本開示の装置、方法及びシステムに関して以下に記載する実施形態の詳細は、本明細書に例示するものであり、図面との関連で限定されるものではない。特定の実施形態は詳細に図示すると共に記載するが、添付の特許請求の範囲内で様々な変更及び修正を加えることができることに留意されたい。本開示の範囲は、構成要素の個数、該構成要素の材料、形状及び相対的な配置などに関して限定されるものではなく、実施形態の単なる例示にすぎない。
詳細な説明の前提として、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに示唆されていなければ、複数形を含むことに留意されたい。
図1は、例えば規制物質を含む内容物の受け取り、調節及び分配をすると共に、耐タンパー性を有する薬物送達及び調整装置100を示す。薬物送達及び調節装置100の実施形態は、耐破壊性又は耐破砕性材料で構成された、耐タンパー性の本体110及び耐タンパー性のカバー101を含むことができる。耐タンパー性を有する装置は、任意の寸法、形状体積及び重量とすることができる。例示的な実施形態における装置100は、軽量で容易に保持可能に構成することができる。幾つかの実施形態において、装置は、例えば水筒に類似した外形寸法を有することができる。一実施形態において、装置は、1kg〜300gの重量とすることができ、他の実施形態においては僅か85gとすることができる。他の代替的な実施形態において、装置は、遥かに大きく構成することができる。装置は更に、様々な形状に構成することも可能である。幾つかの実施形態において、装置は、正方形、円形状又は円筒状とすることができる。代替的な実施形態において、装置は、円形のカバー101及び平坦な底部を備えることにより、適切な方位に自由に立つように構成することができる。代替的な実施形態において、装置は、傷害を有する人又は移動及び体の自由が制限された人のための機能及び操作機構を含むように、構成又は人間工学的形状とすることができる。
装置100を構成することのできる材料、即ち耐久性及び耐破壊性又は耐破砕性を有する材料は、大きな物理的衝撃、裁断装置、銃器及び極端な温度に耐え得る任意のものを含むことができる。このような材料は、耐衝撃性プラスチック、樹脂、ナイロン、金属、ゴム、ポリマー、ポリ樹脂、合金、炭素繊維、アクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、PET、PETG、ケブラー、レキサン、炭素繊維複合材料、ナルゲン(登録商標)、アクリライト(登録商標)、Duraplex(登録商標)、Hygard(登録商標)、Makrolon(登録商標)、マイカルタ(登録商標)、ナイラトロン(登録商標)、その他の類似材料、又はこれら材料を組み合わせたものを含むことができる。
耐タンパー性を有する装置の実施形態は、不正アクセスを防止する本体110を含むことができる。この場合の不正アクセスは、規制物質の服用者以外の他者によるアクセス、服用者以外の他者のために、服用者が規制物質を入手しようとする試みによるアクセス、又は装置内の内容物を所定の若しくは意図した投与スケジュールとは異なる形で入手しようと試みる任意の人によるアクセスを含むことができる。
本発明の実施形態の変形を構成するために使用した高度な耐破壊性を有する材料に関して、装置における構成要素の強度を測定するための試験を行った。例えば研究者らは、キャニスタ本体の一部を含むポリカーボネート製のチューブに関して一連の試験を行った。これは、エンドユーザが装置に不正にアクセスして内部の内容物を入手しようと試みる際に、装置に及ぼし得る大きな力に耐え得るかを保証するために行ったものである。これら試験は、装置の平均値を超える40,00lbs(約18144kg)の力に基づく有限要素解析モデルを含む。
高度な耐破壊性及び耐タンパー性を有する本体110に関する第1の試験においては、熟練の溶接工が12インチ(約30cm)の部分に対して30回に亘って打撃を加えた。その際に試験者は、8ポンド(約3.6kg)のスレッジハンマーを使用し、可及的に大きな力を加えた。この場合に材料は、僅かな窪みを示し明らかに損傷していたが、構造的には安定した状態を維持していた。即ち、本体は亀裂が入ったり破壊したりすることなく円形形状を維持していた。これは、個人が鈍力を用いて装置に不正アクセスをすることを回避できる構造上の能力を実証するものである。
第2の試験においては、体重180ポンド(約82kg)の研究者が6インチ(約15cm)の部分上で繰り返し踏んだり飛び跳ねたりした。その際にチューブは楕円形に変形したが、亀裂が入ったり破壊したりすることはなかった。更に第3の試験においては、本体に対して垂直方向に約272kgの負荷をかけたが、本体に影響が及ぶことはなかった。
第4の構造試験においては、本体上を大型トラックで走行させたが、装置を破壊することはできなかった。この試験結果では、本体は楕円形に変形したが、亀裂が入ったり破壊したりすることはないことが示唆された。
ポリカーボネートを使用した実施形態の試験においては、装置における性能特性に関して望ましい強度、耐久性及び堅牢性が実証された。この試験で使用した材料はポリカーボネートであったが、様々な材料が装置100の本体及び/又は構成要素にとって適切であり得る。実施形態によっては、40MPaを超える引張り強度、5ft-lb/in(約27kg-cm/cm)の衝撃強度及び59MPaを超える曲げ強度などの特性を有することが望ましい場合がある。
本体及び構成要素は、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS樹脂)又はABS-PCの混合物から射出成形することができる。ただし装置は、裁断、旋削、プリント、溶接、回転成形、ブロー成形、押し出し成形、圧延、プレス加工、鍛造又は他の方法で形成することができる。円筒形状のディスペンサは(ベースのコーナーに対する大きな衝撃に起因して、又は大きな切削力で装置が破壊できることに起因して)潜在的には弱点を有するが、円筒形状の利点はその欠点を上回り得るものである。装置を破壊しようとする試みは、著しい損傷により、装置における傷痕からも必然的に明らかである。
耐タンパー性を有する本体の実施形態は、防湿性を有すると共に化学的に不活性な本体を含むことができる。これは、分解、溶融、又は厳格に管理された所定の量とは異なる(潜在的に致命的な)薬物を他の様々な方法で取り出そうとする試みを回避するためである。装置の構成により、外部からの液体がアクセスコンパートメント130又は装置における他の内容物貯蔵領域に流入することを防ぐことができる。装置は、セキュリティ要素、ロック機構、及び子供や不正使用者が規制物質に影響を及ぼしたり取り出したりするのを制限する機能を含む。この機能は、必要に応じて利用してもしなくてもよい。
装置100の実施形態は、装置が構成及びプログラムされた以外の方法で規制物質を強制的に取り出そうとした場合に、壊滅的な破壊をもたらす極端な力を必要とするものを含むことができる。規制物質を分配するための装置は、服用者が旅行する際に使用することができる。この場合の装置は、ポケット、財布、ブリーフケース、スーツケース又は他の任意の容器に収まるようにポータブルで手持ち式の寸法とすることができる。同様にこのような理由から、この装置は、X線機器に関して十分な視認性を可能にする材料で製造し、運輸保安局(TSA)の規制に準拠するよう構成することができる。幾つかの実施形態において、装置100は、800〜1000cm3の体積を有することができる。装置の体積は、より小さな車輪532,533、モータ234a,243b及び電子機器405など、より小さな構成要素を使用することで更に縮小することが可能である。この体積は、分配する必要のある内容物の大きさ及び量に応じて、縮小又は拡大することもできる。例えばこの場合、より大きな固体剤形であれば、より小さな固体剤形に比べて、体積を拡大した装置が必要なことがある。
基本的に円筒形状は、構造的に安定しているため、物理的な操作を防ぐのに寄与するものである。この場合に装置の底部は平坦にできるため、平坦な表面に配置することができる。装置の頂部は円形状とすることができるため、安定した自立配向は底部だけである。ディスペンサが正確に機能する上で配向は重要である。なぜなら、実施形態によっては、内容物が装置内を通過するときに重力に依存する場合があるからである。
耐タンパー性を有する装置100の実施形態は更に、出口経路107を含むことができる。この出口経路107は、装置100の使用者がその内部にアクセスする必要なく又はアクセス不能であっても、耐タンパー性を有する装置における内容物の受け取りを可能にする任意の形状とすることができる。一実施形態における出口経路107は、キャニスタ本体に設けたスロット又は孔とすることができる。代替的な実施形態における出口経路107は、スライド式引き出しを含むことができる。他の代替的な実施形態においては、フリップカバー、ドア、ハッチ、キャップ、フラップ、蓋、又は閉鎖部を開けることにより、装置から押し出された内容物を得ることができる。
出口経路は更に、使用者が、物体又は液体を含む他の物質を装置内に入れて、アクセスコンパートメント130から残りの内容物を取り出そうとするのを防ぐこともできる。出口経路107は、少なくとも1つのアクセス機構を含むことができる。この場合のアクセス機構は、ドア、ハッチ、キャップ、カバー、フラップ、蓋、閉鎖部、エレベータ若しくは管理者が確実に開閉できる他の機構、又は分配ユニット140若しくは調節ユニット230への不適切なアクセスを制限する機能を含むことができる。管理者の例としては、医師、看護師、薬剤師、医師助手、医療専門家、獣医、又は装置100に物質を入れる権限を有する他の個人が含まれる。権限を有する使用者には、所定の時点で装置の内容物にアクセスできる患者が含まれる。アクセス機構は、ドア若しくはスライドのように、装置に対して恒久的に連結することができるし、又はスクリューキャップ若しくは取り外し可能なカバーのように、取り外し可能とすることができる。アクセス機構の実施形態は、防水性及び防湿性を有するものを含むことができる。幾つかの実施形態において、装置100は、規制物質を後で薬局などの認可施設で再補充、例えば用量若しくは薬物の変更又は所定の薬物を再補充するために再利用することができる。他の実施形態における装置は、使い捨てであってもよい。当業者であれば、アクセス機構に関して他の実施形態が存在することは言うまでもない。
耐タンパー性を有する薬物送達及び調節装置100の実施形態においては、少なくとも1つ以上の規制物質の受け取り、分配及び調節をすることができる。装置100は、少なくとも1つ以上の規制物質の受け取り、分配及び調節のための少なくとも1個以上のアクセスコンパートメント130を備えることができる。装置100の実施形態は更に、規制物質を異なる剤形(即ち固体、液体及び気体又は蒸気)で受け取り、分配し及び調節するためのアクセスコンパートメント130又は複数個のディスペンサを備えることができる。例えば一実施形態において、ディスペンサは、液体剤形の規制物質を第1コンパートメントで、また錠剤などの固体剤形の規制物質を第2コンパートメントで、更に吸入剤などの気体の規制物質を第3コンパートメントで受け取り、分配し及び調節することができる。
