JP2015177949A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ユニット状態で取り扱いやすくすることができる遊技機を提供すること。【解決手段】変位部材310が一側部材320L及び他側部材320Rの間に架設され、これら一側部材320L及び他側部材320Rに一側および他側が案内および駆動されつつ変位される。この場合、一側部材320L及び他側部材320Rの下端側には介設部材370が介設されるので、ユニット全体を枠状として、その剛性の向上を図ることができる。よって、ユニット状態における取り扱いを容易とすることができる。即ち、例えば、搬送工程や取付工程において、ユニットに作用しても良い荷重の許容値が緩和されるため、その分、作業性の向上を図ることができる。【選択図】図9

Description

本発明は、パチンコ機などの遊技機に関するものである。
パチンコ機等の遊技機において、所定間隔を隔てつつ対向配置される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設される変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段とを備えた遊技機が知られている(特許文献1)。
この遊技機によれば、一側部材が変位部材の長手方向一側を、他側部材が変位部材の長手方向他側を、それぞれ案内可能に形成され、駆動手段の駆動力が付与されることで、変位部材が一側部材および他側部材に沿って変位される。
特開2014−14602号公報(例えば、図4)
しかしながら、上述した遊技機では、ユニット状態で取り扱い難いという問題点があった。
本発明は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、ユニット状態で取り扱いやすくすることができる遊技機を提供することを目的とする。
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、所定間隔を隔てて配設される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設され前記一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位される変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段と、を備えるものであり、前記一側部材および他側部材の間に介設される介設部材を備える。
請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記変位部材の一端側および他端側にそれぞれ連結されると共に前記一側部材および他側部材に直動可能に配設される一対のラックと、それら一対のラックにそれぞれ歯合されると共に前記一側部材および他側部材にそれぞれ回転可能に配設され前記駆動手段の駆動力が付与される一対のピニオンと、前記ラックの直動方向に長手方向を沿わせた姿勢で前記一側部材および他側部材にそれぞれ固着される一対の棒状体と、を備え、前記ラックは、前記棒状体に連結されると共にその連結部分が前記棒状体に沿って摺動される。
請求項3記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、変形可能に形成される可動機構を備え、その可動機構が前記変位部材の一端側と他端側との間の少なくとも1か所に介設される。
請求項1記載の遊技機によれば、ユニット状態で取り扱いやすくすることができる。
請求項2記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加え、ユニット全体としての剛性を高めることができる。
請求項3記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加え、変位部材を安定して変位させることができる。
第1実施形態におけるパチンコ機の正面図である。 パチンコ機の遊技盤の正面図である。 パチンコ機の背面図である。 パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。 動作ユニットの正面斜視図である。 分解した動作ユニットを正面視した動作ユニットの分解正面斜視図である。 上下スライドユニットの正面図である。 上下スライドユニットの背面図である。 分解した上下スライドユニットを正面視した上下スライドユニットの分解正面斜視図である。 分解した上下スライドユニットを背面視した上下スライドユニットの分解背面斜視図である。 (a)は、変位部材の正面図であり、(b)は、変位部材の背面図である。 (a)は、図11(b)のXIIa−XIIa線における変位部材の部分拡大断面図であり、(b)は、図11(b)のXIIb−XIIb線における変位部材の部分拡大断面図である。 分解した変位部材を正面視した変位部材の分解正面斜視図である。 分解した変位部材を背面視した変位部材の分解背面斜視図である。 分解した上下スライドユニットを正面視した上下スライドユニットの分解正面斜視図である。 分解した上下スライドユニットを背面視した上下スライドユニットの分解背面斜視図である。 背面ベース、中間ベース及び正面ベースの正面斜視図である。 背面ベース、中間ベース及び正面ベースの背面斜視図である。 (a)は、組立状態における伝達機構を正面視した伝達機構の正面斜視図であり、(b)は、組立状態における伝達機構を背面視した伝達機構の背面斜視図である。 (a)は、分解状態におけるクランク歯車および第2ラックの正面斜視図であり、(b)は、分解状態におけるクランク歯車および第2ラックの背面斜視図である。 (a)は、変位部材が上昇位置に配置された状態における上下スライドユニットの正面図であり、(b)は、変位部材が上昇位置および下降位置の間に配置された状態における上下スライドユニットの正面図であり、(c)は、変位部材が下降位置に配置された状態における上下スライドユニットの正面図である。 図15の矢印XXII方向視における伝達機構および背面ベースの正面図である。 図16の矢印XXIII方向視における伝達機構および中間ベースの背面図である。 図22から伝達機構が遷移した状態における伝達機構および背面ベースの正面図である。 図23から伝達機構が遷移した状態における伝達機構および中間ベースの背面図である。 (a)から(c)は、第2ラックおよび第2ピニオンの部分拡大正面図である。 (a)から(c)は、上下スライドユニットの部分拡大正面図である。 分解した他側部材を背面視した他側部材の分解背面斜視図である。 円環形成ユニットの正面図である。 円環形成ユニットの背面図である。 他側円環ユニットの正面図である。 他側円環ユニットの背面図である。 分解した他側円環ユニットを正面視した他側円環ユニットの分解正面斜視図である。 分解した他側円環ユニットを背面視した他側円環ユニットの分解背面斜視図である。 背面ベースの正面斜視図である。 (a)は、円環分割体を退避位置に配置する姿勢が形成された状態における駆動機構の正面図であり、(b)は、円環分割体を円環形成位置に配置する姿勢が形成された状態における駆動機構の正面図である。 姿勢規定部材の正面斜視図である。 (a)は、図29の矢印XXXVIIIa方向視における円環分割体の部分拡大側面図であり、(b)は、図29の矢印XXXVIIIb方向視における円環分割体の部分拡大側面図であり、(c)は、図38(a)のXXXVIIIc−XXXVIIIc線における円環分割体の部分拡大断面図であり、(d)は、図38(b)のXXXVIIId−XXXVIIId線における円環分割体の部分拡大断面図である。 (a)及び(b)は、円環分割体が退避位置に配置された状態における円環形成ユニットの正面図および背面図であり、(a)及び(b)は、円環分割体が退避位置および円環形成位置の間に配置された状態における円環形成ユニットの正面図および背面図であり、(a)及び(b)は、円環分割体が円環形成位置に配置された状態における円環形成ユニットの正面図および背面図である。 (a)及び(b)は、円環分割体が退避位置および円環形成位置の間に配置された状態における円環形成ユニットの正面図および背面図である。 (a)及び(b)は、円環分割体が円環形成位置に配置された状態における円環形成ユニットの正面図および背面図である。 (a)及び(b)は、第2実施形態における変位部材の部分拡大断面図であり、(c)及び(d)は、ボールジョイント機構による相対変位が形成された状態における変位部材の部分拡大断面図である。 (a)及び(b)は、第3実施形態における変位部材の部分拡大断面図であり、(c)及び(d)は、ゴム状弾性体が弾性変形された状態における変位部材の部分拡大断面図である。 (a)は、第4実施形態における変位部材の背面図であり、(b)は、(a)のXLIVb−XLIVb線における変位部材の部分拡大断面図である。 (a)は、第5実施形態における変位部材の背面図であり、(b)は、図45(a)のXLVb−XLVb線における変位部材の部分拡大断面図であり、(c)は、図45(a)のXLVc−XLVc線における変位部材の部分拡大断面図である。 (a)及び(b)は、第6実施形態における変位部材の正面図である。 第7実施形態における上下スライドユニットの正面図である。 上下スライドユニットの正面図である。 第8実施形態における上下スライドユニットの正面図である。 上下スライドユニットの正面図である。 第9実施形態における伝達機構および背面ベースの正面図である。 伝達機構および背面ベースの正面図である。 第10実施形態における他側部材の分解背面斜視図である。 (a)及び(b)は、他側部材の背面斜視図である。 第11実施形態における上下スライドユニットの背面図である。 第12実施形態における上下スライドユニットの背面図である。 上下スライドユニットの背面図である。 (a)は、第13実施形態における他側部材の背面図斜視図であり、(b)及び(c)は、付勢ばねの姿勢変化の態様を模式的に図示する他側部材の背面模式図である。 (a)は、第14実施形態における上下スライドユニットの背面図であり、(b)は、上下スライドユニットの部分拡大背面図である。 第15実施形態における伝達機構および背面ベースの正面図である。 第16実施形態における伝達機構および背面ベースの正面図である。 伝達機構および背面ベースの正面図である。 (a)は、第17実施形態における円環分割体の部分拡大側面図であり、(b)は、第7実施形態における円環分割体の部分拡大側面図であり、(c)は、図63(a)のLXIIIc−LXIIIc線における円環分割体の部分拡大断面図であり、(d)は、図63(b)のLXIIId−LXIIId線における円環分割体の部分拡大断面図である。 第18実施形態における上下スライドユニット及び円環形成ユニットの正面図である。 上下スライドユニット及び円環形成ユニットの部分断面背面図である。 第19実施形態における上下スライドユニット及び円環形成ユニットの正面図である。 (a)は、第20実施形態における伝達機構および背面ベースの正面図であり、(b)は、図67(a)のLXVIIb−LXVIIb線における背面ベースの断面図である。 (a)は、伝達機構および背面ベースの正面図であり、(b)は、図68(a)のLXVIIIb−LXVIIIb線における背面ベースの断面図である。 (a)及び(b)は、第2ラックおよびクランク歯車の部分拡大正面図である。 (a)及び(b)は、第2ラックおよびクランク歯車の部分拡大正面図である。 (a)は、第21実施形態における伝達機構および背面ベースの正面図であり、(b)は、図71(a)のLXXIb−LXXIb線における背面ベースの断面図である。 (a)は、伝達機構および背面ベースの正面図であり、(b)は、図72(a)のLXXIIb−LXXIIb線における背面ベースの断面図である。 (a)から(c)は、歯車およびクランク歯車の部分拡大正面図である。 (a)は、第22実施形態における一側部材の背面図であり、(b)は、図74(a)のLXXIVb−LXXIVb線における一側部材の部分拡大断面図である。 第23実施形態における上下スライドユニットの正面図である。 第24実施形態における上下スライドユニット及び背面ケースの正面斜視図である。 (a)は、図76の矢印LXXVIIa方向視における上下スライドユニットの部分拡大正面図であり、(b)は、図77(a)のLXXVIb−LXXVIb線における上下スライドユニットの断面図であり、(c)は、図77(a)のLXXVIc−LXXVIc線における上下スライドユニットの断面図である。 第25実施形態における上下スライドユニット及び円環形成ユニットの正面図である。 第26実施形態における上下スライドユニット及び円環形成ユニットの部分断面背面図である。 (a)から(c)は、円環分割体、姿勢規定部材および固定機構の背面図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図39を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、可変入賞装置65、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の背面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の前面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、15R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「15R通常大当たり」は、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。
また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。このセンターフレーム86の中央に開口される開口部から第3図柄表示装置81が視認可能とされる。また、後述する突出動作ユニット400や複合動作ユニット500が動作されると、それらの相対変位部材450や従動部材560の少なくとも一部がセンターフレーム86の開口部内に張り出し、開口部を介して視認可能とされる。例えば、突出動作ユニット400は、第1動作により回転位置に配置されると(図14(a)参照)、相対変位部材450の先端部分がセンターフレーム86の開口部を介して視認可能とされ、第2動作により張出位置に配置されると(図15(b)参照)、相対変位部材450の略全体がセンターフレーム86の開口部を介して視認可能とされる。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視下方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口640へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の上方右側には可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の上方右側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口71が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640,にも入賞しなかった球は、第1アウト口71を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には、駆動モータ420,530,630が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、図5及び図6を参照して、動作ユニット200について説明する。図5は、動作ユニット200の正面斜視図であり、図6は、分解した動作ユニット200を正面視した動作ユニット200の分解正面斜視図である。
図5及び図6に示すように、動作ユニット200は、箱状に形成される背面ケース210を備え、その背面ケース210の内部空間に、上下スライドユニット300及び円環形成ユニット400が順に重ね合わされた積層状態で収納されると共に、最前面に装飾カバー500が覆設される。
背面ケース210は、底壁部211及びその底壁部211の外縁から立設される外壁部212を備え、これら各壁部211,212により一面側(図6紙面左手前側)が開放された箱状に形成される。背面ケース210の底壁部211には、その中央に矩形状の開口211aが開口形成され、背面ケース210が正面視矩形の枠状に形成される。なお、開口211aは、第3図柄表示装置81(図2参照)の外形に対応した(即ち、第3図柄表示装置81を配設可能な)大きさに形成される。
上下スライドユニット300は、長尺状の変位部材310と、所定間隔を隔てて配設され変位部材310の長手方向一側および他側をそれぞれ案内可能に支持する一側部材320L及び他側部材320Rと、それら一側部材320L及び他側部材320Rの下端間に介設される介設部材370とを主に備え、一側部材320L及び他側部材320Rと介設部材370とが背面ケース210の底壁部211にそれぞれ配設される。変位部材310は、介設部材370と平行な姿勢を維持しつつ、上下方向(一側部材320L及び他側部材320Rの長手方向)に沿って変位される。
円環形成ユニット400は、一側円環ユニット410L及び他側円環ユニット410Rからなり、これら一側円環ユニット410L及び他側円環ユニット410Rが、上下スライドユニット300の一側部材320L及び他側部材320Rの正面(前面)側にそれぞれ配設される。各円環ユニット410L,410Rには、上下一対の円環分割体440L1〜440R2がそれぞれ変位可能に配設される。円環分割体440L1〜440R2は、円環形状を周方向に四分割した形状に形成され、これら各円環分割体440L1〜440R2が中央位置まで変位されると、互いの分割面どうしが当接され、円環形状が形成される(図41参照)。
装飾カバー500は、背面ケース210における外壁部212の立設端面に取り付けられ、円環形成ユニット400の正面(前面)側に配設される。即ち、装飾カバー500は、背面ケース210の外壁部212に沿う部分のみに部分的に覆設され、上下スライドユニット300及び円環形成ユニット400を遊技者から遮蔽する一方、開口211a(即ち、第3図柄表示装置81)を遊技者に視認可能に露出させる。
このように構成される動作ユニット200のうちの上下スライドユニット300及び円環形成ユニット400の詳細構成について、以下に説明する。まず、図7から図28を参照して、上下スライドユニット300の詳細構成について説明する。
図7は、上下スライドユニット300の正面図であり、図8は、上下スライドユニット300の背面図である。また、図9は、分解した上下スライドユニット300を正面視した上下スライドユニット300の分解正面斜視図であり、図10は、分解した上下スライドユニット300を背面視した上下スライドユニット300の分解背面斜視図である。
図7から図10に示すように、上下スライドユニット300は、変位部材310の長手方向一側および他側に第1ラック315が互いに平行な姿勢で配設され、組み立て状態では、これら各第1ラック315が、一側部材320L及び他側部材320Rにそれぞれ配設される各第1ピニオン351に歯合される。また、変位部材310は、その長手方向一側および他側が案内棒Pに摺動可能に連結され、組み立て状態では、案内棒Pが、その軸心方向を一側部材320L及び他側部材320Rの長手方向に一致させた姿勢で一側部材320L及び他側部材320Rに配設(固定)される。
よって、上下スライドユニット300は、駆動モータ341の駆動力により第1ピニオン351が回転され、その回転により第1ラック315が直線運動されると、その直線運動に伴って、変位部材310が、案内棒Pに案内されつつ、一側部材320L及び他側部材320Rの長手方向に沿って変位される(図21参照)。ここで、変位部材310の詳細構成について、図11から図14を参照して説明する。
図11(a)は、変位部材310の正面図であり、図11(b)は、変位部材310の背面図である。図12(a)は、図11(b)のXIIa−XIIa線における変位部材310の部分拡大断面図であり、図12(b)は、図11(b)のXIIb−XIIb線における変位部材310の部分拡大断面図である。また、図13は、分解した変位部材310を正面視した変位部材310の分解正面斜視図であり、図14は、分解した変位部材310を背面視した変位部材310の分解背面斜視図である。
図11から図14に示すように、変位部材310は、正面視横長矩形の長尺状に形成される本体部311と、その本体部311の長手方向中央において正面へ向けて突設される円筒状の回転ベース312と、その回転ベース312に回転可能かつ同心に支持される正面視円形の回転体313と、本体部311の長手方向一側および他側にそれぞれ変位可能に連結される端側部314と、その端側部314の背面に締結固定される第1ラック315とを主に備える。
本体部311には、その長手方向一側および他側における背面から上下一対の突設ピン311aがそれぞれ突設される。突設ピン311aは、本体部311に端側部314を変位可能に連結するための部位であり、断面円形の円柱状に形成され、端側部314の長穴314aに挿通される。
上下一対の突設ピン311aは、本体部311の長手方向に直交する方向(図11(b)上下方向)に沿って配置され、本体部311の長手方向一側における突設ピン311aと長手方向他側における突設ピン311aとは、体部311の長手方向(図11(b)左右方向)に沿って配置される。
また、本体部311には、その長手方向一側および他側における端面(図11(a)左側面および右側面)にストッパ面311bが形成される。ストッパ面311bは、本体部311と端側部314との間の相対変位を規定の範囲内に規制するための部位であり、本体部311の長手方向に垂直な平坦面として形成される。
回転ベース312の内部には、駆動モータ及び歯車機構(いずれも図示せず)が配設され、駆動モータの回転駆動力が歯車機構により回転体313へ伝達されることで、回転体313が回転ベース312(本体部311)に対して相対的に回転される。なお、回転ベース312は、本体部311に固着される。よって、後述するように、回転ベース312が他の部材により保持されることで、端側部314に対する本体部311の変位を規制できる(例えば、図65参照)。
端側部314には、長穴314aと、ストッパ面314bと、スライダ保持部314cとが形成される。長穴314aは、本体部311の各突設ピン311aを受け入れるための上下一対の貫通穴であり、正面視長円形状の穴として形成される。長穴314aは、その長円形状の長径方向を、端側部314が案内棒Pに沿って摺動する方向に直交する方向(即ち、変位部材310の長手方向であって、一側部材320L及び他側部材320Rを結ぶ方向、図11(b)左右方向)に沿わせる姿勢で形成される。
この場合、本体部311の突設ピン311aと端側部314の長穴314aとの間には、円筒状の筒部およびその筒部の外周面から径方向外方へフランジ状に張り出すフランジ部とからなるカラーCが介設される。カラーCは、筒部の内径が本体部311の突設ピン311aの外径と同等または若干大きな寸法に設定され、筒部の外径が端側部314の長穴314aにおける短径と同等または若干小さな寸法に設定されると共に、フランジ部の外径が端側部314の長穴314aにおける長径よりも大きな寸法に設定される(図12参照)。
これにより、後述するように、本体部311の突設ピン311aが、カラーCを介して、端側部314の長穴314a内でその長穴314aの長径方向(図12(a)左右方向)に沿って変位可能とされる。即ち、本体部311を端側部314に対して相対変位させることができる(図27参照)。なお、このように、カラーCを介設することで、突設ピン311aと長穴314aとの間でカラーCが転動するので、相対変位をスムーズに行わせることができると共に、摩耗を抑制して耐久性の向上を図ることができる。
ストッパ面314bは、本体部311と端側部314との間の相対変位を規定の範囲内に規制するための部位であり、平坦面として形成されると共に、組み立て状態(本体部311及び端側部314が連結された状態)において、本体部311のストッパ面311bに所定間隔を隔てて対向する位置に形成される。
なお、本体部311及び端側部314のストッパ面311b,314bは、本体部311の各突設ピン311aが端側部314の各長穴314aにおける長径方向の中央に位置する場合(即ち、図11(a)に示すように、左右の端側部314に対して本体部311が傾斜せず平行な姿勢にある場合)に、互いに平行な姿勢で対向する。
また、この平行な姿勢を維持しつつ、各突設ピン311a(カラーC)が各長穴314aにおける長径方向一側(図11(a)左側)の終端または長径方向他側(図11(a)右側)の終端まで変位した場合には、本体部311の長手方向一側および他側の両者において、ストッパ面311b,314bが所定の間隔を隔てて対向する(ストッパ面311b,314bどうしの間に隙間が形成される)。
第1ラック315には、ラック部315aと、スライダ保持部315cとが形成される。ラック部315aは、平板状の部材の側面に歯切りがされたラックとして形成され、一側部材320L及び他側部材320Rの第1ピニオン351(図9参照)に歯合される部位であり、組み立て状態では、歯面を案内棒Pの軸心に平行とする姿勢で配設される。
スライダ保持部315cは、端側部314のスライダ保持部314cとの間でスライダSを保持するための部位である。これら端側部314のスライダ保持部314c及び第1ラック315のスライダ保持部314cは、円筒を縦に二分割した形状にそれぞれ形成され、組み立て状態(端側部314に第1ラックが締結固定された状態)において、その対向間(円筒の内周面間)にスライダSを保持する。
スライダSは、案内棒Pに外嵌されてその案内棒Pの軸方向に沿って摺動する円筒状の部材であり、その外径が、スライダ保持部314c,315cの内径に対応する寸法に設定される。スライダ保持部314c,315cの内周面からは、上下一対の係止壁が内方へ向けて張り出されており、組み立て状態では、それら上下一対の係止壁がスライダSの軸方向端面に当接して、スライダSの軸方向への抜け止めとされる。
このように、端側部314及び第1ラック315と案内棒Pとの間にスライダSを介設する構造とすることで、スライダSを、真鍮製の案内棒Pに対して摺動性・耐摩耗性に優れる素材から形成できる一方、端側部314及び第1ラック315の素材を真鍮製の案内棒Pとは無関係に設定することができる。即ち、端側部314は、本体部311の相対変位をストッパ面314cにより規制する部材であるため、その規制の際の剛性を確保できる素材が選択できることが有効となる。一方、第1ラック315は、第1ピニオン351に歯合されその回転駆動力を受けて直線運動される部材であるため、歯合状態を維持するための剛性を確保できる素材が選択できることが有効となる。
図7から図10に戻って説明する。上下スライドユニット300は、上述したように、一側部材320L及び他側部材320Rに配設される第1ピニオン351がそれぞれ回転されることで、変位部材310の長手方向一側および他側に配設される第1ラック315がそれぞれ直線運動され、これにより、変位部材310が、一側部材320L及び他側部材320Rにそれぞれ固定される案内棒Pに沿って案内されつつ、上下方向にスライド変位される。ここで、一側部材320L及び他側部材320Rの詳細構成について、図15から図20を参照して説明する。
図15は、分解した上下スライドユニット300を正面視した上下スライドユニット300の分解正面斜視図であり、図16は、分解した上下スライドユニット300を背面視した上下スライドユニット300の分解背面斜視図である。
なお、一側部材320L及び他側部材320Rは、若干の形状の相違を有するが、技術的機能を発揮する部分については、左右対称(互いの対向間中央に位置する仮想平面に対して面対称)に形成され、その構成は実質同一であるので、以下においては、他側部材320Rを代表例として説明し、一側部材320Lについての説明は省略する。
図15及び図16に示すように、他側部材320Rは、背面ベース331と、その背面ベース331の正面(前面)側に覆設される中間ベース332と、その中間ベース332の正面(前面)側に覆設される正面ベース333と、中間ベース332に取着される駆動モータ341と、その駆動モータ334の駆動力により回転される第1ピニオン351と、その第1ピニオン351へ駆動モータ334の駆動力を伝達するための伝達機構とを主に備えて形成される。ここで、背面ベース331、中間ベース332及び正面ベース333の詳細構成について、図17及び図18を参照して説明する。
図17は、背面ベース331、中間ベース332及び正面ベース333の正面斜視図であり、図18は、背面ベース331、中間ベース332及び正面ベース333の背面斜視図である。
図17及び図18に示すように、背面ベース331は、縦長の長尺状に形成される本体部分とその本体部分の下端から側方へ張り出す張出部分とから正面視略L字状に形成され、駆動モータ341の駆動力を第1ピニオンへ伝達するための伝達機構(図15及び図16参照)を中間ベース部材332との間に収容する。
背面ベース331には、その本体部分の正面(中間ベース332との対向面)からピニオン軸331a及びラック軸331bが突設されると共に、本体部分および張出部分に第1開口331c及び第2開口331dがそれぞれ開口形成される。
ピニオン軸331aは、第1ピニオン351(図19参照)を回転可能に軸支するための断面円形の軸状体であり、ラック軸331bは、第2ラック364の案内溝364a(図19参照)に挿通され第2ラック364の姿勢を規制するための断面円形の軸状体である。なお、ピニオン軸331aの端面にはねじが締結され、そのねじの頭部が第1ピニオン351の抜け止めとされる。また、ラック軸331bの直径は、第2ラック364の案内溝364aの溝幅と同等または若干小さい寸法に設定され、第2ラック364がラック軸331bを中心として回転可能とされる。
また、ラック軸331bは、背面ベース331と中間ベース332との組み立て状態において、中間ベース332のギヤ軸332iに対面する位置に配設される。詳細には、ラック軸331bの配設位置は、そのラック軸331bの軸心とギヤ軸332iの軸心とを結ぶ方向が、第2ラック364の直線運動の方向と直交する位置に設定される。これにより、後述するように、ラック軸331bに案内溝364aが案内される第2ラック364を、ギヤ軸332iに軸支される第2ピニオン365aの歯面に沿って変位可能な状態とできる(図26参照)。
第1開口331c及び第2開口331dは、それぞれ直線状に延設される開口であり、屈曲した姿勢で配設される付勢ばね366(図22参照)に対応する領域(正面視において付勢ばね366に重なる領域)に形成される。よって、付勢ばね366を装着する際には、付勢ばね366を背面ベース331及び中間ベース332の間に収容した後に、第1開口331c又は第2開口331dを介して、付勢ばね366の端部を相手部材に係止させる作業を行うことができるので、付勢ばね366が弾かれる(自身の弾性回復力で飛び跳ねる)ことを抑制しつつ、屈曲した姿勢での装着を実施できる。付勢ばね366の装着作業については後述する(図28参照)。
なお、付勢ばね366はコイルスプリングであり、外周面が円弧状に湾曲されるので、第1開口331c及び第2開口331dの開口幅は、付勢ばね366の直径よりも小さい寸法とすることが好ましい。端部の係止および摺動抵抗の抑制を可能としつつ、背面ベース331の剛性の低下を抑制できるからである。
中間ベース332は、背面ベース331に対応した形状に形成される。即ち、中間ベース332は、縦長の長尺状に形成される本体部分とその本体部分の下端から側方へ張り出す張出部分とから正面視略L字状に形成され、中間ベース部材332の正面(前面)側に覆設されることで、互いの対向間に形成される空間内に伝達機構を収容する。
中間ベース332には、その本体部分に第1ピニオン挿通窓332a及びモータ軸挿通窓332bが開口形成されると共に、本体部分の背面(背面ベース331との対向面)から複数のギヤ軸332c〜332i及びローラー軸332rが突設される。第1ピニオン挿通窓332aは、背面ベース331のピニオン軸331aに軸支された第1ピニオン351を、中間ベース332の正面(前面)側に露出させるための開口であり、これにより、第1ピニオン351を変位部材310の第1ラック315に歯合させることができる(図21参照)。
モータ軸挿通窓332bは、中間ベース332の正面(前面)に取着された駆動モータ341の駆動軸を、背面ベース331及び中間ベース332の対向間に収容された伝達機構の歯車361に連結させるための開口である。また、複数のギヤ軸332c〜332iは、伝達機構の歯車362a〜362e、クランク歯車363及び伝達歯車365をそれぞれ回転可能に軸支するための断面円形の軸状体である。なお、ギヤ軸332c〜332iの端面にはねじが締結され、そのねじの頭部が伝達機構の歯車362a〜362e、クランク歯車363及び伝達歯車365の抜け止めとされる。
ローラー軸332rは、伝達機構のローラー367(図19参照)を回転可能に軸支するための断面円形の筒状体である。なお、ローラー軸332rに軸支されたローラー367は、背面ベース331及び中間ベース332の対向面により保持される(対向面が抜け止めとされる)。
また、中間ベース332には、その本体部分の背面(背面ベース331との対向面)に左右一対の規制壁332tが突設されると共に、本体部分の正面(正面ベース333との対向面)に上下一対の保持凹部332j,332kが形成され、張出部分の正面(正面ベース333との対向面)に連結軸332mが突設される。
規制壁332tは、第2ラック364の姿勢を規制するための部位であり、所定間隔を隔てて一対が形成される。一対の規制壁332tの対向間隔は、第2ラック364の幅寸法よりも大きくされており、第2ラック364の側面との間に隙間を有するように形成される。よって、その隙間の分、第2ラック364を、ラック軸331bを中心として回転させることができる(図26参照)。
保持凹部332j,332kは、案内棒Pの上端側および下端側をそれぞれ保持するための部位であり、案内棒Pの長さ寸法と同等の距離だけ上下方向(図17上下方向)に離間して位置すると共に、正面ベース333側が開放した凹部として形成される。かかる凹部の深さ及び幅は、案内棒Pの直径と同等または若干大きな寸法に設定される。よって、保持凹部332j,332kに案内棒Pを嵌め入れ、正面ベース333を中間ベース332に覆設(締結固定)することで、正面ベース333の背面と保持凹部332j,332kとの間で案内棒Pを挟み込み、案内棒Pを強固に保持することができる。
これにより、正面ベース333を除く状態で他側部材320Rを組み立てると共に、案内棒Pを変位部材310に保持させ、その変位部材310が保持する案内棒Pを保持凹部332j,332kに嵌め入れて、正面ベース333を装着(締結固定)することで、他側部材320Rと変位部材310との連結を行うことができる。よって、上下スライドユニット300の組み立て作業を効率化できる。
連結軸332mは、介設部材370との連結部分となる断面円形の軸状体であり、介設部材370の連結板371における連結穴に回転可能に挿通されることで、他側部材320Rに介設部材370が連結される。即ち、他側部材320Rと介設部材370とは相対位置を調整可能な状態で連結される。これにより、後述するように、上下スライドユニット300を背面ケース210に取り付ける際には、取付位置を調整しつつ取り付け作業を行うことができるので、その作業性の向上を図ることができる。
次いで、図19を参照して、伝達機構および第1ピニオン351の詳細構成について説明する。図19(a)は、組立状態における伝達機構を正面視した伝達機構の正面斜視図であり、図19(b)は、組立状態における伝達機構を背面視した伝達機構の背面斜視図である。
図19(a)及び図19(b)に示すように、伝達機構は、駆動モータ341の駆動軸に接続される歯車361と、その歯車361に先頭の歯車(歯車362a)が歯合される歯車列としての歯車362a〜362eと、その歯車列の後尾の歯車362eに歯合されるクランク歯車363と、そのクランク歯車363のクランク機構により駆動される第2ラック364と、その第2ラック364に歯合される伝達歯車365と、第2ラック364に付勢力を付与するための付勢ばね366と、その付勢ばね366を屈曲した姿勢とするためのローラー367とを備えて形成される。
ここで、クランク歯車363及び第2ラック364の詳細構成について、図20を参照して説明する。図20(a)は、分解状態におけるクランク歯車363及び第2ラック364の正面斜視図であり、図20(b)は、分解状態におけるクランク歯車363及び第2ラック364の背面斜視図である。
図20(a)及び図20(b)に示すように、クランク歯車363には、回転中心から偏心した位置に偏心ピン363aが突設されると共に、その偏心ピン363aが突設される側とは反対側から被検出部363bが突設される。偏心ピン363aは、断面円形の円柱状に形成され、組立状態において、第2ラック364のラック溝364bに挿通される。被検出部363bは、センサ装置(図示せず)により検出される部位であり、センサ装置は、その検出部による被検出部363bの検出/非検出に応じて、クランク歯車363の回転位置(位相)を検出する。この検出結果により、変位部材310が上昇位置(図21(a)参照)又は下降位置(図21(c)参照)に配置されたことを主制御装置110に認識させることができる。
第2ラック364には、案内溝364aとラック溝364bとが形成される。案内溝364aは、背面ベース331のラック軸331b(図17参照)が挿通される開口であり、ラックの歯面と平行な方向(図20(a)及び図20(b)上下方向)へ直線状に延設される。
ラック溝364bは、クランク歯車363の偏心ピン363aが挿通される凹溝であり、ラックの歯面と垂直な方向へ直線状に延設される。なお、ラック溝364bの溝幅は、偏心ピン363aの直径と同等または若干大きな寸法に設定され、クランク歯車363の回転に伴って、偏心ピン363aがラック溝364bに沿って摺動可能とされる。
ラック溝364bは、ラックの歯面と垂直な方向(即ち、第2ラック364の直線運動方向に直交する方向)に直線状に延設されるので、後述するように、クランク歯車363の偏心ピン363aから第2ラック364のラック溝364bに作用される力成分に第2ラック364の直線運動方向以外の成分が発生することを抑制でき、その分、第2ラック364を直線運動させる際の抵抗を抑制できる。
図19(a)及び図19(b)に戻って説明する。伝達歯車365は、第2ラック364のラックに歯合される第2ピニオン365aと、第1ピニオン351に歯合される増速部365bとを備え、これら第2ピニオン365a及び増速部365bが同心状態で一体化して形成される。
付勢ばね366は、金属製のコイルスプリングであり、一端が第2ラック364の下端に、他端が中間ベース332の張出部分の端部に、それぞれ係止される。付勢ばね366は、第2ラック364が可動範囲の下端に位置する状態において、弾性的に引張変形された状態とされ、その弾性回復力を付勢力として第2ラック364に付与すると共に、第2ラック364が可動範囲の下端から上端へ向けて変位されると、その変位に伴い更に引張変形されることで、第2ラックへ付与する付勢力を徐々に増加させ、第2ラック364が可動範囲の上端に達すると、最も引張変形された状態となり、最大の付勢力を第2ラック364へ付与する。
付勢ばね366は、後述するように、第2ラック364にその第2ラック364の直線運動の方向と非平行となる方向(傾斜方向)へ付勢力を付与するところ(図22から図25参照)、かかる付勢ばね366をコイルスプリングから形成することで、付勢力の付与方向を第2ラック364の直線運動の方向と非平行とする構造を簡素化できる。また、第2ラック364の変位に応じた付勢力を連続的に付与できるので、第2ラック364を安定して付勢することができる。
ローラー367は、中間ベース332のローラー軸332r(図18参照)に回転可能に軸支される円筒状の円筒部367aと、その円筒部367aの外周面から径方向外方へフランジ状に張り出すフランジ部367bとを備え、円筒部367aの外周面を、付勢ばね366の一端と他端との間に当接させることで、かかる付勢ばね366の屈曲した姿勢を形成する。
図7から図10に戻って説明する。介設部材370は、正面視横長の長尺状に形成され、上述したように、一側部材320L及び他側部材320Rの下端間に介設される。詳細には、介設部材370には、その下面(図7下側面)から平板状の連結板671が一対垂下されると共に、各連結板671には、正面視円形の連結穴がそれぞれ1ずつ貫通形成され、中間ベース332の張出部分から突設される連結軸332mを連結板671の連結穴に挿通させることで、介設部材370が一側部材320L及び他側部材320Rの間に介設される。
なお、連結軸332mの端面にはねじが締結され、そのねじの頭部が連結板671の抜け止めとされる。この場合、連結板671における連結穴の内径は、連結軸332mの直径と同等または若干大きな寸法に設定されると共に、連結板671の板厚は、連結軸332mの突設高さよりも若干小さな寸法に設定される。よって、介設部材370と一側部材320L及び他側部材320Rとの連結部分は、連結板671が連結軸332mに回転可能に軸支された状態とされる。
以上のように、上下スライドユニット300は、一側部材320L及び他側部材320Rの長手方向(図7上下方向)に沿って変位部材310が変位可能に形成される。即ち、変位部材310は、その長手方向一側(図7左側)及び他側(図7右側)が一側部材320L及び他側部材320Rにそれぞれ案内可能に形成され、駆動モータ341の駆動力が付与されることで、一側部材320L及び他側部材320Rの長手方向に沿って変位される。
従来、このようなユニット(即ち、一側部材320L及び他側部材320Rの間に変位部材310が架設された構造体)では、ユニット全体としての剛性が低く、破損を招きやすかった。即ち、変位部材310に対して、一側部材320L及び他側部材320Rが変形しやすいため(例えば、正面視において、互いに平行な姿勢にあるべき一側部材320L及び他側部材320Rが、「ハの字」状または「逆ハの字」状に変形される、或いは、側面視において、互いに平行な姿勢にあるべき一側部材320L及び他側部材320Rが「V字」状に変形される)、一側部材320L及び他側部材320Rと変位部材310との連結部分に荷重が集中して破損しやすい。そのため、例えば、かかるユニットを搬送する搬送工程や相手部材へユニットを取り付ける取付工程において、一側部材320L及び他側部材320Rが変位部材310に対して「ハの字」状や「V字」状に変形しないように取り扱うことが必要となり、作業性の悪化を招いていた。
これに対し、本実施形態における上下スライドユニット300によれば、一側部材320L及び他側部材320Rの間に介設される介設部材320を備えるので、ユニット全体を枠状として、その剛性の向上を図ることができる。即ち、一側部材320L及び他側部材320Rが変位部材310に対して「ハの字」状や「V字」状に変形することを抑制できる。よって、ユニット状態における取り扱いを容易とすることができ、搬送工程や取付工程における作業性の向上を図ることができる。
一側部材320L及び他側部材320Rには、それぞれ真鍮製の案内棒Pが固着されると共に、その案内棒Pに変位部材310の両端部(第1ラック315及び端側部314のスライダ保持部314c)が連結されるので、案内棒Pを介して変位部材310と一側部材320L及び他側部材320Rとを連結させることができ、これにより、変位部材310と一側部材320L及び他側部材320Rと介設部材370との閉じた連結ループを形成できる。
即ち、従来品(即ち、本実施形態に対し案内棒Pを有さない形態)では、変位部材310の第1ラック315と一側部材320L及び他側部材320Rの第1ピニオン351との間で連結ループが分断され、変位部材310と一側部材320L及び他側部材320Rとが非連結とされる。これに対し、本実施形態によれば、変位部材310と一側部材320L及び他側部材320Rとを案内棒Pを介して連結させる(閉じた連結ループを形成する)ことができる。よって、上下スライドユニット300全体としての剛性を高めることができる。また、案内棒Pが一側部材320L及び他側部材320Rに固着されることで、その分、一側部材320L及び他側部材320Rの剛性が向上される。この点も上下スライドユニット300全体としての剛性を高めることに寄与する。
変位部材310は、本体部311と端側部314(及び第1ラック315)とが相対変位可能に連結されることで、後述するように、一側部材320Lによる案内と他側部材320Rによる案内との間にずれ(即ち、一側部材320Lの第1ピニオン351に駆動される第1ラック315の直線運動の進度と、他側部材320Rの第1ピニオン320Rの第1ピニオン351に駆動される第1ラック315の直線運動の進度との間にずれ)が生じた場合でも、そのずれを上記相対変位により吸収して、変位部材310を安定して変位させるように形成される(図27参照)。
この場合、本実施形態によれば、端側部314及び第1ラック315は、スライダSを介して(即ち、案内棒Pの周囲を取り囲む形態で)案内棒Pに連結され、案内棒Pの軸直角方向(径方向)のうちのいずれの方向へもその変位が規制されるので、変位部材310がスライド変位される際の端側部314及び第1ラック315の姿勢を安定化できる。これにより、変位部材310一側部材320Lによる案内と他側部材320Rによる案内との間にずれが生じた場合には、本体部311と端側部314及び第1ラック315との間で相対変位を生じやすくでき、かかる相対変位によるずれ吸収の機能を確実に発揮させることができる。
ここで、介設部材370は、上述したように、連結板371の連結孔に連結軸332mが回転可能な状態で挿通されることで、一側部材320L及び他側部材320Rのそれぞれに対して変位(相対回転)可能な状態で連結される。よって、一側部材320L及び他側部材320Rと介設部材370との相対位置を調整することができるので、上下スライドユニット300を背面ケース210へ取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。例えば、一側部材320Lを背面ケース210の底壁部211の所定位置に取り付けた後、他側部材320Rが背面ケース210の底壁部211の所定位置に対して位置ずれしている場合でも、その他側部材320Rの位置を所定位置に対して調整することができ、その結果、作業性の向上を図ることができる。
本実施形態では、変位部材310において、本体部311と端側部314及び第1ラック315とが相対変位可能に形成され、かかる相対変位が左右方向(変位部材310の長手方向)を長径方向とする長穴314aを利用する形態であるので、介設部材370と一側部材320L及び他側部材320Rとの間が相対回転可能とされる形態が、上下スライドユニット300全体としての剛性の確保と、取付位置を調整可能とする機能の確保との両立において、特に有効となる。
次いで、図21から図27を参照して、上下スライドユニット300の動作について説明する。なお、上述した通り、以下においては、他側部材320Rを代表例として説明し、一側部材320Lについての説明は省略する。
図21(a)は、変位部材310が上昇位置に配置された状態における上下スライドユニット300の正面図であり、図21(b)は、変位部材310が上昇位置および下降位置の間に配置された状態における上下スライドユニット300の正面図であり、図21(c)は、変位部材310が下降位置に配置された状態における上下スライドユニット300の正面図である。なお、図21(a)から図21(c)では、第1ピニオン351及び第1ラック315を視認可能とするために、正面ベース333が取り外された状態が図示される。
図22は、図15の矢印XXII方向視における伝達機構および背面ベース331の正面図であり、図23は、図16の矢印XXIII方向視における伝達機構および中間ベース332の背面図である。図24は、図22から伝達機構が遷移した状態における伝達機構および背面ベース331の正面図であり、図25は、図23から伝達機構が遷移した状態における伝達機構および中間ベース332の背面図である。
なお、図22及び図23は、図21(a)に示す変位部材310が上昇位置に配置された状態に対応し、図24及び図25は、図21(c)に示す変位部材310が下降位置に配置された状態に対応する。また、図22及び図24では、第1ピニオン351の図示が省略される。また、伝達歯車365の増速部365bが省略された状態(伝達歯車365が切断され第2ピニオン365aのみが部分的に図示された状態)が図示される。但し、第2ピニオン365aの切断面へのハッチングの付与を省略する。
図21(a)、図22及び図23に示すように、変位部材310が下降位置に配置された状態では、伝達機構は、第2ラック364が可動範囲のうちの最下方(図22及び図23下側)に配置されると共に、付勢ばね366が最も縮んだ状態とされる。かかる状態から、駆動モータ341の駆動力により歯車361が正方向(図22時計回り(右回り))へ回転されると、その歯車361の回転が歯車列(歯車362a〜362e)によりクランク歯車363へ伝達され、クランク歯車363が図22時計回り(右回り)に回転される。
クランク歯車363が図22時計回り(右回り)に回転されると、そのクランク歯車363の偏心ピン363aが第2ラック364のラック溝364bに沿って摺動されることで、第2ラック364が上方(図22上方)へ向けて変位(上昇)され、第2ピニオン365aが図22時計回り(右回り)に回転される。即ち、伝達歯車365が図23反時計回り(左回り)に回転される。その結果、伝達歯車365の回転が、増速部365bを介して、第1ピニオン351へ伝達され、第1ピニオン351が正方向(図23時計回り(右回り))に回転される。
この第1ピニオン351の図23時計回り(右回り)の回転は、他側部材320Rにおいて図21(a)反時計回り(左回り)の回転であるので、かかる第1ピニオン351の図21(a)反時計回り(左回り)の回転により、変位部材310の第1ラック315が下方(図21(a)下側)へ向けて変位(下降)される。これにより、図21(b)に示すように変位部材310が下降され、その後、図21(c)に示す下降位置に変位部材310が配置される。
図21(c)に示す下降位置に変位部材310が配置された状態では、図24及び図25に示すように、伝達機構は、第2ラック364が可動範囲のうちの最上方(図24及び図25上側)に配置されると共に、付勢ばね366が最も伸長された状態とされる。かかる状態から、駆動モータ341の駆動力により歯車361が逆方向(図24反時計回り(左回り))へ回転されると、その歯車361の回転が、伝達機構を介して、上述した作用とは逆の作用により、第1ピニオン351に伝達され、第1ピニオン351が逆方向(図23反時計回り(左回り))に回転される。その結果、図21(b)に示すように変位部材310が上昇され、その後、図21(a)に示す上昇位置に変位部材310が配置される。
ここで、本実施形態では、第2ラック364の直線運動を伝達歯車365及び第1ピニオン351へ伝達して回転運動に変換した後、その回転運動を第1ピニオン351から第1ラック315に伝達して直線運動に変換するという2段ラック構造を採用することで、変位部材310(第1ラック315)のストローク量を確保する。このような2段ラック構造では、第2ラック364を直線運動させる構成として、駆動モータ341により回転駆動される第3ピニオンを採用すると、第2ラック364に、第2ピニオン365b用の歯面と第3ピニオン用の歯面とのそれぞれを確保することが必要となり、その分、第2ラック364の長手方向(図22上下方向)寸法の増加を招く。
これに対し、本実施形態では、第2ラック364を直線運動させる構成が、第3ピニオンではなく、クランク機構(クランク歯車363の偏心ピン363a及び第2ラック364のラック溝364b)により形成されるので、第3ピニオン用の歯面を第2ラック364に設けることを不要とでき、その分、第2ラック364の長手方向寸法を抑制することができる。
この場合、ラック溝364bは、第2ラック364の歯面と垂直な方向(即ち、第2ラック364の直線運動方向に直交する方向、図22左右方向)に直線状に延設されるので、クランク歯車363が回転されて偏心ピン363aがラック溝364bを摺動する際に、偏心ピン363aからラック溝364bに作用される力成分に第2ラック364の直線運動方向以外の成分が発生することを抑制でき、その分、抵抗を低減できる。その結果、第2ラック364を直線運動に要するエネルギー消費を抑制できる。
