JP2015200611A - カロリメトリックバイオセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】極微量の生体物質試料5を試料ホルダ6に導入するに当たり、作動媒体中の生体物質を容易に温度センサの感温部に導入固定することができるようにして、熱量的な計測により、生体物質試料に関する情報を得て、生体物質の量や特定ができるようにする超小型のカロリメトリックバイオセンサを提供する。【解決手段】基板1から熱分離した薄膜10は、カンチレバ型もしくは架橋構造型であること、薄膜10に薄膜温度センサ20としての熱電対もしくはサーミスタの感温部22を有していること、感温部22の電極を、電気泳動もしくは誘電泳動における少なくとも1対の電極の一方の電極23aとしても用いると共に、電気泳動もしくは誘電泳動により生体物質試料5が選択的に電極23aの上に捕集付着されるように作動媒体中に露出させ、試料ホルダ6と一部兼用にした。薄膜10の共振周波数シフトも検出可能とする。【選択図】図3
Description
本発明は、基板から熱分離したカンチレバ型もしくは架橋構造型の薄膜に形成した薄膜温度センサと試料ホルダと、この薄膜を略一様加熱するための加熱手段を具備したカロリメトリックバイオセンサに関するもので、試料ホルダと兼用にした薄膜温度センサの一方の電極に生体物質試料を、電気泳動法もしくは誘電泳動法により導入して固定するようにして、加熱手段による温度走査による温度変化(以後、熱分析と呼ぶ)や、一定温度(例えば、酵素活性のある38℃程度)の下での生体物質試料とこの生体物質に関係する抗体や酵素等との反応で発生する反応熱による温度変化(以後、反応熱解析と呼ぶ)を利用して、熱電対やサーミスタである薄膜温度センサからの信号で情報を得て、生体物質試料の量や種類の特定ができるようにする低消費電力で極微量試料の検出ができるカロリメトリックバイオセンサとして利用できるものである。なお、ここでの生体物質とは、DNA、RNA、ウイルス、タンパク質、多糖、各種糖、酵素、細菌、微生物、菌類、アミノ酸、ビタミン、有機物質など、生体や生体の一部または構成要素、生体由来の物質などを指す。
従来、示差熱量計としての熱分析装置があった。この装置では、試料ホルダが金属板からなる入れ物であり、二個の試料ホルダを温度制御された電気炉で所定の温度プログラムで温度走査のさせるもので、一方の試料ホルダには、被検出試料を設置し、他方には、標準試料を設置しておき、温度上昇に伴い、被検出試料にエンタルピ変化があると、このときの時刻で標準試料と被検出試料との間に温度差が生じるので、この温度差を時間経過とともに表示し、被検出試料の物性などを調べる装置があった。しかし、この従来の熱分析装置では、試料ホルダの熱容量が大きく、多量の被検出試料が必要であり、応答時間もその分遅く、試料ホルダを加熱する電気炉は、断熱材で覆うなど熱容量が大きいので、電力消費が大きく、更に応答時間も極めてゆっくりで、一回の計測に数時間かかるものであった。
これに対し本発明者は、基板から熱分離した薄膜に、少なくとも1個の試料ホルダと薄膜ヒータとを備え、所定の温度プログラムにより温度走査する熱分析装置を発明した(特許文献1、特許文献2)。基板から熱分離した薄膜が700μm角程度で、厚みが10μm程度のものを利用した場合には、水のエンタルピ変化である沸点検出は、数十秒程度で検出できることを示した。
しかしながら、本出願人が発明した熱分析装置(特許文献1、特許文献2)においては、微量液体の検出において、温度の走査時間中に試料の蒸発があり、時間経過と共に液体試料量が減少してしまうので、これを防ぐ工夫が必要であること、また、極微量液体試料の試料ホルダへの導入方法の問題、さらに、同一薄膜にマイクロヒータと温度センサとが形成されているために、マイクロヒータの熱容量が余分に存在し、また、薄膜内に加熱時の温度分布がやはり存在するので高感度で高精度になりにくいので、改良する必要があった。
また、本発明者は、熱容量が極めて小さな薄膜に温度センサと試料ホルダを形成して、温度に対して高速応答で、高感度で、高精度な温度センサであり、しかも均一な温度分布を実現すること、更に消費電力が小さく、高速応答の上記薄膜の外部に加熱手段を形成すること、極微量液体試料を定量分だけ試料ホルダに導入し、蒸発を防ぐようにした熱分析センサを提供し、更にこれを用いた超小型の熱分析装置を発明した(特許文献3)。
また、本出願人が発明した超小型の熱分析装置をバイオセンサとして利用するのに、やはり、極微量生体物質試料をどのようにして超小型の熱分析装置の試料ホルダに導入固定するかが問題となり、更に、酵素固定した領域、特に、温度の異なる液体試料をどのようにしてある酵素固定領域へ、一定量だけ導入するかの問題が存在していた。
また、電気浸透流での生体物質試料のサンプルホルダへの導入法も先の発明には記述しているが、電気浸透流は、キャピラリやマイクロチャネルの壁の電荷と作動媒体中のイオンとの相互作用による関係と対電極の印加直流電圧の向きによる電界方向による作動媒体中のイオンの正負によりそのイオンの流動向きが決まり、これに伴う作動媒体の流れのうち、マイクロチャネル等の側壁の近傍のイオンの移動方向により作動媒体の流れの方向も決まるというものである。したがって、マイクロチャネル等の側壁がないか、もしくは、開かれた領域に作動媒体が存在するような場合には、電気浸透流の効果が見られないか、もしくは、その力が小さいという問題があった。
また、従来、DNAやRNAを含む生体物質試料を、基板表面上の2次元的なセンシングスポットに付着させて、熱的に計測する方法が提案されていた(特許文献4)。しかし、そこでは、電流を流して加熱・冷却できる熱電素子を利用し、そこを帯電させたり、その熱電素子をペルチェ効果で冷却させて、生体物質試料を付着させることや、熱電素子で加熱して付着した生体物質試料を解離させることで、常に冷却と加熱ができる熱電素子を配置させることが要件になっていた。この熱電素子を温度センサとしても利用しているが、熱電素子をペルチェ効果で冷却させには、ジュール熱を超えて冷却できる程度の大電流を流さなければ、冷却効果が現れないことが問題になっている。このようにペルチェ効果で冷却させるには、ペルチェ素子である熱電素子の断面積としての接合面積を大きくして、内部抵抗を減らし、ジュール熱に打ち勝つ程度にしなければならない。したがって、熱電素子を相対的に薄膜にすることは、極めて困難であり、高速に微細な温度を計測する温度センサとしては不向きであった。
また、従来、PCR法で増殖したDNAやRNAを含む生体物質試料を移動させるなど、ハンドリングするのに、誘電泳動法があった(特許文献5)。これは不均一電界を作動媒体中に形成し、主に作動媒体の誘電率と、生体物質試料の誘電率もしくは生体物質試料を結合させたプラスチックビーズなどの複合体の誘電率との比較により、交流の不均一電界の中での誘電体物質の移動を利用するものである。不均一電界を形成するための印加交流電圧の周波数変化により、また、プラスチックビーズなどの表面電荷や導電性の調整により、一方の電極側に生体物質試料を近づけたり、離したりする操作が微細にできることが特徴である。しかし、生体物質試料自体、もしくは、プラスチックビーズなどに結合させた生体物質試料を電極側に移動させることができても付着させることは困難である。
