JP2016022253A - 被検体情報取得装置の校正用ファントムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被検体情報取得装置用のファントムにおいて、被検体内の構造および光学特性を精密に模擬する。
【解決手段】被検体に光を照射し、前記被検体から伝播した音響波に基づいて前記被検体内部の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムであって、母材と、生体内組織の立体構造を模擬した模擬組織部と、を有し、前記模擬組織部は、前記母材の内部に配置され、その表面に、前記生体内組織の光学特性を模擬した層である模擬層を有する。
【選択図】図1
【解決手段】被検体に光を照射し、前記被検体から伝播した音響波に基づいて前記被検体内部の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムであって、母材と、生体内組織の立体構造を模擬した模擬組織部と、を有し、前記模擬組織部は、前記母材の内部に配置され、その表面に、前記生体内組織の光学特性を模擬した層である模擬層を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、生体の特性を模擬したファントムに関する。
近年、光音響効果を利用して被検体内の情報を画像化する光イメージング装置の研究が、医療分野で積極的に進められている。
パルスレーザ光などの計測光を被検体である生体に照射すると、計測光が被検体内の生体組織で吸収される際に音響波が発生する。この音響波(典型的には超音波)を受信し、解析することにより、生体内部の光学特性に関連した情報を画像化することができる。このような音響波を光音響波と呼び、光音響波を用いた技術は、光音響トモグラフィ(PAT:Photoacoustic Tomography)と呼ばれている。
パルスレーザ光などの計測光を被検体である生体に照射すると、計測光が被検体内の生体組織で吸収される際に音響波が発生する。この音響波(典型的には超音波)を受信し、解析することにより、生体内部の光学特性に関連した情報を画像化することができる。このような音響波を光音響波と呼び、光音響波を用いた技術は、光音響トモグラフィ(PAT:Photoacoustic Tomography)と呼ばれている。
光音響トモグラフィによる測定装置は、測定精度を保つために定期的に校正(キャリブレーション)を行う必要がある。また、当該測定装置はレーザ光を照射するため、安全性の観点からも、出荷時の装置の動作状態を維持する必要がある。装置の校正は、一般的に、基準となる人工の被検体(ファントム)を測定し、得られた画像に基づいてパラメータを調整することで行われる。
装置の校正に用いられるファントムは、被検体である生体の光伝播特性、および音響波伝播特性を模したものであることが求められる。これに関する技術として、例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂を用いた生体組織モデル内に、生体組織の特性を模擬したイン
クで印刷を行ったパターンを配置したファントムが開示されている。
装置の校正に用いられるファントムは、被検体である生体の光伝播特性、および音響波伝播特性を模したものであることが求められる。これに関する技術として、例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂を用いた生体組織モデル内に、生体組織の特性を模擬したイン
クで印刷を行ったパターンを配置したファントムが開示されている。
特許文献1に記載のファントムは、親水性樹脂の被膜に、生体組織の特性に似せたイン
クを用いて印刷を行うことで、生体を構成する成分の特性を模擬している。
しかしながら、このように印刷によって生体組織の特性を模擬する方法では、血管構造のような立体構造を形成することが極めて難しい。このため、血管や腫瘍構造に関する臨床データを精密に再現したり、得られる画像の予測を行うことができないという問題があった。
クを用いて印刷を行うことで、生体を構成する成分の特性を模擬している。
しかしながら、このように印刷によって生体組織の特性を模擬する方法では、血管構造のような立体構造を形成することが極めて難しい。このため、血管や腫瘍構造に関する臨床データを精密に再現したり、得られる画像の予測を行うことができないという問題があった。
一方で、近年、3Dプリンタを用いて微細な三次元構造を造型する技術が注目されている。しかしながら、3Dプリンタに適用可能な材料は限られており、光吸収性や光散乱性等の光学特性を調整した材料を用いて造型を行うことができない。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、被検体内の構造および光学特性を精密に模擬したファントムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るファントムは、
被検体に光を照射し、前記被検体から伝播した音響波に基づいて前記被検体内部の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムであって、母材と、生体内組織の立体構造を模擬した模擬組織部と、を有し、前記模擬組織部は、前記母材の内部に
配置され、その表面に、前記生体内組織の光学特性を模擬した層である模擬層を有することを特徴とする。
被検体に光を照射し、前記被検体から伝播した音響波に基づいて前記被検体内部の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムであって、母材と、生体内組織の立体構造を模擬した模擬組織部と、を有し、前記模擬組織部は、前記母材の内部に
配置され、その表面に、前記生体内組織の光学特性を模擬した層である模擬層を有することを特徴とする。
また、本発明に係るファントムの製造方法は、
