<第1実施形態>
図1から図7を参照して、本発明に係る支持装置の第1実施形態について説明する。
先ず図1及び図2を参照して本実施形態の支持装置の全体構成について説明する。ここに、図1は、支持装置1の上面図である。図2は、支持装置1の側面図である。
図1及び図2において、支持装置1は、バイオチップ(後述の図7等参照)を支持するための装置である。
支持装置1は、基材100と、支持部材200とを備えている。
支持装置1の構成を説明する場合に、基材100の長手方向をx軸方向と定め、基材100の短手方向をy軸方向と定め、x軸方向及びy軸方向いずれとも直交する方向をz軸方向と定める。x軸、y軸及びz軸は、直交座標系である。
基材100は、支持部材200を、後述の固定部材により固定するための部材である。一例として、基材100は、板状の部材である。
基材100は、第1面100aと、第2面100bと、第3面100cと、第4面100dと、第5面100eと、第6面100fとを有している。
第1面100aは、xy平面と平行な面である。第1面100aは、長方形の形状を有している。第1面100aは、基材100の上面、主面と呼ぶ場合がある。
第2面100bは、基材100において第1面100aとは反対側の面である。第2面100bは、第1面100aと略平行な面である。第2面100bは、第1面100aに沿った面である。第2面100bは、xy平面と平行な面である。第2面100bは、長方形の形状を有している。第2面100bは、第1面100aと同じ形状でもよいし異なる形状でもよい。第2面100bは、第1面100aと同じ大きさでもよいし異なる大きさでもよい。第2面100bは、基材100の下面、底面、裏面と呼ぶ場合がある。第2面100bは、支持装置1により支持されたバイオチップ(後述の図7等参照)を測定装置で測定する場合に測定装置のステージ(後述の図30等参照)と接触する面である。
第3面100cは、第1面100aの外縁と第2面100bの外縁とに沿って形成された面である。第3面100cは、図1において支持装置1の下端側に位置する面である。第3面100cは、第1面100a及び第2面100bいずれとも略垂直な面である。第3面100cは、第1面100a及び第2面100bのいずれとも交差する面である。第3面100cは、zx平面と平行な面である。第3面100cは、基材100の側面と呼ぶ場合がある。
第4面100dは、第3面100cとは反対側の面である。第4面100dは、第1面100aの外縁と第2面100bの外縁とに沿って形成された面である。第4面100dは、図1において支持装置1の上端側に位置する面である。第4面100dは、第1面100a及び第2面100bいずれとも略垂直な面である。第4面100dは、第1面100a及び第2面100bのいずれとも交差する面である。第4面100dは、zx平面と平行な面である。第4面100dは、基材100の側面と呼ぶ場合がある。
第5面100eは、第1面100aの外縁と第2面100bの外縁とに沿って形成された面である。第5面100eは、図1において支持装置1の右端側に位置する面である。第5面100eは、第1面100a及び第2面100bいずれとも略垂直な面である。第5面100eは、第1面100a及び第2面100bのいずれとも交差する面である。第5面100eは、yz平面と平行な面である。第5面100eは、基材100の側面と呼ぶ場合がある。
第6面100fは、第5面100eとは反対側の面である。第6面100fは、第1面100aの外縁と第2面100bの外縁とに沿って形成された面である。第6面100fは、図1において支持装置1の左端側に位置する面である。第6面100fは、第1面100a及び第2面100bいずれとも略垂直な面である。第6面100fは、第1面100a及び第2面100bのいずれとも交差する面である。第6面100fは、yz平面と平行な面である。第6面100fは、基材100の側面と呼ぶ場合がある。
なお、基材100の平面形状は、長方形に限るものではなく、例えば矩形や円形等でもよい。すなわち、第1面100aの形状は、矩形や円形等でもよく、第2面100bの形状は、矩形や円形等でもよい。
基材100は、穴部101と、長穴部102と、溝部103と、溝部104とを有している。
一例として、穴部101は、測定装置が測定する場合に測定装置がステージ(後述の図30等参照)上で支持装置1を位置決めするために用いられる穴である。穴部101は、測定装置のステージに設けられた位置決めピンが挿入される。一例として、穴部101は、第2面100bから第1面100aまでを貫通する貫通穴である。この場合、基材100は、穴部101として第1面100a側及び第2面100b側それぞれに開口が設けられている。
なお、穴部101は、第2面100bから第1面100aまでを貫通していない穴でもよい。例えば、穴部101は、凹部又は窪みであってもよい。基材100は、穴部101として第1面100a側及び第2面100b側のうち第2面100b側のみに開口が設けられていてもよい。基材100は、穴部101として少なくとも第2面100b側に開口が設けられていればよい。
一例として、長穴部102は、測定装置が測定する場合に測定装置がステージ(載置台)上で支持装置を位置決めするために用いられる穴である。長穴部102は、穴部101とは異なる形状を有している。長穴部102は、x軸方向の幅がy軸方向の幅より大きい。一例として、長穴部102は、第2面100bから第1面100aまでを貫通する貫通穴である。この場合、基材100は、長穴部102として第1面100a側及び第2面100b側それぞれに開口が設けられている。
なお、長穴部102は、第2面100bから第1面100aまでを貫通していない穴でもよい。例えば、長穴部102は、凹部又は窪みであってもよい。基材100は、長穴部102として第1面100a側及び第2面100b側のうち第2面100b側のみに開口が設けられていてもよい。基材100は、長穴部102として少なくとも第2面100b側に開口が設けられていればよい。
溝部103は、基材100の第3面100cに設けられている。溝部103は、x軸方向に延在した溝を有している。溝部103は、x軸方向に延在した溝をz軸方向に沿って複数有している。溝部103は、凹凸状に形成されている。x軸方向における溝部103の長さは、x軸方向における基材100の長さの約1/2である。
溝部104は、基材100の第4面100dに設けられている。溝部104は、x軸方向に延在した溝を有している。溝部104は、x軸方向に延在した溝をz軸方向に沿って複数有している。溝部104は、凹凸状に形成されている。x軸方向における溝部104の長さは、x軸方向における基材100の長さの約1/2である。
溝部103及び溝部104は、搬送装置が支持装置1を搬送する場合に、搬送装置の把持部(例えばアーム、後述の図29等参照)が把持する領域として用いられる。
次に図1及び図2に加えて、図3から図6を参照して本実施形態に係る支持部材200を基材100に対して、固定手段で固定する構成について説明する。図3は、図1のA−A’断面を拡大して示す。図3は、支持装置1における、一対の(i)支持部材及びこれと一体的になる固定部材と(ii)基材の穴部とを、それらの中心軸に沿ってz方向に沿って切った断面を示す。図4は、図3に示した支持部材及びこれと一体的になる固定部材を抜粋して詳細に示す。図5は、図3に示した基材の穴部を抜粋して詳細に示す。図6は、図3のB−B’断面を示す。図6は、一対の固定部材と穴部とを、穴が括れたレベルでそれらの中心軸に交わる平面で切って示す。
図3及び図4において、支持部材200は、バイオチップ(後述の図7等参照)を支持するための部材である。
支持部材200は、基材100に設けられている穴部105を利用して固定部材300により基材100に機械的に固定されている。支持部材200は、基材100の第1面100aから突出した状態で、固定部材300により基材100に対して機械的に固定されている。基材100は、本実施形態における「固定手段」の一例を構成する固定部材300がz方向に嵌め込まれる穴を規定する壁部を有し、図3の状態では、固定部材300が穴に嵌め込まれている。
支持部材200は、支持部201を有している。支持部201は、柱状の形状を有している。支持部201は、中実である。支持部201は、第1面201aと、第2面201bとを有している。本実施形態では、支持部材200は「支持部材」の一例として構成されている。
第1面201aは、バイオチップ(後述の図7等参照)を支持するための支持領域を含んでいる。第1面201aは、例えば円形の形状を有している。第1面201aは、z軸方向において基材100の第1面100aから所定の距離離れている。第1面201aは、基材100の第1面100aと平行である。第1面201aは、基材100の第2面100bと平行である。第1面201aは、xy平面と平行な面である。第1面201aは、支持部201の上面、頂面と呼ぶ場合がある。第2面201bは、支持部201の側面と呼ぶ場合がある。
図1及び図2に示すように、支持装置1は、支持部材200を複数有している。
複数の支持部材200は、xy平面内で予め定められた距離だけ互いに離れて基材100に配置されている。複数の支持部材200は、基材100においてアレイ状に配置されている。なお、複数の支持部材200は、等しい間隔をあけて基材100に配置してもよいし、異なる間隔をあけて基材100に配置してもよい。複数の支持部材200は、基材100においてマトリックス状に配置されている。図1及び図2では、96個の支持部材200がx軸方向及びy方向に沿ってマトリックス状に配置された支持装置1を示している。