アクセスコンパートメント130は、分配される内容物の大きさ及び/又は量を制御する、少なくとも1個の可変インサート331を含むことができる。このインサート331は、調節手段230への入口を制限又は拡大することのできる任意の固体又は剛性材料とすることが可能である。例えば可変インサート331は、アクセスコンパートメント130の側面又は中央に取り付けることができるだけでなく、調節手段230への入口の大きさを覆う又は制限することができる。一実施形態における可変インサートは、クリップ580又はアクセスコンパートメントに沿って取り付けることのできる他の機構を含み得る。異なる形状及び大きさの錠剤を収容するために、様々なインサート331をディスペンサに取り付けることができる。幾つかの実施形態において、可変インサートは、調節手段230への入口を覆う又は制限することのできる傾斜面582を含むことができる。この傾斜面582は、アクセスコンパートメント内における異なる大きさの内容物を収容するために拡大又は縮小可能である。代替的な実施形態において、電源ハウジング202保持壁は、電源を支持するために機能し、また可変インサートとしても機能することにより、調節手段との間のギャップを調整することができる。
アクセスコンパートメント130は、所望の内容物を貯蔵するために任意の大きさ又は体積とすることができる。例えば幾つかの実施形態において、アクセスコンパートメントは120cm3とすることができるのに対して、よりポータブルな実施形態においては、装置を旅行に支障のないものとするために大きさをその半分にすることができる。
装置内に収容できる物質の例としては、処方薬、市販薬、栄養補助食品、ビタミン、ミネラル、又は個人の体内に摂取若しくは消費若しくは取り入れることのできる他の任意の物質が含まれる。規制物質の例としては、製造、所持若しくは使用が政府によって、又は立法又は行政機関によって規制されている薬物が含まれる。規制物質は、米国食品医薬品局による他の任意の分類薬物(ただしこれに限定されない)を含むことができる。これら分類薬物は、オピオイドおよびその誘導体などの麻薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピン、精神治療薬、バルビツレート、鎮痛剤及びDEA、スケジュールI-IV薬を含むことができる。規制物質は更に、医師、歯科医、理学療法士、精神科医、又は薬物を処方できる他の医療専門家による任意の物質を含み得る。
分配用に装置100内に収容することのできる物質又は規制物質の剤形は、エアロゾール剤、バー剤、ビード剤、ブロック剤、錠剤、タブレット剤、カプセル剤、布剤、濃縮剤、コーン剤、コア剤、散剤、クリーム剤、クリスタル剤、ダイアフラム剤、ディスク剤、包帯剤、エリキシル剤、乳剤、浣腸剤、エキス剤、繊維剤、フィルム剤、液剤、懸濁剤、固体、液体、気体、ゲル剤、ジェネレータ剤、顆粒剤、ガム剤、インプラント剤、吸入剤、注射剤、挿入剤、避妊器具剤、洗浄剤、ゼリー剤、シート剤、リニメント剤、リップスティック剤、ローション剤、シャンプー剤、ドロップ剤、洗口液剤、オイル剤、軟膏剤、パッキング剤、ペースト剤、トローチ剤、パップ剤、ペレット剤、絆創膏剤、湿布剤、リング剤、リンス剤、ソープ剤、スポンジ剤、スプレー剤、スティック剤、座剤、シロップ剤、チュアブル剤、発泡剤、浸透剤、チンキ剤、ウェハ剤、蒸気剤、又は服用者に供給する他の任意の製剤を含むことができる。装置100内に配置する物質及び規制物質は、プレ充填シリンジ、吸入器若しくは吸入キャニスタなどの内包送達法、又は物質を服用者に供給するために使用される他の任意の器具で収容することができる。装置100は、機械的又は電気的手段、又はその組み合わせにより、規制物質の送達を実行することができる。これにより、所定の用量を決められた間隔で分散することが容易になる。
耐タンパー性を有する装置の実施形態は、出力手段103を含むことができる。この出力手段103は、装置の所有者に情報を伝達可能な任意の機構とすることができる。一実施形態における出力手段103は、ビジュアルディスプレイ、スクリーン又はモニタを含むことができる。出力手段103の例としては、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、プラズマスクリーン、タッチスクリーン、ホログラフィックディスプレイ、デジタルビジュアルディスプレイ、反転フラップ式案内表示機、テルテール、又は情報を伝達する他の任意のディスプレイを含んでもよい。出力手段は、耐破壊性を有する材料で構成できるか、又は耐破壊性で構成できる引き込み可能又は取り外し可能なカバーを更に含むことができる。
出力手段103の実施形態は、数字、英数字、アイコン、イメージ、ピクチャ、フォトグラフ、動画、静的又は動的なグラフィック及び/又は他の同様に視覚的に表現されたものを含むことができる。デジタルビジュアルディスプレイの実施形態は、7セグメントディスプレイ、14セグメントディスプレイ、16セグメントディスプレイ、又は任意の解像度でイメージを表現する任意のディスプレイを含むことができる。例えばこの場合の実施形態は、640x480、800x600、960x640、1024x768、1280x720(720p)、1366x768、1440x1080(HDV 1080i)、1920x1080(1080p)、2048x1152(2K)、4096x2304(4K)、7680x4320(4320p)の解像度を含むことができる(ただしこれに限定されない)。ディスプレイユニット103の代替的な実施形態は、触覚ディスプレイを含むことができる。この触覚ディスプレイの実施形態は、点字ディスプレイ、オプタコン(商標登録)、又は触覚によって情報を伝達する他の任意のディスプレイを含むことができる。ディスプレイは、複合的な操作により触覚及び視覚の両方の機能を組み合わせることができる。装置の外表面の一部又は全部は、ビジュアルディスプレイ用に構成することが可能である。当業者であれば、ディスプレイユニットに関して他の実施形態が存在することは言うまでもない。
出力手段103は、耐タンパー性を有する装置の情報を使用者に対して外的に表示することができる。この場合に表示される情報は、装置の識別番号、使用者ID番号、処方医療専門家の情報、装置内における内容物名、例えば薬物名、有効性成分含量、装置内に貯蔵された内容物の量及び大きさ、内容物の消費期限、投与スケジュール又は内容物の投与割合、次回の投与までのカウントダウンタイマー、管理者、例えば医師、歯科医、理学療法士、薬剤師及び看護師の連絡先を含むことができる。装置100に関する服用者又は使用者の例としては、人、動物、例えば犬、猫、豚、馬、牛、羊、他の哺乳類、魚、爬虫類、又は規制薬物の使用によるメリットを得る他の任意の属若しくは種が含まれる。服用者の例としては、規制物質を処方された人若しくは動物、又は適切な管理を確実に行うために、患者の代わりに規制物質を受け取る権限を有する任意の個人が含まれる。
一実施形態において、表示される情報は、次回の用量を装置100がいつ供給するかを知らせるタイマー、時計、又はカウントダウンを含むことができる。他の実施形態において、出力手段103は患者情報を表示することができる。この患者情報は、患者名、年齢、性別、処方薬物、処方履歴及びアレルギーを含むことができる。代替的な実施形態における出力手段103は、禁忌、副作用、薬物相互作用、投与スケジュール及び投与濃度などの薬物に関する情報を含むことができる。他の実施形態は更に、服用に関する付加的な指示を含むことができる。例えばこの場合、ディスプレイにより、用量を食前又は食後に摂取するか、又はグラス一杯の水と共に摂取するか、更には服用後に特定の活動を行うときは一定時間を考慮すべきことを患者に知らせることができる。この点に関して、出力手段103は、所定の用量を摂取した後に少なくとも5時間は車を運転したり機械を操作したりしないように警告することができる。また、装置における処方内容物が鎮静又は睡眠補助薬である他の例においては、出力手段103により、用量を就寝前に摂取すると共に、一定の睡眠時間を考慮すべきことを患者に警告することができる。代替的な実施形態においては、単一の装置100内に一連の患者情報を記録することができる。この表示情報は、使用者番号によって記録可能であり、又はパスワード、パスコード若しくは使用者による他の識別可能な入力情報、例えば親指の指紋、フェイススキャン、網膜スキャン、生体認証データ、タッチスクリーンへの手のジェスチャ若しくは特定の個人を識別するための任意の方法でアクセス可能である。幾つかの実施形態において、患者情報及び使用者の入力情報は、ディスプレイ103に直接に表示することができる。他の実施形態において、ユーザインターフェースへの入力情報は、ネットワーク接続可能な所定の個人用コンピューティングデバイス、例えばモバイルコンピューティングデバイスに表示することができる。例えば一実施形態において、患者は、必要な入力情報をユーザインターフェースに入力し、これによりモバイルコンピューティングデバイスによって内容物をワイヤレスで直接に分配することができる。
装置100の実施形態は更に、オーディオ出力部を含むことができる。このオーディオ出力部は、電気的又は他の形態で音を生成する任意の装置を含むことができる。即ちオーディオ出力部は、スピーカー、ラウドスピーカー、コンピュータスピーカー、マルチメディアスピーカー、ドライバ、ツイーター、電気音響変換器、又は電気信号を音に変換する他の任意の装置を含むことができる。装置は更に、所定の用量の規制物質を服用者に摂取するよう促すリマインダアラームを含んでもよい。当業者であれば、オーディオ出力部に関して他の実施形態が存在することは言うまでもない。
耐タンパー性を有する装置の実施形態は、外部の装置と通信することもできる。例えばこの場合、モバイルコンピューティングデバイス又は装置100と通信するためのアプリケーションをメモリに読み込んだ他のコンピューティングデバイスと同期することができる。一実施形態における装置は、通信コンポーネント、例えばケーブル接続ポート又はワイヤレス通信により外部の装置と通信し、情報をモバイルデバイスに伝達可能である。外部の装置との通信は、入力手段105又は出力手段103などの通信コンポーネントにより容易にすることができ、この場合に出力手段はユーザインタラクティブとすることができる。例えばこの場合、伝達された情報は、用量リマインダ、再補充リマインダ、及び出力手段103にも表示可能な他の任意の情報を含むことができ、出力手段103又は入力手段105により確認することができる。
耐タンパー性を有する装置100の実施形態は、ユーザインターフェース105を備えることができる。このユーザインターフェース105は、使用者に装置とのやり取りを可能にする任意の方法又は手段を含むことができ、この場合のやり取りには、プログラミング若しくは装置へのデータ、指示及びコマンドなどの提供、又は装置から情報を要求されたときの応答が含まれる。一実施形態におけるユーザインターフェースは、装置とのやり取りをするために使用者が用いることができる物理的ハードウェア、例えばプッシュボタン、ダイアル、スイッチ、ジョイスティック、キーパッド、キーボード、マウス、トラックボール、スワップカードリーダ、網膜スキャンなどの生体分析手段、顔認識手段、ボイスインターフェース、親指の指紋分析手段及びこれら入力用ハードウェアの組み合わせを含むことができる。
