JP2015507778A - 物理的プロセスのコンピュータシミュレーション - Google Patents

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Abstract

格子ボルツマン(LB)法を用いて流体流れをシミュレーションし、スカラー輸送方程式を解くためのコンピュータで実現される方法が本明細書で記載される。流体の流れについての格子ボルツマン関数に加えて、輸送スカラーにおいて分布関数の第2のセットが導入される。【選択図】 図4

Description

(優先権主張)
本出願は、2011年12月9日に出願された、名称「COMPUTER SIMULATION OF PHYSICAL PROCESSES」の米国仮出願シリアル番号61/568,898に対する優先権並びにその全ての利益を主張する、2012年5月30日に出願され、名称「COMPUTER SIMULATION OF PHYSICAL PROCESSES」の米国本出願シリアル番号13/483,676に対して、米国特許法119条に基づく優先権を主張し、これら特許出願の内容全体が引用により本明細書に組み込まれる。
本発明は、流体の流れ及び音響のような物理的プロセスのコンピュータシミュレーションに関する。
高レイノルズ数の流れは、巨視的物理量(例えば、密度、温度、流体速度)を表す変数に対して多くの離散的空間位置の各々にて高精度浮動小数点算術演算を実施することで、ナビエ・ストークス(Navier−Stokes)微分方程式の離散解を生成することによりシミュレーションされてきた。別の手法では、微分方程式の代わりに格子ガス(又はセル)オートマンとして知られるものを導入し、ここでは、ナビエ・ストークスの方程式を解くことによりもたらされる巨視的レベルのシミュレーションは、格子サイト間を移動する粒子に関する演算を実施する微視的レベルのモデルと置き換えられる。
米国特許第5,594,671号明細書
全体として、本明細書は、格子ボルツマン(LB)法を用いて流体流れをシミュレーションし、スカラー輸送方程式を解くための技術を記載している。本明細書で記載される手法においては、流体の流れについての格子ボルツマン関数に加えて、輸送スカラーにおいて分布関数の第2のセットが導入される。この手法は、完全保存則を満たす巨視的スカラー輸送方程式を完全に復元する。本手法は安定しており、スカラー拡散率は、CFLのような安定性の上限を有することがない。十分な格子等方性を有する場合、数値解法は、グリッド方位には依存しない。任意幾何形状に関するスカラーの一般境界条件はまた、表面スカラー流束の精密な制御により実現される。
1つの一般的な態様において、コンピュータ上で流体の流れをシミュレーションするためのコンピュータで実現される方法は、ある体積における流体の動作を体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、体積の対応するボクセルでの可能な運動量状態の特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを各々が含む、ボクセルについての状態ベクトルのセットをコンピュータアクセス可能メモリ内に格納するステップと、流体の流れに少なくとも部分的に基づいて体積についてのスカラー量の時間発展をシミュレーションし、巨視的スカラー輸送方程式を間接的に解くステップと、対応するボクセルでのシミュレーションしたスカラー量に相当するエントリーを各々が含む、ボクセルについてのスカラー量のセットをコンピュータアクセス可能メモリ内に格納するステップと、を含む。
実施構成は、以下の1つ又はそれ以上を含むことができる。
流体の流れをシミュレーションするステップは、離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて流体の流れをシミュレーションするステップを含むことができ、スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップは、離散格子速度の第1のセットよりも少ない格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションするステップを含むことができる。
流体の流れをシミュレーションするステップが、離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて流体の流れをシミュレーションするステップを含む−ことができ、スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップは、離散格子速度の第1のセットよりも少ない離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションするステップを含むことができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップは、1次非平衡モーメントのみがスカラー拡散に寄与する衝突演算子に部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションするステップを含むことができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップは、2次及びそれよりも高次の全ての非平衡モーメントをフィルタ処理する衝突演算子に部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションするステップを含むことができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップは、近傍セルから流入する分布を集めるステップと、流入する分布を重み付けするステップと、スカラーアルゴリズムを適用して流出分布を決定するステップと、決定した流出分布を伝播させるステップと、を含むことができる。
本方法はまた、流入する分布が決定した流出分布に等しいようにゼロ正味表面流束境界条件を適用するステップを含むことができる。
流出分布を決定するステップは、ゼロ表面スカラー流束を提供するよう流出分布を決定するステップを含むことができる。
スカラー量は、温度、濃度、及び密度からなる群から選択されたスカラー量とすることができる。
巨視的スカラー輸送方程式を解くステップは、スカラーの均一性に関する厳密な不変性を満たすステップを含むことができる。
巨視的スカラー輸送方程式は、
とすることができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップは、粒子分布関数をシミュレーションするステップを含むことができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップは、ボルツマン方程式に少なくとも部分的に基づいたメゾスコピック運動方程式を解くことによって巨視的流体力学を決定するステップを含むことができる。
体積における流体の動作をシミュレーションするステップは、状態ベクトルに対して、モデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する相互作用演算を実施するステップと、状態ベクトルの第1の移動演算を実施し、モデルに従って体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるステップと、を含むことができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップは、局所エネルギー保存条件を満たすステップを含むことができる。
局所エネルギー保存条件を満たすステップは、体積の内部の流体ドメイン及び体積の境界において局所エネルギー保存条件を満たすステップを含むことができる。
一部の追加の態様において、コンピュータ可読媒体に有形的に組み込まれるコンピュータプログラム製品は、実行時に物理的プロセスの流体の流れをシミュレーションする命令を含む。コンピュータプログラム製品は、コンピュータが、ある体積における流体の動作をシミュレーションして体積内の要素の移動をモデル化し、対応するボクセルでの可能な運動量状態の特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを各々が含む、体積におけるボクセルについての状態ベクトルのセットを格納し、流体の流れに少なくとも部分的に基づいて体積についてのスカラー量の時間発展をシミュレーションし、巨視的スカラー輸送方程式を間接的に解き、対応するボクセルでのシミュレーションしたスカラー量に相当するエントリーを各々が含む、ボクセルについてのスカラー量のセットを格納する、ように構成されている。
実施構成は、以下の1つ又はそれ以上を含むことができる。
コンピュータが流体の流れをシミュレーションすることは、コンピュータが離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて流体の流れをシミュレーションすることを含むことができ、コンピュータがスカラー量の時間発展をシミュレーションすることは、コンピュータが離散格子速度の第1のセットよりも少ない格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションすることを含むことができる。
コンピュータが流体の流れをシミュレーションすることは、コンピュータが離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて流体の流れをシミュレーションすることを含むことができ、コンピュータがスカラー量の時間発展をシミュレーションすることは、コンピュータが離散格子速度の第1のセットと同じ格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションすることを含むことができる。
コンピュータがスカラー量の時間発展をシミュレーションすることは、コンピュータが、1次非平衡モーメントのみがスカラー拡散に寄与する衝突演算子に部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションすることを含むことができる。
コンピュータがスカラー量の時間発展をシミュレーションすることは、コンピュータが、2次及びそれよりも高次の全ての非平衡モーメントをフィルタ処理する衝突演算子に部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションすることを含むことができる。
コンピュータがスカラー量の時間発展をシミュレーションすることは、コンピュータが、近傍セルから流入する分布を集め、流入する分布を重み付けし、スカラーアルゴリズムを適用して流出分布を決定し、決定した流出分布を伝播させる、ようにすることを含むことができる。
コンピュータプログラムは更に、コンピュータが、流入する分布が決定した流出分布に等しいようにゼロ正味表面流束境界条件を適用するように構成することができる。
コンピュータが流出分布を決定することは、コンピュータが、ゼロ表面スカラー流束を提供するよう流出分布を決定することを含むことができる。
スカラー量は、温度、濃度、及び密度からなる群から選択されたスカラー量とすることができる。
コンピュータが巨視的スカラー輸送方程式を解くことは、コンピュータが、スカラーの均一性に関する厳密な不変性を満たすようにすることを含むことができる。
巨視的スカラー輸送方程式は、
とすることができる。
コンピュータがスカラー量の時間発展をシミュレーションすることは、コンピュータが粒子分布関数をシミュレーションすることを含むことができる。
コンピュータがスカラー量の時間発展をシミュレーションすることは、コンピュータがボルツマン方程式に少なくとも部分的に基づいたメゾスコピック運動方程式を解くことによって巨視的流体力学を決定することを含むことができる。
コンピュータが体積における流体の動作をシミュレーションすることは、コンピュータが、状態ベクトルに対して、モデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する相互作用演算を実施し、状態ベクトルの第1の移動演算を実施し、モデルに従って体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させる、ことを含むことができる。
コンピュータがスカラー量の時間発展をシミュレーションすることは、コンピュータが局所エネルギー保存条件を満たすようにすることを含むことができる。
コンピュータが局所エネルギー保存条件を満たすことは、コンピュータが体積の内部の流体ドメイン及び体積の境界において局所エネルギー保存条件を満たすことを含むことができる。
一部の態様において、物理的プロセスの流体の流れをシミュレーションするコンピュータシステムは、ある体積における流体の動作をシミュレーションして体積内の要素の移動をモデル化し、対応するボクセルでの可能な運動量状態の特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを各々が含む、体積におけるボクセルについての状態ベクトルのセットを格納し、流体の流れに少なくとも部分的に基づいて体積についてのスカラー量の時間発展をシミュレーションし、巨視的スカラー輸送方程式を間接的に解き、対応するボクセルでのシミュレーションしたスカラー量に相当するエントリーを各々が含む、ボクセルについてのスカラー量のセットを格納する、ように構成されている。
実施構成は、以下の1つ又はそれ以上を含むことができる。
流体の流れをシミュレーションする構成は、システムが離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて流体の流れをシミュレーションする構成を含むことができ、スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成は、コンピュータが離散格子速度の第1のセットよりも少ない格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションする構成を含むことができる。
流体の流れをシミュレーションする構成は、システムが離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて流体の流れをシミュレーションする構成を含むことができ、スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成は、離散格子速度の第1のセットと同じ格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションする構成を含むことができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成は、1次非平衡モーメントのみがスカラー拡散に寄与する衝突演算子に部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションする構成を含むことができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成は、2次及びそれよりも高次の全ての非平衡モーメントをフィルタ処理する衝突演算子に部分的に基づいてスカラー量の時間発展をシミュレーションする構成を含むことができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成は、近傍セルから流入する分布を集め、流入する分布を重み付けし、スカラーアルゴリズムを適用して流出分布を決定し、決定した流出分布を伝播させる、構成を含むことができる。
本システムは更に、流入する分布が決定した流出分布に等しいようにゼロ正味表面流束境界条件を適用するように構成することができる。
流出分布を決定する構成は、ゼロ表面スカラー流束を提供するよう流出分布を決定する構成を含むことができる。
スカラー量が、温度、濃度、及び密度からなる群から選択されたスカラー量とすることができる。
巨視的スカラー輸送方程式を解く構成は、スカラーの均一性に関する厳密な不変性を満たすようにする構成を含むことができる。
巨視的スカラー輸送方程式は、
とすることができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成は、粒子分布関数をシミュレーションする構成を含むことができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成は、ボルツマン方程式に少なくとも部分的に基づいたメゾスコピック運動方程式を解くことによって巨視的流体力学を決定する構成を含むことができる。
体積における流体の動作をシミュレーションする構成は、状態ベクトルに対して、モデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する相互作用演算を実施し、状態ベクトルの第1の移動演算を実施し、モデルに従って体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させる、構成を含むことができる。
スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成は、局所エネルギー保存条件を満たすようにする構成を含むことができる。局所エネルギー保存条件を満たす構成は、体積の内部の流体ドメイン及び体積の境界において局所エネルギー保存条件を満たす構成を含むことができる。
上記で考察した技術の実施構成は、方法又はプロセス、システム又は装置、或いはコンピュータアクセス可能媒体上のコンピュータソフトウェアを含むことができる。
本システム及び技法は、格子ボルツマンの定式化を利用した格子ガスシミュレーションを用いて実施することができる。従来の格子ガスシミュレーションは、各格子サイトにおいて限定数の粒子を前提とし、粒子は、ビットのショートベクトルにより表される。各ビットは、特定方向に移動する粒子を表す。例えば、ベクトルの1つのビットは、特定の方向に移動する粒子が存在する(1にセットされたとき)、又は存在しない(0にセットされたとき)ことを表すことができる。このようなベクトルは6ビットを有することができ、例えば、値110000は、2つの粒子がX軸に沿って反対方向に移動し、Y及びZ軸に沿った粒子の移動がないことを示す。衝突規則のセットは、各サイトでの粒子間の衝突の挙動を規定する(例えば、110000ベクトルは、001100ベクトルになることができ、X軸に沿って移動する2つの粒子間の衝突は、Y軸に沿って離れて移動する2つの粒子をもたらしたことを示す)。本規則は、ルックアップテーブルに状態ベクトルを入力することによって実施され、これによりビットに対し置換を実施する(例えば、110000を001100に変換する)。次いで、粒子は、隣接するサイトに移動される(例えば、Y軸に沿って移動する2つの粒子は、Y軸に沿って左右の隣接サイトに移動されることになる)。
拡張システムにおいて、各格子サイトの状態ベクトルは、粒子エネルギー及び移動方向の変化を提供するために更に多くのビット(例えば、亜音速流において54ビット)を含み、完全状態ベクトルのサブセットを含む衝突規則が利用される。別の拡張システムにおいて、1つよりも多くの粒子が各格子サイト又はボクセル(これら2つの用語は、本明細書全体で同義的に用いられる)にて各運動量状態で存在することが許容される。例えば、8ビットの実施構成において、0〜255の粒子が特定のボクセルの特定の方向で移動することができる。状態ベクトルは、ビットのセットではなく、整数のセット(例えば、8ビットバイトのセットが0〜255の範囲の整数を提供する)であり、その各々は、所与の状態の粒子数を表す。
別の拡張機能において、格子ボルツマン法(LBM)は、流体のメゾスコピックな表現を使用して、複雑な幾何形状における非定常の3D圧縮性乱流プロセスを従来の数値流体力学(CFD)手法で可能なものよりも深いレベルでシミュレーションを行う。このLBM法の概要を以下に示す。
ボルツマンレベルのメゾスコピック表現
流体系がいわゆる「メゾスコピック」レベルの運動方程式で表すことができることは、統計物理学の分野において周知である。このレベルでは、個々の粒子の詳細な運動を決定する必要はない。その代わりに、流体の特性は、単一の粒子位相空間を用いて定義される粒子分布関数
により表され、ここでxは空間座標、νは粒子速度座標である。質量、密度、流体速度、及び温度などの典型的な流体力学物理量は、粒子分布関数の単純なモーメントである。粒子分布関数の動力学は、以下のボルツマン方程式に従う。


