JP2015206717A - 斜角超音波探触子のカップリングモニタ方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の斜角超音波探触子1のカップリングモニタ方法は、円柱状乃至は円筒状の被検査材Wを周方向に斜角超音波探触子1で探傷するに際して、斜角超音波探触子1のカップリング状態をモニタする方法であって、同一構造を有する2つの斜角超音波探触子1a,1bを、並列で、且つ超音波Uの送受信方向が被検査材Wの周方向に沿って互いに反対向きになるよう配備し、2つの斜角超音波探触子1a,1bのうち、一方の斜角超音波探触子1aが超音波Uを送信し、他方の斜角超音波探触子1bが被検査材W内部を周回してきた超音波Uを受信し、他方の斜角超音波探触子1bにて受信された超音波Uの強度を基に、一方の斜角超音波探触子1aのカップリング状態を検出する。
【選択図】図1A
Description
このような超音波探傷法には、その利用する超音波モードによって、垂直探傷法、斜角探傷法、表面波探傷法などの手法が存在する。例えば、垂直探傷法は、被検査材の表面に対して垂直(法線)方向に縦波超音波を入射し、被検査材の内部に存在する欠陥からの反射(エコー)を観測することで欠陥の有無を検査する手法である。
上記した超音波探傷法では、水、油、グリセリンなどの接触媒質と呼ばれる液体を被検査材の外表面と超音波探触子の間に塗布し、その接触媒質が塗布された被検査材の外表面に倣うように、超音波探触子の探傷面(音波の送受信面)を配置している。
超音波探傷法を用いて被検査材の欠陥検査を行う場合、超音波探触子からの超音波が被検査材に十分に入射されていないと、エコーが観測されないこととなり、その被検査材には欠陥が存在しない、言い換えると、その被検査材は、不良品であるにも拘わらず良品であるとされてしまうこともありうる。
例えば、垂直探傷法を用いて平板形状の被検査材を欠陥検査する場合、被検査材の底面(超音波探触子が接触している面と反対側の面)などからの反射されたエコーが常に観測されるので、この反射されたエコーの受信レベルをモニタリングすることで、カップリングモニタとすることができる。
そこで、超音波探触子のカップリング状況を正確に知るための技術として、特許文献1及び特許文献2の技術が開示されている。
特許文献1には、平板形状の被検査材の斜角探傷法において、探傷用の斜角振動子とは別にカップリングモニタ用の垂直超音波を送受信する振動子を同一の探触子に組み込んで被検査材の底面からのエコーをモニタすることで、カップリングモニタとする方法が開示されている(図4参照)。
例えば、特許文献1は、斜角超音波探触子とは別に、カップリングモニタ用の振動子が配備されており、このカップリングモニタ用の振動子から垂直超音波を被検査材に対して入射することで、斜角超音波探触子と被検査材とのカップリング状況をモニタする手法である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、円柱状の被検査材を斜角超音波探傷にて探傷する際に用いられる斜角超音波探触子のカップリング状況を正確にモニタする方法を提供することを目的とする。
本発明に係る斜角超音波探触子のカップリングモニタ方法は、円柱状乃至は円筒状の被検査材を周方向に斜角超音波探触子で探傷するに際して、前記斜角超音波探触子のカップリング状態をモニタする方法であって、同一構造を有する2つの斜角超音波探触子を、並列で、且つ超音波の送受信方向が前記被検査材の周方向に沿って互いに反対向きになるよう配備し、前記2つの斜角超音波探触子のうち、一方の斜角超音波探触子が超音波を送信し、他方の斜角超音波探触子が被検査材内部を周回してきた超音波を受信し、前記他方の斜角超音波探触子にて受信された超音波の強度を基に、前記一方の斜角超音波探触子のカップリング状態を検出することを特徴とする。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態に開示内容だけに限定されるものではない。
例えば、以下の説明において、斜角超音波探触子1は、円柱状の棒鋼である被検査材Wの欠陥Kの検出を行うものとしている。しかしながら、被検査体としては、円筒状の鋼管などが採用可能である。
図1Aは、本発明の実施形態による斜角超音波探触子1を円柱状の被検査材Wの外表面に接触(当接)させた状態を、当該被検査材Wの長手方向から見た概略図である。図1Bは、本発明の実施形態による斜角超音波探触子1を円柱状の被検査材Wの外表面に接触(当接)させた状態を、当該被検査材Wの周方向から見た概略図である。
