JP2015200519A - 航跡抽出装置及び航跡抽出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】詳細探索部5により選択された航跡候補Xハットp’M’ 1:Nの尤度φM(Z1:N|Xハットp’M’ 1:N)と、母機と分離目標の航跡の総長から決まる分離目標用閾値Th1とを比較し、その航跡候補Xハットp’M’ 1:Nの尤度φM(Z1:N|Xハットp’M’ 1:N)が分離目標用閾値Th1以上であれば、分離目標の航跡が確立していると判定する目標分離判定部7を設け、目標分離判定部7により分離目標の航跡が確立していると判定された場合、航跡確立出力部9が詳細探索部5により選択された航跡候補Xハットp’M’ 1:Nを分離目標の航跡として出力する。
【選択図】図1
Description
ML−PDAは、センサの観測データを蓄積するとともに、その観測データを用いて、目標の航跡(目標の位置、速度)を仮定し、その仮定した航跡が、どの程度、実際の目標の航跡と似ているかを尤度(目標の航跡らしさ)で評価し、最尤推定によって尤度が最大となる航跡を探索するものである。
また、ML−PDAは、尤度が最大となる航跡を探索すると、その航跡の尤度と既定の閾値とを比較し、その航跡の尤度が閾値以上であれば、その航跡は目標の航跡であると判定して、その航跡を確立させている。
なお、ML−PDAは、目標が観測の途中で分離することを想定しておらず、観測の途中で分離しない単目標の航跡を確立するものである。
図1はこの発明の実施の形態1による航跡抽出装置を示す構成図である。
図1において、センサ1はレーダ装置に搭載されており、例えば、レーダ装置から放射されたのち、目標に反射されたパルス信号を繰り返し受信して、その受信信号に対する公知の信号処理を実施することで、目標の観測値(位置、速度)である観測データを取得する。
観測データ抽出部2はセンサ1に対するインタフェース機器であり、センサ1により取得された時系列の観測データを入力して、その観測データを観測データ蓄積部3に格納する処理を実施する。
観測データ蓄積部3は例えばRAMやハードディスクなどの記憶装置から構成されており、時系列の観測データを記憶する。
また、概略探索部4はセンサ1の観測時刻毎に生成した複数の航跡候補の尤度を算出し、その航跡候補の尤度に基づいて、センサ1の観測時刻毎に、当該観測時刻における複数の航跡候補の中から1つの航跡候補を選択する処理を実施する。なお、概略探索部4は航跡候補生成手段及び概略探索手段を構成している。
また、詳細探索部5は調整後の航跡候補の尤度に基づいて、複数の観測時刻における調整後の航跡候補の中から1つの航跡候補を選択する処理を実施する。なお、詳細探索部5は詳細探索手段を構成している。
目標分離判定部7は詳細探索部5により選択された航跡候補の尤度と、母機と分離目標の航跡の総長から決まる分離目標用閾値とを比較し、詳細探索部5により選択された航跡候補の尤度が分離目標用閾値以上であれば、分離目標の航跡が確立していると判定し、その航跡候補の尤度が分離目標用閾値未満であれば、分離目標の航跡が確立していないと判定する処理を実施する。
航跡確立出力部9は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、目標分離判定部7により分離目標の航跡が確立していると判定された場合、詳細探索部5により選択された航跡候補を分離目標の航跡として出力し、単目標判定部8により単目標の航跡が確立していると判定された場合、現在の観測時刻における調整後の航跡候補を単目標の航跡として出力する処理を実施する。
なお、航跡確立判定部6及び航跡確立出力部9から航跡確立判定手段が構成されている。
航跡抽出装置をコンピュータで構成する場合、観測データ蓄積部3をコンピュータの内部メモリ又は外部メモリ上に構成するとともに、観測データ抽出部2、概略探索部4、詳細探索部5、航跡確立判定部6及び航跡確立出力部9の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
また、図3は概略探索部4の処理内容を示すフローチャートであり、図4は詳細探索部5の処理内容を示すフローチャートである。
