JP2015208903A - 潜像印刷物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、磁性顔料を用い、画線を構成する磁力性シート磁石により、磁力を二度付与する際に、画線を交差させることによって、潜像効果を発現することが可能であり、薄いインキ皮膜であっても、浅い角度で視認できる潜像印刷物を提供する。
【解決手段】本発明の潜像印刷物は、基材上の少なくとも一部に、基材の色と異なる色の光輝性磁気インキによるべた印刷から成る光輝性印刷領域を有し、光輝性印刷領域は、第一の線状要素群と、第一の線状要素群内に形成された格子状要素群から成る。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の潜像印刷物は、基材上の少なくとも一部に、基材の色と異なる色の光輝性磁気インキによるべた印刷から成る光輝性印刷領域を有し、光輝性印刷領域は、第一の線状要素群と、第一の線状要素群内に形成された格子状要素群から成る。
【選択図】 図1
Description
本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券、パスポ−ト、有価証券、身分証明書、カ−ド、通行券等の貴重印刷物の分野において、観察角度により潜像画像が出現する技術に関する。
銀行券、パスポ−ト、有価証券、身分証明書等に代表されるセキュリティ印刷物には、複製や偽造を防止するために、偽造防止技術が必要とされている。また、偽造防止技術の中でも、すかしやホログラム等に代表されるように、道具を必要とせず、印刷物を手にした全ての人が真偽判別に利用できる偽造防止技術が特に必要とされている。
その一例として、基材上に印刷した証印上に、硬化した透明バインダー中に顔料フレークを含むコーティング層を形成することによって、証印が光学的に色変化、又は観察角度により視認可能な視覚効果を有するセキュリティエレメントが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、磁性顔料を含む光学的インキを基材上にグラビア印刷又は、スクリーン印刷により塗布し、その後、磁性を付与することで画像を形成し、磁場又は磁力を調節することにより、磁性顔料の配列の変化によって、視認角度により光学的な変化を有する印刷物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、特許文献1の技術は、証印上に透明層を形成した多層構造であり、透明層の厚みに応じた深い観察角度でなければ潜像画像を視認できないという問題があった。
また、特許文献2の技術は、画像の境界を形成する磁性フレークを互いにV形に配列させて光学的な変化を奏しているため、インキ皮膜が厚くなり、深い観察角度でなければ潜像画像を視認できないという問題があった。
本発明は、磁性顔料を用い、画線を構成する磁力性シート磁石により、磁力を二度付与する際に、画線を交差させることによって、潜像効果を発現することが可能であり、薄いインキ皮膜であっても、浅い角度で視認できる潜像印刷物及びその作製方法を提供することを目的とする。
本発明は、基材上の少なくとも一部に、光輝性磁気インキによるべた印刷から成る光輝性印刷領域が形成され、光輝性印刷領域は、第一の線状要素群と、第一の線状要素群と隣接する格子状要素群を有し、第一の線状要素群は、第一の磁性配列を有する第一の線状要素を第一の方向、かつ、第一のピッチにより複数配列して成り、格子状要素群は、複数の第一の線状要素と、第一の方向と異なる第二の方向に第二のピッチで配列した、第一の磁性配列と異なる第二の磁性配列を有する複数の第二の線状要素と、第一の線状要素と第二の線状要素の交差点が、第一の磁性配列と第二の磁性配列と異なる第三の磁性配列を有する格子状要素から成り、第二の線状要素と格子状要素が複数配列されて潜像画像が形成され、第一の線状要素群の第一の線状要素と格子状要素群の第一の線状要素は、同一線状であり、所定の観察角度により観察した場合は、第一の線状要素と格子状要素の磁性配列による反射光により、第一の線状要素と格子状要素が万線模様に視認され、所定の観察角度から観察する角度を変化させた場合は、第二の線状要素と格子状要素の磁性配列と、第一の線状要素の磁性配列の違いにより反射光量の差が生じて、潜像画像が視認されることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、第一の線状要素及び第二の線状要素は、画線であることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明の潜像印刷物は、浅い観察角度により潜像を発現及び視認できるため、潜像の視認性が向上できる。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(潜像印刷物)
