JP2015188379A - 腸内菌叢の老若判定方法及び菌群のスクリーニング方法 - Google Patents

腸内菌叢の老若判定方法及び菌群のスクリーニング方法 Download PDF

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俊孝 小田巻
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Abstract

【課題】腸内菌叢について老齢タイプと若齢タイプのいずれであるかを判定する方法の提供。
【解決手段】糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する17の門又は科に属する菌群のうち少なくとも一つ以上の菌群の割合と、予め定められた各菌群における基準値とを比較して腸内菌叢が老齢タイプ又は若齢タイプのいずれであるかを判定する判定工程を有する、腸内菌叢の老若判定方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本開示は、腸内菌叢の老若判定方法及び老若判定マーカーとなる菌群のスクリーニング方法に関する。
ヒトなど動物の腸内には、多種類の細菌が常在している。これらの常在細菌によって形成される腸内菌叢においては、乳児期にビフィズス菌が増加したり、老人でウェルシュ菌が増加し、ビフィズス菌が減少するなど、成長や加齢に伴い特定の菌群が増減することが知られている。また、宿主の健康状態や宿主が摂取する薬剤、食物等によって腸内菌叢を構成する菌群の種類やその数が変動することも知られている。
このような腸内菌叢については、近年、そのバランスが崩れると腸内環境を悪化させ、便秘症状や下痢症状を発症したり、宿主の免疫機能が低下することなどが明らかとなってきている。これに対し、良好な腸内菌叢の維持や悪化した腸内菌叢を改善する薬剤や飲食物も開発されてきている。例えば、特許文献1には、「ラクトパーオキシダーゼを有効成分とする腸内フローラ改善剤」が開示されている。
特開2003−246753号公報
上記特許文献1に記載された腸内フローラ改善剤のような腸内菌叢に作用する成分の効能を評価するためには、腸内菌叢の状態が改善しているか否かを判定する必要がある。一方、腸内菌叢を構成する菌群は多様であり、個体差も大きいため、腸内菌叢に含まれる菌群については、未だに同定されていない種もある。このため、腸内菌叢の状態に関してより詳細に判定するために、腸内菌叢の状態と関連する菌群の同定や当該菌群の数の変動を調べることが求められている。特に、老化現象は、多様な症状を含む現象であり、個体差も大きいため、腸内菌叢の状態について「老齢の状態」にあるか又は前記老齢の状態より若い「若齢の状態」にあるかを判定するためには、適切な指標を用いることが求められている。そこで、本開示は、腸内菌叢について老齢タイプと若齢タイプのいずれであるかを判定する方法等を提供することを主な目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、菌叢全体の菌数に対する各種菌群に属する菌の割合について、高齢集団と若齢集団との間で、平均値だけでなく分布範囲についても異なる菌群が存在することを新規に見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本開示は、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する下記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群のうち少なくとも一つ以上の菌群の割合と、予め定められた各菌群における基準値とを比較して腸内菌叢が老齢タイプ又は若齢タイプのいずれであるかを判定する判定工程を有する、腸内菌叢の老若判定方法であって、前記判定工程においては、(a)下記(1)〜(15)の門又は科に属する菌群のうち少なくともいずれか一つの菌群の前記割合が前記基準値を超える場合には老齢タイプと判定し、(b)下記(16)の科に属する菌群の前記割合が前記基準値未満である場合には老齢タイプと判定し、又は(c)下記(17)の科に属する菌群の前記割合が前記基準値を超える場合には若齢タイプと判定する、方法を提供する。
(1)Methanobacteriaceae科
(2)Campylobacteraceae科
(3)Desulfitobacteraceae科
(4)Proteobacteria門
(5)Synergistetes門
(6)Comamonadaceae科
(7)Dethiosulfovibrionaceae科
(8)Leuconostocaceae科
(9)Staphylococcaceae科
(10)Catabacteriaceae科
(11)Synergistaceae科
(12)Pseudomonadaceae科
(13)Peptococcaceae科
(14)Odoribacteraceae科
(15)Enterobacteriaceae科
(16)Lachnospiraceae科
(17)Propionibacteriaceae科
前記判定工程の(a)に用いられる基準値は、任意の年齢又は月齢以下の若齢集団から得た個々の糞便検体における各々の前記割合のうちの最大値であってもよい。
また、前記判定工程の(b)に用いられる基準値は、任意の年齢又は月齢以下の若齢集団から得た個々の糞便検体における各々の前記割合のうちの最小値であってもよい。
さらに、前記判定工程の(c)に用いられる基準値は、任意の年齢又は月齢を超える高齢集団から得た個々の糞便検体における各々の前記割合のうちの最大値であってもよい。
前記判定工程の(a)における下記(1)〜(15)の門又は科に属する菌群の各々に対する前記基準値を下記値とすることもできる。
(1)Methanobacteriaceae科:0
(2)Campylobacteraceae科:0
(3)Desulfitobacteraceae科:0
(4)Proteobacteria門:0.0681
(5)Synergistetes門:0.0015
(6)Comamonadaceae科:0.0002
(7)Dethiosulfovibrionaceae科:0.0003
(8)Leuconostocaceae科:0.0003
(9)Staphylococcaceae科:0.0004
(10)Catabacteriaceae科:0.0011
(11)Synergistaceae科:0.0015
(12)Pseudomonadaceae科:0.0017
(13)Peptococcaceae科:0.0026
(14)Odoribacteraceae科:0.0032
(15)Enterobacteriaceae科:0.0663
また、前記判定工程の(b)における下記(16)の科に属する菌群に対する前記基準値を下記値とすることもできる。
(16)Lachnospiraceae科:0.228
さらに、前記判定工程の(c)における下記(17)の科に属する菌群に対する前記基準値を下記値とすることもできる。
(17)Propionibacteriaceae科:0
前記腸内菌叢の老若判定方法は、前記判定工程の前に前記割合を測定する測定工程を有していてもよい。
本開示はまた、上記老若判定方法の結果に基づいて糞便検体を複数の群に分ける選別工程と、選別された前記複数の群のうちの少なくともいずれか一つの群の糞便検体に含まれる菌群を同定する菌群同定工程と、を有する、腸内菌叢の老若判定マーカーとなる菌群のスクリーニング方法を提供する。
本開示により、腸内菌叢について老齢タイプと若齢タイプのいずれであるかを判定する方法等が提供される。
