JP2015533288A - 診断アッセイのための制御 - Google Patents

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Abstract

本発明は、十分な生物学的試料材料から得られた溶解物が核酸増幅反応に供されたことを制御するための方法に関し、この方法は、−溶解物を調製するために組成物を使用するステップであって、前記組成物は、少なくとも1つのアニオン性基を含む少なくとも1種の化合物(A)を含み、化合物(A)は、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅反応の阻害物質として作用するが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅反応の阻害物質として作用しない、ステップ;−前記組成物を含む溶解物を得、必要に応じてこの溶解物を清澄化するステップ;−増幅反応において前記溶解物の少なくとも一部分を使用するステップを含み、前記方法は、増幅結果を分析するステップを含む。

Description

発明の分野
本発明は、増幅反応の正確な実施を制御するための方法に関する。前記方法は、生物学的試料が診断試験に供されたことを制御することを可能にし、それにより、偽陰性アッセイ結果を同定することを可能にする。この方法は、臨床診断の分野において特に有用である。
背景
当該分野で使用される多くの診断試験は、標的核酸の増幅を含む。それぞれの増幅ベースのアッセイは、特に、生物学的試料材料中の標的核酸、例えば、病原体核酸などの存在または非存在を検出するために使用される。標的核酸が試料中に含まれる場合、増幅反応においてシグナルが得られ、それにより、その標的核酸が存在すること、および例えば、患者が特定の病原体に感染していることを示す。アッセイが正確に実施されたこと、および従って、信頼性のある結果を提供することを制御する、高い要求が存在する。
特に臨床診断の分野における主要な問題は、偽陰性結果の発生である。偽陰性は、いくつかの理由のために発生し得る。例えば、偽陰性は、増幅反応において使用される1種または複数の試薬の失敗に起因して、サーマルサイクリングの失敗に起因して、または増幅反応の阻害によって、発生し得る。しかし、偽陰性は、十分な試料材料がアッセイに供されずまたは十分でない試料材料がアッセイに供されたことにも起因し得る。試料材料の移動は、特にハイスループット適用において、自動化プラットフォームを使用してそれぞれの試験を実施する場合、重要なステップである。例えば、スワブ試料などの生物学的試料は、拭き取り、振盪または類似の手段によって、溶解組成物中に移される。かかる移動はエラーを起こしやすい。なぜなら、試験結果の有効な解釈を可能にするには、十分な試料材料が移動されないまたは十分でない試料材料が移動される可能性があるためである類似の問題が、液体生物学的試料を取り扱う場合にも発生し得る、例えば、ピペッティングする場合にエラーが発生する。偽陰性の発生は、例えば、必要な処置が、時期が来ても開始できず、または特定の病原体に感染した被験体が適切に同定されないため、臨床診断の分野における主要な問題である。例えば、病院では、来院する患者は、MRSAなどの特定の病原体の存在について慣用的にスクリーニングされる場合が多く、陽性結果の場合、隔離される。かかる状況では、偽陰性は、疾患/病原体を蔓延させる。
増幅反応の失敗に起因する偽陰性アッセイ結果を同定するために、各増幅反応中に内部対照を含めることが、先行技術において一般的である。従って、各分析された生物学的試料について、それぞれの内部対照は通常、増幅反応中に含まれる。内部対照として、核酸、例えばDNAまたはRNA(逆転写増幅の場合)が、一般に使用される。それぞれの内部対照核酸は、増幅反応に別々に添加されるか、または増幅を実施するために使用される試薬中に直接含まれ得るかのいずれかである。例えば、それぞれの内部対照は、増幅マスターミックス中に含まれ得る。それぞれの内部対照を検出するためのプライマーおよび/またはプローブもまた添加される。同様に、これらは、増幅反応に別々に添加され得るか、または増幅マスターミックス中に含まれ得る。増幅反応が適切に機能する場合、増幅シグナルが得られ、それにより、増幅反応が有効であることが示される。それにより、増幅反応の失敗に起因する偽陰性は、増幅反応が正確に機能しなかった場合に内部対照についての増幅シグナルが得られないため、適切に同定され得る。
しかし、それぞれの内部対照は、十分な試料材料がアッセイに供されずまたは十分でない試料材料がアッセイに供されたために発生する偽陰性を同定することができない。なぜなら、この場合にも、内部対照が生物学的試料とは別々に増幅反応に添加されるため、該内部対照についての増幅シグナルが得られることになるからである。しかし、増幅アッセイにおける十分な試料材料の欠如は、偽陰性結果をもたらす重要なエラー供給源であり得る。特に、ロボットシステムを使用して実施される自動化プロトコールは、かかるエラーをし易い。これは例えば、試料移動、例えばピペッティングが正確に機能せず、そのことが、信頼性のある結果を提供するには、十分な試料材料がアッセイに供されずまたは十分でない試料材料がアッセイに供されたという結果をもたらし得るからである。かかる問題は、特にハイスループット適用において、試料が手動で処理される場合にも発生する。さらに、例えばスワブ試料などの多くの試料型について、試料材料の移動は特に困難である。十分な試料材料が溶解反応に供されず、従って増幅反応に供されない場合、これは、そのアッセイにおいて偽陰性結果をもたらす。
従って、偽陰性、従って、十分な試料材料が増幅ベースの分析アッセイに供されなかったことに起因する無効アッセイを同定することを可能にする方法に対する高い需要が存在する。
先行技術の方法の少なくとも1つの欠点を克服することが目的である。特に、生物学的試料材料が増幅ベースのアッセイ中に含まれていたことを制御するための単純な方法を提供することが、本発明の目的である。さらに、不十分な試料材料がアッセイに供されたために発生する偽陰性を同定することを可能にする改善された増幅アッセイを提供することが、本発明の目的である。
発明の要旨
本発明者らは、十分な生物学的試料材料がアッセイに供されなかった場合には増幅反応を阻害するが、十分な生物学的試料材料がアッセイに供された場合には増幅反応を阻害しない化合物を溶解物中に含めることで、有効量の試料材料が増幅アッセイ中に含まれていたことを制御することが可能になり、従って、アッセイ結果が信頼性のあるものであることを決定することが可能になることを見出した。本発明に従う方法では、増幅シグナルは、有効量の生物学的試料材料が溶解物を調製するために使用された場合にのみ得られる。有効量の試料材料が使用されなかった場合、増幅シグナルは得られない。それにより、本発明は、生物学的試料材料がアッセイに供されなかった場合または不十分な量の生物学的試料材料がアッセイに供された場合に発生し得る偽陰性を同定することを可能にする、信頼性のある制御方法を提供する。それにより、増幅ベースの分析アッセイ、特に診断アッセイの安全性を改善する、価値あるさらなる制御が提供される。
従って、第1の態様によれば、十分な生物学的試料材料から得られた溶解物が核酸増幅反応に供されたことを制御するための方法が提供され、この方法は、
a)溶解物を調製するために組成物を使用するステップであって、この組成物は、少なくとも1種の化合物(A)を含み、化合物(A)は、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅反応を阻害するが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅反応を阻害しない、ステップ;
b)この溶解物を必要に応じてさらに処理するステップ;
c)増幅反応においてこの溶解物の少なくとも一部分を使用するステップ
を含み、前記方法は、増幅結果を分析するステップを含み、増幅反応中の化合物(A)の存在に起因して、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅シグナルが得られないが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅シグナルが得られる。
本発明に従う方法は、有効量の試料材料が溶解物を調製するために使用されたこと、従って、増幅アッセイに供されたことを制御することを可能にする。本発明に従う方法では、生物学的試料材料から得られた溶解物は、増幅反応において直接使用される。従って、増幅反応を実施する前に核酸精製は実施されない。この方法は迅速であり、僅かな調製ステップのみを必要とし、さらに、試薬のための費用を節約するので、増幅反応を実施する前に核酸精製が実施されないことは、有利である。従って、本発明に従う増幅方法は、ハイスループット適用に特に適切であり、さらに、自動化およびラブオンチップ(lab−on−a−chip)(LoC)アプローチに特に適切である。増幅反応に供される溶解物が十分な生物学的試料材料を使用して実際に調製されたことは、溶解の間の化合物(A)の使用に起因して、制御される。増幅シグナルは、有効量の生物学的試料材料が溶解物を得るために使用された場合にのみ得られる。有効量の試料材料が使用されなかった場合、この場合には化合物(A)が増幅反応を阻害するので、増幅シグナルは得られない。次いで、増幅結果が、偽陰性結果を同定するために分析される。それにより、本発明は、溶解物を得るために十分な試料材料が添加されずまたは溶解物を得るために十分でない試料材料が添加されたために生じ得る偽陰性結果を同定することを可能にすることによって、アッセイの精度を改善する適切な制御方法を提供する。
第2の態様によれば、溶解物を増幅反応に供するステップを含む、核酸を増幅するための方法が提供され、前記増幅反応は、少なくとも1つのアニオン性基を含む少なくとも1種の化合物(A)を含み、化合物(A)は、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅反応を阻害するが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅反応を阻害せず、前記方法は、増幅結果を分析するステップを含み、増幅反応中の化合物(A)の存在に起因して、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅シグナルが得られないが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅シグナルが得られる。
本願の他の目的、特徴、利点および態様は、以下の記載および添付の特許請求の範囲から、当業者に明らかとなる。しかし、以下の記載、添付の特許請求の範囲および具体的な実施例は、本願の好ましい実施形態を示しているものの、例示のみの目的で提供されていることを理解すべきである。開示された本発明の精神および範囲内の種々の変化および改変は、以下を読めば、当業者に容易に明らかとなる。
図1は、血液試料を添加することによって得られた溶解物を使用したPCR増幅結果(実線)または血液の添加なしで得られた溶解物を使用したPCR増幅結果(点線)を示す図である(実施例1を参照のこと)。 図2は、−標的核酸の存在にも関わらず−溶解の間に生物学的試料が添加されなかった場合に増幅シグナルが得られないことを示すPCR増幅結果を示す図である(実施例2を参照のこと)。
発明の詳細な説明
本発明は、十分な生物学的試料材料から得られた溶解物が核酸増幅反応に供されたことを制御するための方法を提供し、この方法は、
a)溶解物を調製するために組成物を使用するステップであって、前記組成物は、好ましくは少なくとも1つのアニオン性基を含む少なくとも1種の化合物(A)を含み、化合物(A)は、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅反応を阻害するが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅反応を阻害しない、ステップ;
b)この溶解物を必要に応じて処理するステップ;
c)増幅反応においてこの溶解物の少なくとも一部分を使用するステップ
を含み、前記方法は、増幅結果を分析するステップを含み、増幅反応中の化合物(A)の存在に起因して、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅シグナルが得られないが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅シグナルが得られる。
本明細書で使用される、用語「十分な試料材料がない」および類似の表現は、特に、増幅反応の信頼性のある実施を可能にするために、溶解物を得るために試料材料が添加されなかったこと、または十分でない試料材料が添加されたことのいずれかであるシナリオを指す。
これらの方法ならびにその好ましい実施形態の個々のステップは、ここで詳細に記載される。
ステップa)では、溶解物が得られる。溶解物の調製は、好ましくは少なくとも1つのアニオン性基を含む少なくとも1種の化合物(A)を含む組成物の使用を含む。化合物(A)は、十分な生物学的試料材料が溶解物の調製の間に添加されなかった場合には、増幅反応の阻害物質として作用する。しかし、化合物(A)は、十分な生物学的試料材料が溶解物を得るために添加された場合には、増幅反応の阻害物質として作用しない。それにより、試料材料の無効な移動(十分な試料材料がないまたは十分でない試料材料)に起因する偽陰性は、確実に同定され得、無効試験結果として報告され得る。2種以上、従って複数の化合物(A)もまた、溶解物の調製の間に使用され得る。
好ましくは、この溶解物は、生物学的試料を適切な溶解組成物と接触させることによって調製される。好ましくは溶解溶液である前記溶解組成物は、生物学的試料の溶解を促進する少なくとも1種の試薬を含み得る。好ましくは、この溶解組成物は、前記目的のために界面活性剤を含む。適切な実施形態は、引き続いて記載される。好ましくは、化合物(A)は、生物学的試料を溶解させるために使用される溶解組成物中に含まれる。溶解溶液の組成に依存して、溶解は直接開始され得る。好ましくは、生物学的試料の溶解は、溶解物を提供するための熱インキュベートステップによって促進され、従って補助される。適切かつ好ましい溶解方法もまた、以下に記載される。
