JP2015527096A - 表面波の伝播速度の決定 - Google Patents

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Abstract

表面波の伝播速度を決定する装置は、表面(103)上に少なくとも第1光スポットと第2光スポットを生成するコヒーレント光源(105)を有する。カメラ(111)は、光スポットを含む表面(103)の少なくとも一部の少なくとも1つの焦点ずれ画像を取り込む。前記焦点ずれ画像は、前記光スポットの光スポット画像対象物を含む。前記光スポット画像対象物はスペックルパターンを有する。解析装置(113)は、2つのスペックルパターンでのスペックルパターンの変化の間での時間差に応じて伝播速度を決定する。前記カメラは、具体的にローリングシャッターを用いて良い。それにより、前記スペックルパターンの空間解析に基づいて前記伝播速度を決定することが可能となる。当該方法は特に、たとえば動物の細胞組織及び具体的にはヒトの細胞組織内でのパルス波速度の効率的な遠隔測定を可能にする。

Description

本発明は、たとえば動物の細胞組織での表面波の伝播速度の決定−これに限定されるわけではないが、特にヒトの細胞組織でのパルス波の伝播速度の決定−に関する。本発明はまた、標的となる表面に沿った他の種類の波の伝播の推定に用いられて良い。前記推定は、産業上の用途−たとえば製造機器の振動モニタリング−を見いだすことができる。
動物の細胞組織の様々な特性の測定及び監視は、多くの分野において非常に重要になってきていた。従って、動物(ヒトを含む)細胞組織の特性を測定する新たな方法又は改善された方法を提供しようという思いが高まっている。特に、検査対象物に対する不便さを最小限にした容易で実用的な応用を可能にする方法を供する方法を提供しようという思いが高まっている。関心のある具体的測定は、動物の細胞組織での表面波の伝播速度の測定である。かかる測定は、様々な特性の重要な指標を与え、かつ、たとえば様々な健康リスクの診断又は早期検出を支援することができる。
たとえば、高血圧は、心臓麻痺、発作、及び動脈瘤の共通するリスク因子であることが知られている。従ってこの診断及び監視は非常に重要である。多くの心循環系の病気は、動脈壁の硬化に起因する。この動脈壁の硬化は、次式のMoens-Kortewegの式によって血液パルス波速度(PWV)に関連づけられる。
PWV=(Eh/ρd’)1/2
ここで、Eは管のヤング弾性モジュラス、hは壁の厚さ、ρは血液密度、及び、dは管の直径をそれぞれ表す。
従って血液パルス波速度を測定するための多くの方法が、開発されてきた。管の弾性特性との関係に起因して、侵襲的方法及び非侵襲的方法が開発されてきた。一般的には、これらは、複数の位置で通過する圧力波を測定する段階、及び、記録物において観測される変位と時間遅延との比からパルス波速度を抽出する段階を含む。侵襲的カテーテル、機械的トノメータ、超音波ドップラー解析(非特許文献1に開示)、又は、皮膚へ非侵襲的に用いられる(圧電)パルス検出装置(非特許文献2に開示)を用いて圧力波を測定することが提案された。
しかし提案された方法は最適ではない。たとえば提案された方法は、検査対象物に対して不便になりがちで、実行するのがやっかいで、好適な程度の正確さや信頼性のある結果を与えず、並びに/又は、複雑及び/若しくはコストのかかる装置を必要とする傾向にある。特に大抵の方法は、伝播速度の検出を可能にするために各異なるセンサを丁寧に同期させることを必要とする。係る同期は、実現するのが複雑で、かつ、コストのかかるものになりがちである。
従って、動物の細胞組織での表面波の伝播速度を決定する−具体的にはパルス波の伝播速度を決定する−ための改善された方法が有利となると思われる。特に、自由度の増大、必要とする資源の減少、コストの減少、実装を容易にすること、複雑さを緩和すること、検査対象物への不便さを緩和すること、カメラの要求される仕様の緩和、及び/又は、性能の改善を可能にするシステムが有利となると思われる。
Xu, M., 2002, "Local measurement of the pulse wave velocity using ultrasound Doppler", Ph.D dissertation, Massachusetts Institute of Technology McLaughlin, J., McNeill, Braun, B and McCormack, P.D, 2003, "Piezoelectric sensor determination of arterial pulse wave velocity", Physiol. Meas. 24, 693- 702 Zeev Zalevsky, Yevgeny Beiderman, Israel Margalit, Shimshon Gingold, Mina Teicher, Vicente Mico, and Javier Garcia, "Simultaneous remote extraction of multiple speech sources and heart beats from secondary speckles pattern", Optics Express, Vol. 17, Issue 24, pp. 21566-21580, 2009
従って本発明は、上述の欠点の1つ以上を単独又は組み合わせで好適に緩和又は排除することを目的とする。本発明は独立請求項によって規定される。有利な実施例は従属請求項に規定される。
本発明の態様によると、表面波の伝播速度を決定する装置が供される。当該装置は:表面上に少なくとも第1光スポットと第2光スポットを生成するコヒーレント光源;前記第1光スポットと前記第2光スポットを含む表面の少なくとも一部の少なくとも1つの焦点ずれ画像を取り込むカメラであって、前記焦点ずれ画像は、前記第1光スポットの第1光スポット画像対象物と前記第2光スポットの第2光スポット画像対象物を含み、前記第1光スポット画像対象物は第1スペックルパターンを有し、かつ、前記第1光スポット画像対象物は第1スペックルパターンを有する、カメラ;及び、前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンとの間でのスペックルパターンの変化の間での時間差に応じて前記伝播速度を決定する解析装置を有する。
本発明は、動物の細胞組織での表面波の伝播速度の決定を改善及び/又は容易にすることを可能にする。特に本願発明者等は、前記伝播速度が、複数の光スポットと該複数の光スポットに係るスペックルパターンに基づく単一カメラスペックルパターンイメージングを用いて正確に決定できることに気づいた。当該方法は、コヒーレント光を粗い表面に照射するときに、反射された場でのわずかな光路差によって、干渉/スペックルパターンは、デフォーカスされたカメラによって観察可能となることを利用することができる。結果として得られたスペックルパターンは、前記光スポットを反射する前記表面での小さな変動にさえも非常に強く依存する。本願発明者等は、単一カメラからの画像中での2つの異なる光スポットからの2つのスペックルパターンの解析が、動物の細胞組織での表面波の伝播を非常に正確に示唆するのに用いることができることを発見した。
当該方法は、各異なるセンサ(又はカメラ)の同期を必要とせず、前記第1光スポットと前記第2光スポットを取り込む単一カメラである単一センサ−つまりは2つの関連するスペックルパターンを含む画像−から正確に伝播速度を決定することを可能にする。よって前記第1光スポットと前記第2光スポットを同時に測定することで、同期を必要とせずに正確な時間の決定が可能となる。
前記表面波は、パルス伝播を含む前記表面での任意の運動であって良く、かつ、前記表面波は、たとえば特定の拡張波に限定されないことに留意して欲しい。動物の細胞組織は、ヒトの細胞組織とヒトではない細胞組織の両方を含むことに留意して欲しい。本発明が、血液パルス波速度の測定に用いられるとき、本発明は、血液パルスを有する任意の動物−たとえばイヌ又は他の動物−に用いられて良い。
前記コヒーレント光は、多くの実施例において、前記表面上にレーザー光スポットを生成するように構成されるレーザー光源であって良い。前記コヒーレント光源は、十分小さな−典型的には2mm2未満の面積で、通常は1mm2未満であることが好ましい−光スポットを与えるように、前記表面上で集束されて良い。当該装置は特に、相対的に粗いスペックルパターンを生成するように構成されて良い。特に前記コヒーレント光源は、少なくとも10個の正方形画素の平均スペックルグレインサイズとなるように十分小さい前記光スポットを生成して良い。
前記第1光スポットと前記第2光スポットは空間的に分離される。間隔は一般的に、2cmほどであり、多くの場合、5cmほどであり、またさらには、10cm又は15cmほどであることが好ましい。
前記カメラはレンズレスカメラであって良い。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記第1スペックルパターンの第1特性の決定、前記第2スペックルパターンの第2特性の決定、前記第1特性における第1変化の検出、前記第2特性における第2変化の検出、及び、前記第1変化の瞬間と前記第2変化の瞬間との間での時間差に応じた前記伝播速度の決定を行うように構成される。これにより、前記伝播速度を特に有利に決定することが可能となる。特にこれは、複雑さは低いが正確で信頼性のある前記伝播速度の決定を可能にする。
前記変化は具体的にはステップ状の変化であって良い。検出上の要件は、特性の値の変化が所与の閾値を超えることであって良い。たとえば前記特性がスペックルパターンのコントラストである場合、前記スペックルコントラストが所定量よりも変化するとき又は前記コントラストが所定の閾値を超えるときに、前記変化が起こったことが検出されて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記カメラは、前記少なくとも1つの焦点ずれ画像を取り込むローリングシャッターを有する。これは特に、前記伝播速度の決定の改善、容易化、及び/又は複雑さの軽減を可能にする。特にこれは多くの実施例では、時間分解能とカメラの要求される仕様との間でのトレードオフを改善することを可能にする。具体的には多くの実施例において、高速カメラの必要性を緩和又は除去する一方で、前記カメラに係る高い時間分解能が実現され得る。当該方法は、高フレーム速度カメラを必要とすることなく高周波数変化を決定することが可能である。たとえば高フレーム速度のカメラに対する通常のカメラに係るコストの減少は非常に大きいので、当該方法は、実装コストを非常に大きく減少させることができる。さらに多くの実施例では、単純化された又は改善された処理が実現されて良い。その結果、性能と複雑さ及び資源の使用との間でのトレードオフを改善することが可能となる。
前記ローリングシャッターの効果は、前記動物の細胞組織の表面の時間的特性を、結果として得られたスペックルパターンの空間特性に変換するのに用いられて良い。これはさらに、前記伝播速度を推定するために解析されて良い。特に、前記焦点ずれ画像の取り込みに用いられる前記カメラの時間的分解能を超える時間的分解能が実現され得る一方で、前記伝播速度をより正確に決定することが可能となる。当該方法は特に、単一の画像に、両スペクトルパターンの対応する/同期された時間情報を供させることを可能にするので、当該方法は、各異なる光スポットのスペックルパターンが変化する間での時間差を正確に決定することを可能にする。両測定点は同一のセンサ装置によって同一の時間特性で測定されるので、当該方法は特に、同期の要件を緩和させることができる。よって単一画像は、多くのシナリオでは、前記時間特性の空間表現を供するだけではなく、前記第1光スポットと前記第2光スポットを本質的に同期させることができる。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、一の焦点ずれ画像中での前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンとの空間比較に応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、特に有利な決定が可能となり、かつ、前記解析が容易になり得る。前記ローリングシャッターによって供される時間的特性から空間的特性への変換は、前記時間差の決定を改善させるのに利用されて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンの空間的相関に応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、特に有利な決定が可能となり、かつ、前記解析が容易になり得る。前記ローリングシャッターによって供される時間的特性から空間的特性への変換は、前記時間差の決定を改善させるのに利用されて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記ローリングシャッターの伝播方向に対応する方向での前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンの空間パターン変化に応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、伝播速度の特に有利な推定が可能となる。
前記ローリングシャッターは、線が時系列的に取り込まれる線の順次操作を実行して良い。前記画像の取り込みは、複数の順々に発生する間隔内で実現されて良い。複数の線のうちのサブセット(通常は1本の線)のみが、各間隔内で取り込まれる。よって前記ローリングシャッターは、前記線の方向とは垂直の伝播方向を有する。前記ローリングシャッターの向きに依存して、前記線は一般的に、前記画像の行又は列に対応するとみなされて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンでのパターン変化の間での空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、伝播速度を特に有利に推定することが可能となる。信頼できるが複雑さの小さい空間解析は、対応するパターン変化すなわち遷移の検出を可能にする。前記焦点ずれ画像中でのこれらの遷移の位置は、前記変化のタイミング、つまり前記第1光スポットと前記第2光スポットでの表面波のタイミングを示す。よって前記解析装置は、2つのパターンが遷移する間での(前記ローリングシャッター方向での)空間的距離と前記ローリングシャッターの速度の知見から前記時間差を計算して良い。
本発明の任意の特徴によると、前記ローリングシャッターは前記焦点ずれ画像を線毎に順次取り込むように構成され、かつ、前記解析装置は、各々が前記焦点ずれ画像の多数の隣接する線のうちの少なくとも一部を含む複数の群のうちの各群についての前記第1光スポット画像対象物の第1スペックルパターン特性の決定、前記複数の群のうちの各群についての前記第2光スポット画像対象物の第2スペックルパターン特性の決定、前記複数の群のうちの複数の群間での前記第1パターン特性の第1変化の検出、前記複数の群のうちの複数の群間での前記第2パターン特性の第2変化の検出、及び、前記第1光スポット画像対象物での第1変化と前記第2光スポット画像対象物での第2変化との間での空間差に応じた前記時間差の決定を行うように構成される。これにより、伝播速度の特に有利な推定が可能となる。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物のスペックルコントラストでの変化の空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、伝播速度の特に有利な推定が可能となる。特にこれにより、信頼性はあるが複雑さの低い前記時間差の決定が可能となる。前記解析装置は具体的に、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の各線のスペックルコントラストの決定、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の各々の前記線スペックルコントラストの変化の検出、及び、前記第1画像対象物と前記第2画像対象物での検出された変化の相対位置間での空間オフセットに応じた前記時間差の決定を行うように構成されて良い。
前記スペックルコントラストは具体的に線スペックルコントラストであって良い。前記解析装置は具体的に、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の線スペックルコントラストでの対応する変化での空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成されて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の線間スペックルパターン変位での変化の空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、伝播速度の特に有利な推定が可能となる。前記線間スペックルパターン変位は、2つの隣接する線のスペックルパターン間での推定された変位であって良い。
当該方法は特に、信頼性はあるが複雑さの低い前記時間差の決定が可能となる。前記解析装置は具体的に、前の線に対する前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の各線の変位の決定、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の各々についての線変位での変化の検出、及び、前記第1画像対象物と前記第2画像対象物での検出された変化の相対位置間での空間オフセットに応じた前記時間差の決定を行うように構成されて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記コヒーレント光源は前記表面上に複数の光スポットを生成するように構成され、かつ、前記カメラは、前記焦点ずれ画像中の複数の光スポットを取り込むように構成され、当該装置はさらに、前記解析装置による解析用に複数の光スポットのサブセットを選択するように構成される選択装置をさらに有する。これにより、多くの用途での動作が容易になって改善され、かつ、多くの実施例において、前記伝播速度の決定を改善することが可能となる。具体的に当該方法は、前記表面上の特に適した位置での光スポットを前記決定に利用することを可能にする。当該方法は特に、前記スペックルパターンの速度を、少なくとも前記動物の細胞組織の位置設定について変動率の高い用途においてより高い自由度で決定することを可能にする。たとえば患者の表面波の伝播速度の決定に用いられる場合、当該方法は、極度の精度での前記患者の位置設定を必要とせずに前記決定に適した領域を決定することを可能にする。最高の特性(たとえば最高スペックルパターンコントラスト)を有する前記スペックルパターンとなる前記光スポットが利用可能なので、解析の改善が大抵の場合で可能となる。
前記光スポットのサブセットは前記第1光スポットと前記第2光スポットを含む。特に一部の実施例では、前記サブセットは前記第1光スポットと前記第2光スポットで構成されて良い。一部の実施例では、前記選択装置は、前記複数の光スポットから前記第1光スポットと前記第2光スポットを選択するように構成される。
前記複数の光スポットは、光スポットの規則的又は不規則なグリッドを構成して良い。好適には前記光スポットは、前記焦点ずれ画像中で重ならないように配置されて良い。前記コヒーレント光源は、複数の光源−たとえば各光スポット用のレーザー−を有して良い。
