JP2015192385A - アンテナ装置、及びアンテナ装置のインダクタンス調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長手方向に細長い略短冊形状のループアンテナを電子機器に設置後でも、そのインダクタンスを容易に調整できるようにする。【解決手段】電子機器30に組み込まれ、外部機器と電磁界信号を介して通信するアンテナ装置1であって、外部機器と誘導結合されるアンテナコイル11aが周回する略短冊形状のループアンテナ11と、磁性体から形成され、ループアンテナの外部機器との対向面と反対側に貼付又はループアンテナの開口部12aを貫通させて設けられる磁性シート20と、ループアンテナの何れかの面に設けられ、ループアンテナの内側に形成される開口部の中心近傍を覆うようにループアンテナの幅方向の両縁部にかけて架橋され、ループアンテナのインダクタンスの大きさを調整可能なインダクタンス調整部材15と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、電子機器に組み込まれ、外部機器と電磁界信号を介して通信するアンテナ装置、及び当該アンテナ装置のインダクタンス調整方法に関する。
従来、携帯電話機、スマートフォン、タブレットPC等の電子機器において、近距離非接触通信(NFC: Near Field Communication )の機能を搭載するため、RFID(Radio Frequency Identification)用のアンテナモジュールが用いられている。このアンテナモジュールは、リーダライタ等の発信器に搭載されたアンテナコイルと誘導結合を利用して通信を行っている。すなわち、このアンテナ装置は、リーダライタからの磁界をアンテナコイルが受けることによって、それを電力に変換して通信処理部として機能するICを駆動させることができる。
このような非接触通信が適用された通信システムでは、リーダライタと非接触データキャリアとの間で非接触の通信と電力伝送を行うためループアンテナに共振用コンデンサを接続し、ループアンテナと共振用コンデンサの定数LCで決まる共振周波数をシステムの規定周波数に合わせることでリーダライタと非接触データキャリアの安定な通信を行って、通信距離を最大にしている。すなわち、携帯端末装置に内蔵するNFC等のRFIDアンテナモジュールは、制御用のLSIと接続して機能するが、共振回路を基本とするマッチング回路を適正にすることで通信性能を維持している。
しかしながら、ループアンテナと共振用コンデンサのLCの定数はいくつかの変動要因を持っており、必ずしも想定した値にはならない。例えば、NFCアンテナを別の筺体内部に実装した場合、特に金属部品等の周囲の部品の影響でインダクタンスが変化するため、同一のアンテナであってもマッチング回路を変更しなくてはならない問題があった。特許文献1には、共振回路を内蔵するRFIDアンテナの共振周波数を電子機器に設置後に調整可能とするRFID用タグが開示されている。当該RFID用タグでは、アンテナコイルと重複するように磁性材を貼付するか、アンテナコイルの内部に導電体を貼付して、所望の共振周波数になるように、インダクタンスを調整している。
電子機器の小型化、多機能化が進むにつれて、アンテナ装置の設計自由度を高めるために、ループアンテナが長手方向に細長い略短冊形状のものが開発されるようになっている。しかしながら、ループアンテナが略短冊形状となると、幅方向に対向する両辺の内側に展開される磁界が互いに強め合い、かつ、幅方向に対向する両辺の外側に展開される磁界が互いに相殺する。このため、ループアンテナのインダクタンス調整が容易に行えないようになっている。特許文献1に開示されているRFID用タグは、RFIDアンテナの共振周波数を電子機器に設置後に調整可能とするが、略短冊形状のループアンテナを備えるアンテナ装置のインダクタンス調整に関しては、言及していない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、長手方向に細長い略短冊形状のループアンテナを電子機器に設置後でも、そのインダクタンスを容易に調整可能な、新規かつ改良されたアンテナ装置、及びアンテナ装置のインダクタンス調整方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、電子機器に組み込まれ、外部機器と電磁界信号を介して通信するアンテナ装置であって、前記外部機器と誘導結合されるアンテナコイルが周回する略短冊形状のループアンテナと、磁性体から形成され、前記ループアンテナの前記外部機器との対向面と反対側に貼付又は前記ループアンテナの開口部を貫通させて設けられる磁性シートと、前記ループアンテナの何れかの面に設けられ、前記ループアンテナの内側に形成される開口部の中心近傍を覆うように前記ループアンテナの幅方向の両縁部にかけて架橋され、前記ループアンテナのインダクタンスの大きさを調整可能なインダクタンス調整部材と、を備える。
