JP2015512061A - 陰性造影組成物を用いた多光子硬化方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、陰性造影が起こる条件下で光硬化性組成物を硬化させるための多光子吸収方法に関する。この光硬化性組成物には、フリーラジカル重合可能な化合物が含まれる。この方法は、マイクロメートルスケール又はそれより小さい寸法の構造作製に適用される。

Description

本開示は広く、多光子による光硬化のための方法及び材料に関する。
マイクロメートルスケール又はサブマイクロメートルスケール解像度での2次元(2D)及び/又は3次元(3D)構造を作製するのに使用される典型的な多光子プロセスにおいて、光硬化性組成物は、高強度光(例えば、近赤外線(NIR)レーザーにより提供される近赤外光など)を使用して選択的に硬化される。
多くの既知の実行例において、光硬化性組成物には、1つ以上のフリーラジカル重合可能な化合物(例えば、アクリレート及び/又はメタクリレート)が挙げられる。光硬化性組成物は、一般に近赤外線波長の光に対する感度が低いが、光硬化性材料に含まれる多光子光開始剤系により非線形的な光の同時多光子吸収により硬化され得る。このプロセスにより、使用される光の約2倍に相当するエネルギーが、多光子光開始剤系に吸収され、これが分解してフリーラジカルを生成し、これが、光硬化性組成物に含まれるフリーラジカル重合可能な化合物のフリーラジカル重合(典型的には架橋を伴う)を開始させる。したがって、光硬化性組成物の少なくとも部分的な硬化が、レーザー光線焦点近くで起こる。光の焦点は、光硬化性組成物内の様々な領域に導かれ、これによって光硬化性組成物内に潜在構造が生じる。次に、光硬化性組成物の硬化が不十分な領域を除去することによって(例えば、溶媒現像)、対応する実際の構造が作製される。
硬化をもたらす多光子吸収(例えば、フリーラジカル重合)は、使用される光の強度と用量に大きく依存するため、非常に小さい(例えば、マイクロメートルスケール又はナノメートルスケールの)体積の重合素子(一般に「ボクセル」と呼ばれ、体積画素(volume pixels)の短縮語である)を作製することが可能である。典型的には、レーザー光線の焦点は、任意の直径に沿ってほぼガウス分布である強度プロファイルを有する、ほぼ楕円体である。したがって、レーザー光線露光により生成された典型的なボクセルは、ほぼ球形であり、あるいは伸長した球体に似ていてよく、ここにおいてこの伸長は1本又は1本以上の軸(例えば、x軸、y軸、若しくはz軸)に沿っている。
ボクセル1つずつについて繰り返し、樹脂に対して、3次元(すなわち、x軸、y軸、及びz軸方向)にレーザー光線の焦点位置を制御することによって、より大きなナノ構造及びマイクロメートル構造を構築することができる。多くの場合、ほぼ単一のボクセル層(すなわち、x−y面)を硬化させ、続いて焦点を約1ボクセル長さ(すなわち、z軸上)移動させ、次の層(すなわち、x−y面)を硬化させることにより、3D構造が形成される。このプロセスは、望ましい構造が形成されるまで繰り返し、現像工程(例えば、上述のように)を介して実現することができる。
より小さな寸法を有する高解像度のマイクロメートル構造及びナノメートル構造のフォトリソグラフィー作製を可能にするようなシステム及び方法の継続的ニーズが存在する。我々は、様々な条件の陰性造影(すなわち、露光の段階的増加により硬化の減少を引き起こす)において、フリーラジカル重合可能材料を使用して上記を達成する方法を発見した。
一態様において、本開示は、次の工程:
a)光線を提供する工程であって、この光線は、光の強度が比較的高い外側領域によって囲まれた、光の強度が比較的低い内側領域を含む、光線断面プロファイルを有し、ここにおいて内側領域と外側領域は同じ時間的プロファイルを有する、工程と、
b)光硬化性組成物を提供する工程であって、この光硬化性組成物は、フリーラジカル重合可能な化合物と、フリーラジカル重合阻害剤と、多光子光開始剤系とを含む、工程と、
c)光硬化性組成物の少なくとも一部分を光線に露光させることにより、光の一部の多光子光開始剤系による多光子吸収が、フリーラジカル重合可能な化合物の少なくとも一部分にフリーラジカル重合を開始させる工程であって、ここにおいて、光硬化性組成物に、光線の内側領域の少なくとも一部分を照射することにより、光硬化性組成物の一部分に、少なくとも現像のための閾値レベルまでの硬化が生じ、そして、光硬化性組成物に、光線の内側領域に隣接する外側領域の少なくとも一部分を照射することによっては、その光硬化性組成物に、少なくとも現像のための閾値レベルまでの硬化が生じない、工程と、を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、この光硬化性組成物は更に、実質的に非流動性である有機ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、光線断面プロファイルの外側領域は実質的に環状である。いくつかの実施形態において、光線は、ガウス・ラゲールモードのレーザー光を含む。いくつかの実施形態において、光硬化性組成物は、基材上に配置される層を形成する。いくつかの実施形態において、この方法は更に、工程c)において少なくとも現像のための閾値レベルまで硬化した(例えば重合及び/又は架橋した)光硬化性組成物の、少なくとも一部分を現像することを含む。いくつかの実施形態において、フリーラジカル重合阻害剤は、有機フリーラジカル重合阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、フリーラジカル重合可能な化合物は、少なくとも2つのアクリロイル基を含む。
別の一態様において、本開示は、次の工程:
a)少なくとも一つの光線を提供する工程と、
b)光硬化性組成物を提供する工程であって、この光硬化性組成物は、フリーラジカル重合可能な化合物と、分子状酸素以外のフリーラジカル重合阻害剤と、多光子光開始剤系とを含み、このフリーラジカル重合阻害剤は、酸素の不在下で有効である、工程と、
c)光硬化性組成物の一部分を、少なくとも一つの光線に露光させることにより硬化させ、これにより、光の一部の多光子光開始剤系による多光子吸収が、フリーラジカル重合可能な化合物のフリーラジカル重合を開始させ、そしてこれにより、光線による露光の段階的な増加によって、光線に露光した光硬化性組成物の少なくとも一部分の硬化の程度が少なくなり、光硬化性組成物は、この光硬化性組成物がこの光線に露光する前は、実質的に分子状酸素を含まない、工程と、を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、このフリーラジカル重合可能な化合物は少なくとも2つのメタクリロイル基を含み、この光硬化性組成物は、フリーラジカル重合可能アクリレートを実質的に含まない。いくつかの実施形態において、この光硬化性組成物は更に有機ポリマーを含み、かつ実質的に非流動性である。いくつかの実施形態において、光硬化性組成物は、基材上に配置される層を形成する。いくつかの実施形態において、本願光線は、所定のパターンにしたがって光硬化性組成物内の様々な位置に焦点を合わせる。
別の一態様において、本開示は、次の工程:
a)光線を提供する工程と、
b)光硬化性組成物を提供する工程であって、この光硬化性組成物は:
フリーラジカル重合可能な化合物と、
タイプI光開始剤と、
フリーラジカル重合阻害剤とを含む、工程と、
c)光硬化性組成物の少なくとも一部分を、光線に露光させることにより、少なくとも部分的に硬化させ、これにより、タイプI光開始剤による光の一部分の多光子吸収が、フリーラジカル重合可能な化合物のフリーラジカル重合を開始させ、そしてこれにより、光線による露光の段階的な増加によって、光線に露光した光硬化性組成物の少なくとも一部分の硬化の程度が少なくなる、工程と、を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、フリーラジカル重合可能な化合物は、フリーラジカル重合可能アクリレート又はフリーラジカル重合可能メタクリレートのうちの少なくとも1つを含む。
いくつかの実施形態において、タイプI光開始剤は、置換又は未置換の、ベンゾインエーテル、ベンジルケタル、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−ジアルキルアミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィン、これらの置換誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、タイプI光開始剤は、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノンを含む。
上述の方法において、光硬化性組成物は基材上に配置された層を形成し得る。加えて、又は別の方法として、光硬化性組成物は更に、有機ポリマーを含み得、かつ実質的に非流動性であり得る。
上述の方法において、工程c)は複数回繰り返すことができる。各繰り返しの際、光線は、所定のパターンにしたがって光硬化性組成物内の様々な位置に焦点を合わせ、これには3次元のそれぞれにおける所定のパターンバリエーションが含まれ得る。しかしながら、工程c)の繰り返しは、本開示の本質的な利益を達成するために必ずしも必要ではない。
典型的に、上述の方法は更に、工程c)において少なくとも現像のための閾値レベルまで硬化した光硬化性組成物の、少なくとも一部分を現像することを含むが、これは必須ではない。
本開示による方法は、有利なように、実践的なレーザースキャン速度でサブマイクロメートル形状を作製することを可能にする。
本開示において、
用語「フリーラジカル重合阻害剤」は、(例えば、フリーラジカル重合可能アクリレート及び/又はメタクリレートの)フリーラジカル重合を阻害する化合物を指す。
用語「光」は、例えば約300ナノメートル(nm)〜約1500nmの範囲の電磁放射線を指す。
用語「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指す。
用語「マイクロメートル構造」は、約800マイクロメートル(μm)未満、典型的には約500マイクロメートル未満、又は更には100マイクロメートル未満の、少なくとも1つの限界寸法を有する2D又は3D形状を意味する。
光の吸収に関する用語「非線形」は、光の吸収が、光の強度の1より大きい累乗に従属するプロセスを指す。
用語「多光子吸収」は、2つ以上の光子が非線形的に同時に吸収されることによって、同じエネルギーの1つの光子の吸収によってはエネルギー的にアクセス不能であるような反応性の電子的な励起状態に達することを指す。
用語「メタクリレート化合物」は、少なくとも1つのメタクリロイル基を有する化合物を指す。
用語「硬化」及び「光硬化」は、可溶性の光硬化性組成物(例えば、フォトレジスト)を、重合(例えば、所望により架橋を伴うフリーラジカル重合)により不溶性にするプロセスを指す。例えば、重合の度合が不溶化を引き起こすのに十分になる前に重合の終了が起こる場合には、光硬化性組成物の硬化(例えば、不溶化)なしで重合が起こり得る。
用語「同時」とは、10−14秒以下の時間内に発生する2つの事象を意味する。
本開示の特徴及び利点は、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を考慮することで更に深い理解が得られるであろう。