少なくとも1種の化合物(A)が溶解物の調製の間に使用され、核酸精製が実施されないために、化合物(A)は、得られた溶解物中にも含まれる。ステップb)では、得られた溶解物は、必要に応じて処理、例えば清澄化される。必要に応じて前もって清澄化された、得られた溶解物の少なくともアリコートは、ステップc)において増幅反応に供される。それにより、化合物(A)はまた、増幅反応へと移され、そこで、化合物(A)は、十分な量の生物学的試料が溶解のために添加されなかった場合に阻害物質として作用する。
決定的な効果を得るために適切な溶解物中の化合物(A)の濃度は、特に、使用される化合物(A)、処理される試料材料の型および量、ならびにさらには、引き続く増幅反応に供される溶解物の量に依存する。化合物(A)の濃度は、溶解物が増幅反応に供される場合に、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には化合物(A)が増幅反応を阻害するが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には化合物(A)が増幅反応を阻害しないように、選択すべきである。溶解物中の化合物(A)の適切な濃度は、増幅反応に供される溶解物の量に強く依存する。例えば、得られた溶解物の小さいアリコートのみが水性増幅反応に添加される場合、増幅反応中の化合物(A)の濃度は、溶解物と比較して希釈される。かかる場合、小さい体積の溶解物のみが増幅反応に供された場合であっても、溶解物を得るために十分な試料材料が添加されなかった場合または溶解物を得るために十分でない試料材料が添加された場合に増幅反応を阻害できる濃度で、化合物(A)が増幅反応中に存在することを確実にするように、より高い濃度の化合物(A)が溶解物中に存在すべきである。かかる希釈効果は、引き続いて記載されるように、溶解物が、例えば増幅試薬を含む乾燥試薬組成物を再構成するために使用される場合には、発生しないか、またはより低い程度まで発生する。かかる場合、増幅反応の顕著な体積は、再構成に使用される溶解物に起因し得る。さらに、化合物(A)の濃度は、十分な試料材料から得られた溶解物のアリコートが増幅反応に供される場合に増幅反応が阻害されないことを確実にするのに十分に低くなければならない。個々の状況に適切な濃度は、化合物(A)の個々の実施形態、処理される生物学的試料材料の量および型、ならびに増幅反応中に移される溶解物体積について、本明細書に記載される教示に従って慣用的な実験を使用して決定され得る。
一実施形態によれば、化合物(A)は、十分な生物学的試料材料が溶解のために添加された場合に、増幅反応を阻害しないだけではない。好ましくは、化合物(A)は、生物学的試料の溶解の間に放出される阻害物質を枯渇させることによって、増幅反応を改善する。本明細書で使用される阻害物質の用語「枯渇」および類似の用語は、広義で使用され、作用の様式に関する制限を含まない。特に、前記用語は、例えば、化合物(A)による阻害物質の非特異的結合、例えば複合体化などを含む。生物学的試料から放出される阻害物質は、引き続く増幅反応が、溶解の間に化合物(A)が使用されない場合(十分な生物学的試料材料が溶解のために添加された場合)と比較して、溶解の間の化合物(A)の添加に起因して改善された性能を示す場合、この意味で枯渇されている。この好ましい実施形態では、化合物(A)は、生物学的試料の溶解の間に放出される阻害物質の阻害作用を、基本的に阻害または相殺する。溶解の間に生物学的試料から放出される阻害物質を枯渇させることによって、好ましくは、生物学的試料の溶解の間に放出される阻害物質を非特異的に複合体化することによって、化合物(A)は、増幅反応の阻害を防止または低減させる。従って、好ましくは、化合物(A)は二重の機能を果たす。溶解物の調製の間に十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合または十分でない生物学的試料材料が添加された場合、化合物(A)は、増幅反応を阻害する濃度で増幅反応中に存在し、それにより、十分な生物学的試料材料が溶解のために添加されずまたは十分でない生物学的試料材料が溶解のために添加されたために発生する偽陰性を同定することが可能になる。しかし、十分な生物学的試料材料が溶解のために添加される場合、化合物(A)は、溶解の間に生物学的試料から放出される増幅阻害物質を枯渇させ、即ち「不活性化」し、それにより、引き続く増幅反応の性能を改善する。例えば、生物学的試料に通常由来し、溶解の間に放出される典型的な増幅阻害物質には、プロテオグリカン、タンパク質および糖が含まれるがこれらに限定されない。得られた溶解物が、増幅反応に供される核酸の事前の精製を伴わない本発明の方法では、溶解の間に生物学的試料から放出されるそれぞれの増幅阻害物質が引き続く増幅を妨害しないことを確実にすることが重要である。両方の機能を提供する化合物(A)の適切な実施形態は、以下に記載される。
好ましくは、化合物(A)は、生物学的試料から放出される増幅阻害物質を結合または他の方法で複合体化し、それにより、得られた溶解物中のこれらの阻害物質を、枯渇させる、それぞれ「不活性化」することを可能にする。しかし、化合物(A)自体が増幅反応の阻害物質であるので、化合物(A)は、十分な試料材料が溶解のために添加されなかった(例えば、ないかまたは十分でない)場合には、増幅反応を阻害する。この場合、十分な量の阻害物質が溶解の間に放出されずまたは十分でない量の阻害物質が溶解の間に放出され(no or no sufficient amount of inhibitors is released during lysis)、従って、阻害物質が化合物(A)によって結合もしくは複合体化され得ない。この場合、化合物(A)は、増幅シグナルが得られないように増幅反応を妨害する濃度で、増幅反応の間、利用しやすいままであるか、または他の方法で「遊離」のままである。理論に束縛されないが、増幅反応に対する化合物(A)の阻害作用は、溶解の間に生物学的試料から放出される増幅阻害物質によって、基本的に「中和」されると考えられる。化合物(A)は、生物学的試料から放出される阻害物質と複合体を形成するまたは他の方法で会合し、前記相互作用が、両方の阻害物質(化合物(A)、および生物学的試料から放出される阻害物質)の阻害作用を幾分か排除または低減すると考えられる。しかし、十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合(これは偽陰性結果を生じ得る)、化合物(A)の阻害活性(これは次いで、生物学的試料から放出される阻害物質によって十分には「中和」されない)が優勢であり、次いで、化合物(A)は、増幅シグナルが得られないように増幅反応を阻害する。従って、処理される試料材料の量および化合物(A)の濃度は、試料材料および/または溶解の間に試料材料から放出される阻害物質が、溶解物、それぞれその規定された一部分が増幅反応に供される場合に増幅反応が実施され得る程度まで化合物(A)の阻害活性を低減するように、調整される。増幅反応が阻害されるかどうかを分析することによって、十分な量の試料材料がアッセイに供されずまたは十分でない量の試料材料がアッセイに供されたために発生する無効増幅反応(偽陰性)が同定され、それぞれの増幅反応が、無効として報告または分類され得る。
化合物(A)は、好ましくは、少なくとも1つのアニオン性基を含む。前記少なくとも1つのアニオン性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基およびリン酸基からなる群から選択され得る。好ましくは、化合物(A)は、少なくとも1つのカルボキシル基および/またはスルホン酸基を含む。化合物(A)は、ベタインまたはスルホベタインであり得る。
好ましくは、化合物(A)は、カルボキシレート含有モノマーを含む水溶性ポリアニオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤および両性イオン性界面活性剤からなる群から選択される。実施例によって示されるように、それぞれの化合物は、生物学的試料から放出される阻害物質を枯渇させる、例えば複合体化するので、化合物(A)としての使用に十分適切であり、それにより、十分な生物学的試料材料が溶解のために添加された場合には増幅反応を改善するが、溶解物を調製するために十分な量の試料材料が使用されなかった場合または溶解物を調製するために十分でない量の試料材料が使用された場合には増幅反応を阻害するが、これは、この場合、増幅反応に対する化合物(A)の阻害作用を「中和」するために、生物学的試料に由来する十分な阻害物質が存在せずまたは生物学的試料に由来する十分でない阻害物質が存在するからである。従って、それぞれの化合物は、上記のように二重の機能を有するので、化合物(A)としての使用に好ましい。化合物(A)の濃度は、この結果を達成するために、処理される試料材料の量および増幅反応に供される溶解物の量に対して調整される。個々の状況に適切な濃度は、本明細書に記載される教示に従って、慣用的な実験によって決定され得る。
一実施形態によれば、化合物(A)は、カルボン酸基を含む水溶性ポリアニオン性ポリマー、例えば、ポリアクリル酸(ポリ(アクリル酸)即ちPAA)などである。実施例に示されるように、カルボン酸基を含むそれぞれの水溶性ポリアニオン性ポリマーがステップa)において添加されるそれぞれの溶解手順を使用することにより、増幅反応において直接使用され得る溶解物が提供される。生物学的試料に由来する増幅反応の阻害物質は、水溶性ポリアニオン性ポリマーの添加に起因して有利に枯渇され、これは、非特異的複合体形成によると想定される。PAAなどの前記ポリマーが阻害物質を枯渇させるために単独で使用される場合でさえ、優れた結果が達成される。従って、溶解の間の、カルボン酸基を含む水溶性ポリアニオン性ポリマーの取り込みは、−生物学的試料が有効に添加された場合−前記ポリマーが溶解の間に使用されていない場合と比較して、改善された性能を増幅反応が示すという効果を有する。しかし、それぞれの水溶性ポリアニオン性ポリマー、例えばポリアクリル酸などは、それ自体がPCR阻害物質である。従って、ポリアクリル酸などの、カルボン酸基を含むそれぞれの水溶性ポリアニオン性ポリマーが、生物学的試料から放出されるPCR阻害物質の阻害効果を低減させるために使用され得、それにより、増幅反応の性能が改善されることは、それ自体非常に予測できないことであった。この二重の機能はここで、生物学的試料が溶解物調製の間に添加されたことの信頼性のある制御を提供するために、本発明において使用される。十分な量の生物学的試料が添加されずまたは十分でない量の生物学的試料が添加されたために、増幅反応に対する前記ポリマーの阻害活性が優勢であり、これは、増幅シグナルが得られないという効果を有する。しかし、生物学的試料が有効に添加された場合、少なくとも2つの有利な効果が得られる。第1には、ポリマーの阻害活性が、生物学的試料から放出される阻害物質に起因して克服され、それにより、生物学的試料材料が有効に添加されたこと、およびアッセイが正確に実施されたことが示される。さらに、この場合、増幅反応が改善されるが、これは、生物学的試料から放出される阻害物質が、このポリマーによって効果的に枯渇され、それにより、増幅反応を改善し、得られた溶解物が増幅反応において直接−即ち中間の核酸単離なしに−使用され得ることを可能にするからである。
従って、本発明の教示に従い、生物学的試料の溶解の間にカルボン酸基を含む水溶性ポリアニオン性ポリマーを添加する場合、核酸増幅反応において核酸の事前の単離なしに使用され得、同時に、十分な試料材料が溶解の間に添加されたことの信頼性のある一体化制御を提供する、溶解物が提供され得る。得られた溶解物は、増幅反応へとかなり大きい量でさえも添加され得る。かなり大きい量の溶解物が増幅反応へと移され得ることは特に有利であるが、これは、それにより、例えばより多くの核酸が溶解物と共に分析方法へと移されるので、増幅の感度が改善され得るからである。これは、診断適用のために特に有利である。
カルボキシレート含有モノマーを含む、例えば好ましくはアクリル酸、メタクリル酸および/またはマレイン酸を含むコポリマーを含む水溶性ポリアニオン性ポリマーが、本発明の範囲内で優先される。一実施形態によれば、化合物(A)として使用される前記ポリマーは、2つの型のモノマーのみを含む。好ましくは、1つの型のモノマーのみが、水溶性ポリアニオン性ポリマー中に含まれる。
好ましい一実施形態では、化合物(A)は、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸およびポリ(アクリル酸−co−マレイン酸)から選択される。最も好ましくは、ポリアクリル酸が使用される。実施例に示されるように、ポリアクリル酸は、十分な試料材料が溶解の間に使用されなかった場合には増幅を阻害することにおいて非常に効率的であるが、生物学的試料材料が溶解の間に有効に添加された場合には、溶解の間に放出される阻害物質を枯渇させることによって、増幅反応の阻害を防止することにおいて非常に効率的である。
コポリマーが化合物(A)として使用される場合、このコポリマーは、カルボキシレートを含まない極性モノマーをさらに含み得る。それぞれの極性モノマーの例は、ラクチドおよび/またはビニルピロリドンを包含する。一実施形態によれば、前記ポリマーは、1つの型のそれぞれの極性モノマーのみを含む。一実施形態によれば、このコポリマーは、ポリ(アクリル酸−co−ラクチド)、ポリ(アクリル酸−co−ビニルピロリドン)、ポリ(マレイン酸−co−ラクチド)、ポリ(マレイン酸−co−ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸−co−マレイン酸−co−ラクチド)またはポリ(アクリル酸−co−マレイン酸−co−ビニルピロリドン)である。さらに、このコポリマーは、カルボキシレートを含まないアニオン性モノマーをさらに含み得る。一実施形態によれば、このコポリマーはブロックコポリマーである。複数の異なる化合物(A)、例えばカルボン酸基を含む複数の水溶性ポリアニオン性ポリマーもまた、使用され得る。
