JP2016010347A - カロテノイド合成酵素およびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】カロテノイドの生産性を向上させることができる新規なカロテノイド合成酵素及びその利用の提供。【解決手段】オーランチオキトリウム属から単離したカロテノイド合成酵素CrtIBY遺伝子は、フィトエン不飽和化酵素ドメイン、フィトエン合成酵素ドメイン、及び、リコペン環化酵素ドメインを含むタンパク質をコードしており、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成するまでの多段階の反応を単独の酵素で触媒することができる蛋白質。更にCrtS遺伝子を導入して、β−カロテンからアスタキサンチンを製造する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、新規なカロテノイド合成酵素およびその利用に関する。
アスタキサンチンやカロテンなどに代表されるカロテノイドは、食品、化粧品、医薬品および飼料などに広く利用されている。
自然界から天然のカロテノイドを安全かつ安定して得ることは、非常に困難である。それ故に、現在、カロテノイドの生合成に関与する遺伝子を同定し(例えば、非特許文献1〜14参照)、同定された遺伝子が導入された形質転換体を作製して、当該形質転換体によってカロテノイドを生産する試みがなされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
例えば、特許文献1には、ブレビバクテリウム フラバム(Brevibacterium flavum)のカロテノイドの生合成に関与する遺伝子が導入された形質転換体を用いて、カロテノイドを生産する技術が開示されている。
特許文献2には、フィトエン合成酵素(Phytoene synthase)をコードする遺伝子、フィトエン不飽和化酵素(Phytoene desaturase)をコードする遺伝子、ζ−カロテン不飽和化酵素(ζ−carotene desaturase)をコードする遺伝子、および、リコペン環化酵素(Lycopene cyclase)をコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子が導入された形質転換体を用いて、カロテノイドを生産する技術が開示されている。
特許文献3には、フィトエン不飽和化酵素(Phytoene desaturase)をコードする遺伝子、リコペン環化酵素(Lycopene cyclase)をコードする遺伝子、β−カロテンハイドロキシラーゼ(β−carotene hydroxylase)をコードする遺伝子、および、β−カロテン−C(4)−オキシゲナーゼ(β−carotene C(4) oxygenase)をコードする遺伝子が導入された形質転換体を用いて、カロテノイドを生産する技術が開示されている。
特開2001−149077号公報(2001年 6月 5日公開) 特表2002−537841号公報(2002年11月12日公開) 特開2006− 75097号公報(2006年 3月23日公開)
Takashi Maoka, Mar. Drugs, (2011), 9, p278-293 Yves Lemoine et al., Photosynth Res, (2010), 106, p155-177 Changfu Zhu et al., Archives of Biochemistry and Biophysics, (2010), 504, p132-141 Martine Bertrand, Photosynth Res, (2010), 106, p89-102 Chengwei Liang et al., Int. J. Biol. Sci., (2006), 2, p197-207 Mauricio Niklitschek et al., Biol Res, (2008), 41, p93-108 Vanessa Alvarez et al., Fungal Genetics and Biology, (2006), 43, p261-272 Jennifer Alcaino et al., BMC Microbiology, (2008), 8:169 Patrick Schaub et al., PLoS ONE, June 2012, Volume 7, Issue 6, p1-15 Ken Ukibe et al., Applied and Environmental Microbiology, Nov 2009, p7205-7211 Isabell Schmidt et al., Appl Microbiol Biotechnol, (2011), 89, p555-571 L. Campenni et al., Appl Microbiol Biotechnol, (2013), 97, p1383-1393 M.Aguila et al., Carotenoid Biosynthesis in Arabidopsis: A Colorful Pathway, The Arabidopsis Book, First published on January 19, 2012, 1-28 Shinichi Takaichi, Mar. Drugs, (2011), 9, p1101-1118
しかしながら、上述のような従来技術は、カロテノイドの生産性が低いという問題点を有している。
具体的に、上述のような従来技術は、人為的に多くの種類の酵素を同時に発現させた形質転換体を用いて、多段階の酵素反応によってカロテノイドを生産している。
この場合、カロテノイドの生産性(例えば、生産量)は、多くの種類の酵素の中の、最も反応速度の遅い酵素、および/または、最も発現量の少ない酵素などに大きく左右されることになる。
そして、上述のような従来技術は、人為的に多くの種類の酵素を同時に発現させた形質転換体を用いているが故に、これらの酵素の中に、非常に反応速度の遅い酵素や、非常に発現量の少ない酵素が含まれてしまい、その結果、当該酵素を介した酵素反応の段階が、カロノイドの生合成系における律速段階になり、カロテノイドの生産性が低下するという問題点を有している。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、カロテノイドの生産性を向上させることができる新規なカロテノイド合成酵素およびその利用を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成するまでの多段階の酵素反応を単独で触媒することができる新規なカロテノイド合成酵素を発見し、本発明を完成させるに至った。
本発明のタンパク質は、上記課題を解決するために、フィトエン不飽和化酵素ドメイン、フィトエン合成酵素ドメイン、および、リコペン環化酵素ドメインを含むことを特徴としている。
本発明のタンパク質では、上記タンパク質のアミノ末端側から、上記フィトエン不飽和化酵素ドメイン、上記フィトエン合成酵素ドメインおよび上記リコペン環化酵素ドメインの順番にて配置されていることが好ましい。
本発明のタンパク質は、以下の(a)または(b)で示されるタンパク質を少なくとも一部分として含むことが好ましい。つまり、
(a)配列番号1または2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;または、
(b)配列番号1または2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成する活性を有するタンパク質。
本発明の遺伝子は、上記課題を解決するために、本発明のタンパク質をコードしていることを特徴としている。
本発明の遺伝子は、以下の(c)または(d)のポリヌクレオチドを少なくとも一部分として含むことが好ましい。つまり、
(c)配列番号3または4で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
(d)配列番号3または4で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
本発明のベクターは、上記課題を解決するために、本発明の遺伝子が挿入されていることを特徴としている。
本発明の形質転換体は、上記課題を解決するために、本発明のベクターが導入されていることを特徴としている。
本発明のβ−カロテンの製造方法は、上記課題を解決するために、本発明の形質転換体を培養する工程を含むことを特徴としている。
本発明のβ−カロテンの製造方法では、上記形質転換体は、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成し得る形質転換体であることが好ましい。
