JP2015509503A - 可逆的に架橋されたヘリックス状水素結合サロゲート大環状分子 - Google Patents

可逆的に架橋されたヘリックス状水素結合サロゲート大環状分子 Download PDF

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Abstract

本発明は、可逆的にかつ内部で拘束された1つまたは複数の安定なHBS αヘリックスを有するペプチドに関する。

Description

本出願は、2012年2月22日に出願された米国仮特許出願第61/602,017号の恩典を主張し、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
連邦政府支援研究に関する声明
本発明は、国立衛生研究所により付与された助成金番号R01GM073943、ならびに国立科学財団により付与された助成金番号CHE1027009およびCHE-0958457の下、米国政府の支援を受けて行われた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
発明の背景
タンパク質二次構造形成の可逆的制御を提供する方法は、タンパク質構造および相互作用を調べるために有用であることがわかっており、治療、診断または他の適用に適し得る。本発明はこれらおよび他の必要性に取り組む。
本明細書において、2つのチオール基を含むペプチド模倣前駆体を提供する工程と;該2つのチオール基間の反応を誘導することができる試薬と該前駆体とを接触させる工程であって、該反応がジスルフィド共有結合の形成をもたらす、工程とを含む、安定化されたヘリックス状ペプチド模倣大環状分子を合成する方法を提供し、ここで、該接触させる工程は、該前駆体の環化をもたらして、安定化されたヘリックス状ペプチド模倣大環状分子を形成する。
ある態様において、前記安定化されたヘリックス状ペプチド模倣大環状分子は、式
Figure 2015509503
の構造を含み、式中、各Rは独立してアミノ酸側鎖であり、かつX-Yはクロスリンカー部分である。
例えば、ペプチド模倣大環状分子はαヘリックスを含む。ある態様において、安定化されたペプチド模倣大環状分子は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して、より高いαヘリックス性を有する。他の態様において、安定化されたペプチド模倣大環状分子は、ペプチド模倣前駆体と比較して、より高いαヘリックス性を有する。例えば、αヘリックス性は、円二色性によって評価される。
ある態様において、ペプチド模倣大環状分子は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して、タンパク質分解に対する高い耐性を示す。他の態様において、ペプチド模倣大環状分子は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して、高い生物学的活性を示す。
ある態様において、ペプチド模倣前駆体は、固相ペプチド合成樹脂によって調製される。例えば、ペプチド模倣前駆体は、前記接触させる工程の間、固相ペプチド合成樹脂に付着している。他の態様において、ペプチド模倣前駆体は、前記接触させる工程の間、固相ペプチド合成樹脂に付着していない。
ある態様において、前記接触させる工程は、溶媒中で行われる。例えば、溶媒は水性溶媒である。ある態様において、溶媒はDMSOおよび/またはTFEを含む。ある態様において、ペプチド模倣大環状分子は、前記接触させる工程の後に精製される。
ある態様において、ペプチド模倣大環状分子は、式
Figure 2015509503
の構造を含み、式中、R1、R2、R3およびR4は各々独立してアミノ酸側鎖である。他の態様において、安定化されたヘリックス状ペプチド模倣大環状分子は、式
Figure 2015509503
の構造を含み、式中、R1、R2、R3およびR4は各々独立してアミノ酸側鎖である。
参照による援用
本明細書に記載の全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み入れられるように具体的かつ個別に示されているかのように同程度に、参照により本明細書中に組み入れられる。
本発明の新規な特徴は、詳細には添付の特許請求の範囲に記載される。本発明の原理を利用する例示的な態様を記載する下記の詳細な説明、および添付の図面を参照することにより、本発明の特徴および利点がより深く理解される。
(a)iとi+4残基間の分子内水素結合の代用としての共有結合を特徴とする水素結合サロゲート(HBS)αヘリックスを示す。dsHBS αヘリックスにおいて、主鎖水素結合は、ジスルフィド結合で置き換えられており、ビス-チオールペプチドから可逆的に形成され得る(b)。 PBSおよびTFEの混合物中のdsHBS 2の円二色性スペクトルを示す。 大環状分子の固相合成についてのスキームを示す。 ビス-チオール前駆体1の、大環状分子へのDMSO媒介変換を示す。 ペプチド1、2および6の円二色性スペクトルを示す。CDスペクトルをリン酸緩衝生理食塩水中において得た。TCEP=トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン。%ヘリックス性の計算値:1:22%、2:55%、2 + TCEP:22%、および6:14%。 dsHBS 2について観察された短距離(破線矢印)および中距離(黒矢印)NOEを示す。2D NMRスペクトルを20℃で20%トリフルオロエタノール-d3/PBS中において得た。 20%トリフルオロエタノール-d3/PBS中のdsHBS 2の1H NMRスペクトルを示す。 20%トリフルオロエタノール-d3/PBS中のdsHBS 2についての1H NMRの帰属および化学シフト(δ、ppm)を示す。グリシンについてのαCHは、明確な帰属を行うことができなかった。 dsHBS 2についての完全なNOESY相関図を示す。グリシン-3残基はNアルキル化されている。黒四角は、NOEクロスピークの相対強度を示す。白四角は、重複シグナルのために明確な帰属を行うことができなかったNOEを示す。 20% TFE/PBS中のdsHBS 2についてのNOESYスペクトルを示す。 dsHBS 2についてのNOESYスペクトルのNH領域を示す。 20% TFE/PBS中のdsHBS 2についてのTOCSYスペクトルを示す。
発明の詳細な説明
本発明は、αヘリックスを含む、水素結合サロゲート(hydrogen bond surrogate)(「HBS」)に由来するヘリックスに関する。これらのHBSヘリックスは、生体タンパク質相互作用のインビボインヒビターとして機能する可能性がある。
1つまたは複数の安定な内部拘束型HBS αヘリックスを有するペプチドを、本明細書において提供し、ここで、前記ペプチドは、別のタンパク質と相互作用することができるタンパク質の少なくとも一部分を模倣している。例えば、ペプチドは、別のタンパク質と相互作用することができるタンパク質のαヘリックス部分を模倣する。用語「模倣する」とは、天然のタンパク質、例えばそのパートナーと同様の活性をもたらす、本発明の組成物の能力を指す。「模倣物」は、そのようなタンパク質の機能的模倣物および構造的模倣物の両方を包含する。例えば模倣物とは、標的タンパク質と一定の割合の相同性(例えば60%、70%、80%、85%、90%、または95%の相同性)を共有しているタンパク質である。あるいは、模倣物は別の配列に由来し、これは、それにもかかわらず、機能的に類似した方法で、例えば、同じ活性部位と相互作用することによって、その結合パートナーと相互作用することができる。
当業者には明らかなように、本発明の方法を使用して、非常に安定な内部拘束型αヘリックスを有するペプチドを調製することができる。拘束は、N末端だけでなく、ペプチド中のどこに配置されてもよい。例えば、本明細書に提供される化合物は、式
Figure 2015509503
の構造を含み得、式中、各Rは独立してアミノ酸側鎖であり、かつX-Yはクロスリンカー部分である。
例えば、本明細書に提供される化合物は、式
Figure 2015509503
の構造を含み、式中、R1、R2、R3およびR4は各々独立してアミノ酸側鎖である。
他の態様において、本明細書に開示される大環状分子は、式