本実施形態の斜角超音波探触子1は、被検査材Wの内部に存在する欠陥K(クラックなどの物理的な欠陥や及び金属組織的な欠陥)を検出する超音波探傷装置(図示せず)に備えられているものであって、被検査材Wの内部に所定の角度を付けて超音波U(斜角超音波)を送信するものである。
そこで、本実施形態では、2つの斜角超音波探触子1a,1bを以下のように配備し、カップリングモニタを実施している。
触子1を被検査材Wの外表面に当接させた場合、被検査材Wの外表面の3ヵ所で反射し、略正方形形状の軌跡を描いて入射点と同じ場所に後方から戻ってくるようになっている。
そこで、図1Bに示すように、本実施形態では、上記した同一構造を有する2つの斜角超音波探触子1a,1bを被検査材Wの長手方向に沿って並列で、且つ斜角超音波Uの送受信方向が被検査材Wの周方向に沿って互いに反対向きになるよう配備している。
特に、図1Aに示すように、例えば、角度が上方約45°の斜角超音波Uを送信する一方の斜角超音波探触子1aを被検査材Wの外表面に当接させた場合、被検査材Wの外表面の3ヵ所で反射し、略正方形形状の軌跡を描いて入射点と同じ場所に後方から戻ってくるようになる。それ故、他方の斜角超音波探触子1bが、角度が下方約45°の周回エコーUa(斜角超音波U)を受信できるように被検査材Wの外表面に当接されている。
送信部2は、所定電圧のパルス電圧が加えられると所定周波数の斜角超音波Uを一方の斜角超音波探触子1aに出力し、受信部3は、欠陥Kから反射してきた欠陥エコーUbを一方の斜角超音波探触子1aで受信すると、その受信した欠陥エコーUbに対応したパルス電流を発生させ、信号記録処理装置(図示せず)に出力する。
送信部2は、所定電圧のパルス電圧が加えられると所定周波数の斜角超音波Uを一方の斜角超音波探触子1aに出力し、受信部3は、被検査材Wの内部を周回して戻った周回エコーUaを他方の斜角超音波探触子1bで受信すると、その受信した周回エコーUaに対応したパルス電圧を発生させ、信号記録処理装置に周回表面波信号として出力する。
前述の繰り返しになるが、本実施形態のカップリング方法においては、同一構造を有する2つの斜角超音波探触子1a,1bを、被検査材Wの長手方向に沿って並列で、且つ斜角超音波Uの送受信方向が被検査材Wの周方向に沿って互いに反対向きになるよう配備し、2つの斜角超音波探触子1a,1bのうち、一方の斜角超音波探触子1aが斜角超音波Uを送信し、他方の斜角超音波探触子1bが被検査材W内部を周回してきた周回エコーUa(斜角超音波U)を受信し、他方の斜角超音波探触子1bにて受信された周回エコーUaの強度を基に、一方の斜角超音波探触子1aのカップリング状態を検出する。
図3Aに示すように、一方の斜角超音波探触子1aの受信波形には、被検査材Wの外表面からの表面エコーU、被検査材Wの内部に欠陥Kが存在する場合にその欠陥Kから反射した欠陥エコーUb、粒界からのエコーノイズなどが観測される。図3Aにおいては、表
面エコーUが観測された後に、欠陥検出範囲(欠陥ゲート)にて欠陥エコーUbが観測されていることが分かる。このような一方の斜角超音波探触子1aの受信波形は、斜角超音波探傷にて観測される波形である。
図3Bに示すように、他方の斜角超音波探触子1bの受信波形には、一方の斜角超音波探触子1aから送信され、被検査材Wの内部を周回した周回エコーUaが高強度(高S/N比)で観測される。図3Bにおいては、カップリング検出範囲(カップリングチェックゲート)にて周回エコーUaが観測されていることが分かる。この結果により、一方の斜角超音波探触子1aのカップリングがうまくいっており、図3Aの計測波形が正確であることがわかる。
このようなカップリングモニタ法において、図1Aに示すように、一方の斜角超音波探触子1aからの斜角超音波Uの送信角度が45°の場合、被検査材Wの外表面の3ヵ所で反射し、正方形形状の軌跡を描いて入射点と同じ場所に後方から戻ってくるので、2つの斜角超音波探触子1a,1bの配備位置を、当該被検査材Wの周方向に沿って調整しなくても受信することが可能である。
しかしながら、送信角度が上記角度以外(例えば、70°)の斜角超音波Uを送信する一方の斜角超音波探触子1aの場合、被検査材Wの外表面の複数ヵ所で反射し戻ってくる周回エコーUa(斜角超音波U)は、一方の斜角超音波探触子1aの配備位置とは異なる位置になるため、他方の斜角超音波探触子1bを被検査材Wの周方向に沿って移動させ、一方の斜角超音波探触子1aが発射した斜角超音波Uを、他方の斜角超音波探触子1bが受信可能となるように、2つの斜角超音波探触子1a,1bの配備位置1a,1bを調整する必要がある。