本発明のアスタキサンチンの製造方法は、上記課題を解決するために、本発明の形質転換体を培養する工程を含み、上記形質転換体はβ−カロテンからアスタキサンチンを生成し得る形質転換体であることを特徴としている。
本発明のアスタキサンチンの製造方法では、上記形質転換体は、更に、CrtS遺伝子が導入されたものであることが好ましい。
本発明のアスタキサンチンの製造方法では、上記形質転換体は、更に、CrtR遺伝子が導入されたものであることが好ましい。
本発明は、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成するまでの多段階の反応を単独の酵素で触媒することができるので、カロテノイドの生産性を向上させることができるという効果を奏する。
具体的に、従来知られているゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成する生合成経路では、β−カロテンが生成される前に様々な中間体(例えば、フィトエン、ζ−カロテン、リコペン)が形成され、これらの中間体が形質転換体内に蓄積されることになる。そして、蓄積された中間体は、β−カロテン以外の物質を生成するためにも利用され、β−カロテンの生産量が低下する。
一方、本発明では、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成するまでの多段階の反応を単独の酵素で触媒し、多段階の反応が連続的に進むことになる。その結果、中間体が形質転換内に蓄積されることを抑制することができる。つまり、本発明では、β−カロテン以外の物質の生成に利用されるゲラニルゲラニルピロリン酸の量を少なくすることができる。それ故に、本発明は、カロテノイドの生産量を増加させることができるという効果を奏する。
また、従来技術では、複数の酵素を同時に発現する形質転換体を作製する必要があったが、本発明であれば、1つの酵素を発現する形質転換体を作製すればよい。それ故に、本発明は、形質転換体の作製工程、更に言えば、カロテノイドの生産工程を簡略化させることができるという効果を奏する。
また、従来技術のような複数の酵素を同時に発現する形質転換体は、その形質が変化し易く、所望の形質を長期間にわたって維持することが難しい。その結果、従来技術では、安定してカロテノイドを生産することが難しい。
一方、本発明では、1つの酵素を発現する形質転換体を用いればよく、このような形質転換体は、所望の形質を長期間にわたって維持することが比較的容易である。それ故に、本発明は、安定してカロテノイドを生産することができるという効果を奏する。
本発明のタンパク質中の各ドメインに対して高い相同性を示す酵素を示す図である。 本発明のタンパク質、および、本発明のタンパク質の部分構造に対して高い相同性を示す酵素の分子系統樹である。 実施例における、CrtIBY遺伝子の発現解析の試験結果を示す写真である。 カロテノイドの生合成経路、および、当該生合成経路に関与する酵素をコードする遺伝子を示す図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態および実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態および実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.タンパク質〕
本実施の形態のタンパク質は、フィトエン不飽和化酵素ドメイン、フィトエン合成酵素ドメイン、および、リコペン環化酵素ドメインを含むタンパク質である。なお、本明細書において、用語「タンパク質」は、「ポリペプチド」と交換可能に使用され、アミノ酸の重合体が意図される。
本明細書において「フィトエン不飽和化酵素ドメイン」とは、フィトエン不飽和化酵素の活性を有しているドメイン、換言すれば、フィトエン不飽和化酵素とアミノ酸配列の相同性が高いドメインを意図する。なお、フィトエン不飽和化酵素の活性とは、フィトエンをリコペンに変換する活性を意図する。
フィトエン不飽和化酵素の活性は、所望のドメインとフィトエンとを接触させることによって確認することができる。具体的に、所望のドメインとフィトエンとを接触させたときにリコペンが生成されれば、当該ドメインを、フィトエン不飽和化酵素ドメインであると判定することができる。
なお、フィトエンからリコペンが生成されたことを試験する具体的な方法は特に限定されず、適宜、周知の方法を用いることができる。例えば、各種クロマトグラフィー(例えば、薄層クロマトグラフィー)によって、所望のドメインとフィトエンとの混合溶液中におけるリコペンの存在を検出すればよい。
フィトエン不飽和化酵素とアミノ酸配列の相同性が高いドメインであるか否かは、例えば、所望のドメインのアミノ酸配列と、周知のフィトエン不飽和化酵素のアミノ酸配列とを比較することによって確認することができる。
周知のフィトエン不飽和化酵素としては、例えば、Fulvivirga、Haloquadratum、Arabidopsis、Ectocarpus、または、Xanthophyllomycesのフィトエン不飽和化酵素を挙げることができる(例えば、Accession No.ELR70640、CAJ52970、AAA20109、CBN77338またはAAO53257)。
所望のドメインのアミノ酸配列と、周知のフィトエン不飽和化酵素のアミノ酸配列とが、50%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有していれば、当該ドメインを、フィトエン不飽和化酵素ドメインであると判定することができる。
アミノ酸配列の相同性は、公知の方法で求めることができる。具体的には、GENETYX−WIN(株式会社ゼネティックス社製)を、GENETYX−WINのマニュアルに従って使用し、例えば、特定のアミノ酸配列と比較対象のアミノ酸配列とのホモロジーサーチ(homology search)を行い、同一のアミノ酸の割合(%)として相同性を算出することができる。
更に具体的には、比較するアミノ酸配列のうちの長い方のアミノ酸配列の総アミノ酸数に対する、同一のアミノ酸の数の割合(%)として、相同性を算出することができる。
また、フィトエン不飽和化酵素とアミノ酸配列の相同性が高いドメインは、上述した周知のフィトエン不飽和化酵素のアミノ酸配列において1若しくは数個(例えば、20個以内、19個以内、18個以内、17個以内、16個以内、15個以内、14個以内、13個以内、12個以内、11個以内、10個以内、9個以内、8個以内、7個以内、6個以内、5個以内、4個以内、3個以内、または、2個以内)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるドメインであってもよい。
本明細書において「フィトエン合成酵素ドメイン」とは、フィトエン合成酵素の活性を有しているドメイン、換言すれば、フィトエン合成酵素とアミノ酸配列の相同性が高いドメインを意図する。なお、フィトエン合成酵素の活性とは、ゲラニルゲラニルピロリン酸をフィトエンに変換する活性を意図する。
フィトエン合成酵素の活性は、所望のドメインとゲラニルゲラニルピロリン酸とを接触させることによって確認することができる。具体的に、所望のドメインとゲラニルゲラニルピロリン酸とを接触させたときにフィトエンが生成されれば、当該ドメインを、フィトエン合成酵素ドメインであると判定することができる。
ゲラニルゲラニルピロリン酸からフィトエンが生成されたことを試験する具体的な方法は特に限定されず、適宜、周知の方法を用いることができる。例えば、各種クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー)によって、所望のドメインとゲラニルゲラニルピロリン酸との混合溶液中におけるフィトエンの存在を検出すればよい。
フィトエン合成酵素とアミノ酸配列の相同性が高いドメインであるか否かは、例えば、所望のドメインのアミノ酸配列と、周知のフィトエン合成酵素のアミノ酸配列とを比較することによって確認することができる。
周知のフィトエン合成酵素としては、例えば、Fulvivirga、Haloquadratum、Arabidopsis、Ectocarpus、または、Xanthophyllomycesのフィトエン合成酵素を挙げることができる。(例えば、Accession No.ELR70639、CAJ52967、AED92400、CBJ31337またはAAO47570)。
所望のドメインのアミノ酸配列と、周知のフィトエン合成酵素のアミノ酸配列とが、50%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有していれば、当該ドメインを、フィトエン合成酵素ドメインであると判定することができる。なお、アミノ酸配列の相同性は、「フィトエン不飽和化酵素ドメイン」の場合と同様にして求めることができる。