Figure 2015509503
の構造を含み、式中、R2、R3およびR4は各々独立してアミノ酸側鎖である。
本発明の方法に従って生成されるペプチドは、例えば、40、30、25、20、または15個未満のアミノ酸であってよく、例えば、10個未満のアミノ酸残基を含む。
本発明のHBS αヘリックスは、N末端主鎖iとi+4の水素結合をジスルフィド結合で置き換えることにより得られる。水素結合サロゲートは、αターンを前もって組織化して、ペプチド配列をαヘリックス配座に安定させる。
別の局面において、本発明の化合物の調製は、ビス-チオールペプチド前駆体化合物を提供することと、ジスルフィド結合の形成を促進して、安定な内部拘束型ヘリックス、例えばαヘリックスをもたらすこととを含む。他の二次構造、例えば、310ヘリックスなどのヘリックスも、本明細書に開示される方法を使用して調製することができる。
本明細書で開示される反応は、例えば、固体支持体上で行ってもよい。好適な固体支持体としては、粒子、鎖、沈殿物、ゲル、シート、管、球体、容器、毛細管、パッド、スライス、フィルム、プレート、スライド、ディスク、膜などが挙げられる。これらの固体支持体は、ポリマー、プラスチック、セラミック、多糖、シリカもしくはシリカをベースとする材料、炭素、金属、無機ガラス、膜、またはそれらの複合材料を包含する多種多様な材料から作製することができる。基板は、平らであることが好ましいが、様々な他の表面形状をとることができる。例えば、基板は、そこで合成が行われる盛り上がった領域またはへこんだ領域を含有してもよい。基板およびその表面は、その上で本明細書に記載の反応を行うための強固な支持体を形成することが好ましい。他の基板材料は、本開示を吟味することにより当業者に容易に明らかであろう。
当業者には明らかなように、投与は、一般的に知られている方法を使用して行うことができる。
投与は、対象に全身投与することによっても、あるいは罹患している細胞に標的投与することのいずれによっても達成することができる。投与経路の例としては、これらに限定するものではないが、気管内接種、吸引、気道への点滴注入、エアゾール投与、噴霧投与、鼻腔内への点滴注入、経口または経鼻胃への点滴注入、腹腔内注射、血管内注射、局所投与、経皮投与、非経口投与、皮下投与、静脈内注射、動脈内注射(例えば肺動脈を介した)、筋内注射、胸膜内点滴注入、心室内投与、病巣内投与、粘膜(例えば、鼻、喉、気管支、性器、および/または肛門の粘膜)への投与、または持続放出媒体の移植が挙げられる。
典型的には、本発明のペプチドは、薬学的製剤として哺乳動物に投与される。薬学的製剤は、治療剤と、薬学的に許容される任意の補助剤、担体、賦形剤、および/または安定剤とを含み、かつ錠剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、または乳剤などの固体または液体の形態であってよい。組成物は好ましくは約0.01〜約99重量パーセント、より好ましくは約2〜約60重量パーセントの治療剤を、補助剤、担体および/または賦形剤と共に含む。そのような治療に有用な組成物に含まれる活性化合物の量は、適切な投与単位が得られるようにする量である。
薬剤は、例えば、不活性な希釈剤または同化性の食用の担体と共に経口投与してもよく、あるいは硬カプセルもしくは軟カプセル中に封入して、または錠剤に圧縮して、または食事の食品に直接組み込んでもよい。経口治療投与用には、これらの活性化合物を賦形剤と混合し、錠剤、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップなどの形態で使用することができる。このような組成物および調製物は、薬剤を少なくとも0.1%含有すべきである。当然のことながら、これらの組成物に含まれる薬剤の割合は変わってもよく、好都合には単位の重量の約2%〜約60%の範囲であり得る。そのような治療に有用な組成物に含まれる薬剤の量は、適切な用量が得られるようにする量である。
錠剤やカプセルなどはさらに、結合剤(例えばトラガカントゴム、アカシアゴム、トウモロコシデンプン、またはゼラチン)、賦形剤(例えばリン酸二カルシウム)、崩壊剤(例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、またはアルギン酸)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)、および甘味料(例えばショ糖、乳糖、またはサッカリン)を含んでいてもよい。単位用量形態がカプセルである場合には、上述した種類の材料に加えて、油脂などの液体担体が含まれ得る。
多様な他の材料もコーティング剤として、または用量単位の物理的な形状を改造するために存在し得る。例えば、錠剤を、シェラック、糖、またはその両方でコーティングしてもよい。シロップは、活性成分に加えて、甘味料としてのショ糖、保存剤としてのメチルパラベンやプロピルパラベン、色素、ならびにさくらんぼ香料またはオレンジ香料のような香味料を含んでいてもよい。
また、薬剤を非経口投与することもできる。薬剤の溶液または懸濁液を、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水の中で調製することができる。分散液もまた、油中のグリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で調製することができる。油の例としては、石油、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、または鉱油が挙げられる。一般に、水、生理食塩水、水性デキストロースおよび関連する糖溶液、ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコールが、特に注射液にとって、好ましい液体担体である。通常の保存および使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐための保存剤を含有する。
注射用の使用に適した薬学的形態は、無菌の水溶液または分散液、および無菌の注射用溶液または分散液を即時調製するための無菌の粉末を包含する。すべての場合において、形態は、無菌でなければならず、容易な注射針通過性(syringability)が存在する程度まで流動性でなければならない。形態は、製造および保存条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から守られていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、それらの適当な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であってよい。
本発明のこの局面による薬剤は、エアゾールの形態で気道に直接投与することもできる。エアゾール剤として使用するために、溶液中または懸濁液中の本発明の化合物を、適切な噴射剤、例えば、プロパン、ブタン、またはイソブタンのような炭化水素噴射剤、および標準的な補助剤と共に、加圧エアゾール容器内に包装することができる。本発明の材料は、ネブライザーまたはアトマイザーなどの非加圧形態で投与することもできる。
本発明の薬剤は、標的組織、例えば治療する条件に感受性のある組織に直接投与することができる。これに加えておよび/またはあるいは、薬剤を、標的組織、器官、または細胞への薬剤の移動(および/または標的組織、器官、または細胞による取り込み)を促進する、1つまたは複数の薬剤と共に非標的領域に投与してもよい。当業者には明らかなように、治療剤自体を修正し、望まれる組織、器官、または細胞への輸送(および、望まれる組織、器官、または細胞による取り込み)を容易にすることができる。
送達装置の例としては、これらに限定されるものではないが、ネブライザー、アトマイザー、リポソーム、経皮パッチ、インプラント、埋め込み用または注射用タンパク質デポー組成物、および注射器が挙げられる。当業者に知られている他の送達系を使用して、治療剤をインビボの望まれる器官、組織、または細胞へと望ましく送達し、本発明のこの局面を達成することもできる。
本発明のこの局面を実施するには、薬剤を送達するのに適したいかなるアプローチも利用することができる。典型的には、薬剤は、標的細胞、組織、または器官へと薬剤を送達する媒体中にある状態で、患者に投与される。
