JP2015514413A - 喫煙品 - Google Patents

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Abstract

本発明は喫煙品(10)が提供され、これは喫煙材ロッド(11)と、該ロッドの一端に取り付けられたフィルター(12)とを含み、このフィルターは、少なくとも2つのセクションを含み、多孔性プラグラッパーに包まれ、第1チッピングラッパー(14)が喫煙材ロッドとフィルター間の継ぎ目上に重なり、さらに別の少なくとも1つのチッピングラッパー(15)がフィルターの周囲に設けられ、多孔性プラグラッパーの一部が第1およびこの別の少なくとも1つのさらなるチッピングラッパーの間で露出するように第1チッピングラッパーから離れて、第1チッピングラッパーとは別に設けられ、これらチッピングラッパーは、通常、プラグラッパーより小さい多孔率を有する。しかしながらチッピングラッパーがプラグラッパーより大きい多孔率を有する場合、分割チッピングはそれでもその機能性を維持する。

Description

本発明は喫煙物品に関し、特に、個々に主流煙中の特定の成分または成分群の機械測定収量を減少させる喫煙品に関する。
従来から紙巻きタバコなどの喫煙品は、紙のラッパーに包まれたタバコまたはタバコベースの喫煙材からなる円柱形状のタバコロッドを含み、フィルターユニットが設けられている場合がある。その基本的な形状において、フィルターユニットは、セルロースアセテートトウなどのフィルター材から形成された円筒状のエレメントであり、選択的に凹部および隙間並びに粒状炭素などの添加剤等の煙流およびフィルター機能を変性する特徴を含む。トウはフィルター材の円筒状形状および構造を維持するのに役立つプラグラッパー層で包んでもよい。フィルターユニットは、チッピング紙を使用してタバコロッドに接合され、このチッピング紙は、フィルターユニットに巻かれ、フィルターユニットとタバコロッド間の継ぎ目に重なる外方の紙の層である。チッピング紙は、所定の場所に糊付けされる。
タバコの煙は、5000種を超える同定成分からなる複雑で動的な混合物で、その内の約150種が望ましくないものとして報告されている。これらの成分は、喫煙者により吸い込まれる主流煙(MS)中に存在し、また吸煙と吸煙の間に副流煙(SS)の成分として放出される。
2001年に米国医学研究所(Institute of Medicine:IOM)は、喫煙関連疾患は喫煙量依存性で、また疫学研究によると喫煙を中止すると喫煙関連疾患のリスクが減少するので、曝露量を減少させる可能性のある商品(potential reduced-exposure product:PREP)を開発することにより喫煙関連リスクを減少できる可能性があるかもしれないと報告している。IOMはPREPを、(1)1種以上のタバコの有毒物質への曝露の大幅な減少をもたらす製品;及び(2)リスク低減の請求が行われた場合、合理的に1つ以上の特定の疾患又は他の健康への悪影響のリスクを低減することが合理的に期待できる製品として定義している。(Strattonら、2001)。現在までにIOMによって概説されている一般的な要件を満たすとされた可燃性タバコ製品は現れていない。
従って、望ましくないとされる全ての主流煙成分の放出が大幅に低減された喫煙品を提供するという課題が存在する。しかしながら、特定の成分を低減するための個々の対策が往々にして他の成分を低減しないばかりか、場合によっては他の成分の濃度を増加させることになる。
さらに消費者に受け入れられる製品を製造することも重要である。従来の喫煙品の感覚的刺激の多くは、MSの構成成分および圧力降下およびパフの数などの他の要因に基づいている。特定のMS構成成分を減少させるために取られたいくつかの手段は、喫煙者が満足しない喫煙経験を喫煙者に供することが判っている。
本発明のいくつかの実施態様では喫煙品が提供され、これは喫煙材ロッドと、該ロッドの一端に取り付けられたフィルターとを含み、このフィルターは、少なくとも3つのセクションを含み、多孔性プラグラッパーに包まれ、第1チッピングラッパーが喫煙材ロッドとフィルター間の継ぎ目上に重なり、さらに別の少なくとも1つのチッピングラッパーがフィルターの周囲に設けられ、多孔性プラグラッパーの一部が第1およびこの別の少なくとも1つのさらなるチッピングラッパーの間で露出するように第1チッピングラッパーから離れて、第1チッピングラッパーとは別に設けられ、これらチッピングラッパーは、プラグラッパーより小さい多孔率を有する。
いくつかの実施態様では、少なくとも1つのフィルターセクションが繊維性フィルター材を含む。少なくとも1つのフィルターセクションは、多孔性吸着剤を含んでもよい。少なくとも1つのフィルターセクションは、イオン交換樹脂を含んでもよい。
特定の実施態様において、少なくとも1つのフィルターセクションに含まれる多孔性吸着材は、工学的多孔性構造を有する多孔性カーボンである炭素である。そのフィルターセクションは、多孔性吸着材を約20mg〜約80mg含んでもよい。
特定の実施態様において、少なくとも1つのフィルターセクションに含まれるイオン交換樹脂は、表面活性アミンを有する。フィルターセクションは、イオン交換樹脂を約5mg〜約40mg含んでもよい。
いくつかの実施態様ではフィルターは、繊維性フィルター材を含む吸い口端セクションと、イオン交換樹脂を含むセクションと、喫煙材ロッドに隣接して多孔性吸着材を含むセクションとを含む。
いくつかの実施態様ではフィルターは、従来の紙巻きタバコのフィルターより長く、約30mm〜約40mm、好ましくは約37mmの長さを有する。
いくつかの実施態様では喫煙品のフィルターおよび喫煙材ロッドを含む全長が約83mmである。
いくつかの実施態様では喫煙品は、 従来の紙巻きタバコの円周より小さい約21mmの円周を有する。
いくつかの実施態様では第1および少なくとも1つのさらなるチッピングラッパー間の隙間の幅は、約10mmである。
いくつかの実施態様では喫煙品は、チッピングラッパーおよび/またはフィルター胴体に形成された換気孔をさらに含む。
いくつかの実施態様では、喫煙材ロッドは、次の内の1つ以上を含む
(a)窒素性化合物の量を減少させるために処理されたタバコ、
(b)ポリフェノール類および/またはペプチド類の除去処理されたタバコ、
(c)非燃焼性無機充填材、バインダーおよびエアロゾル発生手段を含むタバコ代替えシート。
さらに喫煙材は、タバコおよび/またはドライアイス膨張タバコ(DIET)をさらに含んでもよい。
さらにいくつかの実施態様では喫煙材は、さらにグリセロールを含む。喫煙材は、これに加えてまたはこれとは別に少なくとも1つの風味剤を含む。
いくつかの実施態様では喫煙品の喫煙材は、ブレンド処理されたタバコ、タバコ代替えシート、DIET、葉身タバコ、グリセロールおよび濃縮風味剤を含む。
本発明の実施態様を添付図面を参照してあくまで例示を目的として説明する。
本発明の実施態様による喫煙品の略図である。 図1のフィルターの内部構造をより詳しく例示する分解図である。 本発明の別の実施態様による喫煙品の長手方向断面を略式に示した図である。 高活性ポリマー由来の炭素が調製される方法の概要を示す。 換気システムを変えて測定した換気流を示す。
本発明は、消費者受容性を維持しつつ、毒性物質減少量が大きい喫煙品を供するために換気システムが強化されたフィルター設計を含む喫煙品に関する。
いくつかの実施態様では毒性物質の減少量は、特別なタバコブレンドおよび/または特別な吸着性フィルター添加剤とフィルターの組み合わせによってさらに向上させることができる。さらに任意の新規な喫煙品の全体的なフォーマットは、フィルター設計の効果および他の毒性物質の減少手段のバランスを取ることを補助し、喫煙品の消費者受容性を向上させることができる。
標準的なまたは従来の紙巻きタバコではフィルターおよびタバコロッドは、チッピングラッパーで接合され、これはフィルターの全長および隣接するタバコロッドの端部を覆う。換気が供される場合、換気は、チッピング紙に形成された孔または流路の形体をとり、周囲空気をフィルター内に引き込んだり、MSを希釈したりする。
本発明の実施態様において、チッピングラッパーはフィルター全体を覆わない。その代わりにチッピング紙は、分割されるおよび/または2つ以上の条片を含む。第1チッピングラッパーは、例えばフィルターをロッドに取り付けるためにフィルターと喫煙材ロッド間の継ぎ目を覆う。少なくとも1つのさらなるチッピングラッパーが第1チッピングラッパーとは別にこれから離れてフィルターの別の部分を囲み、これにより第1および少なくとも1つのさらなるチッピングラッパーの間に隙間が形成される。この隙間は、チッピングラッパーより多孔度の大きい材料で囲まれたフィルターの領域を露出させる。これにより多孔性(プラグラッパー)紙のみに囲まれたフィルターのセクションが生じ、気体のそのフィルターの領域へのおよび領域からの拡散を増加させる。例えば、CO(一酸化炭素)およびNO(酸化窒素)などの気体は、このフィルター領域からフィルターを出て拡散させてもよい。このいわゆる「分割チッピング」もまた速い流速で換気レベルの制御を向上させることができる。
