JP2015231338A - 非ヒト霊長類を用いた内包脳卒中モデル動物、およびその作成方法 - Google Patents

非ヒト霊長類を用いた内包脳卒中モデル動物、およびその作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 内包領域内の一部に血管障害を有する脳卒中モデル動物であって内包領域内の血管障害に由来する機能障害の機能回復のための治療法を評価することのできる脳卒中モデル動物を作出することを課題とする。
【解決手段】 脳の内包領域の一部に血管障害を有し、それにより血管障害を有する内包領域の一部に対応する身体の機能に障害を有する、非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部。
【選択図】なし

Description

本発明は、内包領域に血管障害を有する非ヒト霊長類モデル動物、当該モデル動物の作成方法、当該モデル動物を用いたスクリーニング方法、および当該モデル動物を用いた機能回復訓練の評価方法に関する。
現在、日本人の死因の第四位は脳卒中である。脳卒中とは、脳梗塞や脳出血により脳の血管に障害が起こることにより脳の一部が壊死してしまう病態の総称であり、脳血管障害ともいう。日本においては、数十年前と比較して脳卒中の症状が生じても命を落とさずに済むケースが増加している。しかしながら、そのような場合であっても脳卒中による重い後遺症を残すケースが多い。特に、脳内の内包とよばれる領域の血管に、血管障害が起こりやすいことが知られている。この内包領域は運動性神経線維等の様々な神経線維が走行していることでも知られており、例えば、内包領域の中で運動性神経線維が走行する部分が壊死すると、手足等の麻痺が後遺症として残ってしまう。このような後遺症は、患者のQOL(Quality of Life)を著しく低下させるため、内包領域の壊死に由来する後遺症回復のための治療法確立が長く望まれている。
これまでにライフサイエンス研究分野において、多くのモデル動物が作成されており、ライフサイエンス分野の研究の進展や特定の疾患に対する治療法の確立に貢献してきた。脳科学研究においても例外ではなく、例えば脳の損傷に由来する疾患のメカニズム解明のため、また、当該疾患の治療法確立のために多くのモデル動物が作出されてきた。
特許文献1には、脳梗塞に対する治療薬の開発に有効なモデル動物として、非ヒト霊長類のモデル動物が記載されている。より詳細には、光感受性色素を非ヒト霊長類の末梢血中に投与し、さらに当該非ヒト霊長類の大脳皮質表面に対してコールドランプを照射することにより、所望する大脳皮質(灰白質)の部位に限局的なラクナ性脳梗塞を生じさせる方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示される方法では、内包領域のような脳内深部の所望する領域に対して血管障害を起こすことができない。
上記の特許文献1の他にも脳卒中のモデル動物は存在するが、その多くは中大脳動脈と呼ばれる血管に梗塞を作成したものであり(例えば、非特許文献1)、内包領域内に血管障害を有するモデル動物は知られていない。なお、これらのモデル動物は、急性期(脳卒中の発症直後から1〜2週間以内)に血栓を溶解するための薬品の評価には使用することができる。しかしながら、これらのモデル動物では脳の損傷が大きくなってしまうため、脳の損傷により失った機能についてほとんど回復が見込めない。よって、慢性期に投与する治療薬(例えば、損傷部位以外の脳の領域で神経回路の再構成を促すための治療薬)や機能回復訓練が機能の回復を促進するか評価するためにはふさわしくない。
また、非特許文献2には、ラットの脳内における内包領域の周辺にコラゲネースIVを注入することにより出血を引き起こし、運動機能障害を有するラットを作成したことが開示されている。しかしながら、非特許文献2に作成されたモデルラットでは、内包領域の周辺に出血を起こしたものであり、当該モデル動物は内包領域以外の脳の領域に血管障害を有している。すなわち、当該モデル動物は内包領域内に限局して血管障害が生じていないため、内包領域以外の領域における血管障害の影響を排除することができない。また、脳損傷後には損傷していない他の脳の部分が機能を代償するために神経回路が再構成されることが知られている。しかしながら、内包領域周辺の領域にも血管障害を有する当該モデル動物では、内包領域損傷時の内包領域以外の領域における神経回路の再構成を正しく評価することが困難である。
また、脳卒中の後遺症を患う患者において、手先の器用な動作等の高度な機能については、麻痺の回復が特に難しいことが知られている。そして、高度な機能である故に、脳卒中の後遺症を患う患者のQOLを大きく損ねる原因となることが多い。しかしながら、このような高度な機能について、機能回復を評価できるモデル動物は現在までに知られていない。
特開2006−067852号公報
H Takamatsu et al. J Nucl Med., Vol.42, No.12, (2001) T.MASUDA et al. Nagoya Med. J., (2007) 48, 115-125
上記問題点に鑑み、本発明の課題は、内包領域内に血管障害を有する脳卒中モデル動物であって、内包領域内の血管障害に由来する機能障害を回復するための治療法を評価することのできる脳卒中モデル動物を作成することにある。
また、本発明の課題は、内包領域内の血管障害に由来する機能障害であって、かつ、高度な機能に関する機能障害についての機能回復を評価することのできる脳卒中モデル動物を作成することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑みて研究を重ねた結果、非ヒト霊長類である被験体の脳内を核磁気共鳴画像法等により画像化して内包領域を同定し、内包領域のうちの目的とする領域全体に血管障害誘導剤を注入することにより、内包領域の一部に血管障害を有する脳卒中モデル動物を作成することに成功した。
即ち、本発明は、
非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部であって、
前記脳卒中モデル動物は、脳の内包領域の一部に血管障害を有し、
それにより、血管障害を有する前記内包領域の一部に対応する身体の機能に障害を有する、脳卒中モデル動物またはその生体の一部に関する。
ここで、本発明の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の一実施の形態においては、