また、フィトエン合成酵素とアミノ酸配列の相同性が高いドメインは、上述した周知のフィトエン合成酵素のアミノ酸配列において1若しくは数個(例えば、20個以内、19個以内、18個以内、17個以内、16個以内、15個以内、14個以内、13個以内、12個以内、11個以内、10個以内、9個以内、8個以内、7個以内、6個以内、5個以内、4個以内、3個以内、または、2個以内)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるドメインであってもよい。
本明細書において「リコペン環化酵素ドメイン」とは、リコペン環化酵素の活性を有しているドメイン、換言すれば、リコペン環化酵素とアミノ酸配列の相同性が高いドメインを意図する。なお、リコペン環化酵素の活性とは、リコペンをβ−カロテンに変換する活性を意図する。
リコペン環化酵素の活性は、所望のドメインとリコペンとを接触させることによって確認することができる。具体的に、所望のドメインとリコペンとを接触させたときにβ−カロテンが生成されれば、当該ドメインを、リコペン環化酵素ドメインであると判定することができる。
リコペンからβ−カロテンが生成されたことを試験する具体的な方法は特に限定されず、適宜、周知の方法を用いることができる。例えば、各種クロマトグラフィー(例えば、薄層クロマトグラフィー)によって、所望のドメインとリコペンとの混合溶液中におけるβ−カロテンの存在を検出すればよい。
リコペン環化酵素とアミノ酸配列の相同性が高いドメインであるか否かは、例えば、所望のドメインのアミノ酸配列と、周知のリコペン環化酵素のアミノ酸配列とを比較することによって確認することができる。
周知のリコペン環化酵素としては、例えば、Fulvivirga、Haloquadratum、Arabidopsis、Ectocarpus、または、Xanthophyllomycesのリコペン環化酵素を挙げることができる。(例えば、Accession No.ELR70634、CAJ51148、AEE74875、CBN78004またはAAO47570)。
所望のドメインのアミノ酸配列と、周知のリコペン環化酵素のアミノ酸配列とが、50%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有していれば、当該ドメインを、リコペン環化酵素ドメインであると判定することができる。なお、アミノ酸配列の相同性は、「フィトエン不飽和化酵素ドメイン」の場合と同様にして求めることができる。
また、リコペン環化酵素とアミノ酸配列の相同性が高いドメインは、上述した周知のリコペン環化酵素のアミノ酸配列において1若しくは数個(例えば、20個以内、19個以内、18個以内、17個以内、16個以内、15個以内、14個以内、13個以内、12個以内、11個以内、10個以内、9個以内、8個以内、7個以内、6個以内、5個以内、4個以内、3個以内、または、2個以内)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるドメインであってもよい。
本実施の形態のタンパク質内における、フィトエン不飽和化酵素ドメイン、フィトエン合成酵素ドメイン、および、リコペン環化酵素ドメインの位置は特に限定されないが、タンパク質のアミノ末端側から、フィトエン不飽和化酵素ドメイン、フィトエン合成酵素ドメインおよびリコペン環化酵素ドメインの順番にて配置され得る。
ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成する場合、従来公知の酵素では、まず、フィトエン合成酵素が機能し、次いでフィトエン不飽和化酵素が機能し、最後にリコペン環化酵素が機能する。
本発明のタンパク質のような3つのドメインを有するタンパク質は未知であるので、当業者が当該3つのドメインの配置を考えること自体あり得ないことではあるが、仮に考えたとすれば、酵素が機能する順番に基づけば、当業者であれば、タンパク質のアミノ末端側から、フィトエン合成酵素ドメイン、フィトエン不飽和化酵素ドメインおよびリコペン環化酵素ドメインの順番にて配置されると考えるのが一般的である。
つまり、当業者であれば、フィトエン合成酵素ドメインによって形成された第1の中間体がフィトエン不飽和化酵素ドメインへ受け渡されるためには、フィトエン合成酵素ドメインとフィトエン不飽和化酵素ドメインとが隣接している必要があり、フィトエン不飽和化酵素ドメインによって形成された第2の中間体がリコペン環化酵素ドメインへ受け渡されるためには、フィトエン不飽和化酵素ドメインとリコペン環化酵素ドメインとが隣接している必要があると考える。それ故に、当業者であれば、タンパク質のアミノ末端側から、フィトエン合成酵素ドメイン、フィトエン不飽和化酵素ドメインおよびリコペン環化酵素ドメインの順番にて配置されると考える。
しかしながら、後述する実施例にて示すように、驚くべきことに本実施の形態のタンパク質では、タンパク質のアミノ末端側から、フィトエン不飽和化酵素ドメイン、フィトエン合成酵素ドメインおよびリコペン環化酵素ドメインの順番にて配置され得る。当該配置の順番は、従来の技術常識からは決して想到できない、本発明の独自の構成である。
本実施の形態のタンパク質は、以下の(a)または(b)で示されるタンパク質からなるタンパク質、または、当該タンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質であってもよい:
(a)配列番号1または2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;または、
(b)配列番号1または2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成する活性を有するタンパク質。
ここで、配列番号1または2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質とは、2倍体の生物であるオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属KH105株から見出された、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成するまでの多段階の反応を単独で触媒することができる新規なカロテノイド合成酵素である。
タンパク質が、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成する活性を有するタンパク質であるか否かを判定するためには、タンパク質とゲラニルゲラニルピロリン酸とを接触させたときにβ−カロテンが生成されるか否かを試験すればよい。つまり、タンパク質とゲラニルゲラニルピロリン酸とを接触させたときにβ−カロテンが生成されれば、当該タンパク質を、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成する活性を有するタンパク質であると判定することができる。
具体的な判定方法は特に限定されず、適宜、周知の方法を用いることができる。例えば、タンパク質とゲラニルゲラニルピロリン酸とを溶液中または細胞中で接触させた後、当該溶液または細胞の抽出物を各種クロマトグラフィー(例えば、薄層クロマトグラフィー)にて分離して、抽出物中にβ−カロテンが存在するか否かを、色または吸光度などに基づいて確認すればよい。なお、上記抽出には、有機溶媒(例えば、アセトン/メタノール混合液など)を適宜選択して用いればよい。
本明細書における「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸」では、欠失、置換若しくは付加が生じる位置は特に限定されない。
また、「1若しくは数個のアミノ酸」が意図するアミノ酸の数は特に限定されないが、20個以内、19個以内、18個以内、17個以内、16個以内、15個以内、14個以内、13個以内、12個以内、11個以内、10個以内、9個以内、8個以内、7個以内、6個以内、5個以内、4個以内、3個以内、2個以内、または、1個のアミノ酸であり得る。
アミノ酸の置換は、保存的置換であることが好ましい。なお、保存的置換とは、特定のアミノ酸から、当該アミノ酸と同様な化学的性質および/または構造を有する他のアミノ酸に置換されることをいう。化学的性質としては、例えば、疎水性度(疎水性および親水性)、電荷(中性、酸性および塩基性)が挙げられる。構造としては、例えば、側鎖、または、側鎖の官能基として存在する芳香環、脂肪炭化水素基およびカルボキシル基が挙げられる。
保存的置換の例としては、例えば、セリンとスレオニンとの置換、リジンとアルギニンとの置換、およびフェニルアラニンとトリプトファンアミノとの置換、が挙げられる。勿論、本発明は、これらの置換に限定されない。