ここで
は、
における外部又は自己無撞着的に生成される体積力を表す。衝突項Cは、種々の速度及び位置にある粒子の相互作用を表す。衝突項Cについての特定形態を規定することなく、上記のボルツマン方程式は、希薄ガスの周知の状況(ボルツマンにより当初構築されたような)にだけでなく、全ての流体システムに適用可能であることを強調しておくことが重要である。
一般的に、Cは、二点相関関数の複雑な多次元積分を含む。分布関数fの閉鎖系を形成するためだけでなく、効率的計算のために最も好都合で物理的に一貫性のある形態の1つは、周知のBGK演算子である。BGK演算子は、衝突のどのような小さな要素であっても、分布関数は、次式で与えられる明確に定義された局所平衡に近づくという物理的根拠に従って構築される。
衝突


による
ここでパラメータτは衝突による平衡までの特性緩和時間を表す。粒子(例えば、原子又は分子)の処理では、緩和時間は通常は一定と見なされる。「ハイブリッド」(流体−運動)表現では、この緩和時間は、歪み速度、乱流運動エネルギー及びその他のような流体力学変数の関数である。従って、乱流は、局所的に決定された特性を有する乱流粒子(「渦」)のガスとして表すことができる。
ボルツマン−BGK方程式の数値解法は、ナビエ・ストークスの方程式の解法よりも優れた幾つかの計算上の利点がある。第一に、方程式内に複雑な非線形項又は高次空間導関数が存在せず、従って、移流不安定性に関する問題がほとんどないことは容易に理解することができる。この記述レベルでは、圧力を扱う必要がないので方程式が局所的であり、これは、アルゴリズムの並列化において大きな利点をもたらす。線形の移流演算子であることの別の望ましい特徴は、二次空間導関数を有する拡散演算子が存在しないことと共に、流体偏微分方程式(「PDE」)の数学的条件ではなく、実際の固体面と粒子が実際にどのように相互作用するかを模擬するようにして非滑り面又は滑り面などの物理的境界条件の実現が容易であることである。直接的な恩恵の1つは、固体面上での界面の移動を扱う問題がなく、これにより、格子ボルツマンベースのシミュレーションソフトウェアが複雑な乱流空気力学を良好にシミュレーションすることが可能になる。加えて、有限粗面などの境界による特定の物理的特性も有効に組み込むことができる。その上、BGK衝突演算子は、純粋に局所的であるが、自己無撞着性の体積力の算術演算は、近接情報だけで得ることができる。そのため、ボルツマン−BGK方程式のコンピュータ演算は、並列処理に効果的に適合させることができる。
格子ボルツマン定式化
連続体ボルツマン方程式を解くことは、位置及び速度の位相空間において積分微分方程式の数値的評価を伴う点で重要な課題となる。位置だけでなく速度の位相空間を離散化できることが観測されたときに大幅な簡素化が行われた結果として、ボルツマン方程式の解法の効率的な数値アルゴリズムがもたらされた。流体力学の物理量は、高々最近傍情報に依存する単純和の項で記述することができる。従来の格子ボルツマン方程式の定式化は、速度
の離散集合上での粒子の発展を規定する格子ガスモデルに基づくものであったが、この方程式は、連続体ボルツマン方程式の離散化として第一原理から体系的に導くことができる。結果として、LBEは、格子ガス手法に関連する周知の問題の影響を受けない。従って、位相空間における連続体の分布関数f(x,v,t)を扱うのではなく、離散速度指数を表記した添字を有する離散分布の有限集合
を辿ることのみ必要とされる。巨視的記述ではないこの運動方程式を扱う主な利点は、システムの位相空間の増加が、問題の局所性により相殺されることである。
対称性の考慮により、速度値の集合は、位置座標空間にわたるときに特定の格子構造を形成するように選択される。このような離散値系の動力学は、形式
を有するLBEに従い、ここで、衝突演算子は通常は上述のBGK形式をとる。平衡分布形式を適切に選ぶことにより、格子ボルツマン方程式が適正な流体力学特性及び熱流体力学特性をもたらすことを理論的に明らかにすることができる。すなわち、
から導かれる流体力学的モーメントは、巨視的極限においてナビエ・ストークスの方程式に従う。これらのモーメントは、次式で定義される。


ここで、ρ、u、及びTはそれぞれ、流体密度、速度、及び温度、Dは、離散速度空間の次元(物理空間次元と等しくない)
である。
他の特徴及び利点は、図面及び請求項を含めて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
LBMモデルの速度成分を示す図である。 LBMモデルの速度成分を示す図である。 物理プロセスシミュレーションシステムが辿る手順のフローチャートである。 マイクロブロックの斜視図である。 図3のシステムが用いる格子構造を示す図である。 図3のシステムが用いる格子構造を示す図である。 可変分解能技術を示す図である。 可変分解能技術を示す図である。 表面のファセットにおり影響を受ける領域を示す図である。 ボクセルから表面への粒子の移動を示す図である。 表面から表面への粒子の移動を示す図である。 表面動力学を実施する手順のフローチャートである。 異なるサイズのボクセル間の界面を示す図である。 可変分解能条件下でファセットとの相互作用をシミュレーションする手順のフローチャートである。 スカラー輸送をシミュレーションする手順のフローチャートである。 シミュレーション温度プロファイルを示す図である。 傾斜チャンネルにわたるシミュレーション温度分布を示す図である。 シミュレーションした温度伝播フロントを示すグラフである。 Ra数に対するヌセルト数を示すグラフである。
A.スカラー量の解法
複雑な流体の流れのシミュレーションを完了した際には、流体の流れについて解くのと同時に温度分布、濃度分布、及び/又は密度などのスカラー量を解くのが有利とすることができる。
本明細書で記載されるシステム及び方法において、スカラー量のモデル化(ベクトル量とは対照的に)は、LBMベースの物理プロセスシミュレーションシステムに基づく流体の流れのモデル化と結合される。シミュレーションすることができる例示的なスカラー量には、温度、濃度、及び密度が挙げられる。
例えば、システムは、システム内の対流温度分布を決定するのに用いることができる。例えば、システム(複数ボクセルにより表される体積から形成される)が熱源を含み、該システム内に空気流が存在する場合には、システムの一部の領域は、熱源への空気流及び近接度に基づいて他の領域よりも高温になる。このような状況をモデル化するために、システム内の温度分布は、各ボクセルが関連の温度を有するスカラー量として表すことができる。
別の実施例において、システムは、システム内の化学物質分布を決定するのに用いることができる。例えば、システム(複数ボクセルにより表される体積から形成される)が、放射能汚染を起こす爆弾又は化学物質もしくは空気又は液体中に懸濁した他の粒子などの汚染源を含み、システム内に空気又は液体の流れが存在する場合には、システムの一部の領域は、汚染源への流れ及び近接性に基づいて他の領域よりも高濃度となる。このような状況をモデル化するために、システム内の化学物質分布は、各ボクセルが関連の濃度を有するスカラー量として表すことができる。
一部の用途において、複数の異なるスカラー量を同時にシミュレーションすることができる。例えば、システムは、システムにおける温度分布及び濃度分布の両方をシミュレーションすることができる。
スカラー量は、異なる方法でモデル化することができる。例えば、スカラー輸送方程式を解くための格子ボルツマン(LB)法を用いて、スカラー輸送を間接的に解くことができる。例えば、本明細書で記載される方法は、以下の2次巨視的スカラー輸送方程式の間接解を提供することができる。

