JP2016028000A - 強化ガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】面内に物体が高速で陥入することによる破損と端面に衝撃が加わることによる破損とを同時に低減し得る強化ガラスの提案。【解決手段】表面に圧縮応力層を有する強化ガラスであって、厚み方向の圧縮応力のピークが、表面から3μm以上離間した位置にある強化ガラス。更に、内部の引っ張り応力が67MPa以下である強化ガラス。ガラス組成として、モル%で、SiO250〜80%、Al2O35〜30%、Li2O 0〜2%、Na2O 5〜25%を含有する強化ガラス。【選択図】図1

Description

本発明は、強化ガラス及びその製造方法に関し、特に、携帯電話、デジタルカメラ、PDA(携帯端末)、タッチパネルディスプレイのカバーガラスに好適な強化ガラス及びその製造方法に関する。
携帯電話(特にスマートフォン)、デジタルカメラ、PDA、タッチパネルディスプレイ、大型テレビ、非接触給電等のデバイスは、益々普及する傾向にある。
これらの用途には、イオン交換処理した強化ガラスが用いられている(特許文献1、非特許文献1参照)。また、近年では、デジタルサイネージ、マウス、スマートフォン等の外装部品に強化ガラスを使用することが増えてきている。
特開2006−83045号公報 特開2011−133800号公報
泉谷徹郎等、「新しいガラスとその物性」、初版、株式会社経営システム研究所、1984年8月20日、p.451−498
ところで、上記の通り、スマートフォンのカバーガラスには、強化ガラスが使用されているが、このカバーガラスは破損する場合がある。
本発明者の解析によると、カバーガラスの破損は、主に2種類のモードで発生する。すなわち、カバーガラスの破損は、(1)面内に鋭利且つ高硬度の物体が高速で陥入することによる破損と、(2)端面に衝撃が加わることによる破損とに大別される。
(1)のモードの破損を低減する対策として、内部の引っ張り応力を低減することが有効であると考えられる。(2)のモードの破損を低減する対策として、端面に存在するクラックが進展しないように、端面の応力深さを大きくすることが有効であると考えられる。
しかし、(1)のモードの破損と(2)のモードの破損を同時に低減することは困難である。具体的に言えば、(1)のモードの破損を低減するために、内部の引っ張り応力を低減すると、端面の応力深さが小さくなり、(2)のモードの破損が発生し易くなる。また、(2)のモードの破損を低減するために、応力深さを大きくすると、内部の引っ張り応力が大きくなり、(1)のモードの破損が発生し易くなる。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、面内に物体が高速で陥入することによる破損と端面に衝撃が加わることによる破損とを同時に低減し得る強化ガラスを創案することである。
本発明者は、種々の検討を行った結果、強化ガラスの厚み方向の圧縮応力のピーク位置(圧縮応力が極大になる位置)を表面ではなく、深部とすることにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の強化ガラスは、表面に圧縮応力層を有する強化ガラスであって、厚み方向の圧縮応力のピークが、表面から3μm以上離間した位置にあることを特徴とする。ここで、「厚み方向の圧縮応力のピーク」は、例えば、GD−OES(Glow Discharge―Optical Emission Spectroscopy:例えば、堀場製作所製GD−Profiler2)を用いて、厚み方向のKイオンの強度を測定することにより求めることができる。
厚み方向の圧縮応力のピークを表面から3μm以上離間した位置に形成すれば、十分な応力深さを確保した上で、内部の引っ張り応力を低減することができる。更に端面強度のばらつきを低減し得るため、端面に衝撃が加わることによる破損確率を大幅に低減することができる。結果として、面内に鋭利且つ高硬度の物体が高速で陥入することによる破損と端面に衝撃が加わることによる破損とを同時、且つ効果的に低減することができる。
第二に、本発明の強化ガラスは、内部の引っ張り応力が67MPa以下であることが好ましい。ここで、内部の引っ張り応力は、下記の数式1により算出される値を指す。「圧縮応力層の圧縮応力値」及び「応力深さ」は、表面応力計(例えば、折原製作所社製FSM−6000)を用いて、試料を観察した際に、観察される干渉縞の本数とその間隔から算出される値を指す。
第三に、本発明の強化ガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO 50〜80%、Al 5〜30%、LiO 0〜2%、NaO 5〜25%を含有することが好ましい。ガラス組成中にAlとアルカリ金属酸化物(特にNaO)を所定量導入することにより、イオン交換性能、耐失透性、耐熱衝撃性を高めることができる。
第四に、本発明の強化ガラスは、液相粘度が104.0dPa・s以上であることが好ましい。ここで、「液相粘度」は、液相温度における粘度を白金球引き上げ法で測定した値を指す。「液相温度」は、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度を指す。
第五に、本発明の強化ガラスは、104.0dPa・sにおける温度が1300℃以下であることが好ましい。ここで、「104.0dPa・sにおける温度」は、白金球引き上げ法で測定した値を指す。
第六に、本発明の強化ガラスは、30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数が95×10−7/℃以下であることが好ましい。ここで、「30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数」は、ディラトメーターを用いて、平均熱膨張係数を測定した値を指す。