図1に、本発明における潜像印刷物(1)を示す。本発明の潜像印刷物(1)は、基材(2)上の少なくとも一部に、基材の色と異なる色の光輝性磁気インキによるべた印刷から成る光輝性印刷領域(3)を有し、光輝性印刷領域(3)は、第一の線状要素群(4)と、第一の線状要素群(4)内に形成された格子状要素群(5)から成る。
図1に、本発明における潜像印刷物(1)を示す。本発明の潜像印刷物(1)は、基材(2)上の少なくとも一部に、基材の色と異なる色の光輝性磁気インキによるべた印刷から成る光輝性印刷領域(3)を有し、光輝性印刷領域(3)は、第一の線状要素群(4)と、第一の線状要素群(4)内に形成された格子状要素群(5)から成る。
図2(a)は、光輝性印刷領域(3)の第一の線状要素群(4)と格子状要素群(5)一部拡大図である。図2(b)に示すように、第一の線状要素群(4)は、第一の線状要素(6)を複数配列して成る。また、図2(c)に示すように、格子状要素群(5)は、第一の線状要素(6)と、第一の線状要素(6)と第二の線状要素(7)が交差した格子状要素(8)を複数配列して成り、第一の線状要素群(4)と隣接する。なお、格子状要素群(5)については、後述する。
図3は、第一の線状要素群(4)を示す一例図である。第一の線状要素群(4)は、第一の磁性配列(v1)を有する画線幅(T1)の第一の線状要素(6)を、規則的な第一のピッチ(P1)で第一の方向(V1)に複数配列されて形成される。第一の線状要素(6)の一部拡大図に示すように、第一の線状要素(6)は、磁性顔料(9)を、第一の磁性配列(v1)により複数配列して成る。本発明でいう、磁性配列とは、磁化された磁性顔料(9)の極性の配列方向をいい、磁性配列の方向は、線状要素の配列方向と同一方向である。線状要素とは、図4に示すように、磁石により形成された画線又は画線状に複数配列した画素であり、「画線」とは、図4(a)から図4(c)に示すように、直線、破線、波線等のことである。また、画素については、図4(d)又は図4(e)に示すように、同一線状に複数配列することにより、一つの画線を構成するように形成することが必要となる。同一線状に配列しない場合は、格子状要素(8)が生じないため、潜像が発現しない。なお、磁性配列については、後ほど詳細に説明する。
図5は、格子状要素群(5)を示す一例図である。格子状要素群(5)は、第一の線状要素群(4)の第一の線状要素(6)と同一線状にある第一の線状要素(6−1、6−2)と、第一の線状要素(6−1、6−2)と第二の磁性配列(v2)を有する第二の線状要素(7、7−1、7−2)が格子状に交差する複数の格子状要素(8)から成り、第一の線状要素群(4)と隣接する。格子状要素群(5)は、第一の線状要素群(4)を構成する第一の線状要素(6)と同一線状にある第一の線状要素(6)と第二の線状要素(7)が、平面状に交差(格子点)する必要がある。格子状に交差しない場合は、格子状要素(8)が存在せず、格子状要素群(5)の後述する潜像効果が得られないためである。また、第二の線状要素(7)は、画線幅(T2)、かつ、規則的に一定のピッチ(P2)で第二の方向(V2)に複数配列される。第二の線状要素(7)は、磁性顔料(9)を第二の磁性配列(v2)により複数配列して成る。第二の磁性配列(v2)は、第一の磁性配列(v1)と異なる方向である必要がある。磁性配列の方向が同じ場合は、潜像効果が得られないためである。なお、本例を説明する図面では、第一の線状要素(6)と第二の線状要素(7)の交差する角度は略直交(90°)であるが、直交(90°)にこだわる必要はなく、交差していればよい。
