本願は、2012年5月31日に出願された米国仮特許出願第61/653,471号の利益を主張する、2013年3月13日に出願された米国継続特許出願第13/799,533号の優先権を主張するものである。上記出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
ソフトウェアアプリケーション(または「アプリ」)の開発者は、例えばスマートフォン、タブレットおよびPCなどの複数のデバイスおよびプラットホームにわたって用いられ得る単一のアプリを開発することによって、モバイルコンピューティングデバイスの普及の増加を利用しようと試みている。複数のデバイスおよびプラットホームにわたって用いられ得るアプリケーションの開発は、開発者にとって効率的である。なぜならば、そのアプリができるだけ多くの消費者に販売可能となることによって、開発者の作業成果物の利益を最大化するからである。複数のデバイスおよびプラットホームにわたるアプリを開発する際、いくつかの課題が存在するが、現在、全てのそのようなデバイス(例えば、スマートフォン、タブレットおよびPC)は、タッチスクリーンおよび/または物理的または仮想的なキーボードおよび/またはポインティングデバイスなどの手に依存する手依存ユーザインターフェースを用いている。
本願は、マンマシンインタフェース、ヒューマンコンピュータインタラクションとも呼ばれるヒューマン/コンピュータインターフェースに関する。より特定的には、本発明は、ハンズフリーユーザインターフェースを用いるモバイルワイヤレスウェアラブルヘッドセットコンピューティングデバイスであって、ボイスコマンドと追跡された頭部の動きとを用いて動作するものであり、ドッキングステーションにドッキングされているときには、例えば、グラフィカル出力のための外部フルスクリーンモニタを用いかつ入力装置としてキーボードとマウスとを用いるパーソナルコンピュータ(PC)に典型的に関連しているユーザインターフェースを用いて動作する、ヘッドセットコンピューティングデバイスに関する。さらに、このヘッドセットコンピューティングデバイスでは、ドッキングモードで使用される場合には、独立型ヘッドセットコンピュータとしてヘッドセットモードで使用される場合よりもキーボードおよびマウス操作に適するアプリケーションすなわちアプリケーション機能の、異なるセットが利用可能となる。ヘッドセットメモリに記憶された共通のデータセットが、アプリケーションの、ヘッドセットの動作および/またはアプリケーションにおける、ドッキングおよびアンドッキングモードの両方/それらの全ての組合せのセットに対応している。
最近開発されたマイクロディスプレイは、非常に小さな形状因子において、大型フォーマットで高解像度のカラー画像およびストリーミング映像を提供できる。そのようなディスプレイのための1つのアプリケーションは、めがね、オーディオヘッドセットまたはビデオアイウェアに類似の形式で、ディスプレイをユーザの視野内に配置して、ユーザの頭部に装着されるワイヤレスヘッドセットコンピュータに組み込まれたものがある。「ワイヤレスコンピューティングヘッドセット」デバイスが、1つ以上の小型高解像度マイクロディスプレイと、画像を拡大する光学系とを含む。マイクロディスプレイは、スーパービデオグラフィックスアレイ(SVGA)(800×600)解像度、クォータハイデフィニショングラフィックスアレイ(qHD)(860×540)、エクステンデッドグラフィックスアレイ(XGA)(1024×768)またはそれ以上の解像度を提供できる。ウェアラブルコンピュータが、qHDマイクロディスプレイを用いて、仮想15インチラップトップサイズディスプレイを提供できる。ワイヤレスコンピューティングヘッドセットが、1つ以上のワイヤレスコンピューティングの通信インターフェースを含み、データ映像能力およびストリーミング映像能力を可能にし、そして、手依存デバイスより大きな利便性および可動性を提供する。