基材100に固定された複数の支持部材200はいずれも、基材100の第1面100aから突出している。基材100に固定され且つ基材100の第1面100aから突出した複数の支持部材200はいずれも、同じ高さを有している。基材100に固定された複数の支持部材200それぞれの第1面200aは、基材100の第1面100aから同じ距離だけ離れている。基材100に固定された複数の支持部材200それぞれの第1面200aは、基材100におけるステージ(後述の図30等参照)と面することになる第2面100bから同じ距離だけ離れている。
支持装置1は、バイオチップ(後述の図7等参照)を支持するための支持領域を複数有している。支持装置1は、互いに離れた複数の支持領域を有している。支持装置1は、バイオチップを支持するための支持領域を96個有している。
なお、本実施形態では、支持装置1は、支持部材200を複数有している例を示したが、これに限るものではなく、支持部材200を少なくとも1個有していればよい。すなわち、支持装置1は、少なくとも1個の支持部材200が基材100に機械的に固定されていればよい。
基材100は、穴部105(図3参照)を複数有している。基材100に設けられた穴部105の数は、支持部材200と同じ数である。図1及び図2に示した支持装置1は、支持部材200を96個有しているので、基材100には穴部105が96個設けられている。
図5に示すように、穴部105は、基材100の第1面100aから第2面100bまで貫通した穴である。穴部105は、基材100の壁部106で規定された空間である。壁部106は、第1壁部106aと第2壁部106bとを有する。第1壁部106aは、第2壁部106bから穴部105の中心軸に向かって突出している。第1壁部106aで規定される穴の径は、第2壁部106bで規定された穴の径より小さい。穴部105は、第1面100aに近い側にて窄んでいる。
基材100は、穴部105として第1面100a側及び第2面100b側それぞれに開口が設けられている。第1面100a側に設けられた開口は、第1壁部106aにより規定されている。第2面100b側に設けられた開口は、第2壁部106bにより規定されている。
第1面100a側に設けられた開口は、固定部材300を、図5中上側から挿入するための挿入口である。基材100は、固定部材300が挿入される挿入部を有している。
なお、第1壁部106a及び第2壁部106bで規定される穴部105は、第1面100aから第2面100bまでを貫通していない穴であってもよい。この場合、基材100は、穴部105として第1面100a側及び第2面100b側のうち第1面100a側のみに開口が設けられている。固定部材を第1面100a側から挿入する本実施形態及び他の実施形態では、基材100は、穴部105として少なくとも第1面100a側に開口が設けられていればよい。
再び図4において、支持部201は、第1面201a及び第2面201bに加えて、第3面201cを更に有している。第3面201cは、第1面201aと平行な面である。第3面201cは、xy平面と平行な面である。第3面201cは、固定部材300が穴部105に挿入されて支持装置が完成した状態において、基材100の第1面100aにおける穴部105の周縁に当接させられる。
z軸方向における第1面201aから第3面201cまでの長さが同じ支持部材200を複数用いて支持装置1を構成すれば、基材100に固定され且つ基材100の第1面100aから突出した複数の支持部材200(図1及び図2参照)はいずれも、同じ高さに揃えることが可能となる。
固定部材300は、基材100に対して支持部材200を機械的に固定するための部材である。固定部材300は、本実施形態に係る「固定手段」の一例を構成している。固定部材300は、支持部材200と一体に形成されている。固定部材300は、支持部材200と単一の構造体である。固定部材300は、基部301と固定部302とを有している。
基部301は、支持部材200と接続される部位である。固定部材300は、基部301において支持部材200と結合している。基部301は、支持部材200と固定部302とを連結している。基部301は、支持部201の第3面201cから突出している。基部301は、円柱の形状を有している。
基部301の径は、支持部201における基部301側の径より小さい。支持部201と基部301は、段差を形成している。基部301の径は、固定部302の径より小さい。基部301と固定部302とは、段差を形成している。基部301は、支持部201と固定部302との間に、本実施形態に係る「くびれ部」或いは「くびれ」を構成している。
一例として、支持部201と基部301とにより構築される段差は、支持部201の第2面201bと、支持部201の第3面201cと、基部301の外周面とにより形成されている。
基部301は、支持部201の第3面201cが基材100の第1面100aに接するまで固定部材300を基材100の第1面100a側から穴部105に挿入した状態において、第1壁部106aと対向する。
固定部302は、基部301から延在した部位である。固定部302は、弾性を有している。固定部302は、支持部201の第3面201cが基材100の第1面100aに接するまで固定部材300を基材100の第1面100a側から穴部105に挿入した状態において、第2壁部106bと対向する。
固定部302は、第1固定部302aと、第2固定部302bとを有する。第1固定部302aと第2固定部302bは、基部301から分岐して突出した部位である。第1固定部302aと第2固定部302bは、互いに離れている。第1固定部302aと第2固定部302bとは、基部301を介して接続されている。
第1固定部302aは、基部301から延在した部位である。第1固定部302aは、一端が基部301と接続されており、他端が自由端である。第1固定部302aは、基部301に対して変形可能である。第1固定部302aは、弾性を有している。第1固定部302aは、外部から力が加えられると変形し、外部から加えられた力が取り除かれると外部から力が加えられる前の形状に戻る(即ち復元する)。
第2固定部302bは、基部301から延在した部位である。第2固定部302bは、基部301において第1固定部が設けられている箇所とは別の箇所から延在している。第2固定部302bは、第1固定部302aとは離れている。第2固定部302bは、一端が基部301と接続されており、他端が自由端である。第2固定部は、基部301に対して変形可能である。第2固定部302bは、弾性を有している。第2固定部302bは、外部から力が加えられると変形し、外部から加えられた力が取り除かれると外部から力が加えられる前の形状に戻る(即ち復元する)。
固定部材300は、外部から力が加えられることで第1壁部106aにより規定される開口を通過できるよう第1固定部302aと第2固定部302bとが互いに近づけられた状態で、基材100の穴部105へ第1面100a側から挿入される。固定部材300は、挿入時には一時的に、穴部105の中心軸に向かって窄められ、その外径が小さくされる。固定部材300は、支持部201の第3面201cが基材100の第1面100aに接するまで押し込まれる。第1壁部106aで規定される開口を通過した第1固定部302a及び第2固定部302bは、復元しようとする。第1固定部302a及び第2固定部302bは、復元する前に第2壁部106bと接触する。第1固定部302a及び第2固定部302bは、復元力をもった状態で第2壁部106bに当接する。第1固定部302a及び第2固定部302bは、第2壁部106bへ付勢されている。
固定部材300が穴部105へ押し込まれた場合、支持部材200は、支持部201の第3面201cが基材100の第1面100aに接することで、穴部105には挿入されず基材100の第1面100aから突出した状態となる。
支持部201の第3面201cが基材100の第1面100aに接するまで押し込まれた固定部材300は、第1固定部302a及び第2固定部302bが第2壁部106bへ付勢されていることで、基材100に対して機械的に固定されている。支持部201の第3面201cが基材100の第1面100aに接するまで押し込まれた固定部材300は、第1壁部106aにより第1固定部302a及び第2固定部302bのz軸プラス方向への移動が規制されているので、穴部105から抜去されることが防止されている。第1壁部分106aは、本実施形態に係る「係止部」の一例を構成しており、これに当接する「端面部分」の一例を、支持部材200の第3面201cが構成している。
固定部材300と一体で形成された支持部材200は、固定部材300によりx軸、y軸及びz軸方向への移動が制限されている。
このように、固定部材300と一体で形成された支持部材200は、基材100に対して機械的に固定されている。
図3及び図6に示すように、固定部材300は、突起部303を有している。一例として、固定部材300は、基部301に突起部303を有している。固定部材00は、基部301に、本実施形態に係る「回転制止手段」の一例を構成する突起部303を有している。第1壁部106aは、突起部303が嵌合する穴部106cを有している。第1壁部106eは、固定部材300が穴部105へ押し込まれた場合、突起部303に対応する位置に穴部106cを有している。突起部303は、穴部106cに嵌合することで、固定部材300がz軸まわりに回転することを防止する。よって、支持部材200は、基材100に対してz軸まわりに回転することが防止される。この結果、支持部材200により支持されたバイオチップが、基材100に対してZ軸まわりに回転することが防止される。
本実施形態では、固定部材300は、支持部材200の一部を形成していると捉えることもできる。本実施形態では、支持部材200は、支持部201と、基部301と、固定部302と、突起部303とで構成されていると捉えることもできる。図7は、バイオチップ1000を支持する支持装置1を示している。