変位部材310が図21(a)に示す上昇位置または図21(c)に示す下降位置に配置されたことの検出は、上述したように、クランク歯車363の被検出部363bをセンサ装置により検出することで行われる。この場合、例えば、第1ラック315や第2ラック364の可動範囲における始端および終端にそれぞれセンサ装置を配設し、それら各センサ装置の検出結果により、変位部材310が上昇位置または下降位置に配置されたことを検出する構造では、第1ラック315や第2ラック364の直線運動における始端と終端という離れた位置にセンサ装置をそれぞれ配設する必要があり、その分、配線が長くなる。配線が長くなると、材料コストが嵩むだけでなく、他の部材との干渉を避けた状態で配線を取り回すことが必要となり、設計の自由度が悪化すると共に、他の部材の動作に巻き込まれることでの断線のリスクが高くなる。特に、本実施形態のように、背面ベース331及び中間ベース332の対向間に伝達機構を収容する構造では、他の部材(伝達機構)との干渉を避けながら配線を取り回すことが困難となる。
これに対し、本実施形態ではクランク歯車363に被検出部363bを設け、その被検出部363の回転位置(位相)をセンサ装置により検出することで、変位部材310が上昇位置または下降位置に配置されたことを検出する構造なので、各センサ装置を近接して配設することができる。よって、配線を短くすることができるので、材料コストの削減を図ることができるだけでなく、設計の自由度の向上と断線の発生の抑制とを図ることができる。
ここで、変位部材310を昇降させる構造では、変位部材310に作用する重力の影響により、変位部材310の上昇時に下降時よりも大きな駆動力が必要となる。この場合、本実施形態では、変位部材310が図21(c)に示す下降位置に配置されると、図24及び図25に示すように、付勢ばね366が最も伸長された状態となる。よって、変位部材310を上昇位置へ上昇させる際には、付勢ばね366の付勢力を、変位部材310を上昇させる(即ち、第2ラック364を下方(図24及び図25下側)へ変位させる)ための力として利用できる。即ち、付勢ばね366の付勢力により駆動モータ341の駆動力を補助することができる。
しかしながら、このように、第2ラック364に付勢ばね366の付勢力を付与する構造では、第2ラック364及び第2ピニオン365aの間での駆動力の伝達が不安定になりやすい。即ち、第2ラック364の直線運動を案内する案内機構には、所定の公差が設けられており、その公差の分、案内機構と第2ラック364との間には隙間が存在し、第2ラック364はがたつきを有する。よって、第2ラック364が直線運動する際には、完全に一直線上を変位することはできず、上記公差(隙間)の分、第2ラック364の姿勢に暴れ(第2ピニオン365aへ近接離間する方向へのがたつき)が発生する。そのため、第2ラック364と第2ピニオン365aとの噛み合い(歯合)が安定せず、駆動力の伝達が不安定となる。この場合に、第2ラック364に付勢ばね366から付与される構造において、その付勢力の方向が、第2ラック364の直進運動の方向と一致される場合には、かかる付勢ばね366の付勢力が、第2ラック364の姿勢の暴れを助長させる力として作用される。
これに対し、本実施形態では、図22から図25に示すように、付勢ばね366から第2ラック364に付与される付勢力の方向が、第2ラック364の直線運動の方向に対して非平行とされる(傾斜される)ので、第2ラック364をその第2ラック364を案内する案内機構の一側へ押し付ける方向の力として、付勢ばね366の付勢力を第2ラック364に作用させることができる。その結果、第2ラック364をがたつき難くして、その姿勢の暴れが発生することを抑制できる。
更に、付勢ばね366から第2ラック364に付与される付勢力の方向が、第2ラック364の直線運動の方向に対して非平行とされる(傾斜される)ことで、第2ラック364の姿勢の暴れが一端発生しても、その姿勢の暴れを収束させる方向の力として、付勢ばね366の付勢力を第2ラック364に作用させることができる。よって、第2ラック364及び第2ピニオン365aの噛み合い(歯合)を安定させることができ、その駆動力の伝達を安定化させることができる。
本実施形態では、付勢ばね366の付勢力の付与方向が、第2ラック364の下端側を第2ピニオン365aと反対側(例えば、図22左側)へ向けて付勢する方向へ傾斜される。即ち、付勢力の付与方向が、第2ラック364の歯面を第2ピニオン365aの歯面に近接させる力成分を発生させる方向であるので、これら両歯面の間の隙間を抑制できる。よって、歯面間の隙間によって、第2ラック364から第2ピニオン365aへ駆動力を伝達する際にタイムラグが発生することを抑制でき、応答性の向上を図ることができる。また、停止状態からの駆動力を伝達する直後(噛み合い初期)における歯面どうしの衝突により歯面の摩耗が促進されることや歯面が破損することを抑制できる。更に、歯面が摩耗した際でも、歯面の隙間を詰めることができるので、第2ラック364と第2ピニオン365aとの噛み合い(歯合)状態を一定に維持しやすくできる。
ここで、上述したように、付勢ばね366の付勢力により駆動モータ341の駆動力を補助する構造では、かかる付勢ばね366を配設するためのスペースの確保が困難であった。そのため、付勢ばね366の長さ寸法を所望の付勢力を発揮可能とするための長さ寸法とすることが困難であった。これに対し、本実施形態では、図22から図25に示すように、付勢ばね366を屈曲した姿勢で配設するので、他の部材の干渉を回避しつつ、その長さ寸法を確保することができる。
即ち、本実施形態では、背面ベース331及び中間ベース332を、上述したように、本体部分とその本体部分から張り出す張出部分とから正面視略L字状に形成することで、張出部分を付勢ばね366の配設スペースとして利用して、付勢ばね366の屈曲した姿勢での配設が可能となるだけでなく、背面ベース331及び中間ベース332からなる構造体の剛性を高くすることができるので、変位部材310の変位を安定化できる。更に、張出部分は、背面ベース331及び中間ベース332の下端側から内方へ向けて張り出されるので、介設部材370の下方に形成されるデッドスペースを張出部分の配設スペースとして有効に利用できる。また、かかる張出部分(中間ベース332)の正面に連結軸332mを形成することで、介設部材370との連結作業を容易とでき、作業性の向上を図ることができると共に、介設部材370を介設したことによる上下スライドユニット300全体としての剛性の向上効果を高めることができる。
次いで、図26を参照して、第2ラック364及び第2ピニオン365aの噛み合い(歯合)状態について説明する。
図26(a)から図26(c)は、第2ラック364及び第2ピニオン365aの部分拡大正面図であり、図22に対応する。なお、図26(b)では、図26(a)の状態に対して第2ラック364がラック軸331bを中心として右回りに回転された状態が、図26(c)では、図26(a)の状態に対して第2ラック364がラック軸331bを中心として左回りに回転された状態が、それぞれ図示される。また、図26では、伝達歯車365の増速部365bが省略された状態(伝達歯車365が切断され第2ピニオン365aのみが部分的に図示された状態)が図示される。但し、第2ピニオン365aの切断面へのハッチングの付与を省略する。
上述したように、第2ラック364が直線運動する際には、完全に一直線上を変位することはできず、上記案内機構の公差(隙間)の分、第2ラック364の姿勢に暴れ(第2ピニオン365aへ近接離間する方向(図26(a)左右方向)へのがたつき)が発生する。そのため、第2ラック364と第2ピニオン365aとの噛み合い(歯合)が安定せず、駆動力の伝達が不安定となる。
これに対し、本実施形態では、背面ベース331のラック軸331bは、第2ピニオン365aに対向して配設され、そのラック軸331bが第2ラック364の案内溝364aに回転可能かつ摺動可能に挿通される。よって、第2ラック364が直線運動する際には、図25及び図26に示すように、ラック軸331bを中心として第2ピニオン365aを回転させることができ、かかる第2ラック364の歯面を第2ピニオン365aの歯面に沿って変位させることができる。
即ち、第2ラック364の姿勢が暴れる場合に、その暴れを、第2ピニオン365aへ近接離間する方向(図26(a)左右方向)へのがたつきではなく、第2ピニオン365aの歯面に沿った回転(ラック軸331bを中心とする回転)に規制することができる。これにより、第2ラック364と第2ピニオン365aとの噛み合い(歯合)状態を一定に維持しやすくして、駆動力の伝達を安定化させることができる。
この場合、案内溝364aが第2ラック364の板面内に形成されると共に、ラック軸331bが背面ベース331の第2ラック364に対面する領域に形成されるので、これら案内溝364a及びラック軸331bを第2ラック364の直線運動における軌跡上に配置できる。即ち、第2ラック364を第2ピニオン365aの歯面に沿って変位可能とするための部位(案内溝364a、ラック軸331b)を、第2ラック364の外形の外に形成する必要がなく、第2ラック364の移動のためのスペースであって他の部材を配設できないデッドスペースに配設することができるので、その分、スペース効率の向上を図ることができる。
次いで、図27を参照して、変位部材310の可動機構(本体部311に対して端側部314及び第1ラック315が相対変位可能とされる構造)の動作について説明する。
図27(a)から図27(c)は、上下スライドユニット300の部分拡大正面図である。なお、図27(a)では、左右の端側部314でスライド変位の進度が互いに一致している状態が、図27(b)では、左右の端側部314でスライド変位の進度にずれが生じている状態が、図27(c)では、スライド変位の進度のずれが所定量を越えたことで、ストッパ面311b,314bによるストッパ機能が発揮された状態が、それぞれ図示される。
上述したように、他側部材320Rにおいて、駆動モータ341が回転駆動されると、その駆動モータ341の駆動力が伝達機構(図22〜図25参照)を介して第1ピニオン351に伝達され、第1ピニオン351が回転される。他側部材320Rにおける第1ピニオン351には、変位部材310の長手方向他側(図21右側)における第1ラック315が歯合されており、その第1ラック315が第1ピニオン351の回転に伴い直線運動(上昇または下降)される。これと同時に、一側部材320Lにおいて、駆動モータ341が回転駆動されると、その駆動モータ341の駆動力が伝達機構を介して第1ピニオン351に伝達され、第1ピニオン351が回転される。一側部材320Lにおける第1ピニオン351には、変位部材310の長手方向一側における第1ラック315が歯合されており、その第1ラック315が第1ピニオン351の回転に伴い直線運動(上昇または下降)される。その結果、変位部材310が上下方向(一側部材320L及び他側部材320Rの長手方向)に沿って変位される(図21参照)。
しかしながら、このように、変位部材310の長手方向一側が一側部材320Lによって、長手方向他側が他側部材320Rによって、それぞれ別々に案内および駆動される構造では、一側部材320による案内および駆動と、他側部材320Rによる案内および駆動との間にずれが生じやすい。そのため、変位部材310を安定して変位させることが困難である。一側部材320による案内および駆動と、他側部材320Rによる案内および駆動との間に大きなずれが生じると、各駆動モータ341の負荷が過大になるばかりか、変位部材310の停止を招くおそれもある。
これに対し、本実施形態では、本体部311の突設ピン311aが端側部314の長穴314aに挿通されることで(図12参照)、本体部311に対して端側部314及び第1ラック315が相対変位可能に形成される。そのため、例えば、変位部材310が上昇される場合に、一側部材320Lによる案内または駆動が、他側部材320Rによる案内または駆動に対して相違するものとなった場合(例えば、一側および他側のスライダSにおいて摺動抵抗に差が生じた場合や一側および他側の駆動モータ341において駆動力のばらつきが発生した場合)でも、図27(b)に示すように、一側部材320Lにより案内および駆動される第1ラック315(図27(b)左側)の直線運動を、他側部材320Rにより案内および駆動される第1ラック315(図27(b)右側)の直線運動よりも先行させる(図27(b)上側へ位置させる)ことができる。
即ち、一側部材320Lによる案内または駆動と、他側部材320Rによる案内または駆動との間にずれが生じた場合には、そのずれを、図27(b)に示すように、変位部材310の可動機構(本体部311に対して端側部314及び第1ラック315が相対変位可能とされる構造)によって吸収することができる。その結果、変位部材310を安定して変位させることを可能として、各駆動モータ341の負荷が過大になることや、変位部材310が停止することを抑制できる。
本実施形態では、可動機構を構成する長穴314aが、上述したように、端側部314が案内棒Pに沿って摺動する方向に直交する方向(即ち、変位部材310の長手方向であって、一側部材320L及び他側部材320Rを結ぶ方向、図27(a)左右方向)に長い長穴形状に形成される(図13参照)。よって、一側部材320Lによる案内または駆動が、他側部材320Rによる案内または駆動に対して相違するものとなった場合(ずれが生じた場合)には、その相違に伴って、本体部311の突設ピン311aの端側部314の長穴314aに沿った変位(摺動)を生じさせやすく、これにより、一方の端側部314が他方の端側部314よりも案内棒Pに沿った変位を先行させる図27(b)に示す形態への移行を確実に行わせることができる。
各端側部314には、それぞれ2本の長穴314aが平行に形成され、本体部311の長手方向一側および他側には、それぞれ2本ずつ突設ピン311aが突設されるので、本体部311と端側部314との連結強度を確保して、変位部材310が上下方向へのスライド変位される際の本体部311のがたつきやぐらつきを抑制できる。
本体部311及び端側部314には、ストッパ面311b,314bがそれぞれ形成され、組立状態では、それらストッパ面311b,314bどうしが所定間隔を隔てつつ対向配置されるので(図12参照)、図27(b)に示すように、一方の端側部314における変位が他方の端側部314における変位よりも先行される場合には、その変位差が規定量を越えることを、図27(c)に示すように、ストッパ面311b,314bどうしを当接させることで規制することができる。これにより、突設ピン311aが折損することを抑制できる。
本実施形態では、一側部材320L及び他側部材320Rのそれぞれに駆動モータ341が配設され、変位部材310の長手方向一側および他側の両側が駆動される構造(両側駆動)なので、1の駆動モータ341により駆動される構造(片側駆動)の場合と比較して、駆動モータ341の分担荷重を低減でき、その分、変位部材310の大型化あるいは変位部材310の変位速度の高速化を図ることができる。
一方で、このように両側駆動の構造では、一側部材320L側での駆動と、他側部材320R側での駆動とを完全に同期させることは不可能であり、ずれが生じやすい。これに対し、本実施形態では、可動機構(本体部311に対して端側部314及び第1ラック315が相対変位可能とされる構造)が、本体部311の長手方向一側および他側の2か所に形成される。よって、一側部材320L側での駆動と、他側部材320R側での駆動とにずれが生じた場合でも、2か所に形成される可動機構のうちの一側部材320L側に位置する可動機構が一側部材320Lの案内または駆動の状態に応じて、他側部材320R側に位置する可動機構が他側部材320Lの案内または駆動の状態に応じて、それぞれ異なる形態で変形(突設ピン311aが長穴314a内で変位)することができる。
従って、一側および他側におけるずれを、一側および他側の両可動機構の連動により効果的に吸収することができる。その結果、変位部材310を安定して変位させることを可能として、各駆動モータ341の負荷が過大になることや、変位部材310が停止することを抑制できる。
次いで、図28を参照して、背面ベース331及び中間ベース332への伝達機構の組み付け方法について説明する。図28は、分解した他側部材320Lを背面視した他側部材320Lの分解背面斜視図である。なお、図28では、正面ベース333及び第1ピニオン351の図示が省略される。
図28に示すように、背面ベース331及び中間ベース332への伝達機構の組み付けは、中間ベース332の正面に駆動モータ341を装着すると共に、中間ベース332の背面において、各ギヤ軸332c〜332gに歯車362a〜362eを、ギヤ軸332hにクランク歯車363を、ギヤ軸332iに伝達歯車365を、それぞれ装着した後(ギヤ軸332c〜332iについては図18参照)、第2ラック364を、そのラック溝364bにクランク歯車363の偏心ピン363aを挿通させると共に伝達歯車365の第2ピニオン365aに歯合させた状態で、配設する。
次いで、中間ベース322の背面にフランジ部367aを当接させる向きでローラー367を載置した後、付勢ばね366を載置する。付勢ばね366は、その他端を、中間ベース332の張出部分の張出先端に形成された係止部に係止させつつ、屈曲した姿勢で載置する。この段階では、付勢ばね366は、その一端が、第2ラック364の係止部に係止されておらず、ローラー367と歯車列の一部(歯車362a,362b)との間に保持される。
この場合、付勢ばね366は、無負荷状態(自由長さを維持した状態)となるので、屈曲した姿勢で安定して保持可能となる。なお、この場合、歯車列の一部(歯車362a,362b)を、付勢ばね366を屈曲した姿勢で保持するための部位として兼用するので、付勢ばね366を保持するための壁部などを設けることを不要とでき、その分、製品コストの削減を図ることができる。
このように、中間ベース332に伝達機構を装着した状態(図28に示す状態)を形成した後は、中間ベース332の背面に背面ベース331の正面を向い合せて、両者を締結固定する。最後に、背面ベース331の第1開口331cを介して、付勢ばね366の一端を第2ラック364の係止部に係止する。これにより、背面ベース331及び中間ベース332への伝達機構の組み付けが完了する。
なお、付勢ばね366の一端を第2ラック364の係止部に係止させる作業は、例えば、爪形状が先端に形成された治具を用いる。詳細には、背面ベース331の第1開口331cから挿入した治具の先端で付勢ばね366の一端を係止(保持)し、付勢ばね366を弾性変形(伸長)させつつ、第2ラック364の係止部に係止させる。
ここで、本実施形態のように、付勢ばね366を屈曲した姿勢で配置する場合には、配設スペースを確保しやすくできる一方で、その付勢ばね366の屈曲した姿勢を維持させることが困難であり、組み付け工程において、付勢ばね366が弾かれる(自身の弾性回復力で飛び跳ねる)現象が発生する。即ち、図28に示す状態において(即ち、中間ベース332の背面側に背面ベース331を覆設する前に)、付勢ばね366の一端を第2ラック364の係止部に係止した場合には、付勢ばね366が屈曲した姿勢を維持し且つ第2ラック364が脱落しないように一方の手で付勢ばね366及び第2ラック364を押さえ付けつつ、他方の手で背面ベース331を中間ベース332へ覆設する作業を行う必要があり、煩雑となる。
これに対し、本実施形態によれば、背面ベース331の一部(付勢ばね366の一端を含む領域)に第1開口331cが開口形成されるので、中間ベース332の背面に背面ベース331を覆設した後に、第1開口部331cを介して、付勢ばね366の一端を第2ラック364の係止部に係止させることができる。即ち、背面ベース331が先に覆設されることで、その背面ベース331を付勢ばね366及び第2ラック364に対向配置しておき(即ち、背面ベース331で付勢ばね366及び第2ラック364を押さえ付けておくことができ)、付勢ばね366が弾かれることや第2ラック364が脱落することを抑制できる。その結果、付勢ばね366の一端を第2ラック364に接続する作業を行いやすくでき、組み立て作業の能率化を図ることができる。
また、このように、背面ベース331に第1開口331cが開口形成されることで、組み立て作業(付勢ばね366の取り付け作業)の作業性の向上を図ることができるだけでなく、付勢ばね366が弾性変形(伸縮する)際の摺動抵抗を低減することができる。即ち、第1開口331cは、上述したように、背面ベース331の背面視において付勢ばね366に重なる領域に形成されるので、付勢ばね366と背面ベース331との間の摺動を抑制して、抵抗が生じることを低減できる。よって、付勢ばね366の弾性変形が阻害されることを抑制できるので、その付勢力を安定して第2ラック364へ作用させることができる。また、付勢ばね366が金属製のコイルスプリングとして形成されると共に、背面ベース331が樹脂材料から形成される場合であっても、第1開口331cが形成されることで、付勢ばね366の摺動に伴い背面ベース331が摩耗されることを抑制でき、その結果、摩耗に伴い発生した粉塵が機械的な可動部やセンサ装置等の電子機器に入り込み悪影響を与えることを抑制できる。
また、背面ベース331には、付勢ばね366の一端側に対応する第1開口331cだけでなく、付勢ばね366の他端側に対応して第2開口331dも開口形成されるので、その分、上述した摺動抵抗の低減および摩耗の抑制を図ることができる。
この場合、これら第1開口331c及び第2開口331dは、直線状に(即ち、付勢ばね366の直線状の部分に対応する領域のみに)形成される。よって、付勢ばね366の屈曲部分に板面(付勢ばね366に対向する対向部材)を残すことができる。よって、開口の形成領域を最大限確保しつつ、摺動抵抗の低減および摩耗の抑制の効果を最大限確保しつつ、付勢ばね366が屈曲した姿勢を維持するために必要な個所に対向部材を配置することができる。
次いで、図29から図41を参照して、円環形成ユニット400の詳細構成について説明する。
図29は、円環形成ユニット400の正面図であり、図30は、円環形成ユニット400の背面図である。なお、図29及び図30では、円環分割体440L1〜440R2が退避位置に配置された状態が図示される。
図29及び図30に示すように、円環形成ユニット400は、所定間隔を隔てつつ向い合せの姿勢で対向配置される一側円環ユニット410L及び他側円環ユニット410Rからなり、各円環ユニット410L,410Rには、上下一対の円環分割体440L1,440L2,440R1,440R2がそれぞれ配設される。円環形成ユニット400は、各円環ユニット410L,410Rを動作させることで、各円環分割体440L1〜440R2を図29に示す退避位置から各円環ユニット410L,410Rの対向間中央(円環形成位置)に変位させ、その円環形成位置において円環形状を形成する(図39から図41参照)。
ここで、一側円環ユニット410L及び他側円環ユニット410Rは、若干の形状の相違を有するが、技術的機能を発揮する部分については、位置決め機構を除き、左右対称(互いの対向間中央に位置する仮想平面に対して面対称)に形成され、その構成は実質同一であるので、以下においては、他側円環ユニット410Rを代表例として説明し、一側円環ユニット410Lについての説明は省略する。位置決め機構については、図38を参照して、後述する。
図31は、他側円環ユニット410Rの正面図であり、図32は、他側円環ユニット410Rの背面図である。なお、図31及び図32では、円環分割体440L1,440L2が円環形成位置に配置された状態が図示される。
また、図33は、分解した他側円環ユニット410Rを正面視した他側円環ユニット410Rの分解正面斜視図であり、図34は、分解した他側円環ユニット410Rを背面視した他側円環ユニット410Rの分解背面斜視図である。なお、図33及び図34は、円環分割体440R1,440R2が退避位置に配置された状態に対応する。
図31から図34に示すように、他側円環ユニット410Rは、背面ベース420と、その背面ベース420に配設される駆動機構430と、その駆動機構430により駆動される円環分割体440R1,440R2と、その円環分割体440R1,440R2の姿勢を規定する姿勢規定部材450と、その姿勢規定部材450の上部を背面ベース420に吊り下げ支持する吊り下げ機構460と、姿勢規定部材450の下端を案内する下端案内機構470と、背面ベース420に覆設されるカバー体480と、を主に備えて形成される。ここで、図35を参照して、背面ベース420について説明する。
図35は、背面ベース420の正面斜視図である。図35に示すように、背面ベース420は、正面視縦長の長尺状に形成される本体部分と、その本体部分の上端から側方へ張り出す上部張出部分と、その上部張出部分よりも下方となる位置で本体部分から側方へ張り出す下部張出部分とをから正面視略逆F字状に形成される。
背面ベース420には、その本体部分にモータ軸挿通窓421が開口形成されると共に、本体部分の正面から上ラック軸422a、下ラック軸422b、ギヤ軸423、上アーム軸425a及び下アーム軸426がそれぞれ突設される。モータ軸挿通窓421は、背面ベース420の背面に取着された駆動モータ431の駆動軸を、背面ベース420の正面側において駆動機構の歯車361に連結させるための開口である。
上ラック軸462a及び下ラック軸462bは、駆動機構の第3ラック433の上案内溝433c及び下案内溝433d(いずれも図36参照)にそれぞれ挿通され第3ラック433の直線運動を案内するための断面円形の軸状体である。なお、上ラック軸462a及び下ラック軸462bの直径は、第3ラックの上案内溝433c及び下案内溝433dの溝幅と同等または若干小さい寸法に設定される。
ギヤ軸423は、駆動機構の伝達歯車434(図36参照)を回転可能に軸支するための断面円形の軸状体であり、上アーム軸425及び下アーム軸426は、駆動機構の上アーム体435及び下アーム体436の回転基部435a,436a(図36参照)をそれぞれ回転可能に軸支するための断面円環の筒状体である。
なお、背面ベース420の正面には、上ラック軸422a、ギヤ軸423及び上下アーム軸425,426に対応する領域にカバー体480が覆設(締結固定)され、このカバー体480と背面ベース420との対向間に第3ラック433の上端側、伝達歯車434及び上下アーム体435,436(回転基部435a,436a)が収容される(図31参照)。
背面ベース420の上張出部分には、吊り下げ機構460が配設(締結固定)されると共に、背面ベース420の本体部分の下端および下張出部分には、下端案内機構470が配設(締結固定)される(いずれも図31から図33参照)。後述するように、姿勢規定部材450は、吊り下げ機構460を介して、背面ベース420の正面(前面)側に左右方向へスライド変位可能な状態で吊り下げ支持され、姿勢規定部材450が左右方向へスライド変位される際の前後方向へのがたつき(揺れ)が、下端案内機構470により規制される。なお、下端案内機構470と背面ベース420との対向間に第3ラック433の下端側および歯車432が収容される(図31参照)。
図31から図34に戻って説明する。駆動機構430は、駆動モータ431の駆動力により円環分割体440R1,440R2を変位させる機構であり、背面ベース420の背面に取着される駆動モータ431と、その駆動モータ431の駆動軸に固着される歯車432と、その歯車432に駆動されて直線運動される第3ラック433と、その第3ラック433の直線運動により回転駆動される伝達歯車434と、その伝達歯車434により駆動されて回転される上アーム体435及び下アーム体436とを主に備えて形成される。ここで、図36を参照して、駆動機構430の詳細構成およびその動作について説明する。
図36(a)は、円環分割体440R1,440R2を退避位置に配置する姿勢が形成された状態における駆動機構430の正面図であり、図36(b)は、円環分割体440R1,440R2を円環形成位置に配置する姿勢が形成された状態における駆動機構430の正面図である。なお、図36では、駆動モータ431の図示が省略される。
図36(a)及び図36(b)に示すように、第3ラック433は、正面視縦長の平板状に形成され、上ラック部433a及び下ラック433bと、上案内溝433c及び下案内溝433dとを備える。上ラック部433a及び下ラック部433bは、平板状体の上端側および下端側の側面(図36(a)左側の面)にそれぞれ歯切りがされることでラックとして形成される部分であり、上端側のラック部433bには伝達歯車434が、下端側のラック部433aには歯車432が、それぞれ歯合される。
上案内溝433c及び下案内溝433dは、背面ベース420の上ラック軸422a及び下ラック軸422b(図35参照)がそれぞれ挿通される開口であり、上ラック部433a及び下ラック部433bにそれぞれ隣接する位置において、それらの歯面と平行に上下方向(即ち、平板状体(第3ラック433)の長手方向、図36(a)上下方向)に沿って直線状に延設される。
上アーム体435及び下アーム体436は、平板状の長尺体として形成され、その長尺体の基端側に回転基部435a,436aが、長尺体の先端側に回転連結部435b,436bが、それぞれ形成される。
回転基部435a,436aには、背面ベース420の上アーム軸425及び下アーム軸426に回転可能に軸支されるための正面視円形の軸孔がそれぞれ穿設されると共に、外周面に沿ってギヤが刻設される。即ち、回転基部435a,436aは、背面ベース420の上アーム軸425及び下アーム軸426に回転可能に軸支される歯車として形成される。上アーム体435の回転基部435aにおけるギヤには、下アーム体436の回転基部436aにおけるギヤが歯合され、下アーム体436の回転基部436aにおけるギヤには、伝達歯車434が歯合される。
回転連結部435b、436bは、円環分割体440R1,440R2に連結される部位であり、後述するように、姿勢規定部材450のアーム連結溝451(図37参照)を介して、円環分割体440R1,440R2の背面から突設される回転連結部441(図34参照)にそれぞれ回転可能に連結される。
図36(a)に示すように、駆動機構430は、円環分割体440R1,440R2を退避位置に配置する姿勢が形成された状態では、第3ラック433が可動範囲のうちの最下方(図36下側)に配置されると共に、上アーム体435及び下アーム体436がその長手方向を鉛直方向に沿わせる姿勢(即ち、各アーム体435,436の長手方向に沿う仮想線の延長線上に背面ベース420の各アーム軸425,426が位置する姿勢)とされる。
このように、本実施形態によれば、円環分割体440R1,440R2を退避位置に配置する姿勢が形成された状態では、上アーム体435を垂直な姿勢となるまで起立させることができので、後述するように、円環分割体440R1を後方へ十分に退避させることができると共に、駆動モータ431の消費エネルギーの抑制を図ることができる。
図36(a)に示す状態から、駆動モータ431の駆動力により歯車432が正方向(図36反時計回り(左回り))へ回転されると、その歯車432の回転により、第3ラック433が上方(図36(a)上側)へ向けて変位(上昇)され、伝達歯車434が図36(a)反時計回り(左回り)へ回転される。
伝達歯車434が図36(a)反時計回り(左回り)へ回転されると、その伝達歯車434の回転により、下アーム体436の回転基部436aが図36(a)時計回り(右回り)に回転されると共に、その下アーム体436の回転基部436aの回転により、上アーム体435の回転基部435aが図36反時計回り(左回り)に回転される。これにより、上アーム体435の先端側(回転連結部435b)が下降される一方、下アーム体436の先端側(回転連結部436b)が上昇されて、図36(b)に示すように、円環分割体440R1,440R2を円環形成位置に配置する姿勢が形成される。
図36(b)に示すように、円環分割体440R1,440R2を円環形成位置に配置する姿勢が形成された状態では、第3ラック433が可動範囲のうちの最下方(図36下側)に配置される。かかる状態から駆動モータ431の駆動力により歯車432が逆方向(図36時計回り(右回り))へ回転されると、その歯車432の回転が、第3ラック433及び伝達歯車434を介して、上述した作用とは逆の作用により、下アーム体436の回転基部436a及び上アーム体435の回転基部435aに伝達される。その結果、上アーム体435の先端側(回転連結部435b)が上昇される一方、下アーム体436の先端側(回転連結部436b)が下降されて、図36(a)に示すように、円環分割体440R1,440R2を退避位置に配置する姿勢が形成される。
本実施形態によれば、上アーム体435及び下アーム体436には、それらの基端側に回転基部435a,436aが形成されると共に、それら回転基部435a,436aのギヤどうしが歯合された状態で背面ベース420に回転可能に軸支されるので、これら上アーム体435及び下アーム体436どうしの回転を同期させることができる。これにより、後述するように、上アーム体435及び下アーム体436の先端側に配設された円環分割体440R1,440R2どうしを円環形成位置において精度良く当接させることができる(図31及び図32参照)。また、下アーム体436の回転基部436aを回転駆動すれば、上アーム体435も回転基部435a,436aの歯合を介して従動して回転させることができる。よって、1の駆動モータ431により2本のアーム(上下アーム体435,436)を回転駆動させることができ、アームごとに駆動源を設ける必要がないので、その分、部品コストの削減とスペース効率の向上とを図ることができる。
図31から図34に戻って説明する。姿勢規定部材450は、円環分割体440R1,440R2の姿勢を規定するための部材である。即ち、円環分割体R1,440R2が退避位置および円環形成位置の間で変位される際に、それら円環分割体R1,440R2の変位に伴って左右方向へスライド変位しつつ、円環分割体440R1,440R2の姿勢を非回転状態に維持する(即ち、平行な姿勢を維持させつつ退避位置と円環形成位置との間で変位させる)。ここで、図37を参照して、姿勢規定部材450の詳細構成について説明する。
図37は、姿勢規定部材450の正面斜視図である。なお、図37では、姿勢規定部材450の上端が吊り下げ機構460に吊り下げ支持されると共に、姿勢規定部材450の下端が下端案内機構470に案内される状態が図示される。
図37に示すように、姿勢規定部材450は、上アーム体435及び下アーム体436の先端側(回転連結部435b,436b)と円環分割体440R1,440R2との間に介設される正面視縦長平板状の部材であり(図31及び図32参照)、アーム連結溝451及びそのアーム連結溝451を挟んで位置する一対の姿勢規定溝452の3本の溝からなる組が上下に2組形成される。
アーム連結溝451は、上アーム体435及び下アーム体436の回転連結部435a,436(図36参照)と円環分割体440R1,440R2の回転連結部441(図34参照)とを連結させるための開口であり、上下方向(即ち、吊り下げ機構460による姿勢規定部材450のスライド方向に直交する方向、図37上下方向)に沿って直線状に延設される。姿勢規定溝452は、円環分割体440R1,440R2の摺動軸442(図34参照)がカラーCを介して挿通される開口であり、アーム連結軸451と平行に上下方向に沿って直線状に延設される。
アーム連結軸451の溝幅は、上下アーム体435,436の回転連結部435a,436と円環分割体440R1,440R2の回転連結部441との連結部分が溝内で回転可能かつ溝に沿って摺動可能な寸法に設定されると共に、姿勢規定溝452の溝幅は、円環分割体440R1,440R2の摺動軸442(カラーC)が溝に沿って摺動可能な寸法に設定される。
即ち、上下アーム体435,436は、アーム連結軸451を介して、円環分割体440R1,440R2に回転可能に連結される一方、円環分割体440R1,440R2は、姿勢規定溝452への摺動軸442の挿通により、姿勢規定部材450に回転不能とされる一方で上下方向へのスライド変位は許容された状態で保持される。よって、後述するように、上下アーム体435,436が回転されると、姿勢規定部材450が左右方向へスライド変位されつつ、円環分割体440R1,440R2が、その姿勢を平行な状態に維持しつつ、アーム連結軸451及び姿勢規定溝452に沿って上下方向へスライド変位される(図39から図41参照)。
吊り下げ機構460は、背面ベース420の上張出部分(図31及び図35参照)に配設(締結固定)される正面視横長平板状のベース部461と、そのベース部461に配設される断面円形の棒状体として形成される真鍮製の案内棒462とを備える。案内棒462は、ベース部461が背面ベース420に配設された状態で左右方向に沿う姿勢に配置される。なお、姿勢規定部材450の上端には、円筒状のスライダ部453が配設されており、そのスライダ部453に案内棒462が挿通される。これにより、姿勢規定部材450が背面ベース420に、吊り下げ機構460を介して、左右方向にスライド変位可能な状態で吊り下げ支持される。
下端案内機構460は、背面ベース420の本体部分の下端および下張出部分(図31及び図35参照)に配設(締結固定)される部材であり、背面ベース420の下張出部分に配設される部分に案内溝471が形成される。案内溝471は、姿勢規定部材450の下端における前後方向(姿勢規定部材450が吊り下げ機構460の案内棒462を中心として回転される際に姿勢規定部材450の下端が変位する方向)への変位を所定範囲内に規制するための部位であり、上方(図37上側)が開放されると共に案内棒462に平行な方向に沿って延設される断面略コ字状の凹溝として形成される。
案内溝471は、その溝幅が、姿勢規定部材450の下端における板厚よりも大きな寸法に設定されると共に、吊り下げ機構460に吊り下げ支持された姿勢規定部材450の下端における正面および背面に対して、案内溝471の互いに対向する内側面がそれぞれ所定間隔を隔てつつ対向配置する位置に配設される。即ち、姿勢規定部材450の下端は案内溝471に遊嵌されており、姿勢規定部材450が安定状態にある場合には、その姿勢規定部材450の下端が案内溝471の内側面に非接触とされる。
このように、本実施形態では、姿勢規定部材450は、上端側が吊り下げ機構460を介して背面ベース420に吊り下げ支持されると共に、下端側が下端案内機構470の案内溝471に遊嵌されるので、姿勢規定部材450が背面ベース420に対して左右方向へスライド変位される際の抵抗を抑制して、上下アーム体435,436の回転により円環分割体440R1,440R2を変位させる動作(図39から図41参照)をスムーズに行うことができる。
例えば、背面ベース420に一対の案内軸を配設し、それら一対の案内軸に姿勢規定部材450の上端および下端をそれぞれ案内させる構造では、摺動する部位が2か所となり摩擦抵抗が増加する。これに対し、本実施形態では、摺動する部位を1か所とできるので、姿勢規定部材450がスライド変位する際の摩擦抵抗を抑制できる。また、本実施形態によれば、姿勢規定部材450が吊り下げ機構460の案内棒462を中心として回転されることで、姿勢規定部材450の下端側が下端案内機構470の案内溝471における内側面に当接したとしても、吊り下げ支持されているが故に、重力の作用により姿勢規定部材450を鉛直方向に沿う姿勢に自己修正させることができる。即ち、姿勢規定部材450を、その下端側が下端案内機構470の案内溝471に遊嵌された状態に復帰させることができる。よって、この点からも姿勢規定部材450がスライド変位する際の摩擦抵抗を低減できる。
図31から図34に戻って説明する。円環分割体440R1,440R2には、その背面から回転連結部441及び摺動軸442が突設される。上述したように、回転連結部441は、姿勢規定部材450のアーム連結軸441を介して、上下アーム体435,436の回転連結部435b,436bに連結されると共に、摺動軸442は、カラーCを介して、姿勢規定部材450の姿勢規定溝452に挿通される。
これにより、円環分割体440R1,440R2は、上下アーム体435,436の回転に伴い、姿勢規定部材450に対して上下方向に相対変位しつつ、姿勢規定部材450と共に左右方向へスライド変位されることで、平行な姿勢を維持した状態のまま、退避位置および円環形成位置の間を円弧状の軌跡で変位されると共に、円環形成位置において、円環分割体440L1,440L2及び円環分割体440R1,440R2が互いに当接し合うことで、円環形状を形成する(図41参照)。
この場合、円環分割体440L1〜440R2の各当接面には、位置決め機構が形成され、これにより、円弧状の軌跡で変位されるものどうしを適正に当接させると共に当接後のがたつきやぐらつきを抑制できる。ここで、図38を参照して、円環分割体440L1〜440R2の当接面に形成される位置決め機構について説明する。
なお、位置決め機構は、円環分割体440L1〜440R2の各当接面に形成されるところ、それらは全て同一の構成であるので、円環分割体440L1と円環分割体440R2との間の当接面に形成される位置決め機構を代表例として説明し、他の当接面に形成される位置決め機構についてはその説明を省略する。
図38(a)は、図29の矢印XXXVIIIa方向視における円環分割体440L1の部分拡大側面図であり、図38(b)は、図29の矢印XXXVIIIb方向視における円環分割体440R1の部分拡大側面図であり、図38(c)は、図38(a)のXXXVIIIc−XXXVIIIc線における円環分割体440L1の部分拡大断面図であり、図38(d)は、図38(b)のXXXVIIId−XXXVIIId線における円環分割体440R1の部分拡大断面図である。
図38(a)から図38(d)に示すように、位置決め機構は、円環分割体440R1の当接面(側面)から突設される位置決め凸部491と、その位置決め凸部491を受け入れ可能な凹部として円環分割体440L1の当接面(側面)に凹設される位置決め凹部492と、その位置決め凹部492の凹設底面から突設される係合凸部492aと、その係合凸部492aを受け入れ可能な凹部として位置決め凸部491の突設先端面に凹設される係合凹部491aとを備えて形成される。
位置決め凸部491は、図38(b)及び図38(d)に示すように、突設先端へ向けて先細となるように、上下の側面(図38(d)上側の面および下側の面)及び前後の側面(図38(b)右側の面および左側の面)がそれぞれ突設先端へ向かうほどその対向間隔を狭くする方向に傾斜するテーパ面として形成される。同様に、位置決め凹部492は、図38(a)に示すように、上下の側面(図38(a)上側の面および下側の面)が凹設底面へ向かうほどその対向間隔を狭くする方向に傾斜するテーパ面として形成される。これにより、円環分割体440L1と円環分割体440R1との間に位置ずれが生じている場合でも、当接面どうしを当接させる際の初期段階において、位置決め凹部492へ位置決め凸部491を受け入れさせやすくできる。
位置決め凹部492の延設長さ(図38(a)上下方向長さ)は、位置決め凸部491の延設長さ(図38(b)上下方向長さ)よりも長くされると共に(図38(d)参照)、これらの延設方向は、円環分割体440L1,440R1の円弧状の軌跡に対応する方向(即ち、当接面を正面視した際の移動軌跡に沿う方向)とされる。これにより、円環分割体440L1,440R1が円弧状の軌跡で互いに近接されて当接面どうしを当接させる際に、円環分割体440L1,440R1のうちの一方が他方に先行し、両者の間に位置ずれが発生している場合でも、当接面どうしを当接させる際の初期段階において、位置決め凹部492へ位置決め凸部491を受け入れさせやすくできる。
係合凹部491a及び係合凸部492aは、円環分割体440L1,440R1の当接面どうしを当接させる際の最終段階において互いに係合(凹凸嵌合)することで、最終的な位置決めを行うための部位であり、係合凸部492aの突設高さが位置決め凹部492の凹設深さよりも小さな寸法に設定されると共に、係合凹部491aの凹設深さが位置決め凸部491の突設高さより小さな寸法に設定される。
これにより、当接面どうしを当接させる際の初期段階においては、位置決め凸部491及び位置決め凹部492により位置決め精度が比較的粗い(位置ずれの許容範囲が比較的広い)仮の位置決めを行うことで、位置決め凸部491の突設先端を位置決め凹部492へ確実に受け入れさせると共にその後の適正な位置決め位置への案内をスムーズに行うことを可能とする一方で、当接面どうしを当接させる際の最終段階においては、係合凹部491a及び係合凸部492aどうしを係合させることで、位置決め精度を高め、円環形状を適正に形成すると共に円環形状を形成した後のがたつきやぐらつきを確実に抑制できるという2段階の位置決めが可能となる。
以上のように構成される円環形成ユニット400の動作について、図39から図41を参照して説明する。
図39(a)及び図39(b)は、円環分割体440L1〜440R2が退避位置に配置された状態における円環形成ユニット400の正面図および背面図であり、図40(a)及び図40(b)は、円環分割体440L1〜440R2が退避位置および円環形成位置の間に配置された状態における円環形成ユニット400の正面図および背面図であり、図41(a)及び図41(b)は、円環分割体440L1〜440R2が円環形成位置に配置された状態における円環形成ユニット400の正面図および背面図である。
図39(a)及び図39(b)に示すように、退避位置では、円環分割体440L1〜440R2が互いに最も離間された状態とされる。即ち、一側円環ユニット410L及び他側円環ユニット410Rの姿勢規定部材450どうしの対向間隔が最大とされることで(即ち、各姿勢規定部材450が左右方向において最も後退した位置に配置されることで)、円環分割体440L1,440L2と円環分割体440R1,440R2との左右方向での対向間隔が最大とされる。また、各姿勢規定部材450において円環分割体440L1〜440R2がそれぞれ上端または下端に配置されることで、円環分割体440L1,440R1と円環分割体440L2,440R2との上下方向での対向間隔が最大とされる。
この状態から駆動機構430が動作されて上下アーム体435,436がそれぞれ回転されると(図36参照)、その上下アーム体435,436の回転に伴って、各姿勢規定部材450が左右方向にそれぞれ前進されることで、円環分割体440L1,440L2と円環分割体440R1,440R2とが左右方向での対向間隔を狭める方向へ変位される共に、各姿勢規定部材450に対して円環分割体440L1〜440R2がそれぞれ下降または上昇され、円環分割体440L1,440R1と円環分割体440L2,440R2との上下方向での対向間隔が狭まり、図40に示す状態が形成される。
図40に示す状態から駆動機構430の動作が更に進行されると、上下アーム体435,436の回転に伴って、各姿勢規定部材450が左右方向において最も前進した位置に配置されることで、円環分割体440L1,440L2と円環分割体440R1,440R2とが互いに当接面どうしを当接させる位置まで左右方向へ変位されると共に、円環分割体440L1,440R1と円環分割体440L2,440R2とが互いの当接面どうしを当接させる位置まで上下方向へ変位(上昇または下降)される。その結果、図41に示すように、円環分割体440L1〜440R2が円環形成位置に配置され、円環形状が形成される。
このように、円環形成ユニット400によれば、姿勢規定部材450の吊り下げ機構460による左右方向へのスライド変位と、姿勢規定部材450の各溝451,452に沿った円環分割体440L1〜440R2の上下方向へのスライド変位とにより、円環分割体440L1〜440R2の姿勢をそれぞれ一定(平行)に維持しつつ円弧状の軌跡で変位させ、円環形成位置において円環形状を形成できる。
ここで、円環分割体440L1〜440R2のそれぞれを変位させる機構として、平行リンク機構(互いに平行かつ等長とされる第1アーム及び第2アームを備える機構)を利用することによっても、円環形成位置において円環形状を形成することは可能である。例えば、円環分割体R1に着目すると、第1アーム及び第2アームの基端側を背面ベース420に回転可能に接続すると共に第1アーム及び第2アームの先端側を円環分割体440R1に回転可能に接続し、これら第1アーム及び第2アームを回転させることで、円環分割体440R1を一定の姿勢に維持しつつ変位させることができる。よって、かかる機構を円環分割体440L1〜440R2毎に設けることによっても、円環形成位置において円環を形成することができる。
しかしながら、このように平行リンク機構を利用する構造では、第1アームと第2アームとの干渉が発生するため、円環分割体440L1〜440R2の動作範囲を十分に確保することができない。例えば、円環分割体440R1に着目すると、本実施形態では、円環形成位置では上アーム体435を水平方向へ傾倒させると共に(図36(b)及び図41参照)、退避位置では上アーム体435を垂直方向へ起立させるところ、これと同様に、平行リンク機構においても、円環形成位置では第1アーム及び第2アームを水平方向へ傾倒させると共に、退避位置では第1アーム及び第2アームを垂直方向へ起立させることとなる。この場合、平行リンク機構では、退避位置において、第1アーム及び第2アームを起伏させる際に、一方のアームが他方のアームの基端側に干渉するため、垂直な姿勢に起立させることができない。そのため、円環分割体440R1を後方へ十分に退避させることができない。
これに対し、本実施形態によれば、姿勢規定部材450を背面ベース420に対して左右方向へスライド変位可能に配設すると共に、円環分割体440R1を姿勢規定部材450に対して回転は規制しつつ上下方向にはスライド変位可能に配設し、かつ、上アーム体435の基端側を背面ベース420に接続すると共に先端側を円環分割体440R1に回転可能に接続することで、円環分割体440R1を一定の姿勢に維持しつつ変位させる。即ち、平行リンク機構の場合のように、2本のアームを必要とせず、1本のアーム(上アーム体435)のみで構成することができる。これにより、アームどうしの干渉が発生しないので、上アーム体435を垂直な姿勢となるまで起立させることができ(図36(a)参照)、円環分割体440R1を後方へ十分に退避させることができる。
また、例えば、平行リンク機構では、退避位置において、第1アーム及び第2アームが傾斜した状態とされるため、円環分割体440R1の重量が第1アーム及び第2アームを傾斜方向(即ち、円環形成位置を形成する方向)へ倒れ込ませる力として作用する。そのため、駆動モータ431の駆動力により円環分割体R1の重量を支える必要があり、消費エネルギーが嵩む。
これに対し、本実施形態によれば、退避位置において、上アーム体435を鉛直に起立させた姿勢とできるので、円環分割体440R1の重量を上アーム体435によって支えることができる。よって、その分、円環分割体440R1の重量を支える(退避位置に保持する)ために必要とされる駆動モータ431の駆動力を抑制または不要とでき、消費エネルギーの抑制を図ることができる。
図41に示す円環形成位置に円環分割体440L1〜440R2が配置される際には、上述したように、位置決め機構による位置決めが行われる(図38参照)。
具体的には、円環分割体440R1の当接面には、位置決め凸部491が突設されると共に、円環分割体440L1の当接面には、位置決め凹部492が凹設され、位置決め凹部492の延設長さ(図38(a)上下方向寸法)が位置決め凸部491の延設長さ(図38(b)上下方向寸法)よりも大きな寸法に設定されるので、円環分割体440L1,440R1が円環形成位置へ向けて変位し、互いの当接面どうしが近接されてくる際に、位置決め凸部491を位置決め凹部492へ受け入れ(係合)させて、位置決めを行うことができる。
即ち、円環分割体440L1,440R1の当接面どうしは、円弧状(円運動)の軌跡で互いに近接されるため、同じ寸法どうしの凹形状および凸形状では、これら凹形状に凸形状を係合させることができない。これに対し、本実施形態によれば、上述したように、位置決め凹部492が、位置決め凸部491よりもその軌跡に沿って長い長穴として延設されるので、かかる位置決め凹部492に位置決め凸部491を受け入れ(係合)させることができる。
