以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の上部の左右位置と、中部の左右位置と、遊技者の腹部に近い下側には、全5個のスピーカ(TL,TR,ML,MR,BTM)が配置されている(図2参照)。
上部位置に配置された2つのスピーカ(TL,TR)と、中部位置に配置された2つのスピーカ(ML,MR)は、各々、遊技者が認識する左右音を出力するが、必要時には、適宜なパンポット演出を実行している。ここで、パン(PAN)とは、左右のスピーカから聴こえる音の位置(定位)を意味し、パン動作は、具体的には、左右のスピーカの音量バランスを非対称に設定することで実現される。
パンポット演出は、例えば、適宜な予告動作として実行され、(1)左から右に、或いは、右から左に向けて予告音が移動するP1演出、(2)上から下に、或いは、下から上に向けて予告音が移動するP2演出、(3)傾斜方向下方に、或いは、傾斜方向上方に向けて予告音が移動するP3演出、(4)時計方向又は反時計方向に予告音が回転するP4演出などが、パン変位時間やパン変位態様などを変えて種々実行される。
また、例えば、リーチ演出の最終タイミングにおいて、上記パンポット演出P1〜P4の全部又は一部を実行した上で、全スピーカによる祝福音や残念音の発声と共に、抽選結果が報知されることもある。なお、これらのパンポット演出P1〜P4は、必要時には、画像演出やランプ演出と同期して実行される。パンポット演出P1〜P4との同期演出としては、(1)強調音を発生しているスピーカに近接するランプが派手に点灯或いは点滅する、(2)強調音を発生しているスピーカに近接位置にキャラクタなどが出現するなどの演出を例示することができる。
また、ガラス扉6の下方には、遊技者による演出音の音量調整が可能な音量スイッチVSWが配置されている。この音量スイッチVSWは、左右に+接点と−接点を有する方向キーであって、例えば、10段階の音量調整を可能にしている。この音量調整のための操作は、音声演出が実行されていない演出待機中に限り許可されるが、音量スイッチVSWの操作に対応して、確認演出音が出力されると共に、その設定レベルが表示画面に表示されるようになっている。
本実施例において、各スピーカ(TL,TR,ML,MR,BTM)から出力される音量は、一次ボリュームV1と、二次ボリュームVs(=V2,V3,V4)と、トータルボリュームTVの総合値(V1*Vs*TV)で規定されるが、係員や遊技者が人為的に規定する音量スイッチVSWの設定値は、最終段階のトータルボリューム値TVに反映される(図8参照)。
一方、一次ボリューム値V1は、パンポット演出や、その他の予告演出において、適切な音声演出を実現するべくソフトウェア設定され、二次ボリューム値Vs(=V2,V3,V4)は、通常時は、固定的な規定レベルに設定されている。したがって、各スピーカ(TL,TR,ML,MR,BTM)の音声演出時の音量は、専ら、一次ボリューム値V1の設定値を反映して、V1*Vs*TVの音量で出力されることになる。
なお、遊技者が、設定した音量設定値(トータルボリューム値TV)は、遊技者が遊技機を離れたと思われるタイミングでは、設定スイッチSET(図3参照)による係員設定値に戻される。また、例え、遊技中であっても重大な異常事態が検出された場合には、音量スイッチVSWの操作量に拘わらず、トータルボリューム値TVと二次ボリューム値V2とが最大レベルとなることで、異常報知音が大音量で出力される。したがって、無音状態で違法行為を継続することはできない。
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、中央開口HOが設けられている。中央開口HOの4頂点に対応して、ガラス扉6の内側には、4個のスピーカ(TL,TR,ML,MR)が配置され、中央開口HOの右下方には、低音用スピーカBTMが配置されている。なお、これらのスピーカは、図2において仮想的に示されている。
また、中央開口HOには、大型の液晶カラーディスプレイ(LCD)で構成された表示装置DSが配置されている。表示装置DSは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置DSは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19とを有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されることがあり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、適宜な予告演出などが実行される。
遊技球が落下移動する遊技領域には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、及び、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。そして、遊技球が図柄始動口15を通過すると、遊技球が入賞したとして、特別図柄表示部Da〜Dcで特別図柄の変動動作を伴う一連の画像演出が開始される。また、この画像演出に対応して、背景音楽や演出音を伴う音声演出や、ランプが点滅するランプ演出が実行される。
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるように構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで、開閉爪15aが開放されるようになっている。
なお、普通図柄表示部19は、普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止する。
大入賞口16は、前後方向に進退する開閉板16aを有して構成されている。大入賞口16の動作は、特に限定されないが、典型的な大当り状態では、大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態(確変状態)となるという特典が付与される。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧と電源異常信号ABN1,ABN2を出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DSを駆動する画像制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
但し、この実施例では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26を経由して、演出制御基板22に伝送され、また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、画像インタフェイス基板28を経由して、画像制御基板23に伝送される。一方、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板32を経由して、払出制御基板24に伝送される。制御コマンドCMD,CMD’,CMD”は、何れも16ビット長であるが、主制御基板21や払出制御基板24が関係する制御コマンドは、8ビット長毎に2回に分けてパラレル送信されている。一方、演出制御基板22から画像制御基板23に伝送される制御コマンドCMD’は、16ビット長をまとめてパラレル伝送されている。そのため、可動予告演出を含む予告演出を、多様化して多数の制御コマンドを連続的に送受信するような場合でも、迅速にその処理を終えることができ、他の制御動作に支障を与えない。
ところで、本実施例では、画像インタフェイス基板28と画像制御基板23とは、配線ケーブルを経由することなく、雄型コネクタと雌型コネクタとを直結されて二枚の回路基板が積層されている。そのため、各電子回路の回路構成を複雑高度化しても基板全体の収納空間を最小化できると共に、接続ラインを最短化することで耐ノイズ性を高めることができる。
これら主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24とインタフェイス基板28に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。すなわち、この実施例では、画像制御基板23と画像インタフェイス基板28とで画像制御部23を構成している。なお、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
また、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材GM1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板35と、ランプ駆動基板36とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。
ランプ駆動基板36には、複数のLEDが接続されており、これらのLED群を駆動する駆動データSDATAは、シリアル信号として、演出制御基板22→枠中継基板34→枠中継基板35を経由して、ランプ駆動基板36に搭載された複数のLEDドライバに伝送されている。
遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23及び画像インタフェイス基板28が、表示装置DSやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。
電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板32に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板33に接続されている。電源基板20の内部構成は、図4(a)に示す通りであり、外部から受けるAC24Vを全波整流するブリッジ型の整流回路61と、整流回路61の出力を受ける力率改善回路62と、整流回路の過渡電流を抑制する突入電流防止回路63と、4個のDC−DCコンバータ(以下、コンバータと略す)RG1〜RG4及びその付属回路と、交流電源の遮断と直流出力電圧の異常を監視する交流監視回路64と、を有して構成されている。
力率改善回路62は、チョークコイルL1と、スイッチングトランジスタQ1,Q2と、2つのトランジスタをON/OFF制御してチョッパ動作を実現する昇圧タイプの力率制御回路PFCと、平滑コンデンサC1とを有して構成され、入力電圧のピーク値33.9V(=24*SQR2)を昇圧して、設計値DC35Vの直流電圧を出力している。そして、この直流電圧DC35Vは、主制御基板21と、払出制御基板24と、演出制御基板22に各々配電されている。
力率制御回路PFCは、トランジスタQ1,Q2を相補的にON/OFF制御することで、AC24Vの電源ラインに、低振幅ノコギリ波状の充放電流を流している(図4(d)参照)。すなわち、トランジスタQ1のON時(Q2がOFF)に、チョークコイルL1に蓄積されたエネルギーが、トランジスタQ2のON時(Q1がOFF)に、平滑コンデンサC1に充電されることで、AC24Vの電源ラインの入力電流を略正弦波状に改善している。
したがって、本実施例によれば、図4(c)に示すようなスパイク状の入力電流が流れることがなく、整流回路61を構成するダイオードD1〜D4の電流最大定格を抑制することができ、大容量のダイオードD1〜D4(相対的に高価)を使用する必要がなくなる。なお、図4(b)と図4(c)は、力率改善回路を有しない従来装置(比較例)について、平滑コンデンサC1の両端電圧と、AC24Vの電源ラインの入力電流の電流波形を示したものであり、平滑コンデンサC1への充電時に、スパイク状の大電流が流れることを示している。これに対して、本実施例では、図4(c)に示すようなスパイク電流が流れないので、電源ノイズが発生することがなく、この意味でも好適である。
突入電流防止回路63は、NチャンネルMOS型のスイッチングトランジスタQ3と、トランジスタQ3のドレイン端子−ソース端子間に配置されたサーミスタTHと、トランジスタQ3のゲート電圧を規定するバイアス素子(ZD1,R1,R2,C2)とで構成されている。図示の通り、バイアス素子にはツェナーダイオードZD1が含まれているので、ツェナーダイオードZD1が降伏してON動作するまでの過渡状態では、ゲート端子にバイアス電圧が加わらず、トランジスタQ3がOFF状態となる。
そのため、電源投入直後は、AC24Vの電源ラインの入力電流が、整流回路61→力率改善回路62→サーミスタTH→整流回路61の経路を通ることになり、電源投入時の過渡電流(突入電流)がサーミスタTHによって最適に制限される。そのため、本実施例では、この意味でも大容量で高価なダイオードD1〜D4を使用する必要が無い利点がある。なお、力率制御回路PFCの出力値が、定常値(DC35V)に近づくと、ツェナーダイオードZD1がON動作して、トランジスタQ3もON動作するので、その後は、サーミスタTHに電流が流れることはなく、サーミスタTHにおいて無駄な電力消費が継続することはない。
交流監視回路64は、ダイオードD5,D6及び負荷抵抗R3で構成された全波整流回路と、電流制限抵抗R4と、コンバータRG4とで構成されている。負荷抵抗R3の両端電圧は、ピーク値34V程度の脈流波形となり(図4(e)参照)、この脈流電圧が電流制限抵抗R4を経由して、コンバータRG4の監視端子Sin1に供給されている。そして、コンバータRG4は、監視端子Sin1に供給される電圧に基づいて、交流電源AC24Vの遮断を判定しているが、その詳細は後述する。
4個のコンバータRG1〜RG4は、全て同一レベルの直流電圧(DC35V)をDC入力端子Vin受けて動作して、不図示の受動素子(R,L,C)と共に機能することで、降下レベルの直流電圧(12V又は5V)を出力している。すなわち、コンバータRG1とコンバータRG2は、各々、12Vを生成して出力端子Voutに出力しており、コンバータRG1の出力電圧DC12Vは、演出制御基板22に配電され、コンバータRG2の出力電圧DC12Vは、主制御基板21と払出制御基板24に配電されている。
