル抗体であって、配列番号259−301からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む、抗体に向けられる。さらなる態様において、抗体はさらに、(a)配列番号173−215からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1、(b)配列番号216−258からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2、または(c)配列番号173−215からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1および配列番号216−258からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2の両方を含む。
他の態様において、抗体は、パニングおよびスクリーニングの間に同定される抗体の重鎖に由来するCDR3および軽鎖に由来するCDR3を含む。したがって、本発明は、ヒト組織因子経路インヒビターに結合する抗体であって、配列番号388−430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3および配列番号259−301からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む、抗体が提供される。さらなる態様において、抗体はさらに、(a)配列番号302−344からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1、(b)配列番号345−387からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2、(c)配列番号173−215からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1、および/または(d)配列番号216−258からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2を含む。
他の特定の態様において、抗体は、下記:
(a)配列番号173、216および259を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号302、345および388を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(b)配列番号174、217および260を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号303、346および389を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(c)配列番号175、218および261を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号304、347および390を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(d)配列番号176、219および262を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号305、348および391を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(e)配列番号177、220および263を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号306、349および392を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(f)配列番号178、221および264を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号307、350および393を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(g)配列番号179、222および265を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号308、351および394を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(h)配列番号180、223および266を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号309、352および395を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(i)配列番号181、224および267を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号310、353および396を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(j)配列番号182、225および268を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号311、354および397を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(k)配列番号183、226および269を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号312、355および398を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(l)配列番号184、227および270を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号313、356および399を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(m)配列番号185、228および271を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号314、357および400を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(n)配列番号186、229および272を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号315、358および401を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(o)配列番号187、230および273を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号316、359および402を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(p)配列番号188、231および274を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号317、360および403を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(q)配列番号189、232および275を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号318、361および404を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(r)配列番号190、233および276を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号319、362および405を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(s)配列番号191、234および277を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号320、363および406を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(t)配列番号192、235および278を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号321、364および407を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(u)配列番号193、236および279を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号322、365および408を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(v)配列番号194、237および280を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号323、366および409を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(w)配列番号195、238および281を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号324、367および410を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(x)配列番号196、239および282を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号325、368および411を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(y)配列番号197、240および283を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号326、369および412を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(z)配列番号198、241および284を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号327、370および413を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(aa)配列番号199、242および285を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号328、371および414を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(bb)配列番号200、243