JP2015529463A - 細胞選択的なプロテオーム標識 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アミノ酸前駆体による細胞型特異的標識(CTAP)に関する。特に、開示されている方法は、安定した同位体で標識されたアミノ酸を、脊椎動物細胞が必須アミノ酸前駆体/基質からその必須アミノ酸を生成することを可能にする外因性酵素(exogenous enzyme)を発現するように操作された前記脊椎動物細胞のプロテオーム内に取り込むことを可能にする。前記方法は、安定した同位体で標識されたアミノ酸前駆体/基質を使用し、そして前記標識を有する必須アミノ酸が生成される。トランスジェニック細胞により生成された標識されたアミノ酸は増殖を支持するのみではなく、前記トランスジェニック細胞のタンパク質を特異的に標識する。さらに、異なる外因性アミノ酸を生産する酵素を発現する異なる細胞集団の使用は、複数の環境における個々の細胞集団のプロテオームの示唆的標識を可能にする。

Description

関連出願に関する相互参照
本出願は、米国仮出願第61/697,584号(2012年9月6日出願)の優先権を主張する。前記出願の内容は、その全体が、参照することにより本明細書に組み込まれる。
《配列表》
本出願は配列表を含む;ファイルは、ASCIIフォーマットであり、3314011AWO_SequenceListing_ST25.txtというファイル名であり、5.92キロバイトのサイズである。前記ファイルは、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。
《発明の技術分野》
本発明は、一般的に、細胞シグナリング、プロテオーム標識、及び混合細胞集団における細胞タンパク質の示差的標識(differential labeling)に関する。
《発明の背景》
細胞間コミュニケーションは、直接の接触又は分泌された因子を介しての媒介であろうとなかろうと、組織の発達、恒常性、及び病原性を含む生物学的現象の範囲では必須である。質量分析(MS)における最近の技術的進歩により、単一のサンプル中のタンパク質の数百〜数千の公正な同定が可能となる。標識技術、例えばSILAC及びiTRAQは、サンプル間の相対的な定量をさらに提供する。現在の方法のいくつかの制限が、分子、例えば細胞のコミュニケーションに関与するタンパク質を検出及び定量するための重要な課題を提起する。例えば、残念ながら、前記の定量方法では、サンプルを増殖させること及び分離して標識することが必要となり、それにより細胞間相互コミュニケーションの研究が困難となる。さらに、個々の細胞における目的のタンパク質染色用の抗体ベースの方法は、低スループットなアプローチであり、そして予備的知識に依存する。一方で、公正でありそしてハイスループットなアプローチ、例えば質量分析(MS)は、異なる細胞型由来のタンパク質を区別できず、したがって、サンプルを増殖させること及び分離して標識することを必要とする。
細胞間の相互作用により誘導されるタンパク質シグナル伝達は、現在の研究方法で調査することが困難である。組織又は共培養における異なる細胞型に特異的なタンパク質の同定及び識別用に、抗体が広く使用されているが(例えば、免疫染色又はFACSソーティング)、しかしながら、抗体ベースの方法は比較的低スループットであり、特異性が変化し、そして試薬のタンパク質読み出し情報(readout)及び可用性(availability)の事前選択によってバイアスされる。高スループットでありそして公正な方法、例えばMSベースのプロテオミクスは、これらの制限を克服することができる。残念ながら、それは複雑な細胞混合物における異なる細胞型由来のタンパク質を識別することができないので、MSは、細胞間コミュニケーション研究用にはあまり適していない。これらの制限の顕著な例は、成長因子、サイトカイン、及び他の分泌タンパク質の起始細胞(cell-of-origin)を同定するための任意の方法がないことである。
別のアプローチでは、各々の異なる細胞型は、別々に標識されている(例えば、L−リジン又はL−アルギニン同位体を使用したSILAC)、そして完全に標識された細胞は、その後混合される。次いで、MS/MSで同定されたペプチドは、同位体ラベル状態から元の細胞型を割り当てられることができる。最近の2つの報告では、初期のエフリンシグナリング応答(early ephrin signaling responses)同定用の及び細胞型間で輸送されるタンパク質の決定用の前記のアプローチの実現可能性が、実証されている。残念ながら、これらの標識は、共培養において細胞が増殖するにつれて希釈されるようになり(細胞分裂ごとに約50%)、これにより、この実験装置は主に初期のプロテオミクスの事象の調査に有用なものとなる。細胞シグナリングの分野におけるこれらの各々の方法の注意事項(caveats)を考えれば、現在の抗体及びMSベースのプロテオミクスによる制限を克服する新規な方法が、当該技術分野において大いに必要とされている。
必要とされるものは、共培養中の分泌因子の起始細胞を区別すること、多細胞環境におけるシグナリング経路の変化を同定すること、及びバイオマーカーに由来する細胞とバイオマーカーとをリンクさせることにより疾患に関連するインビボバイオマーカーを同定することを含む、現在の方法によっては簡単に答えられない様々な課題に対処する潜在能力を有する方法である。
《発明の概要》
アミノ酸前駆体による細胞型特異的標識(Cell type specific labeling with Amino Acid Precursors)にちなんでCTAPと命名された本方法は、通常は増殖培地で添加される、細胞の増殖に必要とされる必須アミノ酸の1つ以上を、安定した放射性同位体で標識された前記必須アミノ酸の前駆体から細胞により作製されることができる、安定した放射性同位体で標識された必須アミノ酸へ置換することを提供する。基質/前駆体からアミノ酸への反応を触媒する酵素の関心のある細胞によるトランスジェニック発現により、培地における又はインビボ例えばトランスジェニック動物における、選択的及び連続的なそれらの細胞の標識が可能となる。
観点の1つにおいては、したがって、脊椎動物細胞におけるタンパク質標識用の方法に関し、前記方法は、増殖条件下において、トランスジェニック脊椎動物細胞、すなわち必須アミノ酸前駆体/基質から必須アミノ酸を生成することを可能にする外因性酵素(exogenous enzyme)を発現するように操作された細胞を、前記アミノ酸前駆体/基質を含む組成物にタンパク質合成が生じる十分な期間にわたって触れさせる(exposing)工程を含む。前記基質/前駆体は、安定した同位体標識を含有し、そしてこの安定した同位体標識は、前記細胞により生成された得られたアミノ酸にそして最終的に前記細胞のプロテオームに存在する。一旦標識されると、標識されたタンパク質の前記細胞からの回収及び標識されたアミノ酸を含有するタンパク質の評価は、その環境における細胞及びその他の物のプロテオームの調査を促進する。
別の観点においては、本発明は、脊椎動物細胞におけるタンパク質合成モニタリング用の方法に関し、前記方法は、a)前記脊椎動物細胞が必須アミノ酸前駆体/基質から必須アミノ酸を生成することを可能にする外因性酵素(exogenous enzyme)を発現するトランスジェニック脊椎動物細胞を、前記アミノ酸前駆体/基質を含む組成物にタンパク質合成が生じる十分な期間にわたって触れさせる工程と、ここで、前記必須アミノ酸のための前記基質/前駆体は、安定した同位体標識を含むものとし;b)前記細胞からタンパク質を分離する工程と、ここで、合成されたタンパク質は、安定した同位体で標識された必須アミノ酸を含むものとする、を含む。
さらに別の観点においては、本発明は、複数の細胞型/集団における細胞タンパク質の示差的標識用の方法に関し、前記方法は、第一アミノ酸前駆体から第一必須アミノ酸を生成することができる第一外因性酵素を発現する第一トランスジェニック脊椎動物細胞及び第二アミノ酸前駆体から第二必須アミノ酸を生成することができる第二外因性酵素を発現する第二トランスジェニック脊椎動物細胞を、第一必須アミノ酸前駆体及び第二必須アミノ酸を含む培地で共培養する工程と、ここで、前記第一及び第二必須アミノ酸は、質量のみが異なっているものとし、前記第一及び第二脊椎動物細胞からタンパク質を分離する工程、並びに前記タンパク質を評価する工程と、ここで、前記タンパク質は、前記タンパク質が合成される細胞において、その質量に基づいて合成された結果であると考えることができるものとする、を含む。
関連する観点においては、本発明は、脊椎動物細胞の混合集団からタンパク質を識別する方法に関し、前記方法は、(a)(i)必須アミノ酸の前駆体/基質を前記必須アミノ酸に変換することができる外因性酵素を発現する第一トランスジェニック脊椎動物細胞;及び(ii)第二脊椎動物細胞を、前記必須アミノ酸の前記前駆体/基質を含む組成物に触れさせる工程と、ここで、前記前駆体は、第一の安定同位体を含み、そして必須アミノ酸は、タンパク質合成が生じるのに十分な期間にわたって第二の安定同位体を含むものとし;(b)前記第一及び第二脊椎動物細胞からタンパク質を回収する工程と;(c)前記タンパク質中の前記第一及び第二安定同位体の量を決定し、起始細胞を決定する工程と、ここで、前記第一安定同位体を含有するタンパク質は、前記第一トランスジェニック脊椎動物細胞により合成され、そして前記第二安定同位体を含有するタンパク質は、前記第二脊椎動物細胞により合成されるものとする、を含む。いくつかの実施態様では、前記第二脊椎動物細胞もまた、第一脊椎動物細胞によって発現される酵素とは異なる酵素を発現するトランスジェニック細胞である。
混合細胞培養物からタンパク質の起源のプロテオームを決定するための方法であって、前記方法は、(i)必須アミノ酸の前駆体/基質を必須アミノ酸に変換することができる外因性酵素を発現する第一トランスジェニック脊椎動物細胞;及び(ii)第二脊椎動物細胞を、前記必須アミノ酸及び前記アミノ酸前駆体/基質を含む組成物にタンパク質合成が生じるのに十分な期間触れさせる工程と、ここで、前記必須アミノ酸及び前記必須アミノ酸の前駆体/基質の各々は、異なる安定した同位体で標識されているものとし;(b)共培養細胞からタンパク質を回収する工程と;c)前記タンパク質中の前記安定した同位体の各々の量を決定する工程と、ここで、前記第一トランスジェニック脊椎動物/哺乳動物細胞からのタンパク質は、前記第二脊椎動物細胞からのタンパク質よりも異なった質量を示すものとし;d)前記の標識されたアミノ酸を含むタンパク質を評価する工程と、を含む。
さらに別の観点においては、本発明は、細胞集団の1つ以上におけるタンパク質の示差的標識用の方法に関し、前記方法は、(a)第一アミノ酸前駆体から第一必須アミノ酸を合成することができる第一脊椎動物細胞集団及び第二アミノ酸前駆体から第二必須アミノ酸を合成することができる第二脊椎動物細胞集団を提供する工程と;(b)前記第一及び第二必須アミノ酸前駆体を含む培地において、タンパク質合成が生じるのに十分な期間、前記第一及び第二脊椎動物細胞集団を共培養する工程と;(c)前記細胞からタンパク質を回収する工程と;(d)前記第一必須アミノ酸を含むタンパク質の量及び前記第二必須アミノ酸を含むタンパク質の量を決定する工程と、ここで、前記の第一必須アミノ酸を含むタンパク質は、前記第一細胞集団から合成され、前記の第二必須アミノ酸を含むタンパク質は、前記第二細胞集団から合成されるものとする、を含む。第一及び第二前駆体は、異なる質量、例えば重い又は軽いリジン前駆体を有し、一旦タンパク質に取り込まれても、区別されることができる。
さらに別の観点においては、本発明は、外因性酵素をコードする核酸を含有する、細胞にトランスフェクトするための新規な細胞及びベクター同様に、一時的に又は安定的にトランスフェクトされ、標識された基質/前駆体からその標識された必須アミノ酸を生産することができる酵素を発現する脊椎動物細胞に関する。
別の観点においては、必須アミノ酸基質/前駆体及び安定した同位体で標識された必須アミノ酸基質/前駆体から必須アミノ酸を生成する外因性酵素を発現するトランスジェニック細胞の生産に有用なベクターに関する。
関連する観点においては、タンパク質標識用及びタンパク質合成モニタリング用のキットに関し、前記キットは、脊椎動物細胞が必須アミノ酸基質/前駆体及び/又は安定した同位体で標識された必須アミノ酸基質/前駆体から必須アミノ酸を生成する外因性酵素を発現するように脊椎動物細胞をトランスフェクトするベクターを含む。
関連する観点においては、タンパク質の標識用の、タンパク質合成モニタリング用の、及び哺乳動物細胞における異なる細胞型のタンパク質の識別用の方法に関する。哺乳動物細胞は、典型的には、一時的又は安定的にトランスフェクトされ、基質/前駆体分子から必須アミノ酸を生産する外因性酵素を発現する。標識された必須アミノ酸の基質/前駆体を供給することにより、トランスフェクトされた細胞は、それ自身の起源である必須アミノ酸を生成することができるのみではなく、これらの細胞により生産されたタンパク質が、合成の間に標識される。