モバイル・ワイヤレス・ウェアラブル・ヘッドセットコンピューティングデバイスの例は、マサチューセッツ州タントンのKopin Corporationから入手可能なGolden−i(登録商標)ヘッドセットである。そのようなデバイスに関する詳しい情報については、2009年1月5日に出願された、Parkinsonらによる「Mobile Wireless Display Software Platform for Controlling Other Systems and Devices」と題された同時係属米国特許出願第12/348,646号、2009年3月27日に出願された、Jacobsenらによる「Handheld Wireless Display Devices Having High Resolution Display Suitable For Use as a Mobile Internet Device」と題されたPCT国際出願第PCT/US09/38601号、および2012年4月25日に出願された、Jacobsenらによる「Improved Headset Computer」と題された米国出願第61/638,419号を参照されたい。これらの各出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ヘッドセットコンピュータを動作させる例示的な方法は、ヘッドセットコンピュータのためのドッキングステーションを提供することと、対象アプリケーションのハンズフリーの第1のバージョンを前記ヘッドセットコンピュータ上で実行することと、前記ヘッドセットコンピュータが前記ドッキングステーションに動作可能に接続されているとき、前記対象アプリケーションの異なるバージョンを前記ヘッドセットコンピュータ上で実行することと、を含み、前記ハンズフリーバージョンおよび前記異なるバージョンは、前記ヘッドセットコンピュータのメモリに記憶された共通のデータセットを利用する。
ヘッドセットコンピュータを動作させる別の例示的な方法は、前記ヘッドセットコンピューティングデバイスがヘッドセット状態であるかまたはドッキングステーションに通信可能に接続されているドッキング状態であるかを判断することと、前記判定された状態に基づいて前記ヘッドセットコンピューティングデバイスをヘッドセットモードまたドッキングモードで動作させることと、アプリケーションを前記ヘッドセットコンピューティングデバイス上で実行することと、前記ヘッドセットモードまたは前記ドッキングモードに従ってアプリケーション機能を有効および無効にすることと、前記実行されたアプリケーションに従って、前記ヘッドセットコンピュータのメモリモジュールに記憶されている共通のアプリケーションデータセットにアクセスすることと、を含み、前記ヘッドセットモードでは、ハンズフリーユーザインターフェースを有効にし、手に依存する手依存ユーザインターフェースを無効にし、前記ドッキングモードでは、前記手依存ユーザインターフェースを有効にし、前記ハンズフリーユーザインターフェースを無効にする。
ハンズフリーユーザインターフェースを有効にすることは、自動音声認識(ASR)と頭部追跡(HT)ユーザ入力とを用いて、前記ヘッドセットモードに従って、前記アプリケーションとインターフェースをとることをさらに含み得る。前記アプリケーション機能を有効および無効にすることは、前記ヘッドセットモードに従って、読み込み専用ユーザ許可を有効にし、書き込みユーザ許可を無効にすることをさらに含み得る。前記ハンズフリーユーザインターフェースは、自動音声認識と頭部追跡入力とに適合する(compatible)グラフィカルユーザインターフェースのヘッドセットバージョンを、前記ヘッドセットモードに従って、前記ヘッドセットコンピューティングデバイスのマイクロディスプレイを介して表示することをさらに含み得る。
前記手依存ユーザインターフェースは、前記ドッキングモードに従って、キーボードおよびポインティングデバイスユーザ入力を用いて、前記アプリケーションとインターフェースをとることをさらに含み得る。前記アプリケーション機能を有効および無効にすることは、書き込みユーザ許可を有効にし、読み込み専用ユーザ許可を無効にすることをさらに含み得る。前記手依存ユーザインターフェースは、前記ドッキングステーションに通信可能に接続されたモニタを介して、グラフィカルユーザインターフェースを表示することをさらに含み得る。
ヘッドセットコンピューティングデバイスを動作させる例示的な方法は、前記アプリケーションを前記ヘッドセットコンピューティングデバイス上で実行することをさらに含み得て、前記アプリケーションは、前記ヘッドセットコンピューティングデバイス上のワードプロセッシングアプリケーション、スプレッドシートアプリケーション、プレゼンテーションアプリケーションまたはインターネットブラウザアプリケーションである。前記ドッキングモードでヘッドセットコンピューティングデバイスを動作させる例示的な方法は、前記ヘッドセットコンピューティングデバイスの再充電可能バッテリを再充電することをさらに含み得る。前記再充電可能バッテリは、前記ヘッドセットモードにおいて前記ヘッドセットコンピューティングデバイスの動作に対して電力を供給し得る。