および286を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号329、372および415を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(cc)配列番号201、244および287を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号330、373および416を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(dd)配列番号202、245および288を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号331、374および417を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(ee)配列番号203、246および289を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号332、375および418を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(ff)配列番号204、247および290を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号333、376および419を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(gg)配列番号205、248および291を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号334、377および420を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(hh)配列番号206、249および292を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号335、378および421を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(ii)配列番号207、250および293を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号336、379および422を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(jj)配列番号208、251および294を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号337、380および423を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(kk)配列番号209、252および295を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号338、381および424を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(ll)配列番号210、253および296を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号339、382および425を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(mm)配列番号211、254および297を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号340、383および426を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(nn)配列番号212、255および298を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号341、384および427を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(oo)配列番号213、256および299を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号342、385および428を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(pp)配列番号214、257および300を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号343、386および429を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(qq)配列番号215、258および301を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号344、387および430を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(rr)配列番号194、237および280を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域ならびに配列番号335、378および421を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。
他の態様において、本発明は、下記:
(a)配列番号2のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号4のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(b)配列番号6のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号8のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(c)配列番号10のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号12のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(d)配列番号14のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号16のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(e)配列番号18のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号20のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(f)配列番号22のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号24のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(g)配列番号26のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号28のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(h)配列番号30のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号32のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(i)配列番号34のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号36のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(j)配列番号38のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号40のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(k)配列番号42のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号44のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(l)配列番号46のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号48のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(m)配列番号50のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号52のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(n)配列番号54のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号56のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(o)配列番号58のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号60のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(p)配列番号62のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号64のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(q)配列番号66のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号68のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(r)配列番号70のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号72のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(s)配列番号74のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号76のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(t)配列番号78のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号80のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