解決しようとする課題は、熱容量が極めて小さな薄膜に温度センサと試料ホルダを形成して、温度に対して高速応答で、高感度で、高精度な温度センサとなり、更に消費電力が小さくさせ、上記生体物質試料を導入する上記薄膜上の温度センサの感温部付近を、外部から加熱手段により一様な温度分布を実現すること、極微量の生体物質試料を試料ホルダに導入するに当たり、作動媒体中の生体物質を容易に温度センサの感温部に導入固定することができるようにして、熱量的な(カロリメトリック)計測により、生体物質試料に関する情報を得て、生体物質の量や種類の特定ができるようにすること、更に、導入された生体物質試料の大まかな質量変化などを計測できるようにして、生体物質の量や種類の特定の確度を高めるようにした超小型のカロリメトリックバイオセンサを提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係わるカロリメトリックバイオセンサは、薄膜10上に導入された生体物質試料5に関して、カロリメトリックな情報を得るためのカロリメトリックバイオセンサにおいて、前記薄膜10は、基板1から熱分離した構造であること、該薄膜10はカンチレバ型もしくは架橋構造型であること、該薄膜10に薄膜温度センサ20としての熱電対もしくはサーミスタの感温部22を有していること、該感温部22の電極を、電気泳動もしくは誘電泳動における少なくとも1対の電極の一方の電極23aとしても用いると共に、電気泳動もしくは誘電泳動により生体物質試料5が選択的に前記電極23aの上に捕集付着されるように作動媒体中に露出させた構造とし、試料ホルダ6の少なくとも一部と兼用にしたこと、他方の電極23bを基板1上もしくは薄膜10に一体形成していること、上記薄膜10の少なくとも感温部22は、一様な環境温度に晒されるようにすると共に、薄膜温度センサ20の出力を利用して、生体物質試料5のカロリメトリックな情報を得るようにしたこと、を特徴とするものである。
基板1から熱分離している薄膜10は、カンチレバ型もしくは架橋構造型であるから熱容量が小さく、しかも作動媒体に入れてもカンチレバ型もしくは架橋構造型を構成している空洞部にも作動媒体が入るから周囲を封じているダイアフラム形状に対して水圧の影響、例えば破損など、が少なくて済むと共に、気体中での熱分析などでの生体物質試料5の微細なエンタルピ変化などに基づく温度変化を有効に計測することができる。
温度センサとして薄膜温度センサ20にしているので、薄膜10上にフォトリソグラフィにより容易に形成できる。薄膜温度センサとして熱電対を使用すれば、温度差だけを計測できると共に、温度差に対して、ほぼ直線的な出力が得られるから温度校正がしやすく、ゼロ位法により高精度な温度計測が可能となる。熱電対の温接点を感温部22として薄膜10の最も温度変化が得やすい領域(カンチレバ型では、カンチレバ先端付近、架橋構造型では、架橋構造の中央付近)に形成して置くと良い。また、サーミスタを測温抵抗体としての金属抵抗体薄膜を用いた場合は、絶対温度を計測できると共に、熱電対と同様に温度変化に対してほぼ直線的な出力が得られる。サーミスタを半導体サーミスタとした場合は、温度変化に対して指数関数的に変化し、高感度であると共に、絶対温度センサとしても用いることができる。もちろん、参照用薄膜である参照部薄膜10B上に形成している薄膜温度センサとの差動増幅をすることにより高感度で高精度な温度変化計測が可能となる。
電気泳動は、作動媒体中に設置した1対の電極に直流電圧を印加した時に、作動媒体(アガロースゲルなどのゲル状態も含む)中の例えば、負に帯電したイオンは、正の電圧を印加した電極側に静電力で引かれて移動する現象である。生体物質は、作動媒体にも依るが一般に負に帯電しているので、正に印加してある電極側にドリフト移動する。電気浸透流は、例えば、マイクロキャピラリやマイクロチャネルなどの流路の側壁が、シリコン酸化膜(SiO2)で覆われていると、その側壁表面は負に帯電しており、作動媒体中の可動正イオンを側壁表面に引き込む。この可動正イオンは、負の電極側に引かれドリフトするので、作動媒体の流路が狭い場合は、この作動媒体と一緒に負の電極側にどんどん引かれて流れを生じる。このような場合は、負のイオンの生体物質試料5は、電気泳動では正の電極側に引かれるが、電気浸透流のための作動媒体の負の電極側への流れに逆らうことになり、生体物質試料5の電気泳動が阻止されてしまう場合がある。従って、このような場合は、広い流路を用いて、生体物質試料5の電気泳動が流路の中央付近を移動できるようにさせるか、シリコン酸化膜(SiO2)の側壁を他の帯電し難いか、又は、中和するような物質でコートしておくか、又は、開放にさせて流路が形成し難いようにさせるなどの方法をとると良い。もちろん、生体物質試料5の電荷制御を行うか、流路側壁の表面電荷制御を行うなどして、電気泳動の生体物質試料5の移動と、電気浸透流によるイオンの移動とが同一方向になるようにしてやると、高効率で素早く生体物質試料5の移動と電極への捕獲ができる。
また、電気泳動での生体物質試料5において、従来のように、先ずはゲル中で電気泳動させて生体物質試料5の成分を空間的に分離した後、このうちの所望の生体物質試料の成分を取り出し、必要に応じてDNAなどは、PCR増幅させてその増加したDNAを取り出すなどして、これを作動媒体中に混入させて再度電気泳動で生体物質試料5を試料ホルダ6に延在した電極23aに捕集吸着させるようにしても良い。
また、薄膜10上に生体物質試料5を捕集する電極23aを電気泳動用の対電極の途中に配置するような複数の電極を配しておき、更に薄膜10上にゲル状の作動媒体を薄く塗布しておき、このゲル状の作動媒体中を電気泳動により生体物質試料5を電気泳動させて、所望の生体物質試料5の成分が試料ホルダ6の電極23aに到達した時に電極23aに電圧印加して吸着させ捕集するようにすることもできる。なお、必要に応じて、上記ゲル状の作動媒体のみを洗い流すようにしても良い。
更に、生体物質試料5は、帯電させることができるナノ又はマイクロサイズのビーズに取り付けて、このビーズと共に電気泳動させて試料ホルダ6の電極23aに捕集させるようにしても良い。このとき、ビーズの熱的特性が知られているものを用いると、生体物質試料5の上記の熱分析や反応熱解析をビーズに取り付けたままで実施することもできる。
誘電泳動は、本質的には、二枚の電極のコンデンサで、電極間の誘電体の誘電率が大きくなるとコンデンサの容量が大きくなり、静電エネルギーが増加する。そして、誘電体の誘電率が大きいと静電力により、二枚の電極の間に引き込まれる現象を利用するものである。実際の誘電泳動では、複数の電極形状で不均一電界を形成できるようにしたり、二枚の電極の形状の違いや更に誘電体膜の挿入により、不均一な電界を作動媒体中に形成させる。作動媒体の誘電率(複素誘電率)の大きさと、移動させる生体物質試料5や生体物質試料5を結合させた誘電体ビーズなどの誘電率の違いを利用して、不均一な電界の中で電界の集中した方(1対の電極のうち小さい面積の電極側)に移動させる場合と、逆に、電界が弱い側に移動させる場合がある。また、誘電率も複素誘電率であるから、誘電体の表面の導電率を変えるなどして、高周波電圧を印加させて、その周波数の調整により、電界の強い側への移動と弱い側への移動を選択させることができる。これにより、DNAや細菌、細胞等の微細な移動制御ができる。