さらに例示的な実施形態は、マイクロディスプレイおよびメモリモジュールに通信可能に接続されたプロセッサを含み、ヘッドセットモードまたはドッキングモードで動作するヘッドセットコンピューティングデバイスと、メモリモジュールに記憶された共通のデータセットと、ドッキング状態で前記ヘッドセットコンピューティングデバイスへの動作可能な接続を可能にするドッキングポートを含むドッキングステーションと、前記プロセッサによって実行され、前記ヘッドセットモードまたは前記ドッキングモードに従って有効または無効にされるアプリケーション機能を含むアプリケーションとを含み、前記ドッキングモードは、前記ドッキング状態の判定に基づくものであり、前記ヘッドセットモードでは、ハンズフリーユーザインターフェースを有効にし、手に依存する手依存ユーザインターフェースを無効にして、前記ドッキングモードでは、前記手依存ユーザインターフェースを有効にし、前記ハンズフリーユーザインターフェースを無効にし、前記共通のデータセットは前記アプリケーションに従ってアクセスされる、デュアルモードコンピューティングデバイスを含む。
ハンズフリーユーザインターフェースの例示的な実施形態は、前記ヘッドセットモードで動作中、ユーザ入力を受け取って前記アプリケーションとインターフェースをとるために、自動音声認識モジュールと頭部追跡モジュールとをさらに含み得る。前記アプリケーション機能は、前記ヘッドセットモードにおいて、有効とされた読み込み専用ユーザ許可と無効とされた書き込みユーザ許可とをさらに含み得る。前記マイクロディスプレイは、前記ヘッドセットモードにおいてグラフィカルユーザインターフェースのヘッドセットバージョンを表示し得る。
前記手依存ユーザインターフェースは、ユーザ入力を受け取って前記アプリケーションとインターフェースをとるために、キーボードとポインティングデバイスとをさらに含み得る。前記アプリケーション機能は、前記ドッキングモードにおいて、有効とされた書き込みユーザ許可と無効とされた読み込み専用ユーザ許可とをさらに含み得る。さらに、前記手依存ユーザインターフェースは、前記ドッキングステーションに通信可能に接続され、前記キーボードとポインティングデバイスとに適合する(compatible)グラフィカルユーザインターフェースを表示するためのモニタを含み得る。前記アプリケーションは、ワードプロセッシングアプリケーション、スプレッドシートアプリケーション、プレゼンテーションアプリケーションまたはインターネットブラウジングアプリケーションであり得る。
ヘッドセットコンピューティングデバイスの例示的な実施形態は、前記ヘッドセットモードで動作している間、前記ヘッドセットコンピューティングデバイスに電力を供給し、かつ前記ドッキングモードの間再充電するための再充電可能バッテリをさらに含み得る。
例示的な実施形態は、ヘッドセットコンピューティングデバイスを動作させるための非一時的なコンピュータプログラム製品であって、当該コンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み取り可能な命令を記憶しているコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、当該命令は、プロセッサによってロードされ実行される際、当該プロセッサに、前記ヘッドセットコンピューティングデバイスがヘッドセット状態であるかまたはドッキングステーションに通信可能に接続されているドッキング状態であるかを判断させ、前記判定された状態に基づいて前記ヘッドセットコンピューティングデバイスをヘッドセットモードまたドッキングモードで動作させ、アプリケーションを前記ヘッドセットコンピューティングデバイス上で実行させ、前記ヘッドセットモードまたは前記ドッキングモードに従ってアプリケーション機能を有効および無効させ、前記ヘッドセットモードでは、ハンズフリーユーザインターフェースを有効にさせ、手に依存する手依存ユーザインターフェースを無効にさせ、前記ドッキングモードでは、前記手依存ユーザインターフェースを有効にさせ、前記ハンズフリーユーザインターフェースを無効にさせ、前記実行されたアプリケーションに従って、前記ヘッドセットコンピュータのメモリモジュールに記憶されている共通のアプリケーションデータセットにアクセスさせる、非一時的なコンピュータプログラム製品をさらに含み得る。
以下に、例示的な実施形態について説明する。