本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法の工程の一例を示すフローチャートである。 本開示に係る菌群のスクリーニング方法の工程の一例を示すフローチャートである。 選別工程の一例を示すフローチャートである。 本開示に係る菌群のスクリーニング方法の工程の一例を示すフローチャートである。 選別工程の一例を示すフローチャートである。 本開示に係る菌群のスクリーニング方法の工程の一例を示すフローチャートである。 選別工程の一例を示すフローチャートである。 本開示に係る物質のスクリーニング方法の工程を示すフローチャートである。 実験例1における、全ての菌の数に対するBifidobacteriaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するMethanobacteriaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 Aは、実験例1における、全ての菌の数に対するCampylobacteraceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフであり、Bは、Aの一部を拡大した図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するDesulfitobacteraceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するProteobacteria門に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するSynergistetes門に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 Aは、実験例1における、全ての菌の数に対するComamonadaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフであり、Bは、Aの一部を拡大した図面代用グラフである。 Aは、実験例1における、全ての菌の数に対するDethiosulfovibrionaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフであり、Bは、Aの一部を拡大した図面代用グラフである。 Aは、実験例1における、全ての菌の数に対するLeuconostocaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフであり、Bは、Aの一部を拡大した図面代用グラフである。 Aは、実験例1における、全ての菌の数に対するStaphylococcaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフであり、Bは、Aの一部を拡大した図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するCatabacteriaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するSynergistaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 Aは、実験例1における、全ての菌の数に対するPseudomonadaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフであり、Bは、Aの一部を拡大した図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するPeptococcaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するOdoribacteraceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するEnterobacteriaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するLachnospiraceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。 実験例1における、全ての菌の数に対するPropionibacteriaceae科に属する菌群の割合を示す図面代用グラフである。
以下、本開示を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本開示の範囲が狭く解釈されることはない。
(1)腸内菌叢の老若判定方法
本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法では、腸内菌叢について老齢タイプと若齢タイプのいずれであるかを判定する。図1は、本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法の一例を示すフローチャートである。腸内菌叢の老若判定方法には、少なくとも判定工程S12が含まれる。また、本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法では、判定工程S12の前に、後述する、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する特定の菌群の割合を測定する測定工程S11を有していてもよい。
以下、測定工程S11と判定工程S12について順に説明する。なお、本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法において、腸内菌叢を構成する菌群の「菌」とは、細菌(bacteria)及び古細菌(archaea)を含み、かつ、真菌(fungi)を含まないものである。また、これは、後述する菌群のスクリーニング方法においても同様である。
測定工程S11は、糞便検体に含まれる下記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群のうち少なくとも一つ以上の菌群について、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する割合を測定する工程である。測定対象とする菌群は、(1)Methanobacteriaceae科、(2)Campylobacteraceae科、(3)Desulfitobacteraceae科、(4)Proteobacteria門、(5)Synergistetes門、(6)Comamonadaceae科、(7)Dethiosulfovibrionaceae科、(8)Leuconostocaceae科、(9)Staphylococcaceae科、(10)Catabacteriaceae科、(11)Synergistaceae科、(12)Pseudomonadaceae科、(13)Peptococcaceae科、(14)Odoribacteraceae科、(15)Enterobacteriaceae科、(16)Lachnospiraceae科、(17)Propionibacteriaceae科のうち少なくともいずれかの門又は科に属するものである。
本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法では、糞便検体として動物から得られたものを用いることができる。動物としては、例えば、サル、チンパンジー、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ等が挙げられる。ヒトから得られる糞便検体が好ましく、ヒトについては、20歳以上の成人から得られる糞便検体がより好ましい。
本工程S11では、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する、上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群のうち少なくとも一つ以上の菌群の割合を求める。全菌数及び上記割合は、例えば、下記の手法により求めることができる。
<(1)〜(17)の門又は科に属する菌群の測定>
糞便検体に含まれる菌のうち、上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群に分類される菌の数は、公知の手法を用いて求めることができ、その手法は特に限定されない。例えば、菌の分類については、リボソームを構成する小型のサブユニット(16S)に存在するRNAをコードする遺伝子(16SrRNA遺伝子)の塩基配列に基づき、各々の菌を、上記(1)〜(17)の門又は科に属する各々の菌群又は、その他の菌群に分けることができる。また、糞便検体に含まれる各々の菌群の菌数の算出についても、例えば、糞便検体中に含まれる、各々の菌に由来する16SrRNA遺伝子のDNA量やコピー数を定量することにより行うこともできる。菌数の算出について、以下に例を挙げる。
塩基配列に基づき菌数を算出するためには、先ず、糞便検体に含まれる菌群のDNAを抽出する。糞便検体からのDNAの抽出は、公知の手法を用いて行うことができ、その手法は特に制限されない。例えば、フェノール・クロロホルムを用いる抽出法により、糞便検体からDNAを抽出することができる。本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法においては、フェノール・クロロホルムを用いる抽出方法によりDNAを抽出することが好ましい。
また、フィルターを備えるスピンカラムなどを用いて、糞便検体からDNAを抽出してもよい。なお、本工程S11では、DNAの抽出は必須の工程ではなく、予め糞便検体から抽出されたDNA溶液を試料とすることもできる。
糞便検体から得られるDNAについては、菌数の測定に必要なDNA量又はコピー数を得るために、核酸増幅反応を行うことが好ましい。DNAの増幅については、PCR(Polymerase Chain Reaction)等、公知の手法を用いて行うことができ、核酸増幅反応において用いるプライマーについても、公知の設計手法を用いて設計することができる。さらに、核酸増幅反応の際に、DNAの解析に必要な配列を増幅核酸鎖に組み込ませるように、プライマーを設計してもよい。
