JP2015231925A - 液状肥料の製造方法と肥料化システム - Google Patents

液状肥料の製造方法と肥料化システム Download PDF

Info

Publication number
JP2015231925A
JP2015231925A JP2014119323A JP2014119323A JP2015231925A JP 2015231925 A JP2015231925 A JP 2015231925A JP 2014119323 A JP2014119323 A JP 2014119323A JP 2014119323 A JP2014119323 A JP 2014119323A JP 2015231925 A JP2015231925 A JP 2015231925A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid fertilizer
liquid
treatment
subcritical
primary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014119323A
Other languages
English (en)
Inventor
嘉豊 小島
Yoshitoyo Kojima
嘉豊 小島
鈴木 邦彦
Kunihiko Suzuki
邦彦 鈴木
克久 長谷川
Katsuhisa Hasegawa
克久 長谷川
信彦 杤本
Nobuhiko Tochimoto
信彦 杤本
洋一 熱田
Yoichi Atsuta
洋一 熱田
裕之 大門
Hiroyuki Daimon
裕之 大門
俊六郎 藤原
Shunrokuro Fujiwara
俊六郎 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
FUJIMURA INVENT Inc
KOMASUYA KK
Toyohashi University of Technology NUC
Meiji University
Original Assignee
FUJIMURA INVENT Inc
KOMASUYA KK
Toyohashi University of Technology NUC
Meiji University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by FUJIMURA INVENT Inc, KOMASUYA KK, Toyohashi University of Technology NUC, Meiji University filed Critical FUJIMURA INVENT Inc
Priority to JP2014119323A priority Critical patent/JP2015231925A/ja
Publication of JP2015231925A publication Critical patent/JP2015231925A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/20Fertilizers of biological origin, e.g. guano or fertilizers made from animal corpses

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Fertilizers (AREA)

Abstract

【課題】動物肉片の含有成分が転用された液状肥料を高い処理効率で製造する。
【解決手段】水処理装置100を用いて、動物肉片を含む廃棄物31LMを、亜臨界状態の水蒸気により亜臨界雰囲気とされた処理槽1で水熱処理する水熱処理工程と、所定の処理時間に亘って前記水熱処理を受けた廃棄物31LMから分離された液状成分を、1次液状肥料として処理槽1から回収する1次回収工程と、1次回収工程での前記液状成分の回収後において継続して前記水熱処理を受けた廃棄物31LMから分離された液状成分を、前記1次液状肥料とは異なる液状肥料として処理槽1から回収する2次回収工程とを備える、液状肥料の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、液状肥料の製造方法と肥料化システムに関する。
近年、鳥獣の動物肉片に含まれる含有成分を農作物の肥料に転用する手法が提案されている(例えば、特許文献1)。肥料製造の他の手法としては、食品残渣、木くず、紙くず、生ゴミ、食料残飯等を亜臨界状態の水蒸気にて水熱処理する手法が提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2012−96957号公報 特許第4898970号公報
ところで、野生の鹿やイノシシ、カラス等の鳥獣が農作物や森林生態系にもたらす被害が深刻となり、これら動物を害獣として捕殺することが多々なされている。捕殺された害獣は、その一部が食用や皮革製品として有効利用されているものの、これら害獣の肉片の殆どは、焼却処理や埋め立て処理されているのが実情であり、その有効利用がなされていない。こうした害獣の肉片を特許文献1で提案された手法で処理すれば、肉片の有効利用は可能であるものの、非病原性微生物による発酵と発酵分解物の流水洗浄除去を伴うことから、処理効率に欠け、改善の余地が残されている。特許文献2で提案された手法は、処理効率を高めることができるとは言え、動物肉片の含有成分の肥料転用という観点から、その運用が試されてはいない。こうしたことから、動物肉片の含有成分が転用された液状肥料を高い処理効率で得ることが要請されるに到った。この他、動物肉片の含有成分の肥料転用の多様化や、液状肥料の製造コストの低減を可能とすること、害獣対策の促進も要請されている。
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
(1)本発明の一形態によれば、液状肥料の製造方法が提供される。この液状肥料の製造方法は、動物肉片を含む廃棄物を、亜臨界状態の水蒸気により亜臨界雰囲気とされた処理槽で水熱処理する水熱処理工程と、所定の処理時間に亘って前記水熱処理を受けた前記廃棄物から分離された液状成分を、1次液状肥料として前記処理槽から回収する1次回収工程と、該1次回収工程での前記液状成分の回収後において継続して前記水熱処理を受けた前記廃棄物から分離された液状成分を、前記1次液状肥料とは異なる液状肥料として前記処理槽から回収する2次回収工程とを備える。