この水溶性ポリアニオン性ポリマーの分子量は、好ましくは、溶解混合物中、好ましくはまたそこに含まれている場合には水性溶解組成物中に溶解形態でこのポリマーが存在するように、選択される。化合物(A)として使用され得る少なくとも1種の水溶性ポリアニオン性ポリマーの平均分子量は、好ましくは、2,000Da〜500,000Da、5,000Da〜475,000Da、10,000〜450,000Da、25,000〜400,000Da、35,000〜350,000Da、50,000Da〜300,000Da、75,000〜300,000Da、100,000Da〜300,000Da、150,000〜300,000Daおよび200,000Da〜275,000Daの範囲から選択される。好ましい一実施形態では、この平均分子量はおよそ250,000Daである。
上記のように、溶解物中の化合物(A)、従って水溶性ポリアニオン性ポリマーまたはその混合物の濃度は、所望の量の溶解物が増幅反応へと移される場合、溶解物を得るために十分な試料材料が添加されなかった場合には増幅反応を阻害するが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅反応を阻害しないように、選択すべきである。個々の場合に適切な濃度は、本明細書に記載される教示に従って、慣用的な実験によって決定され得る。詳細については上記の開示が参照される。
一実施形態によれば、化合物(A)として使用される水溶性ポリアニオン性ポリマーまたは水溶性ポリアニオン性ポリマーの混合物は、0.01%(w/v)〜1%(w/v)、0.02%(w/v)〜0.5%(w/v)、0.025%(w/v)〜0.3%(w/v)、0.035%(w/v)〜0.2%(w/v)および0.04%(w/v)〜0.15%(w/v)から選択される濃度で、水性溶解組成物中に含まれる。それぞれの濃度は、実施例に記載されるように、かなり大きい量の溶解物を増幅反応へと移動させる場合、例えば、増幅試薬を含む乾燥試薬組成物を再構成するために溶解物を使用する場合、特に適切である。より高い濃度は、溶解物が、例えば水を添加することによって、再構成の間に水もしくは別の適切な溶媒をさらに使用することによって、または少量の溶解物のみを水性増幅反応へと移動させることによって希釈される場合に、使用され得る。溶解物中の化合物(A)の濃度は、所望の量の溶解物を増幅反応に供すると、化合物(A)が、溶解物を得るために十分な試料材料が添加されなかった場合には増幅反応を阻害するが、溶解物を得るために十分な試料材料が添加された場合には増幅反応を阻害しない濃度で、前記増幅反応中に存在するようにすべきである。一実施形態によれば、化合物(A)は、0.025%(w/v)〜0.15%(w/v)、0.03%(w/v)〜0.1%(w/v)、0.03%(w/v)〜0.075%(w/v)および0.035%(w/v)〜0.05%(w/v)から選択される濃度で、試料に添加される水性溶解組成物中に含まれる。それぞれの濃度は、乾燥試薬組成物を再構成するために、化合物(A)としてポリアクリル酸を使用する場合、特に適切である。
一実施形態によれば、化合物(A)は、アニオン性または両性イオン性界面活性剤である。化合物(A)は、溶解組成物中に含まれ得る。上記のように、溶解物中の化合物(A)、従ってアニオン性または両性イオン性界面活性剤の濃度は、所望の量の溶解物が増幅反応中に移される場合、溶解物を得るために十分な試料材料が添加されなかった場合には増幅反応を阻害するが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅反応を阻害しないように、選択すべきである。個々の場合に適切な濃度は、本明細書に記載される教示に従って、慣用的な実験によって決定され得、特に、試料材料の型、処理される試料材料の量、および増幅反応に供される溶解物の量に依存する。詳細については上記の開示が参照される。適切な濃度は、0.01%(w/v)〜5%(w/v)、0.05%(w/v)〜2%(w/v)、0.075%(w/v)〜1%(w/v)および0.1%(w/v)〜0.5%(w/v)から選択され得る。それぞれの濃度は、実施例に記載されるように、かなり大きい量の溶解物を増幅反応へと移動させる場合、例えば、増幅試薬を含む乾燥試薬組成物を再構成するために溶解物を使用する場合、特に適切である。より高い濃度は、上にも記載したように、溶解物が、例えば水を添加することによって、再構成の間に水もしくは別の適切な溶媒をさらに使用することによって、または少量の溶解物のみを水性増幅反応へと移動させることによって希釈される場合に、使用され得る。それぞれの界面活性剤は、生物学的試料材料の溶解もまた補助するので、化合物(A)として該界面活性剤を使用することは有利である。好ましくは、前記界面活性剤はスルホン酸基を含む。一実施形態によれば、この界面活性剤は、ベタイン、好ましくはスルホベタインである。この界面活性剤は、テトラデシル誘導体であり得る。一実施形態によれば、溶解物を調製するために使用される組成物は、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート(スルホベタイン(Sulfobetain)3−14;SB3−14;CAS番号14933−09−6)を含む。実施例によって示されるように、前記化合物は、本発明における化合物(A)としての使用に非常に適している。それぞれの界面活性剤は、別の化合物(A)、例えば、上記水溶性ポリアニオン性ポリマーと組み合わせても使用され得る。
化合物(A)は、溶解物を調製するために使用される組成物中に含まれる。従って、前記組成物は、溶解の間に添加され、従って、増幅反応に次いで供される得られた溶解物中に含まれる。好ましくは、前記組成物は水性組成物である。
好ましい一実施形態によれば、化合物(A)は、生物学的試料を溶解するために使用される溶解組成物中に含まれる。ある特定の実施形態では、前記溶解組成物は、試料収集媒体としても使用される。
好ましい一実施形態によれば、溶解物を調製するために使用される溶解組成物は、水性溶解組成物である。前記溶解組成物は、好ましくは、界面活性剤を含む。界面活性剤は、試料の溶解を支持し、タンパク質凝集物を溶解させる。また、界面活性剤の混合物が使用され得る。一実施形態によれば、化合物(A)は、上記のような界面活性剤である。この場合、化合物(A)はさらに、界面活性剤の機能を提供し、溶解を補助する。この場合、処理される試料にも依存して、さらなる界面活性剤が使用されてもされなくてもよい。
一実施形態によれば、非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組合せが、水性溶解組成物中に含まれる。一実施形態によれば、この水性溶解組成物および、また溶解混合物は、非イオン性界面活性剤(複数可)のみを含む。この目的に適切な物質は、原則として、試料が有効に添加された場合に得られた溶解物を用いて引き続く核酸分析方法を実施することを可能にする、任意の非イオン性表面活性物質である。この非イオン性表面活性物質は、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリソルベートおよびアルキルフェノールエトキシレート、好ましくはポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリソルベートならびに/またはポリオキシエチレンアルキル−フェニルエーテルからなる群から選択され得る。
用語「脂肪アルコール」は、特に、本発明の目的のために、6〜22個の炭素原子、好ましくは8〜20個の炭素原子、優先的に10〜18個の炭素原子、特に好ましくは12〜18個の炭素原子の鎖長を有するアルコールを意味する。12、14、16または18個の炭素原子を有するアルコールが、特に好ましい。脂肪アルコールはモノ不飽和またはポリ不飽和であり得るが、好ましくは飽和脂肪アルコールである。用語「ポリオキシエチレン」は、特に、本発明の目的のために、HO−(CH2CH2O)n単位を意味し、nは、好ましくは2〜150の整数、さらに好ましくは4〜120の整数、なおさらに好ましくは8〜80の整数、最も好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49および50から選択された整数である。
適切なポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルの好ましい例は、単独でまたは混合物として使用され得る、ポリエトキシ化ラウリル、セチル、オレイルまたはステアリルアルコールである。本発明の好ましい一実施形態によれば、少なくとも1つのポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルは、6〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコール部分および2〜150個の(CHCHO)単位を有するポリオキシエチレン部分を含む。好ましくは、このポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルは、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル(Brij−58)、ポリオキシエチレンステアリルエーテルおよび/またはポリオキシエチレンオレイルエーテルからなる群から選択される。
アルキルグルコシドとして、好ましくは、ポリソルベートの群由来の非イオン性表面活性物質、好ましくはポリソルベート20(Tween 20)、ポリソルベート40またはポリソルベート80、より好ましくはポリソルベート20が使用される。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの好ましい例には、ノニルフェノールエトキシレート(Tergitol)、ポリエチレングリコールp−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニルエーテル(Triton X−100)およびノニルフェニルポリエチレングリコール(Nonidet P−40)が含まれる。
一実施形態によれば、少なくとも2種の非イオン性界面活性剤が、組み合わせて使用される。好ましくは、アルキルグルコシド、好ましくはポリソルベートとポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとが、組み合わせて使用される。
一実施形態によれば、この非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート20(Tween 20)、Tergitol、Triton X−100、Brij−58およびNonidet P−40からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも2種のそれぞれの非イオン性界面活性剤が、水性溶解組成物中に含まれる。それぞれの溶解組成物中の非イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤の組合せの濃度は、好ましくは、0.05%(v/v)〜5%(v/v)、0.1%(v/v)〜3%(v/v)、0.15%(v/v)〜2.5%(v/v)、0.2%(v/v)〜2%(v/v)、0.3%(v/v)〜1.5%(v/v)および0.4%(v/v)〜1%(v/v)から選択される。好ましくは、Tween 20および/またはNonidet P−40、好ましくは両方の組合せが、水性溶解組成物中に含まれる。好ましくは、溶解混合物中の非イオン性界面活性剤(複数可)または全ての界面活性剤の全体的濃度は、≦5%、好ましくは≦3%(v/v)、より好ましくは≦2%(v/v)である。
好ましくは、水性溶解組成物は、少なくとも1種の緩衝剤を含む。この緩衝剤は、例えば増幅反応などの引き続く分析方法を実施するために必要とされるpH範囲と匹敵するpH範囲において、水性溶解組成物、および好ましくはまた得られた溶解物を緩衝化することが可能でなければならない。これは、溶解物のpHが、溶解に使用される水性組成物によって強く影響される場合、この溶解物は、核酸の事前の精製なしに引き続く分析方法において直接使用される。好ましくは、緩衝剤は、組成物のpHが、7〜11、7.5〜10、7.75〜9.5および8.0〜9から選択される範囲にあるように、この水性溶解組成物中で使用される。さらに、好ましくは、得られた溶解物もまた、前記範囲に入るpH値を有する。それぞれ、緩衝化された水性溶解組成物は、核酸増幅反応を実施するために適切な溶解物を提供するために、特に適切である。
この緩衝剤は、5mM〜150mM、7.5mM〜125mM、10mM〜100、10mM〜80mMおよび10mM〜50mMから選択される濃度で、水性溶解組成物中に含まれ得る。好ましくは、緩衝物質は、Tris、MOPS、HEPES、リン酸塩およびホウ酸塩からなる群から選択され、より好ましくは、Trisおよびホウ酸塩から選択される。
一実施形態によれば、この溶解組成物は、好ましくは二価カチオンをキレートするのに適切な、少なくとも1種のキレート剤を含む。それぞれのキレート剤は、分解から核酸を保護するのに適切である。適切なキレート剤には、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジニトリロ四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)およびN,N−bis(カルボキシメチル)グリシン(NTA)が含まれるがこれらに限定されない。好ましい一実施形態によれば、EDTAが使用される。本明細書で使用する場合、用語「EDTA」は、EDTA化合物、例えば、KEDTA、KEDTAまたはNaEDTAなどのEDTA部分を、とりわけ示す。EDTAなどのキレート剤を使用することは、DNaseおよびRNaseなどのヌクレアーゼが阻害されるという有利な効果を有する。一実施形態によれば、このキレート剤は、水性溶解組成物中に含まれる。このキレート剤は、好ましくは、水性溶解組成物中で、0.5mM〜5mM、好ましくは0.75mM〜2mM、最も好ましくは1mM〜1.5mMの濃度で用いられる。好ましくは、EDTAが使用される。