ここで図1および2を参照すると、本発明の実施態様による喫煙品10が示されており、これは喫煙材ロッド11およびフィルター12を含む。ある実施態様では喫煙材ロッド11は、紙のスリーブ内に収容された喫煙可能なタバコまたはタバコベースの材料からなる円柱を含む。
喫煙材ロッド11はフィルター12に取り付けられる。この例示した実施態様では第1チッピングラッパー14は、喫煙材ロッド11とフィルターとの間の継ぎ目に重なって位置している。このチッピングラッパー14は、ロッド11のフィルター12への取り付けを補助する。さらなるチッピングラッパー15がフィルターの吸い口端13でフィルターを囲んでいる。チッピングラッパー14、15は、互いに離れて個別に位置し、その間に隙間16を設けている。この隙間16は、チッピングラッパーに囲まれていないフィルターの1つのセクションである。例示した実施態様では隙間16のこのフィルターのセクションは、露出した多孔性プラグラッパーで囲まれている。
フィルター12の構造を図2の分解図により詳しく例示する。フィルターは、3つの個別のフィルターセクション21a、21b、21cを含む。各個別のフィルターセクション21a、21b、21cは、好ましくは異なる。各個別のフィルターセクション21a、21b、21cが所望の構造を維持するために、これらは選択的にそれぞれ個別に個々の内方プラグラッパー22a、22b、22cに包まれる。
端部と端部同士が接触して位置すると、これら3つの個別の包まれたフィルターセクション21a、21b、21cは、その後単独のユニットとしてこれらを保持する一枚の外方プラグラッパー23で共に包まれる。外方プラグラッパー23は、多孔性材で製せられ、個別の内方プラグラッパー22a、22b、22cの少なくともいくつかも多孔性であってもよい。
フィルター12は、タバコロッド11およびフィルター12の周囲に巻かれる第1チッピングラッパー14によってタバコロッド11に取り付けられ、これらの間の継ぎ目上に位置する。チッピングラッパーは、所定の場所に糊付けされる。
第2の別個のチッピングラッパー15は、タバコロッド11に対して遠位にあるフィルター12の吸い口端13に巻かれ、および第1チッピングラッパー14から離れており、間に隙間16を残している。外方プラグラッパー23は隙間16で露出し、喫煙品10のフィルターセクションに換気領域を画定する。フィルターのこのセクションの多孔度は、外方プラグラッパー23およびその領域でフィルターを囲むあらゆる内方プラグラッパーの多孔度によって決まる。チッピングラッパーは、好ましくはチッピングラッパー14、15の間の隙間16と位置合わせされたフィルターのセクションを囲む紙の多孔度と較べて多孔度の小さい領域を供する。
図1および2に例示した本発明の実施態様ではフィルター12は、3つの個別のセクション21a、21b、21cを含むと説明した。しかしながら、当然のことながら3つ超のフィルターセクションを設けることも本発明の範囲内である。さらに本発明は、各個別のフィルターセクション21a、21b、21cが最初にそれぞれの個別のプラグラッパー22a、22b、22cに包まれることに限定されるものではなく、代わりに外方プラグラッパー23がフィルターセクションの全てを一緒にそれらの好ましい形体、例えば円筒状に保持する役割を果たしてもよい。
図2に示す実施態様では3つのフィルターセクション21a、21b、21cは、同じ大きさではない。この例示した実施態様では吸い口端セクション21cは、中央のセクション21bより短く、このセクション21bは、喫煙材ロッドに隣接するセクション21aより短い。特定の実施態様では吸い口端セクション21cの長さは7mmで、中央のセクション21bの長さは10mmで、喫煙材ロッドに隣接するセクション21aの長さは20mmである。
第1および第2チッピングラッパー14、15は、喫煙材ロッドに隣接するセクション21aを部分的に露出させる大きさであり、露出させるように位置する。フィルターの吸い口端にある第2チッピングラッパー15は、第1チッピングラッパー14より幅が広い。図2に例示した特定の実施態様では第1チッピングラッパーが11mmの幅の領域を覆い、喫煙材ロッドの端部および隣接するフィルターセクション21aの一部上に位置する。具体的には第1チッピングラッパー14は、5mmの喫煙材ロッドおよび6mmの隣接するフィルターセクション21a上に位置してもよい。例示した実施態様の第1チッピングラッパー14と第2チッピングラッパー15の間の隙間は、10mmである。図2に例示した実施態様では第2チッピングラッパーは、フィルターの吸い口端12で幅21mmの領域を覆い、吸い口端側のフィルターセクション21cの全て、真ん中のフィルターセクション21bおよび喫煙材ロッドに隣接するフィルターセクション21aの一部(4mm)の全てを覆うように位置する。従って第1および第2チッピングラッパー14、15の間の隙間16は、喫煙材ロッド11に隣接するフィルターセクション22aの一部と位置合わせされる。
上述の喫煙品10から本発明の範囲内でいくつかの変形例が可能である。例えば、2つ超の別個のチッピングラッパーをフィルターおよび/または喫煙材ロッドを囲んで設けてもよく、これらは2つ以上の隙間を設けるように位置させてもよい。ラッパーの大きさ(幅)およびそれらの位置は、異なる幅のおよび異なる位置に隙間を設けるために変えられてもよい。さらにフィルターセクションの数および大きさも変更可能である。
図3は喫煙品の別の実施態様を示し、ここではフィルター112はさらに換気孔131を含む。喫煙品110は、換気孔131を含むことを除いて、図2に例示した喫煙品10と同じ部材を含む。
換気孔の目的は、喫煙者が喫煙品を吸引した際に空気がフィルターに入るようにすることである。空気は、火がつけられた喫煙材からフィルターを介して引き込まれる主流煙および他の成分と混ざり、これらを希釈する。換気孔を作製するために現在使用されている技術が種々ある。チッピングラッパーは、機械的なあるいは静電的な穿孔装置またはレーザービームによって巻かれる前に予め穿孔されてもよい。これとは別に喫煙品が組み立てられた後にレーザービームを使用してオンラインシステムまたはオンマシンシステムを利用して孔を作製してもよい。後者の場合、孔が集光レーザービームによってフィルター内に到達し、よってフィルターに巻かれた一枚以上の紙(チッピングラッパーおよびプラグラッパー)を通過し、フィルター内のフィルター材に到達する。
フィルターの長さに沿った孔の位置によって、特に複数のセグメントからなるフィルターの個々の部材を参照して孔が配置されている場合、ろ過および希釈効果を変質することができる。上述の「分割チッピング」を有する喫煙品では、この分割チッピングが流量が多い場合に換気レベルの制御を向上させることが判っている。
3つの異なる換気システムの換気流測定を図5に示す。プロットAは、全てのフィルター換気が20mmの間隔の分割チッピングで行われる試験紙巻きタバコのデータを示している。プロットBは、フィルターにオン−マシンレーザー(OML)換気を有する市販されている対照紙巻きタバコのデータを示している。プロットCは、換気の一部が分割チッピング(10mm間隔)および部分的にOML領域によってフィルターに製せられている試験紙巻きタバコのデータを示している。
ISO機械吸煙条件下、即ち紙巻きタバコが一秒当たり17.5cm(または1.050L/分)で吸煙される平均ISO流量で、フィルター換気は、総パフ容量に対する紙巻きタバコフィルターの換気孔を介して流入する空気の割合、または紙巻きタバコ平均流量として測定される。得られる換気量は、製品のタール、ニコチンおよびCOのISO生成量に影響を与える。消費者が紙巻きタバコを喫煙すると、消費者はISOに対して紙巻きタバコをより大きなパフ容量および/またはより大きな流量で吸引する。従って、消費者は、ISO機械喫煙値を上回る生成量を従来の紙巻きタバコから受ける。この生成量の増加の理由の1つは、「フィルター換気」効果がISO(図5のプロットBで示す)を超える吸引量では減少するからである。
対照的に「分割チッピング」換気システム(追加の換気孔の無い)では、紙巻きタバコを通る流れの量がISOの流れの量を超えて増加しても、「換気効果」は、従来の製品で予測される度合いほど減少しない。実際、「分割チッピング」領域を介した流れ対圧力降下の関係は、ほとんど直線状であり、紙巻きタバコロッド内の流れが増加すると、「分割チッピング」を通過する流れは、ほぼ同じ割合で増加する。従って、より強い喫煙下でも「換気効果」はほとんど失われない(図5のプロットA参照)。