本発明の一態様によれば、ループアンテナの中心部近傍に該ループアンテナの幅方向の両縁部にかけてインダクタンス調整部材を架橋させて設けることによって、略短冊形状のループアンテナを備えるアンテナ装置のインダクタンスを電子機器に実装した状態で容易に制御できる。
このとき、本発明の一態様では、前記インダクタンス調整部材は、前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを調整することによって、前記インダクタンスの大きさを調整可能とすることとしてもよい。
このようにすれば、インダクタンス調整部材のループアンテナにおける長手方向の大きさを調整することによって、略短冊形状のループアンテナを備えるアンテナ装置のインダクタンスを電子機器に実装した状態で容易に制御できる。
また、本発明の一態様では、前記インダクタンス調整部材は、磁性体から形成され、前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、前記インダクタンスの大きさを増大可能とすることとしてもよい。
このようにすれば、インダクタンス調整部材のループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、インダクタンスを所望の大きさに増大できる。
また、本発明の一態様では、前記インダクタンス調整部材は、良導体から形成され、前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、前記インダクタンスの大きさを減少可能とすることとしてもよい。
このようにすれば、インダクタンス調整部材のループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、インダクタンスを所望の大きさに減少できる。
また、本発明の他の態様は、外部機器と電磁界信号を介して通信するアンテナ装置に備わるループアンテナのインダクタンスを調整するアンテナ装置のインダクタンス調整方法であって、前記ループアンテナを略短冊形状として、該ループアンテナのインダクタンスの大きさを調整可能なインダクタンス調整部材を前記ループアンテナの内側に形成される開口部の中心近傍を覆うように、前記ループアンテナの何れかの面に前記ループアンテナの幅方向の両縁部にかけて架橋する調整部材設置工程と、前記インダクタンス調整部材の前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを調整することによって、前記インダクタンスの大きさを調整するインダクタンス調整工程と、を含む。
本発明の他の態様によれば、ループアンテナの中心部近傍に該ループアンテナの幅方向の両縁部にかけてインダクタンス調整部材を架橋させて設けることによって、略短冊形状のループアンテナを備えるアンテナ装置のインダクタンスを電子機器に実装した状態で容易に制御できる。
また、本発明の他の態様では、前記調整部材設置工程では、前記インダクタンス調整部材として、磁性体から形成されるものを前記ループアンテナの前記幅方向の両縁部にかけて架橋し、前記インダクタンス調整工程では、前記インダクタンス調整部材の前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、前記インダクタンスの大きさを増大させることとしてもよい。
このようにすれば、インダクタンス調整部材のループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、インダクタンスを所望の大きさに増大できる。
また、本発明の他の態様では、前記調整部材設置工程では、前記インダクタンス調整部材として、良導体から形成されるものを前記ループアンテナの前記両縁部にかけて架橋し、前記インダクタンス調整工程では、前記インダクタンス調整部材の前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、前記インダクタンスの大きさを減少させることとしてもよい。
このようにすれば、インダクタンス調整部材のループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、インダクタンスを所望の大きさに減少できる。
以上説明したように本発明によれば、長手方向に細長い略短冊形状のループアンテナを電子機器に設置後でも、そのインダクタンスを容易に調整できる。このため、アンテナ装置のインダクタンスとマッチング回路の最適関係が維持出来るため、同じアンテナ装置を異なった電子機器に実装した場合でも、良好な通信特性が得られるようになる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
まず、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置の構成について、図面を使用しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置が適用される無線通信システムの概略構成を示す斜視図である。本実施形態に係るアンテナ装置1は、電子機器30に組み込まれ、外部機器と電磁界信号を介して通信する装置であって、例えば、図1に示すようなRFID用の無線通信システム100に組み込まれて使用される。
