JP2016000678A - 水素製造装置及び水素製造方法 - Google Patents

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幸次郎 中川
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未来子 畑間
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功夫 中川
康幹 久保田
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康幹 久保田
高野 洋
Hiroshi Takano
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Abstract

【課題】脱水素反応に用いられるエネルギー効率を向上させることによって装置全体のエネルギー効率を向上させることができる水素製造装置及び水素製造方法を提供すること。
【解決手段】MCHを加熱して水素と脱水素物質とに分解する脱水素反応器10と、脱水素反応器10から排出される熱媒体によって脱水素反応器10に入力される前のMCH(L2)を蒸発させる蒸発器12と、蒸発器12の前段に設けられ、脱水素反応器10で生成された前記水素および前記脱水素物質を含んでなる脱水素反応物V4によって脱水素反応器10に入力される前のMCH(L1)を予熱する予熱器11と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、脱水素反応に用いられるエネルギー効率を向上させることによって装置全体のエネルギー効率を向上させることができる水素製造装置及び水素製造方法に関する。
従来から、有機ハイドライドの一種である芳香族炭化水素の水素化物を加熱して水素と脱水素物質とに分解する脱水素反応器によって生成された脱水素反応物を水素分離器によって水素を分離して出力する水素ステーションなどの水素製造装置が知られている。
ここで、特許文献1には、脱水素反応器が記載され、この脱水素反応器では、脱水素反応後の脱水素反応物の熱エネルギーを用いて、脱水素反応器に入力される有機ハイドライドを予熱している。また、特許文献1では、脱水素反応器に予熱領域を設け、脱水素反応器の反応領域で有機ハイドライドを加熱した後の熱媒体を予熱領域に入力し、この熱媒体の熱エネルギーを用いて、反応領域に流れる有機ハイドライドを予熱するようにしている。この特許文献1では、上述した有機ハイドライドの予熱によって、有機ハイドライドの脱水素反応時における吸熱量を抑え、装置全体のエネルギー効率を向上させている。
特開2007−326053号公報
ところで、水素製造装置では、脱水素反応が大きな吸熱反応であることから、脱水素反応時のおけるエネルギー効率をさらに高めて装置全体のエネルギー効率を向上することが要望されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、脱水素反応に用いられるエネルギー効率を向上させることによって装置全体のエネルギー効率を向上させることができる水素製造装置及び水素製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる水素製造装置は、有機ハイドライドを加熱して水素と脱水素物質とに分解する脱水素反応器と、前記脱水素反応器から排出される熱媒体によって前記脱水素反応器に入力される前の有機ハイドライドを蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器の前段に設けられ、前記脱水素反応器で生成された前記水素および前記脱水素物質を含んでなる脱水素反応物によって前記脱水素反応器に入力される前の前記有機ハイドライドを予熱する予熱器と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる水素製造装置は、上記の発明において、前記蒸発器の後段に設けられ、前記脱水素反応物によって前記脱水素反応器に入力される前の前記有機ハイドライドを加熱する加熱器を備えることを特徴とする。
また、本発明にかかる水素製造方法は、脱水素反応器で有機ハイドライドを加熱して水素と脱水素物質とに分解する脱水素反応工程と、前記有機ハイドライドの脱水素反応で生成された前記水素および前記脱水素物質を含んでなる脱水素反応物によって前記脱水素反応器に入力される前の前記有機ハイドライドを予熱する予熱工程と、前記予熱工程を経た有機ハイドライドを、前記脱水素反応器から排出される熱媒体によって蒸発させる蒸発工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる水素製造方法は、上記の発明において、前記蒸発工程を経た有機ハイドライドを、前記脱水素反応物によって加熱する加熱工程を更に含むことを特徴とする。