当業者に自明のことであるが分割チッピングは、換気領域が塞がれていないときの人間または機械喫煙による収量に影響を与えるにのみ効果的である。このことは分割チッピングはカナダ保健省集中喫煙(機械)法を使用した場合には効果的でないことを意味する。
分割チッピングだけで達成される正確な換気レベルを予測するのは難しいので、いくつかのトライアルサンプルを作製し、オン−マシンレーザーを使用してサンプルフィルター換気を「微調整」し、所望のISO収量(例えば、図5のプロットCに使用される)を得た。このプロットで明らかなように、分割チッピングのこの効果は、組み合わされた換気システムを使用して証明される。
図3に例示した実施態様では換気孔131は、集光レーザービーム(オンマシンレーザー)による焼きによってフィルター112の周囲に環状に位置している。換気孔は、チッピングラッパー115、その下に位置するプラグラッパー123およびあらゆる任意の内方プラグラッパー(図示せず)を介して延び、フィルター胴体内に僅かな距離で延びている。
換気孔は、フィルターの吸い口端から約11〜16mmの位置でフィルターの周囲の列または領域として配されている。この例示した特定の実施態様では換気孔131は、フィルター112の吸い口端113から13mmの所に設けられている。このことは、換気孔131が真ん中のフィルターセクション121bと位置合わせされることを意味する。
レーザーによって製せられた換気孔は、通常、1〜2mm程度の深さを有するが、換気孔は2mmを超える深さでフィルターの胴体内に延びてもよく、例えば2〜3.5mmの深さおよび/またはフィルターの直径の少なくとも25%またはフィルターの直径の25〜50%の深さで延びてもよい。いくつかの実施態様では喫煙品はチッピングラッパーおよびあらゆるプラグラッパーを介してフィルター内に延びる少なくとも1つの換気孔を含む。換気孔は、換気孔を介して引き込まれた空気がフィルターの中央領域に入るような深さで延びてもよい。これとは別に1つ以上の換気孔を設け、フィルターを通る希釈空気の通過を調整するために配置してもよい。例えば換気孔は、深さを変えてもよく、所定のフィルター部分と位置合わせしてもよい。
従来の紙巻きタバコは、通常、フィルター材としてセルロースアセテート(CA)トウを含む。セルロースアセテートは、通常、隣接する繊維をそれらが接触する箇所で結合させる可塑剤で処理され、繊維状のトウの強度および構造的完全性を向上させる。この用途に好適な可塑剤は、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、TEC(クエン酸トリエチル)およびPEG400(低分子量ポリエチレングリコール)などが挙げられる。可塑化されたセルロースアセテートトウは、煙中に見られる半揮発性成分(例えばフェノール、o−クレゾール、p−クレゾールおよびm−クレゾール)の選択的除去を向上させることが知られている。本発明のいくつかの実施態様では、フィルターセクションの少なくとも1つは、セルロースアセテートを含む。いくつかの実施態様では吸い口端側フィルターセクション(図1でフィルターセクション21cとして例示した)は、セルロースアセテートトウ、好ましくは可塑化されたセルロースアセテートトウを含むまたはこれらから実質的に成る。
繊維性フィルター材もタールおよびニコチンを含む粒状相成分を減少させることができるが、選択的な減少はほとんど生じない。さらに言えば、セルロースアセテートフィルターは、揮発性成分に対してほとんどまたは全く効果が無いので、ろ過効率を増加させるとタールおよびニコチンに対するそれらの収量の比が高くなる。しかしながら、セルロースアセテートフィルターセクションがあることによって本発明の喫煙品の消費者受容性を高めることができ、このことはセルロースアセテートフィルターセクションがフィルターの吸い口端に位置する場合に顕著である。
喫煙品のフィルターの吸着特性をさらに向上させるために、多孔性吸着材剤を主流煙から揮発性成分のいくつかを除去するために含有させてもよい。活性炭(AC)は、紙巻きタバコフィルターに広く使用されている非選択的吸着材であり、物理吸着によって広範囲の揮発性煙成分をかなりの割合で減少させることができる。
多孔性炭素の吸着特性は、炭素の多孔質表面を操作することによって向上させることができ、これにより「高活性炭」(HAC)と言われるものが得られる。従って本発明のいくつかの実施態様ではフィルターの少なくとも1つのセクションは、高活性炭素を含む。
高活性炭素は、喫煙品のフィルターセクションのキャビティー内に組み込んでもよく、あるいはフィルター材(セルロースアセテートなどの)からなるプラグ全体に分散させてもよい(「ダルメシアン」スタイル)。いくつかの実施態様では高活性炭は、フィルターセクションの(内方)プラグラッパーの内面に塗布してもよく、これによりプラグラッパーとフィルター材からなるプラグの間に位置する。
いくつかの実施態様では喫煙材ロッドに隣接するフィルターセクション(図1でセクション21aとして例示したように)は、高活性炭を含む。いくつかの実施態様ではフィルターセクションは、20〜80mg、好ましくは約50mgの高活炭が充填される。
高活性炭は、ポリマー由来のものであってもよい。例えば、ポリスチレンから誘導された多孔性炭素ビーズ材であってもよい。
本発明の喫煙品に使用してもよい高活性炭の1つの可能な種類は、独自の工程(Von BlucherおよびDe Ruiter2004; Von Blucher et el2006; Bohringerおよび Fichtner2008)によって調製されたポリマー由来の炭素からなる実質的に球体状のものおよびBlucher GmbH(ドイツ)から入手可能なものを含む。
これらのポリマー由来の高活性炭粒子は、ココナッツシェルから通常誘導される市販の紙巻きタバコに一般に使用される炭素とは異なる孔構造を有する。その結果、その高活性炭粒子は、一連の揮発性煙毒性物質に対して優れた吸着特性を有する。ポリマー炭素は、ISO及びHCIの両喫煙条件で、かつ円周が標準及び小サイズの紙巻きタバコで良好な性能を示した。また、より高い流量の喫煙条件でのアセトアルデヒドの除去では限界も観察された。
ポリマー由来の炭素を調製するために使用される方法を図4に示す。ポリマー由来の活性炭は、不活性雰囲気中の減圧下で、間接加熱ロータリーキルンでバッチプロセスを用いて調製される。球状ポリマー供給原料の調製後、過剰の発煙硫酸を用いて供給材料を熱的に安定にする。その後、材料をゆっくり500℃に加熱することで、主にSO及びHOを放出させ、重合体を炭化させる。得られた炭素は、典型的な吸着物質が吸着できない初期孔系を有する。吸着できる多孔質系を作製するには、酸化剤(水蒸気)の活性化のために材料を更に900〜1000℃に加熱する。これにより、主に0.7〜3nmの孔径を有する細孔から成る細孔系が達成される。続くCOの活性化によって、主に3〜80nmの範囲のより大きいメソ孔が形成される。水蒸気及びCOによる活性化工程を組み合わせによって、所望の細孔特性を作製するための柔軟な方策が提供される。
ポリマー由来炭素は合成材料であるので、より均一な粒子径と同時に、より極めて明確な球形を有する。ポリマー由来材料は、炭化プロセスの出発原料として天然ヤシ殻と比較し、ポリマー供給原料の合成品としての性質を反映して、密度が低くて灰分が少ない。
ほとんどの煙成分は、ISO条件下でヤシ活性炭よりもポリマー由来炭素によってより効率的に吸着され、ホリムアルデヒド、アセトアルデヒド、シアン化水素(HCN)及びトルエン(50〜60%低減)以外に煙成分で80〜95%程度の低減が観察された。HCI条件下で、従来のヤシ炭素を用いた紙巻きタバコでは、アセトアルデヒド(16%)以外に、ほとんどの煙成分が25〜45%程度低減された。ポリマー由来炭素を含む紙巻きタバコでは、アセトアルデヒド及びHCN(15〜30%)以外に、大部分の煙成分が60〜90%低減された。
化学吸着によって主流煙から高揮発性アルデヒドおよびHCNなどの毒性物質を取り除くことも可能である。アミン官能化された樹脂は、主流煙からアルデヒドを求核捕獲する可能性を提供し、その弱い塩基性の性質によってまた主流煙からHCNを除去するのに使用することもできる。
従って本発明のいくつかの実施態様では少なくとも1つのフィルターのセクションは、イオン交換樹脂を含む。イオン交換樹脂は、表面活性化されたアミンを有し、選択された蒸気相アルデヒド成分およびシアン化水素に効果的に結合する。
アミン官能化された樹脂材料は、喫煙品のフィルターセクション内でキャビティー内に組み込んでもよく、またはフィルター材のプラグ(などのセルロースアセテート)全体に分散させてもよい(「ダルメシアン」スタイル)。いくつかの実施態様ではアミン官能化された樹脂は、フィルターセクションの(内方)プラグラッパーの内面に塗布してもよく、これによりプラグラッパーとフィルター材のプラグの間に位置させる。
1つの可能な構成において、中央のフィルターセクションは、5〜40mg、好ましくは約20mgのアミン官能化された樹脂で充填してもよい。
