JP2015504079A - 還元型フォレート、たとえばメチレン−テトラヒドロフォレートの抗腫瘍活性 - Google Patents

還元型フォレート、たとえばメチレン−テトラヒドロフォレートの抗腫瘍活性 Download PDF

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Abstract

本発明は、その固有の抗腫瘍活性に基づくがん治療における使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレートに関する。治療され得るがんには、乳がん、胃がん、胃腸がん、胆嚢がん、胆管がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、膵臓がん、頭頸部がん、食道がん、中皮腫がん、非小細胞肺がんを含めた肺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、黒色腫、脳腫瘍、腺癌、食道がんおよび骨肉腫が含まれる。

Description

発明の分野
本発明は、がんを治療するための還元型フォレート(folates)に関する。
発明の背景
がんは、世界最大の健康問題の1つである。がんは、世界的な主な死因のうちの1つであり、心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患とともに、がんは世界的に、全死亡の60%超の原因となる。2008年においては、世界的に、約1,270万の新規のがん症例および760万のがんによる死亡が生じた。
大腸がんは、世界的に見て、男性で3番目、女性で2番目に多いがんである。症例のほぼ60%は、先進地域で生じる。発生率は世界的に見て変動するが、全体的に、女性よりも男性で実質的に高い。600,000を超える人々がこの疾患が原因で毎年死亡し、これはすべてのがん関連死の8%を占める。米国だけで、150,000を超える新規の症例が毎年診断される。結腸がんは、結腸(大腸の最長部分)組織中に生じるがんと定義される。大抵の結腸がんは、腺癌(粘液および他の液体を産生および放出する細胞から始まるがん)である。
結腸がんは十分治療可能であり、腸に限局する場合は、治癒可能な疾患であることが多い。手術は治療の主な形態であり、約50%の患者を治癒させる。手術後の再発は重要な問題であり、最終的な死因となることが多い。大腸がんのこれらの症例の約半分は転移を有するか、転移を有する疾患に進展する。こうした場合、化学療法が唯一の治療選択であり、患者の予後がかなり悪いことが多い。同様に、他の形態のがんに対する治療レジメンは、すべての患者を完全に回復させるとは限らず、多くのがんは再発する、および/または転移を有する形態に進展する。
したがって、大腸がんだけでなく、多くの他のがん適応、例としては、たとえば乳がん、胃がん、胃腸がん、胆嚢がん、胆管がん、肝臓がん、膵臓がん、頭頸部がん、食道がん、中皮腫がん、非小細胞肺がんを含めた肺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、黒色腫、脳腫瘍、腺癌、食道がんおよび骨肉腫との闘病のために、新規かつ改善された薬物ベースの療法が大いに必要である。
フォレートは、細胞分裂および細胞成長に必須の内在性物質である。細胞内の還元型フォレートは、少なくとも6つの相互変換可能な形態のプールとして存在する。フォレートは、たとえばヌクレオチド代謝に関与し、様々な酵素、たとえばチミジル酸シンターゼ(TS)およびジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)の基質および/または補酵素としての機能を果たす。フォレートメチレン−テトラヒドロフォレート(メチレン−THF)は、たとえば、TSによって行われるdUMPとdUTPの間の転換において、一炭素供与体として働く。それによって、メチレン−THFはチミジン合成に寄与し、ひいては、DNA合成および細胞成長に寄与する。
発がんにおけるフォレートの役割は複雑である。実験データによって、発がん中のフォレート補給のタイミングが重要であることが示唆されている(Ulrich、Cancer Epidemiol Biomarkers Prev(2006)、15巻、189〜93頁;Kim、Gut(2006)、55巻、1387〜1389頁)。前腫瘍性病変(たとえば結腸の異常腺窩巣またはポリープ)が存在する前のフォレートレベルの増大は、腫瘍の発生を予防することができるが、フォレート補給は、一旦前腫瘍性病変が存在すれば、がんの進行を増進すると考えられている。したがってフォレートは、予防的に使用する場合はがんの発生を阻害すると考えられているが、一旦がんが発生し始めると、がんの進行を増進すると考えられている。フォレートは、ヌクレオチド合成および細胞成長に関与すると知られているので、フォレートがそうしたがん促進効果を有することが予想されている。さらに、がん細胞は頻繁にフォレート受容体をアップレギュレートして、がん細胞のヌクレオチド要求の高まりに応えて、DNA合成および成長を支え、それ故、フォレート投与に伴う腫瘍成長促進リスクの増大が予想される(Ulrich、Am.J.Clin.Nutr.(2007)、86巻、271〜273頁)。