本発明によれば、有機ハイドライドを加熱して水素と脱水素物質とに分解する脱水素反応器と、前記脱水素反応器から排出される熱媒体によって前記脱水素反応器に入力される前の有機ハイドライドを蒸発させる蒸発器と、を備え、前記蒸発器の前段に設けられた予熱器が、前記脱水素反応器で生成された前記水素および前記脱水素物質を含んでなる脱水素反応物によって前記脱水素反応器に入力される前の前記有機ハイドライドを予熱するようにしている。この結果、蒸発器において有機ハイドライドの蒸発に消費される熱エネルギーが減少し、結果的に装置全体のエネルギー効率を向上させることができる。
図1は、本発明の実施の形態である水素製造装置の構成を示す回路図である。 図2は、水素分離器の入出力成分流量の関係を示す模式図である。 図3は、予熱器の有無、及び水素分離器の後段に設けられる従来の製品水素出力専用のコンプレッサの有無によるエネルギー効率の結果を示す図である。 図4は、脱水素反応物によるメチルシクロヘキサン(MCH)の予熱処理が含まれる脱水素反応処理手順を示すフローチャートである。 図5は、従来の製品水素出力専用のコンプレッサを削除して水素分離器の前段のみにコンプレッサを設けた場合の水素分離処理手順を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態である水素製造装置1の構成を示す回路図である。この水素製造装置1は、脱水素反応により有機ハイドライドから水素を製造する装置であり、例えば燃料電池自動車や水素エンジン車などに水素を供給する水素ステーションに採用されるものである。図1に示すように、水素製造装置1は、脱水素反応系1Aと水素分離系1Bとを有する。脱水素反応系1Aは、脱水素反応器10によって有機ハイドライドを水素と脱水素物質とに分解し、当該水素および当該脱水素物質と分解されなかった未分解反応物とを含む脱水素反応物を出力する。水素分離系1Bは、脱水素反応系1Aから出力された脱水素反応物から水素分離器30によって水素を分離して外部出力する。
有機ハイドライドは、不飽和結合を有する有機化合物の水素化物であり、脱水素触媒を用いて、水素と脱水素物質(不飽和結合を有する有機化合物)とを含む脱水素反応物に分解することができる。有機ハイドライドは、常温常圧下で液体状のものが好ましく、このようなものを採用する場合、ガソリンなどと同様に液体燃料としてローリーなどによって水素ステーションなどの水素製造装置1へ輸送することができる。本実施の形態では、有機ハイドライドとして、メチルシクロヘキサン(以下、MCHと称する)を用いて説明するが、これには限られない。なお、不飽和結合を有する有機化合物とは、二重結合あるいは三重結合を分子内に一つ以上有し、常温常圧下で液状である有機化合物である。二重結合としては、炭素−炭素二重結合(C=C)、炭素−窒素二重結合(C=N)、炭素−酸素二重結合(C=O)、窒素−酸素二重結合(N=O)が例示される。三重結合としては、炭素−炭素三重結合、炭素−窒素三重結合が例示される。不飽和結合を有する有機化合物としては、貯蔵性および輸送性の観点から、常温常圧下で液体状の有機化合物であることが好ましい。
不飽和結合を有する有機化合物としては、例えばオレフィン類、ジエン類、アセチレン類、ベンゼン、炭素鎖置換芳香族類、へテロ置換芳香族類、多環芳香族類、シフ塩基類、ヘテロ芳香族類、ヘテロ5員環化合物類、キノン類、ケトン類などが挙げられる。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンなどが挙げられる。ジエン類としては、アレン、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、へブタジエン、オクタジエン、ピペリレン,イソプレンなどが挙げられる。アセチレン類としては、アセチレン、プロピン、ビニルアセチレンなどが挙げられる。炭素鎖置換芳香族類としては、アルキル置換芳香族類などが挙げられる。アルキル置換芳香族類としては、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、クメン、安息香酸などが挙げられる。へテロ置換芳香族類としては、アニソール、ジメトキシベンゼン、フェノール、アニリン、N、N−ジメチルアニリンなどが挙げられる。多環芳香族類としては、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、テトラセン、フェナントレン、テトラリン、アズレンなどが挙げられる。