また、コンバータRG3は、演出制御基板22に配電されるDC5Vを生成してコンバータRG3の出力端子Voutから出力し、コンバータRG4は、主制御基板21と払出制御基板24に配電されるDC5Vを生成して、コンバータRG4の出力端子Voutから出力する。このように、本実施例の電源基板20では、3種類の直流電圧(35V,12V,5V)だけを生成し、これらの直流電圧の配電を受けた各制御基板20,21,22では、必要に応じて、降下レベルの一又は複数の電源電圧を生成する構成を採っており、遊技機全体として電源回路の構成に無駄がない。
なお、コンバータRG4の出力に基づいてDC5Vのバックアップ電源BAKが生成され、主制御基板21と払出制御基板24に配電されている。ここで、バックアップ電源BAKとは、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。
ところで、コンバータRG1とコンバータRG3には、各回路素子のDC−DC変換動作の許否を制御する制御端子CTLが設けられており、制御端子CTLがHレベルであることを条件に内部回路が機能してDC−DC変換動作が実行される。
また、この実施例では、コンバータRG2と、コンバータRG4は、内部構成を図4(f)に示す同一の回路素子(IC)を使用している。この回路素子は、内蔵されたDC変換回路CNVへのDC入力端子Vinと、DC変換回路CNVの動作を許否制御する制御端子CTLと、コンパレータCM2への入力端子Sin2と、異常信号を受ける検出端子REFと、5.1V用のツェナーダイオードなどに内部接続された監視端子Sin1と、コンパレータCM2の出力端子Sout2と、コンパレータCM1の出力端子Sout1と、DC変換回路CNVの出力端子Voutと、を有して構成されている。このコンバータRG2,RG4についても、制御端子CTLがHレベルであることを条件に内部回路(DC変換回路CNV)が機能してDC−DC変換動作が実行される。
図4(f)に示す通り、コンバータRG2やコンバータRG4に内蔵されたコンパレータCM2は、その入力端子Sin2への入力電圧と、比較基準電圧2.5Vとを比較してH/Lレベルの比較結果を出力する。具体的には、入力端子Sin2の電圧が、比較基準電圧2.5Vより高い場合には、出力端子Sout2に、Hレベルの比較結果を出力するが、入力端子Sin2の電圧が、比較基準電圧2.5Vを下回ると、Lレベルの比較結果を出力するよう構成されている。
図4(a)に略記している通り、コンバータRG2やコンバータRG4の入力端子Sin2には、各々、直流電圧DC35Vを適宜に分圧した分圧信号DVが供給されている。この分圧信号DVは、直流電圧DC35Vが正常レベルである場合には、比較基準電圧2.5Vより高レベルであるが、直流電圧DC35Vが所定レベルまで降下すると、比較基準電圧2.5Vを下回るよう設定されている。そのため、直流電圧DC35Vが所定レベルまで降下すると、コンバータRG2やコンバータRG4の出力端子Sout2がLレベルに遷移することになる。
図4(a)に示す通り、コンバータRG2の出力端子Sout2は、自らの制御端子CTLと共に、コンバータRG1の制御端子CTLに接続されている。同様に、コンバータRG4の出力端子Sout2は、自らの制御端子CTLと共に、コンバータRG3の制御端子CTLに接続されている。
そのため、直流電圧DC35Vが降下して、コンバータRG2やコンバータRG4の出力端子Sout2の出力電圧がLレベルに遷移すると、その後は、4つのコンバータRG1〜RG4が、一斉にDC−DC変換機能を停止することになる。このように、本実施例では、DC−DC変換すべき入力電圧(DC35V)が、異常レベルまで降下すると、DC−DC変換動作が自動的に停止されるので、その後の異常動作の発生のおそれがない。
図4(f)に戻って説明を続けると、コンパレータCM1の入力部は、ワイアードOR構成になっており、監視端子Sin1からの電圧、又は、検出端子REFからの電圧の何れか一方又は双方が、比較基準電圧2.5Vを下回る場合には、出力端子Sout1に、Lレベルの検出信号を出力するようになっている。
出力端子Sout1から出力されるLレベルの検出信号は、交流電源(AC24V)が降下したか、主制御基板21や払出制御基板24に配電されるべき直流電圧(5V,12V)が降下したことを示しており、電源異常信号ABN1,ABN2として、各制御基板21,24に配電される。
また、この実施例の場合、コンバータRG2の出力端子Sout1は、コンバータRG4の検出端子REFに接続されている。そのため、コンバータRG2の出力端子Sout1の電圧がLレベルに遷移して、コンバータRG4の検出端子REFがLレベルに遷移すると、この動作に対応して、コンバータRG4の出力端子Sout1がLレベルに遷移することになる。
このような回路構成に対応して、本実施例では、コンバータRG2の出力電圧DC12Vを、分圧抵抗RA,RBによる分圧回路で監視し、コンバータRG4の出力電圧DC5Vを、分圧抵抗Ra,Rbによる分圧回路で監視している。そして、各分圧回路の監視出力は、ダイオードD7を通して結合され、監視電圧DE1として、コンバータRG2の検出端子REFに供給されている。ここで、分圧抵抗RA,RBと分圧抵抗Ra,Rbは、各コンバータRG2,RG4の出力電圧DC12V,DC5Vに対応した値に設定されており、正常時(つまり、各コンバータRG2,RG4の出力電圧が所定レベル12V,5Vである場合)には、コンバータRG2の検出端子REFに供給される監視電圧DE1が2.55V程度になるよう設計されている。
そのため、正常時には、コンバータRG2(コンパレータCM1)の出力端子Sout1はHレベルとなる。一方、コンバータRG2,RG4の出力電圧の一方又は双方が、所定レベル12Vや5Vを下回ると、コンバータRG2(コンパレータCM1)の出力端子Sout1は、HレベルからLレベルに降下する。先に説明した通り、コンバータRG2の出力端子Sout1は、コンバータRG4の検出端子REFに接続されているので、コンバータRG2の出力端子Sout1と共にコンバータRG4の検出端子REFがLレベルに遷移することで、コンバータRG4の出力端子Sout1がLレベルに遷移することになる。
ところで、交流監視回路64を構成するコンバータRG4の監視端子Sin1には、図4(e)に示す監視電圧DE2が供給されている。この監視電圧DE2は、原始的には、AC24Vの脈流であるが、電流制限抵抗R4を経由して5.1V用のツェナーダイオードに伝送されることで、振幅5.1V程度の検出電圧として、コンバータRG4のコンパレータCM1に供給される。なお、図4(e)には、監視電圧DE2がパルス波状に記載されているが、交流電源AC24Vが遮断されない限り、回路素子の容量成分や配線上の漂遊容量などに基づき、監視電圧DE2が2.5Vレベルを下回ることはない。すなわち、給電状態の交流電源AC24Vの瞬時値が、0Vのタイミングであっても、監視電圧DE2は、2.5Vレベルを上回っている。
一方、交流電源AC24Vが途絶えると(その時のコンバータRG4の検出端子REFやDC入力端子Vinの電圧レベルに拘わらず)、コンバータRG4の出力端子Sout1が、素早く、Lレベルに遷移することになる。出力端子Sout1からの出力は、先に説明した電源異常信号ABN1,ABN2に他ならず、主制御基板21と払出制御基板24に伝送される。したがって、各制御基板21,24では、必要なバックアップ動作を迅速に開始することができる。なお、バックアップ動作とは、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できるよう、必要なデータを保存する動作を意味し、保存されたデータは、バックアップ電源BAKによって維持される(電源バックアップ機能)。なお、この実施例では、少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
先に説明した通り、電源異常信号ABN1,ABN2は、主制御基板21や払出制御基板24に配電されるべき直流電圧(5V,12V)が異常レベルまで降下した場合にも出力される。すなわち、本実施例では、コンバータRG2,RG4及びその付属回路と、交流監視回路64とが協働して、交流入力電圧AC24Vの異常と、複数レベルの直流出力電圧(5V,12V)の異常をまとめて監視しているので、全ての異常時に、主制御部21や払出制御部24が迅速に対処できる利点がある。以上の点も含め、電源基板20における監視動作を確認すると以下の通りである。
(1)交流電源AC24Vの遮断時には、交流監視回路64から受ける監視電圧DE2が、比較基準電圧2.5Vを下回ることで、コンバータRG4(交流監視回路64)の出力端子Sout1から出力される電源異常信号ABN1,ABN2が素早くLレベルとなる。
(2)主制御基板21や払出制御基板24に伝送される直流出力電圧12V又は直流出力電圧5Vが降下すると、監視電圧DE1が比較基準電圧2.5Vを下回るタイミングで、コンバータRG2の出力端子Sout1と、コンバータRG4の検出端子REFがLレベルとなり、コンバータRG4の出力端子Sout1から出力される電源異常信号ABN1,ABN2がLレベルとなる。なお、この電源異常信号ABN1,ABN2は、交流電源AC24Vの給電状態であってもLレベルとなるので、例えば、コンバータGR2,RG4の異常時にも、各制御基板21,24では、必要なバックアップ動作を開始することができる。
(3)力率改善回路62から出力される直流電圧DC35Vが降下して、監視電圧DE1が比較基準電圧2.5Vを下回ると、コンバータRG2やコンバータRG4の出力端子Sout2の出力電圧がLレベルに遷移してコンバータRG1〜RG4の動作が停止状態となる。その結果、主制御基板21や払出制御基板24に伝送されるべき直流出力電圧12Vや直流出力電圧5Vのレベルも降下するので、(2)の場合と同様に、コンバータRG4の出力端子Sout1から出力される電源異常信号ABN1,ABN2がLレベルとなる。この動作も、交流電源AC24Vが給電状態か否かを問わないので、例えば、整流回路61や力率改善回路62などの異常に伴う直流電圧の降下時にも、各制御基板21,24では、必要なバックアップ動作を開始することができる。
ところで、本実施例の電源基板20では、交流電源の投入を示す電源リセット信号を生成しておらず、電源リセット信号が主制御基板21、払出制御基板24、演出制御基板22などに伝送されることはない。そのため、各制御基板21,24,22では、配電された直流電圧(5V,12V)に基づいて電源リセット信号を生成している。本実施例はこのような構成を採るので、従来装置のように、電源リセット信号を電源基板から各制御基板に伝送する信号線にノイズが重畳することで、CPUが異常リセットされるおそれがない。
続いて、上記した電源基板20の構成を踏まえて、遊技機GMの他の構成について説明する。図3に示す通り、主制御基板21は、主基板中継基板32を経由して電源基板20に接続されており、3種類の直流電圧DC35V,DC12V,DC5Vと、バックアップ電源BAKと、電源異常信号ABN1とを受けている。一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の電源異常信号ABN2や、バックアップ電源BAKを、3種類の直流電圧DC35V,DC12V,DC5Vと共に直接的に受けている。
この実施例では、RAMクリア信号CLRは、主制御部21で生成されて主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンに伝送されている。ここで、RAMクリア信号CLRは、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチSWのON/OFF状態に対応した値を有している。
図3に示す通り、主制御部21は、主基板中継基板32を経由して、払出制御部24に制御コマンドCMD”を送信する一方、払出制御部24からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONや、動作開始信号BGNを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。動作開始信号BGNは、電源投入後、払出制御部24の初期動作が完了したことを主制御部21に通知する信号である。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板31を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動式チューリップなどのソレノイド類を駆動している。ソレノイド類や検出スイッチは、主制御部21から配電された電源電圧VB(12V)で動作するよう構成されている。また、図柄始動口15への入賞状態などを示す各スイッチ信号は、電源電圧VB(12V)と電源電圧Vcc(5V)とで動作するインタフェイスICで、TTLレベル又はCMOSレベルのスイッチ信号に変換された上で、主制御部21に伝送される。
図3に示す通り、演出制御部22は、電源中継基板33を経由して、電源基板20から3種類の直流電圧(5V,12V,32V)を受けている(図4及び図5参照)。また、演出制御部22は、コマンド中継基板26を経由して、主制御部21から制御コマンドCMDとストローブ信号STBとを受けている(図3及び図5参照)。
そして、演出制御部22は、ランプ駆動基板29やランプ/モータ駆動基板30に搭載されたLEDドライバに、ランプ駆動データSDATA(シリアル信号)を供給している。特に限定されるものではないが、ランプ駆動基板29やランプ/モータ駆動基板30に搭載されているLEDドライバは、ランプ駆動基板36に搭載されたLEDドライバと同一構成である。
また、本実施例では同じLEDドライバを使用してステッピングモータを駆動しており、破線に示すように、ランプ/モータ駆動基板30を経由して、演出モータ群M1〜Mnを駆動している。この場合、モータ駆動データは、ランプ駆動データと同様のシリアル信号であり、演出内容を豊富化するべく演出モータ個数を増やしても、配線ケーブルが増加することがなく、機器構成が簡素化される。