したがって、フォレート代謝拮抗薬、たとえばメトトレキサートおよびペメトレキセドは、フォレートおよびヌクレオチド代謝に関与する1種以上の酵素、たとえばTSおよび/またはDHFRを阻害できることにより、がんを治療するための化学療法剤として使用されている。フルオロピリミジン、たとえば5−フルオロウラシル(5−FU)は、TSを阻害できることにより、化学療法剤として同様に使用されている。しかし、フォレート代謝拮抗薬およびフルオロピリミジンは細胞傷害性であり、多くの患者にとって、重篤な副作用を伴う可能性がある。
葉酸およびフォレートは、たとえばロイコボリン(フォリン酸としても知られる)、レボロイコボリンおよびメチレン−THFの形で、がん患者に化学療法剤と同時投与されている。フォレートは、たとえばメトトレキサートに対するレスキュー剤として使用されており、これは、メトトレキサート治療の有毒な副作用を低減させるためである。葉酸、ロイコボリンおよびメチレン−THFはまた、5−FUと組み合わせて使用されており、これは5−FUの抗腫瘍効果を増強するためである。
US5376658(Spearsら)は、がん化学療法における5−FUのモジュレーターとしての、テトラヒドロフォレート(FH4)およびメチレン−THF(CH2FH4)溶液中のその平衡生成物の使用を開示している。患者に投与されたフォレート代謝拮抗薬の毒性を低減するためにFH4またはCH2FH4を使用する方法も開示されている。
US2007/0099866A1およびWO2007/064968は、5−FUの化学療法的効果を増強するための、メチレン−THFの使用を開示している。
Borsiら(Pediatric Hematology and Oncology 1990、7巻、347〜363頁)は、非常に有毒なこともある、メトトレキサートフォレート代謝拮抗薬の副作用を緩和するために、メトトレキサート治療に関するレスキュー剤としてのロイコボリンおよびメチレン−THFの使用を開示している。
EP1699462B1は、マルチターゲティングフォレート代謝拮抗薬の副作用を低減しながらも抗がん効率を維持または改善するために、マルチターゲティングフォレート代謝拮抗薬、たとえばペメトレキセドとの同時投与におけるメチル−THFの使用を開示している。
したがって、フォレート、たとえばロイコボリンおよびメチレン−THFは、様々な化学療法剤とともに使用されており、これは、それらの細胞治療効果を調節するため、またはそれらの有毒な副作用を緩和するためである。しかし、フォレート、たとえばメチレン−THFは、それ自体で細胞成長を拡大することが従前から知られているので、それ自体でがん促進効果を有すると予想されている。
本発明の基礎は、メチレンテトラヒドロフォレート(メチレン−THF)は、他の抗がん剤から分離して、または単一薬剤治療として使用した場合に、著しい固有の腫瘍阻害活性を有することが分かったという、驚くべき発見である。本開示に示すように、本発明者らは、ヌードマウス異種移植モデルでこの抗腫瘍効力をはっきりと示した。この発見は、フォレートの特有の細胞増殖特徴を考慮すると、特に驚くべきことである。本発明は、他の制がん剤から分離して、または単一薬剤治療として使用する場合の、抗がん薬としてのメチレン−THFの新規な使用を示す。
腫瘍組織と周囲の粘膜と正常細胞との間で、大きな代謝の違いがある。本発明は、著しい腫瘍阻害効果を提供すると同時に正常細胞を保護することによって、メチレン−テトラヒドロフォレートの使用が治療指数を高め得ることをさらに示す。
一側面では、本発明は、がん治療における使用のための、メチレン−テトラヒドロフォレート、テトラヒドロフォレートまたはメチル−テトラヒドロフォレートを提供する。メチレン−テトラヒドロフォレート、テトラヒドロフォレートまたはメチル−テトラヒドロフォレートは、他の抗がん剤から分離して、または単一薬剤治療として投与されてもよい。これらは、腫瘍成長を阻害するために、または腫瘍体積を減少させるために使用してもよい。腫瘍は、固形腫瘍でもよいし非固形腫瘍でもよく、好ましくは固形腫瘍でもよい。
一態様では、メチレン−テトラヒドロフォレート、テトラヒドロフォレートまたはメチル−テトラヒドロフォレートは、任意の他の抗がん薬または任意の他の医薬として活性な薬剤の投与前、遅くとも24時間前までに投与する(すなわち単一薬剤治療としての)ためのものである。他の態様では、これらは、任意の他の抗がん薬または任意の他の医薬として活性な薬剤の投与前、遅くとも36時間または48時間前までに投与するためのものである。
別の態様では、メチレン−テトラヒドロフォレート、テトラヒドロフォレートまたはメチル−テトラヒドロフォレートは、任意の他の抗がん薬もしくは任意の他の医薬として活性な薬剤を投与してから早くとも6時間で、または任意の他の抗がん薬もしくは任意の他の医薬として活性な薬剤を投与してから、早くとも24時間、48時間、4日もしくは12日で投与するためのものである。
さらに別の態様では、メチレン−テトラヒドロフォレート、テトラヒドロフォレートまたはメチル−テトラヒドロフォレートは、少なくとも3か月の期間中、他の抗がん剤または他の医薬として活性な薬剤から分離して投与するためのものである。
メチレン−テトラヒドロフォレート、テトラヒドロフォレートまたはメチル−テトラヒドロフォレートは、少なくとも10mg/m2、好ましくは少なくとも20mg/m2、より好ましくは少なくとも50mg/m2、最も好ましくは少なくとも100mg/m2、200mg/m2または500mg/m2、および最大で5g/m2の量で投与するためのものであってもよい。これらは、1日1回もしくは2回、2日もしくは3日毎、1週1回から2回、または2週もしくは3週毎に1回投与するためのものであってもよい。