このような構成シミュレーションにおいて、流体の流れの格子ボルツマン関数に加え、分布関数の2次集合が輸送スカラーに導入される。この手法は、体積中の各ボクセルに対する流体の流れ及びスカラー量を表現するために体積中の各ボクセルにベクトルを割り当てて、所望のスカラー変数(例えば、温度、密度、濃度、その他)を表す。この手法は、完全保存則を満たす巨視的スカラー輸送方程式を完全に復元する。この手法は、他の非LBM法と比べて決定したスカラー量の精度を高めると考えられる。加えて、この手法は、複雑な境界形状を考慮に入れる能力を向上させると考えられる。
スカラー量をモデル化するこの手法は、マサチューセッツ州Burlington所在のExa Corporationから入手可能なPowerFLOWシステムのような、格子ボルツマン法に基づいた時間陽的CFD/CAA解法と併せて用いることができる。巨視的連続体方程式の離散化に基づく方法とは違って、LBMは、「メゾスコピック」ボルツマン運動方程式から始めて、巨視的流体動力学を予測する。結果として得られる圧縮性非定常解法は、空力音響学及び純音響問題のような様々な複雑な流れの物理的特性を予測するのに用いることができる。
LBMベースのシミュレーションシステムの一般的な考察が以下で提供され、その後、モデル化手法をサポートするために流体の流れのシミュレーションと共に用いることができるスカラー解法に関する考察を行う。
B.シミュレーション空間モデル
LBMベースの物理プロセスシミュレーションシステムにおいて、流体流れは、離散速度


の集合にて評価される分布関数値
により表すことができる。分布関数の動力学は、方程式(4)によって規定される。ここで、fi(0)は、次式で定義される平衡分布関数として知られている。