前記身体の機能における障害が、回復可能なものであることを特徴とする。
また、本発明の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の一実施の形態においては、
内包領域を除く他の脳の領域に血管障害を有しないことを特徴とする。
また、本発明の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の一実施の形態においては、
前記内包領域が内包後脚領域の中の上肢または下肢の運動性神経線維が走行する領域であって前記障害が上肢または下肢であることを特徴とする。
また、本発明の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の一実施の形態においては、
前記脳卒中モデル動物が、マカクザルであることを特徴とする。
また、本発明の別の態様によれば、本発明は、非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の作成方法であって、
(a)前記脳卒中モデル動物の脳のうち内包領域を含む部分を画像化して、内包領域のうちの目的の領域を同定する工程と、
(b)同定した内包領域の目的の領域に血管障害誘導剤を注入する工程と
を含むことを特徴とする、作成方法に関する。
ここで、本発明の非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の作成方法の一実施の形態においては、
前記(a)工程において、内包領域を含む部分の画像化が核磁気共鳴画像法(MRI)によって行われることを特徴とする。
また、本発明の非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の作成方法の一実施の形態においては、
上記の作成方法のうち、前記工程(b)の前に、下記の工程(a’)をさらに含むことを特徴とする;
(a’)同定した内包領域の一部に、一時的かつ可逆的に神経線維の伝達機能を阻害する薬剤を注入する工程であって、前記脳卒中モデル動物に目的とする障害が生じることを確認する工程。
また、本発明の非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の作成方法の一実施の形態においては、
前記一時的かつ可逆的に神経線維の伝達機能を阻害する薬剤が、テトロドトキシンであることを特徴とする。
また、本発明の非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の作成方法の一実施の形態においては、
前記血管障害誘導剤が、エンドセリン-1またはコラゲネースIVであることを特徴とする。
また、本発明の非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の作成方法の一実施の形態においては、上記の作成方法であって、
前記脳卒中モデル動物は脳の内包領域の目的の領域に血管障害を有することにより、前記内包領域の目的の領域に対応する身体の機能に回復可能な障害を有することを特徴とする。
また、本発明の非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の作成方法の一実施の形態においては、上記の作成方法であって、
前記脳卒中モデル動物が内包領域を除く他の脳の領域に血管障害を有しないことを特徴とする。
また、本発明の別の態様によれば、本発明は、脳卒中に由来する機能障害の機能回復ための治療薬のスクリーニング方法であって、
上記の脳卒中モデル動物に対して被験物質を投与する工程と、
前記脳卒中モデル動物が有する機能障害に対する前記被験物質の効果を測定する工程とを含む、スクリーニング方法に関する。
また、本発明の別の態様によれば、本発明は、脳卒中に由来する機能障害の機能回復のための機能回復訓練の評価方法であって、
上記の脳卒中モデル動物が機能回復訓練を行う工程と、
前記脳卒中モデル動物が有する機能障害に対する前記機能回復訓練の効果を測定する工程と
を含む、脳卒中に由来する機能障害の機能回復のための機能回復訓練の評価方法;
に関する。
本発明の脳卒中モデル動物は、内包領域内の一部に血管障害を有するため、当該血管障害に起因する機能障害を有する。すなわち、本発明の脳卒中モデル動物は、当該機能障害に対する治療法の確立に貢献することができる。特に、従来のラット等のモデル動物では、脳が小さいために核磁気共鳴画像法等を用いたとしても内包での損傷の拡がりを正しく評価するのはほぼ不可能であった。一方で、本願の脳卒中モデル動物によれば、核磁気共鳴画像法等による内包領域の画像化による評価が可能であり、治療法の確立に使用される評価系としてより好ましい。
また、本発明の脳卒中モデル動物は非ヒト霊長類であるため、回復が困難な高度な機能の後遺症についての治療薬のスクリーニングや機能回復訓練の評価をすることが可能となる。
図1は、内包後脚領域の一部へエンドセリン-1が投与されたニホンザル(脳梗塞モデル)の脳について、核磁気共鳴画像法(MRI)を用いて撮影したT1強調画像の画像データを示す。なお、図1は、エンドセリン-1投与から1日経過後の脳の状態を示す。図1aは、脳を背側から観察した画像であり、図1a中の白線は、図1cの前額断面の切断位置を示す。図1bは脳の水平断の画像を示し、また、図1cは脳の前額断面を示す。なお、図1bおよび図1c中の矢印は、エンドセリン注入によるマイクロシリンジの刺入跡を示す。 図2は、内包後脚領域の一部へエンドセリン-1が投与されたニホンザルの脳について、核磁気共鳴画像法を用いて経時的に撮影したT2強調画像の画像データを示す。なお、図2中の矢印は、浮腫と見られるT2信号が高い部分を示す。 図3は、図2で得られたT2強調画像のうち、浮腫とみられるT2高信号領域の体積を経時的に定量した際の結果をグラフに示す。なお、被験体Mk-Sは、可逆的神経路不活性化法を用いて作成した脳梗塞モデルの結果を示し、それ以外の被験体は、可逆的神経路不活性化法を用いずに作成した脳梗塞モデルの結果を示す。なお、記録が途中で終わっている被験体は、その時点で、組織学的な解析を行うために解剖に供されたことを示す。 図4は、内包後脚領域の一部へエンドセリン-1が投与されたニホンザルに対して、把握運動課題を課した際の課題に取り組む様子を撮影した写真を示す。