第七に、本発明の強化ガラスは、板状であることが好ましい。つまりガラス板であることが好ましい。
第八に、本発明の強化ガラスは、厚みが0.1〜2.0mmであり、圧縮応力層の圧縮応力値が100MPa以上、応力深さが10μm以上であることが好ましい。
第九に、本発明の強化ガラスは、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。ここで、「オーバーフローダウンドロー法」は、耐熱性の成形体の両側から溶融ガラスを溢れさせて、溢れた溶融ガラスを成形体の下端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス板を製造する方法である。オーバーフローダウンドロー法では、ガラス板の表面となるべき面は成形体の表面に接触せず、自由表面の状態で成形される。このため、未研磨で表面品位が良好なガラス板を安価に製造することができる。
第十に、本発明の強化ガラスは、タッチパネルディスプレイ、携帯電話のカバーガラス、又はディスプレイの保護部材に用いることが好ましい。
第十一に、本発明の強化ガラスの製造方法は、強化用ガラスに対して、イオン交換処理を複数回行うことにより、表面に圧縮応力層を形成すると共に、厚み方向の圧縮応力のピークを表面から3μm以上離間させることを特徴とする。
第十二に、本発明の強化ガラスの製造方法は、強化用ガラスに対して、イオン交換処理を2回行うことが好ましい。
第十三に、本発明の強化ガラスの製造方法は、2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のNaNOの含有量が5質量%以上であることが好ましい。
第十四に、本発明の強化ガラスの製造方法は、2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のNaNOの含有量が、1回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のNaNOの含有量よりも多いことが好ましい。
[実施例1]に記載の試料A〜DのGD−OESの測定データである。
本発明の強化ガラスは、表面に圧縮応力層を有する。表面に圧縮応力層を形成する方法として、物理強化法と化学強化法がある。本発明の強化ガラスは、化学強化法により圧縮応力層が形成されてなることが好ましい。化学強化法は、ガラスの歪点以下の温度でイオン交換処理によりガラスの表面にイオン半径が大きいアルカリイオンを導入する方法である。化学強化法で圧縮応力層を形成すれば、ガラスの厚みが小さい場合でも、圧縮応力層を適正に形成することができる。
本発明の強化ガラスは、厚み方向の圧縮応力のピークが、表面から3μm以上離間した位置にあり、好ましくは4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、10μm以上、11μm以上、12μm以上、13μm以上、14μm以上、特に15μm以上離間した位置にある。厚み方向の圧縮応力のピークが表面から近い位置にあると、十分な応力深さを確保した上で、内部の引っ張り応力を低減することが困難になる。更に端面強度のばらつきが大きくなり、(2)のモードの破損確率を低減し難くなる。一方、厚み方向の圧縮応力のピークが表面から離れ過ぎると、イオン交換処理の時間が長くなり過ぎて、強化ガラスの生産性が低下し易くなる。
本発明の強化ガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO 50〜80%、Al 5〜30%、LiO 0〜2%、NaO 5〜25%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有範囲を限定した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、特に断りがない限り、モル%を指す。
SiOは、ガラスのネットワークを形成する成分である。SiOの含有量は、好ましくは50〜80%、55〜77%、57〜75%、58〜74%、60〜73%、特に62〜72%である。SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなり、また熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下し易くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下し易くなり、また熱膨張係数が低くなり過ぎて、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。
Alは、イオン交換性能を高める成分であり、また歪点やヤング率を高める成分である。Alの含有量は5〜30%が好ましい。Alの含有量が少な過ぎると、イオン交換性能を十分に発揮できない虞が生じる。よって、Alの好適な下限範囲は5.5%以上、6%以上、6.5%以上、7%以上、8%以上、特に9%以上である。一方、Alの含有量が多過ぎると、ガラスに失透結晶が析出し易くなって、オーバーフローダウンドロー法等でガラス板を成形し難くなる。特に、アルミナの成形体を用いて、オーバーフローダウンドロー法でガラス板を成形する場合、アルミナの成形体との界面にスピネルの失透結晶が析出し易くなる。また熱膨張係数が低くなり過ぎて、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。また耐酸性も低下し、酸処理工程に適用し難くなる。特に、カバーガラスにタッチセンサーを形成する方式では、ガラス板も同時に薬品処理を受ける。この場合、耐酸性が低いと、ITO等の膜のエッチング工程で問題が発生し易くなる。更には高温粘性が高くなり、溶融性が低下し易くなる。よって、Alの好適な上限範囲は25%以下、20%以下、18%以下、16%以下、15%以下、14%以下、13%以下、12.5%以下、12%以下、11.5%以下、11%以下、10.5%以下、特に10%以下である。