ここで


である。この式は、分布関数
の時間発展を記述する周知のボルツマン方程式である。左辺は、いわゆる「流動プロセス」に起因した分布の変化を表している。流動プロセスは、流体ポケットがグリッド位置で始まり、次いで速度ベクトルの1つに沿って次のグリッド位置に移動する場合のものである。この時点で、「衝突要因」、すなわち流体の始動ポケットに対する流体の近傍ポケットの作用が算出される。流体は、別のグリッド位置にのみ移動することができ、そのため、全ての速度の要素全てが同じ速度の倍数であるように、速度ベクトルを適切に選択する必要がある。
一次方程式の右辺は、上述の「衝突演算子」であり、流体のポケット間の衝突に起因した分布関数の変化を表している。ここで使用される衝突演算子の特定の形態は、Bhatnagar, Gross及びKrook(BGK)に起因する。この衝突演算子は、分布関数を二次方程式で与えられる規定値に近づけ、「平衡」形態となる。
このシミュレーションから、質量ρ及び流体速度uなどの従来の流体変数は、式(3)において単純な加算として得られる。ここで、ci及びwiの集合値はLBMモデルを定義する。
LBMモデルは、拡張可能なコンピュータプラットフォーム上で効率的に実装され、時間的に非定常の流れ及び複雑な境界条件において優れた頑健性で実行することができる。
ボルツマン方程式から流体系の運動の巨視的方程式を得る標準的技術は、完全なボルツマン方程式の逐次近似を考慮するチャップマン・エンスコッグ(Chapman−Enskog)法である。
流体系において、密度の微小変動は、音速で移動する。ガス系において、音速は一般に、温度によって決定される。流れにおける圧縮率の作用の重要性は、マッハ数として知られる、特性速度と音速との比によって測定される。
図1を参照すると、第1モデル(2D−1)100は、21の速度を有する2次元モデルである。これら21の速度のうち、1つ(105)は、移動しない粒子を表し、4つの速度の3つのセットは、正規化された速度(r)(110〜113)、正規化された速度の2倍(2r)(120〜123)、又は正規化された速度の3倍(3r)(130〜133)で、格子のx軸又はy軸の何れかに沿って正方向又は負方向の何れかの方向に移動する粒子を表し、4つの速度の2つのセットは、正規化された速度(r)(140〜143)又は正規化された速度の2倍(2r)で格子のx軸又はy軸の両方に対して移動する粒子を表す。
また、図2に示すように、第2モデル(3D−1)200は、39の速度を含む3次元モデルであり、この場合、各速度は、図2の矢印の1つによって表される。これら39の速度のうち、1つは、移動しない粒子を表し。6つの速度についての3つのセットは、正規化された速度(r)、正規化された速度の2倍(2r)、又は正規化された速度の3倍(3r)の何れかの速度で格子のx軸、y軸、又はz軸に沿って正方向又は負方向の何れかの方向に移動する粒子を表し、8つの速度は、正規化された速度(r)で格子のx軸、y軸、又はz軸の3つ全てに対して移動する粒子を表し、12の速度は、正規化された速度の2倍(2r)で格子のx軸、y軸、又はz軸のうちの2つに対して移動する粒子を表す。
101の速度を含む3D−2モデル、37の速度を含む2D−2モデルのような、より複雑なモデルを用いることもできる。
101の速度からなる3次元モデル3D−2において、1つは、移動しない粒子を表し(グループ1)、6つの速度についての3つのセットは、正規化された速度(r)、正規化された速度の2倍(2r)、又は正規化された速度の3倍(3r)の何れかで格子のx軸、y軸、又はz軸に沿って正方向又は負方向の何れかの方向に移動する粒子を表し(グループ2、グループ4、グループ7)、8つの速度についての3つのセットは、正規化された速度(r)、正規化された速度の2倍(2r)、又は正規化された速度の3倍(3r)で格子のx軸、y軸、z軸の3つ全てに対して移動する粒子を表し(グループ3、グループ8、グループ10)、12の速度は、正規化された速度の2倍(2r)で格子のx軸、y軸、又はz軸のうちの2つに対して移動する粒子を表し(グループ6)、24の速度は、正規化された速度(r)及び正規化された速度の2倍(2r)で格子のx軸、y軸、又はz軸のうちの2つに対して移動し、残りの軸に対しては移動しない粒子を表し(グループ5)、24の速度は、格子のx軸、y軸、又はz軸の2つに対して正規化された速度(r)で移動し、残りの軸に対しては正規化された速度の3倍(3r)で移動する粒子を表す(グループ9)。
37の速度の2次元モデル2D−2において、1つは、移動しない粒子を表し(グループ1)、4つの速度についての3つのセットは、正規化された速度(r)、正規化された速度の2倍(2r)、又は正規化された速度の3倍(3r)で格子のx軸又はy軸の何れかに沿って正方向又は負方向の何れかの方向に移動する粒子を表し(グループ2、グループ4、グループ7)、4つの速度についての2つのセットは、正規化された速度(r)又は正規化された速度の2倍(2r)で格子のx軸又はy軸の両方に対して移動する粒子を表し、8つの速度は、格子のx軸及びy軸のうちの1つに対して正規化された速度(r)で移動し、他の軸に対しては正規化された速度の2倍(2r)で移動する粒子を表し、8つの速度は、格子のx軸及びy軸のうちの1つに対して正規化された速度(r)で移動し、他の軸に対しては正規化された速度の3倍(3r)で移動する粒子を表す。
上述のLBMモデルは、2次元及び3次元の両方における流れの数値シミュレーションのための効率的で頑健な速度動力学的モデルの特定のクラスを提供する。この種類のモデルは、その速度に関連する離散速度及び重みの特定のセットを含む。速度は、速度空間におけるデカルト座標の格子ポイントと一致し、特に格子ボルツマンモデルとして既知である正確で効率的な離散速度モデルの実装を可能にする。このようなモデルを用いることで、高い忠実度で流体をシミュレーションすることができる。
図3を参照すると、物理プロセスシミュレーションシステムが、流体流量のような物理プロセスをシミュレーション手順300に従って動作する。シミュレーションの前に、シミュレーション空間がボクセルの集合としてモデル化される(ステップ302)。通常、シミュレーション空間は、コンピュータ支援設計(CAD)プログラムを用いて生成される。例えば、CADプログラムを用いて、風洞内に位置付けられたマイクロデバイスを描画することができる。その後、CADプログラムによって生成されたデータは、適切な分解能を有する格子構造を加えて、シミュレーション空間内でオブジェクト及び表面を考慮するよう処理される。
格子の分解能は、シミュレーション中のシステムのレイノルズ数に基づいて選択することができる。レイノルズ数は、流れの粘性(ν)、流れにおけるオブジェクトの特性長(L)、及び流れの特性速度(u)に関連し、次式となる。
Re=uL/ν 式(5)
オブジェクトの特性長は、オブジェクトのラージスケールの特徴要素を表す。例えば、マイクロデバイスの周りの流れをシミュレーションしている場合、マイクロデバイスの高さは、特性長と見なすことができる。オブジェクトの小さな領域の周りの流れが対象である場合、シミュレーションの分解能を増大させることができ、或いは、増大した分解能の区域を対象領域の周りで利用することができる。ボクセルの次元は、格子の分解能が増大するにつれて減少する。
状態空間は、fi(x,t)として表され、ここでfiは、時間tでの3次元ベクトルxによって示された格子サイトでの状態iにおける単位体積当たりの要素又は粒子の数(すなわち、状態iでの粒子密度)を表している。既知の時間増分において、粒子の数は、単にfi(x)に示される。格子サイトの全ての状態の組合せは、f(x)として示される。
状態の数は、各エネルギーレベル内の可能性のある速度ベクトルの数によって決定される。速度ベクトルは、3次元x、y、及びz空間における整数の線形速度からなる。状態の数は、複数種のシミュレーションに対して増大する。
各状態iは、特定のエネルギーレベル(すなわち、エネルギーレベルが0、1又は2)で異なる速度ベクトルを表す。各状態の速度ciは、以下のように3次元の各々の「速度」で表される。
i =(ci,x, ci,y, ci,z) 式(6)
エネルギーレベルが0である状態は、何れの次元にも移動していない停止した粒子を表し、すなわち、Cstopped=(0,0,0)である。エネルギーレベルが1の状態は、3つの次元のうちの1つの速度が±1、他の2つの次元の速度が0である粒子を表す。エネルギーレベルが2である状態は、3つの次元全てにおける速度が±1であるか、又は3つの次元のうちの1つ速度が±2で他の2つの次元の速度が0である、粒子を表す。
3つのエネルギーレベルの可能性のある順列の全てを生成すると、合計で可能性のある39の状態が得られる(エネルギー0の状態が1つ、エネルギー1の状態が6つ、エネルギー3の状態が8つ、エネルギー4の状態が6つ、エネルギー8の状態が12、エネルギー9の状態が6つ)。
各ボクセル(すなわち、各格子サイト)は、状態ベクトルf(x)によって表される。状態ベクトルは、ボクセルのステータスを完全に定義し、39のエントリーを含む。39のエントリーは、エネルギー0の状態が1つ、エネルギー1の状態が6つ、エネルギー3の状態が8つ、エネルギー4の状態が6つ、エネルギー8の状態が12、エネルギー9の状態が6つに相当する。この速度集合を用いることによって、システムは、達成される平衡状態ベクトルについてマクスウェルボルツマン統計を生成することができる。
処理効率に関して、ボクセルは、マイクロブロックと呼ばれる2×2×2体積にグループ化される。マイクロブロックは、ボクセルの並列処理を可能にし、更にデータ構造に関連するオーバーヘッドを最小限にするように編成される。マイクロブロックにおけるボクセルの簡易表記は、ni(n)として定義され、ここで、nはマイクロブロック内の格子サイトの相対位置を表し、n∈{0、1、2・・・7}となる。図4にマイクロブロックを示す。
図5A及び図5Bを参照すると、表面S(図A)は、ファセットFαの集合としてシミュレーション空間に示される(図5B)。
S={Fα} 式(7)
ここで、αは特定のファセットを示すインデックスである。ファセットは、ボクセル境界に限定されないが、通常は、ファセットが比較的少数のボクセルに影響を及ぼすように、ファセットに隣接しているボクセルのサイズとほぼ同じか、又はそれよりも僅かに小さいサイズにされる。ファセットには、表面動力学を実施する目的で特性が割り当てられる。具体的には、各ファセットFαは、単位法線(nα)、表面積(Aα)、中心位置(xα)、及びファセットの表面動力学的特性を記述するファセット分布関数(fi(α))を有する。
図6を参照すると、処理効率を改善させるために、分解能の異なるレベルをシミュレーション空間の異なる領域で用いることができる。通常、オブジェクト655の周りの領域650が最も重要であり、従って、最も高い分解能を用いてシミュレーションされる。オブジェクトからの距離に伴って粘性の作用が減少するので、低いレベルの分解能(すなわち、拡大したボクセル体積)は、オブジェクト655から広がった距離で離間している領域660、665をシミュレーションするのに用いられる。同様に、図7に示すように、低いレベルの分解能は、オブジェクト775のあまり重要ではない特徴付近の領域770をシミュレートするのに用いることができ、一方、最高レベルの分解能は、オブジェクト775の最も重要な特徴付近の領域780をシミュレーションするのに用いられる。中心から離れた領域785は、最も低いレベルの分解能で最も大きなボクセルを用いてシミュレーションされる。
C.ファセットによって影響を受けるボクセルの識別
図3を参照すると、シミュレーション空間がモデル化されると(ステップ302)、1つ又はそれよりも多くのファセットによって影響を受けるボクセルが識別される(ステップ304)。ボクセルは、様々な形でファセットにより影響を受ける可能性がある。まず、1つ又はそれよりも多くのファセットが交差しているボクセルは、交差していないボクセルと比較して体積が小さいという点で影響を受ける。これは、ファセット及びそのファセットによって表される表面下の物質がボクセルの一部分を占有することに起因して生じる。部分因子Pf(x)は、ファセットの影響を受けないボクセルの部分(すなわち、流量がシミュレーションされる流体又は他の物質が占有される部分)を示す。交差していないボクセルにおいて、Pf(x)は1に等しい。
ファセットに粒子を移動させるか、又はファセットから粒子を受けとることによって1つ又はそれよりも多くのファセットと相互作用するボクセルはまた、ファセットから影響を受けるボクセルとして識別される。ファセットが交差している全てのボクセルは、ファセットから粒子を受けとる少なくとも1つの状態及び粒子をファセットに移動させる少なくとも1つの状態を含む。ほとんどの場合、追加のボクセルはこのような状態を含むことになる。
図8を参照すると、非ゼロの速度ベクトルciを有する各状態iに関して、ファセットFαは、平行六面体Gによって定義される領域から粒子を受けとり、又はその領域へ粒子を移動させ、当該平行六面体Gは、速度ベクトルciとファセットの単位法線nαとのベクトルドット積の大きさによって定義される高さ(|cii|)と、ファセットの表面積Aαによって定義される底辺とを有し、その結果、平行六面体Gの体積Vは、次式に等しい。
=|ciα|Aα 式(8)
ファセットFαは、状態の速度ベクトルがファセットに向けられたとき(|cii|<0)に体積Vから粒子を受けとり、状態の速度ベクトルがファセットから離れる方向に向けられたとき(|cii|>0)に粒子を領域に移動させる。以下で考察するように、この表現は、内側の角のような非凸形の特徴の近傍で生じる可能性がある条件である、他のファセットが平行六面体Gの一部を占有する場合には修正しなければならない。
ファセットFαの平行六面体Giaは、複数のボクセルの一部又は全てと重なる可能性がある。ボクセル又はその一部の数は、ボクセルのサイズに対するファセットのサイズ、状態のエネルギー、及び格子構造に対するファセットの配向に依存する。影響を受けるボクセルの数は、ファセットのサイズに伴って増加する。従って、上述のように、ファセットのサイズは通常、ファセットの近傍に配置されているボクセルのサイズとほぼ同じか又はそれよりも小さくなるように選択される。
平行六面体Gによって重なったボクセルN(x)の部分は、V(x)として定義される。この項を用いて、ボクセルN(x)とファセットFαとの間を移動する状態iの粒子の流束Γ(x)は、ボクセルとの重なり領域の体積(V(x))とボクセルにおける状態iの粒子の密度(Ni(x))とを乗算したものに等しくなる。
Γ(x)=Ni(x)V(x) 式(9)
平行六面体Gが1つ又はそれよりも多くのファセットと交差している場合には、以下の条件は真である。
=ΣVα(x)+ΣV(β) 式(10)
ここで、第1の総和は、Gによって重なった全てのボクセルに相当し、第2項は、Gと交差する全てのファセットに相当する。平行六面体Gが他のファセットと交差しない場合は、この式は、次式に約される。
=ΣV(x) 式(11)
D.シミュレーションの実行
1つ又はそれよりも多くのファセットによって影響を受けるボクセルが、識別されると(ステップ304)、タイマーが初期化されてシミュレーションを開始する(ステップ306)。シミュレーションの各時間増分の間、ボクセルからボクセルへの粒子の移動は、粒子と表面のファセットとの相互作用を考慮した移流段階によりシミュレーションされる(ステップ308〜316)。次に、衝突段階(ステップ318)は、各ボクセル内の粒子の相互作用をシミュレーションする。その後、タイマーが増分される(ステップ320)。増分したタイマーが、シミュレーションの完了を示していない場合(ステップ322)には、移流段階及び衝突段階(ステップ308〜320)を繰り返す。増分タイマーが、シミュレーションの完了を示している場合(ステップ322)には、シミュレーションの結果が、記憶及び/又は表示される(ステップ324)。
1.表面についての境界条件
表面との相互作用を正確にシミュレーションするために、各ファセットは、4つの境界条件を満たさなければならない。第1に、ファセットが受けとる粒子の合計質量は、そのファセットによって移動された粒子の合計質量と等しくなければならない(すなわち、ファセットへの正味質量流束は0に等しくなければならない)。第2に、ファセットが受けとる粒子の合計エネルギーは、そのファセットによって移動された粒子の合計エネルギーと等しくなければならない(すなわち、ファセットへの正味エネルギー流束は0に等しくなければならない)。これら2つの条件は、各エネルギーレベル(すなわち、エネルギーレベルが1及び2)での正味質量流束が0に等しいことを要求することによって満たすことが可能となる。
他の2つの境界条件は、ファセットと相互作用する粒子の正味運動量に関連する。本明細書では滑り面と呼ばれる、表面摩擦の無い表面に関して、接線方向の正味運動量流束は0と等しくなければならず、法線方向の正味運動量流束は、ファセットでの局所圧力に等しくなければならない。従って、ファセットの法線nαに垂直である受けとった合計の運動量と移動された合計の運動量の成分(すなわち、接線成分)は等しくなければならず、他方、ファセットの法線nαと平行である、受けとった合計の運動量と移動された合計の運動量の成分(すなわち、法線成分)間の差分は、ファセットでの局所圧力に等しくなければならない。非滑り面について、表面の摩擦は、摩擦量に関連する因子により、ファセットが受けとった粒子の合計の接線運動量に比例して、ファセットにより移動された粒子の合計の接線運動量を減少させる。
2.ボクセルからファセットへの収集
粒子と表面との間の相互作用をシミュレーションする第1ステップとして、粒子がボクセルから集められ、ファセットに提供される(ステップ308)。上述のように、ボクセルN(x)とファセットFαとの間の状態iの粒子の流束は、次式で示される。
Γ(x)=Ni(x)V(x) 式(12)
このことから、ファセットFαに向けられる各状態i(ciα<0)に関して、ボクセルがファセットFαに提供する粒子の数は、次式で示される。
(x)が非0値を有するボクセルのみを合計しなければならない。上述のように、ファセットのサイズは、V(x)が小さな数のボクセルのみに対して非ゼロ値を有するように選択される。V(x)とPf(x)は、非整数値とすることができるので、Γα(x)は、実数として記憶及び処理される。
3.ファセットからファセットへの移動
次に、粒子がファセット間で移動する(ステップ310)。ファセットFαの流入状態(ciα<0)における平行六面体Gが、別のファセットFβと交差する場合、ファセットFαが受けとった状態iの粒子の一部は、ファセットFβから得られることになる。詳細には、ファセットFαは、前回の時間増分の間、ファセットFβが生成する状態iの粒子の一部を受けとることになる。この関係は図10に示され、ここでは、ファセットFβと交差する平行六面体Gの一部1000は、ファセットFαと交差する平行六面体Gの一部1005と等しい。上述のように、交差部分はV(β)として示される。この項を用いると、ファセットFβとファセットFαとの間の状態iの粒子の流束を次式で記述することができる。
Γ(β,t−1)=Γi(β)V(β)/V 式(14)
ここで、Γi(β,t−1)は、前回の時間増分の間にファセットFβによって生成された状態iの粒子の基準量である。このことから、ファセットFαに向けられる各状態i(ciα<0)に関して、ファセットFαに他のファセットが提供する粒子の数は、次式で表される。