薄膜温度センサ20の感温部22には、電極が必要であるので、電気泳動と誘電泳動には少なくとも一対の電極が必要であり、その一方の電極23aを感温部22から試料ホルダ6まで延在した電極と兼用にさせ、この電極23aに電気泳動や誘電泳動により、生体物質試料5を捕集付着させるものである。感温部22に直接生体物質試料5を捕集付着させることになるので、生体物質試料5の温度変化が直接的に検出できると言う利点に繋がる。ただ、この電極23aからの配線は基板1にまで延在して、電極パッドにまで及んでいるので、途中の配線で、作動媒体に接触する領域は、絶縁膜で被覆し、感温部22付近の生体物質試料5を捕集する電極23aのみ、露出するようにしたものである。
特に、温度走査を伴う示差熱分析(DTA)などのマイクロ熱分析(熱分析)では、基準物質の参照用の薄膜10であるの参照部薄膜10Bと生体物質試料5用の薄膜10であるセンサ部薄膜10Aとの温度差やその変化を計測する。そして、例えば、加熱手段25により時間に対して直線的な温度上昇をさせた時に、生体物質試料5の分解、蒸発、凝固、融点などのエンタルピ変化による温度の停滞などによる参照部薄膜10Bとの温度差の変化の波形から生体物質試料5の種類の特定をするものである。これらの基板1から熱分離した薄膜10(10A、10B)は、基板1に近い側は、基板1の温度に近いために低い。しかし、感温部22は、薄膜10の中でも最も高温になる領域に形成してあるので、温度が高い。感温部22には、生体物質試料5を搭載するので、この生体物質試料5に温度分布があってはならない。従って、加熱手段25である外部からのジュール加熱ヒータである薄膜ヒータ250は、充分、薄膜10よりも大面積であり、薄膜10に近接して配置して全体を覆うようにして、不均一な温度分布にならないように、ほぼ一様な感温部22の温度分布になるように配慮している。もちろん、外気温の変動が、感温部22に伝わらないように、外部を断熱材で充分覆う必要がある。また、補助ヒータを用いて、外部への熱の漏れを補償するようにしても良い。
本発明の請求項2に係わるカロリメトリックバイオセンサは、電極23aには、生体物質試料5を単に接着させるか、もしくは、所定の酵素等を含み選択的に生体物質試料5の化学反応を促進させるようにした接着層231が形成してある場合である。
従来の示差熱分析(DTA)や示差走査熱量計(DSC)のような加熱手段による温度走査による温度変化(熱分析)の本発明のカロリメトリックバイオセンサへの応用においては、例えば、人体の体液としての糞尿、唾液、汗などを採取した作動媒体の中に存在する細菌などの生体物質試料5を、電気泳動や誘電泳動で電極23aに導入するが、加熱手段による温度走査時には、先ず、作動媒体を洗浄するなどして除き、乾燥後、温度走査を行うことが多い。電気泳動を用いた場合は、電極23aへの直流電圧の印加を継続すると作動媒体の洗浄時は、液体中なので生体物質試料5を電極23aに静電力で捕集付着させて置きやすいが、誘電泳動では静電力が弱く、電極23aに導入した生体物質試料5を付着させておくことが困難な場合が多く、電極23aから流されてしまうことが多かった。
ここでの一つは、電極23aに、熱的特性など素性が分かっている接着層231を形成しておき、導入された生体物質試料5を単に接合させて付着を維持できるようにした場合である。そして、DTAなどの熱分析を行うことにより、生体物質試料5の量や種類の特定に繋がる情報を得ることができる。ここでのもう一つは、カロリーメータとしての反応熱解析において、生体物質試料5としての、例えば、グルコースに対して、その酸化酵素であるグルコースオキシダーゼは、グルコースを選択的に酸化させ(化学反応)、発熱反応で温度上昇を生じる。この反応の時間依存性のある温度上昇の大きさやその特性パターンからグルコースの量に関する情報を得ることができる。このような目的で、接着層231として、例えば、ゼラチンに所定の量の、例えば、酸化酵素であるグルコースオキシダーゼを混ぜて、所定の量の体積で膜状に接着層231を形成して、グルコースとグルコースオキシダーゼが接触するようにしておくものである。なお、この接着層231は、誘電泳動に際しては、高周波電圧を印加して誘電泳動をさせるので、必ずしも導電性を必要としないが、導電性の接着層231であることが望ましい。また、熱分析に用いる場合は、接着層231として、多少の加温により軟化して接着力を有するようになる有機物の極めて薄い膜(1マイクロメートル以下)で良い。導電性の付与は、ナノ微粒などの金属粉やカーボン粉などを混入させても良い。
本発明の請求項3に係わるカロリメトリックバイオセンサは、薄膜10が、同一基板1にアレー状に複数個形成してある場合である。
熱分析においては、同一基板1にアレー状の各薄膜10には、例えば、試料ホルダ6の電極23aに異なる電圧を印加して電気泳動や誘電泳動で生体物質試料5の異なる量を捕集したり、印加電圧時間を異なるようにしたり、更には、薄膜10上に薄く塗布したゲル状の作動媒体での印加電圧やその時間調整により、捕集される生体物質試料5の異なる構成要素を捕集させて、固定するようにするなど、生体物質試料5に関する多くの情報を得ることができる。
また、反応熱解析においては、例えば、特定の生体物質試料5に対する抗体や酵素、更には、各種の異なる生体物質試料5に対する抗体や酵素を同一基板1のアレー状の各薄膜10に配置固定させて、電気泳動や誘電泳動により導入捕集された所定の生体物質試料5との選択的反応によりその量等の情報を得ることができる。このようにして作動媒体を移動する各種の生体物質試料5の中から選択的に特定の生体物質試料5とその量に関する情報を得ることができる。
本発明の請求項4に係わるカロリメトリックバイオセンサは、薄膜10を励振して、試料ホルダ6と兼用にした電極23aに捕集吸着された生体物質試料5の質量の大きさやその変化に基づく共振周波数やその位相の変化から生体物質試料5に関する情報が得られるように、励振手段35を備えた場合である。
本発明のカロリメトリックバイオセンサを加熱手段による温度走査による温度変化(熱分析)として使用する場合、感温部22に導入された生体物質試料5を捕集吸着したカンチレバ型もしくは架橋構造型の薄膜10を励振手段35で励振させて、その時の共振周波数の大きさ、その周波数シフトや位相の変化から生体物質試料5に関する情報、特に、微生物等の個数、蒸気の離脱、熱変性などの伴う質量変化等、が得られるようにしてあり、生体物質試料5としての微生物等の量や特定に結びつくようにしたものである。
本発明の請求項5に係わるカロリメトリックバイオセンサは、励振手段35として、薄膜10を少なくとも2重層以上の薄膜から構成し、間欠ジュール加熱による2重層以上の薄膜同士の熱膨張係数の違いによる励振とした場合である。