メチレン−テトラヒドロフォレート、テトラヒドロフォレートまたはメチル−テトラヒドロフォレートは、たとえば、静脈内、経口的、腹腔内、皮下、筋肉内、動脈内または鼻腔内に投与するためのものであってもよい。
本発明のメチレン−テトラヒドロフォレート、テトラヒドロフォレートまたはメチル−テトラヒドロフォレートによって治療されるがんは、乳がん、胃がん、胃腸がん、胆嚢がん、胆管がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、膵臓がん、頭頸部がん、食道がん、中皮腫がん、非小細胞肺がんを含めた肺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、黒色腫、脳腫瘍、腺癌、食道がんおよび骨肉腫から選択されてもよい。
図1は、フォレートがDNA合成、修復およびメチル化に影響を与える主な代謝経路を示す。 図2は、例1の動物群における経時的な平均腫瘍体積の進展を示し、動物群には、それぞれ、メチレン−THF(Modufolin(登録商標))(1.7mg/kgまたは45mg/kg)、およびビヒクルを与えた。 図3は、例1の動物群における経時的な平均体重の進展を示し、動物群には、それぞれ、メチレン−THF(Modufolin(登録商標))(1.7mg/kgまたは45mg/kg)およびビヒクルを与えた。
詳細な説明
本発明につながる研究活動において、本発明者らは、驚いたことに、メチレンテトラヒドロフォレート(メチレン−THF)は、他の抗がん剤または他の医薬的活性成分から分離して使用する場合、固有の腫瘍阻害活性を有することを発見した(例1、図2を参照されたい)。
上で記載したように、たとえばロイコボリン(フォリン酸)、テトラヒドロフォレート(THF)およびメチレン−THFの形のフォレートは、細胞分裂および細胞成長に必須の内在性物質である。がん療法については、これらは、メトトレキサートおよびマルチターゲティングフォレート代謝拮抗薬治療の重篤な副作用を緩和するために((Borsiら、Pediatric Hematology and Oncology 1990、7巻、347〜363頁;EP1699462B1)、ならびに/または5−FUおよび類似物質、たとえばカペシタビンの抗腫瘍効果を増強するために使用されている。
食餌性フォレートは、2種の補給形態、葉酸およびロイコボリンで一般に利用可能である。葉酸の経口投与は、小腸での脱抱合ステップおよび肝臓での還元型フォレートへの還元ステップを必要とし、これは、体の細胞への取り込みを可能にするためである。一方で、ロイコボリン(フォリン酸または5−ホルミルテトラヒドロフォレートとも示される)の経口投与は、こうした脱抱合および還元ステップをバイパスする。ロイコボリンは、葉酸より代謝的に活性なフォレートの形態であるように思われ、還元型フォレートとして、血液脳関門を直接的に通過する可能性がある。葉酸と同様に、ロイコボリンは、代謝的に活性になるにはメチル化されなければならない。葉酸のメチル化ステップは、十分なレベルのセリンおよび機能的なセリンヒドロキシル−メチルトランスフェラーゼ(SHMT)酵素を必要とする。還元型フォレートメチレン−THFおよびメチル−テトラヒドロフォレート(メチル−THF)の補給には、このメチル化ステップをバイパスするという利点がある。
図1は、フォレートおよびホモシステインがDNA合成、修復およびメチル化に影響を与える主な代謝経路を概説する。酵素MTHFRは、DNAメチル化およびDNA合成経路の平衡を保って、正常な恒常性を維持する。(RFC=還元型フォレートキャリアー;FPGS=ホリルポリグルタメートシンターゼ;GGH=γ−グルタミルヒドロラーゼ;TS=チミジル酸シンターゼ;THF=テトラヒドロフォレート;MTHFR=メチレン−テトラヒドロフォレートレダクターゼ);MS=メチオニンシンターゼ;SAM=S−アデノシルメチオニン;DPD=ジヒドロ−ピリミジンデヒドロゲナーゼ;B2=リボフラビン;B6=ピリドキシン;B12=コバラミン)。
還元型フォレートキャリアー、RFC−1は、還元型フォレートを細胞へ入れる主要なトランスポーターである(Sirotnak FM、Tolner B、「Carrier−mediated membrane transport of folates in mammalian cells」;Annu Rev Nutr 1999;19:91〜122)。細胞内で、還元型フォレートモノグルタメートは、酵素ホリルポリグルタメートシンターゼ(FPGS)によってポリグルタメートに転換される(Shane B、「Folylpolyglutamate synthesis and role in the regulation of one−carbon metabolism」;Vitam Horm 1989;45:263〜335)。テトラヒドロフォレートのポリグルタメート型形態は、次いで、さらに5,10−メチレンテトラヒドロフォレート(メチレン−THF)に転換され、メチレン−THFは、dUMPからdTMPへの転換においてメチル供与体として必要とされる(Spears CPら、「Deoxyuridylate effects on thymidylate synthase−5−fluorodeoxyuridylate−folate ternary complex formation」;Biochem Pharmacol 1989;38:2985〜93;Spears CPら「Thymidylate synthetase inhibition in malignant tumors and normal liver of patients given intravenous 5−fluorouracil」、Cancer Res 1984;44:4144〜50)。この転換は、チミジル酸シンターゼ(TS)によって触媒される。メチレン−THFは、代謝的に活性な5−メチルテトラヒドロフォレート(メチル−THF)の前駆物質でもあり、メチル−THFは、ホモシステインの再メチル化に利用される。メチレン−THFからメチル−THFへの転換は、酵素メチレンテトラヒドロフォレートレダクターゼ(MTHFR)に依存している。