(u)配列番号82のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号84のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(v)配列番号86のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号88のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(w)配列番号90のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号92のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(x)配列番号94のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号96のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(y)配列番号98のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号100のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(z)配列番号102のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号104のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(aa)配列番号106のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号108のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(bb)配列番号110のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号112のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(cc)配列番号114のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号116のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(dd)配列番号118のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号120のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(ee)配列番号122のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号124のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(ff)配列番号126のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号128のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(gg)配列番号130のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号132のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(hh)配列番号134のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号136のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(ii)配列番号138のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号140のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(jj)配列番号142のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号144のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(kk)配列番号146のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号148のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(ll)配列番号150のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号152のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(mm)配列番号154のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号156のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(nn)配列番号158のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号160のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(oo)配列番号162のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号164のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(pp)配列番号166のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号168のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;
(qq)配列番号170のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号172のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域;または
(rr)配列番号86のポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域および配列番号136のポリペプチド配列を有する重鎖可変領域
を含む抗体に向けられる。
ヒト組織因子経路インヒビターに結合する単離モノクローナル抗体であって、配列番号4、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20、配列番号24、配列番号28、配列番号32、配列番号36、配列番号40、配列番号44、配列番号48、配列番号52、配列番号56、配列番号60、配列番号64、配列番号68、配列番号72、配列番号76、配列番号80、配列番号84、配列番号88、配列番号92、配列番号96、配列番号100、配列番号104、配列番号108、配列番号112、配列番号116、配列番号120、配列番号124、配列番号128、配列番号132、配列番号136、配列番号140、配列番号144、配列番号148、配列番号152、配列番号156、配列番号160、配列番号164、配列番号168、および配列番号172で示されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むヒト重鎖可変領域を含む、抗体がまた提供される。
ヒト組織因子経路インヒビターに結合する単離モノクローナル抗体であって、配列番号2、配列番号6、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号26、配列番号30、配列番号34、配列番号38、配列番号42、配列番号46、配列番号50、配列番号54、配列番号58、配列番号62、配列番号66、配列番号70、配列番号74、配列番号78、配列番号82、配列番号86、配列番号90、配列番号94、配列番号98、配列番号102、配列番号106、配列番号110、配列番号114、配列番号118、配列番号122、配列番号126、配列番号130、配列番号134、配列番号138、配列番号142、配列番号146、配列番号150、配列番号154、配列番号158、配列番号162、配列番号166、および配列番号170で示されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むヒト軽鎖可変領域を含む、抗体がまた提供される。
上記の配列識別子を用いた抗体記載に依存することに加えて、ある態様はまた、本明細書に記載された実験において単離されるFabクローンにより記載され得る。ある態様において、組み換え抗体は、下記のクローンの重鎖および/または軽鎖CDR3を含む:TP−2A2、TP−2A5.1、TP−2A6、TP−2A8、TP−2A10、TP−2B1、TP−2B3、TP−2B4、TP−2B8、TP−2B9、TP−2C1、TP−2C7、TP−2D7、TP−2E3、TP−2E5、TP−2F9、TP−2G2、TP−2G4、TP−2G5、TP−2G6、TP−2G7、TP−2G9、TP−2H10、TP−3A2、TP−3A3、TP−3A4、TP−3B3、TP−3B4、TP−3C1、TP−3C2、TP−3C3、TP−3D3、TP−3E1、TP−3F1、TP−3F2、TP−3G1、TP−3G3、TP−3H2、TP−4A7、TP−4A9、TP−4B7、TP−4E8、TP−4G8、またはTP−4H8。ある態様において、抗体はさらに、これらの抗体のCDR2を含み得て、さらにこれらの抗体のCDR1を含み得る。他の態様において、抗体はさらに、CDRの任意の組み合わせを含み得る。