さらなる添加剤が、溶解混合物および/または溶解組成物中に取り込まれ得る。例えば、放出された核酸を分解から保護する添加剤が使用され得る。例えば、適切なDNase阻害物質および/またはRNase阻害物質が添加され得る。RNase阻害物質の取り込みは、特に、RNAは分解に対して非常に感受性であるので、RNAが対象の核酸である場合に、推奨される。適切な保護剤は、先行技術で公知であり、従って、本明細書中ではいかなる詳細な記載は必要ない。溶解された試料が増幅反応に直接供される場合、実施された溶解が、増幅の性能を阻害する濃度で1種または複数の増幅阻害物質を含む溶解物を生じないことを確実にすることが重要である。
上記のように、上記化合物(A)、例えば好ましくはPAAおよびSB3−14は、生物学的試料の溶解の間に放出される阻害物質を枯渇させる。これらは、生物学的試料から放出される増幅阻害物質を枯渇させるために、単独で使用され得る。しかし、所望の場合、さらなる添加剤が添加され得、それぞれ、溶解の間に含まれ得、溶解の間に生物学的試料から放出される阻害物質を枯渇させることによって、増幅の阻害もまた防止または低減させる。また、2種以上の添加剤が、前記目的のために使用され得る。阻害物質を枯渇させるためにさらなる化合物を使用することは、例えば、阻害物質に富んだ試料または特定の試料型を処理する場合、有利であり得る。それにより、増幅結果が改善され得る。一実施形態によれば、阻害物質を枯渇させることによって引き続く増幅反応の阻害を防止または低減させる前記さらなる添加剤自体は、生物学的試料が溶解の間に添加されたか否かに関わらず、使用される濃度では増幅反応を阻害しない。それにより、それぞれの添加剤は、本発明の意味において、化合物(A)から識別され得る。さらに、それぞれのさらなる添加剤は、化合物(A)の機能を妨害しない濃度で使用される。試料から放出される阻害物質もまた枯渇させる、それぞれ「不活性化」するかかるさらなる化合物を使用する場合、化合物(A)が上記のように生物学的試料から放出される阻害物質とも結合する場合、より少ない阻害物質が化合物(A)との相互作用のために利用可能である。かかる場合、溶解物中の化合物(A)の濃度が、所望の量の溶解物が増幅反応中に移されるとき、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合に化合物(A)が増幅反応を阻害しないようになおも選択されることを、確実にすべきである。従って、さらなる阻害物質枯渇化化合物が使用される場合、化合物(A)の濃度は、調整される必要がある場合がある。上記のように、個々の場合に適切な濃度は、本明細書に記載される教示に従って、慣用的な実験によって決定され得る。
一実施形態によれば、ポリマーは、阻害物質を枯渇させるために、さらに使用され、それは結合剤および/または増粘剤として作用する。前記結合剤および/または増粘剤は、好ましくは水溶性であり、水性溶解組成物中に取り込まれる。この結合剤および/または増粘剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリオキサゾリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールおよびLuvitecからなる群から選択され得る。前記ポリマーは、0.01%(w/v)〜1%(w/v)、0.02%(w/v)〜0.5%(w/v)、0.025%(w/v)〜0.3%(w/v)、0.035%(w/v)〜0.2%(w/v)および0.04%(w/v)〜0.15%(w/v)から選択される濃度で、水性溶解組成物中に含まれ得る。好ましくは、このポリマーは、0.05%(w/v)〜0.15%(w/v)および0.075%(w/v)〜0.125%(w/v)から選択される濃度で、水性溶解組成物中に含まれる。一実施形態によれば、ポリビニルピロリドンが、さらなる添加剤として使用され、好ましくは、前記濃度で水性溶解組成物中に取り込まれる。阻害物質を枯渇させるために使用され得る適切な結合剤および/または増粘剤は、WO2010/003493にも記載されている。
一実施形態によれば、引き続く増幅方法の阻害物質は、アニオン性表面を有する固体支持体に阻害物質を結合させることによって枯渇される。上記のように、それぞれの阻害物質は、特に、溶解の間に生物学的試料に由来する。アニオン性表面を有する前記固体支持体がさらに使用され得、それにより、増幅結果を改善する。この固体支持体は、溶解の間に放出される阻害物質に結合するアニオン性表面を含む。用語「結合」は、広義で使用され、阻害物質と固体支持体との任意の相互作用または会合を指す。結合は、好ましくは、吸着によって達成される。阻害物質を固体支持体に結合させることによって、阻害物質は溶解物から枯渇され、引き続く増幅反応が、得られた溶解物を使用して直接実施され得る。それにより、枯渇性能が改善され得、これは、大きい量の阻害物質を含む試料にとって有利である。しかし、上記のように、より少ない阻害物質が化合物(A)との相互作用のために利用可能であり得るかかる場合、所望の量の溶解物が増幅反応中に移されるとき、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合に化合物(A)が増幅反応を阻害しないようになおも、溶解物中の化合物(A)の濃度が選択されることを確実にすべきである。
結合した阻害物質を有する固体支持体を溶解物から分離することが好ましい。それにより、引き続く取り扱いの間および/または引き続く核酸分析方法の実施の間に、阻害物質が再度放出されないことを確実にする。増幅阻害物質を結合するためのアニオン性表面を有するそれぞれの固体支持体を使用することは、溶解物を同時に清澄化することも可能にするので、有利であり得る。特にPCR阻害物質などの阻害物質に結合するアニオン性表面が、生物学的試料の溶解の間に形成され得る沈殿物もまた結合することが見出された。従って、また阻害物質を含み得るまたは阻害物質からなり得るそれぞれの沈殿物もまた、それぞれの固体支持体を使用する場合に、除去され得る。従って、一実施形態によれば、化合物(A)および/または溶解物を得るために使用される他の添加剤が、生物学的試料から放出される阻害物質を枯渇させるために単独で十分である場合にさえ、アニオン性表面を有するそれぞれの固体支持体が使用される。溶解物清澄化に関するさらなる詳細もまた、引き続いて記載される。
用語「表面」とは、本明細書で使用する場合、特に、固体支持体が液体と接触する場合に液体と接触する固体支持体の一部分を指す。この固体支持体は、増幅阻害物質を結合することを可能にするアニオン性表面を提供する。この目的のために、適切な官能基で固体支持体の表面を官能化することもまた、本発明の範囲内である。適切な例は以下に記載される。例えば、この固体支持体および/またはその表面は、アニオン性構造を形成することが可能なポリマーを含み得るまたはかかるポリマーからなり得る。例えば、コポリマーまたはターポリマーであってもよいポリアニオン性ポリマーは、アニオン性構造を形成することが可能な、ポリカルボキシレートまたはカルボキシル化ポリマーまたはポリエステルであり得る。一実施形態によれば、前記ポリマーは、例えば、ビニルメチルエーテル、無水マレイン酸、スチレン、直鎖もしくは分岐鎖アルケンまたはアクリル酸およびその誘導体に基づくカルボキシル化ポリマーである。例えば、カルボキシル官能基が必要に応じて異なる程度までエステル化され得る、スチレン、ビニルメチルエーテル、直鎖または分岐鎖アルケン、例えば、1−オクタデセンまたはイソプロペンおよびマレイン酸またはアクリル酸などに基づくポリマーが、用いられ得る。好ましい例示的なアクリル酸アルキルエステルには、以下:メチルアクリレート、エチルアクリレート、ビニルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ミリスチルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレートが含まれ、アクリル酸メチルエステルが特に好ましい。アニオン性構造を形成することが可能なポリエステルは、さらなる適切なポリマーを例示する。一般に、モノマー自体は、重合後にアニオン性部位を構成または形成する基を保有し得る。さらに、ポリエステルには、例えばポリエステル中に存在する不飽和部位または他の官能基を介してアニオンを形成する基もまた、引き続いて提供され得る。ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、フタル酸もしくはマレイン酸、およびアルコールとして、酒石酸または少なくとも1つのさらなるアニオン性官能基を含む他の二価もしくは三価アルコールが、好ましくは、モノマーとして使用される。マレイン酸がモノマーとして使用される場合、例えばアクリル酸またはメタクリル酸などのアニオン形成基を引き続いて導入するためにポリマー中のマレイン酸の残留二重結合が利用される場合、二価または三価アルコール−さらなるアニオン性官能基なし−が重合のために使用され得る。原則として、ポリマーから形成される全てのアニオン性構造は、固体支持体の表面を提供するのに適切であり、カルボキシル化ポリマーが好ましい。それぞれのポリマーはまた、固体支持体上に被覆を形成し得、それにより、阻害物質を結合するのに適切なアニオン性表面が提供される。さらに、この固体支持体は、イミノ二酢酸基を含み得る。
アニオン性表面は、複数の酸性官能基を含み、従ってポリアニオン性表面を提供することが好ましい。一実施形態によれば、前記官能基のpKa値は、0〜7、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜5の範囲にある。適切な例には、カルボキシル基などの酸性基が含まれる。さらなる適切な官能基には、スルホン酸基、ホスホン酸基およびリン酸基が含まれる。また、それぞれの官能基の混合物が、この表面上に存在し得る。好ましくは、この表面は、官能基としてカルボキシル基を含むが、これは、それぞれのカルボキシル化表面が、増幅阻害物質を結合し、従って枯渇させることにおいて高度に効率的であり、さらに、溶解の間に形成され得る沈殿物を結合することが可能であり、それにより、所望の場合に溶解物清澄化効果をさらに提供するからである。カルボキシル化ポリマーの製造は、先行技術から周知であるが、これは、これらのポリマーが、多数の他の技術適用において用いられ、大部分は市販されているからである。さらに、それぞれのアニオン性表面、好ましくはカルボキシル化表面を有する固体支持体を提供および例えば官能化する方法もまた、周知である。例には、被覆、フィルムまたは層の沈着、およびアニオン性ポリマーによる固体支持体の製造が含まれるがこれらに限定されない。上記のように、これらのアニオン性官能基は、表面材料自体、例えばカルボキシル基(例えば、表面がポリアクリレート製の場合)などの酸性基によって提供され得る、あるいはそれぞれの官能基が、固体支持体の表面に結合される、または固体支持体の表面に共有結合的もしくは非共有結合的に提供される、リガンドまたはポリマーによって提供され得る。
適切な固体支持体は、以下の群から選択される材料製であり得るか、またはかかる材料を特にその表面に含み得る
− ケイ素、例えばシリカおよびポリケイ酸材料、石英、ボロシリケート、シリケート、珪藻土またはガラスを含むまたはこれらからなる材料、
− 有機もしくは無機ポリマー、例えばポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリスチロール、ポリアクリルアミド、ジビニルベンゼンポリマー、スチレンジビニルベンゼンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレートまたはメチルメタクリレートポリマーを含むまたはこれらからなる材料;
− ポリサッカリド、例えばアガロース、セルロース、デキストランまたはセファロースを含むまたはこれらからなる材料;
− 鉱物を含むまたは鉱物からなる材料;
− 金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタンまたは酸化ジルコニウムを含むまたはこれらからなる材料;
− 金属、例えば金または白金を含むまたはこれらからなる材料;ならびに
− 上述のものの誘導体を含むまたはかかる誘導体からなる材料。
また、アニオン交換クロマトグラフィーに適切な任意の固体支持体は、必要な場合適切な官能化の後に、生物学的試料から放出される増幅阻害物質を結合することを可能にするアニオン性表面を提供するための固体支持体として使用され得る。カルボキシル基などの酸性基を提供するまたはかかる酸性基を提供するために改変され得る例示的なポリマー性材料には、例えば、ポリマー、例えばポリスチレン、ラテックスポリマー(例えば、ポリカルボキシレート被覆ラテックス)、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリレートおよびそれらの誘導体が含まれる。
固体支持体の好ましい形式(format)には、粒子、例えばビーズ、メンブレン、フィルター、プレート、カラム、容器およびディップスティックが含まれるがこれらに限定されない。一実施形態によれば、阻害物質を結合するアニオン性表面は、容器、例えば固定された試料を受容するためおよび溶解を実施するために使用される容器の内部表面によって提供される。表面の内部表面またはその一部分は、適切なリガンド、例えばカルボキシル化リガンドまたはアニオン性ポリマーで、官能化、例えば被覆され得る。それぞれ官能化され得るそれぞれの容器の例には、マイクロチューブ、およびマイクロプレートのウェルが含まれるがこれらに限定されない。この実施形態では、生物学的試料から放出される阻害物質は、容器の内部表面に結合し、それにより、溶解物から枯渇される。前記容器から溶解物を取り出す場合、結合した阻害物質は容器中に残留し、それにより、溶解物から分離される。