図3及び図5に示す通り、演出制御部22は、画像制御部23に対して、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’と、システムリセット信号SYSと、2種類の直流電圧(12V,5V)とを出力している。
そして、画像制御部23では、制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DSを駆動して各種の画像演出を実行している。表示装置DSは、LEDバックライトによって発光しており、画像インタフェイス基板28から5対のLVDS(低電圧差動伝送Low voltage differential signaling)信号と、バックライト電源電圧(12V)とを受けて駆動されている(図5参照)。
続いて、上記した演出制御部22と画像制御部23の構成を更に詳細に説明する。図5に示す通り、演出制御部22は、音声演出・ランプ演出・演出可動体による予告演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶する制御メモリ(フラッシュメモリ)41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を再生して出力する音声合成回路(音声合成IC)42と、再生される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声メモリ43と、音声合成回路42のデジタル音声信号を受けてD級増幅する2個のデジタルアンプ46a,46bと、を備えて構成されている。
音声メモリ43は、音声合成回路42からアクセス可能な不揮発性メモリであり、一連の背景音楽の一曲分(BGM)や、ひと纏まりの演出音(予告音)などが、フレーズ圧縮データ(原音データ)として記憶されている。そして、各原音データは、11ビット長のフレーズ番号(000H〜7FFH)で特定されるようになっており、音声合成回路42やワンチップマイコン40は、フレーズ番号によって原音データを特定することができる。
デジタルアンプ46aの増幅出力(アナログ音声信号)は、低音用の下方スピーカBTMに供給されており、デジタルアンプ46bの増幅出力(アナログ音声信号)は、遊技者に対して上下左右位置にほぼ整列配置された4個のスピーカTL,TR,ML,MRに供給されている。
また、演出制御基板22には、係員が操作する設定スイッチSETから4ビット長のスイッチ信号が供給されている。ここで、設定スイッチSETは、遊技盤5の裏側に配置されて、必要時に操作される盤側部材である。図3や図4に示す通り、設定スイッチSETは、枠側部材である音量スイッチVSW(図1参照)とは別に配置されている。そして、係員が設定スイッチSETを操作すると、遊技者が設定していた音量スイッチVSWの設定値は無効となる。但し、その後、遊技者によって設定された音量スイッチVSWの設定値は、重大な異常事態の発生時を除いて有効となる。
図5に示す通り、演出制御基板22は、電源中継基板33を経由して、電源基板20から3種類の直流電圧(Vcc=5Vと、VB=12Vと、32V)を受けている。そして、直流電圧Vcc,VBについては、そのまま画像インタフェイス基板28及び画像制御基板23に転送され、直流電圧32Vは、そのままランプ/モータ駆動基板30に転送されて、演出モータなどの駆動電源として活用している。なお、直流電圧Vccは、演出制御基板22の各種デジタル回路の電源電圧として活用され、直流電圧VBは、デジタルアンプ46a,46bの電源電圧とされると共に、駆動基板29,30にも転送されてランプ演出やモータ演出に活用される。
また、演出制御基板22には、電源基板20から受ける直流電圧VBに基づいて、降下レベルの3種類の直流電圧を生成する電源回路が設けられている(図5左側参照)。この電源回路は、具体的には、直流電圧12Vから直流電圧1.0Vを生成する第一DC−DCコンバータCONV1と、直流電圧12Vから直流電圧3.3Vを生成する第二DC−DCコンバータCONV2と、直流電圧3.3Vから直流電圧1.8Vを生成する第三DC−DCコンバータCONV3とを有して構成されている。
直流電圧1.0Vは、音声合成回路42に内蔵されたコア回路用の電源電圧であり、直流電圧3.3Vは、ワンチップマイコン40と、制御メモリ41と、音声合成回路42と、音声メモリ43の電源電圧として使用される。なお、音声合成回路42に供給される直流電圧3.3Vは、内蔵されたインタフェイス回路用の電源電圧である。また、ワンチップマイコン40が受ける直流電圧1.8Vは、内蔵されているコア回路の電源電圧であり、直流電圧3.3Vは、内蔵されているインタフェイス回路の電源電圧である。
このように、本実施例の演出制御基板22では、主要な回路素子(IC)の電源電圧が、全てのVcc(5V)未満、具体的には公証値3.3V以下である。しかも、演算処理を制御するコア回路の電源電圧が全て、公証値1.8V以下であるので、複雑高度な動作を高速処理しても消費電力を大幅に抑制することができる。
また、ワンチップマイコン40、制御メモリ41、音声合成回路42、及び音声メモリ43の電源電圧(1.0V,1.8V,3.3V)は、全て、電源基板20から受ける直流電圧VB(12V)に基づいて生成されているので、ワンチップマイコン40、制御メモリ41、音声合成回路42、及び音声メモリ43の電源電圧の一部だけが、電圧降下する可能性が事実上ほぼゼロであって、局所的な機能停止の可能性が事実上生じない。すなわち、特定のICだけが機能を停止したり、或いは、特定のICの所定の内部回路だけ機能を停止する可能性がほぼない。
ところで、この演出制御基板22には、リセット回路RST&WDTが設けられており、電源基板20から受ける2種類の直流電圧(DC12V、DC5V)に基づいて、第一リセット信号SYSと、これに遅れて起動する第二リセット信号RSETとを生成している。また、このリセット回路RST&WDTは、ウォッチドッグタイマを兼ねている。
図5に示す通り、第一リセット信号SYSは、音声メモリ43をいち早く電源リセットすると共に、画像インタフェイス基板28(画像制御基板23)に転送されて、画像制御部23の回路素子を一斉に電源リセットしている。一方、第一リセット信号SYSから所定時間Tpo1遅れて起動する第二リセット信号RSETは、ワンチップマイコン40、制御メモリ41、及び、音声合成回路42を同期して電源リセットしている。なお、図6(b)には、第一リセット信号SYSと、第二リセット信号RSETとのタイムチャートが記載されており、各々、外付けコンデンサCT,Caの値に比例したリセット保持時間Tpo1,Tpo2が示されている。
このように、本実施例では、音声メモリ43や画像制御部23を、第一リセット信号SYSに基づいて電源リセットした後、適度(Tpo1)に遅れて、ワンチップマイコン40、制御メモリ41、及び音声合成回路42を同期して電源リセットするので、各ICの起動シーケンスを適切化することができ、また、起動時の誤動作を防止することができる。
リセット回路RST&WDTの回路構成は、図6(a)に示す通りであり、第一リセット信号SYSを出力するICで構成された第一リセット回路RT1(電源電圧Vcc=5V)と、第二リセット信号RSETを出力するICで構成された第二リセット回路RT2(電源電圧VA=3.3V)と、各ICの付属回路とで構成されている。第一リセット回路RT1の内部構成は、図6(c)に示す通りであり、比較基準電圧1.24Vとの比較動作を実行する2つのコンパレータCompA,CompBと、コンパレータCompAに検出電圧を供給する分圧抵抗(100kΩ、40kΩ)と、RSフリップフロップFFと、トランジスタQa,Qbなどを内蔵して構成されている。
図6(a)に示す通り、コンパレータCompAへの入力端子Vsaは、外付けコンデンサを経由してグランドに接続されており、その電位は、定常的には、Vcc*40/140[V]となる。また、コンパレータCompBへの入力端子Vsbは、分圧抵抗R10,R11の接続点の電圧を受けるので(図6(a))、その電位は、定常的には、VB*R11/(R10+R11)[V]である。そして、この実施例では、VB=12V、Vcc=5Vであって、何れの端子電圧も、定常的には、比較基準電圧1.24Vより高くなるよう設定されている。
但し、電源投入時に、電源基板20から直流電圧Vcc,VBの配電を受けた初期タイミングでは、入力端子Vsaと入力端子Vsbの電位は、1.24Vより低いので、フリップフロップFFがセット状態となり、制御トランジスタQaと、出力トランジスタQbがON動作する。したがって、第一リセット信号SYSは、電源投入時の初期タイミングからLレベルとなる。
その後、電源電圧Vcc,VBが規定レベルに向けて上昇する過程で、入力端子Vsaと入力端子Vsbの電位が、比較基準電圧1.24Vを超えるので、フリップフロップFFがリセットされて、制御トランジスタQaがOFF遷移する。すると、タイミング端子CTに接続されている外付けコンデンサCTへの充電動作が開始されるが、この充電動作の開始タイミング以降も、出力トランジスタQbのON状態が維持される。なお、図6(b)において、第一リセット信号SYSのリセット保持時間Tpo1の開始タイミングは、外付けコンデンサCTへの充電開始タイミングを意味している。
その後、タイミング端子CTの電位が所定レベルまで増加すると、ON状態の出力トランジスタQbがOFF遷移して第一リセット信号SYSがHレベルに遷移する。その結果、画像制御部23では、各素子(IC)の内部回路が動作準備処理を終えて定常動作を開始し、音声メモリ43についてもアクセス可能状態となる。但し、第二リセット信号RSETは、Lレベルのままであり(図6(b)参照)、ワンチップマイコン40、制御メモリ41、及び音声合成回路42の内部回路は動作準備処理中であって、本来の定常動作を開始することはない。なお、第一リセット信号SYSのリセット保持時間Tpo1は、外付けコンデンサCTの値に基づき適宜に設定される。
上記した第一リセット回路RT1の動作に対応して、第二リセット回路RT2の入力部には、スイッチングトランジスタQcと、そのバイアス抵抗R12,R13が配置されている。図示の通り、第一リセット信号SYSのレベル反転信号が、スイッチングトランジスタQcへのバイアス電圧を生成するので、第一リセット信号SYSがLレベルの期間(つまり、リセット保持時間Tpo1の期間)は、スイッチングトランジスタQcが継続してON状態であって、外付けコンデンサCaが短絡された状態となる。
ここで、外付けコンデンサCaは、第二リセット信号RSETのリセット保持時間Tpo2を規定するコンデンサであり、このコンデンサCaへの充電が開始されない限り、第二リセット信号RSETは、Hレベルに遷移することはない。したがって、図6(b)に示す通り、第一リセット信号SYSのリセット保持時間Tpo1の期間は、第二リセット信号RSETが必ずLレベルとなり、2つのリセット信号SYS,RSETの遅延時間が確保される。
そして、その後、第一リセット信号SYSがHレベルに遷移すると、スイッチングトランジスタQcがOFF状態に遷移する。そのため、このタイミングから外付けコンデンサCaへの充電動作が開始され、所定のリセット保持時間Tpo2の経過後に、第二リセット信号RSETがHレベルに遷移する。なお、第二リセット信号RSETのリセット保持時間Tpo2は、外付けコンデンサCaに値に基づき適宜に設定される。
ところで、図6(c)に示す通り、第二リセット回路RT2は、ウォッチドッグタイマ回路を内蔵して構成されており、所定の監視時間を超えてクロック端子CK1,CK2にクリアパルスCLRが供給されないと、第二リセット信号RSETが出力されるようになっている(図6(b)、図6(f)参照)。なお、監視時間は、外付けコンデンサCbの値に基づいて適宜に設定される。
本実施例の場合、クリアパルスCLRは、ワンチップマイコン40から定期的に出力されるよう構成されているが、万一、ワンチップマイコン40によるプログラム処理が暴走状態になると、クリアパルスCLRが途絶えることになる。
そのような場合には、第二リセット回路RT2に内蔵されたウォッチドッグタイマ回路が機能して、第二リセット信号RSETがLレベルに降下して、所定時間(Tpo2)後にHレベルとなる。その結果、ワンチップマイコン40、制御メモリ41、及び、音声合成回路42が同期してリセットされることで、暴走状態のプログラム処理が初期化される。初期化されるプログラム処理には、音声演出、ランプ演出、及びモータ演出が含まれており、これら全てが中断されて演出動作が初期状態に戻る。但し、第二リセット信号RSETは、画像制御部23には伝送されないので、音声演出、ランプ演出、モータ演出などの初期化に拘わらず、表示装置DSにおける画像演出は、引き続き正常に継続されることになり、遊技者に特段の不信感を与えない。
続いて、電源異常時の動作について、図6(a)及び図6(c)を参照しつつ説明する。先に説明した通り、第一リセット回路RT1のコンパレータCompBへの入力端子Vsbには、分圧抵抗R10,R11の接続点の電圧が供給されており、その電位は、定常的には、比較基準電圧1.24Vを超えるよう構成されている。
しかし、何らかの理由で電源電圧VBが降下して、入力端子Vsbの電位が比較基準電位を下回ると、コンパレータCompBの出力がHレベルとなり、Lレベルに遷移した第一リセット信号SYSが出力される(図6(b)参照)。また、この第一リセット信号SYSに対応して、第二リセット信号RSET信号もLレベルに遷移するので、画像演出部23と音声メモリ43が、ワンチップマイコン40、制御メモリ41、及び、音声合成回路42と共に一斉にリセットされることになる。
以上の動作は、電源電圧Vccの降下時にも生じるが、フリップフロップFFは、コンパレータCompAとコンパレータCompBのOR出力でセットされるので、電源電圧Vccと電源電圧VBとが対応して降下する電源遮断時だけでなく、電源電圧VBだけが降下する異常時や、電源電圧Vccだけが降下する異常時に、同様の動作が実行されることになる。
すなわち、本実施例では、電源電圧VBだけ、或いは、電源電圧Vccだけが降下する電源異常時においても、音声演出、ランプ演出、モータ演出、及び画像演出の全てが、一斉に初期化されることになる。