バイオチップ1000は、基材1001と、生体分子1002とを有している。基材1001は、生体分子1002を固定するための部材である。基材1001は、第1面1001aと、第2面1001bとを有している。第1面1001aは、生体分子1002が固定される面である。第2面1001bは、第1面1001aとは反対側(裏側)の面である。第2面1001bは、接着部を介して支持部材200の第1面201aに固定(接着)される面である。基材1001は、例えばシリコンで構成されている。生体分子1002は、検体(全血、血清等)に含まれる標的分子(ターゲット)と特異的に反応する。生体分子1002は、基材1001の第1面1001aにプローブとして固定されている。バイオチップ1000は、生体分子1002が固定されたスポットを複数有している。バイオチップ1000は、標的分子(ターゲット)を検出するためのデバイスであるとも言える。バイオチップ1000は、生体分子アレイ、マイクロアレイと呼ぶ場合がある。
一例として、接着部は、液状やテープ(フィルム)状等で構成されている。一例として、接着部は、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等で構成されている。
支持装置1は、バイオチップ1000を支持するための装置である。一例として、支持装置1は、支持部材200でバイオチップ1000を支持する。一例として、支持装置1は、支持部材200の第1面201aでバイオチップ1000を支持する。一例として、支持装置1は、支持部材200の第1面201aを用いてバイオチップ1000を固定する。一例として、支持装置1は、支持部材200の第1面201aにバイオチップ1000を接着部(接着手段)で固定(接着)する。バイオチップ1000は、支持装置1により支持される。一例として、バイオチップ1000は、支持装置1の支持部材200により支持される。一例として、バイオチップ1000は、支持装置1における支持部材200の第1面201aで支持される。一例として、バイオチップ1000は、支持装置1における支持部材200の第1面201aを用いて固定される。一例として、バイオチップ1000は、支持装置1における支持部材200の第1面201aに接着部(接着手段)を介して固定(接着)される。一例として、バイオチップ1000は、支持装置1における支持部材200の第1面201aに第2面1001bが接着部(接着手段)を介して固定(接着)される。一例として、バイオチップ1000が支持された支持装置1は、分子診断の諸作業(後述の図29及び図30等参照)に供される。
本実施形態の支持装置1によれば、基材100から支持部材200が突出しているので、例えば測定装置にとって使い勝手がよい。一例として、測定装置は対物レンズをバイオチップに近づけることができるので、測定装置における測定精度が低下することを抑制可能となる。
本実施形態の支持装置1によれば、支持部材200が基材100に対して着脱可能に構成されているので、様々な用途で利用することができる。一例として、ユーザは使用するバイオチップの数や大きさ等にあわせて支持装置200を基材100に取り付けることができるので、ユーザは用途ごとに支持装置を構成して使用することができる。一例として、支持部材200と基材100とを別体で構成しているので、コストを抑制することができる。一例として、一度アッセイに用いた支持装置1は、基材100は取り換えることなく支持部材200を取り換えることで再使用(リユース)することができる。
本実施形態の支持装置1によれば、バイオチップ1000を複数支持することができる(基材100に対して支持部材200を複数設けることができる)ので、複数のバイオチップを同時にアッセイすることが可能となる。
一例として、本実施形態に係る「固定手段」は、(i)支持部材200と一体的になる固定部材300の基部301、固定部302及び突起部303と(ii)穴部105の第1壁部106a、第2壁部106b及び穴部106cとを含んで構成されている。一例として、本実施形態に係る「固定手段」は、基材100側及び支持部材200側に一部ずつある。但し、固定手段は、基材100側及び支持部材200側のどちらにあってもよく、どちらか一方側にのみあってもよい。例えば、穴部の側に、穴の中心向に向かって復元可能な弾性部を設けて、その弾性により、穴内に嵌められた固定部を固定する構成を採ることも可能である。z軸まわりに回転することを防止するための突起部303及び穴部106cについても、弾性を有する穴部の側に突起部を設け、固定部の側に穴部或いは凹みを設け、これらが嵌合する構成、凹凸を逆にする構成を採ることもできる。
本実施形態では、固定部302は、二つの固定部である第1固定部302a及び第2固定部302bを有する。しかし、弾性ファスナー、樹脂製ファスナー、リベットファスナー、プッシュリベット、スナップリベット等の如く、一旦窄まって100a側から第1壁部106aを介して第2壁部106bまで押込可能であり且つ第2壁部106bにより規定される穴内で復元可能であれば、二つに限らず、三つ若しくは四つ又はそれ以上の個数の固定部(例えば爪)を採用可能である。固定部の材質としては、上述の如く要求される弾性力或いは復元力が得られれば、アクリル等の樹脂或いはプラスチック、アルミ等の金属など各種材料を用いることができる。更に、固定部は、弾性材料の弾性による他、バネ構造或いはバネ、スリット構造等を含んでなる付勢部による付勢により、上述の如く要求される弾性力或いは復元力を奏するように構成してもよい。
本実施形態では、穴部105は、その内径が2段階に段差をもって或いは不連続に変化するように構成されている。しかし、穴部105の内径は、第1面100aにおける開口から第2面100bに向けて、一定であってもよいし、なだらかに或いは連続的に変化していてもよく、3段階以上に段階的に変化してもよい。例えば、基材100の穴の中に、全体で柱状をなす支持部材及び固定部を含む柱状部材を押し込むことで安定した固定状態を構築することも可能である。このような固定状態は、要求される固定力(即ち基材100上における支持部材200の安定性)に応じて、穴部と固定部とにおける寸法精度及び弾性の組み合わせを適宜設定・選択すればよい。
本実施形態では、穴部105の平面形状は、円形であるが、この他、楕円形、矩形、多角形等であってもよい。いずれの場合にも、穴101aが貫通穴であれば、このような穴部105を有する基材100を、基材100の背面側(即ち図2で下側)からの穴掘り加工や、プレートの背面側に型離れさせる型を使った加工により、比較的容易に製造できる。
一例として、本実施形態によれば、支持部材200と固定部材300とは、一体的に形成されているので、全体構造の簡素化等を図れる。例えば、支持部材200及び固定部材300を弾性のある樹脂材料から構成すれば、このような構成を容易に構築できる。この際、材料自体の弾性が高ければ簡単に構築できる。或いは、材料自体の弾性が余り高くなくても、例えば中空構造とそれを囲むバネ構造、スリット等とを組み合わせた立体構造を採用すればよい。他方で、支持部材200と固定部材300とは、固定部300に要求される弾性力と、支持部材200に要求されるバイオチップ1000を安定に支持する機械的或いは科学的な能力とに鑑み、相互に別体で形成されてもよい。
一例として、本実施形態によれば、穴部105の第1壁部106a及び第2壁部106bは、基材100から一体的に構成されているので、全体構造の簡素化等を図れる。しかし、これらの壁部は、複数の部材を組み合わせて構成することも可能である。例えば、相対的に大径の一の穴を基材100に掘った後、その中に、内部に該一の穴より小径の他の穴を規定する一つ又は複数の壁部を挿入することで、穴部105を構築することも可能である。
一例として、本実施形態によれば、支持部材200或いは基材100を、光透過性の材料から構成する場合であっても、このように穴部105を利用しての機械的な固定により固定することで、平坦度及び平行度を出すように基材100及び支持部材200を構成することが容易となる。支持装置1にバイオチップ1000を接着する作業についても、光硬化性或いは紫外線硬化性等の接着剤を用いて、簡単に実行可能となる。
一例として、本実施形態の支持装置1によれば、バイオチップ1000が第1面201aにより支持されるため、例えばウェルプレートの各ウェル内に分注された検体液に漬けられたバイオチップに対して光学的検査を実施する場合に比べて、バイオチップ1000の周囲・近隣(例えば、検体液やウェル壁)からの光学的ノイズを低減し易い環境を構築でき、或いはこれに代えて又は加えて、バイオチップ表面の対物レンズに対する角度を調節し易い若しくは該角度の精度を出しやすい環境を構築できる。バイオチップ1000を対物レンズに近付ける環境を構築することも容易となる。
ウェルプレートの場合、面的広がりを持つウェルプレート全域の歪み、捻じれ、捩れ等により、各バイオチップ表面の傾斜は、ウェルプレート面内における相対位置に応じて大きさや方位が異なり、更には経年変化や経時変化があるため、スキャナによる調節機能や補正機能では、対処できないおそれがある。一例として、本実施形態の支持装置1によれば、その構造上、このような面的な歪み、捻じれ、捩れ等を、比較的容易に低減可能であり、各バイオチップ1000の表面角度をスキャナのステージ(後述の図30等参照)に平行にする若しくは平行に近付ける又は複数のバイオチップ1000の表面角度をプレート面内で一定若しくは安定させることが可能となる。
一例として、本実施形態によれば、固定手段によって、支持部材200が基材100に対して穴部105を利用して機械的に固定されているため、次の如き利点が得られる。
(i)例えば支持部材200の固定用に接着剤等の化学物質を殆ど若しくは全く利用することなく又はそのような化学物質の利用を抑制しつつ、支持部材200を固定できる。よって、スキャナにより撮像を行う際の光学的ノイズ源となる接着剤等の化学物質が少なくて又は無くて済み、光学的ノイズの少ない状況でスキャナにより撮像を行える。