被検体に光を照射し、前記被検体から伝播した音響波に基づいて前記被検体内部の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムの製造方法であって、生体内組織の立体構造を模擬した構造物である模擬組織部を形成する構造形成ステップと、前記模擬組織部の表面に、前記生体内組織の光学特性を模擬した層である模擬層を形成する模擬層形成ステップと、前記模擬層が形成された模擬組織部を内包して母材を形成する母材形成ステップと、を含むことを特徴とする。
被検体に光を照射し、前記被検体から伝播した音響波に基づいて前記被検体内部の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムの製造方法であって、生体内組織の立体構造を模擬した構造物である模擬組織部を形成する構造形成ステップと、前記模擬組織部の表面に、前記生体内組織の光学特性を模擬した層である模擬層を形成する模擬層形成ステップと、前記模擬層が形成された模擬組織部を内包して母材を形成する母材形成ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、被検体内の構造および光学特性を精密に模擬したファントムを提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。また、実施形態の説明で用いる数値や材質等は、発明の範囲を限定するものではない。
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係るファントムは、光音響トモグラフィを利用した被検体情報取得装置(以下、光音響測定装置)の校正に用いるファントムであって、被検体である生体の内部構造および特性を模擬したファントムである。
第一の実施形態に係るファントムは、光音響トモグラフィを利用した被検体情報取得装置(以下、光音響測定装置)の校正に用いるファントムであって、被検体である生体の内部構造および特性を模擬したファントムである。
また、第一の実施形態に係る光音響測定装置は、レーザ光を生体に照射し、当該レーザ光に起因して生体内部で発生し、伝播した光音響波を受信して解析することで、生体内の光学特性に関連した情報を画像化する装置である。光学特性に関連した情報とは、一般的には、初期音圧分布や、光吸収エネルギー密度分布、吸収係数分布、あるいは、組織を構成する物質の濃度分布などである。
光音響測定装置は、測定精度を維持するために定期的に校正を行う必要がある。具体的には、校正用のファントムを測定し、測定結果を参照しながら、本来得られるべき情報が正しく得られるように、装置の各種パラメータを調整する。
<ファントムの構成>
図1は、第一の実施形態に係るファントムの構成を説明する図である。図1に示したファントム10は、直方体の形状をしたファントムである。
符号11は、被検体組織を模擬したファントム母材である。ファントム母材の材質は、生体内組織の音響特性と光学特性を模擬した材質であることが好ましく、例えば、ポリオールや、ポリオールに、光散乱性あるいは光吸収性を有する化合物を分散させたものを用いることができる。なお、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールを用いることが、生体内組織の音響特性に関する相関性の点において好ましい。
図1は、第一の実施形態に係るファントムの構成を説明する図である。図1に示したファントム10は、直方体の形状をしたファントムである。
符号11は、被検体組織を模擬したファントム母材である。ファントム母材の材質は、生体内組織の音響特性と光学特性を模擬した材質であることが好ましく、例えば、ポリオールや、ポリオールに、光散乱性あるいは光吸収性を有する化合物を分散させたものを用いることができる。なお、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールを用いることが、生体内組織の音響特性に関する相関性の点において好ましい。
符号12は、本発明における模擬組織部であり、被検体内の組織の形状を模擬して造形
された構造物(模擬血管)である。本実施形態では、3Dプリンタを用いて生体内にある血管の立体構造を造形したものを模擬血管として利用する。造型に適用する材料は、近赤外領域における透過率が高く、3Dプリンタへの適用が可能なアクリル系樹脂であることが好ましい。
模擬血管12は、生体内の組織の形状を再現したものであるが、3Dプリンタに適用可能な樹脂は光の透過率が高く、音響波を発生させにくいため、そのままではファントムを構成する部材として使用することができない。そこで、本実施形態では、模擬血管12の表面に、生体組織(本実施形態では血管)の光学特性を模擬した層を形成する。具体的には、動脈に対応する部分と静脈に対応する部分それぞれについて、近赤外領域における光学特性を模擬したポリオール層を形成する。以降、この層を模擬層と称する。
された構造物(模擬血管)である。本実施形態では、3Dプリンタを用いて生体内にある血管の立体構造を造形したものを模擬血管として利用する。造型に適用する材料は、近赤外領域における透過率が高く、3Dプリンタへの適用が可能なアクリル系樹脂であることが好ましい。
模擬血管12は、生体内の組織の形状を再現したものであるが、3Dプリンタに適用可能な樹脂は光の透過率が高く、音響波を発生させにくいため、そのままではファントムを構成する部材として使用することができない。そこで、本実施形態では、模擬血管12の表面に、生体組織(本実施形態では血管)の光学特性を模擬した層を形成する。具体的には、動脈に対応する部分と静脈に対応する部分それぞれについて、近赤外領域における光学特性を模擬したポリオール層を形成する。以降、この層を模擬層と称する。
母材11および模擬層を、生体組織の光伝播特性に近似するためには、光散乱性、あるいは光吸収性を有する化合物を分散させることで、等価散乱係数と吸収係数を調整する必要がある。
本実施形態では、光吸収性を有する化合物として、カーボンブラック顔料との親和性を有するポリエーテル分散剤を用いる。もちろん、他の顔料および分散剤を用いることも可能である。
なお、ポリオールに化合物を分散させる場合、分散均一性を高めるため、粒子に表面修飾等を施す必要がある。光散乱性を有する化合物として、酸化チタンを用いる場合には、酸化アルミニウム及びヘキサメチルジシラザンによる表面処理を施すことが好ましい。もちろん、他の表面処理方法を施した酸化チタンを用いることも可能である。
