JP2015174962A - ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−b−2−ウレイドエチルメタクリレート)共重合体及びそれにより形成される高分子ミセル - Google Patents
ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−b−2−ウレイドエチルメタクリレート)共重合体及びそれにより形成される高分子ミセル Download PDFInfo
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Abstract
【課題】水中又は生理学的条件で温度に応答し、生体機能性を有する上限臨界共溶温度型(UCST型)の温度応答性高分子化合物を提供するとともに、その温度応答性材としての各種用途の提供。【解決手段】温度応答性材としての、ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−2−アミノエチルメタクリレート)ジブロック共重合体を変性したポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−b−2−ウレイドエチルメタクリレート)ジブロック共重合体、及びそれによって水中又は生理学的条件で形成される高分子ミセル。【選択図】なし
Description
本発明は、水中又は生理学的条件下で、低温域では不溶で高温域では溶解するといった高温溶解型の温度感応性を有するジブロック共重合体、該ジブロック共重合体による高分子ミセル、及びそれらの用途、並びに該ジブロック共重合体の製造方法に関する。
従来より、水溶液中における低温溶解型(下限臨界共溶温度型:LCST型)の温度感応性高分子化合物に関する研究は数多くあり、その相転移メカニズムの解明から、相転移温度制御のための分子設計方法も明らかになっている。例えば、ポリN−イソプロピルアクリルアミド等の低温溶解型高分子化合物は、細胞分離(非特許文献1)やドラッグデリバリーシステム(非特許文献2)に応用される細胞シート工学の基盤材料となり、再生医療に新風を起こす起爆剤となっている。
一方、水溶液中又は生理学的条件下で高温溶解型(上限臨界共溶温度型:UCST型)の温度感応性高分子化合物の開発は、工学分野において大きなインパクトを与える基盤的材料となるにも関わらず、これらに関する研究は極めて少ない。これは、有機溶媒(又は有機溶媒と水の混合液)中でUCST挙動を示す高分子化合物がほとんどであるからであって(非特許文献3〜8)、水系でUCST挙動を示す高分子化合物の例が数例しかなく(非特許文献8〜10)、さらにこれらの多くは生理的条件、つまり生理的なpH、塩濃度および温度の条件下において温度感応特性を発現できないことによる。
これまでに、本発明者らは、上記目的に敵う温度感応性高分子化合物を開発しているが(特許文献1)、該化合物による高分子ミセルを形成させ、薬物放出基材として使用し得ることを示していない。
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上記のことから、生理学的条件で応答する高温溶解型高分子化合物の構築が不可欠となっている。そこで本発明は、生理学的条件で応答し、生体機能性を有する高温溶解型の新規な温度感応性高分子化合物、及び該化合物による高分子ミセルを提供することを目的する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねたところ、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと2−ウレイドエチルメタクリレートからなるジブロック共重合体が水中においてUCST挙動を示すことを見出し、本発明を完成させた。さらに、本発明者らは、該ジブロック共重合体からなる高分子ミセルを形成させ、温度変化に応じた薬物包接及び放出の制御に成功した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]下記式(I):
[1]下記式(I):
(式中、
mは、10〜10,000の整数を意味し;
nは、10〜10,000の整数を意味し;
p及びqは、独立して、1〜6の整数を意味し
R1及びR2は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はC1−6アルキル基を表し;
R3は、水素原子、C1−6アルキル基、並びに下記式(1)及び(2):
mは、10〜10,000の整数を意味し;
nは、10〜10,000の整数を意味し;
p及びqは、独立して、1〜6の整数を意味し
R1及びR2は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はC1−6アルキル基を表し;
R3は、水素原子、C1−6アルキル基、並びに下記式(1)及び(2):
からなる群から選択される)
で表されるジブロック共重合体。
で表されるジブロック共重合体。
[2]上記[1]で表されるジブロック共重合体を含む温度感応性高分子ミセル。
[3]下記式(I):
(式中、
mは、10〜10,000の整数を意味し;
nは、10〜10,000の整数を意味し;
p及びqは、独立して、1〜6の整数を意味し
R1及びR2は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はC1−6アルキル基を表し;
R3は、水素原子、C1−6アルキル基、並びに下記式(1)及び(2):
mは、10〜10,000の整数を意味し;
nは、10〜10,000の整数を意味し;
p及びqは、独立して、1〜6の整数を意味し
R1及びR2は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はC1−6アルキル基を表し;
R3は、水素原子、C1−6アルキル基、並びに下記式(1)及び(2):
からなる群から選択される)
で表されるジブロック共重合体を製造する方法であって、下記式(II):
