JP2016023145A - トリフルオロエチレンの精製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】不純物を含有する組成物からトリフルオロエチレンの回収を効率的に行うことができるトリフルオロエチレンの精製方法の提供。
【解決手段】トリフルオロエチレンと、トリフルオロエチレンよりも高い沸点を有する高沸点化合物と、トリフルオロエチレンよりも低い沸点を有する低沸点化合物と、を含む組成物からトリフルオロエチレンの純度を高めて回収するトリフルオロエチレンの精製方法であって、組成物から高沸点化合物を除去する高沸点化合物除去工程と、高沸点化合物除去工程を経た組成物から、蒸留によりトリフルオロエチレンを回収する蒸留工程と、を有するトリフルオロエチレンの精製方法。
【選択図】なし
【解決手段】トリフルオロエチレンと、トリフルオロエチレンよりも高い沸点を有する高沸点化合物と、トリフルオロエチレンよりも低い沸点を有する低沸点化合物と、を含む組成物からトリフルオロエチレンの純度を高めて回収するトリフルオロエチレンの精製方法であって、組成物から高沸点化合物を除去する高沸点化合物除去工程と、高沸点化合物除去工程を経た組成物から、蒸留によりトリフルオロエチレンを回収する蒸留工程と、を有するトリフルオロエチレンの精製方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、トリフルオロエチレンとそれ以外の不純物とを含む組成物から、不純物を除去してトリフルオロエチレンの純度を高め、回収するトリフルオロエチレンの精製方法に関する。
従来、冷凍機用冷媒、空調機器用冷媒、発電システム(廃熱回収発電等)用作動流体、潜熱輸送装置(ヒートパイプ等)用作動媒体、二次冷却媒体等の作動媒体としてはオゾン層への影響が少ない、ジフルオロメタン(HFC−32)、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン(HFC−125)等のヒドロフルオロカーボン(HFC)が用いられている。また、新たな環境規制によって、冷蔵、空調およびヒートポンプ装置等に用いる新たな冷媒が必要とされ、地球温暖化係数(GWP)の低い化合物が着目されている。なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。
このような作動媒体としては、大気中のOHラジカルによって分解されやすいためにオゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が少ないことから、炭素−炭素二重結合を有するヒドロフルオロオレフィン(HFO)が用いられるようになってきている。なかでも、HFOとしては、GWPが高い飽和HFC(ハイドロフルオロカーボン)系の冷媒の代替物質として、トリフルオロエチレン(HFO−1123)が有望と考えられている。
ここで、HFO−1123の製造は、クロロトリフルオロエチレン(CFO−1113)を、パラジウム触媒または白金触媒の存在下で水素により還元する方法等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
HFO−1123は、残留する原料や副生成物等の不純物との混合組成物として得られる。したがって、目的化合物であるHFO−1123は、このような混合組成物から、通常、蒸留法等の公知の精製方法により純度を高めて回収される。
HFO−1123の精製操作において、冷媒等に使用する化合物としては所定の純度、しかもできるだけ高純度のものを回収して製品とする。そのため、上記精製操作において純度の低いものは廃棄されておりHFO−1123の回収率が悪い上、純度の低いHFO−1123の廃棄手段が必要である観点や、廃棄物が生じる点で環境への影響の観点から好ましくない。したがって、HFO−1123の回収を効率的に行う精製方法の開発が要請されている。
本発明は、上記観点からなされたものであって、不純物を含有する組成物からトリフルオロエチレンの回収を効率的に行うことができるトリフルオロエチレンの精製方法の提供を目的とする。
本発明のトリフルオロエチレンの精製方法は、トリフルオロエチレンと、トリフルオロエチレンよりも高い沸点を有する高沸点化合物と、トリフルオロエチレンよりも低い沸点を有する低沸点化合物と、を含む組成物から前記トリフルオロエチレンの純度を高めて回収するトリフルオロエチレンの精製方法であって、前記組成物から前記高沸点化合物を除去する高沸点化合物除去工程と、前記高沸点化合物除去工程を経た組成物から、蒸留により前記トリフルオロエチレンを回収する蒸留工程と、を有することを特徴とする。
本発明のトリフルオロエチレンの精製方法によれば、HFO−1123とそれ以外の不純物を含有する組成物から、HFO−1123を効率よく回収することができる。したがって、HFO−1123製造工程において廃棄量を減少し生産効率を向上させることができる。
以下、本発明のトリフルオロエチレンの精製方法について、実施形態を参照しながら説明する。
<HFO−1123の精製方法>
以下、この精製方法の各工程について詳細に説明する。
以下、この精製方法の各工程について詳細に説明する。
〈高沸点化合物除去工程〉
まず、本実施形態のHFO−1123の精製方法においては、HFO−1123と、HFO−1123よりも高い沸点を有する高沸点化合物と、HFO−1123よりも低い沸点を有する低沸点化合物と、を含む組成物から、不純物である高沸点化合物を除去する高沸点化合物除去工程を行う。なお、本明細書において、高沸点化合物および低沸点化合物は、1気圧におけるHFO−1123の沸点を基準として、該沸点よりも高い沸点を有するか低い沸点を有するかにより規定される。