なお、写真は、エンドセリン-1注入前、または、エンドセリン-1注入より4日目、2週間後、もしくは3ヵ月後の様子を示す。 図5は、内包後脚領域の一部へエンドセリン-1が投与されたニホンザルに対して、把握運動課題を課した際の課題成功率を経時的に表したグラフを示す。 図6は、内包後脚領域の一部へエンドセリン-1が投与されたニホンザルに対して、把握運動課題を課した際のつまみ動作の成功率を経時的に表したグラフを示す。 図7は、内包後脚領域の一部へエンドセリン-1が投与されたニホンザルの損傷早期(エンドセリン-1注入後3日目からエンドセリン-1注入後1週間目までの期間)における、脳内の浮腫体積とつまみ動作成功率との関係を示すグラフである。 図8は、内包後脚領域の一部へコラゲネースIVが投与されたニホンザル(脳出血モデル)の脳について、核磁気共鳴画像法(MRI)を用いて撮影したT1強調画像の画像データを示す。なお、画像は、コラゲネースIV注入前またはコラゲネースIV注入後より15日目の水平断面(上段)または前額断面(下段)の脳を示す。 図9は、内包後脚領域の一部へコラゲネースIVが注入されたニホンザルの脳であって、コラゲネースIVの注入より15日目の脳より摘出した内包領域を示す。なお、図9に示される内包領域は、1個体より摘出された内包領域を尾側から吻側に至る5mm間隔の断面を示す。また、図9中の矢印はコラゲネースIVの注入により生じた血腫を示す。 図10は、内包後脚領域の一部へコラゲネースIVが投与されたニホンザルの運動麻痺の様子を撮影した写真を示す。図10aは、コラゲネースIV注入より2日目のニホンザルを示し、図10cは、コラゲネースIV注入より2週間後のニホンザルの様子を示す。また、図10bおよび図10dは、それぞれ図10aおよび図10cの一部を拡大したものであり、図10bおよび図10d中の矢印は、それぞれ、ニホンザルの左手の運動機能の回復の差異を示す。
本明細書において、「非ヒト霊長類」とは、内包領域の血管障害による後遺症の機能回復を評価できる非ヒト霊長類であればよく、ヒトを除く霊長類から適宜選択することができる。特に、本発明の脳卒中モデル動物は、母指と示指で小さな物体を保持するつまみ動作(精密把握)等の高度な機能についての後遺症の機能回復を評価できるものである。このような高度な機能は、霊長類の中でも一部の種のみが行うことができる。このような高度な機能を行うことができる非ヒト霊長類としては、類人猿またはオナガザル科に属するサル、オマキザル科に属するサルを挙げることができる。類人猿としては、例えばチンパンジー、ゴリラ、オランウータンを挙げることができる。また、オナガザル科に属するサルとしては、例えばマカク属に属するニホンザル、アカゲザル、カニクイザル、ブタオザル、ボンネットモンキーなどのマカクザルを挙げることができる。また、オマキザル科に属するサルとしては、例えば、オマキザル類に属するフサオマキザルもしくはコモンリスザル、または、マーモセット類に属するコモンマーモセットなどを挙げることができる。
なお、高度な機能としては、霊長類において発達した機能であれば以下に限定されないが、例えば、手におけるつまみ動作の他、両手を用いた協調動作、対象の視覚入力による把握の選択(把握対象を視覚により認識した瞬間に把握の方法について準備をする機能)等を挙げることができる。なお、上述したつまみ動作の機能については大脳皮質運動野から脊髄運動神経細胞に至る経路(皮質運動神経路)が深く関係していることが知られているが、この皮質運動神経路は、霊長類以外には存在しない。また、両手を用いた協調動作についても二本足で体を支えられる霊長類ならではの機能であり、さらに対象の視覚入力による把握の選択も、視覚の発達した霊長類において発達した機能である。本発明の脳卒中モデル動物では、内包領域の血管障害に由来するこれらの高度な機能に対する障害について、機能回復を評価することが可能である。このように、霊長類以外のモデル動物と比べて、より有用な脳卒中モデル動物を提供することができる。
また、「脳卒中モデル動物の生体の一部」も本発明の「脳卒中モデル動物」と同様の目的で使用することができる。「脳卒中モデル動物の生体の一部」とは、作成された脳卒中モデル動物由来の細胞、組織、臓器などを含み、例えば、脳、血管、その他の臓器や臓器由来の組織片および細胞などを挙げることができる。これら脳卒中モデル動物の生体の一部も、例えば、機能回復の評価試験や機能回復のメカニズムの解明のための試験(例えば、組織学的な解析等)に供することができる。
本明細書において、「脳卒中」とは、脳内の血管障害により脳細胞の一部が壊死する病気であり、虚血性の脳梗塞および一過性脳虚血発作、ならびに、出血性の脳出血およびくも膜下出血を含む。また、本明細書において「血管障害」とは、虚血性および出血性の両方の血管障害を含む。特に、本発明の脳卒中モデル動物における血管障害は、血管障害誘導剤の脳内への注入により誘起される。
本発明に使用される血管障害誘導剤は、脳内の注入された部位において虚血性の血管障害または出血性の血管障害を誘起できる薬剤であればよく、公知の薬剤を使用することができる。虚血性の血管障害を誘起する血管障害誘導剤としては、例えば、エンドセリン(エンドセリン-1(ET-1)、エンドセリン-2(ET-2)、エンドセリン-3(ET-3))等の血管収縮剤を挙げることができる。なお、エンドセリン-3は組織により活性が弱い場合があり、その点においてはエンドセリン-1およびエンドセリン-2の使用が好ましい。また、出血性の血管障害を誘起する血管障害誘導剤としては、コラゲネースIV(collagenase IV)を好適に使用することができる。なお、コラゲネースIV以外のコラゲネースでは、血管以外の組織や神経細胞の受容体等を破壊する可能性があるため、この点においてコラゲネースIVの使用が好ましい。
また、本発明において、「内包領域」とは、尾状核・視床と、レンズ核(被殻および淡蒼球)に挟まれた繊維側と定義される領域であり、内包前脚、内包膝、内包後脚の3つの部分に区別することができる領域である。例えば、内包領域のうちの内包後脚領域には、手足等の運動機能に関係する運動性神経線維が走行している。
本発明の脳卒中モデル動物は、この内包領域の一部において血管障害を有する。ここで、「内包領域の一部」とは、目的とする機能障害に関連した神経線維が走行する内包領域の部分を意味する。例えば、上肢の機能が麻痺した脳卒中モデル動物を作成する際には、内包領域の一部は、内包後脚領域のうち上肢の神経線維が走行する領域を意味する。同様に、下肢の機能が麻痺した脳卒中モデル動物を作成する際には、内包領域の一部は、内包後脚領域のうちの下肢の神経線維が走行する領域を意味する。また、顔の機能が麻痺した脳卒中モデル動物を作成する際には、内包領域の一部は、内包後脚領域のうちの顔の神経線維が走行する領域を意味する。