図6は、格子状要素(8)の概略図である。格子状要素群(5)が、潜像効果を発現するためには、第一の線状要素(6)と第二の線状要素(7)が格子状に交差する格子状要素(8)を形成する必要がある。格子状要素(8)における磁性顔料(9)の配列は、先に第一の磁性配列(v1)により磁性を付与させたのちに、先と異なる磁性配列パターン模様である第二の磁性配列(v2)により磁性を付与するために、格子状要素(8)では、新たに先と異なるパターン模様で磁性を付与された磁界に沿って、大半の磁性顔料は第一の磁性配列(v1)から第二の磁性配列(v2)に配列方向を変更するが、先に磁性を付与された磁性顔料(9)の配列方向をある程度保持したまま残るため、格子状要素(8)の磁性顔料(9)は、第一の磁性配列(v1)から第二の磁性配列(v2)にわずかに傾いた方向の第三の磁性配列(v3)を維持する。
各要素(6、7)の画線幅は、0.1mm〜3mmがよい。これは、0.1mm未満の場合では、画線幅が細くなりすぎて、磁性材料がうまく配列せず、潜像の視認性が低下するためである。また、3mmを越した場合は、画線幅が太くなりすぎて潜像の秘匿性が低下するためである。さらに、各ピッチ(P1、P2)は、1mm〜10mmがよい。1mm未満の場合では、ピッチが狭くなりすぎて、磁性顔料がうまく配列しないためであり、また、10mmを越した場合は、ピッチが広くなりすぎて、画像として認識できなくなるためである。
次に、光輝性印刷領域(3)を形成する光輝性磁気インキについて説明する。光輝性印刷領域(3)は、通常の透明な印刷用インキに磁性顔料を均一に配合した、基材(2)と異なる色の光輝性磁気インキにより、べた印刷により形成される。ここで、光輝性を有する磁性顔料は、公知の、色変化をしない各種顔料が適宜に採用され、一般に、微細なフレーク状、特に薄板状の磁性体が好ましく用いられる。
また、磁性体の材質は、鉄、ニッケル又は、それらの合金などの強磁性体のほか、ビスマス、アンチモンなどの半磁性体であってもよい。更には、酸化鉄などの金属酸化物の粉末も有効に用いられるほか、それら磁性材料にてフレーク状の粒子を被覆したもの、あるいは、それら磁性材料に、メッキを施したものや、塗料で着色したものなども、使用可能である。なお、そのような磁性顔料は、一般には、長手方向の大きさが、0.5〜100μm程度、平均厚みが30〜500nm程度の大きさのものである。これは、磁気を付与するにあたり、配向調整が好ましいからである。
また、光輝性を有する磁性顔料は、通常の透明な印刷用インキ、好ましくは紫外線(UV)硬化型インキや蒸発乾燥型インキに均一に分散含有することとなるが、そのインキ中の磁性顔料の含有率は5%〜40%程度である。含有率が5%未満の場合は、隠ぺい性が乏しくなり、下地色の影響を大きく受けることになる。また、含有率が40%を超えた場合は、後述するシート磁石を用いた配向に基づく箇所の濃淡効果が低下し、ひいては表示部の明確性、ないしは視認性において充分な効果を発揮することが困難となる。
以上のような性能を備えた光輝性磁気インキを用いて光輝性印刷領域(3)を印刷する。印刷方式は、オフセット印刷で十分な効果を発揮するが、製造者のシーズに応じてフレキソ印刷やグラビア印刷、凹版印刷やスクリーン印刷等で形成してもよい。
基材(2)としては、磁性に影響を与えなければ特に限定をされず、光輝性印刷領域(3)が形成できればよく、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート、ABS、ポリオレフィン、ポリアミド等のプラスチック材質、ボール紙、コート紙、上質紙等の紙材質又は金属、布等など、特にその材質は問わない。また、基材(2)は、透明、半透明又は不透明でもよく、厚さも公知の範囲内において、用途に応じて適宜選定されることとなる。
一方、本発明に使用されるシート磁石は、ゴム、プラスチック等に所定の磁性体を分散してシート状に形成した、一般的にラバー磁石とよばれるものである。特に、本発明にあっては、そのようなシート磁石の中でも、図7(a)に示すような、等方性磁石(10)と、図7(b)に示すような、異方性磁石(11)を使用する。