本発明の任意の特徴によると、前記選択装置は、前記伝播速度を決定するときに前記解析装置によって用いられる処理分解能よりも低い処理分解能を用いて、前記光スポットのサブセットを選択するように構成される。これにより、複雑さ及び/又は資源の使用が減少するが、前記解析に適した光スポットを信頼性があってかつ高性能で検出することが可能となる。
本発明の任意の特徴によると、前記選択装置は、前記複数の光スポットのうちの一部の光スポットの強度、前記複数の光スポットのうちの一部の光スポットのスペックルコントラスト、前記複数の光スポットのうちの一部の光スポットのスペックルパターン変化、前記複数の光スポットのうちの各異なる光スポットのスペックルパターン変化同士での相関、及び、前記複数の光スポットのうちの1つの光スポットパターンでの変化のうちの少なくとも1つの応じて前記一部を選択するように構成される。これにより、前記スペックルパターン速度の決定に用いられる光スポットのサブセットを特に有利に選択することが可能となる。特にこれにより、多くの実施例では、特に適したスペックルパターンを有する光スポットを、前記決定に用いることが可能となるため、前記表面波伝播速度の決定が改善され得る。
本発明の任意の特徴によると、当該装置は、パルス波の伝播速度を決定するように構成される。
本発明は、パルス波速度の決定を改善することを可能にし、かつ、決定の複雑さを軽減することを可能にする。前記決定の複雑さが軽減されることで、前記患者にセンサを取り付ける又は挿入する必要がなくなり、かつ、正確な同期又は複雑な信号処理が不要となる。
本発明の態様によると、表面波の伝播速度を決定する方法が供される。当該方法は:表面上に少なくとも第1光スポットと第2光スポットを生成する段階;前記第1光スポットと前記第2光スポットを含む前記表面の少なくとも一部の少なくとも1つの焦点ずれ画像を取り込む段階であって、前記焦点ずれ画像は、前記第1光スポットの第1光スポット画像対象物と前記第2光スポットの第2光スポット画像対象物を含み、前記第1光スポット画像対象物は第1スペックルパターンを有し、かつ、前記第2光スポット画像対象物は第2スペックルパターンを有する、段階;及び、前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンでのスペックルパターン変化の時間差に応じて前記伝播速度を決定する段階を有する。
本発明の上記及び他の態様、特徴、及び利点は、後述する(複数の)実施例を参照することで明らかとなる。
本発明の実施例によるスペックルイメージング装置の例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 エッジが改善されたスペックルパターンの例を表している。 2つのスペックルパターンの特性の変化例を表している。 等方的スペックルパターンと異方的スペックルパターンのスペックルパターンの例を表している。 本発明の実施例によるスペックルイメージング装置の例を表している。 光スポットのグリッドを用いたスペックルパターンイメージングの例を表している。 光スポットのグリッドを用いたスペックルパターンイメージングの例を表している。 光スポットのグリッドを用いたスペックルパターンイメージングの例を表している。
本発明の実施例は、図面を参照しながら単なる例示によって説明される。
以降の説明は、ヒトの細胞組織を含む動物の細胞組織での表面波の伝播速度を測定する実施例に焦点を当てる。具体的には本願発明者等は、当該方法が、表面波の伝播速度の決定に用いられ得ることに気づいた。特に以降の説明は、患者中でのパルス波の伝播速度を効率的に、正確に、信頼性があり、自由度が高く、かつ、容易に決定することを可能にするシステムに焦点を当てる。当該システムは特に、多くの心循環系の病気を評価、検出、及び診断するのに非常に重要となり得る測定を行う。
図1は、本発明の実施例によるスペックルイメージング装置の例を表している。
装置は、スペックルイメージング装置101を含む。スペックルイメージング装置101は、患者の身体の一部に投影される少なくとも2つのスペックルパターンからスペックルイメージングを実行することによってパルス波伝播速度を決定するように構成される。血液パルスが身体を通り抜けて伝播するとき、血液パルスは、身体の多くの部分の皮膚表面で小さな乱れと歪みを生じさせる。図1のスペックルイメージング装置101は、患者の皮膚表面上での少なくとも2つの位置での小さな変化を検出し、かつ、これに基づいてパルス伝播速度を推定するように構成される。従ってスペックルイメージング装置101は、患者の身体の表面103の適切な位置に少なくとも2つの光スポットを生成する。各光スポットはスペックルパターンを生成するように結像される。スペックルパターンは、パルス波速度を推定するように解析される。
スペックルイメージング装置101は、表面103上に少なくとも2つのスポットを生成するように構成されるコヒーレント光源105を有する。具体的な例では、コヒーレント光源105はレーザー光源で、コヒーレント光源105はレーザー107とレンズ109を有し、レンズ109は表面103上でレーザー光源を集束させることが可能で、それにより十分小さな光スポットが表面103上に生成される。当然のこととして、レンズはすべての実施例において必要という訳ではない。特に、たとえばレーザー光源が十分小さな光スポットを生成し得る実施例においてはレンズは必要ないと考えられる。
コヒーレント光源105はたとえば、複数のレーザー光源の使用、回折格子を備える単一光源の使用、又は、ビームスプリッタとミラーの使用によって2つ以上の光スポットを生成して良い。
スペックルイメージング装置101はさらに、コヒーレント光源105によって生成される少なくとも2つの光スポットを含む表面105(の少なくとも一部)の画像を取り込むように構成されるカメラ111を有する。カメラ111は、表面103の焦点ずれ画像を取り込むように構成される。つまりカメラ111は、表面103とは異なる焦点面を有する画像を取り込むように構成される。よって当該装置が動作中のとき、カメラ111の焦点距離は、表面103からカメラ111までの距離とは異なる。一部の実施例では、カメラ111は集束レンズのないカメラであって良い。特に裸のセンサに対応するレンズレスカメラが一部の実施例において用いられて良い。特に係るカメラは、焦点がセンサ自体に位置する非集束イメージングの特殊な場合とみなされて良い。
従ってカメラ111は、カメラ111から対象物の位置設定が可能な動作距離範囲までの距離とは異なる焦点距離を有するように構成される。含まれる具体的距離、表面の位置設定等は個別の用途等に依存し得ることに留意して欲しい。さらにスペックルイメージング装置101の実際の設計及び実装は、存在する表面103又はその具体的位置に依拠しないことに留意して欲しい。むしろスペックルイメージング装置101は、表面103が所与の動作体積/距離の範囲内に設けられるように設計されて良い。よって監視される表面がこの動作体積/距離の範囲内に位置するように対象物が設けられてときに、コヒーレント光源105及びカメラ111は、許容可能な性能を供するように構成されて良い。
典型的にはカメラ111の焦点距離は、動作距離間隔の最大距離の少なくとも2倍で、通常は少なくとも5倍である。動作距離間隔は、スペックルイメージング装置101が設計されたときの間隔である。つまり当該装置が動作するときに表面103が設けられるべき範囲である。
一部の実施例では、スペックルイメージング装置101は、手動又は自動で表面103の具体的位置に適合するように構成されて良いことに留意して欲しい。たとえばコヒーレント光源105からの光の集束は、レーザー107とレンズ109との間の距離を変化させることによって手動で調節されて良い。別例として、調節は自動であって、かつ、表面103上での光スポットのスポットサイズを最小にするフィードバックループに基づいて良い。同様に、カメラの焦点合わせは手動で調節可能であり、又は、(たとえば光スポットに対応する画像対象物のサイズを最大化するか、又は、スペックルパターンコントラストを最大化するフィードバックシステムに基づいて)自動調節可能であって良い。他の実施例では、焦点は一定であって良い。たとえばカメラ111は、無限焦点距離を有するように設定されて良い。
図1のシステムはスペックルイメージングに基づく。スペックルイメージングは、コヒーレント光を粗い表面に照射するときに、反射場においてわずかな光路長差が生じる結果、焦点が外されたカメラによって観測可能な干渉/スペックルパターンが生じ得ることを利用する。スペックルパターンは、複数の波面からなる組の相互の干渉によって生成されるランダムな強度パターンと考えて良い。これらのパターン及びそれらの動的挙動を解析することで、たとえば標的の並進及び回転、流れのパラメータ、並びに、物質の評価を高精度で検出することが可能となる。長年にわたって、スペックルイメージングには、産業用計測、医療用途、材料の評価、バイタルサインの解析、血液流の測定、小さな変位の測定等広範にわたる用途が見いだされてきた。
レーザースペックルイメージングは、非常に小さな表面の運動−たとえば音波又はバイタルサイン(心臓の鼓動、呼吸)により誘起される運動−又は非常に離れた運動−たとえばハンドヘルド遠隔相互作用装置(ゲームコントローラ、ポインティングデバイス)−の遠距離非接触測定を可能にする。
スペックルイメージングへのアプローチは、表面上に小さなスポットを生成するように表面上に集束したレーザーを用いることである。スポットの画像は、デフォーカスされた撮像対物レンズを用いて取り込まれる。カメラがデフォーカスされることで、「混同の円(circle of confusion)」又は「ちらつきの円(blur circle)」が生じる。レーザーからの光のコヒーレントな性質のため、この円の強度は均一ではなく、むしろこの円は各異なる波面間での干渉によって引き起こされるスペックルパターンを含む。スペックルパターンは、レーザー光を反射させる表面に依存する。特に表面テクスチャでの粗さと小さなばらつきの結果、位相は反射された波面に依存し、その結果干渉スペックルパターンが生じる。さらに対象物表面の小さな運動は、スペックルパターンにおいて並進として視認可能である。スペックルイメージングの特別な利点は、対象物の運動がスペックルパターンの並進において強く増幅されることで、非常に小さな運動の検出さえ実用的となることである。実際には、レーザー照射された表面の位置又は向きの小さな変化でさえも、係るスペックル場の大きな変位を生じさせる。それに加えて、運動が時間的に高周波の変化を含む場合、係るスペックル場は、同一の時間的周波数特性を示す。
これらの特性はたとえば、非特許文献3に開示されているように、コリメートされたレーザーとデフォーカスされたカメラを用いることによって長距離(数メートル以上)での心臓の鼓動と発話を測定するのに利用されてきた。
図1の装置では、コヒーレント光源105によって生成される光スポットの画像対象物は、カメラのデフォーカスに起因するスペックルパターンを有する。よってカメラ111がデフォーカスされる結果、干渉/スペックルパターンを含む各光スポットの画像対象物が生じる。この干渉は、検査中のヒトの細胞組織の表面でのわずかな変化によって引き起こされる各異なる波面反射間での位相変化の結果として生じる。よって入射光がコヒーレントである一方で、表面変化は、様々な位相を有する反射波を生じさせ、かつ、焦点ずれ画像を取り込むことによって、これらの変化は干渉パターンを生じさせる。
図1のスペックルイメージング装置101では、カメラ111は解析処理装置113と結合する。解析処理装置113は、カメラ111によって生成されるスペックルパターンに基づいて伝播速度を決定するように処理を進める。解析処理装置113は、2つの取り込まれたスペックルパターンでの対応するスペックルパターンの時間差に応じて伝播速度を具体的に決定する。
典型的実施例では、コヒーレント光源105は、合計面積が1mm2を超えず、通常は有利となるようにたとえば0.5mm2またさらには0.1mm2を超えない光スポットを供するように構成される。よって表面103が動作間隔の範囲内にあるとき、コヒーレント光源105は、そのような小さな光スポットを供し得る(一定の状態であっても良いし、又は、手動及び/若しくは自動調節を用いても良い)。
観測されたスペックルサイズは、光スポットのサイズに依存するだけではなく、他のパラメータ−観測距離、結像光学系、及び物理的なセンサの分解能−にも依存することに留意して欲しい。しかし典型的には、光スポットサイズを制御するのが現実的である。
コヒーレント光源105によって生成される光スポットが、表面103の集束画像内において小さな点として現れるとしても、デフォーカスされたカメラ111によって取り込まれる画像の対応する画像対象物は、明確で鋭いスペックルパターンを有する大きな(典型的には円)面積となる。スペックルパターンのサイズは、(非)集束距離に対する対象物の距離によって決定される。この距離は無限大であって良い。対象物の距離と集束距離との間の差異が大きければ大きいほど、スペックルパターンによって占められる面積は大きくなる。
見た目の粒度を決定するスペックルパターンの空間周波数帯域は、照射スポットのサイズによって決定される。照射スポットが小さければ小さいほど、空間周波数帯域は狭くなり、かつ、スペックルグレインは粗くなる。
スペックルパターンの例が図2に示されている。
図1のスペックルイメージング装置101は、表面波が表面全体にわたって移動することで、表面までの距離が小さく変化することを利用している。よって所与の地点では、表面特性は、表面波/パルスの波面が通過することで変化する。当該システムは、この変化の結果、個々の光スポットの反射の結果得られたスペックルパターンが変化することを利用している。よってスペックルパターンの変化を検出することによって、光スポットを通過する表面波の検出を実現することができる。図1のシステムでは、空間的に分離する2つの光スポットについてのスペックルパターンの変化が検出される。2つのスペックルパターン変化の間での時間差が決定される。この時間差は、表面波/パルスが一の光スポットから他の光スポットへ進行するのに要する時間を示唆するものと考えられる。従って表面波速度は、光スポット間での時間差と距離から計算される。
よって当該システムは、表面波/パルスが表面上の2つの異なる地点へ向けて伝播することに対応する小さな表面の乱れと変化を検出する。血液パルス波速度が測定される具体例では、光スポットは、たとえば上腕部での同一の動脈の中間付近での近接位置を照射して良い。光スポット間での典型的な距離はたとえば、1cm〜20cmで、典型的には有利となるように3cmにもなり、かつ10cmを超えない距離であって良い。
スペックルパターンの変化は、適切な基準に従って検出されて良い。具体的には解析処理装置113は、2つのスペックルパターンの各々についての特性を決定して良い。典型的には、いずれのスペックルパターンについても同一の特性が決定されるが、実施例によっては、評価される具体的特性が2つのパターンで異なっても良い。評価される具体的特性は、個々の実施例の嗜好や要求に依存する。多くの実施例では、特性は有利となるように、スペックルパターンコントラスト又はたとえば連続するパターン間での変位であって良い。
その後解析処理装置113は、適切な変化検出基準に従って各特性での変化を検出するように処理を進める。たとえば解析処理装置113は、特性の値が所与の時間間隔で所与のレベルよりも変化すること、及び、特性が公称値、初期設定値、又は時間平均値等から所定レベルよりも外れていることを検出し得る。
よって2つの検出された変化間での時間差が決定される。この時間差に基づいて、パルス波速度が計算される。具体的にはパルス波速度PWVは、測定された表面上の光スポット間の距離Δrdotと推定時間遅延Δtとの比として計算されて良い。
PWV=Δrdot/Δt
一部の実施例では、解析は一連の画像上で実行されて良く、かつ、具体的にはカメラ111は、一連のフレーム/画像を含むビデオ信号を供するビデオカメラであって良い。
係る例では、解析処理装置113は、各画像中の各スペックルパターンについての特性−たとえばスペックルコントラスト−の単一の値を決定して良い。パルス波が表面全体にわたって移動することで、これは最初に、第1光スポットにて表面での変化を引き起こす。この変化は結果として、対応するスペックルコントラスト変化のスペックルコントラストとなる。よって、表面波が第1光スポット全体にわたって移動するが、まだ第2光スポットには到達しなかった瞬間に取り込まれた画像について、第1光スポットのスペックルパターンは変化を起こす一方で、第2光スポットのスペックルパターンは変化を起こさない。その後、表面波は第2光スポットに到達し、かつ、第2スペックルパターンは変化を起こす。よって第1光スポットを通過する表面波と第2光スポットを通過する表面波との間での時間差は、対応する画像間での時間差として決定されて良い。単純な例として、時間差は、フレーム時間と、第1スペックルパターンが変化したのが検出されたフレームと第2スペックルパターンが変化したのが検出されたフレームとの間に存在するフレーム数との積として決定されて良い。よってパルス波速度が上述のように決定されて良い。
従って図1のシステムは、2つの光スポットのスペックルパターンを含む画像から表面波速度を決定するように構成される。これにより重要な利点が供される。それは、各異なる位置での測定の同期をとる必要性が回避又は緩和され、その結果として複雑さが低く、かつ/又はより信頼できるように速度を決定することである。
係る方法は、多くの実施例にとって正確な表面波速度測定となり得るが、係る方法は、カメラに十分高いフレーム速度を持たせることで、速度を推定するのに十分な分解能となる程度十分な時間分解能を与えるのに十分な程度に、フレーム間での時間差を短くすることを可能にすることを要求する。
従って十分な分解能/精度で速い速度を測定するためには、高速カメラが用いられなければならない。これは一般的にはコストを非常に大きく増大させる。それに加えて、多くの画像のスペックルパターンを解析する必要があることで、複雑で資源を必要とする用途になりがちである。
一部の実施例では、これらの欠点は緩和され得る。具体的には、一部の実施例では、カメラ111はローリングシャッターを有して良い。焦点ずれ画像(特に単一の焦点ずれ画像)は、ローリングシャッター取り込みを利用して取り込まれる。
画像が、その画像のすべての部分について同一の時間間隔で光を検知することによって生成される従来のカメラを用いるのではなく、図1のスペックルイメージング装置101のカメラ111は、一部の実施例において、画像の様々な領域の時間オフセットサンプリングを利用する。よって画像は、互いにオフセットされた取り込みの瞬間を有する複数の領域に分割されて良い。従ってサンプリングの瞬間は、画像のすべての画素について一定ではなく、むしろ画像全体にわたって変化する。
具体例として、ローリングシャッターは、線毎に順次画像を取り込んで良い。具体的にはローリングシャッターは、1回で画像の1本の線を生成して良い。サンプリング/取り込みの瞬間は各線についてオフセットされている。よって実際の取り込みの瞬間は各線で増大する。多くの実施例では、画像は、撮像センサ(たとえば電荷結合素子(CCDセンサ))の出力をサンプリングするカメラによって生成されて良い。ローリングシャッターは具体的に、線毎の取り込みを行い、かつ、実質的に同時ではあるが線間で時間的にオフセットされているようにサンプリングされた撮像センサの各線によって実装されて良い。よって線は順次サンプリングされ、1回につき1本の線がサンプリングされて良い(場合によっては1回につきN(Nは整数)本の線がサンプリングされる)。
従って結果として得られた画像は、わずかに異なる回数での表面を反映する。なぜなら各線は各異なる試料の瞬間に対応するからである。その結果スペックルパターンは、単に1回での瞬間での表面の特性を表すだけではなく、時間的情報をも含む。つまり各スペックルパターンは、如何にして対応する光スポットの位置での表面特性が時間変化するのかをも反映し得る。