なお、当業者であれば、上記に列挙した上肢、下肢、または顔に関連した神経走行領域以外についても、公知の文献(例えば、Schmahmann and Pandya, 2006; Fiber Pathways of the Brain)を参照することにより、身体の部位に対応する神経線維の走行領域を内包領域内に同定することができる。
このように、目的とする各機能に対応する内包領域の部分に血管障害を起こすことにより、目的の障害を有するモデル動物を作成することができる。
また、本発明の脳卒中モデル動物は、内包領域の血管障害による機能障害が、回復可能なものであることを特徴としている。ここで、機能障害が回復可能であるとは、内包領域の血管障害に起因する障害が、自然治癒力により時間の経過とともに完全または不完全に回復可能なことをいう。これにより、機能障害の回復過程における回復促進のための薬剤のスクリーニングや機能回復訓練の評価を行うことが可能となる。
なお、本発明の一実施の形態によれば、脳卒中モデル動物の脳内の内包領域に限局した血管障害を生じさせることができ、これにより脳卒中モデル動物は、内包領域以外の脳の領域に血管障害を有さない。このような脳卒中モデルによれば、内包以外の他の脳の領域における血管障害による直接の影響を排除することができ、内包領域に血管障害が生じた脳卒中患者の後遺症の治療法確立のためのより適した脳卒中モデル動物を提供することが可能となる。さらに、内包領域以外の他の脳の領域に血管障害を有さないので、内包領域内に血管障害を有するモデル動物として、内包領域以外の脳内の領域における神経回路の再構成を正しく評価することができる。なお、より好ましい形態は、本発明の脳卒中モデル動物は内包領域のうちの目的とする領域以外の内包領域にも血管障害を有しない。例えば、上肢のみに麻痺を有する脳卒中モデル動物は、上肢の運動性神経線維が内包後脚領域に走行していることから、内包領域内であっても内包前脚または内包膝に血管障害を有しない。また、さらに好ましい形態は、内包後脚領域のうち上肢の運動性神経線維が走行する領域のみに血管障害を有し、内包後脚領域の他の部分にも血管障害を有しない脳卒中モデル動物である。
本発明の脳卒中モデル動物は、(a)脳卒中モデル動物の脳のうち内包領域を含む部分を画像化して、内包領域のうちの目的の領域を同定し、(b)同定した内包領域のうちの目的の領域に血管障害誘導剤を注入することにより作成することができる。
上述のように、本発明の脳卒中モデル動物を作成する工程としては、まず、(a)脳卒中モデル動物の脳のうち内包領域を含む部分を画像化して、内包領域のうちの目的の領域の同定を行う。
内包領域を含む部分の画像化は、各被験体の脳内の構造を把握し、目的とする領域を同定するために行うことができる。このような脳内の構造の画像化は、当業者であれば公知の方法により行うことができ、例えば、核磁気共鳴装置を用いた核磁気共鳴画像法(MRI;magnetic resonance imaging)、コンピュータ断層撮影法(CT;computed tomography)により画像化することができる。
また、核磁気共鳴画像法等により画像化された脳内の断面図は、公知の画像解析装置やプログラム等を用いて三次元再構築することができる。三次元再構築された脳内の画像により、内包領域のうち目的の領域を同定することができる。
内包領域における目的の領域の同定については、当業者であれば、公知の情報および得られた脳内の画像を用いて適宜行うことができる。例えば、上述したように、公知の文献(例えば、Schmahmann and Pandya, 2006; Fiber Pathways of the Brain)を参考にして内包領域における目的の領域を決定することができる。
例えば、上肢の神経線維が走行する領域は、内包後脚領域のうち、前後軸として中心溝の前端から3mm後方、内外側としては被殻または淡蒼球と尾状核または視床との間に存在する白質領域として同定することができる。また、下肢の神経線維が走行する領域は、内包後脚領域のうち、被殻の後端付近の前額断面における領域として同定することができる。また、顔の神経線維が走行する領域は、内包後脚領域のうち、中心後前端から3mm前方の前額断面における領域として同定することができる。
なお、神経線維の走行はマカク属に属するサルで詳細に調べられているが、非ヒト霊長類として上記に列挙したオナガザル科に属するサルまたはオマキザル科に属するサルにおいても内包領域の神経線維の走行はほぼ同一であり、マカク属のサルの脳内の情報を基にこれらのサルについても内包領域における目的の領域を同定することが可能である。また、類人猿の脳においてもマカク属のサルと神経線維の走行はほぼ同じであると考えられ、同様に内包領域における目的の領域を同定することができる。
このように、本発明の脳卒中モデル動物は、内包領域のうち目的とする領域を予め画像化により同定するため、内包領域の目的とする領域に血管障害を誘導することができる。
なお、脳内の画像化の際には、被験体に麻酔を導入しておくことが好ましい。麻酔の導入については、当業者であれば、各被験体のサルの種別、体重等により適宜好ましい麻酔の導入方法を選択することができる。例えば、ニホンザルに対しては、ケタミン、メデトミジン、およびミダゾラムの筋肉注射により麻酔を導入することができる。
上述のように内包領域のうちの目的とする領域を同定した後、(b)同定した内包領域の目的の領域に血管障害誘導剤を注入することにより、目的の障害を有する脳卒中モデル動物を作成することができる。
血管障害誘導剤の注入の方法は、以下に記載の方法に限定されないが、例えば下記のようにして行うことができる。
まず、血管障害誘導剤を内包領域の目的の領域へ注入するために、被験体に麻酔を導入し、頭皮の切開および頭蓋骨の除去を行う。これにより、内包領域の背側に位置する硬膜を露出させ、露出した硬膜から内包領域へ向けてマイクロシリンジ等を用いて血管障害誘導剤を注入する。なお、マイクロシリンジの内包領域への刺入の方向は、内包領域内へ正しく血管障害誘導剤を注入でき、脳内の他の領域への障害を最小限に留められる限りにおいて、上記に限定されず、よって、頭皮の切開部位および頭蓋骨の除去部位も適宜変更することができる。