DIAION(登録商標)CR20は、市販のアミン官能化されたイオン交換樹脂ビーズ(三菱化学株式会社製)である。これは、高多孔性架橋ポリスチレンマトリックスに結合しているキレート配位子としてポリアミン基を有する。CR20は、遷移金属イオンに対し大きな親和性を示す。官能化によって生成するアミン基の正確な種類を精密に制御できないため、いくつかの異なる種類が樹脂の表面に存在し得る。
商用銘柄CR20(以後、CR20Cと呼ぶ)には、紙巻きタバコに組み込むと、従来の消費者に許容されるタバコ煙の特性と相容れない特有の臭気があることが判明した。しかしながら、三菱による合成条件の変更により、この臭気の強さは大幅に低減され、CR20の「低臭気」銘柄(以下、CR20Lと呼ぶ)が得られた。特に明記しない限り、本研究では、得られた全ての結果はCR20Lによるものである。この材料のビーズ径は600mm、密度は0.64g/cm、含水率は15重量%、総交換容量は0.92meq/cmであった。CR20DおよびCR20HDなどの他の種類のCR20も三菱化学株式会社によって製造されており、これらも喫煙品に好適に使用される。
一部のCR20ビーズは、水中に入った状態で供給されるが、紙巻きタバコのフィルターへの応用に適するように、少なくとも水の一部を除去することが必要な場合がある。一態様では、水を除去し、材料を15%以下の水分になるまで乾燥する。別の態様では、より高い含水率が喫煙品のフィルターで許容され得る。
具体的にCR20Lを含めて、CR20は紙巻きタバコフィルタに組み込むことができる。従来の炭素を含むフィルターと比較して、CR20Lは、HCN、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドに対する削減効果が優れている。
いくつかの本発明の実施態様では喫煙品は、新規なフォーマットをベースにしている。これは、一部には本明細書中で説明するいくつかの実施態様による長いフィルターを収容するためのものである。例えば、いくつかの実施態様では喫煙品は、全長が約37mmの3つ以上のフィルターセクションを含み、チッピング長(即ち喫煙品の吸い口端からチッピングラッパーの最も遠い縁部までの距離)は、42mmである。従来のキングサイズ紙巻きタバコは、一般に15から27mmの長さのフィルターを有する。本発明のいくつかの喫煙品のフィルターの長さを延ばすことによって、フィルター内での煙の抵抗時間が長くなる、および喫煙材ロッドの長さが短くなることによって燃焼する喫煙材が少なくなることによる二倍の煙ろ過効果が得られる。
いくつかの実施態様ではフィルターの長さは、少なくとも 30mm、31mm、32mm、33mm、34mmまたは少なくとも35mmである。これとは別にまたは加えて、フィルターの長さは、50mm未満、49mm、48mm、47mm、46mm、45mm、44mm、43mm、42mm、41mmまたは40mm未満であってもよい。
喫煙材ロッド長さを短くしたことに対して相殺するために、燃焼の遅い紙ラッパーを使用して喫煙材ロッドを巻いてもよい。これにより喫煙者は従来の長さの喫煙材ロッドと同じ喫煙品一本当たりパフ数で喫煙品を喫煙することができる。
これとは別の実施態様では喫煙品に従来の紙巻きタバコの喫煙材ロッドと同じまたは同様の長さを有する喫煙材ロッドを設けてもよい。これによりフィルターの長さにより従来の紙巻きタバコより長い喫煙品が得られる。
いくつかの実施態様では喫煙品は、標準的な「キングサイズ」の24.6mmの円周と比較して「デミスリム」と呼ばれている21mmの円周を有する。この喫煙品は、標準的な「キングサイズ」の長さである83mm(喫煙材ロッドおよびフィルターの両方を含む)長さを有する。
主流煙中に存在する毒性物質の減少率を高めるために喫煙品のフィルターに行う変性に加えて、さらに喫煙材に対する技術を使用してフィルターの効果を補うまたは必要に応じてそれらを相殺してもよい。
煙の毒性物質収量に有益な効果を有するタバコからのプロテインおよびポリフェノール類を除去する方法によって処理された処理タバコブレンドについてここで説明する。このタバコ処理は、刻まれた熱硬化タバコに行ってもよい。簡単に説明すると、タバコブレンドを水性抽出処理工程に付し、さらに抽出物を2段階のろ過を行い、ポリフェノール類および可溶性ペプチド類を除去する。残ったタバコ固形物をプロテアーゼで処理し、不溶性プロテインを除去する。洗浄および酵素不活性化した後、タバコ固形物およびろ過された水性抽出物を再度混合する。この処理によって本明細書中でブレンド処理タバコ(BTT)と言う材料が得られ、これにより煙のフェノール類、芳香族アミン類、HCNおよび複数の他の窒素系煙成分の収量が減少するが、ホルムアルデヒドおよびイソプレンの収量が増加する。このブレンド処理されたタバコは、シート材に再構成する必要が無く、元のタバコの構造を維持したまま、従来の紙巻きタバコ製造装置を使用して喫煙品に含ませるために喫煙材のロッド内に組み込んでもよい。
いくつかの本発明の実施態様では喫煙材は、ブレンド処理タバコを含む。
抽出されるタバコ材料は、ストリップタバコ、裁断タバコ、刻みタバコ又は粉砕タバコである。好ましい態様では、タバコは裁断タバコである。しかしながら、他の形状のタバコも本明細書に記載の方法を用いて抽出できる。
タバコ材料は、抽出のための溶媒と混合しスラリー状にしてもよい。溶媒は、タバコ材料に重量で10:1から50:1、好ましくは20:1から40:1、最も好ましくは25:1から30:1の割合で添加される。特に好ましい態様では、溶媒はタバコ材料に重量で27:1の割合で添加される。
溶媒は、有機溶液であってもよいが、好ましくは水溶液又は水である。抽出工程の極めて初期の段階では、溶媒は通常は水であるが、エタノールまたはメタノール等のアルコールも含んでもよく、あるいは界面活性剤を含んでもよい。タバコから抽出される特定の成分によっては他の溶媒も使用することができる。
抽出は、15〜85℃、好ましくは65℃で行われる。スラリーは、タバコが懸濁された状態に維持されるように、抽出の間、継続して撹拌するのが好ましい。抽出は、15分から2時間行うべきである。好ましい態様では、抽出は約20分行われる。
抽出中に可溶性のタバコ成分はタバコ材料から除去され溶液に溶け込む。これらのタバコ成分としては、ニコチン、糖類、一部のタンパク質、アミノ酸、ペクチン、ポリフェノール及び香味成分などである。初期のタバコ重量の約55%までが可溶になる。タバコ繊維中のペクチンは、タバコの繊維構造を維持するために抽出および処理工程を通して架橋された状態のままにあることが重要である。従って、タバコを抽出するために使用する溶媒及びその下流の処理手順で使用するあらゆる溶媒にカルシウムを加えてもよい。
抽出後、スラリーを排出するとろ液(母ろ液)が回収できる。一方、不溶性のタバコ残渣は搬送されている間に逆流洗浄によって更に抽出され、可能な限り多くの可溶成分がタバコから除去される。
新鮮な溶媒をタバコに加え、ろ液(「洗浄ろ液」)を回収する。洗浄ろ液は、上流地点でベルト上を移動する次のタバコ残渣に加えることで再利用することができる。洗浄ろ液を回収し、次のタバコ残渣に再度加えることを、数回、好ましくは、3、4又は5回繰り返してもよい。このように、ベルトの先頭で回収される最終的な洗浄ろ液には、タバコ残渣がフィルターの長さを移動する際にタバコ残渣から除去された可溶性タバコ成分が濃縮されている。最終洗浄ろ液を、更に抽出の準備ができているタバコスラリーを形成するために新しいタバコに加えることで再利用する。例えば、最終洗浄ろ液を、抽出前にタバコスラリーが形成されるタバコ混合タンク内に入れてもよい。このように、抽出工程は、再利用の洗浄ろ液を用いて新しいタバコを抽出する連続した工程である。タバコは、この抽出工程の開始時のみ新しい溶媒で抽出される。一旦抽出工程が始まると、新しい溶媒は抽出に使用されず、溶媒は再利用の洗浄ろ液のみで構成される。
抽出が続くと、このように抽出液の可溶性タバコ成分は更に濃縮される。これらの成分には、抽出タンク内での最初の抽出中に溶液に溶け込んだ成分(母ろ液を形成)および水平ベルトフィルタ上での二次抽出中に溶液に溶け込んだ成分(洗浄ろ液を形成)が含まれる。
従って、最終ろ液は母ろ液と洗浄ろ液の両方を含む。そうすることで、ろ過後に得られるタバコ残渣は、抽出のために使用された溶媒に可溶なこれらの成分は含まない。抽出後のタバコを濾過の最後に搾り、過剰な液体が全て取り除いてもよい。水平ベルトフィルタから出た抽出後のタバコは、このように典型的には脱水されたマット状である。
以下、タバコ抽出液と称される最終ろ液を引き続き処理して、最終タバコ製品中の望ましくない成分を除去してもよい。望ましくない成分としては、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ポリフェノール、硝酸エステル、アミン、ニトロソアミン及び顔料化合物等である。しかしながら、糖及びニコチン等の望ましいと考えられる成分の濃度は、抽出されたタバコの香味及び喫煙特性が元の材料のものと同等になるように、影響されずにそのまま維持される。