で表されるジブロック共重合体を製造する方法であって、下記式(II):
(式中、R1及びpは、前記の通りである)
で表される化合物を4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)の存在下、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートと重合させて、下記式(III):
で表される化合物を4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)の存在下、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートと重合させて、下記式(III):
を得て、さらに、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)の存在下、下記式(IV):
と重合させることを含む、式(I)で表されるジブロック共重合体を製造する方法。
[4]上限臨界共溶温度型ジブロック共重合体であって、該ジブロック共重合体を構成するユニットの1つが、下記式(VI):
であるジブロック共重合体。
[5]上記式(VI)で表されるユニットと対をなす他方のユニットが、メタクリレート、アクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミド、スチレン型の主鎖骨格を有するユニットである、請求項6に記載にジブロック共重合体。
[6]上記[4]又は[5]に記載のジブロック共重合体を製造する方法であって、2−アミノエチルメタクリレートをラジカル重合させ、シアン酸カリウムによってウレイド基を導入して得られるウレイド修飾されたポリ(2−アミノエチルメタクリレート)を共重合させることを特徴とする、ジブロック共重合体を製造する方法。
本発明にかかる高温溶解型の温度感応性を有する高分子化合物(I)は、特定の割合の親水性官能基とカチオン性の官能基(アミノ基)とを有することを特徴とする。かかる高分子化合物(I)は、水中又は生理学的条件下で、高温溶解型の温度感応性挙動を示し、特定の温度(相転移温度)よりも高い温度で溶解相を形成(ミセル形成)し、該相転移温度よりも低い温度で不溶相を形成する性質を有している。
このため、本発明の温度感応性高分子化合物(I)は、水中又は生理的条件下における温度感応性を利用することで、各種物質の捕捉や分離に、分離材として有効に用いることができる。具体的には、温度感応性高分子化合物(I)は、例えば生化学的又は生理学的材料(例えば、細胞やタンパク質等の生理活性物質)の分離、DDS、薬剤放出、酵素の固定化、細胞培養、調光、センシングなどに、有効に用いることができる。特に高温条件で変性したり活性が低下するなど、高温環境が好ましくない物質(例えば、細胞、遺伝子等の核酸、酵素や抗体などのタンパク質、その他のバイオプロダクトなど)については、温度感応性高分子化合物(I)によれば、相転移温度以下の低温条件下で、変性させたり活性を失うことなく、捕獲し分離(単離)することが可能である。
本発明は、本発明は、水中又は生理学的条件下で、低温域では不溶で高温域では溶解するといった高温溶解型(USCT型)の温度感応性を有する高分子化合物、該高分子化合物による高分子ミセル、及びそれらの用途に関する。本発明を以下に詳細に説明する。
1.本発明の温度感応性ジブロック共重合体及びその製造方法
1−1.温度感応性ジブロック共重合体
本発明の温度感応性高分子は、下記式(I)で示される。
1−1.温度感応性ジブロック共重合体
本発明の温度感応性高分子は、下記式(I)で示される。
上記式(I)中、「m」は、本発明のジブロック共重合体の重合度を表す。具体的には、mは10〜10,000の整数を意味する。好ましくは10〜5,000であり、より好ましくは10〜3,000である。
上記式(I)中、「n」は、本発明のジブロック共重合体の重合度を表す。具体的には、mは10〜10,000の整数を意味する。好ましくは10〜3,000であり、より好ましくは10〜1,000である。
上記式(I)中、「p」及び「q」は、独立して、1〜6の整数を意味する。好ましくは1〜4、より好ましくは2又は3、さらに好ましくは2である。
上記式(I)中、「R1」及び「R2」は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はC1−6アルキル基を表す。本明細書中で使用するとき、「ハロゲン原子」とは、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子を意味する。さらに、本明細書で使用するとき、「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基が挙げられる。好ましくは、メチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、より好ましくはメチル基である。
上記式(I)中、「R3」は、水素原子、C1−6アルキル基、並びに下記式(1)及び(2):
からなる群から選択される。用語「水素原子」及び「C1−6アルキル基」については、上記で定義した通りである。なお、本発明のジブロック共重合体において、置換基R3が上記式(1)のウレイド基である場合、アミノアルキルアクリレート基は、全アミノ基のうち30〜100%の範囲である。水中又は生理学的条件下で高温溶解型の温度感応性(感温性)を示し、高温側でミセルを形成するという観点から、好ましくは80〜100%であり、より好ましくは90〜100%である。また、本発明の好ましい態様として、置換基R3は、その8割以上が上記式(1)を有し、残りが、水素原子、C1−6アルキル基、及び上記式(2)からなる群から選択される。
別の実施形態において、本発明によれば、上限臨界共溶温度型ジブロック共重合体であって、該ジブロック共重合体を構成するユニットの1つが、下記式(VI):