無線通信システム100は、図1に示すように、電子機器30に備わるアンテナ装置1と、アンテナ装置1に対するアクセスを行う外部機器となるリーダライタ120とを含む。ここで、アンテナ装置1とリーダライタ120とは、図1に示す三次元直交座標系xyzのxy平面において互いに対向するように配置されているものとする。
リーダライタ120は、xy平面において互いに対向するアンテナ装置1に対して、z軸方向に磁界を発信する発信器として機能し、具体的には、アンテナ装置1に向けて磁界を発信するアンテナ121と、アンテナ121を介して誘導結合されたアンテナ装置1と通信を行う制御基板122とを備える。
すなわち、リーダライタ120は、アンテナ121と電気的に接続された制御基板122が配設されている。この制御基板122には、一又は複数の集積回路チップ等の電子部品からなる制御回路が実装されている。この制御回路は、アンテナ装置1から受信されたデータに基づいて、各種の処理を実行する。
例えば、制御回路は、アンテナ装置1に対してデータを送信する場合、データを符号化し、符号化したデータに基づいて、所定の周波数(例えば、13.56MHz)の搬送波を変調し、変調した変調信号を増幅し、増幅した変調信号でアンテナ121を駆動する。また、制御回路は、アンテナ装置1からデータを読み出す場合、アンテナ121で受信されたデータの変調信号を増幅し、増幅したデータの変調信号を復調し、復調したデータを復号する。
なお、制御回路では、一般的なリーダライタで用いられる符号化方式及び変調方式が用いられ、例えば、マンチェスタ符号化方式やASK(Amplitude Shift Keying)変調方式が用いられている。また、以下では、非接触通信システムにおけるアンテナ装置等について説明をするが、Qi(チー)等の非接触充電システムについても同様に適用することができるものとする。
アンテナ装置1は、通信時にリーダライタ120と図1に示すxy平面において対向するように配置される携帯電話機等の電子機器30の筐体32(図3(A)参照)の内部に組み込まれ、外部機器となるリーダライタ120と電磁界信号を介して通信する。本実施形態のアンテナ装置1は、アンテナモジュール2と、金属板3と、磁性シート20(図3(A)参照)とを備える。
アンテナモジュール2は、電子機器30の筐体32の内部に設けられ、誘導結合されたリーダライタ120との間で通信を行う。本実施形態では、図1に示すように、アンテナモジュール2は、ループアンテナ11と、通信処理部13と、端子部14とを備える。
ループアンテナ11は、電子機器30の筐体32の内部に設けられ、外部機器となるリーダライタ120と誘導結合されることにより当該リーダライタ120と通信可能となるアンテナコイル11aが周回する。ループアンテナ11には、例えば、フレキシブルフラットケーブルなどの可撓性の導線をパターンニング処理等によって形成されるアンテナコイル11aと、アンテナコイル11aと通信処理部13とを電気的に接続する端子部14とが実装されている。ループアンテナ11は、アンテナコイル11aが周回する主面が通信時にリーダライタ120とxy平面において対向するように配置される。
アンテナコイル11aは、リーダライタ120から発信される磁界を受けると、リーダライタ120と誘導結合によって磁気的に結合され、変調された電磁波を受信して、端子部14を介して受信信号を通信処理部13に供給する。
通信処理部13は、アンテナコイル11aに流れる電流により駆動し、リーダライタ120との間で通信を行う。具体的に、通信処理部13は、受信された変調信号を復調し、復調したデータを復号して、復号したデータを、当該通信処理部13が有する内部メモリに書き込む。また、通信処理部13は、リーダライタ120に送信するデータを内部メモリから読み出し、読み出したデータを符号化し、符号化したデータに基づいて搬送波を変調し、誘導結合によって磁気的に結合されたアンテナコイル11aを介して変調された電波をリーダライタ120に送信する。なお、通信処理部13は、アンテナコイル11aに流れる電力ではなく、電子機器内に組み込まれたバッテリパックや外部電源などの電力供給手段から供給された電力によって駆動してもよい。
金属板3は、電子機器30の筐体内に設けられ、外部機器となるリーダライタ120に対向する第1の導電体となる。金属板3は、例えば携帯電話やスマートフォン、あるいはタブレットPC等の電子機器の筐体内に設けられ、アンテナモジュール2の通信時にリーダライタ120に対向する第1の導電体を構成するものである。当該第1の導電体として、例えば、スマートフォンの筐体の内面に貼付されたメタルカバーや、スマートフォン内に収納されたバッテリパックの金属筐体、あるいは、タブレットPCの液晶モジュールの裏面に設けられた金属板等が相当する。