ファセットへの状態iの粒子の全流束は、次式となる。

ファセット分布関数とも呼ばれる、ファセットについての状態ベクトルN(α)は、ボクセル状態ベクトルのM個のエントリーに対応するM個のエントリーを有する。Mは、離散格子速度の数である。ファセット分布関数N(α)の入力状態は、粒子の流束を体積Vで除算した値に等しくなるように設定される。
iα<0において、
i(α)=ΓiIN(α)/V 式(17)
ファセット分布関数は、ファセットから出力流束を生成するためのシミュレーションツールであり、必ずしも実際の粒子を表すとは限らない。精密な出力流束を生成するために、値は、分布関数の他の状態に割り当てられる。外部の状態は、内部の状態を取り込むために上述の技術を用いて取り込まれる。
iα≧0である場合、
i(α)=ΓiOTHER(α)/V 式(18)
ここでΓiOTHER(α)は、ΓiIN(α)を生成するため上述の技術を用いて決定されるが、流入状態(ciα<0)以外の状態(ciα≧0)にこの技術を適用する。代替の手法において、ΓiOTHER(α)は、前回の時間ステップからΓiOUT(α)の値を用いて次式のように生成することができる。
ΓiOTHER(α,t)=ΓiOUT(α,t−1) 式(19)
平行状態(ciα=0)に関して、V及びV(x)は共に0である。Ni(α)についての式において、V(x)は分数の分子(ΓiOTHER(α)ついての式により)に表され、Vは、分数の分母(Ni(α)についての式により)に表される。従って、平行状態についてのNi(α)は、V及びV(x)がゼロに近づくにつれてNi(α)の極限として決定される。
速度ゼロを有する状態の値(すなわち、静止状態、及び状態が(0,0,0,2)と(0,0,0,−2))は、温度及び圧力の初期条件に基づいてシミュレーション開始時に初期化される。次いで、これら値は時間と共に調整される。
4.ファセット表面動力学の実行
次に、表面動力学が、上記で考察した4つの境界条件を満たすよう各ファセットについて実行される(ステップ312)。ファセットについての表面動力学を実行する手順が、図11に示されている。最初に、ファセットFαに合計の法線方向の運動量は、そのファセットにおける粒子の合計の運動量P(α)を決定することによって次式のように決定される(ステップ1105)。
全てのiに関して、

このことから、法線方向の運動量Pn(α)は、次式で決定される。
n(α)=nα・P(α) 式(21)
この法線方向の運動量は、プッシュ/プル技術を用いて排除され(ステップ1110)、Nn-(α)を生成する。この技術に従って、粒子は、法線運動量のみに影響を及ぼすようにして状態間を移動する。プッシュ/プル技術は、米国特許第5,594,671号に記載され、引用により本明細書に組み込まれる。
その後、Nn-(α)の粒子が衝突して、ボルツマン分布Nn-β(α)をもたらす(ステップ1115)。流体動力学を実行することに関して以下で説明するように、ボルツマン分布は、衝突規則のセットをNn-(α)に適用することによって達成することができる。
ファセットFαに対する流出流束分布が、流入流束分布及びボルツマン分布に基づいて決定される(ステップ1120)。最初に、流入流束分布Γi(α)とボルツマン分布との間の差分が、次式で決定される。
ΔΓi(α)=ΓiIN(α)−Nn-βi(α)V 式(22)
この差分を用いると、流出流束分布は、次式となる。
αi>0である場合、
ΓiOUT(α)=Nn-βi(α)V−.Δ.Γi*(α) 式(23)
ここでi*は、状態iとは反対の方向を有する状態である。例えば、状態iが(1,1,0,0)である場合、状態i*は、(−1,−1,0,0)となる。表面摩擦及び他の要因を考慮すると、流出流束分布は、次式のように更に改良することができる。
αi>0である場合、

ここで、Cfは表面摩擦の関数であり、tはnαに垂直な第1接線ベクトルであり、tはnα及びTの両方に垂直な第2接線ベクトルであり、ΔNj,1及びΔNj,2は、状態iのエネルギー(j)及び示された接線ベクトルに対応する分布関数である。この分布関数は、次式に従って決定される。

ここで、jは、エネルギーレベル1の状態において1に等しく、エネルギーレベル2の状態において2に等しい。
ΓiOUT(α)についての方程式の各項の機能は、以下の通りである。第1項及び第2項は、衝突がボルツマン分布を生成するのに有効である範囲まで、法線方向の運動量流束の境界条件を実現するが、接線運動量の流束異常も含む。第3項及び第4項は、不十分な衝突に起因して離散性作用又は非ボルツマン構造により生じる可能性がある、この異常を補正する。最後に、第3項は、表面上の接線運動量流束における所望の変化を実施するよう指定量の表面摩擦を加える。摩擦係数Cfの生成について以下に説明する。ベクトル操作を含む全ての項は、シミュレーションを開始する前に算出可能な幾何学的因子である点に留意されたい。
このことから、接線速度は次式で決定される。
i(α)=(P(α)−Pn(α)nα)/ρ 式(26)
ここで、ρはファセット分布の密度である。

上述のように、流入流束分布とボルツマン分布との間の差分は次式で決定される。
ΔΓi(α)=ΓiIN(α)−Nn-βi(α)V 式(28)
流出流束分布は次式のようになる。
ΓiOUT(α)=Nn-βi(α)V−ΔΓi*(α)+Cf(nαi)[Nn-βi*(α)−Nn-βi(α)]V 式(29)
これは、従来技術によって決定される流出流束分布の第1の2つの線に相当するが、異常な接線流束の補正を必要としない。
何れの手法を用いても、結果として得られる流束分布は、運動量流束の条件の全てを満たし、すなわち、次式となる。

ここで、pαは、ファセットFαでの平衡圧力であり、粒子をファセットに提供するボクセルの平均密度及び温度値に基づき、uαは、ファセットでの平均速度である。
質量及びエネルギー境界条件を確実に満たすために、入力エネルギーと出力エネルギーとの間の差分は、各エネルギーレベルjについて以下のように測定される。

ここでインデックスjは、状態iのエネルギーを意味する。次いで、このエネルギーの差分を用いて、差分項を生成する。
cjinα>0である場合、

この差分項を用いて流出流束を修正すると、流束は以下のようになる。
cjinα>0である場合、
ΓαjiOUTf=ΓαjiOUT+δΓαji 式(33)
この演算は、接線運動量流束を不変にしたまま、質量及びエネルギー流束を補正する。流量がファセットの近傍でほぼ均一であり、平衡化状態に近い場合には、この調整は僅かなものとなる。調整後、結果として生じる法線の運動量流束は、近傍平均特性と近傍の非均一又は非平衡特性に起因した補正とに基づいて、平衡圧力である値に僅かに変更される。
5.ボクセルからボクセルへの移動
図3を再度参照すると、粒子は、3次元の直線的格子に沿ってボクセル間を移動する(ステップ314)。このボクセル間の移動は、ファセットと相互作用しないボクセル(すなわち、表面近くに位置していないボクセル)上で実施される唯一の移動演算である。典型的なシミュレーションにおいては、表面と相互作用するほど十分に近くに位置していないボクセルが大多数のボクセルを構成している。
個別の状態の各々は、3次元:x、y、及びzの各々において整数倍の速度で格子に沿って移動する粒子を表す。整数倍の速度は、0、±1、及び±2を含む。速度の符号は、粒子が対応する軸に沿って移動する方向を示している。
表面と相互作用しないボクセルに関して、移動演算は、コンピュータで計算する上では極めて単純である。状態の母集団全体は、時間増分毎の間に現在のボクセルから目的のボクセルへ移動する。同時に、目的のボクセルの粒子は、当該ボクセルからその粒子自体の目的のボクセルへ移動する。例えば、+1x及び+1yの方向(1,0,0)で移動しているエネルギーレベル1の粒子は、その現在のボクセルからx方向で+1上で他の方向で0であるボクセルに移動する。粒子は、最終的には、移動(1,0,0)の前に有していた同じ状態の目的のボクセルで終わる。ボクセル内での相互作用は、他の粒子及び表面との局所的な相互作用に基づいて、当該状態に粒子数を変える可能性が高い。そうでない場合、粒子は、同一の速度及び方向で格子に沿って移動し続けることになる。
移動演算は、1つ又はそれよりも多くの表面と相互作用するボクセルについては僅かに複雑になる。これは、1つ又はそれよりも多くの部分粒子がファセットに移動される結果となる可能性がある。このような部分粒子のファセットへの移動は、ボクセルに残っている部分粒子を生じさせる。これら部分粒子は、ファセットによって占められるボクセルに移動される。例えば、図9を参照すると、ボクセル905についての状態iの粒子の一部分900が、ファセット910に移動すると(ステップ308)、残りの部分915は、ファセット910が位置するボクセル920に移動され、該ボクセル920から状態iの粒子がファセット910に配向される。従って、状態母集団が25に等しく、V(x)が0.25に等しい(すなわち、ボクセルの4分の1が平行六面体Gと交差する)場合には、6.25の粒子がファセットFαへ移動し、18.75の粒子がファセットFαによって占有されるボクセルも移動されることになる。複数のファセットが単一のボクセルと交差するので、1つ又はそれよりも多くのファセットによって占有されるボクセルN(f)へ移動される状態iの粒子の数は、次式で示される。

ここで、N(x)はソースボクセルである。
6.ファセットからボクセルへの散乱
次に、各ファセットから外に向かう粒子は、ボクセルへ散乱する(ステップ316)。基本的に、このステップは、ボクセルからファセットに粒子が移動する収集ステップの逆である。ファセットFαからボクセルN(x)に移動する状態iの粒子の数は、次式で表される。