これに代えて又は加えて、(ii)支持部材200を固定する際の、固定の強度や安定性を比較的容易に高めることが可能となり、基材100に対する支持部材200の位置精度を比較的容易に高めることも可能となる。よって、スキャナにより撮像を行う際の解像度を落とす要因となるバイオチップ1000表面の対物レンズに対する傾き(特に、該傾きにより生じる光学的な収差)を比較的容易に低減可能となる。比較的容易にして解像度を高めることが可能となる。
これに代えて又は加えて、(iii)支持装置1に係る全体構造を比較的容易に簡素化することも可能となり、低コストで支持装置1を構築することも可能となる。バイオチップを支持する装置等は、その性質上、使い捨てで使用可能な程度に低コストであることが望ましいと考えられるので、本実施形態は実践上大変有利である。
基材100に対して、接着剤で、支持部材200を接着して固定することで図1及び図2に示した如き装置を構築することも可能である。しかしながら、ここで、接着剤を用いると、スキャナで光学検査をする最中に、はみ出し或いは残留して硬化した接着剤部分での発光がノイズとなり、検査精度が低下するおそれがある。一例として、本実施形態では、穴部105を利用しての機械的な固定を採用するが故に、上述の(i)〜(iii)で説明した如く比較的簡単な構成であり低コストの支持装置を用いて、スキャナによる光学的検査における、分解能や精度を向上可能となる。
なお、本実施形態では、回転制止手段の一例が、図5及び図6に示したように、突起部303から構成されている。しかし、固定部材300の外周面における、穴部105部の中心軸に交わる方向で切った水平断面形状を、円形ではなく、楕円形、矩形、多角形などにすると共に、穴部105の内壁面を双方に面的に当接する構成を採ることによっても、支持部材100或いは固定部材200が穴部105の中で回転しないようにできる。広義には、このような回転を阻止する断面形状或いはそれらの組み合わせも、実施形態に係る回転制止手段の一例である。
固定部材300が穴部105に嵌め込まれる或いは押し込まれる(バイオチップ1000の支持のために支持装置1を利用する際にかかる、支持部材200及び固定部材300を基材100に対してz軸まわりに回転させようとする回転力に対向する、固定部材300及び支持部材と穴部105との間における接触或いは当接による抵抗が、該回転力よりも大きくなるように、固定部材300が穴部105に嵌め込まれる或いは押し込まれる)のであれば、このような突起部303が穴部106cに嵌合する構成は必要ない。固定部材300に突起部303は設けなくてもよく、基材100に穴部106cは設けなくてもよい。固定部材300の弾性及び外径或いは外径寸法、並びに穴部105の内径或いは内面寸法を調整することで、このように突起部303及び穴部106cがない構成を好適に構築できる。突起部303及び穴部106cが設けられない或いは省略された構成であれば、装置構成の簡素化が図れると共に、支持装置1の製造時における固定部材300を穴部105に嵌め込む工程の簡素化も図れる。
次に図8及び図9を参照して、第1実施形態に係る支持部材200及び固定部材300の変形形態について説明する。ここに図8は、テーパの付けられた支持部材及び固定部材の断面を示し、図9は、これらが基材の穴部に固定された状態を示す。
本変形形態は、本実施形態及び後述の各種実施形態で適宜用いられる支持部材及び固定部材に関するものであり、特にそれらのテーパに関する。
図8に示すように、変形形態では、支持部材200tの外周面には、根本側(即ち図中下側)に向かって外周面の幅が大きくなるようにテーパが付けられている。更に、固定部材12aの内周面は、図中下側に開いた中空空間を規定する内周面には、根本側に向かって中空空間の径若しくは幅が大きくなるようにテーパが付けられている。
このように構成すれば、支持部材200t及び固定部材300tを型(例えば、金型、樹脂製金型などの成型型)で作成する場合に、テーパの大きさに応じて型離れがよくなる。支持部材200t及び固定部材300tにおける、寸法及び形状制度が容易にして高められる。当該支持装置1の製造中及び製造後における歪が、生じ難くなる。例えば、テーパの角度が、図示した如く例えば2度程度あると、型離れをよくする効果が顕著に得られる。
他方で図9に示したように、この程度のテーパであれば、型離れ後の支持部材200t及び固定部材300tについては、テーパがない実施形態とほぼ同様に扱え、穴部105を利用してほぼ同様に固定できる。よって、前述の平坦度及び平行度を、より容易に高めることが可能となる。本例では、基材100において突起部303及び穴部106cが設けられない或いは省略された構成を有する基材100sが用いられている。
なお、本実施形態では、図1から図7に示した第1実施形態における支持部材200及び固定部材300の変形形態として説明したが、同種のテーパを、第2実施形態以降の支持部材や固定部材の外表面やそれらが中空の場合における内表面に施してもよい。そのようにしても同種の効果が相応に得られる。
<第2実施形態>
次に図10並びに図1及び図2を参照して、本発明に係る支持装置の第2実施形態について説明する。
第2実施形態における支持装置の上面図及び側面図は、図1及び図2を参照して説明した第1実施形態の場合とほぼ同様である。第2実施形態では、支持部材及び固定部材の構成が第1実施形態の場合と異なるので、これらについて以下説明する。
図10に示すように、支持装置2は、基材2100、支持部材2200及び固定部材2300を備える。
基材2100は、穴部2106aを除き第1実施形態に係る基材100と同様である。穴部2106aは、凹状穴部2105cがある部位を除いて内径が一定である貫通穴として設けられている。
支持部材2200は、例えば筒状の部材であり、その先端面(図10中、上側の面)に、バイオチップを支持するための支持面2201aを有する。支持面2201aは、第1実施形態に係る第1の面201aと同様にバイオチップを支持するための面である。支持部材2200は、凹部(穴、窪み)を有している。支持部材2200は、底部と、底部から立設された壁部とを有している。支持部材2200の凹部は、底部と壁部により規定されている。支持部材2200の凹部は、底部と壁部からなる内壁部により規定されている。支持部材2200は、内壁部により規定された内部空間を有している。底部において内部空間に面していない面は、バイオチップを支持するための支持領域である。
固定部材2300は、支持部材2200の根本側にこれと一体的に筒状に設けられている。固定部材2300は、本実施形態に係る「固定手段」の一例を構成する。固定部材2300は、更に、その外周において凹状穴部2015cの内周面に向かって突出するように凸部2302を有する。凸部2302は、固定部材2300の外周に固定部材2300と一体的に設けられる。
固定部材2300は、例えば、支持部材2200及び固定部材2300が根本側から(即ち図10で上方から下方へ向けて)又はその逆側から、穴部2106aに入れられる際に、少なくとも第1外径まで縮められるのを許容するスリット2303が切り込まれていると共に、凸部2302が凹状穴部2105cの高さまで到達したところで、第1外径より大きい外径へ復元するように付勢されている弾性体から構成される。これらにより、固定部材2300が弾性により復元した際に、凸部2302が凹状穴部2105cに係合される。例えば、固定部材2300として、支持部材2200と一体的になる樹脂製ファスナーが用いられる。
本実施形態では、スリット2303があるので、筒状の弾性体から構成される固定部材2300は、凸部2302があっても、図10中上側から又は下側から、穴2106aに挿入可能である。更に、入れ込まれた後には、固定部材2300の弾性により、凹状穴部2105c側に付勢された凸部2302と、凹状穴部2105cとが相互に係合されることで、固定部材2300と一体的になる支持部材2200が穴から抜け出る動きは、制止される。
本実施形態によれば、支持部材2200を基材2100に対して比較的簡単な構成によって固定できる。該固定のために煩わされることが抑制される。当該支持装置において平坦度及び平行度を高めることが容易となる。
<第3実施形態>
次に図11から図13並びに図1及び図2を参照して、本発明に係る支持装置の第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、基材、支持部材及び固定部材の構成が第1実施形態の場合と異なるので、これらについて以下説明する。なお、図11及び図12において、図3及び図4に示した第1実施形態と同様の構成要素については同様の参照符号を付し、それらの説明を適宜省略する。
図11及び図12に示すように、支持装置3は、基材100s、支持部材3200及び固定部材3300を備える。基材100sは、図9に示した基材100sと同一であり、第1実施形態に係る基材100において穴部106cが設けられない或いは省略された構成を有する基材100sである。
支持部材3200は、例えば筒状の部材であって、その先端面(図11及び図12中、上側の面)に、バイオチップ1000を支持するための支持面(支持領域)3201aを有する。図12に示すようにバイオチップ1000が支持される。支持部材3200は、凹部(穴、窪み)を有している。支持部材3200は、底部と、底部から立設された壁部とを有している。支持部材3200の凹部は、底部と壁部により規定されている。支持部材3200の凹部は、底部と壁部からなる内壁部により規定されている。支持部材3200は、内壁部により規定された内部空間を有している。底部において内部空間に面していない面は、バイオチップを支持するための支持領域である。