好ましい一実施形態によれば、このアニオン性表面は、懸濁物として提供され得、液相から分離され得る、固体支持体によって提供される。好ましくは、阻害物質を結合する表面は、粒子によって提供される。好ましくは、カルボキシル化表面を有する粒子が使用される。これらの粒子は、100nm〜50μm、200nm〜40μm、300nm〜35μm、400nm〜30μm、450nm〜25μm、500nm〜20μm、550nm〜15μm、600nm〜12.5μm、650nm〜10μm、700nm〜7.5μm、750nm〜5μm、800nm〜3.5μm、800nm〜3μm、800〜2.5μm、800nm〜2μmおよび800nm〜1.5μmの範囲から選択される平均サイズを有し得る。それぞれのサイズ、特により小さいサイズ、例えば10μm以下、7.5μm以下、好ましくは5μm以下、2.5μm以下または1.5μm以下の粒子は、取り扱いが容易であり、溶解混合物中に良好に再懸濁され得る。さらに、それぞれの小粒子は、溶解物から、阻害物質および他の混入物、例えば生物学的試料に由来する沈殿物を結合し得、従ってかかる阻害物質および他の混入物を効率的に枯渇させ得る大きい表面積を提供する。粒子を提供または作製するため、およびアニオン性表面を提供するための適切な材料は、上記されている。これらの粒子はまた、上記材料のうち1種より多くを含み得る、例えば、粒子本体を提供するために、異なる材料を含むまたはかかる材料からなる2つ以上の層を含む。
粒子が非磁性である場合、これらは、例えば、一実施形態によれば遠心分離によって補助され得る、濾過または沈降によって収集され得る。磁性粒子を使用することが好ましいが、これは、結合した阻害物質および沈殿物を含む磁性粒子が、磁場の補助によって、例えば永久磁石を使用することによって容易に処理され得るからである。この実施形態は、磁性粒子を処理することが可能な確立されたシステムと適合し、自動化にも適切であるので、好ましい。ここで、生物学的試料に由来する阻害物質および必要に応じて沈殿物が結合したアニオン性表面を有する磁性粒子を処理するために本発明と併せて使用され得る異なるシステムが、先行技術に存在する。一実施形態によれば、結合した阻害物質を有する磁性粒子は、反応容器の底または側面において収集される。それにより、結合した阻害物質は、溶解物から枯渇され、反応容器の底または側面において濃縮される。次いで、残留液体試料が、反応容器から取り出され得る。取り出しは、例えば吸引によって生じ得る。かかるシステムは、先行技術において周知であり、従って、本明細書では詳細な記載は必要ない。磁性粒子を処理するための公知の代替的システムでは、カバーまたはエンベロープによって通常覆われる磁石が、磁性粒子を収集するために、この反応容器中に投入される。次いで、結合した阻害物質および必要に応じて沈殿物を保有する磁性粒子が除去され得、阻害物質枯渇溶解物を後に残す。それぞれのシステムは、先行技術において周知であり、市販されてもいるので(例えばQIASYMPHONY(登録商標);QIAGEN)、本明細書では詳細な記載は必要ない。磁性粒子を処理するために公知のさらなる代替的システムでは、磁性粒子を含む溶解物は、ピペットチップ中に吸引され得、磁性粒子は、磁石を例えばピペットチップの側面に適用することによって、このピペットチップ中で収集され得る。次いで、阻害物質枯渇溶解物に対応する残留試料が、ピペットチップから放出され得るが、結合した阻害物質および沈殿物を保有する収集された磁石粒子(magnet particle)は、ピペットチップ中の磁石に起因して残留する。次いで、収集された磁性粒子(magnetic particle)は、さらに処理され得る。かかるシステムもまた、先行技術で周知であり、市販されてもいるので(例えばBioRobot EZ1、QIAGEN)、従って、本明細書では詳細な記載は必要ない。
これらの磁性粒子は、例えば、超常磁性、常磁性、フェリ磁性またはフェロ磁性の特徴を有し得る。好ましくは、超常磁性粒子が使用される。これらの磁性粒子は、粒子中に取り込まれるおよび/または粒子と会合する磁性材料を含み得る。磁性材料の浸出を回避するために、この磁性材料は、好ましくは、完全にカプセル化される。この磁性材料は、粒子のコアを提供し得、コア中に含まれ得、および/または粒子のコア上に適用され得る。
一実施形態によれば、この粒子は、少なくとも1つのポリマー層、好ましくは少なくとも2つのポリマー層、好ましくはポリエチレンイミン層および/またはポリアクリレート層によって取り囲まれた、例えばポリスチロール製のポリマーコアを含む。好ましくは、粒子表面は、ポリアクリレート製であるかまたはポリアクリレートを含む。それにより、カルボキシル基が、粒子の表面において提供される。カルボキシル基は、生物学的試料から放出される阻害物質、例えばPCR阻害物質を結合することにおいて非常に有効であり、溶解の間に形成し得る沈殿物を結合することにおいても非常に有効である。それにより、阻害物質および必要に応じて沈殿物が、溶解物から枯渇され得る。磁性粒子が使用される場合、例えば酸化鉄などの磁性材料が、ポリスチロールコア上に沈着され得る。その後、上記のような少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのポリマー層が適用され、得られた磁性粒子の表面は、阻害物質を結合するのに適切な官能基、例えばカルボキシル基などを提供する。
阻害物質を結合し得るアニオン性官能基で表面を官能化するために、いくつかの方法が実行可能である。官能基、それぞれの基をそれぞれ含む化合物は、共有結合もしくは非共有結合のいずれかにより、静電的に、表面に直接結合され得、および/または表面被覆を形成するもしくは固体支持体の表面において提供されるポリマーもしくは他の組成物の一部を形成し得る。また、沈殿ベースのアプローチが実行可能である。一実施形態によれば、官能基、例えば好ましくは、カルボキシル基は、固体支持体上に被覆の形態で提供される。一実施形態によれば、共有結合カップリング戦略が使用される。固体支持体の表面上にカルボキシル基などの官能基を提供するための適切な方法は、当業者に周知であり、従って、本明細書で具体的な記載は必要ない。それぞれのカルボキシル基は、好ましくは、ポリアクリレート層またはカルボキシル基を含む別のポリアニオン性ポリマーによって提供される。適切な例は上に記載した。
本明細書に記載される教示に従う場合、固体支持体のアニオン性表面への、生物学的試料から放出される阻害物質の結合は、阻害物質は表面に結合するが対象の核酸は結合しないかまたはより低い程度まで結合する条件下で、おこる。よって、使用される溶解条件は、生物学的試料から放出される阻害物質が固体支持体、それぞれそのアニオン性表面に大部分が結合するが、対象の核酸の実質的な結合はおこらず、その結果、これらの核酸は、意図した増幅反応を実施するのを可能にするのに十分な量で溶解物中に残留するという点において、選択的である。上記のように、好ましくは、カルボキシル化表面を有する固体支持体が使用される。最も好ましくは、カルボキシル化表面を有する磁性粒子が使用される。
一実施形態によれば、生物学的試料から放出される阻害物質を結合するために使用されるアニオン性表面、特にカルボキシル化表面を有する固体支持体が、溶解の間に存在する。それにより、生物学的試料の溶解の際に放出される阻害物質は、その放出の際に固体支持体のアニオン性表面に直接結合され、従って、残留試料から効率的に枯渇されることを確実にする。これは、阻害物質の枯渇を改善する。引き続いて記載されるような溶解物の清澄化は、増幅反応の結果をさらに改善し得る。アニオン性表面を有する固体支持体を使用する場合、溶解の間に形成される沈殿物もまた、アニオン性表面に結合する。従って、記載されるように、この溶解物からは、生物学的試料の溶解の間に放出されるPCR阻害物質が枯渇され得るだけでなく、沈殿物もまた枯渇され得る。阻害物質および必要に応じて沈殿物を結合するためのアニオン性表面を有する固体支持体は、水性溶解組成物中に含まれ得る。上記のように、好ましくは、カルボキシル化表面を有する固体支持体が使用される。最も好ましくは、カルボキシル化表面を有する磁性粒子が使用される。
生物学的試料から放出される阻害物質を枯渇させるためにさらに使用され得る他の添加剤には、疎水性相互作用および極性相互作用を介してイオン性種を吸着する非イオン性樹脂、例えばAmberlite XAD−7などが含まれるがこれらに限定されない。
特に好ましい水性溶解組成物は、以下を含むまたは以下からなる
− 0.01%(w/v)〜0.5%(w/v)、好ましくは0.02%(w/v)〜0.2%(w/v)、より好ましくは0.03%(w/v)〜0.15%(w/v)の濃度の、上記のような水溶性ポリアニオン性ポリマー、好ましくはポリアクリル酸である少なくとも1種の化合物(A);
− 必要に応じて、溶解の間に生物学的試料から放出される阻害物質を枯渇させるために適切な少なくとも1種の結合剤および/または増粘剤;
− 少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、好ましくは少なくとも2種の非イオン性界面活性剤、好ましくはポリソルベート20(Tween 20)およびノニルフェニルポリエチレングリコール(Nonidet P40)であって、各非イオン性界面活性剤は、0.2%(v/v)〜0.6%(v/v)、好ましくは0.4%(v/v)〜0.5%(v/v)の濃度で含まれる;
− 緩衝剤、好ましくはTRISまたはホウ酸塩、
− 必要に応じて、濃度≦2mM、好ましくは≦1.5mMのキレート剤。
それぞれの水性溶解組成物のpH値は、好ましくは、7.5〜〜9.5、8.0〜9または8.5〜9の範囲にある。
さらなる特に好ましい水性溶解組成物は、以下を含むまたは以下からなる
− 0.01%(w/v)〜0.5%(w/v)、好ましくは0.05%(w/v)〜0.3%(w/v)、より好ましくは0.1%(w/v)〜0.2%(w/v)の濃度の、スルホン酸基を含むアニオン性または両性イオン性界面活性剤、好ましくは3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート(スルホベタイン3−14)である、少なくとも1種の化合物(A);
− 必要に応じて、タンパク質分解酵素;
− 緩衝剤、好ましくはTRIS、
− 必要に応じて、濃度≦2mM、好ましくは≦1.5mMのキレート剤。
それぞれの水性溶解組成物のpH値は、好ましくは、7.5〜〜9.5、8.0〜9または8.5〜9の範囲にある。
実施例によって示されるように、それぞれの水性溶解組成物は、PCRなどの増幅反応における直接的使用のために適切な溶解物を提供するために、特に適合性である。実施例に示されるように、これらの溶解組成物は、加熱ステップと組み合わせて生物学的試料の効率的溶解を達成し、さらに、試料が溶解の間に添加された場合にそれぞれの増幅反応を実質的に阻害する濃度では添加剤を含まない。従って、増幅ベースの分析方法などの核酸分析方法において直接使用され得る溶解物が提供される。しかし、十分な生物学的試料材料が溶解の間に添加されなかった場合または十分でない生物学的試料材料が溶解の間に添加された場合、増幅反応は阻害され、それにより、偽陰性シグナルが得られたことが示される。それぞれの水性溶解組成物は、上記のようなアニオン性表面を有する固体支持体と組み合わせても使用され得る。
用語「溶解」とは、本明細書で使用する場合、生物学的試料の破壊、分解および/または消化を指す。それぞれの溶解ステップでは、核酸は、細胞から放出され得る、または例えばタンパク質などの他の試料成分から解放され得る。本明細書で、核酸が細胞から放出されたかどうか、または、例えば無細胞試料もしくは細胞枯渇試料、例えば血漿であってもよい生物学的試料中に含まれるタンパク質もしくは他の物質から核酸を放出させるために溶解が実施されたかどうかにも関わらず、生物学的試料を破壊、分解および/または消化するためのそれぞれのステップは、一般に溶解ステップと称される。異なる試料材料の効率的溶解を達成するのを可能にするいくつかの方法が、先行技術において公知である。適切な溶解方法には、試料に対する機械的、化学的、物理的または酵素的作用が含まれるがこれらに限定されない。それぞれの溶解ステップの例には、ビーズミルにおける試料の粉砕、超音波処理、表面弾性波(SAW)、凍結および解凍の反復サイクル、加熱、界面活性剤の添加および/あるいはタンパク質分解化合物、例えば、タンパク質分解酵素、例えばヒドロラーゼもしくはプロテアーゼまたは塩などの添加が含まれるがこれらに限定されない。一実施形態によれば、タンパク質分解化合物が、溶解の間に使用される。タンパク質分解化合物は、好ましくは、タンパク質分解酵素である。タンパク質分解酵素とは、例えばタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチド中のペプチド結合の切断を触媒する酵素を指す。例示的なタンパク質分解酵素には、プロテイナーゼおよびプロテアーゼ、特にスブチリシン、スブチラーゼ、アルカリセリンプロテアーゼなどが含まれるがこれらに限定されない。スブチラーゼは、セリンプロテアーゼのファミリー、即ち、活性部位(active side)にセリン残基を有する酵素である。スブチリシンは、広い基質特異性を有する細菌セリンプロテアーゼである。例示的なスブチリシンには、プロテイナーゼK、プロテイナーゼR、プロテイナーゼT、スブチリシン、スブチリシンA、QIAGEN Proteaseなどが含まれるがこれらに限定されない。スブチラーゼ、スブチリシン、プロテイナーゼKおよび他のプロテアーゼの議論は、他の場所の中でも、Genovら、Int. J. Peptide Protein Res.45巻:391〜400頁、1995年において見出され得る。好ましくは、このタンパク質分解酵素はプロテイナーゼKである。好ましくは、このタンパク質分解酵素は、加熱および/またはアジテーション下で使用される。さらに、1種または複数の細胞壁消化酵素、例えばリゾチーム、ザイモラーゼ(zymolase)および/またはペクチナーゼ(pektinase)などが、溶解のために使用され得る。得られた溶解物が増幅反応において直接使用される場合、得られた溶解物が増幅反応における直接的使用に適切であることを確実にすることが重要である。従って、溶解のために使用される任意の添加剤は、増幅が適切に実施できない程度まで増幅の性能を阻害する濃度においては、使用すべきではない。許容できる濃度は、分析方法の適切な実施に必要な感度にも依存する。これらのパラメーターはまた、試料毎に変動し得る。さらに、溶解の間に使用されるタンパク質分解酵素(poteolytic enzyme)は、例えば、加熱不活性化ステップを実施することによって、溶解物を増幅に供する前に、不活性化すべきである。