本実施形態では、光吸収性を有する化合物として、カーボンブラック顔料との親和性を有するポリエーテル分散剤を用いる。もちろん、他の顔料および分散剤を用いることも可能である。
なお、ポリオールに化合物を分散させる場合、分散均一性を高めるため、粒子に表面修飾等を施す必要がある。光散乱性を有する化合物として、酸化チタンを用いる場合には、酸化アルミニウム及びヘキサメチルジシラザンによる表面処理を施すことが好ましい。もちろん、他の表面処理方法を施した酸化チタンを用いることも可能である。
模擬層の光伝搬特性について、より詳細に説明する。
本実施形態における模擬層は、600nm以上1100nm以下の任意の二波長(λ1およびλ2とし、λ1<λ2とする)における吸収係数比がそれぞれ異なる、二種類の化合物を含有するように構成される。これらの化合物は、任意の二波長における吸収係数比を再現できるように、任意の比率で分散される。
ここで、各波長における吸収係数を以下のように設定すると、式1から、酸素飽和度Sを求めることができる。
HbO2[λ1]:波長λ1におけるオキシヘモグロビンの吸収係数
HbO2[λ2]:波長λ2におけるオキシヘモグロビンの吸収係数
Hb[λ1]:波長λ1におけるデオキシヘモグロビンの吸収係数
Hb[λ2]:波長λ2におけるデオキシヘモグロビンの吸収係数
μ[λ1]:波長λ1における血管モデルの吸収係数
μ[λ2]:波長λ2における血管モデルの吸収係数
本実施形態における模擬層は、600nm以上1100nm以下の任意の二波長(λ1およびλ2とし、λ1<λ2とする)における吸収係数比がそれぞれ異なる、二種類の化合物を含有するように構成される。これらの化合物は、任意の二波長における吸収係数比を再現できるように、任意の比率で分散される。
ここで、各波長における吸収係数を以下のように設定すると、式1から、酸素飽和度Sを求めることができる。
HbO2[λ1]:波長λ1におけるオキシヘモグロビンの吸収係数
HbO2[λ2]:波長λ2におけるオキシヘモグロビンの吸収係数
Hb[λ1]:波長λ1におけるデオキシヘモグロビンの吸収係数
Hb[λ2]:波長λ2におけるデオキシヘモグロビンの吸収係数
μ[λ1]:波長λ1における血管モデルの吸収係数
μ[λ2]:波長λ2における血管モデルの吸収係数
ここで、血管モデルの吸収係数を算出する方法を以下に示す。波長λ1およびλ2における化合物AおよびBの吸収係数を、それぞれ、μA[λ1]、μB[λ1]、μA[λ2]、μB[λ2]とする。更に、化合物AおよびBの血管モデル中での含有濃度をCA、CBとすると、以下の関係が成り立つ。
μ[λ1]=CA・μA[λ1]+CB・μB[λ1]
μ[λ2]=CA・μA[λ2]+CB・μB[λ2]
μ[λ1]=CA・μA[λ1]+CB・μB[λ1]
μ[λ2]=CA・μA[λ2]+CB・μB[λ2]
化合物AおよびBの吸収係数比μA[λ2]/μA[λ1]、および、μB[λ2]/
μB[λ1]が一定である場合、μ[λ2]/μ[λ1]が一定となり、酸素飽和度Sを制御することができない。換言すると、吸収係数比の異なる化合物AおよびBの含有濃度を変更することにより、血管モデルの吸収係数比μ[λ2]/μ[λ1]および酸素飽和度を任意の値に設定できるようになる。
本実施形態においては、二波長(756nm(λ1)および797nm(λ2))における吸収係数比がそれぞれ異なるフタロシアニン化合物の分散量を調整することにより、動脈と静脈の酸素飽和度をそれぞれ模擬する血管モデルを作成する。
なお、本実施形態においては、波長ごとに吸収係数比が異なるフタロシアニン化合物として、銅フタロシアニン(最大吸収波長825nm)とフタロシアニンバナジウム錯体(最大吸収波長750nm)を用いるが、他の化合物を用いてもよい。
また、本例では吸収係数比が異なる化合物を二種類使用したが、三種類以上を組み合わせてもよい。
μB[λ1]が一定である場合、μ[λ2]/μ[λ1]が一定となり、酸素飽和度Sを制御することができない。換言すると、吸収係数比の異なる化合物AおよびBの含有濃度を変更することにより、血管モデルの吸収係数比μ[λ2]/μ[λ1]および酸素飽和度を任意の値に設定できるようになる。
本実施形態においては、二波長(756nm(λ1)および797nm(λ2))における吸収係数比がそれぞれ異なるフタロシアニン化合物の分散量を調整することにより、動脈と静脈の酸素飽和度をそれぞれ模擬する血管モデルを作成する。
なお、本実施形態においては、波長ごとに吸収係数比が異なるフタロシアニン化合物として、銅フタロシアニン(最大吸収波長825nm)とフタロシアニンバナジウム錯体(最大吸収波長750nm)を用いるが、他の化合物を用いてもよい。
また、本例では吸収係数比が異なる化合物を二種類使用したが、三種類以上を組み合わせてもよい。
以上のように構成されたファントムに計測光を照射し、発生した光音響波を受信して画像化すると、ファントム母材と模擬層の吸収係数の差が輝度として現れる。また、波長ごとに取得した吸収係数を用いて、酸素飽和度を演算することができる。以降、本実施形態に係るファントム10を測定して得られた画像をファントム画像と称する。
<ファントムの製造方法>
次に、第一の実施形態に係るファントム10の製造方法を説明する。
まず、ファントム母材11の材料を準備する。本実施形態に係るファントム母材11は、ポリオールを入れたビーカーに、光散乱性あるいは光吸収性を有する化合物を分散し、攪拌した後に真空脱泡を行ったものである。本実施形態では、光散乱性を有する化合物として、酸化アルミニウム及びヘキサメチルジシラザンにより表面処理を施した酸化チタン(平均粒子径0.21μm)を用いた。また、光吸収性を有する化合物として、カーボンブラック顔料及び顔料との親和性を有するポリエーテル分散剤の混合物を分散させた。また、ポリオールには、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのモル比率が1:1であるポリエーテルポリオール共重合体(数平均分子量6000)を用いた。
次に、第一の実施形態に係るファントム10の製造方法を説明する。