一方で、位置決め凸部491及び位置決め凹部492の係合による位置決めのみでは、は、その位置決めが、位置決め凹部492の延設方向に直交する方向(図38(a)左右方向、図41(a)紙面垂直方向)に限られる。即ち、円環分割体440L1,440R1が円弧状の規制で互いに近接される場合でも、位置決め凹部492が位置決め凸部491を受け入れ可能とするために、位置決め凸部491の延設長さよりも位置決め凹部492の延設長さが長くされるが故に、その位置決め凹部492の延設方向に対しては、位置決め凸部491を係合させることができない。よって、位置決め凹部492の延設方向には円環分割体440L1,440R1どうしを位置決めすることができず、がたつきやぐらつきが発生する。
これに対し、本実施形態によれば、位置決め凸部491に係合凹部491aが形成されると共に、位置決め凹部492に係合凸部492aが形成されるので、円環分割体440L1,440R1が演出位置に配置される際に、係合凹部491aと係合凸部492aとを係合させることができ、その結果、位置決め凹部492の延設方向においても円環分割体440L1,440R1どうしの位置決めを行うことができ、そのがたつきやぐらつきの発生を抑制できる。
なお、位置決め凸部491及び位置決め凹部492を省略して、係合凹部491a及び係合凸部492aのみにより、円環分割体440L1,440R1どうしの位置決めを行う構造も考えられる。しかしながら、この場合には、上アーム体435の弾性変形や摺動部分や回転部分の寸法公差などに起因して、係合凹部491aに係合凸部492aを受け入れ(係合)させることが困難となる。これに対し、本実施形態によれば、位置決め凹部492に位置決め凸部491を先に係合させて、第1段階の位置決めを行った上で、第2段階の位置決めとして係合凹部491aに被係凸部492aを係合させるので、第2段階の位置決め(係合凹部491aへの係合凸部492aの係合)を確実に行うことができると共に、上述した円環分割体440L1,440R1のがたつきやぐらつきの発生を抑制することができる。
即ち、当接面どうしを当接させる際の初期段階においては、位置決め凸部491及び位置決め凹部492により位置決め精度が比較的粗い(位置ずれの許容範囲が比較的広い)仮の位置決め(第1段階の位置決め)を行うことで、位置決め凸部491の突設先端を位置決め凹部492へ確実に受け入れさせると共にその後の適正な位置決め位置への案内をスムーズに行うことを可能とできる一方、当接面どうしを当接させる際の最終段階においては、係合凹部491a及び係合凸部492aどうしを係合させることで(第2段階の位置決め)、位置決め精度を高め、円環形状を適正に形成すると共に円環形状を形成した後のがたつきやぐらつきを確実に抑制できる。
次いで、図42を参照して、第2実施形態について説明する。図42(a)及び図42(b)は、第2実施形態における変位部材2310の部分拡大断面図である。また、図42(c)及び図42(d)は、ボールジョイント機構による相対変位が形成された状態における変位部材2310の部分拡大断面図である。
なお、図42(a)は、図11(b)のXIIa−XIIa線における断面に対応し、図42(b)は、図11(b)のXIIb−XIIb線における断面に対応する。また、図42(c)及び図42(d)は、それぞれ図42(a)及び図42(b)の拡大部分に対応する。
第1実施形態では、本体部311の突設ピン311aを端側部314の長穴314aに挿通させて、本体部311と端側部314とを相対変位可能に連結する場合を説明したが、第2実施形態における本体部2311と端側部2314とは、ボールジョイント2610により相対変位可能に連結される。なお、上記第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図42(a)から図42(d)に示すように、第2実施形態における変位部材2310では、本体部2311の長手方向一側および他側における背面と、端側部2314の正面との間が、上下一対のボールジョイント2610により連結される。ボールジョイント2610は、両端の球体(ボール部)を棒状体で連結して形成され、本体部2311及び端側部2314にそれぞれ形成されたソケット部に両端の球体をそれぞれ球面接触させることで、本体部2311と端側部2314とを任意の方向に相対回転が可能な状態で連結する。
なお、本体部2311及び端側部2314のソケット部は、本体部2311の背面および端側部2314の正面に半球状の球面が凹設された部分に、半球状の球面が凹設されたカバー体2311d,2314dを覆設することで、それらの球面により形成される。また、カバー体2311a,2314aには、ボールジョイント2610の棒状体との干渉を避けるためのテーパ面が形成される。
このように、本実施形態では、本体部2311と端側部2314とがボールジョイント機構を介して連結されるので、任意の方向に滑らかに相対変位することができる。よって、変位部材2310が昇降される場合に、例えば、一側部材320Lによる案内または駆動が、他側部材320Rによる案内または駆動に対して相違するものとなり(例えば、一側および他側のスライダSにおいて摺動抵抗に差が生じた場合や一側および他側の駆動モータ341において駆動力のばらつきが発生した場合)、両者の間にずれが生じた場合でも、そのずれを、ボールジョイント機構による本体部2311及び端側部2314の相対変位によって吸収することができる(図27参照)。その結果、変位部材2310を安定して変位させることを可能として、各駆動モータ341の負荷が過大になることや、変位部材2310が停止することを抑制できる。
また、本実施形態における変位部材2310では、本体部2311の長手方向一側および他側における背面と、端側部2314の正面との間に、付勢ばね2620が介設される。付勢ばね2620は、コイルスプリングとして形成され、弾性的に圧縮変形された状態で本体部2311及び端側部2314の間に介設される。よって、付勢ばね2620の弾性回復力が、本体部2311と端側部2314との対向間隔を一定に保持する力として作用される。
このように、付勢ばね2620が介設されることで、上述したずれを吸収するために本体部2311及び端側部2314がボールジョイント機構を介して相対変位された場合には、それら本体部2311及び端側部2314を、付勢ばね2620の付勢力(弾性回復力)により、初期位置へ復帰させることができる。
なお、付勢ばね2620は、その内周にボールジョイント2620(棒状体)が挿通された状態で配設される。これにより、付勢ばね2620を脱落しないように保持する機構をボールジョイント2610に兼用させることができ、保持機構を別途設けることが不要となるので、その分、構造の簡素化と部品コストの削減とを図ることができる。
次いで、図43を参照して、第3実施形態について説明する。図43(a)及び図43(b)は、第3実施形態における変位部材3310の部分拡大断面図である。また、図43(c)及び図43(d)は、ゴム状弾性体3630が弾性変形された状態における変位部材2310の部分拡大断面図である。
なお、図43(a)は、図11(b)のXIIa−XIIa線における断面に対応し、図43(b)は、図11(b)のXIIb−XIIb線における断面に対応する。また、図43(c)及び図43(d)は、それぞれ図43(a)及び図43(b)の拡大部分に対応する。
第1実施形態では、本体部311の突設ピン311aを端側部314の長穴314aに挿通させて、本体部311と端側部314とを相対変位可能に連結する場合を説明したが、第3実施形態における本体部2311と端側部2314とは、ゴム状弾性体3630により相対変位可能に連結される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図43(a)及び図43(b)に示すように、第3実施形態における変位部材3310では、本体部3311の長手方向一側および他側における背面と、端側部3314の正面との間が、上下一対のゴム状弾性体3630により連結される。ゴム状弾性体3630は、エラストマーから円柱状に形成され、自身が弾性変形することで本体部2311と端側部2314とを任意の方向に相対回転が可能な状態で連結する。なお、ゴム状弾性体3630は、その軸心方向を、本体部3311の背面および端側部3314の正面に垂直とする姿勢で配設される。
このように、本実施形態では、本体部3311と端側部3314とがゴム状弾性体3630を介して連結されるので、任意の方向に滑らかに相対変位することができる。よって、変位部材3310が昇降される場合に、例えば、一側部材320Lによる案内または駆動が、他側部材320Rによる案内または駆動に対して相違するものとなり(例えば、一側および他側のスライダSにおいて摺動抵抗に差が生じた場合や一側および他側の駆動モータ341において駆動力のばらつきが発生した場合)、両者の間にずれが生じた場合でも、そのずれを、ゴム状弾性体3630自身の弾性変形により本体部3311及び端側部3314を相対変位させることで吸収することができる(図27参照)。その結果、変位部材3310を安定して変位させることを可能として、各駆動モータ341の負荷が過大になることや、変位部材3310が停止することを抑制できる。
また、上述したずれを吸収するために本体部3311及び端側部3314がゴム状弾性体3630の弾性変形により相対変位された場合には、それら本体部3311及び端側部3314を、ゴム状弾性体3630の弾性回復力により、初期位置へ復帰させることができる。
更に、本実施形態によれば、ゴム状弾性体3630がエラストマーからなるため、そのエラストマーの粘性特性(減衰効果)を利用して、本体部3311及び端側部3314の振動を早期に収束させることができる。その結果、本体部3311及び端側部3314の振動の影響が、一側部材320Lによる案内または駆動と他側部材320Rによる案内または駆動とに相違を生じさせることを抑制でき、結果として、上述したずれの発生を抑制できる。
次いで、図44を参照して、第4実施形態について説明する。図44(a)は、第4実施形態における変位部材4310の背面図であり、図44(b)は、図44(a)のXLIVb−XLIVb線における変位部材4310の部分拡大断面図である。
第1実施形態では、一側部材320L及び他側部材320Rのそれぞれに駆動モータ341が配設され、変位部材310の長手方向一側および他側の両側が駆動される場合(両側駆動)を説明したが、第4実施形態では、一側部材320Lのみに駆動モータ341が配設され(即ち、他側部材320Rの駆動モータ341が省略され)、変位部材4310の長手方向一側のみが駆動される(片側駆動)。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
なお、第4実施形態における変位部材4310は、第1実施形態における変位部材310に対し、長手方向他側(図44(a)左側)における可動機構(本体部4311に対して端側部314,4314を相対変位可能とする構造)と、第1ラック4315の構成とのみが異なり、他の構成は互いに同一である。以下においては、異なる構成のみを説明する。
図44(a)及び図44(b)に示すように、第4実施形態における変位部材4310は、本体部4311の長手方向他側(図44(a)左側)における背面から突設される突設ピン311aの突設数が1とされる。なお、かかる長手方向他側における突設ピン311aの上下方向(図44(a)上下方向)における配設位置は、長手方向一側(図44(a)右側)に配設される上下一対の突設ピン311aの中間位置とされる。
一方、本体部4311の長手方向他側(図44(a)左側)に連結される端側部4314には、1か所のみに軸支穴4314aが穿設される。軸支穴4314aは、本体部4311の長手方向他側における突設ピン311aを受け入れるための正面視円形の丸穴であり、その内径がカラーCの筒部における外径と同等または若干大きな寸法に設定される。よって、軸支穴4314aには、カラーCを介して、突設ピン311aが回転可能な状態で挿通される。
即ち、長手方向一側(図44(a)右側)においては、上述したように、本体部311が端側部314に対して左右方向(長穴314aの長径方向)に沿って相対変位(スライド変位)可能とされるのに対し、長手方向他側(図44(a)左側)においては、本体部4311の端側部4314に対する相対変位として突設ピン311aを中心とする回転のみが許容される。
また、第4実施形態では、他側部材320Rの駆動モータ341が省略されることに伴い、長手方向他側(図44(a)左側)に配設される第1ラック4315がスライダ保持部315のみを有して形成される(即ち、ラック部315aが省略される)。これにより、変位部材4310は、長手方向一側(図44(a)右側)が、案内棒Pに沿って案内され且つ一側部材320L(駆動モータ431)によって駆動されるのに対し、長手方向他側(図44(a)左側)は、案内棒Pに沿って案内されるのみで、他側部材320R(駆動モータ431)による駆動は行われない。
このように、第4実施形態では、変位部材4310の長手方向一側のみを駆動する片側駆動として形成されるので、他側部材320Rの駆動モータ341及びその駆動力を第1ラック4315まで伝達するための伝達機構を省略でき、その分、部品コストの低減を図ることができる。
一方で、変位部材4310が昇降される場合には、片側駆動であるが故に、一側部材320Lによる案内と、他側部材320Rによる案内とが、駆動側での案内と、従動側での案内となり、それらの状態が互いに相違する。そのため、可動機構(本体部4311に対して端側部314,4314を相対変位可能とする構造)が長手方向一側および他側において同一であると、変位部材4310が昇降される際の上述したずれを可動機構により適正に吸収することができない。
これに対し、本実施形態によれば、長手方向一側における可動機構と長手方向他側における可動機構とが異なる形態での相対変位を形成する(許容される相対変位の形態を異ならせる)ことができるので、これら両可動機構に、駆動側に適した変形態様と従動側に適した変形態様とをそれぞれ担わせることができる。
具体的には、従動側となる長手方向他側(図44(a)左側)の可動機構には、本体部4311の端側部4314に対する相対回転のみを許容する一方、駆動側となる長手方向一側(図44(a)右側)の可動機構には、本体部4311の端側部4314に対する相対回転および相対変位(スライド変位)を許容する。
これにより、両可動機構に、駆動側に適した変形形態および従動側に適した変形形態をそれぞれ担わせることができ、一側部材320Lによる案内と他側部材320Rによる案内との間に生じるずれを変位部材4310全体として効果的に吸収することができる。その結果、片側駆動であっても、変位部材4310を安定して変位させることを可能として、駆動モータ341の負荷が過大になることや、変位部材4310が停止することを抑制できる。
次いで、図45を参照して、第5実施形態について説明する。図45(a)は、第5実施形態における変位部材5310の背面図であり、図45(b)は、図45(a)のXLVb−XLVb線における変位部材5310の部分拡大断面図であり、図45(c)は、図45(a)のXLVc−XLVc線における変位部材5310の部分拡大断面図である。
第5実施形態では、第4実施形態の場合と同様に、片側駆動が採用されると共に、長手方向一側および他側における可動機構(本体部5311に対して端側部3314を相対変位可能とする構造)が互いに異なる。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
なお、第5実施形態における変位部材5310は、第1実施形態における変位部材310に対し、長手方向一側および他側における可動機構(本体部5311に対して端側部3314を相対変位可能とする構造)と、長手方向他側(図45(a)左側)における第1ラック3315の構成とのみが異なり、他の構成は互いに同一である。以下においては、異なる構成のみを説明する。
図45(a)から図45(b)に示すように、第5実施形態における変位部材5310では、本体部5311の長手方向一側(図45(a)右側)における背面と端側部3314の正面との間が上下一対のゴム状弾性体3630により、本体部5311の長手方向他側(図45(a)左側)における背面と端側部3314の正面との間が上下一対のゴム状弾性体5630により、それぞれ連結される。即ち、第3実施形態の場合と同様とされる。但し、ゴム状弾性体5630は、ゴム状弾性体3630と同一の形状に形成されるが、ゴム硬度がゴム状弾性体3630のゴム硬度よりも高い(硬い)値に設定され、ばね定数が高く(変形し難く)される。
また、第5実施形態では、第4実施形態の場合と同様に、他側部材320Rの駆動モータ341が省略されることに伴い、長手方向他側(図45(a)左側)に配設される第1ラック4315がスライダ保持部315cのみを有して形成される(即ち、ラック部315aが省略される)。
よって、第4実施形態の場合と同様に、他側部材320Rの駆動モータ341及びその駆動力を第1ラック4315まで伝達するための伝達機構を省略でき、その分、部品コストの低減を図ることができる一方で、片側駆動であるが故に、可動機構(本体部5311に対して端側部3314を相対変位可能とする構造)が長手方向一側および他側において同一であると、変位部材5310が昇降される際の上述したずれを可動機構により適正に吸収することができない。
これに対し、本実施形態によれば、長手方向一側における可動機構と長手方向他側における可動機構とが異なる形態での相対変位を形成する(許容される相対変位の形態を異ならせる)ことができるので、これら両可動機構に、駆動側に適した変形態様と従動側に適した変形態様とをそれぞれ担わせることができる。
具体的には、従動側となる長手方向他側(図45(a)左側)の可動機構を構成するゴム状弾性体5630のゴム硬度が、駆動側となる長手方向他側(図45(a)右側)の可動機構を構成するゴム状弾性体3630のゴム硬度よりも高い(硬い)値に設定されるので、従動側(長手方向他側)を駆動側よりも変形し難くする(一定の外力さ作用された場合に許容される変形量を小さくする)ことができる。
これにより、両可動機構に、駆動側に適した変形形態および従動側に適した変形形態をそれぞれ担わせることができ、一側部材320Lによる案内と他側部材320Rによる案内との間に生じるずれを変位部材5310全体として効果的に吸収することができる。その結果、片側駆動であっても、変位部材5310を安定して変位させることを可能として、駆動モータ341の負荷が過大になることや、変位部材5310が停止することを抑制できる。
次いで、図46を参照して、第6実施形態について説明する。図46(a)及び図46(b)は、第6実施形態における変位部材6310の正面図である。なお、図46(a)では、変位部材6310が上昇駆動されている状態が、図46(b)では、変位部材6310が下降駆動されている状態が、それぞれ図示される。また、図46(a)及び図46(b)では、回転体6313の正面視における重心の位置(以下「重心位置G」と称す)が黒丸を用いて模式的に図示される。
第1実施形態では、回転体313がその重心位置を回転中心に有する場合を説明したが、第6実施形態の回転体6313は、その重心位置Gが回転中心から偏心されており、その回転により重心位置を変更可能に形成される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
なお、第6実施形態における変位部材6310は、第1実施形態における変位部材310に対し、長手方向他側(図46(a)及び図46(b)右側)の第1ラックからラック部315aが省略される点と、回転体6313の重心位置が偏心される点のみが異なり、他の構成は互いに同一である。以下においては、異なる構成のみを説明する。
図46(a)から図46(b)に示すように、第6実施形態における変位部材6310は、回転体6313の重心位置Gが、その回転体6313の回転中心から偏心した位置に設定される。よって、回転体6313は、その回転位置(位相)を変更することで、重心位置Gを、例えば、図46(a)に示すように、正面視左側に偏心させる、或いは、図46(b)に示すように、正面視右側に偏心させることができる。これにより、変位部材6310において、本体部311全体としての重心位置を長手方向一側または他側へ調整する(ずらす)ことができる。
なお、回転体6313は、正面視において円形に形成されると共にその回転中心を対称点とする回転対称の形状に形成され、内部に金属製の錘が偏心した位置に配置されることで、重心位置Gが回転中心から偏心するように形成される。よって、回転体6313の外観においては、その重心位置Gが回転体6313の回転中心に位置するように遊技者に視認させることができる。
ここで、第6実施形態では、第4実施形態の場合と同様に、他側部材320Rの駆動モータ341が省略され、これに伴い、長手方向他側(図46(a)右側)に配設される第1ラック(図示せず)がスライダ保持部315cのみを有して形成される(即ち、ラック部315aが省略される)。
よって、第4実施形態の場合と同様に、他側部材320Rの駆動モータ341及びその駆動力を第1ラックまで伝達するための伝達機構を省略でき、その分、部品コストの低減を図ることができる一方で、片側駆動であるが故に、可動機構(本体部6311に対して端側部314を相対変位可能とする構造)が長手方向一側および他側において同一であると、変位部材6310が昇降される際の上述したずれを可動機構により適正に吸収することができない。
これに対し、本実施形態によれば、回転体6313を回転させ、その重心位置Gを左右方向に調整することで、変位部材311全体としての重心位置をその変位部材311の長手方向中央よりも一側または他側(即ち、駆動側または従動側)へ偏らせる(移動させる)ことができる。
よって、変位部材6310の停止時は、回転体6313を回転させて演出を行う一方で、変位部材6310を変位(上昇または下降)させる際には、回転体6313を所定の回転位置(位相)に配置して、変位部材311全体としての重心位置を偏心させておくことで、長手方向一側における可動機構と長手方向他側における可動機構とに作用する重量を調整し、上述したずれを吸収しやすい状態を形成することができる。
ここで、変位部材6310の変位方向(上昇または下降)が異なると、重力の影響が変化されるため、各可動機構に要求される状態は変化される。即ち、例えば、従動側に着目すると、重力に逆らって変位される上昇時と、重力によって変位が補助される下降時とでは、案内棒Pに沿って案内される状態が変化される。
これに対し、本実施形態によれば、図46(a)及び図46(b)に示すように、例えば、変位部材6310の上昇時には駆動側(長手方向一側、図46(a)左側)の可動機構に重心位置Gを近接させる一方、変位部材6310の下降時には従動側(長手方向他側、図46(b)右側)の可動機構に重心位置Gを近接させることができる。これにより、変位部材6310の変位方向(上昇または下降)に応じて、駆動側の可動機構と従動側の可動機構とに作用する重量を調整することができ、上述したずれを更に吸収しやすい状態を形成することができる
その結果、片側駆動で、かつ、可動機構の形態が長手方向一側および他側において同一であっても、変位部材6310を安定して変位させることを可能として、駆動モータ341の負荷が過大になることや、変位部材6310が停止することを抑制できる。
なお、回転体6313の重心位置Gは、変位部材6310が変位(上昇または下降)されている間、定位置に維持する必要はなく、変位中において、重心位置Gを調整しても良い。例えば、駆動モータ431による変位部材6310の駆動を開始する際および開始から所定期間までの間は、重心位置Gを駆動側(長手方向一端側、図46(a)左側)へ近接(又は離間)させる一方、駆動モータ431による変位部材6310の駆動の開始から所定期間が経過した後は、重心位置Gを従動側(長手方向他端側、図46(a)右側)へ近接させる(又は離間させる)形態が例示される。
また、回転体6313の回転により調整する重心位置Gは、図46(a)及び図46(b)に示す位置(正面視左方または右方)に限れられるものではなく、任意の位置(位相)に設定することができる。
次いで、図47及び図48を参照して、第7実施形態について説明する。図47及び図48は、第7実施形態における上下スライドユニット7300の正面図である。なお、図47では、変位部材310が上昇位置に配置された状態が、図48では、変位部材310が下降位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
第1実施形態では、可動機構(本体部311に対して端側部314を相対変位可能とする構造)が常に有効とされる場合を説明したが、第7実施形態では、可動機構が固定可能(本体部311に対する端側部314の相対変位を規制可能)とされる。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図47及び図48に示すように、第7実施形態における上下スライドユニット7300には、一側部材320Lの及び他側部材329Rの正面ベース333の正面に規制機構7640LU〜7640RDが配設される。規制機構7640LU〜7640RDは、変位部材310が上昇位置または下降位置に配置された際に、可動機構(本体部311に対して端側部314を相対変位可能とする構造)を固定して、本体部311と端側部329との相対変位を規制するための構造であり、上昇位置に配置された変位部材310の長手方向一側及び他側に規制機構7640LU,7640RUが配設されると共に、下降位置に配置された変位部材310の長手方向一側および他側に規制機構7640LD,7640RDが配設される。
なお、これら4か所に配設される規制機構7640LU〜7640RDは、互いに左右対称または上下対称の姿勢で配設される点を除き、それぞれ実質的に同一の構成であるので、一側部材320Lの上方に配設される規制機構7640LUを代表例として説明し、他の規制機構7640LD,7640RU,7640RDの説明は省略する。
規制機構7640LUは、正面ベース333に回転可能に配設されるアーム体7641と、そのアーム体7641を回転させるための付勢力を付与するねじりばね7642と、そのねじりばね7642から付与される付勢力によるアーム体7641の回転を規制して初期位置に保持するための保持体(図示せず)とを備えて形成される。
アーム体7641の先端には、ローラー7641aが回転可能に軸支される。ねじりばね7642は、アーム体7641をその先端(ローラー7641a)が変位部材310の本体部311から離間する回転方向(図47及び図48の規制機構7640LUにおいて時計回り(右回り))に付勢する。保持体は、ねじりばね7542の付勢力によるアーム体7641の回転を規制して、そのアーム体7641を初期位置(アーム体7641の回転中心とローラー7641aの回転中心とを結ぶ方向を、正面ベース333の長手方向に沿わせる姿勢、規制機構7640LUにおいては図48に示す姿勢)に保持する。
変位部材310の本体部311には、その上側および下側の側縁に沿って装飾部が形成されると共に、その装飾部の長手方向端部には、ローラー受け部7311eが、一側部材320Lにおける正面ベース311の正面側へ張り出して形成される。
ローラー受け部7311eは、上下方向(図47及び図48上下方向)においてアーム体7641のローラー7641aに重なる位置まで張り出されると共に、アーム体7641に対向する側の側面が規制機構7640へ近接する方向へ傾斜(図47の規制機構7640LUにおいてはその基端から先端へ向けて上昇傾斜)して形成される。また、アーム体7641に対向する側の側面の基端には、ローラー7641aの外周に当接可能に湾曲さえる湾曲面が形成され、この湾曲面によりローラー7641aを保持する。
図47に示す上昇位置から変位部材310が下降され、下降位置に近づくと、本体部311のローラー受け部7311eの側面(図47下側面)が、規制機構7640LD,7640RDにおけるアーム体7641のローラー7641aに当接され、変位部材310が更に下降されると、本体部311のローラー受け部7311eの側面に沿ってローラー7641aが転動されることで、アーム体7641が初期位置から次第に傾倒され、変位部材310が下降位置に配置されると、図48に示すように、本体部311のローラー受け部7311eの側面(基端の湾曲面)によりローラー4671aが保持される。
これにより、変位部材310の本体部311が、左右の規制機構7640LD,7640RDの両アーム体7641により左右から挟み込まれることで、可動機構が固定され、本体部311の端側部314に対する左右方向への相対変位(即ち、端側部314の長穴314aの長径方向に沿う突設ピン311aのスライド変位)が規制される。
一方、図48に示す状態から、変位部材310が上昇され、上昇位置に近づくと、本体部311のローラー受け部7311eの側面(図48上側面)が、規制機構7640LU,7640RUにおけるアーム体7641のローラー7641aに当接され、変位部材310が更に上昇されると、本体部311のローラー受け部7311eの側面に沿ってローラー7641aが転動されることで、アーム体7641が初期位置から次第に傾倒され、変位部材310が上昇位置に配置されると、図47に示すように、本体部311のローラー受け部7311eの側面(基端の湾曲面)によりローラー4671aが保持される。
これにより、上述した場合と同様に、変位部材310の本体部311が、左右の規制機構7640LU,7640RUの両アーム体7641により左右から挟み込まれることで、可動機構が固定され、本体部311の端側部314に対する左右方向への相対変位(即ち、端側部314の長穴314aの長径方向に沿う突設ピン311aのスライド変位)が規制される。
このように、本実施形態によれば、規制機構7640LU〜7640RDにより可動機構を固定して、本体部311の端側部314に対する相対変位を規制できるので、がたつきやぐらつきが抑制された状態で、回転体313を回転させることができる。
即ち、回転体313は、本体部311に保持される一方、本体部311は、可動機構により、端側部314に対して相対変位可能に連結されているため、回転体313が回転する際に、本体部311のがたつきやぐらつきが発生して、回転体313の回転が阻害されるばかりか、がたつきやぐらつきに起因して、可動部分が摩耗や破損する恐れがある。
これに対し、可動機構を規制機構7640LU〜7640RDにより固定できる(可動機構をキャンセルできる)ことで、本体部311のがたつきやぐらつきを抑制した状態で、回転体313を安定した状態で変位させることができる。その結果、可動部分の摩耗や破損を抑制できる。特に、上述した第6実施形態のように、回転体6313の重心位置Gを回転中心に対して偏心させて構成する場合に(図46参照)、本実施形態の構成が有効となる。
更に、本実施形態では、規制機構7640LU〜7640RDは、変位部材310がその変位終端(上昇位置または下降位置)まで変位されることで、アーム体4671に作用して、可動機構が固定された状態を形成する。即ち、変位部材310の変位(上昇および下降)を利用して、可動機構を固定する(アーム体7641を傾倒させる)ので、可動機構を固定するための駆動手段を別途設ける必要がなく、変位部材310を変位(上昇および下降)させるための駆動モータ341を、規制機構7640LU〜7640RDを機能させるための駆動手段としても兼用することができる。よって、その分、製品コストの削減を図ることができる。
なお、図47に示す上昇位置から変位部材310が下降されると、上側の規制機構7640LU,7640RUは、そのアーム体7641が、ねじりばね7642の付勢力により、初期位置へ自動的に復帰され(図48参照)、同様に、図48に示す下降位置から変位部材310が上昇されると、下側の規制機構7640LD,7640RDは、そのアーム体7641が、ねじりばね7642の付勢力により、初期位置へ自動的に復帰される(図47参照)。即ち、規制機構7640LU〜7640RDを、正面ベース333により遮蔽される位置(初期位置)へ自動的に復帰させ、遊技者から視認不能とすることができる。
また、ローラー受け部7311eは、本体部311の装飾部における一部として形成される(即ち、本体部311の装飾部の一部がローラー部7311eにより形成される)ので、アーム体7641を傾倒させるための機構部分を遊技者に対して目立たせなくすることができる。
次いで、図49及び図50を参照して、第8実施形態について説明する。図49及び図50は、第8実施形態における上下スライドユニット8300の正面図である。なお、図49では、変位部材310が上昇位置に配置された状態が、図50では、変位部材310が下降位置に配置された状態が、それぞれ図示される。また、図49及び図50では、一側部材320L及び他側部材320Rから正面ベース333が取り外された状態が図示される。
第7実施形態では、規制機構7640LU〜7640RDのアーム体7641が本体部311を左右から挟み込むことで、可動機構を固定する(本体部311の端側部314に対する相対変位を規制する)場合を説明したが、第8実施形態の規制機構8640LU〜8640RDは、その挿通部8642が本体部311及び端側部314のストッパ面311b,314bの対向間に挿通されることで、可動機構を固定する(本体部311の端側部314に対する相対変位を規制する)。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図49及び図50に示すように、第8実施形態における上下スライドユニット8300には、一側部材320Lの及び他側部材329Rの中間ベース332の正面に規制機構8640LU〜8640RDが配設される。規制機構8640LU〜8640RDは、変位部材310が上昇位置または下降位置に配置された際に、可動機構(本体部311に対して端側部314を相対変位可能とする構造)を固定して、本体部311と端側部329との相対変位を規制するための構造であり、上昇位置に配置された変位部材310の長手方向一側及び他側に規制機構8640LU,8640RUが配設されると共に、下降位置に配置された変位部材310の長手方向一側および他側に規制機構8640LD,8640RDが配設される。
なお、これら4か所に配設される規制機構8640LU〜8640RDは、形状の相違はあるが、ストッパ面311b,314bの対向間に挿通されるための構成およびその作用はそれぞれ実質的に同一であるので、一側部材320Lの上方に配設される規制機構8640LUを代表例として説明し、他の規制機構8640LD,8640RU,8640RDの説明は省略する。
規制機構8640LUは、中間ベース332の正面から突設される基部8641と、その基部8641の突設先端から変位部材310へ向けて(規制機構8640LUにおいては図49下側へ向けて)張り出される挿通部8642とを備える。即ち、挿通部8642は、ストッパ面311b,314bの対向間に対面する高さ位置まで基部8641により嵩上げされると共に、上下方向(図49及び図50上下方向)においてストッパ面311b,314bの対向間に重なる位置に配置される。なお、挿通部8642の板厚はストッパ面311b,314bの対向間隔と同等または若干小さな寸法に設定される。
図49に示す上昇位置から変位部材310が下降され、その後、下降位置に近づくと、本体部311及び端側部314のストッパ面311b,314bの対向間の下方に、規制機構8640LD,8640RDにおける挿通部8642が対面され、変位部材310が更に下降され、下降位置に配置されると、図50に示すように、ストッパ面311b,314bの対向間に挿通部8642が挿通される。
これにより、変位部材310は、本体部311のストッパ面311bと端側部314のストッパ面314bとの対向間(相対変位のための隙間)が規制機構8640LD,8640RDの挿通部8642により埋められることで、可動機構が固定され、本体部311の端側部314に対する左右方向への相対変位(即ち、端側部314の長穴314aの長径方向に沿う突設ピン311aのスライド変位)が規制される。
一方、図50に示す状態から、変位部材310が上昇され、上昇位置に近づくと、本体部311及び端側部314のストッパ面311b,314bの対向間の上方に、規制機構8640LU,8640RUにおける挿通部8642が対面され、変位部材310が更に上昇され、上昇位置に配置されると、図49に示すように、ストッパ面311b,314bの対向間に挿通部8642が挿通される。
これにより、上述した場合と同様に、変位部材310は、本体部311のストッパ面311bと端側部314のストッパ面314bとの対向間(相対変位のための隙間)が規制機構8640LU,8640RUの挿通部8642により埋められることで、可動機構が固定され、本体部311の端側部314に対する左右方向への相対変位(即ち、端側部314の長穴314aの長径方向に沿う突設ピン311aのスライド変位)が規制される。
このように、本実施形態によれば、規制機構8640LU〜8640RDにより可動機構を固定して、本体部311の端側部314に対する相対変位を規制できるので、がたつきやぐらつきが抑制された状態で、回転体313を回転させることができる。
即ち、回転体313は、本体部311に保持される一方、本体部311は、可動機構により、端側部314に対して相対変位可能に連結されているため、回転体313が回転する際に、本体部311のがたつきやぐらつきが発生して、回転体313の回転が阻害されるばかりか、がたつきやぐらつきに起因して、可動部分が摩耗や破損する恐れがある。
これに対し、可動機構を規制機構8640LU〜8640RDにより固定できる(可動機構をキャンセルできる)ことで、本体部311のがたつきやぐらつきを抑制した状態で、回転体313を安定した状態で変位させることができる。その結果、可動部分の摩耗や破損を抑制できる。特に、上述した第6実施形態のように、回転体6313の重心位置Gを回転中心に対して偏心させて構成する場合に(図46参照)、本実施形態の構成が有効となる。
更に、本実施形態では、規制機構8640LU〜8640RDは、変位部材310がその変位終端(上昇位置または下降位置)まで変位されることで、挿通部8642をストッパ面311b,314bの対向間に挿通させて、可動機構が固定された状態を形成する。即ち、変位部材310の変位(上昇および下降)を利用して、可動機構を固定する(挿通部8642をストッパ面311b,314bの対向間に挿通させる)ので、可動機構を固定するための駆動手段を別途設ける必要がなく、変位部材310を変位(上昇および下降)させるための駆動モータ341を、規制機構8640LU〜8640RDを機能させるための駆動手段としても兼用することができる。よって、その分、製品コストの削減を図ることができる。
次いで、図51及び図52を参照して、第9実施形態について説明する。図51及び図52は、第9実施形態における伝達機構および背面ベース9331の正面図であり、図51は図22の状態に、図52は図24の状態に、それぞれ対応する。
第1実施形態では、付勢ばね366から第2ラック364に付与する付勢力の方向を、第2ラック364の直線運動の方向に対して非平行とする(傾斜させる)ことで、第2ラック364の姿勢の暴れを抑制したが、第9実施形態の第2ラック364は、その直線運動の方向に対して非平行とする(傾斜させる)方向へ磁石9652a〜9652eの磁力が作用されることで、姿勢の暴れが抑制される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図22及び図23に示すように、背面ベース9331は、第1実施形態の場合と同様に、縦長の長尺状に形成される本体部分とその本体部分の下端から側方へ張り出す張出部分とから正面視略L字状に形成され、本体部分の側方(張出部分の張出方向側)に金属棒9651が配設される。金属棒9651は、金属製の棒状体であり、その長手方向を第2ラック364の直線運動方向に沿わせた姿勢で配設される。
第2ラック364には、背面ベース9331に配設された金属棒9651に対面する側となる側方に、複数の磁石9652a〜9652eがそれぞれ配設され、金属棒9651と磁石9652a〜9652eとが磁力により引き合うように形成される。即ち、第2ラック364には、その下端側を第2ピニオン365aと反対側(図51左側)へ向けて付勢する方向への磁力が付与(作用)される。
よって、第1実施形態の場合と同様に、第2ラック364の歯面を第2ピニオン365aの歯面に近接させることができるので、これら両歯面の間の隙間を抑制できる。よって、歯面間の隙間によって、第2ラック364から第2ピニオン365aへ駆動力を伝達する際にタイムラグが発生することを抑制でき、応答性の向上を図ることができる。また、停止状態からの駆動力を伝達する直後(噛み合い初期)における歯面どうしの衝突により歯面の摩耗が促進されることや歯面が破損することを抑制できる。更に、歯面が摩耗した際でも、歯面の隙間を詰めることができるので、第2ラック364と第2ピニオン365aとの噛み合い(歯合)状態を一定に維持しやすくできる。
なお、付勢ばね366をコイルスプリングとして形成する第1実施形態では、第2ラック364の繰り返し動作に伴って、劣化(へたり)が生じ、付勢力が変化されるところ、本実施形態によれば、第2ラック364に付与する付勢力を、磁石の磁力を利用するので、長期間にわたって安定した付勢力を第2ラック364に付与できる。
ここで、本実施形態では、磁石9652a〜9652eは、第2ラック364が図51に示すように可動範囲の最下方に位置する状態では、全ての磁石9652a〜9652eが金属棒9651に対面される一方、第2ラック364が図52に示すように可動範囲の最上方に位置する状態では、全ての磁石9652a〜9652eが金属棒9651と対面しない位置に退避される。
そのため、図51に示す可動範囲の最下方に位置する状態から第2ラック364が第1位置(先頭の磁石9652aと金属棒9651との対面が維持される位置)まで上昇する期間(以下「第1期間」と称す)は、全ての磁石9652a〜9652eが金属棒9651と対面するため、第2ラック364に一定の磁力を付与できる。
この第1位置から第2ラック364が第2位置(後尾の磁石9652eと金属棒9651との対面が途切れる位置)まで上昇する期間(以下「第2期間」と称す)は、第2ラック364の変位(上昇)に伴って、金属棒9651と対面する磁石9652a〜9652eの数(面積)が徐々に減少されるため、第2ラック364に付与される磁力を徐々に減少させることができる。
第2位置から第2ラック364が図52に示す可動範囲の最上方となる位置まで上昇する期間(以下「第3期間」と称す)は、全ての磁石9652a〜9652eが金属棒9651と対面しなくなるため、第2ラック364へ磁力がほぼ付与されない状態を形成できる。
即ち、本実施形態によれば、第2ラック364に付与する磁力を、第2ラック364の状態に適した大きさに調整しつつ、付与することができる。具体的には、第2ラック364による第2ピニオン365aの駆動を開始する第1期間では、より大きな磁力(基準値を超える磁力)を第2ラック364に付与することで、第2ラック364をがたつき難くして、その姿勢の暴れが発生することを抑制する(第2ピニオン365aへの駆動力の伝達を安定化する)一方で、第2ラック364による第2ピニオン365aの駆動が開始されて安定状態に入った後の第3期間では、第2ラック364に付与される磁力を小さくする(基準値以下とする)又は付与されない状態とすることで、磁力が第2ラック364の駆動の抵抗となることを低減して、駆動モータ341のエネルギー消費を抑制することができる。
更に、本実施形態では、第1期間と第3期間との間に、第2期間を設けるので、第2ラック364に付与される磁力が急激に変化(減少)することを回避し、徐々に減少させることができるので、第1期間から第3期間への移行をスムーズに行い、第2ラック364の姿勢を安定化できる。
なお、金属棒9651と磁石9652a〜9652eとの配設対象(背面ベース331、第2ラック364)を逆としても良い。また、金属棒9651に代えて、磁石を配設しても良い。磁石を配設する場合には、引き合う方向の磁力を利用しても良く、反発し合う方向の磁力を利用しても良い。これらによっても、本実施形態の場合と同様の効果が得られる。
次いで、図53及び図54を参照して、第10実施形態について説明する。図53は、第10実施形態における他側部材320Lの分解背面斜視図であり、分解された状態が図示される。また、図54(a)及び図54(b)は、他側部材320Lの背面斜視図であり、組み立て状態が図示される。なお、図53及び図54では、正面ベース333及び第1ピニオン351の図示が省略される。また、図54(a)は、ローラー10367が装着される前の状態が図示される。
第1実施形態では、付勢ばね366の一端と第2ラック364の係止部との係止は、中間ベース332に背面ベース331を覆設した後に行われる場合を説明したが、第10実施形態における付勢ばね366の一端は、中間ベース332に背面ベース331を覆設する前に、第2ラック364の係止部に係止される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図53及び図54に示すように、第10実施形態では、背面ベース10331に、第1開口331cと第2開口331dとの延長線が互いに交わる部分に正面視略J字のスリット部10331eが延設される。スリット部10331eは、背面ベース10331の側縁に開口される部分を始端とし、一定幅の溝として直線状に延設される部分(第1案内部)の終端で、U字状に折り返して、直線状に延設された部分(第2案内部)の端部が終端とされるスリットとして形成される。
中間ベース10332は、その屈曲部分(本体部分と張出部分とが交わる部分)の内方側において、第1実施形態の場合と比較して、側壁の高さが低くされ、組み立て工程での付勢ばね366との干渉が抑制される。
ローラー10367は、円板状に形成されると共にそれぞれ所定間隔を隔てて対向配置される第1フランジ部10367a、第2フランジ部10367b及び第3フランジ部10367cと、第1フランジ部10367a及び第2フランジ部10367bの間を連結する円柱状の軸部10367dと、第2フランジ部10367b及び第3フランジ部10367cの間を連結する円柱状の当接部10367eとを備え、これら各部10367a〜10367eが同心となる姿勢で一体に形成される。
軸部10367dは、背面ベース10331のスリット部10331eに挿通されると共にそのスリット部10331eの終端に回転可能に保持(軸支)される部位であり、その外径がスリット部10331eの溝幅と同等または若干小さな寸法に設定される。当接部10367eは、その外周面を付勢ばね366の一端と他端との間に当接させることで、かかる付勢ばね366の屈曲した姿勢を形成する部位である。
第1フランジ部10367a及び第2フランジ部10367bの対向間隔は、背面ベース10331の板厚と同等または若干大きな寸法に設定され、第2フランジ部10367b及び第3フランジ部10367cの対向間隔は、付勢ばね366の直径と同等または若干大きな寸法に設定される。よって、後述するように、軸部10367がスリット部10331eに挿通されると、第1フランジ部10367a及び第2フランジ部10367bの対向間に背面ベース10331が挟みこまれ、ローラー10367の軸方向への移動が規制される。
図53に示すように、第10実施形態における背面ベース10331及び中間ベース10332への伝達機構の組み付けは、第1実施形態の場合と同様に、中間ベース10332の正面に駆動モータ341を装着すると共に、中間ベース332の背面において、各ギヤ軸332c〜332gに歯車362a〜362eを、ギヤ軸332hにクランク歯車363を、ギヤ軸332iに伝達歯車365を、それぞれ装着した後(ギヤ軸332c〜332iについては図18参照)、第2ラック364を、そのラック溝364bにクランク歯車363の偏心ピン363aを挿通させると共に伝達歯車365の第2ピニオン365aに歯合させた状態で、配設する。
次いで、第10実施形態では、付勢ばね366の一端を第2ラック364の係止部に係止させると共に他端を中間ベース332の張出部分の張出先端に形成された係止部に係止させる。この場合、本実施形態では、付勢ばね366が無負荷状態(自由長さを維持した状態)となるように設定されるので、かかる付勢ばね366の両端が係止された状態であっても、かかる状態を安定して維持できる。
このように、中間ベース10332に伝達機構を装着した状態(図53に示す状態)を形成した後は、中間ベース10332の背面に背面ベース10331の正面を向い合せて、両者を締結固定し(図54(a)参照)、最後に、ローラー10367を背面ベース10331のスリット部10331eに装着することで(図54(b)参照)、背面ベース10331及び中間ベース10332への伝達機構の組み付けが完了する。
具体的には、図54(a)に示すように、中間ベース10332に背面ベース10331が締結固定されると、両者の屈曲部分(本体部分および張出部分の間)に架設される形で、付勢ばね366が張り出されるので、ローラー10367の第2フランジ部10367b及び第3フランジ部10367cの間に付勢ばね366を挟み込むと共に、かかるローラー10367の軸部10367dを背面ベース10331のスリット部10331の開口(始端)から挿通させ、スリット部10331の折り返し部分までローラー10367を押し込む。これにより、付勢ばね366が伸長され、屈曲した姿勢とされるので、図54(b)に示すように、付勢ばね366の弾性回復力によりローラー10367をスリット部10331eの終端に押し付けて保持することができる。
以上のように、本実施形態によれば、ローラー10367を付勢ばね366の一端と他端との間に当接させつつ変位させることで、付勢ばね366を屈曲した姿勢に配設することができ、かかる付勢ばね366の組み付け作業を容易とできる。即ち、背面ベース10331を中間ベース10332に覆設した状態で(即ち、背面ベース10331で付勢ばね366及び第2ラック364を押さえ付けた状態で)、付勢ばね366を屈曲した姿勢とすることができるので、付勢ばね366が弾かれることや第2ラック364が脱落することを抑制できる。その結果、付勢ばね366を屈曲した姿勢に組み付ける作業を行いやすくでき、その組み立て作業の能率化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、付勢ばね366の弾性回復力を、第2ラック364の付勢だけでなく、ローラー10367を保持する保持力としても兼用できるので、ローラー10367を保持するための部材(例えば、締結ねじ)を別途準備する必要がなく締結作業を行う必要もない。よって、その分、部品点数および組み立て工数を削減できる。
更に、ローラー10367は、その軸部10367dが、付勢ばね366の弾性回復力によってスリット部10331eの終端に押し付けられることで、回転可能に保持される。よって、ローラー10367を回転可能に軸支するための軸状体を背面ベース10331または中間ベース10332から突設させる必要がない。よって、かかる軸状体をローラー10367に挿通させつつ、中間ベース10332に背面ベース10331を覆設する必要がないので(図28参照)、この点からも、組み立て作業の能率化を図ることができる。
次いで、図53及び図54を参照して、第11実施形態について説明する。図55は、第11実施形態における上下スライドユニット11300の背面図である。
第1実施形態では、一側部材320Lの第2ラック364および他側部材320Rの第2ラック364がそれぞれ別の付勢ばね366により付勢される場合を説明したが、第11実施形態における一側部材11320Lの第2ラック364および他側部材11320Rの第2ラック364は、1の付勢ばね11366により付勢される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図55に示すように、第11実施形態における上下スライドユニット11300は、一側部材11320Lの第2ラック364に一端が係止されると共に他側部材11320Rの第2ラック364に他端が係止される付勢ばね11366を備える。付勢ばね11366は、その一端および他端の間の中央位置にローラー11661が当接されることで、左右対称となる姿勢で配設される。
なお、一側部材11320L及び他側部材11320Rの張出部分における張出先端は、凹欠されており、かかる凹欠された部分を介して、付勢ばね11366が介設部材11370に架設される。また、ローラー1161は、介設部材11370に回転可能に配設されると共に、介設部材11370は、付勢ばね11366が架設される下方部分が正面側(図55紙面奥側)に奥まって位置する平坦面として形成され、付勢ばね11366をその一端から他端までの全体において一平面(図55の紙面に平行な面)に沿う姿勢で配設可能とする。