であるジブロック共重合体が提供される。本発明の例示的な態様において、上記式(VI)で表されるユニットと対をなす他方のユニットは、限定されないが、メタクリレート、アクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミド、スチレン型の主鎖骨格を有するユニットであってもよい。本発明によれば、上記ジブロック共重合体を製造する方法もまた提供され、例示的な製造方法としては、限定されないが、2−アミノエチルメタクリレートをラジカル重合させ、シアン酸カリウムによってウレイド基を導入して得られるウレイド修飾されたポリ(2−アミノエチルメタクリレート)と他のユニットを共重合させてもよい。このような重合は、当業者に周知である一般的なラジカル重合の条件に従って行うことができる。
1−2.温度感応性ジブロック共重合体の製造方法
本発明のジブロック共重合体は、ホスホコリン含有基が重合してなる高分子化合物とアミノアルキルアクリレート基を含有するモノマーを重合させることによって製造することができる。
(1)ホスホコリン含有基が重合してなる高分子化合物の製造
本発明のジブロック共重合体の原料となるホスホコリン含有基が重合してなる高分子化合物は、限定されないが、例えば、下記の反応スキーム1によって合成することができる。
本発明のジブロック共重合体は、ホスホコリン含有基が重合してなる高分子化合物とアミノアルキルアクリレート基を含有するモノマーを重合させることによって製造することができる。
(1)ホスホコリン含有基が重合してなる高分子化合物の製造
本発明のジブロック共重合体の原料となるホスホコリン含有基が重合してなる高分子化合物は、限定されないが、例えば、下記の反応スキーム1によって合成することができる。
(式中、R1、pは前記の通りである)
上記の重合反応では、原料となるホスホコリン含有モノマー(II)としては市販されているものを利用することができる。また、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(V−501)(RAFT試薬)を用いて、原料と4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート(CPD)を所定条件下で反応させ、重合体(III)を得ることができる。上記の反応例は、RAFT試薬を用いて重合反応を起こさせるものである。上記重合体(III)を製造するための重合法は、限定されないが、上記のように、リビングラジカル重合の一種であるRAFT重合法(国際公開WO98/01479)の公知の方法を利用して製造することができる。RAFT重合法とは、従来のラジカル重合法に可逆的付加開裂連鎖移動剤(RAFT試薬)を加えることによって、末端活性ラジカルの反応性を制御して、擬似リビング的に重合を進行させる方法である。RAFT重合法を利用すると、分子量が小さく制御することが可能となり、本発明において好ましい。なお、当業者は、ホスホコリン含有モノマー(II)から重合体(III)を得るために、上記以外の公知の方法を用いて達成し得ることを理解する。
上記の重合反応では、原料となるホスホコリン含有モノマー(II)としては市販されているものを利用することができる。また、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(V−501)(RAFT試薬)を用いて、原料と4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート(CPD)を所定条件下で反応させ、重合体(III)を得ることができる。上記の反応例は、RAFT試薬を用いて重合反応を起こさせるものである。上記重合体(III)を製造するための重合法は、限定されないが、上記のように、リビングラジカル重合の一種であるRAFT重合法(国際公開WO98/01479)の公知の方法を利用して製造することができる。RAFT重合法とは、従来のラジカル重合法に可逆的付加開裂連鎖移動剤(RAFT試薬)を加えることによって、末端活性ラジカルの反応性を制御して、擬似リビング的に重合を進行させる方法である。RAFT重合法を利用すると、分子量が小さく制御することが可能となり、本発明において好ましい。なお、当業者は、ホスホコリン含有モノマー(II)から重合体(III)を得るために、上記以外の公知の方法を用いて達成し得ることを理解する。
(2)ジブロック共重合体の製造
本発明のジブロック共重合体は、限定されないが、上記(1)で得られた重合体(III)とアミノアルキルメタクリレート化合物、例えば、下記(IV):
本発明のジブロック共重合体は、限定されないが、上記(1)で得られた重合体(III)とアミノアルキルメタクリレート化合物、例えば、下記(IV):
(式中、R2及びR3は、前記の通りである)
をラジカル重合法により製造することができる。ここで、ラジカル重合法には、RAFT重合法(上述)、バルク重合、溶液重合、乳化重合などの公知の方法を用いることができ、ラジカル開始剤の添加により効率よく開始される。反応に好適に用いられるラジカル開始剤としては、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、α,α−アゾビスイソブチロニトリルやアゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物、又はジラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物が挙げられる。
をラジカル重合法により製造することができる。ここで、ラジカル重合法には、RAFT重合法(上述)、バルク重合、溶液重合、乳化重合などの公知の方法を用いることができ、ラジカル開始剤の添加により効率よく開始される。反応に好適に用いられるラジカル開始剤としては、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、α,α−アゾビスイソブチロニトリルやアゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物、又はジラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物が挙げられる。