本実施の形態のタンパク質は、以下の(e)で示されるタンパク質を少なくとも一部分として含むタンパク質、または、以下の(e)で示されるタンパク質からなるタンパク質であってもよい:
(e)配列番号1または2で表されるアミノ酸配列と50%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有するタンパク質。
なお、アミノ酸配列の相同性は、公知の方法で求めることができる。具体的には、GENETYX−WIN(株式会社ゼネティックス社製)を、GENETYX−WINのマニュアルに従って使用し、例えば、特定のアミノ酸配列と比較対象のアミノ酸配列とのホモロジーサーチ(homology search)を行い、同一のアミノ酸の割合(%)として相同性を算出することができる。
更に具体的には、比較するアミノ酸配列のうちの長い方のアミノ酸配列の総アミノ酸数に対する、同一のアミノ酸の数の割合(%)として、相同性を算出することができる。
本実施の形態のタンパク質は、必要に応じて上述したフィトエン不飽和化酵素ドメイン、フィトエン合成酵素ドメイン、および、リコペン環化酵素ドメイン以外の構成を含んでいてもよい。
このような構成としては、例えば、ドメイン同士を繋ぐリンカー、タグ(例えば、Hisタグ、Flagタグ、HAタグ、Mycタグなど)、タンパク質(例えば、GSTタンパク質、蛍光タンパク質など)を挙げることができる。
リンカーは、ポリペプチドからなるリンカー(例えば、1〜20個、または、1〜10個のアミノ酸からなるリンカー)であってもよいし、タンパク質同士を連結することが可能な周知の架橋剤であってもよい。リンカーを備えていれば、ドメイン同士の相対的な位置を適切に調節することができるので、より活性の高いタンパク質、および/または、より熱安定性の高いタンパク質を実現することができる。
〔2.遺伝子〕
本実施の形態の遺伝子は、〔1.タンパク質〕の欄にて説明した本発明のタンパク質をコードしている遺伝子である。なお、本明細書において、用語「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「核酸」または「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。
本実施の形態の遺伝子では、タンパク質を構成する各アミノ酸をコードするコドンは限定されず、所望のコドンであり得る。
また、本実施の形態の遺伝子は、DNA(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)の形態であってもよいし、RNA(例えば、mRNA)の形態であってもよい。更に、DNAの形態である場合、二本鎖DNAであってもよいし、一本鎖DNAであってもよい。更に、一本鎖DNAおよびRNAは、タンパク質をコードするセンス鎖であってもよいし、当該センス鎖に対するアンチセンス鎖であってもよい。
本実施の形態の遺伝子は、以下の(c)または(d)のポリヌクレオチドからなる遺伝子、または、当該遺伝子を少なくとも一部分として含む遺伝子であってもよい。つまり、
(c)配列番号3または4で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
(d)配列番号3または4で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
ここで、配列番号3または4で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドとは、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属KH105株から見出された、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成するまでの多段階の反応を単独で触媒することができる新規なカロテノイド合成酵素をコードするポリヌクレオチドである。
本明細書中で使用される場合、用語「ストリンジェントな条件」は、ハイブリダイゼーション溶液(50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む)中にて42℃で一晩インキュベーションした後、約65℃にて0.1×SSC中でフィルターを洗浄することが意図されるが、ハイブリダイゼーションさせるポリヌクレオチドによって、高ストリンジェンシーでの洗浄条件は適宜変更され、例えば、哺乳類由来DNAを用いる場合は、0.1% SDSを含む0.5×SSC中にて65℃での洗浄(好ましくは15分間×2回)が好ましく、E.coli由来DNAを用いる場合は、0.1% SDSを含む0.1×SSC中にて68℃での洗浄(好ましくは15分間×2回)が好ましく、RNAを用いる場合は、0.1% SDSを含む0.1×SSC中にて68℃での洗浄(好ましくは15分間×2回)が好ましく、オリゴヌクレオチドを用いる場合は、0.1% SDSを含む0.1×SSC中にてハイブリダイゼーション温度での洗浄(好ましくは15分間×2回)が好ましい。また、上記ハイブリダイゼーションは、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている周知の方法で行うことができる。
本実施の形態の遺伝子は、必要に応じて上述したフィトエン不飽和化酵素ドメインをコードする領域、フィトエン合成酵素ドメインをコードする領域、および、リコペン環化酵素ドメインをコードする領域以外の構成を含んでいてもよい。
このような構成としては、例えば、ドメイン同士を繋ぐリンカーをコードするポリヌクレオチド(例えば、1〜20個、または、1〜10個のアミノ酸からなるリンカー)、タグ(例えば、Hisタグ、Flagタグ、HAタグ、Mycタグなど)をコードするポリヌクレオチド、タンパク質(例えば、GSTタンパク質、蛍光タンパク質など)をコードするポリヌクレオチドを挙げることができる。
リンカーを備えていれば、ドメイン同士の相対的な位置を適切に調節することができるので、より活性の高いタンパク質、および/または、より熱安定性の高いタンパク質を実現することができる。
〔3.ベクター〕
本実施の形態のベクターは、〔2.遺伝子〕の欄にて説明した本発明の遺伝子を含むベクターである。換言すれば、本実施の形態のベクターは、〔2.遺伝子〕の欄にて説明した本発明の遺伝子が挿入されたベクターである。
ベクターの具体的な種類は特に限定されず、所望の宿主(例えば、細菌(例えば、大腸菌、枯草菌)、酵母、糸状菌、真菌、動物細胞、植物細胞)の中で本発明の遺伝子を発現可能なベクターであればよい。それ故に、周知の発現ベクターに対して〔2.遺伝子〕の欄にて説明した本発明の遺伝子が挿入されたベクターが、本発明のベクターに包含される。
ベクターは、導入されるべき宿主の種類に応じた発現制御領域(例えば、プロモーター、ターミネーター、および/または複製起点等)を含有したものであればよい。宿主が細菌である場合、プロモーターとしては、例えば、trcプロモーター、tacプロモーター、または、lacプロモーター等を使用することができ、宿主が酵母である場合、プロモーターとしては、例えば、GAL1プロモーター、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、または、PHO5プロモーター等を使用することができ、宿主が糸状菌である場合、プロモーターとしては、例えば、アミラーゼプロモーター、または、trpCプロモーター等を使用することができ、宿主が動物細胞である場合、プロモーターとしては、例えば、SV40初期プロモーター、または、SV40後期プロモーター等を使用することができる。勿論、本発明は、これらの構成に限定されない。
上記発現制御領域は、発現誘導が可能なプロモーター(例えば、tacプロモーター、GAL1プロモーターなど)であってもよい。
当該構成であれば、宿主の生活環の特定のタイミング(換言すれば、宿主内で特定の代謝経路が機能している特定のタイミング)にて本発明のタンパク質の発現を誘導することができる。つまり、当該構成であれば、A)宿主内で本来接触することが無い特定の酵素とβ−カロテンとを接触させる、および/または、B)宿主内のフィトエン、ζ−カロテンおよびリコペンの量を減少させる、ことができる。その結果、新規なカロテノイドの生産、および/または、特定のカロテノイドの生産効率の向上、を実現することができる。
本実施の形態のベクターは、慣用的な手法に従って作製することができる。本実施の形態のベクターによる宿主の形質転換もまた、慣用的な手法に従って行うことができる。
〔4.形質転換体〕
本実施の形態の形質転換体は、〔3.ベクター〕の欄にて説明した本発明のベクターを含む形質転換体である。換言すれば、本実施の形態の形質転換体は、〔3.ベクター〕の欄にて説明した本発明のベクターを所望の宿主に導入することによって、〔1.タンパク質〕の欄にて説明した本発明のタンパク質を発現可能になった形質転換体である。