シフ塩基類としては、2-aza-hept-1-en-1-yl-cyclohexaneなどが挙げられる。ヘテロ芳香族類としては、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンなどが挙げられる。ヘテロ5員環化合物類としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾールなどが挙げられる。キノン類としては、ベンゾキノン、ナフトキノンなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。なお、言うまでもないことであるが、二酸化炭素や一酸化炭素は不飽和結合を有しているが一般に有機化合物とは見なされないので、本実施形態における不飽和結合を有する有機化合物から除外される。
上記の不飽和化合物の中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン、テトラリンなど(以下、「ベンゼン等」と記載する。)は、水素化の前後において非水溶性であり、水と相分離可能であるため、生成物としての回収が非常に容易である点において、アセトン等の水溶性の有機化合物よりも好ましい。これらベンゼン等として、純粋な化合物を用いても良いし、複数の化合物の混合物を用いても良い。
(脱水素反応系)
図1に示すように、ローリーなどによって輸送されたMCHは、タンクT1内に貯留される。貯留されたMCHは、ポンプP1によって吸い上げられる。ポンプP1からの吐出流量は、フローコントローラ100によって制御される。ポンプP1から吐出されたMCH(L1)は、予熱器11によって20〜120℃に昇温される。昇温された液状のMCH(L2)は、蒸発器12によって蒸発され、180℃の気化されたMCH(V1)となる。MCH(V1)は、さらに加熱器13によって300℃に昇温され、MCH(V2)として脱水素反応器10に入力される。
脱水素反応器10内には、熱媒油などの熱媒体が通る管が蛇行して配置される。また、脱水素反応器10内には、脱水素触媒が取り付けられる。MCH(V2)の脱水素反応は吸熱反応であるため、熱媒体としては例えば350℃程度のものを用いて、脱水素反応器10内を通過するMCH(V2)の脱水素反応が効率良く行われる300℃程度に維持できるように脱水素反応器10内を加熱する。脱水素反応器10内に入力されたMCH(V2)は、水素とトルエンとに分解され、水素とトルエンと未分解のMCHを含む脱水素反応物V3として330℃程度で脱水素反応器10から出力される。
脱水素反応物V3は、加熱器13において、加熱器13に入力されるMCH(V1)と熱交換を行う。熱交換された脱水素反応物V3は、215℃程度に降温した脱水素反応物V4となる。この脱水素反応物V4は、予熱器11において、予熱器11に入力されるMCH(L1)と熱交換を行う。この予熱器11において、脱水素反応物V4とMCH(L1)とを熱交換することによって、後段の蒸発器12での熱交換量を減らすことができる。すなわち、このような構成とすることによって、後述するように、熱媒体を加熱するためのエネルギー消費を抑制することができるため、装置全体のエネルギー効率を高めることができる。この予熱器11において熱交換されたMCH(V5)は、139℃まで降温し、その後、水素分離系1Bに出力される。
脱水素反応器10に入力される熱媒体L11は、熱媒ボイラ21において加熱される。脱水素反応器10内で吸熱された熱媒体L12は、蒸発器12においてMCH(L1)と熱交換してMCH(L1)を蒸発させて180℃まで昇温する。その後、降温した熱媒体L13は、ポンプP2によって再び熱媒ボイラ21に入力されて加熱される。本実施形態において熱媒体は、伝熱効率の観点から熱媒油を採用しているが、これには限られない。なお、熱媒体は、タンクT2に貯留され、熱媒体の循環系において熱媒体が不足する場合には当該循環系を構成する管路に熱媒体が補給され、熱媒体が多い場合には当該循環系を構成する管路から引き抜かれる。
熱媒ボイラ21は、LPガスG1と空気G2とが流入し、LPガスG1を燃焼することによって熱媒体L13を加熱する。空気G2は、ブロア22によって吸引され、空気予熱器23によって予熱された後、熱媒ボイラ21に入力される。熱媒ボイラ21で燃焼した燃焼ガスG3は、空気予熱器23で空気G2と熱交換を行った後、燃焼排ガスとして大気に排出される。この空気予熱器23を用いた空気予熱によってエネルギー効率を高めることができる。なお、熱媒ボイラ21による熱媒体の加熱制御は、温度コントローラ200が脱水素反応器10内の温度を検出し、この検出温度をもとにポンプP2による熱媒ボイラ21への熱媒体流量を調整するとともに、温度コントローラ201が検出する脱水素反応器10に流入する熱媒体L11の温度を検出し、この検出温度をもとに熱媒ボイラ21で燃焼するLPガスG1の流量を調整することによってなされる。