まず、ファントム母材11の材料を準備する。本実施形態に係るファントム母材11は、ポリオールを入れたビーカーに、光散乱性あるいは光吸収性を有する化合物を分散し、攪拌した後に真空脱泡を行ったものである。本実施形態では、光散乱性を有する化合物として、酸化アルミニウム及びヘキサメチルジシラザンにより表面処理を施した酸化チタン(平均粒子径0.21μm)を用いた。また、光吸収性を有する化合物として、カーボンブラック顔料及び顔料との親和性を有するポリエーテル分散剤の混合物を分散させた。また、ポリオールには、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのモル比率が1:1であるポリエーテルポリオール共重合体(数平均分子量6000)を用いた。
次に、模擬血管12を形成する(構造形成処理)。本実施形態では、模擬血管12として、3Dプリンタ(Stratasys社製 Objet Eden 350V)を用いて、50μm〜2mmの直
径を有する血管構造を造型した。造型に適用した材料は、近赤外領域における透過率が98%であり、3Dプリンタへの適用が可能なアクリル系樹脂である。
径を有する血管構造を造型した。造型に適用した材料は、近赤外領域における透過率が98%であり、3Dプリンタへの適用が可能なアクリル系樹脂である。
次に、模擬血管12の表面に模擬層を形成する(模擬層形成処理)。
本実施形態では、光学特性が血管(動脈または静脈)のそれとなるように調整されたHDI添加ポリオールを、模擬血管12の表面に塗布し、熱硬化を行うことにより、模擬血管12の表面に、厚さ0.2mmのポリウレタン層を設けた。母材と類似した音響特性を有するポリウレタンを用いて模擬層を形成することで、光音響測定装置で測定した際のアーチファクト発生を抑えることができる。
なお、用いる材料は、ポリウレタン以外であっても構わない。例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などを適用することも可能である。
また、模擬層は、模擬血管12の形状に合わせ、筆塗り、スプレーコート、ディップコートなどの方法で形成してもよく、その形成方法は特に限定されない。
本実施形態では、光学特性が血管(動脈または静脈)のそれとなるように調整されたHDI添加ポリオールを、模擬血管12の表面に塗布し、熱硬化を行うことにより、模擬血管12の表面に、厚さ0.2mmのポリウレタン層を設けた。母材と類似した音響特性を有するポリウレタンを用いて模擬層を形成することで、光音響測定装置で測定した際のアーチファクト発生を抑えることができる。
なお、用いる材料は、ポリウレタン以外であっても構わない。例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などを適用することも可能である。
また、模擬層は、模擬血管12の形状に合わせ、筆塗り、スプレーコート、ディップコートなどの方法で形成してもよく、その形成方法は特に限定されない。
このようにして模擬層を形成した後の模擬血管12を、光照射により音響波を発生しない透明のナイロンワイヤー(直径0.13mm)を用いて、ファントム母材11内に内包されるように配置した。その後、硬化剤となるヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)をポリオールに対して添加し攪拌した後、真空脱泡を行い、所定の金型に流し込み熱硬化を行った(母材形成処理)。
本実施形態におけるファントムは、HDIの添加量によって音響特性を、カーボンブラック顔料の分散量によって光吸収特性を、酸化チタンの分散量によって等価散乱係数を調整したものである。
<光音響測定装置の構成>
次に、前述したファントムを用いて校正を行う光音響測定装置について説明する。光音響測定装置が測定を行う対象は、ファントムまたは生体などであるが、ここでは被検体と総称する。
図2は、第一の実施形態に係る光音響測定装置20のシステム構成図である。
本実施形態に係る光音響測定装置20は、光源21、保持板22aおよび22b、動力部23、音響波探触子24、信号処理部25、画像表示部26を有している。本実施形態では、ファントム10が、保持板22aおよび22bの間に保持される。
次に、前述したファントムを用いて校正を行う光音響測定装置について説明する。光音響測定装置が測定を行う対象は、ファントムまたは生体などであるが、ここでは被検体と総称する。
図2は、第一の実施形態に係る光音響測定装置20のシステム構成図である。
本実施形態に係る光音響測定装置20は、光源21、保持板22aおよび22b、動力部23、音響波探触子24、信号処理部25、画像表示部26を有している。本実施形態では、ファントム10が、保持板22aおよび22bの間に保持される。
<<光源21>>
光源21は、被検体に照射するパルス光を発生させる装置である。光源は、大出力を得るためレーザ光源であることが望ましいが、レーザの代わりに発光ダイオードやフラッシュランプ等を用いることもできる。光源としてレーザを用いる場合、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど様々なものが使用できる。照射のタイミング、波形、強度等は不図示の光源制御部によって制御される。この光源制御部は、光源と一体化されていても良い。
また、パルス光の波長は、被検体を構成する成分のうち特定の成分に吸収される特定の波長であって、被検体内部まで光が伝搬する波長であることが望ましい。具体的には、被検体が生体である場合、血中ヘモグロビン(オキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビン)の吸収スペクトルに特徴がある、650nm以上1100nm以下の範囲であることが望ましい。
また、光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。被検体が生体である場合、光源から発生するパルス光のパルス幅は10ナノから50ナノ秒程度が好適である。
本実施形態では、チタンサファイア(Ti−S)レーザを用い、756nmと797nmの二波長を射出可能な光源を用いる。