したがって、他の態様において、(1)ヒト重鎖フレームワーク領域、ヒト重鎖CDR1領域、ヒト重鎖CDR2領域、およびヒト重鎖CDR3領域(ここで、該ヒト重鎖CDR3領域は、TP−2A2、TP−2A5.1、TP−2A6、TP−2A8、TP−2A10、TP−2B1、TP−2B3、TP−2B4、TP−2B8、TP−2B9、TP−2C1、TP−2C7、TP−2D7、TP−2E3、TP−2E5、TP−2F9、TP−2G2、TP−2G4、TP−2G5、TP−2G6、TP−2G7、TP−2G9、TP−2H10、TP−3A2、TP−3A3、TP−3A4、TP−3B3、TP−3B4、TP−3C1、TP−3C2、TP−3C3、TP−3D3、TP−3E1、TP−3F1、TP−3F2、TP−3G1、TP−3G3、TP−3H2、TP−4A7、TP−4A9、TP−4B7、TP−4E8、TP−4G8、またはTP−4H8の重鎖CDR3である);および(2)ヒト軽鎖フレームワーク領域、ヒト軽鎖CDR1領域、ヒト軽鎖CDR2領域、およびヒト軽鎖CDR3領域(ここで、該ヒト軽鎖CDR3領域は、TP−2A2、TP−2A5.1、TP−2A6、TP−2A8、TP−2A10、TP−2B1、TP−2B3、TP−2B4、TP−2B8、TP−2B9、TP−2C1、TP−2C7、TP−2D7、TP−2E3、TP−2E5、TP−2F9、TP−2G2、TP−2G4、TP−2G5、TP−2G6、TP−2G7、TP−2G9、TP−2H10、TP−3A2、TP−3A3、TP−3A4、TP−3B3、TP−3B4、TP−3C1、TP−3C2、TP−3C3、TP−3D3、TP−3E1、TP−3F1、TP−3F2、TP−3G1、TP−3G3、TP−3H2、TP−4A7、TP−4A9、TP−4B7、TP−4E8、TP−4G8、またはTP−4H8の軽鎖CDR3である)を含む抗TFPI抗体であって、TFPIに結合する抗体が提供される。抗体はさらに、TP−2A2、TP−2A5.1、TP−2A6、TP−2A8、TP−2A10、TP−2B1、TP−2B3、TP−2B4、TP−2B8、TP−2B9、TP−2C1、TP−2C7、TP−2D7、TP−2E3、TP−2E5、TP−2F9、TP−2G2、TP−2G4、TP−2G5、TP−2G6、TP−2G7、TP−2G9、TP−2H10、TP−3A2、TP−3A3、TP−3A4、TP−3B3、TP−3B4、TP−3C1、TP−3C2、TP−3C3、TP−3D3、TP−3E1、TP−3F1、TP−3F2、TP−3G1、TP−3G3、TP−3H2、TP−4A7、TP−4A9、TP−4B7、TP−4E8、TP−4G8、またはTP−4H8の重鎖CDR2および/または軽鎖CDR2を含み得る。抗体はさらに、TP−2A2、TP−2A5.1、TP−2A6、TP−2A8、TP−2A10、TP−2B1、TP−2B3、TP−2B4、TP−2B8、TP−2B9、TP−2C1、TP−2C7、TP−2D7、TP−2E3、TP−2E5、TP−2F9、TP−2G2、TP−2G4、TP−2G5、TP−2G6、TP−2G7、TP−2G9、TP−2H10、TP−3A2、TP−3A3、TP−3A4、TP−3B3、TP−3B4、TP−3C1、TP−3C2、TP−3C3、TP−3D3、TP−3E1、TP−3F1、TP−3F2、TP−3G1、TP−3G3、TP−3H2、TP−4A7、TP−4A9、TP−4B7、TP−4E8、TP−4G8、またはTP−4H8の重鎖CDR1および/または軽鎖CDR1を含み得る。
上記改変抗体のCDR1、2および/または3領域は、本明細書に記載されたTP−2A2、TP−2A5.1、TP−2A6、TP−2A8、TP−2A10、TP−2B1、TP−2B3、TP−2B4、TP−2B8、TP−2B9、TP−2C1、TP−2C7、TP−2D7、TP−2E3、TP−2E5、TP−2F9、TP−2G2、TP−2G4、TP−2G5、TP−2G6、TP−2G7、TP−2G9、TP−2H10、TP−3A2、TP−3A3、TP−3A4、TP−3B3、TP−3B4、TP−3C1、TP−3C2、TP−3C3、TP−3D3、TP−3E1、TP−3F1、TP−3F2、TP−3G1、TP−3G3、TP−3H2、TP−4A7、TP−4A9、TP−4B7、TP−4E8、TP−4G8、またはTP−4H8のCDR1、2および/または3領域の正確なアミノ酸配列を含み得る。
しかしながら、当業者は、TFPIに効率的に結合する抗体の能力を保持する、TP−2A2、TP−2A5.1、TP−2A6、TP−2A8、TP−2A10、TP−2B1、TP−2B3、TP−2B4、TP−2B8、TP−2B9、TP−2C1、TP−2C7、TP−2D7、TP−2E3、TP−2E5、TP−2F9、TP−2G2、TP−2G4、TP−2G5、TP−2G6、TP−2G7、TP−2G9、TP−2H10、TP−3A2、TP−3A3、TP−3A4、TP−3B3、TP−3B4、TP−3C1、TP−3C2、TP−3C3、TP−3D3、TP−3E1、TP−3F1、TP−3F2、TP−3G1、TP−3G3、TP−3H2、TP−4A7、TP−4A9、TP−4B7、TP−4E8、TP−4G8、またはTP−4H8の正確なCDR配列からのいくらかの逸脱物が可能であり得ることを十分に理解している。したがって、他の態様において、改変抗体は、例えばTP−2A2、TP−2A5.1、TP−2A6、TP−2A8、TP−2A10、TP−2B1、TP−2B3、TP−2B4、TP−2B8、TP−2B9、TP−2C1、TP−2C7、TP−2D7、TP−2E3、TP−2E5、TP−2F9、TP−2G2、TP−2G4、TP−2G5、TP−2G6、TP−2G7、TP−2G9、TP−2H10、TP−3A2、TP−3A3、TP−3A4、TP−3B3、TP−3B4、TP−3C1、TP−3C2、TP−3C3、TP−3D3、TP−3E1、TP−3F1、TP−3F2、TP−3G1、TP−3G3、TP−3H2、TP−4A7、TP−4A9、TP−4B7、TP−4E8、TP−4G8、またはTP−4H8の1個またはそれ以上のCDRと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.5%同一である1個またはそれ以上のCDRからなり得る。
抗体は、さまざまなクラスの抗体、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、分泌型IgA、IgD、およびIgE抗体(これらに限定されるものではない)のいずれかであり得る。
1つの態様において、ヒト組織因子経路インヒビターに対する単離完全ヒトモノクローナル抗体が提供される。
他の態様において、ヒト組織因子経路インヒビターのKunitzドメイン2に対する単離完全ヒトモノクローナル抗体が提供される。
核酸
上記のモノクローナル抗体のいずれかをコードする単離核酸分子がまた提供される。
TFPIに対する抗体の製造法
モノクローナル抗体は、宿主細胞において本発明の態様によるモノクローナル抗体の可変領域をコードするヌクレオチド配列を発現させることにより組み換え的に産生され得る。ヌクレオチド配列を含む核酸は、発現ベクターの助けを得て、製造のために適当な宿主細胞に導入され、発現され得る。したがって、ヒトTFPIに結合するモノクローナル抗体を製造する方法であって、下記工程:
(a)本発明のモノクローナル抗体をコードする核酸分子を宿主細胞に導入する工程;
(b)該宿主細胞を培養して、宿主細胞内においてモノクローナル抗体を発現させる工程;(c)産生されたモノクローナル抗体を単離および精製する工程
を含み、ここで、該核酸分子が本発明のモノクローナル抗体をコードするヌクレオチド配列を含む、方法がまた提供される。
1つの例において、抗体またはその抗体断片を発現させるために、標準的な分子生物学の技術により取得された部分もしくは全長軽鎖および重鎖をコードするDNAが発現ベクターに挿入され、その結果、遺伝子が転写および翻訳制御配列と操作可能に結合する。本明細書において「操作可能に結合」なる用語は、ベクター内の転写および翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写および翻訳を制御するというそれらの意図される機能を発揮するように、抗体がベクターに連結されることを意味することが意図される。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は、別々のベクターに挿入されるか、またはより一般には、両遺伝子は同じ発現ベクターに挿入され得る。抗体遺伝子は、標準的な方法により発現ベクターに挿入される(例えば、抗体遺伝子断片およびベクター上の相補的制限酵素部位の連結、または制限酵素部位が存在しない場合における平滑末端連結)。本明細書に記載される抗体の軽鎖および重鎖可変領域を用いて、望まれるアイソタイプの重鎖定常および軽鎖定常領域をすでにコードする発現ベクターにそれらを挿入することにより、任意の抗体アイソタイプの全長抗体遺伝子を作製することができ、その結果、V断片は、ベクター内のC断片と操作可能に結合し、V断片は、クター内のC断片と操作可能に結合する。さらにあるいは、組み換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体の分泌を促進するシグナルペプチドをコードし得る。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端とインフレームで結合するように、ベクターにクローン化され得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質に由来するシグナルペプチド)であり得る。
抗体鎖をコードする遺伝子に加えて、本発明の組み換え発現ベクターは、宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現を制御する制御配列を有し得る。「制御配列」なる用語は、抗体鎖遺伝子の転写もしくは翻訳を制御するプロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。そのような制御配列は、例えば、Goeddel;Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990)に記載されている。制御配列の選択を含む発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、望まれるタンパク質発現のレベルなどのような要因に依存し得ることが当業者により理解される。哺乳類宿主細胞発現のための制御配列の例は、哺乳類細胞における高レベルのタンパク質発現を志向するウイルスエレメント、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))およびポリオーマに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーを含む。あるいは、非ウイルス制御配列、例えば、ユビキチンプロモーターまたはβ−グロビンプロモーターが使用され得る。
抗体鎖遺伝子および制御配列に加えて、組み換え発現ベクターは、さらなる配列、例えば、宿主細胞内でのベクターの複製を制御する配列(例えば、複製開始点)および選択可能マーカー遺伝子を有し得る。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を促進する(例えば、Axel et al.による米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号を参照のこと)。例えば、一般に、選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞において、薬剤、例えば、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートに対する耐性を付与する。選択可能マーカー遺伝子の例は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅を用いたdhfr−宿主細胞での使用のために)を含む。