励振手段35として、カンチレバ型もしくは架橋構造型の薄膜10の電極や配線、更には薄膜10を構成するSOI層などの導体部分を平行平板電極型コンデンサの一方の電極とし、加熱手段25の薄膜ヒータ250を他方の電極として、交流電圧をこれらの電極間に印加して静電的に振動させて、共振周波数frを計測することもできる。また、圧電膜をカンチレバ型もしくは架橋構造型の薄膜10に形成して、ピエゾ効果で薄膜10を励振させることもできる。ここでは、薄膜10を熱膨張係数の異なる少なくとも2重層以上の薄膜で構成し、加熱によるバイメタル効果でバイモルフ振動させた場合である。
本発明の請求項6に係わるカロリメトリックバイオセンサは、薄膜10の振動検出手段70として、薄膜10に形成したピエゾ抵抗を利用するようにした場合である。
ピエゾ抵抗は、歪により電気抵抗が変化するもので、n型のSOI層を主体とした薄膜10の基板1との境付近に高濃度のp型不純物拡散領域を形成して、ここをピエゾ抵抗領域とすれば良い。薄膜10の基板1との境付近が振動に対して最も大きな歪が発生する領域であり、その分、大きなピエゾ抵抗変化が得られるから高感度の振動の検出ができる。
本発明の請求項7に係わるカロリメトリックバイオセンサは、薄膜10の振動検出手段70として、薄膜10と他の部位との間の静電容量の変化を利用するようにした場合である。
薄膜10と他の部位との間の静電容量の変化とは、例えば、薄膜10を構成するSOI層などの導体部分を平行平面電極型コンデンサの一方の電極とし、加熱手段25の薄膜ヒータ250を他方の電極とした場合である。そして、この場合、他の部位とは、加熱手段25の薄膜ヒータ250に対応する。薄膜10の振動による変位がコンデンサの静電容量の変化になり、静電容量の変化の計測により振動の検出ができるので、これを振動検出手段70とするものである。
本発明の請求項7に係わるカロリメトリックバイオセンサは、試料ホルダ6まで延在した電極23aに捕集付着された生体物質試料5のカロリメトリック応答を計測する際に、所定のガスもしくは所定の液体雰囲気中で行い、それぞれの所定雰囲気でのカロリメトリック応答から生体物質試料5の量や種類の特定に結びつく情報を得るようにした場合である。
特に、本発明のカロリメトリックバイオセンサを加熱手段25による温度走査時の温度変化(熱分析)として使用する場合、所定のガス雰囲気の中でのある所定のプログラムに沿った温度上昇などの温度走査で、例えば、酸素雰囲気の中で温度上昇させた時には、酸化作用は温度に関して一般に指数関数的に進むので、ある特定の温度で、生体物質試料5のある構成要素の酸化が始まるように観測される。また、水素ガス雰囲気中で温度上昇させた時には、ある特定の温度で還元反応が観測されるように見える。この他、アルゴンガスなどの不活性ガス中や水蒸気中、更には、ある有機もしくは無機ガス雰囲気での生体物質試料5との反応による温度変化から生体物質試料5の量や種類の特定に結びつく情報を得ようとするものである。
本発明の請求項9に係わるカロリメトリックバイオセンサは、薄膜10の少なくとも感温部22を一様な環境温度にするために、薄膜10の面積の少なくとも2倍以上の面積を有する加熱手段25としての薄膜ヒータ250で感温部22を覆うようにした場合である。
少なくとも生体物質試料5を付着させて、所定の温度固定もしくは温度走査等をさせる感温部22を、一様な環境温度にして、均一な温度分布にさせるようにすることが重要である。そのためには、加熱手段25としてのジュール加熱ヒータである薄膜ヒータ250を、感温部22を持つ薄膜10に近接して感温部22を囲むように配置して、その面積も可能な限り大きい方が有利である。
本発明の請求項10に係わるカロリメトリックバイオセンサは、薄膜温度センサ20からの温度に関する信号を増幅する増幅回路と、該増幅器からの出力を利用して演算する演算回路とを同一基板に集積化した集積回路を備え、更に所定の温度制御を行う加熱手段25の制御回路を備えてあり、少なくとも前記集積回路と前記制御回路とをモジュール化した場合である。
本発明のカロリメトリックバイオセンサを極めて微量の生体物質試料5の熱的計測(カロリメトリック計測)の装置として用いるためにモジュール化した場合で、そこに必要な最小限度の回路等を一体化させた場合である。その基板として、半導体のシリコン単結晶基板を用いると、従来の半導体集積化技術とMEMS技術により容易に各種集積回路をこの半導体基板に形成できる。センサチップの基板1は、使い捨てタイプにすることが多いので、集積化する基板は、例えば、繰り返し使用する加熱手段25の薄膜ヒータ250を形成している基板にすると良い。電源として、ボタン電池などを用いるとマイクロ熱分析装置等としての極めてコンパクトなカロリメトリックバイオセンサが提供できる。
本発明のカロリメトリックバイオセンサは、基板1から熱分離した薄膜10に、薄膜温度センサ20と試料ホルダ6の一部と兼用にした電極23aとを備えてあり、この薄膜10の少なくともその感温部22を加熱手段25としての近接配置した薄膜ヒータ250で薄膜10を取り囲む構造にして一様な環境温度にさせるようにしているので、熱容量が小さく、高速にしかも低消費電力で昇温させることができるという利点がある。
本発明のカロリメトリックバイオセンサは、細菌などの生体物質試料5が存在する糞尿、汗、唾液等を含む作動媒体中での電気泳動もしくは誘電泳動で、試料ホルダ6の少なくとも一部と兼用にした電極23aに容易に移動させて捕獲させることができるという利点がある。
本発明のカロリメトリックバイオセンサは、細菌などの生体物質試料5を試料ホルダ6と一部兼用にした電極23aに捕獲させた後、電極23aに形成してある接着層231を利用して、容易に試料ホルダ6に固定することができる。
本発明のカロリメトリックバイオセンサは、熱的に素性が知られているナノ又はマイクロビーズに吸着などで取り付けて、電気泳動もしくは誘電泳動により試料ホルダ6と兼用にした電極23aに容易にドリフトさせて捕集することができるという利点がある。
ナノ又はマイクロビーズに、生体物質試料5もしくはそのうちの特定の要素に対する抗体を含む膜でコートしておき、この抗体に生体物質試料5もしくはそのうちの特定の要素を選択的に結合させて、電気泳動もしくは誘電泳動により試料ホルダ6と少なくとも一部兼用にした電極23aに容易にドリフトさせて捕集することができると共に、カロリメトリックな応答から更にその量や微細な熱的特性から更に詳細な生体物質試料5の分類が可能になるという利点がある。
本発明のカロリメトリックバイオセンサは、励振手段35を備えることができるので、その共振周波数やそのシフト量から生体物質試料5の成分要素の特定とその量に関する情報を得ることができるという利点がある。
本発明のカロリメトリックバイオセンサは、各種の雰囲気ガスの違いによる熱分析や熱分析途中の所定の温度での励振させた時の共振周波数frやそのシフト量から、生体物質試料5の構成要素の詳細な情報を得ることができると言う利点がある。
本発明のカロリメトリックバイオセンサは、そのセンサチップを使い捨てタイプにすることができるので、各種の汚染等を克服することができると言う利点がある。