上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群に分類される菌の数は、例えば、上記DNA溶液に含まれるDNAを鋳型とする定量的PCR法やT−RFLP(Terminal−Restriction Fragment Length Polymorphism)法によって行うことができる。定量的PCR法では、各々の菌群の16SrRNA遺伝子のうち特異的な配列部分に結合するプライマーを用い、核酸増幅反応を行うことにより、所望の菌群の16SrRNA遺伝子のDNA量又はコピー数を測定することができる。またT−RFLP法では、末端に標識が付されたプライマーを用いて、16SrRNA遺伝子の各菌群に特異的な配列部分を含む増幅核酸鎖を生成し、得られた増幅核酸鎖を制限酵素で処理し、断片化してサイズの異なるDNA断片とする。このDNA断片を電気泳動により分離し、泳動パターンにおける各々のピークの同定とピーク強度から、所望の菌群の16SrRNA遺伝子のDNA量又はコピー数を測定することができる。
また、上記DNA溶液に含まれるDNAについては、FISH(Fluorescence in situ hybridization)法により、所望の菌群の16SrRNA遺伝子のDNA量又はコピー数を算出してもよい。この他、DNAマイクロアレイを用いて16SrRNA遺伝子のDNA量又はコピー数を算出することもできる。
16SrRNA遺伝子のDNA量又はコピー数は、上述した方法の他に、シーケンサーを用いて糞便検体から抽出されたDNAの塩基配列を決定し、特定の配列を解読した回数から求めることもできる。また、シーケンサーを用いる方法の場合、同じ操作によって、糞便検体に含まれる上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群以外の菌の16SrRNA遺伝子についても解読することができる。このため、糞便検体に含まれる上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群以外の菌の16SrRNA遺伝子のコピー数も併せて求めることができる。
シーケンサーを用いる方法としては、例えば、クローンライブラリー法、DGGE/TGGE(Denaturing/Temperature Gradient Gel Electrophoresis)法、メタゲノム解析等がある。クローンライブラリー法では、糞便検体から抽出されたDNAの16SrRNA遺伝子の、各々の菌群に特異的な配列部分を増幅して、得られた増幅核酸鎖をプラスミドに挿入して、増幅核酸鎖を含むプラスミドの塩基配列を解読する。DGGE/TGGE法では、クローンライブラリー法と同様にDNAを増幅し、得られた核酸鎖を電気泳動によって核酸鎖の配列に応じて分離し、バンドを切り出して、ゲル内のDNAを回収して当該DNAの塩基配列を決定する。メタゲノム解析では、糞便検体から得られたDNAを断片化して、必要に応じて核酸増幅反応等を行った後、各々のDNA断片又は増幅核酸鎖の塩基配列を決定する。
上述した塩基配列の決定は、サンガー法の原理を利用したシーケンサーで行うこともでき、また、次世代シーケンサーで行うこともできる。特にメタゲノム解析は、解読性能がより高い次世代シーケンサーで行うことが好ましい。
シーケンサーを用いて解読された塩基配列から菌群を同定する場合には、解析ソフトウェアやデータベース等を利用する公知の解析方法を利用することができる。データベースとしては、例えば、Genbank、ENA、DDBJ等が挙げられる。また、16SrRNA遺伝子に特化したデータベースであるGreengenes database 等も利用することができる。
糞便検体から得られるDNAの解析結果を、これらのデータベースに蓄積された菌群の塩基配列に対して相同性検索することにより、糞便検体に含まれる菌群を同定することができる。いずれかの菌群に同定された配列のうち、上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群の16SrRNA遺伝子として同定された配列のコピー数を、上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群の数とすることができる。
<糞便検体に含まれる全ての菌の数の測定>
糞便検体に含まれる全ての菌の数の測定は、公知の手法を用いて求めることができ、その手法は特に限定されない。例えば、上述したシーケンサーを用いる方法においては、16SrRNA遺伝子の配列中、糞便検体に含まれる菌で共通の塩基配列部分に結合するプライマーを用いて16SrRNA遺伝子の配列を解読することにより、上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群以外の菌の16SrRNA遺伝子のコピー数も算出することができる。このため、糞便検体に含まれる全菌数は、例えば、糞便検体で測定される全ての菌の16SrRNA遺伝子のコピー数の和としてもよい。また、顕微鏡等を用いて、糞便検体に含まれる菌を数えることによって、糞便検体に含まれる全ての菌の数を求めることもできる。本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法においては、測定工程S11に、16SrRNA遺伝子の塩基配列を解読する工程を有する方法が好ましい。なお、本工程S11に用いられる糞便検体は、採取後に培養操作が行われていない検体が望ましい。培養操作において、各々の菌の増殖率が異なることによって、採取時の糞便検体における各菌の割合が変化してしまうおそれがあるためである。
<割合の算出>
糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群の各々の割合とは、糞便検体に含まれる全菌数を「1」としたときの相対値である。従って、上記割合は、上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群の各々に分類された菌の数と糞便検体に含まれる全菌数から求めることができる。また、上述したように、上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群の16SrRNA遺伝子のコピー数と、糞便検体に含まれる全て菌の16SrRNA遺伝子のコピー数とから上記割合を求めることもできる。なお、上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群が検出されなかった場合には、その菌群の割合は0とする。
判定工程S12は、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群のうち少なくとも一つ以上の菌群の割合と、予め定められた各菌群における基準値とを比較して腸内菌叢が老齢タイプ又は若齢タイプのいずれであるかを判定する工程である。また、本開示に係る老若判定方法において、上述した菌群の割合は、測定工程S11によって求めることもできる。
本工程S12においては、(a)上記(1)〜(15)の門又は科に属する菌群のうち少なくともいずれか一つの菌群の上記割合が基準値を超える場合には老齢タイプと判定し、(b)上記(16)の科に属する菌群の上記割合が基準値未満である場合には老齢タイプと判定し、又は(c)上記(17)に属する菌群の上記割合が、基準値を超える場合には若齢タイプと判定する。
本工程S12で用いる基準値とは、予め定められた値であれば、算出方法等は特に限定されないが、例えば、測定工程S11で測定対象として選択した菌群ごとに、下記に記載の基準値をを採用することもできる。
判定工程S12の(a)に用いられる基準値を、任意の年齢又は月齢以下の若齢集団から得た個々の糞便検体における各々の上記割合のうち、最大値とする。
判定工程S12の(b)に用いられる基準値を、任意の年齢又は月齢以下の若齢集団から得た個々の糞便検体における各々の上記割合のうち、最小値とする。
判定工程S12の(c)に用いられる基準値を、任意の年齢又は月齢を超える高齢集団から得た個々の糞便検体における各々の上記割合のうち、最大値とする。
高齢集団及び若齢集団については、集団の大きさは特に限定されず、少なくとも2以上の糞便検体が、任意の年齢又は月齢に基づいて一つの集団に含まれていればよい。より精度の高い基準値を得るためには、例えば検体数は100以上、好ましくは200以上、より好ましくは500以上である。
例えばヒトの糞便検体について本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法を用いる場合、任意の年齢を超えるヒトを高齢集団とし、任意の年齢以下のヒトを若齢集団とすることができる。任意の年齢とは、例えば、59歳とすることができる。
なお、若齢集団には、乳幼児など、腸内菌叢に関して成人とは異なる特徴を有することが知られている年齢層を除外することが好ましい。このような年齢層を除外することによって、若齢集団における腸内菌叢を構成する菌群の種類や菌数についてのばらつきが、より抑制される。この場合、若齢集団については、任意の年齢又は月齢以下で、かつ当該任意の年齢又は月齢より若い任意の年齢又は月齢を超える集団とすることができる。