まず、本実施形態のHFO−1123の精製方法においては、HFO−1123と、HFO−1123よりも高い沸点を有する高沸点化合物と、HFO−1123よりも低い沸点を有する低沸点化合物と、を含む組成物から、不純物である高沸点化合物を除去する高沸点化合物除去工程を行う。なお、本明細書において、高沸点化合物および低沸点化合物は、1気圧におけるHFO−1123の沸点を基準として、該沸点よりも高い沸点を有するか低い沸点を有するかにより規定される。
この高沸点化合物除去工程は、上記組成物から高沸点化合物を選択的に除去する工程である。処理する組成物中の不純物含有量を減らして、次いで行う蒸留工程で処理する流体中のHFO−1123濃度を高めることで、HFO−1123を効率良く回収できる。本工程においては高沸点化合物を除去して、流体中のHFO−1123濃度を高めることができればよい。したがって、高沸点化合物の全てを除去できれば最も好ましいが、全て除去する必要はなく、その一部を除去して、組成物中のHFO−1123の濃度を高められればよい。
このような高沸点化合物を選択的に除去する方法としては、除去対象の高沸点化合物をHFO−1123から分離できるものであればよく、その蒸気圧の差を利用して分離する方法が好ましい。このような方法としては、具体的には、高沸点化合物を液化し、HFO−1123および低沸点化合物を含む組成物を気化状態に維持する気液分離法、溶剤による抽出分離法等が挙げられる。
以下、気液分離法を例に、高沸点化合物を除去する方法を説明する。
HFO−1123の蒸気圧曲線を、図1に記載した。図1において、横軸は温度、縦軸は圧力(ゲージ圧)である。気液分離操作においては、HFO−1123を気体のまま保持しながら、高沸点化合物を液化させて除去する。気液分離操作は、温度および圧力を制御可能な容器内で実施するのが好ましい。そして、高沸点化合物を液化させた後、液化した高沸点化合物をその容器内に残し、目的化合物であるHFO−1123を含む気体を別の容器内に移す気液分離により、組成物中のHFO−1123の濃度を高めて次工程に付すことができる。
HFO−1123の蒸気圧曲線を、図1に記載した。図1において、横軸は温度、縦軸は圧力(ゲージ圧)である。気液分離操作においては、HFO−1123を気体のまま保持しながら、高沸点化合物を液化させて除去する。気液分離操作は、温度および圧力を制御可能な容器内で実施するのが好ましい。そして、高沸点化合物を液化させた後、液化した高沸点化合物をその容器内に残し、目的化合物であるHFO−1123を含む気体を別の容器内に移す気液分離により、組成物中のHFO−1123の濃度を高めて次工程に付すことができる。
この気液分離操作は、図1の蒸気圧曲線において、HFO−1123が気体状態で、かつ、除去したい高沸点化合物が液体状態となる条件(温度および圧力条件)、すなわち蒸気圧曲線上も含め、それよりも低い圧力、かつ、低い温度条件となる領域で行えばよい。なお、容器内の温度は、気液分離が可能であれば特に限定されないが、HFO−1123は、高温になるほど着火源等の存在により連鎖的に反応が生じて分解、重合等の反応によりHFO−1123濃度が低減するおそれがある。そのため、そのような反応が生じるおそれが十分に低い温度、例えば、10℃以下とするのが好ましく、0℃以下とするのがより好ましく、−10℃以下とするのがさらに好ましい。また、容器内の圧力(ゲージ圧)は、同様の理由から、上記のような分解、重合等の反応が生じるおそれが十分に低い圧力、例えば、0〜1.0MPaが好ましく、0〜0.5MPaが好ましく、0〜0.2MPaが好ましい。
また、例えば、気液分離を実施する容器内の温度および圧力条件を、蒸気圧曲線と所定の関係を有する条件とすることが好ましい。
このとき、蒸気圧曲線に近いほど、HFO−1123と高沸点化合物とを分離しやすくなり好ましいが、同時にHFO−1123の一部が液化して不純物と一緒に除去される可能性が高くなり、回収率がわずかに低下するおそれがある。したがって、蒸気圧曲線とは所定の間隔が空いた温度−圧力条件とすることが好ましい。
このように、HFO−1123を気体として保持し、かつ、高沸点化合物を液化する条件として気体のみを回収することで、HFO−1123と高沸点化合物を分離でき、上記組成物から高沸点化合物を除去することができる。
次の工程である蒸留工程に付すにあたって、本工程においてHFO−1123の組成物中の濃度をできるだけ高めておくことが好ましい。
蒸留工程で得られるHFO−1123の含有割合が99質量%以上のものの回収効率を向上させるには、この高沸点化合物除去工程における組成物中のHFO−1123濃度を70質量%以上とすることが好ましく、75質量%以上とすることがより好ましい。このようなHFO−1123濃度として、蒸留工程に付すことで全体としてのHFO−1123の回収効率を有意に高めることができる。
なお、上記したように、この工程においては、高沸点化合物を全て取り去ることは必要なく、高沸点化合物の一部を分離して、組成物中のHFO−1123の存在割合を向上させることができればよい。