細胞中に薬剤を送達するためのアプローチの1つに、リポソームの使用がある。これは基本的に、送達すべき薬剤を包含するリポソームを提供する工程と、次いで、標的細胞、組織、または器官を、細胞、組織、または器官へと薬剤を送達するのに効果的な条件下でリポソームと接触させる工程とを含む。
リポソームは、水相を封じ込めている1つまたは複数の同心円状に並んだ脂質二重層から構成される小胞である。それらは、通常は漏出性ではないが、穴または細孔が膜に生じた場合、膜が溶かされたか分解した場合、または膜温度が相転移温度まで増加した場合に漏出性になることがある。リポソームを介する現行の薬物送達法は、リポソーム担体が、最終的に透過性になり、封じ込められている薬物を標的部位で放出することを必要とする。このことは、例えば、体内の様々な物質の作用によってリポソーム二重層が時間と共に分解する受動的な様式で、達成することができる。あらゆるリポソーム組成物は、循環中または体内の他の部位で特徴的な半減期を有する。したがって、リポソーム組成物の半減期を制御することにより、二重層が分解する速度を幾分かは調節することができる。
受動的な薬物放出とは対照的に、能動的な薬物放出には、リポソーム小胞の透過性の変化を誘導する薬剤の使用が含まれる。リポソーム膜は、リポソーム膜の近くの環境が酸性になったときにそれらが不安定化するように構築することができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Wang & Huang, "pH-Sensitive Immunoliposomes Mediate Target-cell-specific Delivery and Controlled Expression of a Foreign Gene in Mouse," Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 84:7851-5 (1987)を参照のこと)。例えば、リポソームが標的細胞によってエンドサイトーシスを受ける場合、リポソームは、リポソームを不安定化して薬物を放出させる酸性エンドソームに送られ得る。
あるいは、リポソーム膜を、酵素が膜上にコーティングとして配置されるように化学修飾することができ、酵素は、リポソームをゆっくりと不安定化する。薬物放出の制御は、膜内に最初に配置された酵素の濃度に依存することから、薬物放出を調節するか変化させて、薬物を「要求に応じて」送達するための真に有効な方法はない。同じ問題は、リポソーム小胞が標的細胞と接触するとすぐに、リポソーム小胞が飲み込まれて、pHの低下が薬物放出につながるという点で、pH感受性リポソームについても存在する。
このリポソーム送達系は、能動的標的指向化を介して(例えば、リポソーム媒体の表面上に抗体またはホルモンを組み入れることによって)標的器官、組織、または細胞に蓄積するように作製することができる。これは、公知の方法に従って達成することができる。
様々な種類のリポソームを、Bangham et al., "Diffusion of Univalent Ions Across the Lamellae of Swollen Phospholipids," J. Mol. Biol. 13:238-52 (1965);Hsuに付与された米国特許第5,653,996号;Leeらに付与された米国特許第5,643,599号;Hollandらに付与された米国特許第5,885,613号;DzauおよびKanedaに付与された米国特許第5,631,237号;およびLoughreyらに付与された米国特許第5,059,421号に従って調製することができ、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
これらのリポソームは、本発明の治療剤に加えて抗炎症剤などの他の治療剤を含み、次いで、標的部位でそれらを放出するように生成することができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Wolff et al., "The Use of Monoclonal Anti-Thy1 IgG1 for the Targeting of Liposomes to AKR-A Cells in Vitro and in Vivo," Biochim. Biophys. Acta 802:259-73 (1984))。
タンパク質またはポリペプチド剤(例えば、本発明のペプチド)を送達するための他のアプローチは、所望のタンパク質またはポリペプチドとポリマーとのコンジュゲーションを含み、ポリマーは、コンジュゲートしたタンパク質またはポリペプチドの酵素分解を避けるように安定化している。この種のコンジュゲート型タンパク質またはコンジュゲート型ポリペプチドは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Ekwuribeに付与された米国特許第5,681,811号に記載されている。
タンパク質またはポリペプチド剤を送達するためのさらに別のアプローチには、Heartleinらに付与された米国特許第5,817,789号(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)によるキメラタンパク質の調製が含まれる。キメラタンパク質は、リガンドドメインとポリペプチド剤(例えば、本発明の人工αヘリックス)とを含み得る。リガンドドメインは、標的細胞上に位置している受容体に特異的である。したがって、キメラタンパク質が静脈内に送達されるか、あるいは血液またはリンパ内に導入された場合、キメラタンパク質は標的細胞に吸着し、標的細胞はキメラタンパク質を取り込む。
投与は、必要に応じた頻度で、有効な治療を提供するのに適した期間にわたって行うことができる。例えば、投与は、単一の持続放出用量製剤で行うことも、または1日複数回に分けて行うこともできる。
言うまでもなく、投与すべき量は治療レジメンに応じて変化する。通常、患者の状態の改善に有効な量(すなわち治療的有効量)になるように、薬剤を投与する。したがって、癌の例では、治療的有効量とは、腫瘍の大きさを少なくとも部分的に縮小させる、体内の癌細胞の数を低下させる、または体内での癌細胞数の増加を遅らせることができる量であり得る。有効量を達成するのに必要とされる投与量は、薬剤、製剤、癌、および薬剤が投与される個体に応じて変わり得る。
有効量の決定には、インビボで必要とされる濃度を計算するために、様々な投与量の薬剤を培養液中の細胞に投与し、癌細胞の成長を阻害するのに有効な薬剤の濃度を決定するインビトロアッセイもまた含まれ得る。有効量は、インビボ動物試験に基づくものであってもよい。治療的有効量は、当業者が経験的に決定してもよい。
治療方法
いくつかの態様では、本発明の化合物を使用して、癌および腫瘍性の状態を治療、予防、および/または診断する。本明細書で使用する場合、用語「癌」、「過剰増殖性」および「腫瘍性」は、自律的増殖能を有する細胞、すなわち、早い速度で増殖している細胞成長によって特徴付けられる異常な段階または状態を指す。過剰増殖性および腫瘍性の病態は、病気である、すなわち病態を特徴付けているまたは構成していると分類されることも、あるいは、病気でない、すなわち正常からは逸脱しているが、病態とは関連がないと分類されることもある。この用語は、組織病理的な種類または浸潤度にかかわらず、全ての型の癌性増殖または発癌過程、転移性組織または悪性転換した細胞、組織、または器官を含むものと意図される。転移性の腫瘍は多くの原発性腫瘍の型から現れ得る。原発性腫瘍には、これらには限定されないが、乳房、肺、肝臓、結腸および卵巣起源のものが含まれる。「病気の過剰増殖性」細胞は、悪性の腫瘍増殖によって特徴付けられる病態で生じる。病気ではない過剰増殖性細胞の例としては、創傷治癒に関連する細胞の増殖が挙げられる。細胞増殖および/または分化性障害の例としては、癌、例えば、癌腫、肉腫、または転移性障害が挙げられる。いくつかの態様において、化合物は、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌、そのような癌の転移などを制御するための新規治療剤である。