以下の説明は、線毎に順次処理するローリングシャッターが実装されている実施例に焦点を当てる。よってその例では、ローリングシャッターの伝播速度は、線の方向とは垂直な方向である。たとえばローリングシャッターが1回に1行読む(つまり線毎に順次処理する操作が画像センサの複数の画素からなる1つの行に相当する)とき、伝播方向は列方向である。同様に、ローリングシャッターが1回に1列読む(つまり線毎に順次処理する操作が画像センサの複数の画素からなる1つの列に相当する)とき、伝播方向は行方向である。以降の説明は、ローリングシャッターが1回に1つの水平行を読む、すなわちローリングシャッターの伝播方向が垂直方向である例に焦点を当てる。
他の実施例では、ローリングシャッターは1回に2つ以上の線を読んで良いし、又は、ローリングシャッターは他の方向に配置されても良いことに留意して欲しい。たとえば一部の実施例では、ローリングシャッターは対角伝播方向を有し、よってこの対角線とは垂直な(つまり正方形センサの反対の対角線に平行な)線で画像センサをサンプリングして良い。伝播方向は、所与の試料の瞬間でサンプリングされる領域(たとえば中心地点)から次のサンプリングの瞬間にサンプリングされる領域(たとえば中心地点)への方向に対応する。
解析処理装置113によって実行される解析は、取り込まれた画像の空間的特性と時間的特性との関係を考慮した解析に基づいて、2つの光スポット位置で通過する表面波の瞬間の間での時間差を決定するように構成される。特にカメラは、ローリングシャッターが、時間的効果を空間画像特性に導入し、かつ、(たとえ単一画像中でも)空間画像特性を解析することによって、時間的特性の情報を得ることができるという本願発明者等の発見を利用している。
ローリングシャッターを用いる方法は特に、高速カメラの必要性を緩和させ得る。特に画像フレーム速度よりも実質的に高い決定された特性の時間分解能が実現され得る。特に多くの用途では、画像のフレーム速度の10倍にもなる時間分解能が実現され得る。
また当該システムは、多くの実施例において要求される処理の複雑さと資源の使用を軽減し得る。特に単一の画像中において空間パターンの時間特性を空間特性に変換することで、少ない画像を解析する必要性に起因する資源の使用を軽減するだけではなく、多くの複雑さの低いアルゴリズムの利用が可能となる。特に、多数の空間解析アルゴリズムは、異なる画像間での時間的解析に基づくアルゴリズムよりも資源を使わなくて良い。
ローリングシャッター法を用いたカメラによって取り込まれた移動する表面のスペックルパターンの例が図3に示されている。図からわかるように、スペックルパターンは、如何にしてパターンが、異なるサンプリングの瞬間の間で並進するのかを反映する空間パターン変化を示す。具体例では、振動運動が表面に導入され、かつ、図からわかるように、この結果として水平方向での並進が垂直位置での関数となる空間パターンが生じる。例では、ローリングシャッターは行毎に順次処理し、よってパターンの垂直方向は、時間次元をも反映する。具体的には図3のパターンは、表面の正弦振動に対応する垂直波を示す。よって垂直位置の関数としての水平並進は、表面の時間変化、具体的には表面の運動の情報を与える。
表面の運動を反映する空間特性を有するスペックルパターンの他の例が図4と図5に示されている。図4は、表面が246Hzの周波数を有する正弦波に対応する運動を有する例を表している。図5は、表面が振動する短パルスに曝される例を表している。
解析処理装置113は、第1光スポットを通過する表面波(又はパルス)と第2光スポットを通過する表面波(又はパルス)との間での時間差を決定するために表面の時間的振動の空間表現を利用するように構成される。よって解析処理装置113は、スペックルパターンでの空間解析を実行し、かつ、これを利用して波の速度を計算するのに用いられる時間差を決定することができる。解析処理装置113は、如何にして空間スペックルパターンが、時間変化を反映する空間方向−つまりローリングシャッターの伝播方向−で変化するのかを解析するように構成される。よって具体例では、各異なる垂直位置でのスペックルパターン間での変化が解析される。
従ってローリングシャッターを用いたシステムでは、解析処理装置113は、2つのスペックルパターンの空間特性に応じて時間差を決定して良い。具体的には時間差は、第1スペックルパターンと第2スペックルパターンとの空間的相関に応じて決定されて良い。たとえば、2つのパターンは空間的に相関し、かつ、最大相関に対応する空間シフト又はオフセットが決定されて良い。よってこの空間的差異は、ローリングシャッターの速度を考慮することによって時間差に変換され得る。たとえば8本の線のオフセットについての最大相関が見いだされた場合、時間差は、ローリングシャッターの線から線までの時間の8倍と決定することができる。よって時間差は、第1光スポットのスペックルパターンと第2光スポットのスペックルパターンとの空間的比較によって決定されて良い。
解析処理装置113は、時間差を決定するための様々なアルゴリズムを利用して良いことに留意して欲しい。いくつかの方法が以降で説明される。しかし解析処理装置113は、これらの例に限定されず、他の実施例においては、個々の実施例の嗜好及び要求に依存して他の方法も用いられ得ることに留意して欲しい。
一部の実施例及びシナリオでは、解析処理装置113は、1つの焦点ずれ画像中での第1スペックルパターンと第2スペックルパターンとの空間的比較に応じて時間差を決定するように構成されて良い。
表面波の波面が光スポットを通過するとき、表面の運動が生じ、その結果スペックルパターンが生じる。ローリングシャッターによる取り込みでは、この結果、波面が通過する時間に対応する空間位置でのスペックルパターンが変化する。よって取り込まれたスペックルパターンは、パターン特性の変化を示す。このとき変化の空間位置が波面の通過時間を直接的に表す。2つの光スポット画像対象物−つまり光スポット−についてこの現象が起こる。しかし光スポットは空間的にオフセットされているので、変化の厳密な時間は異なり、かつ、この結果として、変化は各異なる空間位置で起こる。2つの光スポットが、光スポットを通過する波面間での時間差が単一フレーム取り込み間隔の範囲内となるのに十分に近い場合、単一画像中での2つの画像対象物は、スペックルパターン変化を示し得る。
係るシナリオの例が図6に示されている。パターンは、パルスを放出する小さな拡声器に取り付けられた1枚の紙に、レーザーが2つのスポットからなるパターンを投影する実験装置から得られる。反射された点の向きとカメラの向きとをそろえることによって、パルス到達時間の差異が、左側のパターン遷移と右側のパターン遷移との間での垂直シフトとして観測され得る。
図6に表されているように、スピーカーが変位することで、左側のパターンの底部において深刻なパターンの並進とモーションブラーが生じる。右側のパターンでは、パルスの開始が、波が一の光スポットの位置から第2光スポットの位置まで伝播する際のパルス到達時間における遅延を示す各異なる垂直位置で観測され得る。パターンの垂直変位は、線周波数を用いることによって時間遅延に変換されて良い。カメラの位置合わせは、対象物の運動に起因する歪みの開始の垂直位置に影響を及ぼさないことに留意して欲しい。歪みの垂直方向での開始位置は時間にしか依存しない。
解析処理装置113は、係る実施例において、第1スペックル画像中で生じる変化の空間位置と第2スペックル画像中で生じる変化の空間位置を検出し得る。ローリングシャッターの伝播速度に基づいて、この空間オフセットが推定され、かつ、この空間オフセットは、第1光スポットを通過する波面と第2光スポットを通過する波面との間での時間差に変換されて良い。続いて波の速度が、時間差と光スポット間での距離から計算されて良い。
スペックルパターンでの変化を検出し、かつ、隣接するスペックルパターン間での変化の垂直空間オフセットを推定する方法には様々な方法が存在することに留意して欲しい。まず最初に、2次元画像データが、線間での変位を追跡し、かつ、結果として得られた運動パターンを解析することによって、1次元の軌跡に変換されて良い。あるいはその代わりに、各スペックルパターンについてスペックルコントラストは、個々の線(又はN本の線からなる群)について決定されて良い。よって連続する線間での相対変化が評価されて良い。変化が所与の閾値を超える場合、スペックルパターンの変化は、その位置で起こったと考えられ得る。空間オフセットは、第1スペックルパターンと第2スペックルパターンの検出された位置の変化の間での線の本数として決定されて良い。
より詳細な例として、解析処理装置113は、線に基づく解析を実行することで、時間差ひいては波の速度を決定するように構成されて良い。具体的にはカメラは、1回で隣接する線からなる群を順次サンプリングし、その後次の群をサンプリングするように構成されて良い。一般的には、カメラは1回で1本の線を取り込むが、一部の実施例では、1回にN(Nは整数)本の線を取り込んで良い。よって全体画像は、各異なる時間で取り込まれた隣接する線からなる複数の群から構成される。解析処理装置113は、係る実施例において、いつ変化が起こるのかを検出するため、各異なる群のスペックルパターンを比較するように処理を進める。一部の実施例では、スペックルイメージング装置101は、同時に取り込まれない隣接する線を結合することによって複数の線からなる個々の群を生成して良い。たとえば1回に1本の線を取り込むローリングシャッターでは、解析に用いられる複数の線からなる群は、、2本、3本、又はそれ以上の線を結合することによって生成されて良い。この結果、ローリングシャッターの伝播方向での空間分解能が実効的に減少する、つまりは、時間分解能が減少するが、各群のより信頼性のある評価が可能となる。
以降の説明は簡明を期すため、各群が1本の線で構成され、かつ、ローリングシャッターが1回に1本の線を順次取り込む例に焦点を当てる。具体例として、各群は1本の水平行を有して良い。
この場合、解析処理装置113は(各スペックルパターンについて)、いつ変化が起こるのかを決定するために各異なる行の行スペックルパターンを比較するように処理を進めて良い。具体的には、各線及び各スペックルパターンについて、解析処理装置113は、スペックルパターンの特性を決定するように処理を進める。
特性はたとえば、線間のスペックルパターンの変位であって良い。たとえば解析処理装置113は、パターンの並進を推定するように隣接する線同士を相関させて良い。多数の線にわたる平均化、生成された運動の推定のフィルタリング等が適用されて良いことに留意して欲しい。
この方法では、スペックルパターンは、相対的に粗いスペックルグレインを有する−特に、スペックルの少なくとも80%がローリングシャッターの伝播方向(つまり具体例における垂直方向)に2本の線(又はシャッターが1回にN本の線を取り込む場合には2N本の線)を超えて延びるスペックルグレインを有する−ように生成されることが好ましい。
具体例として、図7は、関数生成器からの電気信号によって駆動する圧電音波トランスデューサの表面のスペックルパターンの一部を表している。スペックルパターンは明らかに波状の歪みを示している。この波状の歪みは、垂直エッジの改善後に視認可能性が高くなっている。図8は、係るエッジ改善操作後のスペックルパターンを表している。エッジ改善は任意であり、かつ、当業者は多くの適切なエッジ改善アルゴリズムを知っていることに留意して欲しい。続いて改善された画像は、連続する行間での変位をサブピクセルの精度で推定する行毎の交差相関操作用の入力画像として用いられる。
具体的には変位dxは、次式の線の交差相関を利用して推定されて良い。
Figure 2015527096
ここでyは線/行の数、xは列の数、及び、iは画素値を示す。
この方法を図8の画像に適用した結果得られた変位が図9に表されている。図からわかるように、推定された変位は、表面の正弦波運動に直接対応する。
図からわかるように、ローリングシャッターの伝播方向での隣接する線間のスペックルパターンの変位は、運動がないときにはゼロに近いが、表面の運動が起こるときにはゼロではない値に変化する。従って対応する光スポットを通過する表面波によって引き起こされるスペックルパターンの変化は、線から線への遷移が所与の閾値を超える線の位置として検出され得る。従って解析処理装置113は、これが相対的に第1スペックルパターンと第2スペックルパターンで起こる空間位置(具体的には線の数)を決定するように処理を進める。
解析処理装置113は通常、生成された線から線の変位の推定と閾値とを比較する前に、低パスフィルタリング(たとえば運動平均)を、その生成された線から線の変位の推定に適用して良い。他の実施例では、より複雑な評価が実行され、かつより複雑な基準が適用されて良いことに留意して欲しい。
他の例として、解析処理装置113は、2つの光スポットの線スペックルコントラストでの対応する変化の空間オフセットに応じて時間差を決定して良い。
よって係る実施例では、解析処理装置113は、第1スペックルパターンと第2スペックルパターンの両方の各線のスペックルコントラストを計算して良い。
スペックルコントラストCはたとえば、スペックルパターンの平均強度Imeanに対する標準偏差σの比として計算されて良い。
C=σ/Imean
従って解析処理装置113は、画像の各線及び第1スペックルパターンと第2スペックルパターンについてのこの値を計算して良い。
表面波が光スポットを通過するとき、その結果生じるスペックルパターンの運動は、深刻のモーションブラーを生じさせる。このモーションブラーは、スペックルコントラストを顕著に減少させる。従って解析処理装置113は、スペックルコントラストが閾値未満にまで減少する位置を検出することによってパルス波を検出するように処理を進めて良い。
繰り返しになるが、解析処理装置113は、フィルタリング又は平均化を適用して良く、それどころか、より複雑な解析手法及び/又は変化検出基準を適用しても良い。
一旦スペックルパターン変化の空間位置が画像中で検出されると、解析処理装置113は、空間オフセットを用いて、変化の間での時間差を決定して良い。具体的には対応する時間差は、空間オフセット(線で測定される)をローリングシャッターの線周波数で除したものとして計算されて良い。続いてパルス波速度が、光スポット間の距離を時間差で除したものとして計算されて良い。
具体例では、一の画像のスペックルパターンだけが考慮された。しかし2つの光スポットのスペックルパターン間での比較は、同一画像/フレーム中でのスペックルパターン同士の比較であって良いし、又は、異なる画像でのスペックルパターン同士の比較であっても良い。たとえば第1光スポットを通過する表面波と第2光スポットを通過する表面波との間での時間差がフレーム時間未満であるとき、同一画像中でのスペックルパターン間で比較が実行されて良い。前記時間差がフレーム時間を超えるときには、異なる画像中でのスペックルパターン間で比較が実行されて良い。一部の実施例では、たとえば一の画像中での第1光スポットスペックルパターンと複数の画像(同一の画像を含む)中での第2光スポットスペックルパターンとの間での相関が適用されて良い。最大の全体的な相関が発見されて良い。時間差は、空間オフセットに対応するフレーム間時間オフセットとして計算されて良い。
さらにこれまでの例は、単一の波面からの表面波速度の決定に基づいていた。しかし多くの用途では、表面波は繰り返しの表面波である。具体的にはパルス波測定では、心臓の各鼓動についての表面波が繰り返される。一部の実施例では、これは、2つのスペックルパターンでの変化の時間差を決定するのに用いられて良い。これはたとえば、表面波の各反復について上述の操作を実行し、その後結果を平均化(たとえば計算された速度又は決定された時間差の平均化)することによって実行されて良い。
別の例として、決定されたスペックルパターン特性値の交差相関が、表面波の複数の反復にわたって拡張されて良い。繰り返し表面波の2つのスペックルパターンについての決定された特性の例が図9に示されている。
例は具体的には、スペックルコントラスト値を表している。図からわかるように、2つの光スポットの間には明確で変化しない空間オフセットが存在する。このオフセットは、たとえば交差相関のような方法を用いて、又は、特徴となる点−たとえば最大と最小の発生−の位置を比較することによって決定されて良い。
よって図1のシステムは、ローリングシャッター効果を利用して、パルス波速度の正確かつ高分解能な決定を可能にし得る。これは、高速カメラを必要とすることなく実現され得る。しかも多くの用途では、要求される空間分解能と時間分解能を供するのには、単純な標準的低コストメガピクセルカメラで十分である。さらにすべての解析がいずれのスペックルパターンを含む画像に基づくので、異なる装置間での複雑で困難な同期を行う必要がなくなる。
これまでの例では、コヒーレント光源105によって生成される光スポットは円のスポットとみなされ、かつ、円のスポットを取り込んだ結果、円の画像対象物が得られた。係る方法は一般的には、スペックルイメージングに用いられる。
しかし一部の実施例では、図1のスペックルイメージング装置101の構成は、カメラ111の画像センサによって取り込まれるスペックルパターンが異方的となるようになされる。そのような非円形スペックルイメージングは、結果としてローリングシャッターのスペックルパターンを改善させ、かつ、特にスペックルパターンの解析を容易にし得る。
異方的イメージングは具体的に、表面上に異方的光スポットとして光スポットを生成するように構成されたコヒーレント光源105によって実現されて良い。よって円形の光スポットを生成するのではなく、コヒーレント光源105は、たとえば楕円形の光スポットを生成して良い。
さらにスペックルパターン中でのスペックルのサイズはレーザースポットのサイズとは逆の関係にある。そのためスポットサイズが小さくなればなるほど、スペックルは粗くなる。本願発明者等は、この考察は各次元に適用することで、別個に異方的スペックルパターンを得ることができて、かつ、これは、ローリングシャッター取り込みを用いるときに特に有利であることに気づいた。特に異方的光スポットは、微細の水平(つまり垂直方向での)変位の分解能を維持しながら、スペックルパターンの垂直(つまりローリングシャッターの伝播方向での)相関を増大させるのに用いられて良い。
スペックルパターンはたとえば、シリンドリカルレンズである図1のスペックルイメージング装置101のレンズ109によって制御されて良い。この結果、楕円光スポットが生成される。光スポットの楕円の長軸が水平方向(つまりローリングシャッターの伝播方向に対して垂直な方向にそろえられた方向で、具体例では、画像センサの列方向にそろえられている方向)を向く場合、このような結果として、スペックルは垂直方向(つまりローリングシャッターの伝播方向に対して垂直な方向にそろえられた方向で、具体例では、画像センサの行方向にそろえられている方向)に細長く延びる。この方法は、各線の高い分解能及びスペックル変化を維持しながら、線間での高い相関を供し得る。この結果、スペックルパターン変化の検出が改善され、特に線間変位に基づく検出が改善され得る。
その効果は図10に示されている。図10は、運動のない場合の等方的光スポットに対応するスペックルパターンと表面の正弦運動の場合の異方的光スポットに対応するスペックルパターンとの比較を示している。
図10は、運動が存在しないとき(パターン1003)及び高周波の表面運動が存在するとき(パターン1005)にローリングシャッターカメラによって取り込まれた異方的光スポット1001を具体的に示している。図10は、運動が存在しないとき(パターン1009)及び高周波の表面運動が存在するとき(パターン1011)にローリングシャッターカメラによって取り込まれた異方的光スポット1007をさらに示している。