本明細書における高沸点化合物としては、例えば、E−および/またはZ−1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、CFO−1113、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143)、2−クロロ−1,1−ジフルオロエチレン(HCFO−1122)、E−および/またはZ−1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122a)、1−クロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(HCFC−133b)、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレン(CFO−1112a)、1−クロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−133a)、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(HCFC−123a)、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225ca)、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225cb)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(CFC−113n)、水、等が挙げられる。特に、1,1,1−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン、1−クロロ−1,1,2−トリフルオロエタンおよび水が挙げられる。
〈蒸留工程〉
次に、上記高沸点化合物除去工程を経て得られた組成物に対し、低沸点化合物および上記工程で残留した高沸点化合物を除去して、目的の化合物であるHFO−1123を精製し、回収する蒸留工程を行う。
次に、上記高沸点化合物除去工程を経て得られた組成物に対し、低沸点化合物および上記工程で残留した高沸点化合物を除去して、目的の化合物であるHFO−1123を精製し、回収する蒸留工程を行う。
蒸留工程は、HFO−1123をその他の不純物と分離して高純度に回収する蒸留により達成される。蒸留は、公知の蒸留方法であればよく特に限定されない。蒸留操作は、充填塔または棚段塔の蒸留装置を使用することが好ましい。なお、複数の不純物から目的化合物であるHFO−1123を効率よく精製、回収するために、例えば、多段蒸留等が好ましい。多段蒸留を用いる場合は、その理論段数は30段以上が好ましく、40〜50段がより好ましい。
また、本発明における蒸留操作は、HFO−1123を他の不純物と分離するものであり、その操作条件としては、蒸留装置内を温度上限40℃、圧力(ゲージ圧)上限1.0MPa、とするのがHFO−1123の自己反応を抑制する観点から好ましい。HFO−1123の自己反応の抑制とHFO−1123の効率的分離操作の観点から、より好ましい操作条件としては、HFO−1123が液化しない温度〜40℃、0.5〜1.0MPaである。
また、上記蒸留操作において、抽出溶剤を使用してもよく、抽出溶剤は、供給原料の供給段より上段から導入して蒸留塔全体に存在させることが好ましい。抽出溶剤の導入段と原料の供給段間の段数、塔頂と抽出溶剤の導入段間の段数および塔底と原料の供給段間の段数は、留出成分の純度、回収率等の関係を予備的に検討して適宜選択することができる。
ここで、抽出溶剤を使用する場合には、その抽出溶剤として、例えば、ジクロロペンタフルオロプロパン(以下、R225)や1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(以下、R113と記す。)などのパーフルオロカーボン類(以下、PFCと記す。)、パーフルオロブトキシメタン等のハイドロフルオロエーテル(以下、HFEと記す。)、デカフルオロペンタン等のハイドロフルオロカーボン(以下、HFCと記す。)を有効成分として含有するフッ素系溶剤等が使用できる。抽出溶剤は、前記高沸点化合物と同一の化合物も使用できる。
<HFO−1123を含む組成物>
上記したHFO−1123の精製方法において、その処理対象となる組成物は、HFO−1123とそれ以外の不純物が混合されたものであればよい。この組成物は、典型的には、HFO−1123と、HFO−1123よりも高い沸点を有する高沸点化合物と、HFO−1123よりも低い沸点を有する低沸点化合物と、を有する組成物である。この組成物は、どのように得られるものでもよいが、一般には、HFO−1123を化学的に合成して得られる反応生成物として得られる。
上記したHFO−1123の精製方法において、その処理対象となる組成物は、HFO−1123とそれ以外の不純物が混合されたものであればよい。この組成物は、典型的には、HFO−1123と、HFO−1123よりも高い沸点を有する高沸点化合物と、HFO−1123よりも低い沸点を有する低沸点化合物と、を有する組成物である。この組成物は、どのように得られるものでもよいが、一般には、HFO−1123を化学的に合成して得られる反応生成物として得られる。
HFO−1123の反応生成物は、例えば、以下に説明する(I)〜(III)に示すHFO−1123の製造方法において、化学合成を行う反応器の出口ガスとして得られる。
(I)CFO−1113の水素還元
CFO−1113と水素を含む原料組成物を、触媒担持担体が充填された触媒層を有する反応器内で、気相で反応させ、HFO−1123を含むガスを生成する。
CFO−1113と水素を含む原料組成物を、触媒担持担体が充填された触媒層を有する反応器内で、気相で反応させ、HFO−1123を含むガスを生成する。
原料組成物におけるCFO−1113と水素の割合は、CFO−1113の1モルに対して水素が0.01〜4.0モルの範囲であることが好ましい。CFO−1113の触媒との接触時間は、4〜60秒が好ましく、8〜40秒がより好ましい。
触媒としてはパラジウム触媒が好ましく、パラジウムやパラジウム合金のみを担体に担持させた触媒、またはパラジウムとパラジウム以外の他の金属とを担体に担持させた触媒が好ましい。担体としては、活性炭、金属酸化物(アルミナ、ジルコニア、シリカ等)等が挙げられる。