本発明のカロリメトリックバイオセンサは、そのセンサチップの基板1として、半導体基板、特にSOI基板を用いることができるので、従来の集積化回路技術により、モジュール化が容易であり、ハンディなカロリメトリックバイオセンサの装置が提供できるという利点がある。
以下、本発明のカロリメトリックバイオセンサのセンサチップ300や加熱手段25等は、成熟した半導体集積化技術とMEMS技術を用いて、シリコン(Si)基板、特にSOI基板に形成できる。このSOI基板である基板1を用いて製作した場合のセンサチップ300を中心に図面を参照して、実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明者が先に発明した従来の熱分析センサの構成の断面図である。そこでは、SOI基板のSOI層をカンチレバ状に形成し、この先端部を例えば幅広に形成して試料ホルダ6として利用し、更に、この領域に薄膜温度センサ20を形成する。さらに、このSOI層のカンチレバ9の上側と下側に空隙を介してダイアフラムを形成してここに加熱手段25としての薄膜ヒータ250を形成して、カンチレバ9の試料ホルダを一様に外部から加熱できるような加熱手段25を有する熱分析センサを構成している。そして、そこでは、酵素反応に基づく熱型バイオセンサとした一実施例で、基板1からの熱分離のために中に浮いた薄膜10をカンチレバ9として実施した場合である。薄膜温度センサ20は、薄膜熱電対、例えば、縮退するほど高濃度のn型層を薄膜熱電対導体20Aとし、ニッケルやニクロム薄膜を薄膜熱電対導体20Bとして形成することで作成してあり、試料ホルダ6は単に、カンチレバ9の先端部を幅広にして、そこに、例えば、グルコースオキシダーゼなどの酵素7を薄膜状に固定した例である。
図2には、本発明のカロリメトリックバイオセンサの全体の構成の一実施例を示す横断面概略図で、基板1から熱分離したカンチレバ9の薄膜10にした場合を示し、前記した先の熱分析センサを、被計測試料である生体物質試料5を試料ホルダ6に導入して、捕集吸着させて固定することを中心に改良したものである。薄膜温度センサ20を従来の図1の場合と同様に、薄膜熱電対で構成しており、加熱手段25の構造や製作方法もほぼ同様なので、それらの詳細の説明は省く。薄膜熱電対は、冷接点を基板1に形成しているので、この基板1の絶対温度を知るために、基板1にpn接合ダイオードなどの絶対温度センサ200を形成してある。また、本発明のカロリメトリックバイオセンサのセンサチップ300である基板1は、使い捨てとして用いるために、上部と下部に設けてある薄膜ヒータ250を持つ加熱手段25から脱着可能な構造とし、センサチップ300は、センサチップホルダ110の溝に装着され、そこに設けた外部との電気的なやり取りをさせる入出力端子105と、センサチップ300の外部出力用の電極パッド40とが機械的に接触して導通するようにしている。また、外部の環境温度から断熱させるために、センサチップ300が挿入固定された加熱手段25全体を断熱材500で覆う構造にしている。必要に応じて更に、二重、三重に断熱材500で覆う構造にしても良い。
図3には、図2にも示した本発明のセンサチップ300の構造の一実施例の平面概略図を示し、電気泳動や誘電泳動により生体物質試料5を試料ホルダ6に運び固定するようにした場合で、薄膜10がカンチレバ型の場合である。また、図4には、図3におけるX-X線に沿った断面構造概略図を示している。カンチレバ9の薄膜10(例えば、200μm長、5μm厚程度)は、ほぼ同一形状で生体物質試料5を捕集吸着させて固定する試料ホルダ6を有するセンサ部薄膜10Aとこれに対となる参照部薄膜10Bとを備えている。センサ部薄膜10Aには、電気泳動では、直流電圧を印加し、誘電泳動では、例えば、数十kHzの高周波電圧を印加するための対となる電極が配置されている。ここでは、試料ホルダ6上にも及び薄膜温度センサ20としての熱電対の温接点となる感温部22にまで延在してある電極23aとカンチレバ9の支持部に近い側に設置した電極23bとがこの対となる電極である。電極23aは、薄膜温度センサ20である熱電対の薄膜熱電対導体20Bの感温部22付近で、薄膜熱電対導体20Bを覆っている絶縁膜51に窓を開けて、試料ホルダ6の領域だけで作動媒体15に晒すことができるようにしている。
生体物質試料5を電気泳動で電極23a側に移動させるには、センサ部薄膜10Aの電極23aと電極23bとを一様に覆うような作動媒体15(例えば、体液である尿、汗や唾液などで、必要に応じてpH調整溶液であるバッファー液を添加する)に晒し、電極23aと電極23bとの間に直流電圧を、電極間隔にも依存するが、10V程度印加するが、一般に、作動媒体15中の細菌や細胞などの生体物質試料5は、負に帯電するので、この場合は、電極23aには正の電圧を印加して負に帯電している生体物質試料5をドリフトさせるようにすると良い。また、生体物質試料5を誘電泳動で電極23a側に移動させるには、生体物質試料5と作動媒体15との複素誘電率の大きさの違いにより異なり、更に、電極の形状等により非対称の電界分布になるように、例えば、電極23a付近で電界が集中させるようにするには、電極23aの露出した電極面積を電極23bより1桁以上小さくさせるなどして達成させることができる。その場合、電極23aと電極23bとの間隔を狭めた方が不均一電界分布には有効である。複素誘電率の大きさの違いを利用するので、印加交流電圧の周波数を変化させることにより、生体物質試料5を電極23aに近づけたり、遠ざけさせたりすることができる。ここでは、交流電圧の振幅と周波数の調整により生体物質試料5を電極23aに捕集することができる。
また、試料ホルダ6の電極23aに捕集した生体物質試料5を熱分析する場合は、試料ホルダ6に確実に固定させた方が良い。このためには、電極23a上に化学的かつ熱的素性がはっきりしている接着層231を形成しておき、これに捕集した生体物質試料5を固定すると良い。図3と図4には、この接着層231を電極23a上に備えた場合を示している。誘電泳動では、高周波電圧を印加するので、必ずしも接着層231に導電性を要求しないが、電気泳動では、直流電圧印加なので、電極23aと導通するように導電性を付与した接着層231である必要がある。接着層231自体が、電気絶縁物質であった場合は、ナノサイズの金属粉やカーボン粉などを混ぜて、導電性を付与させることができる。接着層231は、のり状物質でも良いが、例えば、ゼラチンのような室温ではゲル状物質で、温度を少し上げると液化するような物質でも良く、その影響を少なくするために、極めて薄く(例えば、1μm以下)薄膜状に形成して、捕集後、薄膜温度センサ20である熱電対に電流を流し発熱させて接着層231を軟化させて固定させても良い。