代替的な実施形態におけるユーザインターフェース105は、出力手段103に組み込むことができる。例えばこの場合、出力手段103は、インタラクティブなタッチスクリーン又はタッチパッドとすることができる。これらタッチスクリーン又はタッチパッドは、使用者が装置100に指示又は応答をするために、タッチ、プレス、スワイプ、及び出力手段103とのやり取りを可能にする表面を含むことができる。代替的な実施形態におけるタッチスクリーンは、指1本を含む簡単なジェスチャを認識することができる。他の代替的な実施形態におけるタッチスクリーンは、より複雑なジェスチャ、例えば複数本の指によるジェスチャを含むマルチタッチジェスチャを認識することができる。タッチスクリーンは、手によるジェスチャで操作することができ、又はスクリーンに接触するスタイラスなどの手段による入力を認識することができる。
ユーザインターフェースの実施形態は、セキュリティ対策を講じたものを含むことができる。例えばこの場合、ユーザインターフェースは、パスワードで保護するか、又は指紋若しくは音声認識などの生体認証に基づく保護手段を組み込んだものとするか、又は入力時に他のキー若しくはRFIDタグの使用を必要とするものとすることができる。当業者であれば、ユーザインターフェースに関して他の実施形態が存在することは言うまでもない。一実施形態において、ユーザインターフェースは、ゲートキーピング機能を有し、装置本体110の内部へのアクセスを制御することができる。他の実施形態におけるユーザインターフェース105は、患者情報にアクセスするために又は出力手段103に表示される情報を見るために入力を要求することができる。例えばこの場合、情報を表示するために、特定のアクセスコード、入力情報の組み合わせ、又はシークレットジェスチャを使用者に求めることができる。代替的な実施形態においては、複数の使用者に異なる入力情報を割り当てることにより、装置が複数の使用者を区別し、どの情報を表示するかを決める構成とすることができる。
ユーザインターフェース105は、装置100とは異なる場所に配置することもできる。幾つかの実施形態における装置100は、通信コンポーネントを備えることができる。この通信コンポーネントは、装置100の外部原点に(から)信号を送受信し、又はデータを入力することのできる任意の装置又は方法を含むことができる。通信コンポーネントは、ワイヤレス又はワイヤード通信によって外部のデータソースに接続することができる。装置及び外部における他のソースとの間の通信は、暗号化することにより、使用者が規制物質の送達を阻止する目的で装置をハッキング又は改竄することを防ぐことができる。通信は、ユニークデバイスIDでタグ付けすることにより、適切に行われているかを判断することができる。通信コンポーネントの実施形態は、ワイヤレストランスミッタ、レシーバ及び/又はトランシーバ、例えばBlueTooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)若しくは他のワイヤレストランスミッタ、レシーバ、又は装置及び外部ソースとの間のデータ転送を容易にし、かつ外部から電力供給を受けるトランシーバを含むことができる。通信コンポーネントの実施形態は更に、ワイヤレスに統合、又はモバイルフォンなどのモバイルコミュニケーションデバイスにより統合することができる。また通信コンポーネントは、ワイヤードとしてもよい。このようなワイヤード通信は、USB(登録商標)、マイクロUSB(登録商標)、HDMI(登録商標)、マイクロHDMI(登録商標)、又はデータを装置のメモリに(から)アップロード及び/又はダウンロード可能な、ケーブルに基づく他のデータ通信用コンポーネントを介して行うことができる。当業者であれば、通信コンポーネントに関して他の実施形態が存在することは言うまでもない。
一実施形態において、通信コンポーネントは、装置における内容物の分配を調節するために、コントローラ又は制御ユニットによってデータを送受信することができる。このコントローラ又は制御ユニットは、プリント基板415に取り付けるか又は統合することができる。装置100は、時間や手段に関わらず、所定以外の規制薬物が入手できないよう構成することができる。通信コンポーネントは、ワイヤード、ワイヤレス又はその組み合わせとすることができる。例えばこの場合、通信コンポーネントは、ワイヤレスのネットワークインターフェースカード(NIC)、USBポート、イーサネットポート、無線トランスミッタ/レシーバ、ブルートゥーストランスミッタ/レシーバ、又は赤外線トランスミッタ/レシーバとすることができる。幾つかの実施形態において、通信コンポーネントにより、装置100をコンピュータネットワークに接続できるのに対して、他の実施形態においては、通信ポートを使用することにより装置に(から)データを伝達することができる。装置に(から)伝達される情報の例としては、装置の内容物、規制物質が分配された時間、規制物質を受け取った時間、規制物質の残量、装置の再補充についての情報、処方情報、禁忌情報、装置への不正アクセスの試み、装置に対する損傷、又は装置の位置が含まれる。当業者であれば、装置に(から)伝達されるデータに関して他の例が存在することは言うまでもない。
例えば一実施形態において、通信コンポーネントにより、外部のコンピューティングデバイスに接続することができる。この場合に外部のコンピューティングデバイスは、プログラミングユーザ情報、使用者による入力情報の有効性、装置のロック及びロック解除などに関する信号を装置に送信することができる。他の例においては、外部のコンピューティングデバイスに読み込まれ、かつ装置と通信してプログラムを作成できるマスタプログラムを医師又は薬剤師などの管理者が有することができる。
図2は、規制物質の受け取り、分配す及び調節すると共に、耐タンパー性を有する薬物送達及び調節装置100を断面図で示す。この装置100は、コントローラ又は制御ユニットを含むことができる。コントローラは、装置における様々な構成要素、例えば耐タンパー性のカバー101を本体110から分離させるロック機構120、ロック機構モータ215、並びに歯車510及び外歯車332を駆動させる付加的モータ234a,234bを制御する任意の手段とすることができる。例えばこの場合、コントローラは、プログラムされた指示を暗号化及び複合化可能なコンピューティングデバイスとすることができる。コントローラは、プロセッサ、メモリ、入出力手段を含むことができる。またコントローラは、マイクロコントローラ、例えばATmega328マイクロコントローラとすることができる。コントローラは、装置における他の構成要素、例えば調節ユニット230、制限手段232、ロック機構120、分配ユニット140及びモータ234a,234bを制御することができる。マイクロコントローラは、ディスプレイ103を動作させるために必要な他の構成要素と共に、複雑な回路基板に統合し、外部コンピュータに接続し、そして装置内のセンサからの閾値を読み取ることができる。マイクロコントローラは更に、分配機構を作動させるタイミング、出口経路におけるゲートを回転させるタイミング、蓋をロック又はロック解除するタイミングを装置に伝達することができる。これに加えて、マイクロプロセッサには、処方及び患者情報を記録するために、十分なメモリを設けることができる。例えば一実施形態において、投与スケジュール及び処方に関する情報をメモリから読み出することができる。この場合、電力供給が急に失われたとしても、患者情報及び投与スケジュールが失われることはない。
一実施形態においては、カスタムプリント基板(PCB)415を装置用に構成及び製造することができる。この場合、PCBは2個の断片に切断される。即ち、一方は、蓋にフィットすると共にマイクロコントローラ及び他のハードウェアを保持し、他方は、入力手段(ボタンなど)及び関連する回路を保持する。PCBを他の周辺機器(即ちモータ、センサ、ボタン、ディスプレイ画面及びUSBアダプタ)に接続するには、リボンケーブルを使用することができる。
幾つかの実施形態において、電子部品及び周辺機器、例えば1個以上のPCB、ディスプレイ画面、通信コンポーネント、コントローラ、及びロックモータは、耐タンパー性のカバー101内に配置することができる。他の構成要素、例えば車輪モータ、上部分配ユニットモータ、センサ、及び電源は、耐タンパー性を有する本体110内に配置することができる。蓋をベースから完全に取り外せることにより、薬剤師が処方薬を補充するのが容易になる。この理由により、マイクロコントローラをベースで周辺機器に接続するためのリボンケーブルは、アクセスコンパートメントにおいてコネクタを有することができ、蓋が除去されたときには接続を切り、蓋が再度取り付けられたときに再接続することができる。
内部の構成要素を含む装置100には、滅菌処理を1回以上施すことができる。幾つかの実施形態における装置は、任意の電子部品、周辺機器、PCB、ディスプレイ画面、通信コンポーネント、コントローラ、モータ、センサ、車輪、歯車、アクセスコンパートメント、内表面、及び電源を含む構成要素が滅菌技術に繰り返し耐えられるよう構成することができる。例えばこのような滅菌技術は、様々な形態の蒸気、熱、化学薬品、照射に基づく滅菌、例えば紫外線照射及びアメリカ疾病予防管理センター(CDC)、FDA及びEPAに知られ又は規定されている他の任意の滅菌形態を含むことができる。幾つかの実施形態において、加熱滅菌には、蒸気、熱風処理又はオゾン発生装置が含まれる。蒸気滅菌を利用する例においては、3〜30分の処理時間を含むことができる。他の実施形態における滅菌においては、エチレンオキサイドガスが使用可能である。エチレンオキサイドガスによる滅菌においては、1〜6時間の処理時間の他に、8〜12時間の曝気時間が含まれる。
装置100が耐え得る付加的な滅菌技術には、例えば以下の1つ以上の滅菌剤も含まれる。即ち、熱水、過酸化水素、過酸化水素ガスプラズマ、グルタルアルデヒドベースの製剤、オルトフタルデヒド、過酢酸、オキソニアなど過酸化水素及び過酢酸による混合物、低温蒸気ホルムアルデヒド、洗剤洗浄剤を用いた湿式低温滅菌剤、次亜塩素酸塩、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、次亜塩素酸ナトリウム、フェノール系殺菌洗浄剤、ヨードフォア殺菌剤、及びアンモニア又はアンモニアベースの殺菌洗浄剤である。この場合に使用される少なくとも1つの滅菌剤は、霧又は蒸気、霧状スプレー、指向スプレー又はリンスとすることができる。他の実施形態における滅菌剤は、滅菌バスによって適用することができる。滅菌剤は、100〜250°Fの高温で適用することができる。滅菌剤は、1〜30秒などの短時間で適用するか、又は装置100を分又は時間単位で完全に浸して適用することができる。この場合、装置を滅菌するのに必要な時間は、使用される滅菌剤及び該滅菌剤の活性化に応じて異なり得る。滅菌後に乾燥時間を設けることができる。幾つかの実施形態において、乾燥時間に関しては、滅菌性の熱気を導入することができる。この場合の空気は230°Fまで加熱可能である。一実施形態において、滅菌は、耐タンパー性を有する装置本体110を約131°Fまで加熱することで行うことができる。幾つかの実施形態において、過酸化水素などの滅菌剤は100〜120°Fに加熱し、約1秒間適用した後に、滅菌性の熱気を24秒間適用することができる。