図7(a)に示す、等方性磁石(10)とは、磁性材料(12)を圧縮成型するとき、磁場を与えずに成型のみで作製された磁石であり、磁性材料(12)の磁化容易軸(磁化されやすい方向)がランダムな方向に向いているため、どの方向からも同じ強さで着磁することができる磁石である。一例としては、プラスチック磁石、等方性フェライト磁石、等方性ラバー磁石などがある。
一方、図7(b)に示す、異方性磁石(11)とは、磁性材料(12)を圧縮成型するとき、磁場を与えてながら作製された磁石であり、等方性磁石に比べ、外部からの磁界により磁性材料(12)の磁化容易軸が揃っているため、着磁は一方向のみ可能となり、等方性磁石に比べて強い磁力を持つ磁石である。一例としては、希土類磁石、異方性フェライト磁石、異方性ラバー磁石等がある。
本発明では、前述したシート磁石を形成する複数の磁石部材(13)が、図8に示すように互いに平行に延びる磁極を縞状(N極とS極が万線状に複数配列)、すなわち所定の幅、かつ、所定のピッチに着磁せしめてなるシート磁石(14)を使用し、当該シート磁石を、適当な切断手段を用いて、第一の線状要素群(4)と格子状要素群(5)に対応した文字や図形、記号などの所望形状に切り出して作製する。なお、一例として、前述した図1に示した格子状要素群(5)と第一の線状要素群(4)を形成するシート磁石(14)について説明する。
図9は、図1に示した第一の線状要素群(4)を形成するシート磁石(14−1)の概略図であり、幅(T1)の磁石部材(13−1)を第一のピッチ(P1)により第一の方向(V1)に万線状に複数配列して成る。なお、第一の線状要素群(4)を形成する第一の線状要素(6)の幅(T1)、第一のピッチ(P1)及び第一の方向(V1)は、シート磁石(14−1)を形成する磁石部材(13−1)の幅(T1)、第一のピッチ(P1)及び第一の方向(V1)と同一である。
図10は、図1に示した格子状要素群(5)を形成するシート磁石(14−2)の概略図であり、このシート磁石は、幅(T2)の磁石部材(13−2)を所定のピッチ(P2)により第二の方向(V2)に万線状に複数配列して成るように形成したものである。なお、格子状要素群(5)を形成する第二の線状要素(7)の幅(T2)、第一のピッチ(P2)及び第二の方向(V2)は、シート磁石(14−2)を形成する磁石部材(13−2)の幅(T2)、所定のピッチ(P2)及び第二の方向(V2)と同一である。
なお、シート磁石の切り出し作業を容易にするため、シート磁石の厚さとしては、一般に10mm程度以下、好ましくは、5mm程度以下の厚さが用いられることとなる。また、その下限の厚さにあっても、充分な磁力を作用させることができるように、一般に、0.1mm程度以上、好ましくは0.2mm以上の厚さのものが用いられることになる。このような厚さのシート磁石は、種々市販されており、それらの市販品の中から、適宜に選択することが可能である。
次に、本発明の潜像印刷物(1)の作製方法について説明する。
(作製方法)
本発明の潜像印刷物(1)の作製方法は、図11に示すように、印刷手段(S1)と、第一磁力作用手段(S2)と、第二磁力作用手段(S3)と、硬化手段(S4)から成る。
本発明の潜像印刷物(1)の作製方法は、図11に示すように、印刷手段(S1)と、第一磁力作用手段(S2)と、第二磁力作用手段(S3)と、硬化手段(S4)から成る。
印刷手段(S1)は、図12に示すように、前述した光輝性磁気インキを、オフセット印刷、フレキソ印刷や、グラビア印刷、凹版印刷、スクリーン印刷等の印刷方式により、基材(2)上に未硬化の光輝性印刷領域(15)を形成する。なお、未硬化の光輝性印刷領域(15)は、まだ乾燥又は硬化されておらず、そのため、未硬化の光輝性印刷領域(15)のインキ中に含有した光輝性を有する磁性顔料(9)が、そのような未硬化の光輝性印刷領域(15)において動くことができる状態となっている。
第一磁力作用手段(S2)は、図13に示すように、幅(T2)の磁石部材(13−2)を所定のピッチ(P2)により第二の方向(V2)に万線状に複数配列して成る前述した図9に示したシート磁石(14−2)を使用して、未硬化の光輝性印刷領域(15)に対して裏面から、磁力を作用する。磁力の作用は、表面又は裏面から行うことができるが、裏面から行うことが好ましい。表面から磁力を作用させた場合は、インキがシート磁石(14−1、14−2)に付着し、作業上の負荷が増加する。裏面から磁力を作用された未硬化の光輝性印刷領域(15)中の磁性顔料(9)は、シート磁石(14−2)の磁石部材(13−2)から生じる磁力線(19)又は磁束の方向に配向され、第二の磁性配列(v2)を有する複数の未硬化の第二の線状要素によって、未硬化の第二の線状要素群(17)が形成される。なお、本例では、第一磁力作用手段(S2)において、未硬化の第二の線状要素群(17)を先に形成しているが、先に、未硬化の第一の線状要素群(16)を形成してもよい。