光源21は、被検体に照射するパルス光を発生させる装置である。光源は、大出力を得るためレーザ光源であることが望ましいが、レーザの代わりに発光ダイオードやフラッシュランプ等を用いることもできる。光源としてレーザを用いる場合、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど様々なものが使用できる。照射のタイミング、波形、強度等は不図示の光源制御部によって制御される。この光源制御部は、光源と一体化されていても良い。
また、パルス光の波長は、被検体を構成する成分のうち特定の成分に吸収される特定の波長であって、被検体内部まで光が伝搬する波長であることが望ましい。具体的には、被検体が生体である場合、血中ヘモグロビン(オキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビン)の吸収スペクトルに特徴がある、650nm以上1100nm以下の範囲であることが望ましい。
また、光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。被検体が生体である場合、光源から発生するパルス光のパルス幅は10ナノから50ナノ秒程度が好適である。
本実施形態では、チタンサファイア(Ti−S)レーザを用い、756nmと797nmの二波長を射出可能な光源を用いる。
光源21から発生するパルス光を以降、計測光と称する。
なお、図1では省略しているが、光源21から射出した計測光が、レンズやミラー、拡散板、光ファイバ等の光学部材を介して、被検体まで導かれる構成としてもよい。例えば、光学レンズを用い、保持板22aと被検体とが接触する面の全領域が照射されるように計測光を拡大する構成としてもよい。
光源21から出射した光は、後述する保持板を介して被検体の表面に照射される。
なお、図1では省略しているが、光源21から射出した計測光が、レンズやミラー、拡散板、光ファイバ等の光学部材を介して、被検体まで導かれる構成としてもよい。例えば、光学レンズを用い、保持板22aと被検体とが接触する面の全領域が照射されるように計測光を拡大する構成としてもよい。
光源21から出射した光は、後述する保持板を介して被検体の表面に照射される。
<<保持板22aおよび22b>>
保持板22aおよび22bは、被検体(ファントム10)を保持する手段である。具体的には、二枚の平板状の保持部材のうち、いずれか片方、または両方が、図中の横方向に移動することで被検体を圧迫保持する。
光源21から出射した計測光は、保持板22aを介して被検体表面に照射されるため、保持板22aは、計測光に対する透過率が高く、減衰率が低い素材であることが好ましい。典型的にはガラス、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、アクリルなどが好適である。
また、被検体内で発生した音響波は、保持板22bを介して音響波探触子24に入射する。そのため、保持板22bは、被検体との界面において音響波を反射させず、かつ、音響波を伝達しやすい素材であることが望ましい。具体的には、被検体との音響インピーダ
ンスの差が小さい材質であることが好ましい。このような材質には、ポリメチルペンテンなどの樹脂材料がある。
また、保持板22は、保持圧によって変形しないように、ある程度の強度を保つことができる厚さを有していることが好ましく、典型的には10mm程度の厚さであることが好ましい。また、保持板22は、被検体を保持できればどのようなサイズであってもよいが、被検体と同程度のサイズであることが好ましい。
本実施形態では、保持板22aおよび22bとしてポリメチルペンテンを用いる。
保持板22aおよび22bは、被検体(ファントム10)を保持する手段である。具体的には、二枚の平板状の保持部材のうち、いずれか片方、または両方が、図中の横方向に移動することで被検体を圧迫保持する。
光源21から出射した計測光は、保持板22aを介して被検体表面に照射されるため、保持板22aは、計測光に対する透過率が高く、減衰率が低い素材であることが好ましい。典型的にはガラス、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、アクリルなどが好適である。
また、被検体内で発生した音響波は、保持板22bを介して音響波探触子24に入射する。そのため、保持板22bは、被検体との界面において音響波を反射させず、かつ、音響波を伝達しやすい素材であることが望ましい。具体的には、被検体との音響インピーダ
ンスの差が小さい材質であることが好ましい。このような材質には、ポリメチルペンテンなどの樹脂材料がある。
また、保持板22は、保持圧によって変形しないように、ある程度の強度を保つことができる厚さを有していることが好ましく、典型的には10mm程度の厚さであることが好ましい。また、保持板22は、被検体を保持できればどのようなサイズであってもよいが、被検体と同程度のサイズであることが好ましい。
本実施形態では、保持板22aおよび22bとしてポリメチルペンテンを用いる。
なお、ファントム10を保持板22aおよび22bの間に配置する場合、水またはジェルをファントムの表面に塗布することにより、ファントムと保持板間における気泡発生を防ぐようにしてもよい。
<<動力源23>>
動力源23は、保持板22aおよび22bの少なくとも片方を移動させるための手段である。動力源23は、例えばDCモータやACモータ、ステッピングモータであってもよいし、リニアアクチュエータであってもよい。
動力源23は、保持板22aおよび22bの少なくとも片方を移動させるための手段である。動力源23は、例えばDCモータやACモータ、ステッピングモータであってもよいし、リニアアクチュエータであってもよい。
<<音響波探触子24>>
音響波探触子24は、被検体に照射された計測光に起因して発生した音響波を受信し、アナログの電気信号に変換する手段である。なお、本発明における音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波、光音響波、光超音波と呼ばれる弾性波を含む。音響波探触子24は、探触子またはトランスデューサとも呼ばれる。また、音響波探触子24は、単一の音響検出器からなってもよいし、複数の音響検出器からなってもよい。