このようなCFO−1113の水素還元においては、HFO−1123を含む反応生成物を上記反応器の出口ガスとして得ることができる。出口ガスに含有されるHFO−1123以外の化合物としては、未反応原料であるCFO−1113に加えて、E−および/またはZ−1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)、1,1−ジフルオロエチレン(HFO−1132a)、2−クロロ−1,1−ジフルオロエチレン(HCFO−1122)、E−および/またはZ−1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122a)、1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143)、メタン、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,2−ジフルオロエタン(HFC−152)、1−クロロ−2,2−ジフルオロエタン(HCFC−142)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、1−クロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(HCFC−133)、1−クロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(HCFC−133b)、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン(HCFC−123a)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(CFC−113)、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン(CFO−1112)等が挙げられる。
このようにして得られる出口ガスに対して上記した精製操作を行うことで、HFO−1123を含む組成物から、不純物を効率的に除去できる。出口ガスに含まれるHFO−1123以外の成分は、上記のように除去され、必要に応じて各化合物に分離して回収することで再利用等できる。例えば、蒸留工程において、分離された純度の高いCFO−1113は原料の一部としてリサイクルが可能である。
(II)HCFC−22および/またはFO−1114とHCFC−31の熱分解を伴う合成
クロロジフルオロメタン(HCFC−22)および/またはテトラフルオロエチレン(FO−1114)とクロロフルオロメタン(HCFC−31)を含む原料組成物を用い、熱媒体の存在下で熱分解を伴う合成反応により、HFO−1123を含むガスを生成する。この製造方法は、HCFC−22および/またはFO−1114の1モルに対してHCFC−31を0.01〜4.0モルの割合で予め混合し、または別々に反応器に供給し、該反応器内に所定の時間滞留させ、また、熱媒体を当該反応器に供給する。そして、当該反応器内で、上記原料組成物と上記熱媒体を接触させる。
クロロジフルオロメタン(HCFC−22)および/またはテトラフルオロエチレン(FO−1114)とクロロフルオロメタン(HCFC−31)を含む原料組成物を用い、熱媒体の存在下で熱分解を伴う合成反応により、HFO−1123を含むガスを生成する。この製造方法は、HCFC−22および/またはFO−1114の1モルに対してHCFC−31を0.01〜4.0モルの割合で予め混合し、または別々に反応器に供給し、該反応器内に所定の時間滞留させ、また、熱媒体を当該反応器に供給する。そして、当該反応器内で、上記原料組成物と上記熱媒体を接触させる。
原料組成物は、反応器内で熱分解および脱塩化水素反応によりジフルオロカルベン(F2C:)とHCFC−31とを含む反応混合物を生成し、これらの反応混合物は、直接付加反応して、あるいは1種または2種以上の中間体を経て、HFO−1123へと転化されると考えられる。
原料組成物は、これら2成分または3成分以外に、反応器内で熱分解してF2C:を発生しうる含フッ素化合物、例えば、ヘキサフルオロプロペン(FO−1216)、オクタフルオロシクロブタン(RC318)、HFO−1132a、CFO−1113等を含有することができる。原料組成物にこのような反応器内で熱分解してF2C:を発生しうる含フッ素化合物を用いる場合には、新たに用意した含フッ素化合物を用いてもよいが、本態様によるHCFC−22および/またはFO−1114とHCFC−31の熱分解反応により副生される含フッ素化合物を用いることが、リサイクルの観点から好ましい。
HCFC−22および/またはFO−1114とHCFC−31を含む原料組成物は、常温のまま反応器に導入してもよいが、反応器内での反応性を向上させるために、反応器に導入する際の温度を加熱等により調整してもよい。
この製造方法における熱媒体は、反応器内の温度で熱分解が生じない媒体であり、具体的には、水蒸気、窒素、二酸化炭素から選ばれる1種または2種以上の気体が挙げられる。熱媒体としては、水蒸気を50体積%以上含み、残部が窒素および/または二酸化炭素である気体の使用が好ましい。
熱媒体の供給量は、熱媒体と上記原料組成物の供給量の合計に対して20〜98体積%となる割合が好ましい。熱媒体と上記原料組成物との反応器内での接触時間は、0.01〜10秒間とするのが好ましく、反応器内の圧力は、ゲージ圧で0〜2.0MPaとすることが好ましい。