また、例えば、マウスの糞便検体について、本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法を用いる場合、任意の月齢を超えるマウスを高齢集団とし、任意の月齢以下のマウスを若齢集団とすることができる。また、上記ヒトの場合と同様に、若齢集団の月齢に関して、任意の月齢を下限値とすることもできる。
上述した本工程S12の(a)における上記(1)〜(15)の門又は科に属する菌群の各々に対する基準値は、例えば、下記値とすることができる。
(1)Methanobacteriaceae科:0、
(2)Campylobacteraceae科:0、
(3)Desulfitobacteraceae科:0、
(4)Proteobacteria門:0.0681、
(5)Synergistetes門:0.0015、
(6)Comamonadaceae科:0.0002、
(7)Dethiosulfovibrionaceae科:0.0003、
(8)Leuconostocaceae科:0.0003、
(9)Staphylococcaceae科:0.0004、
(10)Catabacteriaceae科:0.0011、
(11)Synergistaceae科:0.0015、
(12)Pseudomonadaceae科:0.0017、
(13)Peptococcaceae科:0.0026、
(14)Odoribacteraceae科:0.0032、
(15)Enterobacteriaceae科:0.0663、
また、上述した本工程S12の(b)における上記(16)の科に属する菌群に対する基準値は、例えば、下記値とすることができる。
(16)Lachnospiraceae科:0.228、
さらに、上述した本工程S12の(c)における上記(17)の科に属する菌群に対する基準値は、例えば、下記値とすることができる。
(17)Propionibacteriaceae科:0
本工程S12においては、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する上記(1)〜(17)のうちいずれか一つの菌群の割合について、基準値と比較すれば判定結果を得ることができるが、複数種類の菌群の上記割合の各々と、これらの菌群に対する各基準値と、を比較して判定してもよい。
例えば、老齢タイプであるか否かの判定に用いられる上記(1)〜(16)の門又は科に属する菌群の中から、複数種類を選択して、老齢タイプであるか否かの判定を行ってもよい。また、例えば、上記(1)〜(16)の門又は科に属する菌群のうち一つと、若齢タイプであるか否かの判定に用いられる上記(17)の科に属する菌群とを選択して、腸内菌叢を老齢タイプと若齢タイプのいずれであるかを判定することもできる。
本開示に係る腸内菌叢の老若判定方法においては、測定対象とした菌群の上記割合に基づいて、腸内菌叢について老齢タイプであるか否か、又は若齢タイプであるか否か、を判定することができる。腸内菌叢のタイプを判別することによって、例えば、腸内菌叢の状態の把握が容易となる。また、腸内菌叢のタイプを判別することは、後述する菌群のスクリーニング方法や物質のスクリーニング方法において、好適に用いられ得る。
(2)菌群のスクリーニング方法
本開示に係る菌群のスクリーニング方法では、腸内菌叢に含まれる菌群のうち、腸内菌叢を老齢タイプ又は若齢タイプに判定するための老若判定マーカーとなる菌群を探索する。
図2は、本開示に係る菌群のスクリーニング方法の工程を示すフローチャートである。
菌群のスクリーニング方法には、少なくとも選別工程S21及び菌群同定工程S22が含まれる。なお、老若判定マーカーとは、腸内菌叢が老齢タイプであるか否かを判定するためのマーカー、腸内菌叢が若齢タイプであるか否かを判定するためのマーカー、及び腸内菌叢が老齢タイプと若齢タイプのいずれであるかを判定するためのマーカーのうち、少なくともいずれかに該当するものである。
選別工程S21は、糞便検体について、上述した腸内菌叢の老若判定方法の結果に基づき糞便検体を複数の群に分ける工程である。腸内菌叢の判定については、上述した通りである。選別工程S21の一例を図3に示す。
図3に示す選別工程S21では、上述した(1)〜(16)の門又は科に属する菌群のうちいずれか一つの上記割合を用いて、糞便検体を老齢タイプに該当するか否かによって分ける。例えば、老齢タイプに該当する糞便検体を第1群とし、老齢タイプに該当しない糞便検体を第2群とする。図3では、老齢タイプに該当するか否かによって糞便検体を2群に分けているが、選別工程S21では、上述した(17)の科に属する菌群の上記割合を用いて、若齢タイプに該当するか否かによって糞便検体を分けてもよい。
なお、図3と後述する図5と図7における第1群〜第4群は、選別工程S21によって分けられる糞便検体の各群に便宜的に付したものにすぎず、各数字に意味はない。
菌群同定工程S22は、上述した選別工程S21によって選別された複数の群のうち、少なくともいずれか一つの群の糞便検体に含まれる菌群を同定する工程である。また、本開示において「菌群を同定する」とは、少なくとも門レベルまで同定されていることを指し、さらに綱レベル、目レベル、科レベル、属レベル及び種レベルのうち、いずれかのレベルまで同定することも含まれる。
本工程S22において、糞便検体に含まれる菌群の同定は、公知の手法を用いて行うことができ、その手法は限定されない。例えば、糞便検体に含まれる菌群のゲノムを解読して、塩基配列に基づいて行うこともできる。この場合、菌群の16SrRNA遺伝子の塩基配列を解析して、各々の菌群を同定することができる。以下に、本工程S22の一例を示す。
先ず、糞便検体に含まれる菌群のDNAを抽出する。DNAの抽出については、上述した腸内菌叢の老若判定方法における測定工程S11と同様の方法で行うことができる。
次に、得られたDNAの塩基配列を解読する。塩基配列の解読は、公知の手法によって行うことができ、その手法は限定されない。塩基配列の決定については、上述した腸内菌叢の老若判定方法における測定工程S11と同様に、例えばシーケンサーを用いる方法等によって行うことができる。また、上述した腸内菌叢の老若判定方法における測定工程S11と同様の方法により、例えば、解読されたDNAの塩基配列をデータベースに照会することで、菌群を同定することができる。
菌群同定工程S22において対象とする群は、老齢タイプに該当する糞便検体を含む群であってもよく、若齢タイプに該当する糞便検体を含む群であってもよく、選別工程S21によって分けられたいずれかの群であれば、その群の内容は特に限定されない。対象とする群は、菌群のスクリーニングの目的に応じて決めることができる。
例えば、老齢タイプと判定するためのマーカー探索が目的であれば、老齢タイプに該当する糞便検体に含まれる菌群を同定することが好ましい。また、若齢タイプと判定するためのマーカー探索が目的であれば、若齢タイプに該当する糞便検体に含まれる菌群を同定することが好ましい。
また、複数の群の各々について、それらの群に含まれる糞便検体を、菌群を同定する対象としてもよい。例えば老齢タイプに該当する糞便検体と、老齢タイプに該当しなかった糞便検体の各々から菌群を同定することもできる。
本開示に係る菌群のスクリーニング方法では、上述した腸内菌叢の老若判定方法を利用して、糞便検体を複数の群に分けて選別することができる。例えば、予め老齢タイプに該当すると判定された糞便検体は、該当しなかった他の糞便検体に比べて、加齢によって腸内菌叢がより大きく変化している可能性の高い検体である。従って、本開示に係る菌群のスクリーニング方法では、より効率的に老若判定マーカーを探索することができる。
また、例えば、老齢タイプに該当しなかった糞便検体から同定された菌群やその菌数を、老齢タイプを判定するためのマーカー検索において、リファレンスとして用いることもできる。このリファレンスにより、老齢タイプであると判定されなかった糞便検体においても同程度の割合で存在した菌群や菌種を、老齢タイプを判定するためのマーカー候補から除外することができる。
このため、より効率的に老齢タイプと判定するためのマーカーを探索することができる。この点については、若齢タイプに該当しなかった糞便検体から同定された菌群やその菌数を、若齢タイプを判定するためのマーカー検索において、リファレンスとして用いる場合も同様である。
本開示に係る菌群のスクリーニング方法では、選別工程S21において、2種類の菌種の上記割合を用いてもよい。この場合、選別工程S21は、第1選別工程S21−aと、第2選別工程S21−bの2工程を含んでいてもよい(図4参照)。図5に、選別工程S21が2工程からなる場合の一例を示す。図5に示す選別工程S21では、第1選別工程S21−aにおいて、老齢タイプであるか否かによって糞便検体を2群に分ける。さらに、第2選別工程S21−bでは、第1選別工程S21−aにおいて老齢タイプに該当するものとして分けられた糞便検体について、若齢タイプに該当するか否かで2群に分ける。