好ましい一実施形態によれば、溶解は、溶解物を提供するために、≧85℃で、生物学的試料材料を溶解組成物と接触させることによって得られる溶解混合物を加熱することによって補助される。それぞれの加熱ステップは、溶解を補助し、含まれる核酸の効率的放出を確実にする。好ましくは、この溶解混合物は、≧90℃、好ましくは≧95℃で加熱される。かかる加熱ステップは、煮沸溶解とも呼ばれる。かかる高温において、溶解の間に必要に応じて使用され得る酵素、例えばタンパク質分解酵素など、およびさらにはヌクレアーゼもまた、変性される。熱インキュベーションの型も、溶解される生物学的試料に依存する。例えば、固定された生物学的試料は、固定されていない生物学的試料よりも長いインキュベーション時間を必要とする。好ましくは、この溶解混合物は、少なくとも3分間、少なくとも5分間、少なくとも7.5分間、少なくとも10分間、少なくとも12.5分間、少なくとも15分間、少なくとも17.5分間、少なくとも20分間、少なくとも22.5分間、少なくとも25分間、少なくとも27.5分間または少なくとも30分間、加熱される。適切な加熱期間は、3分間〜45分間、5分間〜42.5分間、7.5分間〜40分間、12.5分間〜37.5分間および15分間〜35分間から選択され得る。実施例に示されるように、本発明に従う方法は、生物学的試料を溶解し、異なる生物学的試料から含まれる核酸を放出することを可能にし、それにより、核酸を、逆転写および増幅のために利用しやすくする。さらに、潜在的阻害物質が効率的に枯渇されることが確実になるので、得られた溶解物は、核酸の事前の精製なしに、増幅反応において直接使用され得る。溶解物が生物学的試料を使用して得られた場合、陽性増幅シグナルが得られる。十分な量の試料材料が添加されなかった場合または十分でない量の試料材料が添加された場合、増幅は、化合物(A)の存在に起因して阻害され、それにより、試験が正確に実施されなかったことが示される。
好ましくは、加熱インキュベーションステップ後、加熱された試料は冷却される。加熱された試料は、室温以下で冷却され得る。好ましくは、加熱された試料は、50℃を下回る温度まで冷却され、より好ましくは、少なくとも室温まで冷却される。それぞれの冷却ステップは、−処理された試料に依存して−沈殿物の形成を促進し得ることが見出された。前記沈殿物は、溶解物を清澄化することによって除去され得る。溶解された試料を清澄化するためのいくつかの選択肢が存在する。非限定的な例は以下に記載される。それぞれの清澄化ステップは、溶解物中に含まれる、処理された試料に依存し得る沈殿物を、除去および/または不活性化するために有利である。しかし、本実施例によって示されるように、それぞれの清澄化ステップは、必ずしも必要とされない。
一実施形態によれば、溶解の前、その間またはその後に、混入物、特に溶解の間に形成され得る沈殿物、または残骸を除去するための手段が提供され、それにより、清澄化された溶解物が提供される。用語「除去」は、この関連で使用される場合、沈殿物の量が、引き続く分析方法が適切に実施できる程度まで、少なくとも低減または他の方法で不活性化されることを意味する。一実施形態によれば、溶解物の少なくとも一部分は、溶解された試料の通過の間に、沈殿物および/または他の固体混入物を抑えることができるまたは除去できる手段を通って通過させる。適切な手段は、フィルター材料、メンブレンもしくは層、または粒子の充填を含む群から選択され得る。溶解物は、前記手段を通って通過し得、沈殿物および/または他の混入物が捕捉され、それぞれ、前記手段によって抑えられ、それにより、試料が一旦、前記手段を通過すると、清澄化された試料が提供される。前記手段、例えばフィルターまたはメンブレンなどは、多孔性であり得る。この孔は、溶解混合物中に存在する沈殿物を効率的に抑える、従って除去するために、十分に小さくなければならない。前記手段は、核酸を実質的に結合も抑えもしてはならない。
特に、大きい量の細胞を含む試料を処理する場合の、混入物の1つの供給源は、溶解の間の沈殿物の形成であり得る。それぞれの沈殿物は、特に、溶解が加熱ステップによって補助される場合に、特定の試料型を処理する場合に形成される。溶解物から増幅反応中への沈殿物の持ち越しは、増幅および/または得られた結果の解釈を妨害し得、従って、望ましくない。従って、清澄化された溶解物を提供するために、残留溶解物から沈殿物を分離することが有利である。分離は、例えば、沈降または遠心分離によって補助され得る。沈殿物は、例えば、チューブの底に沈降し得、分析方法、例えば逆転写および/または増幅反応などにおいて次いで使用され得る清澄化された溶解物に対応する上清を後に残す。沈降は、例えば遠心分離によって加速および改善され得る。しかし、核酸分析方法において清澄化された溶解物を使用する前に、溶解物からの沈殿物の分離を補助すること、および溶解物から沈殿物の少なくとも一部分を分離することが、好ましい。
一実施形態によれば、形成される沈殿物は、沈殿物を結合するための適切な表面を有する固体支持体に結合される。上記のように、アニオン性表面、特にカルボキシル化表面を有する固体支持体が、この目的のために使用され得る。好ましくは、この固体支持体は、溶解の間に存在する。それにより、生物学的試料の溶解の際に放出される阻害物質および形成される沈殿物は、その放出および/または形成の際に固体支持体のアニオン性表面に直接結合し、従って、残留試料から効率的に枯渇されることを確実にする。アニオン性表面を有する固体支持体を使用する場合、溶解の間に形成される沈殿物は、アニオン性表面に結合する。従って、記載されるように、この溶解物から、PCR阻害物質が枯渇され得るだけでなく、溶解物中に存在し得る沈殿物も枯渇され得る。阻害物質および沈殿物を結合するためのアニオン性表面を有する固体支持体もまた、水性溶解組成物中に含まれ得る。上記のように、好ましくは、カルボキシル化表面を有する固体支持体が使用される。最も好ましくは、カルボキシル化表面を有する磁性粒子が使用される。
結合した阻害物質および沈殿物は、容器の底において濃縮され得、清澄化された溶解物に対応する上清が得られ得る。沈殿物を固体支持体に結合させることは、沈降を補助し、従って、残留試料からの沈殿物の除去を楽にする。しかし、固体支持体の添加もまた有益であり、結合した沈殿物が溶解物から分離されないが、従って分析方法の間に存在する場合に、沈殿物などの含まれる混入物の阻害効果が低減されるという点において、清澄化効果を提供する。明らかに、沈殿物を固体支持体と結合させることによって沈殿物を複合体化することは、既に有益な効果を提供しているが、これは明らかに、沈殿物が増幅を厳しくは妨害しないという点において、結合した沈殿物が十分には利用できるようになっておらず、従って十分に不活性化されているからである。上記のように、アニオン性表面を有する、好ましくはカルボキシル化表面を有する固体支持体を使用することが好ましい。それぞれの固体支持体は、阻害物質ならびに生物学的試料に由来する沈殿物を結合することが可能であり、従って、これらを枯渇させることが可能である。
一実施形態によれば、溶解物清澄化に使用される固体支持体は、分子ふるいを含むまたは分子ふるいである。分子ふるいは、吸着剤として使用され得る、正確かつ均一なサイズの小さい孔を含む材料である。好ましくは、分子ふるいは、アルミノケイ酸塩鉱物、粘土、多孔性ガラス、微多孔木炭、ゼオライト、活性炭、または水などの小分子が拡散し得る開口構造を有する合成化合物を含む。分子ふるい、例えばゼオライトは、溶解物から沈殿物などの混入物を除去することにおいて特に有効である。分子ふるいは、好ましくは溶解溶液である水性溶解組成物に添加され得る。上記アニオン性表面を有する固体支持体に加えて、これらもまた使用され得る。膣スワブ試料などの酸性試料を処理する場合、固体支持体としてゼオライトなどの分子ふるいを使用することは、ゼオライトが、溶解された試料および/または溶解混合物のpH値を上昇させることが可能であるという特定の利点を有する。増幅反応は通常酸性pH値では適切に機能しないので、これは有益である。この問題は、溶解混合物の調製の間、特に清澄化された溶解物の調製の間にゼオライトを取り込む場合、克服され得る。例えば、ゼオライトの添加は、pH値を、酸性pH値から7と9.5との間、好ましくは7.5〜9のpH値まで上昇させることを可能にし、それにより、それぞれの範囲中のpH値を要求するPCRなどの増幅反応の性能をさらに改善する。従って、一実施形態によれば、少なくとも1つの型の固体支持体が、生物学的試料の溶解の前、その間またはその後に添加され、これは、溶解された試料のpH値が上昇されるという効果を有する。この実施形態は、7未満、6.5未満、6未満、5.5未満、5未満または4.5未満のpHを有する膣スワブ試料などの酸性生物学的試料を処理する場合、特に適切である。好ましくは、分子ふるい、より好ましくはゼオライトが、この目的のために使用される。分子ふるいもまた、阻害物質および/または沈殿物を結合する他の固体支持体、例えばカルボキシル化粒子または他のカルボキシル化固体支持体に加えて、添加され得る。
一実施形態によれば、この溶解物は、増幅反応を実施する前に清澄化されない。
用語「生物学的試料」は、本明細書で広義に使用され、核酸を含む生物学的供給源を含むことを意図する。例示的な生物学的試料には、以下由来の、または以下を含む試料を含む、体液一般、全血、血清、血漿、赤血球、白血球、バフィーコート、口腔スワブ、咽喉スワブ、膣スワブ、尿道スワブ、子宮頸部スワブ、直腸スワブ、病変スワブ、膿瘍(abcess)スワブ、鼻咽頭スワブおよび肛門スワブが含まれるがこれらに限定されないスワブ、尿、痰、唾液、精液、リンパ液、リカー(liquor)、羊水、脳脊髄液、腹水、糞便、胸水、嚢胞由来の液、滑液、硝子体液;眼房水、嚢の流体(bursa fluid)、洗眼液、眼吸引物、肺洗浄液(pulmonary lavage)、肺吸引物、肝臓、脾臓、腎臓、肺、腸、脳、心臓、筋肉、膵臓および細胞培養物が含まれるがこれらに限定されない組織、細菌、微生物、ウイルス、植物、真菌、が含まれるがこれらに限定されない。核酸を含むまたは核酸を含むと疑われる、臨床的設定もしくは法医学的設定から得られた材料または環境試料、例えば土壌もまた、用語生物学的試料の意図した意味の範囲内である。さらに、当業者は、上記例示的な試料のいずれかから得られた抽出物または材料もしくはその一部分もまた、用語試料の範囲内であることを理解する。好ましくは、この試料は、ヒト、動物、植物、細菌または真菌由来である。好ましくは、この試料は、ヒトまたは動物由来である。好ましくは、この試料は、細胞、組織、細菌、ウイルスならびに体液、例えば血液、血液製剤など、例えばバフィーコート、血漿および血清、尿、リカー、痰、便、CSFおよび精子、上皮スワブ、膣スワブ、子宮頸部試料、生検、骨髄試料ならびに組織試料、好ましくは臓器組織試料、例えば肺および肝臓からなる群から選択される。この試料は安定化され得る。特定の試料、例えば血液試料は通常、血液および血液由来の試料の場合、例えば、これらの試料を抗凝固剤などの安定剤と接触させることによって、収集の際に安定化される。また、固定された試料、例えばFFPE試料などは、本明細書に記載される教示を使用して処理され得る。
用語「核酸(単数または複数)」とは、本明細書で使用される場合、特に、典型的にはサブユニット間のホスホジエステル結合によって、しかしある場合にはホスホロチオエート、メチルホスホネートなどによって共有結合されたリボヌクレオシドおよび/またはデオキシリボヌクレオシドを含むポリマーを指す。核酸には、全ての型のDNAおよび/またはRNA、例えばgDNA;環状DNA;プラスミドDNA;循環DNA;PNA;LNA、シクロヘキセン核酸;RNA/DNAハイブリッド;hnRNA;mRNA;rRNA、tRNA、miRNA(マイクロRNA)、siRNA(低分子干渉RNA)、snoRNA(核小体低分子RNA)、snRNA(核内低分子RNA)、pwi相互作用RNA(piRNA)、反復関連RNA(rasiRNA)、asRNAおよびstRNA(一過性低分子(small temporal)RNA)が含まれるがこれらに限定されない非コードRNA(ncRNA);断片化核酸;細胞内オルガネラ、例えばミトコンドリアまたは葉緑体から得られた核酸;ならびに生物学的試料中に存在し得る病原体、微生物、寄生生物、またはDNAもしくはRNAウイルスから得られた核酸、例えば細菌、ウイルスまたは真菌の核酸;合成核酸、細胞外核酸が含まれるがこれらに限定されない。用語「細胞外核酸(複数または単数)」とは、本明細書で使用する場合、特に、細胞中に含まれない核酸を指す。それぞれの細胞外核酸は、しばしば無細胞核酸とも呼ばれる。これらの用語は、本明細書で同義語として使用される。用語「細胞外核酸」とは、例えば、細胞外RNAならびに細胞外DNAを指す。生物学的試料、例えば血漿などの体液の無細胞画分(それぞれ一部分)中に見出される典型的な細胞外核酸の例には、哺乳動物細胞外核酸、例えば細胞外腫瘍関連または腫瘍由来DNAおよび/またはRNA、他の細胞外疾患関連DNAおよび/またはRNA、エピジェネティック改変DNA、胎児DNAおよび/またはRNA、低分子干渉RNA、例えばmiRNAおよびsiRNAなど、ならびに非哺乳動物細胞外核酸、例えば原核生物(例えば細菌)、ウイルスまたは真菌から細胞外核酸集団中に放出される、例えばウイルス核酸、病原体核酸などが含まれるがこれらに限定されない。
本発明で得られる溶解物は、核酸増幅反応において直接使用され得る。本明細書に記載する場合、これに関して「直接」は、増幅反応を実施する前に、この溶解物中に含まれる核酸を単離および特に精製する必要がないことを意味する。従って、核酸の単離も精製も、増幅を実施する前に実施されない。しかし、本明細書に記載する場合、少なくともそのアリコートを核酸分析方法に供する前に、溶解物をさらに処理することは、本発明の範囲内である。例えば、この溶解物は清澄化され得、清澄化された溶解物の少なくともアリコートが、次いで増幅反応において使用される。さらに、得られた溶解物はまた、核酸分析方法を実施する前に、RNase、DNaseおよび/または逆転写酵素などの酵素で処理され得る。