本発明の原理による例示的な実施形態は、本明細書中においてヘッドセットコンピュータ(HSC)とも呼ぶ、ドッキングのためのポートを有するヘッドセットコンピューティングデバイスを含む。ユーザの頭部に装着されているとき、HSCは、「ヘッドセット」モードで動作し、ハンズフリーコンピューティングデバイスとして機能し得る。ドッキングステーションにドッキングされているとき、HSCは、「ドッキング」モードで動き、表示出力としてフルスクリーンモニタと、入力装置としてキーボードおよび/またはマウスとを用い得る典型的なパーソナルコンピュータ(PC)として機能し得る。
ヘッドセットモードでハンズフリーデバイスとして動作する場合、HSCは、自動音声認識と頭部追跡機能を用いて、口頭コマンドおよびヘッドモーションコマンドを認識し得る。ヘッドセットモードでは、HSCは、マイクロディスプレイと、自動音声認識と、頭部追跡機能とを用いる特定されたハンズフリーアプリケーションすなわち特定されたハンズフリーアプリケーション機能の特定のセットを、ユーザに提示する。
ドッキングモードで典型的なPCとして動作する場合、HSCは、キーボードおよび/またはマウス(もしくは他のポインティングデバイス)を用いてユーザが入力したコマンドに基づいて、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含む従来の手に依存する手依存インターフェースを用い得る。ドッキングモードでは、HSCは、キーボードおよび/またはマウスインターフェースを用いる特定された手依存アプリケーションすなわち特定された手依存アプリケーション機能の特定のセットを、ユーザに提示する。HSCに組み込まれたドッキングポートによって、HSCは、ドッキングステーションとドッキングできる。ドッキングしている間、ドッキングステーションは、HSCのバッテリの再充電と、HSCから従来のPCモニタへの映像出力と、HSCから標準オーディオスピーカへのオーディオ出力と、マイクロホンからのオーディオ入力と、キーボードおよびマウス操作と、例えば、イーサネット(登録商標)を介したインターネット接続とを、可能にする。
ハンズフリーアプリケーションであろうと、手依存アプリケーション(例えば、従来のPCアプリケーション)であろうと、アプリケーションすなわちアプリケーション機能は、同じアプリケーションデータを共有しできる。なぜならば、当該データは、ハードディスクなどのHSCの記憶部やメモリに記憶され得るためである。アプリケーションは、マウスおよびキーボードを用いて従来の方法で操作される全ての、例えば、ワード、エクセル、インターネットエクスプローラなどのPCアプリケーションを含み得る。HSCが、いずれかのモード、すなわち、ヘッドセットモードまたはドッキングモードで動作している間、アプリケーションは、同じデータファイルにアクセスでき、よって、両方のモードが同じデータファイルを共有する。例えば、ユーザは、ドッキングモード(本明細書中において「デスクトップ」モードまたはPCモードとも呼ぶ)で、新規の書類を作成でき、当該書類は、その後、ヘッドセットモード(本明細書中において「ハンズフリー」モードとも呼ぶ)で見ることができる。別の例では、ハンズフリーユーザは、HSCに動作可能に接続された(好ましくは組み込まれた)カメラによって、スナップショット写真を撮影でき、そして、当該スナップショット写真は、デスクトップモードで見ることができ、編集され得る。したがって、HSCは、「オフィスユーザ」および「モバイルワーカー」両方に役立つデュアルパーソナリティデバイスとして動作し得る。本明細書中で用いられる場合、用語「アプリケーション機能」は、有効な口頭コマンドおよびヘッドモーションコマンド等を提示するGUI機能、ファイルに関する、作成、開く、書き込み、読み込み等を含む操作、またはこれらの組合せを含む、コンピュータソフトウェアによって制御される多くの要素を指し得る。
ボイスコマンドを用いるデバイスの制御を可能にするHSCの自動音声認識機能は、有用な機能であり得る。例えば、郵便番号01803マサチューセッツ州、バーリントン、ウェイサイド・ロード1のNuance Communications, Inc.から入手可能なものなどの音声認識製品を用いて、自動音声認識機能が、可能となり得る。また、例えば、郵便番号20850メリーランド州、ロックビル、シャディ・グルーブ・ロード15245、スイート400のHillcrest Laboratories, Inc.から入手可能な6軸また9軸センサモジュールトラッカーを用いて、頭部追跡機能が、可能となり得る。
HSCに用いられるオペレーティングシステムおよび/またはデバイスドライバは、HSCがドッキングステーションにあるかまたはドッキングステーションから離れて動作しているか(例えば、ユーザの頭部上にあるか)を考慮するように修正され得る。動作モードの選択が、例えば、HSCがドッキングされたときを検出する入力を受けて、自動的に行われ得る。