図からわかるように、等方的光スポットは結果として、(水平線のシフトに対応する)運動の情報を認識するのが困難な等方的スペックルパターンが生成される。しかし異方的光スポットでは、スペックルは細長く延びる。その結果、運動の情報ははるかに容易に検出される。例では、異方的光スポット1007は、等方的光スポット1001に対して水平方向に拡張された。この結果、スペックルの垂直寸法が増大するので、線と線との相関が高くなる。同時に、水平方向の分解能も維持される。
光スポットの厳密な異方性は個々の実施例の特性に依存することに留意して欲しい。しかし多くの実施例では、ローリングシャッターの伝播方向に対応する方向でのスペックルグレインの平均拡張は、垂直方向でのスペックルグレインの平均拡張の少なくとも2倍である。よって多くの実施例では、異方的光スポット画像(又は光スポット自体)は、最小寸法の少なくとも2倍の寸法を有する。
異方的スペックルパターンは、表面上の異方的光スポットによって生成される必要はない。むしろ一部の実施例では、コヒーレント光源105は等方的光スポットとして光スポットを生成するように構成されて良い。カメラ111は、異方的光スポット画像対象物として対応するスペックルパターンを生成するように構成される。
よって一部の実施例では、投影光学系の代わりに結像光学系が調節されて良い。これはたとえば、異方的光学絞り、非点収差光学系、アナモルフィック光学系、又はプリズムを用いて実現されて良い。実際、結像光学系を変化させることによって、画像を一の方向において他の方向よりも伸張することが可能である。これは、ちらつき円の外形と(観測された)スペックルの形状の両方に影響を及ぼし得る。
これは具体的には、取り込み素子及び/又は投影素子でのアスペクト比を変化させることによってウルトラワイドスクリーン画像を得るため、フィルムの記録と映画の投影においてアナモルフィックレンズを用いるのと似ていると言える。光学系は、シリンドリカルレンズ又は曲面ミラーを含んで良い。
例では、スペックルが相対的にローリングシャッターの伝播方向に伸張されるように、アナモルフィック光学系は設定される。
これまでの実施例は、コヒーレント光源105が、各々が解析されるべきスペックルパターン画像対象物を生成する2つの光スポットしか生成しない例に焦点を当ててきた。しかし一部の実施例では、コヒーレント光源105は、表面上に3つ以上の光スポットを生成するように構成されて良い。
係る典型的実施例が図11に示されている。その例は図1の例に相当するが、図11では、コヒーレント光源105は3つ以上の光スポットを生成する。これはたとえば、複数のレーザー光源の使用、回折格子を備える単一源の使用、又は、ビームスプリッタとミラーの使用によって実現されて良い。
カメラ111は、すべての光スポットを取り込むように配置される。スペックルイメージング装置101は、複数の光スポットのうちの少なくとも2つからなるサブセットを選択するように構成される選択装置1101をさらに有する。選択装置1101はさらに、光スポットのサブセットのスペックルパターンを解析するように処理を進める解析処理装置113に結合される。
当該方法は、表面/細胞組織の具体的位置設定への自動的又は半自動的適合に特に適し、かつ、特に監視される対象物の位置設定における柔軟性と自由度を増大させることができる。
たとえば複数の光スポットは規則的又は不規則的なグリッドを構成して良い。よって測定される対象物は相対的に粗い検査領域内に設けられて良い。当該システムは、複数の光スポットを評価することで、表面上の適切な位置に設けられる2つ以上の光スポットを発見して良い。解析は、選ばれた光スポットに基づいて良い。さらに詳細な解析の前に光スポットのサブセットの選択することによって、より効率的で必要とする資源の少ないシステムが実現され得る。
よって当該方法は、たとえば規則的なパターン内での複数の光スポットを利用することで、測定される(たとえば患者の)細胞組織の関心部分を照射する可能性を増大させることができる。さらに光スポットの組から、サブセットが、カメラセンサ上の関心領域を選択することによって選ばれて良い。空間分解能及びフレーム速度は、たとえば選択された関心領域の取り込み及び処理のみによって増大し得る。
多くの用途では、手動での適合を行うことなく若しくは対象物の非常に具体的な位置設定を必要とすることなく調査中の対象物上での好ましいスポット又は適切なスポットを照射する可能性は非常に小さい。実際多くの用途では、解析された光スポットは、たとえば適切な振動を受ける表面領域に設けられることが要求される。典型的にはこれは相対的に小さな領域であり、かつ、2つの光スポットは慎重に位置設定されなければならない。しかしより多くの光スポットを用いることによって、コヒーレント光源105(及びカメラ)に対する監視される対象物の位置設定は、粗くて自由度の高いものしか要求されず、よってスペックルイメージング装置101は、表面の適切な位置に設けられた光スポットに自動的に適合して選択することができる。
しかし複数の光スポットを観測することの欠点は、情報量が増えることで、必要とする資源と処理が増大することであると考えられる。しかし解析用の適切なスポットを各独立に選択することによって、これは緩和され、かつ、その結果として計算上の要求は非常に低く保たれ得る。たとえば空間分解能又は時間分解能は減少して良い。たとえば空間センサの分解能は、ビン化又はサブサンプリングによって減少し得る。他の例として、時間分解能は、より低いフレーム速度を用いることによって−たとえば選択を実行するときのフレームを省略することによって−減少し得る。さらに一旦光スポットのサブセットが特定されると、これらは、完全な画素分解能とフレーム速度で解析され得る。それにより表面運動の推定において劣化が存在しないことが保証される。
例として、完全な分解能で12フレーム/秒のフレーム速度を有する200万画素センサが選択用に用いられて良い。しかし完全な解析を実行するとき、たとえば一の選択された光スポット画像対象物に対応する小さな領域だけが選ばれて良い。これにより、たとえば200フレーム/秒のはるかに速いフレーム速度が可能となる。
具体例として、スペックルイメージング装置101は、患者のパルス波速度を決定するのに用いられて良い。コヒーレント光源105は、図12に表されているような光スポットのグリッドを生成して良い。パターンは、視認可能である必要はなく、たとえば不可視な赤外線照射及び検知に基づいて良い。1つのレンズ又は複数のレンズからなる組は、投影には必要ないが、スペックルの粗さとしての信号の品質を改善することができる。従って実効コントラストは、レーザースポットのサイズに関連する。
図13は、焦点ずれカメラ111によって取り込まれ得る画像を表している。図からわかるように、各光スポットについてスペックルパターンが生成される。図14は、表面が圧電トランスデューサである実験装置で取り込まれた対応画像を表している。
図12と図13の例は具体的には、患者のパルス波速度の遠隔測定に用いられて良い。心臓が鼓動するとき、小さな乱れが、患者の皮膚表面−たとえば患者の胸(又はたとえば腕、首等)−で検出され得る。よって例では、スペックルパターンの解析は、患者のパルス波速度の情報を供して良い。しかし信頼性のある推定を行うため、速度を決定するのに用いられる光スポットが適切に位置設定されることが重要である。
従ってパルス波速度の推定精度を増大させるため、当該システムは、複数の光スポットのうちの2つを選ぶように構成される。サブセットの選択後、当該システムは、複数の光スポットのうちの2つを選ぶように構成される。(画像センサの小さな領域に対応する)サブセットの選択後、より正確な測定の(センサの)空間分解能/時間分解能が増大し得る。空間分解能は、単に画素の合計数を示すだけではなく、単位長さ又は分解能あたりの数も示すことに留意して欲しい。
サブセットの選択に用いられる厳密なアルゴリズム及び基準は、個々の実施例の嗜好及び要求に依存する。
一部の実施例では、選択装置1101は、焦点ずれ画像中での複数の光スポットのうちの一部の強度に応じてサブセットを選択するように構成されて良い。図14からわかるように、焦点ずれ画像中での光スポットの強度は各異なる光スポットで変化している。特に、焦点ずれ画像中での光スポット画像対象物の平均輝度は反射面での反射特性に依存し得る。これは、選択された光スポットが実際に適切な表面からであることを保証するのに用いられて良い。従ってサブセットは、高い強度を有する光スポットを含むように選ばれて良い。それにより解析が改善される。
一部の実施例では、選択装置1101は、複数の光スポットのうちの一部の光スポットのスペックルコントラストに応じてサブセットを選択するように構成されて良い。図14に図示されているように、スペックルコントラストは、光スポットの具体的位置に係る厳密な特性に依存し得る。たとえば光スポットへの距離が厳密な焦点距離からずれる場合、スペックルパターンは粗くなり、かつ、その結果としてコントラストが減少する恐れがある。高いスペックルコントラストを有する光スポットのサブセットを選ぶことによって、解析を改善されることが可能である。たとえば相関の推定は、より正確でかつ信頼できるものとなり得る。
一部の実施例では、選択装置1101は、複数の光スポットのうちの一部のスペックルパターン変化に応じてサブセットを選択するように構成されて良い。特にサブセットは、異なる光スポットのスペックルパターン間での相関に基づいて選択されて良い。よって一部の実施例では、選択装置1101は、複数の光スポットのうちの異なる光スポットの変化同士の相関に応じてサブセットを選択するように構成されて良い。
一部の実施例では、サブセットは、相似性の基準を満たす時間的挙動を有するスペックルパターンに応じて選択されて良い。たとえばサブセットは、スペックルパターンが実質的に対応するが時間的オフセットを有して変化する光スポット、又は、たとえば同一周波数で繰り返し変化する光スポットのみを含むように選ばれて良い。たとえばパルス波を監視するとき、これによって、患者のパルスによって運動する表面上に位置する光スポットのみが考慮されることが保証され得る。
一部の実施例では、スペックルパターンの変化は、そのスペックルパターンの運動の推定として測定されて良い。具体的には複雑さの低い運動の推定が実行され、かつ、対応する運動を有する光スポットを選ぶのに用いられて良い。
一部の実施例では、選択装置1101は、光スポットの光スポットパターンでの変化に応じてサブセットを選択するように構成されて良い。具体的にはコヒーレント光源105は、光スポットの規則的なグリッドを生成するように構成されて良い。しかしグリッドが、顕著な深さ変化を有する領域(たとえば患者の胸及び病院のベッドの一部)を網羅するとき、深さ距離は、取り込まれた画像中での光スポットの相対変位を生じさせる。よって、規則的ではないグリッドが取り込まれた画像中に記録されて良く、かつ、このずれは、予測深さを有しない光スポットを特定するのに用いられて良い。この方法はたとえば、どの光スポットが患者の胸に衝突したのかを検出するのに用いられて良い。
一部の実施例では、選択装置1101は、非スペックルパターン画像に応じてサブセットを選択するように構成されて良い。たとえば患者の位置に対する光スポットの位置が、他の画像を用いて評価されて良い。この画像はたとえば、患者及びベッドの一部と共に小さなスポットとしての光スポットを示し得る焦点の合った画像であって良い。よって当該システムは、どのスポットが患者の胸と重なるのかを評価し得る。他の例として、スポットの位置と患者の位置との関係が、別のカメラ、背景画像、又はこれまでの情報から得られて良い。
サブセットの選択は、ビデオ系撮像システムのすべてのフレームについて実行される必要はないことに留意して欲しい。たとえばサブセットの選択は、所与の時間間隔で繰り返されて良い。たとえばサブセットの光スポットを数秒毎に再選択することで、当該システムは、患者の運動を追跡することが可能となる。
一部の実施例では、当該システムは、たとえばコヒーレント光源を制御することで光スポットの一部のオンとオフを切り換えることの可能なフィードバック機能を有して良い。また実質的に同一の光スポットの規則的なグリッドが通常は用いられる一方で、当該システムは、均一ではないグリッドと併用されても良い。実際グリッド間隔が変化するだけではなく、光スポットのサイズも変化して良い。これは、用途の具体的特性の監視を最適化するのに用いられて良い。
複数の光スポットが用いられることは、ローリングシャッターによるスペックルイメージングに特に適している一方で、多くの別なスペックルイメージングの種類及び用途にも適していることにも留意して欲しい。
当該方法は具体的に、パルス波速度の推定に用いられて良いので、目立たない血圧を推定することができる。これらは、様々な医療用途−たとえば新生児の監視又は心臓病に苦しむ患者のための連続的な(自宅での)患者の監視−に用いられて良いことに留意して欲しい。
一般的な原則は、標的表面に沿った他の種類の波の伝播を推定するのに用いられて良いことにも留意して欲しい。前記推定には、製造機器の振動監視の振動モニタリングのような産業上の用途が見いだされ得る。
簡明を期すために上述の記載は、様々な機能的回路、ユニット、及び処理装置を参照しながら本発明の実施例を説明したことに留意して欲しい。しかし様々な機能的回路、ユニット、又は処理装置間での適切な機能の分配が、本発明から逸脱することなく用いられ得ることに留意して欲しい。たとえば別個の処理装置又は制御装置によって実行されるように表された機能は、同一の処理装置又は制御装置によって実行されて良い。従って、特定の機能のユニット又は回路を言及するのは、厳密な論理的若しくは物理的構造又は機構を示すというよりはむしろ記載された機能を供する適切な手段を参照しているだけである。
本発明は、ハードウエア、ソフトウエア、又は、これらの任意の結合を含む任意の適切な形態で実装されて良い。本発明は任意で少なくとも部分的に、1つ以上のデータ処理装置及び/又はデジタル信号処理装置を動かすコンピュータソフトウエアとして実装されて良い。本発明の実施例の素子及び部材は、任意の適切な方法によって物理的、機能的、及び論理的に実装されて良い。実際機能は、単一ユニットにおいて、複数のユニットにおいて、又は、他の機能ユニットの一部として実装されて良い。そのため本発明は、単一ユニットにおいて実装されて良いし、又は、様々なユニット、回路、及び処理装置間で物理的及び機能的に分配されても良い。
たとえ本発明が、特定の実施例に関連して説明されているとしても、本発明を本明細書で説明した特定形態に限定することは意図していない。むしろ、本発明の技術的範囲は「特許請求の範囲」に記載された請求項によってのみ限定される。それに加えて、ある特徴が特定の実施例に関連して記載されているように見えても、当業者は、説明した実施例が本発明に従って組み合わせられ得ることを理解するだろう。請求項中の、「有する(含む)」は、他の特徴又は段階の存在を排除しない。
更に、個別に列挙されるが、複数の手段、要素、回路、又は方法ステップが、例えば単一の回路、ユニット、又は処理装置によって実装されてもよい。更に、個々の特徴が異なる特許請求の範囲に含まれているが、これらは、場合によっては有利には組み合わされることがあり、異なる特許請求の範囲に含まれていることは、特徴の組合せが実現可能でない及び/又は有利でないことを示唆しない。また、ある特徴が特許請求の範囲の1つのカテゴリー内に含まれていることは、このカテゴリーへの限定を示唆せず、その特徴が、適切であれば特許請求の範囲の他のカテゴリーにも同等に適用可能であることを示す。更に、特許請求の範囲内での特徴の順序は、特徴を実施しなければならない任意の特定の順序を示唆せず、特に、方法の請求項内での個々のステップの順序は、ステップがその順序で実施されなければならないことは示唆しない。そうではなく、ステップは、任意の適切な順序で実施されてよい。更に、単数での言及は、複数を除外しない。従って、「1つ(“a”、“an”)」、「第1」、「第2」などの言及は、複数を除外しない。特許請求の範囲内の参照符号は、明瞭にするための例としてのみ付されており、特許請求の範囲の範囲を限定するものとはみなされないものとする。
本発明は、たとえば動物の細胞組織での表面波の伝播速度の決定−これに限定されるわけではないが、特にヒトの細胞組織でのパルス波の伝播速度の決定−に関する。本発明はまた、標的となる表面に沿った他の種類の波の伝播の推定に用いられて良い。前記推定は、産業上の用途−たとえば製造機器の振動モニタリング−を見いだすことができる。
動物の細胞組織の様々な特性の測定及び監視は、多くの分野において非常に重要になってきていた。従って、動物(ヒトを含む)細胞組織の特性を測定する新たな方法又は改善された方法を提供しようという思いが高まっている。特に、検査対象物に対する不便さを最小限にした容易で実用的な応用を可能にする方法を供する方法を提供しようという思いが高まっている。関心のある具体的測定は、動物の細胞組織での表面波の伝播速度の測定である。かかる測定は、様々な特性の重要な指標を与え、かつ、たとえば様々な健康リスクの診断又は早期検出を支援することができる。
たとえば、高血圧は、心臓麻痺、発作、及び動脈瘤の共通するリスク因子であることが知られている。従ってこの診断及び監視は非常に重要である。多くの心循環系の病気は、動脈壁の硬化に起因する。この動脈壁の硬化は、次式のMoens-Kortewegの式によって血液パルス波速度(PWV)に関連づけられる。
PWV=(Eh/ρd’)1/2
ここで、Eは管のヤング弾性モジュラス、hは壁の厚さ、ρは血液密度、及び、dは管の直径をそれぞれ表す。
従って血液パルス波速度を測定するための多くの方法が、開発されてきた。管の弾性特性との関係に起因して、侵襲的方法及び非侵襲的方法が開発されてきた。一般的には、これらは、複数の位置で通過する圧力波を測定する段階、及び、記録物において観測される変位と時間遅延との比からパルス波速度を抽出する段階を含む。侵襲的カテーテル、機械的トノメータ、超音波ドップラー解析(非特許文献1に開示)、又は、皮膚へ非侵襲的に用いられる(圧電)パルス検出装置(非特許文献2に開示)を用いて圧力波を測定することが提案された。
非特許文献3は、頸動脈及び大腿動脈でのパルス圧力波形を連続して記録するために経皮圧力トノメータを用いて測定されるパルス波速度について論じている。
特許文献1は、対象物の表面の特性を推定するシステムを開示している。前記システムは、複数の撮像アレイを用いる。各撮像アレイは制御可能なタイミングを有する。それにより各撮像アレイは、時間的にオフセットされた画像を順次取得することができる。画素毎の原則に基づいて時間的にオフセットされたアレイ間での信号の差異を比較することで、スペックル揺らぎの履歴が与えられる(段落[0011])。複数の撮像アレイの各々は、30〜60フレーム/秒のフレーム速度で画像データを取得する(段落[0013])。「グローバルシャッター」又は「ローリングシャッター」のいずれかが、画像取得に用いられる(段落[0031])。ここで、「グローバルシャッター」とは、所与のアレイでの各画素の値が単一の時点で記録されることを意味し、「ローリングシャッター」とは、所与のアレイでの各画素の値が長期間にわたって順次記録されることを意味する。
特許文献2は、細胞組織内でのリアルタイム撮像システムを開示している。前記撮像システムは、ランダムにアドレス指定された集積光検出器の2次元アレイである光検出器を有する。特許文献2の第11頁第20行乃至第22行では、各画素は、他の光検出器が読み出されている間に光子を収集するか(ローリングシャッターモード)、又は、すべての光検出器は、露光期間中に光子を収集し、かつ、その後すぐに読み出される(グローバルシャッターモード)が開示されている。