また、図5は航跡確立判定部6の処理内容を示すフローチャートである。
センサ1は、例えば、レーダ装置から放射されたのち、目標に反射されたパルス信号を繰り返し受信して、その受信信号に対する公知の信号処理を実施することで、目標の観測値(位置、速度)である観測データを取得する。
観測データ抽出部2は、センサ1により取得された時系列の観測データを入力して(図2のステップST1)、その観測データを観測データ蓄積部3に出力する。
センサ1の観測回数がN回である場合、1回目の観測時刻(1)の観測データZ1(観測フレーム(1)の観測データ)、2回目の観測時刻(2)の観測データZ2(観測フレーム(2)の観測データ)、・・・、N回目の観測時刻(N)の観測データZN(観測フレーム(N)の観測データ)を順次入力して、それらの観測データZ1〜ZNを観測データ蓄積部3に出力する。
ただし、Zkはk番目の観測フレーム(k)の観測データ(観測値)、zk,lはk番目の観測フレーム(k)におけるl番目の観測値ベクトル、mkはk番目の観測フレーム(k)における観測値数である。
観測データ蓄積部3は、観測データ抽出部2から出力された時系列の観測データZ1:Nを蓄積する(ステップST2)。
以下、図3を参照しながら、概略探索部4による航跡の概略探索処理を具体的に説明する。
概略探索部4は、観測データ蓄積部3に蓄積されているN個の観測データZ1:Nを入力すると、その観測データZ1:Nの各観測時刻で、目標が分離していると仮定して、初期状態の想定範囲内で、母機及び分離目標の初期状態の候補Xp(p=1,2,・・・,P)をP個生成する。
初期状態の候補Xpを生成する処理自体は公知の技術であり、例えば、上記の非特許文献1に開示されている方法で初期状態の候補Xpを生成するようにすればよい。
以下、P個の初期状態の候補Xp(p=1,2,・・・,P)の集合をX1:pのように表記する。
例えば、2次元の観測データから、等速直線運動の目標である母機の航跡と、母機から分離する等速直線運動の分離目標の航跡とを抽出する場合、母機と分離目標の初期状態Xは、下記の式(3)のように定義することができる。
明細書の文章中では、電子出願の関係上、文字の上に“・”の記号を付することができないので、xドットやyドットのように表記している。
cは母機から見た分離目標の速度ベクトルの倍率、θは母機から見た分離目標の分離角度である。
ここで、図6は母機と分離目標の関係を示す説明図であり、図6の(p(1),v(1))は母機の位置ベクトルと速度ベクトルを表し、v(2)は分離目標の速度ベクトルを表している。
因みに、母機と分離目標の初期状態Xを式(3)のように定義する場合、初期状態Xの要素である速度倍率cや分離角度θなどを適宜変更することで、P個の初期状態の候補Xp(p=1,2,・・・,P)を生成することができる。
式(5)において、I2はサイズ2×2の単位行列、02×2はサイズ2×2の零行列である。
また、k回目の観測時刻(k)における分離目標の状態ベクトルである航跡の候補X(2) kは、等速直線運動の仮定から下記の式(7)で表される。
これに対して、この実施の形態1では、上記の式(3)に示す6個のパラメータと、目標が分離した観測フレーム(M)を示すパラメータとの計7個のパラメータを推定すれば、母機と分離目標の位置と速度が分かる。
また、従来のML−PDA方式では、分離目標の速度を式(8)のように直交座標系で定義しているが、この実施の形態1では、母機と分離目標の運動が近いという前提の下で、式(3)のように、分離目標の速度ベクトルv(2)を、母機に対する分離目標の分離角度θと速度倍率cで定義しているので、分離目標の速度に関する初期状態の推定精度が向上することが期待される。
また、N(e|f,g)は平均fで標準偏差gの正規分布から値eが出現する確率、HはH=[I2,02×2]を満たす行列、Rは観測誤差を表している。
なお、P(1) d,P(2) d,β,Rは既知のパラメータとして事前に分かっているものとする。