ここで、第1実施形態では、一側部材320Lの第2ラック364および他側部材320Rの第2ラック364がそれぞれ別の付勢ばね366により付勢されるところ(図15参照)、これら2本の付勢ばね366の個体差(寸法や材質などに起因する特性のばらつき)に起因して、各第2ラック364に付与される付勢力の大きさにばらつきが生じる。これは、各第2ラック364の姿勢のばらつきを引き起こし、各伝達機構における第1ピニオン351への駆動力の伝達に影響を与えることから、一側部材320Lによる変位部材310の案内および駆動と、他側部材320Rによる変位部材310の案内および駆動との間に相違(ずれ)を生じさせる要因となる。かかるずれは、上述したように、変位部材310を安定して変位させることを困難として、各駆動モータ341の負荷を増加させるばかりか、変位部材310の停止を招くことにもなる。
これに対し、本実施形態によれば、付勢ばね11366の一端が一側部材11320Lの第2ラック364に係止されると共に他端が他側部材11320Rの第2ラック364に係止される、即ち、1本の付勢ばね11366により付勢されるので、一側部材11320Lの第2ラック364と他側部材11320Rの第2ラック364とに付与される付勢力を均一化することができる。これにより、各第2ラック364の姿勢のばらつきを抑制して、各伝達機構における第1ピニオン351への駆動力の伝達を均一化できるので、一側部材11320Lによる変位部材310の案内および駆動と、他側部材11320Rによる変位部材310の案内および駆動とを均一化でき、変位部材310を安定して変位させることができる。
なお、第11実施形態における背面ベース331及び中間ベース332への伝達機構の組み付けは、第1実施形態の場合と同様に、付勢ばね11366の一端および他端を第2ラック364の係止部に非係止の状態のままで、中間ベース332に伝達機構を装着し(図28参照)、中間ベース332に背面ベース331を締結固定すると共に、一側部材11320L及び他側部材11320Rの間に介設部材11370を介設させ、その後、各背面ベース331の第1開口331cを介して、付勢ばね11366の一端および他端を各第2ラック364の係止部にそれぞれ係止させることで、実施できる。即ち、本実施形態においても、付勢ばね366が弾かれることや第2ラック364が脱落することを抑制しつつ、付勢ばね11366を屈曲した姿勢に容易に配設することができ、その組み立て作業の能率化を図ることができる。
次いで、図56及び図57を参照して、第12実施形態について説明する。図56及び図57は、第12実施形態における上下スライドユニット12300の背面図である。なお、図56では一側部材12320L及び他側部材12320Rの間に介設部材12370が介設される前の状態が、図57では一側部材12320L及び他側部材12320Rの間に介設部材12370が介設された後の状態が、それぞれ図示される。
第1実施形態では、一側部材320L及び他側部材320Rに介設部材370が連結板371を介してねじにより締結固定される場合を説明したが、第12実施形態の介設部材370は、付勢ばね12366の付勢力により一側部材320L及び他側部材320Rに固定される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図56に示すように、第12実施形態における上下スライドユニット12300は、一側部材12320L及び他側部材12320Rの対向面側に被係合部12331fがそれぞれ凹設されると共に、それら各被係合部12331fに係合可能な係合部12372が介設部材12370の両端部から突設される。これら係合部12372及び被係合部12331fは、背面視略L字状に屈曲して形成される。
また、介設部材12370の背面には、付勢ばね366の他端を係止するための係止部12373が形成され、一側部材12320L及び他側部材12320Rの張出部分における張出先端は、凹欠されており、かかる凹欠された部分を介して、付勢ばね366の他端を介設部材12370の係止部12373に係止可能とされる。
なお、介設部材12370は、係止部12373から側縁までの領域が正面側(図56紙面奥側)に奥まって位置する平坦面として形成され、これにより、付勢ばね366をその一端から他端までの全体において一平面(図56の紙面に平行な面)に沿う姿勢で配設可能とする。
第12実施形態における上下スライドユニット12300の組み立ては、次のように行われる。まず、背面ベース331及び中間ベース332へ伝達機構を組み付け、一側部材12320L及び他側部材12320Rを組み立てる。この場合、第1実施形態の場合とは逆に、付勢ばね366の一端を第2ラック364の係止部に係止させる一方、他端は非係止の状態とし、伝達機構が装着された状態(図28参照)の中間ベース332に背面ベース331を締結固定する。
これにより、図56に示す状態に一側部材12320L及び他側部材12320Rが形成されるので、次いで、介設部材12370の係合部12372を、一側部材12320L及び他側部材12320Rの被係合部12331fに係合させつつ、一側部材12320L及び他側部材12320Rの間に介設部材12370を介設させ、最後に、各背面ベース331の第1開口331cを介して、各付勢ばね366の他端を介設部材12370の係止部12373にそれぞれ係止させる。これにより、図57に示すように、上下スライドユニット12300の組み立てが完了する。
本実施形態によれば、中間ベース332及び背面ベース331の対向間に付勢ばね366及び第2ラック364に配置した状態(即ち、背面ベース331で付勢ばね366及び第2ラック364を押さえ付けた状態)において、付勢ばね366の他端を介設部材12370の係止部12373に係止させることができるので、付勢ばね366が弾かれることや第2ラック364が脱落することを抑制しつつ、付勢ばね366を屈曲した姿勢に配設することができ、組み立て作業の能率化を図ることができる。
更に、本実施形態によれば、各付勢ばね366は、図57に示すように、ローラー367(図19参照)から介設部材2370の被係止部12373へ向けて下降傾斜する姿勢で配設されるので、介設部材12370を左右(一側部材320L側および他側部材320R側)へ向けて引き寄せる方向の力成分と、介設部材12370を上方(変位部材310側)へ押し上げる方向の力成分とを、かかる介設部材12370に作用させることができる。
これにより、付勢ばね366の付勢力により、介設部材12370の係合部12372が一側部材320L及び他側部材320Rの被係合部12331fに押し付けられるので、一側部材320L及び他側部材320Rの間に介設部材12370が介設された状態を維持することができる。その結果、一側部材320L及び他側部材320Rに介設部材12370を保持(即ち、少なくとも介設部材12370を背面ケース210の底壁部211(図6参照)に締結固定するまでの間の仮固定)させることがきる。よって、上下スライドユニット12300を背面ケース210へ取り付けるまでの間の取り扱いを容易とでき、搬送工程や取付工程における作業性の向上を図ることができる。
更に、係合部12372及び被係合部12331fは背面視略L字状に形成され、一側部材12320L及び他側部材12320Rと介設部材12370とは、これら係合部12372及び被係合部12331fの係合によって結合されるため、一側部材12320L及び他側部材12320Rが変位部材310に対して正面視「ハの字」状に変形することを抑制できる。よって、この点においても、上下スライドユニット12300を背面ケース210へ取り付けるまでの間の取り扱いを容易とでき、搬送工程や取付工程における作業性の向上を図ることができる。
また、付勢ばね363の付勢力を、第2ラック364に付与するだけでなく、一側部材12320L及び他側部材12320Rの間に介設部材12370に固定するための固定力としても兼用するので、一側部材12320L及び他側部材12320Rに介設部材12370に固定するための部材(例えば、連結軸332m、連結板371及びそれらを締結するねじ)を不要とでき、その分、部品点数および組み立て工数を削減できる。
なお、係合部12372及び被係合部12331fは、寸法公差の分、所定のがたつきを有した状態で係合される。即ち、がたつきの分、一側部材12320L及び他側部材12320Rに対する介設部材12370の相対変位を許容させることができるので、上下スライドユニット12300を、背面ケース210の底板部211に取り付ける際には、これら一側部材12320L、他側部材12320R及び介設部材12370の取付位置を個別に調整することができ、その取り付けの際の作業性の向上を図ることができる。
次いで、図58を参照して、第13実施形態について説明する。図58(a)は、第13実施形態における他側部材13320Rの背面図斜視図であり、図58(b)及び図58(c)は、付勢ばね366の姿勢変化の態様を模式的に図示する他側部材13320Rの背面模式図である。
第1実施形態では、付勢ばね366を屈曲した姿勢とするためのローラー367の配設位置が所定位置に固定される場合を説明したが、第13実施形態におけるローラー10367は、その配設位置が変化される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
なお、第13実施形態における他側部材13320Rは、第10実施形態における他側部材10320Rに対して、伸縮アクチュエータ13671が追加される点を除き、他の構成は同一である。よって、同一の構成についての説明は省略する。
図58(a)に示すように、第13実施形態における他側部材13320Rには、伸縮アクチュエータ13671が配設される。伸縮アクチュエータ13671は、本体部13671aと、その本体部13671aに保持されるロッド部13671bと、そのロッド部13671bを本体部13671aに対して前進または後退(伸長または短縮)させるための駆動機構(図示せず)とを備え、本体部13671aが背面ベース331の背面に固着されると共に、ロッド部13671bの先端にローラー10367が回転可能に連結される。
この場合、伸縮アクチュエータ13671は、その伸縮方向(ロッド部13671bの軸方向)を、スリット部10331eにおける折り返し部分から終端までの直線部分に沿わせた姿勢で配設される。よって、伸縮アクチュエータ13671の駆動により、ロッド部13671bを伸縮させることで、ローラー10367を、図58(b)に示すスリット部10331eの終端と、図58(c)に示すスリット部10331eの折り返し部分との間で変位させることができる。
このように、本実施形態によれば、付勢ばね366に当接してその付勢ばね366の屈曲した姿勢を形成するためのローラー10367の配設位置を、伸縮アクチュエータ13671によるロッド部13671bの伸縮動作により、変化させることができる。これにより、付勢ばね366の屈曲状態を調整することができるので、付勢ばね366から第2ラック364に付与される付勢力の状態(例えば、付勢の大きさや付勢方向)を、例えば、第2ラック364の状態(例えば、その姿勢や変位速度、或いは、変位位置)に応じて、調整することができる。
具体的には、例えば、図58(c)に示すように、伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671bを短縮させることで、付勢ばね366のプリロード(組み付けられた状態において付勢ばね366にかけられている荷重)を増加させて、付勢ばね366のみかけのばね定数を大きくできる一方、図58(b)に示すように、伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671bを伸長させることで、付勢ばね366のプリロードを減少させて、付勢ばね366のみかけのばね定数を小さくできる。
よって、例えば、変位部材310を上昇位置に停止させる場合には、付勢ばね366のプリロードを増加させ、変位部材310を上昇位置に維持するために必要とされる力を、付勢ばね366の付勢力によって補助する一方、変位部材310が変位(上昇または下降)する際(即ち、第2ラック364が変位する際)には、付勢ばね366のプリロードを減少させて、付勢ばね366の付勢力が変位部材310(第2ラック364)を変位させる際の抵抗となることを抑制できる。
また、例えば、図58(c)に示すように、伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671bを短縮させることで、付勢ばね366から第2ラック364に付与される付勢力の方向と第2ラック364の直線運動の方向とがなす角度(傾斜角度)を小さくできる(平行に近づけられる)一方、図58(b)に示すように、伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671bを伸長させることで、付勢ばね366から第2ラックに付与される付勢力の方向と第2ラック364の直線運動の方向とがなす角度(傾斜角度)を大きくできる。
よって、例えば、第2ラック364の変位を開始する過渡状態にある初期段階では、第2ラック364の挙動が不安定となるため、付勢ばね366から第2ラック364に付与される付勢力の傾斜角度を大きくして(即ち、図58(b)の状態へ近づけて)、第2ラック364の姿勢の暴れの発生を抑制する一方、第2ラック364の変位速度が一定に達した定常状態にある段階では、第2ラック364の挙動が安定されるため、付勢ばね366から第2ラック364に付与される付勢力の傾斜角度を小さくして(平行に近づけて)、抵抗を低減させることで、第2ラック364の駆動に要するエネルギーを抑制することができる。
次いで、図59を参照して、第14実施形態について説明する。図59(a)は、第14実施形態における上下スライドユニット14300の背面図であり、図59(b)は、上下スライドユニット14300の部分拡大背面図である。なお、図59(a)では、伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671aが短縮された状態が、図59(b)では、伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671aが伸長された状態が、それぞれ図示される。
第11実施形態では、付勢ばね11366の姿勢が一定に維持される場合を説明したが、第13実施形態における付勢ばね11366は、その姿勢が変化される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
なお、第14実施形態における上下スライドユニット14300は、第11実施形態における上下スライドユニット11300に対して、伸縮アクチュエータ13671及び左右ローラー14662が追加される点と、ローラー11661が伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671bの先端に配設される点とを除き、他の構成は同一である。よって、同一の構成についての説明は省略する。
図59(a)及び図59(b)に示すように、第14実施形態における上下スライドユニット14300には、伸縮アクチュエータ13671と、左右ローラー14662とが配設される。
伸縮アクチュエータ13671は、図59(a)に示す背面視において、付勢ばね11366の幅方向(図59(a)左右方向)中央に配設されると共に、その伸縮方向(ロッド部13671bの軸方向)を、上下方向(図59(a)上下方向)に沿わせた姿勢(即ち、付勢ばね11366の対称線に沿う姿勢)で配設される。
また、本実施形態では、ローラー11661が、伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671aの先端に回転可能に配設される一方、左右ローラー14662が介設部材11370の背面に回転可能に配設される。
よって、伸縮アクチュエータ13671の駆動により、ロッド部13671bを伸縮させることで、ローラー11661を、図59(a)に示すように、左右ローラー14662と左右方向(図59(a)左右方向)に並ぶ位置と、図59(c)に示すように、左右ローラー14662よりも下方(図59(a)下側)となる位置との間で変位させることができる。
なお、伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671bが短縮された図59(a)に示す状態では、付勢ばね11366は、左右の屈曲部分(ローラー367、図19参照)からローラー11661との当接部分までの間がそれぞれ直線状に形成される。
このように、本実施形態によれば、付勢ばね11366に当接されるローラー11661の配設位置を、伸縮アクチュエータ13671によるロッド部13671bの伸縮動作により、変化させることができ、付勢ばね11366から第2ラック364に付与される付勢力の状態(例えば、付勢の大きさ)を、例えば、第2ラック364の状態(例えば、その姿勢や変位速度、或いは、変位位置)に応じて、調整することができる。
これにより、例えば、図59(b)に示すように、伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671bを伸長させることで、付勢ばね11366のプリロード(組み付けられた状態において付勢ばね11366にかけられている荷重)を増加させて、付勢ばね11366のみかけのばね定数を大きくできる一方、図59(a)に示すように、伸縮アクチュエータ13671のロッド部13671bを短縮させることで、付勢ばね11366のプリロードを減少させて、付勢ばね11366のみかけのばね定数を小さくできる。
よって、例えば、変位部材310を上昇位置に停止させる場合には、付勢ばね366のプリロードを増加させ、変位部材310を上昇位置に維持するために必要とされる力を、付勢ばね366の付勢力によって補助する一方、変位部材310が変位(上昇または下降)する際(即ち、第2ラック364が変位する際)には、付勢ばね366のプリロードを減少させて、付勢ばね366の付勢力が変位部材310(第2ラック364)を変位させる際の抵抗となることを抑制できる。
更に、本実施形態によれば、1本の付勢ばね11366に対して、そのプリロードを調整できるので、かかる調整による付勢力の変化を、一側部材11320Lの第2ラック364と他側部材11320Rの第2ラック364とにおいて均一化できる。これにより、各第2ラック364の姿勢のばらつきを抑制して、各伝達機構における第1ピニオン351への駆動力の伝達を均一化できるので、一側部材11320Lによる変位部材310の案内および駆動と、他側部材11320Rによる変位部材310の案内および駆動とを均一化でき、変位部材310を安定して変位させることができる。
また、本実施形態によれば、付勢ばね11366から各第2ラック364に付与される付勢力の方向と第2ラック364の直線運動の方向とがなす角度(傾斜角度)を変化させることなく(一定の傾斜角度に維持しつつ)、付勢ばね11366のプリロードのみを調整することができる。これにより、付勢ばね11366のプリロードを調整する際に、その調整に伴って上記傾斜角度(付勢力の付与方向)が変化され、その傾斜角度の変化が起因となって第2ラック364の姿勢が暴れることを回避できる。
次いで、図60を参照して、第15実施形態について説明する。図60は、第15実施形態における伝達機構および背面ベース15331の正面図であり、図22に対応する。
第1実施形態では、第2ピニオン365aに対面して配置されるギヤ軸331bを、第2ラック364のラック溝364bに挿通させることで、かかる第2ラック364を第2ピニオン365aの歯面に沿って変位可能な状態とする場合を説明したが、第15実施形態では、第2ピニオン365aに対面して配置される第1規制部15331gを、第2ラック15364の側面に当接させることで、かかる第2ラック15364を第2ピニオン365aの歯面に沿って変位可能な状態とする。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図60に示すように、第15実施形態における伝達機構の第2ラック15364は、ラックが形成される側(第2ピニオン365a側の側面)の側面、及び、その側面と反対側(図60左側)の側面が、ラックの歯面にそれぞれ平行な平坦面として形成される。詳細には、第2ラック15364の両側の側面は、少なくとも後述する第1規制部15331g及び一対の第2規制部15331hが当接される範囲においては、互いに平行な平坦面として形成される。
背面ベース15331には、その正面から、第1規制部15331gと、左右一対の第2規制部15331hとが突設される。第1規制部15331gは、第2ラック15364の側面(図60左側の面)に当接してその姿勢を規定するための部位であり、第2ラック15364を挟んで第2ピニオン365aの軸に対面する位置(背面ベース15331と中間ベース332との組み立て状態において、中間ベース332のギヤ軸332iに対面する位置)に配設されると共に、断面円形の円柱状体として形成される。詳細には、第1規制部15331gの配設位置は、その第1規制部15331gの軸心とギヤ軸332iの軸心とを結ぶ方向が、第2ラック15364の直線運動の方向と直交する位置に設定される。
第2規制部15331hは、第2ラック15364の幅方向(図60左右方向)への変位を規制するための部位であり、所定間隔を隔てて一対が形成されると共に、それぞれ断面円形の円柱状体として形成される。一対の第2規制部15331hの対向間隔(図60左右方向間隔)は、第2ラック15364の幅寸法よりも大きくされ、第2ラック15364の側面との間に隙間を有するように形成される。
この場合、第2規制部15331hにより許容される第2ラック15364の左右方向(幅方向、図60左右方向)への変位量は、第1規制部15331gと第2ピニオン365aとの間で許容される第2ラック15364の左右方向(幅方向)への変位量よりも大きくされる。なお、かかる許容される変位量の差は、1.5倍以上に設定されることが好ましい。第2ピニオン365aの歯面に沿った第2ラック15364の変位(回転)を確実に形成できるからである。
以上の構成より、本実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に、第2ラック15364を、第2ピニオン365aの歯面に沿って変位(回転)させつつ、直線運動の方向へ変位させることができる(図26参照)。これにより、第2ラック15364の姿勢が暴れた場合でも、かかる第2ラック15364と第2ピニオン365aとの噛み合いを一定に維持しやすくして、駆動力の伝達を安定化させることができる。
一方で、本実施形態によれば、第1実施形態の場合のように、第2ラック15364にラック溝364b(図22参照)を開口形成する必要がないので、その分、第2ラック15364の剛性を確保して、その耐久性の向上を図ることができる。また、このように、ラック溝364bを省略でき、第2ラック15364の剛性が確保されることで、第2ピニオン365aの回転により駆動される際の第2ラック15364の変形を抑制できるので、この点からも第2ラック15364と第2ピニオン365aとの噛み合いを一定に維持しやすくできる。
次いで、図61及び図62を参照して、第16実施形態について説明する。図61及び図62は、第16実施形態における伝達機構および背面ベース15331の正面図であり、図22及び図24にそれぞれ対応する。
第1実施形態では、第2ラック364の案内溝364aがその長手方向に沿って一定の溝幅で形成される場合を説明したが、第16実施形態における第2ラック16364の案内溝364aは、凹部16681が凹設されることで、その長手方向の一部において溝幅が拡大される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図61及び図62に示すように、第16実施形態における伝達機構の第2ラック16364には、その案内溝364aの第2ピニオン635a側(図61及び図62右側)の内壁面に凹部16681が凹設される。凹部16681は、第2ラック16364の直線運動を規制するための部位であり、案内溝364aの上端および下端の2か所において、ラック軸331bに係合可能な円弧状に湾曲する凹部として形成される。なお、凹部16681の内径は、ラック軸331bの外径と同等または若干大きな寸法に設定される。
なお、凹部16681の円弧の中心角は、30°以上かつ120°以下の範囲内に設定されることが好ましく、45°以上かつ90°以下の範囲内に設定されることが更に好ましい。凹部16681とラック軸331bとの係合状態を維持することとその係合の解除のしやすさとの相反する機能を達成するためである。
例えば、変位部材310を上昇位置で停止させて保持するためには(図21(a)参照)、変位部材310に作用する重力に抗する必要があるため、駆動モータ341に必要とされる駆動力が嵩む。これに対して、本実施形態によれば、変位部材310が上昇位置に配置された状態では、図61に示すように、第2ラック16364が可動範囲のうちの最下方に配置されることで、その第2ラック16364の案内溝364aにおける下端の凹部16681にラック軸331bを係合させて、第2ラック16364の直線運動を規制することができる。これにより、駆動モータ341に必要とされる駆動力を低減(又はその駆動を停止)できる。その結果、変位部材310を上昇位置に保持する際の駆動モータ341の消費エネルギーを抑制できる。
また、変位部材310が下降位置に配置された状態では、図62に示すように、第2ラック16364が可動範囲のうちの最上方に配置されることで、その第2ラック16364の案内溝364aにおける上端の凹部16681にラック軸331bを係合させて、第2ラック16364の直線運動を規制することができる。これにより、下降位置に配置された変位部材310が外乱の影響によりがたつくことを抑制できる。
特に、本実施形態では、凹部16681が、案内溝364aの第2ピニオン635a側(図61及び図62右側)の内壁面に凹設されると共に、付勢ばね366から第2ピニオン16364に付与される付勢力の方向が第2ラック16364の直線運動の方向に対して傾斜される(非平行とされる)ところ、その傾斜の方向が、ラック軸331bを回転中心として第2ラック16364を図61及び図62の時計回り(右回り)に回転させて、凹部16681にラック軸331bを係合させる方向であるので、それら凹部16681及びラック軸331bの係合とその解除とを第2ラック16364の直線運動に伴って行うことができる。
即ち、第2ラック16364が可動範囲の最上方または最下方まで変位されると、ラック軸331bに凹部16681が対面され、第2ラック16364が付勢ばね366の付勢力によって回転されることで、凹部16681にラック軸331bを係合(挿入)させることができると共に、その凹部16681とラック軸331bとの係合を付勢ばね366の付勢力によって維持することができる。一方、その状態から第2ピニオン365aが回転駆動されると、付勢ばね366の付勢力に抗しつつ、凹部16681からラック軸331bを抜け出させる方向へ第2ラック16364が回転され、凹部16681とラック軸331bとの係合が解除される。これにより、第2ラック16364を直線運動させることができる。
更に、本実施形態では、第2ラック16364の直進運動を規制するための機構(直動規制手段)が、第2ラック16364に開口形成される案内溝364aとその案内溝364aに挿通されるラック軸331bを利用して構成されるので、第2ラック16364の外形を拡大する必要がなく、スペース効率の向上を図ることができる。また、ラック軸331bを、第2ピニオン365aを回転可能に案内するための部位に加えて、直動規制手段を構成する部位(凹部16681に係合する部位)も兼用するので、その分、部品点数を削減して、小型化および製品コストの削減を図ることができる。
次いで、図63を参照して、第17実施形態について説明する。図63(a)は、第17実施形態における円環分割体17440L1の部分拡大側面図であり、図63(b)は、第7実施形態における円環分割体17440R1の部分拡大側面図であり、図63(c)は、図63(a)のLXIIIc−LXIIIc線における円環分割体17440L1の部分拡大断面図であり、図63(d)は、図63(b)のLXIIId−LXIIId線における円環分割体17440R1の部分拡大断面図である。なお、図63(a)及び図63(b)は、図38(a)及び図38(b)に対応する。
第1実施形態では、位置決め凸部491の先端および位置決め凹部492の底面に、係合凹部491a及び係合凸部492aを設けることで、2段階の位置決め機構を構成する場合を説明したが、第17実施形態における位置決め凸部491の先端および位置決め凹部492の底面には、ボールプランジャ機構17495が配設される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図63(a)から図63(d)に示すように、第17実施形態における位置決め機構は、第1実施形態の場合と同様に、円環分割体17440R1の当接面(側面)から突設される位置決め凸部491と、その位置決め凸部491を受け入れ可能な凹部として円環分割体17440L1の当接面(側面)に凹設される位置決め凹部492とを備える一方、その位置決め凹部492の凹設底面17493には窪み部17493aが凹設され、位置決め凸部491の突設先端面にはボールプランジャ機構17495のボール17495aが突出される。
窪み部17493aは、球面状の凹部として形成され、ボールプランジャ機構17495のボール17495aが係合可能に形成される。即ち、窪みず17493aの球面の直径は、ボールプランジャ機構17495のボール17495aの直径と同等または若干大きな寸法に設定される。なお、位置決め凹部492の凹設底面17493は、窪み部17493aへ向けて下降傾斜される。
これら窪み部17493a及びボール17495aは、円環分割体17440L1,17440R1の当接面どうしを当接させる際の最終段階において互いに係合(凹凸嵌合)することで、最終的な位置決めを行うための部位である。ボール17495aが位置決め凸部491の突設先端面から突出する寸法は、位置決め凹部492の凹設深さよりも小さな寸法に設定される。
これにより、当接面どうしを当接させる際の初期段階においては、位置決め凸部491及び位置決め凹部492により位置決め精度が比較的粗い(位置ずれの許容範囲が比較的広い)仮の位置決めを行うことで、位置決め凸部491の突設先端を位置決め凹部492へ確実に受け入れさせると共にその後の適正な位置決め位置への案内をスムーズに行うことを可能とする一方で、当接面どうしを当接させる際の最終段階においては、ボール17495aを窪み部17493aに係合させることで、位置決め精度を高め、円環形状を適正に形成すると共に円環形状を形成した後のがたつきやぐらつきを確実に抑制できるという2段階の位置決めが可能となる。
このように、本実施形態では、位置決め機構の2段階目が、ボールプランジャ機構17495のボール17495aを、凹設底面17493に凹設された窪み部17493aに係合させる構造であるので、円環分割体17440L1,17440R1が円環形成位置へ配置される際の2段階目の位置決めにおいて、ボール17495aを凹設底面17493上で転動させることができ、その結果、位置決め凹部492に位置決め凸部491が受け入れられてからボール17495aが窪み部17493に係合するまでの間の動作をスムーズに行わせることができると共に、それらボール17495aと窪み部17493との係合の解除を、円環分割体17440L1,17440R1が退避位置へ変位される際の動作に伴ってスムーズに行わせることができる。
この場合、位置決め凹部492の凹設底面17493は、窪み部17493aへ向けて下降傾斜されるため、かかる凹設底面17493に沿ってボールプランジャ機構17495のボール17495aを窪み部1793aへ案内することができ、これらボール17495aを窪み部17493aに確実に係合させることができる。
更に、円環分割体17440L1,17440R1が円環形成位置へ配置される際に、位置決め凸部491の突設先端が位置決め凹部492の凹設底面17493に衝突されたとしても、ボールプランジャ機構17495のボール17495aを凹設底面17493に当接させ、そのボール17495aの退避動作に伴って、スプリングを弾性変形させて衝撃を吸収させることができる。
次いで、図64及び図65を参照して、第18実施形態について説明する。図64は、第18実施形態における上下スライドユニット18300及び円環形成ユニット18400の正面図であり、図65は、上下スライドユニット18300及び円環形成ユニット18400の部分断面背面図である。
なお、図64及び図65は、背面ケース210に取り付けられた状態(即ち、動作ユニット200の組み立て状態)における上下スライドユニット18300及び円環形成ユニット18400の正面図および背面図に対応する。また、図64は、円環形成ユニット18400における姿勢規定部材18450の板厚方向(図65紙面垂直方向)中央を通る仮想平面により上下スライドユニット18300及び円環形成ユニット18400をそれぞれ部分的に切断した断面図に対応する。
第1実施形態では、上下スライドユニット300と円環形成ユニット400とは背面ケース210への取り付け部分を除き互いに非接触とされる場合を説明したが、第18実施形態では、上下スライドユニット18300と円環形成ユニット18400とが部分的に接触可能とされる。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
ここで、第18実施形態における上下スライドユニット18300は、第1実施形態における上下スライドユニット300に対し、回転ベース18312の直径寸法が大きくされる点を除き、他の構成は同一とされる。一方、第18実施形態における円環形成ユニット18400は、第1実施形態における円環形成ユニット400に対し、姿勢規定部材18450の回転ベース18312に対面される側の側縁の形状が異なる(回転ベース18312の外周に保持部18453が当接可能に形成される)点を除き、他の構成は同一とされる。以下においては、これら同一の構成についての説明は省略する。なお、保持部18453は、背面視において、回転ベース18312の外周面と同心の円弧状に湾曲される。
図64(a)及び図64(b)に示すように、上下スライドユニット18300が、変位部材310を上昇位置および下降位置の中間に配置した後、円環形成ユニット18400が、円環分割体440L1〜440R2を円環形成位置に配置すると、円環分割体440L1〜440R2により円環形状が形成されると共に、その円環形状の内周側に所定間隔を隔てて正面視円形の回転体313が同心に配設される。本実施形態によれば、このように、円環形状により周囲を取り囲まれた回転体313を回転させるという演出を行うことができる。
この場合、変位部材310には、可動機構(本体部311に対して端側部314を相対変位可能とする構造)が介設されるため、本体部311は、その両端が端側部314に遊動可能な状態で支持されていることとなる。そのため、回転体313を回転させると、その回転に伴い、本体部311の端側部314に対するがたつきやぐらつきが発生することで、回転体313の外周面が円環形状(円環分割体440L1〜440R2)の内周面に衝突し、損傷を招く。なお、上述した第6実施形態の場合のように、回転体6313の重心位置Gが回転中心から偏心されている場合には、衝突による損傷も問題が特に顕著となる。
一方で、衝突しない程度に円環形状の内周面と回転体313の外周面との間に隙間を設けたのでは、円環形状に取り囲まれた回転体313を回転させるという演出の効果を十分に発揮できない。また、回転体313が円環形状(円環分割体440L1〜440R2)に衝突しない場合であっても、回転体313の回転に伴い、本体部311の端側部314に対するがたつきやぐらつきが継続されると、可動部分(例えば、突設ピン311aや長穴314a)の摩耗を招く。
これに対し、本実施形態によれば、上下スライドユニット18300の変位部材310を上昇位置および下降位置の中間に配置すると共に、円環形成ユニット18400の円環分割体440L1〜440R2を円環形成位置に配置して、円環形状の内周側に回転体313を配置した状態を形成すると、吊り下げ機構450によって左右方向(互いに近接される方向)にスライド変位された円環形成ユニット18400の一対の姿勢規定部材18450が、その保持部18453を、上下スライドユニット18300の回転ベース18312の外周面に当接させ、図65に示すように、かかる回転ベース18312を左右方向から挟み込む。
これにより、変位部材310の本体部311を、円環形成ユニット18400によって保持することができるので、本体部311と端側部314との相対変位を規制する(可動機構を固定する)ことができる。その結果、回転体313を回転させても、本体部311が端側部314に対してがたつくことやぐらつくことを抑制することができ、これにより、回転体313の外周面が円環形状(円環分割体440L1〜440R2)の内周面に衝突することや、可動部分(例えば、突設ピン311aや長穴314a)が摩耗や損傷することを抑制できる。
特に、本実施形態によれば、変位部材310における本体部311と端側部314との間の相対変位は、端側部314における長穴314aの長径方向(図65左右方向)に沿って突設ピン311aが摺動することで形成されるところ、上述したように、一対の姿勢規定部材18450が左右方向にスライド変位され、それら一対の姿勢規定部材18450の保持部18453が、上下スライドユニット18300の回転ベース18312の外周面を、図65に示すように、左右方向から挟み込むことで、変位部材310の本体部311を保持(端側部314との相対変位を規制)する。
よって、突設ピン311aが長穴314aに沿って変位すること、即ち、本体部311の端側部314に対するがたつきやぐらつきの要因を効率的に規制することができる。その結果、本体部311の保持(端側部314に対する相対変位の規制)に必要とされる力をより小さくでき、上記がたつきやぐらつきを確実に抑制できる。
また、この場合、回転ベース18312の外周面を左右方向から挟み込む姿勢規定部材18450は、図65に示すように、左右方向に沿って延びる上下アーム体435,436によって支えられているので、本体部311が端側部314に対して相対変位する方向(左右方向)の保持力を高めることでき、この点からも、本体部311の端側部314に対するがたつきやぐらつきを確実に抑制できることとなる。
更に、本実施形態では、円環分割体440L1〜440R2を退避位置から円環形成位置に配置することで円環形状を形成して演出を行う円環形成ユニット18400を備え、その円環形成ユニット18400が円環形状を形成するという演出のために行う動作を利用して、本体部311と端側部314との相対変位を規制する(可動機構を固定する)。即ち、演出のための動作に付属して、相対変位の規制も行うことができ、相対変位を規制するための機構や駆動手段を別途設ける必要がない。よって、その分、製品コストの削減を図ることができる。
次いで、図66を参照して、第19実施形態について説明する。図66は、第19実施形態における上下スライドユニット19300及び円環形成ユニット19400の正面図である。
なお、図66は、背面ケース210に取り付けられた状態(即ち、動作ユニット200の組み立て状態)における上下スライドユニット19300及び円環形成ユニット19400の正面図および背面図に対応する。また、図66は、円環形成ユニット19400における円環分割体440L1〜440R2の板厚方向(図66紙面垂直方向)中央を通る仮想平面により上下スライドユニット19300及び円環形成ユニット19400をそれぞれ部分的に切断した断面図に対応する。
第18実施形態では、上下スライドユニット18300と円環形成ユニット18400とを直接的に接触させることで、本体部311の端側部324に対する相対変位を規制する場合を説明したが、第19実施形態では、上下スライドユニット19300と円環形成ユニット19400とを非接触としつつ、本体部311の端側部324に対する相対変位を規制する。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
ここで、第19実施形態における上下スライドユニット19300は、第1実施形態における上下スライドユニット300に対し、回転体313の外周側に複数の磁石1991が配設される(追加される)点を除き、他の構成は同一とされる。一方、第19実施形態における円環形成ユニット19400は、第1実施形態における円環形成ユニット400に対し、円環分割体440L1〜440R2の内周側(回転体313の外周面に対向する側)に複数の金属板1992が配設される(追加される)点を除き、他の構成は同一とされる。以下においては、これら同一の構成についての説明は省略する。
図66に示すように、第19実施形態では、回転体313に外周側に配設される複数(本実施形態では4個)の磁石1991は、回転体313の回転中心から等距離となる位置において、周方向等間隔に配設される。
一方、円環分割体440L1〜440R2の内周側(回転体313の外周面に対向する側)に配設される複数(本実施形態では4枚)の金属板1992は、金属材料からなり、円環分割体440L1〜440R2により形成される円環形状の内周面に沿って円弧状に湾曲する平板状体として形成される。即ち、各金属板1992は、回転体313と同心となる正面視円環形状を形成する。
これにより、本実施形態によれば、回転体313に配設される磁石1991と、円環分割体440L1〜440R2に配設される金属板1992との間で作用される磁力により、回転体313が径方向へ変位することをいずれの方向に対しても規制することができる。即ち、回転体313を、円環分割体440L1〜440R2により形成される円環形状と同心となる位置(内周側の中央)に保持することができる。その結果、回転体313の外周面が円環形状(円環分割体440L1〜440R2)の内周面に衝突することを抑制できる。また、回転体313を回転させた際に、本体部311が端側部314に対してがたつくことやぐらつくことを抑制でき、これにより、可動部分(例えば、突設ピン311aや長穴314a)が摩耗や損傷することを抑制できる。
特に、本実施形態では、金属板1992がほぼ全周にわたって連続され、磁石1991が周方向90°間隔で配設されるので、磁力が作用する位置どうしを対向配置(位相を180°異ならせて配置)させることができ、これにより、回転体313を四方から拘束できる。よって、その変位(がたつきやぐらつき)をいずれの方向に対しても抑制できるだけでなく、円環分割体440L1〜440R2により形成される円環形状(内周面)に対して、回転体313の相対位置が位置ずれしている場合には、円環形状に対して回転体313を同心に位置させる芯出しを行うことができる。
また、第18実施形態の場合と同様に、円環形成ユニット19400が円環形状を形成するという演出のために行う動作を利用して、回転体313を円環形状の内周側に保持する(本体部311と端側部314との相対変位を規制する)ものであり、回転体313の保持(相対変位の規制)のための機構や駆動手段を別途設ける必要がない。よって、その分、製品コストの削減を図ることができる。
次いで、図67から図70を参照して、第20実施形態について説明する。図67(a)及び図68(a)は、第20実施形態における伝達機構および背面ベース20331の正面図であり、図22及び図24にそれぞれ対応する。図67(b)は、図67(a)のLXVIIb−LXVIIb線における背面ベース20331の断面図であり、図68(b)は、図68(a)のLXVIIIb−LXVIIIb線における背面ベース20331の断面図である。
第1実施形態では、第2ラック364の案内溝364aが開口として形成される場合を説明したが、第20実施形態における第2ラック20364の案内溝20364aは、有底の凹溝として形成される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図67及び図68に示すように、第20実施形態における第2ラック20364の案内溝20364aは、第2ラック20364の背面側(図67及び図68紙面奥側)が開放された断面コ字状の有底の凹溝として形成され、その案内溝20364aの底面に凹部20681が凹設される。一方、背面ベース331のラック軸20331bには、ボール20682が出没可能に弾性支持される。即ち、ラック軸20331bは、案内溝20364aの凹部20681にボールを嵌合させるボールプランジャとして形成される。
凹部20681は、案内溝20364aの上端および下端(図67及び図68の上側および下側)の2か所において、ラック軸20331bのボール20682と係合可能な球面状の凹部として形成される。凹部20681の内径は、ボール20682の外径と同等または若干大きな寸法に設定される。
なお、凹部20681の球面の中心角は、30°以上かつ120°以下の範囲内に設定されることが好ましく、45°以上かつ90°以下の範囲内に設定されることが更に好ましい。凹部20681とボール20682との係合状態を維持することとその係合の解除のしやすさとの相反する機能を達成するためである。
ラック軸20331bは、第1実施形態の場合と同様に、中間ベース332のギヤ軸332i(図18参照)に対面する位置に配設される。また、ラック軸20331bの直径は、第1案内溝20364aの溝幅と同等または若干小さい寸法に設定され、第2ラック20364がラック軸20331bを中心として回転可能とされる。よって、第2ラック364を、ギヤ軸332iに軸支される第2ピニオン365aの歯面に沿って変位可能な状態とすることができる(図26参照)。
ここで、変位部材310を上昇位置で停止させて保持するためには(図21(a)参照)、変位部材310に作用する重力に抗する必要があるため、駆動モータ341に必要とされる駆動力が嵩む。これに対して、本実施形態によれば、変位部材310が上昇位置に配置された状態では、図67に示すように、第2ラック20364が可動範囲のうちの最下方に配置され、その第2ラック20364の案内溝20364aにおける下端の凹部20681にラック軸20331bのボール20681を係合させることで、第2ラック20364の直線運動を規制することができる。これにより、駆動モータ341に必要とされる駆動力を低減(又はその駆動を停止)できる。その結果、変位部材310を上昇位置に保持する際の駆動モータ341の消費エネルギーを抑制できる。
同様に、変位部材310が下降位置に配置された状態では(図21(c)参照)、図68に示すように、第2ラック20364が可動範囲のうちの最上方に配置され、その第2ラック20364の案内溝20364aにおける上端の凹部20681にラック軸20331bのボール20682を係合させることで、第2ラック20364の直線運動を規制することができる。これにより、下降位置に配置された変位部材310が外乱の影響によりがたつくことを抑制できる。
なお、本実施形態では、変位部材310が上昇位置または下降位置に配置された状態では(図21(a)又は図21(c)参照)、図67及び図68に示すように、クランク歯車363の回転中心と偏心ピン363aの軸心とを結ぶ方向が、ラック溝364bの延設方向と直交する向きとなる姿勢にクランク歯車363が配設される。
次いで、図69及び図70を参照して、凹部20681とボール20682との係合の解除を円滑化するための構造について説明する。
図69(a)、図69(b)、図70(a)及び図70(b)は、第2ラック20364及びクランク歯車363の部分拡大正面図である。
なお、図69(a)は、クランク歯車363が上昇側第1位置に配置された状態が、図69(b)は、クランク歯車363が上昇側第2位置に配置された状態が、図70(a)は、クランク歯車363が下降側第1位置に配置された状態が、図70(b)は、クランク歯車363が下降側第2位置に配置された状態が、それぞれ図示される。この場合、図69(a)及び図69(b)に示す状態では、変位部材310が上昇位置に、図70(a)及び図70(b)に示す状態では、変位部材310が下降位置に、それぞれ配置される。
下降位置にあった変位部材310が上昇して、上昇位置に配置されると共に案内溝20364aにおける下端の凹部20681にボール20681が係合された状態では(図21(a)及び図67参照)、第2ラック20364が可動範囲のうちの最上方に配置され、クランク歯車363が図69(a)に示す上昇側第1位置に配置される。
この図69(a)に示す状態から、駆動モータ341の駆動力によりクランク歯車363が図69(a)反時計回り(左回り)に回転されると、クランク歯車363の偏心ピン363aが第2ラック20364のラック溝20364bに沿って摺動されることで、第2ラック364が下方(図69(a)下方)へ向けて変位(下降)され、クランク歯車363が図70(a)に示す下降側第1位置に到達すると、変位部材310が下降位置に配置されると共に案内溝20364aにおける下端の凹部20681にボール20682が係合される(図21(c)及び図68参照)。
一方、この図70(a)に示す状態から、駆動モータ341の駆動力によりクランク歯車363が逆方向(図70(a)時計回り(右回り))へ回転され、クランク歯車363が図69(a)に示す上昇側第1位置に復帰されることで、変位部材310が上昇位置に配置されると共に案内溝20364aにおける上端の凹部20681にボール20682が係合される(図21(a)及び図67参照)。
ここで、本実施形態では、ラック溝20364bの溝幅が次のように設定される。即ち、クランク歯車363が上昇側第1位置と下降側第1位置との間で回転される際に偏心ピン363aが通過する領域(図69(a)及び図70(a)における偏心ピン363aよりも左側の領域)では、ラック溝20364bの溝幅が、偏心ピン363aの直径と同等または若干大きな寸法に設定される。よって、上述のように、クランク歯車363の回転に伴って、偏心ピン363aがラック溝20364bに沿って摺動されることで、第2ラック20364が昇降される。
一方、クランク歯車363が上昇側第1位置と上昇側第2位置との間、及び、下降側第1位置と下降側第2位置との間で回転される際に偏心ピン363aが通過する領域(図69(a)及び図70(a)における偏心ピン363aよりも右側の領域)では、ラック溝20364bの溝幅が、偏心ピン363aの直径よりも十分に大きな寸法に設定され、クランク歯車363が回転されても、偏心ピン363aがラック溝20364bに接触されず、第2ラック20364に対してクランク歯車363が空回り(空転)される。
即ち、上昇側第1位置と上昇側第2位置との間(図69(a)の状態と図69(b)の状態との間)、及び、下降側第1位置と下降側第2位置との間(図70(a)の状態と図70(b)の状態との間)では、クランク歯車363を回転させても、第2ラック20364を変位させることを回避でき、変位部材310を上昇位置または下降位置に配置した状態(案内溝20364aの上端または下端の凹部20681にボール20682を係合させた状態)を維持できる。
よって、変位部材310が上昇位置に配置されると共に案内溝20364aにおける上端の凹部20681にボール20682が係合された状態(図21(a)及び図67参照)から、変位部材310を下降位置へ向けて下降させる際には、クランク歯車363の回転を図69(a)に示す上昇側第1位置から開始するのではなく、図69(b)に示す上昇側第2位置から開始することができると共に、この動作により、上昇側第2位置から上昇側第1位置までのクランク歯車363の空回り(空転)の間に、かかるクランク歯車363の回転に勢いを与えることができる。その結果、凹部20681とボール20682との係合の解除を円滑に行うことができる。また、かかる係合の解除に要する駆動モータ341の消費電力の抑制を図ることができる。
また、変位部材310が下降位置に配置されると共に案内溝20364aにおける下端の凹部20681にボール20682が係合された状態(図21(c)及び図68参照)から、変位部材310を上昇位置へ向けて上昇させる際にも、クランク歯車363の回転を図70(a)に示す下降側第1位置から開始するのではなく、図70(b)に示す下降側第2位置から開始することで、上述の場合と同様の効果が得られる。
次いで、図71から図73を参照して、第21実施形態について説明する。図71(a)及び図72(a)は、第21実施形態における伝達機構および背面ベース21331の正面図であり、図22及び図24にそれぞれ対応する。図71(b)は、図71(a)のLXXIb−LXXIb線における背面ベース21331の断面図であり、図72(b)は、図72(a)のLXXIIb−LXXIIb線における背面ベース21331の断面図である。