酵素γ−グルタミルヒドロラーゼ(GGH)は、細胞間および細胞内のポリグルタメートの分解を触媒する(Galivan Jら、「Glutamyl hydrolase.Pharmacological role and enzymatic characterization」、Pharmacol Ther 2000;85:207〜15)。
示したように、DNA合成およびメチル化経路が正しく機能するには、フォレートに加えて、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)およびコバラミン(ビタミンB12)が必要とされる。これらの代謝物のいずれかのレベルが不十分であると、その結果として、ホモシステインレベルが高まる。ピリドキシン欠乏はまた、フリーラジカルおよびアルキル化剤損傷の解毒に必要とされる優れた抗酸化物質のグルタチオンを産生する細胞の能力を害する。
図1に示すように、メチレン−THFは、チミジル酸シンターゼ(TS)がチミジル酸合成で使用するための、細胞内フォレート代謝物である。メチレン−THFのポリグルタメートに関しても同じことが当てはまる。メチレン−THFはまた、メチレン−テトラヒドロフォレートレダクターゼ、セリンヒドロキシメチラーゼおよびCl−テトラヒドロフォレートシンターゼおよびメチレン−テトラヒドロフォレートデヒドロゲナーゼを含めたいくつかの他の酵素によって使用される。メチレン−THFを使用するこうした相互転換は、プリン合成、アミノ酸合成および脂質代謝に必須である。したがって、メチレン−THFは、少なくとも4種の異なる酵素の基質として、代謝の分枝点に位置する(Spearsら;米国特許第5,376,658号)。
したがって、メチレン−THFは、酵素チミジル酸シンターゼ(TS)によって行われるdUMPとdUTPの間の転換において一炭素供与体として働くことによって細胞成長を拡大することが従前から知られており、がん促進効果を有すると予想されている。
上で述べたように、以前の研究によって、フォレート状態は、がん化学療法の毒性および効力を調節する可能性があることが示された。このように、葉酸およびロイコボリンは、抗がん剤と組み合わせてその細胞傷害性効果を軽減するために、および/またはその抗がん効果を増大させるために、使用されている。
葉酸、ロイコボリンおよびメチレン−THFは、たとえば、5−FUの化学療法的効果を増強することが知られている。抗がん効率の増強はメチレン−THFによって達成され、メチレン−THFは、チミジル酸シンターゼ(TS)に対する5−FUの阻害効果を強化する。メチレン−THFは、TSおよび5−FUの代謝物であるFdUMPと三元複合体を形成し、この複合体形成によりFdUMPのTSへの結合が強化されることによって、この阻害の増大を惹起する。したがって、メチレン−THFがない場合は、FdUMPは、非常に弱くTSに結合する。しかし、大過剰のメチレン−THFの存在下では、低レベルのFdUMPでさえTSに結合する。過剰なメチル−THFの存在下では、TSとメチル−THFとFdUMPとの間の三元複合体は安定であり、有意なTS活性は生じない。この有効なTS阻害は、チミジンが少ない細胞状態、DNAへのウラシルの誤取り込みの増大、および腫瘍細胞成長および細胞死の阻害につながる。メチレン−THFはロイコボリン代謝の活性代謝物であるので、この内因性フォレートの使用は、葉酸またはロイコボリンの使用よりもはるかに好都合である。
メチレン−THFまたはロイコボリンは、メトトレキサート治療の有毒な副作用を緩和するために、メトトレキサートに対するレスキュー剤としても使用されている(たとえば、Borsiら1990、Pedriatic Hametology and Oncology、7巻、347〜363頁を参照されたい)。フォレートがメトトレキサートの細胞傷害性効果を拮抗する機序は分かっていないが、正味の効果は、プリンおよびチミジン生合成阻害の軽減ならびに細胞中の遊離メトトレキサートの減少である。したがってメチレン−THFは、メトトレキサートとともに投与される場合、細胞傷害性の低下に関係する。
このように、メチレン−THFは、5−FUとの組み合わせで、FdUMPのTSへの結合を強化することにより抗がん効果を有することが以前に示された。メチレン−THFは、フォレート代謝拮抗薬の細胞傷害性の副作用を軽減するのにも使用されている。メチレン−THFをそれだけで、すなわち他の抗がん薬の同時投与なしで投与する場合は、こうした機序は生じないであろうから、メチレン−THFは、細胞分裂を刺激して、それによりがん細胞の成長を刺激するという本来の機能を発揮するであろうと予想されよう。メチレン−THFは、他の抗がん薬から分離して使用する場合、腫瘍細胞成長を阻害するという本発明者らの発見は、したがって、非常に驚くべきことである(例1を参照されたい)。