なお、本実施の形態では、熱媒ボイラ21を用いて熱媒体を加熱し、この加熱された熱媒体によって脱水素反応器10の加熱を行っている。このような熱媒体を用いた加熱機構を採用すると、例えばバーナーにより直接加熱する加熱機構に比べて、より均一に加熱することができるため、脱水素反応器10の温度制御をより安定して行うことができる。熱媒体を用いた加熱機構としては、液体状の熱媒体を用いたものには限られず、例えばLPガスをバーナーなどによって燃焼した燃焼ガスを直接、脱水素反応器10内の配管に流入してMCH(V2)を加熱するような気体状の熱媒体を用いたものでもよい。また、加熱機構としては、熱媒体を用いたものには限られず、例えばバーナーにより直接加熱する機構を採用しても良い。
本実施の形態による脱水素反応系1Aでは、脱水素反応器10から出力される脱水素反応物V3の熱エネルギーを用いて加熱器13で脱水素反応器10に流入するMCH(V1)を加熱するとともに、蒸発器12の前段に配置された予熱器11が、加熱器13による熱交換後の脱水素反応物V4の熱エネルギーを用いて、蒸発前の液状のMCH(L1)を予熱するようにしている。この結果、蒸発器12においてMCH(L1)の蒸発に消費される熱媒体L12の熱エネルギーを減少することができる。この熱媒体L12から失われる熱エネルギーの減少は、熱媒ボイラ21で消費されるエネルギーの減少をもたらし、結果的に装置全体のエネルギー効率を向上させることができる。
(水素分離系)
一方、予熱器11を介した脱水素反応物V5は、水素分離系1Bに流入する。脱水素反応物V5は、冷却器31で139℃から40℃程度まで冷却され、気液分離器35によって気液分離される。気液分離器35で液状物質として分離されない、水素含有量が高い脱水素反応物V6は、さらに冷却器32で40℃から15℃程度まで冷却され、気液分離器36によって気液分離される。気液分離器36で液状物質として分離されず、水素含有量がさらに高まった脱水素反応物V7は、コンプレッサP3によって加圧された脱水素反応物V30として水素分離器30に入力される。なお、コンプレッサP3によって加圧された脱水素反応物V30は、加圧によって温度上昇するため、水素分離器30に入力する前に、冷却器33によって90℃まで冷却される。
水素分離器30は、脱水素反応物V30から水素を選択的に分離する機能を有するものであり、本実施形態では膜分離機構を用いたものが採用される。膜分離機構に採用される水素分離膜としては、コンプレッサP3から入力される圧力に耐え得る(例えば900kPa以上の耐圧性がある)膜として、カーボン膜、パラジウム膜、ゼオライト膜などが挙げられるが、耐圧性や小さい差圧での実用化の観点ではカーボン膜およびゼオライト膜が比較的好ましく、中でもカーボン膜が振動に対する機械的強度の観点で特に好ましい。カーボン膜は、分子量の小さい水素を透過させ、トルエンや未分解物質などの相対的に分子量の大きいものを透過させない機能を有している。コンプレッサP3は、200kPaの脱水素反応物V7を900kPaまで昇圧した脱水素反応物V30として水素分離器30に出力する。水素分離器30における水素分離時の差圧は、200kPaであるため、分離された水素V31は、90℃で700kPaとなる。水素V31は、冷却器34で、40℃まで冷却し、フローコントローラ101で調整して700kPaの水素V32として外部出力される。すなわち、要求された外部圧力及び温度をもつ製品水素として外部に供給される。
ここで、圧力コントローラ400は、コンプレッサP3が出力する圧力が所定圧となるように制御する。この所定圧は、圧力損失を考慮し、水素分離器30における水素分離により生じる差圧200kPaと、水素分離器30によって分離された水素V31の外部出力の圧力700kPaとを合わせた圧力900kPaよりも高い圧力にする。コンプレッサP3が出力する圧力をこのような所定圧にすることによって、水素分離器30の後段に従来設けていた、製品水素として必要な圧力に昇圧するための製品水素出力専用のコンプレッサを設ける必要がなくなる。この結果、装置全体をコンパクトにすることができる。また、コンプレッサを分散配置せず、大型のコンプレッサに集約することによって圧力効率を高めることができ、結果的に、水素分離器30による水素分離処理に必要なエネルギー及び製品水素の供給処理に必要なエネルギーのトータルエネルギーを削減することができる。