本開示による方法を実施するのに有用な例示的な一システムの概略図である。 陰性造影を呈する仮説的な光硬化性組成物のための、固定された多光子硬化条件で、書き込み速度の逆数に対する垂直ボクセル寸法の概略プロットである。 ガウス・ラゲールモードTEM01 のレーザー光線の断面図である。 ガウス・ラゲールモードTEM10のレーザー光線の断面図である。 実施例においてz方向の閾値書き込み速度及びボクセル高さを決定するのに使用される、2光子露光条件下でレーザーにより書き込まれた2次元の15本線パターンの概略図である。範囲中央の線のz軸位置が、ウエハ−フォトレジスト界面に設定されている。 実施例1及び2の造影曲線を示すグラフである。 実施例3及び4の造影曲線を示すグラフである。 実施例3及び比較実施例Aの造影曲線を示すグラフである。 実施例5〜7及び比較実施例Aの造影曲線を示すグラフである。 実施例8及び比較実施例Aの造影曲線を示すグラフである。 実施例2及び9の造影曲線を示すグラフである。 実施例10により生成された3D形状を示す走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。 実施例10により生成された3D形状を示す走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。 実施例11の造影曲線を示すグラフである。
上記の図面には本開示のいくつかの実施形態が記載されているが、例えば、考察の中で記述したように、その他の実施形態も考えられる。いかなる場合も、本開示は代表して提示されるものであって、限定するものではない。本開示の原理の範囲及び趣旨の範囲内に含まれる他の多くの改変例及び実施形態が当業者によって考案されうる点は理解されるはずである。図は、縮尺どおりに描かれていない場合もある。同様の参照番号が、同様の部分を示すために複数の図を通じて使用されている場合がある。
本開示の実践に有用な光硬化性組成物は、フリーラジカル重合可能な化合物と、多光子光開始剤系と、典型的にはフリーラジカル重合阻害剤(例えば、有機フリーラジカル重合阻害剤、又は無機フリーラジカル重合阻害剤(例えば酸素など))とを含む。
本開示の1つ以上の実施形態に使用できるフリーラジカル重合可能な化合物の例としては、モノ−及びポリ−アクリレート及び/又はメタクリレートが含まれ、例えば、アリルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビス[1−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、カプロラクトン修飾ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、(メタ)アクリレート化モノマー及びオリゴマーの共重合可能な混合物、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、グリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド修飾トリメチロールプロパンジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、1モル当たり分子量約200〜500グラムのポリエチレングリコールのビス−アクリレート及びビス−メタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エトキシル化トリアクリレート(例えば、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシル化トリアクリレート(例えば、プロポキシル化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、不飽和アミド(例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス−アクリルアミド、及びβ−メタクリルアミドエチルメタクリレート)、及びこれらの組み合わせ;並びにビニル化合物(例えばスチレン、ジアリルフタレート、ジビニルスクシネート、ジビニルアジペート、及びジビニルフタレート、及びこれらの組み合わせを含む);並びにこれらの組み合わせが挙げられる。他の有用なフリーラジカル重合可能な化合物には、(メタ)アクリレート化オリゴマー及びポリマーが挙げられる。
好適な(メタ)アクリレート化ポリマーには、例えばポリマー鎖当たり1〜約50個の(メタ)アクリレート基を有する、アクリレート及び/又はメタクリレートペンダント基を備えたポリマーが挙げられる。そのようなポリマーの例としては、例えばSartomer Co.(Exton、Pennsylvania)から販売されている商品名「SARBOX」(例えばSARBOX 400、401、402、404、及び405)などの芳香族酸(メタ)アクリレート半エステル樹脂が挙げられる。フリーラジカル化学により硬化可能なその他の有用な反応性ポリマーとしては、米国特許番号第5,235,015号(Aliら)に記載されたものなどのそれに結合されたフリーラジカル重合可能な官能性を有するヒドロカルビル主鎖及びペプチドペンダント基を含有するこれらのポリマー類が挙げられる。2つ以上のモノマー、オリゴマー、及び/又は反応性ポリマーの混合物を、所望に応じて使用することができる。代表的なエチレン不飽和性の化学種には、アクリレート、芳香族酸(メタクリレート)アクリレート半エステル樹脂、及び、ヒドロカルビル主鎖と、ラジカル重合化可能な官能性を付与されたペプチドペンダント基とを有するポリマーが挙げられる。
多光子光開始剤系は、光源からの光の少なくとも2つの光子を同時に吸収し、光硬化性組成物中のフリーラジカル重合可能な化合物のフリーラジカル重合を開始できるフリーラジカルを生成する。多光子光開始剤系により、光の集束光線の焦点領域に重合化を制限又は限定することが可能となる。このような系は、少なくとも1つの多光子光増感剤と、少なくとも1つの光開始剤(又は電子受容体)と、任意に少なくとも1つの電子供与体と、を含む1成分系、2成分系、又は3成分系を含み得る。このような多成分系は感度の向上をもたらすことができ、光反応をより短い期間で成し遂げることが可能であり、それによって、サンプル及び/又は露光システムの1つ以上の成分の動きに起因する問題が生じる可能性が減じられる。この多光子光開始剤系は、少なくとも2つの光子を同時に吸収することができ、かつ所望により、フルオレセインよりも大きな2光子吸収断面積を有する、少なくとも1つの多光子吸収性化合物の光化学的有効量を、有利なように含み得る。
いくつかの実施形態において、この多光子光開始剤系は、フリーラジカル重合のためのタイプI光開始剤を含む1成分系であり得る。タイプI光開始剤は、光の吸収により単分子結合開裂反応を本質的に起こし、これによりフリーラジカルを生じるものとして定義される。好適なタイプI光開始剤には、例えば、ベンゾインエーテル(例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル)、ベンジルケタル(例えば、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown、New York)からIRGACURE 651として販売されている2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン);α−置換アセトフェノン誘導体(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからDAROCUR 1173として販売されている2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン);及びCiba Specialty ChemicalsからIRGACURE 184として販売されている1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;Ciba Specialty Chemicals CorporationからIRGACURE 907として販売されている2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン;Ciba Specialty Chemicals CorporationからIRGACURE 369として販売されている2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン;並びにアシルホスフィンオキシド(例えば、Ciba Specialty ChemicalsからIRGACURE 819として販売されているビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及びBASF Corp.(Florham Park、New Jersey)からLUCIRIN TPO−Lとして販売されている2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド)、並びにモノ−及びビス−アシルホスフィン(例えばCiba Specialty ChemicalsからIRGACURE 1700、IRGACURE 1800、IRGACURE 1850、IRGACURE 819 IRGACURE 2005、IRGACURE 2010、IRGACURE 2020及びDAROCUR 4265として販売されているもの);並びにオリゴマー光開始剤(例えば、Lamberti SpA(Gallarate、Italy)から販売されているESACURE KIP 100、又はCiba−Geigy(Lautertal、Germany)から販売されているIRGACURE 651)が挙げられる。2種類以上の光反応開始剤の組み合せを使用することもできる。更に、例えば2−イソプロピルチオキサントンなどの増感剤を、「IRGACURE 369」などの光開始剤と共に使用することができる。
いくつかの実施形態において、多光子光開始剤系は、2成分系(例えば、電子供与体と光開始剤の組み合わせ)又は3成分系(例えば、電子供与体、増感剤及び光開始剤の組み合わせ)であり得る。2成分及び3成分多光子光開始剤系において有用な多光子光増感剤、電子供与体、及び光開始剤(又は電子受容体)について以下に説明する。
多光子光増感剤は、当該技術分野において既知であり、比較的大きい多光子吸収断面積を有する例示的実施例は、例えば米国特許第6,267,913号(Marderら)に一般に記載されている。光増感剤の2光子吸収断面積は、フルオレセインの約1.5倍超、フルオレセインの約2倍超、フルオレセインの約3倍超、又は更にはフルオレセインの約4倍超であり得る。いくつかの実施形態において、光増感剤はフリーラジカル重合可能な化合物に可溶性であり(例えば、フリーラジカル重合可能な化合物が液体の場合)、あるいは、組成物に含まれるフリーラジカル重合可能な化合物及び任意の結合剤(例えば、以下に記載されるもの)と相溶性である。増感剤は、1つには貯蔵安定性を考慮して選択することもできる。したがって、特定の光増感剤の選択は、利用する特定のフリーラジカル重合可能な化合物に(並びに電子供与体化合物及び/又は光開始剤の選定に)ある程度依存し得る。