ここで、Pf(x)は、部分ボクセルの体積減少を表す。このことから、各状態iに関して、ファセットからボクセルN(x)に向けられている粒子の総数は、次式となる。

ファセットからボクセルに粒子を散乱させた後、これらと周囲のボクセルから移流を生じた粒子とを結合し、その結果を整数化すると、特定のボクセルにおける特定の方向は、アンダーフロー(負となる)か、オーバーフロー(8ビット実装の場合は255を超える)の何れかとなる可能性がある。これは、質量、運動量、及びエネルギーが許容範囲の値に一致するよう切り捨てられた後、これら物理量の増加又は減少の何れかをもたらす結果となる。このような現象の発生を防ぐために、境界外の質量、運動量、エネルギーは、問題を生じている状態の切り捨ての前に集計される。状態が属しているエネルギーに関して、増加(アンダーフローに起因して)又は減少(オーバーフローに起因して)した値に等しい質量の量は、同じエネルギーを有し且つオーバーフロー又はアンダーフローの影響を受けない無作為に(又は順次的に)選択された状態に加えられる。この質量及びエネルギーの付加に起因する追加された運動量は、集計され、切り捨てによる運動量に追加される。同じエネルギー状態に単に質量を追加することにより、質量カウンターがゼロに達したときに質量及びエネルギーの両方が補正される。最後に、運動量は、運動量アキュームレータがゼロに戻るまで、プッシュ/プル技術を用いて補正される。
7.流体力学の実行
最後に、流体動力学が実行される(ステップ318)。このステップは、マイクロ動力学又はイントラボクセルの演算と呼ぶことができる。同様に、移流手法は、インターボクセル演算と呼ぶことができる。以下で説明するマイクロ動力学演算は、ファセットにて粒子を衝突させて、ボルツマン分布を発生させるのにも用いることができる。
格子ボルツマン方程式モデルにおいて、流体動力学は、BGK衝突モデルとして既知である特定の衝突演算子によって確保される。この衝突モデルは、実際の流体系における分布の動力学を模擬する。この衝突プロセスは、式1及び式2の右辺によって明確に記述することができる。移流ステップ後、流体系の保存された物理量、特に密度、運動量、及びエネルギーは、式3を用いて分布関数から得られる。これらの物理量から、式(2)の
で示される平衡分布関数は、式(4)により十分に定められる。表1に記載の速度ベクトル集合ciと重量の選択肢の両方は、方程式2と共に、巨視的挙動が正確な流体力学方程式に従うことを保証する。
D.可変分解能
図12を参照すると、可変分解能(図6及び図7に例示し、上述したような)は、異なるサイズのボクセル(以下では、粗いボクセル1200と微細ボクセル1205と呼ぶ)を用いる。(以下の考察では、2つの異なるサイズを有するボクセルを参照し、記載される技術は、追加の分解能レベルを提供するよう3又はそれ以上の異なるサイズのボクセルに適用できることを理解されたい。)粗いボクセルと微細ボクセルとの界面は、可変分解能(VR)界面1210と呼ばれる。
可変分解能が、表面又はその近傍で利用される場合、ファセットは、VR界面の両側でボクセルと相互作用することができる。これらのファセットは、VR界面ファセット1215(FαIC)又はVR微細ファセット1220(FαIF)として分類される。VR界面1215は、VR界面の粗い側に位置し、微細ボクセルに延びる粗い平行六面体1225を有するファセットである。(粗い平行六面体は、ciが粗いボクセルの寸法に応じた大きさにされたものであり、微細平行六面体は、ciが微細ボクセルの寸法に応じた大きさにされたものである。)VR微細ファセット1220は、VR界面の微細側に位置し、粗いボクセルにまで延びる微細平行六面体1230を有するファセットである。界面ファセットに関連する処理はまた、粗いファセット1235(FαC)及び微細ファセット1240(FαF)との相互作用を含むことができる。
VRファセットの両方のタイプに関して、表面動力学は、微細スケールで実行され、上述のように演算を行う。しかしながら、粒子がVRファセットとの間で移流する方法に関しては、VRファセットは他のファセットとは異なる。
VRファセットとの相互作用は、図13に示した可変分解能手順1300を用いて処理される。この手順のほとんどのステップは、非VRファセットとの相互作用について上述した同等のステップを用いて実行される。手順1300は、2つの位相を含む粗い時間ステップ(すなわち、粗いボクセルに対応する時間間隔)の間に実行され、該2つの位相は各々、微細な時間ステップに対応する。ファセットの表面動力学は、各微細時間ステップの間に実行される。このため、VR界面ファセットFαICは、完全に同じサイズ及び向きにされた2つの微細ファセットと見なされ、それぞれ、黒ファセットFαICb及び赤ファセットFαICrと呼ばれる。黒ファセットFαICbは、粗い時間ステップ内の第1の微細時間ステップと関連しており、他方、赤ファセットFαICrは、粗い時間ステップ内の第2の微細時間ステップと関連している。
最初に、粒子は、第1の表面間移流段階によりファセット間を移動(移流)する(ステップ1302)。粒子は、重み付け係数V-αβで黒ファセットFαICbから粗いファセットFβCへ移動され、V-αβは、ファセットFαから延びて且つファセットFβの後方にある微細の平行六面体(図12の1245)のブロック化されていない部分を差し引いた、ファセットFαから延びて且つファセットFβの後方にある粗い平行六面体(図12の1225)ブロック化されていない部分の体積に相当する。微細ボクセルについてのciの大きさは、粗いボクセルについてのciの大きさの2分の1である。上述のように、ファセットFαについての平行六面体の体積は、次式で定義される。
=|ciα|Aα 式(37)
従って、ファセットの表面積Aαは、粗い平行六面体と微細の平行六面体との間で変化しないので、また、単位法線nαは常に大きさが1であるので、ファセットに対応する微細の平行六面体の体積は、そのファセットについての対応する粗い平行六面体の体積の2分の1である。
粒子は、重み付け係数Vαβで粗いファセットFαCから黒ファセットFβICbへ移動され、該Vαβは、ファセットFαから延びて且つファセットFβの後方にある微細の平行六面体のブロック化されていない部分の体積に相当する。
粒子は、重み付け係数Vαβで赤ファセットFαICrから粗いファセットFβCへ移動され、更に、重み付け係数V-αβで粗いファセットFαCから赤ファセットFβICrへ移動される。
粒子は、Vαβの重み付け係数で赤ファセットFαICrから黒ファセットFβICbへ移動される。この段階において、黒から赤への移流は発生しない。更に、黒ファセット及び赤ファセットは、連続した時間ステップを表すので、黒から黒への移流(又は赤から赤への移流)が発生することはない。同様の理由から、この段階における粒子は、重み付け係数Vαβで赤ファセットFαICrから微細ファセットFβIF又はFβFへ移動され、更に、同じ重み付け係数で微細ファセットFαIF又はFαFから黒ファセットFαICbへ移動される。
最後に、粒子は、同じ重み付け係数で微細ファセットFαIF又はFαFから他の微細ファセットFβIF又はFβFへ移動され、更に、重み付け係数VCαβで粗いファセットFαCから他の粗いファセットFCへ移動され、VCαβは、ファセットFαから延びて且つファセットFβの後方にある粗い平行六面体のブロック化されていない部分の体積に相当する。
粒子が表面間を移流した後、粒子は、第1の収集段階(ステップ1304〜1310)においてボクセルから集められる。粒子は、微細ファセットFαFにおいて微細平行六面体を用いて微細ボクセルから集められ(ステップ1304)、また、粗いファセットFαCにおいて、粗い平行六面体を用いて粗いボクセルから集められる(ステップ1306)。次に、粒子は、黒ファセットFαIRbにおいて、及び微細VRファセットFαIFにおいて、微細の平行六面体を用いて粗いボクセル及び微細ボクセルの両方から集められる(ステップ1308)。最後に、粒子は、赤ファセットFαIRrにおいて、粗い平行六面体と微細の平行六面体との間の差分を用いて粗いボクセルから集められる(ステップ1310)。
次に、微細ボクセル又はVRファセットと相互作用する粗いボクセルは、微細ボクセルの集合に展開される(ステップ1312)。単一の粗い時間ステップ内で粒子を微細ボクセルに送ろうとする粗いボクセルの状態が展開される。例えば、ファセットと交差しない粗いボクセルの適切な状態は、図4のマイクロブロックのように配向された8つの微細ボクセルに展開される。1つ又はそれよりも多くのファセットと交差する粗いボクセルの適切な状態は、完全微細ボクセル及び/又はどのようなファセットとも交差していない粗いボクセルの一部に相当する部分微細ボクセルの集合に展開される。その展開から生じた粗いボクセルと微細ボクセルについての粒子密度Ni(x)は等しいが、微細ボクセルは、粗いボクセルの部分因子及び他の微細ボクセルの部分因子とは異なる部分因子Pfを有することができる。
その後、表面動力学は、微細ファセットFαIF及びFαFについて実行され(ステップ1314)、更に黒ファセットFαICbについて実行される(ステップ1316)。動力学は、図11に示す上記で考察した手順を用いて実行される。
次に、粒子は、実際の微細ボクセルと、粗いボクセルの展開により生じた微細ボクセルとを含む、微細ボクセル間で移動される(ステップ1318)。粒子の移動が完了すると、粒子は、微細ファセットFαIF及びFαFから微細ボクセルへ散乱される(ステップ1320)。
粒子はまた、黒ファセットFαICbから微細ボクセル(粗いボクセルを展開することにより生じる微細ボクセルを含む)へ散乱される(ステップ1322)。表面が存在しない時点でボクセルが粒子を受けとった場合、粒子は微細ボクセルへ散乱される。詳細には、ボクセルが実際の微細ボクセル(粗いボクセルの展開により生じた微細ボクセルではなく)であるとき、又はボクセルN(x)を超える1速度単位であるボクセルN(x+ci)が実際の微細ボクセルであるとき、或いは、ボクセルN(x)を超える1速度単位であるボクセルN(x+ci)が粗いボクセルの展開により生じた微細ボクセルであるときに、粒子はボクセルN(x)へ散乱される。
最後に、第1の微細時間ステップは、微細ボクセル上で流体動力学を実行することによって完了する(ステップ1324)。流体力学が実行されるボクセルは、粗いボクセルを展開させたことにより生じた微細ボクセルを含まない(ステップ1312)。
手順1300は、第2の微細時間ステップの間、同様のステップを実行する。最初に、粒子は、第2の表面間移流段階において表面間を移動される(ステップ1326)。粒子は、黒ファセットから赤ファセットへ、黒ファセットから微細ファセットへ、微細ファセットから赤ファセットへ、及び微細ファセットから微細ファセットへ移流される。
粒子が表面間を移流した後、粒子は、第2の収集段階(ステップ1328〜1330)においてボクセルから集められる。粒子は、赤ファセットFαIRrについて微細の平行六面体を用いて微細ボクセルから集められる(ステップ1328)。粒子はまた、微細ファセットFαF及びFαIFについて、微細の平行六面体を用いて微細ボクセルから集められる(ステップ1330)。
その後、表面動力学は、上述のように微細ファセットFαIF及びFαFについて実行され(ステップ1332)、粗いファセットFαCについて実行され(ステップ1334)、更に赤ファセットFαICrについて実行する(ステップ1336)。
次に、粒子は、微細分解能を用いてボクセル間を移動され(ステップ1338)、その結果、粒子は、微細ボクセル及び粗いボクセルを表す微細ボクセルとの間で移動するようになる。次いで、粒子は、粗い分解能を用いてボクセル間を移動され(ステップ1340)、その結果、粒子は、粗いボクセルとの間で移動するようになる。
次に、結合ステップにおいて、粗いボクセルを表す微細ボクセル(すなわち、粗いボクセルの展開により生じた微細ボクセル)が、粗いボクセルに合体される間、粒子は、ファセットからボクセルへ散乱される(ステップ1342)。この結合ステップにおいて、粒子は、粗い平行六面体を用いて粗いファセットから粗いボクセルへ、微細の平行六面体を用いて微細ファセットから微細ボクセルへ、微細の平行六面体を用いて赤ファセットから微細ボクセル又は粗いボクセルへ、及び粗い平行六面体と微細の平行六面体との間の差分を用いて黒ファセットから粗いボクセルへ散乱される。最後に、流体動力学が、微細ボクセル及び粗いボクセルについて実行される(ステップ1344)。
F.スカラー輸送ソルバ
上述のように、種々のタイプのLBMは、流体の流れを解くのに適用することができ、これらはスカラー輸送のバックグラウンドキャリアとしての機能を果たす。シミュレーション中、流体の流れ及びスカラー輸送の両方がシミュレーションされる。例えば、流体の流れは、格子ボルツマン(LB)手法を用いてシミュレーションされる流れであり、スカラー輸送は、ここではスカラー輸送方程式と呼ばれる一連の分布関数を用いてシミュレーションされる。
流体の流れをシミュレーションするLBM法の詳細な説明を本明細書で示したが、以下は、スカラーシミュレーションと併せて用いることができる流体の流れをシミュレーションする1つの手法の一例である。

ここで、
は粒子分布関数、τは単一緩和時間、及び
は、流体速度における3次発展を有する平衡分布関数である。

ここで、T0=1/3である。離散格子速度ciは、

であり、ここで、残りの粒子においてw0=1/3、デカルト方向(Cartesian direction)の状態においてwi=1/18、二重対角方向の状態においてwi=1/36、gi(x,t)は外部体積力項である。流体力学物理量ρ及びuは、次式のような粒子分布関数のモーメントである。

