JP2015522121A - 長い動力行程の機関 - Google Patents

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Abstract

火花点火オットーサイクル機関の効率を実質的に上げる手段および方法。これは、ピストンの行程長を拡大させること、および、絞り板以外の手段により吸気行程の際に取込まれる空気(または燃料/空気混合物)の量を減少させることによって、なされる。取込まれる空気または燃料/空気混合物の量は、圧縮行程の終結時の燃焼室において、先行技術の機関に存在するのと同じ条件を作り出すものである。その利点は、動力行程の長さを拡大することに起因する;これは、燃焼ガスが排気行程の際に除去される前に、それらからより多くのエネルギーを取り出し、それはまた、トルクが行程長の関数であることが周知であるように、機関のトルクをも上昇させる。燃焼ガスからより多くのエネルギーを取り出すことはまた、機関ブロックへ伝わる熱の量をも低減させ、これによって、冷却システムに対する負荷が低減される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2012年7月6日に出願され、長い動力行程の機関と称する仮特許出願第61/690,836号の利益を主張する。
連邦支援の研究または開発に関する陳述
本発明の開発において連邦政府の財政援助はない。
共同研究契約に関わる関係者の氏名
ない。
背景
本発明は、オットーサイクル4行程火花点火内燃機関の分野におけるものである。
簡潔には、本発明は、従来の4行程火花点火機関の効率を上げる手段および方法である。これは、機関の行程の長さを50%〜100%まで拡大することと、シリンダー中へ取り込まれる空気または燃料/空気混合物の量を、圧縮行程の終了時の燃焼室における条件が先行技術の機関の燃焼室におけるそれらと同じであるような量まで減らすこととによって、なされる。行程長が先行技術のそれより大きいため、燃焼ガスはより長い時間シリンダー中に残り、よってそれらからより多くのエネルギーを取り出す。加えて、より長い行程長によって、発生されるトルクがより大きなものになる。
図1は、先行技術の機関のピストンの運動と本発明の機関のピストンのそれとの比較を示す。 図2は、本発明の効率における改善を達成する代替手段を示す。
本発明の詳細な説明
先行技術の機関によって無駄にされる、燃焼ガス中のエネルギーの量は、相当なものである。先行技術の全ての機関は、高RPMで運転されるとき、排気バルブから熱エネルギーを十分に無駄にしており、排気パイプが明るいオレンジ色に光る原因となる。これは、先行技術の機関の動力行程がより短いことの結果である;動力行程の終了時は、燃焼ガスがまだかなり熱く(すなわち、それらの中にまだ相当のエネルギーがある)、これが、燃焼ガスがその排気行程の際のピストンによるシリンダーから無理に押し出されるときに、無駄にされる。本発明の機関に、はるかにより長い動力行程(それゆえに膨張行程)を与えることによって、この熱エネルギーは、以下に説明されるように、力学的エネルギーに変換される。
先行技術の機関において、その目的は、絞り板のすべての設定において空気または燃料/空気混合物の最大量をシリンダー中に確保することであった。以下に示されるように、本発明の機関において、これは、本発明の機関の圧縮比が現在の機関の圧縮比より相当高いので、当てはまらない。
オットーサイクル機関は、吸気システム中に絞り板を有する;この絞り板を開けることと閉めることとによって、シリンダーに入る空気または燃料/空気混合物の量を調節し、それによって機関の速度が調節される。これは、先行技術の機関の吸気行程の間にシリンダーに入る空気の量を調節する唯一の手段である。対照的に、本発明の機関は、絞り板に加えて、シリンダーに入る空気の量を調節する第2の手段を有する。この第2の手段は、吸入バルブのカムローブの高さを減じるか、またはその形状を変更すること、もしくは以下に概略を記す手段のいずれかである。
本発明の利点は、図1から明白であろう。図1において、機関E10およびE20中のピストンP10およびP20の夫々は(示されず)、同じ直径を有し、シリンダーヘッドおよび燃焼室CC18およびCC28の夫々は、説明のとおり、吸気バルブのカムローブを除けば同一である。加えて、気化器または燃料噴射器のシステムも同一である。機関E10中のピストンP10が5インチの行程長を有すると仮定すると、機関E20中のピストンP10は10インチの行程長を有する。機関E10の圧縮比にかかわらず、ピストンP10およびP20が同じ直径であるがピストンP20の行程長がピストンP10のそれより2倍あるため、機関E20の圧縮比は機関E10のそれの2倍である。しかしながら、ピストンP20の吸気バルブを制御する吸気バルブのカムローブ(示されず)は、ピストンP20の吸気行程の間に取り込まれる空気または燃料/空気混合物の量を、ピストンP10のそれの半分まで減らすように変更される。