図1は、アミノ酸前駆体による細胞型特異的標識(CTAP)の基本原理(underlying principle)を示す概略図である。(a)CTAP法は、脊椎動物細胞が必須アミノ酸を生産できないことを利用し、それにより、細胞増殖のための培養培地又は食餌(diet)が添加されることが、これらの分子にとって必要となる。1つの実施態様においては、前記方法は、これらのアミノ酸の1つのL−リジン、及び前駆体分子からそれを生産するために使用される酵素を採用する。L−リジンを生産する外因性の酵素を発現することにより、トランスジェニック細胞は、自身がL−リジンの供給を生み出すことができるようになり、そして(b)重同位体で標識した形態のリジン前駆体を培地に供給することにより、選択的に標識されることができる。(c)異なる細胞型において、異なるL−リジンを産生する酵素を発現することにより、示差的に標識された前駆体を含有するがL−リジンを欠いている培地において培養された場合に、連続的な細胞選択的プロテオーム標識が可能となる。(d)CTAPは、発達、分化、及び発症を含むがこれには限定されない、細胞と細胞とのコミュニケーションに関する生物学的現象の範囲において、細胞混合物における細胞外及び細胞内シグナリングを調査するために使用されることができる。
図2は、インビトロでの単及び共培養において、L−リジン生合成酵素であるメソ−2,6−ジアミノピメリン酸(DAP)条件で増殖した、シロイヌナズナ(Arabidopsis Thaliana)からのジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(DDC)を発現する脊椎動物細胞の実施態様を示す。(a)DDCを安定的に発現するマウス線維芽細胞3T3(上のパネル)、及び(b)lyrを安定的に発現するヒト乳癌細胞MDA−MB−231を、10mM DAP、4mM D−リジン、前駆体の両方、又は0.798mM L−リジンを追加したL−リジンを含まない培地にプレーティング(plated)した。コントロール(エンプティベクター)の細胞が、下のパネルに示される。xCELLigenceシステムを使用したインピーダンス(細胞数との相関)により評価した細胞の増殖を、最大の増殖に対して正規化した。エラーバーは、生物学的反復の3回の標準偏差を示す。
図3は、L−リジン生合成酵素を発現している脊椎動物細胞株は、それらの前駆体から生産されるL−リジンを組み込むことを示している。実験の最初においては、細胞溶解物を、(a)DDCを発現する重(H)標識された3T3細胞、及び(b)lyrを発現する軽(L)標識されたヒトMDA−MB−231細胞(上のパネル)から収集した。表示されている前駆体を含有するL−リジンを含まない培地において、細胞をさらに継代培養し、そして13日後にサンプルを収穫した(下のパネル)。リジンを含有するペプチドの標識の状態を定量LC−MS/MSで評価しそして重標識の取り込み率をMaxQuant分析からH/Lの比を用いて決定した(ペプチドの中央値=示された破線のバーによるパーセンテージ)。
図4は、前駆体対L−リジンの状態において限定された分子の変化が存在することを示す。(a)DDCを発現する3T3細胞を、DAP若しくはL−リジンを添加した又はいずれをも含まない(飢餓(starved))SILAC培地にプレーティングした。72時間後、mRNAを採取しそしてイルミナマイクロアレイプラットフォーム(Illumina microarray platform)を使用して遺伝子発現レベルについてプロファイリングした。DAP対L−リジン(左のパネル)及び飢餓対L−リジン(右のパネル)の発現差異を統計的有意性の関数としてプロットした(複数の試験について、Benjamini及びHochbergの方法により、moderated T−statisticsを調節した)。ハイライト表示の遺伝子(緑)は、FDR<0.05のレベルで、2倍以上の差異があるように調節されていた。(b)lyrを発現するMDA−MB−231細胞を使用すること以外は(a)と同様に、L−リジン、D−リジン、又は飢餓条件下でプレーティングした。全ての実験を3回繰り返して実施した。
図5は、2つの異なる酵素−前駆体のペアを用いると、共培養細胞が前駆体ベースの示差的なプロテオーム標識を示すことを示している。(a)DDCを発現する3T3細胞(マウス)を重L−リジン(H)で標識しそしてlyrを発現するMDA−MB−231細胞(ヒト)を軽L−リジン(L)で標識しそしてLC−MS/MSによるサンプル分析の前に混合した(上のパネル)。同じ細胞を共培養し、そしてDAP(L)及びD−リジン(H)条件で3継代後に分析した(下のパネル)。マウス又はヒトプロテオームに特有のペプチドは、それぞれ緑及び赤である。(b)DAP(L)及びD−リジン(H)を含有する培地において、DDCを発現するGFPHEK293Tを、lyrを発現するmCherry MDA−MB−231細胞と共に共培養した。ソーティッドGFP(sorted GFP+)(上のパネル)及びmCherry細胞(下のパネル)の別々のLC−MS/MSランを実施しそして特定したタンパク質を示す。中央値を青の線で示す。(c)(b)同様の細胞の分類されていない共培養物由来(unsorted co-culture)のタンパク質。ハイライト表示されているものは各々のトランスジェニック細胞株に特有のタンパク質である(HEK293TにおけるGFP及びDDC、MDA−MB−231細胞におけるmCherry及びlyr)。HEK293T(DDC/GFP)及びMDA−MB−231(lyr/mCherry)の各々の導入遺伝子の平均を、それぞれ緑及び赤の線で示す。
図6は、分泌因子の起始細胞の決定用のCTAPの用途を示す。(a)DDCを発現する3T3細胞(マウス)及びlyrを発現するMDA−MB−231細胞(ヒト)をDAP(L)及びD−リジン(H)で共培養した。サンプル収集の前に、血清を含まない培地で細胞を24時間増殖させ、そして上清(培地)を収集した。超遠心分離法及びメタノール−クロロホルム抽出によりタンパク質を濃縮した後、サンプルをLC−MS/MSによって分析した。マウス(緑)およびヒト(赤)に特有であると同定されたペプチドを含有するタンパク質のみが表示される。(b)ヒト細胞株の2つ:DDCを発現するHEK293T及びlyrを発現するMDA−MB−231細胞から構成される共培養であるという以外は(a)と同様に行った。混合された単培養物のSILAC定量により決定されるように、色は相対的なタンパク質の存在量(relative protein abundance)を示している。無着色の点は、単培養サンプルにおいて識別されなかったタンパク質を表す。注記をつけているのはH/L比が最も大きかったタンパク質の5つ:ガラクチン−3BP(Galectin-3BP)(LGALS3BP、Q08380);セルピンA3(Serpin A3)(SERPINA3、P01011);Cartilage−link protein(CRTL1、P10915);オステオネクチン(Osteonectin)(SPARC、P09486);カテプシンX(Cathepsin X)(CTSZ、Q9UBR2)である。下線のタンパク質は、MDA−MB−231分泌タンパク質の最近の研究で同定された(18)。
図7は、L−リジンを生成する酵素及びそれらの基質の例を示す図である。いくつかの酵素が、前駆体化合物からL−リジンの生成をもたらす反応を触媒する、細菌、真菌、及び植物において発見されている。これらの酵素及びそれらのそれぞれの前駆体の4つの例が示されている。
図8は、L−リジン及びL−リジンの異なる前駆体条件下の、ヒトHEK293T及びマウス3T3細胞株の増殖を示すグラフである。(a)条件ごとに少なくとも4回の反復を使用して、細胞を96ウェルフォーマットに播種し、そして示された時間、細胞増殖をレザズリン(アラマーブルー)(Resazurin)(AlamarBlue)アッセイを用いて測定した。ここで留意すべきは、L−リジンが存在しない場合は、両方の細胞株が増殖を停止することであり、これにより、哺乳動物細胞がL−リジン栄養要求性(auxotrophic)であることが確認される。L−リジン前駆体である、メソ−2,6−ジアミノピメリン酸(DAP、b)、N−α−cbz−L−Lys(Z−Lys、c)、及びD−リジン(D−Lys、d)が培地に高濃度(mMレンジ)で供給された場合、細胞は限られた増殖反応を示すか又は増殖反応を示さない。対照的に、N2−アセチル−L−リジンが培地に供給された場合、両方の細胞株は、実質的な増殖反応を示す(N2a、e)。
図9は、L−リジン生合成酵素であるジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(DDC)を発現するHEK293T細胞が、メソ−2,6−ジアミノピメリン酸条件で、特異的に増殖することを示すグラフである。DDC(左のパネル)又はエンプティコントロールベクター(右のパネル)で安定的にトランスフェクトしたHEK293T細胞を、0.798mM L−リジン、10mM DAP、又は両方なし(ブランク)において培養した。細胞増殖を、インピーダンスに基づくxCelligenceアッセイによって推定し、そしてデータを各々の細胞型の最大値で正規化した。ここで留意すべきは、DDCを発現するHEK293T細胞のみが、DAP条件で増殖することである。エラーバーは、生物学的反復の3回の標準偏差を示す。
図10は、CBZcleaver酵素を発現する3T3細胞がZ−リジン条件で増殖しそしてZ−リジンから生産したL−リジンを部分的に取り込むことを示す(CBZ−リジン)。(a)CBZcleaver(左のパネル)又はエンプティコントロールベクター(右のパネル)で安定的にトランスフェクトしたHEK293T細胞を、0.798mM L−リジン、2.5mM Z−リジン、又は両方なし(ブランク)において培養した。細胞増殖を、インピーダンスに基づくxCelligenceアッセイによって推定し、そしてデータを、各々の細胞型の最大値で正規化した。(b)CBZcleaver酵素を発現する3T3細胞において最も強い(intense)200の(L−リジンを含有する)ペプチドの重(K8)、中(K4)、及び軽(K0)の状態を示すペプチドヒストグラム。標識状態は、細胞を中L−リジン(左、K4)で標識したものは実験の開始時にそしてL−リジンを含まない培地において重標識したZ−リジン(右、Z8)においては10日後に定量LC−MS/MSによって評価した。中央値のペプチドについての標識の取り込みの割合が表示される(赤いバー)。使用されたL−リジン(K4)の濃度は0.798μMであり、使用されたZ−リジン(Z8)の濃度は2.5mMである。留意すべきは、CBZcleaverを発現する細胞に特異的なことだが、Z−リジン条件での増殖及びZ−リジンに基づいたL−リジン取り込みは不十分であり、そしてしたがって、我々は、CBZcleaver−Z−リジンの酵素−前駆体のペアのさらなる実験を中止した。
図11は、前駆体対L−リジンの増殖条件で、限られたmRNA発現の差異が観察されたことを示すグラフである。(a)DDCを発現する3T3細胞を、L−リジン、DAP、又はDAP/L−リジンを含まない(飢餓)条件でプレーティングした。72時間後、mRNAを回収し、イルミナマイクロアレイプラットフォームを実行した。生物学的反復の3回を示す代表的なアレイを示す。黒い点は条件間で2倍以上に変化する遺伝子を表す。破線は、サンプル間の2倍の発現差についての境界を示す。(b)lyrを発現するMDA−MB−231細胞を使用すること以外は(a)と同様に、L−リジン、D−リジン、又は飢餓条件下でプレーティングした。
図12は、前駆体条件で増殖させた細胞が、L−リジン条件で増殖させた細胞と比較して、タンパク質存在量がほとんど変化しない又は全く変化しないことを示すグラフである。(a)DDCを発現する3T3細胞を、10mM DAP、0.798mM L−リジン−4(K4)、又は0.798mM L−リジン‐8(K8)のいずれかの条件で培養し、そしてLC−MS/MSにより分析した。MaxQuantソフトウェアによるラベルフリー定量を使用して、最も強いトップ200タンパク質の強度(定量した最も小さいペプチドの2つ)を条件間で比較した。ピアソン相関係数(Pearson correlation coefficients)及びrの二乗値(r-squared values)が提供される。2よりも大きい強度比が示されている(黒い丸)。(b)lyrを発現するMDA−MB−231細胞を使用すること以外は(a)と同様に、4mM D−リジン、0.798mM L−リジン、又は0.798mM L−リジン(K4)条件下で培養した。ここで留意すべきは、前駆体対L−リジン条件で培養された細胞間の相関(左のパネル)が、L−リジンの異なる2つの安定した同位体条件で培養された細胞のもの(SILACで標識した生物学的反復、右のパネル)とよく似ていることである。