なお、脳内への正確な薬剤の注入には、公知の脳定位固定装置や固定装置用マイクロマニュピレーターを使用することができる。
内包領域のうちの目的とする領域への血管障害誘導剤の注入は、1箇所ではなく、複数個所に対して行うことが好ましい。内包領域は前後および背腹側に拡がっているため、一箇所に過剰な薬剤の量を注入してしまうと内包領域を超えて内外側方向に隣接した脳領域(視床やレンズ核)に薬剤が拡がることになる。それにより認知や感覚機能に重篤な障害が生じてしまうと、特に、運動機能回復を評価するためにふさわしくない。このような問題に対し、本発明者らは、鋭意検討の結果、血管障害誘導剤が目的とする領域全体に広がるように複数個所へ血管障害誘導剤を注入することにより、脳卒中モデル動物に目的とする回復可能な障害を生じさせることができることを見出した。例えば、上肢に麻痺を生じた脳卒中モデル動物を作成する場合には、内包後脚領域のうち、上肢に関わる神経線維が走行する領域全体に薬剤が分布するように血管障害誘導剤を注入することが好ましい。
また、血管障害誘導剤の注入は、所望する障害により適宜設定することができ、右脳または左脳のいずれか一方または両方に血管障害誘導剤を注入することができ、また、1種または複数種(例えば、上肢に関する神経線維と下肢に関する神経線維の組み合わせ)の神経線維が走行する領域に血管障害誘導剤を注入することができる。所望する障害とは、例えば、上下肢のうち一肢のみにおける麻痺(単麻痺)、身体の同側の上下肢における麻痺(片麻痺)、または、身体の両側上下肢における麻痺(四肢麻痺)等を挙げることができる。
目的とする領域全体に血管障害誘導剤を注入するには、脳内における目的とする領域の形状を考慮して、脳の前後方向、内外方向、または背腹側方向に1mm〜3mmの間隔を空けて複数個所に血管障害誘導剤を注入すればよい。各注入箇所における血管障害誘導剤の注入量は等量であることが好ましいが、これに限定されない。例えば、脳の前後方向および背腹側方向に広がる領域に対して脳の背側から薬剤を注入する場合、前後方向に上記の間隔を空けて複数箇所にマイクロシリンジを刺入し、それぞれの刺入箇所において、刺入深度方向(背腹側方向)に上記の間隔を空けて複数個所に注入すればよい。また、注入箇所の数については、目的とする領域の大きさ、上記の好ましい間隔の範囲、血管障害誘導剤の注入量を考慮して適宜選択することができる。
なお、本発明において好適に使用されるエンドセリン-1の注入量は、各注入箇所において、それぞれ4〜12μlの範囲で注入することが好ましく、6〜10μlの範囲で注入することがより好ましい。4μlよりも少ないと目的とする機能障害を引き起こすことができず、また、12μlよりも多いと内包を超えて隣接した脳領域(視床やレンズ核)に拡がってしまう。また、エンドセリン-1の各注入箇所の合計である注入総量は、60〜240μlの範囲とすることが好ましく、90〜150μlの範囲で注入することがより好ましい。60μlよりも少ないと目的とする機能障害を引き起こすことができず、また、240μlよりも多いと隣接脳領域の損傷により運動機能以外に障害が生じる。また、本発明において好適に使用されるコラゲネースIVの注入量は、各注入箇所において、それぞれ2〜8μlの範囲で注入することが好ましく、3〜6μlの範囲で注入することがより好ましい。また、コラゲネースIVの各注入箇所の合計である注入総量は、18〜72μlの範囲とすることが好ましく、27〜54μlの範囲で注入することがより好ましい。なお、コラゲネースIVの上記範囲外の投与は、エンドセリン-1と同様の結果を招くため好ましくない。
また、本発明の脳卒中モデルを製造する方法の一実施の形態として、(b)特定した内包領域の一部に血管障害誘導剤を注入する前に、(a’)特定した内包領域の一部に、一時的かつ可逆的に神経線維の情報伝達機能を阻害する薬剤を注入し、脳卒中モデル動物に目的とする障害が生じることを確認することもできる。
本発明に使用される一時的かつ可逆的に神経細胞の機能を阻害する薬剤としては、神経細胞に作用してその機能を抑制し、それにより身体の一部の機能に一時的かつ可逆的な障害を生じさせることのできる薬剤であればよい。これにより、血管障害誘導剤を注入する前に、内包領域のうち目的とする領域をより正確に同定することが可能となる。また、当該薬剤は、一時的かつ可逆的に神経細胞の機能を阻害するものであるため、時間の経過により代謝され、体内から排除されるもの薬剤が選択される。なお、当該薬剤の使用により、被験体に望んだ機能障害が得られなかった場合には、当該薬剤が代謝・除去され、神経細胞および身体の機能が回復するのを待って、再度内包領域の目的の領域へ注入を試みることが可能である。
本発明に好適に使用される当該薬剤としては、テトロドトキシン等を挙げることができる。特に、テトロドトキシンは、1〜2週間で身体より代謝され除去されることから好適に使用される。テトロドトキシンは、電位依存性ナトリウムチャネルに結合し、活動電位を一時的かつ可逆的に抑制することが知られている神経毒である。例えば、テトロドトキシンを内包領域へ注入する際には、0.5〜4μlの範囲で注入することが好ましい。
上記のようにして作成された脳卒中モデル動物において、内包領域の目的とする領域に正しく血管障害誘導剤が注入されたかどうかは、例えば、核磁気共鳴画像法により確認することができる。血管障害誘導剤の注入直後では、核磁気共鳴画像法によるT1強調画像においてマイクロシリンジ等の刺入跡を確認することができる。核磁気共鳴画像法による血管障害誘導剤の注入位置の確認は、例えば、血管障害誘導剤の注入時から数日経過するまでに確認することができる。
また、血管障害誘導剤の注入により生じた脳損傷の経時的変化についても、例えば、核磁気共鳴画像法により評価することが可能である。血管障害誘導剤の注入により生じた血管障害の部分は、T2強調画像において、T2高信号として検出することができる。また、T2強調画像を三次元再構築させることにより、浮腫や梗塞等の血管障害が生じている部分の体積を測定することが可能である。これにより、経時的に血管障害が生じている部分の体積の変化を評価することが可能となる。
また、本発明の脳卒中モデル動物は、公知の方法により、内包領域の損傷に由来する身体の機能およびその回復について評価することができる。