HCFC−22および/またはFO−1114とHCFC−31との熱分解を伴う合成においては、HFO−1123を含む反応生成物を上記反応器の出口ガスとして得ることができる。出口ガスが含有するHFO−1123以外の化合物としては、未反応原料であるHCFC−22、FO−1114、HCFC−31に加えて、HFO−1132、HFO−1132a、フルオロエチレン(HFO−1141)、CFO−1113、HCFO−1122、HCFO−1122a、HFC−143、1−クロロ−2−フルオロエチレン(HCFO−1131)、3,3−ジフルオロプロペン(HFO−1252zf)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、FO−1216、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)、1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124a)、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ca)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、トリフルオロメタン(HFC−23)、HFC−32、フルオロメタン(HFC−41)、クロロメタン、RC−318およびメタン等が挙げられる。
このようにして得られる出口ガスに対して上記した精製操作を行うことで、HFO−1123を含む組成物から、不純物を効率的に除去できる。出口ガスに含まれるHFO−1123以外の成分は、上記のように除去され、必要に応じて各化合物に分離して回収することで再利用等できる。例えば、蒸留工程において分離された純度の高いFO−1114、FO−1216、CFO−1113およびRC318は、F2C:を発生し得る化合物であり、原料組成物の一部としてリサイクルが可能である。
(III)HFC−134aと固体反応剤との接触反応
HFC−134aを含む原料ガスと固体反応剤とを反応器内で接触させ、HFC−134aの脱フッ化水素反応を進行させることで、HFO−1123を含むガスを生成する。
HFC−134aを含む原料ガスと固体反応剤とを反応器内で接触させ、HFC−134aの脱フッ化水素反応を進行させることで、HFO−1123を含むガスを生成する。
HFC−134aと固体反応剤との反応は、下記反応式(3)または(4)で表すことができる。反応式(3)は、固体反応剤が触媒(Cat.)として作用する場合の反応を表し、反応式(4)は、固体反応剤が塩基性反応剤(MOH:Mは金属を表す。)として作用する場合の反応を表す。
CF3−CH2F + 固体反応剤(Cat.) → CF2=CHF + HF
……………(3)
CF3−CH2F + 固体反応剤(MOH) → CF2=CHF + MF + H2O
……………(4)
……………(3)
CF3−CH2F + 固体反応剤(MOH) → CF2=CHF + MF + H2O
……………(4)
固体反応剤としては、酸化カルシウム、炭酸カリウム等が用いられる。また、反応器内の圧力は、ゲージ圧で0〜5MPaが好ましく、反応器内でのHFC−134aと固体反応剤との接触時間は、0.1〜500秒間が好ましい。
HFC−134aと固体反応剤との接触において、平均粒子径が1μm〜5000μmの粒子状の固体反応剤を用いて固体反応剤層を形成し、固体反応剤層が流動化した状態でHFC−134aと接触させて反応させる方法を採ることもできる。この態様では、HFC−134aを固体反応剤と接触させる温度は100℃〜500℃の範囲が好ましい。
なお、本態様において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分析計により測定した値である。
HFC−134aと固体反応剤との接触反応においては、HFO−1123を含む反応生成物を上記反応器の出口ガスとして得ることができる。出口ガスに含有されるHFO−1123と未反応の原料成分(HFC−134a)以外の化合物としては、フッ化水素、HFO−1132、HFO−1132a、HFC−143、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ノルマルブテン、2−ノルマルブテン、イソブテン、HFO−1141、HFO−1252zf、HFO−1243zf、HFO−1234yf、HFO−1234ze、FO−1216、HFC−125、HFC−134、HFC−143a、HFC−227ca、HFC−227ea、HFC−236fa、HFC−236ea、HFC−32、HFC−23およびHFC−41等が挙げられる。
このようにして(III)の方法で得られる出口ガスに対して上記した精製操作を行うことで、HFO−1123を含む組成物から、不純物を効率的に除去できる。出口ガスに含まれるHFO−1123以外の成分は、上記のように除去され、必要に応じて各化合物に分離して回収することで再利用等できる。例えば、蒸留工程において分離された純度の高いHFC−134aは原料の一部としてリサイクルが可能である。
<その他の分離操作>
本実施形態においては、不純物を除去する高沸点化合物除去工程および蒸留工程を行うにあたって、事前に、その他の不純物を除去しておいてもよい。この事前に除去しておくことが好ましい不純物としては、塩化水素や水等が挙げられる。
本実施形態においては、不純物を除去する高沸点化合物除去工程および蒸留工程を行うにあたって、事前に、その他の不純物を除去しておいてもよい。この事前に除去しておくことが好ましい不純物としては、塩化水素や水等が挙げられる。
〈塩化水素除去工程〉
塩化水素は、例えば、上記した反応式(1)のような水素による還元反応や反応式(2)のような熱分解反応の場合、目的化合物であるHFO−1123の副生成物として塩化水素が発生する。したがって、このように塩化水素が多量に含有される場合には、事前に塩化水素を除去しておくことが好ましい。塩化水素を除去するには、反応後に得られるガス状の組成物を、酸成分除去液に接触させて塩化水素を除去すればよい。このような塩化水素除去は、ガス組成物を液体と接触させるだけの簡便な操作により達成できる。