LiOは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分であると共に、ヤング率を高める成分である。更にLiOは、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力値を高める効果が大きいが、NaOを7%以上含むガラス系において、LiOの含有量が極端に多くなると、かえって圧縮応力値が低下する傾向がある。また、LiOの含有量が多過ぎると、液相粘度が低下して、ガラスが失透し易くなることに加えて、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。更に、低温粘性が低下し過ぎて、応力緩和が起こり易くなり、かえって圧縮応力値が低下する場合がある。よって、LiOの好適な上限範囲は、2%以下、1.7%以下、1.5%以下、1%以下、1.0%未満、0.5%以下、0.3%以下、0.2%以下、特に0.1%以下である。なお、LiOを添加する場合、好適な添加量は0.005%以上、0.01%以上、特に0.05%以上である。
NaOは、イオン交換成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。また、NaOは、耐失透性を改善する成分でもある。NaOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下したり、熱膨張係数が低下したり、イオン交換性能が低下し易くなる。よって、NaOの好適な下限範囲は5%以上、7%以上、7.0%超、8%以上、特に9%以上である。一方、NaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなったり、密度が高くなる傾向がある。また歪点が低下し過ぎたり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する場合がある。よって、NaOの好適な上限範囲は25%以下、23%以下、21%以下、19%以下、18.5%以下、17.5%以下、17%以下、16%以下、15.5%以下、14%以下、13.5%以下、特に13%以下である。
上記成分以外にも、例えば以下の成分を添加してもよい。
の含有量は0〜15%が好ましい。Bは、高温粘度や密度を低下させると共に、ガラスを安定化させて、結晶を析出させ難くし、液相温度を低下させる成分である。また、クラックレジスタンスを高めて、耐傷性を高める成分である。よって、Bの好適な下限範囲は0.01%以上、0.1%以上、0.5%以上、0.7%以上、1以上、2%以上、特に3%以上である。しかし、Bの含有量が多過ぎると、イオン交換によって、ヤケと呼ばれるガラス表面の着色が発生したり、耐水性が低下したり、応力深さが小さくなり易い。よって、Bの好適な上限範囲は14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10.5%未満、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、特に4.9%以下である。
モル比B/Alは0〜1、0.1〜0.6、0.12〜0.5、0.142〜0.37、0.15〜0.35、0.18〜0.32、特に0.2〜0.3が好ましい。このようにすれば、高温粘性を適正化しつつ、耐失透性とイオン交換性能を高いレベルで両立させることが可能になる。なお、「B/Al」は、Bの含有量をAlの含有量で除した値である。
モル比B/(NaO+Al)は0〜1、0.01〜0.5、0.02〜0.4、0.03〜0.3、0.03〜0.2、0.04〜0.18、0.05〜0.17、0.06〜0.16、特に0.07〜0.15が好ましい。このようにすれば、高温粘性を適正化しつつ、耐失透性とイオン交換性能を高いレベルで両立させることが可能になる。なお、「NaO+Al」は、NaOとAlの合量である。「B/(NaO+Al)」は、Bの含有量をNaOとAlの合量で除した値である。
Oは、イオン交換を促進する成分であり、アルカリ金属酸化物の中では応力深さを大きくし易い成分である。また高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高める成分である。更には、耐失透性を改善する成分でもある。しかし、KOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなる。また歪点が低下し過ぎたり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する傾向がある。よって、KOの好適な上限範囲は10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2.5%以下、特に2%未満である。なお、KOを添加する場合、好適な添加量は0.1%以上、0.5%以上、特に1%以上である。また、KOの添加を可及的に避ける場合は、0〜1.9%、0〜1.35%、0〜1%、0〜1%未満、特に0〜0.05%が好ましい。
LiO+NaO+KOの含有量が少な過ぎると、イオン交換性能や溶融性が低下し易くなる。一方、LiO+NaO+KOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎて、耐熱衝撃性が低下したり、周辺材料の熱膨張係数に整合させ難くなったり、密度が高くなる傾向がある。また歪点が低下し過ぎたり、ガラス組成の成分バランスを欠き、かえって耐失透性が低下する傾向がある。よって、LiO+NaO+KOの好適な下限範囲は5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、特に12%以上であり、好適な上限範囲は30%以下、25%以下、20%以下、19%以下、18.5%以下、17.5%以下、16%以下、15.5%以下、15%以下、14.5%以下、特に14%以下である。なお、「LiO+NaO+KO」は、LiO、NaO及びKOの合量である。
MgOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、イオン交換性能を高める効果が大きい成分である。よって、MgOの好適な下限範囲は0%以上、0.5%以上、1%以上、1.5%以上、2%以上、2.5%以上、3%以上、4%以上、特に4.5%以上である。しかし、MgOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり易く、またガラスが失透し易くなる傾向がある。特に、アルミナの成形体を用いて、オーバーフローダウンドロー法でガラス板を成形する場合、アルミナの成形体との界面にスピネルの失透結晶が析出し易くなる。よって、MgOの好適な上限範囲は10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、特に5%以下である。
CaOは、他の成分と比較して、耐失透性の低下を伴うことなく、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める効果が大きい。しかし、CaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなり、またガラス組成の成分バランスを欠いて、かえってガラスが失透し易くなったり、イオン交換性能が低下したり、イオン交換溶液を劣化させ易くなる傾向がある。よって、CaOの好適な含有量は0〜6%、0〜5%、0〜4%、0〜3.5%、0〜3%、0〜2%、0〜1%、特に0〜0.5%である。
SrOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、イオン交換反応が阻害され易くなることに加えて、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透し易くなる。よって、SrOの好適な含有量は0〜1.5%、0〜1%、0〜0.5%、0〜0.1%、特に0〜0.1%未満である。
BaOは、高温粘度を低下させて、溶融性や成形性を高めたり、歪点やヤング率を高める成分である。しかし、BaOの含有量が多過ぎると、イオン交換反応が阻害され易くなること加えて、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透し易くなる。よって、BaOの好適な含有量は0〜6%、0〜3%、0〜1.5%、0〜1%、0〜0.5%、0〜0.1%、特に0〜0.1%未満である。
MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなったり、ガラスが失透したり、イオン交換性能が低下する傾向がある。よって、MgO+CaO+SrO+BaOの好適な含有量は0〜9.9%、0〜8%、0〜7%、0〜6.5%、0〜6%、0〜5.5%、特に0〜5%である。なお、「MgO+CaO+SrO+BaO」は、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量である。
LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなる。よって、LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaOの好適な下限範囲は10%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、15.5%以上、16%以上、17%以上、特に17.5%以上である。一方、LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多過ぎると、密度や熱膨張係数が高くなったり、イオン交換性能が低下する傾向がある。よって、LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaOの好適な上限範囲は30%以下、28%以下、25%以下、24%以下、23%以下、22%以下、21%以下、特に20%以下である。「LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO」は、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量である。
モル比B/(B+LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO)が小さくなると、クラックレジスタンスが低下したり、密度や熱膨張係数が上昇し易くなる。一方、モル比B/(B+LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO)が大きくなると、耐失透性が低下したり、ガラスが分相したり、イオン交換性能が低下し易くなる。よって、モル比B/(B+LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO)の好適な範囲は0.001〜0.5、0.005〜0.45、0.01〜0.4、0.03〜0.35、特に0.06〜0.35である。なお、「B/(B+LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO)」は、Bの含有量をB、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量で除した値である。
TiOは、イオン交換性能を高める成分であり、また高温粘度を低下させる成分であるが、その含有量が多過ぎると、ガラスが着色したり、失透し易くなる。よって、TiOの含有量は0〜4.5%、0〜1%、0〜0.5%、0〜0.3%、0〜0.1%、0〜0.05%、特に0〜0.01%が好ましい。
