JP2015195755A - 微生物保持用担体 - Google Patents

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辰朗 平瀬
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辰朗 平瀬
孝明 平野
Takaaki Hirano
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Abstract

【課題】微生物をより効率的に付着、保持できる微生物保持用担体を提供すること、さらには多様な微生物に対して高い保持能を発揮できる微生物保持用担体を提供することを目的とする。【解決手段】微生物保持用担体としてバガス炭を用いることにより、競合微生物による淘汰を抑制し、微生物を効率的に付着させることができ、さらに他の微生物が多く存在する環境下(土壌等)であっても、付着した微生物を効率的に保持することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、バガス炭からなる微生物保持用担体、該担体を利用した微生物資材、及び該微生物資材の製造方法等に関する。
従来から、微生物を保持する担体を、農業用、環境浄化用等の微生物資材として利用する試みが多くなされている。
農業用としては、例えば特許文献1には、エノキタケ菌糸体を保持する担体を、白紋羽病防除のための微生物資材として利用することが記載されている。この担体として、ウッドチップ、稲わら、段ボール、新聞紙等が候補として挙げられているが、これらの担体としての有用性は明らかとなっていない。特許文献2には、ストレプトミセス属に属する放線菌K-31株を保持するバーミキュライトを、土壌中の作物病原菌の生育を抑制するための微生物資材として利用することが記載されている。しかしながら、バーミキュライトは、該株の保持用に最適な担体として見出されたものであるので、汎用性に優れた担体ではないと考えられる。特許文献3には、有用微生物を保持するロックウール線維を成形培地として用いて、有害微生物を防除することが記載されている。ただ、ロックウール線維は、廃棄する場合に高いコストを要してしまう。
環境浄化用としては、例えば特許文献4では、廃水処理プロセスにおいて、粒状活性炭を有機化合物や無機化合物の吸着担体として利用することが報告されている。また、該プロセスにおいては、廃水中の微生物が粒状活性炭を基材として増殖し、これが排水中の有機物を効率的に分解することが記載されている。ここでは、粒状活性炭の原料について各種例示されているものの、これらの有用性の評価は行われていない。
特開2009−292741号公報 特開平9−154570号公報 特開平3−72825号公報 特表2011−507682号公報
本発明は、微生物をより効率的に付着、保持できる微生物保持用担体を提供することを目的とする。また、多様な微生物に対して高い保持能を発揮できる微生物保持用担体を提供することも目的とする。
本発明者等は、上記目的に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、バガス炭が、多様な微生物を効率的に付着、保持できることを見出した。この知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明が完成した。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1.バガス炭からなる微生物保持用担体。
項2.前記微生物が、細菌、古細菌、酵母、及びカビからなる群より選択される少なくとも1種の微生物である、項1に記載の微生物保持用担体。
項3.前記微生物の長径が2μm以上である、項1又は2に記載の微生物保持用担体。
項4.前記バガス炭が、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム、及びナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む、項1〜3のいずれかに記載の微生物保持用担体。
項5.前記バガス炭がハニカム構造を有している、項1〜4のいずれかに記載の微生物保持用担体。
項6.項1〜5のいずれかに記載の微生物保持用担体、及び該担体に保持された微生物を含有する微生物資材。
項7.微生物を項1〜5のいずれかに記載の微生物保持用担体と共に培養する工程を含む方法で製造された、項6に記載の微生物資材。
項8.農業用、又は環境浄化用である、項6又は7に記載の微生物資材。
項9.微生物を項1〜5のいずれかに記載の微生物保持用担体と共に培養する工程を含む、微生物資材の製造方法。
項10.微生物を項1〜5のいずれかに記載の微生物保持用担体と共に培養する工程を含む、該担体への微生物保持方法。
本発明の微生物保持用担体は、バガス炭で構成されているので、微生物を効率的に付着させることができ、さらに他の微生物が多く存在する環境下(土壌等)であっても、競合微生物による淘汰を抑制し、付着した微生物を効率的に保持することができる。よって、該担体を利用した微生物資材は、このような環境下で用いられる用途(農業用、環境浄化用等)に適している。