次に、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置が適用される無線通信システム100の回路の概略構成について、図面を使用しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置が適用される無線通信システムの回路の概略構成を示す図である。
上述したように、アンテナ装置1のアンテナ回路をとして機能するループアンテナ11は、アンテナコイル11aと、コンデンサ11bとを備える。アンテナコイル11aは、矩形状に形成されており、リーダライタ120のアンテナ122より放射された磁束のうち、アンテナコイル11aと鎖交する磁束の変化に応じて逆起電力を発生させる。コンデンサ11bは、通信処理部13から出力される制御電圧によって容量を調整可能なコンデンサであって、例えば、バリキャップと呼ばれる可変容量ダイオードや、耐圧特性に優れた強誘電材料からなる可変容量のコンデンサである。
ループアンテナ(アンテナ回路)11は、アンテナコイル11aとコンデンサ11bとが電気的に接続され、共振回路を構成しており、コンデンサ11bの容量が可変されることで、アンテナコイル11a及びコンデンサ11bを含む共振回路の共振周波数が調整される。
通信処理部13は、変復調回路13aと、CPU13bと、メモリ13cとを備えたマイクロコンピュータにより構成されている。変復調回路13aは、アンテナ回路11からリーダライタ120へ送出するデータをキャリアに重畳させた変調波を生成する変調処理を行う。また、変復調回路13aは、リーダライタ120から出力された変調波からデータを抽出する復調処理を行う。CPU13bは、メモリ13cに記憶された制御電圧情報を読み出して、制御電圧Vをコンデンサ11bに印加して、コンデンサ11bの容量を調整することで、製造時の素子の誤差やバラツキに起因した共振周波数のズレを補正する。メモリ13cには、アンテナ回路11の共振周波数と、リーダライタ120が磁界を発振する発振周波数とのズレを考慮して、アンテナ回路11の共振周波数が、リーダライタ120の発振周波数と一致するようにコンデンサ11bの容量を制御する制御電圧情報が記憶されている。
上記の構成を有するアンテナ装置1と通信を行うリーダライタ120では、アンテナ122が、アンテナコイル121aとコンデンサ121bとを備え、制御基板122が変復調回路122aとCPU122bとメモリ122cとを備える。
アンテナコイル121aは、例えば矩形状に形成されており、アンテナ装置1側のアンテナコイル11aと磁気的に結合することで、コマンドや書込みデータなどの各種データを送受信し、さらにアンテナ装置1で使用する電力を供給する。コンデンサ121bは、アンテナコイル121aと接続されて共振回路を構成している。
変復調回路122aは、リーダライタ120からアンテナ装置1へ送出するデータをキャリアに重畳させた変調波を生成するための変調処理を行う。また、変復調回路122aは、アンテナ装置1から送出された変調波からデータを抽出する復調処理を行う。CPU122bは、メモリ122cから読み出したデータをアンテナ装置1に送出するように変復調回路122aを制御し、また、変復調回路122aで復調されたデータをメモリ122cに書き込む処理を行う。
以上のようにして、アンテナ装置1のループアンテナ(アンテナ回路)11は、通信処理部13によって制御される制御電圧により、アンテナ回路11のコンデンサ11bの容量を調節することによって、アンテナ回路11の共振周波数を、リーダライタ120の発振周波数と一致させて、安定した通信を実現できるようにしている。
次に、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置を備える電子機器の一例について、図面を使用しながら説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置を備える電子機器の一例を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図である。
本実施形態のアンテナ装置1は、電子機器30の筐体32の内部に組み込まれ、外部機器120(図1参照)と電磁界信号を介して通信する。アンテナ装置1は、図3(A)に示すように、外部機器120に対向する第1の導電体となる金属板3と、外部機器120と誘導結合されるアンテナコイル11aが周回するループアンテナ11と、ループアンテナ11の外部機器120との対向面と反対側に設けられる磁性シート20と、ループアンテナ11のインダクタンスLの大きさを調整可能なインダクタンス調整部材15と、を備える。
本実施形態では、ループアンテナ11は、図3(A)、(B)に示すように、第1の導電体となる金属板3の外縁部3aの近傍の何れかに設けられる。なお、本明細書中における「金属板3の外縁部3aの近傍」とは、金属板3の外縁部3aの直上から当該外縁部3aから距離的に近い領域を含む空間領域をいう。