図13は、薬物撹乱(drug perturbation)が、DAP対L−リジン及び酵素発現対エンプティベクターコントロール細胞の両方の細胞生存率に対して同様の効果を誘導することを示すグラフである。上のパネルでは、DDCを発現する3T3細胞を、示されたような様々な薬剤濃度において、10mM DAP(緑)又は0.798mM L−リジン(青)のいずれかの存在下で培養した(薬剤の標的はカッコ内に示されている)。薬剤に触れさせた48時間後にAlamarBlueを用いて細胞生存率を測定し、そして未処理のコントロールの細胞に対して正規化された。下のパネルは、0.798mM L−リジンの存在下で、DDCを発現する3T3細胞(緑)とエンプティベクターコントロール細胞(青)とを比較している。
図14は、飢餓、FBS刺激、及び薬物撹乱に対する応答が、酵素発現対エンプティベクターコントロール細胞とDAP対L−リジン条件との両方に非常に似ていることを示すウエスタンブロットである。上のパネルでは、10mM DAP又は0.798mM L−リジンのいずれかの存在下で、10%FBSの(basal)、FBSなしの(serum−starved)、24時間飢餓させて10%FBSで1時間刺激した(FBS)、又はFBSで1時間刺激してそして5μM AKT阻害剤VIII(EMD Chemicals)(FBS+AKTi)で刺激した培地において、DDCを発現する3T3細胞を培養した。下のパネルでは、DDCを発現する3T3細胞及びエンプティベクターコントロール細胞を、0.798mM L−リジンの存在下で培養しそして同様の条件に曝露した。両方の実験について、細胞を溶解しそしていくつかのリンタンパク質に対する応答を、ウェスタンブロッティングにより評価した。ローディングはGAPDHで示されている。生物学的反復の2回が示される。
図15は、2つの異なる酵素−前駆体のペアを用いると、共培養細胞は、L−リジンを含まない条件において前駆体上で増殖し、そして数世代にわたって同様の比率を維持することを示すグラフである。DDCを発現する3T3 GFP細胞をlyrを発現するMDA−MB−231 mCherry細胞と共にプレーティングし、そしてL−リジンを含まない条件において、培地に10mM DAP及び4mM D−リジンを添加した。共培養物を3回分割し(1:15)、そしてGFPとmCherry+との比をイメージベースフローサイトメーター(Tali、Invitrogen)を用いて各々の継代で決定した。第3継代における代表的な蛍光顕微鏡画像が示されている。
図16は、D−リジンの濃度を下げると共培養物におけるバックグラウンドの標識が減少することを示すグラフである。DDCを発現する3T3細胞をlyrを発現するMDA−MB−231細胞と共にプレーティングし、そして培地に10mM DAP−0(L)及び2.5mM D−リジン−8(H)を添加した。溶解物サンプルを3継代後に収集し(培養中13日)そしてL−リジンを含有するペプチドの標識状態についてLC−MS/MSにより分析した(左)。同じサンプルを使用して、H/L比に対するペプチドの強度をプロットした(右)。シーケンスによるマウス(緑)又はヒト(赤)プロテオームに特有のペプチドのみを分析した。ここでは、D−リジンの濃度を前に使用したレベル(4mM、図4)から2.5mMまで低下させると、おそらく共培養物における細胞間のL−リジン共有の減少又はその他の要因により、DDCを発現する3T3細胞における非特異的標識の量が減少することに留意する。
図17は、共培養されたヒトHEK293T及びMDA−MB−231細胞のポストソートFACS分析(post sort FACS analysis)を示す。DDCを発現するGFP HEK293T細胞をlyrを発現するmCherryMDA−MB−231細胞と共に共培養し、そしてFACSによりGFP及びmCherry細胞に分類した。ポストソート分析では、各々の分類された集団の精製度を同じフルオロフォア(fluorophores)についてのフローサイトメトリーにより評価した。割合が示される。ここでは、分析された集団のポストソート分析は予期されたフルオロフォアについて高い濃縮(high enrichment)を示したが、交差汚染(cross-contamination)が約2〜5%存在したことに留意する。
図18は、示差的に標識された共培養細胞の標識状態がSILAC標識された単培養物と十分に一致している(good agreement with)ことを示す。(a)DDCを発現するHEK293T細胞を、10mM DAP(L)及び4mM D−リジン(H)において、lyrを発現するMDA−MB−231細胞と共に共培養した。細胞溶解物を収集し、タンパク質を消化しそしてLC−MS/MSに供した。色は、標準的なSILAC標識を使用して別々に標識された同様の細胞の混合された単培養物の定量(中央値を中央にしたH/L比)により決定された通りの相対的なタンパク質存在量を示す。着色していない点は、単培養サンプルにおいて同定されなかったタンパク質を示す。(b)共培養物のH/L比をビン(binned)しそして各々のビンにおける平均単培養H/L比を決定しそして(a)と同様のカラースキームを用いて示した。(c)単培養及び共培養H/L比間の相関。
図19は、示差的に標識された共培養細胞の分泌タンパクの標識状態がSILAC標識された単培養物と十分に一致していることを示す。(a)DDCを発現するHEK293T細胞を、10mM DAP(L)及び4mM D−リジン(H)において、lyrを発現するMDA−MB−231細胞と共に共培養した。上清の回収の24時間前に、血清を含まない培地で細胞を培養しそして超遠心分離法及びメタノール−クロロホルム抽出によりタンパク質を濃縮した。タンパク質を消化しそしてLC−MS/MSに供した。定量された分泌タンパクのH/L比を、標準的なSILAC標識を使用して別々に標識された同様の細胞の混合された単培養物からの中央値を中央にしたH/L比と比較した。共培養物のH/L比をビンしそして各々のビンにおける平均単培養H/L比を決定した。ここでは、高いH/L比を有すると同定されたタンパク質の相対的に高い比率が、細胞内で同定できなかったことに留意する。(b)単培養及び共培養H/L比間の相関。
図20は、1つの酵素−前駆体のペアを用いた、共培養物の細胞選択的標識を示すグラフである。(a)DDCを発現するGFP3T3細胞及びエンプティベクターコントロールmCherry 3T3細胞の10mM DAP(左のパネル)又は10mM DAPなし(右のパネル)並びに様々な濃度のL−リジンによる共培養。72時間の共培養の後、フローサイトメトリーを用いてGFP及びmCherry細胞の数を決定した。デートポイントは、生物学的反復の少なくとも2回を示す。(b)DDCを発現するマウス3T3細胞をK8で標識しそして40μM K8及び10mM DAP中でK4で標識したヒトMDA−MB−231細胞とともに共培養した。最初の共培養溶解物サンプルを細胞の混合(播種)のすぐ後に採取しそして二番目のサンプルを2継代の後に採取した。マウス又はヒトプロテオームに特有のペプチドの標識状態を別々に表示する;曖昧なペプチドは無視する。
図21は、インビボの単及び共培養におけるD−リジン条件での、プロテウス・ミラビリス(P. mirabilis)からのトランケートされた(truncated)リジンラセマーゼ(lyr)を発現するHEK293T細胞の増殖が、L−リジン条件に匹敵する実施態様を示す。xCELLigenceシステムを使用したインピーダンス(細胞数との相関)により評価した細胞の増殖を、最大の増殖に対して正規化した。エラーバーは、生物学的反復の3回の標準偏差を示す。
図22は、インビトロの単及び共培養におけるD−リジン条件での、プロテウス・ミラビリスからのトランケートされた(truncated)リジンラセマーゼ(lyr)を発現するMDA−MB−231細胞の増殖が、L−リジン条件に匹敵する実施態様を示す。
図23は、インビトロの単及び共培養におけるD−リジン条件での、プロテウス・ミラビリスからのトランケートされた(truncated)リジンラセマーゼ(lyr)を発現するB16細胞の増殖が、L−リジン条件に匹敵する実施態様を示す。
《詳細な説明》
本明細書で引用した全ての刊行物、特許、及びその他の参考文献は、本開示にその全体が参照として取り込まれる。
本発明の実施において、分子生物学における多くの従来技術が使用される。前記の技術は周知であり、例えば、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York;DNA Cloning:A Practical Approach, Volumes I and II, 1985 (D. N. Glover ed.) Oligonucleotide Synthesis, 1984 (M.L. Gait ed.);Nucleic Acid Hybridization, 1985, (Hames and Higgins, eds.);Transcription and Translation, 1984 (Hames and Higgins, eds.);Animal Cell Culture, 1986 (R.I. Freshney ed.);Immobilized Cells and Enzymes, 1986, (IRL Press);Perbas, 1984, A Practical Guide to Molecular Cloning;the series, Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells, 1987 (J.H. Miller and M.P. Calos eds., Cold Spring Harbor Laboratory);Methods in Enzymology Vol. 154 and Vol. 155 (Wu and Grossman, and Wu, eds., respectively);Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994)及びこれらの刊行物の全てのより新しい版において説明されている。当業者に公知でありそして信頼されている製造業者の指示書を含む標準的なプロトコルを含有するこれらの文献及びその他の文献の内容は、本開示の一部として参照により組み込まれる。
以下の記載においては、専門用語の使用法に関して特定の規則に従うことになる。
用語「発現」は、生物学的活性を有するタンパク質(すなわち、発現産物)が合成されるように、構造遺伝子(コード配列)が転写及び翻訳されることを意味する。翻訳後修飾が必須ではないポリペプチドの部分を除去できること、並びにグリコシル化及びその他の翻訳後修飾が生じることが可能であることが理解される。
本明細書で使用される用語「トランスフェクション」は、宿主細胞による取り込み、統合、及び外因性DNAの発現を意味し、そして、プラスミド、エピソーム、その他の環状DNA形態、並びに当業者に知られているDNAのその他のベクター及びトランスフェクション可能な形態でのトランスフェクションを含むが、これには限定されない。発現ベクターは、ウイルス感染、形質転換、トランスフェクション、リポフェクション又はその他のカチオン性脂質ベースのトランスフェクション、リン酸カルシウム共沈殿、遺伝子銃トランスフェクション(gene gun transfection)、及びエレクトロポレーションを含む当該技術分野で公知の多数の技術のいずれかを介して宿主細胞に導入されることができるが、これには限定されない。これらの技術は当業者に周知である。
同じ原子番号(陽子数)を有するが異なる質量数(陽子と中性子の数の和)を有する原子は、同位体と呼ばれる。同位体は、原子の追加の中性子の存在から生じ、そして放射性及び安定同位体が含まれる。「安定同位体」は、したがって、放射性でない元素の同位体を意味する。安定同位体の例としては、例えば、炭素の安定同位体(例えば、13C)、水素(例えば、H及びH、重水素)、酸素(例えば、170及び180)、窒素(15N)、及び硫黄(33S、34S、36S)が含まれる。安定同位体は、同位体が取り込まれるタンパク質/プロテオーム質量における検出可能な差を付与するために、本発明の方法において使用される。
「安定同位体」又は「安定した同位体で標識された」アミノ酸又はアミノ酸前駆体は、したがって、安定同位体を組み込んだアミノ酸/前駆体のアナログである。標識された基質/前駆体の例は、軽(非標識)メソ−2,6−ジアミノピメリン酸(DAP0、Sigma)、軽(非標識)D−リジン(Sigma)、中[]D−リジン(DLYS4、C/D/N同位体)、重[]D−リジン(DLYS8、C/D/N同位体)、重標識[1315]Z−リジンなどを含むが、これには限定されない。
「相対的な存在量」は、最も豊富なイオンに100%を割り当てた後に各々の質量/電荷数測定(m/z)の量を報告する方法である質量分析において公知の用語である。他のピークの全ては、最大ピークの相対強度として報告される。