また、本発明の微生物保持用担体の微生物保持能は、好気性細菌、嫌気性細菌、さらには酵母、カビ等の多様な微生物に対して発揮することができる。このため、該担体を利用すれば、保持させる微生物を適宜選択することによって、種々の目的に合致した微生物資材を提供することができる。
さらに、バガス炭は、通常であれば廃棄されてしまうバガスを原料としているので、低コストで準備することができる。よって、バガス炭で構成される本発明の微生物保持担体、及びこれを利用した微生物資材は、コストを抑えることが可能である点でも優れている。
実施例1において、バガス炭の製造に用いられる炭化装置の断面図である。 実施例1で得られたバガス炭の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 試験例2における、バチラス属細菌の保持性試験結果を示す。 試験例2における、ロドコッカス属細菌の保持性試験結果を示す。
1.微生物保持用担体
バガス炭からなる微生物保持用担体(以下、「本発明の担体」と示すこともある。)について説明する。
バガス炭は、サトウキビから糖汁を搾った搾りかす(バガス)を炭化して得られるものである。バガス炭は、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム及びナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含んでいる。バガス炭にカリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム及びナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属が含まれるのは、バガスの原料であるサトウキビがその栽培環境から吸収した金属成分が、バガスを炭化した後のバガス炭にも保持されているからである。また、バガス炭は、ほぼ規則的なハニカム構造を有しており(下記の実施例1参照)、その比表面積は、200〜600m/g程度である。
限定的な解釈を望むものではないが、バガス炭はハニカム構造の空洞を有しているので、微生物とバガス炭とが多点で相互作用することを可能とし、さらには付着した微生物が適度に増殖することをも可能にすると考えられる。また、微生物の生育には、通常、マグネシウム等の金属が必須であるところ、多様な金属を含むバガス炭は、付着した微生物の増殖を促進すると考えられる。このように、バガス炭の、本発明で初めて見出された優れた微生物付着性や微生物保持性は、バガス炭固有の性質が一体的に作用することによって発揮されると考えることができる。
バガス炭は、原料となるバガスを炭化することにより製造することができる、炭化は、バガスのハニカム構造が破壊されない方法であれば特に限定されず、例えば、無酸素条件、500〜600℃の温度条件で乾留することにより行われる。従来の活性炭を製造するためには、通常、木粉、やし殻等の原料を炭化する炭化工程、比表面積を大きくする賦活工程、及び賦活方法によっては洗浄工程が必要であるのに対して、バガス炭は、炭化工程を経ただけで比表面積が200〜600m/g程度のものが得られる。よって、本発明の担体は、安価なバイオマスであるバガスから、少ない工程で収率よく得られる、経済的に優れた担体である。
本発明の担体の形状は、微生物を保持できる限り特に限定されず、後述する微生物保持後の用途(微生物資材としての用途)に応じて適宜選択することができる。形状は例えば粉体上又は粒状であることができる。粒径は、その用途に応じて適宜選択できるが、例えば0.01〜20 mm、好ましくは0.04〜15 mm、より好ましくは0.08〜10 mm、さらに好ましくは0.2〜5 mm、よりさらに好ましくは0.4〜2 mmであることができる。
本発明の担体の保持対象は、微生物である限り特に限定されず、例えば細菌、古細菌、酵母、カビ等であることができる。本発明の担体は、多様な微生物を効率的に付着、保持することができる。保持対象は、より効率的にバガス炭に付着、保持されるという観点から、好ましくは長径が2μm以上の微生物、より好ましくは長径が3μm以上の微生物、さらに好ましくは長径が4μm以上の微生物、よりさらに好ましくは長径が5μm以上の微生物であることができる。
微生物の具体例としては、ペディオコッカス属、バチラス属、ロドコッカス属、ザイモモナス属、シュードモナス属、ニトロバクター属、パラコッカス属、ビブリオ属、コリネバクテリウム属、ゴルドニア属、ストレプトミセス属、エシェリキア属、クロストリジウム属等の細菌、メタノサルシナ属、メタノサエタ属、メタノコッカス属、パイロコッカス属等の古細菌、ピキア属、サッカロミセス属、ファフィア属、カンジダ属等の酵母、又はアスパルギルス属、トリコデルマ属、ペニシリウム属、フザリウム属等のカビを挙げることができる。これらの中でも、好ましくはペディオコッカス属細菌、バチラス属細菌、ロドコッカス属細菌、ピキア属酵母等が挙げられる。この中でも、より効率的に付着させることができるという観点からは、ペディオコッカス属細菌、ピキア属酵母等が挙げられる。また、付着させた微生物を、他の微生物が存在する環境下でもより効率的に保持できるという観点からは、好ましくはロドコッカス属細菌、バチラス属細菌等が挙げられ、より好ましくはロドコッカス属細菌等が挙げられる。