軽鎖および重鎖の発現のために、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターが、標準的な技術により宿主細胞に導入される。「導入」なる用語のさまざまな形態は、外因性DNAの原核もしくは真核宿主細胞への導入のために通常使用される広範な技術、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラン導入などを包含することが意図される。原核もしくは真核宿主細胞内で本発明の抗体を発現させることが理論上は可能であるが、真核細胞、および最も好ましくは哺乳類宿主細胞における抗体の発現が、そのような真核細胞、および特定の哺乳類細胞が原核細胞と比較した場合に、適当に折り畳まれ、免疫学的に活性な抗体を構築および分泌する可能性が高いために最も好ましい。
組み換え抗体を発現させるための哺乳類宿主細胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin,(1980)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−4220に記載されたdhfr− CHO細胞を含み、DHFR選択可能マーカー、例えば、R. J. Kaufman and P. A. Sharp(1982)Mol. Biol. 159:601−621に記載されたものと共に使用される)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞、HKB11細胞およびSP2細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組み換え発現ベクターが哺乳類宿主細胞に導入されると、抗体は、宿主細胞内での抗体の発現または宿主細胞が増殖している培養培地中への抗体の分泌を可能にするのに十分な時間、宿主細胞を培養することにより産生される。抗体は、標準的なタンパク質精製法、例えば、限外ろ過、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび遠心分離を用いて、培養培地から回収され得る。
インタクト抗体を発現させるための部分抗体配列の使用
抗体は、主に、6個の重鎖および軽鎖CDRに位置するアミノ酸残基を介して標的抗原と相互作用する。このために、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外側の配列よりも個々の抗体間で多様性がある。例えば、本発明によるモノクローナル抗体の軽鎖および重鎖可変部の各々におけるCDR領域が同定されている、図6および7を参照のこと。CDR配列は、多くの抗体−抗原相互作用に関与しているので、異なる特性を有する異なる抗体に由来するフレームワーク配列に移植された特定の天然で生じる抗体に由来するCDR配列を含む発現ベクターを構築することにより、特定の天然で生じる抗体の特性を模倣した組み換え抗体を発現させることが可能である(例えば、Riechmann, L. et al., 1998, Nature 332:323−327;Jones, P. et al., 1986, Nature 321:522−525;およびQueen, C. et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:10029−10033を参照のこと)。そのようなフレームワーク配列は、生殖細胞系列抗体遺伝子配列を含む公のDNAデータベースから取得され得る。これらの生殖細胞系列配列は、それらが完全に集合した可変遺伝子を含んでいない(B細胞成熟の間にV(D)J連結(joining)により形成される)ために、成熟した抗体遺伝子配列とは異なる。元の抗体と同様の結合特性を有するインタクト組み換え抗体を再構築するために、特定の抗体の全DNA配列を取得することは必要ではない(WO 99/45962を参照)。CDR領域にわたる部分的な重鎖および軽鎖配列は、一般にこの目的のために十分である。部分的配列は、どの生殖細胞系列可変および連結遺伝子断片が組み換え抗体可変遺伝子に関与するかを決定するために使用される。次いで、生殖細胞系列配列は、可変領域の欠損部分を埋めるために使用される。重鎖および軽鎖リーダー配列は、タンパク質成熟の間に切断され、最終的な抗体の特性に関与しない。したがって、発現構築体のために対応する生殖細胞系列リーダー配列を使用する必要がある。欠損配列を付加するために、クローン化cDNA配列が、連結またはPCR増幅により合成オリゴヌクレオチドと組み合わされ得る。あるいは、全可変領域は、一組の短い重複オリゴヌクレオチドとして合成され、PCR増幅により組み合わされ、全体の合成可変領域クローンが作製され得る。この工程は、特定の制限酵素部位の排除もしくは包含、または特定のコドンの最適化のような特定の利点を有する。
重鎖および軽鎖転写産物のヌクレオチド配列は、重複する一組の合成オリゴヌクレオチドを設計するために使用され、天然の配列と同一のアミノ酸をコードする能力を有する合成V配列が作製される。合成重鎖およびκ鎖配列は、下記の3つの点で天然の配列とは異なり得る:繰り返しヌクレオチド塩基のストリングがオリゴヌクレオチド合成およびPCR増幅を促進するために遮断される;最適な翻訳開始部位がKozakルール(Kozak, 1991, J. Biol. Chem. 266:19867−19870)にしたがって組み込まれる;およびHindIII部位が翻訳開始部位の上流で改変される。
重鎖および軽鎖可変領域について、最適なコード鎖配列および対応する非コード鎖配列は、対応する非コードオリゴヌクレオチドのほぼ真ん中で30−50ヌクレオチド切片に切断される。したがって、各鎖について、オリゴヌクレオチドは、150−400ヌクレオチドの断片にわたる重複二本鎖セットに構築され得る。次いで、該プールは、鋳型として使用され、150−400ヌクレオチドのPCR増幅産物が産生される。一般に、単一の可変領域オリゴヌクレオチドセットは、2つのプールに分割され、それは、別々に増幅され、2個の重複PCR産物が産生される。次いで、これらの重複産物は、PCR増幅により組み合わされ、完全な可変領域が形成される。発現ベクター構築体に容易にクローン化され得る断片を作製するために、PCR増幅において重鎖または軽鎖定常領域の重複断片を含むことがまた望ましくあり得る。
次いで、再構築された重鎖および軽鎖可変領域は、クローン化プロモーター配列、翻訳開始配列、定常領域配列、3’非翻訳領域配列、ポリアデニル化配列、および転写終結配列と組み合わされ、発現ベクター構築体が形成される。重鎖および軽鎖発現構築体は、単一ベクターにおいて組み合わされ、宿主細胞に共導入、連続導入、または別々に導入され、次いで、誘導され、両鎖を発現する宿主細胞が形成される。
したがって、他の局面において、ヒト抗TFPI抗体、例えば、TP2A8、TP2G6、TP2G7、TP4B7などの構造的特徴は、TFPIに結合する機能を保持する、構造的に関連するヒト抗TFPI抗体を作製するために使用される。とりわけ、本発明のモノクローナル抗体の特に同定された重鎖および軽鎖領域の1個またはそれ以上のCDRを既知のヒトフレームワーク領域およびCDRと組み換え的に結合させることができ、さらに組み換え的に改変された本発明のヒト抗TFPI抗体を作製し得る。
したがって、他の態様において、抗TFPI抗体を製造する方法であって、下記:(1)ヒト重鎖フレームワーク領域およびヒト重鎖CDR(ここで、ヒト重鎖CDR3は、配列番号388−430のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む)および/または(2)ヒト軽鎖フレームワーク領域およびヒト軽鎖CDR(ここで、軽鎖CDR3は、配列番号259−301のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む)を含む抗体(ここで、該抗体は、TFPIに結合する能力を保持する)を製造することを含む、方法が提供される。他の態様において、該方法は、本発明の他のCDRを用いて実施される。
医薬組成物
治療上有効量の抗TFPIモノクローナル抗体および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物がまた提供される。「薬学的に許容される担体」は、製剤化を補助するか、もしくは製剤を安定させるために有効成分に加えられ得て、患者に対して顕著な副作用毒性効果を生じない物質である。そのような担体の例は、当業者に既知であり、水、糖、例えば、マルトースもしくはスクロース、アルブミン、塩、例えば、塩化ナトリウムなどを含む。他の担体は、例えば、E. W. MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。そのような組成物は、治療上有効量の少なくとも1個の抗TFPIモノクローナル抗体を含み得る。
薬学的に許容される担体は、滅菌水性溶液もしくは分散剤および滅菌注射用溶液もしくは分散剤の即時調製用滅菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のための該媒体および物質の使用は、当分野において既知である。組成物は、好ましくは、非経腸投与のために製剤化される。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度のために適当な他の秩序構造として製剤化され得る。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)およびその適当な混合物を含む溶媒もしくは分散媒体であり得る。ある場合において、それは、組成物中に等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含み得る。
滅菌注射用溶液は、活性化合物を上記で列挙された1個またはそれ以上の成分の組み合わせを含む適当な溶媒に必要とされる用量で組み込み、その後、フィルター滅菌を行うことにより製造され得る。一般に、分散剤は、活性化合物を、必須の分散剤媒体および上記で列挙された必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことにより製造される。滅菌注射用溶液の製造のための滅菌粉末の場合において、製造法のいくつかは、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、それらは、上記のその滅菌ろ過溶液からの有効成分と任意のさらに望まれる成分の粉末を産生する。
医薬的使用