ZrOは、イオン交換性能を顕著に高める成分であると共に、液相粘度付近の粘性や歪点を高める成分である。よってZrOの好適な下限範囲は0.001%以上、0.005%以上、0.01%以上、特に0.05%以上である。しかし、ZrOの含有量が多過ぎると、耐失透性が著しく低下すると共に、クラックレジスタンスが低下する虞があり、また密度が高くなり過ぎる虞もある。よって、ZrOの好適な上限範囲は5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、0.3%以下、特に0.1%以下である。
ZnOは、イオン交換性能を高める成分であり、特に圧縮応力値を高める効果が大きい成分である。また低温粘性を低下させずに、高温粘性を低下させる成分である。しかし、ZnOの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐失透性が低下したり、密度が高くなったり、応力深さが小さくなる傾向がある。よって、ZnOの含有量は0〜6%、0〜5%、0〜3%、特に0〜1%が好ましい。
は、イオン交換性能を高める成分であり、特に応力深さを大きくする成分である。しかし、Pの含有量が多過ぎると、ガラスが分相したり、耐水性が低下し易くなる。よって、Pの含有量は0〜10%、0〜3%、0〜1%、0〜0.5%、特に0〜0.1%が好ましい。
清澄剤として、Cl、SO、CeOの群(好ましくはCl、SOの群)から選択された一種又は二種以上を0〜3%添加してもよい。
SnOは、イオン交換性能を高める効果を有する。よって、SnOの含有量は0〜3%、0.01〜3%、0.05〜3%、特に0.1〜3%、特に0.2〜3%が好ましい。
清澄効果とイオン交換性能を高める効果を同時に享受する観点から、SnO+SO+Clの含有量は0.01〜3%、0.05〜3%、0.1〜3%、特に0.2〜3%が好ましい。なお、「SnO+SO+Cl」は、SnO、Cl及びSOの合量である。
Feの含有量は1000ppm未満(0.1%未満)、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、特に300ppm未満が好ましい。更に、Feの含有量を上記範囲に規制した上で、モル比Fe/(Fe+SnO)を0.8以上、0.9以上、特に0.95以上に規制することが好ましい。このようにすれば、板厚1mmにおける透過率(400〜770nm)が向上し易くなる(例えば90%以上)。なお、「Fe/(Fe+SnO)」は、Feの含有量をFeとSnOの合量で除した値である。
Nb、La等の希土類酸化物は、ヤング率を高める成分である。しかし、原料自体のコストが高く、また多量に添加すると、耐失透性が低下し易くなる。よって、希土類酸化物の含有量は3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下が好ましい。
本発明の強化ガラスは、環境的配慮から、ガラス組成として、実質的にAs、Sb、PbO、Fを含有しないことが好ましい。また、環境的配慮から、実質的にBiを含有しないことも好ましい。なお、「実質的に〜を含有しない」とは、ガラス成分として積極的に明示の成分を添加しないものの、不純物レベルで混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、明示の成分の含有量が0.1モル%未満であることを指す。
本発明の強化ガラスは、例えば、下記の特性を有することが好ましい。
本発明の強化ガラスは、表面に圧縮応力層を有している。圧縮応力層の圧縮応力値は、好ましくは100MPa以上、200MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、特に500〜700MPa以上である。圧縮応力値が大きい程、強化ガラスの機械的強度が高くなる。なお、ガラス組成中のAl、TiO、ZrO、MgO、ZnOの含有量を増加させたり、SrO、BaOの含有量を低減すれば、圧縮応力値が大きくなる傾向がある。また、イオン交換時間を短くしたり、イオン交換溶液の温度を下げれば、圧縮応力値が大きくなる傾向がある。
応力深さは、好ましくは10μm以上、20μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、特に50μm以上90μm以下である。応力深さが小さ過ぎると、(2)のモードの破損が発生し易くなる。一方、応力深さが大き過ぎると、内部の引っ張り応力が過大になり、(1)のモードの破損が発生し易くなる。なお、ガラス組成中のKO、Pの含有量を増加させたり、SrO、BaOの含有量を低減すれば、応力深さが大きくなる傾向がある。また、イオン交換時間を長くしたり、イオン交換溶液の温度を上げれば、応力深さが大きくなる傾向がある。
内部の引っ張り応力が67MPa以下、50MPa以下、40MPa以下、35PMa以下、30MPa以下、特に10〜25MPaであることが好ましい。内部の引っ張り応力が大き過ぎると、(1)のモードの破損が発生し易くなる。一方、内部の引っ張り応力が小さ過ぎると、強化ガラスの機械的強度が低下し易くなる。
密度は2.6g/cm以下、2.55g/cm以下、2.50g/cm以下、2.48g/cm以下、特に2.45g/cm以下が好ましい。密度が小さい程、強化ガラスを軽量化することができる。なお、ガラス組成中のSiO、B、Pの含有量を増加させたり、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、ZrO、TiOの含有量を低減すれば、密度が低下し易くなる。なお、「密度」は周知のアルキメデス法で測定することができる。