第二磁力作用手段(S3)は、図14に示すように、未硬化の光輝性印刷領域(15)に対して、裏面から幅(T1)の磁石部材(13−1)を所定のピッチ(P1)により第一の方向(V1)に万線状に複数配列して成る前述した図8に示したシート磁石(14−1)により磁力を作用する。未硬化の光輝性印刷領域(15)中の磁性顔料(9)は、シート磁石(14−2)の磁石部材(13−2)から生じる磁力線(19)又は磁束の方向に配向され、第一の磁性配列(v1)を有する複数の未硬化の第一の線状要素によって、未硬化の第一の線状要素群(16)が形成される。また、未硬化の第二の線状要素群(17)中の磁性顔料(9)は、シート磁石(14−2)の磁石部材(13−2)から生じる磁力線(19)又は磁束の方向に配向され、第一の磁性配列(v1)を有する複数の未硬化の第一の線状要素が形成され、未硬化の第一の線状要素と未硬化の第二の線状要素(17)が交差する領域では、未硬化の格子状要素(18)が形成される。
なお、第一磁力作用手段(S2)と第二磁力作用手段(S3)に使用するシート磁石(14−1、14−2)は、各磁力作用手段(S2、S3)で磁性の配列方向が異なる磁石を使用すればよく、磁力の強弱は特段影響ないが、好ましいのは、第一磁力作用手段(S2)と第二磁力作用手段(S3)をそれぞれ磁力の弱い等方性磁石を使用するか、第一磁力作用手段(S2)に磁力の弱い等方性磁石を使用し、第二磁力作用手段(S3)では、等方性磁石より磁力の強い異方性磁石を使用することが好ましい。その理由としては、潜像画像を形成する際に、等方性磁石では、大きな磁力を与えることがないので、磁性顔料(9)が大きく傾くことなく、磁性顔料(9)の潜像効果がより大きくなるためである。
硬化手段(S4)は、未硬化の光輝性印刷領域(15)の光輝性磁気インキを硬化又は乾燥することにより、光輝性磁気インキ中の磁性顔料(9)を固定して光輝性印刷領域(3)を形成する。なお、未硬化の光輝性印刷領域(15)を紫外線(UV)硬化型インキにより印刷した場合は、第二磁力作用手段(S3)後に紫外線(UV)を照射して硬化することにより形成する。また、蒸発乾燥型(溶剤型)インキを使用して印刷した場合は、加熱等によって乾燥することにより形成する。
よって、本発明の潜像印刷物(1)は、未硬化の光輝性印刷領域(15)に対し、同じ又は異なる模様の磁性パターンを有するシート磁石を、光輝性磁気インキの乾燥又は硬化する前に二回、基材(2)に対し二次元的に角度の異なるように当接したのちに乾燥又は硬化した印刷物である。
(観察原理)
これらは図5に示したものと同じである。図5には、格子状要素(8)の格子点も模式的に表している。ここで、図5中の第一の画線は、第一の磁性配列(v1)を有する。さらに、第二の画線は第二の磁性配列(v2)を有する。
これらは図5に示したものと同じである。図5には、格子状要素(8)の格子点も模式的に表している。ここで、図5中の第一の画線は、第一の磁性配列(v1)を有する。さらに、第二の画線は第二の磁性配列(v2)を有する。
図5の画線の断面図を拡大し、光輝性印刷領域(3)における磁性付与時の磁界の流れと磁性顔料(9)の配向の仕方を模式的に表した。図15(a)に示すように、光輝性印刷領域(3)における磁性顔料(9)の配位を行うシート状磁石(14)は、一部がS極、その他がN極の磁石部材にて構成されていることによって、シート状磁石(14)の基材(2)に対向する際に、磁石部材(13)の各極のエッジ部(周辺部)において、磁力線(19)あるいは磁束が途切れることがなく、S極からN極に磁力線が流れる方向に沿って磁性顔料(9)が配向し、S極とN極の間に第一の線状要素(6)、第二の線状要素(7)が形成される。そのために、光輝性印刷領域(3)中の磁性顔料(9)の配位形態も、シート状磁石(14)の磁石部材(13)のエッジ部に沿って均一な配位形態となることから、シート状磁石(14)に対応して形成される濃淡差に基づくところのシート状磁石(14)の輪郭が、効果的に明確となり、鮮明な線画パターンが効果的に形成されるようになる。