上記の形態の液状肥料の製造方法では、亜臨界雰囲気において廃棄物を水熱処理し、水熱処理を受けた廃棄物から分離された液状成分を少なくとも2度に亘り回収して、それぞれ回収した液状成分を異なる液状肥料とする。水熱処理は、亜臨界状態の水蒸気により亜臨界雰囲気とされた処理槽でなされ、廃棄物に含まれる動物肉片の含有成分たるタンパク質は、水熱処理が開始された当初の処理期間において低分子化され、低分子の状態で液状成分に混じり込む。そして、水熱処理が継続されるにつれて、タンパク質は熱による変性もしくは分解を起こして液状成分に混じり込んだり、窒素系の固形物に推移する。よって、上記の形態の液状肥料の製造方法によれば、1次回収工程にて回収した液状成分たる1次液状肥料を、低分子の状態でタンパク質を高濃度で含む液状肥料とできる。また、上記の形態の液状肥料の製造方法によれば、2次回収工程にて回収した液状成分たる液状肥料を、1次液状肥料に比べてタンパク質濃度が低いとは言え、有機系の液状肥料とできる。しかも、上記の形態の液状肥料の製造方法によれば、動物肉片を含む廃棄物を水熱処理に処せばよく、微生物による発酵等を要しないので、高い処理効率で液状肥料を低コストで製造できる。
(2)上記形態の液状肥料の製造方法において、前記1次回収工程では、前記処理時間が前記廃棄物に含まれる前記動物肉片の性状に応じて長短設定可能とされているようにしてもよい。こうすれば、水熱処理される動物肉片の性状が変わっても、例えば、動物肉片の部位が変わっても、低分子の状態でタンパク質を高濃度で含む液状肥料の品質の安定化や、多様な液状肥料の製造が可能となる。
(3)上記のいずれかの形態の液状肥料の製造方法において、前記廃棄物は、害獣の肉片を前記動物肉片として含むようにしてもよい。こうすれば、害獣の肉片の有効利用のみならず、害獣対策も促進できる。
(4)本発明の他の形態によれば、肥料化システムが提供される。この肥料化システムは、動物肉片を含む廃棄物から液状肥料を得る肥料化システムであって、亜臨界状態の水蒸気により亜臨界雰囲気とされた処理槽を有し、該処理槽に投入された動物肉片を含む廃棄物を、前記処理槽で水熱処理する水熱処理装置と、該水熱処理を受けた前記廃棄物から分離された液状成分を貯留する処理容器と、該処理容器の前記液状成分を固液分離する分離機構と、所定の処理時間に亘って前記水熱処理を受けた前記廃棄物から分離された液状成分を、1次液状肥料として前記処理槽から前記処理容器に回収する1次回収制御部と、該1次回収制御部での前記液状成分の回収後において継続して前記水熱処理を受けた前記廃棄物から分離された液状成分を、前記1次液状肥料とは異なる液状肥料として前記処理槽から前記処理容器に回収する2次回収制御部とを備える。この形態の肥料化システムによっても、既述した効果を奏することができる。
なお、上記した動物肉片は、害獣の肉片の他、解体された食肉用家畜の非食用部位や非利用部位の廃棄肉片でもよく、解体後の骨付き肉片、羽毛付着状態の害鳥固体、廃棄処分される骨付き或いは骨なしの食用肉片等でもよい。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、亜臨界状態の水蒸気を用いた廃棄物の水熱処理装置、害獣処理装置や処理方法等の形態で実現することができる。
本発明の実施形態の液状肥料の製造方法に用いる水熱処理装置100の概略構成を示す説明図である。 水熱処理を含む肥料製造方法の手順を示すフローチャートである。 亜臨界処理工程に先立つ動物肉片31LMの投入の様子と処理設定の様子を模式的に示す説明図である。 亜臨界処理工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。 亜臨界中圧縮脱水工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。 貯留タンク昇圧工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。 亜臨界中脱液工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。 亜臨界環境下での再脱水工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。 液状成分回収の際の水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。 圧縮力の解除工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。 脱気工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。 取り出し工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は本発明の実施形態の液状肥料の製造方法に用いる水熱処理装置100の概略構成を示す説明図である。図示するように、本実施形態による水熱処理装置100は、中空の処理装置本体1と、貯留タンク2と、中空の脱水管11と、制御装置110と、水蒸気供給機器群200とを備える。処理装置本体1は、筒状の外筒3と、排気管4と、吸気管5と、排液管6と、蓋部7と、固定治具8と、回転スライド機構9と、シャフト10と、脱水管11とを有して構成されている。貯留タンク2は、処理装置本体1の下方側に配設され、処理装置本体1の底部から排出される液体、即ち被処理物から脱水分離した液状成分を処理装置本体1から回収して貯留する。この貯留タンク2は、給排気管21と給液管22とを備え、給液管22を開閉バルブ23を介して処理装置本体1の排液管6と連結させている。この他、貯留タンク2は、重力方向に沿った下部側に、ドレン管24を備え、管路途中の開閉バルブ24aの開弁を経て、タンク内の液体を排出する。こうして排出された液状成分は、ビンやプラスチックタンク等に詰められて液状肥料として流通する。この場合、ドレン管24を開閉バルブ24aより下流で図示しない固液分離機器に接続し、この固液分離機器で分離された液状成分を液状肥料として流通するようにしてもよい。このように固液分離機器を用いれば、後述の水熱処理の際に脱水管11の開口部11bを通過した小径の固形成分を、液状成分から分離できる。