図3および図4に示す本発明のカロリメトリックバイオセンサを反応熱解析に使用する場合は、生体物質試料5として、例えば、生体由来物質であるグルコースやペニシリンなどを用いた場合には、接着層231に、例えば、これらを選択的に酸化させる酵素であるグルコースオキシダーゼやペニシリナーゼなどを所定の量だけ混入させておき、生体物質試料5の接着効果と接触反応の促進効果とを共に達成させることができる。なお、この時の酸化反応は、発熱反応なので、試料ホルダ6の個所の感温部22の温度上昇が発生し、その温度上昇は生体物質試料5の量に関係するので、生体物質試料5の量、すなわち、例えば、唾液中のグルコースの量の計測となり、血糖値との対応関係から血糖値の推定ができる。また、ペニシリンは、青カビが生産するので、ペニシリンの存在は、青カビの存在に対応するので、カビ菌の選択的検出などに繋がるものである。このように生体物質試料5に対する選択的な酵素による反応熱を利用して、体液中の生体物質試料5の種類の特定とその存在量の推定に役立つ。
生体物質試料5として、上述では、DNA、細菌、各種細胞、微生物由来の物質、糖類、タンパク質など、そのものを電気泳動や誘電泳動により試料ホルダ6に導入する場合を説明した。しかしながら、作動媒体15の種類の違いによる生体物質試料5の帯電状態の違いや、微少量の生体物質試料5のために多量の同種の生体物質試料5でないと熱分析や反応熱解析で精度が得られないなどの問題が発生することがあった。また、誘電泳動では15との誘電率の違いが僅かなために泳動しない場合もあった。これらの解決策として、素性の分かっているマイクロもしくはナノビーズに生体物質試料5を接合させて、この生体物質試料5を接合せたビーズを電気泳動や誘電泳動させて、試料ホルダ6に導入して捕集させることもできる。
図8は、例えば、ガラスやプラスチック等のナノやマイクロサイズのビーズ8に、直接又は間接的に細菌やDNAなどの生体物質試料5を結合させて、主に、ビーズ8が作動媒体15の中で帯電している時には、電気泳動法で移動させるが、作動媒体15との誘電率差が大きい時には誘電泳動により移動させて、上述の図3と図4に示す電極23aのある試料ホルダ6に、生体物質試料5を結合させたビーズ8を捕集して、上述のように生体物質試料5に関しての熱分析や反応熱解析を実行するものである。図9は、ビーズ8の表面にコート膜18を形成し、このコート膜18に生体物質試料5を結合させた場合の様子を示すものである。例えば、3μm直径程度のポリスチレン微粒子の表面をアビジンで修飾してコート膜18とし、このアビジンに選択的に結合するビオチンを利用し、あるウイルス由来のRNAから逆転写PCRによってこのビオチンを結合させたあるDNAを生体物質試料5として、ポリスチレン微粒子と共に誘電泳動により電極23aのある試料ホルダ6に捕集することができる。そして、上述のようにして、熱分析や反応熱解析により捕集吸着された生体物質試料5としてのDNAを特定するための情報を得ることができる。
図10は、本発明のカロリメトリックバイオセンサで分析する生体物質試料5を、帯電させた、例えば、石英などの電気絶縁体のナノやマイクロサイズのビーズ8に接合した場合の様子を示すものである。石英などの電気絶縁体には、例えば、ナトリウムイオン(Na+)を表面に熱拡散させて、その表面にエレクトレットを形成させるなど、正に帯電させることもできる。また、コロナ放電などでも帯電させることができる。正に帯電させたビーズ8にDNAなどの生体物質試料5を結合させた状態を、図10には示している。また、図11には、この正に帯電させたビーズ8に細菌などの大きな生体物質試料5を結合させた状態を示し、作動媒体15の中で電気泳動や誘電泳動により試料ホルダ6に導入して捕集させて、上述のようにして、熱分析や反応熱解析を実行し、ビーズ8ごと捕集吸着された生体物質試料5を特定するための情報を得るものである。
図5は、本発明のカロリメトリックバイオセンサのセンサチップの一実施例を示し、作動媒体15に生体物質試料5が含まれ電気泳動によりドリフトさせている様子を示す一実施例で、薄膜10が架橋構造型の場合である。薄膜10がカンチレバ9の構造より架橋構造型の方が、両端支持薄膜となるので、機械的な強度が強くなると共に、幅の細い薄膜10上の配線を基板1の空洞13以外の額縁の領域まで延在させるのに好都合でもある。作動媒体15としては、例えば、人の体液である糞尿、汗、涙、唾液などでも良いし、更にこれらを他の水溶液で薄めたり、pH調節をしたりしたものでも良い。図5では、作動媒体15として、例えば、汗を用いた場合、この汗を電気泳動用の1対の電極23aと電極23bとに渡って覆うように滴下したような場合を想定した図である。従って、作動媒体15の汗の中に含まれる細菌などの生体物質試料5を電気泳動によりドリフトさせて、電極23aがある試料ホルダ6に捕集吸着させるようにした例を示している。上述と同様に、熱分分析や反応熱解析を実行するときには、上記図2に示すようなカロリメトリックバイオセンサの装置内の加熱手段25内にセンサチップ300として装着して実行するものである。
上述の図5では、作動媒体15として、例えば、体液などの液体を用いた場合を例にしたが、本発明では、更に、作動媒体15として、薄膜10の上に均一の厚みに形成したアガロースゲルなどのゲルを用いても良い。その場合には、生体物質試料5のゲルへの滴下位置は、電界が一様にかかるように電極23の近くで電極23aとの間にすることが要求される。もちろん、細菌やDNAなどの生体物質試料5に色素などで着色してマーカとなるようにすると可視化できるので望ましい。電極23aを有する試料ホルダ6に備えた接着層231に特定用の酵素を含有させておき、ここに捕集吸着した後、必要に応じてゲルを除去して、上述のようにカロリメトリックバイオセンサの装置内の加熱手段25内に装着して、その酵素反応が最適な温度、例えば、40℃一定になるように加熱手段25でセットして、酵素と捕集した生体物質試料5との反応熱の時間経過を薄膜温度センサ20の感温部22の熱電対出力からその特定酵素と反応する生体物質試料5の種類の特定やその含有量を計測することができる。
図6は、本発明のカロリメトリックバイオセンサのセンサチップ300の他の一実施例を示し、マイクロチャネル(流路)中に作動媒体15を満たし、電気泳動により生体物質試料5を移動させる様子を示す一実施例で、薄膜10が架橋構造型の場合である。マイクロチャネルは、薄膜10に細長い溝上の上部が開放のチャネルを形成しても良いが、本実施例では、架橋構造型の薄膜10にマイクロチャネルを形成するためにチャネル形成カバー55を取り付けている場合である。チャネル形成カバー55は、生体物質試料5の移動が確認しやすいためと熱容量を小さくさせるために透明の薄膜状が良い。作動媒体15としては、上述のように体液でも良いし、pHや導電率の調節などのために、バッファー液にしても良い。この場合、体液中の生体物質試料5の電気泳動による捕集ができる。特に、ここでは、生体物質試料5の試料注入孔16の近くの電極23bと作動媒体15に露出させた対電極となり試料ホルダ6に備えた電極23aのその外側に、更に作動媒体15に露出させた電極23cを設けてあり、電極23bと電極23a間の印加電圧よりも、電極23bと電極23c間の印加電圧の方を大きくさせて置き、電極23aは、生体物質試料5の通過点となるような作用をさせている。所望の生体物質試料5が電極23aを通過するときに電極23cへの電圧印加を止めて、電極23aに所望の生体物質試料5が捕集吸着されるようにするものである。