本発明の方法は、アミノ酸を生産する核酸を導入することにより連続的にかつ特異的に代謝標識のための特定の細胞を操作することにより、研究者が細胞の混合物における細胞型(及びそれらのプロテオーム)を区別することが可能となるという点で技術的進歩を示しており、酵素は、細胞がそれによって通常の栄養要求性の状態を克服することを可能とする。インビボ又は細胞培養物中のアミノ酸前駆体による安定した同位体の標識は、定量的プロテオミクスベースの質量分析(MS)のためのトランスジェニック細胞のタンパク質への標識の取り込みのための単純かつ直接的なアプローチである。
基本的に、この方法は、所定の「軽い」または「重い」形態のアミノ酸のタンパク質への代謝的な取り込みに依存する。この方法は、安定した同位体で標識されたアミノ酸前駆体からの細胞によって産生される置換安定同位体の核(例えば、重水素、13C、15N等)を有するアミノ酸の細胞のタンパク質への取り込みに依存する。
同じ環境ニッチに存在するか又はインビトロで共培養された細胞集団の1つ以上は、安定同位体の異なる性質を含有する異なるアミノ酸前駆体(例えば、軽対重の前駆体であり、その最終生成物は12C及び13Cで標識されたL−リジンになる。)に曝露され、それらから生成されたアミノ酸は、異なる質量を有するので質量分析によって識別可能となる。標識されたアミノ酸前駆体のアナログが、安定した同位体で標識された前駆体からアミノ酸を生産する能力を有する細胞に供給されると、相当する安定同位体で標識されたアミノ酸は、新たに合成された全てのタンパク質に組み込まれる。多くの細胞分裂の後に、この特定のアミノ酸の各インスタンスは、その同位体で標識されたアナログにより置換される。
安定同位体で標識された、必須アミノ酸のための基質/前駆体の存在下で、近代的なタンデム(LC−MS/MS)と組み合わせたこれらの細胞の選択的標識は、混合された細胞の集団における各細胞型に由来するタンパク質の識別、同定、及び定量を促進する。
観点の1つにおいては、脊椎動物細胞においてタンパク質を標識する方法に関し、前記方法は、増殖/タンパク質合成が許容される条件下において、必須アミノ酸前駆体/基質から必須アミノ酸を生成することができるように操作された脊椎動物細胞を、前記アミノ酸前駆体/基質を含む組成物にタンパク質合成が生じる十分な期間にわたって触れさせる工程を含む。前記基質/前駆体は、得られたアミノ酸にそして最終的に前記標識されたアミノ酸の存在下で合成されたタンパク質に存在する、安定した同位体標識を含有する。一旦標識されると、前記細胞からのタンパク質の回収及び標識されたアミノ酸を含むタンパク質の評価が可能となる。1つの実施態様では、必須アミノ酸はリジンであり、そしてしたがって、基質/前駆体は、ジアミノピメリン酸(DAP)、D−リジン、及びZ−リジンを含む。リジン基質/前駆体は、炭素、水素、酸素、及び/又は窒素の安定した同位体の少なくとも1つを含有する。
観点の1つにおいては、したがって、脊椎動物細胞においてタンパク質を標識する方法に関し、前記方法は、増殖条件下において、必須アミノ酸前駆体/基質から必須アミノ酸を生成することができるように操作された脊椎動物細胞を、前記アミノ酸前駆体/基質を含む組成物にタンパク質合成が生じる十分な期間にわたって触れさせる工程を含む。前記基質/前駆体は、安定した同位体標識を含有し、この安定した同位体標識は、前記細胞により生成された得られたアミノ酸にそして最終的に前記細胞のプロテオームに存在する。一旦標識されると、前記細胞からの標識されたタンパク質の回収及び標識されたアミノ酸を含有するタンパク質の評価は、その環境における細胞及びその他の物のプロテオームの調査を促進する。
1つの実施態様では、必須アミノ酸はリジンであり、そしてしたがって、基質/前駆体は、ジアミノピメリン酸(DAP)、D−リジン、及びZ−リジンを含むが、これには限定されない。リジン基質/前駆体は、炭素、水素、酸素、及び/又は窒素の安定した同位体(又は軽標識の場合は安定した同位体なし)の少なくとも1つを含有する。安定した同位体の任意の組み合わせが、各々のアミノ酸が異なる質量を有しそして従って例えば質量分析により同じ必須アミノ酸のその他の形態から区別できる限りは、必須アミノ酸の特定の形態で存在することができる。標識された基質/前駆体の例は、、軽(非標識)メソ−2,6−ジアミノピメリン酸(DAP0、Sigma)、軽(非標識)D−リジン(Sigma)、中[]D−リジン(DLYS4、C/D/N同位体)、重[]D−リジン(DLYS8、C/D/N同位体)、重標識[1315]Z−リジンなどを含むが、これには限定されない。
特定の実施態様において、脊椎動物細胞は、一時的又は安定的にトランスフェクトされ必須アミノ酸のための合成経路の酵素成分1つ以上を発現する。酵素は、細菌、真菌、植物などを含む外因性のソースからの核酸によってコードされていることができる。その他の例示的な酵素は、例えば、シロイヌナズナ又は大腸菌(Escherichia coli)からのジアミノピメリン酸カルボキシラーゼ(DDC)、例えば、プロテウス・ミラビリスからのリジンラセマーゼ(LYR)、及びスフィンゴモナス(Sphingomonas Paucimobilis)からのCBZcleaverを含むが、これには限定されない。
以下は、開示された技術の用途の例を表す。開示された方法の多数の他の用途が可能である。
本研究では、多細胞システムにおける細胞選択的プロテオーム標識用のCTAP法の有効性と実現可能性が実証されている。必須アミノ酸のL−リジンの前駆体及びその合成を触媒する酵素を使用すると、標準的なアミノ酸は、共培養において特異的な細胞型で同位体標識されることができることを本開示は示している。マウス及びヒト起源の両方の細胞型は、L−リジンの産生に関与する特異的酵素−前駆体のペアの存在下でのL−リジン要求性を成功裏に克服する。本研究は、L−リジンを含まない条件下でのDAP又はD−リジンのそれぞれの、DDC又はlyrを発現する細胞を培養した分子の及び表現型の限られた結果が存在することを示している。単培養において酵素を発現する細胞の質量分析は、前駆体由来のL−リジンによる完全な分子標識を示す。共培養における個々の細胞型の示差的標識は、L−リジン非存在下における二重酵素−前駆体のペア(dual-enzyme-precursor pair)の設定を使用して達成されることができ、これにより、全ての特定されたタンパク質が、各々の細胞型における相対的な定量値を割り当てられることが可能となる(例えば)。培地中のL−リジンの量に対して下方に滴定をする(titrating down)必要があるが、これらのデータにサポートされて、CTAPが、1つの酵素−前駆体のペアのみを使用して、混合細胞培養物において目的の特異的な細胞型を標識することのために使用可能であることも見出された。最後に、共培養中の細胞の上清を分析し、分泌タンパク質の起始細胞を容易に立証することができる。
他の細胞選択的タンパク質標識のアプローチと全体として区別できるCTAPシステムのいくつかの機能がある。第一に、酵素触媒反応の生成物は、成熟タンパク質がそれらの通常の構造を維持しそしてアミノ酸アナログを使用するときに起こり得る機能的変化を回避することを可能とする標準的なアミノ酸である。第二に、CTAPは、それぞれの細胞集団が増殖しそして連続した期間継代したままで、各々の細胞集団が継続的に標識されることを可能とする。第三に、必須アミノ酸の栄養要求性を克服するための酵素活性の遺伝的要件は、トランスジェニック発現を制限することにより、標識を制御可能とする。第四に、複数の酵素−前駆体のペアを利用して、複数の異なる細胞型の同時の示差的な標識を可能にする。第五に、CTAPは、人工種間実験装置(artificial inter-species experimental setups)に頼るのではなくむしろ、同じ生物の異なる細胞型からタンパク質を区別することができる。最後に、CTAPは、広く使用されているSILAC方法と同様の以前に開発されたデータ分析ワークフローを利用する。我々の知る限り、CTAPは、特定の細胞集団のプロテオームを、複雑な細胞の混合物において標準的なアミノ酸により連続的そして示差的に標識することができる唯一の方法である。
CTAPは、表現型又は分子の撹乱なしで、多くの細胞型にわたり迅速に適応することができる。本発明の実施に適している細胞株としては、マウス3T3線維芽細胞、マウス黒色腫細胞、B16細胞、ヒト胎児腎臓細胞(HEK)、ヒト乳房腺癌細胞、MDA−MB−321などが含まれるが、これには限定されない。
DDC/DAP及びlyr/Dリジンの酵素−前駆体のペアに注目すると、その結果は、それらに特異的な前駆体で培養された場合、細胞はL−リジンと比較して同様に機能する。しかしながら、これらの類似性は、試験した細胞型に応じて長さが様々である増殖期間後に測定した。
安定した同位体で標識された前駆体から生産されたアミノ酸によるプロテオーム標識の原理を単培養で実証した。この標識は、両方の前駆体酵素のペアについては完全であったが(約95%、図3)、細胞が共培養で混合された場合に、我々は、集団の1つにおいて次善の標識を観察した(約50%、図5)。この不一致については、いくつかの説明が可能である。第一に、共培養物の細胞は、さらに代謝されるアミノ酸又は輸送タンパク質を共有することができる。第二に、食作用(phagocytosis)は、アミノ酸の輸送を導くことができる。第三に、トランスジェニック酵素は、細胞外活性を有することができる。これらの可能性又はその他の未知のメカニズムの組み合わせが、観察されたバックグラウンドの標識を導くことができ、そして今後の研究において取り組まれるであろう。望まれてはいるが、この場合、各々の細胞型間の相対的なタンパク質発現レベルを決定するために完全な標識化は必要がなかった。
これに限定されるものではないが、CTAPが、器官形成、維持、及び病気発症の基本的なプロセスにおける細胞内シグナリングの見識を得るための重要なツールとなることが予期される。例えば、様々な癌において、悪性細胞と周囲の間質組織との間の相互作用が、病気の進行、維持、及び薬物効力の変化にとって重要であることが示されている(19−21)。間質細胞がこれらのプロセスにどのように影響を与えるかは、それぞれの役割を分析するための技術が不十分であることが一因で不明である。CTAPの使用はこれらの制限に対処し、そして周囲の間質が腫瘍成長及び治療に対する応答を変化させる分子メカニズムを理解する機会を提供することができる。前駆体の送達、耐性、及び酵素発現が一旦最適化されると、実行可能なCTAPの別の用途は、インビボの病気のバイオマーカーの同定となる。バイオマーカー同定の最新のアプローチは、潜在的なバイオマーカーが病変組織自体から又は正常組織から生じるかどうかを分類できないことによって制限されている。興味のある特定の細胞型由来のタンパク質が、インビボで原則連続的に標識されることができるように、記載された技術を使用してこれらの制限を回避することができる。血清又は近接する液体中で特定された任意の標識タンパク質は、目的の細胞型を起源とするであろう。
外因性アミノ酸生合成成分の利用により、タンパク質の連続的な細胞選択的代謝標識が可能となる。さらに、CTAPの背後にある原理はL−リジン以外の必須アミノ酸に適用することができる。したがって、CTAPは、プロテオミクス分野における重要な前進を示し、公正でハイスループットなMS/MSが、複雑な細胞混合物中の異なる細胞に由来するペプチドを識別することを可能にする。この方法は、他の方法で簡単に到達することができない細胞間コミュニケーションとバイオマーカーの細胞特異的な起源に関する様々な疑問を、研究者が調査することを可能とする強力なツールである。
分泌因子及び細胞間相互作用により誘導されるタンパク質シグナル伝達の調査は、現在の研究方法により制限される。これらの制限の顕著な例は、現在の任意の方法では成長因子の起始細胞、サイトカイン、及び他の分泌タンパク質を同定することができないことである。抗体は、組織又は共培養における異なる細胞型に特異的なタンパク質の同定及び識別のために広く使用されるが(例えば、免疫染色又は蛍光活性化細胞選別、FACS)、抗体ベースの方法は、比較的低スループットであり、特異性が変化し、そして試薬のタンパク質読み出し情報及び可用性の事前選択によってバイアスされる。高スループットでありそして公正な方法、例えば質量分析(MS)ベースのプロテオミクス(1−3)は、これらの制限のいくつかを克服することができる。しかしながら、MSは複雑な細胞混合物に由来するタンパク質を細胞型に識別することができないので、MSは、細胞間コミュニケーション研究用にはあまり適していない。細胞間コミュニケーションの研究は、現在の抗体とMSベースのプロテオミクスとが有する賞賛の制限を克服する方法から非常に恩恵を受けるであろう。