好ましい態様では、タバコ抽出液は、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはアミノ酸を除去するために処理される。元のタバコ材料に含まれるタンパク質の最大で60%は、ヒドロキシアパタイト等の不溶性吸着剤、またはアタパルジャイト或はベントナイト等のフラー土鉱物を使用して除去することができる。タバコ抽出液は、好ましくはポリペプチドを除去するためにベントナイトで処理される。ベントナイトは、最初に抽出したタバコの重量の2〜4%の量で抽出液に添加してもよい。あるいは、タバコ抽出液をベントナイトの水スラリーを含むタンクに供給してもよい。好適なスラリーには、約64kgの水に約7kgのベントナイト(1時間当たりの量)、例えば64.18kgの水に7.13kgのベントナイト(1時間当たりの量)が含まれる。いずれの場合でも、ベントナイトの濃度は、タバコ抽出液のタンパク質含有量を実質的に減少させるのに充分高いものでなければならないが、さらにニコチンまでを吸収するほど高くてはならない。またベントナイトの処理は、除去しなければ濃縮後の抽出液を暗色化する傾向にあるタバコ抽出液に見られる顔料化合物の除去にも効果的である。抽出液の処理に充分なベントナイトを使用すると、顔料化合物の量が低減し、それほど暗色化していない製品が得ることができる。
ベントナイト処理後、タバコ抽出液は、遠心分離および/または濾過によってスラリーから精製される。タバコ抽出液は、さらに、又は、これとは別にポリフェノールを除去するために処理される。
ポリビニルポリピロリドン(PVPP)は、ビールからポリフェノールを除去するために伝統的に醸造業で使用されているポリフェノールに対する不溶性吸着剤である。PVPPは、最初に抽出したタバコの重量の5〜10%の量で抽出液に添加してもよい。この量のPVPPで溶液中のポリフェノールの50〜90%を除去できる。PVPPによってタバコ抽出液からポリフェノールを除去するのに最適なpHは、約3であると考えられている。従って、PVPPによる吸着の効率は、塩酸等の適切な酸の添加によって抽出液のpHを低下させることで高められる。
ポリフェノールを吸着するためにPVPPを使用する代わりに1種以上の酵素をタバコ抽出液に加えてポリフェノールを分解してもよい。好適な酵素は、ラッカーゼ(ユリシオールオキシダーゼ(urishiol oxidase))である。しかし、本発明はタバコからタンパク質および/またはポリフェノールのみを除去する方法に限定されるものではない。タバコ抽出液から他の望ましくないタバコ成分を除去するために、その代りの、または追加の酵素、薬剤又は吸着剤を使用してもよい。抽出液から除去することができる可能性のある望ましくないさらなるタバコ成分の例としては、硝酸エステル、アミン類及びニトロソアミンが挙げられる。
複数の成分をタバコ抽出物から除去しようとする場合、複数のタンクを直列に並べて設置し、各々が異なる酵素、薬剤又は吸着剤を含み、選択された全てのタバコ成分が除去されるようにする。あるいは、望ましくない成分が一工程で除去されるように1つのタンクが複数の酵素、薬剤または吸着剤を含んでもよい。例えば、ベントナイト又はPVPPが入ったタンクが1つ以上の追加の酵素、薬剤または吸着剤を含んで、タバコからタンパク質またはフェノールだけではなく、1つ以上のさらなる望ましくない成分を除去するようにしてもよい。
選択された望ましくない成分を除去するタバコ抽出液の処理後、好ましくは、抽出液を重量で20〜50%の固形物濃度にまで濃縮する。固形分10%までの濃縮は、逆浸透を利用して最も効率的に達成することができる。固形分約40%までのさらなる濃縮は、流下膜式蒸発器を用いて達成することができる。他の濃縮方法も使用することができ、当業者に知られている。濃縮されたタバコ抽出液は、次いで抽出後のタバコと再度混合してもよい。
しかしながら、上述のように水溶液中に抽出されたタバコは、好ましくは濃縮されたタバコ抽出物と再度組み合わされる前にさらに抽出して1つ以上のさらなる望ましくない成分を除去するのが好ましい。タバコの更なる抽出は、選択した成分を除去するために特異的に選択される酵素を使用して行うことができる。好ましい実施態様では、酵素は、タバコからタンパク質を除去するためのタンパク質分解酵素である。酵素は、好ましくは細菌酵素または真菌酵素であり、より好ましくは食品または洗剤業界で商業的に使用されている酵素である。酵素は、サビナーゼ(Savinase、登録商標)、ニュートラーゼ(Neutrase、登録商標)、エンゾベーク(Enzobake、登録商標)及びアルカラーゼ(Alcalase、登録商標)からなる群から選択され、これらは全てNovozymesA/S社から入手可能である。タンパク質分解酵素は、好ましくはタバコ材料の重量で0.1〜5%の量でタバコに添加される。例えば、サビナーゼ(登録商標)は、重量で約1%の量でタバコに添加してもよい。タバコは選択された酵素の溶液で再スラリー化してもよい。水のタバコに対する比は、重量で10:1〜50:1、好ましくは20:1〜40:1、最も好ましくは25:1〜30:1であるべきである。特に好ましい態様では、水のタバコに対する比は、重量で27:1である。
タバコ/酵素混合物のpHは、最適な酵素活性を促進するpHであるべきである。従って、脱水されたマット状タバコを、例えば水酸化ナトリウム等の塩基を添加することでpHを調整したタンクに供給すると都合がよい。pHが調整されたタバコは、次いで、選択した酵素との混合のための酵素を分量するタンク内に供給する。タバコ/酵素混合物は、次に酵素抽出が行われるプラグ流反応器に供給してもよい。酵素抽出は、最適な酵素活性を促進する温度で行うべきである。好ましくは、酵素の変性を避けるために、例えば、30〜40℃等の狭い温度範囲を採用するのがよい。サビナーゼ(登録商標)が酵素として選択された場合の最適な作業条件は、57℃でpH9〜11である。酵素抽出は、少なくとも45分間実施すべきであり、それより短い時間は、タンパク質分解酵素がタバコタンパク質を分解するには不充分であると考えられる。
当然のことながら、タバコから取り除くべき成分が複数ある場合、複数の酵素抽出を行うことも可能である。これらの抽出を順次行っても、あるいは複数の酵素を一回の処理工程中にタバコに添加してもよい。
また後続に別に抽出工程を形成するのではなく、処理工程の極めて最初の段階で酵素を含ませることも可能である。
酵素抽出に続いて、不溶性のタバコ残渣は、酵素がなくなるようにすすぎ洗いするために塩溶液、好ましくは塩化ナトリウム溶液で洗浄してもよい。塩溶液すすぎ洗いは、連続的な逆流方式で行ってもよい。
しかしながら、塩水溶液でのすすぎは、タバコから酵素のすべてを除去するには充分でない場合もある。洗浄されたタバコを、塩水溶液によるすすぎ洗いの後、タバコに残存している全ての残留酵素を不活性化するために処理してもよい。これは酵素を不活性するには充分であるがタバコがその繊維形状を失わない程度に、タバコをスチーム処理することによって行うことができる。1つの態様では、スチーム処理は、98℃で4分間行うが、所望により10分まで延ばしてもよい。あるいは、タバコを熱処理、例えば、タバコをレンジ加熱、または焼くことによって酵素を不活性化してもよい。別の態様では、酵素を化学変性によって不活性化してもよいが、タバコから薬剤を除去する工程が必要になる。
次いで、処理タバコを濃縮されたタバコ抽出液と再度混合してもよい。処理された抽出液を抽出後のタバコに戻すことで最終製品にタバコの水溶性香味成分及びニコチンを確実に保持させることができる。従って、再混合することにより、元の材料と同様の物理的形状及び外観、味及び喫煙特性を有していながら、タンパク質、ポリフェノールあるいは選択された他の成分濃度が大幅に減少したタバコ製品が得られる。再混合は、タバコ抽出液をタバコに噴霧して行うことができる。処理タバコと再混合する元の抽出液の量は、選択した成分を除去するための抽出液の処理中に失われる量に依存し、タバコの種類によっても変わる。
処理タバコの乾燥は、処理したタバコ抽出液との再混合の前、中または後のいずれかに標準的な乾燥工程によって行うことができる。処理タバコの乾燥開始の際の水分含有量は、典型的には約70〜80%である。好ましい態様では、乾燥後の水分含有量は約14%になる。エプロンドライヤー等の加熱したドライヤーを使用してタバコの最初の水分含有量を約30%まで減少させてもよい。次いで、エアードライヤー等の第2の加熱ドライヤーを使用して更に水分含量を約14%まで減少させてもよい。
最終乾燥製品は、次いでシート等の最終形態に加工され、裁断されるとシガレットの充填剤の一部または全てを形成することができる。しかしながら、抽出処理工程中にタバコの元の成分の30%ほどが除去されるので、タバコの単位重量当たりの残りの成分の濃度は原材料と比較して増加する。これらの成分には、糖類及びデンプンと共に燃焼する際に煙中のアセトアルデヒド及びホルムアルデヒド等の有害な揮発性物質を生成するセルロースが含まれる。