モノクローナル抗体は、先天的および後天的な血液凝固欠乏もしくは欠損を処置するための治療目的で使用され得る。例えば、上記の態様におけるモノクローナル抗体は、TFPIとFXaの相互作用を妨害するか、またはTF/FVIIa活性のTFPI依存的阻害を妨害するために使用され得る。さらに、モノクローナル抗体はまた、FXaのTF/FVIIa誘導産生を回復させ、FXaのFVIIIもしくはFIX依存的増幅の不十分性をバイパスするために使用され得る。
モノクローナル抗体は、止血障害、例えば、血小板減少症、血小板障害および出血障害(例えば、血友病Aおよび血友病B)の処置における治療的使用を有する。そのような障害は、治療上有効量の抗TFPIモノクローナル抗体をそれを必要とする患者に投与することにより処置され得る。モノクローナル抗体はまた、外傷および脳卒中のような適応症における制御不能な出血の処置における治療的使用を有する。したがって、治療上有効量の本発明の抗TFPIモノクローナル抗体をそれを必要とする患者に投与することを含む、出血時間を短縮させるための方法がまた提供される。
抗体は、止血障害に取り組むべく、単剤療法として、または他の治療と組み合わせて使用され得る。例えば、本発明の1個またはそれ以上の抗体と第VIIa因子、第VIII因子または第IX因子のような血液凝固因子の共投与は、血友病を処置するために有用であると考えられる。1つの態様において、(a)ヒト組織因子経路インヒビターに結合する第1量のモノクローナル抗体および(b)第2量の第VIII因子または第IX因子を投与することを含む、先天的および後天的な血液凝固欠乏もしくは欠損を処置する方法であって、該第1量および第2量が共に該欠乏もしくは欠損を処置するのに有効である、方法が提供される。他の態様において、(a)ヒト組織因子経路インヒビターに結合する第1量のモノクローナル抗体および(b)第2量の第VIII因子または第IX因子を投与することを含む、先天的および後天的な血液凝固欠乏もしくは欠損を処置する方法であって、該第1量および第2量が共に該欠乏もしくは欠損を処置するのに有効であり、さらに第VII因子が共投与されない、方法が提供される。本発明はまた、治療上有効量の本発明ののモノクローナル抗体および第VIII因子または第IX因子の組み合わせを含むが、第VII因子を含まない、医薬組成物を含む。「第VII因子」は、第VII因子および第VIIa因子を含む。これらの組み合わせ治療は、血液凝固因子の必要な点滴頻度を減少させ得る。共投与または組み合わせ治療は、各々別々に製剤化されるか、または1つの組成物中に共に製剤化される2個の治療剤の投与を意味し、別々に製剤化された場合には、ほぼ同じ時間点または異なる時間点で投与されるが、同じ治療期間である。
医薬組成物は、出血エピソードの重篤度と共に変わり得るか、または予防的治療の場合においては、患者の血液凝固欠損の重篤度と共に変わり得る用量および頻度で、血友病AもしくはBを患う対象に非経腸で投与され得る。
組成物は、それを必要とする患者に、ボーラス投与として、または持続点滴により投与され得る。例えば、Fab断片として存在する本発明の抗体のボーラス投与は、0.0025から100 mg/kg体重、0.025から0.25 mg/kg、0.010から0.10 mg/kgまたは0.10−0.50 mg/kgの量であり得る。持続点滴について、Fab断片として存在する本発明の抗体は、1−24時間、1−12時間、2−12時間、6−12時間、2−8時間、または1−2時間の間、0.001から100 mg/kg体重/分、0.0125から1.25 mg/kg/分、0.010から0.75 mg/kg/分、0.010から1.0 mg/kg/分、または0.10−0.50 mg/kg/分で投与され得る。全長抗体(全長定常領域を有する)として存在する本発明の抗体の投与について、投与量は、約1−10 mg/kg体重、2−8 mg/kg、または5−6 mg/kgであり得る。そのような全長抗体は、一般に、30分から3時間延長した点滴により投与され得る。投与の頻度は、状態の重篤度に依存し得る。頻度は、週に3回から2もしくは3週毎に1回の範囲内であり得る。
さらに、組成物は、皮下注射により患者に投与され得る。例えば、10から100 mgの抗TFPI抗体の用量が、週1回、2週間に1回、または月1回、皮下注射により患者に投与され得る。
本明細書で使用される「治療上有効量」は、それを必要とする患者にインビボでの血液凝固時間を有効に増大させるか、またはインビボで測定可能な利益を生じるのに必要である抗TFPIモノクローナル抗体または該抗体と第VIII因子もしくは第IX因子の組み合わせの量を意味する。正確な量は、治療組成物の構成要素および物理的特性、意図される患者集団、個々の患者の考慮事項などを含むがこれらに限定されない多くの要因に依存し、当業者により容易に決定され得る。
実施例
一般的な材料および方法
実施例1. ヒトTFPIに対するヒト抗体ライブラリーのパニングおよびスクリーニング
TFPIに対するヒト抗体ライブラリーのパニング
ヒトTFPI(American Diagnostica)に対するファージディスプレイコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーHuCal Gold(Rothe et al., J. Mol. Biol., 2008, 376:1182−1200)をパニングすることにより、抗TFPI抗体を選択した。要約すると、96ウェルMaxisorpプレートを、4℃で一晩、200 μlのTFPI(5 μg/ml)で被覆し、次いで、プレートを、5% ミルクを含むPBSバッファーでブロックした。0.01% Tween−20を含むPBS(PBST)でプレートを洗浄した後、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーのアリコートをTFPIで被覆されたウェルに加え、2時間インキュベートした。非結合ファージをPBSTで洗い流し、抗原結合ファージをジチオスレイトールで溶出し、E. coli株TG1に感染させ、増幅させた。次回のパニングのために、ヘルパーファージによりファージをレスキューした。全3回のパニングを行い、ELISAアッセイにおいて、最後の2回からのクローンをヒトTFPIに対してスクリーニングした。
ELISAでの抗原結合による抗体クローンのスクリーニング
ヒトTFPIに結合する抗体クローンを選択するために、2回目および3回目のパニングからのファージクローンのFab遺伝子を細菌発現ベクターにサブクローン化し、E. coli株TG1において発現させた。細菌溶解物をヒトTFPI被覆化Maxisorpプレートのウェルに加えた。洗浄後、HRP結合ヤギ抗ヒトFabを検出抗体として使用し、過酸化水素を含むAmplexRed(Invitrogen)を加えることにより、プレートを発現させた。バックグラウンドよりも少なくとも5倍以上高いシグナルを陽性として考えた。抗ヒトTFPI抗体のマウスTFPIに対する交差反応を、同様のマウスTFPI結合ELISAにより決定した。プレートをマウスTFPI(R&D System)、BSAおよびリゾチームで被覆した。最後の2個の抗原(BSAおよびリゾチーム)をネガティブコントロールとして使用した。代表的な一組のデータを図1に示す。
抗TFPIヒト抗体の配列
TFPIに対するHuCal Goldヒト抗体ライブラリーのパニングおよびスクリーニング後、DNA塩基配列決定を陽性抗体クローンについて行い、44個の特定の抗体配列を生じた(表2)。これらの抗体配列の内、29個がλ軽鎖であり、15個がκ軽鎖であった。重鎖可変領域の我々の解析は、28個のVH3、14個のVH6、1個のVH1および1個のVH5を示す。
表2. 44個の抗TFPI抗体の可変領域のペプチド配列
Figure 2016028048
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マウスTFPIに対する交差反応
上記44個のヒトTFPI結合クローンをまた、ELISAによりマウスTFPIへの結合について試験した。19個の抗体について、マウスTFPIに対する交差反応が見出された。マウス血友病モデルを用いた試験を容易にするために、我々はさらに、これらの19個の抗体およびヒトTFPIに特異的な5個の抗体を特徴づけた。代表的な一組のデータを図1に示す。これらの抗体のいずれもがELISAにおいてBSAまたはリゾチームに結合しなかった。
実施例2. 抗TFPI抗体の発現および精製
抗TFPI抗体(Fab断片として)を細菌株TG1において発現させ、精製した。要約すると、抗体発現プラスミドを含む細菌株TG1の単一コロニーを取り出し、34 μg/ml クロラムフェニコールおよび1% グルコースの存在下、8 mlの2xYT培地で一晩増殖させた。7 ml容量の培養物を、34 μg/ml クロラムフェニコールおよび0.1% グルコースを含む250 mlの新鮮な2xYT培地に移した。インキュベーションの3時間後、Fab発現を誘導するために、0.5 mM IPTGを加えた。培養を、25℃で一晩、継続した。培養物を遠心分離し、細菌細胞を沈殿させた。次いで、沈殿物をBug Buster溶解バッファー(Novagen)に再懸濁した。遠心分離後、細菌溶解物の上清をろ過した。製造者の指示にしたがって、Ni−NTAカラム(Qiagen)を介して、Fab断片を親和性精製した。
実施例3. 抗TFPI抗体のEC50および結合親和性の決定
精製化Fab抗体を用いて、抗TFPI抗体のヒトもしくはマウスTFPIに対するEC50を決定した。上記と同様に、EC50をELISAにより評価した。SoftMaxを用いて、結果を解析した。抗TFPI抗体の結合親和性をBiacoreアッセイにおいて決定した。要約すると、抗原(すなわち、ヒトもしくはマウスTFPI)を、製造者の指示にしたがって、アミンカップリングキット(GE HealthCare)を用いてCM5−チップに固定した。固定化TFPIの量を、約300 RUを提供する抗原量に調整した。抗体Fabを移動相において解析し、精製化抗体の少なくとも5個の異なる濃度(0.1、0.4、1.6、6.4および25 nM)をBiacoreアッセイにおいて使用した。Biacore T100 Evaluationソフトウェアを用いて、動力学および結合親和性を計算した。
表3で示されるとおり、24個の抗TFPI Fabは、ヒトTFPI(0.09から792 nM)およびマウスTFPI(0.06から1035 nM)に対するさまざまなEC50を示し、したがって、Biacoreにより決定された親和性は、ヒトTFPIに対してさまざまであった(1.25から1140 nM)。マウスTFPIに対するFabのBiacore試験において、親和性のバリエーションはより小さかった(3.08から51.8 nM)。
表3. ELISAおよびBiacoreにより決定されたヒトもしくはマウスTFPIに対する24個の抗体の結合活性(hTFPI:ヒトTFPI;mTFPI:マウスTFPI;Neg:シグナルは、バックグラウンドの2倍未満であった;ND:実施なし)
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実施例4. 抗TFPI FabのIgGへの変換