したがって、本発明に関しては、メチレン−THFおよびメチレン−THFのプロドラッグまたはその代謝物が、がんを治療するために提供される。一態様では、メチレン−THFおよびメチレン−THFのプロドラッグまたはその代謝物が、がんを治療するために、他の抗がん薬から分離して提供される。
本発明に関連して、メチレン−THF、テトラヒドロフォレート(THF)またはメチル−テトラヒドロフォレート(メチル−THF)を、がんを治療するために使用してもよい。メチレン−THFは、THFと平衡状態で存在することが一般に知られているフォレート代謝物である(たとえば図1を参照されたい)。メチレン−THFは、酵素メチレンテトラヒドロフォレートレダクターゼ(MTHFR)によってメチル−THFに転換される。さらにメチル−THFは、THFおよびメチレン−THFの前駆物質である。
メチレン−THFの別の表現は、たとえば5,10−メチレンテトラヒドロフォレート、5,10−メチレン−THF、CH2FH4および5,10−CH2−FH4である。メチレン−THFは、たとえば、そのCaまたはNa2塩の形で、または様々な硫酸塩の形で使用してもよい。さらに本発明によれば、遊離酸、すなわち5,10−メチレン−テトラヒドロ葉酸または5,10−メチレンテトラヒドロプテロイルグルタミン酸(5,10−CHz−H4−PteGlu)を使用してもよい。
メチル−THFの別の表現は、たとえば5−メチル−THF、CH34Fおよび5−CH3−H4Fである。メチル−THFは、たとえば、そのCaまたはNa2塩の形で、または様々な硫酸塩の形で使用してもよい。さらに本発明によれば、遊離酸、すなわち5−メチル−テトラヒドロ葉酸またはメチルテトラヒドロプテロイル−グルタミン酸(5−CH3−H4PteGlu)を使用してもよい。
THFの別の表現は、たとえばH4F、FH4および5,6,7,8−テトラヒドロフォレートである。THFは、たとえば、そのCaまたはNa2塩の形で、または様々な硫酸塩の形で使用してもよい。さらに本発明によれば、遊離酸、すなわちテトラヒドロ葉酸またはテトラヒドロプテロイル−グルタミン酸(H4PteGlu)を使用してもよい。
THF、メチレン−THFおよびメチル−THFは、いくつかの異性体形態で存在してもよいが、それぞれ生物学的に活性なTHF、メチレン−THFおよびメチル−THFの異性体が、本発明によれば好ましい。ここで使用する場合、「生物学的に活性な異性体」は、THF、メチレン−THFまたはメチル−THFの内因性異性体、すなわち体内の酵素系に適合する天然の形態に関する。THFの天然の生物学的に活性な異性体の1つは、[6S]−テトラヒドロ葉酸とも示される[6S]−THFである。メチレン−THFの天然の生物学的に活性な異性体の1つは、[6R]−5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸(Modufolin(登録商標))とも示される[6R]−メチレン−THFである。メチル−THFの天然の生物学的に活性な異性体の1つは、[6S]−5−メチルテトラヒドロ葉酸とも示される[6S]−メチル−THFである。
メチレン−THFは、異なるな立体異性体形態で存在する。ラセミ混合物は、[6R,6S]−メチレン−THF(約50%の6R−配置および50%の6S−配置)を含む。しかし、[6R]−メチレン−THFアイソフォーム(約100%の6R−配置)が、生物学的に活性な異性体である。本発明に関しては、[6R]−メチレン−THFまたは[6R,6S]−メチレン−THFを使用してもよい。生物学的に活性なアイソフォーム、[6R]−メチレン−THFが、より有効な抗腫瘍効果を有するので、好ましい。天然および合成のメチレン−THFまたは[6R]−メチレン−THFを使用してもよい。生物学的に活性な異性体の重量部が高ければ高いほど、より良い結果が達成される。
本発明によって使用するための[6R]−メチレン−THFは、90%以上の純度を適切には有する。97%以上の純度が好ましい。生物学的に活性な異性体の重量部が高ければ高いほど、より良い安定性が達成される。低純度では、THF、メチレン−THFおよびメチル−THFは非常に酸化を受けやすいので、不安定である。
一態様では、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、他の抗がん剤から分離して投与される。換言すれば、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、その態様では、他の抗がん剤と同時にまたはともに投与されない。
さらに別の態様では、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、単一薬剤治療として、すなわち任意の他の医薬として活性な成分から分離して患者に投与される。すなわち、他の医薬として活性な薬剤は、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFと同時にまたはともに患者に投与されない。