このように複数の菌種の上記割合を用いることで、糞便検体を3群に分けることができる。なお、図5においては、老齢タイプと判定するための菌種と若齢タイプと判定するための菌種とを組み合わせているが、本開示に係る菌群のスクリーニング方法では、上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群うち、いずれを組み合わせてもよい。また、選別工程S21において用いられる菌種の順序は、特に限定されない。これは、後述する図7に示す選別工程S21についても同様である。
本開示に係る菌群のスクリーニング方法では、さらに、選別工程S21において、2種類の菌種の上記割合を用いて、糞便検体を4群に分けてもよい。この場合、選別工程S21は、第1選別工程S21−a、第2選別工程S21−b及び第3選別工程S21−cの3工程を含んでいてもよい(図6参照)。図7に、選別工程S21が3工程からなる場合の一例を示す。図7に示す選別工程S21では、第1選別工程S21−aにおいて、老齢タイプであるか否かによって糞便検体を2群に分ける。
次に、第2選別工程S21−bでは、第1選別工程S21−aにおいて老齢タイプに該当するものとして分けられた糞便検体について、若齢タイプに該当するか否かで2群に分ける。さらに、第3選別工程S21−cでは、第1選別工程S21−aにおいて老齢タイプに該当しないものとして分けられた糞便検体について、若齢タイプに該当するか否かで2群に分ける。このように複数の菌種の上記割合を用いることで、糞便検体を4群に分けることができる。
上述したように、上記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群のうち複数種類を、選別工程S21において糞便検体を選別する際の指標として組み合わせることもできる。例えば、選別工程S21において、老齢タイプと判定するための菌群を複数種類用いた場合、いずれの菌群についても上記割合が老齢タイプに該当した糞便検体は、より老齢タイプに特異的な腸内菌叢の特徴を有している可能性の高い糞便検体である。また、若齢タイプに該当する糞便検体の選別に関しても同様である。このように糞便検体を予め選別することにより、より効率的に腸内菌叢の老若判定マーカーを探索することができる。
上述した腸内菌叢の老若判定マーカーとなる菌群の探索については、任意の年齢又は月齢で分けた若齢集団と高齢集団における、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する任意の菌群の割合の分布の差異に基づき、老若判定マーカーを同定してもよい。
即ち、本開示の腸内菌叢の老若判定マーカーとなる菌群のスクリーニング方法は、糞便検体に含まれる任意の種類の菌群について、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する割合を測定する測定工程と、任意の年齢又は月齢を超える高齢集団における上記割合の分布と、任意の年齢又は月齢以下の若齢集団における上記割合の分布と、を比較する比較工程と、比較工程において、下記(a)〜(d)のうち少なくともいずれか一つに該当する場合には、任意の種類の菌群を腸内菌叢の老若判定マーカーとして同定する同定工程と、を含むものとすることもできる。
(a)若齢集団における上記割合の最大値を超える範囲に、高齢集団の分布が存在する。
(b)若齢集団における上記割合の最小値未満の範囲に、高齢集団の分布が存在する。
(c)高齢集団における上記割合の最大値を超える範囲に、若齢集団の分布が存在する。
(d)高齢集団における上記割合の最小値未満の範囲に、若齢集団の分布が存在する。
上記測定工程は、上述した腸内菌叢の老若判定方法における測定工程S11と同様の方法で行うことができる。また、高齢集団又は若齢集団に属する少なくとも2以上の検体が最大値を超える範囲又は最小値未満の範囲に存在していれば、分布が存在するものとする。さらに、上記同定工程では、上記割合について、高齢集団における分布のレンジ幅と、若齢集団における分布のレンジ幅とが異なる場合に、任意の種類の菌群を腸内菌叢の老若判定マーカーとして同定することが好ましい。
(3)物質のスクリーニング方法
本開示に係る物質のスクリーニング方法では、食餌や物質に含まれる腸内菌叢へ作用するものを探索する。図8は、本開示に係る物質のスクリーニング方法のフローチャートである。物質のスクリーニング方法には、少なくとも測定工程S31、相関算出工程S32及び物質同定工程S33が含まれる。なお、本開示に係る物質のスクリーニング方法において、腸内菌叢へ作用するものとは、例えば、腸内菌叢の老化を促進したり、あるいは抑制したりするなど、腸内菌叢のバランスを変化させるものである。
測定工程S31は、上述した菌群のスクリーニング方法により、老若判定マーカーとして同定された菌群について、動物から得た糞便検体に含まれる全菌数に対する割合を測定する。菌群の割合の測定については、上述した通りである。
本開示に係る物質のスクリーニング方法において、食餌又は物質の動物への摂取は、経口摂取であっても、非経口摂取であってもよい。また、摂取回数は、1回でも複数回でもよい。複数回の場合、同じ食餌又は物質を複数回に渡って摂取してもよい。動物から得られる糞便検体は、食餌又は物質を摂取する前と摂取した後の各々の時点で採取されたものであってもよい。
相関算出工程S32は、測定工程S31で測定された菌群の割合について、その増減と、動物が摂取した食餌又は物質との相関を求める工程である。動物が食餌又は物質を摂取した後、上述した菌群のスクリーニングによって老若判定マーカーとされた菌群の数が糞便検体において変動すれば、その食餌又は物質は腸内菌叢へ作用するものである可能性が高い。また、動物が摂取した食餌又は物質の量に応じて、菌群の割合の変動の程度も変化すれば、その食餌又は物質は腸内菌叢へ作用するものである可能性が高い。本工程S32では、このような、動物が摂取した食餌又は物質と、糞便検体の全菌数に対する特定の菌群の割合における相関関係を解析する。
本工程S32では、例えば相関係数rを算出してもよい。また、例えば、カイ二乗検定やマンホイットニーU検定等の検定方法を用いて、食餌又は物質を摂取した群と摂取していない群との間の、老若判定マーカーとした菌群の上記割合の差異について、χ値やU等を求めてもよい。相関について数値で表わすことができれば、その算出方法は特に限定されず、母集団の大きさや測定工程S31で測定する菌群の種類の数等に合わせて、公知の統計手法の中から適宜選択できる。
また、相関算出工程S32では、任意の統計手法に基づき、老若判定マーカーとして用いた菌群の上記割合の増減と、動物が摂取した食餌又は物質との相関について、計算機等により自動的に相関関係を解析してもよい。
物質同定工程S33は、相関算出工程S32において算出された値が閾値を満たす場合に、その食餌又は物質を腸内菌叢へ作用するものとして同定する工程である。閾値は、相関算出工程S32において相関の算出に用いた方法に合わせて適宜設定できる。
例えば、相関算出工程S32において相関係数r、χ値又はUを算出するのであれば、本工程S33では、これらの数値に対応するp値に対して閾値を設定できる。例えば、閾値をp<0.05とする場合、前記p値がこれに該当すれば、閾値を満たすものとする。また、前記p値がこれに該当しなければ、閾値を満たさないものとする。
上記閾値を満たした場合、その動物が摂取した食餌又は物質は、腸内菌叢へ作用するものとして同定される。例えば、食餌又は物質の摂取後に、老齢タイプと判定するためのマーカーとされる菌群の上記割合が老齢タイプの範囲外へ変動し、相関算出工程S32によって算出された値が閾値を満たす場合には、その食餌又は物質は、腸内菌叢の若齢タイプへの変化を促進するものとして同定される。
また、食餌又は物質の摂取後に、若齢タイプと判定するためのマーカーとされる菌群の上記割合が若齢タイプの範囲外へ変動し、その相関が閾値を満たす場合には、その食餌又は物質は、腸内菌叢の老齢タイプへの変化を促進するものとして同定される。
本開示に係る物質のスクリーニング方法では、上述した菌群のスクリーニング方法によって老若判定マーカーとされる菌群の上記割合を指標とすることにより、簡便に腸内菌叢へ作用するものをスクリーニングすることができる。
本開示は、以下の構成を採用することもできる。
〔1〕糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する下記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群のうち少なくとも一つ以上の菌群の割合と、予め定められた各菌群における基準値とを比較して腸内菌叢が老齢タイプ又は若齢タイプのいずれであるかを判定する判定工程を有する、腸内菌叢の老若判定方法であって、前記判定工程においては、(a)下記(1)〜(15)の門又は科に属する菌群のうち少なくともいずれか一つの菌群の前記割合が前記基準値を超える場合には老齢タイプと判定し、(b)下記(16)の科に属する菌群の前記割合が前記基準値未満である場合には老齢タイプと判定し、又は(c)下記(17)の科に属する菌群の前記割合が前記基準値を超える場合には若齢タイプと判定する、方法。