このような構成を採るのは、(1)電源電圧VBや電源電圧Vccは、演出制御部22を経由して画像制御部23に配電されており、画像制御部23の正常動作が、その後は望めないこと、(2)電源電圧VBに基づいて、ワンチップマイコン40、音声合成回路42、及び音声メモリ43の電源電圧(1.0V,1.8V,3.3V)が生成されており、電源電圧VBが降下した以上、その後は、演出制御部22の正常動作が望めないことなどに基づく。
すなわち、電源電圧VBの降下時には、ワンチップマイコン40、制御メモリ41、音声合成回路42、及び音声メモリ43が、第一と第二のリセット信号SYS,RSETに基づいて、一斉にリセットされて、音声演出、ランプ演出、及び、モータ演出が直ちに停止される。また、画像演出についても、第一リセット信号SYSに基づいて直ちに停止される。
ところで、本実施例では、第二リセット回路RT2は、その電源電圧を3.3Vとしており、この電源電圧のレベルが降下すると、第二リセット信号RSETがLレベルに降下して(図6(f)参照)、ワンチップマイコン40、制御メモリ41、及び、音声合成回路42を同期してリセットする。したがって、電源電圧VBが維持された状態で、第二DC−DCコンバータCONV2が故障して電源電圧3.3Vが出力されないような例外事態でも、音声演出、ランプ演出、モータ演出、及び画像演出の全てが直ちに停止されて異常な演出動作の発生が防止されている。
以上、演出制御部22のリセット回路RST&WDTについて詳細に説明したので、次に、演出制御部22の他の回路構成について説明する。先ず、ワンチップマイコン40には、図5に示す通り、複数のパラレル入出力ポートPIO(Pi+Pi’+Po+Po’)と、複数のシリアル出力ポートSIと、が内蔵されている。シリアル出力ポートSIは、より詳細には、3チャンネルのシリアルポート(S0〜S2)を含んで構成されており、ランプ駆動基板36、29、30に搭載された複数個のLEDドライバに、各々、シリアル駆動データSDATA0〜SDATA2を、クロック信号CK0〜CK2に同期して出力している。
すなわち、シリアルポートS0〜シリアルポートS2は、クロック同期方式に基づいて、対応するランプ駆動基板36、29、30に、シリアル駆動データSDATA0〜SDATA2を伝送している。なお、シリアル駆動データSDATA0〜SDATA2は、その殆どが、各LEDの発光輝度をPWM制御(pulse width modulation)によって輝度調整するため輝度データ(ランプ駆動データ)であるが、演出モータM1〜Mnを駆動するモータ駆動データも含まれている。
また、パラレル出力ポートPo’は、3ビット長の動作許可信号ENABLE0〜ENABLE2を、ランプ駆動基板36、29、30に出力しており、各ランプ駆動基板36、29、30に搭載されたLEDドライバは、動作許可信号ENABLE0〜ENABLE2の何れかに基づいて動作を開始している。また、出力ポートPo’からは、デジタルアンプ46a,46bの出力を無音化するためのMUTE信号が出力されている。このMUTE信号は、例えば、動作が不安定となる可能性のある電源投入時や、音声合成回路42の異常動作が検出された場合などに使用される。
このような構成に対応して、演出制御基板22には、ワンチップマイコン40のパラレル出力ポートPo’や、シリアルポートSIや出力される各種の信号を伝送する出力バッファ回路47,48,49が設けられている。ここで、出力バッファ47は、第0チャンネルのLED群に関連しており、ワンチップマイコン40が出力するランプ駆動データSDATA0、クロック信号CK0、及び、動作許可信号ENABLE0を、枠中継基板34に出力している。そして、出力された3ビットの信号は、枠中継基板34、及び、枠中継基板35を経由して、ランプ駆動基板36のLEDドライバに伝送される。
同様に、出力バッファ48は、ワンチップマイコン40が出力するランプ駆動データSDATA1、クロック信号CK1、及び、動作許可信号ENABLE1をランプ駆動基板29のLEDドライバに伝送しており、出力バッファ49は、ランプ駆動データSDATA2、クロック信号CK2、及び、動作許可信号ENABLE2をランプ/モータ駆動基板30のLEDドライバに伝送している。なお、ランプ駆動基板29のLEDドライバは、第1チャンネルのLED群を駆動し、ランプ/モータ駆動基板30のLEDドライバは、第2チャンネルのLED群と、演出モータM1〜Mnとを駆動している。
一方、パラレル入出力ポートPIOの入力ポートPiには、入力バッファ44を経由して、主制御部21からの制御コマンドCMD及びストローブ信号STBが入力され、コマンド出力ポートPoからは、出力バッファ45を経由して、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’が出力されるよう構成されている。
具体的には、入力ポートPiには、主制御基板21から出力された制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBとが、入力バッファ44において、ワンチップマイコン40の電源電圧3.3Vに対応する論理レベルに変換されて8ビット単位で、ワンチップマイコン40に供給される。割込み信号STBは、ワンチップマイコン40の割込み端子に供給され、受信割込み処理によって、演出制御部22は、制御コマンドCMDを取得するよう構成されている。
演出制御部22のワンチップマイコン40が取得する制御コマンドCMDには、(1)異常報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(2)図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)や、図柄種別を指定する制御コマンド(図柄指定コマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当たり抽選における当否結果とが含まれている。
また、図柄指定コマンドには、大当たり抽選の結果に応じて、大当たりの場合には、大当たり種別に関する情報(15R確変、2R確変、15R通常、2R通常など)を特定する情報が含まれ、ハズレの場合には、ハズレを特定する情報が含まれている。変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定しても良いが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
そのため、演出制御部22(ワンチップマイコン40)では、変動パターンコマンドを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、画像制御部23に対して、ランプやスピーカによる演出動作に同期した画像演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。
このような演出動作に同期した画像演出を実現するため、演出制御部22は、コマンド出力ポートPoを通して、画像制御部23に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、16ビット長の制御コマンドCMD’を画像インタフェイス基板28に向けて出力している。なお、演出制御部22は、図柄指定コマンドや、表示装置DSに関連する報知用制御コマンドや、その他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、16ビット長に纏めた状態で、割込み信号STB’と共に画像インタフェイス基板28に向けて出力している。
上記した演出制御基板22の構成に対応して、出力バッファ45が設けられており、16ビット長の制御コマンドCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を画像インタフェイス基板28に出力している。そして、これらのデータCMD’,STB’は、画像インタフェイス基板28を経由して、画像制御基板23に伝送される。なお、これらの信号は、ワンチップマイコン40の電源電圧3.3Vに対応する論理レベルである。
また、パラレルポートPi’には、係員が音量を設定するべく操作する設定スイッチSETからのスイッチ信号が供給されている。設定スイッチSETのスイッチ信号は、電源投入時に、そのレベルが判定されて初期状態の音量設定値が決定される。そして、その後も定時的に設定スイッチSETの設定位置が判定され、もし、初期状態から変化があれば、その時のスイッチ信号のレベルに応じた音量設定値となる。
また、演出制御基板22には、音声合成回路42から出力される音声信号を受ける2つのデジタルアンプ46a,46bが配置されている。先に説明した通り、音声合成回路42は、3.3Vと1.0Vの電源電圧で動作しており、また、デジタルアンプ46a,46bは、電源電圧12VでD級増幅動作しており、消費電力を抑制しつつ大音量の音声演出を可能にしている。
そして、デジタルアンプ46aの出力によって、遊技機下部の低音用スピーカBTMが駆動され、デジタルアンプ46bの出力によって上部左右のスピーカTL,TRと、中部左右のスピーカML,MRが駆動されている。そのため、音声合成回路42は、6チャンネルの音声信号を生成する必要があり、これをパラレル伝送すると、音声合成回路42とデジタルアンプ46a、46bとの配線が複雑化する。
そこで、本実施例では、音質の劣化を防止すると共に、配線の複雑化を回避するため、音声合成回路42とデジタルアンプ46aとの間は、3本の信号線SCLK、LRO,SD2で接続され、音声合成回路42とデジタルアンプ46bとの間は、4本の信号線SCLK、LRO,SD0,SD1で接続されている。図7(a)は、音声合成回路42とデジタルアンプ46a,46bの接続関係を示しており、図7(b)は、5種類の信号SCLK,LRO,SD0,SD1,SD2の相互関係をタイムチャートで示している。
5種類の信号SCLK,LRO,SD0,SD1,SD2について詳述すると、低音用スピーカBTMを駆動するデジタルアンプ46aと音声合成回路42は、転送クロック信号SCLKと、チャンネル制御信号(ワードクロック信号)LROと、音声シリアル信号SD2の信号線で接続されている。なお、音声シリアル信号SD2は、図8に示すチャンネルミックス部61から出力されるSUB0信号とSUB1信号を纏めたものである。
また、4個のスピーカTL,TR,ML,MRを駆動するデジタルアンプ46bと、音声合成回路42は、転送クロック信号SCLKと、チャンネル制御信号LROと、音声シリアル信号SD0と、音声シリアル信号SD1の信号線で接続されている。ここで、音声シリアル信号SD0は、チャンネルミックス部61(図8)から出力されるL0信号とR0信号を纏めたものであり、音声シリアル信号SD1は、チャンネルミックス部61(図8)から出力されるL1信号とR1信号を纏めたものである。
何れにしても、音声シリアル信号SO0〜SD2は、各々、PCMデータであって、転送クロック信号SCLKに同期して1ビットずつシリアル伝送される。また、チャンネル制御信号LROは、伝送中の音声シリアル信号SO0〜SD2が、左側(左チャンネル用)スピーカTL,ML用の信号か、右側(右チャンネル用)スピーカTR,MR用の信号かを示している。より詳細には、チャンネル制御信号LROがLレベル(又はHレベル)であることで、左チャンネル用(又は右チャンネル用)の信号が伝送されていると特定される。なお、この実施例では、低音用スピーカBTMが単一であるので、左チャンネル用信号SUB0と、右チャンネル用信号SUB1とは全く同一であり、同一データが連続して伝送される。
図9は、低音用スピーカBTMを駆動するデジタルアンプ46aの内部構成を示したものであり、左(L)チャンネル用と右(R)チャンネル用の同一特性のD級アンプが各々2個内蔵されている。そして、転送クロック信号SCLKと、音声シリアル信号SO2と、チャンネル制御信号LROとを受けたデジタルアンプ46aでは、チャンネル制御信号LROに基づいて、左チャンネル用信号SUB0と、右チャンネル用信号SUB1とを切り分けてアナログ信号として別々に出力している。但し、本実施例では、プラス端子PL,PRと、マイナス端子MR,MLに別々に出力された左右チャンネル用の信号SUB0(L),SUB1(R)を敢えて結合して低音用スピーカBTMを駆動している。これは、左右チャンネル用の信号SUB0,SUB1が同一データであるので、低音用スピーカBTMからスピーカ2個分の音声出力を得るためであり、その詳細は、特許第4668965号公報に示す通りである。
一方、図10は、4個のスピーカTR,TL,MR,MLを駆動するデジタルアンプ46bの内部構成を示したものであり、このデジタルアンプでも、左(L)チャンネル用と右(R)チャンネル用の同一特性のD級アンプが各々2個内蔵されている。そして、転送クロック信号SCLKと、音声シリアル信号SO0〜SD1と、チャンネル制御信号LROとを受けたデジタルアンプ46bでは、チャンネル制御信号LROに基づいて、左チャンネル用信号L0,L1と、右チャンネル用信号R0,R1とを切り分けて、アナログ信号として別々に出力して、4個のスピーカを独立して駆動している。したがって、本実施例では、4個のアナログ信号に基づいて、先に説明した各種のパンポット演出P1〜P4が可能となる。
ところで、この実施例では、2つのデジタルアンプ46a,46bは近接配置され、しかも、転送クロック信号SCLKと、チャンネル制御信号LROを、3ビットの音声シリアル信号SD0〜SD2に対して共用するので、2つのデジタルアンプ46a,46bと音声合成回路42との配線は、転送クロック信号SCLKと、チャンネル制御信号LROと、音声シリアル信号SD0〜SD2の合計5本で足りることになる。
すなわち、従来の構成では、2ビットの音声シリアル信号SD0〜SD1に対して、転送クロック信号SCLKと、チャンネル制御信号LROとが必要であり、3ビット目の音声シリアル信号SD2には、別の転送クロック信号SCLK’と、チャンネル制御信号LRO’が必要となり、合計7本の配線が必要であった。しかし、本実施例によれば、6チャンネルの音声信号を合計5本の配線で伝送できる利点がある。なお、この実施例では、上下左右のスピーカ用のステレオ4チャンネルと、下部スピーカ用のモノラル2チャンネルとで、合計5.1チャンネルと評価することもできる。