「他の抗がん剤から分離して」または「他の医薬として活性な成分から分離して」投与される、とは、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFが、任意の他の抗がん剤または任意の他の医薬として活性な薬剤の投与前、遅くとも3週間または2週間または7日または5日または3日または48時間または36時間または24時間前までに患者に投与されることを意味する。一態様では、他の抗がん剤または他の医薬として活性な薬剤は、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFの体内レベルが生理的に活性なレベルより下に下がるより前には患者に投与されない。メチレン−THFの半減期は約20分であり、THFの半減期は約30分であり、メチル−THFの半減期は約5時間である。
「他の抗がん剤から分離して」または「他の医薬として活性な成分から分離して」投与される、は、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFが、任意の他の抗がん剤または任意の他の医薬として活性な薬剤を投与してから、早くとも3日または4日または5日または7日または12日または2週間または3週間で患者に投与されることも意味する。一態様では、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、任意の他の抗がん剤または任意の他の医薬として活性な薬剤の体内レベルが生理的に活性なレベルより下になってから患者に投与される。
メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、少なくとも1日または少なくとも1週間もしくは2週間もしくは3週間もしくは1か月もしくは2か月もしくは3か月もしくは6か月もしくは1年もしくは2年の期間中、他の抗がん剤から分離して、または任意の他の医薬として活性な成分から分離して患者に投与されてもよい。一態様では、これらは、少なくとも3か月の期間中投与される。前記期間中、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、1日1回もしくは2回、2日もしくは3日毎、1週1回から2回、または2週もしくは3週毎に1回、患者に投与されてもよい。
メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、好ましくは、100pg〜1000mgの用量で、好ましくは100〜200mgの用量で投与される。1日当たりの用量は、1mg〜1000mgの間、特に100mg〜500mgの間の範囲にわたる。用量は、少なくとも10mg/m2(体表面積)、好ましくは少なくとも20mg/m2、より好ましくは少なくとも50mg/m2、最も好ましくは少なくとも100または200mg/m2である。最大用量は、約5g/m2、または好ましくは1mg/m2もしくは500mg/m2である。用量は個々に調整されることになるので、たとえば患者の状態および生理機能に応じて変動してもよい。
用量は、たとえば毎日、毎週または毎月投与されてもよい。メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、たとえば、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、鼻腔内または経口的に投与されてもよい。
本発明による医薬組成物は、非活性成分、たとえば不活性なビヒクル、または医薬的に許容可能な補助剤、担体、防腐剤、アスコルビン酸、還元剤、アスコルベート、抗酸化物質なども含んでいてもよく、これらは、当業者に周知である。
本発明による医薬組成物は、たとえばロイコボリンの生産に使用されるものと類似の製造法によってなど、従来の製造法によって製剤化されてもよい。本発明のメチレン−THFは、たとえば、PCT/EP2004/006944およびそれに関連する特許出願に記載されているように製造されてもよい。
本発明によって治療されるがんの例は、乳がん、胃がん、胃腸がん、胆嚢がん、胆管がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、膵臓がん、頭頸部がん、食道がん、中皮腫がん、非小細胞肺がんを含めた肺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、黒色腫、脳腫瘍、腺癌、食道がんおよび骨肉腫である。しかし、いかなるがんも、本発明による医薬組成物を用いて治療されてよい。
一側面では、本発明は、医薬として活性な量のメチレン−THF、THFまたはメチル−THFを患者に投与することを含む、がんを治療するための方法を提供する。
本発明の物としての側面に関して開示される態様は、適用可能な場合、本発明の方法としての側面にも関連し、逆もまた同じであることを理解されたい。本発明の物としての側面に関して上に記載されたこうした化合物のすべての特徴は、したがって、本発明の方法としての側面にも適用され、逆もまた同じである。
したがって、本発明によるがんを治療するための方法の好ましい態様は、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFの生物学的に活性な異性体を患者に投与することを含む。最も好ましくは、[6R]−5,10メチレンテトラヒドロフォレートが投与される。
本発明の方法による一態様では、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、他の抗がん剤から分離して投与される。換言すれば、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、他の抗がん剤と同時にまたはともに投与されない。さらに別の態様では、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、単一薬剤治療として、すなわち任意の他の医薬として活性な成分から分離して患者に投与される。すなわち、他の医薬として活性な成分は、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFと同時にまたはともに患者に投与されない。