上肢に機能障害を有する脳卒中モデル動物において、特に手掌部の機能を評価する方法としては、例えば、把握動作の課題を与え、その成功率を評価することができる。このような課題は、評価をしたい機能ごとに公知の方法を利用する、または、当業者により適宜設定して行うことができる。なお、評価の方法は、高度な機能についても評価できることが好ましい。例えば、上肢に機能障害を有する脳卒中モデル動物に対しては、把握動作の中でも高度な機能である、つまみ動作についても評価できる課題が与えられることが好ましい。
また、本発明の別の態様によれば、上記の方法で作成される脳卒中モデル動物に対して被験物質を投与することにより、脳卒中に由来する機能障害(後遺症)の機能回復促進のための治療薬のスクリーニング方法を提供する。すなわち、本発明の脳卒中モデル動物は、内包領域に血管障害を有する脳卒中患者と同一または類似の病態を示すので、当該脳卒中モデル動物に被験物質を投与してその機能障害に及ぼす当該被験物質の効果を測定することによって、脳卒中に由来する機能障害の回復促進のために使用できる物質をスクリーニングすることが可能である。
上記被験物質は、脳卒中に由来する機能障害の回復促進に有効な効果を示す候補物質となり得る化合物であれば特に限定されない。また、上記被験物質は、動物、植物、または微生物等由来の天然化合物であってもよく、合成化合物であってもよい。
被験物質を脳卒中モデル動物へ投与する方法は、静脈内、皮下内、腹腔内、筋肉内等への注射もしくは点滴、経口投与、または経皮投与等、公知の方法から適宜選択することができる。
また、本発明の別の態様によれば、上記の方法で作成される脳卒中モデル動物に対して機能回復訓練を行うことにより、脳卒中に由来する機能障害(後遺症)の機能回復のための機能回復訓練を評価することができる。これにより、脳卒中に由来する機能障害(後遺症)の機能回復を促進させることのできる、より好ましい機能回復訓練を見出すことが可能となる。
なお、機能回復訓練は、機能障害の回復促進のための薬剤の投与と併用して行うこともできる。
上記のスクリーニング方法および機能回復訓練における評価の方法は、核磁気共鳴画像法による脳内の画像化による評価や、内包領域の物理的な摘出による解析、課題の成功率による評価等、適宜好ましい方法を用いることができる。
なお、本明細書に用いられる用語は、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、本発明を限定する意図で用いられてはいない。
また、本明細書における「含む」の用語は、本明細書の記載から明らかに異なる解釈をすべき場合を除き、記述された事項(工程、要素など)が存在することを意図し、かつ、それ以外の事項(工程、要素など)が存在することを排除するものではない。
また、本明細書に用いられる用語は、異なる定義が無い限り、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
以下において、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明はいろいろな態様により実施することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
(実施例1−1.脳梗塞モデルの作成)
マカクザルの一種であるニホンザルを対象として、内包後脚に局所的な脳梗塞を作成し、一方の上肢の運動機能を中心とした麻痺したモデル動物を作成した。
脳梗塞モデル動物の作成方法は、下記のようにして行った。まず、被験動物であるニホンザルに対して、ケタミン、メデトミジン、およびミダゾラムを筋肉注射することにより麻酔を導入したのちステレオタキシックフレームに頭部を固定した。ニホンザルの脳内における内包後脚領域の位置を特定するために核磁気共鳴画像法(MRI)を用いてT1およびT2強調画像撮影を行うことにより麻酔下にあるニホンザルの頭部の画像を撮影した。頭部の画像は前額断面で撮影し、画像解析装置(Stereo Investigater;MBF Bioscience)を用いて三次元再構成を行った。三次元再構成後の画像より内包後脚領域の位置を同定した。内包後脚領域の、特に上肢の運動出力経路の同定には、過去の文献(Schmahmann and Pandya, 2006; Fiber Pathways of the Brain)を参考にして決定した。より具体的には、前後軸としては中心溝の前端から3mm後方、内外側としては(i)被殻または淡蒼球と(ii)尾状核または視床との間に存在する白質領域を上肢の運動出力にかかわる内包後脚領域として同定した。後述するように、個体によってはテトロドトキシンを用いた一時的不活性化を行うことにより上肢の運動出力経路を同定した。上肢の運動出力にかかわる内包後脚領域を同定した後、ケタミンの筋肉注射およびペントバルビタールの静脈注射による麻酔下にあるニホンザルの頭皮を切開および頭蓋骨を除去し、目的とする内包後脚の背側に位置する大脳領域を覆う硬膜を露出させた。露出した硬膜の背側から右脳または左脳(あらかじめ利き手を同定しておき、利き手側の支配半球に注入した)の内包後脚領域に向けてマイクロシリンジ(イトーマイクロシリンジMS−N25、外径0.52mm、内径0.18mm、伊藤製作所)を刺入し、血管収縮作用を持つペプチドであるエンドセリン-1(Endothelin-1)(Human)、4198−V、(株)ペプチド研究所、濃度1.5μg/μl)を注入した。エンドセリン-1の内包後脚への注入は、計15箇所に各8μl、投与量合計120μlとなるように行った。より詳細には、内包後脚領域が脳の前後および背腹側に拡がっているため、前後方向に1.5mmの間隔で5箇所にマイクロシリンジを刺入し、それぞれの刺入箇所において、刺入深度方向(背腹側方向)に1.5mm間隔を空けて3箇所に投与した(すなわち、計15箇所に投与)。このように投与することで、内包後脚領域の上肢に関わる神経線維が走行する領域全体に広く薬剤が分布するように工夫した。
エンドセリン-1の投与から1日経過後、被験体のサルの脳を核磁気共鳴画像法により撮影しT1強調画像として画像化した(図1)。図1bおよび図1cにおける矢印が示すように、被験体であるサルの脳内における内包後脚領域に、マイクロシリンジの刺入跡が確認することができた。なお、図1aにおける白線は、右の前額断面の前後位置を示す。
(実施例1−2.可逆的神経路不活性化法を用いた脳梗塞モデルの作成)