また、ループアンテナ11は、図3(A)に示すように、長手方向に細長い略短冊形状をなし、外形に沿ってアンテナコイル11aの1本の導線が周回されており、その中心側が開口部12aとなっている。なお、本明細書中でループアンテナ11の「長手方向」とは、その長さや外径が最大値を示す方向を示し、略矩形状の場合では長辺方向、略楕円形の場合では長軸方向を示すものとする。
磁性シート20は、アンテナモジュール2の通信特性を高めるために、当該アンテナモジュール2の通信時にリーダライタ120から送られる磁束をループアンテナ11の中心側の開口部12aに誘導する機能を有する。磁性シート20は、酸化鉄や酸化クロム、コバルト、フェライト等の磁性体から形成され、ループアンテナ11の外部機器120との対向面11dと反対側、すなわち、ループアンテナ11の下側に設けられる。なお、本実施形態では、磁性シート20は、ループアンテナ11の外部機器120との対向面11dと反対側に貼付されているが、ループアンテナ11の開口部12aを貫通させて設けられる構成としてもよい。
インダクタンス調整部材15は、ループアンテナ11の幅方向(図3(A)及び(B)に示すX方向)の両縁部11cにかけて架橋する構成となるように、当該ループアンテナ11の対向面11d側の内側に形成される開口部12aの中心近傍を覆うように設けられる。インダクタンス調整部材15は、ループアンテナ11における長手方向の大きさを調整することによって、ループアンテナ11のインダクタンスLの大きさを調整可能とする。このように、インダクタンス調整部材15を設けることによって、略短冊形状のループアンテナ11を備えるアンテナ装置1のインダクタンスLを電子機器30に実装した状態で容易に制御できるようになる。
なお、本実施形態では、インダクタンス調整部材15は、外部機器120との対向面側に設けられているが、ループアンテナ11の開口部12aの少なくとも一部を跨ぐ構成となっていれば、その裏面側に設けてもよい。特に、磁性シート20がループアンテナ11の開口部12aを貫通させて設けられる構成とした場合では、インダクタンス調整部材15は、ループアンテナ11の何れかの面に設けられていればよい。
次に、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置の構成について、図面を使用しながら説明する。図4(A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。
本発明者は、前述した本発明の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特に、ループアンテナ11の形状が長手方向に細長い略短冊形状の場合に、インダクタンス調整部材15をループアンテナ11の幅方向に開口部12aを跨がせるように、ループアンテナ11の何れかの面、すなわち、外部機器120との対向面側又はその裏面側に設けると、インダクタンスLを所望の大きさに調整できることを見出した。また、インダクタンス調整部材15のループアンテナ11における長手方向の大きさを調整することによって、インダクタンスLを所望の大きさに調整できることを見出した。
本実施形態では、ループアンテナ11の開口部12aの中心近傍に、当該ループアンテナ11の幅方向(図4(A)及び図4(B)に示すY方向)の両縁部11cにかけてインダクタンス調整部材15を架橋させる。すなわち、インダクタンス調整部材15は、ループアンテナ11の開口部12aの少なくとも一部を跨ぐようにして、外部機器120との対向面側に設けられる。そして、インダクタンス調整部材15は、ループアンテナ11における長手方向の大きさを調整することによって、インダクタンスLを所望の大きさに調整可能としている。
換言すると、ループアンテナ11の開口部12aの中心近傍にインダクタンス調整部材15を設置する調整部材設置工程を経てから、インダクタンス調整部材15のループアンテナ11における長手方向の大きさを調整するインダクタンス調整工程を行うことによって、ループアンテナ11のインダクタンスを所望の大きさに調整できる。
具体的には、図4(A)に示すように、インダクタンス調整部材15が酸化鉄や酸化クロム、コバルト、フェライト等の磁性体から形成されている場合には、インダクタンス調整部材15のループアンテナ11における長手方向の大きさを増大させることによって、当該ループアンテナ11のインダクタンスの大きさを増大させる。すなわち、インダクタンス調整部材15として、磁性体で形成された磁性シート16を使用した場合には、ループアンテナ11の開口部12aの中心近傍の磁束が磁性シート16を経由してアンテナコイル11aと鎖交して、ループアンテナ11のインダクタンスLが増加する。このように、磁性シート16のループアンテナ11における長手方向の大きさを増大させることによって、インダクタンスを所望の大きさに増大できる。
一方、インダクタンス調整部材15が銅や銀、 アルミニウム、鉄等の良導体から形成されている場合には、インダクタンス調整部材15のループアンテナ11における長手方向の大きさを増大させることによって、当該ループアンテナ11のインダクタンスの大きさを減少させる。すなわち、インダクタンス調整部材15として、良導体で形成された金属箔17を使用した場合には、リーダライタ120からの磁界を受けるループアンテナ11の実効的な面積を減少させるので、ループアンテナ11のインダクタンスLが減少する。このように、金属箔17のループアンテナ11における長手方向の大きさを増大させることによって、インダクタンスを所望の大きさに減少できる。