また、音響波探触子24は、複数の受信素子が一次元、あるいは二次元に配置されたものであってもよい。多次元配列素子を用いると、同時に複数の場所で音響波を受信することができるため、測定時間を短縮することができる。なお、探触子が被検体よりも小さい場合は、音響波探触子を走査させて複数の位置で音響波を受信するようにしても良い。
音響波探触子24は、被検体に照射された計測光に起因して発生した音響波を受信し、アナログの電気信号に変換する手段である。なお、本発明における音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波、光音響波、光超音波と呼ばれる弾性波を含む。音響波探触子24は、探触子またはトランスデューサとも呼ばれる。また、音響波探触子24は、単一の音響検出器からなってもよいし、複数の音響検出器からなってもよい。
また、音響波探触子24は、複数の受信素子が一次元、あるいは二次元に配置されたものであってもよい。多次元配列素子を用いると、同時に複数の場所で音響波を受信することができるため、測定時間を短縮することができる。なお、探触子が被検体よりも小さい場合は、音響波探触子を走査させて複数の位置で音響波を受信するようにしても良い。
また、音響波探触子24は、感度が高く、周波数帯域が広いものが望ましい。具体的にはPZT(圧電セラミックス)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)、CMUT(容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ)、ファブリペロー干渉計を用いたものなどが挙げられる。ただし、ここに挙げたものだけに限定されず、探触子としての機能を満たすものであれば、どのようなものであってもよい。
本実施形態では、音響波探触子24として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を振動子に持つ探触子を用いる。振動子のピッチは1mmとし、その中心周波数は1MHzとした。
本実施形態では、音響波探触子24として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を振動子に持つ探触子を用いる。振動子のピッチは1mmとし、その中心周波数は1MHzとした。
<<信号処理部25>>
信号処理部25は、音響波探触子24で得られた電気信号を増幅してデジタル信号に変換する手段である。信号処理部25は、典型的には、増幅器、A/D変換器、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップなどで構成される。また、探触子から得られる
検出信号が複数である場合は、同時に複数の信号を処理できることが望ましい。なお、増幅器は音響波探触子24に内蔵されていてもよい。
また、信号処理部25は、デジタル信号を処理して画像を生成(再構成)する手段でもある。画像再構成方法には、例えば、フーリエ変換法、ユニバーサルバックプロジェクション法やフィルタードバックプロジェクション法、逐次再構成法などがあるが、どのような方法を用いても構わない。
信号処理部25は、音響波探触子24で得られた電気信号を増幅してデジタル信号に変換する手段である。信号処理部25は、典型的には、増幅器、A/D変換器、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップなどで構成される。また、探触子から得られる
検出信号が複数である場合は、同時に複数の信号を処理できることが望ましい。なお、増幅器は音響波探触子24に内蔵されていてもよい。
また、信号処理部25は、デジタル信号を処理して画像を生成(再構成)する手段でもある。画像再構成方法には、例えば、フーリエ変換法、ユニバーサルバックプロジェクション法やフィルタードバックプロジェクション法、逐次再構成法などがあるが、どのような方法を用いても構わない。
また、信号処理部25は、ファントムを測定することで校正を行う機能を有している。具体的には、初期状態におけるファントム内の光吸収係数、等価散乱係数、音速、画像を再構成する場合の解像度などを真値としてメモリに記憶している。また、真値と実測値と
を比較し、測定誤差を補正する機能を有する。なお、真値と実測値との値が大きく異なる場合にエラー判定を行うことも可能である。
なお、信号処理部25は、CPUと主記憶装置、および補助記憶装置を有するコンピュータであってもよいし、専用に設計されたハードウェアであってもよい。
を比較し、測定誤差を補正する機能を有する。なお、真値と実測値との値が大きく異なる場合にエラー判定を行うことも可能である。
なお、信号処理部25は、CPUと主記憶装置、および補助記憶装置を有するコンピュータであってもよいし、専用に設計されたハードウェアであってもよい。
<<画像表示部26>>
画像表示部26は、信号処理部25で生成された再構成画像を表示する手段である。画像表示部27には、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、FEDなどを利用することができる。
画像表示部26は、信号処理部25で生成された再構成画像を表示する手段である。画像表示部27には、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、FEDなどを利用することができる。
<被検体の測定方法>
次に、本実施形態に係る光音響測定装置によって、被検体である生体を測定する方法について説明する。
まず、保持板22を用いて、生体(本例では乳房、不図示)を圧迫保持する。本実施形態では、ファントム10に対してY軸方向に、計測光の照射方向と、音響波探触子24が平行となるような構成とする。
次に、光源21から発せられたパルス光を生体に照射する。生体内部を伝搬した光のエネルギーの一部が血液などの光吸収体に吸収されると、熱膨張により当該光吸収体から音響波が発生する。生体内にがんが存在する場合は、がんの新生血管において他の正常部の血液と同様に光が特異的に吸収され、音響波が発生する。生体内で発生した光音響波は、音響波探触子24で受信される。