なお、気液分離器35,36において液状物質として分離されたトルエン含有量の大きい液化物L21,L22は、タンクT3に捕集され、回収トルエンとして用いられる。回収トルエンは、再び水素と反応させることにより水素化物(MCH)として繰り返し使用することができる。
水素分離器30における膜分離機構の水素分離膜を透過しなかった非透過ガスG31は、脱水素反応器10の入力側に入力される。本実施形態では、非透過ガスG31の加熱を効果的に行うために、非透過ガスG31は、蒸発器12と加熱器13との間の配管内に入力される。この非透過ガスG31には水素分離膜を透過できなかった水素が含まれる。非透過ガスG31内の水素が脱水素反応器10に入力されると、脱水素反応器10内の脱水素触媒の劣化を抑制することができる。特に、本実施形態で示すように、非透過ガスG31を脱水素反応器10の入力側(上流側)から入力することにより、相対的に水素の存在量が少ない当該入力側におけるコーキング現象の発生をより効果的に抑制することができる。
図2は、水素分離器30の入出力成分流量の関係を示す模式図である。図2に示すように、水素分離器30に入力される脱水素反応物V30は、水素:16.5kmol/h、その他:0.2kmol/hの流量配分であり、水素含有量が高い。水素分離器30によって分離される水素V31は、水素:13.4kmol/hであり、水素分離器30によって分離されなかった非透過ガスG31は、水素:3.1kmol/h、その他:0.2kmol/hの流量配分となる。すなわち、非透過ガスG31には、水素分離膜を透過できなかった水素が含まれており、この水素を脱水素反応器10の入力側に入力することによって、脱水素反応器10内の脱水素触媒の劣化を抑制することができる。
なお、図1において、温度コントローラ202〜204は、冷却器31〜33から出力されたガス温度を検出し、各冷却器31〜33に流入する冷却水の流量を調整することによって温度制御を行っている。ここで、冷却器31,33,34は、必要冷却能力が小さいため、クーリングタワーを介して自然冷却した冷却水を用いており、冷却器32は、必要冷却能力が大きいため、チラーを介して強制的に電気冷却した冷却水を用いている。なお、クーリングタワーを有効活用し、冷却器31,32による多段冷却を行うことによって強制冷却による電力消費が抑えられるため、装置全体のエネルギー効率を高めることができる。
また、気液分離器35,36の液化したトルエンの排出は、それぞれレベルコントローラ301,302によって排出制御される。すなわち、レベルコントローラ301,302は、それぞれ検出する液面が所定高さ以上となった場合にバルブを開いてトルエンをタンクT3に排出する。また、フローコントローラ101は、水素V32の出力流量が所定流量となるように、バルブを制御する。さらに、フローコントローラ102は、非透過ガスG31の流量が所定流量となるように、バルブを制御する。
(エネルギー効率の比較)
上述した実施の形態では、脱水素反応系1Aの蒸発器12の前段に予熱器11を設け、また、水素分離系1Bの水素分離器30の前段に、水素分離器30における水素分離により生じる差圧と水素分離器30によって分離された水素V31の外部出力の圧力とを合わせた圧力よりも高い圧力に設定されたコンプレッサP3を設け、水素分離器30の後段に製品水素出力専用のコンプレッサを削除することによって、装置全体のエネルギー効率を向上させている。ここでは、具体的なエネルギー効率の結果について説明する。図3は、予熱器11の有無、及び水素分離器30の後段に設けられる従来の製品水素出力専用のコンプレッサの有無によるエネルギー効率の結果を示す図である。図3では、予熱器11を設けず、製品水素出力専用のコンプレッサを設けた従来の構成を比較例とし、予熱器11のみを設け、従来の製品水素出力専用のコンプレッサを設けた構成を実施例1とし、予熱器11を設け、さらに従来の製品水素出力専用のコンプレッサを削除してコンプレッサP3を設けた構成を実施例2としている。
図3に示した結果では、従来の比較例のエネルギー効率が82%であり、実施例1,2でのエネルギー効率はそれぞれ84%,85%であった。なお、エネルギー効率は、低位発熱量基準の値である。この結果から、予熱器11を設け、さらに従来の製品水素出力専用のコンプレッサを削除してコンプレッサP3を設けた実施例2の構成が比較例に比して最もエネルギー効率を高めることができる。また、予熱器11のみを設けた実施例1の構成であっても比較例に比してエネルギー効率を高めることができる。
(脱水素反応処理)