以上説明したように、本実施形態のアンテナ装置1では、ループアンテナ11の開口部12aの中心近傍に、当該ループアンテナ11の幅方向の両縁部11cにかけてインダクタンス調整部材15を架橋させるように、ループアンテナ11に張り付ける。ループアンテナ11のインダクタンスを増加させる場合には、インダクタンス調整部材15として磁性シート16をループアンテナ11の開口部12aを跨ぐように、外部機器120との対向面11d側に貼り付ける。一方、ループアンテナ11のインダクタンスを減少させる場合には、インダクタンス調整部材15として金属箔17をループアンテナ11の開口部12aを跨ぐように、外部機器120との対向面11d側に貼り付ける。
このように、ループアンテナ11の短辺方向すなわち幅方向の開口部12aを塞ぐように、インダクタンス調整部材15を貼り付けることによって、ループアンテナ11のインダクタンスの大きさを調整できる。インダクタンス調整部材15をループアンテナ11の開口部12aに張り付ける際には、ループアンテナ11の短辺方向の全幅に渡って、少し広めに貼り付けた方が貼り付け位置の誤差に対して耐性が高まるので、好ましい。
特に、ループアンテナ11が長手方向に細長い略短冊形状の場合では、ループアンテナ11の幅方向(短辺方向)における両縁部11cの距離が近くなる。また、ループアンテナ11の長手方向(長辺方向)における両縁部11cのアンテナコイル11aに流れる電流の向きが開口部12aを介して互いに逆方向となる。
このため、ループアンテナ11の内側の開口部12aでは、長手方向のアンテナコイル12に流れる電流によって発生する磁界が互いに強め合う。一方、ループアンテナ11の外側では、長手方向のアンテナコイル12に流れる電流によって発生する磁界が互いに弱め合う。
このことから、ループアンテナ11がその幅方向(短辺方向)における両縁部11cの距離が近い略短冊形状の場合では、開口部12aを跨がせるようにインダクタンス調整部材15として磁性シート16を貼り付けることによって、効率よく開口部12aに発生した磁界を吸収して、インダクタンスを増加させるように調整できる。一方、開口部12aを跨がせるようにインダクタンス調整部材15として、金属箔17を貼り付けることによって、効率よく開口部12aに発生した磁界を遮断して、インダクタンスを減少させるように調整できる。
このように、本実施形態のアンテナ装置1は、インダクタンス調整部材15をループアンテナ11の開口部12aを跨ぐように張り付けることによって、ループアンテナ11のインダクタンスを所望の大きさに調整できる。すなわち、アンテナ装置1を電子機器30に実装した状態でも、ループアンテナ11の開口部12aを跨ぐようにインダクタンス調整部材15を貼り付けることによって、容易にインダクタンスを調整できる。このことから、同一のアンテナ装置1、ループアンテナ11を異なった電子機器に実装した場合でも、実装状態でインダクタンスを所望の大きさに調整できるので、当該電子機器の良好な通信特性が得られるようになる。
次に、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置1のループアンテナ11の形状の変化に基づく、磁界強度の検証結果を示す実施例について、図面を使用しながら説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置の比較例となる通常の矩形のアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、図6(A)及び(B)は、図5に示すアンテナ装置の磁界強度を示す図である。また、図7は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、図8(A)及び(B)は、図7示すアンテナ装置の磁界強度を示す図である。さらに、図9(A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置の変形例となるアンテナ装置の概略構成を示す斜視図であり、図10(A)及び(B)は、図9(A)及び(B)に示すアンテナ装置の磁界強度を示す図である。
まず、通常の矩形形状のアンテナの磁界強度の分布について検証した。本実施例では、通常の矩形形状のアンテナのループアンテナ211として、図5に示すような外形40mm×40mmの6巻コイルを使用した。また、ループアンテナ211の裏面には、厚さが0.2mmのフェライトシート220を0.1mmの隙間で貼り付けた。そして、当該ループアンテナ211に50mAの電流を流した場合の磁界強度を計算した。