第1実施形態では、第2ラック364の案内溝364aが開口として形成される場合を説明したが、第21実施形態における第2ラック21364の案内溝20364aは、有底の凹溝として形成される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図71及び図72に示すように、第21実施形態における第2ラック21364には、第20実施形態における案内溝20364a及び凹部20681と、第1実施形態におけるラック溝364bとがそれぞれ形成され、背面ベース21331には、第20実施形態におけるボール20681が配設される。これらの構成は第1及び第20実施形態の場合と同様であるので、その説明は省略する。
第21実施形態における伝達機構(第1ピニオン351へ駆動モータ341の駆動力を伝達するための機構)は、駆動モータ341からクランク歯車21363までの経路が第1実施形態の場合と異なる構成とされる。詳細には、第21実施形態では、第1実施形態における歯車列(歯車362a〜362e)が省略され、駆動モータ341の駆動軸に接続される歯車21361がクランク歯車21363に直接歯合される。
ここで、歯車21361及びクランク歯車21363の詳細構成、及び、凹部20681とボール20682との係合の解除を円滑化する構造について、図73を参照して説明する。
図73(a)から図73(c)は、歯車21361及びクランク歯車21363の部分拡大正面図である。なお、図73(a)は、変位部材310が上昇位置に配置された状態に、図73(b)は、変位部材310が上昇位置と下降位置との間に配置された状態に、図73(c)は、変位部材310が下降位置に配置された状態に、それぞれ対応する。
図73に示すように、歯車21361の外周面には、2種類の歯(駆動側第1歯21361x、駆動側第2歯21361y)が周方向に沿って形成される。同様に、クランク歯車21363の外周面には、2種類の歯(従動側第1歯21363x、従動側第2歯21363y)が周方向に沿って形成される。
なお、図73では、理解の容易のために、駆動側第2歯21361y及び従動側第2歯21363yにハッチングを付して図示する。
本実施形態では、歯車21361は、駆動側第1歯21361xの歯数が12に、駆動側第2歯21361yの歯数が3に、それぞれ設定される。また、クランク歯車21363は、従動側第1歯21363xの歯数が12に、従動側第2歯21363yの歯数が6に、それぞれ設定される。従動側第2歯21363yは、従動側第1歯21363xの両側にそれぞれ3枚ずつ配置される。
駆動側第1歯21361xは、従動側第1歯21363xと歯合するための歯であり、駆動側第2歯21361yは、従動側第1歯21363yと歯合するための歯である。よって、駆動側第1歯21361xのピッチは従動側第1歯21363xのピッチと、駆動側第2歯21361yのピッチは従動側第2歯21363yのピッチと、それぞれ同一のピッチに設定され、歯合可能とされる。
なお、歯車21361及びクランク歯車21363は、後述するように、ボール20682と凹部20681との嵌合が形成されてない領域では、駆動側第1歯21361xと従動側第1歯21363xとを歯合させ、少なくともボール21682の一部が凹部20681に嵌合される領域では、駆動側第2歯21361yと従動側第2歯21363yとを歯合させる(図73参照)。
駆動側第1歯21361xの歯先円直径および歯底円直径は駆動側第2歯21361yの歯先円直径および歯底円直径よりもそれぞれ大きな値に設定される。また、駆動側第1歯21361xの歯幅、全歯たけ及びピッチは駆動側第2歯21361yの歯幅、全歯たけ及びピッチよりもそれぞれ小さな値に設定される。よって、歯車21361では、駆動側第1歯21361xのピッチ円が、駆動側第2歯21361yのピッチ円よりも大きくされる。
一方、従動側第1歯21363xの歯先円直径および歯底円直径は従動側第2歯21363yの歯先円直径および歯底円直径よりもそれぞれ小さな値に設定される。また、従動側第1歯21363xの歯幅、全歯たけ及びピッチは従動側第2歯21363yの歯幅、全歯たけ及びピッチよりもそれぞれ小さな値に設定される。よって、クランク歯車21363では、従動側第1歯21363xのピッチ円が、従動側第2歯21363yのピッチ円よりも小さくされる。
よって、駆動側第2歯21361yと従動側第2歯21363yとが歯合される状態における減速比を、駆動側第1歯21361xと従動側第1歯21363xとが歯合される状態における減速比よりも大きくできる。即ち、駆動側第2歯21361y及び従動側第2歯21363yの歯合状態における歯車21361の単位回転数あたりのクランク歯車21363の回転数を、駆動側第1歯21361x及び従動側第1歯21363xの歯合状態における歯車21361の単位回転数あたりのクランク歯車21363の回転数よりも小さくできる。
変位部材310が上昇位置または下降位置に配置され、案内溝20364aにおける凹部20681にボール20681が係合された状態では(図21(a)、図21(c)、図71及び図72参照)、図73(a)及び図73(c)に示すように、駆動側第2歯21361yと従動側第2歯21363yとが歯合される。この状態から歯車21361が駆動モータ341により回転駆動されると、所定の回転角の間は、駆動側第2歯21361y及び従動側第2歯21363yの歯合を介した回転駆動力の伝達により、クランク歯車21363が回転され、第2ラック20364(変位部材310)が上昇または下降される。
この場合、上述したように、歯車21361において、駆動側第1歯21361xのピッチ円が、駆動側第2歯21361yのピッチ円よりも大きくされると共に、クランク歯車21363において、従動側第1歯21363xのピッチ円が、従動側第2歯21363yのピッチ円よりも小さくされるので、駆動側第2歯21361y及び従動側第2歯21363yが歯合される状態における減速比を大きくして、クランク歯車21363をより大きなトルクで回転させることができる。
よって、変位部材310が上昇位置または下降位置に配置され、凹部20681にボール20682が係合された状態(図21(a)、図21(c)、図71及び図72参照)から、変位部材310の昇降を開始する際には、図73(a)又は図73(c)に示すように、歯車21361とクランク歯車21363との間の減速比を大きくして高トルク状態で、駆動モータ341を駆動させることができる。その結果、凹部20681とボール20682との係合の解除を円滑に行うことができる。また、かかる係合の解除に要する駆動モータ341の消費電力の抑制を図ることができる。
次いで、図74を参照して、第22実施形態について説明する。図74(a)は、第22実施形態における一側部材22320Lの背面図であり、図74(b)は、図74(a)のLXXIVb−LXXIVb線における一側部材22320Lの部分拡大断面図である。なお、図74(a)は、図10の背面視に対応する。
第1実施形態では、背面ベース331のラック軸331bの突設先端と中間ベース332とが非連結とされる場合を説明したが、第22実施形態における背面ベース22331のラック軸22331bは、金属製のねじScrにより締結されて中間ベース22332に連結される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図74に示すように、第22実施形態における一側部材22320Lは、中間ベース22332の背面から筒状の連結突部22332uが突設され、背面ベース22331のラック軸22331bに対して突設先端どうしを嵌合させた状態で連結される。背面ベース22331のラック軸22331bには、めねじが螺刻され、そのめねじには、中間ベース22332の正面側から連結突部22332uの内周側に挿通された金属製のねじScrが螺合される。
これにより、背面ベース22331のラック軸22331bには、その突設(立設)方向に沿って金属製のねじScrが内部に埋設されるので、樹脂材料から背面ベース22331に一体に形成されるラック軸22331bの剛性を高めることができる。よって、ラック軸22331bを第2ラック364の案内溝364aの終端(延設方向の端部)に当接させて、第2ラック364の変位を規制するために、ストッパとして機能させる際には、ストッパ機能を強固に発揮できると共に、ラック軸22331bの破損を防止して、その耐久性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、ラック軸22331bに形成されるめねじは、背面ベース22331の背面(図74(b)右側の面)まで連続し、ねじScrは、その先端(図74(b)右側)がラック軸22331bの基部を越えて背面ベース22331に達する長さに設定される。即ち、ねじScrがラック軸22331bと背面ベース22331とを連結させるので、ラック軸22331bをストッパとして機能させる際には、背面ベース22331に対するラック軸22331bの倒れ(傾き)を抑制できる。その結果、ストッパ機能を強固に発揮できると共に、ラック軸22331bの破損を防止して、その耐久性の向上を図ることができる。
この場合、ラック軸22331bは、中間ベース22332の連結突部22332uに嵌合状態で連結されているので、内部に埋設された金属製のねじScrの剛性のみでなく、中間ベース22332の剛性も利用して、自身の剛性の向上を図ることができ、その分、ラック軸22331bをストッパとして機能させる際の破損を防止して、耐久性の向上を図ることができる。
また、中間ベースの連結突部22332uは、その突設先端をラック軸22331bの突設先端に外嵌させると共に、外径寸法が第2ラック364の案内溝364aの溝幅寸法よりも大きな寸法に設定される。これにより、連結突部22332uの突設先端面(軸方向端面、図74(b)右側の面)を第2ラック364の正面に対面させることができる。即ち、連結突部22332uの突設先端面に第2ラック364の正面を当接させることで、かかる第2ラック364の前方(図74(b)左方向)への変位を規制することができる。これにより、第2ラック364のがたつきや姿勢の暴れを抑制して、安定した変位を可能とできる。
特に、本実施形態では、第2ラック364が直線運動する際には、ラック軸22331bを中心として第2ラック364を回転させ、かかる第2ラック364の歯面を第2ピニオン365aの歯面に沿って変位させることで(図26参照)、第2ラック364と第2ピニオン365aとの噛み合い(歯合)状態を一定に維持しやすくして、駆動力の伝達を安定化させる構造であるところ、第2ラック364を、その回転の中心となる位置(ラック軸22331bの周囲)で連結突部22332uにより前方への変位を規制することができる。これにより、第2ラック364の挙動を効果的に安定化することができ、第2ピニオン365aとの噛み合い(歯合)状態を一定に維持しやすくできる。
なお、本実施形態では、ラック軸22331bと連結突部22332uとの連結を可能とするために、伝達歯車365の増速部365b(図23参照)が省略される。この場合、第2ピニオン365aと第1ピニオン351との間には、中間ベース22332に軸支される歯車(図示せず)が歯合され、かかる歯車を介して第2ピニオン365aから第1ピニオン351へ回転駆動力が伝達される。
次いで、図75を参照して、第23実施形態について説明する。図75は、第23実施形態における上下スライドユニット23300の正面図であり、正面ベース333が取り外された状態が図示される。なお、図75では、ボールねじ機構23700が部分的に断面視された状態で拡大して図示される。
第1実施形態では、駆動モータ341の駆動力を変位部材310に伝達する機構として第1ラック351及び第1ピニオン351のラックピニオン機構が使用される場合を説明したが、第23実施形態では、駆動モータ341の駆動力を変位部材310に伝達する機構として、ボールねじ機構23700が使用される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図75に示すように、第23実施形態における上下スライドユニット23300は、ボールねじ機構23700を備える。ボールねじ機構23700は、変位部材310の左右の端側部314(図13及び図14参照)にそれぞれ配設されるナット23710と、一側部材320L及び他側部材320Rにそれぞれ配設される金属製のねじ軸23720と、それらナット23710及びねじ軸23730の螺旋溝の間に介設される複数のボール23730とを備える。
一側部材320L及び他側部材320Rには、上下一組の軸支部材23721が所定間隔を隔てつつ対向する位置に固着され、これら上下一組の軸支部材2372にねじ軸23720の上端および下端が回転可能に保持(軸支)される。この場合、ねじ軸23720は、その軸方向を一側部材230L及び他側部材230Rの長手方向に沿わせた姿勢で配設される。なお、ねじ軸23720と駆動モータ341(図9参照)との間には、図示しない公知の伝達機構が介設され、かかる伝達機構を介して伝達される駆動モータ341の駆動力により左右のねじ軸23720がそれぞれ独立して回転される。
伝達機構としては、ねじ軸237の軸と駆動モータ341の軸(駆動軸)とが平行に配置される場合には、平歯車、はすば歯車、やまば歯車、或いは、ラックピニオンのいずれかを少なくとも伝達経路の一部に含む機構が、ねじ軸237の軸と駆動モータ341の軸(駆動軸)とが交わって配置される場合には、すぐば傘歯車、或いは、まがりば傘歯車のいずれかを少なくとも伝達経路の一部に含む機構が、ねじ軸237の軸と駆動モータ341の軸(駆動軸)とが交わらずくい違って配置される場合には、ハイポイドギヤ、ねじ歯車、或いは、ウォーム・ウォームホイールのいずれかを少なくとも伝達経路の一部に含む機構が、それぞれ例示される。
このように、本実施形態では、一側部材320L及び他側部材320Rにそれぞれ金属製のねじ軸23720が配設されると共に、そのねじ軸23720に変位部材310の両端部(端側部314)がナット23710及びボール23730を介して連結されるので、変位部材310と一側部材320L及び他側部材320Rとをボールねじ機構23700を介して連結させることができ、これにより、変位部材310と一側部材320L及び他側部材320Rと介設部材370との閉じた連結ループを形成できる。
即ち、従来品(即ち、第1実施形態から案内棒Pを省略した構造)では、変位部材310の第1ラック315と一側部材320L及び他側部材320Rの第1ピニオン351との間で連結ループが分断され、変位部材310と一側部材320L及び他側部材320Rとが非連結とされる。
これに対し、本実施形態によれば、変位部材310と一側部材320L及び他側部材320Rとをボールねじ機構23700を介して連結させる(閉じた連結ループを形成する)ことができる。よって、上下スライドユニット23300全体としての剛性を高めることができる。また、ねじ軸23720が一側部材320L及び他側部材320Rに固着されることで、その分、一側部材320L及び他側部材320Rの剛性が向上される。この点も上下スライドユニット23300全体としての剛性を高めることに寄与する。
本実施形態では、変位部材310には、上述した可動機構(本体部311に対して端側部314が相対変位可能とされる構造)が設けられるので、第1実施形態の場合と同様に、一側部材320Lによる案内と他側部材320Rによる案内との間にずれ(即ち、一側部材320Lのねじ軸23720の駆動により直進運動されるナット23710の進度と、他側部材320Rのねじ軸23720の駆動により直進運動されるナット23710の進度との間にずれ)が生じた場合でも、そのずれを可動機構の相対変位により吸収して、変位部材310を安定して変位させる(図27参照)。
この場合、本実施形態によれば、端側部314(ナット23710)は、螺旋溝に内嵌された複数のボール23730を介してねじ軸23720に連結され、ねじ軸23720の軸直角方向(径方向)やねじ軸23720の軸に傾斜する方向へのナット23710の相対変位を規制できるので、変位部材310がスライド変位される際の端側部314の姿勢を安定化できる。
特に、本実施形態によれば、ボールねじ機構23700の採用により、ねじ軸23720に対するナット23710の軸方向(直進方向)へのがたつきをも規制できる。これにより、変位部材310の一側部材320Lによる案内と他側部材320Rによる案内との間にずれが生じた場合に、本体部311と端側部314との間で相対変位を生じやすくでき、かかる相対変位によるずれ吸収の機能を確実に発揮させることができる。
即ち、第1実施形態におけるラック及びピニオン機構(第1ラック315及び第1ピニオン351)では、その噛み合い状態の変動が大きいため、変位部材310の状態が不安定となりやすい。これに対し、本実施形態におけるボールねじ機構23700によれば、ナット23710及びねじ軸23720の螺旋溝の間に複数のボール23730が介設される構造上、噛み合い状態の変動が極めて少ない。よって、棒状体Pを別途設けることを不要とできる。
言い換えれば、第1実施形態では、駆動モータ341の駆動力を変位部材310に伝達するための第1の構成(第1ラック315及び第1ピニオン351)と、一側部材320L及び他側部材320Rの剛性の向上と第1ラック315の姿勢の安定化とを図るための第2の構成(棒状体P)との2つの構成が別部材により形成されたが、本実施形態によれば、これら2つの構成を1の部材(ボールねじ機構23700)により兼用させることができる。その結果、構造の簡素化と部品点数の削減とを図ることができる。
次いで、図76及び図77を参照して、第24実施形態について説明する。図76は、第24実施形態における上下スライドユニット24300及び背面ケース210の正面斜視図である。
第1実施形態では、背面ケース210に上下スライドユニット300が剛結される場合を説明したが、第24実施形態における上下スライドユニット300は、ゴムブッシュ24740を介して背面ケース210に弾性支持される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図76に示すように、背面ケース210には、円筒状の連結突部211bが底壁部211から正面へ向けて複数(本実施形態では、6個)突設されると共に、上下スライドユニット24300には、中央に保持孔24750a(図77参照)を有する連結板部24750が外方へ向けて複数張り出して形成され、これら連結突部211bと連結板部24750とがゴムブッシュ24740を介して連結(締結)されることで、上下スライドユニット24300が背面ケース210にゴムブッシュ24740を介して弾性支持される。
連結突部211bには、突設先端に開口する凹部が凹設され、その凹部の内面にはめねじが螺刻される(図77参照)。連結板部24750は、中間ベース332(図15参照)の本体部分(縦長矩形状の部分)の上端内方側と、中間ベース332の張り出し部分(本体部分の下端から下降傾斜しつつ張り出す部分)の先端下側と、介設部材370(図15参照)の下方部分における左右側面と、にそれぞれ形成される。これら各連結板部24750は、上下スライドユニット24300の幅方向中央を対称線として左右略対称に配置される。
中間ベース332の上端側における連結板部24750は、上昇位置に配置された変位部材310よりも上方に位置し(図21(a)参照)、中間ベース332の下端側および介設部材370における連結板部24750は、下降位置に配置された変位部材310よりも下方に位置する(図21(c)参照)。また、中間ベース332の下端側および介設部材370における連結板部24750は、中間ベース332の上端側における連結板部24750よりも内方に位置する。
このように、本実施形態では、上下スライドユニット24300の上端側および下端側をそれぞれ弾性支持すると共に、下端側の支持位置を上端側の支持位置よりも内方(中央寄り)に位置させる。これにより、変位部材310の変位に伴う一側部材320L及び他側部材320Rのぐらつきやがたつきをゴムブッシュ24740により吸収しやすくでき、変位部材310の変位を安定化させることができる。
次いで、図77を参照して、ゴムブッシュ24740による弾性支持の詳細について説明する。
図77(a)は、図76の矢印LXXVIIa方向視における上下スライドユニット24300の部分拡大正面図であり、図77(b)は、図77(a)のLXXVIb−LXXVIb線における上下スライドユニット24300の断面図であり、図77(c)は、図77(a)のLXXVIc−LXXVIc線における上下スライドユニット24300の断面図である。なお、図77では、背面ケース210に取り付けられた状態における上下スライドユニット24300が図示される。
図77に示すように、ゴムブッシュ24740は、ゴム状弾性体から円筒状に形成される本体部24741と、その本体部24741の中央において軸方向に沿って穿設される挿通孔24742と、その挿通孔24742を挟んで左右に位置すると共に挿通孔24741と平行に穿設される空洞部としてのすぐり部24743と、本体部24741の軸方向両端から径方向外方へ向けて張り出し形成される張出部24744とを備える。
ゴムブッシュ24740は、挿通孔24742の内径寸法が連結突部211bの外径寸法と同等か若干小さな寸法に設定されると共に、本体部24741の張出部24744を除く部分における外径寸法が連結板部24750の保持孔24750aの内径寸法と同等か若干小さな寸法に設定される。張出部247434の外径寸法は、連結板部24750の保持孔24750aの内径寸法よりも大きな寸法に設定される。
また、一対の張出部24744の軸方向(図77(b)左右方向)に沿った対向間隔は、連結板部24750の厚み寸法(図77(b)左右方向の寸法)と同等か若干小さな寸法に設定される。
これにより、後述するように、背面ケース210へ上下スライドユニット24300を押し入れることで、ゴムブッシュ24740により弾性支持された状態を形成しつつ、背面ケース210に上下スライドユニット24300を取り付けることができ、その取り付けの際の作業性の向上を図ることができる。
また、本体部24741に張出部24744が形成されるので、上下スライドユニット24300を背面ケース210に対して前後方向(図77(b)左右方向)にも弾性支持できると共に、上下スライドユニット24300が背面ケース210から前方(図77(b)右方向)へ脱落することを抑制できる。なお、上下スライドユニット24300の前方には、円環形成ユニット400が配設されるので(図6参照)、上下スライドユニット24300が前方へ過大に変位することを円環形成ユニット400により規制でき、この点からも上下スライドユニット24300の前方への脱落を抑制できる。
背面ケース210への上下スライドユニット24300の取り付けは、まず、背面ケース210の連結突部211bをゴムブッシュ24740の挿通孔24742に挿通し、ゴムブッシュ24740を連結突部211bに装着する。なお、この場合、ゴムブッシュ24740は、一対のすぐり部24743を結ぶ方向(図77(a)左右方向)が背面ケース210の幅方向(左右方向)を向く姿勢(周方向位置)で装着する。
次いで、背面ケース210の正面に上下スライドユニット24300の背面を向かい合わせ(図76参照)、連結板部24750と連結突部211bとの位置を合せつつ、上下スライドユニット24300を背面ケース210へ向けて押し込む。
これにより、連結板部24750の挿通孔24750aにゴムブッシュ24740の本体部24741を挿通させ、ゴムブッシュ24740に連結板部24750を外嵌させることができるので、最後に、連結突部211bにその連結突部211bの外径寸法よりも大径の座(フランジ)を有するねじScrを締結する。その結果、図77に示すように、ゴムブッシュ24740を介して上下スライドユニット24300を背面ケース210に弾性支持することができる。
このように、本実施形態によれば、背面ケース210に対して上下スライドユニット24300がゴムブッシュ24740を介して弾性支持されるので、変位部材310の変位を安定化させることができる。即ち、少なくとも一側部材320L及び他側部材320Rが背面ケース210に剛結されるのではなく、変位可能な状態で取り付けられる(弾性支持される)。よって、それら一側部材320L及び他側部材320Rの変位(即ち、がたつき又はぐらつき)を利用して、変位部材310の一側部材320Lによる案内と他側部材320Rによる案内とのずれを吸収することができ、その結果、変位部材310の変位を安定化できる。
また、本実施形態によれば、ゴムブッシュ24740に一対のすぐり部24744が穿設されるので、それら一対のすぐり部24744を結ぶ第1の方向(図77(a)左右方向)におけるばね定数と、第1の方向に直交する第2の方向(図77(a)上下方向)におけるばね定数とを異ならせることができる。即ち、背面ケース210に上下スライドユニット24300が弾性支持される際の支持剛性(ばね定数)を、第2の方向よりも第1の方向を小さくすることができる。
これにより、第2の方向(上下方向)では上下スライドユニット24300(一側部材320L及び他側部材320R)の比較的大きな変位を規制しつつ、第1の方向(左右方向)では上下スライドユニット24300(一側部材320L及び他側部材320R)の変位を比較的大きく許容することができる。その結果、変位部材310の一側部材320Lによる案内と他側部材320Rによる案内とのずれを吸収しやすくすることができ、変位部材310の変位を安定化できる。
次いで、図78を参照して、第25実施形態について説明する。図78は、第25実施形態における上下スライドユニット25300及び円環形成ユニット25400の正面図である。
なお、図78は、背面ケース210に取り付けられた状態(即ち、動作ユニット200の組み立て状態)における上下スライドユニット25300及び円環形成ユニット25400の正面図に対応する。また、図78は、円環形成ユニット25400における円環分割体440L1〜440R2の板厚方向(図78紙面垂直方向)中央を通る仮想平面により上下スライドユニット25300及び円環形成ユニット25400をそれぞれ部分的に切断した断面図に対応する。
第1実施形態では、回転ベース312の内部に配設された駆動モータの駆動力により回転体313が回転される場合を説明したが、第25実施形態における回転体313は、円環分割体440L2,440R1に配設された駆動モータ25761の駆動力により回転体313が回転される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
ここで、第25実施形態における上下スライドユニット25300は、第1実施形態における上下スライドユニット300に対し、回転ベース312の内部に配設された駆動モータ及び歯車機構(いずれも図示せず)の配設が省略される点を除き、他の構成は同一とされる。
図78に示すように、第25実施形態における円環形成ユニット25400は、円環分割体440L2,440R1の内部に複数(本実施形態では2個)の駆動機構(駆動モータ25761、歯車機構25762及びローラー部材25763)が配設される。駆動機構は、回転体313を回転駆動するためのものであり、回転体313の回転中心に対して正面視点対称に配設される。よって、後述するように、回転体313を回転させる際の変位部材310のがたつきやぐらつきを抑制できる。
歯車機構25762は、ローラー部材25763を回転可能に保持(軸支)すると共に、駆動モータ25761から入力される回転駆動力を減速した上でローラー部材25763に伝達して、かかるローラー部材25763を回転させる。ローラー部材25763は、ゴム状弾性体から円板状に形成され、円環分割体440L2,440R1の側面(回転体313の外周面に対面する面)に形成された開口から略1/3周分の外周面を突出させた状態で配設される。
上述したように、上下スライドユニット25300が、変位部材310を上昇位置および下降位置の中間に配置した後、円環形成ユニット25400が、円環分割体440L1〜440R2を円環形成位置に配置することで、円環分割体440L1〜440R2により形成される円環形状の内周側に正面視円形の回転体313を同心に配設できる。
この場合、本実施形態によれば、図78に示すように、ローラー部材25763が回転体313の外周面に当接されるので、かかるローラー部材25763を駆動モータ25761により回転駆動することで、回転体313を回転させることができる。即ち、回転体313を回転させるための駆動モータ等の駆動機構を回転ベース312内に配設する必要がないので、その分、変位部材310を軽量化できる。
ここで、上述したように、変位部材310の長手方向一側および他側が一側部材320L及び他側部材320Rによって、それぞれ別々に案内および駆動される構造では、一側部材320による案内および駆動と、他側部材320Rによる案内および駆動との間にずれが生じやすい。そのため、変位部材310を安定して変位させることが困難である。一側部材320L及び他側部材320Rによる案内および駆動の間に大きなずれが生じると、各駆動モータ341の負荷が過大になるばかりか、変位部材310の停止を招くおそれもある。
これに対し、本実施形態では、円環形成ユニット25400の円環分割体440L2,440R1に配設された駆動機構(駆動モータ25761等)により回転体313を回転させることができ、かかる回転体313を回転させるための駆動機構(駆動モータ等)を回転ベース312(変位部材310)内に配設する必要がない。
よって、変位部材310全体としての軽量化を図ることができ、かかる軽量化により、一側部材320Lによる案内および駆動と他側部材320Rによる案内および駆動との間にずれが生じることを抑制でき、変位部材310を安定して変位させることができる。また、軽量化できる分、回転体313の大型化を図ることができ、その分、演出効果を高めることができる。
また、上述したように、変位部材310には、可動機構(本体部311に対して端側部314を相対変位可能とする構造)が介設されるため、回転体313を回転させると、その回転に伴い、本体部311の端側部314に対するがたつきやぐらつきが発生することで、回転体313の外周面が円環形状(円環分割体440L1〜440R2)の内周面に衝突し、損傷を招く。衝突しない場合であっても、回転体313の回転に伴い、本体部311の端側部314に対するがたつきやぐらつきが継続されると、可動部分(例えば、突設ピン311aや長穴314a)の摩耗を招く。
これに対し、本実施形態によれば、上述したように、円環形成ユニット25400の円環分割体440L1〜440R2を円環形成位置に配置して、円環形状の内周側に回転体313が配置された状態を形成すると、図78に示すように、ローラー部材25763を回転313の外周面に当接させ、かかるローラー部材25763により回転体313を対向する位置(位相を180度異ならせた位置)から挟み込むことができる。
これにより、変位部材310の本体部311を、円環形成ユニット25400によって保持することができるので、本体部311と端側部314との相対変位を規制する(可動機構を固定する)ことができる。その結果、回転体313を回転させても、本体部311が端側部314に対してがたつくことやぐらつくことを抑制することができ、これにより、回転体313の外周面が円環形状(円環分割体440L1〜440R2)の内周面に衝突することや、可動部分(例えば、突設ピン311aや長穴314a)が摩耗や損傷することを抑制できる。
更に、本実施形態では、ゴム状弾性体から形成されるローラー部材25763を回転体313の外周面に当接させる構成なので、円環分割体440L1〜440R2により形成される円環形状と回転体313との間に軸ずれ(径方向の位置ずれ)が生じていたとしても、その軸ずれをローラー部材25763の弾性変形により吸収することができる。よって、回転体313の回転を可能とできる。
ここで、ローラー部材25763を歯車に代えると共に、その歯車に歯合可能な歯(ギヤ)を回転体313の外周面に刻設し、これらを歯合させた状態で、歯車を回転駆動することで、回転体313を回転させる構造も考えられる。しかしながら、この構造では、円環分割体440L1〜440R2により円環形状を形成する際に(即ち、図78の状態とする際に)、歯車の歯の山と回転体313の歯の山とが衝突すると、歯が破損するおそれがある。これを回避するためには、位相合せ(一方の歯の山を他方の歯の谷に位置させる)を行えば良いが、その場合には、センサ装置が必要となり、コストの増加と制御の複雑化とを招く。
これに対し、本実施形態によれば、軸方向視円形(即ち、歯(ギヤ)が形成されていない形状)のローラー部材25763の外周面を回転体313の外周面に当接させる構造なので、ローラー部材25763と回転体313との位相合せを行う必要がない。よって、センサ装置を設ける必要がなく、その分、コストを削減できる。また、複雑な制御を行うことも不要とできる。
次いで、図79を参照して、第26実施形態について説明する。図79は、第26実施形態における上下スライドユニット26300及び円環形成ユニット26400の部分断面背面図である。
なお、図79は、背面ケース210に取り付けられた状態(即ち、動作ユニット200の組み立て状態)における上下スライドユニット26300及び円環形成ユニット26400の背面図に対応する。
第1実施形態では、上下スライドユニット300と円環形成ユニット400とは背面ケース210への取り付け部分を除き互いに非接触とされる場合を説明したが、第26実施形態では、上下スライドユニット26300と円環形成ユニット26400とが部分的に接触可能とされる。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図79に示すように、第26実施形態における上下スライドユニット26300及び円環形成ユニット26400は、第1実施形態における上下スライドユニット300及び円環形成ユニット400に対し、固定機構(固定爪26771、付勢ばね26772及び押出突起26773)が配設される点を除き、他の構成は同一とされる。以下においては、これら同一の構成についての説明は省略する。
上述したように、上下スライドユニット26300が、変位部材310を上昇位置および下降位置の中間に配置した後、円環形成ユニット26400が、円環分割体440L1〜440R2を円環形成位置に配置することで、円環分割体440L1〜440R2により形成される円環形状の内周側に正面視円形の回転体313を同心に配設できる。
この場合、変位部材310の長手方向一側および他側が一側部材320L及び他側部材320Rによって、それぞれ別々に案内および駆動される構造では、一側部材320による案内および駆動と、他側部材320Rによる案内および駆動との間にずれが生じやすい。そのため、変位部材310を安定して変位させることが困難である。一側部材320L及び他側部材320Rによる案内および駆動の間に大きなずれが生じると、各駆動モータ341の負荷が過大になるばかりか、変位部材310の停止を招くおそれもある。
一方で、衝突しない程度に円環形状の内周面と回転体313の外周面との間に隙間を設けたのでは、円環形状に取り囲まれた回転体313を回転させるという演出の効果を十分に発揮できない。また、回転体313が円環形状(円環分割体440L1〜440R2)に衝突しない場合であっても、回転体313の回転に伴い、本体部311の端側部314に対するがたつきやぐらつきが継続されると、可動部分(例えば、突設ピン311aや長穴314a)の摩耗を招く。
これに対し、本実施形態では、図79に示すように、円環分割体440L1〜440R2により形成される円環形状の内周側に回転体313が同心に配設された状態では、固定機構の固定爪26771によって変位部材310の本体部311(回転ベース312)保持することができる。よって、本体部311と端側部314との相対変位を規制する(可動機構を固定する)ことができる。その結果、回転体313を回転させても、本体部311が端側部314に対してがたつくことやぐらつくことを抑制することができ、これにより、回転体313の外周面が円環形状(円環分割体440L1〜440R2)の内周面に衝突することや、可動部分(例えば、突設ピン311aや長穴314a)が摩耗や損傷することを抑制できる。
ここで、本実施形態における固定機構は、固定爪26771が変位可能に形成される。具体的には、固定爪26771は、円環分割体440L1〜440R2の背面側に退避して、正面からの遊技者による視認が不能となる位置と、円環分割体440L1〜440R2による円環形状の内周側へ突出して、回転ベース312の外周面への当接が可能となる位置との間を揺動可能に形成される。かかる固定機構の詳細について、図80を参照して説明する。
図80(a)から図80(c)は、円環分割体440L1、姿勢規定部材450及び固定機構の背面図である。なお、図80(a)は、円環分割体440R1が退避位置に配置された状態が、図80(b)は、円環分割体440R1が退避位置と円環形成位置との間に配置された状態が、図80(c)は、円環分割体440R1が円環形成位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
ここで、円環分割体440L1〜440R2に配設される各固定機構は、左右対称または上下対称に形成され、その構成は実質同一であるので、以下においては、円環分割体440R1に配設される固定機構を代表例として説明し、他の固定機構についての説明は省略する。
図80に示すように、固定機構は、固定爪2671と、その固定爪2671に復帰のための付勢力を付与する付勢ばね2672と、その付勢ばね2672による付勢力に抗して固定爪2671を押し出すための押出突起2673とを主に備える。固定爪2671は、平板棒状体に形成され、円環分割体440R1の背面側に軸26771aを介して揺動可能に軸支される。
付勢ばね26772は、本実施形態では、ねじりコイルばねとして形成され、円環分割体440R1の背面側(図80紙面手前側の面)から突出するピン状体がコイル部に挿通されることで保持される。付勢ばね26772は、一方の腕(アーム)が円環分割体440R1に係合されると共に、他方の腕(アーム)が固定爪26771の側面に当接され、固定爪26771を初期位置(図80(a)に示す位置)に維持する方向へ付勢力を付与する。
押出ピン26773は、姿勢規定部材450の正面(図80紙面奥側の面)から突出される円柱状体であり、姿勢規定部材450に対して円環分割体440R1が相対変位される際の固定爪26771の移動軌跡上に位置する。即ち、押出ピン26773は、固定爪26771の側面に当接可能な位置に配設される。
このように形成された固定機構によれば、図80(a)に示すように、円環分割体440R1が退避位置に配置された状態では、付勢ばね26772の付勢力が付与されることで、固定爪26771が初期位置に維持(配置)される。かかる初期位置では、固定爪26771は、円環分割体440R1の背面側に位置し、かかる固定爪26771が正面から遊技者に視認されること回避できる。
図80(a)に示す状態から、上下アーム体435,436の回転に伴い、姿勢規定部材450が前進されると、円環分割体440R1が姿勢規定部材450に対して相対的に下降される(図39及び図40参照)。円環分割体440R1が所定位置まで下降されると、固定爪26771の側面に押出突起26773が当接され、円環分割体440R1が姿勢規定部材450に対して更に下降されると、図80(b)に示すように、付勢ばね26772の付勢力に抗しつつ、固定爪26771の軸26771aを中心とする揺動が開始される。
上下アーム体435,436の回転に伴い、姿勢規定部材450が最大に前進され、円環分割体440R1が円環形成位置まで下降されると(図41参照)、図80(c)に示すように、固定爪26771が押出突起26773に押し出されて(即ち、付勢ばね26772の付勢力に抗しつつ、固定爪26771が軸26771aを中心として更に揺動され)、その先端が回転ベース312の外周面に当接される(図79参照)。
なお、円環分割体440R1が円環形成位置に配置された状態(図80(c)の状態)では、固定爪26771の長手方向の延長線上に回転体313(回転ベース312)の回転中心が位置する。即ち、軸26771aと回転体313の回転中心とを結ぶ線と固定爪26771の長手方向とが一致するので、4本の固定爪26771により回転ベース312を中心へ向けて押さえ込むことが可能となる(図79参照)。
これにより、回転体313を四方から拘束して、その変位(がたつきやぐらつき)をいずれの方向に対しても抑制しやすくできる。また、円環分割体440L1〜440R2により形成される円環形状(内周面)に対して、回転体313の相対位置が位置ずれしている場合には、円環形状に対して回転体313を同心に位置させる芯出しを行うことができる。
特に、本実施形態では、円環形成ユニット26400が円環形状を形成するという演出のために行う動作を利用して、回転体313を固定爪26771により保持する(本体部311と端側部314との相対変位を規制する)ことができると共に、更に、固定爪26771の揺動も行わせることができる。即ち、回転体313の保持(相対変位の規制)のための駆動手段と、固定爪26771を揺動させるための駆動手段との両者を別途設ける必要がなく、その分、製品コストの削減を図ることができる。
なお、図80(c)に示す状態から、上下アーム体435,436の上述した場合とは逆方向への回転に伴い、姿勢規定部材450が後退されると、円環分割体440R1が姿勢規定部材450に対して相対的に上昇される(図39から図41参照)。この円環分割体440の姿勢規定部材450に対する相対移動に伴い、押出突起26773による固定爪26771の押し出し量が減少され、付勢ばね26772の付勢力により、固定爪26771が軸26771aを中心として上述した場合とは逆方向へ(即ち、図80(a)に示す初期位置へ向けて)向けて揺動される。
円環分割体440R1が所定位置まで上昇されると、図80(b)に示すように、固定爪26771が円環分割体440R1の背面側に退避されるので、以降は、固定爪26771を正面の遊技者から視認不能とした状態とできる。その後、上下アーム体435,436の逆方向への回転に伴い、姿勢規定部材450が最大に後退され、円環分割体440R1が退避位置まで上昇されると(図39参照)、図80(a)に示すように、付勢ばね26772の付勢力によって、固定爪26771が初期位置へ復帰されると共にその初期位置に維持される。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、1の実施形態の一部または全部を他の1又は複数の実施形態の一部または全部と入れ替えて又は組み合わせて、遊技機を構成しても良い。
例えば、構成を第12実施形態における一側部材12320R,12320Lの被係合部12331f及び介設部材12370の係合部12372による係合構造と第11実施形態における付勢ばね11366を1本とするとする構成とを組み合わせて、遊技機を構成しても良い。
上記各実施形態では、付勢ばね366を正面視略「く」字状の姿勢とする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、正面視略「L」字状、正面視略「S」字状、又は、正面視略「J」字状の姿勢であっても良く、これらを組み合わせた姿勢であっても良い。即ち、付勢ばね366の屈曲した姿勢とは、コイルスプリングを1又は複数の箇所で屈曲または湾曲させて形成される形状であれば、いずれの形状であっても良い。
上記各実施形態では、端側部314に形成される長穴314aが両側の半円の間を直線で結んだ正面視長円形状に形成されたが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形状であっても良い。即ち、突設ピン311aが変位可能に形成されるものであれば、例えば、正面視円弧状に湾曲して形成されていても良く、正面視「く」字状に屈曲されていても良く、これらが組み合わせて形成されていても良い。
上記各実施形態では、変位部材310が重力方向(鉛直方向)に沿って変位される姿勢で上下スライドユニット300が配設されたが、必ずしもこれに限られるものではなく、変位部材310が水平方向(重力方向に直交する方向)に沿って変位される姿勢で配設されても良く、変位部材310が重力方向(鉛直方向)に対して傾斜する方向に沿って変位される姿勢で配設されても良い。これらの姿勢であっても、上記と同様の効果を得ることができる。
上記各実施形態では、円環分割体440L1〜440R2,17440L1〜17440R2の各当接面が、相手の当接面に対して互いに平行な姿勢を維持しつつ、円運動の軌跡で当接されたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、相手の当接面に対して平行度を変化させつつ互いに近接して、最終的に平行な姿勢で当接するものであっても良く、或いは、相手の当接面に対して互いに平行な姿勢を維持しつつ、当接面に対して非垂直な方向への直線運動により互いに近接して、最終的に平行な姿勢で当接するものであっても良い。
上記第1実施形態では、ストッパ面311a,314aの当接により、本体部311と端側部314との相対変位量を所定範囲に規制したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これに代えて、或いは、これに加えて、突設ピン311aが長穴314aの終端に当接することで、本体部311と端側部314との相対変位量を所定範囲に規制するものであっても良い。
上記第1実施形態では、背面ベース331及び中間ベース332への伝達機構の組み付けにおいて、第1開口331cを介して付勢ばね366の一端を第2ラック364に係止させたが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2開口331dを介して付勢ばね366の他端を中間ベース332に係止させても良い。
上記第4及び第5実施形態では、一側部材320Lの駆動モータ341により変位部材4310,5310を駆動したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他側部材320Rの駆動モータ341により変位部材4310,5310を駆動しても良い。即ち、スライド変位が許容される又はゴム硬度が低く(柔らかく)される可動機構側を駆動側としたが、回転のみが許容される又はゴム硬度が高く(硬く)される可動機構側を駆動側としても良い。
上記第13実施形態では、伸縮アクチュエータ13671の伸縮動作により、付勢ばね366から第2ラックに付与される付勢力の方向と第2ラック364の直線運動の方向とがなす傾斜の向きは同一のまま、それら両方向がなす角度(傾斜角度)を増減したが、傾斜方向を反転可能としても良い。例えば、伸縮アクチュエータ13671が所定位置まで伸長された状態では、上記傾斜の向きが右向きとされ(例えば、図58(b)に示す状態)、その状態から伸縮アクチュエータ13671が短縮動作されると、上記傾斜がなくなる状態(即ち、付勢ばね366から第2ラックに付与される付勢力の方向と第2ラック364の直線運動の方向とが一致する状態であり、例えば、図58(c)に示す状態)を経て、上記傾斜の向きが左向きとされる形態が例示される。これにより、第2ラック364の状態(例えば、その姿勢や変位速度、或いは、変位位置)に応じて、付勢ばね366から第2ラック364に付与される付勢力の方向を変更(反転)する調整を行うことができる。
上記第15実施形態では、第2ラック15364の側面(図60左側の面)が平坦面として形成され、その第2ラック15364の側面と第1規制部15331gとの係合が形成されない構成であったが、必ずしもこれに限られるものではなく、かかる第2ラック15364の側面に、第1規制部15331gと係合可能な凹部(例えば、第16実施形態における凹部16681に対応)を形成しても良い。これにより、第16実施形態の場合と同様に、第2ラック15364の直線運動を規制可能として、駆動モータ341の消費エネルギーを抑制できる。
上記第21実施形態では、歯車21361において、駆動側第1歯21361xと駆動側第2歯21361yとが同じ歯幅とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、異なる歯幅とすることは当然可能である。異なる歯幅とする際には、駆動側第1歯21361xの歯幅よりも駆動側第2歯21361yの歯幅を大きくすることが好ましい。駆動側第1歯21361xの歯幅は相対的に小さくしておくことで材料費の削減を図りつつ、その駆動側第1歯21361xよりも高トルクが負荷される駆動側第2歯21361yの耐久性の向上を図ることができるからである。
なお、駆動側第2歯21361yの耐久性を向上する手段として、歯幅を大きくする手段に代えて、或いは、これに加えて、他の手段を採用しても良い。他の手段としては、例えば、駆動側第2歯21361yの歯厚を駆動側第1歯21361xの歯厚よりも大きくする、駆動側第2歯21361yの材質を駆動側第1歯21361xの材質よりも高い強度のもとのする、或いは、駆動側第2歯21361yよりも剛性が高い材料(例えば、金属材料など)を駆動側第2歯21361yに埋設する、などの手段が例示される。
上記第23実施形態では、ボールねじ機構23700の螺旋溝が1条ねじに設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、2条ねじ以上とすることは当然可能である。例えば、2条ねじとすることで、1条ねじの場合よりも、ねじ軸23720の1回転あたりのナット23710の移動量(リード)を大きくできるので、変位部材310の高速化を達成することができる。
また、上記第23実施形態では、ナット23710が一体の部材として形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ナット23710を2部材に分割可能に形成すると共に、そのナット23710を分割状態または一体化状態に可動させる駆動手段を設けても良い。これにより、変位部材310を上昇させる際には、ナット23710を一体化して、ねじ軸23720の回転をボール23730を介してナット23710へ伝達可能として、ねじ軸23720の回転により変位部材310を上昇させる一方、変位部材310を下降させる際には、ナット23710を分割して、ねじ軸23720からナット23710を切り離して、重力の作用により変位部材310を下降させることができる。これにより、変位部材310の下降に要する時間を短縮できる。
上記第24実施形態では、ゴムブッシュ24740にすぐり部24743を設けることで、ゴムブッシュ24740のばね定数に方向性を持たせる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これに代えて、或いは、これに加えて、他の手段を採用しても良い。他の手段としては、背面ケース210の連結突部211bの断面形状を異形とする手段が例示される。
具体的には、連結突部211bの断面形状を楕円形状とし、その楕円形状の長径方向を上述した第2の方向に設定する。これにより、第1の方向と比較して、第2の方向では、連結突部211bと連結板部24750(保持孔24750a)との間で本体部24741が圧縮されるので、第24実施形態の場合と同様に、第2の方向におけるばね定数を第1の方向におけるばね定数よりも大きくすることができる。
上記第24実施形態では、複数(本実施形態では6個)のゴムブッシュ24740がそれぞれ同一の構成とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、少なくとも1のゴムブッシュ24740を他のゴムブッシュ24740と異なる構成としても良い。
この場合には、一側部材320L及び他側部材320Rを背面ケース210に弾性支持するゴムブッシュ24740のゴム硬度を、介設部材370を背面ケース210に弾性支持するゴムブッシュ24740のゴム硬度よりも低く(柔らかく)することが好ましい。これによれば、ゴム硬度が異なるのみであるので、ゴムブッシュ24740を加硫成形するための成形型は兼用することができ、コストを抑制できる。更に、介設部材370の変位は規制しつつ、上下スライドユニット24300(一側部材320L及び他側部材320R)の変位は許容しやすくすることができので、変位部材310の一側部材320Lによる案内と他側部材320Rによる案内とのずれを吸収しやすくすることができ、変位部材310の変位を安定化できる。