同定されたすべての抗TFPI抗体は完全ヒトFabであり、それは、治療剤としてヒトIgGに適当に変換され得る。しかしながら、この実施例にいて、選択されたFabを、マウスモデルにおける試験のためにより適当なマウスIgG定常領域を含むキメラ抗体に変換した。選択された抗体の可変領域を、マウス定常領域を含む哺乳類発現ベクターに移植した。次いで、完全集合IgG分子をHKB11細胞に導入して、発現させた(Mei et al., Mol. Biotechnol., 2006, 34:165−178)。培養物上清を回収して、濃縮した。製造者の指示にしたがって、Hitrap Protein Gカラム(GE Healthcare)を介して、抗TFPI IgG分子を親和性精製した。
実施例5. 抗TFPI中和抗体の選択
抗TFPI中和抗体を、3個の実験条件下でのTFPI活性の阻害に基づいて選択した。TFPIの活性を、ACTICHROME(登録商標)TFPI活性アッセイ(American Diagnostica Inc., Stamford, CT)(すなわち、第X因子を活性化して第Xa因子にするTF/FVIIa複合体の触媒活性を阻害するTFPIの能力を測定するための三段階発色アッセイ)を用いて測定した。抗TFPI抗体の中和活性は、回復したFXa産生量に比例する。最初の設定において、精製化抗TFPI抗体を、示された濃度でヒトもしくはマウス組み換えTFPI(R&D System)と共にインキュベートした。インキュベーション後、サンプルをTF/FVIIaおよびFXと混合し、次いで、TF/FVIIa複合体の残余活性を、高度に特異的なfXa発色基質であるSPECTROZYME(登録商標)FXaを用いて測定した。この基質は、該アッセイにおいて産生されるFXaによってのみ切断され、p−ニトロアニリン(pNA)発色団を放出し、それを405 nmで測定した。サンプル中に存在するTFPI活性を、既知のTFPI活性レベルを用いて構築された標準曲線から補間した。アッセイをエンドポイント様式で行った。他の2個の設定において、抗TFPI抗体を正常なヒト血漿もしくは血友病A血漿にスパイクし、回復したFXa産生を測定した。
実施例6. 抗TFPI抗体は、希釈プロトロンビン時間(dPT)アッセイにおいて血液凝固時間を短縮する
本質的にWelsch et al., Thrombosis Res., 1991, 64(2):213−222に記載されたとおり、dPTアッセイを行った。要約すると、ヒト正常血漿(FACT, George King Biomedical)、ヒトTFPI欠損血漿(American Diagnostica)または血友病A血漿(George King Biomedical)を、血漿と0.1当量のコントロールバッファーまたは抗TFPI抗体を混合することにより調整した。25℃で30分間のインキュベーション後、血漿サンプル(100 μl)を、トロンボプラスチンの起源として200 μlの適当に希釈された(1:500希釈)Simplastin(Biometieux)と組み合わせて、fibrometer STA4(Stago)を用いて血液凝固時間を決定した。PBSまたは0.1 M 塩化ナトリウム、0.1% ウシ血清アルブミンおよび20 μM 塩化カルシウムを含む0.05 M Trisに基づくバッファー(pH 7.5)で、トロンボプラスチンを希釈した。
実施例7. 抗TFPI抗体単独または抗TFPI抗体と組み換え第VIII因子もしくは第IX因子の組み合わせは、ROTEMアッセイにおいて血液凝固時間を短縮する
ROTEMシステム(Pentapharm GmbH)は、4チャンネル装置、コンピューター、血漿標準物、アクチベーターならびに使い捨てカップおよびピン(cups and pins)を含んでいた。ROTEM止血システムのトロンボエラストグラフィパラメーターは、下記を含んでいた:血液凝固を開始するための反応時間を反映する血液凝固時間(CT)(データ収集の開始後、2 mmの振幅を得るために必要とされる時間);血液凝固増幅を反映する血栓形成時間(CFT)およびα角、ならびに血栓の硬度を反映する最大振幅および最大弾性係数。ROTEMアッセイにおいて、300 μlの新鮮なクエン酸全血もしくは血漿を評価した。製造者の指示にしたがって、すべての構成要素を再構成し、混合しつつ、各システムのために必要とされる期間の間、データを収集した。要約すると、20 μlのCaCl(200 mmol)を加えながら、300 μlの血液もしくは血漿を、自動ピペットを用いてROTEMカップ内で回収/分配する(withdrawing/dispensing)ことにより、サンプルを混合し、その直後にサンプルを混合し、データ収集を開始した。コンピューター制御(ソフトウェア2.96版)ROTEMシステムを用いて、データを2時間収集した。
血液凝固時間の短縮における抗TFPI抗体の効果を検出するためのROTEMアッセイの例示的な結果を図3および5に示す。図3は、TP−2A8−Fabを単独で、または組み換えFVIIIと組み合わせた場合に、ヒト血友病A血漿またはマウス血友病A全血における血液凝固時間を短縮させることを示す(ROTEMシステムをNATEMで開始させた)。図5は、IgG様式での抗TFPI抗体(TP−2A8、TP−3G1およびTP−3C2)がネガティブコントロールマウスIgG抗体と比較して血液凝固時間を短縮したことを示す。これらの結果および当分野における理解に基づいて、当業者は、これらの抗TFPI抗体と組み換えFIXの組み合わせがまた、これらの抗体単独の場合と比較して血液凝固時間を短縮させることを予測し得る。
実施例8. 抗TFPI抗体のインビトロ機能活性
TFPIの機能妨害についてTFPI抗体を調べるために、発色アッセイACTICHROMEおよび希釈プロトロンビン時間(dPT)を用いて、パニングおよびスクリーニングから得られた抗体の機能活性を試験した。両アッセイにおいて、モノクローナルラット抗TFPI抗体(R&D System)をポジティブコントロールとして用い、ヒトポリクローナルFabをネガティブコントロールとして用いた。発色アッセイにおいて、8個の抗体は、ラットモノクローナル抗体と比較して50%以上TFPI活性を阻害した(表4)。dPTアッセイにおいて、これらの8個の抗TFPI Fabのすべては、高い阻害活性(80秒未満まで血液凝固時間を短縮する)を示し、8個中4個のFabは、70秒未満のdPTを示した。dPTの短縮における4個の代表的なクローンの用量依存性を図2に示す。しかしながら、低いTFPI阻害活性を示すか、またはTFPI阻害活性を示さない他のヒト抗TFPI Fabはまた、dPTにおける血液凝固時間を短縮した。例えば、TP−3B4およびTP−2C7は、25%未満の阻害活性を示すのみであったが、70秒未満までdPTを短縮し得た。阻害性活性およびdPTの単純な線形回帰解析は、有意な相関を示す(p=0.0095)が、大きな分散を有する(決定係数(R square)=0.258)。
表4. ヒトTFPIアッセイおよびdPTアッセイでの阻害活性により決定された抗TFPI抗体のインビトロ機能活性
Figure 2016028048
抗TFPI Fabの中の一つであるFab−2A8をまたROTEMアッセイにおいて試験し、ここで、低いレベルの第VIII因子を有するヒト血友病A血漿またはマウス血友病A全血を使用した。図3に示されたとおり、ポリクローナルウサギ抗TFPI抗体と比較すると、Fab−2A8は、ヒト血友病A血漿において同様の活性を示し、2200秒から約1700秒まで血液凝固時間(CT)を減少させた。マウス血友病A全血を使用すると、コントロール抗体であるウサギ抗TFPIは、2700秒から1000秒までCTを短縮し、Fab−2A8は、2650秒から1700秒までCTを短縮した。これらの結果は、Fab−2A8がヒト血漿およびマウス血液において血液凝固時間を有意に短縮させ得ることを示す(p=0.03)。
実施例9. キメラIgGへの変換後の抗TFPI抗体の機能
第Xa因子産生および希釈プロトロンビン時間のインビトロアッセイは、24個の抗TFPI Fab、TP−2A8、TP−2B3、TP−2G6、TP−3C2、TP−3G1およびTP−4B7のうちの少なくとも6個がTFPI機能を妨害し得ることを示す。血友病Aマウスを用いたインビボ試験を容易にするために、我々は、マウスIgG1アイソタイプを用いてこれらの6個の抗TFPIヒトFabキメラIgGに変換した。IgG発現ベクターをHKB11細胞に導入し、発現した抗体を培養上清において回収し、Protein Gカラムで精製した。代表的なクローンである2G6−FabをIgGに変換すると、2G6−IgGは、ヒトTFPIに結合するEC50の2倍の増加(0.48 nMから0.22 nM)およびマウスTFPIに結合するEC50のの10倍の増加(5.18 nMから0.51 nM)を示した。ヒトおよびマウスTFPIに結合するIgG−2G6の結果を図4に示す。
実施例10. 血友病A(HemA)マウス尾静脈切断モデルにおける生存率についての効果
薬理学的評価のために、マウス尾静脈切断モデルを確立した。このモデルは、正常な個体と重篤な血友病の間で観察される広範囲にわたる出血表現型をシュミレートする。これらの試験のために、血友病A雄マウス(8週齢、20から26 g)を用いた。尾静脈投与により、損傷前に、抗TFPIモノクローナル抗体(40 μg/マウス)を単独で、または血液凝固因子、例えば、FVIII(0.1 IU/マウス)と共にマウスに投与した。投与の24時間後に、先端から2.7 mmの位置で(直径で)、左尾静脈を切断した。切断後24時間にわたって、生存を観察した。組み換えFVIIIと共に提供されると、生存率は、用量依存的であることが示された(データは示していない)。図8で示されるデータは、別々の試験からのものであった(各々、n=15およびn=10)。結果は、TP−2A8−IgGが、コントロールマウスIgGと比較して血友病Aマウスの生存率を有意に延長させ、組み換えFVIIIと組み合わされた場合には、薬剤単独の場合と比較して改善された生存率を示すことを示した。
実施例11. 抗TFPI抗体と組み換え第VIIa因子の組み合わせはさらに、血液凝固時間および血栓形成時間を短縮した
抗TFPI抗体および組み換えFVIIa(Novo Nordisk)の組み合わせ効果を、EXTEM(1:1000希釈)およびマウス血友病A全血を用いて、ROTEMシステムにより評価した。示された量の抗TFPI抗体、TP−2A8−IgG(「2A8」)、および組み換えFVIIa(「FVIIa」)を300 μlのクエン酸マウス血友病A全血に加えて、EXTEMシステムにより血液凝固を開始させた。図9は、TP−2A8−IgGまたは組み換えFVIIaのマウス血友病A全血への添加が、それぞれ血液凝固時間および血栓形成時間を短縮させることを示す。TP−2A8−IgGおよび組み換えFVIIa(「2A8 + FVIIa」)の組み合わせはさらに、血液凝固時間および血栓形成時間を短縮させ、これは、抗TFPI抗体と組み換えFVIIaの組み合わせがインヒビターを有するか、もしくは有さない血友病患者の処置において有用であることを示す。