処理装置本体1の外筒3は円筒形状の部分を有し、その円筒形状の回転スライド機構9側の一端にフランジ部3aが設けられている。外筒3のフランジ部3aとは反対側の一端には、固定治具8によって、蓋部7が固定されている。そして、この固定治具8で蓋部7が固定された状態において、処理装置本体1は、外筒3の内部領域において中空となり、固定治具8にて、蓋部7を後述の脱水管蓋部11aと共に外筒3から取り外すことができる。
脱水管11は、外筒3に沿った有底の円筒形状をなし、外筒3の内部に正逆回転自在に配設される。この脱水管11は、その円筒周壁に、複数の開口部11bを備え、固定治具8の側の解放端の側に脱水管蓋部11aを着脱自在に備える。脱水管蓋部11aは、外筒3の蓋部7に連結されており、蓋部7を外筒3から取り外すときに、併せて脱水管蓋部11aも脱水管11から取り外すことができる。よって、脱水管蓋部11aが固定治具8にて蓋部7と共に取り外された状態で、脱水管11には被処理物が投入可能となり、脱水管11は、被処理物が投入された状態で処理装置本体1に収納され、後述の水蒸気供給機器群200により、外筒3の内部において、被処理物と共に亜臨界雰囲気下に置かれる。脱水管11の内部には、ピストン12が配設されており、このピストン12は、ピストン外周壁と脱水管内周壁のキーとキー溝等により脱水管11と係合された上、脱水管11の円筒の内面に沿って摺動(スライド)自在とされている。そして、シャフト10が、フランジ部3aおよび脱水管11の底部を貫通して、このピストン12に連結されている。外筒3および脱水管11は、その長手方向が水平であり、この長手方向に平行なシャフト10の長手方向が重力に対してほぼ垂直になる横型に設置されており、外筒3の内部においては、重力に従った下側の円筒部分が外筒3の底部となる。
回転スライド機構9は、ピストン12から延びたシャフト10と係合し、内蔵する図示しないギヤ機構により、シャフト10の長手方向に沿った前後退のスライド運動とシャフト10の軸を中心とした正逆の回転運動とを、それぞれ単独で、或いは並行して実行可能に構成されている。ピストン12は、既述したように脱水管11と係合していることから、回転スライド機構9によるシャフト10の回転運動により、脱水管11は、ピストン12と共に回転する。ピストン12と脱水管11の係合は、図1に示す脱水管11の底部の原位置の他、後述の圧縮終端位置、圧縮解放位置においても維持されるので、図1の原位置での回転スライド機構9によるシャフト10の回転運動により、脱水管11は、ピストン12と共に回転し、投入済みの被処理物を攪拌する。後述の圧縮終端位置や圧縮解放位置においても、脱水管11は、ピストン12と共に、回転スライド機構9により回転運動する。この他、ピストン12は、回転スライド機構9によって、シャフト10の長手方向に沿って単独で、脱水管11の内部をスライド駆動する。なお、回転スライド機構9による上記したスライド運動や回転運動は、後述の制御装置110の制御下でなされる。
排気管4は、外気側の一端に開閉バルブ4aを備え、当該バルブの開弁を経て、外筒3の内部を外気や外部装置に開放する。吸気管5は、水蒸気供給機器群200と接続されており、水蒸気供給機器群200が生成する高温・高圧の亜臨界状態の水蒸気を処理装置本体1の内部に導入する。この水蒸気導入のタイミングは、後述の制御装置110にて設定され、制御装置110の制御下で、処理装置本体1の内部は、亜臨界状態の水蒸気により亜臨界雰囲気となる。排液管6は、処理装置本体1の下方側に配設された貯留タンク2と処理装置本体1の底部とを結ぶ管路を給液管22と共に形成し、開閉バルブ23の開弁を経て、外筒3の内部の液体、即ち被処理物から脱水分離した液状成分を貯留タンク2に導く。また、貯留タンク2の給排気管21は、その一端に開閉バルブ21aを備え、当該バルブを介して水蒸気供給機器群200と接続されており、水蒸気供給機器群200が生成する高温・高圧の亜臨界状態の水蒸気を貯留タンク2の内部に導入する。この水蒸気導入のタイミングは、後述の制御装置110にて設定され、制御装置110の制御下で、貯留タンク2の内部は亜臨界状態の水蒸気により加圧され、貯留タンク2は、処理装置本体1の亜臨界雰囲気と等圧とされる。開閉バルブ21aは、いわゆる三方弁として構成されて給排気管21を水蒸気供給機器群200に繋ぐほか、給排気管21を大気解放管21bとも接続し、貯留タンク2の内部の水蒸気を給排気管21と大気解放管21bを経て大気放出する。上記した各種バルブは、制御装置110にて駆動制御される。
制御装置110は、論理演算を実行するCPUや、ROM、RAMを有するコンピューターとして構成され、水熱処理装置100を統括制御する。つまり、この制御装置110は、図示しない各種スイッチやセンサーの入力の他、処理条件設定装置120からの入力を受けつつ、既述した各種バルブを開閉制御すると共に、水蒸気供給機器群200からの亜臨界状態の水蒸気の導入制御、回転スライド機構9の駆動制御を実行する。処理条件設定装置120は、水熱処理装置100で水熱処理に処する動物肉片の性状、例えばイノシシ、鹿、カラス等の害獣種別や、頭部、脚部等の肉片部位に応じた種々の水熱処理条件(処理温度や後述の1次回収タイミングを含む)を、操作者の操作を経て制御装置110に出力する。この詳細については、後述する。
次に、以上のように構成された本実施形態の水熱処理装置100でなされる水熱処理を適用した肥料製造方法について説明する。図2は水熱処理を含む肥料製造方法の手順を示すフローチャート、図3は亜臨界処理工程に先立つ動物肉片31LMの投入の様子と処理設定の様子を模式的に示す説明図、図4は亜臨界処理工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。なお、図4では、理解の便を図るため、処理装置本体1については、透視して内部の様子を示している。図5以降においても同様である。