上記第24実施形態では、上下スライドユニット24300と背面ベース210との接続箇所(本実施形態では6箇所)の全てにゴムブッシュ24740を介設する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、一部のみにゴムブッシュ24740を介設するものであっても良い。
例えば、一側部材320L及び他側部材320Rを背面ケース210に接続する箇所(本実施形態では4箇所)のみにゴムブッシュ24740を介設し、介設部材370を背面ケース210に接続する箇所(本実施形態では2箇所)はゴムブッシュ24740を介設せず剛結するものが例示される。これによれば、ゴムブッシュ24740の必要数を低減して、コストを抑制できる。更に、介設部材370は変位不能に拘束しつつ、上下スライドユニット24300(一側部材320L及び他側部材320R)の変位は許容しやすくすることができので、変位部材310の一側部材320Lによる案内と他側部材320Rによる案内とのずれを吸収しやすくすることができ、変位部材310の変位を安定化できる。
上記第24実施形態では、上下スライドユニット24300を背面ケース210に弾性支持する手段として、ゴムブッシュ24740を採用する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の手段を採用しても良い。他の手段としては、例えば、コイルスプリングやねじりばね、板ばねに代表される金属ばね、ウレタンなどのエラストマーが例示される。これらによっても、上述した弾性支持による効果と同様の効果を奏することができる。
上記第25実施形態では、駆動機構を2箇所に配設する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、1箇所のみであっても良く、或いは、3箇所以上であっても良い。但し、複数箇所に配設する場合には、周方向等間隔に配置することが好ましい。ローラー部材25763による回転体313の拘束位置を周方向に均等とでき、回転体313の変位(がたつきやぐらつき)を径方向のいずれの方向に対しても抑制できるだけでなく、円環分割体440L1〜440R2により形成される円環形状(内周面)に対して、回転体313の相対位置が位置ずれしている場合には、円環形状に対して回転体313を同心に位置させる芯出しも行うことができるからである。
上記第25実施形態では、回転体313の外周面に当接したローラー部材35763を回転させることで、回転体313を回転駆動する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、円環分割体440L1〜440R2にファンを設け、そのファンで発生した風を回転体313に吹き付けることで、回転体313を回転駆動するようにしても良い。
上記第26実施形態では、その説明を省略したが、固定爪26771の先端または回転ベース312の外周面の一方または両方にゴム状弾性体を貼着しても良い。固定爪26771の先端を回転ベース312の外周面に当接させた際の滑りを抑制して、回転ベース312の固定爪26771による固定を強固とできるからである。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<突設ピン311a及び長穴314aを一例とする発明の概念について>
所定間隔を隔てて配設される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設され前記一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位される変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段と、を備えた遊技機において、変形可能に形成される可動機構を備え、その可動機構が前記変位部材の一端側と他端側との間の少なくとも1か所に介設されることを特徴とする遊技機A1。
ここで、所定間隔を隔てつつ対向配設される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設される長尺の変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段とを備えた遊技機が知られている(例えば、特開2014−14602号公報を参照)。この遊技機によれば、一側部材が変位部材の長手方向一側を、他側部材が変位部材の長手方向他側を、それぞれ案内可能に形成され、駆動手段の駆動力が付与されることで、変位部材が一側部材および他側部材に沿って変位される。
しかしながら、上述した遊技機のように、変位部材の長手方向一側が一側部材に、長手方向他側が他側部材に、それぞれ別々に案内される構造では、一側部材による案内と、他側部材による案内との間にずれが生じやすく、変位部材を安定して変位させることが困難であるという問題点があった。一側部材による案内と他側部材による案内との間に大きなずれが生じると、駆動手段の負荷が過大になるばかりか、変位部材の停止を招くおそれもある。
これに対し、遊技機A1によれば、変形可能に形成される可動機構を備え、その可動機構が変位部材の一端側と他端側との間の少なくとも1か所に介設されるので、一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれが生じた場合でも、そのずれを可動機構により吸収して、変位部材を安定して変位させることができる。その結果、駆動手段の負荷が過大になることや、変位部材が停止することを抑制できる。
なお、変位部材の変位の方向は限定されず、鉛直方向(重力が作用する方向)に沿って変位するものであっても良く、鉛直方向に直交する水平方向に沿って変位するものであっても良く、或いは、鉛直方向および水平方向の間となる傾斜方向に沿って変位するものであっても良い。また、一側部材による案内と他側部材による案内との間のずれとしては、例えば、一側部材側と他側部材側との間で、変位部材の案内速度に差が生じる場合や変位部材の案内方向(位相)に差が生じる場合、或いは、これら両者に差が生じる場合などが例示される。以下においても同様であるので、その説明は省略する。
遊技機A1において、前記可動機構は、案内溝と、その案内溝に沿って案内される被案内部とを備えて形成されることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、案内溝とその案内溝に沿って案内される被案内部とを備えて可動機構が形成されるので、かかる可動機構の構造を簡素化できる。また、案内溝の形状(輪郭)に応じて、可動機構の可動量および可動方向を任意に設定できるので、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれの態様に適した可動機構を構成しやすい。
なお、案内溝は、その内壁面によって被案内部を案内可能であれば、貫通孔であっても良く、凹溝であっても良い。また、被案内部は、案内溝内で変位可能または(及び)回転可能な形状であれば良く、例えば、断面円形や断面多角形、或いは、断面楕円の棒状体が例示される。案内溝は、被案内部の回転のみを許容するものであっても良い。即ち、案内溝は、直線状、曲線状またはこれらを組み合わせた形状に延設されるものに限定されず、被案内部の回転のみを許容する円形や多角形に形成されるものであっても良い。
遊技機A2において、前記可動機構の案内溝が、前記一側部材および他側部材を結ぶ方向に長い長穴形状に形成されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、可動機構の案内溝が、一側部材および他側部材を結ぶ方向(即ち、変位部材の変位方向に直交する方向)に長い長穴形状に形成されるので、案内溝に沿って被案内部を変位しやすく(案内されやすく)して、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれを可動機構により効果的に吸収することができる。
なお、案内溝の溝幅(長穴形状の長手方向に直交する方向の幅)は、被案内部の外径と略同等か若干大きな程度することが好ましい。被案内部が案内溝に沿って変位(案内)される方向を、一側部材および他側部材を結ぶ方向に規制でき、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれの可動機構による吸収を安定化できるからである。
遊技機A3において、前記可動機構は、前記案内溝が複数本形成されることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、可動機構は、一側部材および他側部材を結ぶ方向に長い長穴形状の案内溝が複数本形成されるので、可動機構の剛性を確保して、変位部材が変位される際のがたつきやぐらつきを抑制できる。
なお、複数本の案内溝は、一側部材および他側部材を結ぶ方向に長い長穴形状であれば、各案内溝の始端および終端の位置が一側部材および他側部材を結ぶ方向に沿ってそれぞれ異なっていても良い。即ち、各案内溝が互いに平行に形成されていれば、その配設位置が一側部材および他側部材を結ぶ方向に沿って異なっていても良い。
遊技機A1において、前記可動機構は、球状のボール部およびそのボール部に球面接触するソケット部からなるボールジョイントを備えて形成されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、球状のボール部およびそのボール部に球面接触するソケット部からなるボールジョイントを備えて可動機構が形成されるので、可動機構を滑らかに変形させることができ、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれを安定して吸収できる。また、可動機構を全方向へ変形可能とできるので、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれの方向に関わらず、その吸収を可能とできる。
遊技機A1からA5のいずれかにおいて、前記可動機構は、弾性体を備えて形成されることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A1からA5のいずれかの奏する効果に加え、弾性体を備えて可動機構が形成されるので、その弾性体の変形により、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれを吸収できるだけでなく、弾性体の弾性回復力により可動機構を初期位置へ復帰させることができる。また、弾性体がエラストマーからなる場合には、その粘性特性(減衰効果)を利用して、可動機構(変位部材)の振動を早期に収束させることができるので、上述したずれの発生を抑制できる。
なお、弾性体としては、エラストマー(ゴム状弾性体、ウレタンなど)や弾性ばね(コイルスプリングやねじりばね、板ばねなど)が例示される。また、案内溝および被案内部を備える可動機構やボールジョイントを備える可動機構が、弾性体をさらに備えて形成されても良い。これにより、初期位置へ復帰させる機能および振動を収束させやすくする機能を可動機構にさらに付加することができる。
遊技機A1からA6のいずれかにおいて、前記可動機構は、所定量を越える変形を規制する規制手段を備えることを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A1からA6のいずれかの奏する効果に加え、所定量を越える変形を規制する規制手段を備えるので、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれを吸収する際の可動機構の変形が過大となり破損することを抑制できる。
なお、規制手段としては、可動機構が案内溝および被案内部を備える場合に案内溝の内壁面(例えば終端)に被案内部が拘束されることで、可動機構の所定量以上の変形を規制するもの、可動機構の介設により分断された変形部材の一方と他方とが当接されることで、可動機構の所定量以上の変形を規制するもの、などが例示される。
遊技機A1からA7のいずれかにおいて、前記可動機構が前記変位部材の一端側と他端側との間の2か所に介設されることを特徴とする遊技機A8。
遊技機A8によれば、遊技機A1からA7のいずれかの奏する効果に加え、可動機構が変位部材の一端側と他端側との間の2か所に介設されるので、一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれが生じた場合には、2か所に介設された可動機構の一方が一側部材による案内状態に応じて変形すると共に他方が他側部材による案内状態に応じて変形することができ、ずれの吸収を両可動機構の連動により確実に行うことができる。よって、変位部材を安定して変位させることができ、その結果、駆動手段の負荷が過大になることや、変位部材が停止することを抑制できる。
遊技機A8において、前記変位部材は、前記一端側が前記駆動手段により駆動されると共に前記他端側が従動され、前記2か所に介設される可動機構が互いに異なる変形態様であることを特徴とする遊技機A9。
遊技機A9によれば、遊技機A8の奏する効果に加え、変位部材の一端側が駆動手段により駆動され、その駆動に伴って、変位部材の他端側が従動される構造(片側駆動)なので、駆動手段の配設数を1とすることができ、変位部材の一端側および他端側をそれぞれ駆動するために駆動手段の配設数を2とする構造(両側駆動)と比較して、製品コストの削減を図ることができる。
この場合、片側駆動の構造では、駆動される側である一端側(駆動側)の状態と従動される側である他端側(従動側)の状態とが互いに異なる状態となるため、一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれが生じやすいところ、遊技機A8によれば、2か所の可動機構のそれぞれに、駆動側に適した変形態様と従動側に適した変形態様とを担わせることができる。これにより、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれを全体として効果的に吸収することができる。よって、片側駆動であっても、変位部材を安定して変位させることができ、その結果、駆動手段の負荷が過大になることや、変位部材が停止することを抑制できる。
遊技機A9において、前記2か所に介設される可動機構は、許容される変形量または変形方向の少なくとも一方が互いに異なることを特徴とする遊技機A10。
遊技機A10によれば、遊技機A9の奏する効果に加え、2か所に介設される可動機構は、許容される変形量または変形方向の少なくとも一方が互いに異なるので、2か所の可動機構のそれぞれに、駆動側に適した変形態様と従動側に適した変形態様とを担わせることができる。例えば、駆動側の可動機構で許容される変形量を従動側の可動機構で許容される変形量よりも大きく(又は小さく)する、或いは、駆動側の可動機能で許容される変形方向を従動側の可動機構で許容される変形方向と異なる方向とすることができる。これにより、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれを全体として効果的に吸収することができる。よって、片側駆動であっても、変位部材を安定して変位させることができ、その結果、駆動手段の負荷が過大になることや、変位部材が停止することを抑制できる。
なお、遊技機A10の態様としては、例えば、一方の可動機構では、円形の案内溝に軸状の被案内部が軸支されて回転のみが許容され、他方の可動機構では、長穴形状の案内溝に軸状の被案内部がスライド可能に挿通され案内溝の延設方向に沿って変位することが許容される形態や、或いは、両可動機構の案内溝が長穴形状に形成されるが、その延設方向が互いに異なるため、一方の可動機構と他方の可動機構とで被案内部のスライド方向が互いに異なる方向とされる形態などが例示される。
遊技機A9において、前記2か所に介設される可動機構は、単位量だけ変形するために必要とされる力が互いに異なることを特徴とする遊技機A11。
遊技機A11によれば、遊技機A9の奏する効果に加え、2か所に介設される可動機構は、単位量だけ変形するために必要とされる力が互いに異なるので、2か所の可動機構のそれぞれに、駆動側に適した変形態様と従動側に適した変形態様とを担わせることができる。例えば、駆動側の可動機構を従動側の可動機構よりも変形しやすく(又は変形し難く)することができる。これにより、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれを全体として効果的に吸収することができる。よって、片側駆動であっても、変位部材を安定して変位させることができ、その結果、駆動手段の負荷が過大になることや、変位部材が停止することを抑制できる。
なお、遊技機A11の態様としては、例えば、両可動機構が同一種類または異なる種類の弾性体を備えて形成される場合に、一方の可動機構と他方の可動機構とで弾性体の変形のしやすさ(弾性体がエラストマーの場合には硬度、弾性体が弾性ばねの場合にはばね定数)が互いに異なる態様や、両可動機構が同一種類の弾性体を備えて形成されるが、その弾性体の大きさ(断面積などの寸法)が一方の可動機構と他方の可動機構とで互いに異なる態様などが例示される。
遊技機A8において、前記変位部材は、前記一端側と他端側とがそれぞれ異なる駆動手段により駆動されることを特徴とする遊技機A12。
遊技機A12によれば、遊技機A8の奏する効果に加え、一端側および他端側がそれぞれ異なる駆動手段により駆動される構造(両側駆動)なので、1の駆動手段により駆動される構造(片側駆動)と比較して、駆動手段の分担荷重を低減できるので、その分、変位部材の大型化あるいは変位部材の変位速度の高速化を図ることができる。
このような両側駆動の構造は、変位部材における一端側の駆動と他端側の駆動とを完全に同期させることが困難であり、一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれを生じさせ、変位部材の変位が不安定となるため、従来は採用不可能であった。これに対し、本発明のように、可動機構を変位部材の一端側と他端側との間の2か所に介設することで、両側駆動の構造が初めて採用可能となり、これにより、変位部材の変位の安定化を確保しつつ、変位部材の大型化あるいは変位部材の変位速度の高速化が可能となった。
なお、遊技機A12において、「異なる駆動手段」とは、「2個の駆動手段」と同意である。よって、駆動手段自体の構成(種類(例えば、ブラシモータ、ブラシレスモータ、ステッピングモータなど)と、特性(例えば、トルク対電流特性やトルク対回転数特性など)、容量(例えば、定格出力など)など)は、同一の構成であっても良く、異なる構成であっても良い。以下においても同様である。
前記変位部材は、前記一端側が前記駆動手段により駆動されると共に前記他端側が従動され、前記可動機構は、前記変位部材の一端側と他端側との間の1か所であって、前記変位部材の長手方向中央よりも前記一端側または他端側のいずれか一方に偏って介設されることを特徴とする遊技機A13。
遊技機A13によれば、遊技機A1からA7のいずれかの奏する効果に加え、変位部材の一端側が駆動手段により駆動され、その駆動に伴って、変位部材の他端側が従動される構造(片側駆動)なので、駆動手段の配設数を1とすることができ、変位部材の一端側および他端側をそれぞれ駆動するために駆動手段の配設数を2とする構造(両側駆動)と比較して、製品コストの削減を図ることができる。同様に、可動機構が1か所のみに介設されるので、2か所に介設する場合と比較して、製品コストの削減を図ることができる。
この場合、片側駆動の構造では、駆動される側である一端側(駆動側)の状態と従動される側である他端側(従動側)の状態とが互いに異なる状態となるため、一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれが生じやすいところ、遊技機A13によれば、可動機構が一端側または他端側のいずれか一方(即ち、駆動側または従動側)に偏って配設されるので、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれを全体として効果的に吸収することができる。よって、片側駆動かつ1の可動機構であっても、変位部材を安定して変位させることができ、その結果、駆動手段の負荷が過大になることや、変位部材が停止することを抑制できる。
遊技機A1からA7のいずれかにおいて、前記変位部材に配設されると共に前記変位部材に対して相対変位可能に形成される第2変位部材を備え、前記変位部材は、前記一端側が前記駆動手段により駆動されると共に前記他端側が従動され、前記第2変位部材が変位されることで、前記変位部材の重心位置が前記変位部材の長手方向中央よりも一端側または他端側へ偏ることを特徴とする遊技機A14。
遊技機A14によれば、遊技機A1からA7のいずれかの奏する効果に加え、変位部材の一端側が駆動手段により駆動され、その駆動に伴って、変位部材の他端側が従動される構造(片側駆動)なので、駆動手段の配設数を1とすることができ、変位部材の一端側および他端側をそれぞれ駆動するために駆動手段の配設数を2とする構造(両側駆動)と比較して、製品コストの削減を図ることができる。
この場合、片側駆動の構造では、駆動される側である一端側(駆動側)の状態と従動される側である他端側(従動側)の状態とが互いに異なる状態となるため、一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれが生じやすいところ、遊技機A14によれば、第2変位部材を変位させることで、変位部材の重心位置を変位部材の長手方向中央よりも一端側または他端側(即ち、駆動側または従動側)へ偏らせることができるので、かかる重心の移動によって、一側部材による案内と他側部材による案内との間に生じるずれを可動機構によって吸収しやすい状態を形成することができる。これにより、片側駆動であっても、変位部材を安定して変位させることができ、その結果、駆動手段の負荷が過大になることや、変位部材が停止することを抑制できる。
なお、第2変位部材の変位により変位部材の重心の位置を変更する態様としては、例えば、駆動手段による変位部材の駆動を開始する際および開始から所定期間までの間は、変位部材の重心の位置を駆動側(一端側)へ近づける(又は遠ざける)一方、駆動手段による変位部材の駆動の開始から所定期間が経過した後は、変位部材の重心の位置を従動側(他端側)へ近づける(又は遠ざける)形態や、或いは、変位部材が往路を変位される間は、変位部材の重心の位置を駆動側(一端側)へ近づける(又は遠ざける)一方、変位部材が復路を変位される間は、変位部材の重心の位置を従動側(他端側)へ近づける(又は遠ざける)形態などが例示される。変位部材が鉛直方向(重力方向)に沿って往復変位(上昇および下降)される場合には、後者の形態が特に有効となる。即ち、例えば、一端側に着目すると、重力に逆らって変位される上昇時と、重力によって変位が補助される下降時とで、その一端側が一側部材に案内される状態が変化されるため、その状態に応じて重心位置を変更できることが可動機構を適正に機能させる上で有効となる。他端側においても同様である。
また、第2変位部材の形態としては、例えば、変位部材の長手方向に沿ってスライド変位される形態や、回転可能に形成されると共にその回転中心から重心を偏心させて形成される回転体としての形態などが例示される。スライド変位の軌跡は、直線、曲線、これらの組み合わせなどが例示される。
遊技機A1からA14のいずれかにおいて、前記変位部材に配設されると共に前記変位部材に対して相対変位可能に形成される第2変位部材と、前記可動機構の変形を規制する規制手段とを備えることを特徴とする遊技機A15。
遊技機A15によれば、遊技機A1からA14のいずれかの奏する効果に加え、変位部材に配設されると共に変位部材に対して相対変位可能に形成される第2変位部材を備えるので、かかる第2変位部材を変位させることで演出を行うことができる。この場合、変位部材には可動機構が介設されているため、第2変位部材が変位する際には、可動機構が変形することで、変位部材ががたつき、第2変位部材の変位が阻害される恐れがある。これに対し、遊技機A15によれば、可動機構の変形を規制する規制手段を備えるので、可動機構の変位を規制して、変位部材のがたつきを抑制した状態で、第2変位部材を安定した状態で変位させることができる。
なお、第2変位部材としては、例えば、変位部材に回転可能に配設される回転体や変位部材に対してスライド変位可能に配設されるスライド体、或いは、変位部材に回転可能に軸支された一端側を中心として他端側を揺動変位させる揺動体などが例示される。
遊技機A15において、前記規制手段は、前記変位部材がその変位終端まで変位された際に、前記変位部材または可動機構の少なくとも一方に作用することで、前記可動機構の変形が規制された状態を形成することを特徴とする遊技機A16。
遊技機A16によれば、遊技機A15の奏する効果に加え、規制手段は、変位部材がその変位終端まで変位された際に、変位部材または可動機構の少なくとも一方に作用することで、可動機構の変形が規制された状態を形成するので、変位部材の変位を利用して、可動機構の変形を規制することができる。即ち、可動機構の変形を規制するための駆動手段を別途設ける必要がなく、変位部材を変位させるための駆動手段を、規制手段を機能させるための駆動手段としても兼用することができる。よって、その分、製品コストの削減を図ることができる。
なお、変位部材または可動機構の少なくとも一方に作用して、可動機構の変形が規制された状態を形成する規制手段の形態としては、例えば、第1に、一側部材、他側部材またはそれら一側部材および他側部材が取着されるベース部材に第1係合部材を形成すると共に、その第1係合部に係合可能な第2係合部材を変位部材に形成し、変位部材がその変位終端まで変位された際に、第1係合部材と第2係合部材とが係合して、変位部材の変位が規制されることで、可動機構の変形が規制される形態が、第2に、一側部材、他側部材またはそれら一側部材および他側部材が取着されるベース部材に挿入部材を形成し、変位部材がその変位終端まで変位された際に、可動機構の介設により分断された変形部材の一方と他方との間の隙間に挿入部材が挿入されることで、可動機構の変形が規制される形態が、第3に、一側部材、他側部材またはそれら一側部材および他側部材が取着されるベース部材に第1の磁石を配設すると共に、変位部材に第2の磁石を配設し、変位部材がその変位終端まで変位された際に、第1の磁石と第2の磁石とが引き合う又は反発し合うことで、変位部材の変位が規制され、可動機構の変形が規制される形態が、第4に、可動機構が案内溝および被案内部から形成される場合に、案内溝の内壁面に凹部を凹設し、変位部材がその変位終端まで変位された際に、案内溝の凹部に被案内部が嵌合されることで、可動機構の変形が規制される形態が、それぞれ例示される。第3の形態では、第1の磁石または第2の磁石のいずれか一方を鉄製(強磁性体)の部材としても良い。
遊技機A15において、退避位置および所定位置の間で変位可能に形成される第3変位部材を備え、前記規制手段は、前記所定位置に変位された第3変位部材が前記変位部材に作用することで、前記可動機構の変形が規制された状態を形成することを特徴とする遊技機A17。
遊技機A17によれば、遊技機A15の奏する効果に加え、退避位置および所定位置の間で変位可能に形成される第3変位部材を備えるので、かかる第3変位部材を変位させることで演出を行うことができる。この場合、規制手段は、所定位置に変位された第3変位部材が変位部材に作用することで、可動機構の変形が規制された状態を形成するので、第3変位部材の変位を利用して、可動機構の変形を規制することができる。即ち、可動機構の変形を規制するための駆動手段を別途設ける必要がなく、第3変位部材を変位させるための駆動手段を、規制手段を機能させるための駆動手段としても兼用することができる。よって、その分、製品コストの削減を図ることができる。
なお、変位部材に作用して、可動機構の変形が規制された状態を形成する規制手段の形態としては、例えば、第1に、所定位置に変位された第3変位部材が変位部材に当接されることで、変位部材の変位が規制され、可動機構の変形が規制される形態が、第2に、所定位置に変位された第3変位部材の一部が、可動機構の介設により分断された変形部材の一方と他方との間の隙間に挿入されることで、可動機構の変形が規制される形態が、第3に、第3変位部材に第1の磁石を配設すると共に、変位部材に第2の磁石を配設し、第3変位部材が所定位置に変位された際に、第1の磁石と第2の磁石とが引き合う又は反発し合うことで、変位部材の変位が規制され、可動機構の変形が規制される形態が、それぞれ例示される。第3の形態では、第1の磁石または第2の磁石のいずれか一方を鉄製(強磁性体)の部材としても良い。
特に、第1の形態および第2の形態では、第3変位部材が、複数の環状形成部材を備え、所定位置に変位された場合には、それら複数の環状形成部材が合体して環状体を形成すると共に、その環状体が第2変位部材を取り囲む(即ち、第2変位部材の周囲に環状体が配設される)ように形成することが好ましい。これにより、第1の形態であれば、環状形成部材により形成される環状体の内周側で第2変位部材の外周側を四方から当接することで、可動機構の変形を規制しつつ、第2変位部材の位置決め(芯出し)も行うことができる。第3の形態においても同様である。
<第2ラック364を非平行に付勢する付勢ばね366を一例とする発明の概念について>
駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力により変位される変位部材と、を備えた遊技機において、前記駆動手段の駆動力を前記変位部材に伝達するラック及びピニオンと、前記ラックに付勢力を付与する付勢手段と、を備え、前記付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が、前記ラックの直動方向に対して非平行であることを特徴とする遊技機B1。
ここで、駆動手段の駆動力をラック及びピニオンにより伝達して変位部材を変位させる遊技機が知られている(例えば、特開2014−28226号公報を参照)。この場合、例えば、変位部材を昇降させる構造では、変位部材に作用する重力の影響により、変位部材を上昇させる際に、下降させる際よりも大きな駆動力が必要となる。そこで、ラックの直動方向に沿って付勢力を付与する付勢手段を設け、その付勢手段の付勢力により駆動手段の駆動力を補助することも行われる。
しかしながら、上述した遊技機のように、駆動手段の駆動力をラック及びピニオンにより変位部材に伝達する場合には、駆動力の伝達が不安定になりやすいという問題点があった。即ち、ラックは、直線運動(直動)する際、案内機構に沿って案内されるところ、その案内機構とラックとの間には所定の隙間(公差)が設けられ、その隙間の分、ラックの姿勢が暴れるため(即ち、ラックがピニオンへ近接離間する方向へがたつく)、ピニオンとの噛み合いが安定せず、駆動力の伝達が不安定となる。特に、ラックの直動方向に沿って付勢手段の付勢力が付与される構造では、ラックの姿勢が暴れることを助長させる力として付勢手段の付勢力が作用する。
これに対し、遊技機B1によれば、駆動手段の駆動力を変位部材に伝達するラック及びピニオンと、ラックに付勢力を付与する付勢手段とを備え、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が、ラックの直動方向に対して非平行とされるので、ラックをそのラックを案内する案内機構へ押し付ける方向の力として、付勢手段の付勢力を作用させることができる。その結果、ラックをがたつき難くして、その姿勢の暴れが発生することを抑制できる。更に、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が、ラックの直動方向に対して非平行とされることで、ラックの姿勢の暴れが一端発生しても、その姿勢の暴れを収束させる方向の力として、付勢手段の付勢力を作用させることができる。よって、ラック及びピニオンの噛み合いを安定させることができ、駆動手段の駆動力を安定して伝達することができる。
遊技機B1において、前記付勢手段は、弾性体から形成されることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、付勢手段が弾性体から形成されるので、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向を、ラックの直動方向に対して非平行とするための構造を簡素化できる。また、弾性体であれば、ラックの変位に応じた付勢力を連続的に付与できるので、ラックを安定して付勢することが可能となる。
なお、弾性体としては、例えば、エラストマー(ゴム状弾性体、ウレタンなど)や弾性ばね(コイルスプリングやねじりばね、板ばねなど)が例示される。例えば、帯状または紐状のゴム状弾性体(ゴムバンド)や金属製のコイルスプリングから弾性体を形成し、その長手方向(伸縮方向)をラックの直動方向に対して非平行となる向きとしつつ、一端をラックに、他端をベース部材に、それぞれ連結することで、構造の簡素化と安定した付勢(連続的な付勢力の付与)とを達成できる。
遊技機B2において、前記弾性体が、コイルスプリング又は長尺のエラストマーから形成されると共に、屈曲した姿勢で配設されることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、弾性体が、コイルスプリング又は長尺のエラストマーから形成されると共に、屈曲した姿勢で配設されるので、弾性体の配設に必要なスペースの確保を容易とでき、その分、設計の自由度の向上と付勢力の確保とを図ることができる。即ち、弾性体の付勢力を確保するためには、弾性体の長さ寸法を長くする必要があるところ、弾性体の長さ寸法が長くなると、他の部材との干渉などから弾性体の配設スペースの確保が困難となる。これに対し、遊技機B3によれば、弾性体を屈曲した姿勢で配設するので、弾性体の長さ寸法を長くして、その付勢力を確保しつつ、他の部材との干渉を回避して、弾性体の配設スペースを確保することができる。
なお、弾性体の屈曲した姿勢とは、湾曲を一部または全部に含む趣旨であり、よって、屈曲した姿勢で配設された弾性体の形状としては、例えば、直線状の部分と直線状の部分との間を湾曲した部分で連結した形状(即ち、屈曲部分が丸みを有する「く」字状の形状)や、全体が湾曲する形状(即ち、「C」字状の形状)などが例示される。
遊技機B1において、前記付勢手段は、磁石から形成されることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、付勢手段が磁石から形成されるので、長期間にわたって安定した付勢力をラックに付与できる。即ち、弾性体では、ラックの繰り返し動作に伴って、劣化(へたり)が生じ、付勢力が変化されるところ、遊技機B4のように、磁石を利用することで、付勢力を長期間にわたって一定とすることができる。その結果、付勢力の方向をラックの直動方向に対して非平行とすることによる効果を長期間にわたって安定して発揮することができる。
なお、付勢手段を磁石から形成する場合の構成としては、ラックに第1の磁石を配設すると共に、ラックの移動軌跡上に第2の磁石を配設し、それら第1の磁石と第2の磁石とが引き合う又は反発し合うことで、ラックに付勢力が付与される構成が例示される。この場合には、第1の磁石または第2の磁石のいずれか一方を鉄製(強磁性体)の部材としても良い。また、第1の磁石および第2の磁石(鉄製の部材を含む)の配設個数は、任意であり、1又は複数のいずれであっても良い。
遊技機B4において、前記付勢手段は、ラックが直動する範囲において、基準値を超える付勢力がラックに付与される範囲と、ラックに付与される付勢力が基準値以下となる範囲とを形成することを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B4の奏する効果に加え、付勢手段は、ラックが直動する範囲において、基準値を超える付勢力がラックに付与される範囲と、ラックに付与される付勢力が基準値以下となる範囲とを形成するので、ラックに付与する付勢力をラックの状態に適した付勢力とすることができる。
例えば、第1の範囲では、基準値を超える付勢力をラックに付与することで、ラックをがたつき難くして、その姿勢の暴れが発生することを抑制する一方で、第2の範囲では、ラックに付与される付勢力を基準値以下とすることで、付勢力(磁力)がラックの駆動に抵抗となることを低減して、駆動手段のエネルギー消費を抑制することができる。
なお、この場合の構成としては、ラックに第1の磁石を配設すると共に、ラックの移動軌跡上には、第2の磁石を配設する範囲(第1の範囲)と、第2の磁石を配設しない範囲(第2の範囲)とを形成し、第1の範囲をラック(第1の磁石)が通過する際には、第1の磁石と第2の磁石とが引き合う又は反発し合うことで、ラックに基準値を超える付勢力が付与される一方、第2の範囲をラック(第1の磁石)が通過する際には、第1の磁石との間で作用し合う磁石が存在しない(又は作用が小さい)ことで、ラックに付勢力が付与されない(又は付与される付勢力が基準値以下とされる)構成が例示される。上述した通り、この場合にも、第1の磁石または第2の磁石のいずれか一方を鉄製(強磁性体)の部材としても良い。また、上述の場合と同様に、第1の磁石および第2の磁石(鉄製の部材を含む)の配設個数は、任意であり、1又は複数のいずれであっても良い。
遊技機B1からB5のいずれかにおいて、前記付勢手段からラックに付与される付勢力の方向は、ラックの歯面をピニオンの歯面に近接させる力成分を発生させる方向であることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B1からB5のいずれかの奏する効果に加え、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向は、ラックの歯面をピニオンの歯面に近接させる力成分を発生させる方向であるので、ラックの歯面とピニオンの歯面との間の隙間を抑制できる。よって、歯面間の隙間によって、ピニオンからラック(又はその逆)へ駆動力を伝達する際のタイムラグの発生を抑制して、その応答性の向上を図ると共に、噛み合い初期の歯面どうしの衝突により歯面の摩耗が促進されることや歯面が破損することを抑制できる。また、歯面が摩耗した際でも、歯面の隙間を詰めることができるので、ラックとピニオンとの噛み合い状態を安定化させることができる。
遊技機B1からB5のいずれかにおいて、前記付勢手段からラックに付与される付勢力の方向は、ラックの歯面をピニオンの歯面から離間させる力成分を発生させる方向であることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B1からB5のいずれかの奏する効果に加え、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向は、ラックの歯面をピニオンの歯面から離間させる力成分を発生させる方向であるので、ラックの歯面とピニオンの歯面との間の隙間が詰まり過ぎ、噛み合に圧力が過大となることを抑制でき、その結果、ピニオンからラック(又はその逆)へ駆動力を伝達する際の抵抗を抑制できる。
遊技機B1からB7のいずれかにおいて、前記ラックが直動する範囲には、前記付勢手段からラックに付与される付勢力の方向をラックの歯面をピニオンの歯面に近接させる力成分を発生させる方向とする第1の範囲と、前記付勢手段からラックに付与される付勢力の方向をラックの歯面をピニオンの歯面から離間させる力成分を発生させる方向とする第2の範囲とが形成されることを特徴とする遊技機B8。
遊技機B8によれば、遊技機B1からB7のいずれかの奏する効果に加え、ラックが直動する範囲において、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が変更可能とされるので、変位部材、ラック又は駆動手段の状態に応じて、ラック及びピニオンの噛み合い状態を最適な状態に変更することができる。
例えば、第1の範囲を、駆動力の伝達を開始する際の過渡状態にある初期段階(即ち、変位部材の変位を開始する段階)に適用することで、歯面どうしを近接させ、駆動力の伝達における応答性の向上を図る一方で、第2の範囲を、駆動力の伝達が安定して定常状態となった段階(即ち、変位部材が一定速度で変位されている段階)に適用することで、歯面どうしを離間させ、抵抗を抑制することができる。
或いは、これとは逆としても良い。即ち、駆動力の伝達を開始する際の過渡状態にある初期段階(即ち、変位部材の変位を開始する段階)では、停止状態にある変位部材の変位を開始するために慣性力が大きく、駆動手段の負荷が大きくなるところ、かかる初期段階に第2の範囲を適用することで、歯面どうしを離間させ、抵抗を抑制できるので、駆動手段の負荷を抑制できる。一方、駆動力の伝達が安定して定常状態となった段階(即ち、変位部材が一定速度で変位されている段階)では、変位部材の変位速度が高くなるため、ラックががたつくと、そのがたつきの影響が変位部材へ伝達され、変位部材の安定した変位が阻害されるところ、かかる段階に第1の範囲を適用することで、歯面どうしを近接させ、ラックをがたつき難くできるので、変位部材の変位速度が高い状態でも、その変位を安定化することができる。特に、後者の構成は、一側部材と他側部材との間に架設される長尺の変位部材が、一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位される構造において有効となる。
遊技機B1からB8のいずれかにおいて、所定間隔を隔てて配設される一側部材および他側部材を備え、前記変位部材は、それら一側部材および他側部材の間に架設され前記一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位されることを特徴とする遊技機B9。
遊技機B9によれば、遊技機B1からB8のいずれかの奏する効果に加え、所定間隔を隔てて配設される一側部材および他側部材を備え、それら一側部材および他側部材の間に架設され一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位部材が変位される構造なので、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向を、ラックの直動方向に対して非平行とすることによる効果を有効に発揮させることができる。
ここで、かかる構造では、一側部材による案内と、他側部材による案内との間にずれが生じると、変位部材の変位が不安定となり、駆動手段の負荷が過大になるばかりか、変位部材の停止を招くおそれもある。即ち、ラックの姿勢が暴れやすい従来品では、そのラックの暴れに起因して、一側部材による案内と他側部材との間にずれが生じさせることとなり、変位部材の変位が不安定となる。
これに対し、遊技機B9によれば、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が、ラックの直動方向に対して非平行とされるので、ラックをがたつき難くして、その姿勢の暴れが発生することを抑制できる。また、ラックの姿勢の暴れが一端発生しても、その姿勢の暴れを収束させる方向の力として、付勢手段の付勢力を作用させることができる。よって、ラックの暴れに起因して、一側部材による案内と他側部材との間にずれが生じることを抑制して、変位部材の変位を安定化することができる。
遊技機B9において、変形可能に形成される可動機構を備え、その可動機構が前記変位部材の一端側と他端側との間の少なくとも1か所に介設されることを特徴とする遊技機B10。
遊技機B10によれば、遊技機B9の奏する効果に加え、変形可能に形成される可動機構を備え、その可動機構が変位部材の一端側と他端側との間の少なくとも1か所に介設されるので、一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれが生じた場合でも、そのずれを可動機構により吸収して、変位部材を安定して変位させることができる。
一方で、変位部材に可動機構が介設される場合には、変位部材が変位される際に可動機構が機能すると、その可動機構の変形がラックに外力として作用して、ラックをがたつかせる。そのため、ラックの姿勢が暴れ、ラック及びピニオンの噛み合いの不安定化や耐久性の低下を招く。これに対し、遊技機B9によれば、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が、ラックの直動方向に対して非平行とされるので、可動機構の変形に伴い作用する外力に対して、付勢手段から付与される付勢力により対向することができ、ラックをがたつき難くできる。その結果、ラックの姿勢が暴れることを抑制して、ラック及びピニオンの噛み合いを安定化すると共に耐久性の向上を図ることができる。
<屈曲した姿勢で配設される付勢ばね366を一例とする発明の概念について>
ベース部材と、そのベース部材に変位可能に配設される対象部材と、その対象部材に一端が直接的または間接的に接続されると共に前記ベース部材に他端が直接的または間接的に接続される付勢手段と、を備え、前記付勢手段が、屈曲した姿勢で配設されることを特徴とする遊技機C1。
ここで、ベース部材と、そのベース部材に変位可能に配設される対象部材と、その対象部材に一端が接続されると共にベース部材に他端が接続される付勢手段と、付勢手段を挟んでベース部材に対向配置される対向部材とを備えた遊技機が知られている(例えば、特開2014−28226号公報を参照)。この遊技機によれば、対象部材を駆動手段により駆動する際には、付勢手段の付勢力により駆動手段の駆動力を補助することができる。
しかしながら、上述した遊技機では、付勢手段を配設できるスペースが限られるため、付勢力の確保が困難であるという問題点があった。即ち、付勢手段の付勢力を確保するためには、十分な長さ寸法を確保する必要があるところ、付勢手段を他の部材との干渉を回避しつつ配設する必要があるため、その長さ寸法を十分に長くすることが困難であった。
これに対し、遊技機C1によれば、付勢手段を屈曲した姿勢で配設するので、他の部材の干渉を回避しつつ配設しやすくできるので、十分な長さ寸法を確保することができ、付勢力の確保を容易とすることができる。
なお、弾性体の屈曲した姿勢とは、湾曲を一部または全部に含む趣旨であり、よって、屈曲した姿勢で配設された弾性体の形状としては、例えば、直線状の部分と直線状の部分との間を湾曲した部分で連結した形状(即ち、屈曲部分が丸みを有する「く」字状の形状)や、全体が湾曲する形状(即ち、「C」字状の形状)などが例示される。
遊技機C1において、前記付勢手段を挟んで前記ベース部材に対向配置される対向部材を備え、その対向部材は、前記付勢部材の一端または他端の少なくとも一方を含む領域に開口形成される開口部を備えることを特徴とする遊技機C2。
ここで、付勢手段を屈曲した姿勢で配置する場合には、配設スペースを確保しやすくできる一方で、その屈曲した姿勢を維持させることが困難であり、組み立て工程において、付勢手段が弾かれる(自身の弾性回復力で飛び跳ねる)という問題点があった。そのため、組み立て工程においては、付勢手段が屈曲した姿勢を維持するように一方の手で付勢手段を押さえ付けつつ、他方の手で付勢手段を対象部材またはベース部材との接続させる作業を行う必要があり、煩雑であった。
これに対し、遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、付勢手段を挟んでベース部材に対向配置される対向部材を備え、その対向部材には、付勢部材の一端または他端の少なくとも一方を含む領域に開口部が開口形成されるので、付勢手段の一端または他端のうちの一方を接続すると共に対向部材を配設した後でも、その対向部材の開口部を介して、付勢手段の一端または他端のうちの他方を接続させることができる。即ち、対向部材が付勢手段を挟んでベース部材に対向配置されることで、付勢手段が弾かれることを抑制できる。その結果、付勢手段の一端または他端のうちの他方を接続する作業を行いやすくでき、組み立て作業の簡素化を図ることができる。
更に、対向部材が付勢手段を挟んでベース部材に対向配置される場合であっても、対向部材に開口部が開口形成されていることで、その分、対向部材と付勢手段との間の摺動を抑制して、抵抗が生じることを低減できる。よって、付勢手段の弾性変形が阻害されることを抑制できるので、その付勢力を安定して対象部材へ作用させることができる。また、例えば、付勢手段が金属製のコイルスプリングから形成されると共に、対向部材が樹脂材料から形成される場合のように、一方の素材が他方と比較して強度が低い場合でも、それらの摺動に伴う一方の部材が摩耗することや、その摩耗に伴い発生した粉塵が機械的な可動部やセンサ等の電子機器に入り込み悪影響を与えることを抑制できる。
遊技機C2において、前記対向部材は、前記付勢部材の一端を含む領域および他端を含むに領域にそれぞれ前記開口部を備えることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、対向部材には、付勢部材の一端を含む領域および他端を含むに領域のそれぞれに開口部が形成されるので、付勢手段の屈曲部分には対向部材を残すことができる。よって、開口部の形成領域を最大限確保しつつ、付勢手段が屈曲した姿勢を維持するために必要な個所を対向部材で押さえ付けることができる。その結果、組み立て作業の簡素化と、摺動抵抗および粉塵の発生の抑制とを効果的に達成できる。
遊技機C3において、前記対向部材は、前記付勢手段の一端を含む領域に開口形成される開口部と前記付勢手段の他端を含む領域に開口形成される開口部とを連通させる連通路を備え、その連通路が、前記付勢手段が通過可能な大きさの開口として開口形成されると共に、前記屈曲した姿勢で配設された前記付勢手段の屈曲部分よりも屈曲外方側に位置することを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C3の奏する効果に加え、付勢手段の一端を含む領域に開口形成される開口部と付勢手段の他端を含む領域に開口形成される開口部とを連通させる連通路を備え、その連通路が、付勢手段が通過可能な大きさの開口として開口形成されると共に屈曲した姿勢で配設された付勢手段の屈曲部分よりも屈曲外方側に位置するので、先に、対向部材の各開口部を介して付勢手段の一端および他端を対象部材またはベース部材のそれぞれに接続し、次いで、対向部材の各開口部および連通路を介して、ベース部材と対向部材との対向間に付勢手段を配置することができ(即ち、付勢手段の両端を固定した後、屈曲した姿勢を形成できる)、これにより、付勢手段が弾かれることを抑制しつつ、かかる付勢手段を屈曲した姿勢に容易に配設できる。
遊技機C1において、前記屈曲した姿勢で配設された前記付勢手段の屈曲部分を挟んでベース部材に対向配置される止板部材を備えることを特徴とする遊技機C5。
ここで、付勢手段を屈曲した姿勢で配置する場合には、配設スペースを確保しやすくできる一方で、その屈曲した姿勢を維持させることが困難であり、組み立て工程において、付勢手段が弾かれる(自身の弾性回復力で飛び跳ねる)という問題点があった。そのため、組み立て工程においては、付勢手段が屈曲した姿勢を維持するように一方の手で付勢手段を押さえ付けつつ、他方の手で付勢手段を対象部材またはベース部材との接続させる作業を行う必要があり、煩雑であった。
これに対し、遊技機C5によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、前記屈曲した姿勢で配設された付勢手段の屈曲部分を挟んでベース部材に対向配置される止板部材を備えるので、先に、付勢手段の一端および他端を対象部材またはベース部材のそれぞれに接続し、次いで、付勢手段の中間部分を止板部材に係止させる(ベース部材と止板部材の対向間に配置する)ことができ(即ち、付勢手段の両端を固定した後、屈曲した姿勢を形成できる)、これにより、付勢手段が弾かれることを抑制しつつ、かかる付勢手段を屈曲した姿勢に容易に配設することができる。よって、組み立て作業の簡素化を図ることができる。
更に、止板部材が対向する領域は、付勢手段の屈曲部分のみであり、付勢手段の屈曲部分を除く領域は開放されているので、付勢手段が弾性変形する際の摺動を抑制して、抵抗が生じることを低減できる。よって、付勢手段の弾性変形が阻害されることを抑制できるので、その付勢力を安定して対象部材へ作用させることができる。また、付勢手段の屈曲部分を除く領域が開放されていることで、摺動に伴い相手部材が摩耗することや、その摩耗に伴い発生した粉塵が機械的な可動部やセンサ等の電子機器に入り込み悪影響を与えることを抑制できる。