固定部材3300は、本実施形態に係る固定手段の一例を構成しており、基材100sの背面(図11中、下側の面)となる第2面100bにおける開口側から、穴部105を介して、第1面100a側に配置された支持部材3200を固定するように構成されている。
固定部材3300は、その先端に第1実施形態と同様の固定部(一例として、樹脂、金属等の弾性体から構成されるファスナー等)を有する。但し、第1実施形態の場合と比べると、固定部材の向きは上下逆転している。固定部材3300は、図11中で上方に受かって開いた二本以上の固定部3332を有し、図11中で下側から上側へ向けて穴部105へ嵌め込まれる際に、径の狭い第1壁部106aにより規定される穴部分を通過可能なまでに一旦閉じられた後、支持部材3200の内部空間内で、その弾性力によって自ら復元して開く。
支持部材3200は、図11で下側に位置する内部空間の開口を規定する内径が、第1壁部106aにより規定される穴部分の径と同じまでに狭くされた外壁部分3033を有する。支持部材3200は、相対的に径の広い内部空間を規定する外壁部分3236から連続して、相対的に径の狭い開口を規定する外壁部分3033を有する。
固定部材の基部3301は、外壁部分3033により規定される狭くされた径の中に納まる外径を有する。図11では、基部3301が、第1壁部106aにより規定される穴内及び外壁部分3033により規定される開口内に、隙間なく収まっているが、多少の隙間があっても構わない。
固定部材3300は、基部3301の固定部3332の反対側に、幅広部3331を有し、この幅広部3331の径が、第1壁部106aにより規定される穴の径より大きいことにより、固定部材3300が図11で示した位置よりも上方へ進められることは阻止される。幅広部3331は、第2壁部106bにより規定される広い穴部分の径の中に納まる外径を有する。図11では、幅広部3331が、第2壁部106bにより規定される穴内に、隙間なく収まっているが、多少の隙間があっても構わない。
本実施形態では、支持部材3200の収容部内で固定部材3300が一旦膨らむと、固定部材3300と支持部材3200とが穴部105を介して相互から抜け出る動きを、実施形態に係る「係止部」として機能する外壁部分3033及び第1壁部106aが制止する。固定部3332が支持部材3200に嵌め込まれると、その抜け出る動きは、固定部3332が膨らみ或いは膨らもうとして外壁部分3033に引っ掛かることで、制止される。固定部材3300の基部3301は、固定部3332及び幅広部3331との間で、幅の狭い「くびれ部」或いは「くびれ」の一例を構成しており、このくびれが穴部105及び支持部材3200に係合することで三者間(即ち、穴部105、支持部材3200及び固定部材3300間)の相対的な動きが制止される。
固定部材3300の固定部3332の外周面は、これに相対面する支持部材3200の外壁部分3236の内周面に、固定部3332の有する弾力或いは復元力によって接触或いは当接されている。
本実施形態に係る固定手段の一例は、(i)穴部105に面する側に開いた内部空間を規定する収容部としての支持部材3200と、(ii)穴部105を介して該内部空間に嵌め込まれる被収容部としての固定部材3300とを備える。収容部としての支持部材3200は、穴部105に面する側に、典型的には穴と同軸的に、開いた内部空間を規定する。被収容部としての固定部材3300は、基材100sの背面側から、穴部105を介して収容部の内部空間に、典型的には穴部105と同軸的に、嵌め込まれる。
本実施形態によれば、基材100sの厚みを利用して或いは穴部105の内面を利用して、安定的な固定を実現できる。例えば、穴部105内に位置する固定部材3300の基部3301や幅広部3331における外周面が穴部105の内周面に面的に接する又は接し得る面積を増やすことで、固定部材3300の軸方向からのブレやズレを低減できる。よって、固定部材3300を用いての固定によって、平坦度及び平行度を高めることが可能となる。これらの結果、固定部材3200、穴部105及び支持部材3200の三者間の相対的な位置関係を、固定することが可能となる。
本実施形態では、支持部材3200と収容部とは、兼ねられている或いは一体的に構成されているので、本実施形態に係る固定手段の構成を簡素化できる。この際、固定部材3300の材料自体の弾性が高ければ、本実施形態を簡単に実現できる。或いは、その材料自体の弾性が余り高くなくても、例えば中空構造とそれを囲むバネ構造、スリット等とを組み合わせた立体構造を採用することで弾性を高めることも可能である。他方で、固定部材3300の弾性が十分であれば、支持部材3200の材料は、弾性が低いもの或いは剛性の高いものであってもいい。
図11及びそのC−C’断面を示す図13に示すように、固定部材3300は、基部3301に、本実施形態に係る「回転制止手段」の一例を構成する突起部3031aを有している。突起部3031aに対応する位置において、外壁部分3033aは、突起部3301aが嵌合する穴部3033aを有している。突起部3031aは、穴部3033aに嵌合することで、支持部材3200に対して固定部材3300がz軸まわりに回転することを防止する。
この結果、支持部材3200及びこれにより支持されたバイオチップ1000が、基材100sに対してZ軸まわりに回転することが防止される。
或いは、被収容部としての固定部材3300及び収容部としての支持部材3200の軸に交わる方向で切った水平断面形状を、円形ではなく、楕円形、矩形、多角形などにすると共に、収容部としての支持部材3200の内周面及び被収容部としての固定部材3300(或いはその基部3301)の外周面が双方に面的に当接する構成を採ることによっても、固定部材3300が支持部材3200内で相対的に回転しないようにできる。このような回転を阻止する断面形状或いはそれらの組み合わせも、本実施形態に係る回転制止手段の一例である。
更に、固定部材3300が支持部材3200内に強固に嵌め込まれる或いは押し込まれるのであれば、このような突起部3031aが穴部3033aに嵌合する構成は設けなくてもよい。固定部材3300に突起部3031aは設けなくてもよく、支持部材3200に穴部3033aは設けなくてもよい。固定部材3300の弾性及び外径或いは外径寸法、並びに支持部材3200の内径或いは内面寸法を調整することで、このような突起部3031a及び穴部3033aがない構成を好適に構築できる。これらが設けられない或いは省略された構成であれば、装置構成の簡素化が図れると共に、支持装置3の製造時における嵌め込む工程の簡素化も図れる。
加えて、第1実施形態の場合と同様に(図3から図6参照)基材100sの第1壁部106aに穴部106cを設け、本例に基材100を用いるとともに、基部3301に穴部106c係合する凸部を設けることも可能である。これにより、固定部材3300は、基材100に対してz軸まわりに回転することが防止される。
次に図14を参照して、第3実施形態の基材の一の変形形態について説明する。本変形形態は、本実施形態及び他の各種実施形態で適宜用いられる基材の変形形態に関する。
図14(a)に示す変形形態では、支持装置3nは、縁部分3100nが第3実施形態における基材100sと同じ厚さとされている基材100nを備える。基材100nは、その縁部分3100nが局所的に肉厚とされている。基材100nは、固定用の穴部分3105n及びこれに連続する幅広部3331が嵌る穴部分3106nと縁部分3100nとを除く領域については、固定部材3300の幅広部3331の底面3331aが露出する薄さまで肉薄に構成されている。このため、基材100nのうち縁部分3100nの底面3101n(図14(b)中で下側の面)が、後の測定時にステージに面することになる。その他の構成については、上述した第3実施形態と同様である。
図14(b)に示す変形形態では、支持装置3mは、縁部分3100mが第3実施形態における基材100sと同じ厚さとされている基材100mを備える。基材100mは、その縁部分3100mが局所的に肉厚とされている。基材100mは、固定用の穴部分3105m、第3実施形態における第1壁部106aにより規定される穴部分を含む縁部分3100m以外の領域については、固定部材3300の幅広部3331が露出する薄さまで肉薄に構成されている。基材100mは、縁部分3100mを除き、第1壁部106aと同じ厚さしか持たないように構成されている。このため、基材100mのうち縁部分3100mの底面3101m(図14(b)中で下側の面)が、後の測定時にステージに面することになる。その他の構成については、上述した第3実施形態と同様である。
このような変形形態の場合にも、上述した第3実施形態の場合とほぼ同様の作用効果が得られる。加えて、変形形態によれば、基材の軽量化を図ることが可能となり、材料費を抑えることも可能である。更に、固定部材3300をはめ込む或いは押し込む作業をより容易に実施することも可能となるので製造上も有利である。
以上説明した第1から第3実施形態に係る支持装置では、複数の固定部材は、互いに独立している。このため、各々の支持部材を、互いに独立している複数の固定部材によって、基材に対して互いに独立して固定可能である。
これに対して、次に説明する第4から第7実施形態は、複数の固定部材が少なくとも部分的に相互に連結されている又はこれに代えて若しくは加えて、複数の柱状部材が少なくとも部分的に相互に連結されている実施形態である。
<第4実施形態>