理解されるように、ハンズフリーアプリケーションによって生じた動作、制御および視覚的表示は、通常のデスクトップPCアプリケーションの対応する要素とは異なる。マイクロディスプレイとデスクトップディスプレイにおける情報の好ましい視覚的表現は異なる。
一実施形態では、HSCは、2011年2月1日に出願された、Jacobsenらによる「Wireless Hands-Free Computing Headset With Detachable Accessories Controllable By Motion, Body Gesture And/Or Vocal Commands」と題された同時係属米国特許出願第13/018,999に記載されたHSCの形態を取ってもよい。当該出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1Aおよび1Bは、高解像度(VGAまたはそれ以上)マイクロディスプレイ要素1010と以下に記載の他の機能とが一体となったワイヤレスコンピューティングヘッドセットデバイス100の例示的な実施形態を示す。HSC100は、ヘッドセットに埋め込まれたおよび/または組み込まれたおよび/または(図1Bに詳細には図示されていない)1つ以上の周辺機器ポートを介してデバイスに取り付けられた、1つ以上のマイクロホン、スピーカを含むオーディオ入力および/または出力装置、地理測位センサ(GPS)、3軸〜9軸自由度方位センサ、大気センサ、健康状態センサ、デジタルコンパス、圧力センサ、環境センサ、エネルギセンサ、加速度センサ、位置用、姿勢用、運動用、速度用および/または光学用センサ、カメラ(可視光用、赤外線用など)、マルチプルワイヤレス無線、補助照明、距離計など、および/またはセンサ配列を含み得る。ヘッドセットコンピューティングデバイス100の筐体内に典型的に配置されているのは、マイクロコンピュータ(シングルまたはマルチコア)、1以上の有線および/または無線通信インターフェース、メモリまたは記憶装置、さまざまなセンサ、ならびに「ホットシュー」などのマウント(周辺マウントも可)を含むさまざまな電子回路である。
HSC100の例示的な実施形態では、図1Aに示されるような、ボイスコマンド、頭部の動き110、111、112および手のジェスチャー113、またはこれらの任意の組合せを検出することによって、ユーザ入力を受け取り得る。マイクロディスプレイ1010の近辺でHSC100に動作可能に接続または好ましくは組み込まれたマイクロホン(複数可)が、音声コマンドを捕捉するために用いられ得て、そして、当該音声コマンドは、自動音声認識(ASR)技術を用いて、デジタル化および処理される。ジャイロスコープ、加速度計および他のマイクロ電気機械システムセンサが、HSC100に組み込まれ、ユーザの頭部の動きを追跡してユーザ入力コマンドを提供するために用いられ得る。カメラ10081などで示されるカメラ、または他の動作追跡センサが、ユーザ入力コマンドのためのユーザの手のジェスチャーをモニタするために用いられ得る。このようなユーザインターフェースは、他のモバイルデバイスの手に依存する形式を克服する。
図1Bは、ヘッドセットコンピュータ100の例示的な実施形態のいくつかの詳細を示す斜視図である。例示的な実施形態のHSC100は、概略的に、フレーム1000と、連結式支持体1002と、筐体1004と、スピーカ1006と、マイクロホン(複数可)が組み込まれた、アームまたはブーム1008とも呼ぶカンチレバーと、マイクロディスプレイアセンブリ1010と、組込カメラ10081と、周辺機器ポート1020と、を含む。
頭部装着フレーム1000および連結式支持体1002は、概して、ユーザがヘッドセットコンピュータデバイス100をユーザの頭部に装着できるように構成されている。筐体1004は、概して、マイクロプロセッサ、メモリまたは他の記憶装置、低電力ワイヤレス通信装置(複数可)などの電子機器を、他の付随する回路とともに、収容する薄型のユニットである。スピーカ1006は、ユーザに、マルチメディア表現のオーディオ部またはユーザコマンドの認識の信号を伝達するオーディオプロンプト、警報もしくはフィードバックなどの情報が聞こえるように、ユーザに対してオーディオ出力を提供する。
マイクロディスプレイアセンブリ1010は、(静止)画像および(動画)映像などの視覚的情報をユーザに表示またはレンダリングするために用いられる。マイクロディスプレイ1010は、アーム1008に接続されている。アーム1008は、概して、マイクロディスプレイアセンブリ1010が、ユーザの視野内、好ましくはユーザの目の前、または好ましくは目より少し下もしくは上の周辺視野内に、配置され得るように、物理的な支持を提供する。また、アーム1008は、マイクロディスプレイアセンブリ1010と、筐体ユニット1004内に収容されている制御回路との間の電気的または光学的接続を提供する。