式(9)に示す分離目標用の尤度関数は、上記の非特許文献1に開示されている単目標用の尤度関数を拡張したものであり、従来の単目標の尤度関数に対して、分離目標の対数尤度と、母機と分離目標の相互作用を考慮した対数尤度を加えた形になっているので、目標が観測の途中で分離する状況において、分離目標の航跡を抽出できることが期待される。
以下、図4を参照しながら、詳細探索部5による航跡の詳細探索処理を具体的に説明する。
即ち、詳細探索部5は、観測フレーム(M)毎に、例えば、最急降下法、Newton法、共役勾配法、準Newton法、EM(Expectation Maximization)法などの最適化手法を航跡候補Xp’M 1:Nの尤度φM(Z1:N|Xp’M 1:N)に適用することで、その航跡候補Xp’M 1:Nの尤度φM(Z1:N|Xp’M 1:N)を最大化する(図4のステップST21)。
以下、尤度を最大化した航跡候補をXハットp’M 1:Nように表記し、最大化した尤度をφM(Z1:N|Xハットp’M 1:N)のように表記する。
明細書の文章中では、電子出願の関係上、文字の上に“^”の記号を付することができないので、Xハットのように表記している。
詳細探索部5は、最も大きい航跡候補Xハットp’M’ 1:Nを特定すると、その航跡候補Xハットp’M’ 1:Nと、その航跡候補Xハットp’M’ 1:Nの尤度φM(Z1:N|Xハットp’M’ 1:N)と、その航跡候補Xハットp’M’ 1:Nの観測フレーム(M’)を示すパラメータとを航跡確立判定部6に出力する(ステップST22)。
また、詳細探索部5は、単目標の航跡の抽出に用いる情報として、現在時刻であるN回目の観測時刻(N)の観測フレーム(N)における航跡候補Xハットp’N 1:N(詳細探索部5により尤度が最大化された観測フレーム(N)における航跡候補)と、その航跡候補Xハットp’N 1:Nの尤度φN(Z1:N|Xハットp’N 1:N)とを航跡確立判定部6に出力する。
以下、図5を参照しながら、航跡確立判定部6の航跡確立の判定処理を具体的に説明する。
例えば、下記の式(13)に示すような計算を行うことで、分離目標用閾値Th1を算出する。
式(13)において、a,bは任意の定数である。
一方、その航跡候補Xハットp’M’ 1:Nの尤度φM(Z1:N|Xハットp’M’ 1:N)が分離目標用閾値Th1未満であれば、分離目標の航跡が確立していないと判定する。
例えば、下記の式(14)に示すような計算を行うことで、単目標用閾値Th2を算出する。
一方、その尤度φN(Z1:N|Xハットp’N 1:N)が単目標用閾値Th2未満であれば、単目標の航跡が確立していないと判定する。
また、航跡確立出力部9は、単目標判定部8により単目標の航跡が確立していると判定された場合、観測フレーム(N)における航跡候補Xハットp’N 1:Nを単目標の航跡として出力する。
また、分離目標の速度ベクトルv(2)に関する初期状態の推定精度を高めることができる効果を奏する。
上記実施の形態1では、詳細探索部5が、概略探索部4により選択された観測フレーム(M)毎の最大尤度の航跡候補Xp’M 1:N(分離目標の速度ベクトルv(2)が、母機の速度ベクトルv(1)に対する分離目標の速度倍率cと分離角度θで定義されている航跡候補)の尤度が高まる方向に当該航跡候補Xp’M 1:Nを調整するものを示したが、分離目標の速度ベクトルv(2)を正確に推定する必要がある場合、母機の速度ベクトルv(1)と速度倍率c及び分離角度θを用いて、直交座標系における分離目標の速度ベクトルv(2)を算出することで、母機の速度ベクトルv(1)と分離目標の速度ベクトルv(2)が直交座標系で定義されている航跡候補Xp’ 1:Mを求めるようにしてもよい。
この場合、直交座標系で定義されている航跡候補Xp’M 1:Nの尤度が高まる方向に当該航跡候補Xp’M 1:Nを調整する。
なお、詳細探索部5での航跡候補の探索処理は、尤度が高まる方向に航跡候補Xp’M 1:Nを調整するだけであり、概略探索部4での航跡候補の探索処理よりも計算負荷が小さいため、分離目標の速度ベクトルv(2)を直交座標系で定義しても、計算負荷の増大は大きな問題とならない。
Claims (6)