そのため、対向配置された磁石部材(13)に沿った形状において、色調の濃淡差に基づくところのシート磁石(14)が現出されることになるのであって、もって、文字、図形、記号などの形状を有するシート磁石(14)に対応した形状を濃淡差にて表現して成る格子状要素群(5)が、形成されることになるのである。
図15(a)に示されるような配位形態において、磁性顔料(9)が光輝性印刷領域(3)において固定されると、図15(b)において、光源(20)から光が照射された場合に、観察者(21)が基材(2)の所定の方向から見たときに、磁性顔料(9)が上下方向に配向している個所においては、光が通りやすい。一方、磁性顔料(9)が傾斜せず、被印刷面に対し、平行ないし左右方向に配向している個所においては、所定の方向から入射された光を反射するようになることから、光輝性印刷領域(3)のなかの光を透過する部分と光を透過しない部分との間で、濃淡差が生じる。
次に、線状要素に磁性顔料(9)が固定された場合について、図16に示す。図16(a)に示すように、光源(20)から光が照射された場合は、第一の線状要素(6)と第二の線状要素(7)の磁性顔料(9)が所定の方向に傾斜しているため、磁性顔料(9)の反射により、所定の観察方向では、第一の線状要素(6)と第二の線状要素(7)を視認することができる。一方、図16(b)に示すように、観察方向を変えた場合は、第一の線状要素(6)の磁性顔料(9)の反射により、第一の線状要素(6)を視認することはできるが、第二の線状要素(7)の磁性顔料(9)に対しては、光源(20)から光が透過するため第二の線状要素(7)を視認することができる。
次に、本発明の潜像印刷物(1)の観察図を図17に示した。図17(a)のように、潜像印刷物(1)の第一の線状要素(6)により形成された画像からなる第一の線状要素群(4)と、第二の線状要素(7)により形成された画像からなる格子状要素群(5)、この両印刷部からなる光輝性印刷領域(3)を、図17(a)に示す所定の観察角度(21−1)から観察すると、図17(b)で示すように、第二の線状要素(7)と格子状要素(8)の磁性配列と、第一の線状要素(6)の磁性配列の違いにより反射光量の差が生じ、格子状要素群(5)が、第一の線状要素群(4)と光輝性印刷領域(3)内に区分けして、潜像画像として視認できる。しかしながら、図17(a)に示す所定の観察角度(21−1)から観察角度(21−2)に変えて観察した場合は、図17(c)に示すように、光輝性印刷領域(3)中の第二の線状要素(7)により形成された画像からなる格子状要素群(5)が、第一の線状要素群(4)が区分けして視認不可能となるため、複数の第一の線状要素(6)と格子状要素(8)による万線模様として視認される。これは、第二の観察角度(B)の方向から見たときに、第一の線状要素群(4)上に存在する格子状要素群(5)が光の反射を受けたときに、より強く反射するため、格子状要素群(5)が強く視認されることに起因している。
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作製した潜像印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
本発明において、表の配合の数字は重量%を示す。なお、基材(2’)には、一般的な白色上質紙((株)日本製紙社製)を使用した。
(光輝性磁気インキの作製)
光輝性磁気インキは、表1に示す配合でスクリーンインキとして作製した。インキの粘度は、30℃で1.0〜3.0Pa・sであった。また、降伏価は、20〜30Paであった。
光輝性磁気インキは、表1に示す配合でスクリーンインキとして作製した。インキの粘度は、30℃で1.0〜3.0Pa・sであった。また、降伏価は、20〜30Paであった。
印刷手段(S1)では、図18に示した未硬化の光輝性印刷領域(15’)を、金色の光輝性磁気インキを使用して、基材(2’)にスクリーン印刷方式で印刷した。なお、磁石は、表2に示す特性を有するシート磁石を使用した。