機関E20のシリンダー中への吸気装填のこの減少の結果、ピストンP10およびP20の圧縮行程が完了したとき、機関E10およびE20のシリンダーの燃焼室における条件は、それらの圧縮比が異なるものであっても、同一である。すなわち、ピストンP20がその圧縮行程においてピストンP10の2倍遠くまで動いたとしても、圧縮行程の開始時の機関E20のシリンダー中の空気または燃料/空気混合物は、機関E10のシリンダー中のたった半分であった。空気または燃料/空気混合物のこのより少ない量が2倍多く圧縮されるとき、機関E20のシリンダー中の得られた圧力は、機関E10のシリンダー中と同じである。
スパークプラグ(示されず)が発火し、燃料/空気混合物に点火されるとき、両ピストンは、合力Fにより位置A(5インチの距離)まで押し下げられる。ピストンP10において、これは下死点であり、ピストンP10は立ち上がり、排気バルブ(示されず)から燃焼ガスを無理に押し出し始める。しかしながら、ピストンP20は、その行程長のたった半分しか動いていない;それは、位置Bまで続き、その後に立ち上がり始める。
ピストンP20が、その動力行程において、ピストンP10より大きな距離を動くため、それは、燃料ガスからより多くのエネルギーを取り出す;しかしながら、それらは、その運動の後半の間、ピストンP20に、より小さい力しかかけない。その運動の後半のピストンP20に対する合力は、その運動の前半のそれに対する合力の半分であると推測される。したがって、その全行程長におけるピストンP20に対する合力は1.5Fである。
内燃機関のクランクシャフトに対するトルクは、それに取り付けられたピストンの行程長に正比例する;ピストンP20がピストンP10の2倍の行程長を有するため、ピストンP20によって発揮されるクランクシャフト(示さず)に対するトルクは、ピストンP10によって発揮されるものの2倍であろう。内燃機関により発生する馬力が、ピストンの行程長を乗じた、ピストンに対して生じた力に正比例することから、および、ピストンP20にかかる合力が、ピストンP10にかかるそれの1.5倍であると推測され、かつピストンP20の行程長がピストンP10の2倍であることから、この例において、機関E20は、機関E10の馬力の3倍発生することは明らかである(2倍の行程長で発揮される1.5倍の合力)。圧縮行程の終了時の機関E10およびE20の燃焼室における条件が(機関E20のシリンダー中へ誘導される空気または燃料/空気混合物の量を限定することによって)同一とされるため、シリンダー10および20中の燃料の量は同一である。よって、機関E20は、同じ量の燃料が燃焼する間、機関E10の馬力の3倍発現する。
その運動の後半の間のピストンP20に対する力は、その運動の後半の開始時の、すなわち先行技術の機関が排気バルブから燃焼ガスを送り込み始める点の、燃焼ガス中に残っているエネルギーの量によって明らかに左右される。しかしながら、そのエネルギーは相当なものである。全ての機関は、高RPMで動作するとき、排気バルブからの熱エネルギーを十分に無駄にしており、排気パイプが明るいオレンジ色に光る原因となる。本発明の機関の構造によって、そうでなければ力学的エネルギーとして無駄にされたであろうこの熱エネルギーのかなりの量が、そのより長い行程の間にピストンに対しての追加の力の形態で変換される。
本発明の長い動力行程の機関の設計における第一の判断基準は、点火直前の燃焼室中の圧力が、同じ適用における先行技術の機関の圧力とおおよそ同じであることを見ることである。この圧力は、例えばPiezocryst Advanced Sensors GMBH または PCE Piezotronicsにより販売されているそれら等の圧電式圧力トランスデューサーを機関中に配置することによって測定され得る。これをスパークプラグに置換し、その後、始動モーターにより機関をクランクで回転させること(または、それがマルチシリンダー機関である場合、シリンダーの1つの中のかかるトランスデューサーによりそれを動作させること)によって、先行技術の機関の燃焼室中のピーク圧力が測定され得、これによって、長い動力行程型のその機関において得られる対応する圧力が規定されるであろう。圧縮行程の終結時の長い動力行程の燃焼室における圧力は、吸気行程の間に誘導される空気の量を変動させることによって、決定される。これは、順に、吸気バルブ(単数または複数)が開いている時間の長さを変化させること、吸気バルブ(単数または複数)が開く量を変化させること、吸気バルブ(単数または複数)の直径を変化させること、いくらかの空気が圧縮行程の間に放出されるように第2のローブを排気バルブ(単数または複数)のカムローブへ加えること、または、所望する他の手段のいずれかによって、変動され得る。これらの方法の全ては、カムローブの外形に依存しており、これは、おそらく、決定するための何らかの試験および実験を必要とするであろう。