煙有毒物質収量を低減する別の方法は、煙をグリセロールで希釈することであり、この方法は、例えばグリセロールを最大60重量%という大きな割合で含む「タバコ代替シート」(TSS)と呼ばれているものを形成して行ってもよい。喫煙材にこのようなTSSを含む紙巻きタバコの主流煙の解析により、一部の揮発性種以外のほとんどの測定成分の収量が低減されることが分かった。
いくつかの本発明の実施態様では喫煙材はタバコ代替シートを含む。
タバコブレンドにタバコ代替シート(TSS)を混合することで、紙巻きタバコ中のタバコの量を低減し、その結果、紙巻きタバコが毒性物質を生成する可能性を全体として減らす。また、TSSはグリセロールを含んでいるので、加熱されるとグリセロールを煙流に放出し、それがニコチンを含まない乾燥粒子状物質(nicotine-free dry particulate matter:NFDPM(「タール」としても知られる))として測定される粒子状煙の総量を増やす一因である。ほとんどの紙巻きタバコは比NFDPM収量値を満たすように設計されているので、煙流へのグリセロールの混入は効果的に全NFDPM値に対するタバコ燃焼生成物の寄与を少なくする。この処理は「希釈」と呼ばれる。TSSを喫煙品に混合することで、粒子相及び蒸気相の両方の毒性物質を含む広範囲の煙成分が低減される。生体外での毒性テストによって、グリセロール含量に比例して煙微粒子の活性が下がることが分かった。ニコチンに対するヒトの曝露量は、フィルター研究による定量値で平均18%、24時間尿中バイオマーカーでは14%低減された。煙微粒子に対する曝露量は、フィルター研究では平均29%、及び尿中4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノール濃度に基づく値でもほぼ同量減少した。これらの結果から、タバコ代替シートを使用することにより、煙の何種類かの有毒物質に対する曝露を低減できることが分かる。
いくつかの実施態様では喫煙品は、不燃性無機充填剤材料、結合剤(例えばアルギン酸系結合剤などの)およびエアロゾル発生手段を含むタバコ代替シートを含む。
タバコ代替シートは、その主成分として不燃性無機充填剤、結合剤、およびエアロゾル発生手段を含むのが有利であり、これら3つの成分は合わせて、タバコ代替シート材料の重量で少なくとも85%、好ましくは90%超、更に好ましくは、全部でタバコ代替シート材料の重量で約94%以上を構成する。3種の成分でタバコ代替材料の100%であってもよい。残りの成分は、例えば、着色剤、木材パルプ等の繊維、または風味剤等の中の1種以上であるのが好ましい。その他の微量成分材料は当業者に知られている。従って、タバコ代替シート材料はその成分の点で非常に単純なものである。
本明細書で使用される用語「タバコ代替品シート材料」は喫煙品で使用できる材料を意味する。これは、材料自身が必ず燃焼を維持することを必ずしも意味するものではない。タバコ代替シート材料を通常はシートとして作製し、次いで切断する。タバコ代替シート材料を次に他の材料と混合し、喫煙可能な充填剤材料を作製することができる。
いくつかの実施態様では喫煙品は、喫煙可能な充填剤材料の紙に巻かれたロッドを含むみ、この喫煙可能な充填剤材料が不燃性無機充填剤、アルギン酸系結合剤、及びエアロゾル発生手段を含むタバコ代替シート材料を組み込んだブレンドから成り、喫煙品は4.0を超えるエアロゾル移動効率を有する。本明細書で用いるエアロゾル移動効率は、煙中のエアロゾルの割合を喫煙可能な充填剤材料中のエアロゾルの割合で除したもので評価される。好ましくは、エアロゾル移動効率は5超、より好ましくは6超である。
本発明の喫煙品に使用される喫煙可能な充填剤材料は、重量で75%以下のタバコ代替材料から成るブレンドを含んでもよい。
好ましくは、無機充填剤材料は、最終シート材料の60〜90%の範囲、より好ましくは70%超を占める。無機充填剤材料は、最終シート材料の重量で約78%を占めるのが有利であるが、より高い濃度、例えば、最終シート材料の重量で80%、85%、または90%を占めてもよい。
いくつかの実施態様では不燃性充填剤は、500μm〜75μmの範囲の平均粒子径を有する材料をある割合で含むのが有利である。好ましくは、無機充填剤の平均粒子径は400μm〜100μmの範囲内にあり、125μm超、好ましくは150μm超である。平均粒子径は約170μmであるのが有利であり、あるいは170μm〜200μmの範囲内にあってもよい。代替タバコ製品中のこの粒子径は、食品用無機充填剤材料に通常使用される粒子径、即ち約2〜3μmとは対照的である。各々の無機充填剤に対する粒子径の範囲は、個々に1μm〜1mm(1000μm)であってもよい。無機充填剤材料を、粉砕する、挽く、あるいは沈殿させることによって所望の粒径にしてもよい。
無機充填剤材料は、真珠岩、アルミナ、珪藻土、炭酸カルシウム(白亜)、蛭石、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸カルシウム(石膏)、酸化第二鉄、軽石、二酸化チタン、アルミン酸カルシウム、もしくは他の不溶性アルミン酸塩、またはその他の無機充填剤材料の内の1種以上であることが有利である。これらの材料の密度範囲は、0.1〜5.7g/cmの範囲にあるのが適切である。有利には、充填剤材料は3g/cm未満、好ましくは、2.5g/cm未満、より好ましくは、2.0g/cm未満、及び更に好ましくは1.5g/cm未満である。1g/cm未満の密度を有する無機充填剤が望ましい。無機充填剤を低密度にすることで製品の密度を低下させ、それにより灰特性を向上させることができる。
無機充填剤材料の組合せを使用する場合は、充填剤の内の1種以上は好適には小さい粒子径のものであり、別の充填剤はそれより大きい粒子径でもよく、各々の充填剤を所望の平均粒子径を達成するような割合にするのが適切である。最終喫煙品に要求される静的燃焼速度は、喫煙可能な充填剤材料中のタバコとタバコ代替シート材料を適切にブレンドすることによって達成することができる。
いくつかの実施態様では無機充填剤材料は凝集塊状ではない方が好ましい。無機充填剤材料は、使用前にほとんど前処理を必要とせず、おそらく粒子の分級位である。好ましくは、結合剤は、最終充填剤材料の重量で約5〜13%の範囲、より好ましくは10%未満、更に好ましくは8%未満を占める。また結合剤は最終シート材料の約7.5%以下を占めるのが有利である。結合剤がアルギン酸系結合剤と非アルギン酸系結合剤の混合物である場合、その結合剤は少なくとも50%のアルギン酸系化合物から、好ましくは少なくとも60%のアルギン酸系化合物から、より好ましくは少なくとも70%のアルギン酸系化合物から構成されるのが好ましく有利である。非アルギン酸系結合剤が使用される場合は、結合剤混合物の必要量を適切に低減できる。混合結合剤の量の減少に応じて、混合結合剤中のアルギン酸系化合物の量を増加するのが有利である。適切なアルギン酸系結合剤としては、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウムカルシウム、アルギン酸カルシウムアンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸トリエタノールアミン及びアルギン酸プロピレングリコールエステル等の可溶性アルギン酸化合物が挙げられる。セルロース結合剤、ゴム又はゲル等の他の有機結合剤もアルギン酸結合剤と組み合わせて使用することができる。適切なセルロース結合剤としては、セルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はセルロースエーテル等のセルロース誘導体が挙げられる。適切なゴムとしては、アラビアゴム、ガティゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、イナゴマメゴム、アカシアゴム、グアーゴム、マルメロ種子ゴム又はキサンタンゴム等が挙げられる。適切なゲルとしては、寒天、アガロース、カラギーナン、フコイダン及びファーセレラン等が挙げられる。また、デンプンも有機結合剤として使用することができる。他の適切なゴムは、E. Whistler著「Industrial Gums(産業用ゴム);Academic Press社刊」等のハンドブックを参考にして選択することができる。結合剤の大半をアルギン酸系結合剤が占めることが特に好ましい。アルギン酸系化合物は、本発明において燃焼の際に味に影響を与えないので好ましい。