第一磁力作用手段(S2)では、幅(T2)の磁石部材(13)を所定のピッチ(P2)により第二の方向(V2)に万線状に複数配列して成る前述した図9に示したシート磁石(14−2)を使用して、未硬化の光輝性印刷領域(15’)に等方性シート磁石(14−2’)を基材(2’)に対して水平に位置するように配置し、シート磁石(14−2’)の磁力を基材(2’)の裏面から作用させて、第二の方向に未硬化の第二の線状要素を複数配列させて、未硬化の光輝性印刷領域(15’)内に、図19に示す未硬化の第二の線状要素群(17’)を形成した。
第二磁力作用手段(S3)では、幅(T1)の磁石部材(13)を所定のピッチ(P1)により第一の方向(V1)に万線状に複数配列して成る前述した図8に示したシート磁石(14−1)を使用して、未硬化の光輝性印刷領域(15’)に等方性シート磁石(14−1’)を基材(2’)に対して水平に位置するように配置し、シート磁石(14−1’)の磁力を基材(2’)の裏面から作用させて、未硬化の第二の線状要素群(17’)を形成する第二の方向と直行する第一の方向に未硬化の第一の線状要素を複数配列させて、未硬化の光輝性印刷領域(15’)に、図20に示す未硬化の第一の線状要素群(16’)と未硬化の格子状要素(18’)を形成した。
硬化手段(S4)では、UV照射機から、未硬化の光輝性印刷領域(15’)に対してUV照射を行うことにより光輝性磁気インキを硬化させて、光輝性印刷領域(3)を形成し、図21に示す潜像印刷物(1’)を作製した。
(観察図)
次に、実施例の潜像印刷物(1’)の観察図を図21に示す。図21(a)のように、潜像印刷物(1’)の、第一の線状要素(6’)により形成された画像からなる第一の線状要素群(4’)と、第二の線状要素(7’)により形成された画像からなる格子状要素群(5’)、この両印刷部からなる光輝性印刷領域(3’)を、図21(a)に示す所定の観察角度(21’−1)から観察すると、図21(b)で示すように、第一の線状要素群(4’)と区分けした格子状要素群(5’)が、潜像画像として視認できた。また、図21(a)に示す所定の観察角度(21’−1)から、基材(2’)を斜めに傾けて観察角度(21’−2)を変えて観察すると、図21(c)に示すように、光輝性印刷領域(3)において、格子状要素群(5’)と第一の線状要素群(4’)は区分けして視認不可能であり、格子状要素群(5’)と第一の線状要素群(4’)による万線模様として視認できた。
次に、実施例の潜像印刷物(1’)の観察図を図21に示す。図21(a)のように、潜像印刷物(1’)の、第一の線状要素(6’)により形成された画像からなる第一の線状要素群(4’)と、第二の線状要素(7’)により形成された画像からなる格子状要素群(5’)、この両印刷部からなる光輝性印刷領域(3’)を、図21(a)に示す所定の観察角度(21’−1)から観察すると、図21(b)で示すように、第一の線状要素群(4’)と区分けした格子状要素群(5’)が、潜像画像として視認できた。また、図21(a)に示す所定の観察角度(21’−1)から、基材(2’)を斜めに傾けて観察角度(21’−2)を変えて観察すると、図21(c)に示すように、光輝性印刷領域(3)において、格子状要素群(5’)と第一の線状要素群(4’)は区分けして視認不可能であり、格子状要素群(5’)と第一の線状要素群(4’)による万線模様として視認できた。
1 潜像印刷物
2 基材
3 光輝性印刷領域
4 第一の線状要素群
5 格子状要素群
6、6−1、6−2 第一の線状要素
7、7−1、7−2 第二の線状要素
8 格子状要素
9 磁性顔料
10 等方性磁石
11 異方性磁石
12 磁性材料
13 磁石部材
14、14−1、14−2 シート磁石
15 未硬化の光輝性印刷領域
16 未硬化の第一の線状要素群
17 未硬化の第二の線状要素群
18 未硬化の格子状要素
19 磁力線
20 光源
v21、21−1、21−2 観察者
2 基材
3 光輝性印刷領域
4 第一の線状要素群
5 格子状要素群
6、6−1、6−2 第一の線状要素
7、7−1、7−2 第二の線状要素
8 格子状要素
9 磁性顔料
10 等方性磁石
11 異方性磁石
12 磁性材料
13 磁石部材
14、14−1、14−2 シート磁石
15 未硬化の光輝性印刷領域