保持対象は1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
斯かる本発明の担体は、微生物を効率的に付着させることができ、さらに他の微生物が多く存在する環境下(土壌等)であっても、競合微生物による淘汰を抑制し、付着した微生物を効率的に保持することができる。また、本発明の担体の微生物保持能は、好気性細菌、嫌気性細菌、さらには酵母等の多様な微生物に対して発揮することができる。
2.微生物資材
本発明の担体、及び該担体に保持された微生物を含有する微生物資材(以下、「本発明の微生物資材」と示すこともある。)について説明する。
本発明の担体、及び微生物については、上記「1.微生物保持用担体」における定義と同じである。
「担体に保持された」とは、担体に固定化された状態である限り特に限定されず、直接担体に付着した状態のみならず、バイオフィルム等の他の物質を介して担体に付着した状態も包含される。
本発明の担体へ微生物を保持する方法は、微生物と該担体とが接触可能な方法である限り特に限定されない。例えば、本発明の担体を微生物を含む溶液(例えば培地等)中に含侵する方法が挙げられ、この中でもより効率的に微生物を該担体に保持させるという観点からは、微生物を該担体と共に培養する方法が挙げられる。
培養は、例えば保持させる微生物に適した培地として公知の培地中で行うことができる。具体例としては、バチラス属細菌の場合は、「ポリペプトン10g/L,酵母抽出物2g/L,硫酸マグネシウム7水和物1g/L」という組成の培地を採用することができる。
培養温度は、例えば保持させる微生物の培養に適した温度として公知の温度で行うことができる。具体例としては、バチラス属細菌の場合は、30℃程度の温度を採用することができる。
培養時間は、微生物が本発明の担体に付着することができる限り特に限定されない。例えば8時間以上、好ましくは16時間以上、より好ましくは24時間以上、更に好ましくは36〜96時間程度であることができる。
本発明の担体への微生物の付着の確認は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、付着させた微生物のrDNAを特異的に検出する方法(例えばPCR法)を採用することができる。
培養後は、そのまま微生物資材として用いてもよいが、残った培養液の洗浄工程や、乾燥工程等を経たものを微生物資材として用いてもよい。
本発明の微生物資材には、本発明の担体、及び微生物以外に、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、モリブデン、鉄、銅、アンモニウム、硝酸、亜硝酸、リン酸、硫酸等の無機イオン類、酵母抽出物、ペプトン、肉エキス、グルコース、スクロース、セルロース、酢酸、クエン酸等の有機物等が挙げられる。
斯かる本発明の微生物資材は、付着した微生物を効率的に保持することができるので、幅広い用途に用いることができる。特に、他の微生物が多く存在する環境下(土壌等)であっても、付着した微生物を効率的に保持することができる。よって、このような環境下で用いられる用途、例えば農業用、環境浄化用に適している。
農業用としては、例えば、地力増進、土壌中の有機物分解促進、土壌中の微生物相の改善、特定微生物の増殖抑制用等を目的とする土壌改善用、堆肥の発酵促進用等の用途が挙げられる。
環境浄化用としては、例えば、排水や廃水の浄化、メタン発酵、(配水管、浄化槽、トイレ、生ごみ等の)臭気軽減等や、汚染土壌(重金属・油分等)の浄化を目的とする用途が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1(バガス炭の製造)
図1に示すような、スクリューコンベア型の炭化部の外側にジャケット部を設けた加熱方式をとる炭化装置を用い、ホッパー内に充填したサトウキビ残渣のバガスを、ロータリーバルブを介して乾燥重量で1時間当り1kgを連続的に炭化部へ供給した。炭化部に供給されたバガスは、滞留時間30分でバガス炭として排出された。バガスから蒸発した揮発性有機化合物並びに熱分解性ガスは、炭化部の排気端より直接ジャケットへ供給され、ジャケットに設備されたバーナーで燃焼し、炭化温度が550℃になるようにコントロールしている。製造されたバガス炭のBET比表面積は379m/gであった。得られたバガス炭は、粒径2 mm以下の粉体状で、植物の維管束由来の孔径10〜20μmのハニカム構造を有し、さらにその該表面に孔径2 nm以下のミクロポア及び孔径2〜30 nmのメソポアを有する、多孔体構造を有していた。
また、得られたバガス炭について、蛍光X線法により元素分析を行った。その結果を以下に示す。
Figure 2015195755