しかし提案された方法は最適ではない。たとえば提案された方法は、検査対象物に対して不便になりがちで、実行するのがやっかいで、好適な程度の正確さや信頼性のある結果を与えず、並びに/又は、複雑及び/若しくはコストのかかる装置を必要とする傾向にある。特に大抵の方法は、伝播速度の検出を可能にするために各異なるセンサを丁寧に同期させることを必要とする。係る同期は、実現するのが複雑で、かつ、コストのかかるものになりがちである。
従って、動物の細胞組織での表面波の伝播速度を決定する−具体的にはパルス波の伝播速度を決定する−ための改善された方法が有利となると思われる。特に、自由度の増大、必要とする資源の減少、コストの減少、実装を容易にすること、複雑さを緩和すること、検査対象物への不便さを緩和すること、カメラの要求される仕様の緩和、及び/又は、性能の改善を可能にするシステムが有利となると思われる。
米国特許出願公開第2012/078114A1号明細書 国際公開第2006/111836A1号パンフレット
Xu, M., 2002, "Local measurement of the pulse wave velocity using ultrasound Doppler", Ph.D dissertation, Massachusetts Institute of Technology McLaughlin, J., McNeill, Braun, B and McCormack, P.D, 2003, "Piezoelectric sensor determination of arterial pulse wave velocity", Physiol. Meas. 24, 693- 702 Ostberg J. E. et al, ''Vasculopathy in Turner Syndrome", International Congress Series, Excerpta Medica, Amsterdam, NL, 2006, vol. 1298, pages 117-122, XP027936962, ISSN :0531-5131 Zeev Zalevsky, Yevgeny Beiderman, Israel Margalit, Shimshon Gingold, Mina Teicher, Vicente Mico, and Javier Garcia, "Simultaneous remote extraction of multiple speech sources and heart beats from secondary speckles pattern", Optics Express, Vol. 17, Issue 24, pp. 21566-21580, 2009
従って本発明は、上述の欠点の1つ以上を単独又は組み合わせで好適に緩和又は排除することを目的とする。本発明は独立請求項によって規定される。有利な実施例は従属請求項に規定される。
本発明の態様によると、表面波の伝播速度を決定する装置が供される。当該装置は:表面上に少なくとも第1光スポットと第2光スポットを生成するコヒーレント光源;前記第1光スポットと前記第2光スポットを含む表面の少なくとも一部の少なくとも1つの焦点ずれ画像を取り込むカメラであって、前記焦点ずれ画像は、前記第1光スポットの第1光スポット画像対象物と前記第2光スポットの第2光スポット画像対象物を含み、前記第1光スポット画像対象物は第1スペックルパターンを有し、かつ、前記第1光スポット画像対象物は第1スペックルパターンを有する、カメラ;及び、前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンとの間でのスペックルパターンの変化の間での時間差に応じて前記伝播速度を決定する解析装置を有する。
本発明は、動物の細胞組織での表面波の伝播速度の決定を改善及び/又は容易にすることを可能にする。特に本願発明者等は、前記伝播速度が、複数の光スポットと該複数の光スポットに係るスペックルパターンに基づく単一カメラスペックルパターンイメージングを用いて正確に決定できることに気づいた。当該方法は、コヒーレント光を粗い表面に照射するときに、反射された場でのわずかな光路差によって、干渉/スペックルパターンは、デフォーカスされたカメラによって観察可能となることを利用することができる。結果として得られたスペックルパターンは、前記光スポットを反射する前記表面での小さな変動にさえも非常に強く依存する。本願発明者等は、単一カメラからの画像中での2つの異なる光スポットからの2つのスペックルパターンの解析が、動物の細胞組織での表面波の伝播を非常に正確に示唆するのに用いることができることを発見した。
当該方法は、各異なるセンサ(又はカメラ)の同期を必要とせず、前記第1光スポットと前記第2光スポットを取り込む単一カメラである単一センサ−つまりは2つの関連するスペックルパターンを含む画像−から正確に伝播速度を決定することを可能にする。よって前記第1光スポットと前記第2光スポットを同時に測定することで、同期を必要とせずに正確な時間の決定が可能となる。
前記表面波は、パルス伝播を含む前記表面での任意の運動であって良く、かつ、前記表面波は、たとえば特定の拡張波に限定されないことに留意して欲しい。動物の細胞組織は、ヒトの細胞組織とヒトではない細胞組織の両方を含むことに留意して欲しい。本発明が、血液パルス波速度の測定に用いられるとき、本発明は、血液パルスを有する任意の動物−たとえばイヌ又は他の動物−に用いられて良い。
前記コヒーレント光は、多くの実施例において、前記表面上にレーザー光スポットを生成するように構成されるレーザー光源であって良い。前記コヒーレント光源は、十分小さな−典型的には2mm2未満の面積で、通常は1mm2未満であることが好ましい−光スポットを与えるように、前記表面上で集束されて良い。当該装置は特に、相対的に粗いスペックルパターンを生成するように構成されて良い。特に前記コヒーレント光源は、少なくとも10個の正方形画素の平均スペックルグレインサイズとなるように十分小さい前記光スポットを生成して良い。
前記第1光スポットと前記第2光スポットは空間的に分離される。間隔は一般的に、2cmほどであり、多くの場合、5cmほどであり、またさらには、10cm又は15cmほどであることが好ましい。
前記カメラはレンズレスカメラであって良い。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記第1スペックルパターンの第1特性の決定、前記第2スペックルパターンの第2特性の決定、前記第1特性における第1変化の検出、前記第2特性における第2変化の検出、及び、前記第1変化の瞬間と前記第2変化の瞬間との間での時間差に応じた前記伝播速度の決定を行うように構成される。これにより、前記伝播速度を特に有利に決定することが可能となる。特にこれは、複雑さは低いが正確で信頼性のある前記伝播速度の決定を可能にする。
前記変化は具体的にはステップ状の変化であって良い。検出上の要件は、特性の値の変化が所与の閾値を超えることであって良い。たとえば前記特性がスペックルパターンのコントラストである場合、前記スペックルコントラストが所定量よりも変化するとき又は前記コントラストが所定の閾値を超えるときに、前記変化が起こったことが検出されて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記カメラは、前記少なくとも1つの焦点ずれ画像を取り込むローリングシャッターを有する。これは特に、前記伝播速度の決定の改善、容易化、及び/又は複雑さの軽減を可能にする。特にこれは多くの実施例では、時間分解能とカメラの要求される仕様との間でのトレードオフを改善することを可能にする。具体的には多くの実施例において、高速カメラの必要性を緩和又は除去する一方で、前記カメラに係る高い時間分解能が実現され得る。当該方法は、高フレーム速度カメラを必要とすることなく高周波数変化を決定することが可能である。たとえば高フレーム速度のカメラに対する通常のカメラに係るコストの減少は非常に大きいので、当該方法は、実装コストを非常に大きく減少させることができる。さらに多くの実施例では、単純化された又は改善された処理が実現されて良い。その結果、性能と複雑さ及び資源の使用との間でのトレードオフを改善することが可能となる。
前記ローリングシャッターの効果は、前記動物の細胞組織の表面の時間的特性を、結果として得られたスペックルパターンの空間特性に変換するのに用いられて良い。これはさらに、前記伝播速度を推定するために解析されて良い。特に、前記焦点ずれ画像の取り込みに用いられる前記カメラの時間的分解能を超える時間的分解能が実現され得る一方で、前記伝播速度をより正確に決定することが可能となる。当該方法は特に、単一の画像に、両スペクトルパターンの対応する/同期された時間情報を供させることを可能にするので、当該方法は、各異なる光スポットのスペックルパターンが変化する間での時間差を正確に決定することを可能にする。両測定点は同一のセンサ装置によって同一の時間特性で測定されるので、当該方法は特に、同期の要件を緩和させることができる。よって単一画像は、多くのシナリオでは、前記時間特性の空間表現を供するだけではなく、前記第1光スポットと前記第2光スポットを本質的に同期させることができる。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、一の焦点ずれ画像中での前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンとの空間比較に応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、特に有利な決定が可能となり、かつ、前記解析が容易になり得る。前記ローリングシャッターによって供される時間的特性から空間的特性への変換は、前記時間差の決定を改善させるのに利用されて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンの空間的相関に応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、特に有利な決定が可能となり、かつ、前記解析が容易になり得る。前記ローリングシャッターによって供される時間的特性から空間的特性への変換は、前記時間差の決定を改善させるのに利用されて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記ローリングシャッターの伝播方向に対応する方向での前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンの空間パターン変化に応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、伝播速度の特に有利な推定が可能となる。
前記ローリングシャッターは、線が時系列的に取り込まれる線の順次操作を実行して良い。前記画像の取り込みは、複数の順々に発生する間隔内で実現されて良い。複数の線のうちのサブセット(通常は1本の線)のみが、各間隔内で取り込まれる。よって前記ローリングシャッターは、前記線の方向とは垂直の伝播方向を有する。前記ローリングシャッターの向きに依存して、前記線は一般的に、前記画像の行又は列に対応するとみなされて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンでのパターン変化の間での空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、伝播速度を特に有利に推定することが可能となる。信頼できるが複雑さの小さい空間解析は、対応するパターン変化すなわち遷移の検出を可能にする。前記焦点ずれ画像中でのこれらの遷移の位置は、前記変化のタイミング、つまり前記第1光スポットと前記第2光スポットでの表面波のタイミングを示す。よって前記解析装置は、2つのパターンが遷移する間での(前記ローリングシャッター方向での)空間的距離と前記ローリングシャッターの速度の知見から前記時間差を計算して良い。
本発明の任意の特徴によると、前記ローリングシャッターは前記焦点ずれ画像を線毎に順次取り込むように構成され、かつ、前記解析装置は、各々が前記焦点ずれ画像の多数の隣接する線のうちの少なくとも一部を含む複数の群のうちの各群についての前記第1光スポット画像対象物の第1スペックルパターン特性の決定、前記複数の群のうちの各群についての前記第2光スポット画像対象物の第2スペックルパターン特性の決定、前記複数の群のうちの複数の群間での前記第1パターン特性の第1変化の検出、前記複数の群のうちの複数の群間での前記第2パターン特性の第2変化の検出、及び、前記第1光スポット画像対象物での第1変化と前記第2光スポット画像対象物での第2変化との間での空間差に応じた前記時間差の決定を行うように構成される。これにより、伝播速度の特に有利な推定が可能となる。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物のスペックルコントラストでの変化の空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、伝播速度の特に有利な推定が可能となる。特にこれにより、信頼性はあるが複雑さの低い前記時間差の決定が可能となる。前記解析装置は具体的に、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の各線のスペックルコントラストの決定、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の各々の前記線スペックルコントラストの変化の検出、及び、前記第1画像対象物と前記第2画像対象物での検出された変化の相対位置間での空間オフセットに応じた前記時間差の決定を行うように構成されて良い。
前記スペックルコントラストは具体的に線スペックルコントラストであって良い。前記解析装置は具体的に、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の線スペックルコントラストでの対応する変化での空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成されて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記解析装置は、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の線間スペックルパターン変位での変化の空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成される。これにより、伝播速度の特に有利な推定が可能となる。前記線間スペックルパターン変位は、2つの隣接する線のスペックルパターン間での推定された変位であって良い。
当該方法は特に、信頼性はあるが複雑さの低い前記時間差の決定が可能となる。前記解析装置は具体的に、前の線に対する前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の各線の変位の決定、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の各々についての線変位での変化の検出、及び、前記第1画像対象物と前記第2画像対象物での検出された変化の相対位置間での空間オフセットに応じた前記時間差の決定を行うように構成されて良い。
本発明の任意の特徴によると、前記コヒーレント光源は前記表面上に複数の光スポットを生成するように構成され、かつ、前記カメラは、前記焦点ずれ画像中の複数の光スポットを取り込むように構成され、当該装置はさらに、前記解析装置による解析用に複数の光スポットのサブセットを選択するように構成される選択装置をさらに有する。これにより、多くの用途での動作が容易になって改善され、かつ、多くの実施例において、前記伝播速度の決定を改善することが可能となる。具体的に当該方法は、前記表面上の特に適した位置での光スポットを前記決定に利用することを可能にする。当該方法は特に、前記スペックルパターンの速度を、少なくとも前記動物の細胞組織の位置設定について変動率の高い用途においてより高い自由度で決定することを可能にする。たとえば患者の表面波の伝播速度の決定に用いられる場合、当該方法は、極度の精度での前記患者の位置設定を必要とせずに前記決定に適した領域を決定することを可能にする。最高の特性(たとえば最高スペックルパターンコントラスト)を有する前記スペックルパターンとなる前記光スポットが利用可能なので、解析の改善が大抵の場合で可能となる。
前記光スポットのサブセットは前記第1光スポットと前記第2光スポットを含む。特に一部の実施例では、前記サブセットは前記第1光スポットと前記第2光スポットで構成されて良い。一部の実施例では、前記選択装置は、前記複数の光スポットから前記第1光スポットと前記第2光スポットを選択するように構成される。
前記複数の光スポットは、光スポットの規則的又は不規則なグリッドを構成して良い。好適には前記光スポットは、前記焦点ずれ画像中で重ならないように配置されて良い。前記コヒーレント光源は、複数の光源−たとえば各光スポット用のレーザー−を有して良い。
本発明の任意の特徴によると、前記選択装置は、前記伝播速度を決定するときに前記解析装置によって用いられる処理分解能よりも低い処理分解能を用いて、前記光スポットのサブセットを選択するように構成される。これにより、複雑さ及び/又は資源の使用が減少するが、前記解析に適した光スポットを信頼性があってかつ高性能で検出することが可能となる。
本発明の任意の特徴によると、前記選択装置は、前記複数の光スポットのうちの一部の光スポットの強度、前記複数の光スポットのうちの一部の光スポットのスペックルコントラスト、前記複数の光スポットのうちの一部の光スポットのスペックルパターン変化、前記複数の光スポットのうちの各異なる光スポットのスペックルパターン変化同士での相関、及び、前記複数の光スポットのうちの1つの光スポットパターンでの変化のうちの少なくとも1つの応じて前記一部を選択するように構成される。これにより、前記スペックルパターン速度の決定に用いられる光スポットのサブセットを特に有利に選択することが可能となる。特にこれにより、多くの実施例では、特に適したスペックルパターンを有する光スポットを、前記決定に用いることが可能となるため、前記表面波伝播速度の決定が改善され得る。
本発明の任意の特徴によると、当該装置は、パルス波の伝播速度を決定するように構成される。
本発明は、パルス波速度の決定を改善することを可能にし、かつ、決定の複雑さを軽減することを可能にする。前記決定の複雑さが軽減されることで、前記患者にセンサを取り付ける又は挿入する必要がなくなり、かつ、正確な同期又は複雑な信号処理が不要となる。
本発明の態様によると、表面波の伝播速度を決定する方法が供される。当該方法は:表面上に少なくとも第1光スポットと第2光スポットを生成する段階;前記第1光スポットと前記第2光スポットを含む前記表面の少なくとも一部の少なくとも1つの焦点ずれ画像を取り込む段階であって、前記焦点ずれ画像は、前記第1光スポットの第1光スポット画像対象物と前記第2光スポットの第2光スポット画像対象物を含み、前記第1光スポット画像対象物は第1スペックルパターンを有し、かつ、前記第2光スポット画像対象物は第2スペックルパターンを有する、段階;及び、前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンでのスペックルパターン変化の時間差に応じて前記伝播速度を決定する段階を有する。
本発明の上記及び他の態様、特徴、及び利点は、後述する(複数の)実施例を参照することで明らかとなる。