図2は、燃料がシリンダー中へ直接注入されるときに使用するための、従来の排気ローブ32およびそれの向こう側の追加のローブ34を有する排気バルブのカムローブ30を示す。この追加のローブ34は、吸気バルブ(単数または複数)のカムローブ(単数または複数)の形状を変化させる代わりに、吸気行程の間のシリンダー中へ誘導された過剰空気を放出することによって、燃焼室中の適正な圧力を得ることを目的としている。
先に示された圧縮比、膨張比および行程長が、説明する目的のためだけであることは、機関設計の当業者にとって明らかであろう;実際の値は、適用に応じて変動するであろう。他のタイプのバルブが、シリンダー中への空気または燃料/空気混合物の流れおよびシリンダーからの排気ガスの流れを制御するために使用され得ること、ならびに、これらのバルブがカムシャフト上のローブ以外によって操作され得ることもまた、機関設計の当業者にとって明らかであろう。

Claims (9)

  1. シリンダー、
    前記シリンダー中へ空気または燃料/空気混合物を導くための吸気手段、ここで前記シリンダー中へ空気または燃料/空気混合物を導くための前記手段はその中に絞り板を有する、
    吸気行程の際に前記シリンダー中へ空気または燃料/空気混合物が入ることを許すように開き、かつ該吸気工程の終了時に閉じる吸気バルブ、
    カムシャフトであって、前記吸気バルブを操作するローブをその上に有する、前記カムシャフト、
    前記シリンダー中のピストン、および、
    前記シリンダーの上端にある燃焼室
    を有するオットーサイクル内燃機関であって、
    圧縮比が13.5:1より大幅に大きいが、圧縮行程の終結時の前記燃焼室の内部の条件が、圧縮比がおおよそ6:1〜13.5:1の範囲にある機関におけるそれらとおおよそ同じである、前記内燃機関。
  2. 絞り板に加えて、シリンダー中への空気の流れを調節するための手段を有する、請求項1に記載の内燃機関。
  3. 絞り板に加えて、手段が、吸気行程の間にシリンダー中へ入ることが許される空気の量を制限するために設計された吸気バルブのカムシャフトローブを含む、請求項2に記載の内燃機関。
  4. 吸気バルブのカムシャフトローブが、先行技術の吸気バルブのカムシャフトローブに比較して、該バルブの開く量を減少させる、請求項3に記載の内燃機関。
  5. 吸気バルブのカムシャフトローブが、先行技術の吸気バルブのカムシャフトローブに比較して、該バルブの開く時間を減少させる、請求項3に記載の内燃機関。
  6. シリンダー、
    前記シリンダーから燃焼ガスを追い出すための排気手段、
    前記シリンダーから前記燃焼ガスが入ることを許すよう開き、かつ排気行程の終了時に閉じる、前記シリンダー内の排気バルブ、
    カムシャフトであって、前記排気バルブを操作するローブをその上に有する前記カムシャフト、および、
    圧縮行程の間に前記シリンダーから空気を放出するための手段
    を有する、オットーサイクル内燃機関。
  7. 圧縮行程の間にシリンダーから空気を放出するための手段が、カムシャフト上の第2の排気バルブのローブを含む、請求項6に記載の内燃機関。
  8. シリンダー、
    前記シリンダー中のピストン、
    前記シリンダー中の前記ピストンの運動の結果として生じる圧縮比、
    前記シリンダー中の燃焼室、
    前記シリンダー中への空気または燃料/空気混合物の流れを制御するためのバルブ、および、
    前記バルブを操作するための手段
    を有するオットーサイクル内燃機関の効率を上げる方法であって、
    前記機関の前記圧縮比を、約13.5:1を超える値まで上昇させること、および、
    前記燃焼室における条件が、前記圧縮比が上昇する前と同じであるように、前記機関の吸気行程の間に該機関中へ取り込まれる空気または燃料/空気混合物の量を減少させること
    を含む、前記方法。
  9. 圧縮比が、ピストンの行程を拡大させることによって、上昇する、請求項8に記載の方法。
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