共培養における異なる細胞型のプロテオームを区別するために、いくつかの試みが最近なされている。前記のアプローチの1つでは、(例えば、安定した同位体で重標識されたL−リジン又はL−アルギニンを使用して)各々の異なる細胞型が単独で標識され、そして完全に標識された細胞は、その後混合される。次いで、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC−MS/MS)で同定されたペプチドは、同位体ラベル状態から元の細胞型を割り当てられることができる。最近の2つの報告では、初期のエフリンシグナリング応答同定用の(4)及び細胞型の間で輸送されるタンパク質の決定用の(5)前記のアプローチの実現可能性が、実証されている。残念ながら、これらの標識は、共培養において細胞が増殖してそして分裂するにつれて急速に希釈されるようになり、これにより、この実験装置が主に初期のプロテオミクスの事象の調査に有用なものとなる。別のアプローチでは、種間のタンパク質配列の差異が、異種間共培養及び異種移植片において起始細胞を決定するために使用されている(6;7)。このアプローチは、細胞型間のタンパク質を区別する能力を有しているが、主な欠点は、ペプチドのサブセットのみを区別することができることであり、確立された同種間共培養モデルを使用することができず、そして混合種モデルからの所見が、生理学的に関連しないかもしれないことである。さらに別の技術は、アミノ酸アナログを特異的に認識しそしてタンパク質へ組み込むtRNAシンセターゼを利用している(8;9)。特定のtRNAシンセターゼ/アミノ酸アナログのペアを用いて、この方法は、トランスジェニック細胞に特異的であるプロテオームの取り込み及び化学部分(例えば、アジド)の親和力の濃縮(affinity enrichment)を行う能力の両方を提供する。しかしながら、アナログ及び標準的なアミノ酸の間の構造的な違いにより、成熟タンパク質で予測不可能な機能的変化が発生することがある(10)。これらの各々の方法の注意事項を考慮すると、標準的なアミノ酸を有する連続的で細胞特異的な標識のための新規な方法が有益であろう。
本発明は、抗体ベースの細胞染色の、アミノ酸アナログにより誘導される可能性のある機能的撹乱の種間モデルの生理学的関連性の、並びに分離して標識された細胞の短い共培養時間フレームの要求の特異性及びスループットの問題を克服する細胞選択的プロテオーム標識用の方法を提供する。この技術は、インビボ又は共培養のいずれかにおいて一緒に増殖する(growing together)異なる細胞型のプロテオームが、自然に折りたたまれたタンパク質に導きそしてアミノ酸アナログの使用を回避する標準的なアミノ酸により示差的に標識されることを可能にする。我々の方法は、脊椎動物細胞が成長と恒常性に必要な特定のアミノ酸を合成できないことを利用している。これらの「必須」アミノ酸は、いくつかの植物、細菌、及び下等真核生物で生産され、そして脊椎動物培養細胞の培地に添加され、又は動物の食事において得られなければならない(11)。必須アミノ酸を合成する酵素のトランスジェニック発現を使用して、添加された前駆体からそれら自身でアミノ酸を生成することにより、脊椎動物細胞は栄養要求性を克服することができる。これらの前駆体は同位体で標識されることができ、そのことがタンパク質の起始細胞をLC−MS/MSにより識別される標識状態によって決定されることを可能にする。我々は、この研究のためにL−リジンに焦点を当てる。この必須アミノ酸の生合成はよく研究されておりそして定量的プロテオーム方法例えば細胞培養(SILAC)におけるアミノ酸による安定した同位体標識において一般に使用されている(2)。この研究において、CTAP法の有効性と実現可能性を試験しそして共培養における細胞の連続的で示差的な代謝標識についての実行可能性を実証する。我々は、この新規な方法を用いて、共培養における2つの細胞型間の相対的なタンパク質発現を決定しそして分泌タンパク質の起始細胞を同定することができる。
《実施例》
本発明は一般的に説明されてきたが、以下の実施例を参照することによってより容易に理解されることができる。前記実施例は本発明の特定の観点及び実施態様の説明の目的のためにのみ包含され決して本発明を限定することを意図しない。
L−リジン前駆体条件で増殖するための脊椎動物細胞の操作
脊椎動物細胞自身で標識された前駆体からL−リジンの供給を生み出すための脊椎動物細胞の操作により、共培養において特定の細胞型の示差的プロテオームタギング(図1a−d)を達成することができる。最初のステップは、前駆体/基質が容易に利用可能でありそして酵素のアナログが脊椎動物ゲノムにおいて記載されていない基質/前駆体−酵素のペアのセットを同定することであった(図S1)。前記の基質/前駆体−酵素のペアのようなものは、ベクター取り込みについての陽性選択システムを生成する場合に、L−リジン栄養要求性を救済するために成功裏に使用される(12;13)。そのシステムにおいては、しかしながら、細胞増殖のみが評価される。
候補前駆体を調査するために及び自発的にL−リジン栄養要求性を救済する前駆体を除外するために、L−リジンを若しくは様々な前駆体を添加したSILAC培地における又はL−リジンを含まない条件下における増殖率を試験した。試験された前駆体は、N−アセチル−L−リジンを除いて、単独では野生型細胞の増殖にほとんど又は全く影響しなかった(図S2a−e)。
次に、L−リジン生合成系酵素のトランスジェニック発現により、細胞が前駆体条件下で増殖する能力を獲得することが可能となるかどうかを調査した。シロイヌナズナからのジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(DDC)及びプロテウス・ミラビリスからのリジンラセマーゼ(lyr)の酵素をコードする遺伝子を複数の細胞株において安定的に発現させた(表1)。
表1において使用された略語は以下である:lyr=リジンラセマーゼ、DDC=ジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ、DAP=メソ−2,6−ジアミノピメリン酸、Da=ダルトン。*は重形態の前駆体を示す(重水素化されている、3、3、4、4、5、5、6、6−d8)。
さらに、3T3及びHEK293細胞を、CBZcleaver及びトランケートしたlyrをそれぞれ発現するように作製した。リジン栄養要求性を成功裏に克服する他のトランスジェニック細胞は、DDC又はトランケートしたlyrのいずれかを発現するB16、及びDDC又はトランケートしたlyrを発現するMDA−MB−231細胞を含む。
DDCコンストラクトの生成
シロイヌナズナからのジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(DDC)の遺伝子を表2のプライマーを用いてシロイヌナズナcDNAから直接クローニングした。DDCのオリゴヌクレオチド配列は配列番号10番に示されている。シロイヌナズナのDDCについてのさらなる情報については、Arabidopsis Information Resource(TAIR)のAT3G14390を参照。
PCR反応を3回実施して、AgeI及びSalI制限酵素を使用してpLM内に挿入するためのpLM−GFP−P2A−DDCを生成した。最初の反応では、AgeIサイトから始まるGFP−P2Aオリゴヌクレオチド融合が生成された。二回目の反応では、SalIが脇に配置されている(flanked by SalI)P2A−DDCのPCR断片が生成された。最後に、重複PCR反応により、AgeI−GFP−P2A−DDC−SalIが生成された。次いで、この配列をAgeI−SalIで切断されたpLMベクター内へライゲーションした。
リジンラセマーゼ(lyr)のトランケーション
P.ミラビリスからのリジンラセマーゼ(lyr)を発現する細胞を生産する最初の試みの結果は、酵素がトランスフェクトされた細胞により分泌されていたことを示唆している。lyrがシグナルペプチドを含有するというシグナルPによる決定の観点から(データは示していない)、T18(N末端の18アミノ酸が除去される)及びT12(N末端の12アミノ酸が除去される)を含む酵素のトランケートされた形態のコンストラクトを設計した。
本発明のいくつかの実施態様における実施のために合成された、プロテウス・ミラビリスからのトランケートされたlyrのオリゴヌクレオチド配列は、配列番号11に示されている。ヒスタグ(His-tag)を有するT18のアミノ酸配列は、配列番号14に示されている。
PCR反応を三回実施して、AgeI及びSalI制限酵素を使用してpLM内に挿入するためのpLM−GFP−P2A−lyrを生成した。使用したプライマーを表3に示す。最初の反応では、AgeIサイトから始まるmCherry−P2Aオリゴヌクレオチド融合が生成された。二回目の反応では、SalIが脇に配置されているP2A−lyrのPCR断片が生成された。最後に、重複PCR反応により、AgeI−mCherry−P2A−lyr−SalIが生成された。次いで、この配列をAgeI−SalIで切断されたpLMベクター内へライゲーションした。
DDCを発現するマウス3T3及びHEK293T細胞は、lyrを発現するヒトMDA−MB−231細胞と同様に、L−リジンを含有する培地における増殖率に相当するメソ−2,6−ジアミノピメリン酸(DAP)及びD−リジンをそれぞれ添加した培地における増殖率を示した(図2a、2b及び図S3)。さらに、前記の酵素−前駆体のペアは、増殖が酵素−前駆体設定の異種(cross)においては又はエンプティベクターコントロールにおいては観察されなかったので、特異的であった(図2a及び2b)。これらの単培養増殖の救済の結果は、前駆体の導入遺伝子ベースの酵素的な代謝回転(turnover)がL−リジンを含まない条件で観察された増殖の回復に関与していることを示している。通常の増殖率に到達するまでの時間は、即時から短い継代/選抜期間で細胞型間で変化する。DDC及びlyrに加えて、酵素CBZcleaver及び基質Z−リジンによる特異的な増殖の救済を試験して発見し、このことはCTAP法の適応性を示唆している(図S4)。
前駆体から産生されたL−リジンの細胞選択的取り込み
表現型データは、L−リジンの可用性のプロキシ(proxy)としての機能を果たしているが、それらは分子前駆体ベースの取り込みを直接的に示さなかった。L−リジンが添加された前駆体の酵素的代謝回転によって直接生成されるかどうかを調べるために、我々は、1つの形態から別の形態へアミノ酸の同位体標識の状態を交換する(例えば、軽L−リジンから重L−リジン)SILAC原理を適用した(2)。実験の開始時に、DDCを発現する3T3細胞を重[1315]L−リジン(H)で標識し、lyrを発現するMDA−MB−231細胞を、軽L−リジン(L)で標識した。次いで、これらの細胞を、標識されていないDAP(L)、重標識[]D−リジン(H)、又は前駆体の両方を含有するL−リジンを含まない培地において13日間(3継代)単培養で増殖させた。細胞溶解物からのタンパク質をトリプシン消化し、ハイレゾリューションLC−MS/MS(high resolution LC-MS/MS)に供し、そして各々のペプチドのH/L比をMaxQuantにより決定した(14)。
軽標識DAP単独の存在下において、DDCを発現する3T3細胞で特定されたぺプチドは、主に重標識されているもの(95%、中央値ペプチド)から軽(97%)に切り替わった(図3a)。同様に、重標識D−リジン存在下において、lyrを発現するMDA−MB−231細胞において特定されたぺプチドは、96%軽から95%重に切り替わった(図3b)。標識のこの量は、最初のH/L標識状態及びSILAC実験において典型的に報告されているレベルと同様であるため、完了していると見なすことができる(15;16)。非特異的標識(すなわち、交差汚染)の量を試験するため、培養物をまた、前駆体の両方の存在下において増殖させた。DDC前駆体のDAPの添加は、lyrを発現するMDA−MB−231細胞において標識の切り替えに影響を及ぼさなかった一方で、DDCを発現する3T3細胞におけるD−リジン(H)の存在は、わずかに(3%から7%に)重標識状態を増加させた(差し込み図、図3)。この違いは、おそらくは重D−リジンにおける重L−リジン汚染(エナンチオマーの純度95%、C/D/N同位体)のためであり、高い純度が減少する可能性がある。まとめると、これらのデータは、lyr及びDDCを発現する細胞は、それぞれの前駆体から直接合成されたL−リジン条件で、特異的に取り込むことができそして増殖することができることを示している。
前駆体条件における細胞増殖に対する制限された撹乱
次に、前駆体条件で増殖させた場合に、細胞が、L−リジンと比較して同様に作用するかどうかを調査した。L−リジン、前駆体、又はいずれも含まない(飢餓、撹乱状態のためのポジティブコントロール)培地において、細胞を3日間培養しそしてマイクロアレイを用いてmRNA発現レベルをプロファイリングした(図4、図S5)。基礎となるL−リジン条件と比較して、飢餓条件で遺伝子の217個が変化した一方で、DDCを発現する3T3細胞をDAP条件で増殖した場合には、いずれの遺伝子も有意に変化しなかった(FDR<0.05及び発現比は2より大きい、図4)。L−リジン又はD−リジン条件の場合のlyrを発現するMDA−MB−231細胞でも、飢餓の細胞と比較して同様のパターンが見られた(図4b)。さらに、いくつかのアッセイを実施し、薬物撹乱に対する増殖応答と同様に、タンパク質の変化測定を含む前駆体ベースの増殖の影響をLC−MS/MSにより解明した(図S6、S8)。わずかな違いは存在するが、全体的なこれらのデータは、それらの前駆体条件における増殖細胞が、遺伝子発現、タンパク質発現、又は作用にほとんど影響を及ぼさないことを示している。