この場合のラジカル重合反応に利用できる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、イミダゾール緩衝液などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、イミダゾール緩衝液である。反応は通常40℃〜100℃の範囲内で円滑に進行する。反応時間についても特に限定されないが、通常12〜48時間、好ましくは12〜25時間で所望のジブロック共重合体を得ることができる。なお、上記重合反応は、不活性ガス雰囲気下において行ってもよい。
本発明によれば、置換基R3として、下記式(1):
(式中、R1、R2、p、q、m、及びnは、前記の通りである)
で表されるジブロック共重合体を製造することができる。ウレイド修飾されたジブロック共重合体の製造法は、置換基R3にすでに導入されたモノマーを用いて、式(III)で表される重合体と反応させることもできる。他の一実施形態として、ウレイド基を持たない2−アミノアルキルメタクリレート塩酸塩と式(III)で表される重合体とを重合させ、その後、例えば、シアン酸カリウム(N≡C−O−K)と反応させて、ウレイド修飾されたジブロック共重合体を得ることもできる。なお、本発明のより好ましいウレイド修飾されたジブロック共重合体は、下記式(VI):
で表されるジブロック共重合体を製造することができる。ウレイド修飾されたジブロック共重合体の製造法は、置換基R3にすでに導入されたモノマーを用いて、式(III)で表される重合体と反応させることもできる。他の一実施形態として、ウレイド基を持たない2−アミノアルキルメタクリレート塩酸塩と式(III)で表される重合体とを重合させ、その後、例えば、シアン酸カリウム(N≡C−O−K)と反応させて、ウレイド修飾されたジブロック共重合体を得ることもできる。なお、本発明のより好ましいウレイド修飾されたジブロック共重合体は、下記式(VI):
(式中、m及びnは、前記の通りである)
で表される構造を有する。
で表される構造を有する。
(3)高分子ミセルの形成
本発明のジブロック共重合体は、水中又は生理学的条件下で高分子ミセルを形成させることができる。本発明の高分子ミセルは、本発明のジブロック共重合体を有機溶媒に溶解し、水への透析を行うことにより作成できる。ここで用いられる有機溶媒としては、水と自由に混合するものであればいずれのものでもよく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、用いる透析膜はポリマーを溶解させる有機溶媒に対して耐溶剤性があれば特に限定はなく、例えば、セルロース系のような様々なポアサイズを有する市販の多孔膜が好適に用いられる。
本発明のジブロック共重合体は、水中又は生理学的条件下で高分子ミセルを形成させることができる。本発明の高分子ミセルは、本発明のジブロック共重合体を有機溶媒に溶解し、水への透析を行うことにより作成できる。ここで用いられる有機溶媒としては、水と自由に混合するものであればいずれのものでもよく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、用いる透析膜はポリマーを溶解させる有機溶媒に対して耐溶剤性があれば特に限定はなく、例えば、セルロース系のような様々なポアサイズを有する市販の多孔膜が好適に用いられる。
3.ウレイド修飾された温度感応性ジブロック共重合体の特性及び用途
3−1.ウレイド修飾された温度感応性ジブロック共重合体の特性
上記のように製造されるウレイド修飾された温度感応性ジブロック共重合体(VI)又はその付加塩は、pH3〜10.5の少なくとも1mMの塩を含有する水溶液中で、5〜65℃の範囲、好ましくは5〜50℃の範囲に相転移温度を有することを特徴とする。ここで、「5〜65℃(又は5〜50℃)の範囲に相転移温度を有する」とは、温度感応性ジブロック共重合体(VI)又はその付加塩が上記水溶液中で不溶化し不溶相を形成する温度と、該ジブロック共重合体(VI)又はその付加塩が上記水溶液中で溶解し溶解相を形成する温度との境界温度が、5〜65℃(又は5〜50℃)の範囲にあることを意味する。つまり「相転移」とは、上記水溶液において温度感応性ジブロック共重合体(VI)又はその付加塩によって形成される不溶相と溶解相との相転移を意味する。かかる「相転移温度」は、温度感応性ジブロック共重合体(VI)又はその付加塩を少なくとも1mMの塩を含有する水溶液に溶解し、降温させながら石英セル中で500nmの可視光の透過率を測定し、該ジブロック共重合体が完全に溶解しているときの清澄溶液の可視光の透過率を100%とした場合に、これを降温したときに該透過率が減少し始める温度として求めることができる。また、本明細書で使用するとき、「塩」とはKCl、NaCl、CaCl2、MgCl2、KBr、NaBr、Na2SO4、及びMgSO4などを挙げることができる。なお、上記塩の濃度としては、1mM以上であれば特に制限はない。好ましいは、1〜3000mMであり、より好ましくは50〜1000mMである。また、本発明の温度感応性ジブロック共重合体は可逆的であり、溶解と不溶化の繰返し変化によってもその温度感応性は保持されることが好ましい。
3−1.ウレイド修飾された温度感応性ジブロック共重合体の特性