一態様では、方法は、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFを、任意の他の抗がん剤または任意の他の医薬として活性な薬剤の投与前、遅くとも3週間または2週間または7日または5日または3日または48時間または36時間または24時間前までに患者に投与することを含む。一態様では、他の抗がん剤または任意の他の医薬として活性な薬剤は、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFの体内レベルが生理的に活性なレベルより下に下がるより前には患者に投与されない。方法は、任意の他の抗がん剤または任意の他の医薬として活性な薬剤を投与してから、早くとも3日または4日または5日または7日または12日または2週間または3週間で、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFを患者に投与することをさらに、または代わりに含んでもよい。一態様では、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、任意の他の抗がん剤または任意の他の医薬として活性な薬剤の体内レベルが生理的に活性なレベルより下になってから、患者に投与される。
さらなる態様では、方法は、メチレン−THF、THFまたは、メチル−THFを、他の抗がん剤または任意の他の医薬として活性な薬剤から分離して、少なくとも1日または少なくとも1週間から2週間もしくは3週間もしくは1か月もしくは2か月もしくは3か月もしくは6カ月もしくは1年もしくは2年の期間中、患者に投与することを含む。一態様では、これらは、少なくとも3か月の期間中投与される。前記期間中、メチレン−THF、THFまたはメチル−THFは、1日1回または2回、2日または3日毎または1週1回または2回、患者に投与されてもよい。
別の態様では、方法は、メチレン−THF、THFまたは、メチル−THFを、少なくとも10mg/m2(体表面積)、好ましくは少なくとも20mg/m2、より好ましくは少なくとも50mg/m2、最も好ましくは少なくとも100または200mg/m2の用量で投与することを含む。最大用量は約5g/m2であり、好ましくは1mg/m2または500mg/m2である。
治療されるがんは、乳がん、胃がん、胃腸がん、胆嚢がん、胆管がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、膵臓がん、頭頸部がん、食道がん、中皮腫がん、非小細胞肺がんを含めた肺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、黒色腫、脳腫瘍、腺癌、食道がんおよび骨肉腫から選択されてもよい。しかし、いかなるがんも、本発明による医薬組成物を用いて治療されてよい。
ここで使用する場合、用語「化学療法剤」または「抗がん薬」または「抗がん剤」は、がんを治療するための医薬に関し、すなわちこれらは、抗がんまたは抗腫瘍効果を有する薬剤/活性成分に関する。そうした効果は、腫瘍成長の阻害、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞死の誘導、転移形成の阻害、腫瘍再発の阻害を含んでいてもよい。
ここで使用する場合、用語「患者」は、本発明による方法または医薬組成物を用いる治療を受けることを必要としている、任意のヒトまたはヒト以外の哺乳動物に関する。
ここで使用する場合、用語「治療」は、様々な種類のがんの症状を治癒または緩和するための治療とがんの進行を防ぐまたはがんの再発を予防するための治療の両方に関する。特に、固形腫瘍は、本発明によって治療するのに適当である。しかし、固形と非固形の腫瘍の両方が治療されてもよい。
ここで使用する場合、用語「医薬として活性な量」は、所望の薬理学的および/または治療効果につながる物質用量に関する。所望の薬理学的および/または治療効果は、上で述べたように、様々な種類のがんの症状を治癒または緩和すること、およびがんの進行を防ぐことである。
ここで使用する場合、用語「生理的に活性なレベル」は、患者体内の物質のレベル、たとえば、血中循環レベルであって、所望の生理的効果が達成されるレベルに関する。このレベルより下では、生理的効果は達成されないかまたは検出できない。抗がん剤の生理的効果は、たとえば、腫瘍成長の阻害、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞死の誘導、転移形成の阻害、腫瘍再発の阻害であってもよい。
化学療法的または抗がん的治療の「効力」という用語は、腫瘍およびがん細胞に影響を及ぼすその能力および治療の臨床結果を改善するその能力に関する。そうした効力は、たとえば寛解、無増悪期間、奏効率および生存を測定することによって決定することができる。そうしたパラメーターを測定するための方法は、本分野で十分に確立されている。たとえば、抗腫瘍効果は、腫瘍サイズおよび経時的な腫瘍サイズを測定することによって決定することができる。
[実施例]