癌または腫瘍性の状態の例としては、これらには限定されないが、線維肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、胃癌、食道癌、直腸癌、膵癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮癌、頭頸部癌、皮膚癌、脳腫瘍、扁平上皮癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、希突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、またはカポジ肉腫が挙げられる。
増殖性疾患の例には、造血器の腫瘍性疾患が挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「造血器の腫瘍性疾患」には、造血器由来の、例えば骨髄、リンパまたは赤血球分化系列、またはその前駆細胞から生じた、過剰増殖性/腫瘍性細胞を含む疾患が含まれる。好ましくは、疾患は、低分化急性白血病、例えば、赤芽球性白血病や急性巨核芽球性白血病から生じるものである。骨髄疾患のさらなる例としては、これらには限定されないが、急性前骨髄球性白血病(acute promyeloid leukemia)(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)(Vaickus (1991), Crit Rev. Oncol. /Hemotol. 11 :267-97にまとめられている)が挙げられ、リンパ性悪性疾患には、これらには限定されないが、B細胞系ALLおよびT細胞系ALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、有毛細胞白血病(HLL)、ならびにヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)が含まれる。さらに別の形態の悪性リンパ腫としては、これらには限定されないが、非ホジキンリンパ腫およびその変種、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病およびリード・スターンバーグ疾患が挙げられる。
乳房の細胞増殖性疾患および/または分化性障害の例としては、これらには限定されないが、増殖性乳房疾患(例えば、上皮過形成、硬化性腺症、および小管乳頭腫など)、腫瘍(例えば、線維腺腫、葉状腫瘍、および肉腫などの間質性腫瘍、および大管乳頭腫などの上皮腫瘍)、乳癌(非浸潤性乳管癌(パジェット病を含む)および非浸潤性小葉癌を含む上皮内(非浸潤性)癌、ならびに浸潤性腺管癌、浸潤性小葉癌、髄様癌、膠様(粘液)癌、管状癌、および浸潤性乳頭状癌を含むがこれらには限定されない侵襲性(浸潤性)癌、ならびに種々の悪性新生物)が挙げられる。男性の乳房の障害には、これらには限定されないが、女性化乳房および癌腫が挙げられる。
肺の細胞増殖性疾患および/または分化性障害の例としては、これらには限定されないが、気管支原性癌(腫瘍随伴症候群、細気管支肺胞癌、神経内分泌腫瘍、例えば気管支カルチノイド、種々の腫瘍、および転移性腫瘍を含む)、胸膜の病気(炎症性胸水貯留、非炎症性胸水貯留、気胸、ならびに孤立性線維性腫瘍(胸膜線維腫)および悪性中皮腫などの胸膜腫瘍を含む)が挙げられる。
結腸の細胞増殖性疾患および/または分化性障害の例としては、これらには限定されないが、非腫瘍性ポリープ、腺腫、家族性症候群、結腸直腸発癌、結腸直腸癌、およびカルチノイド腫瘍が挙げられる。
肝臓の細胞増殖性疾患および/または分化性障害の例としては、これらには限定されないが、結節性過形成、腺腫、および悪性腫瘍(肝臓の原発癌および転移性腫瘍を含む)が挙げられる。
卵巣の細胞増殖性疾患および/または分化性障害の例としては、これらには限定されないが、卵巣腫瘍(例えば体腔上皮の腫瘍、漿液性腫瘍、粘液性腫瘍、類内膜腫瘍、明細胞腺癌、嚢胞腺線維腫、ブレンナー腫瘍、表層上皮腫瘍)、胚細胞腫瘍(例えば成熟型(良性)奇形腫、単胚葉性奇形腫、未成熟型悪性奇形腫、未分化胚細胞腫、内胚葉洞腫瘍、絨毛癌)、性索間質性腫瘍(例えば顆粒膜莢膜細胞腫、莢膜細胞腫線維腫、アンドロブラストーマ、ヒル(hill)細胞腫瘍、および性腺芽細胞腫)、および転移性腫瘍(例えばクルーケンベルグ腫瘍)が挙げられる。
いくつかの態様では、本発明のペプチドを使用して、変異Rasタンパク質が介在する癌を治療する。そのような突然変異をしばしば含むことが公知の癌としては、これらには限定されないが、非小細胞肺癌(腺癌)、結腸直腸癌、膵癌、甲状腺癌(例えば、濾胞性、未分化乳頭状または乳頭状)、精上皮腫、黒色腫、膀胱癌、肝臓癌、腎臓癌、骨髄異形成症候群、および急性骨髄性白血病が挙げられる。
乳癌
一局面において、本発明は、本発明の化合物を投与することによる、乳癌の治療方法を提供する。乳癌には、侵襲性の乳癌、例えば浸潤性腺管癌、浸潤性小葉癌、管状癌、侵襲性篩状癌、髄様癌、粘液癌およびムチンを多く含む他の腫瘍、嚢胞腺癌、円柱細胞粘液癌、印環細胞癌、神経内分泌腫瘍(固形神経内分泌癌、異型カルチノイド腫瘍、小細胞/燕麦細胞癌、または大細胞神経内分泌癌を含む)、浸潤性乳頭状癌、侵襲性微小乳頭状癌、アポクリン癌、化生性癌、純上皮型化生性癌、上皮/間葉混合型化生性癌、脂質に富む癌、分泌性乳癌、膨大細胞癌、腺様嚢胞癌、細葉細胞癌、グリコーゲンに富む明細胞癌、脂腺癌、炎症性癌または両側乳癌;間葉腫瘍、例えば血管腫、血管腫症、血管外皮腫、偽血管腫様間質過形成(pseudoangiomatous stromal hyperplasia)、筋線維芽細胞腫、線維腫症(侵襲性)、炎症性筋線維芽細胞腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumour)、脂肪腫、血管脂肪腫、顆粒細胞腫、神経線維腫、シュワン腫、血管肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋腫、または平滑筋肉腫;筋上皮の病変、例えば筋上皮増殖(myoepitheliosis)、腺筋上皮性腺疾患(adenomyoepithelial adenosis)、腺筋上皮腫、または悪性筋上皮腫;線維上皮腫瘍、例えば線維腺腫、葉状腫瘍、低悪性度の管周囲間質肉腫、または乳房過誤腫;および乳頭部の腫瘍、例えば乳頭部の腺腫、乳腺乳頭部の腺腫、または乳頭部のパジェット病が含まれる。
乳癌の治療は、その他のいかなる治療と、例えば標準治療の一環である治療と併せて行うこともできる。本発明の化合物を用いる治療の前、本発明の化合物を用いて治療を行っている間、または本発明の化合物を用いた治療の後に、乳腺腫瘍摘出術または乳房切除術などの外科的手法を実施してもよい。あるいは、本発明の化合物と併せて、乳癌を治療するための放射線治療を用いることもできる。他の例では、本発明の化合物を、第二の治療剤と組み合わせて投与する。そのような薬剤は、個別の薬物または薬物と治療の組み合わせなどの化学療法剤であってもよい。例えば、化学療法剤は、CMF(シクロホスファミド、メトトレキサート、および5-フルオロウラシル);FACまたはCAF(5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、シクロホスファミド);ACまたはCA(ドキソルビシンおよびシクロホスファミド);AC-タキソール(ACと次いでパクリタキセル);TAC(ドセタキセル、ドキソルビシン、およびシクロホスファミド);FEC(5-フルオロウラシル、エピルビシンおよびシクロホスファミド);FECD(FECと次いでドセタキセル);TC(ドセタキセルおよびシクロホスファミド)などの補助化学療法であり得る。化学療法に加えて、腫瘍の特徴(つまりHER2/neuの状態)および再発の危険性に応じて、トラスツズマブもレジメンに加えてもよい。化学療法の前、化学療法を行っている間、または化学療法後のホルモン治療が適している場合もある。例えば、タモキシフェンを投与してもよく、またはアミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、ホルメスタン、レトロゾール、またはボロゾールを含むがこれらには限定されない、アロマターゼ阻害薬に分類される化合物を投与してもよい。他の態様では、乳癌を治療するための併用療法において、抗血管新生薬を使用してもよい。抗血管新生薬は抗VEGF薬であってよく、抗VEGF薬にはベバシズマブが含まれるがこれには限定されない。