本発明の実施例によるスペックルイメージング装置の例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 スペックルパターンの例を表している。 エッジが改善されたスペックルパターンの例を表している。 2つのスペックルパターンの特性の変化例を表している。 等方的スペックルパターンと異方的スペックルパターンのスペックルパターンの例を表している。 本発明の実施例によるスペックルイメージング装置の例を表している。 光スポットのグリッドを用いたスペックルパターンイメージングの例を表している。 光スポットのグリッドを用いたスペックルパターンイメージングの例を表している。 光スポットのグリッドを用いたスペックルパターンイメージングの例を表している。
本発明の実施例は、図面を参照しながら単なる例示によって説明される。
以降の説明は、ヒトの細胞組織を含む動物の細胞組織での表面波の伝播速度を測定する実施例に焦点を当てる。具体的には本願発明者等は、当該方法が、表面波の伝播速度の決定に用いられ得ることに気づいた。特に以降の説明は、患者中でのパルス波の伝播速度を効率的に、正確に、信頼性があり、自由度が高く、かつ、容易に決定することを可能にするシステムに焦点を当てる。当該システムは特に、多くの心循環系の病気を評価、検出、及び診断するのに非常に重要となり得る測定を行う。
図1は、本発明の実施例によるスペックルイメージング装置の例を表している。
装置は、スペックルイメージング装置101を含む。スペックルイメージング装置101は、患者の身体の一部に投影される少なくとも2つのスペックルパターンからスペックルイメージングを実行することによってパルス波伝播速度を決定するように構成される。血液パルスが身体を通り抜けて伝播するとき、血液パルスは、身体の多くの部分の皮膚表面で小さな乱れと歪みを生じさせる。図1のスペックルイメージング装置101は、患者の皮膚表面上での少なくとも2つの位置での小さな変化を検出し、かつ、これに基づいてパルス伝播速度を推定するように構成される。従ってスペックルイメージング装置101は、患者の身体の表面103の適切な位置に少なくとも2つの光スポットを生成する。各光スポットはスペックルパターンを生成するように結像される。スペックルパターンは、パルス波速度を推定するように解析される。
スペックルイメージング装置101は、表面103上に少なくとも2つのスポットを生成するように構成されるコヒーレント光源105を有する。具体的な例では、コヒーレント光源105はレーザー光源で、コヒーレント光源105はレーザー107とレンズ109を有し、レンズ109は表面103上でレーザー光源を集束させることが可能で、それにより十分小さな光スポットが表面103上に生成される。当然のこととして、レンズはすべての実施例において必要という訳ではない。特に、たとえばレーザー光源が十分小さな光スポットを生成し得る実施例においてはレンズは必要ないと考えられる。
コヒーレント光源105はたとえば、複数のレーザー光源の使用、回折格子を備える単一光源の使用、又は、ビームスプリッタとミラーの使用によって2つ以上の光スポットを生成して良い。
スペックルイメージング装置101はさらに、コヒーレント光源105によって生成される少なくとも2つの光スポットを含む表面105(の少なくとも一部)の画像を取り込むように構成されるカメラ111を有する。カメラ111は、表面103の焦点ずれ画像を取り込むように構成される。つまりカメラ111は、表面103とは異なる焦点面を有する画像を取り込むように構成される。よって当該装置が動作中のとき、カメラ111の焦点距離は、表面103からカメラ111までの距離とは異なる。一部の実施例では、カメラ111は集束レンズのないカメラであって良い。特に裸のセンサに対応するレンズレスカメラが一部の実施例において用いられて良い。特に係るカメラは、焦点がセンサ自体に位置する非集束イメージングの特殊な場合とみなされて良い。
従ってカメラ111は、カメラ111から対象物の位置設定が可能な動作距離範囲までの距離とは異なる焦点距離を有するように構成される。含まれる具体的距離、表面の位置設定等は個別の用途等に依存し得ることに留意して欲しい。さらにスペックルイメージング装置101の実際の設計及び実装は、存在する表面103又はその具体的位置に依拠しないことに留意して欲しい。むしろスペックルイメージング装置101は、表面103が所与の動作体積/距離の範囲内に設けられるように設計されて良い。よって監視される表面がこの動作体積/距離の範囲内に位置するように対象物が設けられてときに、コヒーレント光源105及びカメラ111は、許容可能な性能を供するように構成されて良い。
典型的にはカメラ111の焦点距離は、動作距離間隔の最大距離の少なくとも2倍で、通常は少なくとも5倍である。動作距離間隔は、スペックルイメージング装置101が設計されたときの間隔である。つまり当該装置が動作するときに表面103が設けられるべき範囲である。
一部の実施例では、スペックルイメージング装置101は、手動又は自動で表面103の具体的位置に適合するように構成されて良いことに留意して欲しい。たとえばコヒーレント光源105からの光の集束は、レーザー107とレンズ109との間の距離を変化させることによって手動で調節されて良い。別例として、調節は自動であって、かつ、表面103上での光スポットのスポットサイズを最小にするフィードバックループに基づいて良い。同様に、カメラの焦点合わせは手動で調節可能であり、又は、(たとえば光スポットに対応する画像対象物のサイズを最大化するか、又は、スペックルパターンコントラストを最大化するフィードバックシステムに基づいて)自動調節可能であって良い。他の実施例では、焦点は一定であって良い。たとえばカメラ111は、無限焦点距離を有するように設定されて良い。
図1のシステムはスペックルイメージングに基づく。スペックルイメージングは、コヒーレント光を粗い表面に照射するときに、反射場においてわずかな光路長差が生じる結果、焦点が外されたカメラによって観測可能な干渉/スペックルパターンが生じ得ることを利用する。スペックルパターンは、複数の波面からなる組の相互の干渉によって生成されるランダムな強度パターンと考えて良い。これらのパターン及びそれらの動的挙動を解析することで、たとえば標的の並進及び回転、流れのパラメータ、並びに、物質の評価を高精度で検出することが可能となる。長年にわたって、スペックルイメージングには、産業用計測、医療用途、材料の評価、バイタルサインの解析、血液流の測定、小さな変位の測定等広範にわたる用途が見いだされてきた。
レーザースペックルイメージングは、非常に小さな表面の運動−たとえば音波又はバイタルサイン(心臓の鼓動、呼吸)により誘起される運動−又は非常に離れた運動−たとえばハンドヘルド遠隔相互作用装置(ゲームコントローラ、ポインティングデバイス)−の遠距離非接触測定を可能にする。
スペックルイメージングへのアプローチは、表面上に小さなスポットを生成するように表面上に集束したレーザーを用いることである。スポットの画像は、デフォーカスされた撮像対物レンズを用いて取り込まれる。カメラがデフォーカスされることで、「混同の円(circle of confusion)」又は「ちらつきの円(blur circle)」が生じる。レーザーからの光のコヒーレントな性質のため、この円の強度は均一ではなく、むしろこの円は各異なる波面間での干渉によって引き起こされるスペックルパターンを含む。スペックルパターンは、レーザー光を反射させる表面に依存する。特に表面テクスチャでの粗さと小さなばらつきの結果、位相は反射された波面に依存し、その結果干渉スペックルパターンが生じる。さらに対象物表面の小さな運動は、スペックルパターンにおいて並進として視認可能である。スペックルイメージングの特別な利点は、対象物の運動がスペックルパターンの並進において強く増幅されることで、非常に小さな運動の検出さえ実用的となることである。実際には、レーザー照射された表面の位置又は向きの小さな変化でさえも、係るスペックル場の大きな変位を生じさせる。それに加えて、運動が時間的に高周波の変化を含む場合、係るスペックル場は、同一の時間的周波数特性を示す。
これらの特性はたとえば、非特許文献4に開示されているように、コリメートされたレーザーとデフォーカスされたカメラを用いることによって長距離(数メートル以上)での心臓の鼓動と発話を測定するのに利用されてきた。
図1の装置では、コヒーレント光源105によって生成される光スポットの画像対象物は、カメラのデフォーカスに起因するスペックルパターンを有する。よってカメラ111がデフォーカスされる結果、干渉/スペックルパターンを含む各光スポットの画像対象物が生じる。この干渉は、検査中のヒトの細胞組織の表面でのわずかな変化によって引き起こされる各異なる波面反射間での位相変化の結果として生じる。よって入射光がコヒーレントである一方で、表面変化は、様々な位相を有する反射波を生じさせ、かつ、焦点ずれ画像を取り込むことによって、これらの変化は干渉パターンを生じさせる。
図1のスペックルイメージング装置101では、カメラ111は解析処理装置113と結合する。解析処理装置113は、カメラ111によって生成されるスペックルパターンに基づいて伝播速度を決定するように処理を進める。解析処理装置113は、2つの取り込まれたスペックルパターンでの対応するスペックルパターンの時間差に応じて伝播速度を具体的に決定する。
典型的実施例では、コヒーレント光源105は、合計面積が1mm2を超えず、通常は有利となるようにたとえば0.5mm2またさらには0.1mm2を超えない光スポットを供するように構成される。よって表面103が動作間隔の範囲内にあるとき、コヒーレント光源105は、そのような小さな光スポットを供し得る(一定の状態であっても良いし、又は、手動及び/若しくは自動調節を用いても良い)。
観測されたスペックルサイズは、光スポットのサイズに依存するだけではなく、他のパラメータ−観測距離、結像光学系、及び物理的なセンサの分解能−にも依存することに留意して欲しい。しかし典型的には、光スポットサイズを制御するのが現実的である。
コヒーレント光源105によって生成される光スポットが、表面103の集束画像内において小さな点として現れるとしても、デフォーカスされたカメラ111によって取り込まれる画像の対応する画像対象物は、明確で鋭いスペックルパターンを有する大きな(典型的には円)面積となる。スペックルパターンのサイズは、(非)集束距離に対する対象物の距離によって決定される。この距離は無限大であって良い。対象物の距離と集束距離との間の差異が大きければ大きいほど、スペックルパターンによって占められる面積は大きくなる。
見た目の粒度を決定するスペックルパターンの空間周波数帯域は、照射スポットのサイズによって決定される。照射スポットが小さければ小さいほど、空間周波数帯域は狭くなり、かつ、スペックルグレインは粗くなる。
スペックルパターンの例が図2に示されている。
図1のスペックルイメージング装置101は、表面波が表面全体にわたって移動することで、表面までの距離が小さく変化することを利用している。よって所与の地点では、表面特性は、表面波/パルスの波面が通過することで変化する。当該システムは、この変化の結果、個々の光スポットの反射の結果得られたスペックルパターンが変化することを利用している。よってスペックルパターンの変化を検出することによって、光スポットを通過する表面波の検出を実現することができる。図1のシステムでは、空間的に分離する2つの光スポットについてのスペックルパターンの変化が検出される。2つのスペックルパターン変化の間での時間差が決定される。この時間差は、表面波/パルスが一の光スポットから他の光スポットへ進行するのに要する時間を示唆するものと考えられる。従って表面波速度は、光スポット間での時間差と距離から計算される。
よって当該システムは、表面波/パルスが表面上の2つの異なる地点へ向けて伝播することに対応する小さな表面の乱れと変化を検出する。血液パルス波速度が測定される具体例では、光スポットは、たとえば上腕部での同一の動脈の中間付近での近接位置を照射して良い。光スポット間での典型的な距離はたとえば、1cm〜20cmで、典型的には有利となるように3cmにもなり、かつ10cmを超えない距離であって良い。
スペックルパターンの変化は、適切な基準に従って検出されて良い。具体的には解析処理装置113は、2つのスペックルパターンの各々についての特性を決定して良い。典型的には、いずれのスペックルパターンについても同一の特性が決定されるが、実施例によっては、評価される具体的特性が2つのパターンで異なっても良い。評価される具体的特性は、個々の実施例の嗜好や要求に依存する。多くの実施例では、特性は有利となるように、スペックルパターンコントラスト又はたとえば連続するパターン間での変位であって良い。
その後解析処理装置113は、適切な変化検出基準に従って各特性での変化を検出するように処理を進める。たとえば解析処理装置113は、特性の値が所与の時間間隔で所与のレベルよりも変化すること、及び、特性が公称値、初期設定値、又は時間平均値等から所定レベルよりも外れていることを検出し得る。
よって2つの検出された変化間での時間差が決定される。この時間差に基づいて、パルス波速度が計算される。具体的にはパルス波速度PWVは、測定された表面上の光スポット間の距離Δrdotと推定時間遅延Δtとの比として計算されて良い。
PWV=Δrdot/Δt
一部の実施例では、解析は一連の画像上で実行されて良く、かつ、具体的にはカメラ111は、一連のフレーム/画像を含むビデオ信号を供するビデオカメラであって良い。
係る例では、解析処理装置113は、各画像中の各スペックルパターンについての特性−たとえばスペックルコントラスト−の単一の値を決定して良い。パルス波が表面全体にわたって移動することで、これは最初に、第1光スポットにて表面での変化を引き起こす。この変化は結果として、対応するスペックルコントラスト変化のスペックルコントラストとなる。よって、表面波が第1光スポット全体にわたって移動するが、まだ第2光スポットには到達しなかった瞬間に取り込まれた画像について、第1光スポットのスペックルパターンは変化を起こす一方で、第2光スポットのスペックルパターンは変化を起こさない。その後、表面波は第2光スポットに到達し、かつ、第2スペックルパターンは変化を起こす。よって第1光スポットを通過する表面波と第2光スポットを通過する表面波との間での時間差は、対応する画像間での時間差として決定されて良い。単純な例として、時間差は、フレーム時間と、第1スペックルパターンが変化したのが検出されたフレームと第2スペックルパターンが変化したのが検出されたフレームとの間に存在するフレーム数との積として決定されて良い。よってパルス波速度が上述のように決定されて良い。
従って図1のシステムは、2つの光スポットのスペックルパターンを含む画像から表面波速度を決定するように構成される。これにより重要な利点が供される。それは、各異なる位置での測定の同期をとる必要性が回避又は緩和され、その結果として複雑さが低く、かつ/又はより信頼できるように速度を決定することである。
係る方法は、多くの実施例にとって正確な表面波速度測定となり得るが、係る方法は、カメラに十分高いフレーム速度を持たせることで、速度を推定するのに十分な分解能となる程度十分な時間分解能を与えるのに十分な程度に、フレーム間での時間差を短くすることを可能にすることを要求する。
従って十分な分解能/精度で速い速度を測定するためには、高速カメラが用いられなければならない。これは一般的にはコストを非常に大きく増大させる。それに加えて、多くの画像のスペックルパターンを解析する必要があることで、複雑で資源を必要とする用途になりがちである。
一部の実施例では、これらの欠点は緩和され得る。具体的には、一部の実施例では、カメラ111はローリングシャッターを有して良い。焦点ずれ画像(特に単一の焦点ずれ画像)は、ローリングシャッター取り込みを利用して取り込まれる。
画像が、その画像のすべての部分について同一の時間間隔で光を検知することによって生成される従来のカメラを用いるのではなく、図1のスペックルイメージング装置101のカメラ111は、一部の実施例において、画像の様々な領域の時間オフセットサンプリングを利用する。よって画像は、互いにオフセットされた取り込みの瞬間を有する複数の領域に分割されて良い。従ってサンプリングの瞬間は、画像のすべての画素について一定ではなく、むしろ画像全体にわたって変化する。
具体例として、ローリングシャッターは、線毎に順次画像を取り込んで良い。具体的にはローリングシャッターは、1回で画像の1本の線を生成して良い。サンプリング/取り込みの瞬間は各線についてオフセットされている。よって実際の取り込みの瞬間は各線で増大する。多くの実施例では、画像は、撮像センサ(たとえば電荷結合素子(CCDセンサ))の出力をサンプリングするカメラによって生成されて良い。ローリングシャッターは具体的に、線毎の取り込みを行い、かつ、実質的に同時ではあるが線間で時間的にオフセットされているようにサンプリングされた撮像センサの各線によって実装されて良い。よって線は順次サンプリングされ、1回につき1本の線がサンプリングされて良い(場合によっては1回につきN(Nは整数)本の線がサンプリングされる)。
従って結果として得られた画像は、わずかに異なる回数での表面を反映する。なぜなら各線は各異なる試料の瞬間に対応するからである。その結果スペックルパターンは、単に1回での瞬間での表面の特性を表すだけではなく、時間的情報をも含む。つまり各スペックルパターンは、如何にして対応する光スポットの位置での表面特性が時間変化するのかをも反映し得る。
以下の説明は、線毎に順次処理するローリングシャッターが実装されている実施例に焦点を当てる。よってその例では、ローリングシャッターの伝播速度は、線の方向とは垂直な方向である。たとえばローリングシャッターが1回に1行読む(つまり線毎に順次処理する操作が画像センサの複数の画素からなる1つの行に相当する)とき、伝播方向は列方向である。同様に、ローリングシャッターが1回に1列読む(つまり線毎に順次処理する操作が画像センサの複数の画素からなる1つの列に相当する)とき、伝播方向は行方向である。以降の説明は、ローリングシャッターが1回に1つの水平行を読む、すなわちローリングシャッターの伝播方向が垂直方向である例に焦点を当てる。
他の実施例では、ローリングシャッターは1回に2つ以上の線を読んで良いし、又は、ローリングシャッターは他の方向に配置されても良いことに留意して欲しい。たとえば一部の実施例では、ローリングシャッターは対角伝播方向を有し、よってこの対角線とは垂直な(つまり正方形センサの反対の対角線に平行な)線で画像センサをサンプリングして良い。伝播方向は、所与の試料の瞬間でサンプリングされる領域(たとえば中心地点)から次のサンプリングの瞬間にサンプリングされる領域(たとえば中心地点)への方向に対応する。
解析処理装置113によって実行される解析は、取り込まれた画像の空間的特性と時間的特性との関係を考慮した解析に基づいて、2つの光スポット位置で通過する表面波の瞬間の間での時間差を決定するように構成される。特にカメラは、ローリングシャッターが、時間的効果を空間画像特性に導入し、かつ、(たとえ単一画像中でも)空間画像特性を解析することによって、時間的特性の情報を得ることができるという本願発明者等の発見を利用している。
ローリングシャッターを用いる方法は特に、高速カメラの必要性を緩和させ得る。特に画像フレーム速度よりも実質的に高い決定された特性の時間分解能が実現され得る。特に多くの用途では、画像のフレーム速度の10倍にもなる時間分解能が実現され得る。
また当該システムは、多くの実施例において要求される処理の複雑さと資源の使用を軽減し得る。特に単一の画像中において空間パターンの時間特性を空間特性に変換することで、少ない画像を解析する必要性に起因する資源の使用を軽減するだけではなく、多くの複雑さの低いアルゴリズムの利用が可能となる。特に、多数の空間解析アルゴリズムは、異なる画像間での時間的解析に基づくアルゴリズムよりも資源を使わなくて良い。