表1から、バガス炭には、アルカリ金属であるカリウム(K)、アルカリ土類金属であるカルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)並びに土壌の構成成分であるケイ素(Si)、鉄(Fe)及びアルミニウム(Al)が含まれていることがわかる。このうちのSiがハニカム構造を構成している。
さらに、バガス炭に含まれるK及びMgについて、以下のように溶脱試験を行った。
1N塩酸50mLにバガス炭0.50gを加えて、30℃の恒温槽で24時間攪拌した。バガス炭を遠心沈降及び濾過により除去し、濾液のカリウムイオン濃度をICP発光分光分析装置における発光強度により測定したところ、44mg/Lであった。また、上記と同様の操作を行い、濾液のマグネシウムイオン濃度をICP発光分光分析装置における発光強度により測定したところ、16mg/Lであった。この結果からも、バガス炭の中にアルカリ金属及びアルカリ土類金属が含まれていることがわかる。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)によりバガス炭の断面の構造を観察した画像を図2に示す。図2から、バガス炭は規則的なハニカム構造を有していることがわかる。
得られたバガス炭を後述の微生物付着性試験(試験例1)及び微生物保持性試験(試験例2)において用いた。
比較例1〜3
ヤシガラ炭A(奈良炭化工業,商品名:サングリーン(大)、粒径3-5mm)を比較例1として、ヤシガラ活性炭B(奈良炭化工業,商品名:コロナグリーン、粒径0.5-2 mm)を比較例2として、イソライト(イソライト工業,商品名:イソライトCG2号、粒径2mm)を比較例3として準備し、後述の微生物保持性試験(試験例2)において用いた。
試験例1(微生物付着性試験)
バガス炭の微生物付着性を、好気性の土壌細菌であるバチラス属細菌4種(Bacillus subtilis(NBRC 10449)、Bacillus licheniformis(NBRC 10447)、Bacillus coagulans(NBRC 12714)、Bacillus circulans(NBRC 13626))、通性嫌気性の乳酸菌であるペディオコッカス属細菌1種(Pediococcus acidilactici(NBRC 3076))、真核生物であるピキア属酵母1種(Pichia farinosa(NBRC 0465))の計6種の微生物について調べた。具体的には次のように行った。
<1−1.付着操作>
バチラス属細菌については、前培養液100μLを、培地30mL(ポリペプトン10g/L,酵母抽出物2g/L,硫酸マグネシウム7水和物1g/L)とバガス炭2gと共に混合し、30℃で2日間振とう培養することにより、付着操作を行った。ペディオコッカス属細菌については、前培養液5mLを、培地30mL(ポリペプトン10g/L,酵母抽出物2g/L,硫酸マグネシウム7水和物1g/L)とバガス炭2gと共に混合し、30℃で2日間静置培養することにより、付着操作を行った。ピキア属酵母については、前培養液5mLを、培地成分30mL(グルコース10g/L,ポリペプトン5g/L,酵母抽出物3g/L,マルトエキス3g/L)とバガス炭2gと共に混合し、24℃で2日間振とう培養することにより、付着操作を行った。また、コントロールとして、各微生物について、バガス炭を加えない以外は同様の操作を行って、培養菌液を得た。
<1−2.DNAの抽出・精製>
付着操作後のバガス炭を水で洗浄し、クライオプレス(マイクロテック・ニチオン社製)で凍結粉砕した。得られた粉砕物1mgから、Instagene Matrix kit(バイオラッド社製)を用いてDNAを抽出した。さらに得られたDNAをPCR inhibitor removal kit(ZYMO社製)を用いて最終容量が200μLになるように精製した。なお、各キットは、添付のプロトコールに従って使用した。一方、コントロールの培養菌液1mgからも、同様の方法に従ってDNAを抽出し、最終容量が200μLになるように精製した。
<1−3.DNA量の測定>
上記1−2で得られたDNA溶液6μLをテンプレートとして、rDNA(バチラス属細菌及びペディオコッカス属細菌は16SrDNA、ピキア属酵母は18SrDNA)の一部分を特異的に増幅するプライマーを用いて、定法に従ってPCRを行った。PCR後の溶液をアガロースゲル電気泳動後、ゲル上のDNAバンドを検出した。検出されたDNAバンドは1つであり、その長さ(bp)から、このバンドが目的の増幅産物であることを確認した。該バンドの輝度を画像処理ソフト(ImageJ)で数値化した。
<1−4.微生物付着率の算出>
下記式に従って、微生物付着率を算出した。微生物付着率は、コントロール培養液中の微生物密度(培養液中の飽和密度)に対する、バガス炭中の微生物密度の割合を示す。
Figure 2015195755
<1−5.結果>
各微生物種についての微生物付着率の算出結果を表2に示す。
Figure 2015195755