塩化水素は、例えば、上記した反応式(1)のような水素による還元反応や反応式(2)のような熱分解反応の場合、目的化合物であるHFO−1123の副生成物として塩化水素が発生する。したがって、このように塩化水素が多量に含有される場合には、事前に塩化水素を除去しておくことが好ましい。塩化水素を除去するには、反応後に得られるガス状の組成物を、酸成分除去液に接触させて塩化水素を除去すればよい。このような塩化水素除去は、ガス組成物を液体と接触させるだけの簡便な操作により達成できる。
ここで、酸成分除去液としては、水またはアルカリ溶液が挙げられる。ここで、アルカリは、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物をいう。中和反応効率および生成する塩の溶解性の観点から、アルカリとして水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムが好ましい。また、水の場合には、HFO−1123と塩化水素を含むガス組成物を酸成分除去液である水と接触させると、水に対する溶解度が十分に高い(30℃で67g/100ml)塩化水素が水に溶解することで、ガス組成物中から分離され除去される。酸成分除去液がアルカリ溶液の場合には、ガス組成物中の塩化水素がアルカリに由来する水酸化物イオンによって中和される。こうして、塩化水素がガス組成物中から除去される。
アルカリ溶液のアルカリ濃度は特に限定されないが、アルカリ濃度が40質量%以下の液が好ましい。アルカリ濃度が40質量%を超えると、中和の際に発生する中和熱により、HFO−1123が分解して有毒なモノフルオロ酢酸化合物が発生するおそれがある。アルカリ濃度は、0質量%以上10質量%以下がより好ましい。
この塩化水素除去工程は、連続式で行っても回分式(バッチ式)で行ってもよい。また、塩化水素除去工程を複数回行うこともできる。
〈水分除去工程〉
また、反応混合物が水分を含有する場合は、不純物を除去する高沸点化合物除去工程および蒸留工程を行うにあたって、事前に、水分を除去する水分除去工程を行うことが好ましい。例えば、上記した反応式(4)のような塩基性反応剤を使用した反応の場合、目的化合物であるHFO−1123の副生成物として水が発生する。また、上記塩化水素除去工程を行った際には、水またはアルカリ水溶液とHFO−1123含有組成物との接触により組成物中に水分が混入してしまうため、特に水分除去工程を行うことが好ましい。
また、反応混合物が水分を含有する場合は、不純物を除去する高沸点化合物除去工程および蒸留工程を行うにあたって、事前に、水分を除去する水分除去工程を行うことが好ましい。例えば、上記した反応式(4)のような塩基性反応剤を使用した反応の場合、目的化合物であるHFO−1123の副生成物として水が発生する。また、上記塩化水素除去工程を行った際には、水またはアルカリ水溶液とHFO−1123含有組成物との接触により組成物中に水分が混入してしまうため、特に水分除去工程を行うことが好ましい。
この水分除去工程において、HFO−1123含有組成物から水分を除去できるものであれば、特に限定されることなく、公知の水分除去操作により行うことができる。ここで、水分除去は、HFO−1123含有組成物を、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ(Al2O3)、塩化カルシウム、酸化銅、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛等の公知の乾燥剤と接触させればよい。ここで使用する乾燥材としては、合成ゼオライト3A〜5A等の合成ゼオライトが好ましく、特に、水分除去効果の高い合成ゼオライト3Aが好ましい。市販品としては、モレキュラーシーブ3A(ユニオン昭和社の商品名)等がある。なお、合成ゼオライトは、HFO−1123を含む組成物の乾燥に使用する前に、100〜400℃の乾燥ガスにより加熱処理するか、あるいは減圧下で加熱処理することが好ましい。それにより、ゼオライトは活性化され、水分の除去効率が向上する。
合成ゼオライトに接触させる際の上記組成物は、気体でも液体でもよい。組成物としてガス状の混合物を用いる方法を、以下に説明する。この方法では、例えば、合成ゼオライトを充填した吸着層を形成し、その吸着層に、HFO−1123を含む混合ガスを流通させることが好ましい。この方法による接触は、回分式(バッチ式)でもよく、連続式でもよい。
混合ガスの合成ゼオライトとの接触に使用する反応器としては、合成ゼオライトを充填して吸着層を形成できる公知の反応器が挙げられる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、鉄、ニッケル、またはこれらを主成分とする合金、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素樹脂等が挙げられる。
<トリフルオロエチレンの精製装置>
本実施形態のトリフルオロエチレンの精製方法に使用される精製装置の一例を、図2に示す。図2に示す装置は、HFO−1123と不純物とを含むガス組成物を製造する反応部20と、上記ガス組成物から不純物を除去して高純度のHFO−1123を得る精製部30とを備える。
本実施形態のトリフルオロエチレンの精製方法に使用される精製装置の一例を、図2に示す。図2に示す装置は、HFO−1123と不純物とを含むガス組成物を製造する反応部20と、上記ガス組成物から不純物を除去して高純度のHFO−1123を得る精製部30とを備える。