上肢の運動出力にかかわる神経線維が走行する内包後脚領域をより正確に同定するために可逆的神経路不活性化法を用いて脳梗塞モデルを作成した。この方法で神経細胞に存在する電位依存性ナトリウムチャネルを試薬により一時的かつ可逆的に抑制することで、目的の領域を同定する方法である。本試験では、試薬を目的とする部位へ投与することにより上肢の運動機能のみが麻痺した際に、当該試薬を投与した部位を、内包後脚領域であると特定した。仮に上肢の運動麻痺以外の障害が確認された場合には、テトロドトキシンが1〜2週間で代謝され除去されることから、例えば2週間以上待ってテトロドトキシンが完全に代謝され除去されたことを確認してから、再度テトロドトキシンの投与試験を行うことができる。なお、本試験では、試薬としてテトロドトキシン(Sigma)を用いた。テトロドトキシンは、活動電位を一時的かつ可逆的に抑制することが知られている神経毒である。
より具体的には、実施例1−1と同様にして核磁気共鳴画像法により内包後脚領域の位置を同定した後に、続けて可逆的神経路不活性化法を下記のように行った。まず、被験動物であるニホンザルに対して、ケタミンの筋肉注射およびペントバルビタールの静脈注射を用いて麻酔を導入した。麻酔下にあるニホンザルの頭皮を切開および頭蓋骨を除去し、目的とする内包後脚の背側に位置する大脳領域を覆う硬膜を露出させた。露出した硬膜の背側から内包後脚領域に向けてマイクロシリンジ(イトーマイクロシリンジMS−N05、外径0.52mm、内径0.18mm、伊藤製作所)を刺入し、テトロドトキシン(0.3μg/μl、2μl)を投与した。テトロドトキシン投与後に、上肢の運動麻痺のみが生じた場合には上肢の運動出力にかかわる神経線維が走行する内包後脚領域へテトロドトキシンが投与されたと判断した。
テトロドトキシンの投与により内包後脚領域を特定した後、上記実施例1−1.に記載のエンドセリンの注入方法と同様にして、エンドセリン-1を内包後脚領域へ注入した。
(実施例1−3.脳梗塞モデルにおける脳損傷の経時的変化)
エンドセリン-1注入後の脳梗塞モデルの脳内の状態を経時的に観察するために、エンドセリン-1の注入時より1日目、3日目、1週間後、2週間後、1ヶ月後、2ヵ月後、および3ヵ月後の脳の状態を核磁気共鳴画像法により画像化した(図2)。なお、図2中に示される被験体MK-KおよびMK-Muは、実施例1−1に記載の方法(可逆的神経路不活性化法を使用していない方法)によって作成された脳梗塞モデルを示す。また、図2に示すように、エンドセリン-1注入後に内包後脚領域(矢印)に浮腫とみられるT2信号が高い部分(損傷部分)が認められた。このように、内包後脚領域の損傷部位はT2強調画像の高信号領域として検出できる。よって、得られたT2強調画像の高信号領域を同定し、画像解析装置(Stereo Investigater;MBF Bioscience)を用いて当該高信号領域の体積を定量することにより、浮腫の体積の経時的変化を観察した。その結果を図3に示す。図3に示すように、浮腫の体積の増加はエンドセリン-1注入後3日目から1週間後にピークを迎えた。また、その後、ほとんどの被験体における浮腫の体積は、エンドセリン注入直後に生じた浮腫の体積よりも減少した(図3)。なお、図3中に示される被験体Mk-Sは、実施例1−2に記載の方法(可逆的神経路不活性化法を使用する方法)によって作成された脳梗塞モデルであり、それ以外の被験体は、全て実施例1−1に記載の方法によって作成された脳梗塞モデルである。
(実施例1−4.脳梗塞モデルにおける把握動作の経時的評価)
上記実施例1−1および実施例1−2で作成した脳梗塞モデルであるサルの把握動作に関する経時的な評価を行った。把握動作の評価は、下記のようにして行った。直径20mmのアクリルパイプ内にくぎを配置し、そのくぎの先に7mm角のサツマイモを刺すことにより固定した。アクリルパイプの直径はサルの母指と示指が入る程度の大きさであるため、脳損傷を加えていない健常サルは母指と示指とを用いてサツマイモをつまみ取る。これを把握運動課題として被験体のサルに試験したところ、内包後脚領域の損傷前はスムーズにサツマイモを摘み取ることができたが、エンドセリン-1投与による内包後脚領域の損傷直後は上肢、特に手掌部に運動麻痺が生じ、サツマイモを把握することが困難となった。把握運動課題の成功率は損傷後2週間かけて上昇し、多くの個体では損傷前と同程度にまで回復した(図4および図5)。ただし、つまみ動作(母指と示指の先端で物等を把持する動作)の成功率はエンドセリン-1投与による内包後脚領域の損傷後1週間頃にやや増加するが、その後、つまみ動作の成功率は再び減少し0−50%の間で推移した(図6)。なお、図4の2週間後の写真は母指の近位関節付近でサツマイモを把持している状態を示し、また、図4の3カ月後の写真では示指と中指の間で把持している状態を示す。これらはいずれもつまみ動作ではない代償的な動作が用いられていることを示す。このように、脳梗塞モデルは多くの場合粗大な動作を用いて把握を行っており、つまみ動作を含む器用な動作の回復は不充分であることを示している。
また、内包後脚領域の損傷部位の大きさとつまみ動作の遂行の成功率との関係を調べるため、内包後脚領域の損傷早期(エンドセリン-1注入による内包後脚領域損傷から3日目〜1週間後)における被験体の脳を核磁気共鳴画像法により画像化した。得られたT2強調画像の高信号領域を同定し、画像解析装置(Stereo Investigater;MBF Bioscience) を用いて当該高信号領域の体積の定量を行った。その結果、内包後脚領域の損傷部位の体積とつまみ動作の成功率には優位な負の相関が見られた(図7)。このことは内包後脚領域の梗塞が上肢の運動麻痺の直接的な原因になっていることを示している。
(実施例2−1.脳出血モデルの作成)
マカクザルの一種であるニホンザルを対象として、内包後脚領域に局所的な脳出血を作成し、一方の上肢の運動機能のみが麻痺したモデル動物を作成した。
脳出血モデル動物の作成方法は、エンドセリン-1の代わりにコラゲネースIV(Sigma、C5138)を用いた以外は、上記実施例1−1と同様にして作成した。なお、コラゲネースIVの投与は、200U/mlのコラゲネースIVを計9箇所に各4μl、投与量合計36μlとなるように行った。より詳細には、脳の前後方向に1.5mmの間隔で3箇所にマイクロシリンジを刺入し、それぞれの刺入箇所において、刺入深度方向(背腹側方向)に1.5mm間隔を空けて3箇所に投与した(すなわち、計9箇所に投与)。
(実施例2−2.脳出血モデルにおける脳損傷の評価)