なお、上述した実施の形態では、水素製造装置1の構成を示したが、上述した予熱器11によるMCH(L1)の予熱処理が含まれた脱水素反応処理が行われる水素製造方法であってもよい。図4は、この予熱処理が含まれる脱水素反応処理手順を示すフローチャートである。図4に示すように、まず、脱水素反応器10によって分解され、加熱器13によって熱交換されて降温した脱水素反応物V4の熱エネルギーを用い、液状のMCH(L1)を予熱器11によって予熱する予熱工程を行う(ステップS101)。その後、蒸発器12において、この予熱されたMCH(L2)を、熱媒体L12の熱エネルギーを用いて蒸発する蒸発工程を行う(ステップS102)。さらに、この蒸発したMCH(V1)を加熱器13によって加熱する加熱工程を行い(ステップS103)、この加熱したMCH(V2)を脱水素反応器10に入力する。そして、脱水素反応器10においてMCH(V2)を水素と脱水素物質とに分解した脱水素反応物V3を生成する脱水素反応工程を行う(ステップS104)。この予熱処理によって、装置全体のエネルギー効率を高めることができる。
(水素分離処理)
同様に、上述した実施の形態では、水素製造装置1の構成を示したが、上述した従来の製品水素出力専用のコンプレッサを削除してコンプレッサP3を設けた水素分離処理が行われる水素製造方法であってもよい。図5は、従来の製品水素出力専用のコンプレッサを削除してコンプレッサP3を設けた場合の水素分離処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、脱水素反応物V5の冷却による気液分離処理を行う(ステップS201)。その後、気液分離処理後の高い水素含有量をもつ脱水素反応物V7を昇圧して水素分離器30に出力する(ステップS202)。なお、この昇圧は、上述したように、水素分離器30における水素分離により生じる差圧200kPaと、水素分離器30によって分離された水素V31の外部出力の圧力700kPaとを合わせた圧力900kPaよりも高い圧力にする。その後、水素分離器30に入力した脱水素反応物V30の水素分離処理を行い、水素分離された水素V31の外部出力及び非透過ガスG31の脱水素反応器10の入口側への入力を行う(ステップS203)。このコンプレッサP3を設けた水素分離処理によってエネルギー効率を高めることができるとともに、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
1 水素製造装置
1A 脱水素反応系
1B 水素分離系
10 脱水素反応器
11 予熱器
12 蒸発器
13 加熱器
21 熱媒ボイラ
22 ブロア
23 空気予熱器
30 水素分離器
31,32,33,34 冷却器
35,36 気液分離器
100,101,102 フローコントローラ
200,201,202,203,204 温度コントローラ
301,302 レベルコントローラ
400 圧力コントローラ
G1 LPガス
G2 空気
G31 非透過ガス
L11,L12,L13 熱媒体
L21,L22 液化物
P1,P2 ポンプ
P3 コンプレッサ
T1,T2,T3 タンク
V3,V4,V5,V6,V7,V30 脱水素反応物
V31,V32 水素

Claims (4)

  1. 有機ハイドライドを加熱して水素と脱水素物質とに分解する脱水素反応器と、
    前記脱水素反応器から排出される熱媒体によって前記脱水素反応器に入力される前の有機ハイドライドを蒸発させる蒸発器と、
    前記蒸発器の前段に設けられ、前記脱水素反応器で生成された前記水素および前記脱水素物質を含んでなる脱水素反応物によって前記脱水素反応器に入力される前の前記有機ハイドライドを予熱する予熱器と、
    を備えたことを特徴とする水素製造装置。
  2. 前記蒸発器の後段に設けられ、前記脱水素反応物によって前記脱水素反応器に入力される前の前記有機ハイドライドを加熱する加熱器を備えることを特徴とする請求項1に記載の水素製造装置。
  3. 脱水素反応器で有機ハイドライドを加熱して水素と脱水素物質とに分解する脱水素反応工程と、
    前記有機ハイドライドの脱水素反応で生成された前記水素および前記脱水素物質を含んでなる脱水素反応物によって前記脱水素反応器に入力される前の前記有機ハイドライドを予熱する予熱工程と、
    前記予熱工程を経た有機ハイドライドを、前記脱水素反応器から排出される熱媒体によって蒸発させる蒸発工程と、を含むことを特徴とする水素製造方法。
  4. 前記蒸発工程を経た有機ハイドライドを、前記脱水素反応物によって加熱する加熱工程を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の水素製造方法。
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