表2に示されるように、ペディオコッカス属細菌及びピキア属酵母については、培養液中の飽和密度よりも高密度でバガス炭に付着していた。また、バチラス属細菌についても、約50〜70%という高い付着率であった。このことから、バガス炭は、原核生物から真核生物に及ぶ多様な微生物を効率的に付着させられることが示された。
試験例2(微生物保持性試験)
バガス炭を含む各種担体に付着した微生物の保持性を調べた。具体的には次のように行った。
<2−1.付着操作>
試験例1と同様の方法に従って、バチラス属細菌(Bacillus subtilis)又はロドコッカス属細菌(Rhodococcus erythropolis)をバガス炭(実施例1)へ付着させた。同様の付着操作を、ヤシガラ炭A(比較例1)、ヤシガラ活性炭B(比較例2)、及びイソライト(比較例3)についても行った。
<2−2.微生物付着担体の環境試料中への含侵処理>
水田から採取した土壌10mLを水道水100mLに懸濁した。得られた懸濁液3mLに対して上記2−1で得られた微生物付着担体0.3gを含浸させ、30℃で30日間静置した。
<2−3.DNA量の抽出・精製>
上記1−2と同様の方法に従って、含浸処理前後の微生物付着担体からDNAを抽出・精製した。
<2−4.DNA量の測定>
上記1−3と同様の方法に従って、上記2−3で得られたDNA溶液をテンプレートとしてrDNAの一部分をPCRで増幅した。PCR後の溶液を電気泳動後、ゲル上のDNAバンドを検出した。
ここで、水田土壌内には、担体に付着させたBacillus subtlis及びRhodococcus erythropolis以外のバチラス属及びロドコッカス属細菌が存在することが予想されるので、微生物保持性の評価には、これら内在性微生物と担持させた微生物とを識別をする必要がある。そこで、PCR増幅後の電気泳動には、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法:DGGE(Denaturing Gradient Gel Electrophoresis)法を用いた。本方法はPCR増幅されたDNA塩基配列の違いを電気泳動度に反映させることができるので、鎖長が同じDNA同士であっても、その配列がわずかに異なれば、異なるバンドとして識別することができる。
含侵処理前の担体から得られたDNA溶液をテンプレートとした場合は、付着させた微生物由来のDNAバンドを示すバンドのみが検出された。このバンドの位置を基準として、含侵処理後の担体から得られたDNA溶液をテンプレートとした場合に検出された、複数のバンドの中から、付着させた微生物由来のDNAバンドを特定した。該バンドの輝度を画像処理ソフト(ImageJ)で数値化した。
<2−5.微生物保持率の算出>
下記式に従って、微生物保持率を算出した。微生物保持率は、担体に付着させた微生物が、含侵処理後にどの程度の割合で保持されているかを表す。
Figure 2015195755
<2−6.結果>
微生物としてバチラス属細菌(Bacillus subtilis)を用いた場合の結果を図3に、ロドコッカス属細菌(Rhodococcus erythropolis)を用いた場合の結果を図4に示す。図3に示されるように、バガス炭は、他の担体に比べて、含侵処理後であっても比較的高効率でバチラス属細菌を保持していた。また、図4に示されるように、この優れた保持性は、ロドコッカス属細菌という異なる微生物に対しても発揮されていた。これらのことから、バガス炭は、多様な微生物を、効率的に保持できることが示された。

Claims (10)

  1. バガス炭からなる微生物保持用担体。
  2. 前記微生物が、細菌、古細菌、酵母、及びカビからなる群より選択される少なくとも1種の微生物である、請求項1に記載の微生物保持用担体。
  3. 前記微生物の長径が2μm以上である、請求項1又は2に記載の微生物保持用担体。
  4. 前記バガス炭が、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム、及びナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の微生物保持用担体。
  5. 前記バガス炭がハニカム構造を有している、請求項1〜4のいずれかに記載の微生物保持用担体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の微生物保持用担体、及び該担体に保持された微生物を含有する微生物資材。
  7. 微生物を請求項1〜5のいずれかに記載の微生物保持用担体と共に培養する工程を含む方法で製造された、請求項6に記載の微生物資材。
  8. 農業用、又は環境浄化用である、請求項6又は7に記載の微生物資材。
  9. 微生物を請求項1〜5のいずれかに記載の微生物保持用担体と共に培養する工程を含む、微生物資材の製造方法。
  10. 微生物を請求項1〜5のいずれかに記載の微生物保持用担体と共に培養する工程を含む、該担体への微生物保持方法。
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