次に図15から図17を参照して、本発明に係る支持装置の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態における一体で形成された支持部材及び固定部材の一対が、隣接する各対と相互に連結されてなると共にこれらを連結する部分が基材表面上に配置されている構成を有する実施形態である。また、基材として図11に示した第3実施形態に係る基材100sと同様の穴部106cが省略されたものが採用されており、これに対応して固定部材として突起部303が省略されたものが採用されている。その他の構成については、図1から図3に示した第1実施形態の場合とほぼ同様である。従って、ここでは、支持部材及び固定部材について主に説明し、第1或いは第3実施形態と同様の構成については、その説明を適宜省略する。
図15から図17に示すように、本実施形態では、図3に示した如き第1実施形態と同じく夫々固定部材4300と一体で形成されてなる複数の支持部材4200は、第1実施形態の場合と異なり基材100sの第1面100aにおける、支持部材部分或いは穴部分を除くほぼ全域を、膜状に覆うように形成された連結部4000により相互に連結されている。連結部4000は、支持部材4200及び固定部材4300と一体的に構成されている。
固定部材4300については、第1実施形態の固定部材300と比べて、回転制止用の突起部303がない点が異なり、その他の構成については、連結部4000により連結されていることを除き同様である。本実施形態では、第1実施形態の固定部材300の場合と同様に回転制止用の突起部303を設けることも可能であるが、連結部4000により連結されているので、回転制止用の突起部は設けなくてもよい。連結部4000は、回転抑止の作用も奏するので、固定部材自体の構成の簡素化を図ることが可能である。
支持部材4200については、第1実施形態の支持部材200と比べて、連結部4000により連結されていることを除き同様であり、第1面4201aに第1実施形態等の場合と同じくバイオチップ1000が支持されることになる(図7等参照)。
本実施形態によれば、その製造時に、連結部4000によって相互に連結された複数の支持部材4200を、同じく相互に連結された複数の固定部材4300によって、基材100sに対して、纏めて固定可能となる。支持部材4200、固定部材4300及び連結部4000を含んでなる連結体4は、固定部材4300に必要な弾性を有する樹脂材料から形成され、好ましくは、型により一体成型される。
よって、複数の支持部材4200間で平坦度を出すことが容易となる。複数の支持部材4200の支持面(支持領域)を有する第1面4200aと基材100sの第2面100bとの間で平行度を出すことが容易となる。支持部材4200を、穴を利用して固定する作業自体も、連結体4を用いることで纏めてできるので、効率的に或いは短時間で実行することも可能となる。
なお、連結の仕方については、基材100sの主面に沿った方向のうち少なくとも一方向について、少なくとも部分的に相互に連結されていれば、相応の効果が得られる。例えば、x方向に配列された支持部材が帯状或いはストライプ状の連結部によりアレイ状に連結されてもよいし、y方向に配列された支持部材が帯状或いはストライプ状の連結部によりアレイ状に連結されてもよい。或いは、x方向及びy方向に配列された支持部材が格子状或いは網目状の連結部によりマトリクス状に連結されてもよい。更に、このような連結は、基材100sの全域に渡ってのアレイ状又はマトリクス状の連結でもよいし、幾つかのグループに分断されてのアレイ状又はマトリクス状の連結でもよい。
<第5実施形態>
次に図18、図15及び図16並びに図10を参照して、本発明に係る支持装置の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、図10に示した第2実施形態における一体で形成された支持部材及び固定部材の一対が、隣接する各対と相互に連結されてなると共にこれらを連結する部分が基材表面上に配置されている実施形態である。その他の構成については、第2実施形態の場合と同様である。従って、ここでは、支持部材及び固定部材について主に説明し、第2実施形態と同様の構成については、その説明を適宜省略する。
図18に示すように、本実施形態では、図10に示した如き第2実施形態と同じく夫々固定部材5300と一体で形成されてなる複数の支持部材5200は、連結部5000により相互に連結されている。連結部5000については、図15及び図16で示した第4実施形態の連結部4000の場合と同様に、基材上における支持部材部分或いは穴部分を除くほぼ全域に、膜状に形成されている。連結部5000は、支持部材5200及び固定部材5300と一体的に構成されている。
支持部材5200及び固定部材5300については、第2実施形態の支持部材2200及び固定部材2300と比べて、連結部5000により連結されていることを除き同様である。支持部材5200の支持面(支持領)を有する第1面5201aに第1実施形態等の場合と同じくバイオチップ1000が支持されることになる(図7等参照)。
本実施形態によれば、その製造時に、連結部5000によって相互に連結された複数の支持部材5200を、同じく相互に連結された複数の固定部材5300によって、基材2100に対して、纏めて固定可能となる。支持部材5200、固定部材5300及び連結部5000を含んでなる連結体5は、固定部材5300に必要な弾性を有する樹脂材料から形成され、好ましくは、型により一体成型される。
複数の支持部材5200間で平坦度を出すことが容易となる。複数の支持部材5200の第1面5201aと基材2100の背面との間で平行度を出すことが容易となる。支持部材5200を、穴を利用して固定する作業自体も、連結体5を用いることで纏めてできるので、効率的に或いは短時間で実行することも可能となる。
なお、連結の仕方については、上述の第4実施形態の場合と同じくアレイ状、マトリクス状等の趣旨の連結の仕方を採用できる。
<第6実施形態>
次に図19及び図14(a)を参照して、本発明に係る支持装置の第6実施形態について説明する。第6実施形態は、図14(a)に示した第3実施形態の変形形態における支持部材及び固定部材の一対が、隣接する各対と相互に連結されてなると共にこれらを連結する部分が基材の裏側に配置されている実施形態である。また、固定部材として回転制止用の突起部3031a(図13等参照)が省略されたものが採用されると共に、これに対応して支持部材として穴3033a(図13等参照)が省略されたものが採用されている。その他の構成については、図14(a)に示した変形形態の場合と同様である。従って、ここでは、支持部材及び固定部材について主に説明し、図14(a)に示した変形形態と同様の構成については、その説明を適宜省略する。
図19に示すように、本実施形態では、図14(a)に示した第3実施形態の変形形態と同じく支持部材3200に対して基材100nの裏側(図19中下側)から夫々嵌め込まれた複数の固定部材6300は、基材100nの裏側に位置する連結部6000により相互に連結されている。
連結部6000については、基材100nの裏側における縁部分3106nを除くほぼ全域に膜状に形成されている。連結部6000は、固定部材6300と一体的に構成されている。
固定部材6300については、図14(a)に示した第3実施形態の変形形態の固定部材3300と比べて、連結部6000により連結されていることを除き同様である。
本実施形態によれば、その製造時に、連結部6000によって相互に連結された複数の固定部材6300を、複数の支持部材3200に対して基材100nの裏側から纏めて固定可能となる。固定部材6300及び連結部6000を含んでなる連結体6は、固定部材6300に必要な弾性を有する樹脂材料から形成され、好ましくは、型により一体成型される。
よって、複数の支持部材3200間で平坦度を出すことが容易となる。複数の支持部材3200の支持面(支持領域)を有する第1面3201aと、基材100nの縁部分3100nの底面3101n(例えば測定時にステージに面する面)との間で、平行度を出すことが容易となる。固定部材6300を、穴に嵌め込む作業自体も、連結体6を用いることで纏めてできるので、効率的に或いは短時間で実行することも可能となる。
なお、連結の仕方については、上述の第4実施形態の場合と同じくアレイ状、マトリクス状等の趣旨の連結の仕方を採用できる。
<第7実施形態>
次に図20及び図21並びに図14(b)を参照して、本発明に係る支持装置の第7実施形態について説明する。第7実施形態は、図14(b)に示した第3実施形態の変形形態における支持部材及び固定部材の一対が、隣接する各対と相互に連結されてなると共にこれらを連結する部分が基材の表側に配置されている実施形態である。また、固定部材として回転制止用の突起部3031a(図13等参照)が省略されたものが採用されると共に、これに対応して支持部材として穴3033a(図13等参照)が省略されたものが採用されている。その他の構成については、図14(b)に示した変形形態の場合と同様である。従って、ここでは、支持部材及び固定部材について主に説明し、図14(b)に示した変形形態と同様の構成については、その説明を適宜省略する。
図20に示すように、本実施形態では、図14(b)に示した第3実施形態の変形形態と同じく複数の支持部材7200には、固定部材3300が基材100mの裏側(図20中下側)から夫々矢印で示したように、基材100mの穴部3105mを介して嵌め込まれる。本実施形態では、複数の支持部材7200は、基材100nの表側(図20中上側)に位置する連結部7000により相互に連結されている。連結部7000については、図15及び図16で示した第4実施形態の場合と同様に基材の縁部分及び支持部材部分或いは穴部分を除く、ほぼ全域に膜状に形成されている。連結部7000は、支持部材7200と一体的に構成されている。