30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数は100×10−7/℃以下、95×10−7/℃以下、93×10−7/℃以下、90×10−7/℃以下、88×10−7/℃以下、85×10−7/℃以下、83×10−7/℃以下、特に82×10−7/℃以下が好ましい。熱膨張係数を上記範囲に規制すれば、熱衝撃によって破損し難くなるため、強化処理前の予熱や強化処理後の除冷に要する時間を短縮することができる。結果として、強化ガラスの製造コストを低廉化することができる。また、金属、有機系接着剤等の部材の熱膨張係数に整合し易くなり、金属、有機系接着剤等の部材の剥離を防止し易くなる。なお、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物の含有量を増加すれば、熱膨張係数が高くなり易く、逆にアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物の含有量を低減すれば、熱膨張係数が低下し易くなる。
104.0dPa・sにおける温度は1300℃以下、1280℃以下、1250℃以下、1220℃以下、特に1200℃以下が好ましい。104.0dPa・sにおける温度が低い程、成形設備への負担が軽減されて、成形設備が長寿命化し、結果として、強化ガラスの製造コストを低廉化し易くなる。アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、B、TiOの含有量を増加させたり、SiO、Alの含有量を低減すれば、104.0dPa・sにおける温度が低下し易くなる。
102.5dPa・sにおける温度は1650℃以下、1600℃以下、1580℃以下、特に1550℃以下が好ましい。102.5dPa・sにおける温度が低い程、低温溶融が可能になり、溶融窯等のガラス製造設備への負担が軽減されると共に、泡品位を高め易くなる。すなわち、102.5dPa・sにおける温度が低い程、強化ガラスの製造コストを低廉化し易くなる。ここで、「102.5dPa・sにおける温度」は、例えば、白金球引き上げ法で測定可能である。なお、102.5dPa・sにおける温度は、溶融温度に相当する。また、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、B、TiOの含有量を増加させたり、SiO、Alの含有量を低減すれば、102.5dPa・sにおける温度が低下し易くなる。
液相温度は1200℃以下、1150℃以下、1100℃以下、1080℃以下、1050℃以下、1020℃以下、特に1000℃以下が好ましい。なお、液相温度が低い程、耐失透性や成形性が向上する。なお、ガラス組成中のNaO、KO、Bの含有量を増加させたり、Al、LiO、MgO、ZnO、TiO、ZrOの含有量を低減すれば、液相温度が低下し易くなる。
液相粘度は104.0dPa・s以上、104.4dPa・s以上、104.8dPa・s以上、105.0dPa・s以上、105.3dPa・s以上、105.5dPa・s以上、105.7dPa・s以上、105.8dPa・s以上、特に106.0dPa・s以上が好ましい。なお、液相粘度が高い程、耐失透性や成形性が向上する。また、ガラス組成中のNaO、KOの含有量を増加させたり、Al、LiO、MgO、ZnO、TiO、ZrOの含有量を低減すれば、液相粘度が高くなり易い。
表面の平均表面粗さ(Ra)は、好ましくは10Å以下、8Å以下、6Å以下、4Å以下、3Å以下、特に2Å以下である。平均表面粗さ(Ra)が大きい程、強化ガラスの面内強度が低下する傾向がある。ここで、平均表面粗さ(Ra)は、SEMI D7−97「FPDガラス基板の表面粗さの測定方法」に準拠した方法により測定した値を指す。
厚み(ガラス板の場合、板厚)は2.0mm以下、1.5mm以下、1.3mm以下、1.1mm以下、1.0mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、0.5mm以下、0.45mm以下、0.4mm以下、特に0.35mm以下が好ましい。一方、板厚が薄過ぎると、所望の機械的強度を得難くなる。よって、板厚は0.1mm以上、0.2mm以上、特に0.3mm以上が好ましい。
本発明の強化ガラスの製造方法は、強化用ガラスに対して、イオン交換処理を複数回行うことにより、表面に圧縮応力層を形成すると共に、厚み方向の圧縮応力のピークを表面から3μm以上離間させることを特徴とする。本発明の強化ガラスの製造方法の技術的特徴(好適な特性、効果)は、本発明の強化ガラスの技術的特徴と重複するが、その重複部分については、便宜上、詳細な説明を省略する。
強化用ガラスに対して、イオン交換処理を2回行うことが好ましい。これにより、イオン交換処理の効率を高めることができる。但し、本発明では、イオン交換処理を3回以上行う場合を完全に排除するものではない。
イオン交換処理を2回行う場合、2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中の小さいアルカリイオン(例えばLiイオン、Naイオン、特にNaイオン)の割合は、1回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のそれよりも多いことが好ましい。これにより、最表面の大きなアルカリイオンの濃度(特に、Kイオンの濃度)が低下し易くなるため、厚み方向の圧縮応力のピークを表面から離間させ易くなる。なお、アルカリイオンの大きさは、Liイオン<Naイオン<Kイオン<Ceイオン<Rbイオンである。
1回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のLiNOの含有量は、好ましくは1質量%以下、0.5質量%以下、特に0.1質量%以下である。2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のLiNOの含有量は、好ましくは1質量%以下、0.5質量%以下、特に0.1質量%以下である。イオン交換溶液中のLiNOが多過ぎると、イオン交換処理を適正に行うことが困難になる。