図2に示す水熱処理の実行に先立って、制御装置110は、開閉バルブ23等の各種バルブを閉弁制御すると共に、固定治具8を開放駆動して、動物肉片31LMの投入を待機する。操作者は、図3に示すように、蓋部7および脱水管蓋部11aを取り外して、脱水管11の内部に被処理物としての動物肉片31LMを脱水管11に投入する。肉片投入に当たっては、動物肉片31LMは脱水管11の開口より小さくされていればよく、一つの肉塊状として投入できるほか、複数個の肉塊ごとに順次投入したり、複数個の肉塊の集合体として投入することもできる。つまり、動物肉片31LMが捕殺した害獣であれば、その害獣を脱水管11に投入可能な大きさに切断等すればよい。また、動物肉片31LMを含む廃棄物を脱水管11に投入してもよい。操作者は、こうした肉片投入と前後して設定処理条件を処理条件設定装置120を用いて設定する。つまり、操作者は、図3に示すように、水熱処理に今回処する動物肉片31LMの種別や部位、骨のあるなし、逐次回収のあるなしと逐次回収する際の1次回収時間(1次回収タイミング)、2次回収時間(2次回収タイミング)等を、処理条件設定装置120を操作して設定する。1次回収時間は、水熱処理を開始してからの経過時間であり、通常、10〜30分の範囲において分単位で設定される。2次回収時間も同様であり、この2次回収時間は、1次回収時間より長い時間、例えば40〜120分の範囲において設定される。逐次回収を行わない設定(逐次回収無し)を設けたのは、動物肉片31LMとは異なる被処理物、例えば食品残渣、木くず、紙くず、生ゴミ、食料残飯等や、有機物を含む有機性汚泥であれば、1次回収・2次回収といった逐次回収は無用であり、これらの水熱処理にも水熱処理装置100を利用できるようにするためである。この場合、水熱処理装置100が動物肉片31LMのみを水熱処理するのであれば、逐次回収を行わない設定は不要となる。操作者は、肉片投入に加えて条件設定すると、処理条件設定装置120の図示しないスタートスイッチを操作するので、制御装置110は、このスタートスイッチの操作を経て、図2の水熱処理を実行する。
図2に示すように、本実施形態による水熱処理方法においては、まず、亜臨界処理工程を行う(ステップST1)。この亜臨界処理工程では、制御装置110は、図4に示すように、蓋部7および脱水管蓋部11aを閉めて固定治具8により外筒3と蓋部7とを密着固定させて外筒3の内部を密閉する。これ以降において、亜臨界処理がなされる。
制御装置110は、処理条件設定装置120にて設定された水熱処理条件を読み込むと共に、排気管4の開閉バルブ4a、排液管6の開閉バルブ23、給排気管21の開閉バルブ21a、およびドレン管24の開閉バルブ24aを閉状態に維持しつつ、水蒸気供給機器群200から吸気管5を通じて、高温・高圧の亜臨界状態の水蒸気を処理装置本体1の内部、詳しくは外筒3の内部に導入する。ここで、本実施形態においては、水蒸気供給機器群200から供給する水蒸気の温度を133℃以上212℃以下、具体的には例えば210℃とする。これによって、外筒3の内部が高温・高圧で亜臨界状態の水蒸気で満たされるとともに、脱水管11の内部にも円筒部分の開口部11bを通じて水蒸気が浸入して、高温高圧で亜臨界状態の水蒸気で満たされる。つまり、処理装置本体1は、導入された亜臨界状態の水蒸気により、その内部が亜臨界雰囲気とされ、脱水管11にあっては、動物肉片31LMが投入された状態で処理装置本体1に収納されて、動物肉片31LMと共に亜臨界雰囲気下に置かれることになる。本実施形態では、この亜臨界雰囲気を亜臨界処理工程に亘って維持しており、その圧力は、0.1MPa以上22.1MPa以下、好適には、0.2MPa以上1.6MPa以下、より好適には、0.7MPa以上1.1MPa以下、具体的には例えば0.9MPaとし、温度については、これを、120℃以上200℃以下、好適には、160℃以上180℃以下、具体的には例えば170℃とした。これら圧力・温度は、処理条件設定装置120にて設定された動物肉片31LMの種別や部位等に応じて予め規定されて制御装置110に記憶されているので、制御装置110は、これを読み込んで圧力設定・温度設定を行う。
制御装置110は、この亜臨界雰囲気において、回転スライド機構9を駆動制御して、シャフト10をその軸中心に正逆回転させる。ピストン12は、図示する原位置に位置して脱水管11と既述したように係合していることから、シャフト10の正逆回転は、ピストン12を介して脱水管11に伝達される。これにより、脱水管11は、動物肉片31LMを収納したまま正逆回転、即ち揺動し、動物肉片31LMを攪拌するので、動物肉片31LMの全体に亘って、亜臨界状態の水蒸気が動物肉片31LMの各所に行き渡る。これによって、動物肉片31LMに対する亜臨界処理、即ち亜臨界雰囲気下での動物肉片31LMの水熱処理が行われる。この亜臨界処理工程がなされている間において、外筒3の底部には、供給された水蒸気が凝集したり、動物肉片31LMから水分などの液状成分が漏出したりすることによって、処理水32が貯留する。
次に、図2に示すように、亜臨界中圧縮脱水工程を行う(ステップST2)。亜臨界処理工程から亜臨界中圧縮脱水工程への推移は、制御装置110の計測した経過時間に応じてなされる。後述するように、ステップST1以降の処理は、処理条件設定装置120で逐次回収(1次回収、2次回収)が設定済みであれば、繰り返される。よって、今回のステップST2の亜臨界中圧縮脱水工程が最初のものであれば、この亜臨界中圧縮脱水工程は、処理条件設定装置120で設定された1次回収時間(例えば、10〜30分の範囲の時間)が経過する以前になされる。図5は亜臨界中圧縮脱水工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。この亜臨界中圧縮脱水工程においては、既述した亜臨界処理工程で発現させた亜臨界雰囲気を処理装置本体1にて維持したまま、制御装置110は、回転スライド機構9を駆動制御してシャフト10を外筒3の内部に向けて前進スライドさせる。この際、制御装置110は、回転スライド機構9によるシャフト10の回転を起こさない。これにより、ピストン12が脱水管蓋部11aに向かってスライド移動して、ピストン12と脱水管蓋部11aとの間で動物肉片31LMが圧縮され、脱水処理が行われる。この際のピストン12の位置が既述した圧縮終端位置となる。この圧縮終端位置まで前進スライドしたピストン12により動物肉片31LMが脱水管11の内部で圧縮されると、動物肉片31LMに含まれる水分などの液状成分(脱水ろ液)が脱水管11の開口部11bを通じて排出される。これにより、外筒3内にさらに処理水32が貯留される。この亜臨界雰囲気を維持したままの亜臨界中圧縮脱水工程では、亜臨界雰囲気においてステップST1の水熱処理(亜臨界処理)を受けた動物肉片31LMから液状成分が圧縮を経て脱水分離され、その分離した液状成分を処理水32として処理装置本体1の底部に導くことになる。