一実施形態によれば、必要に応じて清澄化される得られた溶解物のアリコートは、増幅反応を実施するために必要とされる試薬と接触させ得る。一実施形態によれば、必要に応じて清澄化される溶解物は、増幅反応を実施するために必要な試薬を含む水性溶液に添加される。例えば増幅反応などの分析方法を実施するための試薬を含む組成物に添加され、従って、得られた混合物中に含まれる、必要に応じて清澄化される使用される溶解物の量は、大きく変動し得、例えば、1%〜98%、1%〜95%、5%〜85%、10%〜75%および15%〜70%から選択され得る。従って、必要に応じて清澄化される溶解物は、増幅反応などの分析反応において、小さい量でならびにかなり大きい量で使用され得る。本発明の教示は、特に、感度が改善され得るので、高い量の溶解物が添加される場合、正の効果を有する。
さらに、本発明の教示を使用して得られる溶解物は、増幅反応を実施するための試薬を含む乾燥組成物、好ましくはフリーズドライ組成物を再構成するためにも使用され得る。またこの場合、溶解物の少なくとも一部分は、本発明の意味における増幅反応において使用される。この乾燥組成物は、意図した増幅反応を実施するために必要な1種または複数の試薬を含む。好ましくは、この乾燥組成物は、少なくとも1種のポリメラーゼを含む。一実施形態によれば、この乾燥組成物は、フリーズドライ組成物である。フリーズドライ組成物は、増幅反応に必要な試薬を貯蔵可能な形態で提供するために、広く使用されている。それぞれのフリーズドライ組成物を調製するための方法、ならびに含まれる反応組成物、特に、タンパク質などの生化学的成分を安定化する適切な添加剤は、先行技術で周知であり(例えば、Freeze−Drying/Lyophilization of Pharmaceutical and Biological Products、第2版、WO01/92569、WO2010/001162、US2010/0068716号およびUS2010/0159529号を参照のこと)、従って、本明細書では詳細な記載は必要ない。本発明に従う方法において使用され得る乾燥組成物は、貯蔵可能な組成物である。好ましくは、この乾燥組成物は、長期貯蔵に適切である。一実施形態によれば、この乾燥組成物は、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも10ヶ月間または少なくとも12ヶ月間の期間にわたって、貯蔵の間安定である。好ましくは、この乾燥組成物は、3〜18ヶ月間または6〜12ヶ月間の期間にわたって安定である。一実施形態によれば、この乾燥組成物は、意図した分析方法を実施するために必要な化学的試薬および/または生化学的試薬の少なくともいくつかを含む。好ましくは、この乾燥組成物は、必要な増幅試薬を全て含むが、これは、溶解物の添加の際に、この組成物には分析方法を実施する状態になっているからである。これは、例えばLoCシステムにおいてこの方法を使用する場合に、特に有利である。好ましい一実施形態によれば、この乾燥組成物は、増幅反応、好ましくはPCR反応を実施するために必要な試薬の、少なくともいくつか、好ましくは全てを含む。上で議論したように、それぞれの乾燥組成物、特にフリーズドライ組成物は、貯蔵可能な形態で、いわゆるマスターミックスの形態で、増幅反応に必要な試薬を提供するために、広く使用されている。増幅反応を実施することを意図する場合、この乾燥組成物は、増幅反応混合物を形成するために、溶解された試料を使用して再構成される必要があるだけであるが、例えば全ての試薬がこの乾燥組成物中に既に含まれていたわけではない場合、必要に応じてさらなる試薬が添加され得るが、こちらが好ましい。好ましくは、この乾燥組成物は、ポリメラーゼ、増幅反応を実施するのに適切な反応緩衝液、およびdNTPからなる群から選択される1つまたは複数の、好ましくは全ての試薬を含む。好ましくは、この乾燥組成物は、例えば特定の疾患または感染を示す1つまたは複数の標的核酸の存在または非存在の検出などを可能にするプライマーおよび/または標識化プローブもまた含む。しかし、これらは別々に添加されてもよい。溶解物を使用した再構成、ならびに必要に応じてさらなる添加剤、例えばプライマーおよび/またはプローブの添加の後、得られた再構成された組成物は、標的核酸の増幅を実施する状態になっている。一実施形態によれば、再構成に使用される液体のうち少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%が、この溶解物によって提供される。再構成は、溶解物の添加によって排他的に有利に達成され得る。一実施形態によれば、上記のように得られた、必要に応じて前もって清澄化されるなどさらに処理される溶解物の少なくともアリコートを、再構成のために乾燥組成物と接触させる。再構成された組成物が意図した分析方法に適した濃度で試薬を含むことを確実にするために、所定量の溶解物を、乾燥組成物に添加する。前記所定の量は、再構成された組成物中に、試薬が増幅反応を実施するのに適切な濃度で組成物中に含まれるように、選択される。この再構成プロセスは、例えば、得られた混合物を上下にピペッティングすること、撹拌すること、振盪することまたはボルテックスすることによるアジテーションによって補助され得る。それにより、本発明に従う方法によって提供される一体化制御に起因して、高い安定性標準を有する安価で単純な管理可能な完全な核酸分析プロセスが提供される。この方法は、「ラブオンチップ」(LoC)システムとも呼ばれる「一体化」型小型化デバイス上で核酸試験を迅速かつ簡便に実施することが可能な携帯型分析システムと併せて、有利に使用され得る。
この増幅反応は、生物学的試料中に含まれるまたは生物学的試料中に含まれると疑われる標的核酸を増幅、同定、検出および/または定量するために、実施され得る。好ましくは、この増幅反応は、溶解物中に含まれる核酸の存在、非存在および/または量を検出することを可能にする。好ましくは、前記方法は、少なくとも1つの標的核酸の増幅、および例えば標識されたプローブを使用した、生じたアンプリコンの引き続く検出を含む。それぞれの方法は、先行技術において周知であり、生物学的試料中の核酸または特異的標的核酸を分析するために、医療、診断および/または予後判定の分野においても、一般に適用される。従って、この増幅方法は、多くの新生物疾患、特に前悪性疾患および悪性疾患、例えば異なる形態のがんが含まれるがこれらに限定されない疾患状態の存在、非存在および/または重症度を同定するための、溶解物中に含まれる核酸の分析を含み得る。例えば、この溶解物は、診断マーカーおよび/もしくは予後判定マーカー(例えば、腫瘍由来核酸)ならびに/または病原体核酸を検出するために、分析され得る。本発明は、疾患スクリーニング、腫瘍学、がんスクリーニング、初期段階がんスクリーニング、前悪性疾患スクリーニング、がん治療モニタリング、遺伝子試験(遺伝子型決定)、感染性疾患試験、病原体についての試験、損傷診断、外傷診断、移植医学または多くの他の疾患が含まれるがこれらに限定されない多くの分野の適用において適切であり、従って、診断および/または予後判定に関連する。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、例えば逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、非対称PCR、対立遺伝子特異的PCR、インバースPCR、LATE(線形後指数関数的(linear after the exponential))PCR、配列間特異的PCR(ISSR)、多重PCR、ネステッドPCR、固体支持体PCR、ライゲーション媒介性PCRもしくはメチル化特異的PCR(MSP)、DNAもしくはRNA配列決定、次世代配列決定、等温増幅方法、例えばLAMP(ループ媒介性等温増幅)、RPA(リコンビナーゼポリメラーゼ増幅)、HDA(ヘリカーゼ依存的増幅)、NEAR(ニッキング酵素増幅反応)、TMA(転写媒介性増幅)もしくはNASBA(核酸配列ベースの増幅)、ポリメラーゼサイクリングアセンブリ(PCA)、または上記の任意の組合せが含まれるがこれらに限定されない、基本的に任意の核酸増幅方法が、得られた溶解物に対して実施され得る。それぞれのテクノロジーは、当業者に周知であり、従って、本明細書でさらなる記載は必要ない。
さらに、実施される増幅からも明らかなように、溶解物を増幅に供する前にその溶解物をさらに処理することは、本発明の範囲内である。例えば、逆転写が、cDNAを得るために実施され得る。逆転写は、得られた溶解物を使用して直接実施され得る。さらに、検出される標的核酸に依存して、DNaseまたはRNase消化が実施され得る。それぞれ処理された溶解物は、用語「溶解物」によっても包含され、増幅反応に供され得る。
一実施形態によれば、本発明に従う方法は、増幅対照を含む。前記増幅対照は、溶解物を得るために生物学的試料が添加された場合に、増幅シグナルを提供する。
一実施形態によれば、内部増幅対照が増幅反応中に含まれる。本明細書では、先行技術において一般に使用される内部対照が使用され得る。例は、本発明の背景に記載した。それぞれの内部対照を取り込むことは、増幅反応が適切に機能したかどうか(wether)が分析され得るという利点を有する。例えば、この内部対照は、核酸、例えばDNAまたはRNAであり得る。増幅される標的核酸がRNAである場合、対照もまた、好ましくはRNAによって提供される。次いで、この増幅反応は、使用される増幅条件下で内部対照を検出することを可能にする適切なプライマーおよび/またはプローブを含む。溶解物を得るために十分な生物学的試料が添加され、増幅が適切に機能した場合、この内部対照は、増幅反応において陽性シグナルを生じる。増幅シグナルが内部対照について達成されない場合、これは、その診断アッセイが適切に機能しなかったことを示す。それにより、増幅反応もまた、十分な生物学的試料材料が添加されなかった、無効として同定され得るが、これは、この場合、溶解物中の化合物(A)の存在が内部対照の増幅もまた阻害するからである。従って、それぞれの内部対照を取り込むことは、本発明に従う制御原理と組み合わせて使用される場合、利点を有する。
一実施形態によれば、この増幅対照は、並行増幅反応で実施され、増幅対照を含む前記増幅反応は、増幅反応において使用されるのと同じ溶解物を使用して調製される。それにより、溶解物を調製するために十分な試料材料が使用されなかった場合または十分でない試料材料が使用された場合に、化合物(A)が対照の増幅を阻害し得ることを確実にする。
一実施形態によれば、この増幅対照は、溶解物とは別々に増幅反応に添加される核酸によって提供される。しかし、この増幅対照は、溶解物中に含まれていてもよい。例えば、ハウスキーピング遺伝子が、増幅対照として検出できる。
増幅対照について得られる増幅結果は、増幅結果、従って実施された試験またはアッセイが有効であるかどうかを決定するおよび/または示すために使用され得る。この増幅対照は、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合にのみ増幅シグナルを提供し、増幅シグナルが内部増幅対照について得られない場合、増幅反応は、無効試験結果を示す、好ましくは無効試験結果として報告される。いくつかの例が引き続いて例示される。増幅対照および標的核酸が同じ増幅反応において、即ち、同じ反応容器中で検出される場合、前記増幅反応は、標的核酸(Amp−1)および内部対照(Amp−2)を検出するために必要な全てのプライマーおよび/またはプローブを含む。あるいは、上記のように、2つの別々の増幅反応が、並行してではあるが、同じ溶解物を使用して実施される。両方の代替法において、増幅対照のための鋳型を別々に添加することがいずれも可能である。しかし、Amp−2についての前記鋳型は、増幅反応に供される溶解物によっても提供され得る。以下の増幅結果を得ることができる:
1)Amp−1=陽性かつAmp−2=陽性またはAmp−1=陽性かつAmp−2=陰性(陽性とは、アンプリコンが検出されることを意味する)。この結果は、試験が有効であることおよび標的核酸が検出されたことを示す。
2)Amp−1=陰性かつAmp−2=陽性。この結果は、試験が有効であることおよび標的核酸が検出されなかったことを示す。
3)Amp−1=陰性かつAmp−2=陰性。この結果は、試験が無効であり、反復すべきであることを示す。
第2の態様によれば、溶解物を増幅反応に供するステップを含む、核酸を増幅するための方法が提供され、前記増幅反応は、少なくとも1つのアニオン性基を含む少なくとも1種の化合物(A)を含み、化合物(A)は、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅反応を阻害するが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅反応を阻害せず、前記方法は、増幅結果を分析するステップを含み、増幅反応中の化合物(A)の存在に起因して、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅シグナルが得られないが、溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅シグナルが得られる。
化合物(A)の適切かつ好ましい実施形態、化合物(A)の適切かつ好ましい濃度、溶解物を得るための適切かつ好ましい実施形態、および増幅反応のための適切かつ好ましい実施形態、増幅対照の使用などに関する詳細は、第1の態様に従う方法と併せて、上記した。本態様にも適用される上記開示が参照される。