上記宿主としては特に限定されず、適宜、所望の宿主(例えば、細菌(例えば、大腸菌、枯草菌)、酵母、糸状菌、真菌、動物細胞、植物細胞)を用いることができる。
上記宿主の具体例としては、例えば、ゲラニルゲラニルピロリン酸が細胞内に存在し得る宿主(例えば、下記(1)〜(3)など)、および、ゲラニルゲラニルピロリン酸が細胞内に存在し得、かつ、β−カロテンからアスタキサンチンを生成し得る宿主(例えば、下記(4)〜(9)など)を挙げることができる。更に具体的には、
(1)元々、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する能力(換言すれば、生合成経路)を有している宿主;
(2)人為的に、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する能力(換言すれば、生合成経路)が付与された宿主;
(3)外界(例えば、培地)から細胞内にゲラニルゲラニルピロリン酸を取り込む能力を有している宿主;
(4)元々、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する能力(換言すれば、生合成経路)と、β−カロテンからアスタキサンチンを生成する能力(換言すれば、生合成経路)とを有している宿主;
(5)元々、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する能力(換言すれば、生合成経路)を有し、かつ、人為的に、β−カロテンからアスタキサンチンを生成する能力(換言すれば、生合成経路)が付与された宿主;
(6)人為的に、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する能力(換言すれば、生合成経路)が付与され、かつ、元々、β−カロテンからアスタキサンチンを生成する能力(換言すれば、生合成経路)を有している宿主;
(7)人為的に、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する能力(換言すれば、生合成経路)が付与され、かつ、人為的に、β−カロテンからアスタキサンチンを生成する能力(換言すれば、生合成経路)が付与された宿主;
(8)外界(例えば、培地)から細胞内にゲラニルゲラニルピロリン酸を取り込む能力を有し、かつ、元々、β−カロテンからアスタキサンチンを生成する能力(換言すれば、生合成経路)を有している宿主;
(9)外界(例えば、培地)から細胞内にゲラニルゲラニルピロリン酸を取り込む能力を有し、かつ、人為的に、β−カロテンからアスタキサンチンを生成する能力(換言すれば、生合成経路)が付与された宿主。
上記(1)〜(9)の宿主であれば、宿主内にゲラニルゲラニルピロリン酸が存在する。そして、このような宿主に本発明のベクターを導入して形質転換体を作製すれば、当該形質転換体では、ベクターによって発現された本発明のタンパク質と、当該タンパク質の基質であるゲラニルゲラニルピロリン酸とが接触することになる。その結果、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成することができる。
更に、上記(4)〜(9)の宿主であれば、宿主がβ−カロテンからアスタキサンチンを生成する能力を有しているので、このような宿主に本発明のベクターを導入して形質転換体を作製すれば、当該形質転換体では、本発明のタンパク質によって生成されたβ−カロテンからアスタキサンチンを生成することができる。
人為的に、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する能力を宿主に付与する方法としては特に限定されないが、例えば、ゲラニルゲラニルピロリン酸の生合成反応を触媒する酵素の少なくとも1つをコードする遺伝子を、発現可能に宿主に導入する方法を挙げることができる。
このような遺伝子としては、例えば、イソペンテニルピロリン酸からゲラニルピロリン酸を生成する酵素をコードする遺伝子(例えば、GDPS遺伝子(Accession No.Y17376))、ゲラニルピロリン酸からファルネシルピロリン酸を生成する酵素をコードする遺伝子(例えば、FDPS遺伝子(Accession No.AY063112))、および、ファルネシルピロリン酸からゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する酵素をコードする遺伝子(例えば、BTS1遺伝子(Accession No.U31632)、および、CrtE遺伝子(Accession No.DQ016502))を挙げることができる。
更に具体的には、宿主に対してファルネシルピロリン酸からゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する酵素をコードする遺伝子のみを導入してもよいし、宿主に対してファルネシルピロリン酸からゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する酵素をコードする遺伝子とゲラニルピロリン酸からファルネシルピロリン酸を生成する酵素をコードする遺伝子とを導入してもよいし、宿主に対してファルネシルピロリン酸からゲラニルゲラニルピロリン酸を生成する酵素をコードする遺伝子とゲラニルピロリン酸からファルネシルピロリン酸を生成する酵素をコードする遺伝子とイソペンテニルピロリン酸からゲラニルピロリン酸を生成する酵素をコードする遺伝子とを導入してもよい。
人為的に、β−カロテンからアスタキサンチンを生成する能力を宿主に付与する方法としては特に限定されないが、例えば、β−カロテンからアスタキサンチンを生成する生合成反応を触媒する酵素の少なくとも1つをコードする遺伝子を、発現可能に宿主に導入する方法を挙げることができる。
このような酵素としては、例えば、β−カロテンからアスタキサンチンを生成する酵素をコードする遺伝子(例えば、CrtS遺伝子(Accession No.DQ202402)、および、CrtR遺伝子(Accession No.EU884134))、β−カロテンからカンタキサンチンを生成する酵素をコードする遺伝子(例えば、CrtO遺伝子(Accession No.DQ257290)、および、CrtW遺伝子(Accession No.EF031051))、および、カンタキサンチンからアスタキサンチンを生成する酵素をコードする遺伝子(例えば、CrtZ遺伝子(Accession No.EF031052))を挙げることができる。
更に具体的には、宿主に対してβ−カロテンからアスタキサンチンを生成する酵素をコードする遺伝子のみを導入してもよいし、宿主に対してβ−カロテンからカンタキサンチンを生成する酵素をコードする遺伝子とカンタキサンチンからアスタキサンチンを生成する酵素をコードする遺伝子とを導入してもよい。
上述した宿主の更に具体的な例としては、カロテノイド産生が確認されている種々の微生物(例えば、Heamatococcus属、Monoraphidium属、Phaffia属(Xanthophyllomyces属)、Paracoccus属、Brevundimonas属、Gordonia属(Rhodococcus属)、Nostoc属、および、Gloeobacter属)、植物(例えば、カキ、オレンジ、ニンジン、トマト、および、タバコ)を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの宿主に限定されない。
〔5.β−カロテンの製造方法〕
本実施の形態のβ−カロテンの製造方法は、本発明の形質転換体を培養する工程を含んでいる。
具体的な培養方法(例えば、培養培地、培養時間、培養温度など)は限定されず、形質転換体の作製に用いた宿主などに応じて適宜選択すればよい。
上記形質転換体は、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成し得る形質転換体であることが好ましい。
より具体的に、「ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成し得る形質転換体」としては、〔4.形質転換体〕の欄にて説明した(1)〜(9)の宿主に、〔3.ベクター〕の欄にて説明した本発明のベクターを導入して作製された形質転換体を挙げることができる。
上記(1)〜(9)の宿主であれば、細胞内にゲラニルゲラニルピロリン酸が存在する。そして、このような宿主に本発明のベクターを導入して形質転換体を作製すれば、当該形質転換体では、ベクターによって発現された本発明のタンパク質と、当該タンパク質の基質であるゲラニルゲラニルピロリン酸とが接触することになる。その結果、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成することができる。