1回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のKNOの含有量は、好ましくは95質量%以上、98質量%以上、特に99質量%以上である。2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のKNOの含有量は、好ましくは40質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、特に60〜80質量%である。イオン交換溶液中のKNOの含有量が上記範囲外になると、圧縮応力層の圧縮応力値が低下し易くなる。
2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のNaNOの含有量は、1回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のNaNOの含有量よりも多いことが好ましく、5質量%以上多いことがより好ましく、10質量%以上多いことが更に好ましく、15質量%以上多いことが特に好ましい。また、2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のNaNOの含有量は、好ましくは5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、特に25質量%以上である。2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のNaNOが少な過ぎると、最表面のKイオンの濃度が低下し難くなる。結果として厚み方向の圧縮応力のピークを表面から離間させ難くなる。
2回目のイオン交換温度は、1回目のイオン交換温度よりも20℃以上、特に40℃以上低いことが好ましい。また2回目のイオン交換温度は350〜400℃、特に360〜380℃が好ましい。これにより、応力深さと内部の引っ張り応力を適正化しつつ、厚み方向の圧縮応力のピークを表面から適正な位置に離間させ易くなる。
2回目のイオン交換時間は、1回目のイオン交換時間よりも2時間以上、特に3時間以上短いことが好ましい。また2回目のイオン交換時間は5〜120分間、特に10〜90分間が好ましい。これにより、応力深さと内部の引っ張り応力を適正化しつつ、厚み方向の圧縮応力のピークを表面から適正な位置に離間させ易くなる。
以下のようにして、本発明に係る強化用ガラス板を作製することができる。
まず所望のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入して、1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で板状等に成形し、徐冷することにより、強化用ガラス板を作製することができる。
ガラス板を成形する方法として、オーバーフローダウンドロー法を採用することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、大量に高品位なガラス板を作製できると共に、大型のガラス板も容易に作製できる方法であり、またガラス板の表面の傷を可及的に低減することができる。なお、オーバーフローダウンドロー法では、成形体として、アルミナやデンスジルコンが使用される。本発明に係る強化用ガラスは、アルミナやデンスジルコン、特にアルミナとの適合性が良好である(成形体と反応して泡やブツ等を発生させ難い)。
オーバーフローダウンドロー法以外にも、種々の成形方法を採用することができる。例えば、フロート法、ダウンドロー法(スロットダウン法、リドロー法等)、ロールアウト法、プレス法等の成形方法を採用することができる。
強化用ガラス板を成形した後、必要に応じて、曲げ加工を行ってもよい。また必要に応じて、面取り加工を行ってもよい。
所望の寸法に切断する時期は、強化処理の前が好ましい。これにより、端面にも圧縮応力層を形成することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を説明する。なお、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
次のようにして試料を作製した。まず所定のガラス組成(モル%で、SiO 66.5%、Al 11.5%、B 0.5%、NaO 15.2%、KO 1.4%、MgO 4.8%、SnO 0.2%)になるように、ガラス原料を調合し、白金ポットを用いて1600℃で21時間溶融した。その後、得られた溶融ガラスをカーボン板の上に流し出して、板状に成形した。得られた強化用ガラス板について、種々の特性を測定したところ、密度が2.45g/cm、熱膨張係数αが91.2×10−7/℃、歪点Psが564℃、徐冷点Taが613℃、軟化点Tsが863℃、高温粘度104.0dPa・sにおける温度が1255℃、103.0dPa・sにおける温度が1460℃、102.5dPa・sにおける温度が1591℃、液相温度TLが970℃、液相粘度log10ηTLが6.3dPa・sであった。
密度は、周知のアルキメデス法によって測定した値である。
熱膨張係数αは、ディラトメーターを用いて、30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を測定した値である。
歪点Ps、徐冷点Taは、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。
軟化点Tsは、ASTM C338の方法に基づいて測定した値である。
高温粘度104.0dPa・s、103.0dPa・s、102.5dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。
液相温度TLは、標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定した値である。
液相粘度log10ηTLは、液相温度におけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