反応部20は、電気ヒータ等の加熱手段を備えた反応器1を有する。なお、反応器1において、加熱手段の設置は必須ではない。反応器1内には、パラジウム担持触媒等の触媒2が、例えば垂直固定床をなすように収容されている。また、反応器1の入口側には、原料ガス供給ライン3が接続されている。そして、原料ガス供給ライン3には、CFO−1113を供給するCFO−1113供給ライン4と水素を供給する水素供給ライン5がそれぞれ接続されている。そして、CFO−1113と水素が所定のモル比で混合された原料ガスが、原料ガス供給ライン3を通って反応器1に供給されるようになっている。
反応器1の出口側には、反応器出口ライン6が接続されている。そして、反応器出口ライン6には、第1の酸成分除去液槽であるトラップ槽7と、第2の酸成分除去液槽であるトラップ槽8が、この順で直列的に接続されている。
第2の酸成分除去液槽であるトラップ槽8の出口には、脱水装置9が接続されている。脱水装置9としては、例えば、合成ゼオライト3Aを充填した吸着脱水塔が使用できる。その吸着脱水塔に、酸成分除去液槽を通って塩化水素が除去されたガス組成物を流通させることで、ガス組成物中の水分が除去される。
こうして塩化水素および水分が除去されたガス組成物は、高沸点化合物除去槽10に移送され、HFO−1123よりも高い沸点を有する化合物が除去され、次いで、蒸留装置11で蒸留することにより、低沸点化合物および残留する高沸点化合物が除去されて、HFO−1123を効率的に精製できる。精製されたHFO−1123は、必要に応じてコンプレッサー12で圧縮された後、ボンベ等の回収容器13に回収される。また、蒸留装置11において、HFO−1123以外の化合物は不純物回収ライン14により回収される。これら不純物は、必要に応じて分留等により化合物ごとに分離して再利用できる。
本実施形態の精製方法によれば、例えば、不純物が混合したHFO−1123を含むガス組成物から、高純度のHFO−1123を効率的に回収できるため、HFO−1123を高い生産性で得ることができる。そして、得られたHFO−1123は、温室効果ガスであるHFC−32やHFC−125に代わる冷媒として、また圧電素子やフィルムのような機能性材料の原料モノマーおよび合成用中間体として有用である。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。ここで、例1は図2に示したトリフルオロエチレンの精製装置を用いてHFO−1123の製造、精製を行い、例2は高沸点化合物除去槽10がなく、脱水装置9から蒸留装置11にラインが直接接続されている以外は、図2に示したトリフルオロエチレンの精製装置と同一の構成を有する装置を使用し、HFO−1123の製造、精製を行った。なお、上記例は精製部30においては、反応器出口ライン6に酸成分除去液槽を一つだけ設置したものとした。なお、例1が実施例であり、例2が比較例である。
(参考例1;HFO−1123を含有する組成物の調製)
内径22mm、長さ90cmのステンレス製の反応管19本が設置したあるシェルアンドチューブ型反応器に、ヤシ殻活性炭の100質量部に対して0.5質量部のパラジウムを担持させたパラジウム担持活性炭を充填して、高さ80cmの触媒層を形成した。触媒層におけるパラジウム担持活性炭の充填密度は、0.74g/cm3であった。
内径22mm、長さ90cmのステンレス製の反応管19本が設置したあるシェルアンドチューブ型反応器に、ヤシ殻活性炭の100質量部に対して0.5質量部のパラジウムを担持させたパラジウム担持活性炭を充填して、高さ80cmの触媒層を形成した。触媒層におけるパラジウム担持活性炭の充填密度は、0.74g/cm3であった。
こうして形成された反応管内の触媒層を電気ヒータによって80℃に管理し、内圧(ゲージ圧)0.04MPaで、CFO−1113(クロロトリフロオロエチレン)と水素からなる原料組成物(以下、原料ガスともいう。)を反応管に供給した。以下、圧力はいずれもゲージ圧とする。
原料ガスにおける水素とCFO−1113のモル比(水素/CFO−1113)は、1.0となるようにして、原料ガスを反応管内に流通させた。触媒層に対する原料ガスの接触時間は30秒間とし、原料ガス成分(CFO−1113)の線速度uは3.0cm/秒とした。
反応中の触媒層の最高温度は、位置を移動させながら触媒層に挿入した挿し込み型の温度計により測定した。触媒層の最高温度は、236℃であった。
なお、反応器出口より取り出された出口ガスには、反応により生成または副生したガスの他に、未反応の原料ガスも含まれるが、以下の記載では出口ガスを反応生成ガスということもある。
次いで、反応生成ガスを、濃度10質量%の(水酸化ナトリウム水溶液)アルカリ水溶液でアルカリ洗浄し、次いで、内径20mm、長さ30cmのステンレス製チューブに、合成ゼオライト3A(ユニオン昭和製、商品名:モレキュラーシーブ3A)の粒状物50gを充填して形成された吸着層に、上記初期モル組成を有する反応器出口ガスを10mL/minの流速で流通させ、流通開始60分後の吸着層通過後のガスを出口ガスとして得た。こうして得られた出口ガス成分をガスクロマトグラフィ(以下、GCと示す)で分析し、通過ガスの質量組成(質量%)を求めた。得られた質量組成(気液分離前の反応生成ガス組成)を表1に示した。
[例1]
上記参考例1により得られた、塩化水素および水分が除去された反応生成ガスを圧力:0.2MPaG、温度:−20℃の高沸点化合物除去槽10にて、気液分離操作を実施した。分離操作後、気相部ガスを捕集して、ガスクロマトグラフィー分析により得たガス組成(気液分離後の気相部ガス組成)を表2に記した。なお、表2において、気液分離前のガス組成も併せて示した。