(1)Methanobacteriaceae科
(2)Campylobacteraceae科
(3)Desulfitobacteraceae科
(4)Proteobacteria門
(5)Synergistetes門
(6)Comamonadaceae科
(7)Dethiosulfovibrionaceae科
(8)Leuconostocaceae科
(9)Staphylococcaceae科
(10)Catabacteriaceae科
(11)Synergistaceae科
(12)Pseudomonadaceae科
(13)Peptococcaceae科
(14)Odoribacteraceae科
(15)Enterobacteriaceae科
(16)Lachnospiraceae科
(17)Propionibacteriaceae科
〔2〕前記判定工程の(a)に用いられる基準値が、任意の年齢又は月齢以下の若齢集団から得た個々の糞便検体における各々の前記割合のうちの最大値である、上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記判定工程の(b)に用いられる基準値が、任意の年齢又は月齢以下の若齢集団から得た個々の糞便検体における各々の前記割合のうちの最小値である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記判定工程の(c)に用いられる基準値が、任意の年齢又は月齢を超える高齢集団から得た個々の糞便検体における各々の前記割合のうちの最大値である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕前記判定工程の(a)における下記(1)〜(15)の門又は科に属する菌群の各々に対する前記基準値が下記値である、上記〔1〕に記載の方法。
(1)Methanobacteriaceae科:0
(2)Campylobacteraceae科:0
(3)Desulfitobacteraceae科:0
(4)Proteobacteria門:0.0681
(5)Synergistetes門:0.0015
(6)Comamonadaceae科:0.0002
(7)Dethiosulfovibrionaceae科:0.0003
(8)Leuconostocaceae科:0.0003
(9)Staphylococcaceae科:0.0004
(10)Catabacteriaceae科:0.0011
(11)Synergistaceae科:0.0015
(12)Pseudomonadaceae科:0.0017
(13)Peptococcaceae科:0.0026
(14)Odoribacteraceae科:0.0032
(15)Enterobacteriaceae科:0.0663
〔6〕前記判定工程の(b)における下記(16)の科に属する菌群に対する前記基準値が下記値である、上記〔1〕又は〔5〕に記載の方法。
(16)Lachnospiraceae科:0.228
〔7〕前記判定工程の(c)における下記(17)の科に属する菌群に対する前記基準値が下記値である、上記〔1〕、〔5〕又は〔6〕のいずれかに記載の方法。
(17)Propionibacteriaceae科:0
〔8〕前記判定工程の前に前記割合を測定する測定工程を有する、上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の判定方法の結果に基づいて糞便検体を複数の群に分ける選別工程と、選別された前記複数の群のうちの少なくともいずれか一つの群の糞便検体に含まれる菌群を同定する菌群同定工程と、を有する、腸内菌叢の老若判定マーカーとなる菌群のスクリーニング方法。
〔10〕上記〔9〕に記載の菌群のスクリーニング方法により同定された菌群について、動物から得た糞便検体に含まれる全て菌の数に対する割合を測定する測定工程と、前記菌群の前記割合の増減と、前記動物が摂取した食餌又は物質と、の相関を求める相関算出工程と、前記相関算出工程において算出された値が閾値を満たす場合に、前記食餌又は物質を腸内菌叢へ作用するものとして同定する物質同定工程と、を含む物質のスクリーニング方法。
〔11〕糞便検体に含まれる任意の種類の菌群について、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する割合を測定する測定工程と、
任意の年齢又は月齢を超える高齢集団における前記割合の分布と、前記任意の年齢又は月齢以下の若齢集団における前記割合の分布と、を比較する比較工程と、該比較工程において、下記(a)〜(d)のうち少なくともいずれか一つに該当する場合には、前記任意の種類の菌群を腸内菌叢の老若判定マーカーとして同定する同定工程と、を含む、
腸内菌叢の老若判定マーカーとなる菌群のスクリーニング方法。
(a)前記若齢集団における前記割合の最大値を超える範囲に、前記高齢集団の前記分布が存在する
(b)前記若齢集団における前記割合の最小値未満の範囲に、前記高齢集団の前記分布が存在する
(c)前記高齢集団における前記割合の最大値を超える範囲に、前記若齢集団の前記分布が存在する
(d)前記高齢集団における前記割合の最小値未満の範囲に、前記若齢集団の前記分布が存在する
〔12〕前記同定工程では、さらに、前記高齢集団における前記分布のレンジ幅と、前記若齢集団における前記分布のレンジ幅と、が前記菌群について異なる場合に、前記任意の種類の菌群を腸内菌叢の老若判定マーカーとして同定する上記〔11〕に記載の菌群のスクリーニング方法。
1.実験例1
本実験例では、糞便検体に含まれる菌群について、老齢及び若齢の各々に特徴的な菌群の同定を試みた。
<検体>
本実験例では、健常な174名(21〜104歳)の日本人から提供された糞便検体を用いた。この174名の内訳は、20歳代:9人、30歳代:45人、40歳代:21人、50歳代:13人、60歳代:5人、70歳代:10人、80歳代:46人、90歳代:19人、100歳以上:6人であり、平均年齢は61.7歳である。
<DNAの抽出>
本実験例では、先ず、糞便検体からのDNAの抽出を行った。約20mgの糞便検体に対して、450μlの抽出用溶液(100mM Tris/HCl、4mM EDTA、pH9.0)を加えて懸濁し、さらに、10%SDS溶液50μl、0.1mm径のガラスビーズ300mg、500μlのTE飽和フェノール(和光純薬)を加えて混合した。得られた懸濁液に対しては、FastPrep FP 100A(フナコシ社製)を用いてパワーレベル5で30秒の破砕処理を実施した後、14,000×gで5分間遠心して400μlの上清を得た。
得られた上清に250μlのフェノール・クロロホルム溶液(和光純薬)を加えて混合し、14,000×gで5分間遠心した後、250μlの上清を回収した。回収した上清に、2−プロパノールを250μl加え、DNAを沈殿させ、200μlのTris−EDTAバッファー(pH8.0)に再度溶解させて、これをDNA溶液とした。
<DNAの増幅>
次に、上記DNA溶液に含まれる菌群のゲノムに対して核酸増幅反応を行った。下記表1〜表3に、本実験例で用いたプライマーの配列を示す。表1に示すプライマーセットは、16SrRNA遺伝子の第3〜4可変領域を増幅させるためのプライマーである。これらのプライマーについては、便宜的に第1プライマーセットとする。
Figure 2015188379
表1中、「R」は、グアニン又はアデニンを意味する。「W」は、アデニン又はチミン若しくはウラシルを意味する。「H」は、アデニン又はシトシン又はチミン若しくはウラシルを意味する。「V」は、アデニン又はグアニン又はシトシンを意味する。
また、下記表2及び表3に示すプライマーセットは、次世代シーケンサー(Miseq(イルミナ社製))を用いて塩基配列を解析するために必要な配列(アダプター領域及びインデックス領域)を増幅核酸鎖に組み込むためのプライマーセットである。表2に示すプライマーはフォワードプライマーであり、表3に示すプライマーは、リバースプライマーである。これらのプライマーは、便宜的に第2プライマーセットとする。なお、表1〜表3に示すプライマーは、Life Technologies社のオリゴプライマー作成サービスにより得た。
Figure 2015188379
Figure 2015188379
上述したDNA溶液及び第1プライマーセットを含む総液量25μlの反応液を、TaKaRa ExTaq HS kit(タカラバイオ社製)を用いて調製した。核酸増幅反応は、サーマルサイクラー(Veriti 200(Life Technologies社製))を用いて行い、94℃−3分の後、94℃−30秒、50℃−30秒、72℃−30秒を1サイクルとし、これを20回繰り返し、その後72℃−10分として、PCR反応を行った。得られたPCR産物を1%アガロースゲルにて電気泳動し、バンドパターンにより、増幅核酸鎖を確認した。