本実施形態によれば、図20に示したように、その製造時に、連結部7000によって相互に連結された複数の支持部材7200に対して、複数の固定部材3300を、基材100mの裏側から纏めて固定可能となる。支持部材7200及び連結部7000を含んでなる連結体7は、弾性又は非弾性の或いは剛性又は非剛性の樹脂、金属等の材料から形成され、好ましくは、型により一体成型される。
よって、図21に示すように、複数の支持部材7200間で平坦度を出すことが容易となる。複数の支持部材7200の支持面(支持領域)を有する第1面7201aと、基材100mの例えばステージに面する面との間で、平行度を出すことが容易となる。固定部材3300を、穴を介して嵌め込む作業自体も、連結体7を用いることで纏めてできるので、効率的に或いは短時間で実行することも可能となる。
なお、連結の仕方については、上述の第4実施形態の場合と同じくアレイ状、マトリクス状等の趣旨の連結の仕方を採用できる。
<第8実施形態>
次に図22及び図23を参照して、本発明に係る支持装置の第8実施形態について説明する。
第8実施形態は、上述した各種実施形態で適宜用いられた固定部材に関するものであり、セルフタップネジに関する。ここでは、図3に示した第1実施形態における固定部材300の変形形態として説明する。
図22に示すように、第8実施形態では、固定部材82は、セルフタップネジとして構成されている。固定部材82は、支持面81aを有する支持部材81における、基材8100の穴8100aに面する側に設けられている。固定部材82は、図中矢印の方向に、穴8100aにねじ込まれる。
図23に示すように、固定部材82の穴8100aへのねじ込みが完了すると、バイオチップを支持するための支持面81aを先端に有する支持部材81が、基材8100から立ち上がる構成が得られる。即ち、図1及び図2に示した第1実施形態の場合とほぼ同様の外観形状を有する支持装置が構築される。
本実施形態によれば、セルフタップネジを穴にねじ込むだけで、比較的簡単に、平坦度や平行度を高めることが可能となる。
本実施形態では、穴8100aには、その開口がねじ側に広がるようにテーパが付けられ、これに呼応して、セルフタップネジとしての固定部材82には、その先端に向かって細くなるテーパが付けられる。これらのテーパにより、ねじ込み作業がより一層簡単になり、ねじ込み時に発生するカスは少量で済む。固定部材82の材質及び基材8100の材質については、図22に示した如きねじ込み動作が可能であると共に図23に示したねじ込み後に安定した形状が得られる各種の樹脂材料、金属材料が好適に用いられる。
<第9実施形態>
次に図24を参照して、本発明に係る支持装置の第9実施形態について説明する。
第9実施形態は、上述した各種実施形態で適宜用いられた基材に関するものであり、特にその機械的強度の補強、或いは、反り、歪み、捻じれ、捩れの防止機構に関する。ここでは、図14(b)に示した第3実施形態の変形形態、即ち相対的に基材が最も薄く構成されている或いは薄く形成されている領域が広い形態(したがって基材の機械的強度或いは剛性が低くなり易い形態)の変形形態として説明する。
図24に示すように、本実施形態に係る支持装置9は、図14(b)に示した第3実施形態の変形形態に係る基材100mに対して、その裏側にて、複数の穴部3105mの間隙を縫うように、リブ9101がストライプ状に形成されている基材9100mを有する。その他の構成については、図14(b)に示した第3実施形態の変形形態と同様である。
リブ9101は、基材9100mと一体的に構成されてもよいし、別体として後付或いは外付されてもよい。リブ9101における基材9100m及びリブ9101を足したz方向の高さ或いは厚みは、基材9100mの縁部分3100mのz方向の高さ或いは厚みと比べて小さくなるように、リブ9101のz方向の高さ或いは厚みが設定されている。リブ9101が、基材9100mの縁部分3100mにおける表面3101mを超えて基材9100mの下方側に突出することはない。例えばスキャナのステージに支持装置9が載せられた際に、リブ9101がステージ面に接触することがないように構成されている。
本実施形態に係るリブ9101のxy面における平面レイアウトについては、次に説明する第10及び第11実施形態の場合と同様に、x方向又はy方向にストライプ状でもよいし、xy方向にマトリクス状でもよい。更には、全ての穴部3105mの間を縫うように配置されてもよいし、穴部3105mの列に対して複数本おき或いは穴部3105mの行に対して複数本おきなど、要求される機械的強度或いは剛性が得られる頻度で設けられてもよい。
本実施形態によれば、基材100mが、リブ9101により補強されるので、単なる平板状の基材に比べて、基材100mの反り、歪み、捻じれ、捩れなどの発生を抑制できる。基材の厚みを薄くでき、或いは、同じ厚みの基材から、巨大面積の支持装置を構築できる。基材の厚みを薄くすることは、支持装置の肥大化防止、支持装置の低コスト化にも繋がる。リブの形成密度や各リブの太さや硬さなどは、要求される仕様に応じて適宜に設定すればよい。
<第10実施形態>
次に図25及び図26を参照して、本発明に係る支持装置の第10実施形態について説明する。
第10実施形態は、第9実施形態の場合と同様に、上述した各種実施形態で適宜用いられた基材に関するものであり、特にその機械的強度の補強、或いは、反り、歪み、捻じれ、捩れの防止機構に関する。ここでは、図1及び図2に示した第1実施形態の変形形態として説明する。
図25及び図26に示すように、第10実施形態では、支持装置10は、基材100を補強するリブ1110x及びリブ1110yを有する。
一例として、基材100の第1面100aにおいて、支持部材200の間隙を縫うように、x方向(図25中、横方向)に夫々伸びる複数のリブ110xがアレイ状に配列されており、y方向(図20中、縦方向)に夫々伸びる複数のリブ1110yがアレイ状に配列されている。リブ1110x及びリブ1110yが第1面100aに設けられので、支持面に支持されたバイオチップ1000(図7等参照)が、分注作業を経たウェルプレートにまとめて浸される作業の邪魔とならないように、リブ1110x及び1110yは、支持部材200よりも第1面100a上における高さが低くなるよう構成されている。
本実施形態によれば、第9実施形態の場合と同様に、基材100が、リブ1110x及びリブ1110yにより補強されるので、単なる平板状の基材に比べて、基材の反り、歪み、捻じれ、捩れなどの発生を抑制できる。例えば、基材の厚みを薄くすると、穴を利用して固定を行う際に、穴の深さが浅くなる分だけ、固定に係る作業や部材の容易化にも繋がり得る。
<第11実施形態>
次に図27を参照して、本発明に係る支持装置の第11実施形態について説明する。
第11実施形態は、上述した第10実施形態の変形形態である。
図27に示すように、第11実施形態では、支持装置11は、基材100を補強するリブ1120x等を第2面100b上に有する。
本実施形態では、基材100における支持部材200を固定するための穴が貫通穴であるので(図3棟参照)、リブ1120x等は、第2面100bにおいてアレイ状に配列された複数の穴の間隙を縫うように、設けられる。但し、基材100における固定用の穴が非貫通穴である場合には、リブ1120x等は、第2面100bにおいて穴の位置とは無関係に設けられてもよい。いずれの場合にも、このリブが第2面100b上に設けられる場合には、当該支持装置11がスキャナのステージに置かれる際に、平坦度及び平行度を出す妨げとならない個所に設けられる、又は平坦度及び平行度を出す妨げとならない形状或いは寸法精度で設けられるのが望ましい。
なお、第10及び第11実施形態で施したのと同種のリブを、第2実施形態から第9実施形態における基材を補強する目的で施してもよい。そのようにしても同種の効果が相応に得られる。
<第12実施形態>
次に図28を参照して、本発明に係る支持装置の第12実施形態について説明する。
第12実施形態は、上述した各種実施形態で適宜用いられた固定手段に関するものであり、特にその固定の補強に関する。ここでは、図3に示した第1実施形態の変形形態として説明する。
図28に示すように、本実施形態の支持装置12は、支持部材200を、固定部材300のところで、穴部105に対して接着する接着剤1200を更に備える。よって、固定部材300による機械的な固定に加えて、接着剤1200により補強的に接着或いは固定されているので、穴に対して支持部材200及び固定部材300をより固定できる。図3に示した回転制止部として機能する突起部303及びこれが嵌合する穴部106cの代わりに、接着剤1200が機能する(接着剤1200が回転制止機能をも有する)。本例のように、第1実施形態の場合と異なりこれら突起部303及び穴部106cは、設けなくてもよいし、設けてもよい。
本実施形態では、穴部105は貫通孔であり、接着剤1200は、穴部105を介して基材100の図中下側から即ち第2面100b側から施されている。よって、その反対側に位置する支持部材200に支持されたバイオチップ1000に対して、例えば光学的な分子診断の光照射が行われる際に、接着剤1200が該光照射にさらされることを防止できる。よって、接着剤1200による、より安定な補強的固定を実現しつつ、光学的な分子診断の光照射が行われる際に、接着剤1200が発光して、診断の精度或いは分解能を低めてしまう事態を、防止することができる。
なお、本実施形態では、図3に示した第1実施形態の変形形態として説明したが、同種の接着剤を、第2実施形態から第11実施形態における固定部材による固定を補強する目的で施してもよい。そのようにしても同種の効果が相応に得られる。いずれの場合にも、接着剤は、穴部を介して施される他に、光学的な分子診断の光照射が行われる際に、該光照射にさらされることのない或いは少ない部位に施されることが好ましい。