特に有用な多光子光増感剤としては、ローダミンB(すなわち、N−[9−(2−カルボキシフェニル)−6−(ジエチルアミノ)−3H−キサンテン−3−イリデン]−N−エチルエタンアミニウムクロライド又はヘキサフルオロアンチモネート)、並びに、例えばMarder及びPerryらによって国際公開特許第WO 98/121521号及び同第99/53242号に記載されている4つの種別の光増感剤など、大きな多光子吸収断面積を呈するものが挙げられる。4つのクラスは、(a)2つの供与体が共役π電子架橋に結合された分子、(b)2つの供与体が1つ以上の電子求引基で置換された共役π電子架橋に結合された分子、(c)2つの受容体が共役π電子架橋に結合された分子、及び(d)2つの受容体が、1つ以上の電子供与性基で置換されている共役π電子架橋に結合された分子(ここで、「架橋」とは、2つ以上の化学基を結合する分子断片を意味し、「供与体」とは、共役π電子架橋に結合され得る低イオン化電位を有する原子又は原子団を意味し、「受容体」とは、共役π電子架橋に結合され得る高電子親和力を有する原子又は原子団を意味する)として説明することができる。その他の有用な光増感剤が、Reinhardtらの米国特許第6,100,405号、同第5,859,251号、及び同第5,770,737号において、大きな多光子吸収断面積を有するものとして述べられているが、これらの断面積は上記以外の方法で決定されたものである。
光硬化性組成物の多光子光開始剤系に有用な電子供与体化合物は、電子を光増感剤の電子励起状態に供与できるこれらの化合物(光増感剤自体以外)である。そのような化合物は、任意選択により、光開始剤系の多光子感光性を増大させ、それによって光硬化性組成物の光反応を成し遂げるのに必要な露光を減少させるために使用することができる。電子供与体化合物は、ゼロよりも大きく、かつp−ジメトキシベンゼンの酸化電位以下である酸化電位を有し得る。いくつかの実施形態において、酸化電位は、標準飽和カロメル電極(「S.C.E.」)に対して約0.3〜1ボルトである。
電子供与体化合物は典型的に、光硬化性組成物に可溶性であるが、ただしこれは要件ではなく、貯蔵安定性もある程度考慮して(上述のように)選択することができる。好適な電子供与体は一般に、所望の波長の光に露光すると、光硬化性組成物の硬化速度又は画像密度を増加させることが可能である。
一般に、特定の光増感剤及び光開始剤と共に使用するのに好適な電子供与体化合物は、(例えば、米国特許第4,859,572号(Faridら)において記載されている)3つの成分の酸化電位及び還元電位を比較することによって選択することができる。
好適な電子供与体化合物には、例えば、アミン(トリエタノールアミン、ヒドラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリフェニルアミン(及びそのトリフェニルホスフィン及びトリフェニルアルシン類似体)、アミノアルデヒド、アミノシランを含む)、アミド(ホスホルアミドを含む)、エーテル(チオエーテルを含む)、尿素(チオ尿素を含む)、スルフィン酸及びその塩、フェロシアン化物塩、アスコルビン酸及びその塩、ジチオカルバミド酸及びその塩、キサントゲン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、(アルキル)(アリール)ホウ酸塩(n+m=4)(例えばテトラアルキルアンモニウム塩)、様々な有機金属の化合物、例えばSnR化合物(式中、Rは独立してアルキル、アラルキル(特にベンジル)、アリール、及びアルカリル基から選択される)(例えば、n−CSn(CH、(アリル)Sn(CH、及び(ベンジル)Sn(n−Cなどの化合物)、フェロセン、及びこれらの混合物が挙げられる。電子供与体化合物は、未置換とすることができ、又は、1つ以上の非妨害置換基で置換することもできる。いくつかの実施形態において、好適な電子供与体化合物は、電子供与体原子(窒素原子、酸素原子、リン原子、又はイオウ原子など)と、電子供与体原子に対してアルファ位置にある炭素原子又はケイ素原子に結合された除去可能な水素原子とを含む。
光硬化性組成物に使用するのに好適な光開始剤(すなわち、電子受容体化合物)は、電子励起状態の多光子光増感剤から電子を受容し、結果として、少なくとも1つのフリーラジカル及び/又は酸が形成されることによって増感されることが可能な光開始剤である。そのような光開始剤としては、ヨードニウム塩(例えば、ジアリールヨードニウム塩)、スルホニウム塩(例えば、所望によりアルキル基又はアルコキシ基で置換されており、また場合によっては、隣接アリール部分を橋架けしている2,2’−オキシ基を有するトリアリールスルホニウム塩)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なヨードニウム塩には、米国特許第5,545,676号(Palazzottoら)に記載されるものが挙げられる。ヨードニウム塩は例えば、単塩(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、若しくはベンゼンスルホネートなどのアニオンを含む)又は金属錯塩(例えばSbF 、PF 、BF 、テトラキス(ペルフルオロフェニル)ホウ酸塩、SbFOH、若しくはAsF を含む)であり得る。所望により、ヨードニウム塩の混合物を使用することができる。
多光子光開始剤系は典型的に、光硬化性組成物に可溶性でありかつ貯蔵安定性(すなわち、光硬化性組成物の反応を自発的に促進しない)であるように選択されるが、これらは要件ではない。したがって、特定の多光子光開始剤系の選択は、ある程度、具体的な光硬化性組成物に依存し得る。
多光子光開始剤系の構成成分は、溶媒などの揮発性構成要素を除去した後、光化学的有効量で存在する。一般に、光硬化性組成物は、少なくとも約5重量パーセント(例えば、少なくとも約10重量パーセント又は少なくとも約20重量パーセント)から、最高99.79重量パーセント(例えば、最高約95重量パーセント又は最高約80重量パーセント)の1つ以上のフリーラジカル重合可能な化合物を含み;少なくとも約0.01重量パーセント(例えば、少なくとも約0.1重量パーセント又は少なくとも約0.2重量パーセント)から、最高10重量パーセント(例えば、最高約5重量パーセント又は最高約2重量パーセント)の多光子光開始剤系を含むが、他の量も使用可能である。例えば、2成分系及び3成分系の多光子光開始剤系において、光硬化性組成物の合計固形物重量に基づき、最高約10重量パーセント(例えば、最高約5重量パーセント)の1つ以上の電子供与体化合物(例えば、少なくとも約0.1重量パーセント又は約0.1〜約5重量パーセント);最高10重量パーセント(例えば、最高約5重量パーセント)の光増感剤(例えば、少なくとも約0.001重量パーセント〜1重量パーセント);並びに、約0.1重量パーセント〜約10重量パーセントの1つ以上の電子供与体化合物(例えば、約0.1〜約5重量パーセント)を含むが、他の量も使用可能である。有機フリーラジカル阻害剤が存在する実施形態においては、その有効量が存在し得る。いくつかの実施形態において、光硬化性組成物の重量に基づき、有機フリーラジカル阻害剤は、約0.01〜約2重量パーセント、約0.01〜約0.75重量パーセント、又は約0.1〜約0.5重量パーセントの量で存在するが、他の量も使用することができる。
2成分系及び3成分系の光開始剤系に関する更なる詳細は、米国特許第8,004,767 B2号(DeVoeら)に見出すことができる。
光硬化性組成物は、所望による構成成分を更に含んでよく、例えば、1つ以上のポリマー結合剤、安定化剤、香料、充填剤、チキソトロピー剤、着色剤、フリーラジカル熱開始剤、モノヒドロキシ及びポリヒドロキシ化合物、可塑剤、強化剤、充填剤、研磨粒子、安定化剤、光安定化剤、酸化防止剤、流動化剤、増稠剤、つや消し剤、着色剤、膨張剤、抗真菌剤、殺菌剤、界面活性剤、充填剤(例えば、ガラス及びセラミックビーズ、並びに、有機及び無機の織布及び不織布ウェブなどの補強材料)が挙げられ得る。
いくつかの実施形態において、光硬化性組成物は、例えば、粘度を制御しかつフィルム形成特性を提供するためのポリマー結合剤を含む。そのようなポリマー結合剤は概ね、フリーラジカル重合可能な化合物と相溶性となるように選択することができる。例えば、フリーラジカル重合可能な化合物に使用されているものと同じ溶媒に相溶性であり、かつフリーラジカル重合可能な化合物の反応経路に悪影響を与え得る官能基を含まないようなポリマー結合剤を、使用することができる。結合剤は、望ましいフィルム形成性及び溶液レオロジーを達成するのに好適な分子量であり得る(例えば、約5,000〜1,000,000ダルトン、約10,000〜500,000ダルトン、又は約15,000〜250,000ダルトンの分子量)。好適な高分子結合剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン)−co−(アクリロニトリル)、及びセルロースアセテートブチラートが挙げられる。
いくつかの実施形態において、光硬化性組成物は、約30重量パーセントのポリ(メチルメタクリレート)(120,000グラム/モル)、約35重量パーセントのエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer Co.,Inc.(Exton、Pennsylvania)からSR−9008として販売)、及び約35重量パーセントのトリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートを含み得る。
光硬化性組成物は、例えば、早期の光硬化性組成物の硬化を引き起こし得る望ましくない単光子開始光重合を防ぐため、適切な「安全光」の条件下で、当該技術分野において既知の方法を用いて(例えば撹拌又は振盪を用いて)一緒に混合することにより、上記の構成成分を合わせることによって形成することができる。光硬化性組成物の構成成分は、「安全光」の条件下で、混合の任意の順序及び方法を使用して(任意に、撹拌又は振盪を用いて)混合することができるが、場合によっては(貯蔵寿命及び熱安定性の観点から)光開始剤を最後に(かつ、他の構成成分の溶解を促進するために任意に用いられる加熱工程の後に)添加するのが有利である。溶媒を組成物の構成成分と目に付くほど反応しないように選定するという条件で、所望により溶媒を使用することができる。好適な溶媒として、例えば、アセトン、ジクロロメタン、シクロペンタノン、及びアセトニトリルが挙げられる。フリーラジカル重合可能な化合物は、場合により、他の構成成分の溶媒の役割を果たし得る。
光硬化性組成物は、例えば、液体又は固体などの任意の形態で存在し得る。光線露光に先立って、光硬化性組成物を、所望により、当業者に既知の種々のコーティング方法(例えば、ナイフコーティング及びスピンコーティングを含む)のうちのいずれかを用いて基材上にコーティングすることができる。基材は、様々なフィルム、シート、及び他の表面材(シリコンウエハ及びガラスプレートを含む)から、特定の用途及び利用する露光の方法に応じて選定することができる。基材の多光子硬化性光硬化性組成物によるコーティングに先立って、シラン基及び光硬化性組成物と類似する官能基を含む化合物などの好適な化合物で、基材をプライミングしてもよい。好適なプライマーには、例えば、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートが挙げられる。有用な基材は有利には、均一な厚さを有する光硬化性組成物の層を調製することができるよう、十分に平坦であり得る。コーティングがさほど望ましくない用途の場合、光硬化性組成物をバルク形態で露光させることができる。