装置の代替的な実施形態は、該装置100の構成要素を滅菌するための照射法、例えば紫外線殺菌照射、紫外線LEDライトへの露出、Steripulse-XL(商標登録)などのパルスUVランプへの露出、コバルト60などのガンマ線への露出、加速電子による微粒子放射への露出、又は他の放射線放射装置による放射線への露出に耐えることができる。
代替的な実施形態において、装置100の構成要素は、耐タンパー性を有する装置100の外部と同一若しくはほぼ同一の材料で覆うことにより、上述した滅菌処理に耐える構成とすることができ、又はこの場合の覆いは、選択された所望の滅菌法に耐え得る任意の材料で構成することができる。例えば過酸化水素、過酢酸、又はこれらの組み合わせを使用して装置の構成要素を滅菌する場合、滅菌流体に接触したときに損傷を被る構成要素は、過酸化水素又は過酢酸に耐え得ることが知られている材料、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)又はポリエチレンテレフタレート(PET)で覆うことができる。
他の実施形態において、敏感な部品(構成要素)、例えばPCB、マイクロコントローラ、電源及びモータは、装置内で貯蔵された内容物を含む又は内容物に接触するコンパートメントに対して、分離させた異なるコンパートメントに配置することができる。これら敏感な部品は、滅菌法に耐え得る任意の材料、例えば本明細書に記載の耐タンパー性の材料で構成された障壁によって過酷な滅菌法から保護することができる。
代替的な実施形態において、装置100は、敏感な部品、例えば電子機器、周辺機器、PCB、ディスプレイ画面、通信コンポーネント、コントローラ、ロックモータ、センサ及び電源は、装置内に貯蔵された内容物に接触し得る表面から離れた中央部に配置されるよう構成することができる。例えばこの場合、敏感な部品は、装置のカバー101内に保持されるものとすることができるのに対して、貯蔵された内容物は、装置本体101内の敏感ではない部品にのみ接触するものとすることができる。これら代替的な実施形態において、本体101及び敏感ではない部品に滅菌処理を施している間は、装置100における敏感な部品を含むカバー101を取り外しておくことが可能である。
更に他の代替的な実施形態においては、装置に貯蔵された内容物に関して、貯蔵、取り出し又は分配時に接触し得る構成要素は、予め滅菌可能なだけでなく使い捨て可能でもある。この実施形態において、権限を有する使用者は、汚染された古い構成要素、例えばアクセスコンパートメント130のファンネル、制限手段232、経路236、分配ユニット140及び出口オリフィス107を取り除くことができる。他の代替的な実施形態において、装置本体110は使い捨てとすることができる。例えばこの場合、予め滅菌した全てのパーツを含む、予め製造及び滅菌した本体は、装置に内容物を補充する前に、権限を有する使用者が単に交換すればよい。
幾つかの実施形態においては、ソフトウェアプログラムをコントローラにアップロードすることができる。マイクロコントローラは、モータ、センサ、ボタン及びディスプレイを制御すると共に、管理者の入力情報に従って内容物を分配するために、装置をプログラムするのに使用することもできる。この点に関しては、アルドゥイーノ統合開発環境(IDE)を使用することにより、ソフトウェアを書いてマイクロコントローラにダウンロードすることができる。アルドゥイーノの姉妹プロジェクトであるプロセッシングは、管理者による装置のプログラムを可能にするインターフェースを構成するために、やはり使用可能なオープンソースのことである。このインターフェースは、アップグレードすることにより、最新の薬剤関連ソフトウェアと互換性を持たせると共により安全性を高めることができる。
装置100をプログラムする場合、ワイヤレスでコンピューティングデバイスに接続するか、又は装置の通信ポートを介して通信ケーブルで接続することができる。例えばこの場合、Aタイプコネクタを一端に有すると共にBタイプコネクタを他端に有するUSBケーブルにより、装置をコンピューティングデバイスに接続することができる。他の実施形態においては、アルドゥイーノミニUSBアダプタを使用することにより、コンピュータからマイクロコントローラへのシリアル通信が可能になる。USBアダプタにより、コンピュータのインターフェースからの情報が変換され、ATmega328などのマイクロコントローラが認識可能な信号を5ボルトで送受信することができる。この場合の通信は、暗号化可能である。
一実施形態において、コントローラは、ユーザインターフェース105及びディスプレイ手段103と通信可能に配置することができる。この場合の通信は、使用者又は装置100にアクセスする権限を有する個人が、ユーザインターフェース105に特定の入力情報を入力することにより、又はコントローラが認識可能にプログラムされた入力情報の組み合わせを使用することにより行うことができる。セキュリティに関する入力情報が認識された後に、ロック機構が応答する構成とすることができる。例えば一実施形態において、有効な入力情報に応答してコントローラがロック機構120を離脱させることにより、装置のカバー101が本体110から分離し、アクセスコンパートメント130を露出させることができる。他の実施形態におけるコントローラは、使用者の指示に従って装置をロックするようプログラムしておくことができる。例えばこの場合、予めプログラムされた有効なセキュリティ入力情報がユーザインターフェースを介して入力された後に、コントローラによりロック機構120が係合するため、装置のカバー101及び本体110は、過度な力が作用しなければ又はセキュリティ入力情報を再度入力しなければ分離することがない。
一実施形態において、インターフェースは、パスワードで保護することにより、権限を有する個人だけが装置をプログラムできることが保証される。正確なセキュリティ入力情報が入力されれば、薬剤師又は他の管理者がユーザインターフェース105を介して装置をロック又はロック解除することが可能になる。重要な情報、例えば薬剤、患者及び処方に関する情報は、インターフェース上の各テキストフィールドに入力された後にマイクロコントローラに転送される。マイクロコントローラが情報を受信すると、ディスプレイ画面に表示するため、薬剤師は情報が正確に記録されたことを確認することができる。この情報は、不揮発性メモリに書き込み可能であるため、装置の電力が失われたとしても、情報が失われることはない。ATmega328マイクロコントローラが使用される実施形態においては、正しく再プログラム可能な回数が100,000書き込み/消去サイクルに制限されているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)が使用可能である。患者はその後、ピン、パスワード又は他の入力情報を装置に入力することができる。この入力情報は、錠剤を分配する時間になったときに入力又は要求することができる。
ロック機構120は、モータ215で制御されるロック用器具又はロックアーム440を含む電子ロックとすることができる。一実施形態において、モータはマイクロコントローラに接続することができる。この場合にマイクロコントローラは、使用者の入力情報、例えば正確なパスコード、又は管理者が装置の内部にアクセスするための任意の通信手段を介して、ネットワーク接続された外部のコンピューティングデバイスからの情報に基づいて信号をモータに送信することができる。蓋をロック解除するためには、ロック解除用の信号をマイクロコントローラに送信した後に、マイクロコントローラがモータ215を始動させることでモータが反時計回りに回転し、これによりアーム又はロック用器具をロック端301,303から後退させる。蓋をロックするためには、装置をロックするよう指示する信号又は使用者による入力情報をマイクロコントローラに送信することができる。マイクロコントローラがロックに関する入力情報を受け取ると、モータ215を始動させることでモータが時計回りに回転し、これによりロック用器具440をロック端303に伸長させることができる。その際にロック用器具が装置に付勢されるため、カバー101の除去が防止される。
代替的な実施形態におけるロック機構120は、蓋を所定位置に配向させて固定する90°回転可能なスナップ機構として構成することができる。この場合、回転したときにロックピンなどのロック用器具440がスナップ箇所を固定するために伸長することができる。これらロックピンは、回転可能な中央ディスク442に連結できるため、ディスク442の回転に伴って外方に伸長する構成とされている。このディスクの回転は、電子的に制御することにより、ロック機構に対して物理的な変更を加えることを防止することができる。更に他の実施形態におけるロック機構は、モータ、回転ディスク442、4個のピン440、モータハウジング、伸長させた突起を有するピンハウジング本体、及びロックリング303で構成することができる。この場合にロックリングは、装置のシェルにおける頂部に嵌め込んで4個の支持リブ上の所定位置に配向させることができる。リングは、エポキシ又は操作可能な他の手段で固定可能である。また4個のピンは、回転ディスク442に固定可能である。更に回転ディスク442は、モータに固定可能である。これら構成要素は、互いに対して90°の角度を設けた4個の突起又は伸長部を有するピンハウジング本体内に収容することができる。これら4個の突起又は伸長部は、ロックリング内に嵌め込み、固定位置でスナップするまで90°に亘って回転させる。蓋をロックするためには、モータを回転させることでロックアームをロックリング下で装置のベースに伸長させ、これらロックアームを所定位置で固定する。蓋をロック解除するためには、モータを逆方向に回転させることでロックアームを蓋内に後退させる。
更に他の代替的な実施形態において、コントローラは、シークレット情報又は制限された情報をディスプレイ103に表示することにより、予めプログラムされた正確な入力情報に応答することができる。他の代替的な実施形態におけるコントローラは、使用者による不適切な入力情報に応答するようプログラムすることができる。例えばこの場合、ロック機構によって、装置100への不正アクセスの試みを、権限を有する個人、例えば処方医、処方歯科医、理学療法士、看護師、又は薬剤師に報告するようプログラムすることができる。その際の通信情報は、通信コンポーネント(ワイヤレス又はケーブル通信により)コントローラの指示下で外部のコンピューティングデバイス又は権限を有する個人に送信することができる。
幾つかの実施形態において、ロック機構120は、例えばUSBを使用して蓋がコンピュータ又は他の外部のコンピューティングデバイスに接続され、かつ管理者がパスワードを入力してからでないと機能しないように構成することができる。蓋がロック解除状態にあるときは、薬物を装置内に収容することができる。薬物を収容してプログラムした後、蓋は再びスナップし、薬剤師などの管理者によってロック可能である。内容物が収容された装置はその後エンドユーザに渡され、過度な力を加えなければ、従って装置を大きく損傷しなければ蓋を取り除くことができない。