上記のように製造されるウレイド修飾された温度感応性ジブロック共重合体(VI)又はその付加塩は、pH3〜10.5の少なくとも1mMの塩を含有する水溶液中で、5〜65℃の範囲、好ましくは5〜50℃の範囲に相転移温度を有することを特徴とする。ここで、「5〜65℃(又は5〜50℃)の範囲に相転移温度を有する」とは、温度感応性ジブロック共重合体(VI)又はその付加塩が上記水溶液中で不溶化し不溶相を形成する温度と、該ジブロック共重合体(VI)又はその付加塩が上記水溶液中で溶解し溶解相を形成する温度との境界温度が、5〜65℃(又は5〜50℃)の範囲にあることを意味する。つまり「相転移」とは、上記水溶液において温度感応性ジブロック共重合体(VI)又はその付加塩によって形成される不溶相と溶解相との相転移を意味する。かかる「相転移温度」は、温度感応性ジブロック共重合体(VI)又はその付加塩を少なくとも1mMの塩を含有する水溶液に溶解し、降温させながら石英セル中で500nmの可視光の透過率を測定し、該ジブロック共重合体が完全に溶解しているときの清澄溶液の可視光の透過率を100%とした場合に、これを降温したときに該透過率が減少し始める温度として求めることができる。また、本明細書で使用するとき、「塩」とはKCl、NaCl、CaCl2、MgCl2、KBr、NaBr、Na2SO4、及びMgSO4などを挙げることができる。なお、上記塩の濃度としては、1mM以上であれば特に制限はない。好ましいは、1〜3000mMであり、より好ましくは50〜1000mMである。また、本発明の温度感応性ジブロック共重合体は可逆的であり、溶解と不溶化の繰返し変化によってもその温度感応性は保持されることが好ましい。
3−2.ウレイド修飾された温度感応性ジブロック共重合体の特性
本発明の温度感応性ジブロック共重合体は、上記特性を利用することにより、温度感応性材として種々の用途や用法に適用可能である。例えば、水性二相分配法における分離・濃縮剤、薬物放出剤における基材(薬物放出基材)、ドラッグデリバリーシステムにおける運搬体(ドラッグデリバリーシステムキャリアー)、酵素や抗体を固定化するための担体、細胞培養基材、調光材、光機能材料、センシング基材、として用いることができる。さらに、例えば、本発明の温度感応性分離材を、細胞培養基材又はその成分として用いる場合、それを当該温度感応性分離材の相転移温度よりも低い温度に設定して不溶相の状態で細胞を培養し、次いでそれを相転移温度よりも高い温度に調整して溶解相にすることで、液体化して細胞を回収することができる。例えば、本発明の温度感応性分離材を、pH変化や塩濃度変化に応答するセンサーの基材(センシング基材)として用いる場合、pHや塩濃度変化を伴う生体内での反応を測定することが可能である。
本発明の温度感応性ジブロック共重合体は、上記特性を利用することにより、温度感応性材として種々の用途や用法に適用可能である。例えば、水性二相分配法における分離・濃縮剤、薬物放出剤における基材(薬物放出基材)、ドラッグデリバリーシステムにおける運搬体(ドラッグデリバリーシステムキャリアー)、酵素や抗体を固定化するための担体、細胞培養基材、調光材、光機能材料、センシング基材、として用いることができる。さらに、例えば、本発明の温度感応性分離材を、細胞培養基材又はその成分として用いる場合、それを当該温度感応性分離材の相転移温度よりも低い温度に設定して不溶相の状態で細胞を培養し、次いでそれを相転移温度よりも高い温度に調整して溶解相にすることで、液体化して細胞を回収することができる。例えば、本発明の温度感応性分離材を、pH変化や塩濃度変化に応答するセンサーの基材(センシング基材)として用いる場合、pHや塩濃度変化を伴う生体内での反応を測定することが可能である。
(a)水性二相分配法
水性二相分配法は、本発明の温度感応性材を分離剤又は濃縮剤として用いることにより実施することができる。具体的には、水性二相分配法は、本発明の温度感応性材を溶解した水性溶媒の温度を、該温度感応性材の相転移温度より低くした際に形成されるコアセルベート層と水層に対する被分離物の親和性の差を利用して、被分離物を分離し濃縮する方法である。分離しようとする被分離物を含む試料(被分離試料)を、まず温度感応性材を溶解した水性溶媒に温度感応性材の相転移温度より高い温度条件下で溶解させ、次いでこの温度を相転移温度より低い温度にすることでコアセルベート層及び水層を形成する。斯くして、被分離物はコアセルベート層及び水層に対する親和性の差によってどちらかの層により多く分配される。そこで、被分離物が分配された層から被分離物を回収する。所望により、この操作を繰り返すことにより被分離物の回収率を増加することができる。
水性二相分配法は、本発明の温度感応性材を分離剤又は濃縮剤として用いることにより実施することができる。具体的には、水性二相分配法は、本発明の温度感応性材を溶解した水性溶媒の温度を、該温度感応性材の相転移温度より低くした際に形成されるコアセルベート層と水層に対する被分離物の親和性の差を利用して、被分離物を分離し濃縮する方法である。分離しようとする被分離物を含む試料(被分離試料)を、まず温度感応性材を溶解した水性溶媒に温度感応性材の相転移温度より高い温度条件下で溶解させ、次いでこの温度を相転移温度より低い温度にすることでコアセルベート層及び水層を形成する。斯くして、被分離物はコアセルベート層及び水層に対する親和性の差によってどちらかの層により多く分配される。そこで、被分離物が分配された層から被分離物を回収する。所望により、この操作を繰り返すことにより被分離物の回収率を増加することができる。
水性二相分配法は、特にコアセルベート層を形成する本発明の温度感応性分材に対して親和性を有する被分離物の分離及び濃縮に好適に使用される。具体的には、本発明において、水性二相分配法は、被分離物を含む試料(被験試料)と本発明の温度感応性材とを、生理学的に許容される溶液中に共存させ、次いで、この水溶液の温度を温度感応性材の相転移温度より高い温度から相転移温度より低い温度にすることによって実施することができる。本発明の温度感応性材に親和性を有する被分離物は、温度感応性分離材から形成されるコアセルベート層に分配されるため、コアセルベート層を遠心により沈降させるか又は透析すること等により濃縮することで、被験試料から被分離物を分離することができる。
被分離物の一例としては、タンパク質、細胞、水素結合性物質、疎水結合性物質などを挙げることができる。水素結合性物質としては、RNAやDNA等の核酸、又はアンチセンス核酸、siRNA、miRNA、リボザイム、RNAアプタマーなどの核酸誘導体を、また疎水結合性物質としてはパクリタキセル等の抗がん剤、又はカーボンナノチューブなどを例示することができる。