ローリングシャッター法を用いたカメラによって取り込まれた移動する表面のスペックルパターンの例が図3に示されている。図からわかるように、スペックルパターンは、如何にしてパターンが、異なるサンプリングの瞬間の間で並進するのかを反映する空間パターン変化を示す。具体例では、振動運動が表面に導入され、かつ、図からわかるように、この結果として水平方向での並進が垂直位置での関数となる空間パターンが生じる。例では、ローリングシャッターは行毎に順次処理し、よってパターンの垂直方向は、時間次元をも反映する。具体的には図3のパターンは、表面の正弦振動に対応する垂直波を示す。よって垂直位置の関数としての水平並進は、表面の時間変化、具体的には表面の運動の情報を与える。
表面の運動を反映する空間特性を有するスペックルパターンの他の例が図4と図5に示されている。図4は、表面が246Hzの周波数を有する正弦波に対応する運動を有する例を表している。図5は、表面が振動する短パルスに曝される例を表している。
解析処理装置113は、第1光スポットを通過する表面波(又はパルス)と第2光スポットを通過する表面波(又はパルス)との間での時間差を決定するために表面の時間的振動の空間表現を利用するように構成される。よって解析処理装置113は、スペックルパターンでの空間解析を実行し、かつ、これを利用して波の速度を計算するのに用いられる時間差を決定することができる。解析処理装置113は、如何にして空間スペックルパターンが、時間変化を反映する空間方向−つまりローリングシャッターの伝播方向−で変化するのかを解析するように構成される。よって具体例では、各異なる垂直位置でのスペックルパターン間での変化が解析される。
従ってローリングシャッターを用いたシステムでは、解析処理装置113は、2つのスペックルパターンの空間特性に応じて時間差を決定して良い。具体的には時間差は、第1スペックルパターンと第2スペックルパターンとの空間的相関に応じて決定されて良い。たとえば、2つのパターンは空間的に相関し、かつ、最大相関に対応する空間シフト又はオフセットが決定されて良い。よってこの空間的差異は、ローリングシャッターの速度を考慮することによって時間差に変換され得る。たとえば8本の線のオフセットについての最大相関が見いだされた場合、時間差は、ローリングシャッターの線から線までの時間の8倍と決定することができる。よって時間差は、第1光スポットのスペックルパターンと第2光スポットのスペックルパターンとの空間的比較によって決定されて良い。
解析処理装置113は、時間差を決定するための様々なアルゴリズムを利用して良いことに留意して欲しい。いくつかの方法が以降で説明される。しかし解析処理装置113は、これらの例に限定されず、他の実施例においては、個々の実施例の嗜好及び要求に依存して他の方法も用いられ得ることに留意して欲しい。
一部の実施例及びシナリオでは、解析処理装置113は、1つの焦点ずれ画像中での第1スペックルパターンと第2スペックルパターンとの空間的比較に応じて時間差を決定するように構成されて良い。
表面波の波面が光スポットを通過するとき、表面の運動が生じ、その結果スペックルパターンが生じる。ローリングシャッターによる取り込みでは、この結果、波面が通過する時間に対応する空間位置でのスペックルパターンが変化する。よって取り込まれたスペックルパターンは、パターン特性の変化を示す。このとき変化の空間位置が波面の通過時間を直接的に表す。2つの光スポット画像対象物−つまり光スポット−についてこの現象が起こる。しかし光スポットは空間的にオフセットされているので、変化の厳密な時間は異なり、かつ、この結果として、変化は各異なる空間位置で起こる。2つの光スポットが、光スポットを通過する波面間での時間差が単一フレーム取り込み間隔の範囲内となるのに十分に近い場合、単一画像中での2つの画像対象物は、スペックルパターン変化を示し得る。
係るシナリオの例が図6に示されている。パターンは、パルスを放出する小さな拡声器に取り付けられた1枚の紙に、レーザーが2つのスポットからなるパターンを投影する実験装置から得られる。反射された点の向きとカメラの向きとをそろえることによって、パルス到達時間の差異が、左側のパターン遷移と右側のパターン遷移との間での垂直シフトとして観測され得る。
図6に表されているように、スピーカーが変位することで、左側のパターンの底部において深刻なパターンの並進とモーションブラーが生じる。右側のパターンでは、パルスの開始が、波が一の光スポットの位置から第2光スポットの位置まで伝播する際のパルス到達時間における遅延を示す各異なる垂直位置で観測され得る。パターンの垂直変位は、線周波数を用いることによって時間遅延に変換されて良い。カメラの位置合わせは、対象物の運動に起因する歪みの開始の垂直位置に影響を及ぼさないことに留意して欲しい。歪みの垂直方向での開始位置は時間にしか依存しない。
解析処理装置113は、係る実施例において、第1スペックル画像中で生じる変化の空間位置と第2スペックル画像中で生じる変化の空間位置を検出し得る。ローリングシャッターの伝播速度に基づいて、この空間オフセットが推定され、かつ、この空間オフセットは、第1光スポットを通過する波面と第2光スポットを通過する波面との間での時間差に変換されて良い。続いて波の速度が、時間差と光スポット間での距離から計算されて良い。
スペックルパターンでの変化を検出し、かつ、隣接するスペックルパターン間での変化の垂直空間オフセットを推定する方法には様々な方法が存在することに留意して欲しい。まず最初に、2次元画像データが、線間での変位を追跡し、かつ、結果として得られた運動パターンを解析することによって、1次元の軌跡に変換されて良い。あるいはその代わりに、各スペックルパターンについてスペックルコントラストは、個々の線(又はN本の線からなる群)について決定されて良い。よって連続する線間での相対変化が評価されて良い。変化が所与の閾値を超える場合、スペックルパターンの変化は、その位置で起こったと考えられ得る。空間オフセットは、第1スペックルパターンと第2スペックルパターンの検出された位置の変化の間での線の本数として決定されて良い。
より詳細な例として、解析処理装置113は、線に基づく解析を実行することで、時間差ひいては波の速度を決定するように構成されて良い。具体的にはカメラは、1回で隣接する線からなる群を順次サンプリングし、その後次の群をサンプリングするように構成されて良い。一般的には、カメラは1回で1本の線を取り込むが、一部の実施例では、1回にN(Nは整数)本の線を取り込んで良い。よって全体画像は、各異なる時間で取り込まれた隣接する線からなる複数の群から構成される。解析処理装置113は、係る実施例において、いつ変化が起こるのかを検出するため、各異なる群のスペックルパターンを比較するように処理を進める。一部の実施例では、スペックルイメージング装置101は、同時に取り込まれない隣接する線を結合することによって複数の線からなる個々の群を生成して良い。たとえば1回に1本の線を取り込むローリングシャッターでは、解析に用いられる複数の線からなる群は、、2本、3本、又はそれ以上の線を結合することによって生成されて良い。この結果、ローリングシャッターの伝播方向での空間分解能が実効的に減少する、つまりは、時間分解能が減少するが、各群のより信頼性のある評価が可能となる。
以降の説明は簡明を期すため、各群が1本の線で構成され、かつ、ローリングシャッターが1回に1本の線を順次取り込む例に焦点を当てる。具体例として、各群は1本の水平行を有して良い。
この場合、解析処理装置113は(各スペックルパターンについて)、いつ変化が起こるのかを決定するために各異なる行の行スペックルパターンを比較するように処理を進めて良い。具体的には、各線及び各スペックルパターンについて、解析処理装置113は、スペックルパターンの特性を決定するように処理を進める。
特性はたとえば、線間のスペックルパターンの変位であって良い。たとえば解析処理装置113は、パターンの並進を推定するように隣接する線同士を相関させて良い。多数の線にわたる平均化、生成された運動の推定のフィルタリング等が適用されて良いことに留意して欲しい。
この方法では、スペックルパターンは、相対的に粗いスペックルグレインを有する−特に、スペックルの少なくとも80%がローリングシャッターの伝播方向(つまり具体例における垂直方向)に2本の線(又はシャッターが1回にN本の線を取り込む場合には2N本の線)を超えて延びるスペックルグレインを有する−ように生成されることが好ましい。
具体例として、図7は、関数生成器からの電気信号によって駆動する圧電音波トランスデューサの表面のスペックルパターンの一部を表している。スペックルパターンは明らかに波状の歪みを示している。この波状の歪みは、垂直エッジの改善後に視認可能性が高くなっている。図8は、係るエッジ改善操作後のスペックルパターンを表している。エッジ改善は任意であり、かつ、当業者は多くの適切なエッジ改善アルゴリズムを知っていることに留意して欲しい。続いて改善された画像は、連続する行間での変位をサブピクセルの精度で推定する行毎の交差相関操作用の入力画像として用いられる。
具体的には変位dxは、次式の線の交差相関を利用して推定されて良い。
Figure 2015527096
ここでyは線/行の数、xは列の数、及び、iは画素値を示す。
この方法を図8の画像に適用した結果得られた変位が図9に表されている。図からわかるように、推定された変位は、表面の正弦波運動に直接対応する。
図からわかるように、ローリングシャッターの伝播方向での隣接する線間のスペックルパターンの変位は、運動がないときにはゼロに近いが、表面の運動が起こるときにはゼロではない値に変化する。従って対応する光スポットを通過する表面波によって引き起こされるスペックルパターンの変化は、線から線への遷移が所与の閾値を超える線の位置として検出され得る。従って解析処理装置113は、これが相対的に第1スペックルパターンと第2スペックルパターンで起こる空間位置(具体的には線の数)を決定するように処理を進める。
解析処理装置113は通常、生成された線から線の変位の推定と閾値とを比較する前に、低パスフィルタリング(たとえば運動平均)を、その生成された線から線の変位の推定に適用して良い。他の実施例では、より複雑な評価が実行され、かつより複雑な基準が適用されて良いことに留意して欲しい。
他の例として、解析処理装置113は、2つの光スポットの線スペックルコントラストでの対応する変化の空間オフセットに応じて時間差を決定して良い。
よって係る実施例では、解析処理装置113は、第1スペックルパターンと第2スペックルパターンの両方の各線のスペックルコントラストを計算して良い。
スペックルコントラストCはたとえば、スペックルパターンの平均強度Imeanに対する標準偏差σの比として計算されて良い。
C=σ/Imean
従って解析処理装置113は、画像の各線及び第1スペックルパターンと第2スペックルパターンについてのこの値を計算して良い。
表面波が光スポットを通過するとき、その結果生じるスペックルパターンの運動は、深刻のモーションブラーを生じさせる。このモーションブラーは、スペックルコントラストを顕著に減少させる。従って解析処理装置113は、スペックルコントラストが閾値未満にまで減少する位置を検出することによってパルス波を検出するように処理を進めて良い。
繰り返しになるが、解析処理装置113は、フィルタリング又は平均化を適用して良く、それどころか、より複雑な解析手法及び/又は変化検出基準を適用しても良い。
一旦スペックルパターン変化の空間位置が画像中で検出されると、解析処理装置113は、空間オフセットを用いて、変化の間での時間差を決定して良い。具体的には対応する時間差は、空間オフセット(線で測定される)をローリングシャッターの線周波数で除したものとして計算されて良い。続いてパルス波速度が、光スポット間の距離を時間差で除したものとして計算されて良い。
具体例では、一の画像のスペックルパターンだけが考慮された。しかし2つの光スポットのスペックルパターン間での比較は、同一画像/フレーム中でのスペックルパターン同士の比較であって良いし、又は、異なる画像でのスペックルパターン同士の比較であっても良い。たとえば第1光スポットを通過する表面波と第2光スポットを通過する表面波との間での時間差がフレーム時間未満であるとき、同一画像中でのスペックルパターン間で比較が実行されて良い。前記時間差がフレーム時間を超えるときには、異なる画像中でのスペックルパターン間で比較が実行されて良い。一部の実施例では、たとえば一の画像中での第1光スポットスペックルパターンと複数の画像(同一の画像を含む)中での第2光スポットスペックルパターンとの間での相関が適用されて良い。最大の全体的な相関が発見されて良い。時間差は、空間オフセットに対応するフレーム間時間オフセットとして計算されて良い。
さらにこれまでの例は、単一の波面からの表面波速度の決定に基づいていた。しかし多くの用途では、表面波は繰り返しの表面波である。具体的にはパルス波測定では、心臓の各鼓動についての表面波が繰り返される。一部の実施例では、これは、2つのスペックルパターンでの変化の時間差を決定するのに用いられて良い。これはたとえば、表面波の各反復について上述の操作を実行し、その後結果を平均化(たとえば計算された速度又は決定された時間差の平均化)することによって実行されて良い。
別の例として、決定されたスペックルパターン特性値の交差相関が、表面波の複数の反復にわたって拡張されて良い。繰り返し表面波の2つのスペックルパターンについての決定された特性の例が図9に示されている。
例は具体的には、スペックルコントラスト値を表している。図からわかるように、2つの光スポットの間には明確で変化しない空間オフセットが存在する。このオフセットは、たとえば交差相関のような方法を用いて、又は、特徴となる点−たとえば最大と最小の発生−の位置を比較することによって決定されて良い。
よって図1のシステムは、ローリングシャッター効果を利用して、パルス波速度の正確かつ高分解能な決定を可能にし得る。これは、高速カメラを必要とすることなく実現され得る。しかも多くの用途では、要求される空間分解能と時間分解能を供するのには、単純な標準的低コストメガピクセルカメラで十分である。さらにすべての解析がいずれのスペックルパターンを含む画像に基づくので、異なる装置間での複雑で困難な同期を行う必要がなくなる。
これまでの例では、コヒーレント光源105によって生成される光スポットは円のスポットとみなされ、かつ、円のスポットを取り込んだ結果、円の画像対象物が得られた。係る方法は一般的には、スペックルイメージングに用いられる。
しかし一部の実施例では、図1のスペックルイメージング装置101の構成は、カメラ111の画像センサによって取り込まれるスペックルパターンが異方的となるようになされる。そのような非円形スペックルイメージングは、結果としてローリングシャッターのスペックルパターンを改善させ、かつ、特にスペックルパターンの解析を容易にし得る。
異方的イメージングは具体的に、表面上に異方的光スポットとして光スポットを生成するように構成されたコヒーレント光源105によって実現されて良い。よって円形の光スポットを生成するのではなく、コヒーレント光源105は、たとえば楕円形の光スポットを生成して良い。
さらにスペックルパターン中でのスペックルのサイズはレーザースポットのサイズとは逆の関係にある。そのためスポットサイズが小さくなればなるほど、スペックルは粗くなる。本願発明者等は、この考察は各次元に適用することで、別個に異方的スペックルパターンを得ることができて、かつ、これは、ローリングシャッター取り込みを用いるときに特に有利であることに気づいた。特に異方的光スポットは、微細の水平(つまり垂直方向での)変位の分解能を維持しながら、スペックルパターンの垂直(つまりローリングシャッターの伝播方向での)相関を増大させるのに用いられて良い。
スペックルパターンはたとえば、シリンドリカルレンズである図1のスペックルイメージング装置101のレンズ109によって制御されて良い。この結果、楕円光スポットが生成される。光スポットの楕円の長軸が水平方向(つまりローリングシャッターの伝播方向に対して垂直な方向にそろえられた方向で、具体例では、画像センサの列方向にそろえられている方向)を向く場合、このような結果として、スペックルは垂直方向(つまりローリングシャッターの伝播方向に対して垂直な方向にそろえられた方向で、具体例では、画像センサの行方向にそろえられている方向)に細長く延びる。この方法は、各線の高い分解能及びスペックル変化を維持しながら、線間での高い相関を供し得る。この結果、スペックルパターン変化の検出が改善され、特に線間変位に基づく検出が改善され得る。
その効果は図10に示されている。図10は、運動のない場合の等方的光スポットに対応するスペックルパターンと表面の正弦運動の場合の異方的光スポットに対応するスペックルパターンとの比較を示している。
図10は、運動が存在しないとき(パターン1003)及び高周波の表面運動が存在するとき(パターン1005)にローリングシャッターカメラによって取り込まれた異方的光スポット1001を具体的に示している。図10は、運動が存在しないとき(パターン1009)及び高周波の表面運動が存在するとき(パターン1011)にローリングシャッターカメラによって取り込まれた異方的光スポット1007をさらに示している。
図からわかるように、等方的光スポットは結果として、(水平線のシフトに対応する)運動の情報を認識するのが困難な等方的スペックルパターンが生成される。しかし異方的光スポットでは、スペックルは細長く延びる。その結果、運動の情報ははるかに容易に検出される。例では、異方的光スポット1007は、等方的光スポット1001に対して水平方向に拡張された。この結果、スペックルの垂直寸法が増大するので、線と線との相関が高くなる。同時に、水平方向の分解能も維持される。
光スポットの厳密な異方性は個々の実施例の特性に依存することに留意して欲しい。しかし多くの実施例では、ローリングシャッターの伝播方向に対応する方向でのスペックルグレインの平均拡張は、垂直方向でのスペックルグレインの平均拡張の少なくとも2倍である。よって多くの実施例では、異方的光スポット画像(又は光スポット自体)は、最小寸法の少なくとも2倍の寸法を有する。
異方的スペックルパターンは、表面上の異方的光スポットによって生成される必要はない。むしろ一部の実施例では、コヒーレント光源105は等方的光スポットとして光スポットを生成するように構成されて良い。カメラ111は、異方的光スポット画像対象物として対応するスペックルパターンを生成するように構成される。
よって一部の実施例では、投影光学系の代わりに結像光学系が調節されて良い。これはたとえば、異方的光学絞り、非点収差光学系、アナモルフィック光学系、又はプリズムを用いて実現されて良い。実際、結像光学系を変化させることによって、画像を一の方向において他の方向よりも伸張することが可能である。これは、ちらつき円の外形と(観測された)スペックルの形状の両方に影響を及ぼし得る。
これは具体的には、取り込み素子及び/又は投影素子でのアスペクト比を変化させることによってウルトラワイドスクリーン画像を得るため、フィルムの記録と映画の投影においてアナモルフィックレンズを用いるのと似ていると言える。光学系は、シリンドリカルレンズ又は曲面ミラーを含んで良い。
例では、スペックルが相対的にローリングシャッターの伝播方向に伸張されるように、アナモルフィック光学系は設定される。
これまでの実施例は、コヒーレント光源105が、各々が解析されるべきスペックルパターン画像対象物を生成する2つの光スポットしか生成しない例に焦点を当ててきた。しかし一部の実施例では、コヒーレント光源105は、表面上に3つ以上の光スポットを生成するように構成されて良い。
係る典型的実施例が図11に示されている。その例は図1の例に相当するが、図11では、コヒーレント光源105は3つ以上の光スポットを生成する。これはたとえば、複数のレーザー光源の使用、回折格子を備える単一源の使用、又は、ビームスプリッタとミラーの使用によって実現されて良い。