音響波探触子24が受信した信号は、信号処理部25で解析される。解析結果は、生体内の特性情報(例えば、初期音圧分布や吸収係数分布)を表す画像データ(ファントム画像)に変換され、画像表示部26を通して出力される。ファントム画像は、例えば、三次元データであってもよいし、二次元データであってもよい。また、装置の校正を行う場合は、生成されたファントム画像(または、被検体内の特性情報を表すデータ)に基づいて、装置の各種パラメータを調整する。
次に、本実施形態に係る光音響測定装置によって、被検体である生体を測定する方法について説明する。
まず、保持板22を用いて、生体(本例では乳房、不図示)を圧迫保持する。本実施形態では、ファントム10に対してY軸方向に、計測光の照射方向と、音響波探触子24が平行となるような構成とする。
次に、光源21から発せられたパルス光を生体に照射する。生体内部を伝搬した光のエネルギーの一部が血液などの光吸収体に吸収されると、熱膨張により当該光吸収体から音響波が発生する。生体内にがんが存在する場合は、がんの新生血管において他の正常部の血液と同様に光が特異的に吸収され、音響波が発生する。生体内で発生した光音響波は、音響波探触子24で受信される。
音響波探触子24が受信した信号は、信号処理部25で解析される。解析結果は、生体内の特性情報(例えば、初期音圧分布や吸収係数分布)を表す画像データ(ファントム画像)に変換され、画像表示部26を通して出力される。ファントム画像は、例えば、三次元データであってもよいし、二次元データであってもよい。また、装置の校正を行う場合は、生成されたファントム画像(または、被検体内の特性情報を表すデータ)に基づいて、装置の各種パラメータを調整する。
本実施形態における、具体的な物性値について説明する。本実施形態において、ファントム母材11の音響特性は、37℃において音速1388m/s、密度1.03、音響インピーダンス1.43rayl、音響減衰0.35dB/cm/MHzである。また、ファントム母材11の光学特性は、波長797nmにおいて、吸収係数が0.004/mm、等価散乱係数が0.93/mmである。これは、生体軟組織とほぼ等しい光伝播特性及び音響伝播特性である。
また、模擬血管12の音響特性は、37℃において音速1792m/s、密度1.12、音響インピーダンス2.01rayl、音響減衰11.5dB/cm/MHzである。模擬血管12の音響インピーダンスは、ファントム母材に対して大きい値であるが、模擬血管の構造が微細であること、並びに部材表面に生体軟組織に近い樹脂層を設けているため、校正に問題を与えるほどのアーチファクトは発生しない。
また、模擬層形成後の模擬血管12のうち、動脈を模擬した部分の光学特性は、波長756nmにおいて、吸収係数が0.188/mmであり、波長797nmにおいて、吸収係数が0.254/mmである。すなわち、2波長の吸収係数比から算出した酸素飽和度は97.3%となる。
また、模擬層形成後の模擬血管12のうち、静脈を模擬した部分の光学特性は、波長756nmにおいて、吸収係数が0.257/mmであり、波長797nmにおいて、吸収係数が0.255/mmである。すなわち、2波長の吸収係数比から算出した酸素飽和度は75.9%となる。
また、模擬層形成後の模擬血管12のうち、静脈を模擬した部分の光学特性は、波長756nmにおいて、吸収係数が0.257/mmであり、波長797nmにおいて、吸収係数が0.255/mmである。すなわち、2波長の吸収係数比から算出した酸素飽和度は75.9%となる。
以上に説明したように、第一の実施形態によると、生体内の立体的な血管構造を模擬し、かつ、当該血管から発生する光音響波を模擬できるファントムを提供することができる。また、当該ファントムを光音響測定装置にて測定することで、装置の校正に用いる精度の高い測定画像を生成することができる。
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、3Dプリンタを用いて造形した模擬血管を模擬組織部とした。これに対し、第二の実施形態は、3Dプリンタを用いて腫瘍を造形し、腫瘍の内部に模擬血管を配置したものを模擬組織部とする実施形態である。
図3は、第二の実施形態に係るファントム30の構成を示した図である。第二の実施形態では、腫瘍を模擬した部材(模擬腫瘍32)の内部に、腫瘍内部の血管構造を模擬した部材(模擬血管33)を配置し、当該模擬腫瘍32をファントム母材31内に配置する。
第一の実施形態では、3Dプリンタを用いて造形した模擬血管を模擬組織部とした。これに対し、第二の実施形態は、3Dプリンタを用いて腫瘍を造形し、腫瘍の内部に模擬血管を配置したものを模擬組織部とする実施形態である。
図3は、第二の実施形態に係るファントム30の構成を示した図である。第二の実施形態では、腫瘍を模擬した部材(模擬腫瘍32)の内部に、腫瘍内部の血管構造を模擬した部材(模擬血管33)を配置し、当該模擬腫瘍32をファントム母材31内に配置する。
第二の実施形態では、3Dプリンタを用いて、50μmから100μm程度の直径を持つ模擬血管33を形成する。また、模擬層として、模擬血管33の表面に、静脈の近赤外領域における光学特性を模擬したポリオール層を形成する。また、模擬腫瘍32は、母材と同じ材料を用いて形成された直径5mmの透明球体とし、模擬血管を収納する。模擬腫瘍32は、光照射により音響波を発生しない透明のナイロンワイヤー(直径0.13mm)を用いてファントム母材31内に配置する。
なお、模擬腫瘍32には、模擬血管33のように、生体内の光学特性を模擬するための模擬層は設けない。
なお、模擬腫瘍32には、模擬血管33のように、生体内の光学特性を模擬するための模擬層は設けない。
模擬腫瘍32に収納された模擬血管33の光学特性は、波長756nmにおいて、吸収係数が0.033/mmであり、波長797nmにおいて、吸収係数が0.026/mmである。すなわち、2波長の吸収係数比から算出した酸素飽和度は54.8%となる。