卵巣癌
別の局面では、本発明の化合物を使用して卵巣癌を治療することができる。卵巣癌としては、卵巣腫瘍、例えば体腔上皮の腫瘍、漿液性腫瘍、粘液性腫瘍、類内膜腫瘍、明細胞腺癌、嚢胞腺線維腫、ブレンナー腫瘍、表層上皮腫瘍;胚細胞腫瘍、例えば成熟型(良性)奇形腫、単胚葉性奇形腫、未成熟型悪性奇形腫、未分化胚細胞腫、内胚葉洞腫瘍、絨毛癌;性索間質性腫瘍、例えば顆粒膜莢膜細胞腫、莢膜細胞腫線維腫、アンドロブラストーマ、ヒル細胞腫瘍、および性腺芽細胞腫;および転移性腫瘍、例えばクルーケンベルグ腫瘍が挙げられる。
本発明の化合物を、第二の治療、例えば標準治療の一環である治療と併せて投与してもよい。卵巣癌に適用可能な治療のいくつかには、手術、免疫療法、化学療法、ホルモン療法、放射線治療、またはそれらの組み合わせがある。適用可能な外科的手法のいくつかとしては、減量手術、および片側または両側の卵巣摘出術および/または片側または両側の卵管摘出術が挙げられる。
使用可能な抗癌剤としては、シクロホスファミド、エトポシド、アルトレタミン、およびイホスファミドが挙げられる。薬物であるタモキシフェンを用いたホルモン療法により、卵巣腫瘍を縮小させてもよい。放射線治療は、外照射療法および/または密封小線源治療であり得る。
前立腺癌
別の局面では、本発明の化合物を使用して前立腺癌を治療することができる。前立腺癌には、腺癌および転移した腺癌が含まれる。本発明の化合物を、第二の治療、例えば標準治療の一環である治療と併せて投与することもできる。前立腺癌の治療には、手術、放射線治療、高密度焦点式超音波療法(HIFU)、化学療法、凍結手術、ホルモン療法、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。手術には、前立腺切除術、根治的会陰式前立腺摘除術、腹腔鏡下根治的前立腺摘除術、前立腺の経尿道的切除または睾丸摘出術が含まれ得る。放射線治療には、外照射療法および/または密封小線源治療が含まれ得る。ホルモン療法には、睾丸摘出術;抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、または酢酸シプロテロンの投与;DHEAなどの副腎アンドロゲンの生成を阻害する薬物、例えばケトコナゾールおよびアミノグルテチミドの投与;ならびにアバレリックス(Plenaxis(登録商標))、セトロレリックス(Cetrotide(登録商標))、ガニレリックス(Antagon(登録商標))、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、またはブセレリンなどのGnRHアンタゴニストまたはアゴニストの投与が含まれ得る。別の適用可能な治療としては、体内でのアンドロゲン活性を遮断する、抗アンドロゲン薬を用いた治療がある。そのような薬剤としては、フルタミド、ビカルタミド、およびニルタミドが挙げられる。この治療は、典型的には、LHRH類似体の投与または睾丸摘出術と組み合わせて行われ、後者は、完全アンドロゲン遮断(CAB)と呼ばれている。化学療法には、ドセタキセルを、例えば、プレドニゾンなどのコルチコステロイドとともに投与するものが含まれるが、これには限定されない。前立腺癌の成長を遅らせるために、症状を軽減するために、および生活の質を改善するために、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポシド、ミトキサントロン、ビンブラスチン、パクリタキセル、カルボプラチンなどの抗癌剤を投与することもできる。ビスホスホネート薬物などのさらなる化合物を投与することもできる。
腎臓癌
別の局面では、本発明の化合物を使用して腎臓癌を治療することができる。腎臓癌には、腎細胞癌、腎外原発新生物からの転移、腎臓リンパ腫、扁平上皮癌、傍糸球体腫瘍(腎腫)、移行上皮癌、血管筋脂肪腫、膨大細胞腫、およびウィルムス腫瘍が含まれるがこれらには限定されない。本発明の化合物を、第二の治療、例えば標準治療の一環である治療と併せて投与することもできる。腎臓癌の治療には、手術、経皮的治療、放射線治療、化学療法、ワクチン、または他の薬剤投与が含まれ得る。本発明の化合物と組み合わせて腎臓癌の治療に有用な外科的手法には腎摘出術が含まれ、これには、副腎、後腹膜リンパ節、および腫瘍の侵襲によって罹患した、他の任意の周辺組織の切除が含まれ得る。経皮的治療には、例えば、画像誘導治療が含まれ、これには、腫瘍を画像化し、次いでこれをラジオ波焼灼療法または凍結療法で標的破壊することが含まれ得る。いくつかの例では、腎臓癌の治療に有用な他の化学療法または他の薬剤投与は、α-インターフェロン、インターロイキン-2、ベバシズマブ、ソラフェニブ、スニチブ(sunitib)、テムシロリムスまたは他のキナーゼ阻害剤であり得る。
膵癌
他の局面において、本発明は、本発明の化合物を投与することによる、膵癌の治療方法を提供する。この膵癌は、膵管組織の類上皮癌および膵管の腺癌から選択されるような膵癌である。最も一般的な型の膵癌は腺癌であり、これは膵管の管壁で生じる。膵癌に適用可能な治療としては、手術、免疫治療、放射線治療、および化学療法が挙げられる。手術の選択肢として可能性があるものには、膵体尾部切除術または膵全摘術および膵頭十二指腸切除術(ホイップル法)が含まれる。放射線治療、具体的には、体外にある機器を用いて腫瘍に放射線を当てる外照射療法が、膵癌患者に対する選択肢となる場合もある。別の選択肢としては、術中に照射される、術中電子線照射がある。膵癌患者を治療するために、化学療法を使用することもできる。好適な抗癌剤には、5-フルオロウラシル(5-FU)、マイトマイシン、イホスファミド、ドキソルビシン、ストレプトゾシン、クロロゾトシン、およびそれらの組み合わせが含まれるがこれらには限定されない。本発明で提供する方法は、本発明のポリペプチドを投与することによって、または化合物の投与と、手術、放射線治療、または化学療法とを組み合わせることによって、膵癌患者に有益な効果をもたらすことが可能である。
結腸癌
一局面では、本発明の化合物を使用して結腸癌を治療することができる。結腸癌には、非腫瘍性ポリープ、腺腫、家族性症候群、結腸直腸発癌、結腸直腸癌、およびカルチノイド腫瘍が含まれるがこれらには限定されない。本発明の化合物と併せて結腸癌に適用可能な治療は、手術、化学療法、放射線治療または標的薬治療であり得る。
放射線治療は、外照射療法および/または密封小線源治療を含み得る。化学療法を使用して、転移が広がる可能性を低下させる、腫瘍サイズを縮小させる、または腫瘍の成長を遅らせることができる。化学療法は、手術の後に適用される(補助)、手術前に適用される(術前補助)、または手術が指示されない場合には一次療法(姑息的)として適用されることが多い。例えば、補助化学療法のレジメンの一例としては、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、およびオキサリプラチンを組み合わせて静注するFOLFOXが挙げられる。化学療法の第一選択のレジメンには、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、およびオキサリプラチン(FOLFOX)の静注と、標的薬、例えばベバシズマブ、セツキシマブもしくはパニツムマブの組み合わせ、または5-フルオロウラシル、ロイコボリン、およびイリノテカン(FOLFIRI)の静注と、標的薬、例えばベバシズマブ、セツキシマブもしくはパニツムマブの組み合わせが含まれ得る。本発明の化合物と組み合わせて結腸癌の治療または予防に有用な可能性のある他の化学療法剤は、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、オブリメルセン(Genasense(登録商標)、G3139)、ゲフィチニブおよびエルロチニブ(Tarceva(登録商標))およびトポテカン(Hycamtin(登録商標))である。
肺癌
いくつかの態様では、本発明の化合物を使用する肺癌の治療方法を提供する。肺の細胞増殖性疾患および/または分化性障害の例としては、これらには限定されないが、気管支原性癌(腫瘍随伴症候群、細気管支肺胞癌、神経内分泌腫瘍、例えば気管支カルチノイド、雑多な腫瘍、および転移性腫瘍を含む);胸膜の病気(炎症性胸水、非炎症性胸水、気胸を含む)、ならびに胸膜腫瘍(孤立性線維性腫瘍(胸膜線維腫)および悪性中皮腫を含む)が挙げられる。