電極23aに所望の生体物質試料5が捕集吸着後、作動媒体15を除去して洗浄させると良い。そして、上述のように、捕集吸着された生体物質試料5を熱分析や反応熱解析を加熱手段25と組み合わせて実行する。もちろん、特定酵素入りの接着剤231を用いて、所定の一定温度の下で反応熱解析を行うことができる。
図7は、本発明のカロリメトリックバイオセンサのセンサチップ300の他の一実施例を示す横断面概略図で、熱膨張係数が異なるバイメタル型の励振手段35を備えた場合で、薄膜10がカンチレバ型の場合である。構造は、前記の図4とほぼ同様であるが、違いは、図7では、カンチレバ型の薄膜10の基板1での支持部付近に、振動を検出するための検出手段70としてピエゾ抵抗を形成していることである。ピエゾ抵抗は、n型のSOI層2に対して、p型の不純物であるホウ素(B)を熱拡散することで容易に形成される。カンチレバ型の薄膜10は、表面のSiO2膜などの絶縁膜51に比べ、埋め込み絶縁膜(BOX層)50が厚い場合、カンチレバ型の薄膜10の主体であるSOI層2と埋め込み絶縁膜(BOX層)50との熱膨張係数の違いによるバイメタル効果で、薄膜10の加熱・冷却により薄膜10を励振させることができる。これは、SOI層2は、金属並みの大きな熱膨張係数を有するのに対して、埋め込み絶縁膜(BOX層)50は、本質的に石英であるからほとんど膨張変化をしないために振動するものである。センサチップ300は、一般には、加熱手段25の中に装着して行うが、カンチレバ型の薄膜10の励振手段35としての加熱は、上述のような薄膜10の外側にある加熱手段25によるのではなく、薄膜温度センサ20である熱電対をヒータとして用いて行うことができる。この方が、熱容量が小さい薄膜10であるので、応答性が良い。
薄膜10の1回の加熱・冷却を1サイクルとした時に、その繰り返しサイクルと、捕集吸着された生体物質試料5を搭載した薄膜10の固有振動数と一致した時が共振周波数frであり、その共振周波数frは、生体物質試料5の質量に依存し、その質量が大きいと低周波側に共振周波数frはシフトする。この共振周波数frやそのシフト量から生体物質試料5の質量の変化が計測できる。DTAやDSCでの熱分析において、熱分析の始めの時点や熱分析終了後ばかりでなく、温度走査の途中でこの共振周波数frやそのシフト量を計測することもできる。これらの共振周波数frやそのシフト量の計測から、生体物質試料5の分子量や細胞等の個数の把握、温度走査による蒸発量や変性状態などを把握するための情報が得られる。また、薄膜10は、カンチレバ型ばかりでなく、架橋構造型でも同様である。
ここでは図示しないが、図7と同様な構造であり、加熱手段25の中に装着した時の、例えば、加熱手段25の薄膜ヒータ250とカンチレバ型薄膜10との間に構成される平行平板型コンデンサへの交流電圧の印加によりカンチレバ型薄膜10を励振させることができる。その振動周波数や共振周波数frの検出は、上記したピエゾ抵抗を用いても良いし、この平行平板型コンデンサの静電容量の変化から検出することもできる。もちろん、この場合も膜10は、カンチレバ型ばかりでなく、架橋構造型でも同様である。
図12は、本発明のカロリメトリックバイオセンサのセンサチップ300の他の一実施例を示す平面概略図で、薄膜10を基板1にアレー化させた場合の一実施例で、それぞれの薄膜10にそれぞれ異なる酵素7を含む接着層231を形成してある場合である。電気泳動により生体物質試料5を、試料ホルダ6の露出電極23aに捕集させる場合で、薄膜10がカンチレバ型の場合である。各アレーは、試料注入孔16から各アレーの電極23a(23a−1、23a−2、・・・)に至る試料注入孔16を移動させるマイクロチャネル17(17−1、17−2、・・・)があり、試料注入孔16から注入された生体物質試料5は、予めマイクロチャネル17を充満させているバッファー液中に滴下される。各アレーの電気泳動での捕集用の電極23aを有する試料ホルダ6には、種々異なる特定酵素を含有した接着層231(231−1、231−2、・・・)を備えており、各電極23aに捕集された、例えば、グルコースなどの生体物質試料5のうち、例えば、グルコースオキシダーゼなどの特定酵素と反応して反応熱が生じる場合に、その特定酵素に対応する生体物質試料5の種類の特定ができることになり、その発熱量から生体物質試料5の量が推定できる。もちろん、上述のように、カロリメトリックバイオセンサの加熱手段25にこのアレー化センサチップを装着して、特定酵素の活性最適温度の下で反応熱解析が実行される。
このアレー化センサチップを用いた本実施例でも、上記と同様にして電気泳動での捕集用の電極23aの試料ホルダ6に捕集させるのに、各アレーごとに電気泳動用の印加電圧を異なるようにして、電気泳動を実施することにより、細菌や細胞などの比較的大きな分子量の生体物質試料5の個数に関する情報を得ることができる。捕集した生体物質試料5の熱分析には、作動液体15を洗浄後、乾燥させて、加熱手段25により温度走査を行うと良い。もちろん、熱分析を行うような場合は、接着剤231には、酵素などを混入させる必要はない。また、この場合も薄膜温度センサ20としての熱電対を電気泳動用の電極23aと共通の電極23b間に電気泳動用の直流電圧を印加するが、この場合の電極23aへの電圧供給は、アレー電極パッド47(47−1、47−2・・・)を介して行われる。
図13は、本発明のカロリメトリックバイオセンサの熱分析もしくは反応熱解析する装置としての構成を示す一実施例で、ブロック図で示してある。センサチップからの温度変化に関する出力信号は、増幅回路で増幅され、更に、加熱手段25の熱分析の場合は、所定のプログラムに沿って、センサチップの参照部薄膜10Bの温度を中心に温度制御を行うためなどの演算回路を通して、信号が温度制御手段に送られる。また、示差熱分析(DTA)や示差走査熱量計(DSC)としての特性グラフの表示や温度変化表示などのための信号は、演算回路後外部の表示回路部に送られる。これらの回路のうち、増幅回路と演算回路は、集積回路として、例えば、使い捨てでない半導体基板である加熱手段25の基板に形成しておくと良い。また、本実施例は、この集積回路と温度制御手段とを少なくともコンパクトな装置となるようにモジュール化した場合である。
上述の実施例での図3から図7では、薄膜10のセンサ部薄膜10Aと参照部薄膜10Bには、ヒータを取り付けていない構造を示していたが、上述の加熱手段25とは別に、センサ部薄膜10Aと参照部薄膜10Bとの両方にマイクロヒータを形成して置いても良い。その役割は、次のようである。すなわち、例えば、センサ部薄膜10Aの試料ホルダ6に付着固定してある生体物質試料5の熱分析を行う場合、加熱手段25による所定の温度走査時に、生体物質試料5のエンタルピ変化に基づくセンサ部薄膜10Aの温度停滞などによるセンサ部薄膜10Aと参照部薄膜10Bの温度差を単に計測して熱量を求める(DSC)が、ここでは、センサ部薄膜10Aと参照部薄膜10Bの温度差がゼロになるように、センサ部薄膜10Aか、参照部薄膜10Bのマイクロヒータを制御加熱させる温度走査を行うようにする、所謂、入力補償DSCを実現させることもできる。