また、高音質の音声演出を実現するべく、本実施例では、左右チャンネルの音声信号は、そのサンプリング周波数Fsを44kHz〜50kHz程度、量子化ビット数を20〜30ビット程度に設定しており、音楽CD(サンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16bit)の音質を上回っている。
本実施例では、このように優れた原音の音質を維持するため、転送クロック信号SCLKを、Fs*64=2.8MHz〜3.2MHz程度、チャンネル制御信号LROは、Fs=44〜50KHz程度に設定している。そして、20〜30ビット程度の振幅分解能(220〜230)を有する1サンプリングデータを、1/Fs/2の間に高速にシリアルデータを伝送するので(図7(b)参照)、通常の伝送方式では、ノイズ発生のおそれもある。しかし、本実施例では、何れの信号も、その振幅レベルが、音声合成回路42の電源電圧に対応して3.3Vであるので、音楽CDを上回る音質に対応して伝送速度を高速化しても5本の信号線がノイズ源となることはない。
図7(a)には、音声合成回路42の概略内部構成と共に、音声合成回路42と、ワンチップマイコン40(ホストCPU)と、音声メモリ43と、の接続関係も示されている。図7(a)に示す通り、音声合成回路42は、ホストCPU40からアクセスされる多数の制御レジスタ51と、音声再生動作を統括的に制御するサウンドコントロールモジュール52と、音声メモリ43から読み出されたフレーズ圧縮データをデコードすると共に、複数のフレーズ再生チャンネルCH0〜CH31のデコードデータを適宜な音量比率で混合させるメインジェネレータ53と、デジタルフィルタ処理によって所望の周波数特性を実現するイコライザ機能や入出力ゲイン特性を変化させるコンプレッサ機能を実現するエフェクト部54と、最終音量を規定するトータルボリュームTVと、シリアル伝送用の5種類の信号SCLK,LRO,SD0,SD1,SD2を生成するデジタルIF部55と、を備えて構成されている。
メインジェネレータ53の内部構成を更に詳細に示すと、図8に示す通りであり、メインジェネレータ53は、独立してデコード処理が可能な32個のフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH31)に区分されたデコーダ60と、一次ボリュームV1、二次ボリュームVs(=V2,V3,V4)、及び、パンポット部を有して音声ボリュームや音量バランスを調整可能なチャンネルボリュームと、32個のフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH31)の音声を混合するチャンネルミックス部61と、を有して構成されている。
図8に示す通り、フレーズ再生チャンネル(CH0〜CH31)毎に、L0信号、R0信号、R1信号、L1信号、SUB0信号、SOB1信号が出力されるが、これら6種類(合計32×6個)の信号は、チャンネルミックス部61で混合されて、混合L0信号、混合R0信号、混合R1信号、混合L1信号、混合SUB0信号、混合SUB1信号として出力される。
先に説明した通り、混合L0信号と混合R0信号は、各々、デジタルアンプ46bでD級増幅された後、上部左右のスピーカTL,TRに供給され、また、混合L1信号と混合R1信号についても、各々、デジタルアンプ46bでD級増幅された後、中部左右のスピーカML,MRに供給される。一方、混合SUB0信号と混合SUB1信号については、各々、デジタルアンプ46aでD級増幅された後、低音用のスピーカBTMに供給される。なお、6チャンネルの信号L0,R0,R1,L1,SUB0,SOB1は、メインジェネレータ53→エフェクト部54→トータルボリュームTV→デジタルIF部55を経由する過程では、何れもPCMデータであり、デジタルアンプ46a,46bを経由することでアナログ信号となる。また、6チャンネルの信号L0,R0,L1,R1,SUB0,SOB1が、3チャンネルの音声シリアル信号SO0〜SD2に纏められて、デジタルアンプ46a,46bに伝送されることは先に説明した通りである。
音声合成回路42の制御レジスタ51は、音声合成回路42を意図した通りに機能させるために、ホストCPU40がWrite 処理する書込みレジスタと、音声合成回路42の動作状態を把握するために、ホストCPU40がRead処理する読出しレジスタと、に区分されている。
書込みレジスタへの書込みデータには、(1)再生すべきBGM音や演出音を特定するフレーズ番号、(2)その再生音のボリューム(V1,Vs)指示、(3)再生回数を規定するループ指示、(4)再生開始や一時停止などの動作指示、(5)再生開始時や再生終了時などの音量遷移態様の指示、(6)上下スピーカや左右スピーカの音量バランスであるパンポットの指示、(7)最終的なボリューム(TV)指示などが含まれている。
ここで、(1)フレーズ番号の指定、(2)ボリューム(V1/Vs)指示、(3)ループ指示、(4)動作指示、(5)音声遷移態様の指示、及び(6)パンポット指示は、全て、デコーダ60のフレーズ再生チャンネルCH0〜CH31を指定して行われるよう構成されている。そのため、フレーズ再生チャンネルCH0〜CH31に対応して、最高32種類のフレーズ圧縮データが、各々、上記の指示(1)〜(6)に基づいて同時に独立して再生され、チャンネルミックス部61でミキシングされて出力されることになる。
なお、音声遷移態様には、音声出力時のフェードイン(fade-in )速度や、音声停止時のフェードアウト(fade-out)速度や、上下左右方向のパンポットを変化させる場合のパン速度が含まれ、対応する制御レジスタに、所定の動作パラメータ(ボリューム遷移量)を書込むことで適宜な遷移態様が実現される。
ボリューム遷移量は、本実施例の場合、動作パラメータたる増幅指令値(ボリューム値)に対応して規定されるので、一次ボリュームV1、二次ボリュームVs(=V2,V3,V4)、及びトータルボリュームTVに対して有効となる。ボリューム遷移量は、具体的には、指示されたボリューム値に至るまでの遷移ステップ数と、1ステップでの遷移量を規定しているが、ボリューム遷移量=0は、現在のボリューム値から指示されたボリューム値へ、直ちに移行することを意味する。一方、遷移ステップ数が多いほど、現在のボリューム値から指示されたボリューム値への移行時間が長いことになる。
但し、より個性的で効果的な音声演出を実現するためには、上記した定型的な遷移態様を使用するべきではなく、所望の音声遷移態様を、個々的に設定すべきである。そこで、かかる観点から、本実施例では、一次ボリュームのボリューム指示値V1を、段階的に推移させることで、所望のフェードアウト動作やフェードイン動作を実現している。したがって、例えば、パンポット演出における左右パンポットや上下パンポットにおいて、急にパン(定位)が上下左右に変化する場合もあれば、ゆっくりパンが変位する場合もある。
以上の点については、パンポット演出に関して更に後述するが、最初に、音声メモリ43の原音データについて確認しておく。先に説明した通り、音声メモリ43には、一連の背景音楽の一曲分(BGM)や、ひと纏まりの予告音などの演出音が、各々、フレーズ番号に対応してフレーズ圧縮データ(原音データ)として記憶されている。この原音データは、ワンチップマイコン40から受ける増幅指令値に対応して増幅されるが(図8参照)、音声合成回路42が如何なる増幅指令値を受けても、音声合成回路42による再生音の波形が訛ることがないよう最適レベルで音声メモリ43に記憶され、且つ、適切に増幅されるよう音声合成回路42が内部構成されている。
以下、その構成を具体的に説明すると、先ず、ワンチップマイコン40が音声合成回路42の制御レジスタ51に設定可能な増幅指令値は、一次ボリュームV1と、二次ボリュームVsと、トータルボリュームTVであり、音声メモリ43に記憶されているBGM音や演出音の音声データ(原音)は、これらの積(V1*V2*TV)で規定される音量で出力される。そして、一次ボリュームV1と二次ボリュームVsのボリューム値(増幅指令値)Xは、各々、最小値(=0)から1バイトの最大値/2(=128)までの数値範囲で設定可能であり、トータルボリュームTVのボリューム値Xは、最小値(=0)から1バイトの最大値(=255)までの数値範囲で設定可能に構成されている。また、入力信号Viに対する出力信号Voは、一次ボリュームV1と二次ボリュームVsとトータルボリュームTVのボリューム値Xに関して、各々、Vo=Vi*X/128となるよう処理される。
したがって、一次ボリュームV1と二次ボリュームVsのボリューム値Xを、各々、最高レベル(=128)に設定した場合、二次ボリュームVs処理後の出力信号Voは、一次ボリュームV1処理前の入力信号(原音)Viに対してVo=Viの関係となり、それ以外のボリューム値Xの場合には、入力信号(原音)Viが減衰した状態となる。
一方、トータルボリュームTVのボリューム値Xについては、最小値(=0)から1バイトの最大値(=255)の範囲で設定可能に構成されているので、ボリューム値Xを最高レベル(=255)に設定した場合には、トータルボリュームTV処理後の出力信号Voは、トータルボリュームTV処理前の入力信号Viに対してVo=Vi*255/128の関係に制御される。
以上の関係から明らかなように、全てのボリューム値(増幅指令値)を最高レベルに設定した場合に、出力信号Voの音量は、音声メモリ43に記憶されている原音の音量の約2倍(=255/128)となり、言い換えると、原音が+6dB(=20Log2)増幅されて再現される。そこで、本実施例では、最大音量で再生しても再生音量が飽和しないよう、飽和しない最大振幅を約1/2に減衰した状態の原音データを音声メモリ43に記憶している。したがって、原音のダイナミックレンジが如何に広く、且つ、各ボリュームV1,V2,TVのボリューム値(増幅指令値)Xが如何に高くても、再現される音声信号の上下限が飽和レベルになるなど、再生音の波形が訛るおそれがなく、クリアな音声が再現される。
ところで、音声合成回路42のサウンドコントロールモジュール52は、制御レジスタ51に書込まれたホストCPU40からの個々の指示に基づいて、指示毎に装置各部を機能させる。そして、本実施例では、ホストCPU40の制御動作を簡素化するべく、音声合成回路42に、シンプルアクセス機能やシーケンサ機能を設けている。ここで、シンプルアクセスとは、外部メモリ(具体的には音声メモリ43)に予め登録しておいた複数のコマンド(指示列)を、1つのコマンドで実行可能な機能であり、シーケンサとは、フレーズ再生やボリューム/パンの機能を、音声メモリ43に予め登録しておいた手順にしたがって実現する自動演奏機能を意味する。
本実施例では、必要に応じて、上記したシンプルアクセス機能やシーケンサ機能を活用するが、メインジェネレータ53の動作としては、これらの機能を活用した場合も、活用しない場合も基本的に同じである。そこで、便宜上、以下の説明では、ホストCPU40は、シンプルアクセス機能やシーケンサ機能を使用することなく、個々的に音声合成回路42を制御することにする。
先に説明した通り、メインジェネレータ53は、複数のフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH31)に区分されたデコーダ60と、一次ボリューム部V1と二次ボリューム部Vs(=V2,V3,V4)を有するチャンネルボリュームと、を有して構成されている(図7(a)及び図8参照)。そこで、このような構成に対応して、本実施例のホストCPU40は、BGM音の再生には、フレーズ再生チャンネルCH0〜CH1のデコーダを使用し、演出音の再生には、29個のフレーズ再生チャンネルCH2〜CH30の何れか空き状態のデコーダを使用し、重大な異常事態の発生を報知する音声報知には、フレーズ再生チャンネルCH31のデコーダを使用するようにしている。
そして、音声演出を実現するフレーズ再生チャンネルCH0〜CH30の一次ボリュームV1の音量バランスを適宜に設定することで、効果的な音声演出を実現している。具体的には、演出音の出力時には、BGM音の音量を抑制することで、演出音の聞き漏らしを防止している。本実施例において、演出音とは、例えば、一連の変動動作中に大当り状態に移行する可能性があることを所定の信頼度(≦100%)で予告する予告音であり、フレーズ再生チャンネルCH0〜CH30の一次ボリュームV1の音量バランスを適宜に設定することで、遊技者にとって重要な予告音が、大音量のBGM音に隠れてしまうおそれが解消される。
なお、本実施例では、BGM音については、全てのスピーカTL,TR,ML,MR,BTMから出力するが、パンポット演出音を含む演出音については、便宜上、低音用スピーカBTMを除く他の4個のスピーカから出力するようにしている。そして、二次ボリューム部Vs(=V2,V3,V4)のうち、二次ボリュームV3,V4は、低音用スピーカBTMを駆動するSUB0信号とSUB1信号にのみ関連するので、フレーズ再生チャンネルCH2〜CH31の二次ボリュームV3,V4については、定常的にゼロに設定している。そこで、以下の説明では、二次ボリュームVs(=V2,V3,V4)のうち、二次ボリュームV2についてだけ説明する場合がある。
以上を踏まえて説明を続けると、通常時は、使用中のフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH30)の二次ボリュームV2を規定値(例えば、=64)に維持し、重大な異常事態の発生時には、フレーズ再生チャンネルCH31の二次ボリュームV2を最大レベル(=128)にする一方で、その他の全ての使用中のフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH30)の二次ボリュームVs(=V2,V3,V4)を最小レベル(=0)に変更している。そのため突発的に発生する異常時には、それまでの音声演出の進行を継続させた状態で、異常報知動作が実現される。なお、異常回復後は、音声演出を実行しているフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH30)の二次ボリュームV2を全て規定値に戻すので、それまで無音状態で進行していた音声演出が、適宜な音量で復活することになる。