目的:HCT116大腸がん異種移植モデルにおいて、[6R]−メチレン−THFの抗腫瘍性効力を決定すること。HCT116大腸がん細胞系は、5−FUおよびその類似体のカペシタビンに感受性である。
研究計画:合計で30匹の8〜12週齢の雌NCr nu/nuマウス(群当たり10匹)に、0%マトリゲル中の5x106のHCT116腫瘍細胞を側腹部に皮下注射した。腫瘍が80〜120mm2の平均サイズに達した時に、これらのマウスに、表1のスケジュールに従って、ビヒクルまたは[6R]−メチレン−THF(Modufolin(登録商標))を腹腔内注射で投与した。動物は、個々に監視した。実験のエンドポイントは、1300mm3の腫瘍量または65日に達した時のいずれか早いほうとした。応答動物はより長く追跡することができた。エンドポイントに達した時は、動物を安楽死させた。体重(bw)(g)および腫瘍体積(mm3)を、1、2(bwのみ)、3(bwのみ)、4、5(bwのみ)、7、11、14、18、21、25、28、32、35、39、42、49、53、56、60および63日目に測定した。
Figure 2015504079
結果
腫瘍体積
経時的平均腫瘍体積の変化を図1に記載する。この図では、対照と比較して、[6R]−メチレン−THFの投与は腫瘍体積に著しい影響を与えることが分かる。
体重
体重は治療の副作用の重篤度の指標となり、体重の不十分な発達は、より有害な副作用を示す。[6R]−メチレン−THF処理は、ビヒクル群と比較して、わずかにプラスに体重を発達させるように思われる。低用量の[6R]−メチレン−THFは動物の体重にプラスの効果を有するように思われるが、一方で、高用量の[6R]−メチレン−THFはビヒクル群と一致している。
結論
非常に驚いたことに、[6R]−メチレン−THFは、HCT116モデルにおいて、高用量と低用量レベルの両方で固有の抗腫瘍活性を有することが示された。この抗腫瘍活性の作用機序は、まだ十分に分かっていない。動物体重の測定によって、[6R]−メチレン−THFは耐用性があることも示された。

Claims (11)

  1. 他の抗がん剤から分離して投与するためのものである、がん治療における使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート。
  2. 前記メチレン−テトラヒドロフォレートが単一薬剤治療として投与するためのものである、請求項1に記載の使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート。
  3. 前記メチレン−テトラヒドロフォレートが[6R]−メチレン−テトラヒドロフォレートである、請求項1または2に記載の使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート。
  4. 前記[6R]−メチレン−テトラヒドロフォレートが90%以上の純度を有する、請求項3に記載の使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート。
  5. 前記がん治療が腫瘍成長の阻害である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート。
  6. 前記がん治療が腫瘍体積の減少である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート。
  7. 前記腫瘍が固形腫瘍である、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート、テトラヒドロフォレートまたはメチル−テトラヒドロフォレート。
  8. 前記メチレン−テトラヒドロフォレートが、少なくとも10mg/m2、好ましくは少なくとも20mg/m2、より好ましくは少なくとも50mg/m2、最も好ましくは少なくとも100mg/m2、200mg/m2または500mg/m2、および最大で5g/m2の量で投与するためのものである、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート。
  9. 前記メチレン−テトラヒドロフォレートが、1日1回もしくは2回、2日もしくは3日毎、1週1回から2回、または2週もしくは3週毎に1回投与するためのものである、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート。
  10. 前記メチレン−テトラヒドロフォレートが、静脈内、経口的、腹腔内、皮下、筋肉内、動脈内または鼻腔内に投与するためのものである、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート。
  11. 前記がんが、乳がん、胃がん、胃腸がん、胆嚢がん、胆管がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、膵臓がん、頭頸部がん、食道がん、中皮腫がん、非小細胞肺がんを含めた肺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、黒色腫、脳腫瘍、腺癌、食道がんおよび骨肉腫から選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用のためのメチレン−テトラヒドロフォレート。
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