本実施の形態のβ−カロテンの製造方法は、形質転換体を培養する工程以外の工程を含んでいてもよい。
当該工程としては、例えば、β−カロテンを精製する工程を挙げることができる。例えば、各種クロマトグラフィーによって、β−カロテンを精製してもよい。
〔6.アスタキサンチンの製造方法〕
本実施の形態のアスタキサンチンの製造方法は、本発明の形質転換体を培養する工程を含み、当該形質転換体はβ−カロテンからアスタキサンチンを生成し得る形質転換体である。
具体的な培養方法(例えば、培養培地、培養時間、培養温度など)は限定されず、形質転換体の作製に用いた宿主などに応じて適宜選択すればよい。
「β−カロテンからアスタキサンチンを生成し得る形質転換体」としては、〔4.形質転換体〕の欄にて説明した(4)〜(9)の宿主に、〔3.ベクター〕の欄にて説明した本発明のベクターを導入して作製した形質転換体を挙げることができる。
上記(4)〜(9)の宿主であれば、宿主がβ−カロテンからアスタキサンチンを生成する能力を有しているので、このような宿主に本発明のベクターを導入して形質転換体を作製すれば、当該形質転換体では、本発明のタンパク質によって生成されたβ−カロテンからアスタキサンチンを生成することができる。
本実施の形態のアスタキサンチンの製造方法は、形質転換体を培養する工程以外の工程を含んでいてもよい。
当該工程としては、例えば、アスタキサンチンを精製する工程を挙げることができる。例えば、各種クロマトグラフィーによって、アスタキサンチンを精製してもよい。
<1.カロテノイド合成酵素CrtIBY遺伝子の単離>
オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属KH105株(受領番号::FERM AP−22267)のゲノムDNAを、以下のように調製した。
KH105株をGPY培地(3% glucose、0.6% polypeptone、0.2% yeast extract、2% sea salts)中で4日間培養した後、遠心分離によって菌体を回収した。回収した菌体を蒸留水で洗浄した後、当該菌体をlysis buffer(0.25M Tris−HCl、pH8.2、0.1M EDTA(pH8.0)、2% SDS、0.1M NaCl)中に懸濁した。
上記懸濁液に対して平衡化フェノール(フェノールに8−ヒドロキシキノリンを加え、0.5M Tris−HClでpH8.0に平衡化された平衡化フェノール)を等量加え、20分間緩やかに転倒撹拌した後で、当該溶液を8000rpm、15分間、室温にて遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上層を新しい試験管に回収し、等量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合液(25:24:1,v/v)を加え、20分間緩やかに転倒撹拌した後で、当該溶液を8000rpm、15分間、室温にて遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上層を新しい試験管に回収し、等量のクロロホルム/イソアミルアルコール混合液(24:1,v/v)を加え、20分間緩やかに転倒撹拌した後で、当該溶液を8000rpm、15分間、室温にて遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上層を新しい試験管に回収し、2.5倍量の冷却エタノールを加え、転倒撹拌した後で、当該溶液を15000rpm、15分間、遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上清を捨てて沈殿を回収し、当該沈殿に70%冷却エタノールを5mL加え、転倒撹拌した後で、当該溶液を15000rpm、5分間、遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上清を捨てて沈殿を回収し、当該沈殿にTE buffer(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、pH8.0)を1mL加えてゲノムDNAを溶解させた後、当該溶液に1μg/mLとなるようにRNase Aを加えて37℃で1時間のインキュベートを行った。
上記溶液に対して等量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混液(25:24:1,v/v)を加え、転倒撹拌した後で、当該溶液を8000rpm、15分間、室温にて遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上層を新しい試験管に回収し、等量のクロロホルム/イソアミルアルコール混合液(24:1,v/v)を加え、転倒撹拌した後で、当該溶液を8000rpm、15分間、室温にて遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上層を新しい試験管に回収し、2.5倍量の冷却エタノールを加え、転倒撹拌した後で、当該溶液を15000rpm、15分間、遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上清を捨てて沈殿を回収し、当該沈殿に70%冷却エタノールを5mL加え、転倒撹拌した後で、当該溶液を15000rpm、5分間、遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上清を捨てて沈殿を回収し、当該沈殿にTE buffer(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、pH8.0)を1mL加えてゲノムDNAを溶解させた。
次いで、KH105株のゲノムDNAを鋳型としたPCRによって、CrtIBY遺伝子を、以下のように増幅して単離した。
ゲノムDNA 150ng、KOD FX neo(東洋紡製) 1unit/50μL、dNTP 各0.4mM、プライマー1 0.3μM、プライマー2 0.3μMを含むPCR反応溶液を作製した。
・プライマー1:5’-CAGTGTGCTGGAATTATGGCGCGCAGGGCGTCG -3’(配列番号5)
・プライマー2:5’-GATATCTGCAGAATTTCAGGCATTCTTGTACAGCGGGAGC-3’(配列番号6)
上記PCR反応溶液を94℃にて2分間加熱した後、98℃にて10秒間の変性反応、70℃にて30秒間のアニーリング反応、および、68℃にて2分間の伸長反応からなる反応サイクルを30回繰り返した。
PCR反応の後、PCR反応溶液をアガロースゲル電気泳動によって分離し、常法にしたがって、増幅されたCrtIBY遺伝子をアガロースゲルから精製した。
CrtIBY遺伝子のDNA塩基配列を解析したところ、異なる塩基配列を有する2種類の遺伝子を確認することができた。KH105株は2倍体の生物であるため、2種類の遺伝子が存在するものと考えられた。
2種類の遺伝子のDNA塩基配列の各々を、配列番号3および4に示す(以下、CrtIBY遺伝子とも呼ぶ)。また、2種類の遺伝子がコードする各タンパク質のアミノ酸配列の各々を、配列番号1および2に示す。
何れの遺伝子も、タンパク質をコードしている領域のDNAの全長は3807bp(停止コドン1個を含む)であり、1268個のアミノ酸からなるポリペプチドをコードしていた。
上記ポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて、上記ポリペプチドに対して高い相同性を示すタンパク質をデータベースから検索したところ、上記ポリペプチドは、各種生物由来のフィトエン合成酵素(CrtB)、フィトエン不飽和化酵素(CrtI)、および、リコペン環化酵素(CrtY)の各々と高い相同性を示すドメインを有していることが明らかになった。
具体的に、図1に示すように、上記2種類のポリペプチドは、アミノ末端側から順に、フィトエン不飽和化酵素(CrtI)と高い相同性を示すドメイン、フィトエン合成酵素(CrtB)と高い相同性を示すドメイン、および、リコペン環化酵素(CrtY)と高い相同性を示すドメインを有していた。
図2に、各種生物由来のタンパク質との相同性をもとにして作成した分子系統樹を示す。なお、当該分子系統樹は、clustalwおよびseaveawプログラムを用いて作成した。具体的な作成手順は、当該プログラムに添付のマニュアルにしたがった。図2に示すように、何れの生物に由来するタンパク質も、進化系統的に近い位置にあることが明らかになった。
<2.CrtIBY遺伝子の発現解析>
本実施例では発現宿主として、Saccharomyces cerevisiae INVSc1(MATa his3D1 leu2 trp1−289 ura3−52/MATα his3D1 leu2 trp1−289 ura3−52)を用いた。