このように各種実施形態における「固定手段」による穴を利用しての「機械的な固定」とは、弾性ファスナー、セルフタップネジ等によるもののほか、嵌合、係合、ねじ止め、リベット止めなどの、既存の各種機械的な方式で固定を行う手段全般を意味し、広義には、接着剤等の化学材料を利用しての化学的な方式で固定を行う手段を補足的に利用することを排除しない意味である。
以上詳細に説明した各種実施形態において、支持部材及び基材の材料の組み合わせは、樹脂及び樹脂、樹脂及び金属、又は、金属及び金属である。固定部材の材料は、樹脂又は金属である。この際、樹脂としてはアクリル等の各種材料を採用可能であり、金属としてはアルミ等の各種材料を採用可能である。各種実施形態では、固定部材を用いるが故に、支持部材を基材に固定するために、光硬化性樹脂或いは紫外線硬化性樹脂などの化学材料を使う必要がない環境下で、支持部材及び基材、更には固定部材の材料として、光透過性の樹脂若しくは金属材料、遮光性の樹脂若しくは金属材料など、任意の材料の組み合わせを採用できる。これらの材料の組み合わせによらずに、穴を利用して機械的に固定する固定手段によって、平坦度や平行度を出しながら、支持部材を基材に固定できる。
他方で、支持部材の支持面(例えば、図3における第1面2a等)にバイオチップ1000を支持するのに光硬化性樹脂或いは紫外線硬化性樹脂などの照射を要する接着剤を使う場合には、少なくともバイオチップ1000の裏側から接着剤に照射可能なように支持面を構成する支持部材の部分を光透過性の樹脂から構成するのがよい。この際、例えば、穴を介して、光透過性の固定手段或いは固定手部材及び支持部材を介して、支持面まで光或いは紫外線を照射可能とすることもできる。
このように各種実施形態では、固定手段或いは固定部材を用いているので、基材の材料は、透光性でも遮光性でもどちらでもよい構成を容易にして実現できる。
更に、これら支持部材、基材及び固定手段或いは固定部材の材料として、例えば、紫外線をカットする、光学的な分子診断時の光照射に応じて発光しない種類のアクリルなどの材料を利用することで、光学的な分子診断を行う際に、光の乱反射、発行等によるノイズの低減を図れる。光学的な分子診断時における測定精度や分解能を高められる。この観点からは、支持部材を固定するためやバイオチップを支持するための接着用光照射を許すことが不要である限りにおいて、光学的な分子診断時の光照射に応じて発光しないタイプの材料をなるべく多く採用すること(特に、光学的な分子診断時にバイオチップと共に光照射を受ける領域については、そのような材料をなるべく採用すること)で、高精度で高分解能の光学的な分子診断が可能となる。
<製造方法の実施形態>
上述の各種実施形態に係る支持装置を製造する場合には、先ず、樹脂製等の材料からなる基材を用意し、固定用の穴(例えば、第1実施形態に係る穴部105等)を開ける。これと相前後して又は並行に、樹脂等の材料からなる支持部材(例えば、第1実施形態に係る支持部材200等)及び固定部材(例えば、第1実施形態に係る固定部材300等)を用意する。支持部材及び固定部材は、例えば上述の第1又は第3実施形態の如く、一体でもよいし上述の第3実施形態の如く別体でもよい。或いは、上述の第4から第7実施形態の如く連結されていてもよい。いずれの場合にも、型を用いた成型により、支持部材及び固定部材は、比較的簡単に用意される。
その後、支持部材を基材に対して、穴を利用して機械的に固定する。ここでは、支持部材と一体で又は別体で設けた固定部材を、穴に入れる。この工程で、弾性部を含んでなる固定部材(例えば、第1実施形態に係る固定部材300等)を用いる場合には、弾性部が穴の中で外径が一旦縮められた後に膨らむように、弾性部を穴に入れる。この場合、弾性部を穴に入れることで、その弾性或いは付勢によって、支持部材を基材に固定できる。一例として、スキャナによる光学的検査における精度や分解能を向上可能な支持装置を、比較的容易にして構築可能となる。
<分子診断システム及び分子診断方法の実施形態>
次に図29及び図30を参照して、上述の各種実施形態の支持装置を用いて、バイオチップに対するスキャナによる光学的検査を行う分子診断システムについて、その分子診断方法と共に説明する。ここでは、第1実施形態に係る支持装置1を用いる場合について説明を加えるが、他の実施形態に係る支持装置を用いる場合にも、同様に分子診断を行うことが可能である。
図29に示すように、分子診断システムは、分注機(分注装置)601、ウェルプレート602、支持装置1及びスキャナ(測定装置)701を備える。分注機601は、ウェルプレート602の複数のウェル602aに検体液603を分注する。
支持装置1には、複数のバイオチップ1000が接着剤で貼り付けられている(図7等参照)。図29では、支持装置1は、図2に示した状態から上下逆転されて、アーム(搬送装置)801により、分注後のウェルプレート602に対して対向配置され、更に、ウェルプレート602の複数のウェル602aに対して、対応する複数のバイオチップ1000が漬けられるまで近接配置される様子が示されている。
この際、ウェルプレート602における複数のウェル602aの配列ピッチと支持装置1における複数の支持面の配列ピッチとは、相互に合わせられているので、複数のバイオチップ1000を複数のウェル602a内の検体液603に一時に漬けることができる。なお、ウェルプレート602は、不図示のヒートシェーカーに配置される。ヒートシェーカーは、バイオチップ1000の生体分子と検体液603との反応を促進するために、ウェルプレート602を振動させたり、熱を加えたりする。ウェルプレート602が配置されるのは、ヒーター(加温装置)でもよいし、シェーカー(加振装置)でもよい。
図30に示すように、スキャナ701は、ステージ703と、対物レンズ702と、光源(不図示)と、カメラ(不図示)とを有する。ステージ703は、矢印703aで示した如く、対物レンズ702に対して主に平行に、即ちx方向及びy方向に移動可能に構成されている。支持装置1は、ステージ703により支持される。一例として、ステージ703には、支持装置1が、基材100の背面となる第2面100bが、ステージ703の表面に面するように配置可能に構成されている。
よって、分子診断を行う際には先ず、支持装置1に固定された支持部材1の支持面に、接着剤等による取り付けなどにより、バイオチップ1000が支持される。
その後、バイオチップ1000の表面のターゲット補足用のプローブにより、ウェル602a内に分注された体液等の検体液のうちのターゲット成分が適宜に捕獲される。
その後、支持装置1は、バイオチップ100の表面(プローブが設けられている面)がスキャナ701の対物レンズ702に対向する側に向けられるように、ステージ703に支持される。この際の位置決め及び取り付けは、図1に示した穴部101及び102を利用して行われる。一例として、ステージ703に設けられた位置決めピンが穴部101及び102に挿入されることで、ステージ703に対して支持装置1が位置決めされる。
その後、ステージ703を移動させつつ、複数のバイオチップ1000それぞれに対して、スキャナ701による光学的検査(測定)が連続的に実施される。一例として、バイオチップ1000が発した蛍光をカメラ(センサ)で検出(撮像)する構成が挙げられる。光源は、励起光を射出する。光源から射出された励起光は、対物レンズ702を介してバイオチップ1000に照射される。励起光が照射されたバイオチップは、ターゲットに二次抗体を介して結合された蛍光色素が励起されて蛍光を発する。バイオチップが発した蛍光は、対物レンズ702を介してカメラに入射する。カメラは、受光した蛍光に基づいてバイオチップの画像データ(画素値、輝度値)を生成する。バイオチップの画像データは、例えば分析装置が解析して疾患を特定することで診断に用いられる。
本実施形態によれば、バイオチップ1000が支持装置1により支持されるため、ウェルプレート602の各ウェル602a内に支持されたバイオチップに対して直接、光学的検査を実施する場合に比べて、バイオチップの周囲・近隣(例えば、検体液やウェル壁)からの光学的ノイズを低減し易い環境を構築できる。或いは、これに代えて又は加えて、バイオチップ1000の表面の対物レンズ702に対する角度を調節し易い若しくは該角度の精度を出しやすい環境を構築できる。
面的な広がりを有するウェルプレート602は、反ったり捩れたり歪んだりし易く、各ウェル602aの底や壁の角度が一定していない。これらにより、スキャナ701による撮像の精度や分解能が無視し得ない程度に落ちてしまい、最終的には、分診診断の精度が悪化しかねない。
本実施形態によれば、支持部材が基材に対して穴を利用して機械的に固定されているため、(i)支持部材の固定用に接着剤等の化学物質の利用を抑制しつつ、支持部材を基材に対して固定できる。よって、スキャナ701により撮像を行う際の光学的ノイズ源となる接着剤等の化学物質が少なくて又は無くて済む。これに代えて又は加えて、(ii)支持部材の固定の強度や安定性を比較的容易に高めることが可能となり、基材に対する支持部材の位置精度を比較的容易に高めることも可能となる。よって、スキャナ701により撮像を行う際の解像度を落とす要因となるバイオチップ1000の表面の対物レンズ702に対する傾きを比較的容易に低減可能となる。また、バイオチップ1000を対物レンズ702に近接されることも容易となる。更にこれに代えて又は加えて、(iii)支持装置に係る全体構造を比較的容易に簡素化することも可能となる。
このように本実施形態によれば、スキャナ701による撮像における精度や分解能を比較的容易にして向上可能となる。よって最終的には、分子診断の精度を向上可能となる。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う支持装置及びその製造方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。