コントローラは、耐タンパー性を有する薬物送達及び調節装置100により、薬物送達に関する調節を制御することができる。一実施形態におけるコントローラには、薬物及び内容物の送達を制御する管理プロトコルをプログラムしておくことができる。この場合に管理プロトコルは、リンクされたデータメモリで操作可能である。メモリには、患者、装置の内容物、及び特殊な指示についての情報を記録することができる。メモリは更に、装置内に収容された薬物のタイプ、薬物の供給方法、服用者に関する重要な病歴、個々の患者に関する(薬剤師及び/又は処方医を含む)管理者による注意や指示、装置を介した薬物送達の頻度に関するログ、投与スケジュール、用量、アクセスコード、セキュリティ機能を回避するための入力情報及び/又は権限を有する医療関係者による処方に従って、患者への合法的で適切な薬物の提供を容易にする他の任意の情報を含むことができる。管理プロトコルは、外部のコンピューティングデバイスによってプログラムしたり変更したりすることができると共に、基板に取り付けられた通信コンポーネントを使用し、記録された情報を送受信することができる。
例示的な実施形態において、マイクロコントローラは、装置の管理プロトコルを含むことができる。この管理プロトコルにより、管理者によるプログラムで設定された用量及び送達時間に従って薬物送達を制御することができる。一実施形態におけるマイクロコントローラは、次回の用量が供給される時間を把握するためにタイマーを含むことができる。一実施形態においては、装置によってタイマーが使用される。幾つかの実施形態において、タイマーは、供給された用量の間隔に関して、1秒〜52日間の待ち時間を含む。タイマーが切れると、使用者は、出力手段103又はオーディオ出力部によって次回の用量を取り出すよう促される。例えばこの場合、タイマーが切れると、使用者はパスワード又は他の入力情報を入力するよう促され、指定の情報を入力した後に用量が分配される。代替的な実施形態においては、管理プロトコルを装置における操作可能なメモリにリンクすることができる。
一実施形態においては、タイマーにより、用量を分配する頻度を制御することができる。ディスプレイにより、タイマーが切れる度に薬物の再服用を知らせるメッセージ又は音を出力することができる。この場合、プログラムは、使用者が正確な情報を入力するまで待機するよう構成することができる。正確な情報が入力されると、分配プロセスが開始する。一回分の用量が分配された後、タイマーをリセットすることができ、これにより次回の用量までの時間を把握することができる。プログラムは更に、装置内に残留している錠剤数を把握することもできる。例えば幾つかの実施形態において、プログラムにより錠剤が全て分配された後、錠剤がなくなったことを通知するメッセージをディスプレイに表示させることが可能である。他の実施形態において、使用者は、残留錠剤数と、次回の錠剤が分配される時間を表示するようプログラムされた情報を入力することにより、残留用量を確認することができる。代替的な実施形態においては、バッテリー寿命を温存するために、使用者が押すボタンに応答して装置が用量を分配しないときには、マイクロコントローラが省電力モードに切り替わることができる。このモードに切り替わっている場合であっても、タイマーは依然として動作しているため、スケジュールは継続的に把握されると共に、静止状態からの切り替えが行われる。即ち、情報が入力されるか又はタイマーが作動したときに、マイクロコントローラが「覚醒」する。
幾つかの実施形態において、装置における操作可能なメモリは、ワイヤレス又はワイヤード通信、例えばWi-Fi、BlueTooth、イーサネットケーブル、電力線ネットワークアダプタ、RFID、及び基板に取り付けられた通信コンポーネントを使用したネットワーク通信を可能にする他の任意の手段により、外部のデータソースにリンクすることができる。例えばこの場合、情報は、装置のコントローラと、サーバ又はコンピューティングデバイスなど他の場所に記録されたプログラム済み情報を含むデータベース又はファイルとの間でネットワーク接続することができる。
図2、図3及び図4cについて述べると、コントローラにより、ロック機構120が制御可能である。このロック機構は、不正アクセスを防止する任意の手段又は仕組みとすることができる。ロック機構により、権限がない場合に、例えば装置における2個の部分の分離が回避される。例示的な実施形態において、分離される2個の部分とは、装置のカバー101及び装置本体110のことである。本発明の装置はこの単一の構成に限定されるものではなく、任意の個数のセグメントを装置100における任意の位置で含むことができる。ロック機構120は、装置100における2個以上のセグメントが結合されているときに、これらセグメントを所定位置で保持する手段とすることができる。装置は、複数のロック機構120を含むことができる。装置は、例えば頂部、中間部及び底部を含む3つのセグメント化された部分を備えることができる。この場合、第1ロック機構は、頂部及び中間部の間の境界に配置できるのに対して、第2ロック機構は、中間部及び底部の間の境界に配置することができる。
ロック機構120自体は、複数個の部品で構成することができる。一実施形態におけるロック機構は、第1ロック端301及び第2ロック端303を含む。例示的な実施形態においては、第1ロック端301が第2ロック端303内で噛み合い又は配置され得る。即ちこの場合、第1ロック端301は、第2ロック端303内に収まる構成とされている。ただし代替的な実施形態においては、第2ロック端303が第1ロック端301内に重なるよう配置され得る。これら第1及び第2ロック端は、任意の形状又は寸法とすることができる。図面に示す第1及び第2ロック端は円形状であるが、これらロック端は円形状に限定されるものではなく、ロック機構の実施形態は操作可能な任意の幾何学形状とすることができる。
ロック機構120の第1及び第2ロック端301,303は、複数の孔又はスロット311,411を含むことができる。これら複数の孔又はスロット311,411は、第1及び第2ロック端301,303が互いに重なるように配置されたときに整列する構成とすることができる。一実施形態においては、少なくとも1個のロック用器具440が孔又はスロット311,411を通過するよう伸長可能である。ロック用器具、例えばロックアームの一部が第1及び第2ロック端301,303を通過した状態にあれば、ロック機構はロック位置に切り替わったと言える。他の実施形態において、ロック用器具は、第1及び第2ロック端が互いに噛み合っているときに内側のロック端に留めておくことができる。この場合にロック用器具は、第1ロック端301から孔411を通過して外方に伸長し、第2ロック端の孔又はスロット311内に突出することができる。ロック端301,303の孔又はスロット311,411を通過して伸長するロック用器具440により、装置100のセグメントが分離するのを防ぐことができる。同様に、少なくとも1個の固定部440が第1及び第2ロック端の孔311,411を通過して伸長しなければ、装置100のセグメントは分離することができる。ロック用器具440は、装置のセグメントをロック又は解放するために、第1及び第2ロック端の間で突出又は侵入する必要はない。代替的な実施形態において、第1及び第2ロック端301,303は磁石端を含むことができるため、ロック位置に設定されたときには互いに引き付け合い、解放位置に設定されたときには互いに反発し、これにより第1及び第2端301,303を分離することが可能になる。
更に他の代替的な実施形態において、第1ロック端301は、内側部分301a及び外側部分301bを含むことができる。この実施形態は、使用者がロック機構を視認できないために有利である。この代替的な実施形態においては、内側部分及び外側部分301a,301bは、内部で互いにフィットし得る。それぞれの部分301a,301bは、孔又はスロット411を含むことができる。これら孔又はスロット411が互いに整列することにより、ロック用器具を伸長させたり後退させたりすることが可能になる。また内側部分301aは、ロックピンなどのロック用器具440を収容するための孔を含むこともできる。代替的な実施形態において、ロック制御機構により、ロック用器具自体ではなく、第1ロック端301の内側部分301aの位置を直接に調整及び制御することができる。例えばこの場合、ロック制御機構により、内側部分301aにねじれ運動又は回転運動などの運動をもたらすことができる。内側部分301aへのこの運動により、外側部分301bに関してロック用器具440が作用を受け、これによりロック用器具440が第1及び第2ロック端301,303の間の境界を通過する。内側部分301aの回転は、コントローラにより電子的に制御可能であり、また内側部分の回転により、ディスクが回転するからロック用器具が外方に向けて突出する。
更に他の実施形態において、回転ディスク442は、中心歯車及び各ロック用器具に取り付けられた一連の歯車に置き換えることができる。この場合にコントローラは、ロック又はロック解除用の信号を受信した後に、中心ギアに取り付けられたモータを始動させることでギアを回転させ、従ってロック用器具に取り付けられた各ギアを回転させることが可能である。
ロック機構の実施形態は更に、機械的ロック、電子ロック、電気的ロック、ソニックロック、光学ロック、又はこれらの組み合わせで構成される操作可能な任意のロックを含むことができる。ロック機構は、キーロック、コンビネーションロック、指紋識別ロック、RFIDロック、セキュリティトークンロック、パスワード保護ロック、又は不正アクセスによる開放を防ぐ任意の手段を含むことができる。この場合のパスワード、セキュリティトークン又は他の解放手段は、装置110に割り当てられた固有のIDに関連付けることが可能である。この固有のIDは、装置の内容物にアクセスする権限を有する特定の使用者に関連付けることも可能である。ロック機構の実施形態は、直接的に又は遠隔的にロック解除することができる。この場合、直接的に操作可能なロック機構の実施形態は、装置と同一の場所でロック解除される。これに対して、遠隔的に操作可能なロック機構の実施形態は、装置とは異なる場所でロック解除される。当業者であれば、ロック機構に関して他の実施形態が存在することは言うまでもない。ロック機構に関しては、電気モータなどの電力を利用することができ、磁気的に機能する構成とすることができ、機械的に操作可能に構成することができ、又はこれらを任意に組み合わせることができる。