本明細書に記載される数値範囲は、その範囲を規定する数を含む。本明細書に提供される見出しは、全体として明細書を参照して読まれ得る本発明の種々の態様または実施形態の限定ではない。用語「溶液」とは、本明細書で使用する場合、特に、液体組成物、好ましくは水性組成物を指す。溶液は、1つだけの相の均質混合物であり得るが、本発明に従って使用される溶液が例えば沈殿物などの固体成分を含むこともまた、本発明の範囲内である。用語「カルボキシレート」は、本明細書で使用する場合、プロトン化カルボン酸基、例えばカルボキシル基もまた指すが、これは、pH値に依存して、常に特定の量のカルボン酸基がプロトン化されるからである。従って、本明細書で使用する場合、用語「カルボキシレート」「カルボキシル基」は、相互交換可能に使用され、カルボキシル基(COOH)、カルボン酸アニオン(COO)またはカルボン酸塩[−COO(−)(+)]を指すことになる。同様に、用語「酸」は、本明細書で使用される場合、それぞれの酸の塩、即ち、酸の脱プロトン化形態もまた指し、逆もまた然りである。従って、溶解の間に、試料を少なくとも1つの水溶性ポリアニオン性ポリマーと接触させることは、例えば、溶解の間に使用される条件下および従って例えば溶解混合物中でポリアニオン性ポリマーになるアニオン化可能な基を有するそれぞれのポリマーを添加することもまた含む。
一実施形態によれば、方法の場合には特定のステップを含むとして、または組成物、溶液および/もしくは緩衝液の場合には特定の構成要素を含むとして、本明細書に記載される主題とは、それぞれのステップまたは構成要素からなる主題を指す。本明細書に記載される好ましい実施形態を選択および組み合わせることが好ましく、好ましい実施形態のそれぞれの組合せから生じる特定の主題もまた、本開示に属する。
本発明は、本明細書に開示される例示的な方法および材料によって限定されない。本発明は、以下の非限定的な実施例によってここで記載される。
(実施例1)
試料材料として血液を使用した。溶解緩衝液は以下を含んだ:0.1%PVP(MW10,000)、0.45%Tween−20、0.45%Nonidet P40、70mM Tris/HCl pH8.0、1mM EDTA、0.04%PAA、0.025%プロテイナーゼK溶液、溶解緩衝液1ml当たり65μlのカルボキシル化磁性粒子、溶解緩衝液1ml当たり50mgのAmberlite XAD−7、溶解緩衝液1ml当たり20μlのchelex懸濁物。この溶解緩衝液は、化合物(A)としてPAAを含む。PAAは、生物学的試料から放出される阻害物質を枯渇させることが可能であり、それにより、引き続く増幅反応を改善することができる。しかし、PAA自体がPCR阻害物質である。従って、生物学的試料材料が溶解の間に添加されない場合、PAAは増幅を阻害する。PVP、カルボキシル化粒子、Amberlite XAD−7およびChelexは、溶解の間に複合血液試料から放出される阻害物質をさらに枯渇させるためにPAAに加えて使用した添加剤である。使用される非イオン性界面活性剤は、試料の溶解を補助する。それぞれの溶解緩衝液を、10体積%の全血および1ngのN.gonorrhoeaeのゲノムDNAと接触させた。N.gonorrhoeaeのゲノムDNAは、増幅反応において検出されるはずの標的核酸として機能した。それぞれの病原体核酸は、一般に、全血を使用して診断アッセイにおいて検出される。参照は、同じ量の溶解緩衝液および同じ量のゲノムDNAを含んだが、血液は含まなかった。即ち、参照中には、溶解の間に生物学的試料材料を添加しなかった。この溶解物を、5分間にわたって95℃で溶解混合物を加熱し、室温で冷却することによって得た。カルボキシル化磁性ビーズを、磁気によって分離した。溶解物の上清を、フリーズドライPCRマスターミックスに添加した。こうして、排他的に、得られた溶解物を、フリーズドライマスターミックスを再構成するために使用した。再構成された反応混合物を、定量的PCR(3分間95℃および40×{5秒間95℃、30秒間60℃})を実施するために使用した。
図1は、溶解の間に血液を使用して得られた溶解物を用いて実施した増幅反応が、典型的な定量的PCRシグナルを示したことを示す。しかし、溶解物を血液の添加なしに得た参照試料は、平坦な、従って陰性の増幅シグナルを示した。従って、実施例1は、増幅シグナルがこれらの正確に処理された溶解物についてのみ得られるので、本発明に従う方法が、生物学的試料が溶解の間に添加されたことを制御することを可能にすることを示す。生物学的試料材料(ここでは血液)が添加されない場合、溶解物中のPAAの存在は増幅反応を阻害する。
(実施例2)
この実施例では、以下の溶解緩衝液を使用した:
緩衝液1:0.1%SB3−14、10mM Tris pH8.1、1mM EDTA
緩衝液2:0.1%SB3−14、10mM Tris pH8.1、1mM EDTA、0.025体積%プロテイナーゼK
緩衝液3(参照):FCPL(Fast Lane Kit、QIAGEN)。緩衝液FCPLは、増幅適合性の溶解物(核酸の単離を必要としない)を与えるが、化合物(A)は含まない。
試料材料として鼻咽頭スワブを使用した。1つの鼻咽頭スワブを、300μlの各溶解緩衝液中で旋回させた。100μlアリコートを得、以下のように処理した:
− 溶解緩衝液中に含まれる100μlスワブ試料を、または参照としてスワブ試料なしの溶解緩衝液を、10μM SeraMagビーズ(seradyne;50mg/ml−カルボキシル化ビーズ)および1μl MutaGripワクチン(2007/2008;Roche、これはそれらの核酸を含む不活化ウイルスを含む)と接触させる
− サーモミキサー中、1400rpmで95℃、5分間にわたるインキュベーション
− リッド(lid)から濃縮物を収集するための短時間の遠心分離
− 室温で5分間冷却する
− カルボキシル化ビーズの磁気分離(1分間)
− 清澄化された溶解物に対応する上清の収集
− 14μlの清澄化された溶解物による、逆転写酵素を含む、インフルエンザBの検出のためのRT−PCR凍結乾燥物の再構成(15μl反応体積について)
− 1μlプライマー/プローブミックスの添加
− 反応条件:50℃、10分間、95℃、5分間、40×{95℃5秒間、60℃30秒間、72℃10秒間}。
図2は、インフルエンザBを検出するための、試料の添加ありまたはなしで得られた溶解物からの逆転写定量的PCRを示す(二連から得られた中央値が示される)。40サイクル後に増幅が検出不能であった反応は、40のCtで示される。認められ得るように、本発明に従う化合物(A)(ここではSB3−14)を含む溶解緩衝液は、生物学的試料を添加した場合にのみ増幅シグナルを得た。試料を添加しなかった場合、増幅シグナルは得られなかった。本発明によって教示される化合物(A)を含まない増幅適合性の溶解緩衝液(FCPL)は、試料を添加したか否かに関わらず、シグナルを得た。実施例2は、溶解の間に試料が添加されなかったという事実に起因して生じ得る偽陰性が本発明に従う制御方法で同定され得るので、本発明の利点を確認する。

Claims (15)

  1. 十分な生物学的試料材料から得られた溶解物が核酸増幅反応に供されたことを制御するための方法であって、
    a)溶解物を調製するために組成物を使用するステップであって、該組成物は、少なくとも1つのアニオン性基を含む少なくとも1種の化合物(A)を含み、化合物(A)は、該溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には該増幅反応を阻害するが、該溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には該増幅反応を阻害しない、ステップ;
    b)該溶解物を必要に応じてさらに処理するステップ;
    c)増幅反応において該溶解物の少なくとも一部分を使用するステップ
    を含み、該方法は、増幅結果を分析するステップを含み、該増幅反応中の化合物(A)の存在に起因して、該溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅シグナルが得られないが、前記溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅シグナルが得られる、方法。
  2. 十分な生物学的試料材料が溶解の間に添加された場合、化合物(A)は、該生物学的試料の溶解の間に放出される阻害物質を枯渇させることによって、好ましくは、放出される阻害物質を複合体化することによって、前記増幅反応の阻害を防止または低減させるが、十分な試料材料が溶解のために添加されなかった場合、従って、十分な量の阻害物質が溶解の間に放出されなかった場合または十分でない量の阻害物質が溶解の間に放出された場合、化合物(A)は該増幅反応を阻害する、請求項1に記載の方法。
  3. 化合物(A)が、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基およびリン酸基からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性基を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 化合物(A)が、カルボキシレート含有モノマーを含む水溶性ポリアニオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤および両性イオン性界面活性剤からなる群から選択される、請求項1〜3のうち一項またはそれより多くの項に記載の方法。
  5. 化合物(A)が、以下の
    i)前記ポリマーが、モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸および/もしくはマレイン酸を含む;
    ii)前記ポリマーが、アクリル酸およびマレイン酸を含む、好ましくは、アクリル酸およびマレイン酸からなる;
    iii)前記ポリマーが、アクリル酸を含む、好ましくはアクリル酸からなる;
    iv)前記ポリマーが、マレイン酸を含む、好ましくはマレイン酸からなる;
    v)前記ポリマーが、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ならびにポリアクリル酸およびポリマレイン酸を含むコポリマーから選択される;ならびに/または
    vi)前記ポリマーが、2,000Da〜500,000Da、10,000〜450,000Da、25,000〜400,000Da、35,000〜350,000Da、50,000Da〜300,000Da、75,000〜300,000Da、100,000Da〜300,000Da、150,000〜300,000Daおよび200,000Da〜300,000Daの範囲から選択される平均分子量を有する
    という特徴のうち1つまたは複数を有する、カルボキシレート含有モノマーを含む水溶性ポリアニオン性ポリマーである、請求項4に記載の方法。
  6. 化合物(A)が、アニオン性または両性イオン性界面活性剤である、請求項4に記載の方法。
  7. 化合物(A)が、スルホン酸基を含むアニオン性または両性イオン性界面活性剤、好ましくはスルホベタインである、請求項6に記載の方法。
  8. 水性の前記組成物が、化合物(A)として、ポリアクリル酸および/またはスルホベタイン3−14を含む、請求項1〜7のうち一項またはそれより多くの項に記載の方法。
  9. 化合物(A)が、前記生物学的試料を溶解させるために使用される溶解組成物中に含まれる、請求項1〜8のうち一項またはそれより多くの項に記載の方法。
  10. 以下の
    i)前記溶解物が、増幅試薬を含む乾燥試薬組成物を再構成するために使用され、それにより、水性増幅組成物を提供する;および/または
    ii)ステップb)において、該溶解物が清澄化され、該清澄化された溶解物の一部分が、ステップc)において前記増幅反応に供される
    という特徴のうち一方または両方を有する、請求項1〜9のうち一項またはそれより多くの項に記載の方法。
  11. 前記生物学的試料中の標的核酸、好ましくは病原体核酸の存在または非存在が検出される、請求項1〜10のうち一項またはそれより多くの項に記載の方法。
  12. 増幅対照を含む、請求項1〜11のうち一項またはそれより多くの項に記載の方法。
  13. 以下の
    i)前記増幅対照が、前記増幅反応中に含まれる内部増幅対照である;
    ii)前記増幅対照が、並行増幅反応中で実施され、該増幅対照を含む該増幅反応が、前記増幅反応で使用されるのと同じ前記溶解物を使用して調製される;
    iii)前記増幅対照が、該溶解物とは別々に該増幅反応に添加される核酸によって提供される;
    iv)前記増幅対照が、該溶解物中に含まれる;
    v)前記増幅対照について得られた増幅結果が、該増幅結果が有効であるかどうかを決定しかつ/もしくは示すために使用される;および/または
    vi)前記増幅対照は、該溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には、増幅シグナルを提供し、増幅シグナルが該内部増幅対照について得られない場合には、増幅反応は、無効試験結果を示す、好ましくは無効試験結果として報告される
    という特徴のうち1つまたは複数を有する、請求項12に記載の方法。
  14. 溶解物を増幅反応に供するステップを含む、核酸を増幅するための方法であって、該増幅反応は、少なくとも1つのアニオン性基を含む少なくとも1種の化合物(A)を含み、化合物(A)は、該溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には該増幅反応を阻害するが、該溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には該増幅反応を阻害せず、該方法は、増幅結果を分析するステップを含み、該増幅反応中の化合物(A)の存在に起因して、該溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加されなかった場合には増幅シグナルが得られないが、該溶解物を得るために十分な生物学的試料材料が添加された場合には増幅シグナルが得られる、方法。
  15. 請求項1〜13のうち一項またはそれより多くの項において特定される特徴を有する、請求項14に記載の方法。
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