いくつかの実施態様ではエアゾール発生手段は、5〜20%の範囲で存在し、15%未満、7%超および/または10%超含有される。特定の実施態様ではエアゾール発生手段は13%未満である。種々の実施態様ではエアゾール発生手段が、最終シート材料の重量で11%〜13%であり、約11.25%または約12.5%である。適切には、エアゾール発生手段の量は、喫煙品の喫煙可能な充填剤材料を含むブレンド中に存在するタバコ材料の量との組み合わせで選択される。例えば、シート材料を高い割合で含み、タバコ材料を少ない割合で含むブレンドでは、シート材料中にエアゾール発生手段を少なく充填することが要求される。これとは別にシート材料を低い割合で含み、タバコ材料を多い割合で含むブレンドでは、シート材料中にエアゾール発生手段を多く充填することが要求される。
適切なエアゾール発生手段としては、グリセロール、プロピレングリコール及びトリエチレングリコール等の多価アルコール;クエン酸トリエチル又はトリアセチン等のエステル;高沸点炭化水素、またはグリコール、ソルビトールあるいは乳酸等の非ポリオールから選択されるエアゾール形成手段等が挙げられる。これらエアゾール発生手段を組み合わせて使用してもよい。
エアゾール発生手段の別の機能は、シート材料の可塑化である。追加の適切な可塑剤としては水が挙げられる。シート材料を適切に曝気してもよい。それによって、注型されたスラリーから気泡構造を有するシート材料が形成される。
エアゾール発生手段、またはその手段の一部をカプセル化、好ましくはマイクロカプセル化またはその他の方法で安定化させると有利である。このような場合、エアロゾル発生手段の量は所定の範囲を超えてもよい。
喫煙材料は材料を暗色化する着色剤および/または特定の香味を付与する香味剤を含むのが有利である。適切な香味剤または着色剤としては、地域により規制の対象となるが、ココア、甘草、キャラメル、チョコレートまたは飴等が挙げられる。微細粉砕、顆粒化、または微細に均質化したタバコを使用してもよい。業界が認可した食品着色を使用してもよく、例えば、E150a(キャラメル)、E151(ブリリアントブラックBN)、E153(植物炭素)またはE155(ブラウンHT)等が挙げられる。適切な香味剤としては、例えば、メンソールおよびバニリン等が挙げられる。その他のケーシング材料も適切に用いてもよい。これとは別に、蛭石またはその他の無機充填剤材料が存在するとタバコ代替シート材料の色が暗くなる場合がある。好ましくは、着色剤は、最終タバコ代替シート材料の重量で0〜10%、最大で5〜7%を占めてもよい。着色剤は、最終タバコ代替シート材料の7%未満、好ましくは6%未満、より好ましくは5%未満であるのが有利である。4%未満、3%未満及び2%未満の着色剤を用いるのが最も好ましい。ココアは、最終タバコ代理シート材料の重量で0〜5%の範囲、甘草は0〜4%の範囲を適切に占めてもよい。着色剤が、例えばココアまたは甘草である場合、所望の色のシートを得るためのココアの最少量は、最終代替シート材料の重量で約3%であり、甘草の場合は約2%である。同様にキャラメルは、最終タバコ代替シートの重量で0〜5%の範囲で、好ましくは約2%未満、より好ましくは約1.5%を適切に占めてもよい。その他の適切な着色剤としては、糖蜜、麦芽抽出物、コーヒー抽出物、茶の樹脂状物質、イナゴマメのさや、プルーン抽出物またはタバコ抽出物等が挙げられる。これら着色剤の混合物も使用可能である。
地域の規制の下で許可されれば、香味剤も、タバコ代替材料の味及び香味特性を変えるために添加してもよい。それとは別に食品用色素を使用する場合は、最終タバコ代替シート材料の重量で0.5%以下を占めると有利である。あるいは、着色剤をシート製造後にシート内に散粉してもよい。
例えば木材パルプ、亜麻、麻または靭皮等のセルロース繊維等の繊維を加えれば、高い強度、低い密度、或は高い充填値の内の1つ以上の特性を有するシート材料を提供できる。繊維を加える場合、最終シート材料の重量で約0.5〜10%の範囲、好ましくは5%未満、さらに好ましくは約3%未満を占めてもよい。シート材料中には、セルロース系や他の繊維材料を含まないのが有利である。
いくつかの実施態様ではタバコ代替シートは、非タバコ含有シートであるのが有利である。当然であるが、ブレンドに多量のシート材料、例えば、ブレンドの75%超を占める量を含有させると、ブレンドの燃焼が悪くなる。この問題は、例えば、タバコ代替シート材料に最大で5〜10%の少量の粒子状炭素を混合することによって克服される。この炭素は、凝集した炭素質材料ではないことが好ましく、即ち別の材料と混合して、凝集塊となるような予備処理を行っていないものが好ましい。
いくつかの実施態様ではタバコ代替シート材料をタバコ材料とブレンドし、喫煙可能な材料を提供する。ブレンド中のタバコ材料成分は、高品質葉片等級のものであることが好ましい。タバコ剤の大半が刻みタバコであるのが有利である。タバコ材料は、例えば、DIET等の高度膨張工程を経た膨張タバコを20〜100%含んでもよい。このような材料の充填力は、典型的には、6〜9cc/gの範囲にある(英国特許第1,484,536号、又は米国特許第4,340,073号参照)。
いくつかの実施態様ではこのブレンドは、葉片以外の他のブレンド成分を30%未満含み、その他のブレンド成分としては、カットロール状葉柄(cut rolled stem:CRS)、水処理された葉柄(water treated stem:WTS)、スチーム処理された葉柄(steam treated stem:STS)または再生タバコ等である。好ましくは、その他の成分としては、タバコ材料の最終重量の好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、さらに好ましくは5%未満を構成する。
いくつかの実施態様では本発明の喫煙品はエアゾール発生手段で処理されたタバコ材料を含む。タバコ材料はエアゾール発生手段で処理されてもよいが、これはタバコ材料及びシート材料の全てのブレンドに必須なわけではない。
タバコに添加するエアゾール発生手段の量は、タバコの重量で2〜6%の範囲である。処理後のタバコ材料とシート材料とのブレンドのエアゾール発生手段の総量は、喫煙材の重量で4〜12%、好ましくは乾式重量基準で10%未満、かつ5%超であるのが有利である。
ある実施態様ではグリセロールがタバコ代替シートを含む喫煙材に加えられる。これによりあるフェノールの量が減少する。グリセロールは、重量での量で加えてもよい(タバコ代替シートに含まれるかもしれないあらゆるグリセロールの他に)。TSSにグリセロールを加えることによって相乗効果が得られると考えられている。
いくつかの実施態様ではブレンドは、その香気および知覚性能の向上のために、濃縮風味剤(top flavour)を含んでもよい。
本発明の喫煙品の煙毒性物質収量を減少させるさらに別の方法は、TSNA及び金属等の望ましくない煙成分の前駆体の濃度が低いタバコブレンド成分を選択することである。例えば、TSNAの濃度は、特定の(例えば、より軽い)タバコブレンドの使用によって、あるいはタバコ植物のTSNAの前駆体である硝酸塩含量の低い部分を選択することで低減できる。いくつかの実施態様ではこの方法は、タバコ葉身を使用することを含む。当業者であればこれらの所望の特性を有するタバコブレンドを提供するようにブレンド工程を適合させる方法を熟知しているはずである。
またタバコブレンドは、紙巻きタバコ中で燃えるタバコの質量を削減するために膨張させた刻みタバコである膨張タバコを含んでもよい。使用される1つの方法は、ドライアイス膨張タバコ(dry-ice expanded tobacco:DIET)と呼ばれている。タバコに圧力容器中で液体二酸化炭素(CO)を浸透させ、圧力を下げてから液体COを排出し、その結果タバコの気泡構造内に固体COまたはドライアイスが形成される。その後タバコは、加熱され、すぐに強制的にドライアイスを気体COに変え、これにより刻みタバコ葉の構造を硬化処理前の葉の嵩に近い嵩に強制的に膨張させる。膨張タバコは、市販の紙巻きタバコだけでなく低ISO収量のものにも広く使用されている。
本発明のある実施態様では喫煙材は、ブレンド処理されたタバコ(BTT)50%、タバコ代替シート(TSS)15%、ドライアイス膨張タバコ(DIET)10%および葉身25%のブレンドで構成され、さらに1%のグリセロールおよび0.8% の添加濃縮風味料が添加されている。
上述のフィルターおよび喫煙材技術は、組み合わせることによって喫煙品煙毒性物質量が実質的に減少した喫煙品を提供することができる。
いくつかの実施態様では本発明による喫煙品は、本明細書で定義されているように、(例えば従来の紙巻きタバコと比較して)主流煙の主要成分の少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも95%が低減される。
本発明に関連して述べるMSの所謂「主要成分」は、文献で望ましくないものとして同定されている煙成分(例えば、The Scientific Basis of Tobacco Product Regulation(タバコ製品規制の科学的根拠): Report of a WHO Study Group(WHO研究グループ