最もありふれた型の肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。これは、肺がんのおよそ80〜85%を占め、扁平上皮癌、腺癌、および大細胞未分化癌に分類される。小細胞肺癌、例えば小細胞肺癌腫は肺癌の15〜20%を占める。肺癌の治療の選択肢には、手術、免疫治療、放射線治療、化学療法、光線力学的治療、またはそれらの組み合わせが含まれる。肺癌の治療に適用可能ないくつかの外科的な選択肢は、区域切除術または楔状切除術、肺葉切除術、または肺摘除術である。放射線治療は、外照射療法または密封小線源治療であり得る。本発明の化合物と組み合わせて肺癌を治療するための化学療法に使用することができる抗癌剤のいくつかとしては、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、ゲフィチニブ、イホスファミド、メトトレキサート、またはそれらの組み合わせが挙げられる。光線力学的治療(PDT)を使用して、肺癌患者を治療してもよい。本明細書に記載の方法は、化合物を投与することによって、または化合物の投与と、手術、放射線治療、化学療法、光線力学的治療、またはそれらの組み合わせとを組み合わせることによって、肺癌患者に有益な効果をもたらすことが可能である。
肝臓の細胞増殖性疾患および/または分化性障害の例としては、これらには限定されないが、結節性過形成、腺腫、および悪性腫瘍(肝臓の原発癌および転移性腫瘍を含む)が挙げられる。
免疫増殖性疾患
免疫増殖性疾患(「免疫増殖性障害」または「免疫増殖性新生物」としても知られている)は、B細胞、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む、免疫系の主要な細胞の異常な増殖、または免疫グロブリン(抗体としても知られている)の過剰生成によって特徴付けられる、免疫系の疾患である。このような疾患には、一般的な分類である、リンパ増殖性疾患、高ガンマグロブリン血症、およびパラプロテイン血症が含まれる。そのような疾患の例としては、これらには限定されないが、X連鎖リンパ増殖性疾患、常染色体のリンパ増殖性疾患、高IgM症候群、重鎖病、およびクリオグロブリン血症が挙げられる。他の免疫増殖性疾患は、移植片対宿主病(GVHD);乾癬;移植拒絶反応に関連した免疫疾患;T細胞リンパ腫;T細胞急性リンパ芽球性白血病;精巣血管中心性T細胞リンパ腫;良性リンパ球性血管炎;および自己免疫疾患、例えばエリテマトーデス、橋本甲状腺炎、原発性粘液水腫、グレーブス病、悪性貧血、自己免疫性萎縮性胃炎、アジソン病、インスリン依存型糖尿病、グッドパスチャー症候群、重症筋無力症、天疱瘡、クローン病、交感性眼炎、自己免疫性ブドウ膜炎、多発性硬化症、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少症、原発性胆汁性肝硬変、慢性活動性肝炎、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、関節リウマチ、多発性筋炎、強皮症、および混合性結合組織病であり得る。
併用治療
一態様では、本発明の化合物を、アルキル化剤およびアルキル化様薬剤と併せて、癌の治療に使用することもできる。そのような薬剤としては、例えば、ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、およびメルファラン;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、ホテムスチン、ロムスチン、およびストレプトゾシン;白金治療剤、例えばカルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、BBR3464、およびサトラプラチン;またはブスルファン、ダカルバジン、プロカルバジン、テモゾロミド、チオテパ、トレオスルファン、もしくはウラムスチンを含むがこれらには限定されない、他の薬剤が挙げられる。
別の態様では、本発明の化合物を、代謝拮抗薬である抗腫瘍薬と併せて使用してもよい。例えば、そのような抗腫瘍薬は、葉酸、例えばアミノプテリン、メトトレキサート、ペメトレキセド、またはラルチトレキセドであり得る。あるいは、抗腫瘍薬は、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニンを含むがこれらには限定されない、プリンであってもよい。さらなる態様では、抗腫瘍薬は、カペシタビン、シタラビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、およびゲムシタビンなどのピリミジンであってもよい。
さらに他の態様では、本発明の化合物を、紡錘体毒/有糸分裂阻害剤である抗腫瘍薬と併せて使用することもできる。この分類に含まれる薬剤としては、タキサン、例えばドセタキセルおよびパクリタキセル;ならびにビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンが挙げられる。さらに他の態様では、本発明の化合物を、細胞傷害性/抗腫瘍抗生物質である抗腫瘍薬と組み合わせて使用してもよく、この場合、細胞傷害性/抗腫瘍抗生物質は、アントラサイクリンファミリー由来のもの、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ピクサントロン、もしくはバルルビシン;ストレプトミセスファミリーに由来する抗生物質、例えばアクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、もしくはプリカマイシン;またはヒドロキシ尿素である。あるいは、併用療法に使用される薬剤は、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、エトポシド、またはテニポシドを含むがこれらには限定されない、トポイソメラーゼ阻害剤であってもよい。
あるいは、抗腫瘍薬は抗体または抗体に由来する薬剤であってもよい。例えば、受容体チロシンキナーゼ標的抗体、例えばセツキシマブ、パニツムマブ、またはトラスツズマブを使用してもよく、あるいは、抗体は抗CD20抗体、例えばリツキシマブもしくはトシツモマブ、またはアレムツズマブ、ベバシズマブ、およびゲムツズマブを含むがこれらには限定されない、いかなる他の適切な抗体であってもよい。他の態様では、抗腫瘍薬は、光増感剤、例えばアミノレブリン酸、アミノレブリン酸メチル、ポルフィマーナトリウム、またはベルテポルフィンである。さらに他の態様において、抗腫瘍薬は、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、デジラニブ(dediranib)、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、またはバンデタニブである。本発明の使用に好適な他の腫瘍薬としては、例えば、アリトレチノイン、トレチノイン、アルトレタミン、アムサクリン、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ(ペグアルパルガーゼ)、ベキサロテン、ボルテゾミブ、デニロイキンジフチトクス、エストラムスチン、イクサベピロン、マソプロコール、またはミトタンが挙げられる。
他の態様またはさらなる態様では、本明細書に記載の化合物を使用して、過剰な細胞死または生理的障害に起因する細胞死などによって特徴付けられる状態を治療、予防または診断する。早い時期に起こるまたは望まれていない細胞死、あるいは望まれていないまたは過剰な細胞増殖によって特徴付けられる状態のいくつかの例には、これらには限定されないが、低細胞性/低形成性、無細胞性/無形成性、または細胞過形成性/過剰増殖性の状態が含まれる。いくつかの例としては、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、サラセミア、先天性好中球減少症、および脊髄形成異常症を含むがこれらには限定されない、血液障害が挙げられる。