一実施形態において、コントローラは、少なくとも1個のロック用器具に通信可能に配置することができる。この場合、コントローラにより、少なくとも1個のロック用器具440の伸長及び後退機能を制御することができる。一実施形態において、ロック機構120は、プログラムされた指示に応答して、少なくとも1個のロック用器具を係合又は離脱させることができる。例えば一実施形態において、ロック機構は、予めプログラムされた時間が経過した後に、少なくとも1個のロック用器具440を解放又は係合させることができる。このようなインターバルに際しては、耐タンパー性を有する薬物送達及び調節装置100により、1個の錠剤又は1回分の所定量の規制物質を取り出すことが可能になる。この場合に所定量とは、1個以上の錠剤、気体、分散させた液体、又は他の量を含む。所定量の規制物質が取り出された後、装置の管理プロトコル、例えばタイマー又は装置の制御機能が自動的にリセットされ、プログラムされた次回の投与インターバルまで付加的な内容物を分配しないようにすることができる。装置のタイマーは、用量の取り出しに必要な操作に際して、適切なインターバルにリセットされ得るため、予定の用量の取り出しが行われなくても、付加的な錠剤、タブレット剤又はカプセルを得ることができない。これにより、服用者が不注意で又は意図的に過度な量の規制物質を短時間内に得ることが回避される。当業者であれば、分配を制御するために、他のタイミング機構又は時間調節装置を利用できることは言うまでもない。
他の実施形態において、ロック機構120は、1日の特定の時間又は特定の曜日に離脱又は再係合するよう構成することができる。例えば、錠剤を2〜4時間毎に処方する必要があれば、耐タンパー性を有する薬物送達及び調節装置100から2時間毎にその錠剤にアクセスすることが可能である。夜間などに4時間の時間枠が過ぎた場合、2時間の最小時間が経過したことにより錠剤を得ることができる。装置のメモリに記録されたログについても、(ワイヤレス又はワイヤード接続による)装置との許可された通信又は装置のユーザインターフェースへの操作を介して、管理者又は許可を有する者(例えば医師又は薬剤師)がアクセスすることができる。これにより、貯蔵された薬物が所定通りに実際に装置から分配されたかが評価される。幾つかの実施形態において、ログにより薬物の分配インターバル及び用量に関して異常が判明した場合、このことを権限を有する者に知らせ、必要に応じて措置を講じさせることができる。例えばこの場合、管理者は、ログに関する異常を協議するために患者と面談するまで、装置をロックしておくかを決めることができる。
耐タンパー性を有する薬物送達及び調節装置100には、特定のユーザに関連付けられる固有の識別番号又はユーザIDを設けることができる。従って、権限を有する者は、装置における固有の識別情報を判断可能であると共に、装置が特定ユーザに関連付けられていることを保証することが可能である。このような識別情報に基づく関連付けにより、薬剤師が誤って類似の装置に交換することをチェックできるか、又は非管理者が薬物を得るために自らを不当に装置と関連付けることを防ぐことができる。
他の代替的な実施形態において、ロック機構は、アクセスコンパートメント又はレザーバ130が空になったときに離脱するようプログラムすることができる。更に他の実施形態におけるロック機構120は、ユーザインターフェース、又は通信コンポーネントを介して装置と通信すると共に、ネットワーク接続された外部のコンピューティングデバイスに正当な情報が入力されたときに離脱又は再係合することができる。例えばこの場合、アクセスコンパートメント130を再補充する権限を有する個人は、アクセスコード、親指の指紋スキャン、網膜スキャン、フェイススキャン、バーコードスキャン、キーカードのスワイプ、キー又は暗号化されたキーの挿入、及びこれらを組み合わせることにより、第1及び第2ロック端301,303を離脱させることができる。この場合、所定の入力情報によりロック機構に信号が送信され、その際にコントローラがロック機構120の係合又は離脱を容易にする。
アクセスコンパートメント130は、医師又は薬剤師など権限を有する個人によって再補充することができる。この場合にコンパートメントの再補充は、所定の用量をアクセスコンパートメント内に単に注入するか、又は手動で配置することで行うことができる。代替的な実施形態においては、素早く補充できる容器、又は所定の用量を全て含む、予め補充された容器をアクセスコンパートメント内に配置することができる。
耐タンパー性を有する装置100の実施形態には、物質又は規制物質を受け取りかつ分配するための少なくとも1個の固定可能な開口又はアクセスコンパートメント130が含まれる。このアクセスコンパートメント130は、内容物を出口経路107に分配又は搬送する前に、装置の内容物を保持するためのレザーバ又は貯蔵ホッパーとして機能し得るものである。アクセスコンパートメント130は、装置の個々の使用者にとってはアクセス不能であり、装置の内容物を許容可能なレベルに維持し、かつ権限を有する者によって制限されるよう構成することができる。一実施形態におけるアクセスコンパートメントは、ロック機構120の下方に配置することができる。この場合、アクセスコンパートメント130にアクセスするために、管理者がロック機構120を解放し、従って装置100の第1及び第2セグメントを分離することができる。この例示的な実施形態におけるアクセスコンパートメントは、装置本体110内におけるロック機構の下方に位置するよう構成することができる。アクセスコンパートメント130は、ロック機構120を解放して装置のカバー101を装置本体110から分離することによりアクセス可能である。
アクセスコンパートメント130には、分配を目的として、権限を有する個人が提供することのできる内容物を保持するためのレザーバが含まれる。アクセスコンパートメント130の実施形態には、複数個の内部コンパートメントが含まれる。これら内部コンパートメントの実施形態は、2個、3個、4個、又は所望かつ任意の個数を含むことができる。更に、異なるタイプの物質を受け取るために、異なる内部コンパートメントを構成することができる。例えばこの場合、アクセスコンパートメントは3個の内部コンパートメントを含むことができ、これら3個の内部コンパートメントのうち、1個は錠剤又はタブレット剤などの固体の規制物質を含むよう構成することができ、1個は液剤又は懸濁剤などの液体の規制物質を含むよう構成することができ、そして1個は吸入剤又はエアロゾール剤などの気体の規制物質を含むよう構成することができる。更に、2個のコンパートメントが固体の規制物質を含み、他の1個のコンパートメントが液体の規制物質を含む構成としてもよい。各コンパートメントに関しては、関連する調節機構及び分配ユニットにより、各種規制物質への不所望のアクセスを防ぐと共に、所定のスケジュールに従った分配が可能になる。
内部コンパートメントの実施形態は、規制物質を収集及び分配するための内部傾斜面を有することができる。この内部傾斜面の実施形態には、円錐状の傾斜面、螺旋状の傾斜面、又は曲線部を設けた傾斜面が含まれる。曲線部を設けた傾斜面の実施形態には、180°若しくはほぼ180°に亘る曲線部、又は非管理者が外部からコンパートメントにアクセスすることを回避するために寄与し得る任意の角度の曲線部が含まれる。当業者であれば、内部コンパートメントに関して他の実施形態が存在することは言うまでもない。
一実施形態において、アクセスコンパートメントは、電源322を覆うハウジング202のための領域を含むこともできる。代替的な実施形態において、この電源は、装置内の他の箇所、例えば装置のカバー101内に配置してもよい。例えばこの場合、電源は、カバーの下部に配置することができる。電源は、電源キャップ302を含むことができる。この電源キャップは、アクセスコンパートメント内に存在し得る湿気又は液体から電源をシールするために使用することができる。例えばこの点に関して、アクセスコンパートメント内には液体剤形が配置可能である。電源キャップ302により、液体剤形が電源ハウジング202内に侵入することが回避される。また電源は、電力を装置内における他の構成要素、例えばロック機構215、ディスプレイ103、ユーザインターフェース105、調節手段230、調節モータ234a,234b及び分配ユニット140に供給することができる。
電源コンパートメントは、蓋が取れていれば薬剤師又は他の管理者が容易にアクセス可能である。電源は、充電可能に構成するか又は処方量を再補充する度に交換することができる。電源の寿命を延ばすには、幾つかの方法がある。一実施形態において、回路には低電力部品を含めることができる。マイクロコントローラを異ならせることにより、エネルギー効率を異ならせることができる。他の実施形態においては、周辺機器がマイクロコントローラの端子に接続されているときに、制御用のリレーが使用可能である。例えばこの場合、小電圧信号がリレーに印加されているときにはリレーはスイッチとして機能し、ディスプレイ、入力手段、モータ及びセンサを接続する。信号がリレーに印加されていないときにはこれらの機器は独立し、電源からの電力を消費することはない。
電源322は、電気負荷部に電力を供給できる任意のものとすることができる。電源の実施形態には、充電式又は非充電式バッテリー、例えばニッケルカドミウム電池又はリチウムイオン電池、9ボルト電池、コンセント、ソーラーパネル、AC、DC又はAC/DC電源、リニア電源、スイッチモード電源、ACアダプタ、無停電電源装置、ソーラー電源、光パワー電源、燃料電池、及びこれらの組み合わせが含まれる。代替的な実施形態においては、2個以上の電源を使用することができる。複数の電源を用いることにより、充電せずに装置を使用できる時間を付加的に提供できるか、又は付加的な電源を停電が生じたときのバックアップ電源として使用することができる。例えば装置には、コンセント及びバッテリーとしたバックアップ電源により電力を供給できる。装置100がコンセントから電力を得られない場合には、バッテリーとしたバックアップ電源がオンに切り替わり、これにより停電が生じたときであってもロック機構の離脱又は内容物の分配が可能である。代替的な実施形態において、装置は、充電ステーション又は充電ドックを含むことができる。この場合に装置は、充電ステーションに配置して接続することができる。ステーションに取り付け後、電源が充電される。マイクロコントローラは、充電状態を監視するようプログラムすることができる。代替的な実施形態におけるマイクロコントローラにより、充電が完了した後に電源への電力供給を制限することができる。これにより電源の過充電が防止され、従ってバッテリーに蓄えることのできるエネルギー量を最終的に増加させることが可能になる。即ち、バッテリー寿命のために全体的な充電量を増加させることが可能になる。
装置100の幾つかの実施形態において、コントローラは、省電力モードに切り替わるようプログラムすることができる。例えばこの場合、コントローラは、特定時間が経過した後に又は患者若しくは管理者の入力によって起動するよう設定することができる。他の実施形態においては、コントローラにより、患者又は管理者からの入力がない場合に、ディスプレイ、入力インターフェース又はモータなどの機器による電力の消費を回避することが可能である。
バッテリー寿命を延ばすためには幾つかの方法がある。1つの方法では、低電力部品を回路に含む構成とする。例えば上述した実施形態との関連でいえば、ATmega328の代わりに、極めてエネルギー効率の高いシステムを制御するよう構成された異なるマイクロコントローラを使用することができる。他の方法では、周辺機器がマイクロコントローラの端子に接続されているときには制御用のリレーが使用可能である。この場合、小電圧信号がリレーに印加されているときにはリレーはスイッチとして機能し、スクリーン、ボタン、モータ及びセンサを接続する。信号がリレーに印加されていないときにはこれらの機器は独立し、電源からの電力を消費することはない。他の方法には、充電可能なバッテリーを使用することも含まれる。これ以外の方法でも、装置のバッテリー寿命を延ばすことができる。これに加えて、装置の全部品に関連する電力の調節、例えば使用されていないときに電力消費に影響するUSBアダプタなどの部品について考慮することが可能である。