続いて、得られたPCR産物1μlを鋳型とし、第2プライマーセットを用いて上述した条件と同様にPCR反応を行った。但し、サイクル数は15回とした。得られたPCR産物を1%アガロースゲルにて電気泳動し、バンドパターンを確認した後、QIAquick 96 PCR Purification Kit(キアゲン社製)を用いてPCR産物を精製した。精製後のPCR産物については、Quant−iT PicoGreen dsDNA Assay kit(Life Technologies社製)によりDNA濃度を測定した。
<DNAのシークエンス>
複数の糞便検体に由来するPCR産物を同じ濃度で混合したものをMiseq v2 Reagent kit(イルミナ社製)に供し、Miseqにてシークエンス解析を実施した。
<菌群の同定及び菌数の算出>
上記シークエンス解析により得られたペアエンド配列をfastq-join (version.1.1.2-301)(http://code.google.com/p/ea-utils/wiki/FastqJoin)にて、QIIMEソフトウェア(version 1.6.0)(http://qiime.org/)にて97%の相同性を有する配列ごとをOUT(Operational Taxonomy Unit)とした。各OUTの代表配列を下記データベースに対してBLAST検索することにより、腸内菌叢の構成を解析した。
データベース:Greengenes database 12_10
(http://greengenes.secondgenome.com/downloads/database/12_10)
<結果>
上述した腸内菌叢の構成の解析の結果、個々の糞便検体について8295±2366の配列が得られた。本実験例では、この配列数を各糞便検体に含まれる全菌数とした。また、これらの配列のうち、個々の門又は科ごとの数を各々の門又は科に属する菌群の数とした。上記相同性検索の結果、表4及び表5に示す腸内菌叢構成が得られた。表4は、門レベルでの分類を示し、表5は、科レベルでの分類を示す。
Figure 2015188379
Figure 2015188379
図9に、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対するBifidobacteriaceae科に属する菌群の割合の分布を示す。図9に示すグラフの縦軸は割合を示し、横軸は年齢を示す。Bifidobacteriaceae科に属する菌群は、加齢に伴い腸内で数が減少していくことが知られている菌群である。本実験例の結果、59歳以下の若齢集団におけるBifidobacteriaceae科に属する菌群の割合の最大値は0.4875であり、60歳以上の若齢集団における割合の最大値は、0.2601であった。なお、本実験例では、59歳以下の集団について「若齢集団」とし、60歳以上の集団について「高齢集団」とする。
一方、Bifidobacteriaceae科に属する菌群の上記割合について、各集団における最小値と最大値の差異は、若齢集団で約514倍、高齢集団で約506倍と、同程度であった。
図10〜26は、上記表4及び表5に示す門又は科に属する菌群のうち、上述した(1)〜(17)の門又は科に属する菌群について、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する各菌群の割合の分布を示す。図10〜図26に示すグラフの縦軸は割合を示し、横軸は年齢を示す。
図25に示すLachnospiraceae科に属する菌群の割合については、各集団における最小値と最大値の差異は、若齢集団では約3.9倍であるのに対して、高齢集団では約21.2倍であった。また、若齢集団における割合の最小値は0.228であり、高齢集団において、割合が0.228に満たない検体は、17であった。
また、図9に示すBifidobacteriaceae科に属する菌群の割合については、各集団における最大値から最小値を引いた差分は、1.9倍程度、若齢集団の方が大きかった。これに対して、図24に示すEnterobacteriaceae科に属する菌群の割合では、上記差分は、7.6倍程度、高齢集団の方が大きかった。
即ち、Enterobacteriaceae科に属する菌群における上記割合の分布幅は、若齢集団と高齢集団の間で、Bifidobacteriaceae科に属する菌群に比べて、より差異が大きかった。さらに、Enterobacteriaceae科に属する菌群の割合については、若齢集団における割合の最大値は0.0663であり、高齢集団では、割合が0.0663を超える検体は、37であった。
若齢集団及び高齢集団の各集団における上記割合の最大値と最小値の差分については、各々、
図13に示すProteobacteria門に属する菌群では、約10.7倍、
図14に示すSynergistetes門に属する菌群では、約18.7倍、
図15に示すComamonadaceae科に属する菌群では、約468.6倍、
図16に示すDethiosulfovibrionaceae科に属する菌群では、約46.6倍、
図17に示すLeuconostocaceae科に属する菌群では、約75.0倍、
図18に示すStaphylococcaceae科に属する菌群では、約164.9倍、
図19に示すCatabacteriaceae科に属する菌群では、約68.5倍、
図20に示すSynergistaceae科に属する菌群では、約13.8倍、
図21に示すPseudomonadaceae科に属する菌群では、約411.8倍、
図22に示すPeptococcaceae科に属する菌群では約7.8倍、
図23に示すOdoribacteraceae科に属する菌群では、約12.1倍、
といずれも、Bifidobacteriaceae科に属する菌群に比べて、より差異が大きかった。
さらに、Methanobacteriaceae科に属する菌群(図10)、Campylobacteraceae科に属する菌群(図11)、Desulfitobacteraceae科に属する菌群(図12)、Propionibacteriaceae科に属する菌群(図26)、の各菌群では、若齢集団又は高齢集団のいずれか一方で、いずれの検体もその割合が0であった。
そして、Methanobacteriaceae科に属する菌群については、高齢集団で、割合が0を超える検体は、9であった。
Campylobacteraceae科に属する菌群については、高齢集団で、割合が0を超える検体は、21であった。
Desulfitobacteraceae科に属する菌群については、高齢集団で、割合が0を超える検体は、4であった。
Propionibacteriaceae科に属する菌群については、若齢集団では、割合が0を超える検体は、8であった。
Proteobacteria門に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値は0.0681であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0681を超える検体は、78であった(図13)。
Synergistetes門に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値は0.0015であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0015を超える検体は、20であった(図14)。
Comamonadaceae科に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値は0.0002であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0002を超える検体は、11であった(図15)。
Dethiosulfovibrionaceae科に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値は0.0003であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0003を超える検体は、9であった(図16)。
Leuconostocaceae科に属する菌群では、若齢集団における割合の最大値は0.0003であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0003を超える検体は、9であった(図17)。
Staphylococcaceae科に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値は0.0004であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0004を超える検体は、5であった(図18)。