他の態様またはさらなる態様では、アポトーシスを低減させるように作用する本発明の化合物を、望ましくないレベルの細胞死に関連した障害の治療に使用する。したがって、いくつかの態様では、抗アポトーシス性の本発明の化合物を使用して、ウイルス感染、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染に関連がある感染を伴う細胞死を誘導するような障害を治療する。多くの神経学的疾患は、特定の組のニューロンが徐々に失われていくことを特徴とし、かついくつかの態様では、これらの障害の治療において、抗アポトーシス性の本発明の化合物が使用される。そのような障害には、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、網膜色素変性、脊髄性筋萎縮症、および多様な形態の小脳変性症が含まれる。これらの疾患における細胞の消失は炎症性反応を誘発せず、かつ、アポトーシスは細胞死の機序であるように見受けられる。加えて、多数の血液疾患は、血液細胞の生成の減少と関連している。これらの障害には、慢性疾患に関連する貧血、再生不良性貧血、慢性好中球減少症、および骨髄異形成症候群が含まれる。血液細胞生成の障害、例えば骨髄異形成症候群およびいくつかの形態の再生不良性貧血は、骨髄でのアポトーシス細胞死の増加と関連している。これらの障害は、アポトーシスを促進する遺伝子の活性化、間質細胞または造血生存因子の後天性欠乏症、または毒物および免疫応答調節因子の直接的な作用によって生じる可能性がある。細胞死に関係がある、一般的な2つの障害には、心筋梗塞と脳卒中がある。どちらの障害においても、血流の急激な減少事象によって生じる虚血中心部位の細胞が、壊死の結果、急速に死んでいくと考えられている。しかしながら、虚血中心部位の外側では、細胞は、より長い期間にわたって死に、形態学的にはアポトーシスによって死んでいるように見える。
他の使用方法
他の態様またはさらなる態様では、抗アポトーシス性の本発明の化合物は、望ましくない細胞死に関係する、そのような全ての障害の治療に使用される。
本明細書に記載の化合物で治療される免疫疾患のいくつかの例としては、これらには限定されないが、器官移植拒絶反応、関節炎、狼瘡、IBD、クローン病、喘息、多発性硬化症、糖尿病などが挙げられる。
本明細書に記載の化合物で治療される神経障害のいくつかの例としては、これらには限定されないが、アルツハイマー病、ダウン症候群、遺伝性アミロイド性脳出血(オランダ型)、反応性アミロイドーシス、蕁麻疹および難聴を伴う家族性アミロイドニューロパチー、マックル・ウェルズ症候群、特発性骨髄腫、マクログロブリン血症関連骨髄腫、家族性アミロイドポリニューロパチー、家族性アミロイド心筋症、孤立性心アミロイド、全身性老人性アミロイドーシス、成人発症型糖尿病、インスリノーマ、孤立性心房性アミロイド、甲状腺の髄様癌、家族性アミロイドーシス、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、家族性アミロイドポリニューロパチー、スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群、牛海綿状脳症、プリオン介在性疾患、およびハンチントン病が挙げられる。
本明細書に記載の化合物で治療される内分泌疾患のいくつかの例としては、これらには限定されないが、糖尿病、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、副甲状腺機能低下症、性腺機能低下症などが挙げられる。
本発明の化合物で治療または予防される心血管障害(例えば、炎症性障害)の例としては、これらには限定されないが、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、血栓症、動脈瘤、心不全、虚血性心疾患、狭心症、心臓突然死、高血圧性心疾患、非冠血管疾患、例えば細動脈硬化症、小血管疾患、ネフロパチー、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高脂血症、黄色腫症、喘息、高血圧、肺気腫および慢性肺疾患;または介入的治療(「手技上の血管の外傷」)、例えば、血管形成術後の再狭窄、シャント、ステント、人工の移植片もしくは天然の切除した移植片の配置、カテーテル、弁もしくは他の植え込み型装置の留置に付随する心血管状態が挙げられる。好ましい心血管障害には、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、動脈瘤、および脳卒中が含まれる。
実施例1 - 化合物の調製
一般
記載される場合を除いて、市販等級の試薬および溶媒をさらなる精製なしに使用した。Innovative Technology PureSolv溶媒乾燥システムを使用して、乾燥DMFを得た。記載される場合を除いて、全ての反応物を室温で機械的に振盪したかまたは撹拌した。各工程の後、樹脂をDMF(3 x 5 mL)、MeOH(3 x 5 mL)、およびDCM(3 x 5mL)で連続的に洗浄した。制御された出力、温度、時間および撹拌設定でCEM Discoverシングルモードリアクターにおいて、マイクロ波照射を行った。Bruker AVANCE 500 MHz分光計を使用して、NMR実験を行った。System Gold 168ダイオードアレイ検出器を備えたBeckman Coulter HPLCを使用して4.6 x 150 mm(分析スケール)または21.4 x 150 mm(分取スケール)Waters C18 Sunfireカラムで、逆相HPLC実験を行った。HPLC緩衝液は、0.1%水性トリフルオロ酢酸およびアセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸からなった。Agilent 1100シリーズLC/MSD(XCT)エレクトロスプレートラップまたはBruker Ultraflex Xtreme MALDI-TOF/TOFのいずれかによって、質量スペクトルを得た。CDおよびNMR研究のためのペプチド濃度を、トリプトファン残基の吸光度(280 nmで5560 cm-1 M-1)を使用して計算した。
ビス-チオール前駆体ペプチド1の合成
Knorr Amide MBHA樹脂を用いる標準Fmoc固相化学を使用してCEM Libertyマイクロ波ペプチドシンセサイザーにおいて、親ペプチド3(0.25 mmol)を合成した。3を有する樹脂を、フリット化ポリプロピレンSPEチューブへ移し、洗浄し、真空下で乾燥した。乾燥DMF 3 mL中のプレ活性化ブロモ酢酸(0.17 g, 1.25 mmol, 5当量)、HOBt(0.18 g, 1.25 mmol, 5当量)、DIC(0.20 mL, 1.25 mmol, 5当量)の溶液を、3を含有する樹脂へ添加した。3時間後、樹脂を、乾燥DMF 3 mL中のS-トリチル-2-メルカプトエチルアミン(0.45 g, 1.25 mmol, 5当量)およびDIEA(0.66 mL, 3.37 mmol, 15当量)で洗浄および処理した。3時間後、4を含有する樹脂を洗浄した。樹脂を真空下で1時間乾燥し、マイクロ波チューブへ移し、キャップし、N2で1時間パージした。
樹脂上に乾燥された4を含有するマイクロ波チューブへ、乾燥DMF 4 mL中のプレ活性化Fmoc-Glu(tBu)-OH(2.13 g, 5.0 mmol, 20当量)、HOAt(0.35 g, 2.5 mmol, 10当量)、DIC (0.66 mL, 5.0 mmol, 20当量)の溶液を添加した。反応混合物を60℃で45分間マイクロ波照射へ供し、その後、樹脂をSPEチューブへ移し、洗浄した。樹脂をFmoc脱保護のためにNMP中の20%ピペリジンで処理し(2 x 20分)、洗浄し、真空下で乾燥した。5% DIEA/NMP 4.1 mL中のプレ活性化Fmoc-Gln(Trt)-OH(0.76 g, 1.25 mmol, 5当量)、HBTU(0.42 g, 1.13 mmol, 4.5当量)の溶液を、樹脂へ添加した。3時間後、5を含有する樹脂を洗浄し、真空下で乾燥した。