カメラ111は、すべての光スポットを取り込むように配置される。スペックルイメージング装置101は、複数の光スポットのうちの少なくとも2つからなるサブセットを選択するように構成される選択装置1101をさらに有する。選択装置1101はさらに、光スポットのサブセットのスペックルパターンを解析するように処理を進める解析処理装置113に結合される。
当該方法は、表面/細胞組織の具体的位置設定への自動的又は半自動的適合に特に適し、かつ、特に監視される対象物の位置設定における柔軟性と自由度を増大させることができる。
たとえば複数の光スポットは規則的又は不規則的なグリッドを構成して良い。よって測定される対象物は相対的に粗い検査領域内に設けられて良い。当該システムは、複数の光スポットを評価することで、表面上の適切な位置に設けられる2つ以上の光スポットを発見して良い。解析は、選ばれた光スポットに基づいて良い。さらに詳細な解析の前に光スポットのサブセットの選択することによって、より効率的で必要とする資源の少ないシステムが実現され得る。
よって当該方法は、たとえば規則的なパターン内での複数の光スポットを利用することで、測定される(たとえば患者の)細胞組織の関心部分を照射する可能性を増大させることができる。さらに光スポットの組から、サブセットが、カメラセンサ上の関心領域を選択することによって選ばれて良い。空間分解能及びフレーム速度は、たとえば選択された関心領域の取り込み及び処理のみによって増大し得る。
多くの用途では、手動での適合を行うことなく若しくは対象物の非常に具体的な位置設定を必要とすることなく調査中の対象物上での好ましいスポット又は適切なスポットを照射する可能性は非常に小さい。実際多くの用途では、解析された光スポットは、たとえば適切な振動を受ける表面領域に設けられることが要求される。典型的にはこれは相対的に小さな領域であり、かつ、2つの光スポットは慎重に位置設定されなければならない。しかしより多くの光スポットを用いることによって、コヒーレント光源105(及びカメラ)に対する監視される対象物の位置設定は、粗くて自由度の高いものしか要求されず、よってスペックルイメージング装置101は、表面の適切な位置に設けられた光スポットに自動的に適合して選択することができる。
しかし複数の光スポットを観測することの欠点は、情報量が増えることで、必要とする資源と処理が増大することであると考えられる。しかし解析用の適切なスポットを各独立に選択することによって、これは緩和され、かつ、その結果として計算上の要求は非常に低く保たれ得る。たとえば空間分解能又は時間分解能は減少して良い。たとえば空間センサの分解能は、ビン化又はサブサンプリングによって減少し得る。他の例として、時間分解能は、より低いフレーム速度を用いることによって−たとえば選択を実行するときのフレームを省略することによって−減少し得る。さらに一旦光スポットのサブセットが特定されると、これらは、完全な画素分解能とフレーム速度で解析され得る。それにより表面運動の推定において劣化が存在しないことが保証される。
例として、完全な分解能で12フレーム/秒のフレーム速度を有する200万画素センサが選択用に用いられて良い。しかし完全な解析を実行するとき、たとえば一の選択された光スポット画像対象物に対応する小さな領域だけが選ばれて良い。これにより、たとえば200フレーム/秒のはるかに速いフレーム速度が可能となる。
具体例として、スペックルイメージング装置101は、患者のパルス波速度を決定するのに用いられて良い。コヒーレント光源105は、図12に表されているような光スポットのグリッドを生成して良い。パターンは、視認可能である必要はなく、たとえば不可視な赤外線照射及び検知に基づいて良い。1つのレンズ又は複数のレンズからなる組は、投影には必要ないが、スペックルの粗さとしての信号の品質を改善することができる。従って実効コントラストは、レーザースポットのサイズに関連する。
図13は、焦点ずれカメラ111によって取り込まれ得る画像を表している。図からわかるように、各光スポットについてスペックルパターンが生成される。図14は、表面が圧電トランスデューサである実験装置で取り込まれた対応画像を表している。
図12と図13の例は具体的には、患者のパルス波速度の遠隔測定に用いられて良い。心臓が鼓動するとき、小さな乱れが、患者の皮膚表面−たとえば患者の胸(又はたとえば腕、首等)−で検出され得る。よって例では、スペックルパターンの解析は、患者のパルス波速度の情報を供して良い。しかし信頼性のある推定を行うため、速度を決定するのに用いられる光スポットが適切に位置設定されることが重要である。
従ってパルス波速度の推定精度を増大させるため、当該システムは、複数の光スポットのうちの2つを選ぶように構成される。サブセットの選択後、当該システムは、複数の光スポットのうちの2つを選ぶように構成される。(画像センサの小さな領域に対応する)サブセットの選択後、より正確な測定の(センサの)空間分解能/時間分解能が増大し得る。空間分解能は、単に画素の合計数を示すだけではなく、単位長さ又は分解能あたりの数も示すことに留意して欲しい。
サブセットの選択に用いられる厳密なアルゴリズム及び基準は、個々の実施例の嗜好及び要求に依存する。
一部の実施例では、選択装置1101は、焦点ずれ画像中での複数の光スポットのうちの一部の強度に応じてサブセットを選択するように構成されて良い。図14からわかるように、焦点ずれ画像中での光スポットの強度は各異なる光スポットで変化している。特に、焦点ずれ画像中での光スポット画像対象物の平均輝度は反射面での反射特性に依存し得る。これは、選択された光スポットが実際に適切な表面からであることを保証するのに用いられて良い。従ってサブセットは、高い強度を有する光スポットを含むように選ばれて良い。それにより解析が改善される。
一部の実施例では、選択装置1101は、複数の光スポットのうちの一部の光スポットのスペックルコントラストに応じてサブセットを選択するように構成されて良い。図14に図示されているように、スペックルコントラストは、光スポットの具体的位置に係る厳密な特性に依存し得る。たとえば光スポットへの距離が厳密な焦点距離からずれる場合、スペックルパターンは粗くなり、かつ、その結果としてコントラストが減少する恐れがある。高いスペックルコントラストを有する光スポットのサブセットを選ぶことによって、解析を改善されることが可能である。たとえば相関の推定は、より正確でかつ信頼できるものとなり得る。
一部の実施例では、選択装置1101は、複数の光スポットのうちの一部のスペックルパターン変化に応じてサブセットを選択するように構成されて良い。特にサブセットは、異なる光スポットのスペックルパターン間での相関に基づいて選択されて良い。よって一部の実施例では、選択装置1101は、複数の光スポットのうちの異なる光スポットの変化同士の相関に応じてサブセットを選択するように構成されて良い。
一部の実施例では、サブセットは、相似性の基準を満たす時間的挙動を有するスペックルパターンに応じて選択されて良い。たとえばサブセットは、スペックルパターンが実質的に対応するが時間的オフセットを有して変化する光スポット、又は、たとえば同一周波数で繰り返し変化する光スポットのみを含むように選ばれて良い。たとえばパルス波を監視するとき、これによって、患者のパルスによって運動する表面上に位置する光スポットのみが考慮されることが保証され得る。
一部の実施例では、スペックルパターンの変化は、そのスペックルパターンの運動の推定として測定されて良い。具体的には複雑さの低い運動の推定が実行され、かつ、対応する運動を有する光スポットを選ぶのに用いられて良い。
一部の実施例では、選択装置1101は、光スポットの光スポットパターンでの変化に応じてサブセットを選択するように構成されて良い。具体的にはコヒーレント光源105は、光スポットの規則的なグリッドを生成するように構成されて良い。しかしグリッドが、顕著な深さ変化を有する領域(たとえば患者の胸及び病院のベッドの一部)を網羅するとき、深さ距離は、取り込まれた画像中での光スポットの相対変位を生じさせる。よって、規則的ではないグリッドが取り込まれた画像中に記録されて良く、かつ、このずれは、予測深さを有しない光スポットを特定するのに用いられて良い。この方法はたとえば、どの光スポットが患者の胸に衝突したのかを検出するのに用いられて良い。
一部の実施例では、選択装置1101は、非スペックルパターン画像に応じてサブセットを選択するように構成されて良い。たとえば患者の位置に対する光スポットの位置が、他の画像を用いて評価されて良い。この画像はたとえば、患者及びベッドの一部と共に小さなスポットとしての光スポットを示し得る焦点の合った画像であって良い。よって当該システムは、どのスポットが患者の胸と重なるのかを評価し得る。他の例として、スポットの位置と患者の位置との関係が、別のカメラ、背景画像、又はこれまでの情報から得られて良い。
サブセットの選択は、ビデオ系撮像システムのすべてのフレームについて実行される必要はないことに留意して欲しい。たとえばサブセットの選択は、所与の時間間隔で繰り返されて良い。たとえばサブセットの光スポットを数秒毎に再選択することで、当該システムは、患者の運動を追跡することが可能となる。
一部の実施例では、当該システムは、たとえばコヒーレント光源を制御することで光スポットの一部のオンとオフを切り換えることの可能なフィードバック機能を有して良い。また実質的に同一の光スポットの規則的なグリッドが通常は用いられる一方で、当該システムは、均一ではないグリッドと併用されても良い。実際グリッド間隔が変化するだけではなく、光スポットのサイズも変化して良い。これは、用途の具体的特性の監視を最適化するのに用いられて良い。
複数の光スポットが用いられることは、ローリングシャッターによるスペックルイメージングに特に適している一方で、多くの別なスペックルイメージングの種類及び用途にも適していることにも留意して欲しい。
当該方法は具体的に、パルス波速度の推定に用いられて良いので、目立たない血圧を推定することができる。これらは、様々な医療用途−たとえば新生児の監視又は心臓病に苦しむ患者のための連続的な(自宅での)患者の監視−に用いられて良いことに留意して欲しい。
一般的な原則は、標的表面に沿った他の種類の波の伝播を推定するのに用いられて良いことにも留意して欲しい。前記推定には、製造機器の振動監視の振動モニタリングのような産業上の用途が見いだされ得る。
簡明を期すために上述の記載は、様々な機能的回路、ユニット、及び処理装置を参照しながら本発明の実施例を説明したことに留意して欲しい。しかし様々な機能的回路、ユニット、又は処理装置間での適切な機能の分配が、本発明から逸脱することなく用いられ得ることに留意して欲しい。たとえば別個の処理装置又は制御装置によって実行されるように表された機能は、同一の処理装置又は制御装置によって実行されて良い。従って、特定の機能のユニット又は回路を言及するのは、厳密な論理的若しくは物理的構造又は機構を示すというよりはむしろ記載された機能を供する適切な手段を参照しているだけである。
本発明は、ハードウエア、ソフトウエア、又は、これらの任意の結合を含む任意の適切な形態で実装されて良い。本発明は任意で少なくとも部分的に、1つ以上のデータ処理装置及び/又はデジタル信号処理装置を動かすコンピュータソフトウエアとして実装されて良い。本発明の実施例の素子及び部材は、任意の適切な方法によって物理的、機能的、及び論理的に実装されて良い。実際機能は、単一ユニットにおいて、複数のユニットにおいて、又は、他の機能ユニットの一部として実装されて良い。そのため本発明は、単一ユニットにおいて実装されて良いし、又は、様々なユニット、回路、及び処理装置間で物理的及び機能的に分配されても良い。
たとえ本発明が、特定の実施例に関連して説明されているとしても、本発明を本明細書で説明した特定形態に限定することは意図していない。むしろ、本発明の技術的範囲は「特許請求の範囲」に記載された請求項によってのみ限定される。それに加えて、ある特徴が特定の実施例に関連して記載されているように見えても、当業者は、説明した実施例が本発明に従って組み合わせられ得ることを理解するだろう。請求項中の、「有する(含む)」は、他の特徴又は段階の存在を排除しない。
更に、個別に列挙されるが、複数の手段、要素、回路、又は方法ステップが、例えば単一の回路、ユニット、又は処理装置によって実装されてもよい。更に、個々の特徴が異なる特許請求の範囲に含まれているが、これらは、場合によっては有利には組み合わされることがあり、異なる特許請求の範囲に含まれていることは、特徴の組合せが実現可能でない及び/又は有利でないことを示唆しない。また、ある特徴が特許請求の範囲の1つのカテゴリー内に含まれていることは、このカテゴリーへの限定を示唆せず、その特徴が、適切であれば特許請求の範囲の他のカテゴリーにも同等に適用可能であることを示す。更に、特許請求の範囲内での特徴の順序は、特徴を実施しなければならない任意の特定の順序を示唆せず、特に、方法の請求項内での個々のステップの順序は、ステップがその順序で実施されなければならないことは示唆しない。そうではなく、ステップは、任意の適切な順序で実施されてよい。更に、単数での言及は、複数を除外しない。従って、「1つ(“a”、“an”)」、「第1」、「第2」などの言及は、複数を除外しない。特許請求の範囲内の参照符号は、明瞭にするための例としてのみ付されており、特許請求の範囲の範囲を限定するものとはみなされないものとする。

Claims (15)

  1. 表面波の伝播速度を決定する装置であって:
    表面上に少なくとも第1光スポットと第2光スポットを生成するコヒーレント光源;
    前記第1光スポットと前記第2光スポットを含む表面の少なくとも一部の少なくとも1つの焦点ずれ画像を取り込むカメラであって、前記焦点ずれ画像は、前記第1光スポットの第1光スポット画像対象物と前記第2光スポットの第2光スポット画像対象物を含み、前記第1光スポット画像対象物は第1スペックルパターンを有し、かつ、前記第1光スポット画像対象物は第1スペックルパターンを有する、カメラ;及び、
    前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンとの間でのスペックルパターンの変化の間での時間差に応じて前記伝播速度を決定する解析装置;
    を有する装置。
  2. 前記解析装置が:
    前記第1スペックルパターンの第1特性の決定;
    前記第2スペックルパターンの第2特性の決定;
    前記第1特性における第1変化の検出;
    前記第2特性における第2変化の検出;及び、
    前記第1変化の瞬間と前記第2変化の瞬間との間での時間差に応じた前記伝播速度の決定;
    を行うように構成される、請求項1に記載の装置。
  3. 前記カメラが、前記少なくとも1つの焦点ずれ画像を取り込むローリングシャッターを有する、請求項1又は2に記載の装置。
  4. 前記解析装置が、一の焦点ずれ画像中での前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンとの空間比較に応じて前記時間差を決定するように構成される、請求項3に記載の装置。
  5. 前記解析装置が、前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンの空間的相関に応じて前記時間差を決定するように構成される、請求項3又は4に記載の装置。
  6. 前記解析装置が、前記ローリングシャッターの伝播方向に対応する方向での前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンの空間パターン変化に応じて前記時間差を決定するように構成される、請求項3又は4に記載の装置。
  7. 前記解析装置が、前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンでのパターン変化の間での空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成される、請求項3又は4に記載の装置。
  8. 前記ローリングシャッターが前記焦点ずれ画像を線毎に順次取り込むように構成され、かつ、
    前記解析装置は:
    各々が前記焦点ずれ画像の多数の隣接する線のうちの少なくとも一部を含む複数の群のうちの各群についての前記第1光スポット画像対象物の第1スペックルパターン特性の決定;
    前記複数の群のうちの各群についての前記第2光スポット画像対象物の第2スペックルパターン特性の決定;
    前記複数の群のうちの複数の群間での前記第1パターン特性の第1変化の検出;
    前記複数の群のうちの複数の群間での前記第2パターン特性の第2変化の検出;及び、
    前記第1光スポット画像対象物での第1変化と前記第2光スポット画像対象物での第2変化との間での空間差に応じた前記時間差の決定;
    を行うように構成される、請求項3又は6に記載の装置。
  9. 前記解析装置が、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物のスペックルコントラストでの変化の空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成される、請求項3乃至8のうちのいずれか一項に記載の装置。
  10. 前記解析装置が、前記第1光スポット画像対象物と前記第2光スポット画像対象物の線間スペックルパターン変位での変化の空間オフセットに応じて前記時間差を決定するように構成される、請求項3乃至8のうちのいずれか一項に記載の装置。
  11. 前記コヒーレント光源が前記表面上に複数の光スポットを生成するように構成され、かつ、前記カメラは前記焦点ずれ画像中の複数の光スポットを取り込むように構成される請求項1に記載の装置であって、前記解析装置による解析用に複数の光スポットのサブセットを選択するように構成される選択装置をさらに有する、装置。
  12. 前記選択装置が、前記伝播速度を決定するときに前記解析装置によって用いられる処理分解能よりも低い処理分解能を用いて、前記光スポットのサブセットを選択するように構成される、請求項11に記載の装置。
  13. 前記選択装置が、前記複数の光スポットのうちの一部の光スポットの強度、前記複数の光スポットのうちの一部の光スポットのスペックルコントラスト、前記複数の光スポットのうちの一部の光スポットのスペックルパターン変化、前記複数の光スポットのうちの各異なる光スポットのスペックルパターン変化同士での相関、及び、前記複数の光スポットのうちの1つの光スポットパターンでの変化のうちの少なくとも1つの応じて前記一部を選択するように構成される、請求項11に記載の装置。
  14. パルス波の伝播速度を決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
  15. 表面波の伝播速度を決定する方法であって:
    表面上に少なくとも第1光スポットと第2光スポットを生成する段階;
    前記第1光スポットと前記第2光スポットを含む前記表面の少なくとも一部の少なくとも1つの焦点ずれ画像を取り込む段階であって、前記焦点ずれ画像は、前記第1光スポットの第1光スポット画像対象物と前記第2光スポットの第2光スポット画像対象物を含み、前記第1光スポット画像対象物は第1スペックルパターンを有し、かつ、前記第2光スポット画像対象物は第2スペックルパターンを有する、段階;及び、
    前記第1スペックルパターンと前記第2スペックルパターンでのスペックルパターン変化の時間差に応じて前記伝播速度を決定する段階;
    を有する方法。
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