上述の実施例は、それぞれ一実施例に過ぎず、本願発明の主旨と作用および効果が同様でありながら、種々の変形があることは当然である。
本発明のカロリメトリックバイオセンサは、人間の日常の健康管理において、病気の発生の可能性、人体各種機能の低下の兆候などの指針を得るのに、簡単に日常チェックするのに適している。人間の糞尿、汗、唾液、涙などの排出体液から、例えば、グルコースを検出して、その値から血糖値の予測と糖尿病の予防を行うなど、極微量の排出体液から細菌を検出して、健康状態をチェックするなど、本発明のカロリメトリックバイオセンサの提供により極めてコンパクトな健康管理装置が提供できる。
1 基板
2 SOI層
5 生体物質試料
6 試料ホルダ
7 酵素
8 ビーズ
9 カンチレバ
10 薄膜
10A センサ部薄膜
10B 参照部薄膜
12 蓋
13 空洞
15 作動媒体
16 試料注入孔
17 マイクロチャネル
18 コート膜
20 薄膜温度センサ
20A、20B 薄膜熱電対導体
22 感温部
23、23a、23b 電極
25 加熱手段
35 励振手段
40 電極パッド
41 薄膜温度センサ用共通電極パッド
41A,41B 薄膜温度センサ用電極パッド
42A、42B 絶対温度センサ用電極パッド
43A、43B 上部薄膜ヒータ用電極パッド
44A、44B 下部薄膜ヒータ用電極パッド
46 泳動用電極パッド
47、47−1,47−2、47−n アレー電極パッド
50 埋め込み絶縁膜(BOX層)
51 絶縁膜
55 チャネル形成カバー
60 コンタクトホール
70 振動検出手段
100 台
101 配線
105 入出力端子
110 センサチップホルダ
200 絶対温度センサ
231、231−1、231−2、231−n 接着層
250 薄膜ヒータ
300 センサチップ
400 フレキシブル配線シート
500 断熱材
1000 カロリメトリックバイオセンサ
2 SOI層
5 生体物質試料
6 試料ホルダ
7 酵素
8 ビーズ
9 カンチレバ
10 薄膜
10A センサ部薄膜
10B 参照部薄膜
12 蓋
13 空洞
15 作動媒体
16 試料注入孔
17 マイクロチャネル
18 コート膜
20 薄膜温度センサ
20A、20B 薄膜熱電対導体
22 感温部
23、23a、23b 電極
25 加熱手段
35 励振手段
40 電極パッド
41 薄膜温度センサ用共通電極パッド
41A,41B 薄膜温度センサ用電極パッド
42A、42B 絶対温度センサ用電極パッド
43A、43B 上部薄膜ヒータ用電極パッド
44A、44B 下部薄膜ヒータ用電極パッド
46 泳動用電極パッド
47、47−1,47−2、47−n アレー電極パッド
50 埋め込み絶縁膜(BOX層)
51 絶縁膜
55 チャネル形成カバー
60 コンタクトホール
70 振動検出手段
100 台
101 配線
105 入出力端子
110 センサチップホルダ
200 絶対温度センサ
231、231−1、231−2、231−n 接着層
250 薄膜ヒータ
300 センサチップ
400 フレキシブル配線シート
500 断熱材
1000 カロリメトリックバイオセンサ
本発明の請求項8に係わるカロリメトリックバイオセンサは、試料ホルダ6まで延在した電極23aに捕集付着された生体物質試料5のカロリメトリック応答を計測する際に、所定のガスもしくは所定の液体雰囲気中で行い、それぞれの所定雰囲気でのカロリメトリック応答から生体物質試料5の量や種類の特定に結びつく情報を得るようにした場合である。
Claims (10)
- 薄膜(10)上に導入された生体物質試料(5)に関して、カロリメトリックな情報を得るためのカロリメトリックバイオセンサにおいて、前記薄膜(10)は、基板(1)から熱分離した構造であること、該薄膜(10)はカンチレバ型もしくは架橋構造型であること、該薄膜(10)に薄膜温度センサ(20)としての熱電対もしくはサーミスタの感温部(22)を有していること、該感温部(22)の電極を、電気泳動もしくは誘電泳動における少なくとも1対の電極の一方の電極(23a)としても用いると共に、電気泳動もしくは誘電泳動により生体物質試料(5)が選択的に前記電極(23a)の上に捕集付着されるように作動媒体中に露出させた構造とし、試料ホルダ(6)の少なくとも一部と兼用にしたこと、他方の電極(23b)を基板(1)上もしくは薄膜(10)に一体形成していること、上記薄膜(10)の少なくとも感温部(22)は、一様な環境温度に晒されるようにすると共に、薄膜温度センサ(20)の出力を利用して、生体物質試料(5)のカロリメトリックな情報を得るようにしたこと、を特徴とするカロリメトリックバイオセンサ。
- 電極(23a)には、生体物質試料(5)を単に接着させるか、もしくは、所定の酵素等を含み選択的に生体物質試料(5)の化学反応を促進させるようにした接着層(231)が形成してある請求項1に記載のカロリメトリックバイオセンサ。
- 薄膜(10)として、同一基板1にアレー状に複数個形成してある請求項1もしくは2のいずれかに記載のカロリメトリックバイオセンサ。
- 薄膜(10)を励振して、電極(23a)に捕集付着された生体物質試料(5)の質量の大きさや変化に基づく共振周波数やその位相の変化から生体物質試料(5)に関する情報が得られるように、励振手段(35)を備えた請求項1から3のいずれかに記載のカロリメトリックバイオセンサ。
- 励振手段(35)として、薄膜(10)を少なくとも2重層以上の薄膜から構成し、間欠ジュール加熱による2重層以上の薄膜同士の熱膨張係数の違いによる励振とした請求項4に記載のカロリメトリックバイオセンサ。
- 薄膜(10)の振動検出手段(70)として、薄膜(10)に形成したピエゾ抵抗を利用するようにした請求項4もしくは5のいずれかに記載のカロリメトリックバイオセンサ。
- 薄膜(10)の振動の検出手段(70)として、薄膜(10)と他の部位との間の静電容量の変化を利用するようにした請求項4もしくは5のいずれかに記載のカロリメトリックバイオセンサ。
- 電極(23a)に捕集付着された生体物質試料(5)のカロリメトリック応答を計測する際に、所定のガスもしくは所定の液体雰囲気中で行い、それぞれの所定雰囲気でのカロリメトリック応答から生体物質試料(5)の量や特定に結びつく情報を得るようにした請求項1から7のいずれかに記載のカロリメトリックバイオセンサ。
- 薄膜(10)の少なくとも感温部(22)を一様な環境温度にするために、薄膜(10)の面積の少なくとも2倍以上の面積を有する加熱手段(25)としてのジュール加熱ヒータで感温部(22)を覆うようにした請求項1から8のいずれかに記載のカロリメトリックバイオセンサ。
- 薄膜温度センサ(20)からの温度に関する信号を増幅する増幅回路と、該増幅器からの出力を利用して演算する演算回路とを同一基板に集積化した集積回路を備え、更に所定の温度制御を行う加熱手段(25)の制御回路を備えてあり、少なくとも前記集積回路と前記制御回路とをモジュール化した請求項1から9のいずれかに記載のカロリメトリックバイオセンサ。
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