以下により詳細に説明する局面によると、マイクロディスプレイ1010を含むHSC100によって、エンドユーザは、仮想ディスプレイ400で区画されたかなり大きい領域内の視野300(図1A)を選択できる。ユーザは、通常、視野300の位置、範囲(例えば、X−Yまたは3D範囲)および/または倍率を制御できる。
図1Aおよび図1Bに示されたHSC100の例示的な実施形態は、片持ちブームでユーザの顔の前の視野内に支持された、単一の固定表示要素を提示する単眼マイクロディスプレイであるが、付加的な補助ディスプレイデバイスとしてのHSC100のための他の機械的構成が可能であることが理解されるべきである。
図2は、ヘッドセットコンピューティングデバイスおよびドッキングステーションの例示的な実施形態の最上位の概略図である。ヘッドセットコンピューティングデバイス100は、マイクロディスプレイ1010と、プロセッサ1030と、自動音声認識(ASR)モジュール1032と、頭部追跡(HT)モジュール1034と、ソフトウェアアプリケーション1036と、メモリモジュール1040と、データセット1042と、再充電可能バッテリ1016と、オーディオスピーカ1006と、マイクロホン1014と、加速度計と、ジャイロと、3軸磁気計と、を含む。ドッキングステーション200は、ドッキングステーションユニット2050と、ドッキングポート2052と、ディスプレイ(モニタ)2010と、オーディオスピーカ2006と、キーボード2062と、ポインティングデバイス2064と、任意にマイクロホン2066と、を含み得る。
デジタルプロセッサ1030は、マイクロディスプレイ1010と、メモリモジュール1040と、バッテリ1016と、オーディオスピーカ1006と、マイクロホン1014(複数可)および運動センサ1018を含むユーザ入力装置とに、動作可能に接続されている。プロセッサ1030は、自動音声認識モジュール1032および頭部追跡モジュール1034を用いて、ハンズフリーユーザインターフェースセンサから受け取った信号を、アプリケーション1036を実行するための制御コマンドに変換する。アプリケーション1036は、メモリモジュール1040に記憶されたデータセット1042にアクセスし得る。ヘッドセットモードで動作している間、プロセッサ1030は、ユーザインターフェースをマイクロディスプレイ1010およびオーディオスピーカ1006に出力する。バッテリ1016は、ヘッドセットモードの間、HSC100に電力を供給する。(メモリ1040は、好ましくはヘッドセットコンピューティングデバイス100に配置されるが、HSC100に配置される必要はなく、例えばクラウドベースメモリモジュール等、単にHSC100がアクセスしやすいものであればよいことを、当業者であれば、認識すべきである。)
ドッキングステーションユニット2050(本明細書中においてドッキングステーションとも呼ぶ)は、ドッキングポート2052を含む。ドッキングポート2052は、通信可能にHSC100に接続し、ドッキングステーション200とHSC100との間の通信/パワーリンクを可能にする。ドッキングステーション2050は、例えば従来のコンピュータモニタ等のディスプレイ(モニタ)2010、オーディオスピーカ2006、キーボード2062、例えばマウス等のポインティングデバイス2064、および任意にマイクロホン2066に通信可能にさらに接続される。ディスプレイモニタ2010は、ヘッドセットがドッキングモードで動作しているとき、グラフィカルユーザ情報をユーザに表示する。さらに、ドッキングモードの間、キーボード2062およびポインティングデバイス2064は、ドッキングステーション2050におけるユーザ入力を捕捉し、そのような入力をプロセッサ1030に伝達するために用いられ、それによって、アプリケーション1036が制御され得る。マイクロホン2066は、ドッキングステーションモードの間、ヘッドセットコンピューティングデバイス100のための音声入力装置として任意に用いられ得て、そして、ヘッドセットモードでは、音声制御処理と同様な方法で自動音声認識モジュール1032によって、処理対応され得る。
図3Aおよび図3Bは、ヘッドセットモード動作およびドッキングモード動作のためのHSC100によって表示された例示的なグラフィカルユーザインターフェースを示す。