Catabacteriaceae科に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値は0.0011であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0011を超える検体は、31であった(図19)。
Synergistaceae科に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値は0.0015であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0015を超える検体は、17であった(図20)。
Pseudomonadaceae科に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値は0.0017であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0017を超える検体は、7であった(図21)。
Peptococcaceae科に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値は0.0026であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0026を超える検体は、15であった(図22)。
Odoribacteraceae科に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値は0.0032であった。これに対して、高齢集団では、割合が0.0032を超える検体は、23であった(図23)。
本実験例の結果から、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する割合に関して、高齢集団と若齢集団との間で、平均値だけでなく分布範囲についても異なる菌群が存在することが明らかとなった。
また、Methanobacteriaceae科、Campylobacteraceae科、Desulfitobacteraceae科、Proteobacteria門、Synergistetes門、Comamonadaceae科、Dethiosulfovibrionaceae科、Leuconostocaceae科、Staphylococcaceae科、Catabacteriaceae科、Synergistaceae科、Pseudomonadaceae科、Peptococcaceae科、Odoribacteraceae科、Enterobacteriaceae科の各門又は各科に属する菌群については、若齢集団における割合の最大値を超える範囲に高齢集団の分布が見られた。さらに、Lachnospiraceae科に属する菌群については、若齢集団の割合の最小値に満たない範囲に高齢集団の分布が見られた。
一方、Propionibacteriaceae科に属する菌群については、高齢集団の最大値を超える範囲に若齢集団の分布が見られた。従って、これらの門又は科に属する菌群の割合は、腸内菌叢が老齢タイプであるか若齢タイプであるかを判定する試験に、マーカーとして用いることができる。
また、図10〜25に示すように、糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する割合について、若齢集団の最大値や最小値を基準とすると、高齢集団にのみ見られる分布範囲に該当する検体を選別することができた。また、同様に、図26に示すように、高齢集団の最大値を基準とすることにより若齢集団にのみ見られる分布範囲に該当する検体を選別することができた。
従って、上記の門又は科に属する菌群の、若齢集団における上記割合の上限値及び下限値、並びに高齢集団における上記割合の上限値及び下限値は、上記の門又は科に属する菌群をマーカーとして用いる場合に、基準値とすることができることが示された。

Claims (9)

  1. 糞便検体に含まれる全ての菌の数に対する下記(1)〜(17)の門又は科に属する菌群のうち少なくとも一つ以上の菌群の割合と、予め定められた各菌群における基準値とを比較して腸内菌叢が老齢タイプ又は若齢タイプのいずれであるかを判定する判定工程を有する、腸内菌叢の老若判定方法であって、
    前記判定工程においては、(a)下記(1)〜(15)の門又は科に属する菌群のうち少なくともいずれか一つの菌群の前記割合が前記基準値を超える場合には老齢タイプと判定し、(b)下記(16)の科に属する菌群の前記割合が前記基準値未満である場合には老齢タイプと判定し、又は(c)下記(17)の科に属する菌群の前記割合が前記基準値を超える場合には若齢タイプと判定する、方法。
    (1)Methanobacteriaceae科
    (2)Campylobacteraceae科
    (3)Desulfitobacteraceae科
    (4)Proteobacteria門
    (5)Synergistetes門
    (6)Comamonadaceae科
    (7)Dethiosulfovibrionaceae科
    (8)Leuconostocaceae科
    (9)Staphylococcaceae科
    (10)Catabacteriaceae科
    (11)Synergistaceae科
    (12)Pseudomonadaceae科
    (13)Peptococcaceae科
    (14)Odoribacteraceae科
    (15)Enterobacteriaceae科
    (16)Lachnospiraceae科
    (17)Propionibacteriaceae科
  2. 前記判定工程の(a)に用いられる基準値が、任意の年齢又は月齢以下の若齢集団から得た個々の糞便検体における各々の前記割合のうちの最大値である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記判定工程の(b)に用いられる基準値が、任意の年齢又は月齢以下の若齢集団から得た個々の糞便検体における各々の前記割合のうちの最小値である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記判定工程の(c)に用いられる基準値が、任意の年齢又は月齢を超える高齢集団から得た個々の糞便検体における各々の前記割合のうちの最大値である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記判定工程の(a)における下記(1)〜(15)の門又は科に属する菌群の各々に対する前記基準値が下記値である、請求項1に記載の方法。
    (1)Methanobacteriaceae科:0
    (2)Campylobacteraceae科:0
    (3)Desulfitobacteraceae科:0
    (4)Proteobacteria門:0.0681
    (5)Synergistetes門:0.0015
    (6)Comamonadaceae科:0.0002
    (7)Dethiosulfovibrionaceae科:0.0003
    (8)Leuconostocaceae科:0.0003
    (9)Staphylococcaceae科:0.0004
    (10)Catabacteriaceae科:0.0011
    (11)Synergistaceae科:0.0015
    (12)Pseudomonadaceae科:0.0017
    (13)Peptococcaceae科:0.0026
    (14)Odoribacteraceae科:0.0032
    (15)Enterobacteriaceae科:0.0663
  6. 前記判定工程の(b)における下記(16)の科に属する菌群に対する前記基準値が下記値である、請求項1又は5に記載の方法。
    (16)Lachnospiraceae科:0.228
  7. 前記判定工程の(c)における下記(17)の科に属する菌群に対する前記基準値が下記値である、請求項1、5又は6のいずれか一項に記載の方法。
    (17)Propionibacteriaceae科:0
  8. 前記判定工程の前に前記割合を測定する測定工程を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の判定方法の結果に基づいて糞便検体を複数の群に分ける選別工程と、
    選別された前記複数の群のうちの少なくともいずれか一つの群の糞便検体に含まれる菌群を同定する菌群同定工程と、を有する、腸内菌叢の老若判定マーカーとなる菌群のスクリーニング方法。
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