共培養における連続的及び示差的なプロテオーム
単培養における前駆体ベースのL−リジン生産及び取り込みの原理を実証した後、同様の細胞の次のステップは、異なる酵素−前駆体のペアを利用した各々の集団による共培養において、同じ細胞を示差的に標識することができるかどうかを試験することであった。標識の特異性を評価するために、我々は、種特異的配列の差異を利用して、酵素を発現するマウス3T3及びヒトMDA−MB−231細胞系統間の標識状態を比較した。各々の細胞型に分離して標識して、3T3細胞を重L−リジン(H)でそしてMDA−MB−231細胞を軽L−リジン(L)で最初に培養した。サンプルを採取して1:1で混合し、種特異的なペプチドに基づいて標識状態を識別する能力を検証した。予想されたように、実験開始時のマウス特異的及びヒト特異的ペプチドの標識は、それぞれ、主に重及び軽であることを確認した(図5a、上のパネル)。
各細胞型が標識状態を交換することを期待して、次に、標識された細胞をDAP(L)及びD−リジン(H)の両方を含有する培地中で共培養で混合した。3継代後、各々の細胞集団の増殖速度はほとんど等しく(図S9)、細胞型の2種は標識を切り替えた(図5a、下のパネル)。ヒトMDA−MB−231細胞が主に重前駆体で標識された一方で(90%又は3.1log2 H/L)、マウス3T3は約57%(−0.4log2 H/L)が軽前駆体で標識された。3T3細胞については、単細胞における観察結果から予想したよりも、標識のレベルが低かった(図S10)。この低い標識効率があったとしても、マウス及びヒトペプチドはSILAC標識単細胞として同様の重複したH/L比の数を示した(上のパネルは、下のパネルにおいて細胞型対4.7%により分離できるH/L比が3.2%のペプチドを含有する)。種特異的配列におけるこれらのはっきりと異なるH/L比は、したがって、共培養において細胞型間のプロテオームを示差的に標識する能力を示す。
共培養におけるヒト−マウス細胞の連続的及び示差的標識を検証してきたが、次のステップは、CTAP法が同種の共培養系のプロテオームを識別することができるかどうかを決定することであった。DDCを発現するGFPHEK293T細胞をlyrを発現するmCherry+ MDA−MB−231細胞と一緒にプレーティングした。DAP(L)及びD−リジン(H)における増殖の5日後、共培養サンプルをFACSによりmCherry及びGFP細胞に分類し(補充の図S11)そして分類された各々の集団を別々にLC−MS/MSに供した。GFP+及びmCherry細胞からのタンパク質の分析は、各々の細胞集団が異なるH/L比を示しているのと同時に、ヒト−マウス共培養において見られたものと同様の標識効率を示した(図5b)。別のサンプルのセットを分類されていない共培養物から直接収集し、LC−MS/MSに供し、そしてタンパク質の1362個を同定した。各々の細胞集団にしかないトランスジェニックタンパク質に注目すると(MDA−MB−231細胞におけるmCherry及びlyrと同様の、HEK293TについてのGFP及びDDC)、我々は、FACSにより決定されたH/L比に相当する予測されたH/L比を観察した(図5c)。同定された全てのタンパク質を分析する場合に、H/L比は、底部に横たわる導入遺伝子(with the transgenes lying in the tails)とともに正常に近い分布を示した。これらの底部は、相対的に少ない構成員を含有するが、それらは、恐らく細胞型特異的タンパク質を示す(図5c及びS12)。調査したプロテオームの深度において、この結果は、ほとんどのタンパク質が普遍的に発現されているが相対的に異なる存在量レベルであるという最近の報告と一致している(17)。要約すると、これらの結果は、細胞特異的にプロテオームをタグ付けする能力を実証し、そして標識状態(H/L比)が、2種細胞型間の相対的なタンパク質の存在量レベルと直接的に関連していることを示している。
共培養における分泌タンパク質の起始細胞の決定
分泌要素の起始細胞を識別するためのCTAP法の特有の可能性を試験するために、上清を前項の設定と同じヒト−マウス共培養物から収集した。血清タンパク質でサンプルに過負荷をかけることを防止するために、収集の前に、細胞を血清を含まない培地で24時間増殖させた。分泌タンパク質を超遠心分離で濃縮し、メタノール−クロロホルムにより沈殿させ、そしてLC−MS/MSに供した。種特異的なペプチドによってのみ特定されるタンパク質に注目すると、ほぼ全ての種特異的タンパク質を単独の標識によって完全に識別することができた(図6a)。これらの結果は、共培養における分泌タンパク質の起始細胞決定用の方法の能力を実証する。
同種の共培養における分泌因子分析用の同様のアプローチを適用するために、上清を収集し、以前使用したようなDDCを発現するHEK293T及びlyrを発現するMDA−MB−231細胞と同じ共培養物をLC−MS/MSに供した。特定された245個のタンパク質のH/L比の定量分析は、1つの細胞型で主に発現されるタンパク質を表す分布の底部とともに(with the tails of the distribution)細胞内に検出されたものと同様の範囲に及んだ(図6b)。ヒト−マウス共培養の分析は、分泌タンパク質の異なる標識を示し、そして同様の標識特異性が、同種共培養における分泌タンパク質について予期される。しかしながら、H/L比が各々の細胞型間の相対的なタンパク質存在量を反映しているということのより多くの確信を得るために、我々は、細胞内のタンパク質レベルが、細胞外に見出されたものと相関するかどうかを調べた。混合された単培養溶解物の定量的なタンパク質の比率は、したがって、それらの分泌型の一方と相関していた。両方のサンプルに共通したタンパク質のサブセットに注目すると、細胞内単培養及び分泌共培養サンプルからのH/L比の間で、十分な一致が観察された(R2=0.66、ピアソン相関=0.81、図6b及び図13)。培養条件及び収集されたタンパク質の局在における違いを考慮すると、この相関関係は驚くほど高かった。ヒト−マウスセクレトーム分析(human-mouse secretome analysis)に従い、最低と最高のH/L比を有するタンパク質が、HEK293T及びMDA−MB−231細胞からおそらくそれぞれ分泌される。MDA−MB−231細胞のセクレトームはすでに調査されており、そして高比率のタンパク質が識別されたタンパク質の大部分から容易に分離可能であったので、我々は、タンパク質の最高の比率に着目した。確かに、トップタンパク質の5個の中の3個は、MDA−MB−231細胞によって分泌されることが近年報告されている(図6b)(18)。興味深いことに、これらの推定上のMDA−MB−231−分泌タンパク質の比較的大きな割合が、細胞内で特定されることができず、このことがセクレトームプロファイリングの必要性を強調している。これらの結果は、種検証セクレトーム分析(species-verified secretome analysis)と一緒になって、CTAP法が共培養において示差的に標識された分泌因子についての起始細胞の決定用に適用されることができることを立証している。
以下は、本明細書に開示されたCTAP法の代表的な用途である。
腫瘍微環境(Tumor Microenvironment)のコンテキストにおける癌治療法の同定及び開発
微環境媒介薬剤耐性(Microenvironment-mediated drug resistance)が、多くの治療法で研究中でありそしてその失敗においておそらく重要な役割を果たしている。例えば、研究は、グルココルチコイド、デキサメタゾンに対して耐性の多発性骨髄腫において重要な役割を果たしているとして骨髄細胞を関連付けている。その他の薬剤、例えばDNA挿入剤(DNA intercalating agent)に対する応答は、あまり明確ではなく、このことが特定の腫瘍間質コンテキスト(certain tumor-stromal contexts)における強力な効果を示しておりそしてその他のものの効果を衰えさせる(attenuated)。
間質腫瘍相互作用のインビトロでの共培養モデルが癌薬物スクリーニング用に開発されているが、これらのモデルは、表現型のエンドポイント(phenotypic end-points)例えば細胞増殖又は細胞死に大いに制限されている。細胞間相互作用の分子機構は、一部分では、現在の方法では異なる細胞型に由来するタンパク質を識別することができないという事実のために、過小評価されている。CTAP法は、間質が媒介する薬剤耐性又は感受性に導くメカニズムを理解するのと同様に、標的となる悪性腫瘍−間質相互作用を対象とする治療の開発を促進する。
インビボバイオマーカーの発見
CTAP法はまた、酵素を遺伝子改変動物(genetically modified animals)における組織又は細胞特異的に発現させることができるように、インビボで使用することができる。関心のある特定の細胞型は、細胞特異的プロモーターを用いて酵素を発現するように操作され、そして標識された前駆体は動物に投与され、これによりトランスジェニック細胞の選択的標識が導かれる。これらの細胞から分泌された標識タンパク質を、近位体液(proximal fluids)中又は血清中で検出することができ、そしてしたがって、明白な細胞特異的バイオマーカーとして提供することができる。病変組織に由来するタンパク質に着目すると、疾患の発症、維持(maintenance)、又は転帰(outcome)の指標であるマーカーにより見つけることができる可能性が高い。診断又は予後のために重要なタンパク質を優先する統計的手法のみに頼る現在のバイオマーカー発見技術は、バイオマーカーがどの細胞型を起源としているかから決定できないので、この利点を有していない。
以下の方法が、開示された発明を実施する際に使用される。
オリゴヌクレオチドの取得
本研究においてL−リジンを産生する酵素はDDC、lyr、及びCBZcleaverであった。DDCは、PCRによりシロイヌナズナcDNAから直接的に増幅された(TAIR id=AT3G14390、プライマー配列を表S1に示す)。lyr及びCBZcleaverコンストラクトは、Kuan et al. [22]及びNaduri et al. [23]により同定されたアミノ酸配列を用いたGeneArtにより、マウスにおける発現用に最適化されたヌクレオチド配列とともにそれぞれ合成した。全てのプラスミドについてシーケンスのサンガー法により配列を確認した。
プラスミドの構築、ウイルスの産生、及び細胞株の生成
一方はGFP(pMIG)をそして他方はmCherry(pMIC)を発現する2つのMSCVベースのレトロウイルスベクターバックボーンを、マウス細胞に感染させるために使用した。pMIG内への挿入のために、DDCのPCR産物をベクターのEcoRIサイトにクローニングした。CBZcleaverをEcoRI及びXhoIの制限酵素認識部位を使用してGeneArt供給ベクターpMA−RQからpMIC内に直接的にサブクローニングした。pMIG及びpMICについてのウイルス上清を各々のプラスミドを用いてトランスフェクトしたPhoenix細胞により産生し、そして前記上清を使用して以前に記載したように48時間後に3T3細胞に感染させた[24;25]。
レンチウイルスバックボーンpLMを使用してヒト細胞に感染させた。重複PCRを実施し、Gly−Ser−Glyリンカ−の前にあるP2Aペプチドによって連結したeGFP−DDC及びmCherry−lyrコンストラクトを作製した[26]。導入ベクタ−10μg、CMVδR8.74 6.5μg、及びVSV.Gプラスミドを使用したHEK293Tパッケージング細胞株(packaging cell line)のリン酸カルシウムトランスフェクションにより、pLM−P2A−酵素ウイルスをパッケージングした。次いで、パッケージング細胞株のトランスフェクション後に48時間、MDA−MB−231及びHEK293T細胞をpLMコンストラクトにより産生したレンチウイルス上清を用いて感染させた。
細胞増殖アッセイ
細胞株を、10%透析FBS、抗生物質、及びL−グルタミンを添加した、L−リジン及びL−アルギニンなしのダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)(DMEM)中で増殖させた。単培養増殖アッセイのために、1mM L−アルギニンを培地に添加し、そして細胞を4000又は5000細胞/ウェルで、L−リジン、メソ−2,6−ジアミノピメリン酸(DAP、Sigma、33240)、D−リジン HCL(Sigma、L5876)、N−α−Cbz−L−リジン(Z−Lysine、BaChem、C−2200)、又はN−アセチル−L−リジン(N2A、Sigma、A2010)の異なる濃度で、96ウェルプレートに200μLで播種した。細胞生存率を、代謝活性ベースのレサズリン(Sigma)試薬又はインピーダンスベースのxCELLigenceシステム(Roche)のいずれかを用いて測定した。レサズリンの実験のために、レサズリン試薬25μLを各ウェルに添加し、そして製造業者によって記載されているように、37℃での2〜3時間のインキュベーションの後に細胞増殖を評価した。xCELLigenceの実験のために、細胞を16又は96ウェルのいずれかのE−プレートにプレーティングし、30分間室温で沈降させ、そして次いでRTCA DP又はRTCA MP分析器にセットしそしてそこでインピーダンスを15分ごとに96〜120時間測定した。各々の条件で反復の少なくとも3回を実施した。