図3Aは、音声コマンドおよびヘッドモーションコマンドを用いて、ハンズフリーでナビゲートされ得る、3つの異なる画面表示301a−1〜301a−3を示す例である。「マイファイル」画面表示301a−1は、ファイルエクスプローラアプリケーションのためのヘッドセットモードGUIを示す。ファイルマネージャまたはファイルブラウザとも呼ばれるファイルエクスプローラアプリケーションは、ユーザにインターフェースを提供してファイルシステムと連動する(work with)コンピュータプログラムである。ファイルまたはファイルグループに対して行われる最も一般的な操作は、作成、開く、編集、閲覧、印刷、再生、名称変更、移動、コピー、削除、検索/探索、およびファイル属性や、プロパティ、ファイル許可の変更である。本発明の例によると、いくつかのそのような一般的な操作は、HSCの動作モード(すなわち、ヘッドセットモードまたはドッキングモード)によって、限定(例えば、機能しないように)され得る。例えば、ヘッドセットモードでは、開く、閲覧、印刷、再生および検索/探索などの操作が、使用可能であってもよく、一方、他の操作は、使用可能でなくてもよい。表示画面301a−1に見られるように、「open file 7」などの有効なボイスコマンド305aが、ユーザに対して視覚的に提示され得る。
ヘッドセットモードで動作中のHSC100の「マイライフ」表示画面301a−2は、時間、日付およびカレンダスケジュール情報などのユーザ視覚情報と、通知およびそのような機能に付随する有効なボイスコマンドとを提供し得る。例えば、ボイスコマンド「open item 2」によって、ボイスメールおよび/または視覚的ボイスメールメッセージを開けることができる。
ヘッドセットモードで動作中のHSC100の「マイソーシャル」表示画面301a−3は、最新ニュース、ソーシャルネットワーク更新(例えば、Tweets(登録商標))および他の知っておくべき情報をユーザに提供し得る(Tweetは、郵便番号94103カリフォルニア州、サンフランシスコ、マーケット・ストリート1355、スイート900のTwitter, Inc.の登録商標である)。
図3Bは、ドッキングモードでの画面表示を示す例である。画面表示301bは、ファイルエクスプローラアプリケーションのためのドッキングモードGUIを示す。ファイルエクスプローラアプリケーションは、階層状にファイルを表示し得て、そして、ファイルまたはファイルグループに対して一般的な操作を行い得る。本発明の例によると、ドッキングモードでのHSCの動作中、多くの操作が、限定されていなくて(すなわち非制限)もよい。例えば、ドッキングモードにおいて、開く、作成、編集、閲覧、印刷、再生、名称変更、移動、コピー、削除、検索/探索、およびファイル属性や、プロパティ、ファイル許可の変更などの操作を、全て、ユーザが使用可能であってもよい。画面表示301bから分かり得るように、マウス(または他のポインティングデバイス)が、GUIアイコンを選択することによってファイルエクスプローラアプリケーションをナビゲートするために用いられ得る。また、画面表示301bから分かり得るように、キーボードが、ファイルの場所のアドレスをタイプして当該ファイルの場所へナビゲートするために、用いられ得る。
図4は、異なるソフトウェアレイヤと、ヘッドセットモードおよびドッキングモードにおけるHSC100の動作に対するそれらの関係とを示す最上位のソフトウェア図である。HSCソフトウェアスタック4000が、リナックス(登録商標)カーネル4001などの、オペレーティングシステム(OS)のカーネルと、ライブラリ/ランタイムレイヤ4003などの、アプリケーションの実行中にプログラミング言語に組み込まれた機能を実装するためのライブラリおよびランタイムライブラリと、アプリケーションフレームワーク4005などの、アプリケーションの標準構造を実装するためのアプリケーションフレームワークと、HSCアプリケーション4007などの、OSカーネル、ライブラリおよびフレームワーク上で動作し得るアプリケーションとを含む。ソフトウェアスタック4000は、動作モード、つまり、ヘッドセットモードまたはドッキングモードを決定する、HSCアプリケーションプログラミングインターフェース(API)4009をさらに含み得る。ソフトウェアスタック4100が、ヘッドセットモードでの動作中に用いられる。ヘッドセットモードソフトウェアスタック4100は、頭部追跡モジュールドライバ4105と、ソフトウェアスタック4000の異なるレイヤにアクセスし得る自動音声認識モジュール4103と、マイクロディスプレイ1010を駆動するヘッドセットHSCモードディスプレイ4101とを含む。