遊技機C5において、回転可能に形成されると共にその外周面を前記付勢手段に当接可能に形成される回転当接部材を備え、前記付勢手段は、前記一端と他端との間の一部が前記回転当接部材の外周面に当接されることで、屈曲した姿勢で配設され、前記止板部材は、前記回転当接部材の外周面から径方向外方へフランジ状に飛び出すフランジ部として前記回転当接部材に一体に形成されることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C5の奏する効果に加え、付勢手段を屈曲した姿勢とするためにその付勢手段に外周面を当接させる回転当接部材が回転可能に形成されるので、付勢手段が弾性変形(例えば、伸縮)される際には、その弾性変形に伴って回転当接部材および止板部材(フランジ)も回転させることができ、付勢手段の弾性変形を円滑に行わせることができる。即ち、付勢手段を屈曲した姿勢とするためにその付勢手段に当接する部材(回転当接部材に相当)や付勢部材が弾かれない(自身の弾性回復力で飛び跳ねない)ように抑えておく部材(止板部材に相当)が固定されている場合と比較して、付勢手段との間に生じる摺動抵抗を抑制することができる。また、摺動が低減できることで、摺動に伴う摩耗や、その摩耗に伴い発生する粉塵の悪影響を抑制できる。
遊技機C1からC6のいずれかにおいて、前記ベース部材に変位可能に配設されると共に前記付勢手段に当接可能に形成される変位当接部材を備え、前記変位当接部材が前記付勢手段の前記一端と他端との間の一部に当接されつつ変位されることで、前記付勢手段が屈曲した姿勢で配設されることを特徴とする遊技機C7。
遊技機C7によれば、遊技機C1からC6のいずれかの奏する効果に加え、ベース部材に変位可能に配設される変位当接部材を備え、その変位当接部材が付勢手段の一端と他端との間の一部に当接されつつ変位されることで、付勢手段が屈曲した姿勢で配設されるので、付勢手段の組み付け作業を容易とできる。即ち、先に、付勢手段の一端および他端を対象部材またはベース部材のそれぞれに接続し、次いで、変位当接部材を変位させることで、付勢手段を屈曲した姿勢とすることができる。よって、付勢手段の両端を固定した後に屈曲した姿勢を形成できるので、付勢手段が弾かれることを抑制しつつ、かかる付勢手段の屈曲した姿勢への配設を容易とすることができる。
遊技機C7において、前記ベース部材は、前記変位当接部材を案内する案内手段を備え、その案内手段は、前記付勢手段を屈曲した姿勢とする方向へ延びる第1案内部と、その第1案内部の終端側から折り返されて前記付勢手段の屈曲した姿勢を弱める方向へ延びる第2案内部とを備えることを特徴とする遊技機C8。
遊技機C8によれば、遊技機C7の奏する効果に加え、変位部材を案内する案内手段は、付勢手段を屈曲した姿勢とする方向へ延びる第1案内部と、その第1案内部の終端側から折り返されて付勢手段の屈曲した姿勢を弱める方向へ延びる第2案内部とを備えるので、案内手段の第1案内部に沿って変位当接部材を変位させることで、付勢手段の屈曲した姿勢を形成できると共に、変位当接部材を案内手段の第2案内部に配置することで、付勢手段の弾性回復力により変位当接部材を第2案内部の終端に押し付けて保持することができる。即ち、付勢手段の付勢力を、対象部材の付勢だけでなく、変位当接部材の保持(固定)にも兼用することができるので、変位当接部材を固定するための部材(例えば、締結ねじ)を別途準備する必要がなく締結作業を行う必要もない。よって、その分、部品点数および組み立て工数を削減できる。
遊技機C1からC8のいずれかにおいて、前記対象部材は、前記ベース部材に変位可能に一対が配設され、前記付勢手段は、前記一対の対象部材のうちの一方の対象部材に一端が直接的または間接的に接続され、前記一対の対象部材の他方の対象部材に他端が直接的または間接的に接続されることを特徴とする遊技機C9。
ここで、ベース部材と、そのベース部材に変位可能に配設される対象部材と、その対象部材に一端が直接的または間接的に接続されると共にベース部材に他端が直接的または間接的に接続される付勢手段とを備え、対象部材がベース部材に変位可能に一対配設されると共に、それら一対の対象部材がそれぞれ別の付勢手段により付勢されるものが知られている。この遊技機によれば、対象部材を駆動手段により駆動する際には、付勢手段の付勢力により駆動手段の駆動力を補助することができる。
しかしながら、上述した遊技機では、各対象部材がそれぞれ別々の付勢手段により付勢されるので、それら別々の付勢手段の個体差に起因して、各対象部材に付与される付勢力の大きさにばらつきが生じるという問題点があった。
これに対し、遊技機C9によれば、ベース部材に一対の対象部材が変位可能に配設される場合に、それら一対の対象部材のうちの一方および他方に付勢手段の一端および他端がそれぞれ接続されるので、一対の対象部材に付与される付勢力を均一化することができる。即ち、2の付勢手段を設ける場合には、各付勢手段の特性のばらつき(寸法公差など)によって、一対の対象部材に付与される付勢力にばらつきが生じるところ、1の付勢手段が一対の対象部材のそれぞれに付勢力を付与することで、各対象部材に付与される付勢力がばらつくことを抑制できる。その結果、一対の対象部材の変位がばらつくことを抑制できる。
なお、この場合には、1のベース部材に一対の対象部材がそれぞれ配設される形態であっても良く、或いは、ベース部材が分割され、一対の対象部材がそれぞれ別のベース部材に配設される形態であっても良い。
また、遊技機C9は、所定間隔を隔てて配設される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設され前記一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位される変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段と、を備えた遊技機に適用することが特に有効である。具体的には、変位部材の一端側を案内する構成および他端側を案内する構成に、遊技機G1を適用することが有効となる。かかる遊技機では、変位部材の一端側における案内と、変位部材の他端側における案内との間にずれが生じやすく、変位部材を安定して変位させることが困難であったところ、遊技機C9を適用することで、一対の対象部材に付与される付勢力を均一化でき、それらの変位のばらつきを抑制できるので、変位部材の一端側における案内と他端他側における案内とを均一化できる。その結果、上記ずれが生じることを抑制して、変位部材を安定して変位させることができる。
遊技機C9において、前記ベース部材に連接される連接部材を備え、前記付勢手段の一端および他端が前記一対の対象部材の一方および他方にそれぞれ接続されると共に前記付勢手段の中間部分が前記連接部材に当接されることで、前記連接部材が前記ベース部材へ押圧され前記ベース部材および連接部材の連接が維持されるように、前記付勢手段の付勢力が作用されることを特徴とする遊技機C10。
遊技機C10によれば、遊技機C9の奏する効果に加え、一端および他端が一対の対象部材のそれぞれに接続された付勢手段の中間部分が連接部材に当接され、その連接部材をベース部材へ押圧して、ベース部材および連接部材の連接が維持されるように、付勢力が作用されるので、ベース部材に連接部材を少なくとも仮固定することができる。よって、かかる仮固定により、これらベース部材および連接部材を取付対象へ取り付ける際の作業効率を向上させることができる。また、付勢手段の付勢力を、対象部材の付勢だけでなく、ベース部材への連接部材の固定力としても兼用することができるので、ベース部材に連接部材を固定するための部材(例えば、締結ねじ)を別途準備する必要がなく締結作業を行う必要もない。よって、その分、部品点数および組み立て工数を削減できる。
遊技機C1からC10のいずれかにおいて、前記ベース部材に変位可能に配設されると共に前記付勢手段に当接され前記付勢手段の屈曲した姿勢を形成する変位当接部材と、その変位当接部材に駆動力を付与する当接部材駆動手段と、を備え、前記変位当接部材が前記当接部材駆動手段の駆動力により変位されることで、前記付勢手段の屈曲状態が変更可能とされることを特徴とする遊技機C11。
遊技機C10によれば、遊技機C1からC10のいずれかの奏する効果に加え、ベース部材に変位可能に配設されると共に付勢手段に当接してその付勢手段の屈曲した姿勢を形成する変位当接部材と、その変位当接部材に駆動力を付与する当接部材駆動手段とを備え、変位当接部材が当接部材駆動手段の駆動力により変位されることで、付勢手段の屈曲状態が変更可能とされるので、付勢力の付与対象である対象部材の状態に応じて、付勢手段による付勢状態をより適切なものに調整することができる。
なお、変位当接部材の変位方向としては、第1に、付勢手段の一端(対象部材に接続される位置)と変位当接部材とを結ぶ方向は変化させず、付勢手段の一端と変位当接部材との間の距離を変化させる方向が、第2に、付勢手段の一端と変位当接部材との間の距離は変化させず、付勢手段の一端と変位当接部材とを結ぶ方向を変化させる方向が、第3に、これら第1及び第2の方向を組み合わせた方向が、それぞれ例示される。
第1の方向とする場合では、付勢手段から対象部材に付与される付勢力の方向を変化させることなく、付勢手段のプリロード(組み付けられた状態において付勢手段にかけられている荷重)の大きさを調整することができる。即ち、付勢手段のみかけのばね定数を調整(増減)することができる。よって、対象部材の基準位置からの変位量に応じて付勢手段から付与される付勢力の大きさを、対象部材の状態(例えば、姿勢や変位速度、或いは、変位位置)に応じて制御することができる。例えば、対象部材が上端位置にある場合には、付勢手段のプリロードを増加させ、対象部材を上端位置に維持するために必要な力を付勢手段の付勢力により補助する一方、対象部材が変位する際には、付勢手段のプリロードを減少させて、付勢手段の付勢力が対象部材を変位させる際の抵抗となることを抑制できる。
第2の方向とする場合では、付勢手段のプリロードの大きさを変化させることなく、付勢手段から対象部材に付与される付勢力の方向を変化させることができる。よって、付勢手段から対象部材に付与される付勢力の方向を対象部材の変位方向と一致する方向と非平行となる方向との切り替え、或いは、その非平行の度合いの増減を、対象部材の状態(例えば、姿勢や変位速度、或いは、変位位置)に応じて制御することができる。例えば、対象部材の変位を開始する過渡状態にある初期段階では、対象部材の挙動が不安定となるところ、付勢力の方向を非平行とする度合いを増加させて、対象部材の暴れの発生を抑制する一方、対象部材の変位速度が一定に達した定常状態にある段階では、対象部材の挙動が安定されるところ、付勢力の方向を非平行とする度合いを減少させて、抵抗を低減させることで、対象部材の駆動に要するエネルギーを抑制することができる。
なお、遊技機C11の構成は、ピニオンに歯合されるラックとして対象部材が形成される場合に特に有効となる。付勢手段から対象部材に付与される付勢力の方向を変化させることができることで、ピニオンとラックとの歯合状態(噛み合い状態)を制御できるからである。
また、遊技機C11では、変位当接部材を当接部材駆動手段の駆動力により駆動する場合を説明したが、かかる当接部材駆動手段を省略し、変位当接部材を変位可能に弾性支持しても良い。この場合には、対象部材の状態に応じて変位当接部材を変位させて、付勢手段のプリロード又は(及び)付勢力の方向を調整可能としつつ、弾性支持における弾性回復力により変位当接部材を初期位置へ復帰させることができる。弾性支持の構造としては、例えば、ベース部材に設けた案内溝に沿って変位可能とされた変位当接部材に弾性体を連結して、弾性体の弾性変形により変位当接部材の変位および初期位置への復帰を可能とする構造や、内筒および外筒の間をゴム状弾性体により連結したブッシュの外筒をベース部材に配設すると共に内筒に変位当接部材を配設し、ブッシュの弾性変形により変位当接部材の変位および初期位置への復帰を可能とする構造などが例示される。後者に構造によれば、変位当接部材の変位可能方向が一方向に限定されないので、変位当接部材の変位方向を上述した第3の方向とすることができる。
また、当接部材駆動手段を省略し、変位当接部材の配設位置を手動により調整可能に形成しても良い。この場合には、各部材の経年変化(例えば、付勢手段のへたり(劣化)によるばね定数の低下、ラック及びピニオンの歯面の摩耗など)に応じて、付勢手段のプリロード又は(及び)付勢力の方向を調整することができる。変位当接部材の配設位置を手動により調整可能とする構造としては、例えば、ベース部材に設けた案内溝に沿って変位当接部材を変位可能とし、その案内溝に変位当接部材を固定する位置に応じてプリロード等を調整する構造や、ベース部材に変位当接部材を着脱可能な支持穴を複数設け、変位当接部材を配設する支持穴の位置に応じてプリロード等を調整する構造などが例示される。
<第2ラック364を一例とする発明の概念について>
駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力により変位される変位部材と、を備えた遊技機において、前記駆動手段の駆動力を前記変位部材に伝達するラック及びピニオンと、そのラックを案内する案内手段と、備え、前記案内手段は、前記ピニオンの歯面に沿って変位可能な状態で前記ラックを案内することを特徴とする遊技機D1。
ここで、駆動手段の駆動力をラック及びピニオンにより伝達して変位部材を変位させる遊技機が知られている(例えば、特開2010−75550号公報を参照)。ラック及びピニオンは、回転運動を直線運動に変換できるため、モータの駆動力(回転運動)により変位部材を直線変位させる機構として多用される。
しかしながら、上述した遊技機のように、駆動手段の駆動力をラック及びピニオンにより変位部材に伝達する場合には、駆動力の伝達が不安定になりやすいという問題点があった。即ち、ラックは、直線運動(直動)する際、案内機構に沿って案内されるところ、その案内機構とラックとの間には所定の隙間(公差)が設けられ、その隙間の分、ラックの姿勢が暴れるため(即ち、ラックがピニオンへ近接離間する方向へがたつく)、ピニオンとの噛み合いが安定せず、駆動力の伝達が不安定となる。
これに対し、遊技機D1によれば、駆動手段の駆動力を変位部材に伝達するラック及びピニオンと、そのラックを案内する案内手段と備え、案内手段は、ピニオンの歯面に沿って変位可能な状態でラックを案内するので、ラックの姿勢が暴れた場合でも、ラックとピニオンとの噛み合いを一定に維持しやすくして、駆動力の伝達を安定化させることができる。
なお、ラックがピニオンの歯面に沿って変位されるとは、ピニオンの軸方向視において、ラックの直線状の歯面がピニオンの円弧状の歯面に対して接する状態(ラック歯面の直線がピニオン歯面の円弧の接線となる状態)を維持しつつ、ラックがピニオンの軸を中心として回転される動作を意味する。
遊技機D1において、前記ラック及びピニオンが配設されるベース部材を備え、前記案内手段は、前記ラックの歯面に沿って前記ラックに延設される被案内部と、その被案内部に回転可能かつ摺動可能に挿通されると共に前記ピニオンの軸に対向する位置において前記ベース部材から突設される突設部と、を備えることを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、案内手段が、ラックの歯面に沿ってラックに延設される被案内部と、ピニオンの軸に対向する位置においてベース部材から突設されると共にラックの被案内部に回転可能かつ摺動可能に挿通される突設部とを備えるので、被案内部に沿って突設部が摺動される際に、被案内部内で突設部が相対的に回転されることで、ラックを、ピニオンの歯面に沿って変位させつつ、被案内部に沿って変位させることができる。これにより、ラックの姿勢が暴れた場合でも、ラックとピニオンとの噛み合いを一定に維持しやすくして、駆動力の伝達を安定化させることができる。
この場合、案内手段は、被案内部がラックに形成されると共に、ベース部材のラックに対面する領域に突設部が形成されるので、これら被案内部および突設部をラックの移動軌跡上に配置することができる。即ち、ラックをピニオンの歯面に沿って変位可能とするための部位を、ラックの外形の外に形成する必要がなく、ラックとの干渉を避けるために他の部材を配設できないデッドスペースに配設することができるので、その分、スペース効率の向上を図ることができる。
なお、被案内部は、ラックのベース部材に対面する側の面に凹設される凹溝であっても良く、ラックに開口形成される長穴状の開口であっても良い。この場合、被案内部の幅寸法は長手方向に沿って一定であることが好ましく、突設部の断面形状は、被案内部の幅寸法と略同一または若干小さな直径の断面円形であることが好ましい。ラックを、ピニオンの歯面に沿って変位させつつ直動させる際の噛み合いをより一定としやすいからである。但し、突設部の断面形状は、断面楕円形、断面多角形などであっても良い。即ち、突設部の断面形状は、被案内部に沿って摺動可能かつ被案内部内で回転可能であれば、どのような形状であっても良い。
遊技機D1において、前記ラック及びピニオンが配設されるベース部材を備え、前記案内手段は、前記ラックを挟んで前記ピニオンの軸に対向する位置において前記ベース部材から突設され前記ラックの側面に当接可能とされる第1規制部と、前記ラックの幅方向への変位を規制するために前記ベース部材に形成される第2規制部と、を備え、前記第2規制部により許容される前記ラックの幅方向への変位量が、前記第1規制部とピニオンとの間で許容される前記ラックの幅方向への変位量よりも大きくされることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、案内手段が、ラックを挟んでピニオンの軸に対向する位置においてベース部材から突設される第1規制部と、ラックの幅方向への変位を規制するための第2規制部とを備えるので、ピニオンの回転によりラックが駆動される場合には、第1規制部および第2規制部によってラックの幅方向への変位を規制して、ラックを直動方向へ変位させることができる。
この場合、ラックの幅方向への変位量が、第1規制部とピニオンとの間で許容される変位量よりも、第2規制部により許容される変位量の方が大きくされるので、遊技機D1の奏する効果に加え、ラックを、ピニオンの歯面に沿って変位させつつ、直動方向へ変位させることができる。これにより、ラックの姿勢が暴れた場合でも、ラックとピニオンとの噛み合いを一定に維持しやすくして、駆動力の伝達を安定化させることができる。
更に、ラックに凹溝や開口としての被案内部を設ける必要がないので、その分、ラックの剛性を確保して、その耐久性の向上を図ることができる。また、ラックの剛性が確保されることで、ピニオンの回転により駆動される際のラックの変形を抑制でき、この点からもラックとピニオンとの噛み合いを一定に維持しやすくできる。
なお、第1規制部は、棒状体としてベース部材から突設されることが好ましい。ラックの側面に第1当接部が当接して、ラックの変位を規制する際に、ラックがピニオンの歯面に沿って変位しやすくできるからである。ここで、第1規制部(棒状体)の断面形状としては、円形、楕円形、多角形、これらを部分的に組み合せた形状などが例示される。この場合、第1規制部の断面形状は、ラックに対面(当接)する側の側面が断面円弧状に湾曲した形状とされることが好ましい。ラックの側面に当接してその変位を規制する際に、抵抗を低減でき、ラックの変位を阻害し難くできるからである。
遊技機D1からD3のいずれかにおいて、前記ラックに付勢力を付与する付勢手段を備えることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D1からD3のいずれかの奏する効果に加え、ラックに付勢力を付与する付勢手段を備えるので、その付勢力を利用して、駆動手段の駆動力を補助することができる。例えば、変位部材を昇降させる構造では、変位部材に作用する重力の影響により、変位部材を上昇させる際に、下降させる際よりも大きな駆動力が必要となるところ、変位部材を上昇させる方向に対応してラックに付勢力が付与されることで、その分、駆動手段の駆動力を補助できる。
一方で、駆動手段の駆動力をラック及びピニオンにより変位部材に伝達する場合には、駆動力の伝達が不安定になりやすい。即ち、ラックは、案内手段によって案内されるところ、その案内手段とラックとの間には所定の隙間(公差)が設けられ、その隙間の分、ラックの姿勢が暴れる。特に、ラックに付勢手段の付勢力が付与される構造では、ラックの姿勢が暴れることを助長させる力として付勢手段の付勢力が作用する。これに対し、本発明では、ラックを、ピニオンの歯面に沿って変位させつつ、直動方向へ変位させることができる。よって、付勢手段による付勢力がラックに付与される構造において、ラックの姿勢が暴れた場合でも、ラックとピニオンとの噛み合いを一定に維持しやすくでき、駆動力の伝達を安定化させることができる。
なお、付勢手段としては、例えば、弾性ばね(コイルスプリングやねじりばね、板ばねなど)やエラストマー(ゴム状弾性体、ウレタンなど)の弾性力を付勢力として利用するものや、磁石の磁力を付勢力として利用するものなどが例示される。
遊技機D4において、前記付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が、前記ラックの直動方向に対して非平行であることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D4の奏する効果に加え、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が、ラックの直動方向に対して非平行とされるので、ラックをそのラックを案内する案内手段へ押し付ける方向の力として、付勢手段の付勢力を作用させることができる。その結果、ラックをがたつき難くして、その姿勢の暴れが発生することを抑制できる。
更に、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が、ラックの直動方向に対して非平行とされることで、ラックの姿勢の暴れが一端発生しても、その姿勢の暴れを収束させる方向の力として、付勢手段の付勢力を作用させることができる。よって、ラック及びピニオンの噛み合いを安定させることができ、駆動手段の駆動力を安定して伝達することができる。
なお、ラックの直動方向とは、ピニオンの回転により駆動されるラックが変位する方向を意味し、ラックの歯面に沿う方向となる。この場合、遊技機D5では、ラックがピニオンの歯面に沿って変位可能(ラックがピニオンの軸を中心として回転可能)とされるため、ラックの直動方向はラックの回転位置に応じて変化される。
遊技機D1からD5のいずれかにおいて、前記ラックの直動方向への変位を前記直動方向の所定位置において規制する直動規制手段を備えることを特徴とする遊技機D6。
遊技機D6によれば、遊技機D1からD5のいずれかの奏する効果に加え、ラックの直動方向への変位を直動方向の所定位置において規制する直動規制手段を備えるので、その規制により、駆動手段に必要とされる駆動力を低減できる。例えば、変位部材を昇降させる構造では、変位部材を上昇位置で停止させ保持するためには、変位部材に作用する重力に抗する必要があるため、駆動手段に必要とされる駆動力が嵩むところ、ラックの直動方向への変位を直動規制手段により規制できることで、その分、駆動手段に必要とされる駆動力を低減(又は駆動を停止)できる。その結果、変位部材を所定位置(例えば、上昇位置)に保持する際の駆動手段の消費エネルギーを抑制できる。
遊技機D6において、前記ラックに付勢力を付与する付勢手段を備え、前記直動規制手段は、前記ラックに形成される第1係合部と、その第1係合部に係合可能に形成され前記案内手段に形成される第2係合部と、を備え、前記付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が、前記ラックの直動方向に対して非平行であり、かつ、前記第1係合部および第2係合部を係合させる方向であることを特徴とする遊技機D7。
遊技機D7によれば、遊技機D6の奏する効果に加え、直動規制手段が、ラックに形成される第1係合部と、その第1係合部に係合可能に形成され案内手段に形成される第2係合部とを備え、付勢手段からラックに付与される付勢力の方向が、ラックの直動方向に対して非平行であり、かつ、第1係合部と第2係合部とを係合させる方向であるので、第1係合部および第2係合部の係合とその解除とをラックの直動方向への変位に伴って行うことができる。
即ち、ラックがピニオンの歯面に沿って変位可能(ピニオンの軸を中心として回転可能)とされ、かつ、付勢手段の付勢力がラックをピニオンの歯面に沿って変位する方向へ付勢するので、例えば、第1係合部および第2係合部の係合が凹凸形状の係合として形成される場合には、ラックを直動方向の所定位置にまで変位させると、凹と凸との位置が一致することで、ラックを付勢手段の付勢力によって回転させ、凹凸形状(第1係合部および第2係合部)の係合を形成(凹に凸を挿入)できると共に、その係合を付勢手段の付勢力により維持することができる。一方、その状態からピニオンを駆動すると、付勢手段の付勢力に抗しつつ、凹凸形状の係合を解除する方向へラックが回転されることで、凹凸形状の係合を解除する(凹から凸を抜き出させる)ことができ、ラックを直動方向へ変位させることができる。
遊技機D7において、前記ラック及びピニオンが配設されるベース部材を備え、前記案内手段は、前記ラックの歯面に沿って前記ラックに延設される被案内部と、その被案内部に回転可能かつ摺動可能に挿通されると共に前記ピニオンの軸に対向する位置において前記ベース部材から突設される突設部と、を備え、前記直動規制手段は、前記第1係合部が前記案内手段の被案内部における内壁面に凹設される凹部により形成されると共に、前記第2係合部が前記案内手段の突設部により形成されることを特徴とする遊技機D8。
遊技機D8によれば、案内手段が、ラックの歯面に沿ってラックに延設される被案内部と、その被案内部に回転可能かつ摺動可能に挿通されると共にピニオンの軸に対向する位置においてベース部材から突設される突設部とを備えるので、遊技機D2と同様の効果を奏する。この場合、直動規制手段の第1係合部が案内手段の被案内部に形成されるので、ラックの外形を拡大する必要がなく、スペース効率の向上を図ることができると共に、直動規制手段の第2係合部が案内手段の突設部により形成されるので、部品を兼用して、その分、部品点数を削減できる。これにより、小型化および製品コストの削減を図ることができる。
遊技機D7において、前記ラック及びピニオンが配設されるベース部材を備え、前記案内手段は、前記ラックを挟んで前記ピニオンの軸に対向する位置において前記ベース部材から突設され前記ラックの側面に当接可能とされる第1規制部と、前記ラックの幅方向への変位を規制するために前記ベース部材に形成される第2規制部と、を備え、前記第2規制部により許容される前記ラックの幅方向への変位量が、前記第1規制部とピニオンとの間で許容される前記ラックの幅方向への変位量よりも大きくされ、前記直動規制手段は、前記第1係合部が前記ラックの側面に凹設される凹部により形成されると共に、前記第2係合部が前記案内手段の第2規制部により形成されることを特徴とする遊技機D9。
遊技機D9によれば、案内手段が、ラックを挟んでピニオンの軸に対向する位置においてベース部材から突設されラックの側面に当接可能とされる第1規制部と、ラックの幅方向への変位を規制するためにベース部材に形成される第2規制部と、を備え、第2規制部により許容されるラックの幅方向への変位量が、第1規制部とピニオンとの間で許容されるラックの幅方向への変位量よりも大きくされるので、遊技機D3と同様の効果を奏する。この場合、直動規制手段の第1係合部がラックの側面に形成されるので、ラックの外形を拡大する必要がなく、スペース効率の向上を図ることができると共に、直動規制手段の第2係合部が案内手段の第2規制部により形成されるので、部品を兼用して、その分、部品点数を削減できる。これにより、小型化および製品コストの削減を図ることができる。
遊技機D6において、前記ラック及びピニオンが配設されるベース部材を備え、前記案内手段は、前記ラックの歯面に沿って前記ラックに延設される凹溝としての被案内部と、その被案内部に回転可能かつ摺動可能に挿通されると共に前記ピニオンの軸に対向する位置において前記ベース部材から突設される突設部と、を備え、前記直動規制手段は、前記案内手段の被案内部における一部の凹設深さを深くして形成される第1係合部を備え、その第1係合部に前記案内手段の突設部の先端側が係合可能に形成されることを特徴とする遊技機D10。
遊技機D10によれば、遊技機D6の奏する効果に加え、案内手段が、ラックの歯面に沿ってラックに延設される凹溝としての被案内部と、その被案内部に回転可能かつ摺動可能に挿通されると共にピニオンの軸に対向する位置においてベース部材から突設される突設部とを備えるので、遊技機D2と同様の効果を奏する。この場合、直動規制手段が、案内手段の被案内部における一部の凹設深さを深くして形成される第1係合部を備え、その第1係合部に案内手段の突設部の先端側が係合可能に形成されるので、第1係合部および突設部材の係合とその解除とをラックの直動方向への変位に伴って行うことができる。
また、直動規制手段の第1係合部がラックの凹溝(被案内部)を部分的に深くすることで形成されるので、ラックの外形を拡大する必要がなく、スペース効率の向上を図ることができると共に、その第1係合部に係合するための部分が案内手段の突設部により形成されるので、部品を兼用して、その分、部品点数を削減できる。これにより、小型化および製品コストの削減を図ることができる。
なお、遊技機D10では、突設部の先端側に、ボールがばねで突出方向へ付勢されたばね式のボールプランジャ機構を設け、そのボールプランジャ機構のボールを第1係合部に係合させることが好ましい。第1係合部と突設部の先端側との係合およびその係合の解除をスムーズに行うことができるからである。
また、遊技機D10においては、次のように遊技機を構成しても良い。即ち、前記駆動手段の駆動力を前記ラックに伝達する伝達手段を備え、前記伝達手段は、少なくとも前記第1係合部に前記突設部が係合した状態では、前記第1係合部に前記突起部が被係合とされる場合によりも大きな駆動力を前記駆動手段から前記ラックへ伝達可能に形成されることを特徴とする遊技機。
かかる遊技機によれば、遊技機D10の奏する効果に加え、駆動手段の駆動力をラックへ伝達する伝達手段は、第1係合部に突設部が係合した状態では、第1係合部に突起部が被係合とされる場合によりも大きな駆動力を駆動手段からラックへ伝達可能に形成されるので、第1係合部と突起部との係合の解除を円滑に行うことができる。
遊技機D1からD10のいずれかにおいて、前記ラック及びピニオンが配設されるベース部材と、そのベース部材に前記ラックおよびピニオンを挟んで対向配置されるカバー部材とを備え、前記ベース部材およびカバー部材の対向面により前記ラックの変位が規制されると共に、前記ベース部材とカバー部材とを連結する連結部が前記ラックの近傍に配設されることを特徴とする遊技機D11。
ここで、ラック及びピニオンをベース部材に配設すると共に、そのベース部材にカバー部材を覆設して、それらベース部材およびカバー部材の対向面によりラックの厚み方向(即ち、ベース部材およびカバー部材の対向方向)の変位を規制する構造の遊技機が知られている。この場合、ベース部材およびカバー部材の対向面の間隔が不安定であると、ラックの厚み方向への変位の規制が不十分となり、ピニオンとの噛み合い状態に悪影響を与える。しかしながら、ベース部材およびカバー部材の対向面の間隔を安定させるために、ベース部材とカバー部材とを連結する連結部の配設数を増加させると、その分、製品コストが嵩む。
これに対し、遊技機D11によれば、遊技機D1からD11のいずれかの奏する効果に加え、ベース部材とカバー部材とを連結する連結部をラックの近傍に配設するので、ベース部材およびカバー部材の対向面のうちのラックの変位の規制に寄与する領域に対しその間隔を重点的に安定化させることができる。その結果、連結部の配設数を抑制して、製品コストの削減を図りつつ、ラックの厚み方向への変位を十分に規制可能として、ピニオンとの噛み合い状態を安定化させることができる。
遊技機D11において、前記ラックは、長穴状の開口として形成される開口部を備え、そのラックの開口部に前記連結部が挿通されることを特徴とする遊技機D12。
遊技機D12によれば、長穴状に開口形成される開口部をラックが備え、そのラックの開口部に連結部が挿通されるので、ラックに最も近い位置においてベース部材とカバー部材とを連結部により連結することができる。よって、ベース部材およびカバー部材の対向面のうちのラックの変位を規制するために最も適した領域においてその間隔を安定化させることができる。その結果、連結部の配設数を最少として、製品コストの削減を図りつつ、最少の連結部であってもラックの厚み方向への変位の規制を最大化して、ピニオンとの噛み合い状態を確実に安定化させることができる。
遊技機D12において、前記案内手段は、前記ラックの歯面に沿って前記ラックに長穴状の開口として開口形成される被案内部と、その被案内部に回転可能かつ摺動可能に挿通されると共に前記ピニオンの軸に対向する位置において前記ベース部材から突設される突設部と、を備え、前記被案内部により前記開口部が形成されると共に、前記突設部により前記連結部が形成されることを特徴とする遊技機D13。
遊技機D13によれば、遊技機D12の奏する効果に加え、案内手段は、ラックの歯面に沿ってラックに延設される被案内部と、その被案内部に回転可能かつ摺動可能に挿通されると共にピニオンの軸に対向する位置においてベース部材から突設される突設部とを備えるので、遊技機D2と同様の効果を奏する。この場合、被案内部により開口部が形成されると共に、突設部により連結部が形成されるので、スペース効率の向上と製品コストの削減とを図ることができる。即ち、ラックに開口形成された被案内部(開口部)を利用して、連結部を配設するので、かかる連結部をラックの外形よりも外側に配設する必要がなく、その分、他の部材をラックの外形よりも外側に配設でき、スペース効率の向上を図ることができる。また、ラックの変位を案内するための案内手段を構成する被案内部および突設部が、ベース部材およびカバー部材を互いに連結して固定するため連結部およびその連結部を挿通させるための開口部を兼用するので、その分、部品点数を削減でき、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機D12又はD13において、前記開口部の終端に前記連結部が当接することで、前記ラックの直動方向への変位が規制されることを特徴とする遊技機D14。
遊技機D14によれば、遊技機D12又はD13の奏する効果に加え、開口部の終端に連結部が当接することで、ラックの直動方向への変位が規制されるので、スペース効率の向上と製品コストの削減とを図ることができる。例えば、ラックの側面に当接するストッパ壁をベース部材から立設し、そのストッパ壁にラックの側面を当接させることで、ラックの直動方向への変位を規制する構造も考えられが、かかる構造では、ストッパ壁が形成される分、ラックの外形よりも外側において、他の部材を配設できるスペースが減少する。これに対し、遊技機D14では、ストッパ壁に対応する連結部を、ラックの外形よりも外側に配設する必要がないので、その分、他の部材をラックの外形よりも外側に配設でき、スペース効率の向上を図ることができる。また、連結部に、ベース部材とカバー部材とを連結して固定するための機能に加え、ラックの直動方向の変位を規制するためのストッパ機能を兼用させることができるので、その分、部品点数を削減でき、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機D14において、前記ベース部材およびカバー部材が樹脂材料から形成され、前記連結部は、前記ベース部材またはカバー部材の一方から立設されると共に、その立設先端側が前記ベース部材またはカバー部材の他方に金属製のねじにより締結され、前記ねじにより締結された状態では、前記連結部の立設方向に沿って前記金属製のねじが前記連結部の内部に埋設されることを特徴とする遊技機D15。
遊技機D15によれば、遊技機D14の奏する効果に加え、ベース部材またはカバー部材の一方から立設される連結部の立設先端側がベース部材またはカバー部材の他方に金属製のねじにより締結される、即ち、ベース部材およびカバー部材が連結部材により連結されて固定されると、連結部の内部に金属製のねじが埋設されるので、連結部の剛性を高めることができる。これにより、連結部を開口部の終端に当接させてラックの変位を規制する際には、連結部の破損を防止して、耐久性の向上を図ることができる。
<介設部材370を一例とする発明の概念について>
所定間隔を隔てて配設される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設され前記一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位される変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段と、を備えた遊技機において、前記一側部材および他側部材の間に介設される介設部材を備えることを特徴とする遊技機E1。
ここで、所定間隔を隔てつつ対向配置される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設される変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段とを備えた遊技機が知られている(例えば、特開2014−14602号公報を参照)。この遊技機によれば、一側部材が変位部材の長手方向一側を、他側部材が変位部材の長手方向他側を、それぞれ案内可能に形成され、駆動手段の駆動力が付与されることで、変位部材が一側部材および他側部材に沿って変位される。
しかしながら、上述した遊技機では、ユニット(一側部材および他側部材の間に変位部材が架設された構造体)全体としての剛性が低くなり、破損を招きやすいため、ユニット状態での取り扱いが困難であるという問題点があった。そのため、例えば、かかるユニットを搬送する搬送工程や相手部材へユニットを取り付ける取付工程においては、ユニットに大きな荷重が作用されないように取り扱うことが必要となり、作業性の悪化を招いていた。
これに対し、遊技機E1によれば、一側部材および他側部材の間に介設される介設部材を備えるので、ユニット全体を枠状として、その剛性の向上を図ることができる。よって、ユニット状態における取り扱いを容易とすることができる。従って、例えば、搬送工程や取付工程において、ユニットに作用される荷重の許容値が緩和されるため、その分、作業性の向上を図ることができる。
遊技機E1において、前記変位部材の一端側および他端側にそれぞれ連結されると共に前記一側部材および他側部材に直動可能に配設される一対のラックと、それら一対のラックにそれぞれ歯合されると共に前記一側部材および他側部材にそれぞれ回転可能に配設され前記駆動手段の駆動力が付与される一対のピニオンと、前記ラックの直動方向に長手方向を沿わせた姿勢で前記一側部材および他側部材にそれぞれ固着される一対の棒状体と、を備え、前記ラックは、前記棒状体に連結されると共にその連結部分が前記棒状体に沿って摺動されることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、一側部材および他側部材にそれぞれ棒状体が固着されると共に、棒状体にラックが連結されるので、変位部材をラック及び棒状体を介して一側部材および他側部材に連結させることができ、これにより、変位部材と一側部材および他側部材と介設部材との閉じた連結ループを形成できる。即ち、従来品では、変位部材が連結されるラックと一側部材および他側部材に配設されるピニオンとの間で連結ループが分断され、変位部材と一側部材および他側部材とが非連結とされるところ、遊技機E2によれば、変位部材と一側部材および他側部材とをラックおよび棒状体を介して連結させる(閉じた連結ループを形成する)ことができる。よって、ユニット全体としての剛性を高めることができる。また、棒状体が一側部材および他側部材に固着されることで、その分、一側部材および他側部材の剛性が向上される。この点もユニット全体としての剛性を高めることに寄与する。
なお、一側部材および他側部材に棒状体が固着されるとは、一側部材および他側部材とは別体に形成した棒状体を一側部材および他側部材に取着して固定(例えば、締結固定や接着固定)する場合に限らず、一側部材および他側部材に棒状体が一体(例えば、成形型による樹脂成型にて一体)に形成される場合を含む趣旨である。また、棒状体は金属材料から形成されることが好ましい。一側部材および他側部材が樹脂材料から形成される場合に、一側部材および他側部材の剛性の向上とラックの姿勢の安定化とを効率的に向上させられるからである。また、駆動手段の駆動力は、一対のラックの一方のみに付与されるものであっても良く、或いは、一対のラックの両方に付与されるものであっても良い。
遊技機E1において、ナットとねじ軸とそれらナット及びねじ軸の螺旋溝の間に介設される複数のボールとを有するボールねじ機構を備え、前記ナットが前記変位部材の一端側および他端側にそれぞれ連結されると共に、前記ねじ軸が前記一側部材および他側部材に配設され、前記駆動手段の駆動力により前記ボールねじ機構のねじ軸が回転されることで、前記変位部材がボールねじ機構のねじ軸に沿って変位されることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、変位部材がボールねじ機構を介して一側部材および他側部材に連結されるので、変位部材と一側部材および他側部材と介設部材との閉じた連結ループを形成できる。即ち、従来品では、変位部材が連結されるラックと一側部材および他側部材に配設されるピニオンとの間で連結ループが分断され、変位部材と一側部材および他側部材とが非連結とされるところ、遊技機E3によれば、変位部材と一側部材および他側部材とをボールねじ機構を介して連結させる(閉じた連結ループを形成する)ことができる。よって、ユニット全体としての剛性を高めることができる。また、ねじ軸が一側部材および他側部材に固着されることで、その分、一側部材および他側部材の剛性が向上される。この点もユニット全体としての剛性を高めることに寄与する。
また、ラック及びピニオンでは、その噛み合い状態の変動が大きいため、変位部材の状態が不安定となりやすい。これに対し、ボールねじ構造では、ナット及びねじ軸の螺旋溝の間に複数のボールが介設される構造上、噛み合い状態の変動が極めて少ない。よって、例えば、遊技機E2の場合のように、棒状体を別途設けることを不要とできる。即ち、例えば、遊技機E2では、駆動手段の駆動力を変位部材に伝達するための第1の構成(ラック及びピニオン)と、一側部材および他側部材の剛性の向上とラックの姿勢の安定化とを図るための第2の構成(棒状体)との2つの構成が別部材により形成されたが、遊技機E3によれば、これら2つの構成を1の部材(ボールねじ機構)により形成できる。
なお、変位部材の一端側が一側部材に、他端側が他側部材に、それぞれ別々に案内される構造では、一側部材による案内と、他側部材による案内との間にずれが生じやすく、変位部材を安定して変位させることが困難である。一側部材による案内と他側部材による案内との間に大きなずれが生じると、駆動手段の負荷が過大になるばかりか、変位部材の停止を招くおそれもある。この場合、変位部材をボールねじ機構により案内する遊技機E3の構造が一側無事あによる案内と他側部材による案内との間のずれの抑制に対して特に有効となる。
遊技機E2又はE3において、変形可能に形成される可動機構を備え、その可動機構が前記変位部材の一端側と他端側との間の少なくとも1か所に介設されることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E2又はE3の奏する効果に加え、変形可能に形成される可動機構を備え、その可動機構が変位部材の一端側と他端側との間の少なくとも1か所に介設されるので、一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれ(即ち、一側部材側のラックと他側部材側のラックとの間のずれ、又は、一側部材側のナットと他側部材側のナットとの間のずれ)が生じた場合でも、そのずれを可動機構により吸収して、変位部材を安定して変位させることができる。
特に、遊技機E4によれば、一側部材および他側部材に棒状体またはねじ軸が配設され、ラックは棒状体に、ナットはボールを介してねじ軸に、それぞれ連結されるので、ラックまたはナットの姿勢を安定化できる。これにより、変位部材の一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれが生じた場合には、可動機構自体を変形しやすくでき、可動機構によるずれ吸収の機能を確実に発揮させることができる。
遊技機E1からE4のいずれかにおいて、前記一側部材または他側部材の少なくとも一方に対して前記介設部材が変位可能な状態で連結されることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E1からE4のいずれかの奏する効果に加え、一側部材および他側部材の少なくとも一方に対して介設部材が変位可能な状態で連結されるので、これら一側部材および他側部材と介設部材との相対位置を調整することができる。よって、ユニット(変位部材を案内する一側部材および他側部材の間に介設部材が介設されたた構造体)を取付対象へ取り付ける際に、例えば、一側部材および他側部材または介設部材の一方を取り付けた後、他方が取付位置に対して位置ずれしている場合でも、その他方の位置を取付位置に調整して取り付けることができる。その結果、取付作業の作業性の向上を図ることができる。
特に、遊技機E4のように、変位部材の少なくとも1か所に可動機構が介設される場合には、可動機構の変形も利用できるので、ユニットを取付対象へ取り付ける取付作業の作業性の向上を図ることができる。
なお、一側部材および他側部材に対する介設部材の変位の態様としては、例えば、軸支による回転、案内溝による直線状または曲線状のスライド変位、遊嵌による任意方向への変位、或いは、弾性支持による弾性体の弾性変形が許容される方向への変位などが例示される。
遊技機E5において、前記一側部材または他側部材の少なくとも一方と前記介設部材との連結箇所が1か所とされると共にその連結箇所がねじによる締結によって変位可能な状態で連結されることを特徴とする遊技機E6。
遊技機E6によれば、遊技機E5の奏する効果に加え、一側部材または他側部材の少なくとも一方と介設部材との連結箇所が1か所とされると共にその連結箇所がねじによる締結によって変位可能な状態で連結されるので、ねじを回転軸として、一側部材または他側部材に対する介設部材の相対回転を許容することができる。よって、ユニット(変位部材を案内する一側部材および他側部材の間に介設部材が介設されたた構造体)を取付対象へ取り付ける際には、取付対象に対する取付位置を調整できるので、その取付作業の作業性の向上を図ることができる。
更に、取付対象へのユニットの取り付け後は、ねじによる締結力により、取付対象に対してユニットを変位不能に固定することもできる。即ち、ユニットを取り付ける前の状態では、ねじの締結を仮固定として、上述した相対変位により取付位置の調整を可能としつつ、取付作業においてねじの締結を本固定とする(増し締めする)ことで、取付対象へユニットを強固に固定できる。
なお、取付対象に対してユニットを変位不能に固定する構造としては、例えば、ねじをタッピングビスとして形成し、一側部材または他側部材と介設部材との連結部分に締結し、タッピングビス回りに相対回転可能な状態でユニット化し、かつ、タッピングビスの先端を取付対象に締結することで、タッピングビスの軸力により全体が変位不能に固定されるものが例示される。
遊技機E5又はE6において、前記一側部材または他側部材の少なくとも一方と前記介設部材とが係合によって変位可能な状態で連結されることを特徴とする遊技機E7。
遊技機E7によれば、遊技機E5又はE6の奏する効果に加え、一側部材または他側部材の少なくとも一方と介設部材とが係合によって変位可能な状態で連結されるので、一側部材または他側部材に対する介設部材の相対変位を許容して、ユニット(変位部材を案内する一側部材および他側部材の間に介設部材が介設されたた構造体)を取付対象へ取り付ける際の作業性の向上を図りつつ、両者を連結するためのねじなどの別部品を不要とできるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。
なお、係変位可能な係合としては、一方の孔に他方の軸を回転可能に挿通する形態、一方の溝に他方の軸を摺動可能に挿通する形態、一方の凹部に他方の凸部を摺動可能に嵌め合わせる形態などが例示される。
遊技機E5からE7のいずれかにおいて、前記一側部材および他側部材の少なくとも一方に配設される対象部材と、その対象部材に付勢力を付与する付勢手段と、を備え、前記付勢手段の付勢力が、前記一側部材および他側部材の間に前記介設部材が介設された状態が維持されるように、前記介設部材に作用されることを特徴とする遊技機E8。
遊技機E8によれば、遊技機E5からE7のいずれかの奏する効果に加え、対象部材に付勢力を付与するために一側部材および他側部材の少なくとも一方に配設される付勢手段を備え、その付勢手段の付勢力が、一側部材および他側部材の間に介設部材が介設された状態が維持されるように、介設部材に作用されるので、一側部材および他側部材に介設部材を少なくとも仮固定することができる。よって、一側部材および他側部材に対して介設部材が変位可能な状態で介設される場合であっても、付勢手段の付勢力を利用した仮固定により、ユニット(変位部材を案内する一側部材および他側部材の間に介設部材が介設されたた構造体)を取付対象へ取り付ける際の作業効率を向上させることができる。
また、付勢手段の付勢力を、対象部材の付勢だけでなく、一側部材および他側部材への介設部材の固定力としても兼用することができるので、その分、部品点数および組み立て工数を削減できる。
なお、付勢手段の付勢力を介設部材に作用させる形態としては、付勢手段の一端を対象部材に接続すると共に他端を介設部材に接続して介設部材に付勢力を付与する第1の形態や、一側部材および他側部材のそれぞれに対象部材が配設される場合に、それら両対象部材の一方の対象部材に付勢手段の一端を接続すると共に他方の対象部材に付勢手段の他端を接続し、付勢手段の一端および他端の間の中間部分を介設部材に当接させることで介設部材に付勢力を付与する第2の形態などが例示される。
第1の形態では、一側部材および他側部材のいずれか一方のみに対象部材および付勢手段が配設されるものであっても良く、一側部材および他側部材のそれぞれに対象部材および付勢手段が配設され、両付勢手段の他端がそれぞれ介設部材に接続されるものであっても良い。前者の場合には、例えば、一側部材および他側部材のうちの一側部材のみに対象部材および付勢手段が配設される構造において、介設部材の一端側を一側部材に凹部および凸部の係合により変位可能に連結すると共に、介設部材の他端側を他側部材に軸支により回転可能に連結し、凹部へ凸部が挿入される方向へ付勢手段の付勢力が作用されるように介設部材に付勢力を付与する形態が例示される。この形態によれば、他端側の軸支を中心として介設部材を付与された付勢力により回転させ、この回転により凹凸係合を形成できるので、付勢手段の配設数が1か所のみとされる場合であっても、その付勢力のみで係合(一側部材および他側部材に介設部材が介設された状態)の維持を確実化できる。
また、対象部材としては、一側部材および他側部材の少なくとも一方にラック及びピニオンが配設され、駆動手段の駆動力によりピニオンを回転させ、そのピニオンに歯合されるラックを直動させることで、変位部材を変位させる構造におけるラックが例示される。
遊技機E5からE8のいずれかにおいて、前記一側部材または他側部材の少なくとも一方に前記介設部材が連結される場合に3次元方向への変位が許容された状態で連結されることを特徴とする遊技機E9。
遊技機E9によれば、遊技機E5からE8のいずれかの奏する効果に加え、一側部材および他側部材の少なくとも一方に対して介設部材が変位可能な状態で連結される場合に3次元方向への変位が許容された状態で連結されるので、これら一側部材および他側部材と介設部材との相対位置の調整幅を拡大することができる。よって、ユニット(変位部材を案内する一側部材および他側部材の間に介設部材が介設されたた構造体)を取付対象へ取り付ける際に、例えば、一側部材、他側部材および介設部材の取り付け面がそれぞれ非平行である場合であっても、これら各部材の姿勢を取り付け面に対して調整することができる。その結果、取付作業の作業性の向上を図ることができる。
遊技機E1からE9のいずれかにおいて、前記一側部材、他側部材および介設部材が取着されるベース部材を備え、少なくとも一側部材および他側部材が前記ベース部材に対して変位可能な状態で取着されることを特徴とする遊技機E10。