実施例12. 抗TFPI抗体は、FVIIIインヒビター誘導ヒト血友病血液における血液凝固時間を短縮した
非血友病患者から採取された全血において血友病を誘導する中和FVIII抗体を用いたROTEMアッセイで、選択された抗TFPI抗体である2A8および4B7をまた試験した。図10は、正常なヒト血液が約1000秒の血液凝固時間を有することを示す。FVIII中和抗体(PAH, 100 μg/mL)の存在下において、血液凝固時間は、約5200秒まで延長された。延長された血液凝固時間は、抗TFPI抗体である2A8または4B7の添加により有意に短縮され、これは、抗TFPI抗体がインヒビターを有する血友病患者の処置において有用であることを示す。
実施例13. 阻害性抗TFPI抗体は、ヒトTFPIのKunitzドメイン2に結合する
ウエスタンブロットおよびELISAを用いて、阻害性抗体がTFPIのどのドメインに結合するかを決定した。組み換え全長ヒトTFPIもしくはTFPIドメインをこれらの試験のために使用した。実施例3と同様の方法でELISAを行った。ウエスタンブロットにおいて、ヒトTFPIもしくはドメインを、4−12% Bis−Tris SDS PAGEランニングバッファーMES(Invitrogen, Carlsbad, CA)に流し、次いで、セルロース膜に移した。阻害性抗体と共に10分間インキュベーションした後、SNAPidシステム(Millipore, Billerica, MA)を用いて膜を3回洗浄した。1から10,000希釈でのHRP結合ロバ抗マウス抗体(Pierce, Rockford, IL)を膜と共に10分間インキュベートした。同様の洗浄工程後、SuperSignal基質(Pierce, Rockford, IL )を用いて、膜を発現させた。コントロール抗Kunitzドメイン1抗体は、全長TFPI、切断型TFPIおよびドメインに結合するが、阻害性抗TFPI抗体は、Kunitzドメイン2を含むTFPIにのみ結合する。これは、Kunitzドメイン2への結合が抗体の阻害性作用のために必要であることを示す。
表5. ウエスタンブロットおよびELISAにより決定された抗体が結合するドメイン
Figure 2016028048
本発明は、特定の態様および実施例に関して記載されているが、さまざまな修飾および変化が可能であり、本発明の真の精神および範囲から離れることなく同等物が置換され得るものと理解されるべきである。したがって、明細書および実施例は、限定的な意味ではなく例示的なものとして捉えられるべきである。さらに、本明細書に記載されたすべての記事、書籍、特許出願および特許は、引用により本明細書の一部とする。

Claims (27)

  1. ヒト組織因子経路インヒビター(TFPI)のKunitzドメイン1およびKunitzドメイン2を含む結合部位に特異的に結合する、単離されたヒトモノクローナルIgG抗体を含む、治療組成物であって、抗体重鎖が配列番号16と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列から構成され、抗体軽鎖が配列番号14と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列から構成され、前記重鎖が配列番号305と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列から構成されるCDR−1領域、配列番号348と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列から構成されるCDR−2領域、および配列番号391と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列から構成されるCDR−3領域を有し、かつ該ヒトモノクローナルIgGがTFPI活性の50%以上の阻害を示す、組成物。
  2. 第VIII因子または第IX因子をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 第VII因子が存在しない、請求項2に記載の組成物。
  4. 抗体がBiacoreアッセイにより、1.25から1140nMのヒトTFPIへの結合親和性を有する、請求項1に記載の組成物。
  5. 抗体が皮下注射用の薬学的に許容される担体中に製剤化される、請求項1に記載の組成物。
  6. 重鎖CDR−2領域が配列番号348と少なくとも80%の相同性を有する、請求項1に記載の組成物。
  7. 重鎖CDR−3領域が配列番号391と少なくとも80%の相同性を有する、請求項1に記載の組成物。
  8. 抗体が一本鎖の断片である、請求項1に記載の組成物。
  9. 抗体重鎖が配列番号305に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−1領域、配列番号348に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−2領域、および配列番号391に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−3領域を有する、請求項1に記載の組成物。
  10. 抗体重鎖が配列番号305に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−1領域、配列番号348に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−2領域、および配列番号391に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−3領域を有し、かつ抗体軽鎖が配列番号176に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−1領域、配列番号219に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−2領域、および配列番号262に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−3領域を有する、請求項1に記載の組成物。
  11. 抗体重鎖が配列番号16に示されるアミノ酸配列から構成される、請求項1に記載の組成物。
  12. 抗体軽鎖が配列番号14に示されるアミノ酸配列から構成される、請求項10に記載の組成物。
  13. 抗体がBiacoreアッセイにより、1.25nMのヒトTFPIへの結合親和性を有する、請求項1に記載の組成物。
  14. 抗体が注射用の薬学的に許容される担体中に10から100mgの用量で製剤化される、請求項1に記載の組成物。
  15. ヒト組織因子経路インヒビター(TFPI)のKunitzドメイン1およびKunitzドメイン2を含む結合部位に特異的に結合する、単離されたヒトモノクローナルIgG抗体を含む、治療組成物であって、抗体重鎖が配列番号160と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列から構成され、抗体軽鎖が配列番号158と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列から構成され、前記重鎖が配列番号341と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列から構成されるCDR−1領域、配列番号384と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列から構成されるCDR−2領域、および配列番号427と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列から構成されるCDR−3領域を有し、かつ該ヒトモノクローナルIgGがTFPI活性の50%以上の阻害を示す、組成物。
  16. 第VIII因子または第IX因子をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
  17. 第VII因子が存在しない、請求項16に記載の組成物。
  18. 抗体がBiacoreアッセイにより、15.8nMのヒトTFPIへの結合親和性を有する、請求項15に記載の組成物。
  19. 抗体が注射用の薬学的に許容される担体中に10から100mgの用量で製剤化される、請求項15に記載の組成物。
  20. 重鎖CDR−1領域が配列番号341と少なくとも85%の相同性を有する、請求項15に記載の組成物。
  21. 重鎖CDR−2領域が配列番号384と少なくとも85%の相同性を有する、請求項15に記載の組成物。
  22. 重鎖CDR−3領域が配列番号427と少なくとも85%の相同性を有する、請求項15に記載の組成物。
  23. 抗体が一本鎖の断片である、請求項15に記載の組成物。
  24. 抗体重鎖が配列番号341に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−1領域、配列番号384に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−2領域、および配列番号427に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−3領域を有する、請求項15に記載の組成物。
  25. 抗体重鎖が配列番号160に示されるアミノ酸配列から構成される、請求項15に記載の組成物。
  26. 抗体重鎖が配列番号341に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−1領域、配列番号384に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−2領域、および配列番号427に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−3領域を有し、かつ抗体軽鎖が配列番号212に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−1領域、配列番号255に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−2領域、および配列番号298に示されるアミノ酸配列から構成されるCDR−3領域を有する、請求項15に記載の組成物。
  27. 抗体重鎖が配列番号160に示されるアミノ酸配列から構成され、かつ抗体軽鎖が配列番号158に示されるアミノ酸配列から構成される、請求項15に記載の組成物。
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