このとき、亜臨界処理がされた動物肉片31LMの内部に含まれる液体状の水分の粘度は、処理装置本体1が亜臨界雰囲気下にあって高温高圧である故に、見かけ上、低下する。このため、亜臨界処理がされた動物肉片31LMを、亜臨界状態の高温高圧雰囲気において圧縮脱水することにより、圧縮による脱水性を向上させることができ、高温高圧の亜臨界状態を脱水処理に有効利用することができる。
次に、貯留タンク昇圧工程を行う(ステップST3)。亜臨界中圧縮脱水工程から貯留タンク昇圧工程への推移は、制御装置110の計測した経過時間等に応じてなされる。この貯留タンク昇圧工程にあっても、今回が最初のものであれば、処理条件設定装置120で設定された1次回収時間が経過する以前になされる。図6は貯留タンク昇圧工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。この貯留タンク昇圧工程においては、処理装置本体1の内部にあっては既述した亜臨界雰囲気を維持したまま、制御装置110は、給排気管21の開閉バルブ21aを駆動制御して、水蒸気供給機器群200から給排気管21を通じて、高温・高圧の亜臨界状態の水蒸気を貯留タンク2の内部に導入する。これにより、貯留タンク2の内部は、加圧され、処理装置本体1における亜臨界雰囲気と等圧となる。
次に、図2に示すように、亜臨界中脱液工程を行う(ステップST4)。貯留タンク昇圧工程から亜臨界中脱液工程への推移は、制御装置110の計測した経過時間、或いは図示しないセンサーにて計測した処理装置本体1と貯留タンク2の内圧対比(等圧化)等に応じてなされる。この亜臨界中脱液工程にあっても、今回が最初のものであれば、処理条件設定装置120で設定された1次回収時間が経過する以前になされる。図7は亜臨界中脱液工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。この亜臨界中脱液工程においては、制御装置110は、まず、開閉バルブ21aを閉弁制御して、貯留タンク2への水蒸気導入を停止し、その後、開閉バルブ23を開弁制御する。これにより、処理装置本体1にあっては既述した亜臨界雰囲気が維持されたまま、処理装置本体1と貯留タンク2とが等圧の状況下で、処理装置本体1の底部から、ここに貯まっていた処理水32が、自重により排液管6と給液管22を結ぶ流出経路32rに沿って貯留タンク2に排出される。貯留タンク2では、処理装置本体1からの処理水32の排水に伴い、タンク内の処理水32の水位が上昇し、処理装置本体1の底部に貯まっていた処理水32は、全て貯留タンク2に排出される。
次に、図2に示すように、亜臨界環境下での再脱水工程を行う(ステップST5)。亜臨界中脱液工程から亜臨界環境下での再脱水工程への推移は、制御装置110の計測した経過時間に応じてなされる。この亜臨界環境下での再脱水工程は、動物肉片31LMから分離した液状成分たる処理水32の貯留タンク2への排出を完了させる。よって、今回の亜臨界環境下での再脱水工程が最初のものであれば、この亜臨界環境下での再脱水工程は、計測経過時間が処理条件設定装置120で設定された1次回収時間に達するとなされる。
図8は亜臨界環境下での再脱水工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。この亜臨界環境下での再脱水工程においては、制御装置110は、開閉バルブ21aの閉弁制御と開閉バルブ23の開弁制御を継続して亜臨界雰囲気のまま、回転スライド機構9を駆動制御して、シャフト10をその軸中心に例えば正回転させる。ピストン12は、図示する圧縮終端位置に位置して脱水管11と既述したように係合していることから、シャフト10の回転は、ピストン12を介して脱水管11に伝達される。これにより、脱水管11は、動物肉片31LMをピストン12にて圧縮したまま回転する。制御装置110は、この亜臨界環境下での再脱水工程でシャフト10を高速回転させるので、ピストン12にて圧縮状態の動物肉片31LMには大きな遠心力が作用する。これにより、動物肉片31LMに残存していた液状成分は、動物肉片31LMから遠心脱水されて開口部11bを通過し、図示する内部流出流32ruのように処理装置本体1の底部に到って、既述した流出経路32rを経て貯留タンク2に流れ込む。この際、貯留タンク2は、処理装置本体1と等圧状況であることから、動物肉片31LMから遠心脱水された液状成分は、脱水管11の開口部11bおよび流出経路32rを経て円滑に貯留タンク2に流れ込む。また、処理装置本体1は、亜臨界雰囲気下にあり高圧であることから、動物肉片31LMに残存する液状成分には既述したように見かけ上の粘度低下が起きるので、このことからも、動物肉片31LMからの液状成分の遠心脱水は促進される。
上記した亜臨界環境下での再脱水工程の完了と共に、液状成分回収がなされる(ステップST6)。図9は液状成分回収の際の水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。この液状成分回収では、制御装置110は、開閉バルブ23の閉弁制御に続いて開閉バルブ21aを切換制御すると共に、回転スライド機構9によるシャフト10の高速回転を停止制御する。開閉バルブ21aの切換制御は、給排気管21を大気解放管21bに連通する切換制御である。開閉バルブ23と開閉バルブ21aの上記制御により、貯留タンク2は、タンク内部が大気圧となるので、制御装置110は、開閉バルブ24aを開弁制御して、貯留タンク2に処理装置本体1から回収した液状成分たる処理水32を、初期液状肥料(1次液状肥料)として貯留タンク2から排出する。この場合、開閉バルブ24aの開弁制御を、図示しない回収開始スイッチの操作者による操作を経て行うようにしてもよい。こうして排出された液状成分たる初期液状肥料(1次液状肥料)は、ビンやプラスチックタンク等に詰められて液状肥料として流通する。なお、水熱処理装置100の処理装置本体1は、この液状成分回収の間にあっても高温・高圧の亜臨界雰囲気に維持されている。また、制御装置110は、液状成分の回収後に、図示しない回収完了スイッチの操作者による操作を経て、開閉バルブ24aを閉弁制御する。