共培養におけるmCherry及びGFP細胞の割合の測定を、フローサイトメトリー(BD LSR II)又はTaliイメージベースサイトメトリー(Tali image-based cytometry)(Invitrogen)のいずれかにより実施した。フローサイトメトリーアッセイのために、6ウェルプレート中の、L−リジン及び/又はL−リジン前駆体の異なる濃度を添加した培地3〜4mLに各々の細胞株の細胞の25000個を一緒に播種した。72時間後、細胞をトリプシン処理し、洗浄し、そして2%透析FBS及び0.1%NaN3を含有するPBS200μL中で再懸濁した。製造業者により記載されているようにViaCount assay(Guava Technologies/Millipore)を使用した総細胞数の推定に20μLを用いた。残りの180μLを当量の2%パラホルムアルデヒドと混合した。GFP及びmCherry細胞の割合を各々のサンプルにおいて、フローサイトメトリーにより分析した。各々の条件で反復の少なくとも2回を実施した。Taliアッセイのために、細胞をトリプシン処理し、培地中で再懸濁し、共培養細胞懸濁液の25μLを使用して生物学的反復の3回においてGFP及びRFP細胞の割合を決定した。
mRNAマイクロアレイ発現プロファイリング
798μM K0、798μM K4、4mM D−リジンHCL、又は10mM DAPを含有するSILAC培地に、細胞を等しい密度で播種した。72時間後、細胞を洗浄し、トリプシン処理し、ペレット化し、−80℃で凍結した。RNAをRNeasyミニキット(Qiagen)を用いて抽出し、標識し、Illumina mouseref−8又はヒトHT−12マイクロアレイとハイブリダイズさせた。中央値は各々のアレイプローブ強度を中心とした後、モデレートt値(moderated t-statistics)と複数の仮説補正(multiple hypothesis correction)のための偽陽性率(false discovery rate)の計算を、LIMMAに設けられたeBayes法(eBayes method provided in LIMMA)を用いて行った(27;28)。
安定した同位体標識及び細胞継代
標識交換の実験(全て単培養、全てヒト−マウス共培養、及び補充の図S4)のために、798μM軽L−リジン(K0)、中[]L−リジン(K4)、又は重[1315]L−リジン(K8)(Cambridge Isotopes)を含有するSILAC DMEMにおける少なくとも10倍の細胞倍化の増殖により、細胞を最初に代謝的に標識した。次いで、10mM軽メソ−2,6−ジアミノピメリン酸(DAP0、Sigma)、2.5mM若しくは4mM重[]D−リジン(DLYS8,C/D/N Isotopes)、2.5mM重標識[1315]Z−リジン(Z8、図S4)、又はDAP0及びDLYS8の両方とともに、細胞を単又は共培養で播種した。標識を維持した実験について(全てヒト−ヒト共培養)、細胞を最初にそれらの前駆体中で少なくとも10倍の細胞倍化で増殖した(DAP0においてDDCを発現している、DLYS8においてlyrを発現している)。10mM DAP及び3mM DLYS8中で集団を混合し、そして5日間共培養で一緒に成長させた(約4倍の細胞倍加)。全ての細胞株を、1:10−1:15のコンフルエンス95%(95% confluence)で継代した。
質量分析サンプル調整
培養培地サンプルのために、細胞をPBSで3回洗浄し、そして上清サンプル採取24時間前に、血清を含まないSILAC DMEMを添加した。培地を収集し、0.22μmフィルターを用いてろ過し、そしてタンパク質を製造業者によって記載されているように3KDaアミコンウルトラ遠心機フィルター(Millipore)を用いて約1mg/mLに濃縮した。細胞溶解物を収集するために、細胞をトリプシン処理し、SILAC DMEMで再懸濁し、氷冷PBS中で3回洗浄し、そして細胞ペレットを−80℃で凍結した。FACSサンプルについて、GFP及びmCherry細胞の共培養物をトリプシン処理し、洗浄し、約2×10細胞/mLの濃度になるように20%の培地(2%FBS)を含むPBS中で再懸濁した。次いで、細胞を、MoFlo cell sorter(Dako)上で単独のGFP+及びmCherryに分類し、氷冷PBSで2回洗浄し、そして細胞ペレットをさらなる分析のために−80℃で貯蔵した。
タンパク質抽出/消化
細胞ペレットを変性バッファー(6M尿素/10mM Tris中2Mチオ尿素)で再懸濁し、ベンゾナーゼ1μLを添加し、次に室温で10分間インキュベートした。細胞の破片(Cellular debris)を、4000gで30分間遠心分離して除去した。上清サンプルについては、分泌されたタンパク質をクロロホルム/メタノール抽出により沈殿させた。タンパク質濃度をBradfordアッセイ(Bio−Rad)により評価した。粗タンパク質抽出物をGelC又は溶液内消化(in-solution digest)のいずれかに供した。GeLC−MS分析のために、タンパク質抽出物を、10cmで4〜12%勾配のSDS−PAGEゲル(Novex)で洗浄した。前述のように、得られたレーンをゲルから切り取りそしてトリプシンによる溶液内消化に供した(29)。ゲル抽出の際に、ペプチドをステージ・チップ(Stage−tips)を用いて洗浄しそしてナノLC−MSにより分析した。溶液内消化のために、タンパク質を1mMジチオスレイトール(DTT)で還元し、粗抽出物からのタンパク質を5mMヨードアセトアミドでアルキル化し、エンドプロテイナーゼLys−C(Wako)で3時間前消化し、そしてトリプシンで一晩消化した(30)。得られたペプチド混合物を、ステージ・チップを用いて洗浄し(31)、事前のペプチド分離をすることなくナノLC−MSに供した。
LC−MS/MS分析
サンプルの全ては、前述のものを少し修正して、オンラインナノフロー液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法(LC−MS/MS)により分析した(32)。簡潔に言うと、ナノLC−MS/MS実験をナノエレクトロスプレーイオンソース(nanoelectrospray ion source)を通じてLTQ−Orbitrap XL又はLTQ−Orbitrap Elite(Thermo Scientific,Bremen,Germany)に接続したEASY−nLCTMシステム(Proxeon Biosystems,Odense,Denmark)上で実施した。ペプチドを、15cmの長さで内径75mmの、逆相C18 Reprosil AQUA−Pur 3 mm particlesで満たした分析カラムで流速500nL/分で直接オートサンプリングした。ローディング後に流速を250nL/分まで減少させ、そしてペプチドをアセトニトリルの直線勾配を用いて0.5%酢酸中545%から100、150、又は240分のいずれかで分離した。カラムから溶出したペプチドを、質量分析計内に直接エレクトロスプレー(electrosprayed)した。LTQ−Orbitrap XL分析のために、機械を陽イオンモードで以下の取得サイクルで操作した:orbitrap分析器においてresolution R120,000で記録されたフルスキャンの後にLTQ分析器において最も強いペプチドイオンの10個のMS/MS(CID)が続いた。総取得勾配(The total acquisition gradient)は150又は240分のいずれかであった。LTQ−Orbitrap Eliteデータ取得のために、機械を陽イオンモードで以下の取得サイクルで操作した:orbitrap分析器においてreso−lution R120,000で記録されたフルスキャンの後にLTQ分析器において最も強いペプチドイオンの20個のMS/MS(CID Rapid Scan Rate)が続いた。総取得勾配(The total acquisition gradient)は、サンプル調製法に応じて150又は240分のいずれかであった。単酵素共培養サンプルを少し修正したLTQ−Orbitrap XL上で測定した:orbitrap分析器においてresolution R120,000で記録されたフルスキャンの後に最も強いペプチドイオンの5個のMS/MS(CID)が続いた。
MSデータ処理
アンドロメダ検索エンジンを有するMaxQuantソフトウェアパッケージ(バージョン1.2.2.9)を使用して細胞溶解物及び培地中のタンパク質を同定しそして定量した(14;33)。マウス及びヒトのIPIタンパク質データベース(両方のバージョン3.84、http://www.ebi.ac.uk/IPI/)を加えた一般的な汚染物質(contaminants)を使用した。選択解除された「第二のペプチド」を除いて、デフォルトのパラメータを選択した。L−リジンは前駆体DAP、Z8、及びDLYS8から由来するため、変数ラベルをK0、K8、及びカスタム修正(L−リジンのための重水素原子8個)としてそれぞれ規定した。非前駆体ベースのL−リジンの検出は、K0、K4、及びK8として規定された。
MaxQuantから抽出されたペプチド及びタンパク質の統計(例えば、配列、H/L比、強度)は、peptides.txtとproteingroups.txtをそれぞれエクスポートした。あるペプチドがヒト又はマウスIPIタンパク質データベースのいずれか1つにおいてのみ現れた場合は、そのペプチドを種特異的であると決定した。重標識割合を100*HtoL(HtoL+1)としてのH/L比(HtoL)から計算した。ヒト及びマウス配列特異的ペプチド間のH/L比の重複を決定するために、各々の種のH/L比の中央値を最初に決定した。次に、これらの2つの中央値の値の平均を各々の細胞型のセパレーターとして使用しそしてこのセパレーターのいずれかの側の誤判別されたペプチドの割合により誤カテゴリー化(miscategorizations)を決定した。
データ
この研究に関連した生データは原稿受理の際に放出される。
薬物撹乱アッセイ
細胞を96ウェルプレートに播種し(2000細胞/ウェル)、そして10%透析ウシ胎児血清(FBS)と798μM K0又は10mM DAP DMEMとを含むSILAC培地中で40%コンフルエンスまで増殖させた。次いで、細胞を異なる薬物濃度の8つ(2倍希釈)を用いて阻害し、8回反復した。使用された薬剤はStattic(STAT3阻害剤)、PI3K−IV(PI3K阻害剤)、AKT−VIII(AKT阻害剤)、及びSL327(MEK阻害剤)であった。薬物処理後48時間の細胞生存率を、レサズリン(Sigma)により製造業者によって記載されているように測定した。未処理細胞と比較した細胞生存率を計算し、用量反応曲線(dose-response curves)を得た。
ウェスタンブロッティング
凍結した細胞ペレットを解凍し、1%Nonidet P−40、1mMオルトバナジン酸ナトリウム(sodium orthovanadate)、及びPBS中完全プロテアーゼ阻害剤(Roche Diagnostics)を含有するNP40溶解バッファーで20分間溶解した。タンパク質濃度をBradfordアッセイ(BioRad)により測定し、1〜1.5mg/mLに調整した。次いで、タンパク質を2%SDSで95℃で5分間変性させた。次いで、各々のサンプルの約20μgをSDS−PAGEにより分離し、PVDFメンブレンに写し、一次及び二次抗体を用いてイムノブロットした。全ての抗体は、細胞シグナリングからのものであった。化学発光可視化(Chemoluminescence visualization)をKodak又はHyBlotCLフィルム上で実施し、フィルムをmicroTEKスキャナによって、グレースケールで600dpiでスキャンした。メンブレンをはがし、そして抗GAPDH(細胞シグナリング)で再プローブしてタンパク質のローディングをテストした。
L−リジンの合成[Nα−Cbz−リジン(K8)]