なお、29個のフレーズ再生チャンネルCH2〜CH30は、より詳細には、ホストCPU40が、一次ボリュームV1を相対的に高位レベルに設定する高位チャンネル(CH2〜CH16)と、一次ボリュームV1を相対的に低位レベルに設定する低位チャンネル(CH17〜CH30)とに区分されている。そして、高位チャンネルと低位チャンネルとが重複して使用される演出タイミングでは、高位チャンネルで再生される演出音は、低位チャンネルで再生される演出音より、やや大音量となるようホストCPU40が制御している。具体的には、対応するフレーズ再生チャンネルに関する一次ボリュームV1用の制御レジスタ51に適宜な音量パラメータを設定している。
そのため、例えば、信頼度が高い予告音を高位チャンネル(CH2〜CH16)で再生することで、遊技者の聞き漏らしを防止することができる。逆に、信頼度が高い予告音を、あえて、低位チャンネル(CH17〜CH30)で再生することで、遊技者の緊張感を喚起するのも好適である。何れにしても、本実施例では、複数の演出音を、異なる音量比で同時に再生することで、音声演出のバリエーションを豊富化することができる。
また、本実施例では、BGM音を再生するフレーズ再生チャンネルCH0〜CH1について、上部スピーカTL,TRと、中部スピーカML,MRの遊技者に対する位置関係に基づいて、バランスの良い音量となるよう、ホストCPU40が、上下パンポット比を最適に設定している。具体的には、4個のスピーカから出力されるBGM音が最適な音量比となるよう、フレーズ再生チャンネルCH0〜CH1について、上下パンポット用の制御レジスタ51に適宜な動作パラメータを書込んでいる。
一方、予告音を含む演出音を再生するフレーズ再生チャンネルCH2〜CH31については、上下パンポットや左右パンポットに関し、適宜な動作パラメータを制御レジスタ51に設定することで、上部スピーカTL,TRと、中部スピーカML,MRと、を利用したパンポット演出P1〜P4を適宜なタイミングで実行している。上下パンポット比や左右パンポット比の設定は、使用中の全ての再生チャンネルCH2〜CH31について、1バイト長の動作パラメータXを、対応する制御レジスタ51に設定することで実行される。具体的な設定比としては、左右上下の音量比を、例えば、[X/128]:[(128−X)/128]のように直線的に変化させても良いが、人間の聴覚を考慮すると、より滑らかに変化させるのが好適である。
そこで、本実施例では、左右の音量比や上下の音量比を、三角関数Sin,Cosで規定しており、左右パンポット比の動作パラメータXに対して、左音量SQR(2)*Cos(π/2*X/128))と、右音量SQR(2)*Sin(π/2*X/128)の音量比としている。また、上下パンポット比の動作パラメータXに対して、上音量SQR(2)*Cos(π/2*X/128))と、下音量SQR(2)*Sin(π/2*X/128)の音量比としている。ここで、SQRはルート記号を意味する。
上記何れの場合も、動作パラメータX=0で左右比が∞:0、動作パラメータX=64で左右比1:1、動作パラメータX=128で左右比0:∞となり、任意に設定された音量比が、音量比とは別に設定されている音量や音量遷移態様に基づいて円滑に推移する。なお、上記の音量比を人間の聴覚に対応してdB換算(10を底とするLog演算)すると、X=1の場合、左音量+3.009dBに対して右音量は−36.124dBとなり、以下、X=64の場合には左右とも0dB、X=127では、左音量−36.124dBに対して右音量が+3.009dBとなる。
また、上記した左右の音量比や上下の音量比の設定は、一次ボリュームV1や二次ボリュームV2などの音量設定とは別に実行されるので、本実施例では、二次ボリュームV2などによる音量と、上記した左右上下の音量比と、音量遷移態様(音量の増減態様)と、増減速度(パン速度)とが異なるバリエーションに富んだパンポット演出を実行することができる。
但し、先に説明した通り、この実施例では、音量遷移態様やパン速度を、一次ボリュームV1の設定値を時間的に変化させることで実現している。すなわち、本実施例では、設定値の時間的な変化量によってパン速度を規定し、設定値の変化態様によって音量遷移態様を規定している。したがって、本実施例によれば、同一の原音データでありながら、各スピーカの音量を、直線的、又は(指数関数のように)曲線的に変化させることでき、更に、原音データを変更することなく、音量が適宜に増減する脈動演出を実現することができる。
このようなパンポット演出を実現する手法を、以下、図11〜図12に基づいて具体的に説明する。図11(a)は、演出音を再生するフレーズ再生チャンネルCHi(=CH2〜CH30)について、チャンネルボリューム部を図示したものであり、同一の回路構成が全ての再生チャンネルCHiに存在する。なお、チャンネルボリューム部から出力されるL0信号とR0信号は、上部位置のスピーカTL,TRを駆動し、L1信号とR1信号は、中部位置のスピーカML,MRを駆動することは先に説明した通りである。また、パンポット演出などの音声演出時には、SUB0信号及びSUB1信号で駆動される低音用スピーカBTMを使用しないので、二次ボリュームVs(=V2,V3,V4)のうち、二次ボリュームV3,V4が共にゼロに設定され、したがって、図11(a)でも記載を省略している。
図11(b)は、(1)左上のスピーカTL→(2)右上のスピーカTR→(3)右中のスピーカMR→(4)左中のスピーカMLが、順番に音声を出力するパンポット演出を示している。このような演出時には、そのときに使用中の全フレーズ再生チャンネルCHiについて、一次ボリュームV1と、上下パンポット比と、左右パンポット比に関して、同一の設定値(動作パラメータ)を、各動作パラメータに対応する制御レジスタ51に設定することになる。
例えば、一次ボリュームV1を128に設定すると、最高の増幅率となる(但しVo=Vi)。また、上下パンポット比を0に設定すると、上部スピーカTR,TLの音量がSQR(2)=3dB、中部スピーカMR,MLの音量が0となる。逆に、上下パンポット比を128に設定すると、上部スピーカTR,TLの音量が0、中部スピーカMR,MLの音量がSQR(2)=3dBとなる。
同様に、L0,RO信号及びL1,R1信号について、左右パンポット比を0に設定すると、左側スピーカTL,MLの音量がSQR(2)=3dB、右側スピーカTR,MRの音量が0となる。逆に、L0,RO信号及びL1,R1信号について、左右パンポット比を128に設定すると、左側スピーカTL,MLの音量が0、右側スピーカTR,MRの音量がSQR(2)=3dBとなる。
したがって、上記した4つのパラメータ(一次ボリュームV1,上下パンポット比、上部スピーカ用の左右パンポット比、中部スピーカ用の左右パンポット比)を適宜に切り替えることで、図11(b)に示す(1)〜(4)の音声演出を実現することができる。
ここで、一次ボリュームV1については、規定値(例えば=64)と最大値(=128)の間で変化させているが、一次ボリュームV1を一気に変化させるのではなく、所定の遷移時間を要して、段階的に変化させることで、滑らかな音量遷移態様を実現することができる。また、逆に、一次ボリュームV1を一気に変化させることで、遊技者を驚かすこともできる。
また、図12は、(5)上部のスピーカTL,TR、(6)中部スピーカML,MR、(7)左側のスピーカTL,ML、(8)右側のスピーカTR,MR、(9)全てのスピーカTR,TL,MR、MLから音声を出力するパンポット演出を示している。動作順序は適宜に設定されるが、例えば、(5)と(6)の動作を繰り返す上下変動演出や、(7)と(8)の動作を繰り返す左右変動演出などを例示することができ、最後に(9)の動作と共に、抽選結果を報知するなどの演出を例示することもできる。
何れにしても、図12に示す(5)(6)及び(9)の音声演出では、左右パンポット比を64に設定することで、上部又は中部における左右スピーカの音量比を1:1にすることができる。また、図12に示す(7)(8)及び(9)の音声演出では、上下パンポット比を64に設定することで、左側及び右側における上下スピーカの音量比を1:1にすることができる。この場合も、一次ボリュームV1について、規定値(例えば=64)と最大値(=128)の間で一気に変化させるか、所定の遷移時間を要して段階的に変化させている。
何れにしても、図11〜図12に例示したパンポッドを伴う音声演出(1)〜(9)は、その実行順序を規定して適宜に組合せて実行される(図13(a)参照)。また、その組合せパターン(指定1〜指定8)には、各々、演出時間が規定されている。そして、図13(b)に示す通り、この組合せパターン(指定1〜指定8)は、使用する楽曲と共に、変動パターンコマンドに対応して、所定の選択率で、演出制御部22において選択されるよう構成されている。そのため、遊技者は、スピーカから流れる楽曲と、音声演出(1)〜(9)の実行順序などに基づいて、最終的に大当り状態となるか否かを推理することができる。
さて、図8に戻って、音声合成回路42の内部構成の説明を続けると、図7(a)や図8に示すように、チャンネルミックス61の6チャンネルの出力信号(混合L0,混合R0,混合L1,混合R1,混合SUB0,混合SUB1)は、エフェクト部54において、所定の制御レジスタ51に規定された動作パラメータに基づくデジタルフィルタ処理がされた後、トータルボリューム部TVに供給される。
ここで、エフェクト部54は、6チャンネルの信号(混合L0,混合R0,混合L1,混合R1,混合SUB0,混合SUB1)に対して、各々、最高3重(3回)のデジタルフィルタ処理が実行可能に構成されている。各デジタルフィルタは、式1の伝達関数H(z)を有するIIRフィルタで実現され、5個のフィルタ係数a0〜a2+b1〜b2が、8ビット長で規定されることで精密なフィルタ処理が可能となる。そこで、本実施例では、必要な演出タイミングでは、各種のフィルタ処理(Low Pass処理、High Pass 処理、Band Pass 処理、Low Shelving処理、High Shelving 処理、Peaking 処理)を組わせることで、騒音計のA特定を反転させた逆A特性を実現している。
H(z)=(a0+a1z−1+a2z−2)/(1+b1z−1+b2z−2)・・・(式1)
図18(a)は騒音計の内部構成を示しているが、騒音計の重み付け演算に使用するA特性は、周波数2kHz付近に最大感度を有し、そこから周波数がずれるほど感度が劣る人の聴覚感度を示している(図18(b)参照)。
そして、本実施例のエフェクト部54では、周波数1kHz付近から周波数が増加するほど高レベルとなると共に、周波数4kHz付近から周波数が低下するほど高レベルとなるエフェクト処理を施している。具体的には、第一次デジタルフィルタ処理において、周波数1.5kHzを遮断周波数とするLow Shelving処理を施し、第二次デジタルフィルタ処理において、周波数3.5kHzを遮断周波数とするHigh Shelving 処理を施すことで騒音計のA特定を反転させた逆A特性を実現している。
すなわち、実施例において、エフェクト部54が実現する逆A特性は、ほぼ1kHz〜4kHzを中心域として、中心域から周波数がずれるほどGainが増加する略U字状の周波数特性となる。なお、各遮断周波数を1〜4kHzに設定するLow Pass処理とHigh Pass 処理とを組み合せても良いし、Band Pass 処理やPeaking 処理を付加しても良い。
何れにしても、本実施例では、この逆A特性のエフェクト処理を、適宜なタイミングで、BGM音や演出音(予告音)に施すので、迫力ある音声演出を実行することができる。この逆A特性のフィルタ処理の効果は、先ず、低音用スピーカBTMにおいて顕著であり、他の遊技客の騒音とならない範囲(騒音計で評価して95dB以下)で、体に響く重低音を出力することができる。また、パンポット演出時や予告音の出力時においても、他の遊技客の騒音とならない範囲で、その演出迫力を更に高めることができる。さらに、騒音計で評価して95dB以下であれば、遊技機の消費電力の抑制効果があるエコ音量規制に対応することにもなる。
なお、逆A特性のエフェクト処理は、6チャンネルの信号(混合L0,混合R0,混合L1,混合R1,混合SUB0,混合SUB1)の一部にだけ施しても良いし、6チャンネルの全信号に施しても良い。なお、全部又は一部のチャンネルの信号に対して、定常的に、逆A特性のエフェクト処理を施しても良い。そして、何れの場合も、騒音計で評価して95dB以下の音量であって、他の遊技客の騒音とならない範囲において、迫力ある音声演出を実行することができる。
このようなエフェクト部54を通過した全6チャンネルの信号は、トータルボリューム値TVに基づいて増幅される。トータルボリューム値TVは、対応する制御レジスタ51に書込まれる動作パラメータで規定されるが、この動作パラメータは、本実施例では、原則として、係員が操作する設定スイッチSET(図3)に基づいて規定される。但し、遊技者が遊技動作中(但し、音声演出待機中)に、音量スイッチVSW(図1)を操作した場合には、その設定値に基づいてトータルボリュームTVが規定される。
概念的に説明すると、各スピーカから出力される音声信号の音量は、ホストCPUが規定する一次ボリュームV1及び二次ボリュームVsの積と、遊技者の意図に基づくトータルボリュームTVとの積で規定されるので、全ての音声演出は、遊技者の意図する音量で実現されることになる。
但し、重大な異常事態の検出時には、係員や遊技者の意図に拘わらず、フレーズ再生チャンネルCH31の二次ボリュームV2とトータルボリュームTVが最高レベルとなるので、違法行為時の警報音(異常報知音)を、音量スイッチVSWの操作で隠蔽することはできない。