遊技機E10によれば、遊技機E1からE9のいずれかの奏する効果に加え、ベース部材に対して少なくとも一側部材および他側部材が変位可能な状態で取着されるので、変位部材の変位を安定化させることができる。即ち、一側部材および他側部材をベース部材に剛結するのではなく、変位可能な状態で取着することで、その変位(即ち、がたつき又はぐらつき)を利用して、変位部材の一側部材による案内と他側部材による案内とのずれを吸収することができ、その結果、変位部材の変位を安定化できる。
なお、ベース部材に対して変位可能な状態で取着される対象は、遊技機E5からE9のように一側部材および他側部材に対して介設部材が変位可能な状態で連結される場合には、一側部材および他側部材だけであっても良く、これに加えて、介設部材も変位可能な状態で取着されても良い。一方、一側部材および他側部材に対して介設部材が変位不能な状態で連結される場合(即ち、剛結される場合)には、一側部材および他側部材と介設部材との両者がベース部材に対して変位可能な状態で取着される。
また、遊技機E10においては、次のように遊技機を構成しても良い。即ち、ゴム状弾性体から形成される弾性基体を備え、少なくとも前記一側部材および他側部材と前記ベース部材との間に前記弾性基体が介設されることを特徴とする遊技機。
かかる遊技機によれば、少なくとも一側部材および他側部材とベース部材との間に弾性基体が介設されるので、ベース部材に対して一側部材および他側部材を弾性支持させることができる。これにより、一側部材および他側部材の変位(即ち、がたつき又はぐらつき)を利用して、変位部材の一側部材による案内と他側部材による案内とのずれを吸収しやすくすることができ、その結果、変位部材の変位を安定化できる。
遊技機E10において、前記一側部材および他側部材の少なくとも一方に配設される対象部材と、その対象部材に付勢力を付与する付勢手段と、その付勢部材の中間部分に当接される当接部材と、を備え、前記当接部材が前記ベース部材に配設されることを特徴とする遊技機E11。
遊技機E11によれば、遊技機E10の奏する効果に加え、一側部材および他側部材の少なくとも一方に配設される対象部材と、その対象部材に付勢力を付与する付勢手段と、その付勢部材の中間部分に当接される当接部材とを備え、当接部材がベース部材に配設されるので、一側部材および他側部材の一方(即ち、対象部材が配設されるもの)がベース部材に対して変位される(即ち、がたつき又はぐらつきが生じた)場合には、一側部材および他側部材の一方と当接部材との相対位置を変化させることができる。よって、この相対位置の変化により、付勢手段に対する当接部材の当接位置を変化させ、付勢手段を屈曲した姿勢とする又は付勢手段の屈曲の度合いを変化させることができるので、付勢手段から対象部材へ付与される付勢力の方向を変化させることができる。即ち、一側部材および他側部材の一方の状態(ベース部材に対する姿勢の変化)に応じて、対象部材への付勢方向を機械的な構造のみによりアクティブに制御することができる。
なお、対象部材としては、一側部材および他側部材の少なくとも一方にラック及びピニオンが配設され、駆動手段の駆動力によりピニオンを回転させ、そのピニオンに歯合されるラックを直動させることで、変位部材を変位させる構造におけるラックが例示される。ここで、ベース部材に対して一側部材および他側部材の一方(ラックが配設されるもの)が変位される(がたつく又はぐらつく)場合には、そのがたつきにより変位部材の姿勢が変化されることで、ラックの姿勢が変化され、ピニオンとの噛み合い状態が不安定となる。この場合、遊技機E11によれば、上述のように、一側部材および他側部材の一方の状態(姿勢の変化)に応じて、対象部材(ラック)への付勢方向をアクティブに制御することができるので、ピニオンとの噛み合い状態を安定とする方向へ、ラックへ付与される付勢手段の付勢方向を変化させることができる。
遊技機E2において、前記ピニオンに直接または間接的に連結される第2ピニオンと、その第2ピニオンに歯合される第2ラックと、を備え、その第2ラックが前記駆動手段により駆動されることで、前記第2ピニオンを回転させ、その第2ピニオンの回転に伴う前記ピニオンの回転により、前記ラックが駆動されて、前記変位部材が変位されるものであり、前記第2ラックがクランク機構を介して前記駆動手段により駆動されることを特徴とする遊技機E12。
ここで、遊技機E12では、第2ラックの直線運動を第2ピニオン及びピニオンに伝達し回転運動に変換した後、その回転をピニオンからラックに伝達して直線運動に変換するという2段ラック構造を採用することで、直線運動のストローク量を確保する。このような2段ラック構造では、第2ラックを第3ピニオンを介して駆動手段により駆動する構造を採用すると、第2ラックが、第2ピニオン用の歯面と第3ピニオン用の歯面とをそれぞれ有することが必要となり、その分、第2ラックの長手方向寸法が増加するという問題点があった。
これに対し、遊技機E12によれば、遊技機E2の奏する効果に加え、第2ラックをクランク機構を介して駆動手段により駆動するので、第3ピニオン用の歯面を不要とすることができ、その分、第2ラックの長手方向寸法を抑制することができる。
遊技機E12において、前記クランク機構は、回転中心から偏心した位置に突出される偏心ピンを有し駆動手段の駆動力により回転される回転体と、前記第2ラックに延設され前記回転体の偏心ピンが摺動可能に挿通されるラック溝とを備えることを特徴とする遊技機E13。
遊技機E13によれば、遊技機E12の奏する効果に加え、駆動手段の駆動力により回転体を回転させることで、その回転体の回転中心から偏心して位置する偏心ピンを第2ラックのラック溝に沿って摺動(スライド変位)させることができ、これにより、第2ラックを直動させることができる。
なお、ラック溝は、第2ラックに凹設される凹溝であっても良く、第2ラックに穿設される開口(貫通孔)であっても良い。また、ラック溝の延設方向は、第2ラックの直動方向に直交する方向に設定されることが好ましい。回転体の偏心ピンから第2ラックのラック溝に作用される力成分に第2ラックの直動方向以外の成分が発生することを抑制でき、その分、抵抗を最少としつつ、第2ラックを直動させることができるからである。
遊技機E12において、前記ラックの前記一側部材または他側部材に対面する面から突出される突出ピンと、前記一側部材または他側部材に延設され前記ラックの突出ピンが摺動可能に挿通される案内溝とを備え、
前記クランク機構は、回転中心から偏心した位置に突出される偏心ピンを有し駆動手段の駆動力により回転される回転体と、その回転体の偏心ピンが回転可能に挿通され前記第2ラックに形成される軸孔とを備え、
前記一側部材または他側部材の案内溝は、前記クランク機構の回転体が回転されることに伴い第2ラックが変位され、前記第2ラックの突出ピンが前記案内溝に沿って摺動することで、前記第2ラックを前記第2ピニオンの歯面に沿って変位させることを特徴とする遊技機E14。
遊技機E14によれば、遊技機E12の奏する効果に加え、回転体の回転中心から偏心して位置する偏心ピンが第2ラックの軸孔に回転可能に挿通されているので、駆動手段の駆動力により回転体を回転させると、その回転体の回転に伴い、第2ラックの突出ピンが一側部材または他側部材に延設される案内溝に沿って摺動され、これにより、第2ラックを第2ピニオンの歯面に沿って変位させることができる。よって、ラックの姿勢が暴れた場合でも、第2ラックと第2ピニオンとの噛み合いを一定に維持しやすくして、駆動力の伝達を安定化させることができる。
また、第2ラックとクランク機構(回転体)との連結は、軸孔に偏心ピンを回転可能に挿通することで行われる、即ち、第2ラックには、断面円形の軸孔を形成すれば良く、偏心ピンを摺動(スライド変位)させるための長穴状の溝を延設する必要がないので、その分、第2ラックの剛性の低下を抑制できる。
なお、第2ラックが第2ピニオンの歯面に沿って変位されるとは、第2ピニオンの軸方向視において、第2ラックの直線状の歯面が第2ピニオンの円弧状の歯面に対して接する状態(ラック歯面の直線がピニオン歯面の円弧の接線となる状態)を維持しつつ、第2ラックが第2ピニオンの軸を中心として回転される動作を意味する。
また、案内溝は、一側部材または他側部材に凹設される凹溝であっても良く、一側部材または他側部材に穿設される開口(貫通孔)であっても良い。
遊技機E12からE14のいずれかにおいて、前記クランク機構の回転位置を検出する検出手段を備えることを特徴とする遊技機E15。
遊技機E15によれば、遊技機E12からE14のいずれかの奏する効果に加え、クランク機構の回転位置を検出する検出手段を備えるので、その検出結果に基づいて、ラックが直動範囲の一端側および他端側に到達したこと、即ち、変位部材が始端および終端に達したことをそれぞれ検出することができる。
この場合、変位部材が始端および終端に達したことをそれぞれ検出するために、ラックが直動範囲の一端および他端に達したことをそれぞれ検出手段により検出する構造では、ラックの直動範囲における一端と他端とに検出部(センサ)をそれぞれ配設する必要があるところ、これら両位置が離れているため、配線が長くなるという問題点があった。即ち、長さが長くなることで、部材コストが嵩むだけでなく、他の部材との干渉を避けるための配線の取り回しが困難となり、設計の自由度が悪化すると共に、可動部材により巻き込まれることでの断線のリスクが高くなる。
これに対し、遊技機E15によれば、遊技機E12からE14のいずれかの奏する効果に加え、クランク機構の回転位置(位相)を検出手段により検出する構造なので、クランクの回転範囲の一端と他端とに検出部(センサ)を配設したとしても、それらを近接して配設することができる。よって、配線を短くすることができるので、部材コストの削減を図ることができるだけでなく、設計の自由度の向上と断線の発生の抑制とを図ることができる。
なお、クランク機構としては、回転中心から偏心した位置に突出されるクランクピンを有し駆動手段の駆動力により回転される回転体と、その回転体のクランクピンが摺動可能に挿通される凹溝として第2ラックに凹設されるクランク溝とを備える構造が例示される。この場合、検出手段は、その検出部(センサ)によりクランク機構の回転体の回転位置(位相)を検出する。
<上アーム体435又は下アーム体436を一例とする発明の概念について>
演出部材と、その演出部材を退避位置および演出位置の間で変位させる変位手段と、その変位手段に駆動力を付与する駆動手段と、を備え、前記演出位置に前記演出部材を所定の姿勢で配置可能に形成された遊技機において、前記変位手段は、ベース部材と、そのベース部材に一端側が回転可能に接続されると共に前記演出部材が他端側に変位可能に配設されるアーム体と、そのアーム体に対する前記演出部材の姿勢を規定する規定手段と、を備え、前記ベース部材に対して前記アーム体がその一端側を中心として回転されることで、前記演出部材が退避位置と演出位置との間で変位されることを特徴とする遊技機F1。
ここで、演出部材と、その演出部材を退避位置および演出位置の間で変位させる変位手段と、その変位手段に駆動力を付与する駆動手段とを備え、変位手段が平行リンク機構からなることで、演出位置に演出部材を所定の姿勢で配置可能に形成された遊技機が知られている(例えば、特開2012−28226号公報を参照)。
即ち、平行リンク機構は、互いに平行かつ等長とされて演出部材およびベース部材の間に介設される第1アーム及び第2アームを備え、これら第1アーム及び第2アームが互いに平行な状態を維持しつつベース部材に対して回転される。そのため、演出部材の姿勢を一定に維持しつつ変位させることができ、よって、演出位置に演出部材を所定の姿勢で配置することができる。
しかしながら、上述した従来の遊技機のように、変位手段が平行リンク機構を利用する構造では、第1アームと第2アームとの干渉が発生するため、演出部材の動作範囲が狭いという問題点があった。
これに対し、遊技機F1によれば、変位手段は、ベース部材と、そのベース部材に一端側が回転可能に接続されると共に演出部材が他端側に変位可能に配設されるアーム体と、そのアーム体に対する演出部材の姿勢を規定する規定手段とを備えるので、アーム体がその一端側を中心としてベース部材に対して回転される場合には、規定手段により演出部材の姿勢を規定しつつ変位させることができ、よって、演出位置に演出部材を所定の姿勢で配置することができる。この場合、アーム体の干渉が発生しないので、演出部材の動作範囲を確保することができる。
遊技機F1において、前記変位手段は、前記アーム体を一対備え、前記ベース部材に前記一対のアーム体の一端側がそれぞれ回転可能に接続されると共に前記演出部材が前記一対のアーム体の他端側にそれぞれ変位可能に配設され、前記一対のアーム体は、それらの一端側にそれぞれ歯が形成されると共に、互いの歯が歯合された状態で前記ベース部材に前記一端側が回転可能に接続され、前記一対のアーム体の他端側にそれぞれ配設された演出部材どうしが前記演出位置で当接されることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、変位手段がアーム体を一対備え、それら一対のアーム体は、ベース部材に一端側がそれぞれ回転可能に接続されると共に、演出部材が他端側にそれぞれ変位可能に配設され、一対のアーム体がその一端側を中心としてベース部材に対して回転されることで、一対のアーム体の他端側にそれぞれ配設された演出部材どうしが演出位置で当接される。
この場合、遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、一対のアーム体は、それらの一端側にそれぞれ歯が形成されると共に、互いの歯が歯合された状態でベース部材に一端側が回転可能に接続されるので、一対のアーム体どうしの回転を同期させることができる。これにより、一対のアーム体の他端側にそれぞれ配設された演出部材どうしを演出位置において精度良く当接させることができる。また、一対のアーム体のうちの一方を回転させれば他方も従動して回転されるので、1の駆動手段により一対のアーム体(演出部材)を動作させることができる。
遊技機F1又はF2において、前記退避位置では、前記アーム体が鉛直方向に沿った姿勢とされることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F1又はF2の奏する効果に加え、退避位置では、アーム体が鉛直方向に沿った姿勢とされるので、演出部材の重量をアーム体によって支えることができ、その分、演出部材を退避位置に保持するために必要とされる駆動手段の駆動力を抑制できる。なお、このように、退避位置においてアーム体を鉛直方向に沿った姿勢とすることは、平行リンク機構を利用した従来品では不可能であり(第1アームに第2アームが干渉するため)、本発明により初めて可能となった。これにより、駆動手段の消費エネルギーの抑制を図ることができる。
遊技機F1からF3のいずれかにおいて、前記規定手段は、前記ベース部材にスライド変位可能に配設されるスライド体を備えると共に、そのスライド体には、前記演出部材がスライド変位可能に配設され、前記アーム体がその一端側を中心として回転されることに伴って、前記スライド体が前記ベース部材に対してスライド変位されると共に前記演出部材が前記スライド体に対してスライド変位され、前記アーム体に対する前記演出部材の姿勢が規定されることを特徴とする遊技機F1。
遊技機F4によれば、遊技機F1からF3のいずれかにおいて、規定手段が、ベース部材にスライド変位可能に配設されるスライド体を備えると共に、そのスライド体に演出部材がスライド変位可能に配設され、アーム体がその一端側を中心として回転されることで、スライド体をベース部材に対してスライド変位させると共に演出部材をスライド体に対してスライド変位させることができ、アーム体に対する演出部材の姿勢を規定することができる。これにより、演出位置に演出部材を所定の姿勢で配置することができる。
遊技機F4において、前記ベース部材は、前記スライド体のスライド変位の方向に沿って延設される案内軸と、その案内軸に平行に延設されると共に所定間隔を隔てて互いに対向する一対の対向壁部とを備え、前記スライド体は、上端側が前記ベース部材の案内軸にスライド変位可能に吊り下げ支持されると共に、下端側が前記ベース部材の一対の対向壁部の間に遊嵌されることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F4の奏する効果に加え、スライド体がベース部材に対してスライド変位される際の抵抗を抑制して、アーム体をその一端側を中心として回転させて演出部材を変位させる動作をスムーズに行うことができる。
例えば、ベース部材に一対の案内軸を配設し、それら一対の案内軸のそれぞれにスライド変位可能にスライド体の一端および他端を案内させる構造では、摺動する部位が2か所となり摩擦抵抗が増加する。これに対し、遊技機F4では、摺動する部位が1か所とできるので、スライド体がスライド変位する際の摩擦抵抗を抑制できる。また、遊技機F4によれば、スライド体は、ベース部材の案内軸に吊り下げ支持されるので、スライド体が振動して、スライド体の下端側がベース部材の対向壁部に当接したとしても、重力の作用によりスライド体を鉛直方向に沿う姿勢に自己修正させることができる。即ち、スライド体を、その下端側がベース部材の一対の対向壁の間に遊嵌された状態に復帰させることができる。よって、この点からもスライド体がスライド変位する際の摩擦抵抗を低減できる。
遊技機F1からF3のいずれかにおいて、前記変位手段は、前記ベース部材に一端側が回転可能に接続されるアーム体を一対備えると共にそれら一対のアーム体の他端側に前記演出部材をそれぞれ変位可能に配設し、前記規定手段は、前記一対のアーム体の他端側にそれぞれ配設された演出部材どうしを連結すると共に演出部材との連結部分のうちの少なくとも一方がスライド変位可能とされるスライド連結部材を備え、前記アーム体がその一端側を中心として回転されることに伴って、前記連結部分のうちの少なくとも一方がスライド変位されつつ、前記一対の演出部材がそれぞれ変位されることで、前記アーム体に対する前記演出部材の姿勢が規定されることを特徴とする遊技機F6。
遊技機F6によれば、遊技機F1からF3のいずれかの奏する効果に加え、規定手段が、一対のアーム体の他端側にそれぞれ配設された演出部材どうしを連結すると共に演出部材との連結部分のうちの少なくとも一方がスライド変位可能とされるスライド連結部材を備えるので、アーム体がその一端側を中心として回転されることに伴って、連結部分のうちの少なくとも一方をスライド変位させつつ、一対の演出部材を変位させることができ、アーム体に対する演出部材の姿勢を規定することができる。これにより、演出位置に演出部材を所定の姿勢で配置することができる。
また、遊技機F6では、アーム体とそのアーム体の他端側に変位可能に配設される演出部材とからなる組を二組(一対)設け、それら各組の演出部材どうしをスライド連結部材(規定手段)によりスライド変位可能に連結することで、アーム体に対する演出部材の姿勢を規定できるので、例えば、遊技機F4又はF5の場合のように、吊り下げ構造(スライド体)を設ける必要がない。即ち、かかるスライド体を省略できる分、軽量化を図ることができるので、吊り下げ構造が省略されていても、演出部材のがたつきの抑制をアーム体のみで達成することができる。
遊技機F1からF6のいずれかにおいて、前記アーム体とそのアーム体の他端側に変位可能に配設される前記演出部材との組を二組備え、前記各組は、向い合せに配設されると共に、前記退出位置では前記演出部材どうしが所定間隔を隔てて離間され、前記退出位置から前記アーム体がその一端側を中心として回転される前記演出部材が前記演出位置に配設されると、前記演出部材が互いの当接面どうしを当接させ、前記互いの当接面のうちの一方の当接面には、位置決め凸部が突設されると共に、他方の当接面には、前記アーム体が回転される際の前記位置決め凸部の軌跡に沿って延設され前記位置決め凸部を受け入れる位置決め凹部が凹設され、前記位置決め凸部には、係合部が形成されると共に、前記位置決め凹部には、前記係合部に係合可能な被係合部が形成されることを特徴とする遊技機F7。
遊技機F7によれば、遊技機F1からF6のいずれかの奏する効果に加え、各組が向い合せに配設され、退避位置では各組の演出部材どうしが所定間隔を隔てて互いに離間されており、アーム体がその一端側を中心として回転されることで、各組の演出部材を互いに近接する方向へ変位させ、演出部材において、各組の演出部材の互いの当接面どうしを当接させることができる。
この場合、演出部材どうしの互いの当接面のうちの一方の当接面には、位置決め凸部が突設されると共に、他方の当接面には、アーム体が回転される際の位置決め凸部の軌跡に沿って延設され位置決め凸部を受け入れる位置決め凹部が凹設されるので、演出位置において、位置決め凸部と位置決め凹部とを係合させ、演出部材どうしの位置決めを行うことができる。即ち、各組の演出部材は、円運動の軌跡で互いに近接されるため、同じ寸法どうしの凹形状および凸形状では、これら凹形状に凸形状を係合させることができないところ、位置決め凹部は、アーム体が回転される際の位置決め凸部の軌跡に沿って延設されるので、かかる位置決め凹部に位置決め凸部を受け入れさせる(係合させる)ことができる。
一方で、位置決め凹部および位置決め凸部の係合による演出部材どうしの位置決めは、は、位置決め凹部の延設方向に直交する方向に限られる。即ち、演出部材の円運動の軌跡でも位置決め凸部を位置決め凹部が受け入れ可能とするために、位置決め凸部の軌跡に沿って位置決め凹部を延設させるが故に、その位置決め凹部の延設方向に対しては、位置決め凸部を係合させることができない。よって、位置決め凹部の延設方向には演出部材どうしを位置決めすることができず、がたつきが発生する。
これに対し、遊技機F7によれば、位置決め凸部には、係合部が形成されると共に、位置決め凹部には、係合部に係合可能な被係合部が形成されるので、演出位置において、係合部と被係合部とを係合させることができ、その結果、位置決め凹部の延設方向においても演出部材どうしの位置決めを行うことができ、そのがたつきの発生を抑制できる。
ここで、位置決め凹部および位置決め凸部を省略して、係合部および被係合部のみを設けて、演出部材どうしの位置決めを行うことも考えられる。しかしながら、この場合には、アーム体の弾性変形や寸法公差などに起因する演出部材のがたつきやぐらつきにより、係合部と被係合部とを係合させることが困難となる。これに対し、遊技機F7では、位置決め凹部と位置決め凸部とを先に係合させて、演出部材どうしの位置決めを行った上で、係合部と被係合部とを係合させるので、上述した演出部材のがたつきやぐらつきの影響を抑制でき、係合部と被係合部とを確実に係合させることができる。
遊技機F7において、前記係合部および被係合部の一方は、ボールがばねで突出方向へ付勢されたばね式のボールプランジャ機構として形成されると共に、前記係合部および被係合部の他方は、前記ボールプランジャ機構のボールを受け入れて係合する球面状の凹部として形成されることを特徴とする遊技機F8。
遊技機F8によれば、遊技機F7の奏する効果に加え、係合部および被係合部の一方が、ボールがばねで突出方向へ付勢されたばね式のボールプランジャ機構として形成されると共に、係合部および被係合部の他方が、ボールプランジャ機構のボールを受け入れて係合する球面状の凹部として形成されるので、演出部材どうしが近接する動作に伴ってボールを退避させることができ、その結果、位置決め凹部に位置決め凸部が受け入れられてから係合部と被係合部とが係合するまでの間の動作をスムーズに行わせることができると共に、それら係合部と被係合部との係合の解除を、演出部材が退避位置へ変位される際の動作に伴ってスムーズに行わせることができる。
なお、ボールプランジャ機構としての係合部は、位置決め凸部に、凹部としての被係合部は、位置決め凹部に、それぞれ設けることが好ましい。この場合には、位置決め凹部の底面にボールプランジャ機構のボールを押圧させ、かかるボールを退避させることで、スムーズな移動を達成しつつ、位置決め凹部の底面に沿ってボールプランジャ機構のボールを凹部(被係合部)に案内することができ、これらボール(係合部)及び凹部(被係合部)の係合を確実に形成できるからである。
遊技機F7において、前記係合部および被係合部の一方は、磁石として形成されると共に、前記係合部および被係合部の他方は、前記一方の磁石に対して磁力により引き寄せられる方向の磁極の向きで配設される磁石または鉄製部材として形成されることを特徴とする遊技機F9。
遊技機F9によれば、遊技機F7の奏する効果に加え、係合部および被係合部の一方が、磁石として形成されると共に、係合部および被係合部の他方が、一方の磁石に対して磁力により引き寄せられる方向の磁極の向きで配設される磁石または鉄製部材として形成されるので、位置決め凹部に位置決め凸部が受け入れられた後は、磁力により互いを引き寄せ合わせることができるので、係合部および被係合部の間に位置ずれが生じている場合であっても、両者を精度よく係合(磁着)させることができる。その結果、演出位置において、演出部材どうしの位置決めを精度よく行うことができる。
遊技機F1からF9のいずれかにおいて、所定間隔を隔てて配設される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設され前記一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位される変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段と、を備え、前記変位部材は、その変位部材に回転可能に配設される回転体を備え、前記回転体は、前記演出部材が前記演出位置に配設された際に、前記演出部材から伝達される駆動力により回転されることを特徴とする遊技機F17。
遊技機F17によれば、遊技機F1からF9のいずれかの奏する効果に加え、変位部材の一端側を一側部材により、変位部材の他端側を他側部材により、それぞれ案内させることができるので、駆動手段の駆動力により、変位部材を一側部材および他側部材に沿って変位させることができる。また、演出位置に配設された演出部材から伝達される駆動力により、変位部材に配設された回転体を回転させることができる。
この場合、変位部材の一端側が一側部材に、他端側が他側部材に、それぞれ別々に案内される構造では、一側部材による案内と、他側部材による案内との間にずれが生じやすく、変位部材を安定して変位させることが困難であった。一側部材による案内と他側部材による案内との間に大きなずれが生じると、駆動手段の負荷が過大になるばかりか、変位部材の停止を招くおそれもある。
これに対し、遊技機F17によれば、演出位置に配設された演出部材から伝達される駆動力により回転体が回転されるので、かかる回転体を回転させるための駆動手段を変位部材に配設することを省略できる。よって、変位部材全体としての軽量化を図ることができ、かかる軽量化により、一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれが生じることを抑制でき、変位部材を安定して変位させることができる。また、軽量化できる分、回転体の大型化を図ることができる。
なお、変位部材に配設された回転体を回転させるために、演出位置に配設された演出部材から回転体へ駆動力を伝達する手段としては、例えば、回転体に設けた歯車と演出部材に設けた歯車とが、演出部材が演出位置に配置されることで、互いに歯合され、それら歯車を介して演出部材から駆動力が回転体に伝達される構造、回転体にロータ(回転子)を配設すると共に、演出部材にステータ(固定子)を配設し、それらロータとステータとの間で駆動力を伝達する構造(いわゆるDCモーターの構造)、或いは、回転体に磁極の向きを交互に異ならせた磁石(固定磁石)を周方向に沿って配設すると共に、演出部材に電磁石を配設し、それら電磁石と固定磁石との間で駆動力を伝達する構造(いわゆるリニアモーターの構造)などが例示される。
また、遊技機F17においては、次のように遊技機を構成しても良い。即ち、前記演出部材に配設されると共に前記回転体に外周面を当接可能に形成されるローラー部材を備え、前記回転体に外周面を当接させた前記ローラー部材が回転されることで、前記回転体が回転されることを特徴とする遊技機。
かかる遊技機によれば、ローラー部材が演出部材に配設されるので、その分、変位部材を軽量化できる。この場合、例えば、回転体の外周面に歯(ギヤ)を刻設し、その歯に歯合可能な歯車を回転させることで、回転体を回転させる構造も考えられる。しかしながら、この構造では、演出部材を回転体へ近接させる際に、歯車の歯の山と回転体の歯の山とが衝突すると、歯が破損するおそれがある。位相合せ(一方の歯の山を他方の歯の谷に位置させる)を行う場合には、センサ装置が必要となり、コストの増加と制御の複雑化とを招く。これに対し、本遊技機によれば、ローラー部材の外周面を回転体の外周面に当接させる構造なので、ローラー部材と回転体との位相合せを行う必要がない。よって、センサ装置を設ける必要がなく、その分、コストを削減できる。また、複雑な制御を行うことも不要とできる。
<付勢ばね11366を一例とする発明の概念について>
ベース部材と、そのベース部材に変位可能に配設される対象部材と、その対象部材に一端が直接的または間接的に接続されると共に前記ベース部材に他端が直接的または間接的に接続される付勢手段と、を備え、前記対象部材は、前記ベース部材に変位可能に一対が配設され、前記付勢手段は、屈曲した姿勢で配設されると共に、前記一対の対象部材のうちの一方の対象部材に一端が直接的または間接的に接続され、前記一対の対象部材の他方の対象部材に他端が直接的または間接的に接続されることを特徴とする遊技機G1。
ここで、ベース部材と、そのベース部材に変位可能に配設される対象部材と、その対象部材に一端が直接的または間接的に接続されると共にベース部材に他端が直接的または間接的に接続される付勢手段とを備え、対象部材がベース部材に変位可能に一対配設されると共に、それら一対の対象部材がそれぞれ別の付勢手段により付勢されるものが知られている(例えば、特開2013−169262号公報を参照)。この遊技機によれば、対象部材を駆動手段により駆動する際には、付勢手段の付勢力により駆動手段の駆動力を補助することができる。
しかしながら、上述した遊技機では、各対象部材がそれぞれ別々の付勢手段により付勢されるので、それら別々の付勢手段の個体差に起因して、各対象部材に付与される付勢力の大きさにばらつきが生じるという問題点があった。
これに対し、遊技機G1によれば、ベース部材に一対の対象部材が変位可能に配設される場合に、それら一対の対象部材のうちの一方および他方に付勢手段の一端および他端がそれぞれ接続されるので、一対の対象部材に付与される付勢力を均一化することができる。即ち、2の付勢手段を設ける場合には、各付勢手段の特性のばらつき(寸法公差など)によって、一対の対象部材に付与される付勢力にばらつきが生じるところ、1の付勢手段が一対の対象部材のそれぞれに付勢力を付与することで、各対象部材に付与される付勢力がばらつくことを抑制できる。その結果、一対の対象部材の変位がばらつくことを抑制できる。
なお、この場合には、1のベース部材に一対の対象部材がそれぞれ配設される形態であっても良く、或いは、ベース部材が分割され、一対の対象部材がそれぞれ別のベース部材に配設される形態であっても良い。
また、遊技機G1は、所定間隔を隔てて配設される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設され前記一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位される変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段と、を備えた遊技機に適用することが特に有効である。具体的には、変位部材の一端側を案内する構成および他端側を案内する構成に、遊技機G1を適用することが有効となる。かかる遊技機では、変位部材の一端側における案内と、変位部材の他端側における案内との間にずれが生じやすく、変位部材を安定して変位させることが困難であったところ、遊技機G1を適用することで、一対の対象部材に付与される付勢力を均一化でき、それらの変位のばらつきを抑制できるので、変位部材の一端側における案内と他端他側における案内とを均一化できる。その結果、上記ずれが生じることを抑制して、変位部材を安定して変位させることができる。
遊技機G1において、前記ベース部材に連接される連接部材を備え、前記付勢手段の一端および他端が前記一対の対象部材の一方および他方にそれぞれ接続されると共に前記付勢手段の中間部分が前記連接部材に当接されることで、前記連接部材が前記ベース部材へ押圧され前記ベース部材および連接部材の連接が維持されるように、前記付勢手段の付勢力が作用されることを特徴とする遊技機G2。
遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、一端および他端が一対の対象部材のそれぞれに接続された付勢手段の中間部分が連接部材に当接され、その連接部材をベース部材へ押圧して、ベース部材および連接部材の連接が維持されるように、付勢力が作用されるので、ベース部材に連接部材を少なくとも仮固定することができる。よって、かかる仮固定により、これらベース部材および連接部材を取付対象へ取り付ける際の作業効率を向上させることができる。また、付勢手段の付勢力を、対象部材の付勢だけでなく、ベース部材への連接部材の固定力としても兼用することができるので、ベース部材に連接部材を固定するための部材(例えば、締結ねじ)を別途準備する必要がなく締結作業を行う必要もない。よって、その分、部品点数および組み立て工数を削減できる。
<アーム体7641及びローラー受け部7311eを一例とする発明の概念について>
所定間隔を隔てて配設される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設され前記一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位される変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段と、を備え、前記変位部材は、その変位部材に回転可能に配設される回転体と、その回転体に回転駆動力を付与する回転駆動手段と、を備える遊技機において、前記変位部材の変位を規制する変位規制手段を備えることを特徴とする遊技機H1。
ここで、回転体を回転させる演出を行う遊技が知られている(例えば、特開2012−231926号公報を参照)。また、所定間隔を隔てつつ対向配設される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設される長尺の変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段とを備えた遊技機が知られている(例えば、特開2014−14602号を参照)。例えば、前者の回転体を後者の変位部材に配設した場合には、回転体の回転による演出を行う位置を、変位部材の変位により変更可能とできる。
しかしながら、この場合には、変位部材の一端側が一側部材に、他端側が他側部材に、それぞれ別々に案内される構造では、変位部材のがたつきやぐらつきが生じやすい。そのため、回転体を回転させる際には、その回転体の回転に起因して、変位部材のがたつきやぐらつきが増幅されやすく、可動部分の摩耗や破損を招くという問題点があった。
これに対し、遊技機H1によれば、変位部材の変位を規制する変位規制手段を備えるので、回転体を回転させる際には、かかる変位部材のがたつきやぐらつきが発生することを抑制できる。よって、回転体が回転されても、変位部材のがたつきやぐらつきを抑制でき、その結果、可動部分の摩耗や破損を抑制できる。
また、演出位置において、他の部材が回転体に近接する位置に配設されている場合でも、変位部材のがたつきやぐらつきを変位規制手段により抑制できることで、回転体が他の部材に衝突することを抑制できる。即ち、かかる他の部材を回転体に近接させて位置させつつ、回転体を回転させるという演出を行うことができる。
なお、アーム体とそのアーム体の他端側に変位可能に配設される演出部材との組を四組配設し、演出位置において、各組の演出部材どうしが当接されることで円環形状が形成されると共に、その円環形状が回転体を取り囲むように配設される(回転体の周囲に円環形状が配設される)形態を採用しても良い。遊技機H1によれば、上述したように、変位部材のがたつきやぐらつきを抑制して、回転体が演出部材に衝突することを抑制できる。即ち、円環形状(演出部材)が回転体を取り囲む形態においても、これらの衝突を防止できるので、両者を近接され、円環形状と回転体との間の隙間がより小さい状態を形成できる。よって、円環形状および回転体を全体として1の円形として遊技者に認識させつつ、回転体のみを回転させる演出を行うことができ、その演出効果を高めることができる。
遊技機H1において、変形可能に形成される可動機構を備え、その可動機構が前記変位部材の一端側と他端側との間の少なくとも1か所に介設されることを特徴とする遊技機H2。
遊技機H2によれば、遊技機H1の奏する効果に加え、変形可能に形成される可動機構を備え、その可動機構が変位部材の一端側と他端側との間の少なくとも1か所に介設されるので、一側部材による案内と他側部材による案内との間にずれが生じた場合でも、そのずれを可動機構により吸収して、変位部材を安定して変位させることができる。
一方で、変位部材に可動機構が介設される場合には、その可動機構が変形される分、変位部材のがたつきやぐらつきが生じやすい。そのため、回転体を回転させる際には、可動機構を設けない場合と比較して、変位部材のがたつきやぐらつきが大きくなり、可動部分の摩耗や破損を招きやすい。
これに対し、遊技機H2によれば、変位部材の変位を変位規制手段により規制できるので、可動機構が配設される場合であっても、変位部材のがたつきやぐらつきが発生することを抑制でき、これにより、可動部分の摩耗や破損や回転体と演出部材との衝突を抑制できる。
なお、上述のように回転する回転体に演出部材を近接させて演出を行うことは、回転体との衝突を避ける必要があるため不可能であり、特に、可動機構を設けた場合には、変位部材のがたつきやぐらつきが過大となるため、回転体を回転させること自体が不可能であった。これに対し、本発明のように、変位規制手段により変位部材の変位を規制する構造を採用することで、可動機構を設けた場合であっても、回転体を回転させることが初めて可能となったものである。
遊技機H2において、前記可動機構は、案内溝と、その案内溝に沿って案内される被案内部とを備えて形成され、前記変位規制手段は、前記可動機構の被案内部が前記案内溝に沿って案内される方向への前記変位部材の変位を少なくとも規制することを特徴とする遊技機H3。
遊技機H3によれば、遊技機H2の奏する効果に加え、変位規制手段は、可動機構の被案内部が案内溝に沿って案内される方向への変位部材の変位を少なくとも規制するので、変位部材のがたつきやぐらつきとなる要因を効率的に規制することができる。よって、変位規制手段に必要とされる力をより小さくしつつ、変位部材のがたつきやぐらつきを確実に抑制できる。
遊技機H2又はH3において、前記可動機構の介設により分断された前記変形部材の一方と他方との間に隙間が形成され、前記変位規制手段は、前記隙間に挿入可能に形成される挿入部材を備え、前記挿入体が前記隙間に挿入されることを特徴とする遊技機H4。
遊技機H4によれば、遊技機H2又はH3の奏する効果に加え、可動機構の介設により分断された変形部材の一方と他方との間に隙間が形成され、その隙間に挿入可能に形成される挿入部材を変位規制手段が備え、挿入体が隙間に挿入されるので、可動機構を変形不能に拘束する(即ち、可動機構を固定する)ことができる。その結果、回転体が回転される際に変位部材のがたつきやぐらつきが発生することを抑制でき、可動部分の摩耗や破損や回転体と他の部材との衝突を抑制できる。
遊技機H1からH4のいずれかにおいて、前記アーム体とそのアーム体の他端側に変位可能に配設される演出部材との組を少なくとも三組備え、前記変位部材は、前記回転体を回転可能に支持すると共に前記回転体と同心に形成される回転ベースを備え、前記変位規制手段は、前記演出部材が演出位置に配設された際に、前記各組の演出部材またはアーム体が前記回転ベースの外周に当接されることで、前記変位部材の変位を規制することを特徴とする遊技機H5。
遊技機H5によれば、遊技機H1からH4のいずれかの奏する効果に加え、アーム体とそのアーム体の他端側に変位可能に配設される演出部材との組を少なくとも三組備え、変位規制手段は、演出部材が演出位置に配設された際に、各組の演出部材またはアーム体が回転ベースの外周に当接されることで、変位部材の変位を規制するので、少なくとも3箇所で回転ベースの外周に当接してその変位を規制することができる。即ち、回転ベースの外周を複数箇所で保持するので、回転体の径方向におけるいずれの方向においても回転ベースの変位(即ち、変位部材のがたつきやぐらつき)を抑制できると共に、複数の演出部材に対する回転体の相対位置を所定位置に位置決めすることができる。
なお、遊技機H5においては、次のように遊技機を構成しても良い。即ち、前記演出部材に変位可能に配設されと共に前記回転ベースの外周面に当接可能に形成される固定部材を備え、前記固定部材は、少なくとも前記演出部材が演出位置に配設された際には、前記回転ベースの外周に当接する位置に変位され、少なくとも前記演出部材が退避位置に配設された際には、前記回転ベースの背面側に変位されることを特徴とする遊技機。
かかる遊技機によれば、少なくとも演出部材が演出位置に配設された際には、回転ベースの外周に当接する位置に固定部材が変位されるので、回転ベースの変位を規制することができる。一方、少なくとも演出部材が退避位置に配設された際には、回転ベースの背面側に固定部材が変位されるので、固定部材を演出部材の背面側に隠す(即ち、正面から遊技者に視認されることを回避する)ことができる。
遊技機H1からH4のいずれかにおいて、前記アーム体とそのアーム体の他端側に変位可能に配設される演出部材との組を少なくとも三組備え、前記変位部材は、前記回転体を回転可能に支持すると共に前記回転体と同心に形成される回転ベースを備え、前記演出部材またはアーム体と前記回転ベースとの一方には、磁石が配設されると共に、他方には、磁石または鉄製部材が配設され、前記変位規制手段は、前記演出部材が演出位置に配設された際に、前記各組の演出部材またはアーム体と前記回転ベースとの間で作用される磁力により、前記変位部材の変位を規制することを特徴とする遊技機H6。
遊技機H6によれば、遊技機H1からH4のいずれかの奏する効果に加え、アーム体とそのアーム体の他端側に変位可能に配設される演出部材との組を少なくとも三組備え、変位規制手段は、演出部材が演出位置に配設された際に、各組の演出部材またはアーム体と回転ベースとの間で作用される磁力により、変位部材の変位を規制するので、少なくとも3箇所において磁力を作用させて回転ベースの変位を規制することができる。即ち、回転ベースに対して複数方向から磁力が作用されるので、回転体の径方向におけるいずれの方向においても回転ベースの変位(即ち、変位部材のがたつきやぐらつき)を抑制できると共に、複数の演出部材に対する回転体の相対位置を所定位置に位置決めすることができる。
なお、遊技機H5及びH6において、各組の演出部材またはアーム体が回転ベースの外周に当接される当接位置または磁力が作用される位置は、周方向等間隔(例えば、3組の場合は120°間隔)に設定されることが好ましい。この場合、アーム体およびそのアーム体の他端側に変位可能に配設される演出部材の組を四組とし、それら各組の演出部材またはアーム体が回転ベースの外周に当接される当接位置または磁力が作用される位置を周方向等間隔(即ち、90°間隔)とすることが好ましい。当接位置どうし又は磁力が作用する位置どうしを対向配置(位相を180°異ならせて配置)させて回転ベースを四方から拘束できるので、その変位(がたつきやぐらつき)をいずれの方向に対しても抑制できると共に、各組の演出部材に対する回転体の相対位置が位置ずれしている場合には、各組の演出部材が演出位置に配設される際の当接により、演出部材に対する回転体の相対位置を修正する(位置決めする)ことができるからである。4組の演出部材が演出位置において円環形状を形成する場合に円環形状に対して回転体を同心に位置させる芯出しを行うことができ、特に有効となる。
また、演出部材またはアーム体と回転ベースとの両者に磁石を配設する場合には、これら磁石の磁極の向きは、互いを引き寄せ合う方向に磁力を作用させる向きであっても良く、或いは、互いを反発させる方向に磁力を作用させる向きであっても良い。
遊技機H5又はH6において、前記各組の演出部材は、前記演出位置に配設されると、各演出部材が隣接する演出部材と互いの当接面どうしを当接させ、一方の当接面には、磁石が配設されると共に、他方の当接面には、一方の磁石に対して磁力により引き寄せられる方向の磁極の向きで磁石が配設されるか又は鉄製部材が配設され、前記演出部材が前記演出位置に配設されると、前記演出部材の当接面どうしが磁着されることを特徴とする遊技機H7。
遊技機H7によれば、遊技機H5又はH6の奏する効果に加え、各組の演出部材が演出位置に配設されると、各演出部材が隣接する演出部材と互いの当接面どうしを当接させると共に、その当接面どうしが磁石の磁力を利用して磁着されるので、演出部材どうしを強固に結合させることができる。これにより、変位規定手段(演出部材またはアーム体)が回転ベースに当接して又は磁力を作用させてその回転ベースの変位を規制する際には、変位規定手段(演出部材)自体がぐらつくことやがたつくことを抑制して、回転ベースを強固に保持することができる。その結果、回転ベース部材の変位(即ち、変位部材のがたつきやぐらつき)を確実に抑制できると共に、複数の演出部材に対する回転体の相対位置を所定位置に確実に位置決めすることができる。
遊技機A1からA17,B1からB10,C1からC9、D1からD15、E1からE15、F1〜F10、G1及びG2、H1からH7のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機K1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA17,B1からB10,C1からC9、D1からD15、E1からE15、F1〜F10、G1及びG2、H1からH7のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機K2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA17,B1からB10,C1からC9、D1からD15、E1からE15、F1〜F10、G1及びG2、H1からH7のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機K3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
10 パチンコ機(遊技機)
210 背面ケース(ベース部材)
310,2310,3310,4310,5310,6310 変位部材
311a 突設ピン(被案内部、可動機構の一部)
311b ストッパ面(規制手段の一部、変位規制手段の一部)
312 回転ベース
313 回転体(第2変位部材)
314a 長穴(案内溝、可動機構の一部)
314b ストッパ面(規制手段の一部、変位規制手段の一部)
314c スライダ保持部(連結部分の一部)
315c スライダ保持部(連結部分の一部)
315 第1ラック(ラック)
320L 一側部材
320R,10320R,13320R 他側部材
331,10331,15331,16331,20331,21331,22331 背面ベース(対向部材、ベース部材、カバー部材)
331b ラック軸(案内手段の一部、直動規制手段の一部、突設部、第2係合部)
331c 第1開口(開口部)
331d 第2開口(開口部)
332,10332,22332 中間ベース(ベース部材、カバー部材)
341 駆動モータ(駆動手段)
351 第1ピニオン(ピニオン)
363 クランク歯車(クランク機構の一部、回転体、伝達手段の一部)
363a 偏心ピン
364,20364,21364 第2ラック(ラック、対象部材)
364a 案内溝(案内手段の一部、被案内部)
364b ラック軸(クランク機構の一部、案内溝)
365a 第2ピニオン(ピニオン)
366,11366 付勢ばね(付勢手段)
367 ローラー(回転当接部材、当接部材)
367b フランジ部(止板部材)
370 介設部材(連接部材)
420 背面ベース(ベース部材、カバー部材)
422a 上ラック軸(連結部、突設部)
422b 下ラック軸(連結部、突設部)
431 駆動モータ(駆動手段)
433 ラック
433c 上案内溝(開口部、被案内部)
433d 下案内溝(開口部、被案内部)
435 上アーム体(アーム体)
436 下アーム体(アーム体)
440R1,440R2 円環分割体(規制手段の一部、第3変位部材、演出部材)
440L1,440L2 円環分割体(規制手段の一部、第3変位部材、演出部材)
450 姿勢規定部材(規定手段の一部、スライド体)
460 スライド機構(ベース部材の一部)
462 案内棒(案内軸)
480 カバー体(カバー部材、ベース部材)
491 位置決め凸部
491a 係合凹部(係合部または被係合部)
492 位置決め凹部
492a 係合凸部(被係合部または係合部)
2610 ボールジョイント(可動機構の一部)
2620 付勢ばね(弾性体、可動機構の一部)
3630,5630 ゴム状弾性体(弾性体、可動機構の一部)
7311e ローラー受け部(規制手段の一部、変位規制手段の一部)
7641 アーム体(規制手段の一部、変位規制手段の一部)
8641 基部(規制手段の一部、変位規制手段の一部)
8642 挿通部(規制手段の一部、変位規制手段の一部)
9652a〜9652e 磁石(付勢手段の一部)
9651 金属棒(付勢手段の一部)
10331e スリット部(案内手段)
10367 ローラー(回転当接部、変位当接部材、当接部材)
10367b 第1フランジ部(止板部材)
10367c 第2フランジ部(止板部材)
11661 ローラー(変位当接部材、当接部材)
13671 伸縮アクチュエータ(当接部材駆動手段)
15331g 第1規制部(案内手段の一部)
15331h 第2規制部(案内手段の一部)
16681 凹部(直動規制手段の一部、第1係合部)
17493a 窪み部(係合部または被係合部)
17495 ボールプランジャ機構
17495a ボール部(被係合部または係合部)
18453 保持部(規制手段の一部、変位規制手段の一部)
1991 磁石(規制手段の一部、変位規制手段の一部)
1992 金属板(規制手段の一部、変位規制手段の一部)
20331b ラック軸(突起部)
20364a 案内溝(被案内部)
20681 凹部(第1係合部、直動規制手段の一部)
20682 ボール(直動規制手段の一部)
21361 歯車(伝達手段の一部)
21363 クランク歯車(伝達手段の一部)
22331b ラック軸(連結部の一部)
22332u 連結突部(連結部の一部)
23700 ボールねじ機構
23710 ナット
23720 ねじ軸
23730 ボール
24740 ゴムブッシュ(防振基体)
25763 ローラー部材
26771 固定爪(固定部材)
P 案内棒(棒状体)
S スライダ(連結部分の一部)
Scr ねじ(連結部の一部)

Claims (3)

  1. 所定間隔を隔てて配設される一側部材および他側部材と、それら一側部材および他側部材の間に架設され前記一側部材および他側部材に一端側および他端側がそれぞれ案内されて変位される変位部材と、その変位部材に駆動力を付与する駆動手段と、を備えた遊技機において、
    前記一側部材および他側部材の間に介設される介設部材を備えることを特徴とする遊技機。
  2. 前記変位部材の一端側および他端側にそれぞれ連結されると共に前記一側部材および他側部材に直動可能に配設される一対のラックと、それら一対のラックにそれぞれ歯合されると共に前記一側部材および他側部材にそれぞれ回転可能に配設され前記駆動手段の駆動力が付与される一対のピニオンと、前記ラックの直動方向に長手方向を沿わせた姿勢で前記一側部材および他側部材にそれぞれ固着される一対の棒状体と、を備え、
    前記ラックは、前記棒状体に連結されると共にその連結部分が前記棒状体に沿って摺動されることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
  3. 変形可能に形成される可動機構を備え、その可動機構が前記変位部材の一端側と他端側との間の少なくとも1か所に介設されることを特徴とする請求項2規制の遊技機。
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