本明細書で実施される多光子光硬化には、ある体積領域の光硬化性組成物の不溶化が生じる(例えば、これにより1つ以上のボクセルが生じる)程度にまで進行する、光硬化性組成物中のフリーラジカル重合可能構成成分のフリーラジカル重合が含まれる。典型的にこれは、多官能基フリーラジカル重合可能モノマーが光硬化性組成物中に含まれている場合に起こる架橋ポリマーネットワークの形成によって生じるが、ただし他の要素も影響を及ぼす可能性がある。不溶化は典型的に、重合/架橋の度合に依存し、よって光硬化性組成物は、ある程度の重合が起こっても不溶(例えば、硬化状態)にはならない可能性があることに注意されたい。更なる不溶化は、現像条件(例えば、すすぎ溶媒及び/又は温度)の具体的な選択にも依存し得る。
一般的に言って、露光による多光子光硬化が起こるには、2つの条件を満たしていなければならない。第1の条件は、光(例えば、高強度レーザー光)が、多光子吸収を起こせることができるような十分な強度を有していなければならないことである。光がコヒーレントである場合は(例えばレーザー光の場合のように)、付加的な利益が得られることがある。第1の近似として、非線形多光子吸収の確率は、吸収される光子の数の増加に従って、指数関数的に増加する。よって、実践上の理由から、多光子吸収は典型的に、特に凝縮された相の材料(例えば、固体又は液体)において、2光子吸収として実践される。
多光子光硬化プロセスにおいて、多光子開始系による光の多光子吸収によって、反応又は分解が起こり、開始化学種(例えば、フリーラジカル)を生じ、これが光硬化性組成物のある領域に硬化を起こす(例えば、フリーラジカルによる重合により)。したがって、第2の条件は、望ましい材料を現像溶媒が除去してしまわないような、光硬化性組成物の十分な硬化を引き起こすよう、十分な数の開始化学種が生成されなければならないということである。この第2の条件は、受け取る光の量(例えば、光線の書き込み速度により反映される)に関連する。
使用することができるシステムの1つの代表的なタイプが図1に示されている。図1を参照すると、作製システム10は、光源12と、最終光学素子15(任意に、光線広がりを制御するガルバノミラー及び望遠鏡を含む)を備える光学系14と、移動可能ステージ16とを含む。ステージ16は、1次元、2次元、又はそれ以上、典型的には3次元に移動できる。光源12から生ずる光線26は、光学系14を通過し、最終光学素子15を通って離れ、それを層20内の点Pに集中させ、それにより光の強度の3次元空間分布を組成物内に制御し、点Pの付近の光硬化性組成物24の少なくとも一部をそれが光線26に露光直前よりも少なくとも1つの溶媒中でより可溶性に又はより可溶性でなくする。光学系14の1つ以上の要素の移動と組み合わせてステージ16を移動又は光線26を向ける(例えば、ガルボミラー(galvo-mirror)を使用してレーザー光線を移動する)ことにより、焦点Pを走査でき又は所望の形状に対応する3次元パターンに形を変えることができる。例えば、ステージ16はx及びy次元で移動することができ、また最終光学素子15はz次元で移動することができ、これにより点Pの位置を制御する。光硬化性組成物24の、反応した、又は部分的に反応した部分が、所望の形状の3次元構造体を形成する。
ステージ16に実装される基材18は、その上に配置される多光子光硬化性組成物24の層20を有する。光源12から生ずる光線26は、光学系14を通過し、最終光学素子15を通って離れ、それを層20内の点Pに集中させる。それにより光の強度の3次元空間分布を多光子光硬化性組成物24内に制御し、点Pの付近の多光子光硬化性組成物24の少なくとも一部を硬化する。
光学系14の1つ以上の要素の移動と組合せてステージ16を移動又は光線26を向ける(例えば、ガルボミラー(galvo-mirror)及び望遠鏡を使用してレーザー光線を移動する)ことにより、焦点Pを走査でき又は所望の形状に対応する3次元パターンに形を変えることができる。次に、生じた多光子光反応性組成物24の硬化又は部分的に硬化された部分が、所望の形状の3次元構造体を形成する。現像後に基材に係留された3次元構造を形成することが望ましい場合は、焦点Pを層20と基材18との界面に固定して、これらのボクセルが構造の底面になるようにする。例えば、単一通過で、1つ以上の光抽出構造体の表面輪郭(約1体積ピクセル又はボクセルの厚さに相当する)を露光又は撮像でき、その現像により構造体の表面を形成できる。
表面輪郭の露光又は撮像は、所望の3次元構造体の平面スライスの少なくとも周辺を走査し、次に複数の典型的には平行の平面スライスを走査し、構造体を仕上げることにより行うことができる。スライス厚さは、印加される適切なエネルギー用量と合わせて制御することができ、これによって、十分に低い表面粗さを達成し、高品質の構造を提供することができる。例えば、より小さいスライス厚さは、より大きい構造テーパの領域で望ましく、高い構造忠実度の実現に役立つことができるが、より大きいスライスの厚さは、より小さい構造テーパの領域で利用され、有用な作製時間の維持に役立つことができる。このように、スライス厚さ未満の表面粗さ(例えば、スライス厚さの約1/2未満、又は更にはスライス厚さの約1/4未満)は、作製速度(すなわち、処理能力又は単位時間当たりに作製される構造体の数)を犠牲にすることなく達成できる。
多光子光反応性組成物24をボクセル高さと同じ又はそれ以上の寸法規模である程度の非平面性を示す基材にコーティングする場合、光学的又は物理的に欠陥のある構造体を回避するため非平面性で補償するのが望ましい場合がある。これは、(例えば共焦点界面ロケーターシステムを使用して)基材と、露光される多光子光反応性組成物24の部分との間の界面の位置を見つけ出し、次に、その界面に光線26の焦点を適切に合わせるよう光学系14の位置を調節することによって達成することができる。そのような手順の代表的な一例が、米国特許第7,893,410 B2号(Sykoraら)に詳述されている。この手順は、配列内の構造体20個につき少なくとも1個の構造体について(例えば、配列内の構造体10個につき少なくとも1個、あるいは各構造体に)踏襲することができる。
光源12は、光硬化性組成物中に含まれる多光子光開始剤系に適した波長で、多光子吸収の効果をもたらすのに十分な強度を提供するような、任意の光源(例えば、レーザー)であり得る。こうした波長は、例えば約300〜約1500nm、約400〜約1100nm、約600〜約900nm、又は約750〜約850nmの範囲(両端の値を含む)であり得る。典型的に、光フルエンス(例えば、パルス化レーザーのピーク強度)は、約10W/cmを超える。光フルエンスの上限は、一般に光硬化性組成物のアブレーション閾値により規定される。好適な代表的光源としては、高出力ランプ及びレーザーが挙げられる。一般に、光は光硬化性組成物により直接(例えば1光子吸収により)吸収される波長ではなく、多光子(例えば2光子)吸収が、その波長の半分の波長(λ/2)で多光子光開始剤系による主な吸収に対応するような適切な波長(λ)とするべきである。こうした波長は通常、約300〜約1500nmの範囲(例えば、約400〜約1100nm、約600〜約900nm、又は約750〜約850nm(すべての範囲を含む))であり得る。典型的に、光フルエンス(例えば、パルス化レーザーのピーク強度)は、1平方センチメートル当たり約10ワット(W/cm)を超える。光フルエンスの上限は、一般に光硬化性組成物のアブレーション閾値により規定される。
好適な光源としては、例えば、ピコ秒レーザー及びフェムト秒レーザーなどの超高速レーザーが挙げられる。例えば、好適なフェムト秒レーザーとして、アルゴンイオンレーザー(例えば、Coherentから商品名「INNOVA」として販売されているもの)により励起される、近赤外チタンサファイアオシレーター(例えば、Coherent(Santa Clara、California)から商品名「MIRA OPTIMA 900−F」として販売されているもの)が挙げられる。このレーザーは76MHzで動作し、パルス幅が200フェムト秒未満であり、700〜980nmの間で調整可能であり、平均出力が最大で1.4ワットである。別の有用なレーザーが、Spectra−Physics(Mountain View、California)から商品名「MAI TAI」として販売されており、これは750〜850ナノメートルの範囲内で調節可能であり、80メガヘルツの反復周波数、約100フェムト秒(10−13秒)のパルス幅、1ワットまでの平均出力を有する。
他の好適なレーザーには、Q−スイッチNd:YAGレーザー(例えば、Spectra−Physicsから商品名「QUANTA−RAY PRO」として販売されているもの)、可視波長染料レーザー(例えば、QUANTA−RAY PRO Q−スイッチNd:YAGレーザーにより励起される、Spectra−Physicsから商品名「SIRAH」として販売されているもの)、及びQ−スイッチダイオード励起レーザー(例えば、Spectra−Physicsから商品名「FCBAR」として販売されているもの)が挙げられる。
更なる光源には、約10−8秒未満(例えば、約10−9秒未満、更には約10−11秒未満)のパルス長を有する近赤外パルス化レーザーが挙げられる。上記のピーク強度及びアブレーション閾値の基準が満たされている限り他のパルス長さを用いることもできる。例えば、パルス化光は、約1キロヘルツから約50メガヘルツ(MHz)まで又は更にそれ以上のパルス周波数を有する。連続波レーザーを使用することもできる。
光学系14には、例えば、屈折光学素子(例えば、レンズ又はマイクロレンズアレイ)、反射光学素子(例えば、再帰反射器又は集束ミラー)、回折光学素子(例えば、回折格子、相マスク及びホログラム)、偏光光学素子(例えば、直線偏光子、円形偏光子、及び波長板)、分散形光学素子(例えば、プリズム及び回折格子)、拡散板、ポッケルスセル、導波路などが含まれ得る。こうした光学要素は、集束、光線供給、光線/モード成形、パルス成形、及びパルスタイミングに有用である。一般に、光学要素は組み合わせて使用することができるが、他の適当な組み合わせも当業者によって認識されるであろう。
最終光学素子15は、例えば、1つ以上の屈折、反射及び/又は回折光学素子を含み得る。ある実施形態では、例えば、顕微鏡検査で使用されるような対物レンズを、例えば、Carl Zeiss,North America(Thornwood、New York)などの供給業者から容易に入手でき、最終光学素子15として使用することができる。例えば、作製システム10には、NAが0.75の対物レンズ(例えば、Carl Zeiss,North Americaから商品名「20X FLUAR」として販売されているもの)を備えた走査共焦点顕微鏡(例えば、Bio−Rad Laboratories(Hercules、Calif.)から商品名「MRC600」として販売されているもの)が挙げられ得る。最終光学素子15の開口数は、0.65〜1.46の範囲(両端の値を含む)の任意の値を有し得る。有用な空中対物レンズは典型的に、0.65〜約0.95の範囲の開口数を有する。有用な液浸対物レンズ(例えば、油浸対物レンズ)は典型的に、約1.0より大きく1.46までの範囲の開口数を有する。