耐タンパー性を有する装置の一実施形態においては、調節手段230が含まれる。この調節手段230は、アクセスコンパートメント130内における内容物が出口経路107に到達するのを制限又は制御する任意の器具とすることができる。例示的な実施形態における調節手段は、アクセスコンパートメント130のレザーバと直接に接触するよう配置することができるため、アクセスコンパートメント130内に受け取った内容物が不適切に出口経路107に到達することが回避される。調節手段230は、第1調節プレート333、第2調節プレート334、経路236、制限手段232、及び制限手段駆動機構332を含むことができる。
一実施形態において、用量の調節手段230は、第1及び第2プレートを含むことができる。例示的な実施形態において、第1及び第2プレート333,334は、互いに対して平行に配置することができる。代替的な実施形態における第1及び第2プレート333,334は、平行ではない角度で互いに連結することができる。これらプレート333,334は固定用器具、例えばねじ、釘、ステープル、クリップ、又は構造上の部分を他の構造上の部分に固定するために使用される他の任意の器具を用いることにより、互いに固定することができる。代替的な実施形態における第1及び第2プレート333,334は、溶接、エポキシ樹脂、一体成型、又は他の方法で恒久的に固定することができ、これにより調節手段230における構造的な支持力を高めることが可能になる。
第1及び第2プレート333,334は、固定用器具338を収容するために、表面を貫通する複数の孔を含むことができる。一実施形態において、プレート333,334は、1個以上の孔付スペーサ336を含むことができる。この孔付スペーサ336は、何れかのプレートに連結し、第1及び第2プレート間に所定の又は拡大可能なスペースをもたらすことができる。孔付スペーサ336は更に、固定用器具を収容するために内部に経路を含むことができる。
幾つかの実施形態において、用量の調節手段230は経路236を含むことができる。この経路236は、アクセスコンパートメント内に貯蔵された内容物を分配ユニット140にガイドする助けになる任意の構造及び機能を有するものとすることができる。また経路236は、出口経路107からアクセスコンパートメント130内への不正アクセスを防止するよう形成可能である。更に経路236は、任意の大きさ、寸法又は長さとすることができる。これに加えて経路236は、アクセスコンパートメント内の内容物が装置100の他の部分に漏れるのを防ぐ隆起させた縁部を含むことができる。一実施形態における経路236は、角度付き側面又はファンネル形状を含むことができる。他の実施形態における経路236は、蛇行形状とすることができるのに対して、代替的な実施形態における経路236は、90°の直線形状又は1つ以上の傾斜面を含む構成とすることができる。経路236の一実施形態においては、該経路に沿ってその間で昇降するエレベータ及び経路レシーバ736が含まれる。この場合、分配された内容物は、上昇したエレベータに到達した後に該エレベータを下降させる。エレベータが下降した後、内容物は、分配ユニット140の経路レシーバ736を通ることが可能になる。他の実施形態におけるエレベータは、電気的に昇降させることができる。エレベータは、コントローラと通信可能なセンサを含むことができる。この場合、アクセスコンパートメントの内容物を受け取ったことを知らせる信号がコントローラに伝達された後、コントローラがモータ234a,234bと通信することでエレベータを上昇又は下降させることが可能である。
経路236は、溶接、接着、ねじ、又は他の方法により、プレート333,334の一方又は双方に固定することができる。代替的な実施形態における経路は、制限手段232の直接的な延長部として形成することができる。更に他の代替的な実施形態における経路236は、調節手段230から分離させることができる。経路236は、調節手段230及び分配ユニット140の頂部の間で延在させることができる。代替的な実施形態においては、経路236を使用しなくてもよい。この場合、アクセスコンパートメント130の内容物は、分配ユニット140内に直接に分配可能である。
調節手段230は、アクセスコンパートメント130の内容物の移動を防ぐか又は制御状態での移動を可能にする制限手段232を含むことができる。調節手段232は1個以上設けてもよい。例えば一実施形態においては、アクセスコンパートメント130毎に作動連結された制限手段を設けることができる。代替的な実施形態においては、複数個のアクセスコンパートメントが1個の共通の調節手段232に通じる構成とすることができる。
一実施形態において、調節手段232は、コントローラによって制御することができる。この場合、コントローラにより、アクセスコンパートメント130の内容物を分配するために調節手段230を係合又は離脱させることが可能である。コントローラは、予めプログラムされた信号の受信に基づいて内容物を分配することができる。例えばこの場合、コントローラは、内部の時間設定に基づき、装置の内容物を制御した用量で分配するよう調節手段に指示を与える構成とすることが可能である。他の実施形態における調節手段230は、1日の特定時間にアクセスコンパートメント130の内容物を解放することができる。一実施形態における調節手段230は、特定頻度、例えば4時間毎に分配することができる。他の実施形態における調節手段230は、コントローラが使用者からの入力情報を受け取ったときにコントローラから信号を受信することができる。例えばこの場合、使用者は、装置100の内容物の供給を可能にする特定の情報を入力することができる。代替的な実施形態において、使用者の指示によって分配される内容物は、特定の時間内で特定の回数に制限することができる。
更に他の実施形態において、装置100は、医師又は薬剤師などの管理者からの入力情報を受け取ることができる。この場合に管理者は、コントローラに調節手段230への指示を送信するよう手動で伝達し、これによりアクセスコンパートメント130の内容物を供給させることができる。管理者は、ネットワーク又は装置の通信コンポーネントを介して、入力情報を装置100又はコントローラに伝達することができる。
一実施形態において、制限手段232には、電源322によって電力を直接に供給することができる。一実施形態における制限手段232は、1個以上のモータ234a,234bで制御することができる。これらモータ234a,234bは、コントローラと通信可能に配置することができる。例えばこの場合、コントローラは、アクセスコンパートメント130の内容物の一部を供給するために、使用者からの入力情報又は予めプログラムされた指示を受け取ることができる。これに応答することにより、コントローラが信号を送信し、モータ234a,234bを駆動させることができる。この場合、モータ234bにより、調節手段232に取り付けられた歯車332が駆動して回転することで、アクセスコンパートメント130の内容物を移動させることが可能になる。他の実施形態におけるモータ234bは、歯車510の回転を制御することにより分配ユニット140を回転させて内側部分242を整列させ、これによりアクセスコンパートメントから分配されている内容物を分配ユニット140が受け取ることが可能になる。制限手段232は、アクセスコンパートメント130に貯蔵された内容物が分配ユニット140又は出口経路107に到達することを制限し得る任意の装置とすることができる。
一実施形態において、制限手段232は、開閉可能な通路を含むことができる。この場合に通路の開閉は、通路がいつ開放するかを決める事前プログラムによる指示、又は代替的には、ユーザインターフェース若しくは装置100にネットワーク接続された外部のコンピューティングデバイスからの正当な入力情報に依存するものである。代替的な実施形態において、分配手段232は、一連の歯車又は車輪532,533とすることができる。これら車輪は、1個以上のプレート333,334に固定可能である。例えばこの場合、歯車軸501を1個以上のプレート及び歯車532の孔に通すことができる。この歯車軸は、歯車を通して延在させることができ、かつ回転力を及ぼすことにより車輪532,533を回転させ得る任意の器具とすることができる。車輪は、複数個の部分に分離させることが可能である。例えば図5に示すように、車輪532,533は、回転部分532b,533b上に配置可能なトレッド部532a,533a又はギア歯を含むことができる。この場合に回転部分は、トレッド部を装着するためのセクション又は溝を含むと共に、回転部分533を回転させる歯車軸を取り付けるための孔を含むことができる。代替的な実施形態においては、複数個の外歯車332が車輪532,533と作動連結するよう配置可能である。例えばこの場合、プレートを通るよう軸501をより下部における一連の外歯車内に延在させることができる。歯車軸を回転させた後、より下部における外歯車も同様に回転させることができる。これら下部における外歯車には、より上部における一連の外歯車を作動的に取り付けることができる。これら上部における外歯車は、車輪532,533に通すことのできる付加的なコネクタ又は歯車軸を含むことが可能である。下部における外歯車が回転すれば、上部における外歯車も同様に回転し、従って内歯車532,533を回転させる。
図面に示すように、車輪532,533は、出口経路107への内容物の流れ又は移動を回避するための摩擦に基づく機構を含むことができる。一実施形態において、制限手段232は、一組のゴム又はプラスチック製の車輪とすることができる。車輪532,533が静止状態にあれば十分な摩擦又は締め付けを一緒にもたらすため、アクセスコンパートメントの内容物の流れを制限し、出口経路107への移動を回避することができる。車輪が駆動又は回転状態にあれば、アクセスコンパートメントの内容物を制御しながら移動させることができる。一実施形態において、車輪は互いに逆方向に回転することにより、アクセスコンパートメントの内容物を移動させることができる。例えばこの場合、車輪532は時計回りに回転するのに対して、車輪533は反時計回りに回転する。この反対方向への運動により、アクセスコンパートメント130の内容物が経路236を介して出口経路107に供給される。一実施形態において、内容物の量は、モーションセンサ又は体積センサを使用することにより制御することができる。例えば、錠剤又は固体剤形が搬送された場合にはセンサを通過する。センサに感知された後、車輪又は歯車は、回転方向を逆転させることにより内容物の更なる供給を回避することができる。代替的な実施形態において、指定量の液体が体積測定カップ内に分配された後、調節手段は、アクセスコンパートメントの内容物の移動を停止することができる。