また、CrtIBY遺伝子の発現には、2μ originによってS.cerevisiae内で自律複製が可能であり、選択マーカーとしてURA3、遺伝子発現制御領域としてガラクトースにて発現誘導可能なGAL1プロモーターおよびCYC1ターミネーター、並びに、大腸菌における選択マーカーとしてアンピシリン耐性遺伝子、を有する酵母発現用ベクターpYES2(Life Technologies)を用いた。
pYES2を制限酵素Eco RIで消化し、当該消化物をアガロース電気泳動に供し、線状化されたpYES2を、常法にてアガロースゲルから精製した。
線状化されたpYES2と、前項で得られたCrtIBY遺伝子の全長を含むPCR産物 100ngと、5×In−fusion HD enzyme premix(Clontech Laboratories, Inc.) 5μLと、を混合し、当該混合物を、50℃で15分間インキュベートした。
インキュベート後の混合物 2μLに対して、大腸菌コンピテントセルStellaTM Competent Cells(F−,endA1,supE44,thi−1,recA1,relA1,gyrA96,phoA,Φ80d lacZΔ m15,Δ(lacZYA−argF)U169,Δ(mrr−hsdRMS−mcrBC),ΔmcrA,λ−)(Clontech Laboratories, Inc.)を含む溶液を50μL加え、当該菌体懸濁液を、30分間氷冷した後、42℃で45秒間のヒートショックを行い、直ちに氷上で1分間静置した。
上記菌体懸濁液を50μg/mLのアンピシリンを含むLBプレート培地(1% tryptone、0.5% yeast extract、1% NaCl、2% agar)に塗布し、37℃で12時間培養した。
LBプレート培地上に現れたコロニーを50μg/mLのアンピシリンを含む5mLのLB培地(1% tryptone、0.5% yeast extract、1% NaCl)に植菌して37℃、300rpmで12時間培養し、得られた菌体から、PowerPrep Express Plasmid Miniprep System(OriGene)のプロトコルに従い、プラスミドを抽出した。
得られたプラスミドを制限酵素Xho Iで消化し、当該消化物をアガロースゲル電気泳動にて確認したところ、予想されたバンドパターンを示したことから目的のプラスミドが取得されたと判断した。
目的のプラスミドを有する大腸菌株を50μg/mLのアンピシリンを含む50mLのLB培地に植菌して37℃、160rpmで12時間培養し、得られた菌体から、NucleoBond(登録商標) Xtra Midi Plus(Clontech Laboratories, Inc.)のプロトコルに従い、目的のプラスミド、つまり、発現用プラスミドpYES2−CrtIBYを取得した。
上述したpYES2−CrtIBYおよび陰性対照となるpYES2の各々を用いて、酵母細胞を形質転換した。
S. cerevisiae INVSc1を5mLのYPD培地(2% polypeptone、1% yeast extract、2% D−glucose)中にて28℃、300rpmで12時間培養した。当該培養液の1mLをマイクロチューブに分取し、当該培養液を1500g、5分間、室温にて遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上清を除去して沈殿した菌体を回収し、当該菌体に1mLのリチウム酢酸溶液(100mM lithium acetate、10mM TE buffer、pH7.5)を加えて懸濁した後、1500g、5分間、室温にて遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上清を除去して沈殿した菌体を回収し、当該菌体に200μLのPEG/リチウム酢酸溶液(100mM lithium acetate、10mM TE buffer、pH7.5、50%(w/v) PEG4000)を加えて懸濁した。
当該懸濁液に5μgのプラスミド(pYES2−CrtIBY、または、pYES2)を添加し、30℃で1時間のインキュベート、続いて40℃で10分間のインキュベートを行った。
インキュベート後の上記懸濁液を、ウラシルを含まないSDプレート培地(0.67% yeast nitrogen base w/o amino acids、0.19% yeast synthetic drop out medium w/o uracil、2% D−glucose、2% agar)に塗布し、28℃で培養した。
SDプレート培地上に現れた形質転換体を3mLのSCT w/o ura培地(0.67% yeast nitrogen base w/o amino acids、0.19% yeast synthetic drop out medium w/o uracil、4% D−raffinose)に植菌して、28℃、300rpmにて15時間培養した。
1mLの培養液を30mLのSCT w/o ura培地に植菌して、28℃、160rpmにて6時間培養した。当該培養液に対して、最終濃度が2%になるようにフィルター滅菌済みのガラクトース溶液を添加して、CrtIBY遺伝子の発現誘導をかけた後、更に16時間培養した。
CrtIBY遺伝子の発現を誘導した形質転換体から、以下のようにしてカロテノイド色素を抽出した。
30mLの培養液を50mL容量の試験管に入れ、5000g、5分間、4℃にて遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上清を除去して沈殿した菌体を回収し、当該菌体を1mLの蒸留水に懸濁した後、当該懸濁液をネジ口試験管に移して2000g、5分間、4℃にて遠心分離した。
上記遠心分離によって分離した上清を除去して沈殿した菌体を回収し、当該菌体に1mLの3N HClを加えて激しく懸濁した後、当該懸濁液を沸騰湯浴中で3分間静置した。
静置後の懸濁液を2000g、5分間、4℃にて遠心分離して上清を除去して沈殿した菌体を回収し、当該菌体に1mLの蒸留水を加え懸濁した。当該懸濁液を2000g、5分間、4℃にて遠心分離して上清を除去して沈殿した菌体を回収し、当該菌体に1mLのアセトン/メタノール混合液(7:3,v/v)を加え、激しく懸濁した。
上記懸濁液を2000g、5分間、4℃にて遠心分離して、得られた上清を新しいねじ口試験管に移し、当該上清を、窒素気流下で60℃のヒートブロックにより蒸発乾固させた。
乾固物を50μLのアセトンに溶解させてバイアル瓶に移し、当該溶解物を、各形質転換体の色素サンプルとした。
得られた色素サンプルの色素組成を薄層クロマトグラフィー(thin−layer chromatography:TLC)によって確認した。
展開溶媒としてアセトン/ヘキサン混液(3:7,v/v)を用い、TLC Silica gel 60 F254(Merck)上で、暗所にて、各色素サンプル20μLを展開した。比較対照として、各1mg/mLのβ−カロテンおよびアスタキサンチンを10μL、同様に展開した。
試験結果を図3に示す。具体的に、レーン1は比較対照であるβ−カロテンを示し、レーン2は比較対照であるアスタキサンチンを示している。レーン3はpYES2を導入した酵母の試験結果を示しており、当該酵母では、β−カロテンの生産が認められなかった。一方、レーン4はpYES2−CrtIBYを導入した酵母の試験結果を示しており、当該酵母では、β−カロテンの生産が認められた。
図4に、β−カロテンの生合成経路および代謝経路、並びに、当該生合成経路および代謝経路に関与する酵素をコードする遺伝子を示す。なお、図4において、破線にて囲まれている経路は、S. cerevisiaeが元々有している経路であり、その他の経路は、S. cerevisiaeが元々有していない経路である。なお、図4において、IPPはイソペンテニルピロリン酸を、GPPはゲラニルピロリン酸を、FPPはファルネシルピロリン酸、GGPPはゲラニルゲラニルピロリン酸を示している。
図4に示すように、S. cerevisiaeは、フィトエン合成酵素(CrtB)の基質であるゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)を生合成できるが、フィトエン合成酵素(CrtB)を持たないので、フィトエンを生成することはできない。また、S. cerevisiaeは、フィトエン不飽和化酵素/リコペン合成酵素(CrtI)およびリコペン環化酵素(CrtY)も持たないので、β-カロテンを生成することはできない。
したがって、上記試験から、CrtIBY遺伝子は、GGPPを基質としてβ−カロテンを生成する活性を有する酵素をコードしていることが明らかになった。
<3.アスタキサンチンの生産>