上述のように、流体ソルバは、スカラー輸送情報を生成したスカラー輸送ソルバと併せて用いられる。すなわち、流体ソルバに加えて、分布関数Tiの別個の集合がスカラー輸送に導入される。従って、システムの各ボクセルにおいて、システムは、流体の流れ及びスカラー輸送の両方をシミュレーションして、流体の流れを表す状態ベクトルと、スカラー変数を表すスカラー量とを生成する。これらのシミュレーション結果は、コンピュータアクセス可能媒体にエントリーとして格納される。
スカラー輸送関数の集合は、2次巨視的スカラー輸送方程式の間接的解法を提供する。Tiは、スカラー量の動的発展をモデル化した式を示す。

iはスカラー分布関数、Tは解かれたスカラーである。
は、スカラー拡散率に対応する緩和時間である。緩和時間は、システムが緩和して平衡になるまでに要する時間の尺度である。
及びuは、それぞれ式(38)、(39)、(41)に定められる。
iで表される格子速度の集合は、スカラーシミュレーションにおいて使用するための格子速度の離散集合とすることができる。一般に、スカラーソルバが基本流体ソルバに付加される追加システムであるので、スカラー分布における格子速度集合は、流体分布における格子速度集合と同じである必要はない。例えば、スカラー発展のシミュレーションでは、流体の流れのシミュレーションにおけるよりも少ない格子速度を用いることができる。スカラーの異なる格子速度集合は、スカラー格子速度集合が流体格子速度集合の部分集合である限りは適用することができる。例えば、流体シミュレーションにおいて19速度LBモデルが使用される場合、スカラーシミュレーションには6速度LBモデルを用いることができる。19速度LBモデルは、6速度LBモデルよりも高次の格子対称性を有するので、以下に示す実施例においては、同じ19速度格子モデルが使用される。
周知の標準BGK(例えば、上述のような)は、全ての次数の非平衡モーメントを含む。全ての非平衡モーメントが等方的、流体力学的、又は物理的に意味のあるものである必要はないと考えられる。従って、BGK正規化/フィルタ処理した衝突演算子の形態が使用される。衝突演算子
は、将来の衝突要因を表す。衝突演算子は、関連のサポートされる次数のみ(例えば、1次のみ)で非平衡スカラー特性を抽出する。演算子はまた、対象のモードを維持及び緩和するが、サポートされない/望ましくない高次モードに関連する非平衡特性は除外される。この手法は、スカラー物理的特性(例えば、移流及び拡散)を復元するのに十分である。この将来の衝突演算子を使用することは、ノイズを大幅に低減すると考えられ、良好な移流挙動を提供し(例えば、よりGallidean不変になることができ)、周知のBGK演算子の他の解と比べてより安定していると考えられる。このような形態(例えば、式(43)に示すように)により、1次非平衡モーメントのみが流体力学範囲のスカラー拡散に確実に寄与するようになる。高次の全ての非平衡モーメントは、この衝突プロセスによってフィルタ処理により除去される。上述の衝突演算子
の使用は、BGKにおいて示される数値ノイズの排除及び頑健性の向上を含む利点をもたらすと考えられる。スカラーTは、自己平衡としての機能を果たし、スカラー平衡分布関数の複雑な式は必要とされない。衝突演算子
の全体の算術演算はかなり効率的である。高次非平衡モーメントは更に、高次平衡解に存在する可能性があるエイリアシングを低減する利点をもたらすと考えられる。
式(42)において衝突がスカラー保存則に従うことを示すことができる。式(42)の両辺に
を乗算する。但し、

とすると、結果として、次式が得られる。

ここで、
は、式(42)の右辺を示す。よって、スカラー衝突演算子は、スカラーが温度とされる場合には、局所ρTを保存し、これは、局所エネルギー保存の実現を意味する。Tiはfiと共に伝搬するので、エネルギー分布
は、移流中に完全に維持される。従って、ρTの大域的保存が達成される。更に、最も注目すべき点として、この方式は、スカラーTの均一性に関して厳密な不変を維持する。これは、どこにおいても
である場合には、バックグラウンド流動場に関係なく、全ての後の時点でどこでも
φ(x,t)=0で、
であることは容易に分かる。この基本的特性は、これまでのどのような格子ボルツマンスカラーモデルにおいても実証されていない。
Chapmann−Enskog展開を用いると、式(42)は、以下の2次巨視的スカラー輸送方程式を復元することを示すことができる。

但し、
である。均一性不変条件により、ρ
の範囲外にあるのが確実となる。
境界条件
LBMの1つの実質的な利点は、複雑な幾何形状を処理できることである。任意の幾何形状に対する摩擦なし/摩擦境界条件(BC)を達成する一般化体積LB表面アルゴリズムにおいて、質量が保存され、境界に関する接線及び法線運動量流束が正確に実現される。局所詳細平衡は完全に満たされる。スカラーの任意の幾何形状に対する断熱(ゼロスカラー流束)BCは、この手法の直接的拡張として導くことができる。断熱BCが実現されうと、規定の有限流束BCを達成することができる。
他の点毎のLBとは異なり、境界条件は、面素の離散化集合に対して実施される。これの要素毎のフラット面素は共に湾曲幾何形状を表している。図14に示すように、粒子移流中に、各面素は、隣接する流体セルから流入粒子を集める(ステップ1410)。流入分布
は、粒子移動方向におけるセルとの下位面素からの平行六面体の体積重複により重み付けされる(ステップ1412)。流入量を受けとった後、続く表面スカラーアルゴリズムが適用される(ステップ1414)。表面からの流出分布を求めるために、



ここで、

である。ここで、nは流体ドメインに向かって示す面法線であり、
である。
は、面法線n及び所与の面素の面積Aに関連する粒子方向ciにおける平行六面体の体積であり、明白に
である。最後に、流出分布は、同じ表面移流プロセスに従って面素から流体セルに伝播される(ステップ1416)。上記の表面スカラー衝突が厳密なゼロ表面スカラー流束を達成することを示すのは難しいことではない。流出方向にわたって総和をとると、流出スカラー流束は、次式となる。

及び式(49)におけるTinの定義に留意すると、右辺の第2の総和項はゼロである。加えて、質量流束保存により、


であるので、合計の流出スカラー流束は、合計の流入スカラー流束と同じである。

従って、ゼロの正味表面流束(断熱)BCは、任意幾何形状に対して完全に満たされる。
外部スカラーソースQ(t)は、表面上で指定され、ソース項は、式(48)に直接加えることができる。


境界条件が規定スカラー量Tw(例えば、表面温度)を有する場合、表面熱流束は、次式に従って算出することができる。

数値検証
図15〜18は、数値精度、安定性、ガリレイ不変性、グリッド方位独立、その他に関するLBスカラーソルバの能力を立証するシミュレーション結果の4つのセットを示している。2つの異なる2次FD方式を用いた結果、van Leer型の流束制限方式及び直接混合方式(中心及び1次風上方式)も比較として提示される。
A.剪断波減衰
第1の試験ケースは、一定均一流体流れによって運ばれる温度剪断波減衰である。初期の温度分布は、均一分布に加えて空間正弦波変動があり、格子波長L=16で、大きさは
である。TAは一定である。バックグラウンド平均流の速度は0.2であり、熱拡散率


は0.002である。このような低分解能及び


では、数値安定性及び精度は、十分に有効とすることができる。バックグラウンド流なしの温度減衰では、LBスカラーソルバ及び有限差分法の両方は、理論との優れた一致を示している。非ゼロのバックグラウンド平均流では、LBスカラーソルバは、依然として理論と正確に比較することができる。しかしながら、FD結果は、顕著な数値誤差を示している。図15には、格子時間ステップ81における温度プロファイルがプロットされている。流束制限FD方式では数値拡散が明確に見られるが、混合FD方式では、正確な温度プロファイルもその位置も維持することはできない。
B.体積熱源を有する傾斜チャンネル
第2の試験ケースは、異なる格子向きでのチャンネル流の温度分布シミュレーションである。チャンネル壁は自由滑りであり、流体の流れは均一を維持し、結果としてU0=0.2である。チャンネル幅は50(格子面間隔)で、流量Reは2000である。熱拡散率


は0.005である。壁の温度はTw=1/3で固定である。一定体積の熱源q=5×10-6がバルク流体ドメインに適用される。流れは、流動毎の方向で周期的境界条件を有し、格子整列状況での実現が容易である。チャンネル(明色)が図16に示すように傾斜しているときには、内外チャンネル境界は、座標方向に完全に一致し、周期的境界条件が流動毎方向で再度実現される。格子独立性を立証するために、傾斜角は26.56度に選ぶ。第1の試験ケースと同様に、LBスカラーソルバ及び2つのFD方式を用いた温度分布は、チャンネルが構成整列したときに分析解と極めて良好に一致する。しかしながら、FD方式からの結果は、チャンネルが傾斜しているときには、理論から大きく逸脱する。傾斜チャンネルにわたる温度分布のシミュレーション結果が図16に示される。LB結果は、格子向きから独立していることを明確に示している。FD法からの誤差はまた、傾斜境界の向きに関する傾斜算術演算を処理するのが基本的に困難であることから生じており、その結果、追加の数値アーチファクトが導入されるようになる。LBスカラー粒子移流は、ここで提示されたBCで精密となるので、従って、格子向きに独立したスカラー発展を達成することができる。
C.傾斜チャンネルにおける温度伝播
デカルト格子上の非格子整列壁近傍領域における近傍情報が無いことに起因して、FDベース法にとって必須である局所勾配の精密な推定を得ることは極めて難しい。更に、風上情報に関して強い依存性があるので、FD法においてスカラー移流の算術演算に障害が生じる可能性がある。対照的に、LBスカラーソルバの境界処理は、上述のように厳密な局所スカラー流束保存を達成する。このような壁近傍におけるスカラー移流は、正確にコンピュータ処理することができる。チャンネル傾斜30度の温度対流を証明として実施する。自由滑り及び断熱BCが固体壁で実施され、流体速度はチャンネルに沿って一定のU0=0.0909である。熱拡散率


は0.002である。その結果、この温度フロントは、均一なバックグラウンド流体流れによって歪みなしに後で下流側位置まで対流すべきである。格子時間ステップ2000でチャンネルにわたるコンピュータ処理された温度フロント分布が、図17に示される。LBスカラーソルバの温度フロントは、ほぼ直線上のプロファイルに維持される。他方、2つのFD方式からの温度フロントは、壁近傍領域においてかなりの歪みを示している。また、LBスカラー結果は、LBスカラーソルバがより小さい数値拡散を有することを意味する最薄温度フロントを示していると言える。
D.Rayleigh−Bernardの自然対流
Rayleigh−Bernard(RB)自然対流は、数値ソルバの精度検証の旧知のベンチマークである。このRB自然対流は、簡単な事例の設定であるが、複雑な物理現象である。レイリー数Raが特定の基準値を超えると、システムは、非流から対流に移行する。図18に示すような現在の研究は、流体に作用する浮力が、
として定義されるので、Boussinesq近似下で実施され、ここで、αは熱膨張率、gは重力、Tmは上下境界の平均温度値である。最も安定していない波数は、Raが基準値Rac=1707.762を超えたときに、