代替的な実施形態において、アクセスコンパートメントの底部における錠剤は、車輪532,533上に待機させておくことができる。即ち車輪は、アクセスコンパートメントの出口を完全に閉鎖することができる。この点を可能にするために、車輪はばね負荷しておくことで閉鎖状態を維持することができる。分配信号が送信された後、モータが平行に設定可能な歯車システムを回転させることにより、双方の車輪が中心に向けて内側に回転する。この内側への回転により錠剤が捕捉され、下方に向けてアクセスコンパートメント外に移動する。この場合に車輪は、錠剤によって強制的に分離することにより出口開口が生じる。その際にばねは、伸長することにより、錠剤に対して把持圧力を維持することができる。ばねは、それぞれの歯車軸501又は車軸に取り付けながらも、歯車軸又は車軸の回転を引き続き生じさせることが可能である。この場合のばね定数は、0.30〜0.40lbs/in(約136g〜181g-cm/cm)とすることができる。錠剤が車輪から搬送された後、出口経路に向けて落下し、その際に反射センサを通過する。このときに錠剤が搬送されたことをセンサが感知し、これによりモータを逆転させるための信号が送信される。車輪を逆転させることにより残留している錠剤がホッパー内に戻されるため、分配される錠剤を1錠のみに留めておくことが保証される。
代替的な実施形態において、装置により、詰まった錠剤又は車輪近傍で詰まっているが通過させるのが困難な他の内容物を取り出すよう試みることができる。この場合に装置は、少なくとも3秒間に亘って錠剤を分配し、その時点で内容物の分配ができなければ、再係合することで内容物を再び分配しようと試みる。装置の実施形態においては、この錠剤が分配されるまでこのサイクルが繰り返される。
装置100の実施形態には、分配ユニット140が含まれる。この分配ユニット140は、調節手段230と結合するように配置することができる。分配ユニットは、調節手段230から受け取り、かつ出口経路107に供給される内容物の量を制御する機能を有する。装置の実施形態には、1個以上の分配機構140が含まれる。この分配機構の実施形態には、1個以上の出口経路、ドア、ハッチ、スライド、ポート、キャップ、カバー、フラップ、蓋、閉鎖部、又は所定の用量及びスケジュールに従って規制物質を分配するために開放する他の任意の機構が含まれる。分配機構の実施形態は、下部分配ユニット又は錠剤取り出しチャンバ240によって分離された2個のドアを有することができる。この場合に分配機構140は、両方のドアが同時に開放しないよう形成することができ、従って液体又は他の手段によって、規制物質を所定外の日時に不正に取り出すことが回避される。分配機構の実施形態は、防水性、防湿性、耐紫外線性、防音性、耐可視光性、及び/又は他の形態の電磁波に対して耐性を有するものを含むことができる。
図8は、分配ユニット140の一実施形態を示す。この場合の分配ユニットは、カバー340、内側部分242及び下部240を含む複数個のピースを含むことができる。分配カバー340は、装置の内容物が下部分配ユニット240に移動することを制限する受け取り経路736を含むことができる。一実施形態において、この受け取り部736は、経路236に接続するよう配置可能である。他の実施形態における受け取り部736は、分配カバー340に設けたスリット、スロット又は切り欠きとすることができる。他の実施形態における受け取り部736は、スライド式ドア、コンパートメント又はトレイとすることができる。例示的な実施形態における受け取り部736は、下部240に結合され、かつ出口経路107に対して180°に亘って回転させた状態とすることができる。これにより、内側分配ユニット242が半回転で動作すればよく、この場合180°に亘る第1の回転においては受け取り部736が内側部分242の端部間におけるギャップ又はゲートに整列した状態にある。更に180°に亘る第2の回転により、下部240に収容された内容物が出口経路107に押し出される。例示的な実施形態においては、回転が180°に亘る等距離のものであるのに対して、代替的な実施形態においては、分配ユニット140による受け取り及び分配に関して回転を任意の角度とすることが可能である。
他の実施形態において、出口経路は、2個の支持プレート間、即ち用量調節経路又はチャネルにより錠剤を分配ユニットカバー340又はセパレータ上部の待機点にガイドする分配機構における2個の支持プレート間を起点として形成することができる。装置の内容物は、内側部分又は出口ゲートモータ234aが作動するまで待機させておくことができる。出口ゲート242は、楔状の切り欠きを設けた円筒状の部分とすることができる。モータにより歯車が駆動することで、切り欠き部分が待機中の錠剤の下方に移動するまで分配ユニット140の出口ディスクが回転する。その後、錠剤が切り欠き部分から落下し、180°に亘って出口ゲートの反対側に回転させることができる。錠剤が装置における最終的な出口を通過すると装置から放出され、これにより使用者がアクセスできるようになる。出口ゲート242はその後、任意の位置又は初期位置まで回転し続けることができる。
他の代替的な実施形態においては、使用者をアクセスコンパートメントの内容物から遠ざけておくために、分離プレートを組み込むことができる。この場合に分離プレートは、内側部分又はゲート242が出口経路107に関して整列及び開放位置に留まった場合であっても、付加的な安全手段としてアクセスを防ぐために機能し得る。
他の実施形態において、カバー340は、その外周に亘って1つ以上のスロット又は切り欠き352を含むこともできる。これらスロット352は、装置本体の内周に亘って設けることのできる突起に整合させることが可能である。これら突起350及びスロット352は、分配ユニット140及び装置の他の構成要素を所定位置に固定して装置の本体110内でのシフトを防ぐことができるだけでなく、内部の構成要素を取り外したり交換したりするときに、垂直方向に沿ってスライドさせるための軌道として機能することもできる。
分配ユニット140の内側部分242は、カバー340と連携することにより、内容物が下部240及び最終的には出口経路107に移動するのを制限することができる。一実施形態における内側部分242は、カバー340の受け取り部736と整列可能な切り欠きを含むことができる。代替的な実施形態における分配ユニット140の内側部分は、内容物の分配が許可されているか否かに応じて時計回り又は反時計回りに回転させることができる。例えば内容物の分配が許可されている場合には、受け取り部736が内側部分242の端部間のギャップと整列しなくなるまで回転させることができる。内側部分242は、内容物が出口経路まで移動するのを制限又は防ぐためのゲートとして機能するものである。
回転を可能にするため、内側部分242には駆動軸又は他の手段を設けることができる。一実施形態における内側部分は、第2歯車510と相互連結された歯車701を含むことができる。一実施形態において、第2歯車510は、モータ234aと接続するよう配置することができ、又は代替的な実施形態において、第2歯車510は、モータ234bによって制御される外歯車332と接続するよう配置することができる。この場合、モータが始動又は外歯車が回転すると、第2歯車510も回転するため、内側分配ユニット242を通るよう挿入可能な駆動軸が回転する。代替的な実施形態において、モータ234bには、内側部分242に直接に結合された駆動軸を設けることができ、管理者が装置の内容物を分配するために作動させたときに、モータは、例えば分配ユニット歯車701に接続された歯車510を回転させることにより内側部分242を回転させることができる。
下部分配ユニット240は、内側部分を受け取り可能な任意の形状とすることができる。一実施形態における分配ユニット下部は、アクセスコンパートメントから分配された内容物を含むことができるか又は保持できる任意の形状とすることができる。この場合に下部240の形状及び構成は、供給される剤形に依存するものである。例えば固体剤形が供給される実施形態においては、下部はプレート又はボウル形状とすることができる。剤形が液体である代替的な実施形態においては、下部はシールされた液体保持用の容器とすることができる。内容物が気体又は蒸気の場合、下部は、気体の漏れを防ぐための構成とするか、又は吸入器タイプの機構若しくはネブライザを含むことができる。
下部240の更なる実施形態においては、カバー340の場合と類似するスロット又は切り欠き351が含まれる。これらスロット又は切り欠きは、カバー340に整列させることができるため、装置本体110の突起350が通過可能である。従って、カバー及び下部を突起に係合させた後、カバー及び下部の移動が回避されるため、内側部分は、使用者による入力情報又は予めプログラムされた指示に応じて移動する。例示的な実施形態における内側部分は、回転することにより内容物を下部240から出口経路107に移動させることができるのに対して、カバー及び下部は静的状態で固定されるものである。
液体用の分配機構を含むよう構成された下部分配ユニット240の実施形態には、1個以上の出口経路、ドア、ハッチ、スライド、ポート、キャップ、カバー、フラップ、蓋、閉鎖部、又は所定の用量及びスケジュールに従って規制物質を分配するために開放する他の任意の機構が含まれる。液体を分配する構成とした下部は、一度に分配される液体の規制物質の量を制御する液体用の分配機構、例えばセンサを含むこともできる。このセンサの実施形態には、流量計、体積センサ、スケール、又は分配された液体の量を検出することができる他の任意の装置が含まれる。気体又は蒸気用の分配機構を含む実施形態は、規制物質を所定の使用のために気体又は蒸気の状態で提供するよう構成することができる。
液体用の分配機構の代替的な実施形態においては、液体回収チャンバにより、2個のドアを分離することができる。この場合に液体用の分配機構は、両方のドアが同時に開放しないよう形成することができ、従って液体又は他の手段によって、規制物質を所定外の日時に不正に取り出すことが回避される。液体用の分配機構の実施形態には、防水性及び防湿性を持たせることができる。当業者であれば、液体用の分配機構に関して他の実施形態が存在することは言うまでもない。
装置100の実施形態に関する効率性を測定するための試験が行われた。試験が行われた実施形態においては、正確さが97%であることが確認された。これらの試験結果は、50個の錠剤を9回に亘って装置に供給し、エラーの回数をカウントすることで得られたものである。試験においては、複数個の錠剤が分配されたケースか、又は1個の錠剤が分配されたが出口経路を介して使用者に錠剤が供給されなかったケースがエラーとして見なされた。また、使用者が手を加えずに1個の錠剤が分配されたケース、又は使用者が装置を振ることによって車輪で1個の錠剤を押し出したケースが許容可能な分配として見なされた。
本開示は、上述した特定の実施形態に関連して記載したが、多くの代案、修正及び変形が可能であることは当業者にとって自明のことである。従って、本開示において上述した好適な実施形態は例示的なものであり限定的なものではない。以下の特許請求の範囲に記載するように、発明の趣旨内で様々な変更を加えることができる。本発明は、特許請求の範囲によって限定されるものであり、本明細書に記載の具体例によって限定されることはない。