S. cerevisiaeを宿主としてアスタキサンチンを生産するために、赤色酵母であるXanthophyllomyces dendrorhousにおいてβ-カロテンからアスタキサンチンを生成する酵素をコードするCrtS遺伝子(X. dendrorhous ATCC 24202 cDNA由来)(アミノ酸配列:配列番号7、塩基配列:配列番号8)、および、当該酵素の酸化還元反応を補助するシトクロムP450還元酵素をコードするCrtR遺伝子(X. dendrorhous Y989 cDNA由来)(アミノ酸配列:配列番号9、塩基配列:配列番号10)の両遺伝子を、既にCrtIBY遺伝子が導入されている酵母へさらに導入した。
また、GGPP産生量の増加を目的として、GGPPの生成を司る酵素をコードするBTS1遺伝子(S. cerevisiae INVSc1 genome由来)(アミノ酸配列:配列番号11、塩基配列:配列番号12)も更に導入して、その効果を調べた。以下の試験は、『Ukibe et al. (2009) Metabolic Engineering of Saccharomyces cerevisiae for Astaxanthin Production and Oxidative Stress Tolerance. Appl. Environ. Microbiol. 75:7205-7211』に記載の方法に従って行った。
CrtS遺伝子およびBTS1遺伝子の酵母への導入には、2μ originによってS. cerevisiae内で自律複製可能であり、選択マーカーとしてHIS3を有する酵母構成発現用プラスミドpHV1を使用した。より具体的には、pHV1内のADH1プロモーターの下流にBTS1遺伝子およびCrtS遺伝子がタンデムに挿入された、pHV−BTS1−crtSを構築した。
酵母細胞への形質転換は上述した方法で行った。プラスミドを導入した形質転換体の選択には、SD w/o ura、hisプレート培地(0.67% yeast nitrogen base w/o amino acids、0.19% yeast synthetic dropout medium w/o uracil, histidine, leucine, tryptophan、2% D−glucose、76mg/L L−tryptophan、76mg/L L−leucine、2% agar)を使用した。
得られた形質転換体をそれぞれ、SCT w/o ura、his培地(0.67% yeast nitrogen base w/o amino acids、0.19% yeast synthetic drop out medium w/o uracil, histidine, leucine, tryptophan、4% D−raffinose、76mg/L L−tryptophan、76mg/L L−leucine)を用いて上述の方法と同様に培養し、色素組成を調べた。
試験結果を図3に示す。具体的に、レーン5は、酵母において、CrtIBY遺伝子に加えて、更にCrtS遺伝子およびBTS1遺伝子を発現させたときの試験結果を示している。
CrtIBY遺伝子のみを発現させた酵母(レーン4)と比較して、CrtIBY遺伝子、BTS1遺伝子およびCrtS遺伝子を発現させた酵母(レーン5)では、β−カロテンの産生量が顕著に増加し、さらにアスタキサンチンの産生がかろうじて観察できる程度に認められた。このことは、BTS1遺伝子の作用によってCrtIBY遺伝子がコードする酵素の基質となるGGPPの量が増加したこと、および、CrtS遺伝子の作用によってアスタキサンチンが生成したことを示している。
CrtR遺伝子の酵母への導入には、2μ originによってS. cerevisiae内で自律複製可能であり、選択マーカーとしてLEU2を有する酵母構成発現用プラスミドpAD4を使用した。より具体的には、pAD4内のADH1プロモーターの下流にCrtR遺伝子が挿入された、pAD−crtRを構築した。
酵母細胞への形質転換は上述した方法で行い、陰性対照として、pYES2およびpHV−BTS1−crtSのみが導入された酵母へも、pAD−crtRを導入した。プラスミドを導入した形質転換体の選択には、SD w/o ura、his、leuプレート培地(0.67% yeast nitrogen base w/o amino acids、0.19% yeast synthetic drop out medium w/o uracil, histidine, leucine, tryptophan、2% D−glucose、76mg/L L−tryptophan、2% agar)を使用した。
得られた形質転換体をそれぞれ、SCT w/o ura、his、leu培地(0.67% yeast nitrogen base w/o amino acids、0.19% yeast synthetic drop out medium w/o uracil, histidine, leucine, tryptophan、4% D−raffinose、76mg/L L−tryptophan)を用いて上述の方法と同様に培養し、色素組成を調べた。
図3に示すように、CrtIBY遺伝子、BTS1遺伝子、CrtS遺伝子およびCrtR遺伝子を発現させた酵母(レーン6)ではアスタキサンチンおよび生合成中間体と思われる色素の産生量が顕著に増加したが、BTS1遺伝子、CrtS遺伝子およびCrtR遺伝子を発現させた酵母(レーン7)ではカロテノイドおよびアスタキサンチンの産生は認められなかった。以上の結果は、CrtR遺伝子の作用によってアスタキサンチン合成酵素をコードするCrtS遺伝子の作用が強化されたことを示している。
本発明は、カロテノイドを製造する分野に利用することができる。更に具体的に、本発明は、食品、化粧品、医薬品および試料などを製造する分野に利用することができる。

Claims (12)

  1. フィトエン不飽和化酵素ドメイン、フィトエン合成酵素ドメイン、および、リコペン環化酵素ドメインを含むことを特徴とするタンパク質。
  2. 上記タンパク質のアミノ末端側から、上記フィトエン不飽和化酵素ドメイン、上記フィトエン合成酵素ドメインおよび上記リコペン環化酵素ドメインの順番にて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のタンパク質。
  3. 以下の(a)または(b)で示されるタンパク質を少なくとも一部分として含むことを特徴とする請求項1または2に記載のタンパク質:
    (a)配列番号1または2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質;または、
    (b)配列番号1または2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成する活性を有するタンパク質。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のタンパク質をコードしていることを特徴とする遺伝子。
  5. 以下の(c)または(d)のポリヌクレオチドを少なくとも一部分として含むことを特徴とする請求項4に記載の遺伝子:
    (c)配列番号3または4で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または、
    (d)配列番号3または4で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ゲラニルゲラニルピロリン酸からβ−カロテンを生成する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  6. 請求項4または5に記載の遺伝子が挿入されていることを特徴とするベクター。
  7. 請求項6に記載のベクターが導入されていることを特徴とする形質転換体。
  8. 請求項7に記載の形質転換体を培養する工程を含むことを特徴とするβ−カロテンの製造方法。
  9. 上記形質転換体は、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成し得る形質転換体であることを特徴とする請求項8に記載のβ−カロテンの製造方法。
  10. 請求項7に記載の形質転換体を培養する工程を含み、
    上記形質転換体はβ−カロテンからアスタキサンチンを生成し得る形質転換体であることを特徴とするアスタキサンチンの製造方法。
  11. 上記形質転換体は、更に、CrtS遺伝子が導入されたものであることを特徴とする請求項10に記載のアスタキサンチンの製造方法。
  12. 上記形質転換体は、更に、CrtR遺伝子が導入されたものであることを特徴とする請求項10または11に記載のアスタキサンチンの製造方法。
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