樹脂結合された5を、上述のようなFmoc脱保護およびブロモアセチル化へ供した。乾燥DMF 3 mL中のトリフェニルメチルメルカプタン(0.35 g, 1.25 mmol, 5当量)およびDIEA(0.66 mL, 3.37 mmol, 15当量)の溶液を樹脂へ添加した。3時間後、樹脂を洗浄し、真空下で乾燥した。乾燥された樹脂を81.5% TFA、5% H2O、5%チオアニソール、5%フェノール、2.5% EDT、1% TIPSで処理した。2時間後、混合物を濾過し、真空下で濃縮した。粗製固体を冷エーテルで洗浄し、N2下で乾燥した。HPLC精製(45分で5-75アセトニトリル/水の勾配)および凍結乾燥によって、ビス-チオールペプチド1を白色粉末(10 mg)として得た。[M+H]+計算値:1555.73;[M+H]+実測値:1555.71;分析HPLC Rt:9.3分(15分で5-95アセトニトリル/水の勾配)。
dsHBS 2の合成
ビス-チオールペプチド1(5 mg)を、20% DMSOおよび10% TFEを含有する0.1 M炭酸水素アンモニウム水溶液6.3 mL(TFAでpH 6へ緩衝化)中に溶解した。15時間後、混合物を冷凍および凍結乾燥し、無色オイルを得た。HPLC精製(45分で5-65アセトニトリル/水の勾配)および凍結乾燥によって、dsHBS 2(1 mg, 20%)を白色粉末として得た。[M+H]+計算値:1553.71;[M+H]+実測値:1553.72;分析HPLC Rt:9.5分(15分で5-95アセトニトリル/水の勾配)。
S-トリチル-メルカプトエチルアミン塩酸塩の合成
システアミン塩酸塩(1.00 g, 8.8 mmol, 1当量)をDMF-DCM(1:1, 50 mL)中に溶解し、続いて塩化トリチル(3.68 g, 13.2 mmol, 1.5当量)を添加した。3時間後、不溶性物質を濾過し、DCM(3 x 10 mL)で洗浄した。粗生成物を真空下で濃縮し、その後、再構成および再濃縮した(3 x 50mL DCM)。フラッシュクロマトグラフィー(10% MeOH/DCM)による精製によって、2.35 gのオフホワイト色固体(収率75%)を得た。
Figure 2015509503
実施例2 - 円二色性分光法
1 mm長のセルおよび5 nm/分のスキャン速度を使用して、温度コントローラーを備えたAVIV 202SF CD分光計において、CDスペクトルを記録した。スペクトルは、10回のスキャンを、試料のものと類似の条件からのベースラインを差し引いて平均した。試料を0.1×リン酸緩衝生理食塩水(13.7 mM NaCl、1 mMリン酸塩、0.27 mM KCl、pH 7.4)中で調製し、最終ペプチド濃度は50μΜであった。ヘリックス配座に対する還元剤の効果をモニタリングするために、dsHBS 2の試料を緩衝液条件において75□M TCEPで調製し;ビス-チオールへのジスルフィド結合の還元を質量分析によって確認した。各ペプチドのヘリックス含有量を、アミノ酸の数について補正された222 nmにおける平均残基CD、[θ]222(deg cm2 dmol-1)から決定した。%ヘリックス性を、比[θ]222/[θ]maxから計算した(式中、[θ]max=(-44000 + 250T)(1 - k/n)=-25,170(T=25(℃)、k=4.0、およびn=12(アミノ酸残基の数)の場合)) 7,20,23
実施例3 - 2D NMR分光法
dsHBS 2のスペクトルを20℃でBruker Avance 500において記録した。Shigemi NMRチューブ中においてPBS中の20% TFE-d3(pH 3.5)300□L中に1 mgの2を溶解することによって、試料を調製した。States-TPPIモードでt1ドメインにおいて72スキャンおよび512インクリメントを平均することによりt2ドメインにおいて2048コンプレックスデータポイントを収集することによって、全ての2Dスペクトルを記録した。6000 Hzスピンロック周波数において80 msの混合時間で、TOCSY実験を行った。NOESYについて、200 msの混合時間を使用した。Bruker TOPSPINプログラムを使用して、データを処理および解析した。元の自由誘導減衰(FID)をゼロ充填し(zero-fill)、1024 x 1024の実際のデータポイントの最終マトリックスを得た。90°サイン-スクエアウインドウファンクションを両方の次元において適用した。
本発明の好ましい態様を本明細書に示し記載したが、そのような態様がほんの一例として提供されていることは当業者には明白であろう。当業者は、本発明を逸脱することなく、多くの変形、変更、および置換を思いつくであろう。本発明を実施するにあたって、本明細書に記載されている本発明の態様の様々な代替策を用いることができることが理解されるべきである。下記の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、この特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物は、特許請求の範囲によって保護されることが意図される。

Claims (19)

  1. 2つのチオール基を含むペプチド模倣前駆体を提供する工程と;該2つのチオール基間の反応を誘導することができる試薬と該前駆体とを接触させる工程であって、該反応がジスルフィド共有結合の形成をもたらす、工程とを含む、安定化されたヘリックス状ペプチド模倣大環状分子を合成する方法であって、該接触させる工程が、該前駆体の環化をもたらして、安定化されたヘリックス状ペプチド模倣大環状分子を形成し、該安定化されたヘリックス状ペプチド模倣大環状分子が、式
    Figure 2015509503
    の構造を含み、式中、各Rが独立してアミノ酸側鎖であり、かつX-Yがクロスリンカー部分である、方法。
  2. ペプチド模倣大環状分子が、対応する非大環状ポリペプチドと比較して、より高いαヘリックス性を有する、請求項1に記載の方法。
  3. ペプチド模倣大環状分子が、ペプチド模倣前駆体と比較して、より高いαヘリックス性を有する、請求項1に記載の方法。
  4. αヘリックス性が、円二色性によって評価される、請求項2または3に記載の方法。
  5. ペプチド模倣大環状分子が、対応する非大環状ポリペプチドと比較して、タンパク質分解に対する高い耐性を示す、請求項1に記載の方法。
  6. ペプチド模倣大環状分子が、対応する非大環状ポリペプチドと比較して、高い生物学的活性を示す、請求項1に記載の方法。
  7. ペプチド模倣前駆体が、固相ペプチド合成樹脂によって調製される、請求項1に記載の方法。
  8. ペプチド模倣前駆体が、前記接触させる工程の間、固相ペプチド合成樹脂に付着している、請求項1に記載の方法。
  9. ペプチド模倣前駆体が、前記接触させる工程の間、固相ペプチド合成樹脂に付着していない、請求項1に記載の方法。
  10. 前記接触させる工程が、溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
  11. 溶媒が水性溶媒である、請求項10に記載の方法。
  12. 溶媒がDMSOを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 溶媒がTFEを含む、請求項11に記載の方法。
  14. 前記接触させる工程の後に、ペプチド模倣大環状分子が精製される、請求項1に記載の方法。
  15. 安定化されたヘリックス状ペプチド模倣大環状分子が、式
    Figure 2015509503
    の構造を含み、式中、R1、R2、R3およびR4が各々独立してアミノ酸側鎖である、請求項1に記載の方法。
  16. 安定化されたヘリックス状ペプチド模倣大環状分子が、式
    Figure 2015509503
    の構造を含み、式中、R1、R2、R3およびR4が各々独立してアミノ酸側鎖である、請求項1に記載の方法。

  17. Figure 2015509503
    の構造を含む、ペプチド模倣大環状分子であって、式中、各Rが独立してアミノ酸側鎖であり、かつX-Yがクロスリンカー部分である、ペプチド模倣大環状分子。

  18. Figure 2015509503
    の構造を含む、ペプチド模倣大環状分子であって、式中、R1、R2、R3およびR4が各々独立してアミノ酸側鎖である、請求項17に記載のペプチド模倣大環状分子。

  19. Figure 2015509503
    の構造を含む、ペプチド模倣大環状分子であって、式中、R1、R2、R3およびR4が各々独立してアミノ酸側鎖である、請求項17に記載のペプチド模倣大環状分子。
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