本発明の水性二相分配法は、好ましくは5〜36℃といった比較的低温域に相転移温度を有する温度感応性材を分離・濃縮剤として用いることができる方法であるため、微生物や細胞培養の生体物等のバイオプロダクトや、酵素や抗体や生理活性物質などタンパク質などを被分離物とするバイオセパレーションに好適に使用することができる。
(b)酵素又は抗体の固定化基材、それを用いた反応方法
本発明の温度感応性材は、酵素又は抗体の固定化基材(固相)として用いることができ、これに酵素又は抗体を固定化することにより、固定化酵素又は固定化抗体を調製し提供することができる。固定化酵素は、本発明の温度感応性材(酵素固定化基材)に酵素を化学的に固定化することにより調製することができる。固定化酵素を、少なくとも生理学的に許容される溶液中において、その温度を温度感応性材の相転移温度より低い温度に設定することで酵素を固定化した温度感応性材(固定化酵素)を不溶相として相分離しておく。そして、必要に応じて、温度やpH等を変化させて相転移温度より高い温度にすることで、固定化酵素を、基質を含む水溶液と相溶化することで、酵素反応を開始させることができる。
本発明の温度感応性材は、酵素又は抗体の固定化基材(固相)として用いることができ、これに酵素又は抗体を固定化することにより、固定化酵素又は固定化抗体を調製し提供することができる。固定化酵素は、本発明の温度感応性材(酵素固定化基材)に酵素を化学的に固定化することにより調製することができる。固定化酵素を、少なくとも生理学的に許容される溶液中において、その温度を温度感応性材の相転移温度より低い温度に設定することで酵素を固定化した温度感応性材(固定化酵素)を不溶相として相分離しておく。そして、必要に応じて、温度やpH等を変化させて相転移温度より高い温度にすることで、固定化酵素を、基質を含む水溶液と相溶化することで、酵素反応を開始させることができる。
固定化抗体もまた、本発明の温度感応性材(抗体固定化基材)に抗体を化学的に固定化することにより調製することができる。固定化抗体を、少なくとも生理学的に許容される溶液中において、その温度を温度感応性材の相転移温度より低い温度に設定することで抗体を固定化した温度感応性分離材(固定化抗体)を不溶相として相分離しておく。そして、必要に応じて、温度やpH等を変化させて相転移温度より高い温度にすることで、固定化抗体を、抗原を含む水溶液と相溶化することで、抗原抗体反応を開始させることができる。また、抗体に代えてその抗原を温度感応性材に固定化して、水溶液に当該抗体の抗原を配合して、抗原抗体反応を行うこともできる。
(c)薬物放出剤としての使用及び薬物放出方法
本発明によれば、上記温度感応性材を薬物と組み合わせることで薬物放出剤を提供することができる。薬物放出剤は、本発明の温度感応性材をいわゆるドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリアー(薬物の担持体)として用いるもので、本発明の温度感応性材と任意の薬物との組み合わせからなる。本発明の薬物放出剤は、本発明の温度感応性材が生理学的条件下で温度を制御することで可逆的に溶解及び不溶化し(相転移)、これに伴ってコアセルベートが消失したり形成したりするという特性を、薬物の放出及び保持の制御に応用したものである。本発明の薬物放出剤は、必要なときに必要なだけ薬物を投与しようというインテリゼント化製剤(インテリジェントDDS)に好適に用いられる。
本発明によれば、上記温度感応性材を薬物と組み合わせることで薬物放出剤を提供することができる。薬物放出剤は、本発明の温度感応性材をいわゆるドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリアー(薬物の担持体)として用いるもので、本発明の温度感応性材と任意の薬物との組み合わせからなる。本発明の薬物放出剤は、本発明の温度感応性材が生理学的条件下で温度を制御することで可逆的に溶解及び不溶化し(相転移)、これに伴ってコアセルベートが消失したり形成したりするという特性を、薬物の放出及び保持の制御に応用したものである。本発明の薬物放出剤は、必要なときに必要なだけ薬物を投与しようというインテリゼント化製剤(インテリジェントDDS)に好適に用いられる。
本発明の薬物放出剤において、本発明の温度感応性材に各種薬物(例えば、アドレアマイシン、タキソール等の各種の抗ガン剤など)を担持又は結合させる手段としては、温度感応性材の水性溶液を温度や濃度等の制御下で温度感応性材と所望の薬物を接触させる方法が挙げられる。具体的には、本発明の温度感応性材と各種薬物を、少なくとも生理学的に許容される溶液中で共存させ、この水溶液の温度等を制御することで、温度感応性材の相転移温度よりも低い温度にすることで、本発明の温度感応性材に各種薬物を担持又は結合させることができる。次いで、温度等を制御することで、温度感応性材の相転移温度よりも高い温度にすることで、薬物放出剤の温度感応性材から各種薬物を放出させることができる。
また、本発明の薬物放出剤において、薬物を温度感応性材に担持又は結合させる態様としては、好ましくは相転移温度よりも低い温度にすることで温度感応性材から形成されるコアセルベート層の内部又は表面に、薬物を結合させる方法を挙げることができる。また、本発明の薬物放出剤は、薬物を温度感応性分離材に担持又は結合させた状態で、さらにカプセル、スポンジ、ゲル、リポソームなどの基材に収容又は担持させる等、二次的な処理が施されていてもよい。この場合も、温度等を制御することで、温度感応性材の相転移温度よりも高い温度にすることで、薬物放出剤の温度感応性材から形成されたコアセルベート層から各種薬物を放出させることができる。
なお、本発明の薬物放出剤の投与形態も任意であり、その剤形により適宜選択される。例えば、経口剤、貼付剤、注射剤、点滴、坐剤等の剤形に応じて、経口投与、経皮投与、静脈内又は筋肉内投与、及び直腸投与などが挙げられる。