高集束光を提供するため、しばしば比較的大きい開口数を有する光学系を使用することが望ましい場合がある。しかしながら、所望の強度プロファイル(及びその空間的配置)を与える光学要素の任意の組み合わせを使用することができる。
一般に露光時間は、光硬化性組成物内でフリーラジカル重合可能な化合物の反応を引き起こすために使用される露光システムのタイプ(及び開口数、光強度空間分布の形状、レーザーパルス時のピーク光の強度(ピーク光の強度にほぼ相当する、より高強度かつより短いパルス持続時間)などの従属変数)、並びに光硬化性組成物の性質により決まる。一般的に、他のすべての条件が等しい場合、焦点領域のピーク光強度が高いほど、露光時間は短くなる。一般に一次元撮像又は「書き込み」速度は、約10−8〜10−15秒(例えば、約10−11〜10−14秒)及び約10〜10パルス/秒(例えば、約10〜10パルス/秒)のレーザーパルス持続時間を使用し、約0.5〜100,000マイクロメートル/秒であり得る。
他に記載のない限り、断面光線強度プロファイル及び/又は時間的プロファイルが異なり得る複数の光線を使用することができる。この光線は、1つ以上の光源(例えば、レーザー)から発せられ得る。複数の光線に同じ光源を使用することにより、多光子光硬化プロセスを単純化し、場合によってはシステム設計及び実装を単純化する可能性がある。
多光子吸収により、光線26に露光することで、光硬化性組成物内の反応が誘発され、フリーラジカル重合した材料を含む硬化した材料の1つ以上の体積領域が生成される。次に、硬化された材料及び未硬化の材料で生じたパターンは、例えば未硬化領域を取り除くことにより、従来の現像方法により実現できる。所望により、望ましい構造の表面形状のみが露光した後、典型的に溶媒現像を行い、化学線(例えば、1光子吸収プロセスにより硬化を起こす光)を使用した非撮像的露光を実施して、任意の残存する未硬化の光硬化性組成物に追加の硬化効果をもたらすことができる。複雑な3次元構造体及び構造体アレイは、この方法で調製できる。
露光した光硬化性組成物を首尾良く溶媒現像し、作製された構造を得るためには、硬化が望ましい光硬化性組成物の体積領域(ボクセル)において、光の閾値用量(すなわち、閾値量)が典型的に必要である。したがって、光用量は典型的に、硬化が望ましい体積領域が、少なくとも閾値レベル(例えば、閾値レベルの最高10倍)を受容するように、また陰性造影が活用される体積領域において、この用量(及び典型的に強度)がより大きくなるように、選択される。この閾値用量は、典型的にプロセス固有であって、例えば、波長、パルス周波数、光の強度、具体的な光硬化性組成物、作製された具体的な構造体又は溶媒現像に使用されるプロセスなどの変数に依存し得る。よって、プロセスパラメータの各セットは典型的に、固有の閾値用量を伴う。
多光子吸収を通じて、光線26は光硬化性組成物中でフリーラジカル重合反応を誘発し、これにより、光硬化性組成物の未露光領域とは異なる溶解度特性を有する材料の体積領域が形成される。得られた異なる溶解度のパターンは、従来の現像プロセスによって例えば、露光又は未露光領域のいずれかを除去することにより実体化することができる。露光された光硬化性組成物は、例えば、露光された光硬化性組成物を溶媒中に定置し、より高い溶媒溶解度の領域を溶解し、溶媒ですすぎ、蒸発させ、酸素プラズマエッチングし、又は他の既知の方法及びそれらの組み合わせにより現像することができる。露光された光硬化性組成物を現像するために使用することができる溶媒の非限定的例としては、例えば、水(例えば、1〜12の範囲内のpHを有する)、水と有機溶媒類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、これらの混合物、及び同様物)との相溶性混合物などの水性溶媒、並びに有機溶媒が挙げられる。有用な有機溶媒の代表的な例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、ケトン(例えば、アセトン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン)、芳香族(例えば、トルエン)、有機ハロゲン化合物(例えば、メチレンクロリド、クロロホルム)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、エステル(例えば、酢酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、アミド(例えば、N−メチルピロリドン)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
本開示を実践するための好適な光硬化性組成物は、特定のプロセス条件下で陰性造影を呈する。例えば、多光子吸収を得るのに必要な閾値容量を上回る露光が実施された場合、光硬化性組成物は、硬化の増大を呈し、次に光用量が増加すると硬化の低下を呈することがある。これは、例えば図2に示すように、固定された多光子硬化条件について、書き込み速度の逆数に対して垂直ボクセル寸法(例えば、溶媒現像後に得られる)をプロットすることにより、見ることができる。ここにおいて書き込み速度は、光硬化性組成物を含む本体にわたるレーザー光線の移動速度を反映する。図2には、領域210において、書き込み速度の減少(すなわち、用量増加に対応する、書き込み速度の逆数の増加)に伴う垂直ボクセル寸法の増加が示されており、これは多くの多光子プロセスに共通である。しかしながら、更に書き込み速度を減少(すなわち、書き込み速度の逆数を更に増加)させると、最大レベル220に到達する。書き込み速度が減少して領域230に入ると、用量が更に増加し、垂直ボクセル寸法の減少が生じる。この用量増加に伴う硬化の減少は、陰性造影の一例である(すなわち、負の傾きの領域を伴う造影曲線)。この陰性造影現象を、本開示により有利に利用して、光を用いた撮像に通常伴う回折限界より下の撮像能力を提供することができる。
陰性造影現象を使用して、使用する光の回折限界より下の寸法を有するボクセルから形成される構造を作製するために、光硬化性組成物上に衝突する光の不均一な空間特性が存在する必要がある。例えば、2つの別個の光線を合わせることにより形成される光線は、例えば本明細書に記述されるように、他の部分よりも一部の部分において、より高い強度及び/又は用量を有し得る。陰性造影が観察される条件下において、光硬化は最大強度/用量の領域で阻害され、一方、隣接する領域はより大きな度合の光硬化を呈する。
理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、陰性造影がフリーラジカルの過剰な産生をもたらし、これによりフリーラジカル重合の未然の終了と硬化度合の低減が生じることを見出したと考える。
したがって、不均一な光線強度を有する単一の緊密に焦点が絞られた光線は、サブマイクロメートル解像度(例えば、本明細書に上述されているように)を備えた構造及び構成要素を作製するのに使用することができる。一実施形態において、この光線は、強度が周縁の外側領域で最強であり、光線の中央で非常に低い断面を有する。例えば、この光線は、光の強度が比較的高い外側領域によって囲まれた、光の強度が比較的低い内側領域を含む、光線断面プロファイルを有し得、ここにおいて内側領域と外側領域は同じ時間的プロファイル(これは連続的又はパルス状であり得る)を有する。これは、例えば、ガウス・ラゲールモード(例えばTEM01 (図3に示すように、ドーナツ状)、又はTEM10(図4に示すように「牛眼」形状))、あるいは、既知の方法により適切な位相マスクで形成可能なガウス・エルミートモードを使用することにより達成され得る。TEM01 ガウス・ラゲールモードの光線を使用する場合、内側領域の光により硬化が起こるのに対して(内側領域に少なくともある程度の光がほぼ常に存在することが認識される)、光硬化性組成物上に焦点を合わせた外側領域の光は、光硬化性組成物の硬化が阻害される十分な強度及び用量である。その結果、硬化は優先的に内側領域で起こり、外側領域に近づくと減少し、これによって、従来の単光線方法により得ることができるより小さい硬化体積(ボクセル)がもたらされる。いくつかの実施形態において、これは、光線断面の中央で形成される単一の形状を生じ得るが、他の実施形態において、中央の点と、その点から間隔をあけて取り囲む外側の環を含む、牛眼形状を生じ得る。TEM10ガウス・ラゲールモードの光線を使用することによって、例えば環及び管などのサブマイクロメートル構造の形成を同様にもたらすことができる。この方法は、有利なように、複数の高輝度光線の場合に存在し得る光学的な操舵要件を単純化し、他の従来の多光子方法よりも遅い書き込み速度で、非常に小さなマイクロメートル寸法又はサブマイクロメートル寸法の構造を形成することができ、改善されたプロセス制御をもたらす可能性がある。
前述の節では、光の強度が比較的高い外側領域によって囲まれた、光の強度が比較的低い内側領域を含む、レーザー光線の使用について記述しているが、本開示のいくつかの方法において、例えば配線ラインなどの場合、他のレーザー光線モードを使用することが有利であり得る。そのように使用し得るレーザーモードの例としては、TEM01、TEM02、TEM03、及びTEM11が挙げられる。
陰性造影の考えられる原因の発見の他の用途において、本開示は更に、実質的に無酸素の光反応系の多光子光硬化中に陰性造影を達成する。微細構造作製のために陰性造影の光硬化性組成物を使用する利点及び方法は、本明細書に前述されている。
酸素は、単独で、あるいは所望により分子状酸素の存在下でのみ有効な特定の阻害剤(例えば、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)など)と共に、フリーラジカル重合を阻害することがよく知られている。この実施形態において、酸素以外のフリーラジカル重合阻害剤が光硬化性組成物に含まれ、酸素に代わってこの利点を提供する。この実施形態において特記されることとして、陰性造影撮像は、フリーラジカル重合可能組成物に通常含まれ得る濃度をはるかに超える濃度の有機フリーラジカル重合阻害剤を使用して達成することができる。例えば、この実施形態において、有機フリーラジカル重合阻害剤の濃度は、光硬化性組成物の合計重量に基づき、0.01〜2重量パーセント(例えば、約0.1〜0.75重量パーセント)の範囲の量で光硬化性組成物に含まれ得るが、他の量も使用することができる。
有利なように、この実施形態において、分子状酸素の実質的な欠如により、有機フリーラジカル重合阻害剤の濃度を調節することにより、光硬化性組成物の感度を調節することが可能になる。例えばフェノールタイプの酸化防止剤(例えば、ヒドロキノン、4−メトキシフェノール(MEHQ)、及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)などの、特定の有機フリーラジカル重合阻害剤は一般に、分子状酸素の存在下においてのみ、フリーラジカル重合を阻害するのに有効であるため、これらは典型的に、この実施形態においてはほとんど又は全く役に立たない。