16 未硬化の第一の線状要素群
17 未硬化の第二の線状要素群
18 未硬化の格子状要素
19 磁力線
20 光源
v21、21−1、21−2 観察者
Claims (2)
- 基材上の少なくとも一部に、光輝性磁気インキによるべた印刷から成る光輝性印刷領域が形成され、
前記光輝性印刷領域は、第一の線状要素群と、前記第一の線状要素群と隣接する格子状要素群を有し、
前記第一の線状要素群は、第一の磁性配列を有する第一の線状要素を第一の方向、かつ、第一のピッチにより複数配列して成り、
前記格子状要素群は、複数の前記第一の線状要素と、前記第一の方向と異なる第二の方向に第二のピッチで配列した、前記第一の磁性配列と異なる第二の磁性配列を有する複数の第二の線状要素と、前記第一の線状要素と前記第二の線状要素の交差点が、前記第一の磁性配列と前記第二の磁性配列と異なる第三の磁性配列を有する格子状要素から成り、
前記第二の線状要素と前記格子状要素が複数配列されて潜像画像が形成され、
前記第一の線状要素群の前記第一の線状要素と前記格子状要素群の前記第一の線状要素は、同一線状であり、
所定の観察角度により観察した場合は、前記第一の線状要素と前記格子状要素の磁性配列による反射光により、前記第一の線状要素と前記格子状要素が万線状に視認され、
前記所定の観察角度から観察する角度を変化させた場合は、前記第二の線状要素と前記格子状要素の磁性配列と、前記第一の線状要素の磁性配列の違いにより反射光量の差が生じて、前記潜像画像が視認されることを特徴とする潜像印刷物。 - 前記第一の線状要素及び前記第二の線状要素は、画線であることを特徴とする請求項1記載の潜像印刷物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014091134A JP2015208903A (ja) | 2014-04-25 | 2014-04-25 | 潜像印刷物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014091134A JP2015208903A (ja) | 2014-04-25 | 2014-04-25 | 潜像印刷物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015208903A true JP2015208903A (ja) | 2015-11-24 |
Family
ID=54611527
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014091134A Pending JP2015208903A (ja) | 2014-04-25 | 2014-04-25 | 潜像印刷物 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015208903A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021081705A (ja) * | 2019-11-18 | 2021-05-27 | 独立行政法人 国立印刷局 | 光輝性動画模様 |
CN114347685A (zh) * | 2021-12-09 | 2022-04-15 | 惠州市华阳光学技术有限公司 | 一种磁性颜料的图案印制方法及印刷设备 |
-
2014
- 2014-04-25 JP JP2014091134A patent/JP2015208903A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021081705A (ja) * | 2019-11-18 | 2021-05-27 | 独立行政法人 国立印刷局 | 光輝性動画模様 |
JP7240678B2 (ja) | 2019-11-18 | 2023-03-16 | 独立行政法人 国立印刷局 | 光輝性動画模様 |
CN114347685A (zh) * | 2021-12-09 | 2022-04-15 | 惠州市华阳光学技术有限公司 | 一种磁性颜料的图案印制方法及印刷设备 |
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