上記参考例1により得られた、塩化水素および水分が除去された反応生成ガスを圧力:0.2MPaG、温度:−20℃の高沸点化合物除去槽10にて、気液分離操作を実施した。分離操作後、気相部ガスを捕集して、ガスクロマトグラフィー分析により得たガス組成(気液分離後の気相部ガス組成)を表2に記した。なお、表2において、気液分離前のガス組成も併せて示した。
気相部ガスを10kg捕集し、圧力0.7MPaで操作する理論段数50段、内径40mmのカラムからなる蒸留装置に供給して、精製蒸留操作を実施した。塔頂よりトリフルオロエチレンの純度が99質量%以上の高純度精製ガスを7.0kg得た(蒸留回収率:70%)。塔低より残存気相部ガスを捕集しガス組成を分析した結果、残存トリフルオロエチレン濃度は10質量%であった。
[例2]
上記参考例1により得られた、塩化水素および水分が除去された反応生成ガスを、気液分離することなく10kg捕集し、圧力0.7MPaで操作する理論段数50段、内径40mmのカラムに供給して、精製蒸留操作を実施した。塔頂よりトリフルオロエチレンの純度が99質量%以上の高純度精製ガスを5.5kg得た(蒸留回収率:55%)。塔低より残存気相部ガスを捕集しガス組成を分析した結果、残存トリフルオロエチレン濃度は39.6質量%であった。
上記参考例1により得られた、塩化水素および水分が除去された反応生成ガスを、気液分離することなく10kg捕集し、圧力0.7MPaで操作する理論段数50段、内径40mmのカラムに供給して、精製蒸留操作を実施した。塔頂よりトリフルオロエチレンの純度が99質量%以上の高純度精製ガスを5.5kg得た(蒸留回収率:55%)。塔低より残存気相部ガスを捕集しガス組成を分析した結果、残存トリフルオロエチレン濃度は39.6質量%であった。
以上の結果から、HFO−1123の濃度が99質量%以上の高純度に精製されたHFO−1123ガスを、良好な回収効率で得ることができた。また、このとき蒸留装置の残存気相部ガスにおける残存トリフルオロエチレン濃度を低減できており、これはトリフルオロエチレンの廃棄量も低減できていることを意味する。したがって、本発明のトリフルオロエチレンの精製方法は、高純度のHFO−1123を効率的に回収でき、かつ、HFO−1123の廃棄量を低減できる、優れたHFO−1123の精製方法である。
本発明のトリフルオロエチレンの精製方法によれば、不純物を含有する組成物からHFO−1123を高純度に精製しこれを回収する方法であり、HFO−1123の廃棄量を少なくし、かつ、効率的に回収できる優れた精製方法である。
1…反応器、2…触媒、3…原料ガス供給ライン、4…CFO−1113供給ライン、5…水素供給ライン、6…反応器出口ライン、7…水トラップ槽、8…アルカリ水溶液トラップ槽、9…脱水装置、10…高沸点化合物除去槽、11…蒸留装置、12…コンプレッサー、13…回収容器、20…反応部、30…精製部
Claims (8)
- トリフルオロエチレンと、トリフルオロエチレンよりも高い沸点を有する高沸点化合物と、トリフルオロエチレンよりも低い沸点を有する低沸点化合物と、を含む組成物から前記トリフルオロエチレンの純度を高めて回収するトリフルオロエチレンの精製方法であって、
前記組成物から前記高沸点化合物を除去する高沸点化合物除去工程と、
前記高沸点化合物除去工程を経た組成物から、蒸留により前記トリフルオロエチレンを回収する蒸留工程と、
を有することを特徴とするトリフルオロエチレンの精製方法。 - 前記高沸点化合物除去工程は、高沸点化合物を液化させて除去する、請求項1に記載のトリフルオロエチレンの精製方法。
- 前記高沸点化合物が、1,1,1−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン、1−クロロ−1,1,2−トリフルオロエタンおよび水からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である、請求項1または2に記載のトリフルオロエチレンの精製方法。
- 10℃以下の温度下に前記高沸点化合物除去工程を行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトリフルオロエチレンの精製方法。
- 0〜1.0MPaの圧力(ゲージ圧)下に前記高沸点化合物除去工程を行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトリフルオロエチレンの精製方法。
- 0〜0.5MPaの圧力(ゲージ圧)下に前記高沸点化合物除去工程を行う、請求項5に記載のトリフルオロエチレンの精製方法。
- 40℃以下の温度かつ1.0MPa以下の圧力(ゲージ圧)下で前記蒸留工程を行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載のトリフルオロエチレンの精製方法。
- 前記高沸点化合物除去工程後における、組成物中の前記トリフルオロエチレンの含有割合を70質量%以上とする、請求項1〜7のいずれか一項記載のトリフルオロエチレンの精製方法。
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JP2020176091A (ja) * | 2019-04-19 | 2020-10-29 | ダイキン工業株式会社 | 1,2−ジフルオロエチレン(hfo−1132)の精製方法 |
CN114206817A (zh) * | 2019-08-13 | 2022-03-18 | 大金工业株式会社 | 1,1,2-三氟乙烯、六氟-1,3-丁二烯或1,2-二氯六氟环丁烷的制造方法 |
-
2014
- 2014-07-17 JP JP2014146686A patent/JP2016023145A/ja active Pending
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