酸素の不在下でフリーラジカル重合を阻害し得る有用な有機フリーラジカル重合阻害剤には、例えば、フェノチアジン及びアミンオキシドラジカル(例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ(すなわち、TEMPO)、4−ヒドロキシ−TEMPO;4−アセトアミド−TEMPO、4−アミノ−TEMPO、4−シアノ−TEMPO、4−(2−ヨードアセトアミド)−TEMPO、4−オキソ−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−ホスホノオキシ−TEMPO水和物、ポリ(エチレングリコール)−ビス−TEMPO、4−メタンスルホニルオキシ−TEMPO、4−メタクリロイルオキシ−TEMPO、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート);1,3,5−トリフェニルベルダジルラジカル、ガルビノキシルラジカル;1,3−ビスジフェニレン−2−フェニルアリルラジカル(ケルシュラジカル);及びN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩(例えばWako ChemicalからQ−1300及びQ−1301として販売されているもの)が挙げられる。
陰性造影の考えられる原因の本発見の更に他の用途において、本開示は更に、フリーラジカル重合可能な化合物及びタイプI光開始剤(両方とも本明細書で前述されている)、並びに少なくとも1つのフリーラジカル重合阻害剤を含む、光反応系の多光子硬化中に、陰性造影現象を達成する。この実施形態において、フリーラジカル重合可能なメタクリレート、アクリレート、及び類似の化合物を使用することができる。
タイプI光開始剤には、他の周知の多光子光開始剤系に比べ、比較的低価格の市販入手源から容易に入手できるなどの利点がある。しかしながらこれまで、光硬化性組成物の多光子硬化中に陰性造影は観察されていない。したがって、陰性造影は、フリーラジカル重合可能な化合物(例えば、アクリレート又はメタクリレート)を含むフリーラジカル硬化性系において観察され得ることがここに発見されている。いくつかの実施形態において、メタクリレートを含むフリーラジカル硬化性系は、光硬化性組成物の合計重量に基づき、例えばアクリレート及びアクリルアミドなどの他のフリーラジカル重合可能な化合物を、1重量パーセント未満、又は更には0.1重量パーセント未満含む。いくつかの場合において、光硬化性組成物は、フリーラジカル重合可能アクリレート及びアクリルアミド化合物を含まなくともよい。例えば微細構造の作製における、陰性造影条件下での光硬化性組成物の多光子硬化の利点と方法は、本明細書において前述されている。
本開示の選択された実施形態は、下記に詳しく示される。
本開示の選択された実施形態
第1の実施形態において、本開示は、次の工程:
a)光線を提供する工程であって、この光線は、光の強度が比較的高い外側領域によって囲まれた、光の強度が比較的低い内側領域を含む、光線断面プロファイルを有し得、ここにおいて内側領域と外側領域は同じ時間的プロファイルを有する、工程と、
b)光硬化性組成物を提供する工程であって、この光硬化性組成物は、フリーラジカル重合可能な化合物と、フリーラジカル重合阻害剤と、多光子光開始剤系とを含む、工程と、
c)光硬化性組成物の少なくとも一部分を光線に露光させることにより、光の一部の多光子光開始剤系による多光子吸収が、フリーラジカル重合可能な化合物の少なくとも一部分にフリーラジカル重合を開始させる工程であって、ここにおいて、光硬化性組成物に、光線の内側領域の少なくとも一部分を照射することにより、光硬化性組成物の一部分に、少なくとも現像のための閾値レベルまでの硬化が生じ、そして、光硬化性組成物に、光線の内側領域に隣接する外側領域の少なくとも一部分を照射することによっては、その光硬化性組成物に、少なくとも現像のための閾値レベルまでの硬化が生じない、工程と、を含む方法を提供する。
第2の実施形態において、本開示は、第1の実施形態による方法を提供し、ここにおいて光硬化性組成物は、更に有機ポリマーを含み、光硬化性組成物は実質的に非流動性である。
第3の実施形態において、本開示は、第1又は第2の実施形態による方法を提供し、ここにおいて、光線断面プロファイルの外側領域は実質的に環状である。
第4の実施形態において、本開示は、第1〜第3の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいて、光線は、ガウス・ラゲールモードのレーザー光を含む。
第5の実施形態において、本開示は、第1〜第4の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいて、光硬化性組成物は層を形成し、この層は基材上に配置される。
第6の実施形態において、本開示は、第1〜第5の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいて、工程c)が複数回繰り返され、各繰り返しにおいて、光線は、所定のパターンにしたがって光硬化性組成物内の様々な位置に焦点を合わせる。
第7の実施形態において、本開示は、第6の実施形態による方法を提供し、ここにおいて、所定のパターンには、3次元それぞれにおける所定のパターンバリエーションが含まれる。
第8の実施形態において、本開示は、第1〜第7の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、工程c)において少なくとも現像のための閾値レベルまで硬化した光硬化性組成物の、少なくとも一部分を現像することを更に含む。
第9の実施形態において、本開示は、第1〜第8の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいてフリーラジカル重合阻害剤は、分子状酸素以外のフリーラジカル重合阻害剤を含む。
第10の実施形態において、本開示は、第1〜第9の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいてフリーラジカル重合可能な化合物は、少なくとも2つのアクリロイル基を含む。
第11の実施形態において、本開示は、次の工程:
a)少なくとも一つの光線を提供する工程と、
b)光硬化性組成物を提供する工程であって、この光硬化性組成物は、フリーラジカル重合可能な化合物と、分子状酸素以外のフリーラジカル重合阻害剤と、多光子光開始剤系とを含み、このフリーラジカル重合阻害剤は、酸素の不在下で有効である、工程と、
c)光硬化性組成物の少なくとも一部分を、少なくとも一つの光線に露光させることにより少なくとも部分的に硬化させ、これにより、光の一部の多光子光開始剤系による多光子吸収が、フリーラジカル重合可能な化合物のフリーラジカル重合を開始させ、そしてこれにより、光線による露光の段階的な増加によって、光線に露光した光硬化性組成物の少なくとも一部分の硬化の程度が少なくなり、光硬化性組成物は、この光硬化性組成物がこの光線に露光する前は、実質的に分子状酸素を含まない、工程と、を含む方法を提供する。
第12の実施形態において、本開示は、第11の実施形態による方法を提供し、ここにおいて、光硬化性組成物は、光硬化性組成物の合計重量に基づき、約0.1〜約0.5重量パーセントのフリーラジカル重合阻害剤を含む。
第13の実施形態において、本開示は、第11又は第12による方法を提供し、ここにおいてフリーラジカル重合可能な化合物は少なくとも2つのメタクリロイル基を含み、光硬化性組成物は、アクリレートを実質的に含まない。
第14の実施形態において、本開示は、第11〜第13の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいて、この光硬化性組成物は更に有機ポリマーを含み、かつ実質的に非流動性である。
第15の実施形態において、本開示は、第11〜第14の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいて、光硬化性組成物は層を形成し、この層は基材上に配置される。
第16の実施形態において、本開示は、第11〜第15の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいて、工程c)が複数回繰り返され、各繰り返しにおいて、光線は、所定のパターンにしたがって光硬化性組成物内の様々な位置に焦点を合わせる。
第17の実施形態において、本開示は、第11〜第16の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいて、所定のパターンには、3次元それぞれにおける所定のパターンバリエーションが含まれる。
第18の実施形態において、本開示は、第11〜第17の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、工程c)において少なくとも現像のための閾値レベルまで硬化した光硬化性組成物の、少なくとも一部分を現像することを更に含む。
第19の実施形態において、本開示は、次の工程:
a)光線を提供する工程と、
b)光硬化性組成物を提供する工程であって、この光硬化性組成物は:
フリーラジカル重合可能な化合物と、
タイプI光開始剤と、
フリーラジカル重合阻害剤とを含む、工程と、
c)光硬化性組成物の少なくとも一部分を、光線に露光させることにより、少なくとも部分的に硬化させ、これにより、タイプI光開始剤による光の一部分の多光子吸収が、フリーラジカル重合可能な化合物のフリーラジカル重合を開始させ、そしてこれにより、光線による露光の段階的な増加によって、光線に露光した光硬化性組成物の少なくとも一部分の硬化の程度が少なくなる、工程と、を含む方法を提供する。
第20の実施形態において、本開示は、第19の実施形態による方法を提供し、工程c)において少なくとも現像のための閾値レベルまで硬化した光硬化性組成物の、少なくとも一部分を現像することを更に含む。
第21の実施形態において、本開示は、第19又は第20の実施形態による方法を提供し、ここにおいて、フリーラジカル重合可能な化合物は、フリーラジカル重合可能アクリレート又はフリーラジカル重合可能メタクリレートのうちの少なくとも1つを含む。
第22の実施形態において、本開示は、第21の実施形態による方法を提供し、ここにおいて、このフリーラジカル重合可能な化合物は、フリーラジカル重合可能メタクリレートを含む。
第23の実施形態において、本開示は、第19〜第22の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいて、タイプI光開始剤は、置換又は未置換の、ベンゾインエーテル、ベンジルケタル、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−ジアルキルアミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィン、これらの置換誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
第24の実施形態において、本開示は、第19〜第23の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいて、タイプI光開始剤は、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノンを含む。
第25の実施形態において、本開示は、第19〜第24の実施形態のいずれか一つによる方法を提供し、ここにおいて、この光硬化性組成物は更に有機ポリマーを含み、かつ実質的に非流動性である。
第26の実施形態において、本開示は、第25の実施形態による方法を提供し、ここにおいて、光硬化性組成物は層を形成し、この層は基材上に配置される。