飽和NaHCO水溶液(1.25mL)及びL−リジン・2HCL(250mg、1.11mmol、1.00当量)の溶液に固体のNaHCO(105mg、1.13当量、1.25mmol)、続いてCuSO水溶液(1.5mL、0.50M、0.68mmol、0.60当量)を添加し、直ちに青色銅錯体(blue copper complex)を形成した。10分間撹拌した後、ジ−tert−ブチルジカーボネート(325mg、1.49mmol、1.35当量)を1mLのアセトン中で添加した。16時間撹拌した後、追加のジ−tert−ブチルジカーボネート(150mg、0.621当量、0.690mmol)を添加した。24時間後、メタノール(1mL)で反応をクエンチし、さらに16時間撹拌した。酢酸エチル(1mL)及び水(1mL)を加え、そして不均質な懸濁液をろ過した。回収された青色の固体をHO(3mL)中に取り、30秒間超音波処理し、そしてろ過した。風乾後、Nε−Boc保護銅錯体(Nε-Boc-protected copper complex)を、微細ツルニチニチソウ青色粉末(fine periwinkle blue powder)(235mg、0.423mmol、74.2%収率)として回収し、さらに精製することなく使用した。
アセトン(1.5mL)中Nε−Boc保護銅錯体(235mg、0.417mmol、1.00当量)の懸濁液に、8−ヒドロキシキノリン(130mg、0.900mmol、2.13当量)及び10%NaCO(1.8mL)を添加した。1時間後、アセトン1mL中N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(205mg、0.821mmol、1.97当量)を10分間かけて滴下し、1時間撹拌した。反応混合物をろ過し、そして残渣を水(3×1mL)で洗浄した。淡緑色のろ液を1N HClで注意深くpH2に酸性化し、そして酢酸エチル(2×5mL)で抽出した。混合した有機物を塩水(brine)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、そして回転蒸発により濃縮して粗Nε−Boc−Nα−Cbz−L−リジン(K8)(148mg、収率45.7%、0.381mmol)を得た。
アセトン(1.7mL)中粗Nε−Boc−Nα−Cbz−L−リジン(K8)(148mg、0.381mmol、1.00当量)の溶液に、TsOH・H2O(145mg、0.762mmol、2.00当量)を添加した。16時間後、結晶を真空ろ過によって回収し、そして冷アセトンで慎重に洗浄してNα−Cbz−リジン(K8)・TsOH(124mg、収率71.0%、0.270mmol)を得た。
粗Nα−Cbz−リジン(K8)・TsOHを5%アセトニトリル1.0mL(水中のv/v)に溶解し、トリエチルアミン(37.5μL、0.269μmol、1.00当量)で処理し、そして5.5g C−18 ISCO RediSepゴールドカラム(5→90% H2O中アセトニトリル)上で精製した。凍結乾燥により、ふわふわした(fluffy)白色非晶質固体(77mg、0.27mmol、収率99%)としてのNα−Cbz−リジン(K8)を得た。
1H NMR (D2O, 600 MHz) (δ 7.25-7.35 (m, 5H), 5.04 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 4.97 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 3.83 (dm, JCH = 140.4 Hz, 1H), 2.84 (dm, JCH = 142.8 Hz, 2H), 1.66 (dm, JCH = 128.4 Hz, 1H), 1.53 (dm, JCH = 131.4 Hz, 3H), 1.28 (dm, JCH = 132.6 Hz, 2H); 13C-NMR (D2O, 151 MHz) δ 179.8 (d, J = 8.4 Hz), 179.5 (d, J = 8.4 Hz), 128.7 (s), 128.2 (s), 127.6 (s), 66.8 (s), 56.2 (ddd, J = 138.0, 46.2, 14.4 Hz), 55.8 (ddd, J = 139.2, 46.8, 15.0 Hz), 34.2 (dt, J = 161.0, 18.6 Hz), 31.1 (td, J = 138.6, 18.0 Hz), 23.2 (td, J = 138.6, 18.8 Hz), 22.0 (t, J = 137.4 Hz); [α]19 D:-12.50 ± 0.04° (c = 2.00, 0.2 N HCl); FTIR (solid, cm-1) 3306, 3031, 2931, 1717, 1654, 1497, 1402, 1369, 1344, 1232; ESI-HRMS (m/z): 計算値 C8 13C6H21 15N2O4(M+H)+ 289.1643, 実測値 289.1650.

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Claims (26)

  1. トランスジェニック脊椎動物細胞が必須アミノ酸基質/前駆体から必須アミノ酸を生成することを可能にする外因性酵素を発現する前記トランスジェニック脊椎動物細胞を、前記アミノ酸基質/前駆体を含む組成物にタンパク質合成が生じるのに十分な期間触れさせる工程を含む、脊椎動物細胞におけるタンパク質標識用の方法であって、ここで、前記アミノ酸基質/前駆体が安定した同位体を含み、前記トランスジェニック脊椎動物細胞により合成されたタンパク質が、前記基質/前駆体由来の、安定した同位体で標識された必須アミノ酸を含有するものとする、前記方法。
  2. (a)トランスジェニック脊椎動物細胞が必須アミノ酸基質/前駆体から必須アミノ酸を生成することを可能にする外因性酵素を発現する前記トランスジェニック脊椎動物細胞を、前記アミノ酸基質/前駆体にタンパク質合成が生じるのに十分な期間触れさせる工程と、ここで、前記アミノ酸基質/前駆体が、安定した同位体を含むものとし、
    (b)前記細胞からタンパク質を分離する工程と、
    (c)前記の安定した同位体を含有するそれらのタンパク質を定量する工程と、
    を含む、脊椎動物細胞におけるタンパク質合成のモニタリング用の方法。
  3. (a)細胞の混合集団中の
    (i)必須アミノ酸の前駆体/基質を前記必須アミノ酸に変換することができる外因性酵素を発現する第一トランスジェニック脊椎動物細胞、及び
    (ii)第二脊椎動物細胞
    を前記必須アミノ酸及び前記必須アミノ酸の前記前駆体にタンパク質合成が生じるのに十分な期間触れさせる工程と、ここで、前記必須アミノ酸及び前記前駆体/基質の1つが、安定した同位体により標識されておりそしてもう一方は標識されていないか又は異なる安定した同位体で標識されているものとし、
    (b)前記第一及び第二脊椎動物細胞からタンパク質を回収する工程と、
    (c)前記タンパク質中の安定した同位体の量を決定し、起始細胞を決定する工程と、ここで、前記の安定した同位体の量が、前記タンパク質が前記第一トランスジェニック脊椎動物細胞により又は前記第二脊椎動物細胞により合成されたかどうかを示すものとする、
    を含む、脊椎動物細胞の混合集団におけるタンパク質の識別用の方法。
  4. 前記第一及び第二脊椎動物細胞が、お互いに近接している、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第一及び第二細胞を、インビボで触れさせる、請求項3に記載の方法。
  6. (a)第一及び第二前駆体を含む培養培地で
    (i)第一前駆体を必須アミノ酸に変換することができる第一外因性酵素を発現する第一トランスジェニック脊椎動物細胞、及び
    (ii)第二前駆体を必須アミノ酸に変換することができる第二外因性酵素を発現する第二トランスジェニック脊椎動物細胞
    をタンパク質合成が生じるのに十分な期間共培養する工程と、ここで、前記第一前駆体は第一安定同位体を含みそして前記第二前駆体は標識されていないか又は第二安定同位体を含むものとし、
    (b)前記の共培養された細胞からタンパク質を回収する工程と、
    (c)前記タンパク質中の前記第一及び第二安定同位体の各々の相対的な存在量を決定して起始細胞を決定する工程と、ここで、前記第一安定同位体を含有するタンパク質は前記第一トランスジェニック脊椎動物細胞から合成されそして標識がないか又は前記第二安定同位体を含むタンパク質は前記第二脊椎動物細胞から合成されるものとする、
    を含む、脊椎動物細胞の混合集団からのタンパク質識別用の方法。
  7. 前記必須アミノ酸が、リジンである、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記必須アミノ酸基質/前駆体が、標識されている又は標識されていないメソ−2,6−ジアミノピメリン酸(DAP)、標識されている又は標識されていないD−リジン、標識されている又は標識されていないZ−リジンからなる群から選択される、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記脊椎動物細胞が、一時的に又は安定的にトランスフェクトされ、前記必須アミノ酸基質/前駆体から前記必須アミノ酸を生産する外因性酵素を発現する、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記脊椎動物細胞が、トランスジェニック動物中にある、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記第一及び第二脊椎動物細胞が、哺乳類の細胞である、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記外因性酵素がリジンラセマーゼであり、そして前記基質/前駆体がD−リジンである、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記外因性酵素がジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(DDC)であり、そして前記基質/前駆体がジアミノピメリン酸(DAP)である、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記外因性酵素がCBZcleaverであり、そして前記基質/前駆体がZ−リジンである、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記基質/前駆体が安定した同位体で標識されている、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記必須アミノ酸がリジンである、請求項1に記載の方法。
  17. 前記タンパク質が、質量分析により評価される、上記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  18. (a)脊椎動物細胞が必須アミノ酸基質/前駆体から必須アミノ酸を生成する外因性酵素を発現するように前記脊椎動物細胞をトランスフェクトするベクターと、
    (b)標識されていない又は安定した同位体で標識された必須アミノ酸基質/前駆体と
    を含むキット。
  19. (c)脊椎動物細胞が第二必須アミノ酸基質/前駆体から必須アミノ酸を生成する第二外因性酵素を発現するように前記脊椎動物細胞をトランスフェクトする第二ベクターと、
    (d)標識されていない又は安定した同位体で標識された第二必須アミノ酸基質/前駆体と
    をさらに含む、請求項18に記載のキット。
  20. 前記ベクターの各々が、リジンラセマーゼ、CBZcleaver、及びジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(DDC)から選択される酵素をコードする核酸を含む、請求項18又は19に記載のキット。
  21. 前記安定した同位体で標識された必須アミノ酸基質/前駆体が、D−リジン、Z−リジン、及びジアミノピメリン酸(DAP)から選択される、請求項18に記載のキット。
  22. D−リジン、Z−リジン、及びジアミノピメリン酸(DAP)から選択される標識されていない必須アミノ酸基質/前駆体をさらに含む、請求項18に記載のキット。
  23. リジンラセマーゼ、CBZcleaver、及びジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(DDC)から選択される酵素をコードする外因性核酸を含む、トランスジェニック細胞。
  24. リジンラセマーゼ、CBZcleaver、及びジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(DDC)から選択される酵素をコードする外因性核酸を含む、トランスジェニック非ヒト動物。
  25. 前記動物が、各々がリジンラセマーゼ、CBZcleaver、及びジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼ(DDC)から選択される異なる酵素をコードする第一及び第二外因性核酸を含む、請求項24に記載のトランスジェニック非ヒト動物。
  26. 前記第一及び第二外因性核酸が、異なる細胞型において発現している、請求項25に記載のトランスジェニック動物。
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