次いで、上記強化用ガラス板について、表1に示すイオン交換条件によりイオン交換処理を行うことにより強化ガラス板(試料A〜D)を得た。なお、イオン交換処理前後で、表層におけるガラス組成が微視的に異なるものの、ガラス全体として見た場合は、ガラス組成が実質的に相違しない。
得られた強化ガラスについて、厚み方向の圧縮応力のピークの位置、圧縮応力値、応力深さ、内部の引っ張り応力、端面強度及び耐落下衝撃を評価した。その結果を表1に示す。
厚み方向の圧縮応力のピークの位置は、GD−OES(堀場製作所製GD−Profiler2)を用いて、厚み方向のKイオンの強度を測定することにより求めた。GD−OESの測定データを図1に示す。GD−OESの測定条件は、放電電力:80W、放電圧力:200Paとした。なお、ピーク位置は、厚み方向のKイオンの強度が最大になる位置でスパッタリングを中止し、スパッタ痕の表面との段差をサーフコーダー(小坂研究所製surfcorder ET4000AK)により計測することにより求めた。
圧縮応力値及び応力深さは、表面応力計(折原製作所社製FSM−6000)を用いて、試料を観察した際に、観察される干渉縞の本数とその間隔から算出した値である。なお、算出に当たり、試料の屈折率を1.50、光学弾性定数を29.5[(nm/cm)/MPa]とした。
端面強度試験は、四点曲げ試験を20回行った後、ワイブル係数を算出することにより評価したものである。四点曲げ試験では、ローディングパーの間隔を18mm、サポートバーの間隔を36mmとした。
耐落下衝撃試験は、20mm×50mmの寸法の試料を用いて、高さ5cmの位置から、強化ガラス表面にダイヤモンドチップを落下衝突させた時の平均破片数をカウントすることにより評価した(試験回数20回)。
表1から分かるように、試料B〜Dは、厚み方向の圧縮応力のピーク位置が深部であり、且つ内部の引っ張り応力が低いため、端面強度試験と耐落下衝撃試験の結果が良好であった。一方、試料Aは、厚み方向の圧縮応力のピーク位置が表面であり、且つ内部の引っ張り応力が高いため、端面強度試験と耐落下衝撃試験の結果が不良であった。
[実施例1]の欄で確認された効果は、表2〜6に示す試料No.1〜92の強化用ガラス(強化ガラス)でも得られるものと考えられる。
本発明の強化ガラスは、携帯電話、デジタルカメラ、PDA(携帯端末)、タッチパネルディスプレイのカバーガラスとして好適である。また、本発明の強化ガラスは、これらの用途以外にも、高い機械的強度が要求される用途、例えば窓ガラス、磁気ディスク用基板、フラットパネルディスプレイ用基板、太陽電池用カバーガラス、固体撮像素子用カバーガラス、食器への応用が期待できる。

Claims (14)

  1. 表面に圧縮応力層を有する強化ガラスであって、厚み方向の圧縮応力のピークが、表面から3μm以上離間した位置にあることを特徴とする強化ガラス。
  2. 内部の引っ張り応力が67MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の強化ガラス。
  3. ガラス組成として、モル%で、SiO 50〜80%、Al 5〜30%、LiO 0〜2%、NaO 5〜25%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の強化ガラス。
  4. 液相粘度が104.0dPa・s以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の強化ガラス。
  5. 104.0dPa・sにおける温度が1300℃以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の強化ガラス。
  6. 30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数が95×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の強化ガラス。
  7. 板状であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の強化ガラス。
  8. 厚みが0.1〜2.0mmであり、圧縮応力層の圧縮応力値が100MPa以上、圧縮応力層の厚みが10μm以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の強化ガラス。
  9. オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の強化ガラス。
  10. タッチパネルディスプレイ、携帯電話のカバーガラス、又はディスプレイの保護部材に用いることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の強化ガラス。
  11. 強化用ガラスに対して、イオン交換処理を複数回行うことにより、表面に圧縮応力層を形成すると共に、厚み方向の圧縮応力のピークを表面から5μm以上離間させることを特徴とする強化ガラスの製造方法。
  12. 強化用ガラスに対して、イオン交換処理を2回行うことを特徴とする請求項11に記載の強化ガラスの製造方法。
  13. 2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のNaNOの含有量が5質量%以上であることを特徴とする請求項12に記載の強化ガラスの製造方法。
  14. 2回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のNaNOの含有量が、1回目のイオン交換処理に用いるイオン交換溶液中のNaNOの含有量よりも多いことを特徴とする請求項12又は13に記載の強化ガラスの製造方法。
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