第27の実施形態において、本開示は、第26の実施形態による方法を提供し、ここにおいて、工程c)が複数回繰り返され、各繰り返しにおいて、光線は、所定のパターンにしたがって光硬化性組成物内の様々な位置に焦点を合わせる。
第28の実施形態において、本開示は、第27の実施形態による方法を提供し、ここにおいて、所定のパターンには、3次元それぞれにおける所定のパターンバリエーションが含まれる。
以下の非限定的な実施例によって本開示の目的及び利点を更に例示するが、これらの実施例に記載する特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものとして解釈されるべきではない。
特に断らないかぎり、実施例及び本明細書の残りの部分におけるすべての部、比率(%)及び比等は、重量基準である。
材料
PMMAは、Aldrich Chemical Company(Milwaukee、Wisconsin)から入手したポリ(メチルメタクリレート)(MW=120,000グラム/モル)を指す。
SR 350トリメチロールプロパントリメタクリレートは、55〜75ppmのヒドロキノンと、約6ppmのMEHQ阻害剤を含み、Sartomer USA,LLC(Exton、Pennsylvania)から入手した。
SR 368トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートは、75〜125ppmのMEHQ阻害剤を含み、Sartomer USAから入手した。
SR 9008三官能性アクリレートモノマーは、150〜325ppmのMEHQ阻害剤を含み、Sartomer USAから入手した。
SR 9009三官能性メタクリレートモノマーは、160〜220ppmのMEHQ阻害剤を含み、Sartomer USAから入手した。
IRGACURE 369 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1は、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown、New York)から入手した。
KL68は、米国特許第7,265,161号(Leatherdaleら)の記述に従い合成された、下記に示す構造Iを有する光増感剤を指す。
Figure 2015512061
PTAは、フリーラジカル重合阻害剤のフェノチアジンを指す。
MEHQは、Alfa−Aesar(Ward Hill、Massachusetts)から入手した、フリーラジカル重合阻害剤の4−メトキシフェノールを指す。
TEMPOは、Sigma−Aldrich(Milwaukee、Wisconsin)から入手した、フリーラジカル重合阻害剤の2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシを指す。
ウエハ上にコーティングされたアクリレート及びメタクリレートフォトレジストを調製するための一般的方法:
アクリレートストック溶液は、30重量部のPMMA、35重量部のSR 9008三官能性アクリレートモノマー、及び35重量部のSR 368アルコキシル化三官能性アクリレートモノマーを、シクロペンタノン中で混合することにより調製された。結果として得られた溶液は、シクロペンタノン中55重量パーセントの固形物であった。
メタクリレートストック溶液はアクリレートストック溶液と同様にして調製され、ただし代わりに、30重量部のPMMA、35重量部のSR 9009三官能性メタクリレートモノマー、及び35重量部のSR 350トリメチロールプロパントリメタクリレートを含めた。結果として得られた溶液は、シクロペンタノン中55重量パーセントの固形物であった。
アクリレート及びメタクリレートフォトレジスト溶液は、上で調製されたアクリレート及びメタクリレートストック溶液それぞれに、望ましい量の光開始剤、光増感剤、及び阻害剤を添加することによって調製された。実施例1〜10に使用したアクリレート及びメタクリレートフォトレジスト溶液を調製するために添加した光開始剤、光増感剤、及び阻害剤の量が、下記に記載されている。望ましい量の光開始剤及び/又は阻害剤を最初に最小量のシクロペンタノンに溶かしてから、これをアクリレート又はメタクリレートストック溶液に加えた。
撹拌後、フォトレジスト溶液を0.7マイクロメートルフィルタで濾過し、スピンコーティングでシリコンウエハにコーティングした。結果として得られたフォトレジストコーティングは、厚さ5〜15マイクロメートルであった。
書き込み速度閾値及びボクセル高さを測定するための一般的方法:
単純な2光子書き込みシステムを使用して、書き込み速度閾値及びボクセル高さを調べた。このシステムは、小さな面積(約0.1mm)の上の形状をカバーするよう設計され、中央波長807ナノメートル(nm)、パルス幅112フェムト秒(fs)を有するフェムト秒ファイバーレーザー(モデルF−100、IMRA America,Inc.(Ann Arbor、Michigan)から販売)を、レーザー光線出力制御、空中対物レンズ(40x、開口数0.95)、及び、書き込みパラメータに従ってコンピュータ支援設計(CAD)と同期した電磁シャッターと共に装備した。サンプルを、piezosystem jena TRITOR−400(piezosystem jena(ドイツ・Jena))のコンピュータ駆動されるナノ配置X、Y、Zステージ(Newport Corporation(Santa Clara、California)から入手)に搭載した。Ocean Optics USB−2000スペクトロメーター(Ocean Optics,Inc.(Dunedin、Florida)から入手)を共焦点界面検出システムに使用して、基材−フォトレジスト界面の位置を正確かつ精密に測定した。このシステムは毎秒約1〜300マイクロメートルのスキャン速度が可能であった。
下記の実施例の各フォトレジストフィルムについて、上記のシステムを使って、図5に示すように、2次元の15本線配列構造の異なるセットを、毎秒約1〜300マイクロメートルの範囲の速度で書き込んだ。所与のセットにおいて、15本の線それぞれが同じ速度で書き込まれたが、Z位置は異なり、ここにおいてZは、界面で反射したレーザー光線のピークがファイバースペクトル検出器によって検出されたZ位置であった。Zは典型的に、Z=179又は181マイクロメートルで生じた。
上述のように書き込まれた2次元直線構造は、書き込み後に未硬化材料を溶かすSU−8現像液(MicroChem Corp.(Newton、Massachusetts)から入手)によって洗い流されないようにするために、基材上に固定する必要があった。ボクセルの寸法は、レーザー光線出力、露光用量、及び使用した光開始剤系の光感度に相関していた。
サンプルステージの高さが、対物レンズから出るレーザー光線のくびれ部分(又は焦点面)がフィルム/基材界面(Z)に来るように調節された場合、書き込み速度と染料濃度に伴う露光用量が閾値範囲内であった場合に、書き込まれた線は生き残った。書き込み速度が閾値速度よりも速かった場合、すなわち、フィルムを硬化するのに必要な露光用量に達しなかった場合、書き込まれた線は、基材表面に固定してあった場合であっても、現像に対して生き残らなかった。生き残った線のセットを調べ、フィルムに適用された所与のレーザー出力及び染料濃度に対する閾値書き込み速度を決定した。
一方、サンプルステージが、レーザー光線のくびれ部分がフィルム/基材界面に来ないように設定された場合、ボクセル寸法が十分に大きい場合に限り、所与の書き込み速度で書き込まれた線は生き残った(すなわち、界面での露光用量が依然として、フィルムに使用した書き込み速度及び染料濃度に対する閾値用量を超えている)。これは、下記の実施例1〜6に使用される個々のフィルムについてレーザーのボクセル高さを測定するシンプルな方法となった。
ボクセル高さは、現像に対して(書き込まれた15本の中で)何本の線が生き残ったかを調べることによって決定された。生き残った線から、最高のZ線のZと、最低のZ線の前のZとの間の差が、ボクセル高さとなった。
次に、実施例1〜7それぞれのフォトレジスト組成物について、造影曲線(すなわち、書き込み速度の逆数(1マイクロメートル当たりの秒)に対するボクセル寸法のプロット)が生成された。
(実施例1及び2)
実施例1では、上述のように調製された、0.5重量パーセントのIRGACURE 369光開始剤を有するアクリレートフォトレジストが使用された。実施例2では、上述のように調製された、1.5重量パーセントのIRGACURE 369光開始剤を有するメタクリレートフォトレジストが使用された。実施例1及び2において、フォトレジストが上述のようにシリコンウエハ上にコーティングされ、それぞれについて図6の造影曲線が生成された。実施例1及び2は空気中で実施された。使用されたレーザー出力は、実施例1及び2についてそれぞれ、7及び18ミリワット(mW)であった。実施例1のアクリレートフォトレジストに匹敵するボクセル寸法を生成するには、実施例2のメタクリレートフォトレジストでは、1.5重量パーセントのIRGACURE 369光開始剤と、18mWのレーザー出力を使用する必要があったことに注意されたい。実施例1及び2の両方の造影曲線が、造影が陰性(傾き<0)である領域を示した。実施例2(すなわち、メタクリレートフォトレジスト)については、陰性造影の領域が、より高速のスキャン速度で観察され、より明らかである。
(実施例3及び4)
実施例3及び4は、実施例1及び2と同様にして実施され、ただし、実施例3は0.05重量パーセントのKL 68光増感剤を含むアクリレートフォトレジストと2.5mWのレーザー出力を使用し、実施例4は0.05重量パーセントのKL 68光増感剤を含むメタクリレートフォトレジストと25mWを使用した。実施例3及び4について得られた造影曲線を図7に示す。実施例3及び4は空気中で実施された。実施例3及び4の造影曲線は、実施例1及び2の造影曲線と同様であった。
比較実施例A
比較実施例Aは、実施例3と同様にして実施され、ただし、窒素雰囲気下で実施された。実施例3と比較実施例Aの造影曲線を、図8に示す。実施例3(空気中で実施)では陰性造影の領域が観察されたが、窒素中の実施例5では陰性造影の領域は観察されなかった。窒素中で露光した場合の閾値書き込み速度は、空気中で露光した場合よりも約4倍高かった(より低い用量であった)。
(実施例5〜8)
実施例5〜7は、比較実施例Aと同様にして実施され、ただし、それぞれのフォトレジスト組成物には、0.1重量パーセント、0.5重量パーセント、及び1重量パーセントのフェノチアジン阻害剤が含まれた。実施例8は、比較実施例Aと同様にして実施され、ただし、フォトレジスト組成物には0.25重量パーセントのTEMPOが含まれた。実施例5〜8は、窒素雰囲気下で実施された。比較実施例Aと実施例5〜7の造影曲線を図9に示す。比較実施例Aと実施例8の造影曲線を図10に示す。
(実施例9)
実施例9は、実施例2と同様にして実施され、ただし、フォトレジストには、0.1重量パーセントのMEHQ阻害剤が含まれた。実施例2及び9の造影曲線を図11に示す。
(実施例10)