その場合であっても、この周回エコーUaのビーム路程は十分に長く、且つ超音波ビームもかなり広がっているので、ビーム中心が入射点から若干ずれていたとしても、弁別するに必要な強度の周回エコーUaを観測することは可能となる。しかしながら、戻ってくる周回エコーUaをより精確に受信しようとする場合、前述の入射角のズレに応じて、2つの斜角超音波探触子1a,1bを、当該被検査材Wの周方向に沿って近づけたり、離れるように配備することが好ましい。
詳しくは、図2Bに示すように、被検査材Wと一方の斜角超音波探触子1aとのカップリングの状況をモニタする際には、送信部2を一方の斜角超音波探触子1aに接続すると共に、受信部3を他方の斜角超音波探触子1bに接続して、周回エコーUaをモニタする。そして、図示はしないが、送信部2を他方の斜角超音波探触子1bに接続すると共に、受信部3を一方の斜角超音波探触子1aに接続して、周回エコーUaをモニタする。
また、これら2つの斜角超音波探触子1a,1bを用いて斜角超音波探傷を行うことで、斜角超音波Uの入射方向に対して直交する断面積の大きな欠陥Kを検出することができると共に、向きの異なる欠陥Kも検出可能となり、欠陥Kの見逃しを低減させる効果がある。
以上述べたように、同一構造を有する2つの斜角超音波探触子1a,1bを、並列で、且つ斜角超音波Uの送受信方向が被検査材Wの周方向に沿って互いに反対向きになるよう配備することで、一方の斜角超音波探触子1a乃至は他方の斜角超音波探触子1bのいずれかから送信されて被検査材W内部を周回してきた周回エコーUa(斜角超音波U)を、他方の斜角超音波探触子1b又は一方の斜角超音波探触子1aで受信することができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
また、本実施形態においては、超音波探傷機の受信部3が1チャンネルとして説明しているが、超音波探傷機の受信部3が多チャンネルを有している場合には、それぞれのチャンネルで同時にカップリング状況をモニタしてもよい。
1a 一方の斜角超音波探触子
1b 他方の斜角超音波探触子
2 送信部
3 受信部
4 回転装置
W 被検査材
K 欠陥
U 斜角超音波(超音波)
Ua 周回エコー
Ub 欠陥エコー
Claims (3)
- 円柱状乃至は円筒状の被検査材を周方向に斜角超音波探触子で探傷するに際して、前記斜角超音波探触子のカップリング状態をモニタする方法であって、
同一構造を有する2つの斜角超音波探触子を、並列で、且つ超音波の送受信方向が前記被検査材の周方向に沿って互いに反対向きになるよう配備し、
前記2つの斜角超音波探触子のうち、一方の斜角超音波探触子が超音波を送信し、他方の斜角超音波探触子が被検査材内部を周回してきた超音波を受信し、
前記他方の斜角超音波探触子にて受信された超音波の強度を基に、前記一方の斜角超音波探触子のカップリング状態を検出することを特徴とする斜角超音波探触子のカップリングモニタ方法。 - 前記2つの斜角超音波探触子のそれぞれは、交互に超音波の送信を行うものとされ、
前記一方の斜角超音波探触子が超音波を送信した際には、前記他方の斜角超音波探触子が超音波を受信すると共に、前記一方の斜角超音波探触子のカップリングモニタとして機能し、
前記他方の斜角超音波探触子が超音波を送信した際には、前記一方の斜角超音波探触子が超音波を受信すると共に、前記他方の斜角超音波探触子のカップリングモニタとして機能する
ことを特徴とする請求項1に記載の斜角超音波探触子のカップリングモニタ方法。 - 前記被検査材の周方向に沿って配備された前記2つの斜角超音波探触子の配備位置を、当該被検査材の周方向に沿って調整可能にしておき、
前記一方の斜角超音波探触子が発射した超音波を、他方の斜角超音波探触子が受信可能となるように、前記2つの斜角超音波探触子の配備位置を調整し、
前記他方の斜角超音波探触子にて受信された超音波の強度を基に、前記一方の斜角超音波探触子のカップリング状態を検出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の斜角超音波探触子のカップリングモニタ方法。
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2014
- 2014-04-22 JP JP2014088234A patent/JP6274957B2/ja active Active
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