であり、本研究において分解能101×50が使用される。ここで使用されるPrは0.71である。RB対流が確立すると、2つのプレート間の熱伝達は、大幅に強化される。熱伝達のこの拡張は、次式で記述される。
多くの実施構成を説明してきた。それでも尚、請求項の技術的思想及び範囲から逸脱することなく、種々の修正を行うことができることは理解されるであろう。従って、他の実施構成も請求項の範囲内に含まれる。
1401 多孔質媒体の界面
1402 界面上の単位面積
PM 多孔質媒体
F 流体
X PM界面

Claims (48)

  1. コンピュータ上で流体の流れをシミュレーションする方法であって、
    ある体積における前記流体の動作を前記体積内の要素の移動をモデル化するようにシミュレーションするステップと、
    前記体積の対応するボクセルでの可能な運動量状態の特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを各々が含む、前記ボクセルについての状態ベクトルのセットをコンピュータアクセス可能メモリ内に格納するステップと、
    前記流体の流れに少なくとも部分的に基づいて前記体積についてのスカラー量の時間発展をシミュレーションし、巨視的スカラー輸送方程式を間接的に解くステップと、
    対応するボクセルでの前記シミュレーションしたスカラー量に相当するエントリーを各々が含む、ボクセルについてのスカラー量のセットを前記コンピュータアクセス可能メモリ内に格納するステップと、
    を含む、方法。
  2. 前記流体の流れをシミュレーションするステップが、離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて前記流体の流れをシミュレーションするステップを含み、前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップが、前記離散格子速度の第1のセットよりも少ない格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記流体の流れをシミュレーションするステップが、離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて前記流体の流れをシミュレーションするステップを含み、前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップが、前記離散格子速度の第1のセットと同じ格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップが、1次非平衡モーメントのみがスカラー拡散に寄与する衝突演算子に部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップが、2次及びそれよりも高次の全ての非平衡モーメントをフィルタ処理する衝突演算子に部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップが、
    近傍セルから流入する分布を集めるステップと、
    前記流入する分布を重み付けするステップと、
    スカラーアルゴリズムを適用して流出分布を決定するステップと、
    前記決定した流出分布を伝播させるステップと、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記流入する分布が前記決定した流出分布に等しいようにゼロ正味表面流束境界条件を適用するステップを更に含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記流出分布を決定するステップが、ゼロ表面スカラー流束を提供するよう前記流出分布を決定するステップを含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記スカラー量が、温度、濃度、及び密度からなる群から選択されたスカラー量を含む、
    請求項1に記載の方法。
  10. 前記巨視的スカラー輸送方程式を解くステップが、前記スカラーの均一性に関する厳密な不変性を満たすステップを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記巨視的スカラー輸送方程式が、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップが、粒子分布関数をシミュレーションするステップを含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップが、ボルツマン方程式に少なくとも部分的に基づいたメゾスコピック運動方程式を解くことによって巨視的流体力学を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記体積における前記流体の動作をシミュレーションするステップが、
    前記状態ベクトルに対して、モデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する相互作用演算を実施するステップと、
    前記状態ベクトルの第1の移動演算を実施し、前記モデルに従って前記体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させるステップと、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションするステップが、局所エネルギー保存条件を満たすステップを含む、請求項1に記載の方法。
  16. 前記局所エネルギー保存条件を満たすステップが、前記体積の内部の流体ドメイン及び前記体積の境界において前記局所エネルギー保存条件を満たすステップを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 実行時に物理的プロセスの流体の流れをシミュレーションする命令を含む、コンピュータ可読媒体に有形的に組み込まれるコンピュータプログラム製品であって、
    前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータが、
    ある体積における流体の動作をシミュレーションして前記体積内の要素の移動をモデル化し、
    対応するボクセルでの可能な運動量状態の特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを各々が含む、前記体積におけるボクセルについての状態ベクトルのセットを格納し、
    前記流体の流れに少なくとも部分的に基づいて前記体積についてのスカラー量の時間発展をシミュレーションし、巨視的スカラー輸送方程式を間接的に解き、
    対応するボクセルでの前記シミュレーションしたスカラー量に相当するエントリーを各々が含む、ボクセルについてのスカラー量のセットを格納する、
    ように構成されている、コンピュータプログラム製品。
  18. 前記コンピュータが流体の流れをシミュレーションすることが、前記コンピュータが離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて前記流体の流れをシミュレーションすることを含み、
    前記コンピュータが前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることが、前記コンピュータが前記離散格子速度の第1のセットよりも少ない格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  19. 前記コンピュータが流体の流れをシミュレーションすることが、前記コンピュータが離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて前記流体の流れをシミュレーションすることを含み、前記コンピュータが前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることが、前記コンピュータが前記離散格子速度の第1のセットと同じ格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  20. 前記コンピュータが前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることが、前記コンピュータが、1次非平衡モーメントのみがスカラー拡散に寄与する衝突演算子に部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  21. 前記コンピュータが前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることが、前記コンピュータが、2次及びそれよりも高次の全ての非平衡モーメントをフィルタ処理する衝突演算子に部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  22. 前記コンピュータが前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることが、前記コンピュータが、
    近傍セルから流入する分布を集め、
    前記流入する分布を重み付けし、
    スカラーアルゴリズムを適用して流出分布を決定し、
    前記決定した流出分布を伝播させる、
    ようにすることを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  23. 前記コンピュータが、前記流入する分布が前記決定した流出分布に等しいようにゼロ正味表面流束境界条件を適用するように更に構成されている、請求項22に記載のコンピュータプログラム製品。
  24. 前記コンピュータが前記流出分布を決定することが、前記コンピュータが、ゼロ表面スカラー流束を提供するよう前記流出分布を決定することを含む、請求項22に記載のコンピュータプログラム製品。
  25. 前記スカラー量が、温度、濃度、及び密度からなる群から選択されたスカラー量を含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  26. 前記コンピュータが前記巨視的スカラー輸送方程式を解くことが、前記コンピュータが、前記スカラーの均一性に関する厳密な不変性を満たすようにすることを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  27. 前記巨視的スカラー輸送方程式が、
    を含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  28. 前記コンピュータが前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることが、前記コンピュータが粒子分布関数をシミュレーションすることを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  29. 前記コンピュータが前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることが、前記コンピュータがボルツマン方程式に少なくとも部分的に基づいたメゾスコピック運動方程式を解くことによって巨視的流体力学を決定することを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  30. 前記コンピュータが前記体積における前記流体の動作をシミュレーションすることが、前記コンピュータが、
    前記状態ベクトルに対して、モデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する相互作用演算を実施し、
    前記状態ベクトルの第1の移動演算を実施し、前記モデルに従って前記体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させる、
    ことを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  31. 前記コンピュータが前記スカラー量の時間発展をシミュレーションすることが、前記コンピュータが局所エネルギー保存条件を満たすようにすることを含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
  32. 前記コンピュータが前記局所エネルギー保存条件を満たすことが、前記コンピュータが前記体積の内部の流体ドメイン及び前記体積の境界において前記局所エネルギー保存条件を満たすことを含む、請求項31に記載のコンピュータプログラム製品。
  33. 物理的プロセスの流体の流れをシミュレーションするコンピュータシステムであって、該システムが、
    ある体積における流体の動作をシミュレーションして前記体積内の要素の移動をモデル化し、
    対応するボクセルでの可能な運動量状態の特定の運動量状態に相当する複数のエントリーを各々が含む、前記体積におけるボクセルについての状態ベクトルのセットを格納し、
    前記流体の流れに少なくとも部分的に基づいて前記体積についてのスカラー量の時間発展をシミュレーションし、巨視的スカラー輸送方程式を間接的に解き、
    対応するボクセルでの前記シミュレーションしたスカラー量に相当するエントリーを各々が含む、ボクセルについてのスカラー量のセットを格納する、
    ように構成されている、コンピュータシステム。
  34. 前記流体の流れをシミュレーションする前記構成が、前記システムが離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて前記流体の流れをシミュレーションする構成を含み、前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする前記構成が、前記コンピュータが前記離散格子速度の第1のセットよりも少ない格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成を含む、請求項33に記載のシステム。
  35. 前記流体の流れをシミュレーションする前記構成が、前記システムが離散格子速度の第1のセットに部分的に基づいて前記流体の流れをシミュレーションする構成を含み、前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成が、前記離散格子速度の第1のセットと同じ格子速度を含む離散格子速度の第2のセットに部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成を含む、請求項33に記載のシステム。
  36. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする前記構成が、1次非平衡モーメントのみがスカラー拡散に寄与する衝突演算子に部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成を含む、請求項33に記載のシステム。
  37. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする前記構成が、2次及びそれよりも高次の全ての非平衡モーメントをフィルタ処理する衝突演算子に部分的に基づいて前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする構成を含む、請求項33に記載のシステム。
  38. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする前記構成が、
    近傍セルから流入する分布を集め、
    前記流入する分布を重み付けし、
    スカラーアルゴリズムを適用して流出分布を決定し、
    前記決定した流出分布を伝播させる、
    構成を含む、請求項33に記載のシステム。
  39. 前記流入する分布が前記決定した流出分布に等しいようにゼロ正味表面流束境界条件を適用するように更に構成されている、請求項38に記載のシステム。
  40. 前記流出分布を決定する前記構成が、ゼロ表面スカラー流束を提供するよう前記流出分布を決定する構成を含む、請求項38に記載のシステム。
  41. 前記スカラー量が、温度、濃度、及び密度からなる群から選択されたスカラー量を含む、請求項33に記載のシステム。
  42. 前記巨視的スカラー輸送方程式を解く前記構成が、前記スカラーの均一性に関する厳密な不変性を満たすようにする構成を含む、請求項33に記載のシステム。
  43. 前記巨視的スカラー輸送方程式が、
    を含む、請求項33に記載のシステム。
  44. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする前記構成が、粒子分布関数をシミュレーションする構成を含む、請求項33に記載のシステム。
  45. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする前記構成が、ボルツマン方程式に少なくとも部分的に基づいたメゾスコピック運動方程式を解くことによって巨視的流体力学を決定する構成を含む、請求項33に記載のシステム。
  46. 前記体積における前記流体の動作をシミュレーションする前記構成が、
    前記状態ベクトルに対して、モデルに従って異なる運動量状態の要素間の相互作用をモデル化する相互作用演算を実施し、
    前記状態ベクトルの第1の移動演算を実施し、前記モデルに従って前記体積における新しいボクセルへの要素の移動を反映させる、
    構成を含む、請求項33に記載のシステム。
  47. 前記スカラー量の時間発展をシミュレーションする前記構成が、局所エネルギー保存条件を満たすようにする構成を含む、請求項33に記載のシステム。
  48. 前記局所エネルギー保存条件を満たす前記構成が、前記体積の内部の流体ドメイン及び前記体積の境界において前記局所エネルギー保存条件を満たす構成を含む、請求項47に記載のシステム。
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