制御装置110は、液状成分回収の開始後に、或いは回収完了後に、液状成分の継続回収の要否を、処理条件設定装置120での回収設定(図3参照)に基づいて判定する(ステップST7)。ここで肯定判定すれば、上記のステップST1〜ST6までの各工程は、液状成分の1次回収に伴うものであったことから、液状成分の2次回収を図るべく、液状成分の1次回収終了後にステップST1に移行して、上記各工程を再度実行する。こうして再実行されたステップST6では、貯留タンク2に処理装置本体1から回収した液状成分たる処理水32を、初期液状肥料(1次液状肥料)とは異なる液状肥料(2次液状肥料)として排出し、初期液状肥料(1次液状肥料)とは異なる2次液状肥料は、初期液状肥料(1次液状肥料)とは別にビンやプラスチックタンク等に詰められて流通する。
ステップST7での否定判定は、液状成分の2次回収も完了した場合と、処理条件設定装置120で逐次回収が不要と設定(図3参照)された場合である。よって、これらの場合には、水熱処理を終了すべく、図2に示すように、脱水に関与していた圧縮力を解除する解除工程を行う(ステップST8)。この圧縮力の解除工程は、ステップST7の液状成分の回収完了、具体的には、液状成分の回収後に実行される開閉バルブ24aの閉弁制御に続いて実行される。図10は圧縮力の解除工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。この圧縮力の解除工程においては、制御装置110は、開閉バルブ23の閉弁を維持して処理装置本体1を亜臨界雰囲気に維持したまま、回転スライド機構9を駆動制御してシャフト10を既述した図8の圧縮終端位置から後退スライドさせる。これにより、ピストン12は圧縮終端位置よりも脱水管蓋部11aから離れるので、ピストン12により動物肉片31LMに付与されていた圧縮力は解除される。こうして圧縮力が解除されたピストン12の位置は、圧縮解除位置となる。なお、シャフト10の高速回転に伴う遠心力は、亜臨界環境下での再脱水工程の完了時点で既に解除されている。そして、上記した圧縮力解除により、動物肉片31LMは、亜臨界雰囲気下におかれているとは言え、汚泥の固形成分が非圧縮となることにより、その自重により圧縮形状を崩して脱水管11の底部に広がり、その表面積は拡大する。
次に、図2に示すように、脱気工程を行う(ステップST9)。圧縮力の解除工程から脱気工程への推移は、制御装置110の計測した経過時間等に応じてなされる。図11は脱気工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。この脱気工程においては、制御装置110は、排気管4の開閉バルブ4aの開弁制御と、給排気管21の開閉バルブ21aの切換制御維持と、ドレン管24の開閉バルブ24aの閉弁制御維持とを行う。これらのバルブ制御を伴う脱気工程では、外筒3の内部の水蒸気放出がなされ、外筒3の内部は、その内圧が亜臨界状態の高温高圧雰囲気による雰囲気圧未満の所定の圧力、具体的には例えば大気圧まで低下する。
次に、図2に示すように、取り出し工程を行う(ステップST10)。脱気工程から取り出し工程への推移は、制御装置110の計測した経過時間、或いは図示しないセンサーにて計測した処理装置本体1の内圧(大気圧化)等に応じてなされる。図12は取り出し工程における水熱処理装置100の駆動の様子を模式的に示す説明図である。この取り出し工程においては、制御装置110は、固定治具8による蓋部7の固定解除制御と、回転スライド機構9の駆動制御によるシャフト10の後退スライドとを行う。この両制御は、同時並行的になされてもよく、順次実行されてもよい。固定治具8の固定解除制御により、外筒3からの蓋部7の取り外しと、脱水管11からの脱水管蓋部11aの取り外しがなされるので、圧縮脱水と遠心脱水を受けた動物肉片31LMの脱水ケーキが脱水管11から取り出される。この動物肉片31LMの脱水ケーキは、焼却処分又は埋め立て処理がされる。また、シャフト10の後退スライドにより、ピストン12は、図に示す原位置に復帰するので、次回の水熱処理に備え、脱水管11へは新たに処理される動物肉片31LMの投入が可能となる。上記した脱水管蓋部11aの取り外し後の脱水ケーキの取り出しの際、制御装置110の制御下で回転スライド機構9によりシャフト10を前進スライドさせ、ピストン12にて脱水ケーキを脱水管11の開口端側に押し出すことができる。こうすれば、脱水ケーキの取り出しが容易となる。そして、この押出のための前進スライドを行った後、後退スライドによりピストン12を原位置に復帰させればよい。なお、制御装置110は、開閉バルブ4a等の各種バルブを全て閉状態に駆動制御し、次回の亜臨界処理工程の開始に備える。
以上説明した本実施形態の動物肉片31LMからの液状肥料の製造方法は、上記構成を備える水熱処理装置100でなされる水熱処理を主要工程とし、まず、動物肉片31LMを、亜臨界状態の水蒸気により亜臨界雰囲気とされた処理装置本体1で水熱処理する(ステップST1)。次いで、この水熱処理を処理条件設定装置120で設定された1次回収時間(図3参照:例えば10分)に亘って継続し、この間において水熱処理を受けた動物肉片31LMから分離された液状成分を、1次液状肥料として処理装置本体1から貯留タンク2に回収する(ステップST2〜ST6)。こうした1次液状肥料としての液状成分の1次回収後、本実施形態の動物肉片31LMからの液状肥料の製造方法は、処理装置本体1による動物肉片31LMの水熱処理を継続して(再度のステップST1)、1次回収後に継続した水熱処理が処理条件設定装置120で設定された2次回収時間(図3参照:例えば100分)に達すると、この間において水熱処理を受けた動物肉片31LMから分離された液状成分を、1次液状肥料とは異なる2次液状肥料として処理装置本体1から貯留タンク2に2次回収する(再度のステップST2〜ST6)。このように、本実施形態の動物肉片31LMからの液状肥料の製造方法では、水熱処理を受けた動物肉片31LMから分離された液状成分を2度に亘り回収して、それぞれ回収した液状成分を異なる液状肥料とする。
本実施形態の動物肉片31LMからの液状肥料の製造方法によれば、次の利点がある。動物肉片31LMの水熱処理は、亜臨界状態の水蒸気により亜臨界雰囲気とされた処理装置本体1でなされ、動物肉片31LMの含有成分たるタンパク質は、水熱処理が開始された当初の処理期間において低分子化され、低分子の状態で液状成分に混じり込む。よって、本実施形態の動物肉片31LMからの液状肥料の製造方法によれば、1次回収にて得た液状成分を、低分子の状態でタンパク質を高濃度で含む1次液状肥料とできる。また、水熱処理が継続されるにつれて、タンパク質は熱による変性もしくは分解を起こして液状成分に混じり込んだり、窒素系の微小な固形物に推移する。よって、本実施形態の動物肉片31LMからの液状肥料の製造方法によれば、1次回収後に継続して水熱処理を受けた動物肉片31LMから2次回収にて回収した液状成分を、1次液状肥料に比べてタンパク質濃度が低いとは言え、有機系の液状肥料とできる。しかも、本実施形態の動物肉片31LMからの液状肥料の製造方法によれば、動物肉片31LMを処理装置本体1にて水熱処理に処せばよく、微生物による発酵等を要しないので、高い処理効率で液状肥料を低コストで製造できる。