このような意義を有するトータルボリューム部TVを経過した音声信号(混合L0,混合R0,混合L1,混合R1,混合SUB0,混合SUB1)は、出力バッファBUFに格納され、デジタルIF部55に基づいて3チャンネルのシリアル信号SD0,SD1,SD2に変換される。先に説明した通り、シリアル信号SD0とSD1は、遊技機の上部と中部に配置された左右スピーカTR,TL,MR、MLを駆動するステレオ信号R,Lに関するPCMデータを特定するシリアル信号であり、シリアル信号SD2は、遊技機下部に配置された低音用スピーカを駆動するモノラル信号に関するPCMデータを特定するシリアル信号である。そして、これらのシリアル信号SD0,SD1,SD2は、ビットクロック信号BCOに同期して、チャンネル制御信号(ワードクロック信号)LR0と共に出力される。
続いて、音声演出動作や音声報知動作に関して、演出制御部22の動作を説明する。図15は、演出制御部22の動作内容を説明するフローチャートであり、ワンチップマイコン40のCPUによって実行される。演出制御部22の動作は、CPUリセット後に無限ループ状に実行されるメインループ処理(図15(a))と、1mS毎に起動されるタイマ割込み処理(図15(b))と、主制御部21が送信する制御コマンドを受信する受信割込み処理(不図示)と、を含んで実現される。
そこで、まず、図15(b)に示すタイマ割込み処理から説明する。タイマ割込み処理では、最初に、設定スイッチSET、音量スイッチVSWを含む各種のスイッチ信号を取得し、各スイッチ信号のレベルを記憶すると共に、立上りエッジや立下りエッジが検出された場合には、その旨を記憶する(ST30)。なお、設定スイッチSETは、4ビット長のスイッチ信号であり、その全ビットのレベル値が記憶される。
図14(a)は、図15(b)に示すスイッチ入力処理(ST30)の具体的動作を詳細に図示したものである。図示の通り、スイッチ入力処理(ST30)では、1mS毎に、スイッチ信号のレベル情報をRAMのスイッチレベルNEW領域からスイッチレベルOLD領域にコピーすると共に、スイッチレベルNEW領域と、スイッチレベルOLD領域のデータを対比することで、ONエッジとOFFエッジを検出して、対応する記憶領域に記憶する(ST80,ST81)。
次に、音量スイッチVSWについて立下りエッジ(OFFエッジ)が検出された場合には、長押しカウンタCNTをゼロクリアすると共に、閾値変数THを500に初期設定する(ST83)。ここで、長押しカウンタCNTは、音量スイッチVSWが継続してON操作されている継続時間を計測するカウンタであり、閾値変数THは、長押しカウンタCNTの値を、0.5秒毎に判定する用途で使用される。
そのため、音量スイッチVSWについて立上りエッジ(ONエッジ)が検出された場合には、長押しカウンタCNTをインクリメントする(ST84〜85)。ここで、スイッチ入力処理は、1mS毎に実行されるので、長押しカウンタCNTは、1mS毎にインクリメント更新されることになり、閾値変数THの初期値500は、長押しカウンタCNTにとっては、0.5秒を意味することになる。
ところで、音量スイッチVSWからの信号は、実際には、+接点信号と−接点信号の2ビット長であるので、独立した2つの長押しカウンタCNT+、CNT−を設けても良い。但し、実施例の音量スイッチVSWは、その構造上、同時に+接点と−接点とがON動作することはないので、図14(a)に示すように、単一の長押しカウンタCNTによって、各接点(±)の押圧継続時間を把握することができる。
上記のような内容のスイッチ入力処理(ST30)が終われば、演出モータ(ステッピングモータ)が回転駆動中である場合には、演出モータを歩進させるべく、適宜なタイミングで駆動パルスを1ステップ更新し(ST31)、更新された駆動パルスを演出モータに出力する(ST32)。また、ランプ演出などに関して、LEDランプを駆動する(ST33)。なお、LEDランプを駆動するためのランプ駆動データSDATAは、メインループ処理のステップST18の処理で、16mS毎に更新されている。
次に、送信バッファに制御コマンドが格納されている場合には、これを下流側の画像制御部23に送信し、クリアタイミングに達すれば、リセット回路RST&WDTの第二リセット回路RT2にクリアパルスCLRを出力して、内蔵ウォッチドッグタイマをクリアする(ST34〜ST35)。なお、クリアタイミングは、1mSの整数倍の範囲で適宜に決定されるが、この実施例では、16mS間隔とされる。
次に、割込みカウンタをインクリメントすると共に、異常検出カウンタをインクリメントする(ST36〜ST37)。ここで、割込みカウンタは、メインループ処理(図15(a))を16mS毎に繰り返し実行するためのカウンタである。すなわち、メインループ処理では、最初に割込みカウンタの値を判定し(ST10)、これが16に達したタイミングで、ステップST11〜ST20の処理を実行することで、16mS間隔の繰り返し処理を実現している。
また、ステップST37の処理で更新される異常検出カウンタは、メインループ処理内でプログラムが暴走したような場合に、第二リセット回路RT2の内蔵ウォッチドッグタイマを機能させる用途で使用される。この点を具体的に説明すると、異常検出カウンタは、1mS毎にインクリメントされる一方(ST37)、メインループ処理において16mS毎にゼロクリアされるので(ST21)、通常、その値が16を超えることはない。
しかし、メインループ処理(ST10〜ST20)の途中でプログラム処理が停止すると、異常検出カウンタがクリアされることなく、1mS毎にインクリメント処理が繰り返されることになる(ST37)。このような場合には、本実施例では、異常検出カウンタの値が、所定値(例えば100)を超えたタイミングで、無限ループ処理を繰り返すので(ST38)、その後は、第二リセット回路RT2の内蔵ウォッチドッグタイマへのクリア処理(ST35)が実行されないことで、CPUが強制リセットされることになり、その結果、プログラム暴走状態のCPUを初期状態に復帰させることができる。
続いて、図15(a)に示すメインループ処理について説明する。割込みカウンタが16に達すると(ST10)、これをゼロクリアした上で(ST11)、主制御部21から受信した制御コマンドについて、コマンド解析処理を実行する(ST12)。なお、受信する制御コマンドには、異常事態の発生を示すエラーコマンドが含まれている。また、この実施例では、コマンド解析処理(ST12)において変動パターンコマンドの受信を認識した場合に、演出抽選が実行される。
次に、エラー処理を実行する(ST13)。エラー処理とは、違法行為の発生が懸念される重大な異常事態や、その他の特別事態が発生しているか否かを判定し、必要な報知動作を実行する処理である。具体的な内容は、特に限定されないが、例えば、演出制御部22がステップST30の処理で取得するスイッチ信号や、主制御部21から送信される制御コマンド(エラーコマンド)に基づいて、重大な異常事態や特別事態の発生が判定される(ST13)。
なお、重大な異常事態としては、磁気センサ、電波センサ、振動センサの異常反応を例示することができる。また、重大な異常事態には、主制御部21のRAMがクリアされた場合や、遊技機の前枠3やガラス扉6が解放された場合も含まれる。なお、その他の特別事態としては、遊技球の供給が途絶えている場合、遊技球が詰まっている場合などが例示される。
何れにしても上記したようなエラーが検出された場合には、エラー内容に応じたエラーフラグがセットされる。そして、このエラーフラグは、その後の入力検知処理(ST14)などで参照される。
次に、図15(c)に詳細を示す入力検知処理(ST14)が実行される。入力検知処理(ST14)は、係員が操作した設定スイッチSETに対応する処理であり、まず、設定スイッチSETが操作されたか否かが判定される(ST40)。なお、設定スイッチSETからの4ビット信号は、新規の信号を取得する毎に、RAMのスイッチVOL領域に格納されることになっている。また、設定スイッチ信号は、1mS毎に取得されてRAMのスイッチレベルNEW領域に格納されるので(図14(b)参照)、スイッチレベルNEW領域と、スイッチVOL領域の記憶値を対比することで、設定スイッチが操作されたことを把握することができる。
そして、設定スイッチSETが操作された場合には、新規の設定スイッチ信号(SET値)が、スイッチVOL領域に格納され(ST41)、同じSET値が出力VOL領域にコピーされる(ST42)。ここで、出力VOL領域は、音声合成回路42のトータルボリュームTVに関する作業領域であり、その後の処理(ST45)で参照される。
ところで、この出力VOL領域のデータ(出力VOL値)は、遊技者による音量スイッチVSWの操作があれば、その操作に対応して更新されるよう構成されている。そのため、音声合成回路42のトータルボリュームTVは、係員による設定スイッチSETの操作後も、遊技者の好みに基づいて自由に変更可能となる。但し、本実施例では、後述するように、遊技機がデモ状態1を経てデモ状態2に至ると、遊技者が席を離れたと擬制して、出力VOL値を係員によるSET値に戻すので、新規の遊技者に不快感を与えることはない。
ステップST42の処理が終われば、重大な異常事態が検出されているか否かが判定される(ST43)。異常事態の発生は、演出制御部22がステップST30の処理で受けるスイッチ信号や、主制御部21から送信される制御コマンド(エラーコマンド)に基づいて判定され、エラー処理(ST13)において、エアー内容に応じたエラーフラグがセットされている。
そして、重大な異常事態が発生している場合には、音声合成回路42のトータルボリュームTVの値を、出力VOL値に拘わらず、最大値に設定すると共に、二次ボリューム値Vs(=V2,V3,V4)をエラー報知モードに設定する(ST44)。具体的には、RAMの音声再生用の作業領域WDA(図16(b)参照)に対して、ボリューム設定用の動作パラメータが書込まれる。
図16(b)に示すように、この実施例では、音声合成回路42のフレーズ再生チャンネルCH0〜CH31に対応して、32区画された作業領域WDAが確保されており、この作業領域WDAには、(a)一連の音声情報を特定するフレーズ番号、(b)再生音量を規定するボリューム値V1/Vs、(c)再生回数を規定するループ指示、(d)左右パンポット値、及び(e)上下パンポット値などを、再生チャンネルCH0〜CH31毎に格納するようになっている。なお、この実施例では、トータルボリュームTVは、単一のトータルボリューム領域に格納される。
また、本実施例では、重大な異常事態の報知は、それ専用に確保されている再生チャンネルCH31を使用するので、エラー報知モードの二次ボリューム設定としては、再生チャンネルCH31の二次ボリューム値を最大値(MAX)にする一方、他の再生チャンネルCH0〜CH30の二次ボリューム値を最小値(=0)に設定することになる。つまり、ステップST44では、二次ボリュームVsの動作パラメータ(最大値又は最小値)を、32区画された作業領域WDAに各々書込み、最大値であるトータルボリューム値TVを該当領域に書込むことになる。
なお、書込まれた二次ボリューム値Vsやトータルボリューム値TVは、音再生処理(ST17)において、音声合成回路42の制御レジスタ51に書込まれることで実効化される。
以上、重大な異常事態が発生した場合について説明したが、重大な異常事態が検出されない場合には、通常動作として、音声合成回路42のトータルボリュームTVの値を出力VOL値に設定し、通常モードの二次ボリュームVsの設定を行う。具体的には、ステップST45では、規定値(標準値)である二次ボリュームVs(=V2,V3,V4)の動作パラメータを32区画された作業領域WDAに各々書込み、トータルボリュームとして、出力VOL値を該当領域に書込む。
このようにして、ボリューム設定に関する入力検知処理(ST14)が終われば、デモ処理が実行される(ST15)。ところで、本実施例には、主制御部21からデモコマンドを受信して開始されるデモ状態1と、デモ状態1の終了後に開始されるデモ状態2と、その後に開始されるデモムービー状態とが設けられている。ここで、デモコマンドは、一連の変動動作が終了した後、連続して開始される変動動作が存在しない場合、つまり、演出保留状態の入賞が存在しない場合に、変動停止コマンドに続いて送信される。
そして、このようなデモコマンドを受けた演出制御部22の動作状態は、特別図柄を停止させた状態で、それまでのBGM音を継続させるデモ状態1となる。このデモ状態1は、この期間中に、新たな変動パターンコマンドを受けることがなく、且つ、遊技者による音量スイッチVSWの操作がない限り、30秒(最低継続時間)で終了して、デモ状態2に移行する。なお、デモ状態1の期間中、新たな変動パターンコマンドを受けた場合には、デモ状態が解消されるので、その後は、デモ処理(ST15)の実行が事実上スキップされるのは勿論である。
一方、変動パターンコマンドを受けることなく開始されたデモ状態2では、BGM音を消滅させた無音状態で、特別図柄の停止状態を維持する。このデモ状態2は、この期間中に、新たな変動パターンコマンドを受けることがなく、且つ、遊技者による音量スイッチVSWの操作がない限り、150秒(最低継続時間)で終了する。そして、デモ状態2が終了するとデモムービー状態に移行して、表示画面DSでの画像演出(動画演出)が、ランプ演出に同期して無音状態で実行される。
但し、本実施例では、デモ状態1やデモ状態2の期間中に、遊技者が音量スイッチVSWを操作すると、デモ状態1やデモ状態2の継続時間が延長されるので、特に、デモ状態1では、BGM音を聞きながら、何回でも、その音量を適宜に設定することができる。すなわち、音量スイッチVSWを操作する毎に、継続時間は、幾らでも延長されるので、BGM音を聞きながら、満足できるまで音量設定を繰り返すことができる。
一方、デモ状態2では、BGM音が消滅するが、音量スイッチVSWを操作する毎に、継続時間が延長されると共に、設定された音量で適宜な報知音(例えば、♪ピコーン)が発せられるので、その音量に基づいて音量設定をすることができる。
このように、本実施例は、デモ状態1→デモ状態2→デモムービー状態と動作状態が移行し、その途中で、音量スイッチVSWを操作するごとに、十分な操作時間が確保された状態で、遊技者の好みに応じた音量設定が可能となる。そして、このような音量設定後に遊技を開始すれば、遊技球の入賞に対応する変動パターンコマンドの受信時にデモ状態が解消され、画像演出とランプ演出に同期した新規の音声演出が、遊技者の設定した音量で開始される。