報告)(2007), WHO Technical Report Series 945, Genevaを参照)である。
減少量は、好ましくは、製品がISOに合致するように設計され、カナダ保健省法による換気孔の封鎖は、分割チッピングの効果をなくすので換気孔は開いたままで集中喫煙法を使用して決定される。
主要成分の収量の減少量は、好ましくは少なくとも5%、又は少なくとも10%以上である。
本発明の実施態様による喫煙品のいくつかの例の仕様を下記表に示す。ここでは2つの試作品について説明し、その内の1つはタール送出量が1mgであり、もう一方のタール送出量が7mgである。
Figure 2015514413
Figure 2015514413
Figure 2015514413
Figure 2015514413
Figure 2015514413
表6は、煙のデータを作り出すために使用された既に認識されている機械喫煙法についての概略を示す。
Figure 2015514413
表7はISOおよびWG9機械喫煙法の両方による7mg試験製品の収量およびWG9のISOに対する比を含む。表8は、対照/比較紙巻きタバコに関する対応する情報を提供している。両方の表のデータは、対照製品のWG9:ISO収量比が試験製品の比より大きくなる傾向があることを示している。このことは、WG9法(半分の換気孔およびSTが閉鎖されている)を使用して試験製品を喫煙した場合、紙巻きタバコパフ容量(同じパフ時間の)が大きくなるにつれて換気率が減少することによると予測される。従ってこれは流量によって変わり、容量によって変わらない。換気孔および分割チッピング換気のいずれも閉鎖されない場合、試験製品の収量はパフ容量が高くなるにしたがって少なくなるはずである。
Figure 2015514413
Figure 2015514413
HCI喫煙法を使用して絶対的およびNFDPM(タール)およびニコチンに「規格化」された煙収量の減少量の例を表9に示す。記:HCI法では分割チッピング技術の使用は、比較/対照に対して本発明による喫煙品で得られる煙成分収量の減少に貢献しない。
Figure 2015514413
WG9喫煙法を使用して絶対的およびNFDPM(タール)およびニコチンに「規格化」された煙収量の減少量の例を表10に示す。WG9法では分割チッピング技術の使用は、比較/対照に対して本発明による喫煙品で得られる煙成分収量の減少に貢献する。
Figure 2015514413
種々の問題に対処し、本技術を促進するため、本開示の全体は種々の実施形態を一例として示す。その実施形態の中で特許請求の範囲に記載の発明が実践され、優れた喫煙品が提供される。本開示の利点および特徴は、単に実施形態の代表的事例であって全てを包括する事例ではなく、これ以外を排除する事例でもない。これらは単に特許請求された特徴の理解を助け、教示するために提示されているに過ぎない。当然のことだが、本開示の利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、および他の態様は、特許請求の範囲で規定される本開示またはその均等物を限定するものではなく、本開示の範囲・概念から逸脱することなく他の実施形態を利用し改変することができる。種々の実施形態は、開示された要素、構成要素、特徴、部品、工程、手段他の種々の組合せを好適に含んでも、それらで構成されても、または本質的にそれらで構成されてもよい。さらに本開示には、現在特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明も含まれる。
上記の説明および実施例は、単に本発明を例示するために記載したに過ぎず、限定を意図したものではない。当業者は本発明の精神及び本質を取り込む上記実施形態の修飾に想到することができるので、本発明は、添付の特許請求の範囲に属する全ての変更及びその均等物を含むように広く解釈されなければならない。

Claims (19)

  1. 喫煙材ロッドと、このロッドの一端に取り付けられたフィルターとを含み、このフィルターは、少なくとも2つのセクションを含み、多孔性プラグラッパーに包まれている喫煙品であって、第1チッピングラッパーが前記喫煙材ロッドとフィルター間の継ぎ目上に重なり、さらに別の少なくとも1つのチッピングラッパーがフィルターの周囲に設けられ、前記多孔性プラグラッパーの一部が第1およびこの少なくとも1つの別のチッピングラッパーの間で露出するように第1チッピングラッパーから離れて、第1チッピングラッパーとは別に設けられ、これらチッピングラッパーは、プラグラッパーより小さい多孔率を有する喫煙品。
  2. 少なくとも1つのフィルターセクションが繊維性フィルター材を含むことを特徴とする請求項1記載の喫煙品。
  3. 前記少なくとも1つのフィルターセクションは、多孔性吸着剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載の喫煙品。
  4. 前記多孔性吸着剤は、工学的多孔性構造を有する多孔性カーボンである炭素/例えばポリスチレンなどの合成源由来の多孔性カーボンビーズであることを特徴とする請求項3記載の喫煙品。
  5. 前記フィルターセクションは、約20mg〜約80mgの多孔性吸着剤を含むことを特徴とする請求項4記載の喫煙品。
  6. 少なくとも1つのフィルターセクションはイオン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の喫煙品。
  7. 前記イオン交換樹脂は表面活性アミンを有することを特徴とする請求項6記載の喫煙品。
  8. 前記フィルターセクションは約5mg〜約40mgのイオン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項7記載の喫煙品。
  9. 前記フィルターは、繊維性フィルター材を含む吸い口端セクションと、イオン交換樹脂を含むセクションと、多孔性吸着剤を含む喫煙材ロッドに隣接するセクションとを含むことを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の喫煙品。
  10. フィルターは、約30mm〜約40mm、好ましくは約37mmの長さを有することを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載の喫煙品。
  11. 約83mmの長さおよび/または約21mmの円周を有することを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の喫煙品。
  12. 前記チッピングラッパーの間の隙間の幅が約10mmであることを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載の喫煙品。
  13. チッピングラッパーおよび/またはフィルターの胴体部に形成された換気孔をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載の喫煙品。
  14. 喫煙材ロッドは、
    (a)窒素性化合物の量を減少させるために処理されたタバコ、
    (b)ポリフェノール類および/またはペプチド類を除去処理されたタバコ、
    (c)非燃焼性無機充填材、バインダーおよびエアロゾル発生手段を含むタバコ代替えシートの内の1つ以上を含むことを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の喫煙品。
  15. 前記喫煙材はさらに葉身タバコを含むことを特徴とする請求項14記載の喫煙品。
  16. 前記喫煙材はドライアイス膨張タバコ(DIET)をさらに含むことを特徴とする請求項14または15記載の喫煙品。
  17. 前記喫煙材はグリセロール含むことを特徴とする請求項1乃至16いずれか1項記載の喫煙品。
  18. 前記喫煙材は少なくとも1つの風味剤を含むことを特徴とする請求項1乃至17いずれか1項記載の喫煙品。
  19. 前記喫煙材はブレンド処理されたタバコ、タバコ代替シート、DIET、葉身タバコ、グリセロールおよび濃縮風味剤を含むことを特徴とする請求項1乃至18いずれか1項記載の喫煙品。
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JP2019523639A (ja) * 2016-05-20 2019-08-29 ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッドBritish American Tobacco (Investments) Limited 喫煙材を加熱するための装置に用いられる物品

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