本実施形態の動物肉片31LMからの液状肥料の製造方法は、1次液状肥料を得るための1次回収時間を、動物肉片31LMの種別や部位、骨のあるなしといった肉片性状に応じて長短設定する。よって、水熱処理される動物肉片の性状が変わっても、低分子の状態でタンパク質を高濃度で含む1次液状肥料を、安定した品質で定常的に製造できるほか、1次回収時間の設定を通して、タンパク質の濃度や低分子化の状態が多様な液状肥料を容易に製造できる。
本実施形態の動物肉片31LMからの液状肥料の製造方法によれば、農作物や森林生態系に被害をもたらす獣害として捕殺された野生の鹿やイノシシ、カラス等の鳥獣を、脱水管11に投入可能な大きさに大まかに切断等すれば、その動物肉片31LMから有益な液状肥料を製造できる。よって、本実施形態の動物肉片31LMからの液状肥料の製造方法によれば、害獣の肉片の有効利用のみならず、害獣対策も促進できる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記した実施形態の液状肥料の製造方法に用いる水熱処理装置100では、圧縮脱水を受けた動物肉片31LMに回転遠心力を付与して液状成分を脱水分離するが(再脱水工程:ステップST5:図8)、この再脱水工程を省略して、ステップST4の亜臨界中脱液工程に続いてステップST6の液状成分回収を行うようにしてもよい。こうしても、ステップST2で圧縮脱水済みの動物肉片31LMから分離した液状成分を液状肥料として回収できる。
上記した本実施形態の液状肥料の製造方法に用いる水熱処理装置100では、貯留タンク2の加圧を亜臨界状態の水蒸気導入により図るようにしたが、高圧空気を貯留タンク2に導入してタンク加圧を図るようにしてもよい。
上記した本実施形態の液状肥料の製造方法に用いる水熱処理装置100では、圧縮力の解除工程(ステップST8)において、ピストン12の後退スライドを行ったが、この後退スライドに加え、脱水管11の揺動を起こすようにしてもよい。つまり、まずは既述したようにピストン12を圧縮解除位置まで後退スライドさせ、このピストン位置において、回転スライド機構9によりシャフト10を正逆回転させる。こうすると、ピストン12を圧縮解除位置に位置させたまま、脱水管11は、ピストン12と共に正逆回転して揺動するので、ピストン12の後退スライドにより圧縮形状を崩した動物肉片31LMは、脱水管11において攪拌されて形状がより崩れるので、表面積は更に拡大する。この際、処理装置本体1は、亜臨界雰囲気のままであるので、圧縮力の解除工程に続く脱気工程(ステップST9)での減圧脱水は、より一層促進される。よって、圧縮力の解除工程において、ピストン12の後退スライドに加え、脱水管11の揺動を起こす実施形態によれば、含水率をより一層、且つ確実に低減できる。
上記した本実施形態の液状肥料の製造方法に用いる水熱処理装置100では、貯留タンク昇圧工程(ステップST3)において、貯留タンク2を加圧して処理装置本体1と等圧化を図ったが、亜臨界処理工程(ステップST1)の際に、貯留タンク2を処理装置本体1と等圧にしてもよい。つまり、亜臨界処理工程(ステップST1)の際に、排液管6の開閉バルブ23を開放し、ドレン管24の開閉バルブ24aと給排気管21の開閉バルブ21aとを閉鎖しておき、水蒸気供給機器群200から処理装置本体1に導入される亜臨界状態の水蒸気の一部を予め貯留タンク2に導入する。その上で、処理装置本体1での水熱処理のための回転スライド機構9の駆動前に、開閉バルブ23を閉鎖する。こうすれば、水蒸気供給機器群200から給排気管21に到る管路を用いなくても、貯留タンク2を処理装置本体1と等圧化できる。
上記した本実施形態の液状肥料の製造方法に用いる水熱処理装置100では、捕殺された害獣の動物肉片31LMを水熱処理に処して液状肥料を製造したが、食用家畜の解体施設で廃棄処分とされる肉片や、残飯としての肉片、賞味期限切れ等で廃棄処分とされる肉片、家畜伝染病に感染して死亡または殺処分された家畜の肉片等を水熱処理に処して液状肥料を製造してもよい。この場合、動物肉片31LMは処理装置本体1の脱水管11に投入可能な大きさであればよく、例えば、殺処分された家畜や捕殺された害獣を切断等すること無く、殺処分或いは捕殺した形態のまま処理装置本体1にて水熱処理に処し、液状肥料を得るようにしてもよい。こうすると、廃棄物たる殺処分された家畜や捕殺された害獣の廃棄処理が簡便となる。
上記した本実施形態の液状肥料の製造方法に用いる水熱処理装置100では、初期液状肥料(1次液状肥料)と2次液状肥料とを別々にビンやプラスチックタンク等に詰めて流通させる。液状肥料を必要とする農作物は多種多様であり、低分子の状態のタンパク質に富む液状肥料(1次液状肥料)に、熱による変性もしくは分解を起こしたタンパク質を含んだり窒素系の微小な固形物を含んだ有機系の2次液状肥料を配合した液状肥料が適した農作物も存在し得る。よって、こうした農作物の特性に合わせた配合比で1次液状肥料と2次液状肥料とを混合した液状肥料を得るようにしてもよい。
また、上記した実施形態では、遠心脱水と圧縮脱水を併用した脱水機構を備える処理装置本体1を用いたが、これに限らない。つまり、亜臨界状態の水蒸気を用いた水熱処理により得られた液状成分を、既述したように1次回収、2次回収できればよく、他の形態の脱水機構を有する水熱処理装置や、脱水機構を備えない水熱処理装置を用いてもよい。
1…処理装置本体
2…貯留タンク
3…外筒
3a…フランジ部
4…排気管
4a…開閉バルブ
5…吸気管
6…排液管
7…蓋部
8…固定治具
9…回転スライド機構
10…シャフト
11…脱水管
11a…脱水管蓋部
11b…開口部
12…ピストン
21…給排気管
21a…開閉バルブ
21b…大気解放管
22…給液管
23…開閉バルブ
24…ドレン管
24a…開閉バルブ
31LM…動物肉片
32…処理水
32r…流出経路
32ru…内部流出流
100…水熱処理装置
110…制御装置
120…処理条件設定装置
200…水蒸気供給機器群

Claims (4)