以上のようなデモ処理が終われば、音声演出を開始させるか、或いは、実行中の音声演出を進行させるべくシナリオ更新処理を実行し(ST16)、そのシナリオにしたがって音声合成回路を駆動する音再生処理を実行する(ST17)。なお、その詳細については、図16に基づいて後述する。
次に、ランプ演出を開始させるか、或いは、実行中のランプ演出を進行させるべくLEDデータの更新処理を実行する(ST18)。なお、LEDランプの駆動動作は、1mSタイマ割込みにおいて実行される(ST33)。
次に、RAMの所定領域について総和演算(例えば8ビット加算演算)を実行して、その演算結果を保存する(ST19〜ST20)。なお、この保存値は、CPUがリセットされた後に実行される同じ総和演算の演算結果と比較され、比較値が一致する場合いは、RAM領域をクリア処理することなくホットスタート処理が実行される。
その結果、例え、第二リセット回路RT2の内蔵ウォッチドッグタイマが機能してCPUが異常リセットされた場合でも、RAMの所定領域の内容が維持されている限り、遊技機の演出を初期状態に戻すことなく、再開することが可能となる。
次に、異常検出カウンタをクリアした上で(ST21)、演出抽選用の乱数値を更新してステップST10の処理に戻る(ST22)。なお、ステップST21の処理の意義は、ステップST38の処理との関係で先に説明した通りである。
続いて、図16に基づいて、音再生処理(ST17)について説明する。この処理は、所定のワーク領域WDAに格納されている各種の動作パラメータを、音声合成回路42の制御レジスタ51に書込む処理である。
具体的には、先ず、ワーク領域WDAに格納されているトータルボリューム値TVを音声合成回路42の該当制御レジスタ51に書込む(SS11)。なお、この処理は、本実施例では、L0信号及びR0信号と、L1信号及びR1信号と、SUB0信号及びSUB1信号に、と同一のトータルボリューム値を設定するよう実行される。
また、先に説明した通り、トータルボリュームTVは、係員による設定スイッチSETの操作で設定可能であると共に(ST41)、音量スイッチVSWのON操作によって遊技者が設定することもできる(ST45)。但し、重大な異常検出時には、強制的に最大ボリューム値となる(ST44)。
トータルボリューム値TVの書込み処理が終われば、ステップSS12〜SS29の処理が、フレーズ再生チャンネルCH0〜CH31の個数に対応して、31回繰り返される。
先ず、二次ボリューム値Vs(V2,V3,V4)が、CHnの該当制御レジスタ51に書込まれる(SS13)。先に説明した通り、通常時は、フレーズ再生チャンネル(CH0〜CH31)の二次ボリュームV2が規定値(標準値)であり、重大な異常事態の発生時には、フレーズ再生チャンネルCH31だけ最大レベルとし、その他の全てのフレーズ再生チャンネル(CH0〜CH31)を最小レベルとする。なお、重大な異常事態が発生しているか否かは、エラー処理(ST13)で設定されたエラーフラグに基づいて判定する。
そして、本実施例では、フレーズ再生チャンネル(CH0〜CH14)からの再生出力が無音状態となる重大な異常事態でも、ステップSS14以下の処理を継続するよう構成されている。そのため、異常事態が解消された後は、円滑に有音状態の音声演出が再開できることになる。
ステップSS13の処理が終われば、次に、当該チャンネルCHnのワーク領域に、動作パラメータが格納されているか否かが判定され(SS14)、もし格納されていない場合には、次のチャンネルCHn+1の動作に移行する(SS29)。
一方、当該フレーズ再生チャンネルCHnのワーク領域に、何らかの動作パラメータが格納されている場合には、それが、上下パンポット比又は左右パンポット比や、一次ボリュームV1に関するものか否かを判定する(SS15)。そして、Yes判定であって、ステレオ再生を伴う場合には、隣接するフレーズ再生チャンネルCHn+1も含めて一次ボリュームV1を設定し(SS19)、左右パンポット比、及び上下パンポット比を設定する(SS20)。一方、ステレオ再生を伴わない場合には、当該フレーズ再生チャンネルCHnだけの一次ボリュームV1を設定し(SS17)、次に、左右パンポット比、及び上下パンポット比を設定する(SS18)。
先に説明したとおり、一次ボリュームV1の設定値については、パンポット演出やその他の予告演出の演出意図に基づいて、一気に目標値に変化させる場合と、目標値に向けて所定の遷移速度で段階的に変化させる場合がある。また、上下左右のパンポット比(音量比)についても、その演出意図に基づいて、左右又は上下の音量比を、初期値(例えば1:1)から目標値に向けて徐々に変えることで、一方スピーカから他方スピーカへの円滑なパン動作を実現することができる。このようなパン遷移動作は、例えば、表示装置DSにおいて、自動車やロケットなどの移動体や、キャラクタが上下左右に移動する場合に、この移動音を音声演出する場合などに好適である。
何れにしても、パンポットの設定が終われば、次に、フレーズ番号の変更が必要な場合に、当該フレーズ再生チャンネルCHnについて、音声合成回路42の制御レジスタ51に新たなフレーズ番号を書込む(SS23)。
また、これから再生を開始する一連の音声演出が、連続的に繰り返し再生されるか否かに基づき、ループ回数を設定する(SS26,SS25)。なお、この実施例では、ループ回数は、無限回かゼロ回であり、無限回の音声演出(例えばBGM音)は、次の音声演出が開始されるか、停止指令を受けるまで繰り返し再生される。
そして、新規のフレーズ番号で特定された音声演出を開始させるべく、音声合成回路42の該当制御レジスタ51に開始指令を書込む(SS27)。なお、このようにして開始された音声演出は、ループ回数=0の場合、再生すべきフレーズデータが尽きるまで自動的に継続され、フレーズデータが尽きた段階で自動的に終了する。
一連の音声演出において、その再生音量は、フレーズデータで規定される規定レベルで継続されるのが原則であるが、本実施例では、複数の演出音の重複時などに、適宜に一次ボリュームV1を変更することで演出効果を高めている。すなわち、例えば、演出音の重要度の優劣などに応じて、重複する音声演出のボリュームを適宜に変更している点は、先に説明した通りである。
このようにして当該チャンネルCHnについての処理が終われば、処理の終わった動作パラメータを消去した上で(SS28)、次チャンネルCHn+1の処理の移行する(SS29)。
以上、音声再生動作について概略的に説明したが、演出動作制御について、更に補足説明する。図17に示す通り、一連の演出の進行は、その概略がシナリオ番号SC1〜SCxで規定されている。なお、図17には、LED演出、音演出、モータ演出、ソレノイド演出について記載しているが、画像制御部には、同じシナリオ番号SC1〜SCxを有する同一構造のシナリオテーブルが設けられており、シナリオ番号SC1〜SCxに対応する画像演出が特定されている。そして、本実施例では、同一構造のシナリオテーブルに基づいて、演出制御部22と画像制御部23とが演出動作を制御することで、全てが整合する演出動作が可能となる。
この点をパンポット演出について説明すると、図11(b)の(1)〜(4)のパン動作に対応して、ランプ演出としては、表示装置DSの回りで、左上、右上、右下、左下のLED群が派手に点灯又は点滅する。また、この動作に同期して、画像演出としては、表示装置DSの左上、右上、右下、左下に適宜なキャラクタが現れる。
この関係は、図12の場合の同様であり、上下左右の2個のスピーカの音声に対応して、表示装置DSの回りでは、上下左右のLED群が派手に点灯又は点滅し、対応する位置で画像演出が実行される。
シナリオテーブルについて更に説明すると、図17(b)に示すように、シナリオ番号SC1〜SCx毎に、シナリオテーブルが設けられており、シナリオ番号は、主制御部21から受ける変動パターンコマンド毎に大別され、更に、細分化された何れかが、演出抽選によって選択されるようになっている。なお、図17(a)には、説明の都合上、リーチ演出を伴わない最も簡単な通常変動について、シナリオテーブルを例示している。
図17(a)に示す通常変動演出の場合、シナリオテーブルには、変動開始、高速変動、左停止、右停止、中停止、揺れ変動の開始タイミングに選択されるサブシナリオが、開始タイミングの時間情報と共に規定されている。また、シナリオテーブルには、ランプ演出、モータ演出、役物演出などを規定するサブシナリオを合わせて特定されるが、図示の通常変動演出は、期待度が極めて低い演出であるので、該当するサブシナリオが存在しない。
図17(c)は、通常変動SC1の高速変動時T12から開始されるサブシナリオ12を例示したものである。なお、本実施例ではり、チャンネルCH0及びCH1をGBM音の再生に使用し、チャンネルCH31をエラー報知に使用し、チャンネルCH2〜30を二分して演出音(SE1,SE2)の再生に使用しているので、サブシナリオも同様に区分されている。
図示の通り、シナリオテーブルで規定される開始時刻T12からの相対経過時間と、その時に、音声合成回路42の制御レジスタ51に書込まれるべき動作パラメータを特定する制御情報が記載されている。
ここで、動作パラメータを特定する制御情報は、これから開始される音声演出を規定するメイン情報と、その他のコントロール情報とに区分されている。そして、メイン情報は、一連の音声演出を特定するフレーズ番号、音声演出の音量(一次ボリューム値)、音声演出の繰り返し(ループ)の有無、ステレオ音か否か、などを規定している。一方、コントロール情報は、既に開始されて実行中の音声演出についての制御態様を規定している。なお、SFO3+BG_TやSFI1+BG_Tは、プログラム上の定数値であり、実際には、制御態様を規定する複数バイト長のコントロールデータである。
図示のサブシナリオ12では、相対時間+0(=演出開始からの経過時間はT12)において、メイン情報00806001Hで特定される演出が開始されるが、メイン情報に基づいて、フレーズ0001Hの音声演出が、音量80Hで、音量遷移なく(6H)直ちに開始されることが規定されている。なお、フレーズ0001Hの音声演出は、フレーズ再生チャンネルCH2〜CH16の何れか空きチャンネルを使用して実行される。
また、コントロール情報に基づき、既に開始されている実行中のCH0の音声演出(BGM音)が所定の音量遷移態様(フェードアウト)で消音することが規定されている。なお、再生チャンネルCH0の消音や、フレーズ0001Hの音声演出の音量設定は、各フレーズ再生チャンネルにおける一次ボリュームV1の設定によって実現される。
その後、相対時間+2000において、メイン情報00807002Hで特定される演出が開始されるが、メイン情報に基づいて、フレーズ0002Hの音声演出が、音量80Hで、音量遷移なくステレオ再生(7H)されることが規定されている。また、相対時間+5000において、コントロール情報に基づく動作が実行されるが、ここでは、消音状態に設定されたCH0の音声演出(BGM音)が所定の音量遷移態様(フェーズイン)で復活することが規定されている。
このように、本実施例では、各チャンネル毎に設けられた一次ボリュームV1などを適宜に制御することで、高度な音声演出を実現している。そして、異常事態が発生いた場合、二次ボリュームV2が変更されるだけで(ST44)、一次ボリュームV1の値が維持されるので、シナリオテーブルによる音声演出が無音状態で進行することになり、その後、異常解消時に音量が復活して(ST45)、画像演出に整合する音声演出を再開できることになる。
なお、この図示例では、演出音SE1と演出音SE2が、ともに高位チャンネルに属する2つのフレーズ再生チャンネルで再生されるが、2つの演出音SE1,SE2の重複区間における各再生チャンネルの一次ボリューム値V1,V1に、適宜な差異を設けても良いことは勿論である。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではなく、適宜に変更可能である。
例えば、上記の実施例では、音声合成回路42とデジタルアンプ46a,46bを、盤側部材たるGM2たる演出制御部22に配置したが、何ら限定されない。すなわち、例えば、デジタルアンプ46a,46bを枠側部材GM1として、遊技機の機種変更に拘わらず永続的に使用する構成を採っても良い。但し、この場合には、音声合成回路42からデジタルアンプ46a,46bまでの伝送距離が長くなるので、図7(d)に示すように、SPDIF(Sony/Phillips Digital Interface )方式の伝送方法を採るのが好適である。
ここで、SPDIF方式とは、一対の差動信号ラインに、複数チャンネル(最高5.1チャンネル分)の音声信号と制御信号を纏めて、SPD複合信号として高速に伝送する方式である。なお、5.1チャンネルとは、ステレオ2回線の4チャンネルと、モノラル1回線の1チャンネルの合計を意味し、本実施例におけるL0信号及びR0信号(ステレオ)と、L1信号及びR1信号(ステレオ)と、SUB0信号及びSUB1信号(モノラル)とは、全体として5.1チャンネルとなる。
図7(c)と図7(d)を対比したら明らかな通り、図7(a)の構成では、音声合成回路42と、デジタルアンプ46bとが、合計4本(グランド線を含めると5本)の信号ラインで接続されているのに対して、SPDIF方式では、SPD出力部を有する音声合成回路42と、SPD入力部を有するデジタルアンプ46bとが一対2本の信号線で足りる利点がある。しかも、SPD複合信号は、差動信号ラインで伝送されるので、コモンモードノイズに強く、ノイズのないクリアな音を再現することができる。
なお、デジタルアンプ46aとデジタルアンプ46bを近接配置することで、盤側部材GM2から枠側部材GM1までを2本の差動ラインで接続し、枠部材にまで伝送されたSPD複合信号を分岐して、デジタルアンプ46aとデジタルアンプ46bに接続すれば良い。そして、分岐されたSPD複合信号は、デジタルアンプ46bに内蔵されたSPD入力部において、複数チャンネルの音声信号(L0,R0,L1,R1)と制御信号に切り分けられ、各音声信号(L0,R0,L1,R1)がD級増幅されてスピーカTL,TR,MR,MLに供給される。なお、この点は、SUB0信号及びSUB1信号についても、デジタルアンプ46aにおいて同様である。