実施例10は、メタクリレートストック溶液に、その重量の1.2倍の量のシクロペンタノンを加えることにより、2.5重量パーセントのIRGACURE 369光開始剤を有する、希釈されたメタクリレートフォトレジストを調製し、これをシリコン基材上にスピンコーティングして、厚さ約2マイクロメートルのフィルムを得た。フィルム−基材界面位置、界面より下、及び界面より上の垂直位置で、異なる露光時間(エネルギー用量)において、静的光線により書き込まれたスポット配列を、それぞれガウス光線ならびにラゲール・ガウス光線を使用して、窒素下ならびに空気支配的な環境下で、実施した。異なるスポット配列について、異なるレーザー出力を印加した。ガウス光線は、上述の光学コンポーネント直後のレーザー光源から得られ、ラゲール・ガウス光線は、VORTEX位相マスク(RPC Photonics Corp.(Rochester、New York)から入手)を通してガウス光線を導くことにより得られた。ラゲール・ガウス光線については、中心の強度は、高強度の環領域に比べて約6分の1から13分の1であった。
空気中のガウス光線を使用した場合、ドーナツ形状のスポット(図12A)が明らかに観察された。同種の露光条件(空気中で、同じ露光エネルギー)においてラゲール・ガウス光線を使用した場合、ドーナツ形状は明瞭ではなくなった(図12B)。ラゲール・ガウス光線によって形成されたスポット中心の穴(又は陥凹)の直径は、ガウス光線によって形成されたものよりはるかに小さかった。これらの結果は直観には反しており、陰性造影曲線の結果に合致している。
図12A及び12Bにおいて、スポット配列は、z位置(界面から1μm上)で、異なる露光時間で、空気中における静的光線露光により形成され、レーザー出力は30mWを用い、フィルム厚さは2マイクロメートルで、メタクリレートストック溶液に加えられた2.5重量パーセントのIRGACURE 369光開始剤を含んでいた。図12Aにおいて、ガウス光線特性が使用された(1行目、2行目、及び3行目に対してそれぞれ、2秒、4秒、及び6秒の露光時間が使用された)。図12Bにおいて、ラゲール・ガウス光線が使用された(1行目、2行目、及び3行目に対してそれぞれ、2秒、4秒、及び6秒の露光時間が使用された)。
(実施例11)
実施例1の手順を繰り返し、ただし、IRGACURE 369光開始剤の濃度を1.5重量パーセントとし、レーザー出力は2.5mWであった。実施例11の造影曲線を図13に示す。
本明細書において引用した特許及び刊行物はすべて、それらの全容を本明細書に援用するものである。本明細書に示すすべての実施例は、特に断らないかぎりは非限定的なものとみなされるべきものである。当業者であれば、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく本開示の様々な改変及び変更を行うことが可能であり、また、本開示は上記に記載した例示的な実施形態に不要に限定されるべきではない点は理解されるべきである。

Claims (28)

  1. a)光線を提供する工程であって、前記光線は、光の強度が比較的高い外側領域によって囲まれた、光の強度が比較的低い内側領域を含む、光線断面プロファイルを有し、ここにおいて前記内側領域と前記外側領域は同じ時間的プロファイルを有する、工程と、
    b)光硬化性組成物を提供する工程であって、前記光硬化性組成物は、フリーラジカル重合可能な化合物と、フリーラジカル重合阻害剤と、多光子光開始剤系とを含む、工程と、
    c)前記光硬化性組成物の少なくとも一部分を前記光線に露光させることにより、前記光の一部の前記多光子光開始剤系による多光子吸収が、前記フリーラジカル重合可能化合物の少なくとも一部分にフリーラジカル重合を開始させる工程であって、ここにおいて、前記光硬化性組成物に、前記光線の内側領域の少なくとも一部分を照射することにより、前記光硬化性組成物の一部分に、少なくとも現像のための閾値レベルまでの硬化が生じ、そして、前記光硬化性組成物に前記光線の内側領域に隣接する外側領域の少なくとも一部分を照射することによっては、前記光硬化性組成物に、少なくとも現像のための前記閾値レベルまでの硬化が生じない、工程と、
    を含む方法。
  2. 前記光硬化性組成物が、有機ポリマーを更に含み、前記光硬化性組成物は実質的に非流動性である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記光線断面プロファイルの外側領域が実質的に環状である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記光線が、ガウス・ラゲールモードのレーザー光を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記光硬化性組成物が層を形成し、前記層が基材上に配置される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程c)が複数回繰り返され、各繰り返しにおいて、前記光線は、所定のパターンにしたがって前記光硬化性組成物内の様々な位置に焦点を合わせる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記所定のパターンには、3次元それぞれにおける所定のパターンバリエーションが含まれる、請求項6に記載の方法。
  8. 工程c)において少なくとも現像のための前記閾値レベルまで硬化した前記光硬化性組成物の、少なくとも一部分を現像することを更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記フリーラジカル重合阻害剤が、分子状酸素以外のフリーラジカル重合阻害剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記フリーラジカル重合可能化合物が、少なくとも2つのアクリロイル基を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. a)少なくとも一つの光線を提供する工程と、
    b)光硬化性組成物を提供する工程であって、前記光硬化性組成物は、フリーラジカル重合可能な化合物と、分子状酸素以外のフリーラジカル重合阻害剤と、多光子光開始剤系とを含み、前記フリーラジカル重合阻害剤は、酸素の不在下で有効である、工程と、
    c)前記光硬化性組成物の少なくとも一部分を、少なくとも一つの前記光線に露光させることにより、少なくとも部分的に硬化させ、これにより、前記多光子光開始剤系による光の一部分の多光子吸収が、前記フリーラジカル重合可能化合物のフリーラジカル重合を開始させ、そしてこれにより、前記光線による露光の段階的な増加によって、前記光線に露光した前記光硬化性組成物の少なくとも一部分の硬化の程度が少なくなり、ここにおいて前記光硬化性組成物は、前記光硬化性組成物が前記光線に露光する前は、実質的に分子状酸素を含まない、工程と、
    を含む方法。
  12. 前記光硬化性組成物が、前記光硬化性組成物の合計重量に基づき、約0.1〜約0.75重量パーセントの前記フリーラジカル重合阻害剤を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記フリーラジカル重合可能化合物が少なくとも2つのメタクリロイル基を含み、前記光硬化性組成物がアクリレートを実質的に含まない、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記光硬化性組成物が更に有機ポリマーを含み、かつ実質的に非流動性である、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記光硬化性組成物が層を形成し、前記層が基材上に配置される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 工程c)が複数回繰り返され、各繰り返しにおいて、前記光線は、所定のパターンにしたがって前記光硬化性組成物内の様々な位置に焦点を合わせる、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記所定のパターンには、3次元それぞれにおける所定のパターンバリエーションが含まれる、請求項16に記載の方法。
  18. 工程c)において少なくとも現像のための前記閾値レベルまで硬化した前記光硬化性組成物の、少なくとも一部分を現像することを更に含む、請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. a)光線を提供する工程と、
    b)光硬化性組成物を提供する工程であって、前記光硬化性組成物が:
    フリーラジカル重合可能な化合物と、
    タイプI光開始剤と、
    フリーラジカル重合阻害剤とを含む、工程と、
    c)前記光硬化性組成物の少なくとも一部分を、前記光線に露光させることにより、少なくとも部分的に硬化させ、これにより、前記タイプI光開始剤による光の一部分の多光子吸収が、前記フリーラジカル重合可能化合物のフリーラジカル重合を開始させ、そしてこれにより、前記光線による露光の段階的な増加によって、前記光線に露光した前記光硬化性組成物の少なくとも一部分の硬化の程度が少なくなる、工程と、
    を含む方法。
  20. 工程c)において少なくとも現像のための前記閾値レベルまで硬化した前記光硬化性組成物の、少なくとも一部分を現像することを更に含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記フリーラジカル重合可能化合物が、フリーラジカル重合可能アクリレート又はフリーラジカル重合可能メタクリレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項19又は20に記載の方法。
  22. 前記フリーラジカル重合可能化合物が、フリーラジカル重合可能メタクリレートを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記タイプI光開始剤が、置換又は未置換の、ベンゾインエーテル、ベンジルケタル、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−ジアルキルアミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィン、これらの置換誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記タイプI光開始剤が、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノンを含む、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記光硬化性組成物が更に有機ポリマーを含み、かつ実質的に非流動性である、請求項19〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記光硬化性組成物が層を形成し、前記層が基材上に配置される、請求項19〜24のいずれか一項に記載の方法。
  27. 工程c)が複数回繰り返され、各繰り返しにおいて、前記光線は、所定のパターンにしたがって前記光硬化性組成物内の様々な位置に焦点を合わせる、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記所定のパターンには、3次元それぞれにおける所定のパターンバリエーションが含まれる、請求項27に記載の方法。
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