  1. 液状肥料の製造方法であって、
    動物肉片を含む廃棄物を、亜臨界状態の水蒸気により亜臨界雰囲気とされた処理槽で水熱処理する水熱処理工程と、
    所定の処理時間に亘って前記水熱処理を受けた前記廃棄物から分離された液状成分を、1次液状肥料として前記処理槽から回収する1次回収工程と、
    該1次回収工程での前記液状成分の回収後において継続して前記水熱処理を受けた前記廃棄物から分離された液状成分を、前記1次液状肥料とは異なる液状肥料として前記処理槽から回収する2次回収工程とを備える、液状肥料の製造方法。
  2. 前記1次回収工程では、前記処理時間が前記廃棄物に含まれる前記動物肉片の性状に応じて長短設定可能とされている請求項1に記載の液状肥料の製造方法。
  3. 前記廃棄物は、害獣の肉片を前記動物肉片として含む請求項1または請求項2に記載の液状肥料の製造方法。
  4. 動物肉片を含む廃棄物から液状肥料を得る肥料化システムであって、
    亜臨界状態の水蒸気により亜臨界雰囲気とされた処理槽を有し、該処理槽に投入された動物肉片を含む廃棄物を、前記処理槽で水熱処理する水熱処理装置と、
    該水熱処理を受けた前記廃棄物から分離された液状成分を貯留する処理容器と、
    該処理容器の前記液状成分を固液分離する分離機構と、
    所定の処理時間に亘って前記水熱処理を受けた前記廃棄物から分離された液状成分を、1次液状肥料として前記処理槽から前記処理容器に回収する1次回収制御部と、
    該1次回収制御部での前記液状成分の回収後において継続して前記水熱処理を受けた前記廃棄物から分離された液状成分を、前記1次液状肥料とは異なる液状肥料として前記処理槽から前記処理容器に回収する2次回収制御部とを備える、肥料化システム。
JP2014119323A 2014-06-10 2014-06-10 液状肥料の製造方法と肥料化システム Pending JP2015231925A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014119323A JP2015231925A (ja) 2014-06-10 2014-06-10 液状肥料の製造方法と肥料化システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014119323A JP2015231925A (ja) 2014-06-10 2014-06-10 液状肥料の製造方法と肥料化システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015231925A true JP2015231925A (ja) 2015-12-24

Family

ID=54933676

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014119323A Pending JP2015231925A (ja) 2014-06-10 2014-06-10 液状肥料の製造方法と肥料化システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015231925A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019026532A (ja) * 2017-08-02 2019-02-21 学校法人明治大学 液肥の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019026532A (ja) * 2017-08-02 2019-02-21 学校法人明治大学 液肥の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8365433B2 (en) Apparatus and method for treating organic waste and organic material obtained by the treatment method
KR100772008B1 (ko) 증기에 의한 유기성 폐기물 처리장치 및 그 방법
CN104368588A (zh) 病死动物干化化制法无害化处理装置及其处理方法
KR101449408B1 (ko) 동물 사체 파쇄 및 건조장치
AU2010208515A1 (en) Apparatus and method for oil and fat extraction
CN103624067A (zh) 病、死动物及不合格肉制品无害化处理方法及其处理系统
KR101801268B1 (ko) 동물사체 처리장치
KR102438486B1 (ko) 폐기한 동,식물 등 유기 폐기물의 처리 및 자원화 장치
JP2015231925A (ja) 液状肥料の製造方法と肥料化システム
JP6255623B2 (ja) 有機物含有廃棄物の処理方法と処理システム
JP2009226357A (ja) 亜臨界抽出装置
GB2472599A (en) Thermal treatment of waste
KR101195966B1 (ko) 부화 부산물을 이용한 사료 및 제조방법
CN210497622U (zh) 干法化制畜禽无害化处理系统
US20140348723A1 (en) Method and apparatus for sterilizing infectious material
KR101075415B1 (ko) 음식물쓰레기에서의 지방성분 분리 공정 응용 방법
JP6197997B2 (ja) 水熱処理装置
KR102118717B1 (ko) 폐사가축의 렌더링 시스템
US20080050274A1 (en) Process for treating medical waste
JP2004359875A (ja) 医療関係廃棄物を固形燃料化する方法及びそのプラント
KR100688279B1 (ko) 음식물 쓰레기 자원화 시스템
US11491490B1 (en) Organic waste management system
JP2005081262A (ja) 含水物処理装置及び含水物処理方法及び同方法で生成した燃料並びに同方法で生成した肥料
KR19980701915A (ko) 폐기물 등의 물질의 처리방법 및 장치
CN110506898A (zh) 动物骨汽爆液化系统