ドッキングモードソフトウェアスタック4200が、ドッキングモードでのHSC100の動作中に用いられ、再充電可能バッテリドライバモジュール4201と、タッチスクリーンなどのタッチデバイスまたはトラックパッドなどの他の容量性入力タッチ入力デバイスを介したユーザからの入力を制御し得るタッチデバイスドライバ4203と、光学式マウスなどのポインティングデバイスドライバ4205と、キーボードドライバ4207と、グラフィカルユーザインターフェースを典型的にはモニタ2010を介して表示するドッキングモードディスプレイドライバ4209とを含む。
図5は、デュアルパーソナリティヘッドセットコンピュータ500を動作させる例示的な方法の最上位のフローチャートである。デュアルパーソナリティヘッドセットコンピュータ500を動作させる例示的な方法は、ヘッドセットコンピューティングデバイスが、ヘッドセット状態であるかまたはドッキング状態であるかが判定される、状態判定(ステップ501)を含む。(ドッキング状態のヘッドセットコンピューティングデバイスが、ドッキングステーションに動作可能に接続されているとする。)次に、HSC100は、判定された状態に従ったモードで動作する(ステップ503)。ヘッドセットコンピュータは、判定された状態に基づいて、ヘッドセットモードまたはドッキングモードで動作する。次に、アプリケーション機能が、動作モードに従って、有効または無効にされる(ステップ507)。アプリケーション機能は、(i)HSC100がヘッドセットモードのとき、ハンズフリーユーザインターフェースを有効にし、手依存ユーザインターフェースを無効にすることと;HSC100がドッキングモードのとき、手依存ユーザインターフェースを有効にして、ハンズフリーユーザインターフェースを無効にすることとを、含みうる。次に、HSC100のメモリに記憶されているデータセットが、アクセスされる(ステップ509)。ヘッドセットコンピュータのメモリモジュール内の共通のアプリケーションデータセットが、実施されたアプリケーションに従ってアクセスされる。
本発明のさらに例示的な実施形態が、コンピュータプログラム(製品)を用いて構成されてもよい。例えば、制御が、本発明の例示的な実施形態を実施するためのソフトウェアにプログラム化されてもよい。本発明のさらに例示的な実施形態が、プロセッサによって実行され得て、かつ、実行される際、当該プロセッサに本明細書中に記載の方法を行わせる命令を含む非一時的でコンピュータ読み取り可能な媒体を含んでもよい。本明細書中に記載したブロック図およびフローチャートの要素は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、または将来決定される他の類似するインプリメンテーションで実装されてもよいことが理解されるべきである。また、本明細書中に記載したブロック図およびフローチャートの要素は、ソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアにおいて、任意の方法で組み合わされたりまたは分割されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、当該ソフトウェアは、本明細書中に記載した例示的な実施形態をサポートし得る任意の言語で記述されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD−ROM)などの任意の形態のコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよい。作動中、汎用またはアプリケーションに特化されたプロセッサが、当該技術分野でよく理解された方法で、ソフトウェアをロードして実行する。ブロック図およびフローチャートが、より多いまたはより少ない要素を含み、配置または向きが異なったり、または表現が異なっていてもよいことがさらに理解されるべきである。本発明の実施形態の実行を説明するブロック図、フローチャートおよび/またはネットワーク図そしてブロック図およびフローチャートの数が、実装時に影響を受けてもよいことが理解されるべきである。
本明細書で引用された、全ての特許、公開された出願および文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明をその例示的な実施形態を参照して詳細に示して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、さまざまな形の変更および詳細説明がなされ得ることが当業者によって理解されるであろう。