図6(A)の平面図に示すように、磁界強度の強い部分がループアンテナ211の内周と外周に沿って分散していること、及びループアンテナ211の内側と外側の磁界強度が低いことが分かる。また、図6(B)の断面図に示すように、ループ211の内周側及び外周側が特に磁界強度が高く、当該内周より内側と当該外周より外側の磁界強度が低いことが分かる。
次に、同様の評価を長手方向に細長い略短冊形状のアンテナの磁界強度分布について検証した。本実施例では、略短冊形状のアンテナのループアンテナ11として、図7に示すような外形40mm×12mmの6巻コイルを使用した。また、ループアンテナ11の裏面には、厚さが0.2mmのフェライトシート20を0.1mmの隙間で貼り付けた。そして、当該ループアンテナ11に50mAの電流を流した場合の磁界強度を計算した。
図8(A)の平面図、及び図8(B)の断面図に示すように、ループアンテナ11がアンテナ中央の開口部が両縁部側から狭まった構成となっているため、特に、ループアンテナ11の中央部の磁界強度が強まっていることが分かる。このことから、磁界強度が強まっている当該中央部にインダクタンス調整用のシートを貼り付けると効果的であることが分かる。
また、ループアンテナ311に磁性シート320を突き刺した構造のアンテナの磁界強度分布についても検証した。本実施例では、略短冊形状のアンテナのループアンテナ311として、図9(A)に示すような外形40mm×12mmの6巻コイルを使用した。また、ループアンテナ311の開口部311aには、図9(A)及び(B)に示すように、厚さが0.2mmのフェライトシート320を突き刺して、当該ループアンテナ311と0.1mmの隙間で貼り付けた。そして、当該ループアンテナ311に50mAの電流を流した場合の磁界強度を計算した。
図10(A)の平面図、及び図10(B)の断面図に示すように、フェライトシート320の直上の磁界強度は弱まるが、ループアンテナ311がアンテナ中央の開口部が両縁部側から狭まった構成となっているため、特に、ループアンテナ311の中央部の磁界強度が強まっていることが分かる。このことから、磁界強度が強まっている当該中央部にインダクタンス調整用のシートを貼り付けると効果的であることが分かる。
次に、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置1のループアンテナ11の幅を変更した際におけるループアンテナのインダクタンスの検証結果を示す実施例について、図面を使用しながら説明する。図11は、インダクタンス調整部材の幅変更の実施例の説明図であり、(A)は、磁性体からなるインダクタンス調整部材の幅変更の説明図を示し、(B)は、良導体からなるインダクタンス調整部材の幅変更の説明図を示す。また、図12は、インダクタンス調整部材の幅変更の実施例の結果を示すグラフである。
本実施例では、インダクタンスの調整の効果を検証するために、外形が40mm×12mmの6巻コイルの表面に、インダクタンス調整部材となるシートを貼り付けた場合の調整効果を確認した。ループアンテナ11のインダクタンスを増大させる場合には、図11(A)に示すように、厚さが100μmの磁性シート(比透磁率:100、幅14mm)をループアンテナ11の中央部に0.1mmのギャップで貼り付けて、その長さを変えて効果を確認した。また、ループアンテナ11のインダクタンスを減少させる場合には、図11(B)に示すように、厚さが50μmのアルミ箔(幅14mm)をループアンテナ11の中央部に0.1mmのギャップで貼り付けて、その長さを変えて効果を確認した。
図12に示すように、インダクタンス調整部材15として磁性シート16を貼り付ける場合には、その長さに比例して、インダクタンスが増加することが分かる。また、インダクタンス調整部材15としてアルミ製の金属箔17を貼り付ける場合には、その長さに比例して、インダクタンスが減少することが分かる。このことから、インダクタンス調整部材15のループアンテナ11における長手方向の大きさを調整することによって、インダクタンスLを所望の大きさに調整できることが実証される。
次に、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置1のループアンテナ11の位置を変更した際におけるループアンテナのインダクタンスの検証結果を示す実施例について、図面を使用しながら説明する。図13(A)及び(B)は、磁性体からなるインダクタンス調整部材の位置変更の実施例の説明図であり、図14(A)及び(B)は、良導体からなるインダクタンス調整部材の位置変更の実施例の説明図であり、図15は、インダクタンス調整部材の位置変更の実施例の結果を示すグラフである。
本実施例では、インダクタンス調整部材の貼り付け位置によるインダクタンスの変化を評価した。具体的には、図13(A)に示すように、インダクタンス調整部材15として磁性シート16を使用した場合において、磁性シート16の中央部から端部への位置変化に伴うインダクタンスの変化と、図13(B)に示すように、インダクタンス調整部材15として金属箔17を使用した場合において、金属箔17の中央部から端部への位置変化に伴うインダクタンスの変化をそれぞれ検証した。なお、このときの貼り付けた各シートのサイズは、それぞれ14mm×10mmとした。