水性二相分配法、酵素の固定化、薬物放出剤等において、標的物質や目的物の本発明の温度感応性分離材に対する結合は、イオンコンプレックスや電荷移動錯体を利用した結合、生化学的親和性等を利用した結合が好ましい。本発明の温度感応性材に結合した標的物質又は目的物は、例えば、塩濃度制御、pH制御、阻害剤、基質等の制御、尿素、SDSなどの変性剤の制御、有機溶媒、金属イオンなどの制御、温度制御などの方法を適宜選定乃至組み合わせることにより結合強度を制御し、ひいては分配率、反応速度、薬物放出速度等を制御することができる。また、種々のリガンドの温度等応答性材への固定化は、温度応答性材の繰返し再現性を保持するには共有結合であることが好ましいが、イオンコンプレックスや電荷移動錯体を利用した結合、生化学的親和性等を利用した結合であってもよい。
以下、製造例及び実験例を挙げて本発明の構成及び効果をより明確に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1:ウレイド修飾されたポリ(2−ウレイドエチルメタクリレート)(PUEM)の合成
以下の反応スキームに従って、ポリ(2−ウレイドエチルメタクリレート)(PUEM)を合成した。
以下の反応スキームに従って、ポリ(2−ウレイドエチルメタクリレート)(PUEM)を合成した。
より具体的には、2−アミノエチルメタクリレート塩酸塩(AEM;Polysciences社)(0.995g、6.01mmol)、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート(CPD、16.9mg、6.01×10−2mmol)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(V−501;和光純薬)(6.73mg、2.40×10−2mmol)をイミダゾールバッファー(3.2mL、1M、pH6.03)、メタノール(0.80mL)に溶解した。溶液をpH6.0に調節し、アルゴン雰囲気下、70℃で4時間重合を行った(Conversion=97.0%)。水に対して1日透析を行い、凍結乾燥で回収した(0.742g、74.6%)。Conversionから、重合度は97と算出した。以下、本製造例で合成されたPUEMを特に「PUEM97」と記載する。また、酢酸バッファーを展開溶媒に用いたGPC測定の結果、分子量分布(Mw/Mn)は1.17だった。
続いてPAEM97のウレイド化を行った。PAEM97(0.729g、0.0454mmol)、シアン酸カリウム(0.358g、4.41mmol)をイミダゾールバッファー(8.8mL)に溶解し4時間撹拌した。水に対して2日透析し、PUEM97を凍結乾燥で回収した(0.296g、39.1%)。PUEM97は展開溶媒に溶解しなかったので、GPCは測定できなかった。1H NMRは70℃で測定した(図1)。図1よりPUEM97の生成を確認した。
実施例2:PUEM 97 の温度に対する透過率変化の測定
PUEM97の水中及び0.1M食塩水中でのUCSTの濃度依存性を調べた。各濃度に調整したPUEM97溶液の温度を60℃から20℃に変化させたときの透過率の変化を示す(図2)。濃度が濃いほど高い温度で相転移を示した。また、0.1M食塩水中の方が同濃度でUCSTが上昇した。
PUEM97の水中及び0.1M食塩水中でのUCSTの濃度依存性を調べた。各濃度に調整したPUEM97溶液の温度を60℃から20℃に変化させたときの透過率の変化を示す(図2)。濃度が濃いほど高い温度で相転移を示した。また、0.1M食塩水中の方が同濃度でUCSTが上昇した。
実施例3:ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)(PMPC)の合成
以下の反応スキームに従って、ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)(PMPC)を合成した。
以下の反応スキームに従って、ポリ(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)(PMPC)を合成した。
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC;東京大学工学部石原研究室からの提供)(10.8g、36.7mmol)、CPD(94.7mg、33.9×10−2mmol)、V−501(47.6mg、17.0×10−2mmol)を水(29.4mL)、メタノール(7.35mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、70℃で4時間重合を行った(Conversion=100%)。水に対して2日透析し、凍結乾燥で回収した(9.30g、85.0%)。1H NMRより重合度(NMR)=95と算出した(図3)。以下、本製造例で合成されたPMPCを特に「PMPC95」と記載する。
実施例4:PMPC−b−PUEMの合成
以下の反応スキームに従って、PMPCとPUEMのジブロック共重合体を合成した。
以下の反応スキームに従って、PMPCとPUEMのジブロック共重合体を合成した。
AEM(0.434g、2.62mmol)、PMPC95(1.48g、5.24×10−2mmol)、V−501(7.35mg、2.62×10−2mmol)をイミダゾールバッファー(7.6mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、70℃で2時間重合を行った(Conversion=88.0%)。水に対して2日透析し、凍結乾燥で回収した(1.54g、80.4%)。1H NMRからAEMの重合度(NMR)=43と算出した。
続いてPMPC95−b−PAEM43のウレイド化を行った。PMPC95−b−PAEM43(1.20g、3.39×10−2mmol)、シアン酸カリウム(0.122g、1.50mmol)をイミダゾールバッファー(6mL)に溶解し4時間撹拌した。水に対して2日透析し、PMPC95−b−PUEM43(以下、単に「M95−U43」と略記することがある)を凍結乾燥で回収した(1.03g、84.7%)。酢酸バッファーを展開溶媒に用いてGPC測定を行った。また、PMPC95−b−PAEM43とM95−U43の1H NMR測定の結果を図4に示す。さらに、ウレイド化の確認のため、重水中、70℃でM95−U43の13C NMRを測定した(図5)。ウレイド基由来の「o」のピークが観測され、AEM由来のピークが消失したことから、M95−U43の生成を確認した。同様にしてウレイド基を側鎖結合したブロックの鎖長の異なるM96−U85(1.40g、92.2%)、M95−U149(1.04g、85.2%)を合成した。以下、ブロックポリマーをMn−Umと表記する。合成したポリマーの組成をまとめた(表1)。