コラゲネースIVの投与による内包後脚領域の損傷の様子を観察するため、コラゲネースIVの投与より15日目の被験体の脳を核磁気共鳴画像法により画像化した(図8)。図8に示すように、被験体の脳の内包後脚領域に脳出血様の損傷領域を確認することができた。また、損傷した内包後脚領域を直接観察するため、コラゲネースIVの投与より15日目の被験体を犠死させた後に被験体の脳より内包領域を摘出した(図9)。図9に示すように、摘出された内包領域のうち、内包後脚領域にのみ血腫が生じたことが観察された。なお、血腫の体積は損傷後2週間まで大きく減少することはなかった。
(実施例2−3.脳出血モデルにおける把握動作の評価)
被験体の内包後脚領域へコラゲネースIVを右脳または左脳へ注入することによって、対側の上肢に重篤な麻痺が生じた。図10は、右脳の内包後脚領域へコラゲネースIVを注入した被験体のサルの状態を示す。図10a,bは、コラゲネースIV注入より2日目の状態を示し、内包後脚領域の損傷後数日間は左手を挙上できない状態が続いた。一方で、コラゲネースIVの注入によっても右側の上肢や下肢には大きな運動異常は見られず、立ち上がり、また右手をつかってケージを握る様子が観察された(図10a)。図10c,dは、コラゲネースIV注入より2週間経過した後の被験体のサルの状態を示す。内包後脚領域の損傷から2週間後には、左側上肢運動の回復が認められ、左側上肢を用いたケージをつかむ様子(把握動作)が観察された。
上記実施例で作成した脳卒中モデル動物は、脳からの主要な運動出力経路、すなわち第一次運動野の手領域からの下行路が通る内包後脚に脳梗塞または脳出血を作成することで運動障害を生じるモデルを作成した。上記実施例で作成した脳卒中モデル動物では上肢の運動出力経路に側枝を伸ばす血管のみに障害を及ぼすため、他の脳領域での神経回路再構成による機能回復を評価するために有効である。また従来のモデルでは損傷が大きいために実験動物が死亡したり、また損傷後に寝たきり状態になる危険性があったが、このモデルではその危険性が小さい。
また、上記実施例で作成した脳卒中モデル動物では、いずれにおいても損傷対側の上肢に運動麻痺が生じたものの、それ以外の身体機能には大きな障害は見られなかった。麻痺の程度は脳出血モデルのほうが大きいものの、いずれのモデルにおいても損傷後2週間程度で運動機能の回復が見られた。ただし完全に損傷前と同じ動作の回復は見られず、特につまみ動作(精密把握)を含む手先の器用な動作の回復が不十分であった。そのため、薬品やリハビリテーション訓練が上肢運動の機能回復に対して持つ促進効果を評価するために有用なモデルであると考えられる。

Claims (14)

  1. 非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部であって、
    前記脳卒中モデル動物は、脳の内包領域の一部に血管障害を有し、
    それにより、血管障害を有する前記内包領域の一部に対応する身体の機能に障害を有する、脳卒中モデル動物またはその生体の一部。
  2. 前記身体の機能における障害が、回復可能なものであることを特徴とする請求項1に記載の脳卒中モデル動物またはその生体の一部。
  3. 内包領域を除く他の脳の領域に血管障害を有しないことを特徴とする請求項1または2に記載の脳卒中モデル動物またはその生体の一部。
  4. 前記内包領域の一部が内包後脚領域の上肢または下肢の運動性神経線維が走行する領域であって前記障害が上肢または下肢であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の脳卒中モデル動物またはその生体の一部。
  5. 前記非ヒト霊長類モデル動物が、マカクザルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の脳卒中モデル動物またはその生体の一部。
  6. 非ヒト霊長類の脳卒中モデル動物またはその生体の一部の作成方法であって、
    (a)前記脳卒中モデル動物の脳のうち内包領域を含む部分を画像化して、内包領域のうちの目的の領域を同定する工程と、
    (b)同定した内包領域の目的の領域に血管障害誘導剤を注入する工程とを含むことを特徴とする、作成方法。
  7. 前記(a)工程における内包領域を含む部分の画像化が、核磁気共鳴画像法(MRI)によって行われることを特徴とする請求項6に記載の作成方法。
  8. 請求項6または7に記載の作成方法であって、前記工程(b)の前に、下記の工程(a’)をさらに含むことを特徴とする、作成方法;
    (a’)同定した内包領域の目的の領域に、一時的かつ可逆的に神経線維の伝達機能を阻害する薬剤を注入する工程であって、前記脳卒中モデル動物に目的とする障害が生じることを確認する工程。
  9. 前記一時的かつ可逆的に神経線維の伝達機能を阻害する薬剤が、テトロドトキシンであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の作成方法。
  10. 前記血管障害誘導剤が、エンドセリン-1またはコラゲネースIVであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の作成方法。
  11. 請求項6〜10のいずれか一項に記載の作成方法であって、
    前記脳卒中モデル動物は脳の内包領域の目的の領域に血管障害を有することにより、前記内包領域の目的の領域に対応する身体の機能に回復可能な障害を有することを特徴とする作成方法。
  12. 請求項6〜11のいずれか一項に記載の作成方法であって、
    前記脳卒中モデル動物が内包領域を除く他の脳の領域に血管障害を有さないことを特徴とする作成方法。
  13. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の脳卒中モデル動物に対して被験物質を投与する工程と、
    前記脳卒中モデル動物が有する機能障害に対する前記被験物質の効果を測定する工程と
    を含む、脳卒中に由来する機能障害の機能回復ための治療薬のスクリーニング方法。
  14. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の脳卒中モデル動物が機能回復訓練を行う工程と、
    前記脳卒中モデル動物が有する機能障害に対する前記機能回復訓練の効果を測定する工程と
    を含む、脳卒中に由来する機能障害の機能回復のための機能回復訓練の評価方法。
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