- センサの各観測時刻で目標が分離していると仮定して、前記センサの観測データを用いて、分離元の目標及び前記目標から分離した分離目標の航跡候補を前記センサの観測時刻毎に複数生成する航跡候補生成手段と、
前記航跡候補生成手段により生成された航跡候補の尤度に基づいて、前記センサの観測時刻毎に、当該観測時刻における複数の航跡候補の中から1つの航跡候補を選択する概略探索手段と、
前記センサの観測データを用いて、尤度が高まる方向に前記概略探索手段により選択された航跡候補を調整し、調整後の航跡候補の尤度に基づいて、複数の観測時刻における調整後の航跡候補の中から1つの航跡候補を選択する詳細探索手段と、
前記詳細探索手段により選択された航跡候補の尤度と、前記分離元の目標と前記分離目標の航跡の総長から決まる分離目標用の閾値とを比較して、その比較結果から前記分離目標の航跡が確立しているか否かを判定し、前記分離目標の航跡が確立していれば、前記詳細探索手段により選択された航跡候補を前記分離目標の航跡として出力する航跡確立判定手段と
を備えた航跡抽出装置。 - 前記航跡確立判定手段は、前記分離目標の航跡が確立していない場合、現在の観測時刻における調整後の航跡候補の尤度と、前記分離元の目標の航跡の長さから決まる単目標用の閾値とを比較して、その比較結果から非分離状態の目標である単目標の航跡が確立しているか否かを判定し、前記単目標の航跡が確立していれば、現在の観測時刻における調整後の航跡候補を前記単目標の航跡として出力することを特徴とする請求項1記載の航跡抽出装置。
- 前記航跡候補生成手段は、前記分離元の目標及び前記分離目標の航跡候補を生成する際、前記分離元の目標に対する前記分離目標の速度倍率と分離角度を用いて、前記航跡候補の要素である前記分離目標の速度を定義することを特徴とする請求項1または請求項2記載の航跡抽出装置。
- 前記詳細探索手段は、前記概略探索手段により選択された航跡候補であって、前記分離目標の速度が前記分離元の目標に対する前記分離目標の速度倍率と分離角度で定義されている航跡候補の尤度が高まる方向に当該航跡候補を調整することを特徴とする請求項3記載の航跡抽出装置。
- 前記詳細探索手段は、前記概略探索手段により選択された航跡候補の要素である前記分離目標の速度を直交座標系で定義し、尤度が高まる方向に当該航跡候補を調整することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の航跡抽出装置。
- 航跡候補生成手段が、センサの各観測時刻で目標が分離していると仮定して、前記センサの観測データを用いて、分離元の目標及び前記目標から分離した分離目標の航跡候補を前記センサの観測時刻毎に複数生成する航跡候補生成処理ステップと、
概略探索手段が、前記航跡候補生成処理ステップで生成された航跡候補の尤度に基づいて、前記センサの観測時刻毎に、当該観測時刻における複数の航跡候補の中から1つの航跡候補を選択する概略探索処理ステップと、
詳細探索手段が、前記センサの観測データを用いて、尤度が高まる方向に前記概略探索処理ステップで選択された航跡候補を調整し、調整後の航跡候補の尤度に基づいて、複数の観測時刻における調整後の航跡候補の中から1つの航跡候補を選択する詳細探索処理ステップと、
航跡確立判定手段が、前記詳細探索処理ステップで選択された航跡候補の尤度と、前記分離元の目標と前記分離目標の航跡の総長から決まる分離目標用の閾値とを比較して、その比較結果から前記分離目標の航跡が確立しているか否かを判定し、前記分離目標の航跡が確立していれば、前記詳細探索処理ステップで選択された航跡候補を前記分離目標の航跡として出力する航跡確立判定処理ステップと
を備えた航跡抽出方法。
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小幡康、前川良二、亀田洋志、系正義、小菅義夫: "航跡型MHTを用いた分離目標の追尾", 電子情報通信学会論文誌, vol. 第J91-B巻、第5号, JPN6017038094, 1 May 2008 (2008-05-01), JP, pages p. 626-635 * |
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