実施例5: 1 H NMRの温度変化測定
10℃及び50℃でM96−U85の1H NMRを測定した(図6)。UEM由来の「o」のピークが10℃で減少した。これは10℃でUEMがコアの会合体を形成したことで、UEMの運動性が低下したためであると考えられる。次に、M96−U85の1H NMRのUEMのピーク「o」に対するMPCのピーク「f」、「g」の比(「o/f」、「o/g」)を温度に対してプロットした(図7)。温度の低下に伴い「o/f」、「o/g」ともに減少した。
10℃及び50℃でM96−U85の1H NMRを測定した(図6)。UEM由来の「o」のピークが10℃で減少した。これは10℃でUEMがコアの会合体を形成したことで、UEMの運動性が低下したためであると考えられる。次に、M96−U85の1H NMRのUEMのピーク「o」に対するMPCのピーク「f」、「g」の比(「o/f」、「o/g」)を温度に対してプロットした(図7)。温度の低下に伴い「o/f」、「o/g」ともに減少した。
実施例6:M n −U m の温度に対する粒径変化
60℃以上に加熱した0.1M食塩水にM95−U43、M96−U85、M95−U149を溶解し(5g/L)、60℃以上で攪拌した。温度が下がらないよう配慮しながら0.45μmフィルターでろ過し、温度を60℃から10℃に変化させ、動的光散乱(DLS)測定を行った(図8)。M95−U43では低温側で粒径および散乱光強度の増加が観測された。しかし、M96−U85、M95−U149では粒径は一定のままだった。
60℃以上に加熱した0.1M食塩水にM95−U43、M96−U85、M95−U149を溶解し(5g/L)、60℃以上で攪拌した。温度が下がらないよう配慮しながら0.45μmフィルターでろ過し、温度を60℃から10℃に変化させ、動的光散乱(DLS)測定を行った(図8)。M95−U43では低温側で粒径および散乱光強度の増加が観測された。しかし、M96−U85、M95−U149では粒径は一定のままだった。
実施例7:M 95 −U 43 によるN−フェニル−1−ナフチルアミン(PNA)の取り込み
疎水性蛍光物質であるN−フェニル−1−ナフチルアミン(PNA)は疎水的環境では蛍光極大波長の低波長側へのシフト、蛍光極大強度の増加が観測される。これらを指標とした温度による蛍光スペクトルの変化からMn−UmによるPNAの取り込みを調べた。60℃以上に加熱したPNAの飽和水溶液にMn−Umを溶解し(5g/L)、60℃及び10℃で蛍光スペクトルを測定した(図9)。10℃で蛍光極大波長は低波長側へのシフトし、蛍光極大強度は増加した。なお、各測定における蛍光波長及び蛍光強度の測定値を表2にまとめた。上記の結果から、10℃でMn−UmがUmブロックを疎水性のコアとする高分子ミセルを形成し、その疎水性のコア中にPNAが取り込まれたことが示唆された。
疎水性蛍光物質であるN−フェニル−1−ナフチルアミン(PNA)は疎水的環境では蛍光極大波長の低波長側へのシフト、蛍光極大強度の増加が観測される。これらを指標とした温度による蛍光スペクトルの変化からMn−UmによるPNAの取り込みを調べた。60℃以上に加熱したPNAの飽和水溶液にMn−Umを溶解し(5g/L)、60℃及び10℃で蛍光スペクトルを測定した(図9)。10℃で蛍光極大波長は低波長側へのシフトし、蛍光極大強度は増加した。なお、各測定における蛍光波長及び蛍光強度の測定値を表2にまとめた。上記の結果から、10℃でMn−UmがUmブロックを疎水性のコアとする高分子ミセルを形成し、その疎水性のコア中にPNAが取り込まれたことが示唆された。
本明細書に引用する全ての刊行物及び特許文献は、参照により全体として本明細書中に援用される。なお、例示を目的として、本発明の特定の実施形態を本明細書において説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の改変が行われる場合があることは、当業者に容易に理解されるであろう。
Claims (8)
- 下記式(I):
mは、10〜10,000の整数を意味し;
nは、10〜10,000の整数を意味し;
p及びqは、独立して、1〜6の整数を意味し
R1及びR2は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はC1−6アルキル基を表し;
R3は、水素原子、C1−6アルキル基、並びに下記式(1)及び(2):
で表されるジブロック共重合体を製造する方法であって、下記式(II):
で表される化合物を4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)の存在下、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートと重合させて、下記式(III):
- 前記式(VI)で表されるユニットと対をなす他方のユニットが、メタクリレート、アクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミド、スチレン型の主鎖骨格を有するユニットである、請求項6に記載にジブロック共重合体。
- 請求項6又は7に記載のジブロック共重合体を製造する方法であって、2−アミノエチルメタクリレートをラジカル重合させ、シアン酸カリウムによってウレイド基を導入して得られるウレイド修飾されたポリ(2−アミノエチルメタクリレート)を共重合させることを特徴とする、ジブロック共重合体を製造する方法。
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