一般的に、生体内の悪性腫瘍は、酸素を必要とするため、周囲と比較して酸素飽和度が低くなるものと考えられている。第二の実施形態に係るファントムでは、静脈における光学特性を模擬した層を模擬層として利用することで、腫瘍内の酸素飽和度を模擬することができる。
以上に説明したように、第二の実施形態に係るファントムは、模擬血管を模擬腫瘍に収納することで、生体内における腫瘍部位を模擬することができる。腫瘍内の血管において発生した音響波は、腫瘍が存在することによって減衰するが、第二の実施形態では、模擬腫瘍を設けることで、音響波の減衰をも模擬することができる。すなわち、腫瘍部位(正確には腫瘍内の血管)から発生する光音響波を精度よく模擬することが可能となる。また、当該ファントムを光音響測定装置にて測定することで、装置の校正に用いる精度の高い測定画像を生成することができる。
(変形例)
なお、各実施形態の説明は本発明を説明する上での例示であり、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。
例えば、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む被検体情報取得装置として実施することもできる。また、例示したファントムおよび被検体情報取得装置を含む、被検体情報取得システムとして実施することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
なお、各実施形態の説明は本発明を説明する上での例示であり、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。
例えば、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む被検体情報取得装置として実施することもできる。また、例示したファントムおよび被検体情報取得装置を含む、被検体情報取得システムとして実施することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
また、実施形態の説明では、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのモル比率が1:1、および数平均分子量が6000である共重合体を用いたが、他のポリオールを用いることも可能である。また、実施形態の説明では、ヘキサメチレンジイソシアネート(
HDI)を用いてポリオールを樹脂硬化したが、他のイソシアネート化合物及び硬化剤を用いることも可能である。
HDI)を用いてポリオールを樹脂硬化したが、他のイソシアネート化合物及び硬化剤を用いることも可能である。
また、実施形態の説明では、樹脂によって造形を行う3Dプリンタを用いて模擬組織部を形成する例を挙げたが、模擬組織部は、他の方法によって形成してもよい。
10・・・ファントム、11・・・ファントム母材、12・・・模擬血管
Claims (12)
- 被検体に光を照射し、前記被検体から伝播した音響波に基づいて前記被検体内部の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムであって、
母材と、
生体内組織の立体構造を模擬した模擬組織部と、
を有し、
前記模擬組織部は、前記母材の内部に配置され、その表面に、前記生体内組織の光学特性を模擬した層である模擬層を有する
ことを特徴とするファントム。 - 前記母材は、生体内の音響特性を模擬した部材から成る
ことを特徴とする、請求項1に記載のファントム。 - 前記模擬組織部は、生体内の血管を模擬した立体構造を有する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のファントム。 - 前記模擬層は、動脈または静脈の光学特性を模擬した層である
ことを特徴とする、請求項3に記載のファントム。 - 前記模擬層は、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に関する光学特性を模擬した層である
ことを特徴とする、請求項3に記載のファントム。 - 生体内の腫瘍を模擬した立体構造を有する第二の模擬組織部をさらに有し、
前記模擬組織部は、前記第二の模擬組織部の内部に配置される
ことを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載のファントム。 - 被検体に光を照射し、前記被検体から伝播した音響波に基づいて前記被検体内部の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムの製造方法であって、
生体内組織の立体構造を模擬した構造物である模擬組織部を形成する構造形成ステップと、
前記模擬組織部の表面に、前記生体内組織の光学特性を模擬した層である模擬層を形成する模擬層形成ステップと、
前記模擬層が形成された模擬組織部を内包して母材を形成する母材形成ステップと、
を含むことを特徴とする、ファントムの製造方法。 - 前記母材形成ステップでは、生体内の音響特性を模擬した部材を用いて母材を形成する
ことを特徴とする、請求項7に記載のファントムの製造方法。 - 前記構造形成ステップでは、模擬組織部として、生体内の血管を模擬した立体構造を形成する
ことを特徴とする、請求項7または8に記載のファントムの製造方法。 - 前記模擬層形成ステップでは、模擬層として、動脈または静脈の光学特性を模擬した層を形成する
ことを特徴とする、請求項9に記載のファントムの製造方法。 - 前記模擬層形成ステップでは、模擬層として、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に関する光学特性を模擬した層を形成する
ことを特徴とする、請求項9に記載のファントムの製造方法。 - 生体内の腫瘍を模擬した構造物である第二の模擬組織部を形成する第二の構造形成ステップと、
前記第二の模擬組織部の内部に前記模擬組織部を配置する配置ステップと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項9から11のいずれか1項に記載のファントムの製造方法。
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