図15に示すように、磁性シート16と金属箔17とも、中央部から5mm程度の移動では、インダクタンスの特性の変化が殆ど見られない。すなわち、インダクタンス調整部材の貼り付け精度に対して耐性が高いと考えられる。一方、磁性シート16では、中央部からの移動量を増やしても、インダクタンスの特性の変化が殆ど見られないのに対して、金属箔17では、中央部からの移動量を増やすと、インダクタンスが大幅に下がることが分かる。このことから、インダクタンス調整部材として磁性シート16を使用した場合には、貼り付け精度に対して耐性が高い状態を維持できるが、金属箔17を使用した場合には、貼り付け精度に対して耐性が低くなると考えられる。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、アンテナ装置の構成、動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
1 アンテナ装置、2 アンテナモジュール、3 金属板(第1の導電体)、3a (金属板の)両縁部、11、31、41 ループアンテナ、11a アンテナコイル、11b コンデンサ、11c (ループアンテナの)両縁部、11d 対向面、12a 開口部、13 通信処理部、14 端子部、15 インダクタンス調整部材、16 磁性シート(インダクタンス調整部材)、17 金属箔(インダクタンス調整部材)、20、22、23、24 磁性シート、21a 第1の磁性シート、21b 第2の磁性シート、22a、23a、24a 孔部、30 電子機器、32 筐体、120 リーダライタ(外部機器)、121 アンテナ、122 制御基板
Claims (7)
- 電子機器に組み込まれ、外部機器と電磁界信号を介して通信するアンテナ装置であって、
前記外部機器と誘導結合されるアンテナコイルが周回する略短冊形状のループアンテナと、
磁性体から形成され、前記ループアンテナの前記外部機器との対向面と反対側に貼付又は前記ループアンテナの開口部を貫通させて設けられる磁性シートと、
前記ループアンテナの何れかの面に設けられ、前記ループアンテナの内側に形成される開口部の中心近傍を覆うように前記ループアンテナの幅方向の両縁部にかけて架橋され、前記ループアンテナのインダクタンスの大きさを調整可能なインダクタンス調整部材と、を備えるアンテナ装置。 - 前記インダクタンス調整部材は、前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを調整することによって、前記インダクタンスの大きさを調整可能とする請求項1に記載のアンテナ装置。
- 前記インダクタンス調整部材は、磁性体から形成され、前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、前記インダクタンスの大きさを増大可能とする請求項2に記載のアンテナ装置。
- 前記インダクタンス調整部材は、良導体から形成され、前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、前記インダクタンスの大きさを減少可能とする請求項2に記載のアンテナ装置。
- 外部機器と電磁界信号を介して通信するアンテナ装置に備わるループアンテナのインダクタンスを調整するアンテナ装置のインダクタンス調整方法であって、
前記ループアンテナを略短冊形状として、該ループアンテナのインダクタンスの大きさを調整可能なインダクタンス調整部材を前記ループアンテナの内側に形成される開口部の中心近傍を覆うように、前記ループアンテナの何れかの面に前記ループアンテナの幅方向の両縁部にかけて架橋する調整部材設置工程と、
前記インダクタンス調整部材の前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを調整することによって、前記インダクタンスの大きさを調整するインダクタンス調整工程と、を含むアンテナ装置のインダクタンス調整方法。 - 前記調整部材設置工程では、前記インダクタンス調整部材として、磁性体から形成されるものを前記ループアンテナの前記両縁部にかけて架橋し、
前記インダクタンス調整工程では、前記インダクタンス調整部材の前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、前記インダクタンスの大きさを増大させる請求項5に記載のアンテナ装置のインダクタンス調整方法。 - 前記調整部材設置工程では、前記インダクタンス調整部材として、良導体から形成されるものを前記ループアンテナの前記両縁部にかけて架橋し、
前記インダクタンス調整工程では、前記インダクタンス調整部材の前記ループアンテナにおける長手方向の大きさを増大させることによって、前記インダクタンスの大きさを減少させる請求項5に記載のアンテナ装置のインダクタンス調整方法。
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